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日本エコシステム(株)

東証STD、名証メイン 9249

決算:9月末日

20250618

決算概要

2025年9月期第2四半期の売上高は56億3,400万円で前年同期比33.0%の増加、営業利益は4億2,300万円で同15.0%の増加、経常利益は4億3,400万円で同16.4%の増加、親会社株主に帰属する中間純利益は5億2,300万円で同153.2%の増加となり、主要業績は好調に推移しており、上方修正も出された。営業利益率は7~8%台で推移しており、M&Aに伴う人員増強や付随費用、および株主還元策としてのQUOカード発行が営業利益率を押し下げる要因となっているが、利益で吸収できる範囲内である。


セグメント別または事業別の増減要因

ファシリティ事業においては、新規M&Aをしたベニクス社と昨年M&Aをしたエコベン社の規模が売上高および営業利益の増加に大きく貢献した。環境事業では、排水浄化処理設備及び水循環に関わる大型工事の進捗、およびアクアリウム事業における受注が増加し、売上が計上されたことが大きい。交通インフラ事業は堅調に伸び、事業エリアの拡大(浜松拠点開設)も売上・利益に貢献した。最終的な当期利益の増加には、M&Aによる負ののれんの計上が特別利益として大きく影響した。


主要KPIの進捗と変化

主要KPIは人員数であり、人材の技術力と資格取得レベルの向上が重視されている。特に電気工事、管工事、建設業で要求される国家資格の取得強化を推進しており、補助制度や試験・学習費用の補助を行っている。2026年9月期には累計1,135件の資格取得を目標としている。採用は積極的に行っており、外国人採用も視野に入れつつ、採用人数は増加傾向にある。


季節性・一過性要因の有無と影響

季節的な要因としては、基本的に3月と9月に売上高が計上される傾向があり、四半期別では第2四半期と第4四半期の売上・利益が大きくなる傾向がある。しかし、年間を通せば平準化されるため、年間の業績に大きな影響はない。一過性のものとしては、M&Aによる負ののれんの計上が特別利益として発生しているが、営業利益や経常利益が特殊要因で急激な増減は想定していない。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しは、売上高117億2,300万円(前年比26.0%増)、営業利益8億1,200万円(同6.9%増)、経常利益8億5,700万円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億円(同12.8%増)である。現状、この予想で着地できると考えており、売上高はある程度達成可能である。4月以降に2件M&Aしたグループ会社の貢献度についても今後注視していく方針である。


トピックス

本社ビルが完成し移転したことをニュースリリースで発表しており、新本社ビルは収益物件として認識されている。ビルの自社使用フロア以外は賃貸として貸し出されており、既に全て入居済みで稼働している。従業員が働きやすい環境を意識したオフィス作りがなされており、駅に近く採用活動にも寄与すると見込んでいる。新本社ビルはLEED認証を取得しており、環境配慮と高い耐震性を特徴としている。中期経営計画については、3カ年計画よりも5年後、あるいは10年後といった長期的なあるべき姿や時価総額500億円を目指す方向性を、一定の数字で具体性を持たせて示すことを検討している。

・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデル・事業内容

    日本エコシステムは、社会インフラの老朽化やエネルギー問題といった社会課題を解決するため、ファシリティ、交通インフラ、環境の3つの事業を展開している。 ファシリティ事業では、空調衛生設備工事や給排水衛生工事を請け負い、交通インフラ事業では、高速道路の保守・点検、維持管理などを実施している。 環境事業では、太陽光発電システムの販売・設置や排水浄化処理事業などを展開している。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートした。 その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入した。 そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出し、現在に至る。

     

    直近の決算状況

    前期は公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成した。 公共サービス事業では学校関係などの新規顧客開拓、環境事業では排水処理設備の大型案件受注、交通インフラ事業ではM&Aによるグループ会社増加などが要因である。

     

    特徴・強み

    エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることが強みである。 これにより、各領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させている。 また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固で、必要な技術や資格、技能講習なども有している。

     

    成長戦略

    M&Aを積極的に活用し、事業の拡大と成長を目指している。 中期経営計画において、M&Aの戦略投資として30億から50億円を投資する計画である。 既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、M&Aを検討している。

     

    株主還元策

    日本エコシステムは、株主還元策として安定性と継続性のある配当を基本としており、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明している。 2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円だった。 2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定である。 また、2024年1月に開始した株主優待制度も継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定である。 株主優待制度は、現在の業績と時価総額を考慮し、機関投資家よりも個人株主を重視した制度となっている。

  • Q: 日本エコシステムのビジネスモデルについて、特徴や強みを教えてください。

    A: 日本エコシステムは、社会インフラの老朽化やエネルギー問題といった社会課題を解決するため、ファシリティ、交通インフラ、環境の3つの事業を展開しています。 強みは、エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることです。 公共サービスや高速道路などの分野で既存顧客との取引を重視した事業を行っています。 また、創業以来、環境事業にも力を入れており、排水浄化処理や太陽光発電などの事業を展開しています。 さらに、M&Aを積極的に活用することで、事業の拡大と成長を目指しています。

     

    Q: 交通インフラ事業は、既存顧客との取引が多いのでしょうか?

