Q：貴社の事業内容やビジネスモデルをご説明ください。

A：当社のセグメントは、産業システム事業と保守サービス事業の二つに分かれています。 まず、当社の祖業でもある保守サービス事業からご説明します。 当社の創業者は、工場の加熱設備である工業炉のメンテナンスから事業を始めました。 1件、2件と顧客を増やしていく中で、様々な企業が製造した加熱設備のメンテナンスを行うようになったことが特徴です。 他社のメンテナンスを行うという点で、当社の他社製工業炉のメンテナンス割合は83%と非常に高い割合となっています。 日本国内には約4万基の工業炉がありますが、その中で当社がメンテナンスを手掛けているものはまだ数%に過ぎません。 そのため、成長の余地は十分にあります。 また、エレベーターのメンテナンスが義務付けられているように、ガスバーナーを利用した乾燥炉のメンテナンスも「労働安全衛生法」にて義務化されています。 このため、定期的なメンテナンス依頼があり、安定的な収益が見込めるいわゆる「ストック型」のビジネスモデルと言えます。 また、既存設備に対する改造工事の需要が増えています。 改造工事の需要増加の背景には、加熱設備の省エネルギー化があります。 工業炉の加熱プロセス（100～2,000℃）では、非常に多くのエネルギーを消費します。 その量は、日本全体のエネルギー消費量の約15%を占めていると言われています。 自動車の排ガスが約18%であることからも、その規模の大きさがお分かりいただけると思います。 CO2排出量削減のため、自動車の場合はEVやハイブリッド車などへ買い替える方法等がありますが、工業炉の場合は高額であるため容易に買い替えられません。 また、工業炉は基本的には20年から30年使用するものであるため、既存のものを改造して省エネルギー化を図るという選択肢がとられています。 当社は創業以来、メンテナンスビジネスを行ってきたため、様々な省エネ改造メニューを持っています。 ガスバーナーを電気ヒーターに変えたり、余剰熱を再利用したり、断熱を強化したりするなど、顧客のニーズに合わせた改造工事を提供しています。 このように、保守サービス事業は工具箱一つからスタートしたメンテナンス業務から始まり、今では年間売上高の約35%を占めるまでに成長しました。 安定的な収益基盤であり、当社の利益を下支えしています。 実際、セグメント利益は、産業システム事業とほぼ同等です。 利益率が高く、安定した収益をもたらしてくれる重要なビジネスと位置付けています。

Q：貴社の強みをご説明ください。

A：当社の強みは、ヒートトライアルと呼ばれる加熱テストです。 工業炉はオーダーメイドで製造しますが、当社ではサイズや生産量だけでなく、省エネルギー性や処理時間、CO2排出量など、カーボンニュートラルをめざした顧客のニーズに合わせてテストを行います。 このようなテストを行う企業は少なく、顧客のニーズを掴む上で非常に有効です。 このヒートトライアルを行うテストセンターが、当社の受注活動に大きく貢献しています。 上場した資金の一部をこのテストセンターの建設及び設備に充当しました。 他の工業炉メーカーにはないテストセンターであり、多くの引き合いを集めています。 具体的には、ガスバーナー、電気ヒーター、マイクロ波など、様々な加熱方法をテストし、顧客の製品に最適な方法を提案しています。 温度、時間、風速など、様々なパラメータを調整し、最適解を求めます。 熱流体解析などのコンピュータ解析も活用し、精度の高い分析結果を提供しています。 顧客と開発段階から共同でテストを行うことで、受注に繋げています。 このヒートトライアルには手間と費用がかかりますが、当社はここに投資することで、付加価値を高めて高い利益率で受注しています。 ヒートトライアルを経由した受注は約7割ほどです。

Q：改造工事の売上高の割合はどのくらいですか？

A：保守サービス事業の売上高約8.6億円のうち、改造工事が約4.3億円です。 約半分を占めています。

Q：需要は今後さらに増加する見込みですか？

A：はい。 環境規制の強化などにより、買い替えよりも改造工事を選択する企業が増えると予想しています。

Q：産業システム事業について詳しく教えてください。

A：産業システム事業についてご説明します。 当社はメンテナンスから事業を始め、顧客との信頼関係を構築しました。 そして、顧客から「機械設備も作ってくれないか」との声を受け、徐々に工業炉などの製造をするようになりました。

Q：どのような顧客が多いのですか？

A：自動車関係の顧客が多く、昨年実績で約66%を占めています。 自動車産業は、100年に一度の大変革期と言われており、EVやFCVなど、新しい技術が登場しています。 当社は、ヒートトライアルを通じて、これらの新しい技術に対応した設備の受注を増やしています。 EV関連の受注は、昨年は全自動車関連受注の中で約26%でしたが、今後さらに増加すると予想しています。

