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シマダヤ(株)

東証STD 250A

決算:3月末日

20250826

決算概要

2026年3月期第1四半期の売上高は107億4,900万円(前期比3.8%増)、営業利益は10億4,500万円(同8.8%減)、経常利益は10億6,600万円(同9.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億4,200万円(同11.8%減)となり、売上高は過去最高を達成した。価格改定が寄与し、売上総利益段階では前期比103.9%となるも、前年同期に未実施のテレビCMを積極的に投下したことなどにより、営業減益となった。


セグメント別または事業別の増減要因

売上高については、家庭用は、経済性志向に対応した「太鼓判」や付加価値商品である「健美麺」などが売り上げに貢献し、前期比102.9%と約3%の伸びを記録した。業務用は、高まる外食需要及び海外の売上好調が寄与し、前期比105.6%と堅調に推移している。


主要KPIの進捗と変化

2027年3月期の目標として、売上高430億円、EBITDA55億円、冷凍麺の売上比率42%を掲げており、それぞれ順調に進捗しているが、特にEBITDAは当初の目標である48億円を前期で達成したため、上方修正した。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(同9.2%増)などの増収増益を計画している。第1四半期の減益は織り込み済みで、計画通り推移しているので、上期に確実に利益を積み重ねることで、通期の見通しは達成できると見込んでいる。

・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年3月期の売上高は396億2,500万円(前期比1.7%増)、営業利益は33億7,200万円(同0.6%増)、経常利益は34億4,900万円(同0.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億5,400万円(同1.2%増)となり、売上高と営業利益は過去最高を達成した。当初は物流費や人件費の高騰により減益を見込んでいたが、家庭用チルド麺の販売好調、2025年2月実施の商品価格改定、および広告宣伝費の見送りが利益向上に貢献した。営業利益率はほぼ前年並みであった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高は業務用が前年並みであった一方、家庭用が前期比102.6%と約3%の伸びを記録した。特に下期は「流水麺」の販売期間延長と「太鼓判」ブランドの好調が、生産効率向上に寄与した。

     

    主要KPIの進捗と変化

    2027年3月期を最終年度とする3カ年計画の主要KPIは3つある。売上高430億円、EBITDAは当初48億円目標から55億円に上方修正された。冷凍麺の売上高比率は42%であり、いずれも現時点では順調に推移している。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    家庭用は「流水麺」や冷し中華が強みで、上期と下期の売上比率は6対4程度となる。7月、8月が最盛期で生産ピークを迎えるため、下期の売上伸長が工場稼働率向上と収益性改善に繋がる構造である。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(前期比9.2%増)等の増収増益を計画している。これは2月の価格改定と、リニューアル再発売した業務用「流水α麺」の貢献によるものである。今期は業務用が牽引し、その安定した収益性が利益率増加に繋がると見込んでいる。

     

    トピックス

    メルコグループの親会社離脱と牧寛之氏の取締役退任後におけるメルコグループの関与に関する質問が多い状況であるが、メルコグループは大株主として引き続き長期保有し、支援する意向で認識が一致している。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は家庭用チルドと業務用冷凍の二つのコア事業で売上の9割以上を占めております。家庭用においては、「流水麺」と冷し中華を中心とした涼味麺が強みであり、上期と下期の売上比率が6対4程度となるため、7月、8月の最盛期以外の、特に下期の売上を伸ばすことが、工場の稼働率向上と連結での収益性改善に貢献するという戦略です。「流水麺」に関しては、地球温暖化による夏の暑さや残暑の長期化をビジネスチャンスと捉え、最盛期以外の販売拡大に取り組んでおります。また、株式上場が「流水麺」の認知度向上と販売拡大に想定以上の効果をもたらしました。業務用については、全国展開を広げていく方針であり、福岡営業所の新設もその一環となります。2026年3月期においては、業務用が牽引役となり、その収益の安定性が全体の利益率向上に寄与する見込みです。業務用は来期以降も継続的に拡大を目指していく方向であり、2026年秋には前橋工場に冷凍麺のラインを新設し、生産キャパシティを増強いたします。効果としては、現在の冷凍麺生産キャパシティが10%程度アップする見込みです。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(同9.2%増)、経常利益37億円(同7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億7,000万円(同0.6%増)を計画しております。この増収増益計画の主な要因は二点ございます。一点目は、2025年2月に実施した価格改定です。前期は物流費や人件費の高騰がありましたが、価格改定を実施しない中で経費削減等の努力により増益を達成しました。今期の価格改定は、前期のマイナス要因をカバーし、収益に大きく寄与すると見込んでおります。二点目は、業務用の伸長です。前期は生産キャパシティ逼迫により終売していた「α麺」を「流水α麺」としてリニューアルし、2025年3月に再発売いたしました。これにより、以前の水準までは戻らないものの、約4割程度の売上回復を見込んでおり、新規顧客獲得にも繋がっております。今期は家庭用よりも業務用が業績を牽引し、業務用の安定した収益性が利益率の増加に貢献すると考えております。また、2026年3月期の増収増益計画には、テレビ広告を主とする広告宣伝費も含まれております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aは、当社の持続的な成長において非常に重要な選択肢であると認識しております。当社は過去にM&A経験があり、機能している工場がある一方で、敷地の狭さなどにより期待通りの効果が出ていないケースもございます。特にチルド工場は中小規模が多く、当社が求める規模感でのM&Aは難しく、現状では適切な案件は見当たらないと見通しております。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2027年3月期を最終年度とする3カ年計画において、主要KPIを3つ設定しております。1点目は売上高430億円、2点目はEBITDAで当初48億円を目標としておりましたが、営業利益が大きく伸長したため、55億円に上方修正いたしました。3点目は冷凍麺の売上高比率で42%です。いずれのKPIも現時点では順調に推移していると認識しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:上場したばかりということもあり、株主還元に関する基本方針に大きな変更はございません。配当性向30%から40%の間を目安とし、最も重視しているのは安定配当です。2025年3月期は年間52円(上場記念配当込み)としており、2026年3月期も同水準を目指してまいりたいと考えております。

  • 取材者:2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高は396億2,500万円で前期比1.7%の増加、営業利益は33億7,200万円で前期比0.6%の増加、経常利益は34億4,900万円で前期比0.7%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は25億5,400万円で前期比1.2%の増加と発表されました。好調だった前期に引き続き売上高と営業利益は過去最高を達成されましたが、これらの増減要因についてご説明をお願いいたします。

     

    回答者:当社は当初、減益を見込んでおりました。主な要因として、物流費と製造労務費を中心とした人件費の高騰が挙げられます。これらは当初から認識しており、価格改定を行わない計画であったため、減益の見通しでした。しかし、実績が向上した理由は以下の通りです。まず売上高ですが、業務用は前年並みでしたが、家庭用が売上高で102.6%、約3%の伸びとなりました。特に下期には「流水麺」の販売期間を10月、11月まで延長したことや、経済性価値訴求型の「太鼓判」ブランドが好調だったことにより、下期の生産効率が向上したことが大きな要因です。また、2月に価格改定を実施しました。2月は半分程度の反映でしたが、3月にはある程度反映されました。これらは当初の計画にはなかったものです。さらに、当初3月にテレビ広告を中心とした広告宣伝を行う予定でしたが、価格改定を優先し、広告を見送ったことによる経費削減も利益に寄与しております。

     

    取材者:今期は広告を見送ったとのことですが、2026年3月期は広告をしっかりと実施するイメージですか。

     

    回答者:2026年3月期の増収増益計画には、テレビ広告を主とする広告宣伝費も含まれております。

     

    取材者:営業利益率に関してはいかがでしたか。

     

    回答者:2025年3月期については営業利益率についてはほぼ前年並みでございました。

     

    取材者:先ほど「流水麺」の販売期間を延長したというお話がありましたが、売上に影響を与えた季節性や一時的な外的要因はございましたでしょうか。

     

