
(株)明豊エンタープライズ
東証STD 8927
決算:7月末日
20260304
【2026年7月期1Q】
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:当社は1棟のアパート・マンションを対象とした投資用デベロッパーであり、東京都内の23区、特に城南・城西地区に特化して物件の仕入れと販売を行っている点が最大の特徴です。特定の地域に特化するドミナント戦略により、密度と精度の高い情報が集まりやすく、その土地に関するノウハウが蓄積されることが強みとなっております。また、組織体制においては一部の優秀な担当者に依存するのではなく、チームワークを重視した仕組み化を行っております。新卒社員を徹底して育成し、20代の若手社員が同時多発的に仕入れを行うことで、安定的な調達力を実現しております。さらに、グループ内に建設会社と管理会社を擁する垂直統合戦略を展開しております。これにより、自前での迅速なプランニングや徹底したコスト管理が可能となり、土地の仕入れから売却までのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を他社より約3ヶ月早い18ヶ月程度に短縮し、資金効率を飛躍的に高めている点も大きな優位性です。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:今後の成長戦略として、DXやAIの活用による生産性向上に注力しております。具体的には、スマートフォン支給やコミュニケーションツールの活用により情報共有を迅速化し、AIや社内設計士を用いて建築プランを早期に作成することで、仕入れの意思決定スピードを劇的に高めております。また、新たな買い手の開拓として海外展開を積極的に進めており、台湾に子会社を設立いたしました。これにより、日本の不動産に興味をお持ちの海外投資家や、円安を背景に日本への資産組み替えを検討される海外在住の日本人富裕層に対して、当社の好立地な物件を販売する機会が増加しております。商品展開におきましては、対象エリアを城南・城西地区から広げることなく、従来の4階建て低層物件に加えて10階建ての高層物件の建築や、古い建物のリニューアル販売など、商品の幅を拡充していく方針です。採用面におきましても、YouTube等の動画コンテンツを活用して若手社員の活躍を積極的に発信し、優秀な人材の継続的な確保に繋げております。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:当社の業績が直近で急激に改善し、高い営業利益率を維持している主な要因は、5年前に実施した人事評価のフルモデルチェンジにともなう組織改革の成果が結実したことと、良好なマーケット環境が重なったためです。管理職自らが仕入れを行わず、チームの売上を評価基準とする体制を敷いたことで若手へのノウハウ継承が進み、組織全体の営業力や販売力が総合的に向上いたしました。一方で、懸念される内部要因としてのマイナスリスクは、土地価格の上昇に対して家賃相場が追いつかない局面に陥った場合、利回りが低下し仕入れが困難になる点です。しかしながら、現状の資材価格や人件費の高騰といった外部環境のコストアップ要因に対しては、グループの建設会社を用いた内製化による工期短縮と徹底したコスト管理を行うこと、ならびに販売価格への転嫁で、その影響を吸収し高い収益性を確保しております。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:土地の仕入れにおきましては、日本全国の土地面積が不変であるため他社との相対的な競争となりますが、当社は個人の能力に依存しない組織全体での仕入れ体制を構築しているため、他社と比較して優位かつ安定的な調達を実現しております。買い付けの検討スピードにおいても、他社が何日もかけている間に、当社は社内の設計士やAIを活用した迅速なプランニングによって即座に判断を下せるため、多くの仕入れ機会を獲得できております。建築コストの面では、外部の建設会社に全量発注して言い値になりがちな競合他社とは異なり、当社は自社施工のコストと比較しながら外部業者間で競争させることで、より低いコストを引き出しております。さらに、新築の1棟売りマンションの賃料利回りにおいて、他社が3.5%から3.8%程度であるのに対し、当社は4%前後の水準を提示できる点でお客様に対して強い競争優位性を持っております。