    A: 新規顧客の開拓よりも、既存顧客との取引を拡大していくことを重視しています。 具体的には、既存顧客に対して、より多くの業務を受注したり、サービス提供エリアを拡大したりしていくことを目指しています。

     

    Q: 業務を増やすとは、具体的にどのようなことでしょうか?

    A: 高速道路の業務は、電気通信から土木工事まで多岐にわたります。 一般道の土木工事と高速道路の土木工事は、少し特殊な部分があり、同じようにできるわけではありません。 高速道路業界は特殊な業界と言われています。 高速道路の特殊な業務ができるのは、社会インフラに関して幅広い事業を展開している当社だからこそです。

     

    Q: エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることは、貴社の強みだと思いますが、両方を請け負える会社は少ないのではないでしょうか?

    A:エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることで、それぞれの領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させることができます。 また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固です。 例えば、事故や大雪などのイレギュラー発生時でも、迅速に人員を確保することができます。 さらに、当社は特殊な領域で必要な技術や資格、技能講習などを有しており、これが他社との差別化につながっています。

     

    Q: 公共サービス事業についてお伺いします。新たにファシリティ事業部になってからは、ICTソリューション事業が追加されるようですが、これはどのような事業でしょうか?

    A: ICTソリューション事業は、元々その他事業に含まれていたものが、ファシリティ事業部に移管されたものです。 具体的には、お客様から依頼された情報システムの受託開発および保守です。 そしてホームページに掲載されているような、お客様がお持ちのデータを用いたコンサルティングからビジネス展開、運用に至るまでの各工程を支援するサービスです。

     

    Q: ICTソリューション事業についてご説明ください。

    A: 当社は1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートしました。 その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入しました。 そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出しました。 2011年11月には、オスカー電子より狭義の事業を譲り受け、トータリゼータシステムの周辺システム開発も行うようになりました。 このように、比較的早い段階からシステム開発のノウハウを蓄積してきたという経緯があります。

     

    Q: 前期の決算状況について公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成された具体的な取り組みについて教えてください。

    A: 公共サービス事業では、ファシリティ事業において学校関係などの新規顧客を開拓できました。 これは、グループ会社が増えたことで、顧客紹介や技術提供の機会が増え、新たな仕事を受注できたことが要因です。 また、M&Aによりグループに加わった企業の業績も寄与しています。 環境事業では、排水処理設備、特にプラントの設計・設置・施工の大型案件を受注できたことが売上増加の要因です。 交通インフラ事業は、M&Aにより興電社およびテッククリエイトという会社がグループに加わったことで売上増加しました。 また、メンテナンス事業も堅調に推移し、増収に貢献しました。

     

    Q: 株主優待を始められましたが、株主還元に関する考え方について教えてください。

    A: 当社は、安定性と継続性のある配当を基本としています。 株主還元は重要ですが、配当に加えて株主優待制度も導入しました。 現在、当社の業績と時価総額はまだ小さい規模ですので、機関投資家よりも個人株主を重視した株主優待制度としています。 安定性と継続性という点では、以前の決算発表においてで、代表取締役の石井松島が、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明しています。 2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円でした。 2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定です。 また、2024年1月に開始した株主優待制度は継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定です。

     

    Q: M&Aに関する方針や選定基準について教えてください。

    A: 当社は、中期経営計画の中で、各事業のポジショニングと方向性の明確化、そしてM&Aの積極的な検討を掲げています。 各事業のポジショニングでは、注力分野、深化分野、長期成長分野の3つに分類しています。 注力分野は積極的に投資を行い、深化分野は効率性を重視し収益性を高めます。 長期成長分野は長期的な視点で成長を支援していきます。 特に注力分野では、M&Aも活用し積極的に成長を目指しています。 そのために、中期経営計画の中で、M&Aの戦略投資として30億から50億円を自己資金と借り入れで投資する計画です。 2024年9月期末までのM&Aの実績は8件です。 2025年9月期には、2024年10月にベニクスがグループに加わり、実績は9件となります。 2024年9月期における投資額は13億円で、計画の30億から50億円に対しては、26%から43%の実績です。 残りの17億から37億円についても、引き続き積極的に投資を進めていきます。 注力分野以外でも、ご縁があれば幅広くM&Aを検討していきます。 既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、一つずつ検証しながら進めています。 2025年9月期のM&Aでは、ベニクスをグループに迎えましたが、この案件は仲介会社を通さず、社内のM&A担当者が対応しました。 このように、仲介会社を利用する場合と自社で対応する場合の両方を活用し、スピーディーかつ効率的なM&Aを進めていきます。

  • 取材者: まず初めに、エコシステムはセグメントの名称が変わると伺っていますが、そのセグメントも含めまして、ビジネスモデルについて他社と比較したときの特徴や強みなどを教えていただけますでしょうか?