    回答者:当社は家庭用チルドと業務用冷凍の二つのコア事業で売上の9割以上を占めております。業務用は計画生産が可能であり、売上、利益ともに上期と下期の比率が約50%ずつです。しかし、家庭用については、「流水麺」と冷し中華を中心とした涼味麺が当社の強みであるため、上期と下期の比率が6対4程度となります。7月、8月が最盛期で生産能力のピークを迎えますが、これ以上の生産は困難です。そのため、7月、8月以外の月、特に下期の売上を伸ばすことが、結果的に工場の稼働率向上につながり、連結での収益性改善に貢献するという構図になっております。

     

    取材者:昨今YouTubeなどで「流水麺」の食べ方やレシピが広まっているように見受けられますが、トレンドとして、どのような点が売上に寄与していると感じられますか。

     

    回答者:「流水麺」については、昨年から7月、8月の繁忙期以外をどのように販売していくかということに取り組んでおります。現在のメガトレンドでもありますが、地球温暖化による夏の暑さや残暑の長期化は、結果的に当社のビジネスチャンスにつながっていると言えるかと思います。また、今回の株式上場が、当社がこれまで取り組んできた「流水麺」の繁忙期以外の拡大、そして東海・近畿の西日本エリアでの販売拡大と、非常に合致し、想定以上に認知度向上と「流水麺」の広がりにつながっていると言えるかと思います。

     

    取材者:認知度向上も含めて効果があったとのことですが、前期比での人材採用の状況はいかがですか。

     

    回答者:人材採用は元々厳しい状況ではありますが、当社の採用における優位性の範囲が広がったと感じております。以前は関東出身者、あるいは関西出身でも関東の大学を経由して入社する方がほとんどでしたが、現在の応募状況では、東海・関西の大学からも応募があり、実際に入社された方もいます。これは従来全くなかったことで、採用における優位性の範囲が広がったことは非常に良かったと感じております。

     

    取材者:そうしますと、今後福岡営業所を新設したことにより、九州での採用拡大も視野に入れているのでしょうか。

     

    回答者:福岡営業所は業務用冷凍の拠点となります。家庭用チルドは、「流水麺」をはじめ日持ちしない商品が多いため、基本的に三大都市圏をしっかりと抑える戦略です。業務用冷凍については、全国展開を広げていく方針でおります。

     

    取材者:その他、主要KPIがございましたら教えていただけますか。

     

    回答者:主要KPIは現在3つございます。2027年3月期を最終年度とする3カ年計画において、1点目は、売上高430億円、2点目は、EBITDAで当初48億円を目標としておりましたが、営業利益が大きく伸長したため、この48億円から55億円に上方修正いたしました。3点目は冷凍麺の売上高比率で42%です。いずれも現時点では順調に推移していると認識しております。

     

    取材者:2026年3月期の通期見通しについてお伺いいたします。2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円で前期比5.5%の増加、営業利益36億8,400万円で前期比9.2%の増加、経常利益37億円で前期比7.3%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益25億7,000万円で前期比0.6%の増加と、2025年3月期を上回る増収増益を計画されておりますが、この見通しについてお伺いできますか。

     

    回答者:いくつかポイントがありますが、絞ると2点ございます。1点目は、今年の2月に価格改定を実施したことです。昨年は物流費や人件費の高騰がありましたが、価格改定ができていない中で経費削減など様々な努力を行い、なんとか増益につなげました。今回は昨年マイナスだった部分を今回の価格改定でカバーできるため、これが大きな要因の一つです。もう一点は、昨年業務用が前年並みでした。これは一昨年生産キャパシティが逼迫し、「α麺」の一部商品(かなりの金額規模でした)を終売しておりました。そのため前年並みでしたが、この「α麺」を「流水α麺」としてリニューアルし、この3月に再発売しております。一昨年を10とするならば、そこまでは戻りませんが、約4割前後は戻す計画で、現時点での報告ではある程度新規顧客を獲得できております。今回は家庭用ではなく業務用が牽引し、業務用の収益性が安定しているため、結果として利益率の増加につながっております。

     

    取材者:2026年3月期に関しては業務用を伸ばしていきたいという計画なのですね。

     

    回答者:はい、そのように考えております。

     

    取材者:M&Aや業務提携につきまして、何かその実施のご予定や検討状況がございましたら、お答えできる範囲でお話いただけますか。

    回答者:M&Aは、当社の持続的な成長において非常に重要な選択肢だと考えております。当社は3社11工場の経緯として、M&Aの経験がございました。機能している工場がある一方で、敷地の狭さなどにより、思ったような効果が出ていないところもあります。特にチルド工場を中心に中小規模のところが多く、当社が求める規模感でのM&Aは難しく、現状ではなかなかそのような案件はないと見通しております。

     

    取材者:そうしますと、設備投資についてはどのように考えておりますか。

     

    回答者:設備投資については、老朽化対策、自動化・省人化への投資などが必要となります。生産への投資についてはメーカーとして非常に重要なテーマでありますので、社内で議論を進めております。もちろん新しい工場なども選択肢としてはあると考えております。

     

    取材者:それは2026年稼働予定の前橋工場のライン増設とはまた別の話ということですか。

     

    回答者:はい、ご指摘の通り、今決まっている2026年秋以降に1ライン稼働する計画とは別の話です。

     

    取材者:その他、株主還元方針について変更などございましたらお伺いできますか。

     

    回答者:上場したばかりということもありますが、基本方針に大きな変更はございません。配当性向30%から40%の間を目安とし、最も重視しているのは安定配当です。今回年間で52円(上場記念配当込み)としておりますが、来年もそこを目指してまいりたいと考えております。

     

    取材者:足元のトピックスやニュースリリースなものがございましたら、何かお話いただけますか。

     

    回答者:これまで開示している内容と大きく乖離するものはありません。よくある質問としては、昨日リリースも出しておりますが、メルコグループが親会社から外れるということ、そして今回、牧寛之氏が取締役を外れることについて、今後メルコグループがどのように関わっていくのかというご質問がございます。メルコグループが大株主であることは間違いありませんので、皆様気にされているところかと思います。もちろん、安定株主として長期保有ということで認識は一致しておりますので、引き続き大株主として支援していただく形になるかと思います。

  • 代表取締役 社長執行役員 岡田賢二様

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • 直近の決算状況

    2025年3月期第3四半期において、売上高は313億円で前年同期比1.7%増の増収、過去最高を記録したが、物流費や製造労務費の上昇により営業利益は減益となっている。ただし、営業利益は過去2番目の利益水準となっており、業績は安定的に推移している。

    特徴や強み

    93年間で培われた麺専業メーカーとしての強みは、低温商品に特化した商品開発力、7K(健康、簡便、高品質など)をキーワードとした豊富な商品ラインナップ、約70名体制の研究開発体制、生産子会社3社11工場による高い供給力、小売店との密接な関係と提案型の営業体制である。顧客ロイヤリティが高く、価格改定においても販売数量を減らすことなく対応できている点が強み。
     

    成長戦略

    今後の成長戦略として、収益性の高い業務用冷凍麺の拡大、家庭用冷凍麺・海外の積極展開を掲げている。国内事業の深耕と並行して、冷凍麺の生産能力増強や海外市場への進出を計画しており、特に冷凍麺事業の成長に注力する方針。中期経営計画「Change95」では、コア事業の「深化」と「利益成長」への挑戦と収益構造の変革を目指し、目標として売上高430億円、EBITDA48億円、冷凍麺売上比率42%を掲げている。
     

    株主還元策

    連結配当性向30%~40%を目安とした安定配当の実施を基本方針としており、業績の安定性を背景に継続的な配当を目指している。年間配当は1株当たり40円であるが、今期については、期末配当において上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定である。株主からの要望に応え株主優待制度も導入することを決定しており、安定的な配当と株主優待の実施により、株主への利益還元を強化する方針である。
     

    今期の取り組みやトピックス

    家庭用事業における下期の収益改善と西日本エリアの拡大、業務用事業の生産キャパシティの増強が主な取り組みである。西日本エリアでは、西日本限定「太鼓判」ブランドの展開を強化し、シェア拡大を図っている。