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:中期経営計画におきましては、前期に急激に数字が伸びた実績を踏まえ、今後の伸び幅をしっかりと想定した計画を策定しております。事業戦略の核としては「垂直統合から水平展開へ」という方針を掲げております。これは、城南・城西地区における開発の垂直統合体制は維持しつつ、買い手である投資家の開拓を海外等へ水平展開していくというものであり、その具体的な進捗として台湾に販売拠点を設けております。財務および業績のKPIとしましては、売上高に対する営業利益率10%以上、ROE15%以上を収益性の目標として設定しております。また、財務面での安全基準として自己資本比率30%以上を指標としつつ、現金の回収サイクルであるCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の最適化を図ることを最も重視して経営を行っております。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元につきましては、これまで毎年増配を実施してまいりましたが、昨年8月に正式に累進配当制度を導入いたしました。今後におきましても、継続的かつ安定的な還元を基本方針としつつ、配当の絶対値を引き上げていく考えでおります。一方で、特定の配当性向などの目安となる基準はあえて設けておりません。これは、デベロッパーという事業の性質上、物件の仕入れに手元資金が不可欠であるためです。資金を過度に配当へ回すよりも、手元資金を充実させて事業利益を拡大し、結果として株価を上昇させることが、最終的に投資家の皆様へのより大きな還元に繋がると考えております。
【2026年7月期1Q】
取材者:貴社の決算分析をするにあたって、ファンダメンタルズ全般的な特徴等をお伺いしたいと思っております。一般的な導入部分になりますが、不動産会社は非常にたくさん上場しており、全国の津々浦々に中小から大企業までたくさんあるわけですが、その中で貴社の強みや特徴について聞かれた場合、どのようにお答えになっているのですか。
回答者:当社は1棟のアパート・マンションの投資用のデベロッパーになります。そういった意味での特徴といたしましては、東京都内の、特に23区の城南・城西地区を目指して物件を仕入れて販売しているというところが特徴です。地域に特化していることによって、情報もかなり密度と精度の高い情報が上がってまいりますし、不動産の、その土地に関するノウハウがかなり集まってまいりますので、そういったところが強みとなっております。
取材者:ホームページにも、23区でも特に立地の良い城南・城西地区を中心として情報分析力、事業企画力という二つのキーワードが出てくるかと思います。まず、もう少しその情報分析力の源泉になっているものや、他社よりもそういった情報収集力や分析力が長けている背景はどのようなところにあるのですか。
回答者:会社のあり方として、チームワークを重視していると言いますか、特に若手の新卒からしっかりと育て上げて戦力にしていくというのが特徴です。そういった意味では、入社して間もない新卒社員たちの育成メニューが充実しております。他社ですと、平均の販売価格が7億万円を超えておりますので、そういった物件を売るとなると、課長職以上の年齢にしても30歳代から40歳代の方々が売っていることが多いのですが、当社では20代の入社して間もない社員たちが、同じような物件を年間を通じて仕入れて売っているというところです。ここも、まず地域に特化していることによって情報が集まりやすく、またそれをマニュアル化しやすいというところがあり、新卒社員を鍛え上げて、同時多発的に仕入れをさせております。
取材者:そういった取り組みはいつ頃から始められて、成果は出ているのですか。
回答者:5年ほど前です。ちょうど業績が上がり、株価も上昇してくるところで、5年前のその辺りからスタートしております。
取材者:新卒で何名ぐらいずつ採用して、育成を継続されていらっしゃるのですか。
回答者:グループで平均して7名から8名ほど採用しておりまして、5年間ですので40名近くがグループに入っております。ここでの特徴として、離職がほぼないという点があります。他のデベロッパーではたくさん採用してほぼ辞めていくということが多いのでしょうが、当社はほぼ離職がありません。
取材者:それは待遇などの面よりも、やりがいといったところに重点を置いたやり方をなさっているということですか。