    回答者: セグメント変更に伴う新たな公表は2025年9月期第1四半期決算からを予定しており、現時点ではセグメント変更の予定をお伝えするにとどまります。

    本日のご説明は、既存の事業をベースに行います。セグメント名称と中身が多少変わりますが、元々のセグメントとほぼ同様の内容となりますので、ご了承ください。

    取材者: わかりました。

    回答者: 当社グループは多岐にわたる事業を展開しており、少し複雑でわかりづらい点もあるかと思いますのでご説明させていただいております。

    当社は、社会インフラに関わる領域で、既存技術を結集し、社会に貢献できる事業を展開しています。

    300年企業を目指し、世の中の課題を把握し、当社の技術・知識・知見・人材をフルに活用することで、社会に貢献できる価値提供を追求しています。

    例えば、社会インフラの老朽化問題では、高速道路や一般道の橋や構造物の劣化が目立ってきています。これらの維持管理や補修、エネルギー領域、水・空気の浄化といった分野で社会課題が存在すると認識しています。

    これらの課題に対し、当社は公共サービス(新名称:ファシリティ)、交通インフラ、環境の3つの事業を展開しています。

    ファシリティ事業では、空調衛生設備工事や給排水衛生工事を請け負っています。対象は、公共性の高い商業ビルや病院、学校から、一般店舗まで多岐にわたります。

    もう一つは、公営競技に関わる保守・運営事業です。これは、グループ会社の日本ベンダーネットが担っています。

    日本ベンダーネットは、公営競技のトータルデータシステムを開発できる日本で3社しかない会社のうちの1社です。50年以上前から、システム開発、機器の製造・設置・保守を行ってきました。

    同社は、システムの設計・販売・設置から、競技施設の保守・運営管理まで、包括的なサービスを提供しています。

    元々は、公営競技の業績の影響が大きかったため、公共サービスという名称でしたが、2025年9月期からはファシリティ事業の業績が大きくなってきたことを踏まえ、ファシリティという名前に変更しました。

    取材者: ファシリティ事業は理解できました。公営競技とは、競馬や競輪、ボートレースのことでしょうか?

    回答者: その通りです。当社グループは、競輪に強みを持っています。ただし、シェアはそれほど大きくありません。

    次に、交通インフラ事業についてご説明します。これは主に高速道路に関わる事業で、大きく2つに分かれています。

    1つ目は、高速道路上のトンネルやETC設備、緊急電話などの電気通信設備、構造物などを保守点検し、必要があれば補修も行うというものです。

    2つ目は、高速道路の維持管理です。これは、道路の維持に必要な資材の購入、事故発生時の復旧対応、大雪時の除雪作業など、多岐にわたる業務を含みます。

    このように、交通インフラ事業では、上流から下流まで一貫したサービスを提供しています。

    地方公共団体と高速道路会社と書かれていますが、具体的には、NEXCO中日本を中心とした業務委託です。地方公共団体とは、高速道路を管理する団体です。

    また、7~8年前に愛知県で実施された、一般の水銀灯からLED灯への切り替え工事も当社が請け負いました。その後10年間の保証も行っており、このように、地方公共団体の入札案件や高速道路会社からの業務委託など、比較的堅実な事業を行っています。

    取材者: 交通インフラ事業は、既存顧客との取引が多いのでしょうか?

    回答者: はい、新規顧客の開拓よりも、既存顧客との取引を拡大していくことを重視しています。具体的には、既存顧客に対して、より多くの業務を受注したり、サービス提供エリアを拡大したりしていくことを目指しています。

    取材者: 業務を増やすとは、具体的にどのようなことでしょうか?

    回答者: 高速道路の業務は、電気通信から土木工事まで多岐にわたります。一般道の土木工事と高速道路の土木工事は、少し特殊な部分があり、同じようにできるわけではありません。高速道路業界は特殊な業界と言われています。

    高速道路の特殊な業務ができるのは、社会インフラに関して幅広い事業を展開している当社だからこそです。

    取材者: 御社の強みは、エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることだと思います。御社のような規模で、両方を請け負える会社は少ないのではないでしょうか?

    回答者: その通りです。エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることで、それぞれの領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させることができます。

    また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固です。例えば、事故や大雪などのイレギュラー発生時でも、迅速に人員を確保することができます。

    さらに、当社は特殊な領域で必要な技術や資格、技能講習などを有しており、これが他社との差別化につながっています。

    取材者: よくわかりました。ありがとうございます。

    回答者: 最後に、環境事業についてご説明します。

    当社は創業当時から環境事業に取り組んでおり、エコシステムという社名にもそれが表れています。創業者は、国境や業種を超えて環境問題が重要になるだろうと考え、省エネに貢献する事業を始めました。

    当初は照明器具の安定器交換から始めましたが、その後、太陽光発電の設計・設置・施工事業にも進出しました。現在も自家消費型や屋根上設置型の太陽光発電システムの販売・設置を行っています。

    また、M&Aにより排水浄化処理事業にも進出しました。工場排水や汚染土壌の浄化を行う薬剤の研究開発・製造・販売、浄化プラントの設計・施工・保守を行っています。

    さらに、これらの技術を応用し、水族館や大型水槽の水を浄化するろ過器の製造・設置も行っています。

    取材者: 浄化システムは製造されているのでしょうか?それとも、組み立てているのでしょうか?