     

    上場の目的

    2024年10月に株式会社メルコホールディングスからスピンオフ上場し、責任の明確化、迅速な戦略対応、ブランド力の向上を目的としている。独立企業としての認知度を高め、更なる成長を目指す狙いがある。

  • Q:業績の増減要因をご説明ください。

    A:当社の業績は、主に家庭用チルド麺と業務用冷凍麺の販売動向に左右されます。2025年3月期の第3四半期決算では、売上高は313億円で、前年同期比1.7%の増収となり、過去最高を記録しました。これは家庭用チルド麺が牽引し、特に西日本エリアでのシェア拡大が貢献しています。一方、営業利益は32億円で、前年同期比で約10%の減益となりました。これは、物流費や製造労務費の上昇が主な要因です。ただし、減益ではあるものの、過去最高益であった昨年に次ぐ、2番目の利益水準は確保しています。家庭用チルド麺事業は上期に売上・利益が偏重する傾向があり、業務用は上期・下期でほぼ半々の売上構成となっています。全体として、コロナ禍からの回復を経て、2024年3月期には最高売上高、最高益を達成し、新たな成長ステージに入ったと認識しています。
     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:業務用冷凍麺市場では、当社は約20%のシェアを持ち、業界トップです。競合他社はB社、C社などで、大手4社で市場全体の6割以上を占めています。この市場は販売先が広範囲に及ぶため、規模型の市場構造と言えます。一方、家庭用チルド麺市場では、当社は約10%のシェアで業界2位であり、1位の企業が20%のシェアを持っています。この市場は、大手3社で4割程度のシェアとなっており、残りの6割は中小の地場企業が占める分散型の市場構造となっています。西日本エリアでは、特に地場の中小企業との競争が激しい状況です。
     

    Q:株主還元の方針をご説明ください?

    A:当社の株主還元の方針としては、連結配当性向30%~40%を目安に、安定配当を実施することを基本としています。業績が大きく変動するようなものではないため、できるだけ安定した配当を継続していく考えです。年間配当は1株当たり40円ですが、今期については、期末配当において上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定です。また、株主優待についても、株主からの要望に応えて実施することにいたしました。

  • 取材者:会社の概要からお願いいたします。

    回答者:シマダヤは、1931年創業の麺専業メーカーです。本社は東京都渋谷区恵比寿に所在し、生産は生産子会社3社11工場にて行っており、グループ全体の従業員は約1,300名となっております。創業93年の麺専業メーカーとして、2031年には創業100周年を迎える企業です。昨年度、2024年3月期の売上高は約390億円、営業利益は33億5,000万円でした。得意先は約1,000社、年間8億食を製造販売しております。

    当社の強みについてご説明いたします。当社は、麺専業として93年間で構築された独自のバリューチェーンを有しております。具体的には、以下の4点となります。

    1. 商品開発:低温商品に特化したマーケティングにより、独自の開発を行っております。競合メーカー様がカップ麺や即席麺を主体とするのに対し、当社はチルド麺、冷凍麺を主体としている点が特徴です。

    2. 豊富な品揃え:専業メーカーとして、7K(健康、簡便、高品質、買い置き、経済性、国産、環境)をキーワードとした豊富な商品ラインナップを取り揃えております。

    3. 開発研究所:品質保証を含め、約70名の体制で研究開発に取り組んでおり、この点は大規模で非常に力を入れております。

    4. 生産品質:低温商品の供給力が高く、3社11工場で冷凍麺、チルド麺の供給能力が非常に高いです。これが一つの強みです。特にチルド麺工場においては、「流水麺」のような、加熱せずに喫食可能な麺を製造するための高度な衛生管理技術を有しております。

    流通販売につきましては、家庭用は元々ルートセールスによる直販が主体であったため、小売店との関係が非常に密接です。この強みは、売り場におけるレイアウトや販促提案に活かされております。業務用につきましては、卸店を通して販売しておりますが、営業活動として飲食店に対しメニュー提案や調理オペレーションの提案も行っており、提案型の営業が特徴となっております。これらの結果、顧客ロイヤリティが非常に高く、過去の価格改定においても、他社様のように販売数量を減らすことなく対応できております。

    次に、社会トレンドと潜在的なニーズに対応した、付加価値の高い商品提案についてご説明いたします。家庭用チルド麺では、調理が簡便な「流水麺」ブランドや、健康意識の高まりに対応した「健美麺」ブランドなどを展開しております。業務用冷凍麺では、外食・中食業界の幅広いニーズに応える商品を取り揃えております。

    ここで、「流水麺」の開発プロセスについてご紹介させていただきます。「流水麺」は1988年に発売された商品ですが、当時の当社の売上は、夏場に減少し、冬場に増加するという状況でした。そこで、広告代理店を通じて、なぜ夏場に茹で麺の売上が伸びないのかという消費者実態調査を実施いたしました。調査の結果、夏場は暑いため、お湯を沸かしたり、麺を茹でたりすることへの抵抗があるという意見が多く寄せられました。一方で、夏に冷たい麺を喫食したいというニーズがあることも判明いたしました。

    そこで、夏場における茹で麺の喫食方法を調査したところ、茹でずに袋を開けてそのまま麺つゆにつけて喫食する、あるいは水で軽くほぐして喫食するという方法が取られていることがわかり、驚きました。本来、麺は加熱して喫食することを前提に製造されているため、衛生面や食感の観点から問題があると考えられました。このような喫食方法をされている方はわずか8%でしたが、ここに潜在ニーズがあると判断し、「ゆでずにさっと水でほぐすだけ」というコンセプトで「流水麺」を開発することにいたしました。開発は困難を極めましたが、麺専業メーカーとしての技術を駆使し、最終的に製品化することができました。

    ただ、ご覧の通り、発売から20年間は売上が伸び悩みました。しかし、2009年以降、テレビ広告の実施、商品ラインナップの拡充、消費期限の延長(当初4~5日だったものを、検証を重ねながら1日ずつ延長いたしました)、など、様々な取り組みを行った結果、徐々に売上を伸ばしております。2017年から18年にかけて売上が大きく落ち込んでおりますが、これは「流水麺」ブランドのカップ「流水麺」を発売したものの、採算性が悪く終売したことによるものです。その後、主原料の国産化などにより、再び回復しております。

    当社の売上構成は、大きく分けて2つの事業で構成されております。家庭用が62%(主にチルド麺、一部冷凍麺)、業務用が38%(主に冷凍麺)となっております。

    続きまして、当社のコア事業について、市場の特徴と併せてご説明いたします。まず、左側の業務用冷凍麺ですが、市場規模は約820億円(メーカー出荷ベース)であり、当社は約20%のシェアを有し、業界トップです。競合他社はB社、C社などで、大手4社で市場全体の6割以上を占めております。冷凍麺は、販売先が生産拠点から広範囲に及ぶため、規模型の市場構造と言えます。

    一方、右側の家庭用チルド麺は、市場規模が約2,300億円(消費者売価ベース)であり、当社は約10%のシェアで業界2位となっております。1位の20%の企業にはなされている状況です。この市場は、大手3社で4割程度のシェアとなっており、残りの6割は中小の地場企業が占めております。販売先が製造拠点から一定の範囲内であるため、分散型の市場構造と言えます。

    各事業の特徴についてご説明いたします。業務用冷凍麺事業は、外食・中食業界向けに豊富な商品ラインナップを提供し、きめ細かい営業体制で事業を展開しております。中小の飲食店が多いことから、業務用専門の卸店を通して販売しておりますが、全国に展開する大手外食企業とも直接取引を行っております。販売先は、一般飲食店に加え、レジャー施設(ゴルフ場、温浴施設)、高速道路のパーキングエリア、給食(事業所給食、オフィスや工場の給食など)、スーパーのインストアデリカなど多岐にわたります。