回答者:おっしゃる通り、やりがいの面があります。他社と比べますと、入社して間もない頃はまだまだ雑巾がけのようなことをやっているかと思いますが、当社ではこれら社員自ら積極的に仕入・販売を行っておりますので、スキルも上がります。それと同時に、もちろん歩合制度もありますので、そういった両面で辞めずにノウハウが蓄積され、それが仕入れや販売の結果を生んでいると考えております。
取材者:どのような方がご指導なさっているのですか。
回答者:開発部の部長、次長、または課長といった管理職が指導にあたります。本来であれば彼ら自らが積極的に仕入れて、なるべくノウハウを教えたくないといった一般論があるのですが、当社では部長には仕入れをさせておりません。自ら仕入れをせずに、チームの売上や貢献を彼らの評価基準としておりますので、むしろ積極的に教えるというモチベーションになっております。
取材者:平面的と言いますか、あまり上下関係なく、チームワークで成果を上げるという体制がすでに出来上がっている点が一番の強みですか。
回答者:5年前に人事評価をフルモデルチェンジしまして、評価をしっかりと変えながら組織もそのように作っていったことが、大きな結果に結びついていると思います。
取材者:今が一番、5年が経過して、営業力や仕入れや販売力といった総合力が一番ついてきている段階に入ってきているということですか。
回答者:まさにその通りです。ですから、前期に急激に数字が伸びたことや、中期経営計画に関しましても、伸び幅をしっかりと想定できているという状況にあります。
取材者:最近、デベロッパーにとっては土地の手当てが非常に難しくなってきているという状況かと思いますが、そういった問題に対しても、地域に特化して密に情報を収集するという形で対応できており、安定的に調達できる体制が構築できているということですか。
回答者:日本の土地の面積は変わりません。ですから、土地を仕入れられるかどうかというのは相対論になります。土地自体が増えるわけではありませんので、他社に対して当社がより多く仕入れるためには、やはり仕入れの手法や、仕入れる担当者一人ひとりの意欲といったところが顕著に結果に表れます。一部のスーパー仕入れマンと言いますか、仕入れのスーパー部長を1人か2人抱えるという方法ではなく、組織全体で仕入れができるチームワーク制にしたというところが大きいと考えております。
取材者:それが安定的な調達に繋がり、売る側に対しても誠意が伝わる形で調達がしやすくなり、他社と競争しても優位に立てるということですか。
回答者:一部のスーパー部長に頼ってしまいますと、どうしても属人的なものになってしまい、その担当者が辞めた際や、気分の変動によって業績が左右されてしまいます。そこを量産化、分散化し、仕組み化したというところが大きな要因です。
取材者:それは城南・城西という土地柄にもフィットするやり方ですか。
回答者:むしろ、この都市型にはよりフィットしていると考えております。
取材者:この5年で実力がついてきて、今後も継続されていくと思うのですが、さらにパワーアップするためにはどういった課題が残っていらっしゃいますか。
回答者:人材の育成に関して終わりはなく、日々そこを強化しております。あとは、いわゆるDXやAIなどを活用し、設計・プランニング、コストダウンの工夫を蓄積して、より生産性を上げるようなところに注力しております。
取材者:具体的に少しお聞きしたいのですが、不動産業界に限らず各業界でDX化による生産性向上が非常に注目されております。現在、貴社におけるDX化の取り組みはどのような状況にあり、今後どのような方向で進めていきたいとお考えですか。
回答者:土地の仕入れもそうですが、私たちの仕事の大半はコミュニケーションが多いのです。現地へ行き、確認し、上に報告し、横に共有し、下に指示するというコミュニケーションが非常に重要です。昔は電話やFAXを使用し、一旦事務所に帰ってからという流れでしたが、現在は全員がスマートフォンを持ち、グループLINE等を作成して、よりスピーディーにコミュニケーションを取っております。そうしますと、コミュニケーションのスピードが迅速な判断にも繋がってまいります。また、土地を仕入れる際には、その土地にどのような建物のプランが立ち、どの程度の家賃が取れるかというプランを入れる必要があります。ここで当社が掲げている垂直統合戦略が活きており、当社のグループ内には建設会社が2社あります。もちろんそこには設計士も在籍しておりますので、自前でプランニングを行うスピードが非常に速いです。AIを活用して様々なプランを作成することも可能ですので、そういった意味でも迅速です。他社が買い付けの検討に何日もかけている間に、当社は検討が速く、買い付けも速いため、多くのチャンスが生まれるというところがDX強化の成果です。
