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黒澤真(CP&X Investment Research シニアアナリスト・CMA)

2025年10月21日

中本パックス(7811)

26/2期中間決算ベース


 26/2期中間決算が10月10日に発表された。売上高24,986百万円、前年同期比2.5%増、営業利益1,611百万円、同3.2%増と増収増益となり、会社計画に対して売上高が2.3%の未達となるも、営業利益は9.2%の上振れとなった。しかし、決算発表後の株価は軟調な展開となった。その要因としては、(1) 2Qの3ヵ月では前年同期比0.8%減収となり、営業利益は861百万円、同14.8%減益となった、(2)中間期の持分法損益は23百万円の損失と前期中間期比で14百万円弱の悪化したことが影響しているとみられる。

 この株価の反応は、(1) の要因に関しては余りにも短期志向の要因によるものである。1Q決算のコメントで指摘したように、「トランプ関税の影響はスマホ、半導体向けを中心とするIT関連、自動車内装材の工業材料に間接的な影響を受けるが、1Qは数量、価格ともに影響なく好調であった」ことによる前倒しの需要の要因あり、その分の約2億円に上ることの反動がある。加えて、前期2Qの営業利益の水準も10億円台の高水準であったこともありその反動がある。また、また海外子会社の自動車内装材、スマホ向け部材で2Qの初めに生産トラブルがあったことも影響している模様だ。この中間期の業績は1Qと2Qを均してみる必要があり、生産トラブルも一過性の問題であり先行きには影響がないことも考慮する必要があると感じる。

 (2) の要因はコンビニエンスストア(CVS)向けの容器蓋の代わりになるトップシールを手がける、リコーとの合弁企業の収益貢献の遅れによるものである。7-11向けが買収問題で採用の遅れが影響している。その一方で、他のCVSは順調であり、新たに冷凍弁当向けでの採用もあり、今26/2期には収支トントンを目指しており、下半期の改善が期待できる状況にある。

 今26/2期は中計の最終年度になるが、以上の点を踏まえると売上高はM&A効果もあり長期目標の500億円をクリアーし、経常利益の目標31億円の達成確度も高いと言えよう。来期以降の新中計では主力のフードパッケージ向け、IT・工業材料を主体に着実に収益を拡大できよう。次世代蓄電池向けのカーボンコート電極の開発・量産化など新製品やこれまでの様にM&A戦略による持続的な利益成長への期待が高まる。

 株価は戻り歩調にあるが、8月の直近高値から15%程度低い水準にあり、予想PERが1桁台、PBR1倍割れとアンダーバリューの水準にある。

2025年8月13日

メタルアート(5644)

26/3期1Q決算を発表


 直近の業績は23/3期の営業利益3,804百万円をピークに減速基調にある。今26/3期の営業利益(2,250百万円の計画)は直近ピーク比60%のレベルにとどまる見通しであり、需要構造上の問題解決が課題となると推察される。同社の鍛造技術をベースにし燃焼系エンジンのクランクシャフト、ミッションのギヤもマニュアル、CVT、オートマチックと対応してきている。

 自動車の需要構造がHEV、BEVにシフトする中で、同社も鉄心コアのみで、磁石を使用しない同期リラクタレスモーター、長軸・軽量化に対応したモーターコアなどを開発、この需要構造の変化に対応をしている。その過渡期にあり、新規の需要への置き換えにはどの程度の時間を要するのかの懸念が残る。EVでは中国メーカーの台頭が著しく、EV向け部品でトヨタがインドネシアで中国EV向け部品メーカーと合弁事業を立ち上げる。このようなサプライチェーンの変化に組み込まれ、再生の道が披けるのかも見極める必要がある。

 同社はダイハツ工業の持ち分適応会社であり、トヨタ系系列会社との立ち位置の先行き、上場企業としての株主対策の強化(PBR0.4倍台、今期配当性向は23.1%の計画)などの課題も残る。

2025年7月25日

中本パックス(7811)

26/2期1Q決算を発表


26/2期1Q決算は営業36.4%増益と好調なスタートを切った。前年の反動増もあるが、印刷インキ、電気・ガス代などの原・燃料高、物流コストアップを生産効率化で吸収し、基幹システムの刷新によるサプライチェーンマネジメントを見直したことによる全体最適化の効果が出始めている。主力のフードパッケージの食品関連はMICS化学の子会社化した効果も出ている。トランプ関税の影響はスマホ、半導体向けを中心とするIT関連、自動車内装材の工業材料に間接的な影響を受けるが、1Qは数量、価格ともに影響なく好調であった。

同社の米国向け売上高は5億円、全体の1%程度にとどまる。自動車内装材は中国からベトナムに生産移管したうえでの日本経由の輸出であり、直接輸出分によるトランプ関税の影響はほぼ無く、相互関税が15%で合意したことで関税リスクの影響はマクロ要因を除き考慮する必要は無くなった。今26/2期は中計の最終年度になるが、売上高はM&A効果もあり長期目標の500億円をクリアーするが、経常利益の目標は31億円を据え置いている。経常利益の目標達成の確度も高まっている。来期以降では次世代蓄電池向けのカーボンコート電極の開発・量産化など新製品やこれまでの様なM&A戦略による持続的な利益成長への期待が高まる。株価は予想PERが1桁台、PBR1倍割れにあり、依然としてアンダーバリューにあると言えよう。

2025年7月23日

室町ケミカル(4885)

25/2期決算&新中計を基に


25/5期決算は完了、中計目標の売上、営業益に未達となった。今期から中期経営計画を更新し、採算改善の見込みのない健康食品事業からの撤退し、医薬品事業と化学品事業に資源、人材を集中することを決定。長期ビジョンで掲げてきた2032年の目標を1年前倒しで達成を目指す。この取捨選択による戦略への英断は長期的な収益基盤の強化、収益性の更なる向上への期待の高まりの点などからは評価できる。医薬品では新製品、化学品ではイオン交換樹脂でのPFAS関連需要の取り込みと今後の収益貢献が見込めるカタリストがあることは理解できるが、先行投資負担はあるにせよ今来期の収益が低迷する見通しである点は残念だ。

株価は前期実績ベースでPBRが1.2倍弱と割安感は無く、今25/5期会社予想ベースでPERでは大幅下値期見通しから29倍前後と高水準に。28/5期には収益の回復を見込み、3年後の収益ベースでの株価はPBR1.5 倍以上、PER15倍超と会社としての期待株価に言及するが、収益低する2年間への株価対策としては中間配当の実施にとどまり、株価対策としては検討の余地がある。キャッシュフローの悪化は限定的になるとみられるだけに、今、来期の収益低迷下でも将来収益から導き出せる収益をベースにした増配などの株主還元施策の再考、追加を期待したい。

アナリストの視点
企業分析の専門家であるアナリストの視点からコメントを掲載。

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