    こちらの資料では、業務用商品の豊富な品揃えと、メニュー提案を中心とした事例をご紹介しております。

    家庭用チルド麺事業は、スーパーの麺売場を中心に展開しており、チルド麺を中心に、一部冷凍麺も販売しております。

    続きまして、2025年3月期の第3四半期決算概要についてご説明いたします。売上高は313億円であり、前年同期比1.7%の増収、過去最高を記録いたしました。事業別の販売では、家庭用チルド麺が牽引しており、特に西日本エリアでシェアを拡大いたしました。業務用は前年並みです。営業利益は32億円であり、前年同期比で約10%の減益となりました。これは、物流費や製造労務費の上昇が主な要因です。しかしながら、減益ではあるものの、過去最高益であった昨年に次ぐ、2番目の利益水準を確保しております。

    連結経営成績につきましては、純利益は23億5,700万円、1株当たり当期純利益は155円です。通期予想に対して利益額が上回っておりますが、これは当社の事業特性として、家庭用チルド麺事業の売上・利益が上期に偏重しているためです。「流水麺」や冷し中華が上期に集中するため、このような結果となっております。一方、業務用は上期・下期でほぼ半々です。

    こちらのグラフは、過去5期の業績推移を示したものです。この期間、当社は約20億円前後の営業利益を確保し続けており、コロナ禍で業務用外食需要が落ち込んだ際には、家庭用内食を取り込むことで、環境変化に関わらず安定した利益を上げることができました。2024年3月期には、最高売上高、最高益を達成し、新たな成長ステージに入ったと認識しております。

    こちらは、連結貸借対照表です。資産合計は249億7,900万円であり、前年同期比10億8,900万円増加しております。純資産合計は178億6,400万円であり、前年同期比20億2,600万円増加しており、これは主に純利益の獲得によるものです。

    続きまして、商品価格改定についてご説明いたします。2025年2月1日の納品分より、価格改定を実施済みです。これは、原材料費、資材費に加え、物流費、製造労務費等のコスト上昇が著しいことへの対応です。価格改定の影響については、まだ明確な比較はできておりませんが、導入状況やカット要因を考慮すると、大きなマイナスにはならないと見込んでおります。

    最後に、長期ビジョンと中期経営計画についてご説明いたします。当社は、2031年に創業100周年を迎えます。100周年に向けた当社のありたい姿は、「麺食を通して価値創造を実現し人を笑顔にする会社」です。経営スローガンである「おいしい笑顔をお届けします」という言葉に表れております。ありたい姿の実現に向けて、お客様、社会、ステークホルダーの皆様に貢献していく中で、重要課題として、こちらの資料に記載の項目を挙げております。

    お客様に対しては、確かな品質と豊富な品揃えという、専業メーカーとしての強みを発揮し、お客様の満足につながる7Kを軸とした商品開発を行ってまいります。社会に対しては、事業活動を通じた環境負荷の低減はもちろんのこと、人と地球の健康への貢献を目指します。特に、健康長寿社会の実現に力を入れており、食塩ゼロや糖質カットなど、健康に配慮した「健美麺」ブランドを展開しております。ステークホルダーに対しては、従業員の働きやすい環境整備と働きがいの醸成、そしてステークホルダーの皆様との信頼関係強化に取り組んでまいります。上場したばかりということもあり、IRミーティングなどを通して、当社のことをより深くご理解いただけるよう努めております。

    中期経営計画については、これらの重要課題に対応するため、「Change95」という基本戦略を策定し、現在3ヶ年計画で推進しております。

    長期ビジョンとしては、2032年3月期、すなわち創業100周年に向けたものを掲げており、この8ヶ年計画を、前半の3ヶ年の「構造改革期:Change95」と、後半の5ヶ年の「Growth100:成長期・新領域開拓期」の2つに分けております。

    それぞれの期間において、前半の3ヶ年では、2つのコア事業に対して経営基盤をしっかりと固めること、そして成長期においては、国内事業はもちろんのこと、持続的な成長に向けたポートフォリオの転換、具体的には、収益性の高い業務用事業の売上を拡大し、海外・家庭用冷凍麺を含む冷凍麺比率を上げていくことに注力してまいります。冷凍麺は、成長の余地も大きく、収益性も高いと考えております。

    現在進行中の「Change95」3ヶ年計画は、来期から2年目に入ります。基本方針は、「コア事業の『深化』と『利益成長』に挑戦し、収益構造を変革する」ことです。具体的には、家庭用チルド麺と業務用冷凍麺に力を入れてまいります。基本戦略としては、資料に記載の通りですが、KPIについては、3年後の目標として、売上高430億円、EBITDA48億円、冷凍麺売上比率42%を掲げております。

    取材者:冷凍麺の売上比率は、現時点ではどのくらいですか。

    回答者:計画を策定した時点では、40%弱、38%~39%程度でしたが、現在は40%を超えております。ただし、チルド麺も好調なため、比率としてはそのような状況です。

    近年の事業概要、トピックスについてご説明いたします。2020年から始まったコロナ禍の影響で、外食需要が低迷し業務用事業が落ち込みましたが、その後V字回復し、2022年以降はコロナ禍以前の水準に戻っております。生産が逼迫したため、2026年の夏稼働に向けて、前橋の既存工場敷地内に冷凍麺ラインの新設を計画しております。これは1ラインですが、冷凍麺の生産能力全体から見ると、約10%の増強となります。これが大きなトピックスです。

    家庭用については、大きな課題として、下期の収益改善と西日本エリアの拡大を掲げております。具体的には、収益性の高い「流水麺」を年間を通して販売していくこと、そして西日本エリアについては、数年前から西日本限定の「太鼓判」ブランドを展開しており、シェアはまだ小さいですが、元々東海と京阪神で5%前後だったシェアが、現在は7%~8%弱まで伸びてきております。

    こちらのPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)でご説明しますと、家庭用チルド麺は、長期的には縮小傾向にあると考えております。しかし、競合は中小の地場企業が多く、特に西日本エリアにおいては、関東が上位3社で5割以上のシェアを占めるのに対し、東海と近畿では3割しかありません。そのため、今後、後継者問題や設備投資などの面で、まだシェアを拡大できると考えております。「流水麺」については、気温上昇と残暑の長期化により、年間を通して売上が見込めることから、年間販売に向けた取り組みを行っております。調査の結果、「流水麺」の評価として、「簡便性」が最も高く、「美味しさ」が2番目でした。今後は、様々な喫食方法をご提案しながら、年間を通しての販売を目指します。

    当社の今後の成長戦略としては、収益性の高い業務用冷凍麺に加え、家庭用冷凍麺と海外への販売を強化していくことです。そのため、冷凍麺ラインを新設し、今後は冷凍麺の工場を中心に投資を行っていく予定です。

    取材者:株主還元については、どのようにお考えですか。

    回答者:連結配当性向については、30%~40%を目安に、安定配当を実施しております。当社の業績は、大きく変動するようなものではないため、できるだけ安定した配当を継続していきたいと考えております。年間配当は1株当たり40円ですが、今期については、期末配当において、上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定です。また、株主優待についても多くのご要望をいただいておりましたので、実施することにいたしました。

    取材者:西日本の家庭用チルド麺の市場において、上位3社のシェア率が東日本と比較して低い理由についてお伺いできますか。

    回答者:家庭用チルド麺は、商品の特性上、販売先が生産拠点から一定の範囲内に限られます。現在、東海や近畿では、消費期限の短いフレッシュ麺が多く販売されております。当社が注力している「太鼓判」は、賞味期限が約2週間と長い、加熱殺菌された麺です。大手メーカーは、フレッシュ麺をあまり扱っていないため、この点が大きな違いです。

    東海、特に近畿においては、チルド麺が非常に安価で15円とか20円で販売されています。1袋3玉で60円~70円程度で販売されているものがある中で、当社の「太鼓判」は100円以上しますが、それでも評価をいただいており、売上も伸びています。地場の中小企業が、量販店との関係の中で安価に提供してきたという背景がありますが、今後の安定供給や品質の面では、当社にも十分に競争力があると考えております。