取材者:製造業において、投資の意思決定をしてから竣工して量産化するまでのリードタイムがよく注目されますが、不動産においても当然そのような形になってくるかと思います。それを導入されているというのは非常に素晴らしいことだと存じます。業界平均と比較してどの程度速いのか、また、建設会社を2社抱えていることによってプランニングから竣工までのリードタイムがどの程度にか、教えていただけますか。
回答者:当社ではいわゆるCCCをKPIで設けておりまして、現金の回収サイクルを短くしております。土地を購入する際、物件の引渡を受け資金決済しますと、その資金には銀行の借入金利が発生します。例えば1年半後に売却して初めて資金を回収し利益が伸びるビジネスモデルにおいて、土地を仕入れてから売却するまでのタイムラインをいかに短縮するかを重視しております。土地を購入する際の意思決定や、購入後のプランニング、建物の設計、次に当社の管理会社である株式会社明豊プロパティーズがリーシングをし、ほぼ100%テナントを決めて、同時に投資家に売却していくという一連の作業を垂直統合戦略で行っております。グループ内に子会社の建設会社があることによって、コスト競争力もありますし、品質向上にも繋がっており、結果としてスピードが非常に速くなっております。
取材者:平均するとどの程度の期間で回収できるのですか。
回答者:他社との比較というよりは、建物の階数によって、7階建てや8階建て、あるいは6階建てですと、そもそも期間が異なってまいります。当社は基本的に4階建ての低層を基本としております。4階建てのRC造や鉄骨造なども手掛けておりますが、平均して回収期間は18ヶ月です。他社と比較しますと、やはり3ヶ月前後早いのではないかと認識しております。この18ヶ月という期間が他社と比較してどうかと申しますと、金融機関が他のデベロッパーに融資をしてその返済期間を見ておりますが、当社は非常に早いと評価されております。
取材者:やはり資金を融資してもらう上でも非常に優位ですね。
回答者:返済プランを入れる際にも、例えば昨今の中東地域の軍事トラブルといった外部環境の変動があると、金利の動向も読めなかったりします。そのため、なるべく早くキャッシュを回収していくというスタイルで垂直統合戦略を強化しておりますので、18ヶ月というスピードは競争力が高いと考えております。
取材者:資材高や人件費の上昇、建設労働者不足といった様々なコストアップ要因がありますが、そういったものに対する建築コスト等の面での取り組みは何かございますか。
回答者:もちろん、鉄筋やセメントといった素材はすべて価格が上がっておりますし、人件費も上昇しております。これらは管理不可能な要因です。一方で、そこを内部化し、垂直統合してスピーディーに進めることで、コストアップを吸収して対応しております。他社と比べまして、自前で施工を行っておりますので、コスト管理を徹底できるという点があります。工期が短いということはその分コストが下がっておりますので、現場の作業員がどのくらい時間をかけるかによってコストが発生するところを、短縮することで人件費も安く済みますし、金利負担も安く抑えられます。高騰する資材に関しましても、グループ直系の建設会社が管理しているという点において、しっかりとコスト管理ができていると考えております。
取材者:実コストが見える、透明化されるというメリットもあるのですね。販売されているマンション等は、すべて子会社の2社が請け負うのですか。
回答者:例えば年間で40棟ほど開発する場合、現在のところ子会社での施工は30%前後を目標としております。最終的には半数近くまで引き上げたいと思っておりますが、あえて全てを内製化しない理由といたしましては、他社との比較も含めて検討するためです。
取材者:他社のコスト水準が分かった方が当然良いでしょうから。そういったところも強みになっているのですね。
回答者:競合他社は100%外部の建設会社に委託しているため、コストが言い値になってしまいがちです。当社は自社のコストと比較しながら、外部の建設会社間で競争させることで、より低いコストを引き出せているということになります。
取材者:新築の1棟売りマンションの利回りについてですが、売値に対する賃料利回りの側面でも、お客様に優位な水準を提示できるということはございますか。