    回答者: 状況に合わせて必要なものを準備し、システムとして組み立てています。

    取材者: 公共サービス事業について伺います。新たにファシリティ事業部になってからは、ICTソリューション事業が追加されるようですが、これはどのような事業でしょうか?

    回答者: ICTソリューション事業は、元々その他事業に含まれていたものが、ファシリティ事業部に移管されたものです。

    具体的には、お客様から依頼された情報システムの受託開発および保守、そしてホームページに掲載されているような、お客様がお持ちのデータを用いたコンサルティングからビジネス展開、運用に至るまでの各工程を支援するサービスです。

    取材者: なるほど。

    回答者: 当社は、機械学習におけるアルゴリズムのひとつであるベイジアンネットワークによるAIサービス開発も可能で、これを活用したAIコンサルティングも行っています。

    ただし、メインは業務ソリューションです。各種業種のお客様に対し、生産管理、原価管理、通販システムなど、お客様のご要望に応じたシステムを開発し、保守サービスを提供しています。

    取材者: わかりました。一見すると、他の事業と関連性が薄いように感じるのですが、ICTソリューション事業を行う理由は何でしょうか?

    回答者: 当社は1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートしました。その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入しました。

    そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出しました。

    2011年11月には、オスカー電子より狭義の事業を譲り受け、トータリゼータシステムの周辺システム開発も行うようになりました。このように、比較的早い段階からシステム開発のノウハウを蓄積してきたという経緯があります。

    取材者: ありがとうございます。前期の決算状況について伺います。公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成されたようですが、具体的な取り組みについて教えてください。

    回答者: 公共サービス事業では、ファシリティ事業において学校関係などの新規顧客を開拓できました。これは、グループ会社が増えたことで、顧客紹介や技術提供の機会が増え、新たな仕事を受注できたことが要因です。

    また、M&Aによりグループに加わった企業の業績も寄与しています。

    環境事業では、排水処理設備、特にプラントの設計・設置・施工の大型案件を受注できたことが売上増加の要因です。

    交通インフラ事業は、M&Aにより興電社およびテッククリエイトという会社がグループに加わったことで売上増加しました。また、メンテナンス事業も堅調に推移し、増収に貢献しました。

    取材者:今期2025年9月期は、前年比26%の売上増加を見込んでいますが、足元の状況はいかがでしょうか?

    回答者: 2025年9月期はまだ第1四半期が終了しておらず、業績発表は来年になる予定です。

    取材者: わかりました。株主優待を始められましたが、株主還元に関する考え方について教えてください。

    回答者: 当社は、安定性と継続性のある配当を基本としています。

    株主還元は重要ですが、配当に加えて株主優待制度も導入しました。現在、当社の業績と時価総額はまだ小さい規模ですので、機関投資家よりも個人株主を重視した株主優待制度としています。

    安定性と継続性という点では、以前の決算発表においてで、代表取締役の石井松島が、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明しています。

    2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円でした。2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定です。

    また、2024年1月に開始した株主優待制度は継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定です。

    取材者: ありがとうございます。最後に、M&Aに関する方針や選定基準について教えてください。

    回答者: 当社は、中期経営計画の中で、各事業のポジショニングと方向性の明確化、そしてM&Aの積極的な検討を掲げています。

    各事業のポジショニングでは、注力分野、深化分野、長期成長分野の3つに分類しています。

    注力分野は積極的に投資を行い、深化分野は効率性を重視し収益性を高めます。長期成長分野は長期的な視点で成長を支援していきます。

    特に注力分野では、M&Aも活用し積極的に成長を目指しています。

    そのために、中期経営計画の中で、M&Aの戦略投資として30億から50億円を自己資金と借り入れで投資する計画です。

    2024年9月期末までのM&Aの実績は8件です。2025年9月期には、2024年10月にベニクスがグループに加わり、実績は9件となります。

    2024年9月期における投資額は13億円で、計画の30億から50億円に対しては、26%から43%の実績です。残りの17億から37億円についても、引き続き積極的に投資を進めていきます。

    注力分野以外でも、ご縁があれば幅広くM&Aを検討していきます。

    既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、一つずつ検証しながら進めています。

    2025年9月期のM&Aでは、ベニクスをグループに迎えましたが、この案件は仲介会社を通さず、社内のM&A担当者が対応しました。

    このように、仲介会社を利用する場合と自社で対応する場合の両方を活用し、スピーディーかつ効率的なM&Aを進めていきます。

  • 取締役 管理本部担当 稲生篤彦様

日本エコシステム(株)

東証STD、名証メイン 9249

決算:9月末日

決算概要

2025年9月期第2四半期の売上高は56億3,400万円で前年同期比33.0%の増加、営業利益は4億2,300万円で同15.0%の増加、経常利益は4億3,400万円で同16.4%の増加、親会社株主に帰属する中間純利益は5億2,300万円で同153.2%の増加となり、主要業績は好調に推移しており、上方修正も出された。営業利益率は7~8%台で推移しており、M&Aに伴う人員増強や付随費用、および株主還元策としてのQUOカード発行が営業利益率を押し下げる要因となっているが、利益で吸収できる範囲内である。