    取材者:今後の海外事業の展開についてもお話しいただきましたが、現状の海外売上高の割合はどのくらいですか。

    回答者:海外売上高は公開しておりません。主な地域は香港で、売上の半分以上を占めています。その他、北米、ASEAN諸国にも輸出しておりますが、貿易によるものです。国内で製造したものを、日本国内の商社を通して現地に販売するという形をとっております。

    今後は、マーケット調査を行いながら、進出する国を特定し、現地での販売活動を強化していきたいと考えております。現在はまだ海外事業を担当する人員が少ないため、来年度以降、1名増員し、体制を整えていく予定です。

    取材者:先ほど、利益について、30億円を目標にされているというお話がありましたが、いつまでに達成したいという目標はありますか。

    回答者:利益目標については、具体的な年次は公開しておりません。ただ、この3ヶ年の中では、営業利益ベースで30億円台をしっかりと確保できるような経営基盤を確立したいと考えております。2022年までは、営業利益が20億円~25億円で推移しておりましたが、2023年から30億円台に乗せておりますので、この水準を維持したいと考えております。

    取材者:多くの企業様が人材採用に苦戦されているかと思いますが、貴社における人材採用の戦略や、教育方針などがあれば教えていただけますか。

    回答者:人材育成については、今後、研修などを充実させていくことで、より力を入れていきたいと考えております。現在は、管理職研修や、等級ごとの研修は実施しておりますが、さらに充実させていく予定です。採用については、苦戦している状況ではありますが、昨年10月1日に上場したこと、西日本に対して3年間テレビ広告を継続してきたことなどもあり、関東一辺倒だった採用から、名古屋や大阪からの応募も少しずつ増えてきております。この点は、当社の採用における優位性が出てきていると考えております。

    取材者:最後に、貴社の創業100周年が目前に迫っている中で、昨年の10月というタイミングで上場された背景、上場の目的について教えていただけますか。

    回答者:当社は、2016年に株式会社メルコホールディングスの持分法適用会社となり、2018年には100%子会社となりました。よく、「なぜメルコなのか」というご質問を受けるのですが、株式会社メルコホールディングスの創業者である牧誠氏が、当社の創業者である牧清雄氏のご子息だったというご縁がありました。シマダヤは牧家が創業し、一時は味の素様の資本が入った時期もありましたが、子会社化を経て創業家に戻った形になります。

    しかしながら、事業範囲が広すぎることなどから、シナジー効果があまり見いだせないという状況が続いておりました。そのため、今回、スピンオフという形で独立することになりました。上場の目的としては、コングロマリットディスカウントを早期に解消したいという点が大きいです。

    創業家で繋がっていたということが背景にありましたが、シナジー効果が期待できないという状況でした。当社としては、今後やるべきこととして、責任の明確化、迅速な戦略対応、そしてブランド力の向上という3つの点がありました。メルコグループの中の「シマダヤ」ではなく、独立した「シマダヤ」として、消費者からの認知度を高めていきたいという思いもあり、上場に至りました。

    取材者:上場後、機関投資家様とのミーティングの回数などは増えましたか。

    回答者:当初は、スピンオフ上場ということで、株主に大きな変化がないため、機関投資家様からはあまり興味を持っていただけないのではないかと思っておりました。しかし、おかげさまで、多くの方とIRミーティングをさせていただいております。本日で上場後18社目となりますが、可能な限り私自身が対応させていただき、少しでも当社のことを深くご理解いただけるように努めております。機関投資家様からのご意見は、私にとっても非常に勉強になりますし、会社をアピールする上で重要な機会であると考えております。

  • 代表取締役 社長執行役員 岡田賢二様

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シマダヤ(株)

東証STD 250A

決算:3月末日

決算概要

2026年3月期第1四半期の売上高は107億4,900万円(前期比3.8%増)、営業利益は10億4,500万円(同8.8%減)、経常利益は10億6,600万円(同9.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億4,200万円(同11.8%減)となり、売上高は過去最高を達成した。価格改定が寄与し、売上総利益段階では前期比103.9%となるも、前年同期に未実施のテレビCMを積極的に投下したことなどにより、営業減益となった。


セグメント別または事業別の増減要因

売上高については、家庭用は、経済性志向に対応した「太鼓判」や付加価値商品である「健美麺」などが売り上げに貢献し、前期比102.9%と約3%の伸びを記録した。業務用は、高まる外食需要及び海外の売上好調が寄与し、前期比105.6%と堅調に推移している。


主要KPIの進捗と変化

2027年3月期の目標として、売上高430億円、EBITDA55億円、冷凍麺の売上比率42%を掲げており、それぞれ順調に進捗しているが、特にEBITDAは当初の目標である48億円を前期で達成したため、上方修正した。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(同9.2%増)などの増収増益を計画している。第1四半期の減益は織り込み済みで、計画通り推移しているので、上期に確実に利益を積み重ねることで、通期の見通しは達成できると見込んでいる。

・資料

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  • 直近の決算状況

    2025年3月期第3四半期において、売上高は313億円で前年同期比1.7%増の増収、過去最高を記録したが、物流費や製造労務費の上昇により営業利益は減益となっている。ただし、営業利益は過去2番目の利益水準となっており、業績は安定的に推移している。

     

    特徴や強み

    93年間で培われた麺専業メーカーとしての強みは、低温商品に特化した商品開発力、7K(健康、簡便、高品質など)をキーワードとした豊富な商品ラインナップ、約70名体制の研究開発体制、生産子会社3社11工場による高い供給力、小売店との密接な関係と提案型の営業体制である。顧客ロイヤリティが高く、価格改定においても販売数量を減らすことなく対応できている点が強み。
     

    成長戦略

    今後の成長戦略として、収益性の高い業務用冷凍麺の拡大、家庭用冷凍麺・海外の積極展開を掲げている。国内事業の深耕と並行して、冷凍麺の生産能力増強や海外市場への進出を計画しており、特に冷凍麺事業の成長に注力する方針。中期経営計画「Change95」では、コア事業の「深化」と「利益成長」への挑戦と収益構造の変革を目指し、目標として売上高430億円、EBITDA48億円、冷凍麺売上比率42%を掲げている。
     

    株主還元策

    連結配当性向30%~40%を目安とした安定配当の実施を基本方針としており、業績の安定性を背景に継続的な配当を目指している。年間配当は1株当たり40円であるが、今期については、期末配当において上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定である。株主からの要望に応え株主優待制度も導入することを決定しており、安定的な配当と株主優待の実施により、株主への利益還元を強化する方針である。
     

    今期の取り組みやトピックス

    家庭用事業における下期の収益改善と西日本エリアの拡大、業務用事業の生産キャパシティの増強が主な取り組みである。西日本エリアでは、西日本限定「太鼓判」ブランドの展開を強化し、シェア拡大を図っている。
     

    上場の目的

    2024年10月に株式会社メルコホールディングスからスピンオフ上場し、責任の明確化、迅速な戦略対応、ブランド力の向上を目的としている。独立企業としての認知度を高め、更なる成長を目指す狙いがある。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?