回答者:例えば当社では4%前後を出せておりますので、他社さんが3.5%から3.8%程度のところに対して、我々は4%前後の利回りを出せるという点は強みです。また、不動産投資は利回りだけでなく、例えば地方に行き田舎に行けば土地が安いため表面利回りは高くなります。しかし、売却した際に価格が下がるキャピタルロスが生じる可能性があります。稼働率が落ちたり、建物が古くなって家賃が下落するリスクがあります。当社はグループ内に管理会社を持っており、オーナー様と一生涯のお付き合いをしていく前提です。物件をオーナー様から管理受託し、そこから家賃を最大化していったり、場合によっては20年後の売却時までお手伝いをしておりますので、売却損が出ないような場所、それがまさに城南・城西地区を中心としている理由です。そうしますと、利回りが同等、あるいは若干低くても、立地が良いことで売却した際に売却益が出やすくなります。
取材者:トータルリターンとしては非常に優れているということですね。
回答者:LTVを上げていくというところを注視しております。
取材者:KPIについてですが、先ほどのCCCという指標を最も重要視されているということですか。
回答者:その他の指標といたしましては、売上高に対する営業利益率10%以上というところを掲げております。収益性という意味ではそういった点と、ROE15%以上というところをKPIに設定しております。財務面では、自己資本比率30%以上というところを指標としており、その上で先ほど申し上げたCCCの最適化を図っております。
取材者:中期経営計画でも出されておりますが、最近、営業利益率が10%から11%と非常に高水準で推移しており、大変順調な状況かと存じます。業績が向上した要因としては、新しい育成制度やチームワーク制の組織改革と、マーケット環境が良好であったことによって、2024年頃から収益が急激に改善したという理解でよろしいですか。
回答者:その通りです。
取材者:株主の80%強が個人株主とのことで、貴社は配当以外の株主に対するリターンを含めると非常に大きいかと存じます。今後、配当性向などについての考え方や、減配しないという方針はお出しになっているかと思いますが、その辺りの基準はございますか。
回答者:これまで毎年増配を実施してまいりましたが、改めて昨年8月に累進配当制度を正式に導入いたしました。今後も継続的かつ安定的な還元を行っていくことを基本としつつ、配当の絶対値を引き上げていきたいと考えております。
取材者:配当性向など、目安になる基準というのは設けないということで、業績に連動しつつも、多少業績が悪くなっても減配はせずに維持し、業績が良くなれば還元していくというお考えでよろしいですか。
回答者:我々デベロッパーは手元に資金がないと、やはり仕入れに支障をきたしてしまいますので、配当と同様に手元資金を充実させて利益を上げることも、結果的に株価の上昇にも繋がり、投資家の皆様へ還元できると考えております。
取材者:自己資本比率を30%に設定されている理由についてはいかがですか。
回答者:特段の理由というよりは、不動産業界の中で一般的に自己資本比率が30%あれば十分な安全基準であるとされているためです。自己資本を過度に溜め込みに行くというわけではありませんが、その水準を維持することを社内での申し合わせとしております。
取材者:D/Eレシオについてはどのようにお考えですか。
回答者:D/Eレシオを厳格に制限し始めますと、期末に向けて借入額の調整を行う必要が生じたりいたします。当社としては、やはり機動的に物件を仕入れなければなりませんし、最も高値で売却できるタイミングを見極める必要がありますので、そのような縛りは入れたくないと考えております。
取材者:不動産にはどうしても季節性や循環的な動きがあり、どのタイミングでレバレッジをかけるかという判断においては、一時的に数値が悪化しても、先ほどおっしゃったように1年半後には回収できる見込みが高ければ問題ないという理解でおります。ただ、ある程度そこにも基準を設けておく必要があるのではないかとも存じます。例えば中期経営計画の中でどの程度のレバレッジで運営していくのかといった点が、外部から見た貴社のリスク管理の度合いとして評価されるのではないかと思います。
回答者:一応そこの部分に関しましては、借入残高そのものというよりは、棚卸資産があまりにも増えすぎないように、回転期間を調整するということを目安としております。
取材者:D/Eレシオよりも回転期間の方を重視されているということですね。安全性を考えればそちらの方が重要かと存じます。