セグメント別または事業別の増減要因

ファシリティ事業においては、新規M&Aをしたベニクス社と昨年M&Aをしたエコベン社の規模が売上高および営業利益の増加に大きく貢献した。環境事業では、排水浄化処理設備及び水循環に関わる大型工事の進捗、およびアクアリウム事業における受注が増加し、売上が計上されたことが大きい。交通インフラ事業は堅調に伸び、事業エリアの拡大(浜松拠点開設)も売上・利益に貢献した。最終的な当期利益の増加には、M&Aによる負ののれんの計上が特別利益として大きく影響した。


主要KPIの進捗と変化

主要KPIは人員数であり、人材の技術力と資格取得レベルの向上が重視されている。特に電気工事、管工事、建設業で要求される国家資格の取得強化を推進しており、補助制度や試験・学習費用の補助を行っている。2026年9月期には累計1,135件の資格取得を目標としている。採用は積極的に行っており、外国人採用も視野に入れつつ、採用人数は増加傾向にある。


季節性・一過性要因の有無と影響

季節的な要因としては、基本的に3月と9月に売上高が計上される傾向があり、四半期別では第2四半期と第4四半期の売上・利益が大きくなる傾向がある。しかし、年間を通せば平準化されるため、年間の業績に大きな影響はない。一過性のものとしては、M&Aによる負ののれんの計上が特別利益として発生しているが、営業利益や経常利益が特殊要因で急激な増減は想定していない。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しは、売上高117億2,300万円(前年比26.0%増)、営業利益8億1,200万円(同6.9%増)、経常利益8億5,700万円(同6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7億円(同12.8%増)である。現状、この予想で着地できると考えており、売上高はある程度達成可能である。4月以降に2件M&Aしたグループ会社の貢献度についても今後注視していく方針である。


トピックス

本社ビルが完成し移転したことをニュースリリースで発表しており、新本社ビルは収益物件として認識されている。ビルの自社使用フロア以外は賃貸として貸し出されており、既に全て入居済みで稼働している。従業員が働きやすい環境を意識したオフィス作りがなされており、駅に近く採用活動にも寄与すると見込んでいる。新本社ビルはLEED認証を取得しており、環境配慮と高い耐震性を特徴としている。中期経営計画については、3カ年計画よりも5年後、あるいは10年後といった長期的なあるべき姿や時価総額500億円を目指す方向性を、一定の数字で具体性を持たせて示すことを検討している。

・資料

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取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデル・事業内容

    日本エコシステムは、社会インフラの老朽化やエネルギー問題といった社会課題を解決するため、ファシリティ、交通インフラ、環境の3つの事業を展開している。 ファシリティ事業では、空調衛生設備工事や給排水衛生工事を請け負い、交通インフラ事業では、高速道路の保守・点検、維持管理などを実施している。 環境事業では、太陽光発電システムの販売・設置や排水浄化処理事業などを展開している。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートした。 その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入した。 そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出し、現在に至る。

     

    直近の決算状況

    前期は公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成した。 公共サービス事業では学校関係などの新規顧客開拓、環境事業では排水処理設備の大型案件受注、交通インフラ事業ではM&Aによるグループ会社増加などが要因である。

     

    特徴・強み

    エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることが強みである。 これにより、各領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させている。 また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固で、必要な技術や資格、技能講習なども有している。

     

    成長戦略

    M&Aを積極的に活用し、事業の拡大と成長を目指している。 中期経営計画において、M&Aの戦略投資として30億から50億円を投資する計画である。 既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、M&Aを検討している。

     

    株主還元策

    日本エコシステムは、株主還元策として安定性と継続性のある配当を基本としており、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明している。 2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円だった。 2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定である。 また、2024年1月に開始した株主優待制度も継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定である。 株主優待制度は、現在の業績と時価総額を考慮し、機関投資家よりも個人株主を重視した制度となっている。

  • Q: 日本エコシステムのビジネスモデルについて、特徴や強みを教えてください。

    A: 日本エコシステムは、社会インフラの老朽化やエネルギー問題といった社会課題を解決するため、ファシリティ、交通インフラ、環境の3つの事業を展開しています。 強みは、エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることです。 公共サービスや高速道路などの分野で既存顧客との取引を重視した事業を行っています。 また、創業以来、環境事業にも力を入れており、排水浄化処理や太陽光発電などの事業を展開しています。 さらに、M&Aを積極的に活用することで、事業の拡大と成長を目指しています。

     

    Q: 交通インフラ事業は、既存顧客との取引が多いのでしょうか?

    A: 新規顧客の開拓よりも、既存顧客との取引を拡大していくことを重視しています。 具体的には、既存顧客に対して、より多くの業務を受注したり、サービス提供エリアを拡大したりしていくことを目指しています。

     

    Q: 業務を増やすとは、具体的にどのようなことでしょうか?

