取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

回答者: まず、システム開発の中心は業務系システムで、その中でも生命保険と損害保険のシステム開発に強みを持っています。銀行、クレジットカード、証券会社向けのシステム開発も行っていますが、生命保険と損害保険が最も多いです。お客様と共に要件定義の段階から参画できるような技術者を揃えていることが強みです。次に、エンドユーザーとの取引力が高いことです。現在の顧客には、生命保険会社、大手ホテル、通信キャリアなどがいます。このように、エンドユーザーのシステムを直接提供しており、その取引比率は65%を超え、非常に高い比率です。そのため、収益性も高いと言えるでしょう。そして、ソリューション・AI提供力にも強みを持っています。各企業が力を入れているDX化を進めるため、当社はAIやRPAなどを活用し、お客様の業務効率化を実現するソリューションを提供しています。お客様の要望に合わせたソリューションを短期間で提供できる体制を整えていることも強みです。

取材者: エンドユーザーと直接取引されているとのことですが、その取引比率が65%を超えている要因は何かございますか？

回答者: 先ほどご説明したように、要件定義の段階から参画できる技術者を保有していることが強みとなり、直接取引に繋がっています。

また、ソリューションにおいても、お客様のニーズに合わせてお客様と共に開発できることが要因となっています。

取材者: なるほど。お客様と共に開発が可能とのことですが、それは高い技術力を持つ技術者を多く抱えているからこそ、ということでしょうか？

回答者: はい、その通りです。高い技術力を持つ技術者が多数在籍していることに加え、お客様と共に開発したソリューションの実績を横展開することで、効率的な開発を実現しています。また、社内で活用できるものは全て活用し、効率化を実現した上で、お客様に提供しています。

取材者: 提供されているソリューションについて、もう少し詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか？具体的にどのようなソリューションを提供されているのか、事業の概況についてご説明いただけますか？

回答者: 当社のソリューションの目的は、企業価値を高め、将来的に安定的な受注を獲得することです。従来の「仕事をください」というスタンスではなく、ソリューション製品を提供することで、お客様との長期的な関係構築を目指しています。また、収益性の向上も目的の一つです。人月単価で収益を考えるのではなく、製品の活用度に応じて収益を得られるような、付加価値の高いビジネスモデルを構築しようとしています。ソリューション開発の方針としては、研究開発段階で終わらせるのではなくお客様に使っていただくために、お客様と共に製品化を進めていくことを重要視しています。一度開発した製品は基本的にはクラウドで提供し、法律の変更に対応するなど継続的なサポートを提供しています。

製品を導入して終わりではなく、お客様の事業に貢献できるような高付加価値のサービスを長期的に提供することを目指しており、社内で活用できるものについては、社内で活用した上でその効果を検証し、実績のあるものを提供しています。

具体的なソリューションとしては、情報セキュリティ、業務効率化、AI、開発ツールの４つの分野に注力しています。情報セキュリティソリューションでは、安全性を重視した製品を提供しています。

業務効率化ソリューションでは、DX化を支援する製品や、AIやRPAなどを活用し、業務の自動化を実現する製品を提供しています。AIソリューションでは、お客様のデータを活用し、業務効率化や意思決定支援を行う製品を提供しています。例えば、「WorkAI」というAIソリューションでは、お客様と共に構想段階から実証実験を経て完成まで行っています。「Prophetterシリーズ」は、お客様のニーズに合わせたAIのシステム構築を支援するための製品です。「Chat Document」は、音声やテキストで入力されたキーワードから、関連するドキュメントを検索するソリューションです。「社内FAQ」は、AIチャットボットを活用して社員からの問い合わせ対応を効率化するソリューションです。「株主QA」は、株主総会における想定質問への回答を効率化するソリューションです。「FSGen」は、決算短信などの決算資料をAIが自動かつ精密に生成するソリューションです。「QualiBot」は、入札に必要な資格をAIの自動生成および判断能力を活用して自動診断するソリューションです。「PRGen」は、プレスリリースの原稿作成を支援するソリューションです。開発ツールソリューションでは、ローコード開発の「WebPerformer」「WebPerformer-NX」を提供しています。これらのソリューションを通じて、お客様の業務効率化や課題解決に貢献しています。

取材者: 多様なソリューションをお客様に提供されているとのことですが、主な顧客層はどのような企業でしょうか？業務系システムを導入されている企業をターゲットにされているのでしょうか？

回答者: いいえ、最近はオンライン営業に力を入れているため、業種や規模は問わず、全国の中小企業にもソリューションを提供しています。クラウドサービスで提供しているため、お客様の場所に赴くことなく導入いただけます。オンライン営業では、顧客リストに基づいた営業活動や、メルマガ配信などを活用しています。また、地方の商工会議所とも連携し、地域の中小企業へのアプローチも強化しています。

取材者: 創業の背景や思いについてお聞かせいただけますか？

回答者: 当社の創業は、初代社長が経営コンサルティング事業から始めたことに遡ります。

当初は5名程度の小さな組織でしたが、ホテルの経営コンサルティングを行う中でシステム開発のニーズも高まり、徐々に技術者を増やしていきました。

取材者: ホテルのシステム開発からスタートし、現在では金融系のシステム開発が中心になっているとのことですが、その転換点は何だったのでしょうか？

回答者: ホテルの情報部門をアウトソーシングで請け負う中で、技術者派遣を通してノウハウを蓄積し、社内で開発できる体制を構築しました。長年の経験を通して、上流工程に対応できる技術者が育ってきたことが、業務系システム開発への進出を可能にしました。

取材者: 御社の業績は順調に成長されているようですが、その要因はどこにあるとお考えでしょうか？特に受注増について、何か取組みなどがございましたら教えてください。

回答者: 受注増加の要因としては、大手企業との業務提携や資本業務提携による営業力強化が挙げられます。また、エンドユーザーとの直接取引比率が高いことから、収益性も高く、それが成長を支えています。IT企業の平均的な営業利益率は約6%ですが、当社は12.7%（2024年9月期）と高い水準を維持しています。これは、エンドユーザーとの直接取引により、仲介手数料などのマージンを削減できていることが要因です。また、サブスクリプション形式でのサービスの提供により、人材に依存しない収益構造を構築していることも、収益性向上に貢献しています。現在、サブスクで提供しているサービスの売上比率は約5%ですが、将来的にはこの比率を高めることで、更なる収益性向上を目指します。

取材者: 人材に依存しない収益構造とは、具体的にどのようなものでしょうか？

回答者: 現在のシステム開発は、技術者に大きく依存しており、売上増加には多くの技術者が必要です。そのため、毎年新卒採用を行っていますが、競争が激化しており、必要な人材を確保することが難しくなってきています。そこで、ビジネスパートナーと連携し、技術者を確保する取組みを行っています。また、クラウドで提供するサブスクリプション形式のサービスのように、人材に依存しない売上比率を高めることで、安定的な収益構造を構築していきたいと考えています。

取材者: 株主還元に関する戦略や方針についてお聞かせください。

回答者: 株主還元については、これまで流動性を高めるために株式分割を2023年以降では2回実施しました。

これは、プライム市場の維持基準を達成するため、投資家が投資しやすい環境を作るためです。また、配当についても、株主への利益還元を重視し、右肩上がりに増配してきました。配当性向50%を超える企業も出てきていることから、今後は更なる増配や株主優待の導入なども検討していきたいと考えています。現在、「6.600作戦」を実行中で、これは2025年6月までに株価600円の達成を目標に掲げています。その目標達成に合わせて、株主還元についても具体的に検討を進めていく予定です。