    A:当社の今後の成長戦略のポイントは、収益性の高い業務用冷凍麺の拡大に加え、家庭用冷凍麺・海外の販売を強化していくことです。そのために、2026年夏稼働予定の冷凍麺ラインを新設し、今後は冷凍麺の工場を中心に投資を行っていく予定です。家庭用チルド麺事業においては、長期的には市場が縮小していくと見ていますが、西日本エリアでの競合は中小の地場企業が多く、当社にはまだシェアを拡大できる余地があると考えています。特に、「流水麺」は簡便性と美味しさで評価が高く、年間を通して売上を見込めるため、様々な喫食方法を提案しながら年間販売を目指します。海外展開については、現在は香港が中心ですが、今後はマーケット調査を行い、進出する国を特定し、現地での販売活動を強化していく計画です。これらの戦略を通じて、持続的な成長と収益性の向上を目指していきます。
     

    Q:業績の増減要因をご説明ください。

    A:当社の業績は、主に家庭用チルド麺と業務用冷凍麺の販売動向に左右されます。2025年3月期の第3四半期決算では、売上高は313億円で、前年同期比1.7%の増収となり、過去最高を記録しました。これは家庭用チルド麺が牽引し、特に西日本エリアでのシェア拡大が貢献しています。一方、営業利益は32億円で、前年同期比で約10%の減益となりました。これは、物流費や製造労務費の上昇が主な要因です。ただし、減益ではあるものの、過去最高益であった昨年に次ぐ、2番目の利益水準は確保しています。家庭用チルド麺事業は上期に売上・利益が偏重する傾向があり、業務用は上期・下期でほぼ半々の売上構成となっています。全体として、コロナ禍からの回復を経て、2024年3月期には最高売上高、最高益を達成し、新たな成長ステージに入ったと認識しています。
     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:業務用冷凍麺市場では、当社は約20%のシェアを持ち、業界トップです。競合他社はB社、C社などで、大手4社で市場全体の6割以上を占めています。この市場は販売先が広範囲に及ぶため、規模型の市場構造と言えます。一方、家庭用チルド麺市場では、当社は約10%のシェアで業界2位であり、1位の企業が20%のシェアを持っています。この市場は、大手3社で4割程度のシェアとなっており、残りの6割は中小の地場企業が占める分散型の市場構造となっています。西日本エリアでは、特に地場の中小企業との競争が激しい状況です。
     

    Q:株主還元の方針をご説明ください?

    A:当社の株主還元の方針としては、連結配当性向30%~40%を目安に、安定配当を実施することを基本としています。業績が大きく変動するようなものではないため、できるだけ安定した配当を継続していく考えです。年間配当は1株当たり40円ですが、今期については、期末配当において上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定です。また、株主優待についても、株主からの要望に応えて実施することにいたしました。

  • 取材者:会社の概要からお願いいたします。

    回答者:シマダヤは、1931年創業の麺専業メーカーです。本社は東京都渋谷区恵比寿に所在し、生産は生産子会社3社11工場にて行っており、グループ全体の従業員は約1,300名となっております。創業93年の麺専業メーカーとして、2031年には創業100周年を迎える企業です。昨年度、2024年3月期の売上高は約390億円、営業利益は33億5,000万円でした。得意先は約1,000社、年間8億食を製造販売しております。

    当社の強みについてご説明いたします。当社は、麺専業として93年間で構築された独自のバリューチェーンを有しております。具体的には、以下の4点となります。

    1. 商品開発:低温商品に特化したマーケティングにより、独自の開発を行っております。競合メーカー様がカップ麺や即席麺を主体とするのに対し、当社はチルド麺、冷凍麺を主体としている点が特徴です。

    2. 豊富な品揃え:専業メーカーとして、7K(健康、簡便、高品質、買い置き、経済性、国産、環境)をキーワードとした豊富な商品ラインナップを取り揃えております。

    3. 開発研究所:品質保証を含め、約70名の体制で研究開発に取り組んでおり、この点は大規模で非常に力を入れております。

    4. 生産品質:低温商品の供給力が高く、3社11工場で冷凍麺、チルド麺の供給能力が非常に高いです。これが一つの強みです。特にチルド麺工場においては、「流水麺」のような、加熱せずに喫食可能な麺を製造するための高度な衛生管理技術を有しております。

    流通販売につきましては、家庭用は元々ルートセールスによる直販が主体であったため、小売店との関係が非常に密接です。この強みは、売り場におけるレイアウトや販促提案に活かされております。業務用につきましては、卸店を通して販売しておりますが、営業活動として飲食店に対しメニュー提案や調理オペレーションの提案も行っており、提案型の営業が特徴となっております。これらの結果、顧客ロイヤリティが非常に高く、過去の価格改定においても、他社様のように販売数量を減らすことなく対応できております。

    次に、社会トレンドと潜在的なニーズに対応した、付加価値の高い商品提案についてご説明いたします。家庭用チルド麺では、調理が簡便な「流水麺」ブランドや、健康意識の高まりに対応した「健美麺」ブランドなどを展開しております。業務用冷凍麺では、外食・中食業界の幅広いニーズに応える商品を取り揃えております。

    ここで、「流水麺」の開発プロセスについてご紹介させていただきます。「流水麺」は1988年に発売された商品ですが、当時の当社の売上は、夏場に減少し、冬場に増加するという状況でした。そこで、広告代理店を通じて、なぜ夏場に茹で麺の売上が伸びないのかという消費者実態調査を実施いたしました。調査の結果、夏場は暑いため、お湯を沸かしたり、麺を茹でたりすることへの抵抗があるという意見が多く寄せられました。一方で、夏に冷たい麺を喫食したいというニーズがあることも判明いたしました。

    そこで、夏場における茹で麺の喫食方法を調査したところ、茹でずに袋を開けてそのまま麺つゆにつけて喫食する、あるいは水で軽くほぐして喫食するという方法が取られていることがわかり、驚きました。本来、麺は加熱して喫食することを前提に製造されているため、衛生面や食感の観点から問題があると考えられました。このような喫食方法をされている方はわずか8%でしたが、ここに潜在ニーズがあると判断し、「ゆでずにさっと水でほぐすだけ」というコンセプトで「流水麺」を開発することにいたしました。開発は困難を極めましたが、麺専業メーカーとしての技術を駆使し、最終的に製品化することができました。

    ただ、ご覧の通り、発売から20年間は売上が伸び悩みました。しかし、2009年以降、テレビ広告の実施、商品ラインナップの拡充、消費期限の延長(当初4~5日だったものを、検証を重ねながら1日ずつ延長いたしました)、など、様々な取り組みを行った結果、徐々に売上を伸ばしております。2017年から18年にかけて売上が大きく落ち込んでおりますが、これは「流水麺」ブランドのカップ「流水麺」を発売したものの、採算性が悪く終売したことによるものです。その後、主原料の国産化などにより、再び回復しております。

    当社の売上構成は、大きく分けて2つの事業で構成されております。家庭用が62%(主にチルド麺、一部冷凍麺)、業務用が38%(主に冷凍麺)となっております。

    続きまして、当社のコア事業について、市場の特徴と併せてご説明いたします。まず、左側の業務用冷凍麺ですが、市場規模は約820億円(メーカー出荷ベース)であり、当社は約20%のシェアを有し、業界トップです。競合他社はB社、C社などで、大手4社で市場全体の6割以上を占めております。冷凍麺は、販売先が生産拠点から広範囲に及ぶため、規模型の市場構造と言えます。

    一方、右側の家庭用チルド麺は、市場規模が約2,300億円(消費者売価ベース)であり、当社は約10%のシェアで業界2位となっております。1位の20%の企業にはなされている状況です。この市場は、大手3社で4割程度のシェアとなっており、残りの6割は中小の地場企業が占めております。販売先が製造拠点から一定の範囲内であるため、分散型の市場構造と言えます。

    各事業の特徴についてご説明いたします。業務用冷凍麺事業は、外食・中食業界向けに豊富な商品ラインナップを提供し、きめ細かい営業体制で事業を展開しております。中小の飲食店が多いことから、業務用専門の卸店を通して販売しておりますが、全国に展開する大手外食企業とも直接取引を行っております。販売先は、一般飲食店に加え、レジャー施設(ゴルフ場、温浴施設)、高速道路のパーキングエリア、給食(事業所給食、オフィスや工場の給食など)、スーパーのインストアデリカなど多岐にわたります。

    こちらの資料では、業務用商品の豊富な品揃えと、メニュー提案を中心とした事例をご紹介しております。

    家庭用チルド麺事業は、スーパーの麺売場を中心に展開しており、チルド麺を中心に、一部冷凍麺も販売しております。

    続きまして、2025年3月期の第3四半期決算概要についてご説明いたします。売上高は313億円であり、前年同期比1.7%の増収、過去最高を記録いたしました。事業別の販売では、家庭用チルド麺が牽引しており、特に西日本エリアでシェアを拡大いたしました。業務用は前年並みです。営業利益は32億円であり、前年同期比で約10%の減益となりました。これは、物流費や製造労務費の上昇が主な要因です。しかしながら、減益ではあるものの、過去最高益であった昨年に次ぐ、2番目の利益水準を確保しております。