    A: 高速道路の業務は、電気通信から土木工事まで多岐にわたります。 一般道の土木工事と高速道路の土木工事は、少し特殊な部分があり、同じようにできるわけではありません。 高速道路業界は特殊な業界と言われています。 高速道路の特殊な業務ができるのは、社会インフラに関して幅広い事業を展開している当社だからこそです。

     

    Q: エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることは、貴社の強みだと思いますが、両方を請け負える会社は少ないのではないでしょうか?

    A:エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることで、それぞれの領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させることができます。 また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固です。 例えば、事故や大雪などのイレギュラー発生時でも、迅速に人員を確保することができます。 さらに、当社は特殊な領域で必要な技術や資格、技能講習などを有しており、これが他社との差別化につながっています。

     

    Q: 公共サービス事業についてお伺いします。新たにファシリティ事業部になってからは、ICTソリューション事業が追加されるようですが、これはどのような事業でしょうか?

    A: ICTソリューション事業は、元々その他事業に含まれていたものが、ファシリティ事業部に移管されたものです。 具体的には、お客様から依頼された情報システムの受託開発および保守です。 そしてホームページに掲載されているような、お客様がお持ちのデータを用いたコンサルティングからビジネス展開、運用に至るまでの各工程を支援するサービスです。

     

    Q: ICTソリューション事業についてご説明ください。

    A: 当社は1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートしました。 その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入しました。 そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出しました。 2011年11月には、オスカー電子より狭義の事業を譲り受け、トータリゼータシステムの周辺システム開発も行うようになりました。 このように、比較的早い段階からシステム開発のノウハウを蓄積してきたという経緯があります。

     

    Q: 前期の決算状況について公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成された具体的な取り組みについて教えてください。

    A: 公共サービス事業では、ファシリティ事業において学校関係などの新規顧客を開拓できました。 これは、グループ会社が増えたことで、顧客紹介や技術提供の機会が増え、新たな仕事を受注できたことが要因です。 また、M&Aによりグループに加わった企業の業績も寄与しています。 環境事業では、排水処理設備、特にプラントの設計・設置・施工の大型案件を受注できたことが売上増加の要因です。 交通インフラ事業は、M&Aにより興電社およびテッククリエイトという会社がグループに加わったことで売上増加しました。 また、メンテナンス事業も堅調に推移し、増収に貢献しました。

     

    Q: 株主優待を始められましたが、株主還元に関する考え方について教えてください。

    A: 当社は、安定性と継続性のある配当を基本としています。 株主還元は重要ですが、配当に加えて株主優待制度も導入しました。 現在、当社の業績と時価総額はまだ小さい規模ですので、機関投資家よりも個人株主を重視した株主優待制度としています。 安定性と継続性という点では、以前の決算発表においてで、代表取締役の石井松島が、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明しています。 2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円でした。 2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定です。 また、2024年1月に開始した株主優待制度は継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定です。

     

    Q: M&Aに関する方針や選定基準について教えてください。

    A: 当社は、中期経営計画の中で、各事業のポジショニングと方向性の明確化、そしてM&Aの積極的な検討を掲げています。 各事業のポジショニングでは、注力分野、深化分野、長期成長分野の3つに分類しています。 注力分野は積極的に投資を行い、深化分野は効率性を重視し収益性を高めます。 長期成長分野は長期的な視点で成長を支援していきます。 特に注力分野では、M&Aも活用し積極的に成長を目指しています。 そのために、中期経営計画の中で、M&Aの戦略投資として30億から50億円を自己資金と借り入れで投資する計画です。 2024年9月期末までのM&Aの実績は8件です。 2025年9月期には、2024年10月にベニクスがグループに加わり、実績は9件となります。 2024年9月期における投資額は13億円で、計画の30億から50億円に対しては、26%から43%の実績です。 残りの17億から37億円についても、引き続き積極的に投資を進めていきます。 注力分野以外でも、ご縁があれば幅広くM&Aを検討していきます。 既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、一つずつ検証しながら進めています。 2025年9月期のM&Aでは、ベニクスをグループに迎えましたが、この案件は仲介会社を通さず、社内のM&A担当者が対応しました。 このように、仲介会社を利用する場合と自社で対応する場合の両方を活用し、スピーディーかつ効率的なM&Aを進めていきます。

  • 取材者: まず初めに、エコシステムはセグメントの名称が変わると伺っていますが、そのセグメントも含めまして、ビジネスモデルについて他社と比較したときの特徴や強みなどを教えていただけますでしょうか?