Q：第1四半期の決算発表で、半導体関連の加熱装置の売上が伸びているとのことですが、これはヒートトライアルの認知度向上によるものですか？それともEV車関連の受注増加によるものですか？

A：第1四半期は、自動車関係以外の半導体分野の受注が伸びています。 ヒートトライアルを経由した受注です。 特定の業種に依存するのはリスクが高いと考えていますので、半導体など、他の分野にも事業を拡大していきたいと考えています。

Q：創業の経緯について教えてください。

A：創業者は元々ガス会社に勤務し、工業炉の販売に従事していました。 その後独立し、工業炉のメンテナンス事業を開始しました。

Q：保守サービス事業の設備数を伸ばしていくために、何か取り組みや施策はありますか？

A：関西電力やノリタケといった提携先との事業展開、事業譲受したリジェネバーナ事業の拡大、遠赤外線ヒーターなどの当社の技術を生かした省エネルギー化の提案による改造工事の提案、メンテンナンスエリアの拡大を目的とした関東地方への支店開設などに取り組んでおり、中計において発表しています。

Q：関東地方へのエリア拡大については、現状の進捗状況はいかがですか？

A：具体的な時期はまだお話できませんが、関係各所と調整を進めています。

Q：メンテナンスエリアの拡大と事業拡大に伴い、人材の採用戦略や方針はありますか？

A：保守サービス事業は労働集約的な側面があるため、人材の採用と育成が重要です。 IoTを活用した遠隔サービスを展開することで、人材不足に対応していきます。 また、上場企業としての知名度や信用力を活かし、優秀な人材を採用していきます。

Q：貴社の株主還元策について教えてください。

A：長期安定的に配当を増やしていく方針です。 当面は配当性向30%を目指しています。 また、株式分割や株式分売など、流動性向上に向けた施策も検討しています。 成長戦略に基づいた株価上昇と、安定的な配当の両立を目指しています。

Q：今期に入ってから、何か新しく取り組まれたことはありますか？

A：自己株式の消却を行いました。 また、既存株主からの分売を行いました。 これらは、株主価値向上に向けた取り組みです。

Q：投資家から注目されているトピックはありますか？

A：カーボンニュートラル分野への投資に注目が集まっています。 当社は、成長ポテンシャルの高い企業です。 今後の成長にご期待ください。

取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

回答者:セグメントは、産業システム事業と保守サービス事業の二つに分かれています。まず、当社の祖業でもあります保守サービス事業からご説明いたします。

当社の創業者は、工場の加熱設備である工業炉のメンテナンスから事業を始めました。1件、２件と顧客を増やしていく中で、様々な企業が製造した加熱設備のメンテナンスを行うようになったことが特徴です。

他社のメンテナンスを行うという点で、当社の他社製工業炉のメンテナンス割合は83％と非常に高い割合となっています。日本国内には約4万基の工業炉がありますが、その中で当社がメンテナンスを手掛けているものはまだ数％に過ぎません。そのため、成長の余地は十分にあります。また、エレベーターのメンテナンスが義務付けられているように、ガスバーナーを利用した乾燥炉のメンテナンスも「労働安全衛生法」にて義務化されています。このため、定期的なメンテナンス依頼があり、安定的な収益が見込めるいわゆる「ストック型」のビジネスモデルと言えます。

また、既存設備に対する改造工事の需要が増えています。

改造工事の需要増加の背景には、加熱設備の省エネルギー化があります。工業炉の加熱プロセス（100～2,000℃）では、非常に多くのエネルギーを消費します。その量は、日本全体のエネルギー消費量の約15%を占めていると言われています。自動車の排ガスが約18%であることからも、その規模の大きさがお分かりいただけると思います。

CO2排出量削減のため、自動車の場合はEVやハイブリッド車などへ買い替える方法等がありますが、工業炉の場合、高額であるため、そう簡単には買い替えられませんし、基本的には20年から30年使用するため、既存のものを改造して省エネルギー化を図るという選択肢が出てきているのです。

当社は創業以来、メンテナンスビジネスを行ってきたため、様々な省エネ改造メニューを持っています。ガスバーナーを電気ヒーターに変えたり、余剰熱を再利用したり、断熱を強化したりするなど、顧客のニーズに合わせた改造工事を提供しています。

このように、保守サービス事業は工具箱一つからスタートしたメンテナンス業務から始まり、今では年間売上高の約35%を占めるまでに成長しました。安定的な収益基盤であり、当社の利益を下支えしています。実際、セグメント利益は、産業システム事業とほぼ同等です。利益率が高く、安定した収益をもたらしてくれる重要なビジネスと位置付けています。