    連結経営成績につきましては、純利益は23億5,700万円、1株当たり当期純利益は155円です。通期予想に対して利益額が上回っておりますが、これは当社の事業特性として、家庭用チルド麺事業の売上・利益が上期に偏重しているためです。「流水麺」や冷し中華が上期に集中するため、このような結果となっております。一方、業務用は上期・下期でほぼ半々です。

    こちらのグラフは、過去5期の業績推移を示したものです。この期間、当社は約20億円前後の営業利益を確保し続けており、コロナ禍で業務用外食需要が落ち込んだ際には、家庭用内食を取り込むことで、環境変化に関わらず安定した利益を上げることができました。2024年3月期には、最高売上高、最高益を達成し、新たな成長ステージに入ったと認識しております。

    こちらは、連結貸借対照表です。資産合計は249億7,900万円であり、前年同期比10億8,900万円増加しております。純資産合計は178億6,400万円であり、前年同期比20億2,600万円増加しており、これは主に純利益の獲得によるものです。

    続きまして、商品価格改定についてご説明いたします。2025年2月1日の納品分より、価格改定を実施済みです。これは、原材料費、資材費に加え、物流費、製造労務費等のコスト上昇が著しいことへの対応です。価格改定の影響については、まだ明確な比較はできておりませんが、導入状況やカット要因を考慮すると、大きなマイナスにはならないと見込んでおります。

    最後に、長期ビジョンと中期経営計画についてご説明いたします。当社は、2031年に創業100周年を迎えます。100周年に向けた当社のありたい姿は、「麺食を通して価値創造を実現し人を笑顔にする会社」です。経営スローガンである「おいしい笑顔をお届けします」という言葉に表れております。ありたい姿の実現に向けて、お客様、社会、ステークホルダーの皆様に貢献していく中で、重要課題として、こちらの資料に記載の項目を挙げております。

    お客様に対しては、確かな品質と豊富な品揃えという、専業メーカーとしての強みを発揮し、お客様の満足につながる7Kを軸とした商品開発を行ってまいります。社会に対しては、事業活動を通じた環境負荷の低減はもちろんのこと、人と地球の健康への貢献を目指します。特に、健康長寿社会の実現に力を入れており、食塩ゼロや糖質カットなど、健康に配慮した「健美麺」ブランドを展開しております。ステークホルダーに対しては、従業員の働きやすい環境整備と働きがいの醸成、そしてステークホルダーの皆様との信頼関係強化に取り組んでまいります。上場したばかりということもあり、IRミーティングなどを通して、当社のことをより深くご理解いただけるよう努めております。

    中期経営計画については、これらの重要課題に対応するため、「Change95」という基本戦略を策定し、現在3ヶ年計画で推進しております。

    長期ビジョンとしては、2032年3月期、すなわち創業100周年に向けたものを掲げており、この8ヶ年計画を、前半の3ヶ年の「構造改革期:Change95」と、後半の5ヶ年の「Growth100:成長期・新領域開拓期」の2つに分けております。

    それぞれの期間において、前半の3ヶ年では、2つのコア事業に対して経営基盤をしっかりと固めること、そして成長期においては、国内事業はもちろんのこと、持続的な成長に向けたポートフォリオの転換、具体的には、収益性の高い業務用事業の売上を拡大し、海外・家庭用冷凍麺を含む冷凍麺比率を上げていくことに注力してまいります。冷凍麺は、成長の余地も大きく、収益性も高いと考えております。

    現在進行中の「Change95」3ヶ年計画は、来期から2年目に入ります。基本方針は、「コア事業の『深化』と『利益成長』に挑戦し、収益構造を変革する」ことです。具体的には、家庭用チルド麺と業務用冷凍麺に力を入れてまいります。基本戦略としては、資料に記載の通りですが、KPIについては、3年後の目標として、売上高430億円、EBITDA48億円、冷凍麺売上比率42%を掲げております。

    取材者:冷凍麺の売上比率は、現時点ではどのくらいですか。

    回答者:計画を策定した時点では、40%弱、38%~39%程度でしたが、現在は40%を超えております。ただし、チルド麺も好調なため、比率としてはそのような状況です。

    近年の事業概要、トピックスについてご説明いたします。2020年から始まったコロナ禍の影響で、外食需要が低迷し業務用事業が落ち込みましたが、その後V字回復し、2022年以降はコロナ禍以前の水準に戻っております。生産が逼迫したため、2026年の夏稼働に向けて、前橋の既存工場敷地内に冷凍麺ラインの新設を計画しております。これは1ラインですが、冷凍麺の生産能力全体から見ると、約10%の増強となります。これが大きなトピックスです。

    家庭用については、大きな課題として、下期の収益改善と西日本エリアの拡大を掲げております。具体的には、収益性の高い「流水麺」を年間を通して販売していくこと、そして西日本エリアについては、数年前から西日本限定の「太鼓判」ブランドを展開しており、シェアはまだ小さいですが、元々東海と京阪神で5%前後だったシェアが、現在は7%~8%弱まで伸びてきております。

    こちらのPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)でご説明しますと、家庭用チルド麺は、長期的には縮小傾向にあると考えております。しかし、競合は中小の地場企業が多く、特に西日本エリアにおいては、関東が上位3社で5割以上のシェアを占めるのに対し、東海と近畿では3割しかありません。そのため、今後、後継者問題や設備投資などの面で、まだシェアを拡大できると考えております。「流水麺」については、気温上昇と残暑の長期化により、年間を通して売上が見込めることから、年間販売に向けた取り組みを行っております。調査の結果、「流水麺」の評価として、「簡便性」が最も高く、「美味しさ」が2番目でした。今後は、様々な喫食方法をご提案しながら、年間を通しての販売を目指します。

    当社の今後の成長戦略としては、収益性の高い業務用冷凍麺に加え、家庭用冷凍麺と海外への販売を強化していくことです。そのため、冷凍麺ラインを新設し、今後は冷凍麺の工場を中心に投資を行っていく予定です。

    取材者:株主還元については、どのようにお考えですか。

    回答者:連結配当性向については、30%~40%を目安に、安定配当を実施しております。当社の業績は、大きく変動するようなものではないため、できるだけ安定した配当を継続していきたいと考えております。年間配当は1株当たり40円ですが、今期については、期末配当において、上場記念配当10円を加え、期末30円とする予定です。また、株主優待についても多くのご要望をいただいておりましたので、実施することにいたしました。

    取材者:西日本の家庭用チルド麺の市場において、上位3社のシェア率が東日本と比較して低い理由についてお伺いできますか。

    回答者:家庭用チルド麺は、商品の特性上、販売先が生産拠点から一定の範囲内に限られます。現在、東海や近畿では、消費期限の短いフレッシュ麺が多く販売されております。当社が注力している「太鼓判」は、賞味期限が約2週間と長い、加熱殺菌された麺です。大手メーカーは、フレッシュ麺をあまり扱っていないため、この点が大きな違いです。

    東海、特に近畿においては、チルド麺が非常に安価で15円とか20円で販売されています。1袋3玉で60円~70円程度で販売されているものがある中で、当社の「太鼓判」は100円以上しますが、それでも評価をいただいており、売上も伸びています。地場の中小企業が、量販店との関係の中で安価に提供してきたという背景がありますが、今後の安定供給や品質の面では、当社にも十分に競争力があると考えております。

    取材者:今後の海外事業の展開についてもお話しいただきましたが、現状の海外売上高の割合はどのくらいですか。

    回答者:海外売上高は公開しておりません。主な地域は香港で、売上の半分以上を占めています。その他、北米、ASEAN諸国にも輸出しておりますが、貿易によるものです。国内で製造したものを、日本国内の商社を通して現地に販売するという形をとっております。

    今後は、マーケット調査を行いながら、進出する国を特定し、現地での販売活動を強化していきたいと考えております。現在はまだ海外事業を担当する人員が少ないため、来年度以降、1名増員し、体制を整えていく予定です。