    回答者: セグメント変更に伴う新たな公表は2025年9月期第1四半期決算からを予定しており、現時点ではセグメント変更の予定をお伝えするにとどまります。

    本日のご説明は、既存の事業をベースに行います。セグメント名称と中身が多少変わりますが、元々のセグメントとほぼ同様の内容となりますので、ご了承ください。

    取材者: わかりました。

    回答者: 当社グループは多岐にわたる事業を展開しており、少し複雑でわかりづらい点もあるかと思いますのでご説明させていただいております。

    当社は、社会インフラに関わる領域で、既存技術を結集し、社会に貢献できる事業を展開しています。

    300年企業を目指し、世の中の課題を把握し、当社の技術・知識・知見・人材をフルに活用することで、社会に貢献できる価値提供を追求しています。

    例えば、社会インフラの老朽化問題では、高速道路や一般道の橋や構造物の劣化が目立ってきています。これらの維持管理や補修、エネルギー領域、水・空気の浄化といった分野で社会課題が存在すると認識しています。

    これらの課題に対し、当社は公共サービス(新名称:ファシリティ)、交通インフラ、環境の3つの事業を展開しています。

    ファシリティ事業では、空調衛生設備工事や給排水衛生工事を請け負っています。対象は、公共性の高い商業ビルや病院、学校から、一般店舗まで多岐にわたります。

    もう一つは、公営競技に関わる保守・運営事業です。これは、グループ会社の日本ベンダーネットが担っています。

    日本ベンダーネットは、公営競技のトータルデータシステムを開発できる日本で3社しかない会社のうちの1社です。50年以上前から、システム開発、機器の製造・設置・保守を行ってきました。

    同社は、システムの設計・販売・設置から、競技施設の保守・運営管理まで、包括的なサービスを提供しています。

    元々は、公営競技の業績の影響が大きかったため、公共サービスという名称でしたが、2025年9月期からはファシリティ事業の業績が大きくなってきたことを踏まえ、ファシリティという名前に変更しました。

    取材者: ファシリティ事業は理解できました。公営競技とは、競馬や競輪、ボートレースのことでしょうか?

    回答者: その通りです。当社グループは、競輪に強みを持っています。ただし、シェアはそれほど大きくありません。

    次に、交通インフラ事業についてご説明します。これは主に高速道路に関わる事業で、大きく2つに分かれています。

    1つ目は、高速道路上のトンネルやETC設備、緊急電話などの電気通信設備、構造物などを保守点検し、必要があれば補修も行うというものです。

    2つ目は、高速道路の維持管理です。これは、道路の維持に必要な資材の購入、事故発生時の復旧対応、大雪時の除雪作業など、多岐にわたる業務を含みます。

    このように、交通インフラ事業では、上流から下流まで一貫したサービスを提供しています。

    地方公共団体と高速道路会社と書かれていますが、具体的には、NEXCO中日本を中心とした業務委託です。地方公共団体とは、高速道路を管理する団体です。

    また、7~8年前に愛知県で実施された、一般の水銀灯からLED灯への切り替え工事も当社が請け負いました。その後10年間の保証も行っており、このように、地方公共団体の入札案件や高速道路会社からの業務委託など、比較的堅実な事業を行っています。

    取材者: 交通インフラ事業は、既存顧客との取引が多いのでしょうか?

    回答者: はい、新規顧客の開拓よりも、既存顧客との取引を拡大していくことを重視しています。具体的には、既存顧客に対して、より多くの業務を受注したり、サービス提供エリアを拡大したりしていくことを目指しています。

    取材者: 業務を増やすとは、具体的にどのようなことでしょうか?

    回答者: 高速道路の業務は、電気通信から土木工事まで多岐にわたります。一般道の土木工事と高速道路の土木工事は、少し特殊な部分があり、同じようにできるわけではありません。高速道路業界は特殊な業界と言われています。

    高速道路の特殊な業務ができるのは、社会インフラに関して幅広い事業を展開している当社だからこそです。

    取材者: 御社の強みは、エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることだと思います。御社のような規模で、両方を請け負える会社は少ないのではないでしょうか?

    回答者: その通りです。エンジニアリングとメンテナンスの両方を請け負えることで、それぞれの領域の従業員が互いに協力し合い、技術交流を活発化させることができます。

    また、協力会社を含めたパートナーとのリレーションシップも強固です。例えば、事故や大雪などのイレギュラー発生時でも、迅速に人員を確保することができます。

    さらに、当社は特殊な領域で必要な技術や資格、技能講習などを有しており、これが他社との差別化につながっています。

    取材者: よくわかりました。ありがとうございます。

    回答者: 最後に、環境事業についてご説明します。

    当社は創業当時から環境事業に取り組んでおり、エコシステムという社名にもそれが表れています。創業者は、国境や業種を超えて環境問題が重要になるだろうと考え、省エネに貢献する事業を始めました。

    当初は照明器具の安定器交換から始めましたが、その後、太陽光発電の設計・設置・施工事業にも進出しました。現在も自家消費型や屋根上設置型の太陽光発電システムの販売・設置を行っています。

    また、M&Aにより排水浄化処理事業にも進出しました。工場排水や汚染土壌の浄化を行う薬剤の研究開発・製造・販売、浄化プラントの設計・施工・保守を行っています。

    さらに、これらの技術を応用し、水族館や大型水槽の水を浄化するろ過器の製造・設置も行っています。

    取材者: 浄化システムは製造されているのでしょうか?それとも、組み立てているのでしょうか?