取材者: 改造工事の売上高の割合はどのくらいですか？

回答者: 保守サービス事業の売上高約8.6億円のうち、改造工事が約4.3億円です。約半分を占めています。

取材者: 需要は今後さらに増加する見込みですか？

回答者: はい。環境規制の強化などにより、買い替えよりも改造工事を選択する企業が増えると予想しています。

取材者: 産業システム事業について詳しく教えてください。

回答者: では、次に産業システム事業についてご説明します。当社はメンテナンスから事業を始め、顧客との信頼関係を構築しました。そして、顧客から「機械設備も作ってくれないか」との声を受け、徐々に工業炉などの製造をするようになりました。当社の強みは、ヒートトライアルと呼ばれる加熱テストです。工業炉はオーダーメイドで製造しますが、当社ではサイズや生産量だけでなく、省エネルギー性や処理時間、CO2排出量など、カーボンニュートラルをめざした顧客のニーズに合わせてテストを行います。このようなテストを行う企業は少なく、顧客のニーズを掴む上で非常に有効です。

このヒートトライアルを行うテストセンターが、当社の受注活動に大きく貢献しています。上場した資金の一部をこのテストセンターの建設及び設備に充当しました。他の工業炉メーカーにはないテストセンターであり、多くの引き合いを集めています。

具体的には、ガスバーナー、電気ヒーター、マイクロ波など、様々な加熱方法をテストし、顧客の製品に最適な方法を提案しています。温度、時間、風速など、様々なパラメータを調整し、最適解を求めます。熱流体解析などのコンピュータ解析も活用し、精度の高い分析結果を提供しています。顧客と開発段階から共同でテストを行うことで、受注に繋げています。

このヒートトライアルには手間と費用がかかりますが、当社はここに投資することで、付加価値を高めて高い利益率で受注しています。ヒートトライアルを経由した受注は約7割ほどです。

取材者: どのような顧客が多いのですか？

回答者:自動車関係の顧客が多く、昨年実績で約66%を占めています。自動車産業は、100年に一度の大変革期と言われており、EVやFCVなど、新しい技術が登場しています。当社は、ヒートトライアルを通じて、これらの新しい技術に対応した設備の受注を増やしています。EV関連の受注は、昨年は全自動車関連受注の中で約26%でしたが、今後さらに増加すると予想しています。

取材者: 第1四半期の決算発表で、半導体関連の加熱装置の売上が伸びているとのことですが、これはヒートトライアルの認知度向上によるものですか？それともEV車関連の受注増加によるものですか？

回答者: 第1四半期は、自動車関係以外の半導体分野の受注が伸びています。ヒートトライアルを経由した受注です。特定の業種に依存するのはリスクが高いと考えていますので、半導体など、他の分野にも事業を拡大していきたいと考えています。

取材者: 創業の経緯について教えてください。

回答者: 創業者は元々ガス会社に勤めており、ガスを売るために工業炉を販売していました。そこから独立し、最初は工業炉のメンテナンスから事業を始めました。

取材者: 保守サービス事業の設備数を伸ばしていくために、何か取り組みや施策はありますか？

回答者: 関西電力やノリタケといった提携先との事業展開、事業譲受したリジェネバーナ事業の拡大、遠赤外線ヒーターなどの当社の技術を生かした省エネルギー化の提案による改造工事の提案、メンテンナンスエリアの拡大を目的とした関東地方への支店開設などに取り組んでおり、中計において発表しています。

取材者: 関東地方へのエリア拡大については、現状の進捗状況はいかがですか？

回答者: 具体的な時期はまだお話できませんが、関係各所と調整を進めています。

取材者: メンテナンスエリアの拡大と事業拡大に伴い、人材の採用戦略や方針はありますか？

回答者: 保守サービス事業は労働集約的な側面があるため、人材の採用と育成が重要です。IoTを活用した遠隔サービスを展開することで、人材不足に対応していきます。また、上場企業としての知名度や信用力を活かし、優秀な人材を採用していきます。

取材者: 貴社の株主還元策について教えてください。

回答者: 長期安定的に配当を増やしていく方針です。当面は配当性向30%を目指しています。また、株式分割や株式分売など、流動性向上に向けた施策も検討しています。成長戦略に基づいた株価上昇と、安定的な配当の両立を目指しています。

取材者: 今期に入ってから、何か新しく取り組まれたことはありますか？

回答者: 自己株式の消却を行いました。また、既存株主からの分売を行いました。これらは、株主価値向上に向けた取り組みです。

取材者: 投資家から注目されているトピックはありますか？

回答者: カーボンニュートラル分野への投資に注目が集まっています。当社は、成長ポテンシャルの高い企業です。今後の成長にご期待ください。

代表取締役 高梨智志様　

執行役員 梅原良様