    取材者:先ほど、利益について、30億円を目標にされているというお話がありましたが、いつまでに達成したいという目標はありますか。

    回答者:利益目標については、具体的な年次は公開しておりません。ただ、この3ヶ年の中では、営業利益ベースで30億円台をしっかりと確保できるような経営基盤を確立したいと考えております。2022年までは、営業利益が20億円~25億円で推移しておりましたが、2023年から30億円台に乗せておりますので、この水準を維持したいと考えております。

    取材者:多くの企業様が人材採用に苦戦されているかと思いますが、貴社における人材採用の戦略や、教育方針などがあれば教えていただけますか。

    回答者:人材育成については、今後、研修などを充実させていくことで、より力を入れていきたいと考えております。現在は、管理職研修や、等級ごとの研修は実施しておりますが、さらに充実させていく予定です。採用については、苦戦している状況ではありますが、昨年10月1日に上場したこと、西日本に対して3年間テレビ広告を継続してきたことなどもあり、関東一辺倒だった採用から、名古屋や大阪からの応募も少しずつ増えてきております。この点は、当社の採用における優位性が出てきていると考えております。

    取材者:最後に、貴社の創業100周年が目前に迫っている中で、昨年の10月というタイミングで上場された背景、上場の目的について教えていただけますか。

    回答者:当社は、2016年に株式会社メルコホールディングスの持分法適用会社となり、2018年には100%子会社となりました。よく、「なぜメルコなのか」というご質問を受けるのですが、株式会社メルコホールディングスの創業者である牧誠氏が、当社の創業者である牧清雄氏のご子息だったというご縁がありました。シマダヤは牧家が創業し、一時は味の素様の資本が入った時期もありましたが、子会社化を経て創業家に戻った形になります。

    しかしながら、事業範囲が広すぎることなどから、シナジー効果があまり見いだせないという状況が続いておりました。そのため、今回、スピンオフという形で独立することになりました。上場の目的としては、コングロマリットディスカウントを早期に解消したいという点が大きいです。

    創業家で繋がっていたということが背景にありましたが、シナジー効果が期待できないという状況でした。当社としては、今後やるべきこととして、責任の明確化、迅速な戦略対応、そしてブランド力の向上という3つの点がありました。メルコグループの中の「シマダヤ」ではなく、独立した「シマダヤ」として、消費者からの認知度を高めていきたいという思いもあり、上場に至りました。

    取材者:上場後、機関投資家様とのミーティングの回数などは増えましたか。

    回答者:当初は、スピンオフ上場ということで、株主に大きな変化がないため、機関投資家様からはあまり興味を持っていただけないのではないかと思っておりました。しかし、おかげさまで、多くの方とIRミーティングをさせていただいております。本日で上場後18社目となりますが、可能な限り私自身が対応させていただき、少しでも当社のことを深くご理解いただけるように努めております。機関投資家様からのご意見は、私にとっても非常に勉強になりますし、会社をアピールする上で重要な機会であると考えております。

  • 代表取締役 社長執行役員 岡田賢二様

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年3月期の売上高は396億2,500万円(前期比1.7%増)、営業利益は33億7,200万円(同0.6%増)、経常利益は34億4,900万円(同0.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億5,400万円(同1.2%増)となり、売上高と営業利益は過去最高を達成した。当初は物流費や人件費の高騰により減益を見込んでいたが、家庭用チルド麺の販売好調、2025年2月実施の商品価格改定、および広告宣伝費の見送りが利益向上に貢献した。営業利益率はほぼ前年並みであった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高は業務用が前年並みであった一方、家庭用が前期比102.6%と約3%の伸びを記録した。特に下期は「流水麺」の販売期間延長と「太鼓判」ブランドの好調が、生産効率向上に寄与した。

     

    主要KPIの進捗と変化

    2027年3月期を最終年度とする3カ年計画の主要KPIは3つある。売上高430億円、EBITDAは当初48億円目標から55億円に上方修正された。冷凍麺の売上高比率は42%であり、いずれも現時点では順調に推移している。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    家庭用は「流水麺」や冷し中華が強みで、上期と下期の売上比率は6対4程度となる。7月、8月が最盛期で生産ピークを迎えるため、下期の売上伸長が工場稼働率向上と収益性改善に繋がる構造である。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(前期比9.2%増)等の増収増益を計画している。これは2月の価格改定と、リニューアル再発売した業務用「流水α麺」の貢献によるものである。今期は業務用が牽引し、その安定した収益性が利益率増加に繋がると見込んでいる。

     

    トピックス

    メルコグループの親会社離脱と牧寛之氏の取締役退任後におけるメルコグループの関与に関する質問が多い状況であるが、メルコグループは大株主として引き続き長期保有し、支援する意向で認識が一致している。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は家庭用チルドと業務用冷凍の二つのコア事業で売上の9割以上を占めております。家庭用においては、「流水麺」と冷し中華を中心とした涼味麺が強みであり、上期と下期の売上比率が6対4程度となるため、7月、8月の最盛期以外の、特に下期の売上を伸ばすことが、工場の稼働率向上と連結での収益性改善に貢献するという戦略です。「流水麺」に関しては、地球温暖化による夏の暑さや残暑の長期化をビジネスチャンスと捉え、最盛期以外の販売拡大に取り組んでおります。また、株式上場が「流水麺」の認知度向上と販売拡大に想定以上の効果をもたらしました。業務用については、全国展開を広げていく方針であり、福岡営業所の新設もその一環となります。2026年3月期においては、業務用が牽引役となり、その収益の安定性が全体の利益率向上に寄与する見込みです。業務用は来期以降も継続的に拡大を目指していく方向であり、2026年秋には前橋工場に冷凍麺のラインを新設し、生産キャパシティを増強いたします。効果としては、現在の冷凍麺生産キャパシティが10%程度アップする見込みです。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2026年3月期の業績予想は、売上高417億9,400万円(前期比5.5%増)、営業利益36億8,400万円(同9.2%増)、経常利益37億円(同7.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億7,000万円(同0.6%増)を計画しております。この増収増益計画の主な要因は二点ございます。一点目は、2025年2月に実施した価格改定です。前期は物流費や人件費の高騰がありましたが、価格改定を実施しない中で経費削減等の努力により増益を達成しました。今期の価格改定は、前期のマイナス要因をカバーし、収益に大きく寄与すると見込んでおります。二点目は、業務用の伸長です。前期は生産キャパシティ逼迫により終売していた「α麺」を「流水α麺」としてリニューアルし、2025年3月に再発売いたしました。これにより、以前の水準までは戻らないものの、約4割程度の売上回復を見込んでおり、新規顧客獲得にも繋がっております。今期は家庭用よりも業務用が業績を牽引し、業務用の安定した収益性が利益率の増加に貢献すると考えております。また、2026年3月期の増収増益計画には、テレビ広告を主とする広告宣伝費も含まれております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aは、当社の持続的な成長において非常に重要な選択肢であると認識しております。当社は過去にM&A経験があり、機能している工場がある一方で、敷地の狭さなどにより期待通りの効果が出ていないケースもございます。特にチルド工場は中小規模が多く、当社が求める規模感でのM&Aは難しく、現状では適切な案件は見当たらないと見通しております。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2027年3月期を最終年度とする3カ年計画において、主要KPIを3つ設定しております。1点目は売上高430億円、2点目はEBITDAで当初48億円を目標としておりましたが、営業利益が大きく伸長したため、55億円に上方修正いたしました。3点目は冷凍麺の売上高比率で42%です。いずれのKPIも現時点では順調に推移していると認識しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:上場したばかりということもあり、株主還元に関する基本方針に大きな変更はございません。配当性向30%から40%の間を目安とし、最も重視しているのは安定配当です。2025年3月期は年間52円(上場記念配当込み)としており、2026年3月期も同水準を目指してまいりたいと考えております。

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  • 代表取締役 社長執行役員 岡田賢二様

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