回答者:キャッシュ・コンバージョン・サイクルを短くすることで回転期間を短縮できております。実際に連結での数値を見ていただいても、その成果が表れてきていることがご理解いただけるかと存じます。当社の借入というのも、すべて土地や建物といった不動産商品に代わっております。仕掛をいかに早くキャッシュ化し、結果的に手元資金を浮かすかが業界の特性でもあります。そのため、キャッシュフローを重視し、借入残高と土地の仕入残高のバランスを注視して経営を行っております。
取材者:お客様についてお伺いいたします。台湾に子会社を設立されるなど、足元で海外展開に非常に積極的でいらっしゃいますが、現在、お客様のうち海外投資家の割合はどの程度いらっしゃるのですか。
回答者:割合よりも物件数で申し上げますと、年間で40件から50件ほど販売していく中で、例えば平均単価7億円の物件をバルクでまとめて10件ご購入いただき、70億円となるようなケースもあります。13件、14件となれば100億円近くに達することもあります。そういった形で海外の投資家様がご購入される場合もあり、そうなりますと棚卸の20%から30%程度が海外の投資家様向けとなることもありますので、そこはケースバイケースとなります。
取材者:足元で外国人投資家に対する不動産購入の規制といった議論が出てきておりますが、その辺りの動きに対するお考えはいかがですか。
回答者:外国人規制という点につきましては、当社の物件は都心のレジデンスである投資用1棟アパート・マンションであり、購入者は大家さんになります。一般の方が居住用に区分マンションを購入されるような市場とは別市場であるため、外国人による投資が区分マンションの市場に直接影響を与えることは少ないと考えております。都心に住む方はほぼ日本人であり、その大家さんが外国人になるという形になります。また、日本で積極的に購入したいという方の国籍は限定的であり、台湾の方や、一部シンガポール、香港の方などが中心です。そのため、規制によって当社が大きな影響を受けることはないと考えております。
取材者:中国本土のお客様はあまりいらっしゃらないのですか。
回答者:中国本土の方よりも台湾のお客様が一番多い状況です。
取材者:セミナーを開催したり、子会社を運営されている人材というのは、外部から採用されているのですか。
回答者:台湾の会社を設立した背景は、中期経営計画でも発表しました「垂直統合から水平展開へ」という方針に基づくものです。何を水平展開するかと申しますと、開発の拠点は水平展開せずに、引き続き城南・城西地区で垂直統合していくのですが、買い手である投資家様の開拓を水平展開しております。以前は都内や地方の地主様が多かったのですが、今後は日本に興味をお持ちの海外の投資家様や、一部欧米の投資家様などもターゲットとするため、台湾に販売拠点を設けました。これにより、セミナーを開催したり営業活動がしやすくなり、必然的に台湾の投資家様が購入される機会が増加しております。
取材者:貴社が仕入れてこれから販売を予定している物件をアピールされるのですか。それとも、お客様のニーズを取り込みながら、そのニーズに合った物件開発にも活かしていくという方法で進められているのですか。
回答者:既に仕入れている物件が常時何十棟もありますので、それらを案内します。彼らは東京の場所の特徴に驚くほど詳しく、その立地を気に入ってご購入されていきます。
取材者:彼ら向けに特別に作るというよりは、要は先方が既に調べており、それにフィットするような物件を出していけば契約に繋がりやすいということですね。
回答者:インバウンドで年間4,000万人の外国人が来日されておりますが、初めての場合は例えば富士山や京都などを訪れます。しかし、5回、6回と来日を重ねると、東京の中目黒など、かなり具体的な場所に関心を持たれます。特に城南・城西地区については非常に詳しくなってきておりますので、我々が売りたい物件と合致するようになってきます。
取材者:私の認識ですと、城南・城西地区は高級住宅街もあれば、古い町工場もあるような地域かと存じますが、そういった意味でまだ土地の案件は出やすい場所なのですか。
回答者:例えば世田谷区などでは、高齢の方が古い家をお持ちのケースが多くあります。相続の際、若い世代はマンションに住みたいといった理由で土地を売却されます。現在、200坪から300坪といった豪邸はあまり好まれませんので、そういった広い土地を当社が買い取り、分割するなどして程よい広さの土地に仕上げます。駅徒歩10分以内で都心へのアクセスが便利であれば、地方から流入してくる若者が賃貸で住むため、アパート・マンション経営がしやすい土地となります。これは台湾の投資家様にとっても同じで、彼ら自身が住むわけではなく家賃収入を得ることが目的ですので、賃貸需要が高く借り手がつきやすい立地が求められます。