    回答者: 状況に合わせて必要なものを準備し、システムとして組み立てています。

    取材者: 公共サービス事業について伺います。新たにファシリティ事業部になってからは、ICTソリューション事業が追加されるようですが、これはどのような事業でしょうか?

    回答者: ICTソリューション事業は、元々その他事業に含まれていたものが、ファシリティ事業部に移管されたものです。

    具体的には、お客様から依頼された情報システムの受託開発および保守、そしてホームページに掲載されているような、お客様がお持ちのデータを用いたコンサルティングからビジネス展開、運用に至るまでの各工程を支援するサービスです。

    取材者: なるほど。

    回答者: 当社は、機械学習におけるアルゴリズムのひとつであるベイジアンネットワークによるAIサービス開発も可能で、これを活用したAIコンサルティングも行っています。

    ただし、メインは業務ソリューションです。各種業種のお客様に対し、生産管理、原価管理、通販システムなど、お客様のご要望に応じたシステムを開発し、保守サービスを提供しています。

    取材者: わかりました。一見すると、他の事業と関連性が薄いように感じるのですが、ICTソリューション事業を行う理由は何でしょうか?

    回答者: 当社は1998年11月に設立され、環境事業を祖業としてスタートしました。その後、創業者が以前から関係のあった高速道路会社から依頼を受け、高速道路事業に参入しました。

    そして、様々な会社がグループに加わる中で、電気通信やシステム開発の領域にも進出しました。

    2011年11月には、オスカー電子より狭義の事業を譲り受け、トータリゼータシステムの周辺システム開発も行うようになりました。このように、比較的早い段階からシステム開発のノウハウを蓄積してきたという経緯があります。

    取材者: ありがとうございます。前期の決算状況について伺います。公共サービス事業と環境事業の売上増加により増収増益を達成されたようですが、具体的な取り組みについて教えてください。

    回答者: 公共サービス事業では、ファシリティ事業において学校関係などの新規顧客を開拓できました。これは、グループ会社が増えたことで、顧客紹介や技術提供の機会が増え、新たな仕事を受注できたことが要因です。

    また、M&Aによりグループに加わった企業の業績も寄与しています。

    環境事業では、排水処理設備、特にプラントの設計・設置・施工の大型案件を受注できたことが売上増加の要因です。

    交通インフラ事業は、M&Aにより興電社およびテッククリエイトという会社がグループに加わったことで売上増加しました。また、メンテナンス事業も堅調に推移し、増収に貢献しました。

    取材者:今期2025年9月期は、前年比26%の売上増加を見込んでいますが、足元の状況はいかがでしょうか?

    回答者: 2025年9月期はまだ第1四半期が終了しておらず、業績発表は来年になる予定です。

    取材者: わかりました。株主優待を始められましたが、株主還元に関する考え方について教えてください。

    回答者: 当社は、安定性と継続性のある配当を基本としています。

    株主還元は重要ですが、配当に加えて株主優待制度も導入しました。現在、当社の業績と時価総額はまだ小さい規模ですので、機関投資家よりも個人株主を重視した株主優待制度としています。

    安定性と継続性という点では、以前の決算発表においてで、代表取締役の石井松島が、少なくとも1円ずつ配当を上げていくという基本方針を表明しています。

    2024年9月期の配当は、中間26円、期末26円の合計52円でした。2025年9月期の予想では、中間26円、期末27円の合計53円と、1円増配する予定です。

    また、2024年1月に開始した株主優待制度は継続し、2025年9月期も中間1万5000円、期末1万5000円の合計3万円のクオカードを贈呈する予定です。

    取材者: ありがとうございます。最後に、M&Aに関する方針や選定基準について教えてください。

    回答者: 当社は、中期経営計画の中で、各事業のポジショニングと方向性の明確化、そしてM&Aの積極的な検討を掲げています。

    各事業のポジショニングでは、注力分野、深化分野、長期成長分野の3つに分類しています。

    注力分野は積極的に投資を行い、深化分野は効率性を重視し収益性を高めます。長期成長分野は長期的な視点で成長を支援していきます。

    特に注力分野では、M&Aも活用し積極的に成長を目指しています。

    そのために、中期経営計画の中で、M&Aの戦略投資として30億から50億円を自己資金と借り入れで投資する計画です。

    2024年9月期末までのM&Aの実績は8件です。2025年9月期には、2024年10月にベニクスがグループに加わり、実績は9件となります。

    2024年9月期における投資額は13億円で、計画の30億から50億円に対しては、26%から43%の実績です。残りの17億から37億円についても、引き続き積極的に投資を進めていきます。

    注力分野以外でも、ご縁があれば幅広くM&Aを検討していきます。

    既存事業とのシナジー効果が見込める分野を中心に、一つずつ検証しながら進めています。

    2025年9月期のM&Aでは、ベニクスをグループに迎えましたが、この案件は仲介会社を通さず、社内のM&A担当者が対応しました。

    このように、仲介会社を利用する場合と自社で対応する場合の両方を活用し、スピーディーかつ効率的なM&Aを進めていきます。

  • 取締役 管理本部担当 稲生篤彦様

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