取材者:土地の手当てというよりは借り手がつきやすい、場所的にも非常に好都合な案件が結構あるということですね。
回答者:賃料収入がしっかりと入るような場所です。例えば大富豪が住むような松濤や田園調布といった高級住宅街に、若者が賃貸で住むかというとそうではありません。やはり高円寺や目黒などの方が、賃貸需要が高く収益性が上がります。当社はそうした賃料収入の上がるところを選んで購入しております。
取材者:やはりそこが一番のキーポイントなのですね。イメージ的にも大変良い場所ですので、そういったビジネスモデルが取りやすいのではないかという印象を受けました。そうしますと、まだまだ外国人投資家の投資意欲というのは十分に継続するとお考えですか。
回答者:継続すると思っております。
取材者:今後、台湾以外に会社を設立されるご計画はございますか。
回答者:現状では具体的な計画はありませんが、まずはシンガポールや香港、場合によってはニューヨークなどへアプローチする可能性があります。過去のバブル期に海外へ移住された日本人の方が結構いらっしゃいます。日本が一番お金を持っていた時代に海外へ投資された方が多く、現在70歳代などご高齢になられて、やはり日本に戻りたくなるという方がいらっしゃいます。最後は日本で過ごしたいというご要望です。現在は円安ですので、アメリカ等の物件を売却し、ドルを円に換えるのに適した時期と言えます。一方、アメリカで資産を保有したまま相続を迎えると多額の税金がかかるため、日本の物件に資産を組み替えたいというニーズがあります。まさに我々の物件を購入されるターゲットとなり得ます。そういった意味では、物件を購入したいという方はアメリカ等にも結構いらっしゃると思われます。
取材者:そういったところを狙っていくということですね。
回答者:あくまでも日本の物件をご購入いただく富裕層としては、やはりドルを保有している方が有利になります。
取材者:継続的な円安基調であれば、まだまだ日本の不動産は割安ですよね。
回答者:台湾ドルにしても、米ドルやユーロにしても、円転すれば非常に割安です。ただ、文化的に欧米の方が日本の物件を購入されるというスタイルはまだ一般的ではありませんので、欧米に居住され投資されていた日本人の方で、日本に帰国される層に向けて販売していくアプローチになります。
取材者:そういう視点ですね。私の感覚でも、ヨーロッパの方はあまり日本の不動産を購入されないかと思います。
回答者:ただ、現地にお住まいの日本人の方は結構いらっしゃいます。イギリス等でマンションを保有されており、それを売却して日本に戻ろうかとお考えの方に対してアプローチするために、出張所等を設けるといった可能性はあるかと存じます。
取材者:有価証券報告書を拝見した際、ヒストリカルなデータとして大手商社タイアップされたような記載がありましたが、現在もそういったタイアップ等はございますか。
回答者:それはジョイントベンチャーで土地を買い取るといったものですね。当面はそういった取り組みはないかと存じます。
取材者:独自で十分に海外市場等も開拓できるということですね。
回答者:当社は社歴が58年と長いため、過去においては大手企業様とジョイントベンチャーを組んで行っていたこともありましたが、現在は行っていません。
取材者:今後の人材採用などは非常に難しい環境かと存じますが、その辺りの対応や、年間でどの程度新卒を採用していくかという方針についてお聞かせください。
回答者:不動産業界は人がいかに活躍するかが肝ですので、採用活動には非常に積極的です。現在はYouTube等の動画コンテンツを活用しており、特に当社の番組を月に1本配信しております。そこには新卒から3年目などの20代の若手社員が活躍する姿を、20分から30分の動画形式で流しております。面接に来られる方はほぼ全員がその動画をご覧になっておりますので、面接で1時間お話しするよりも、動画を見ていただくことで社風や文化を深く理解していただき、入社に繋がっております。今後もそういった取り組みを強化していきたいと考えております。
取材者:初任給を引き上げる等の方針を取られているわけではなく、ですね。
回答者:結果的に業績が向上いたしますと社内還元も行っておりまして、直近の日経新聞の調査では、目黒区に本社を置く上場・非上場企業の中で、当社の平均年収が上位3位に入りました。目黒区には多数の企業が本社を構えております。結果として年収も上がってきておりますので、若手に対しても良い影響があると考えております。個人のインセンティブや歩合に差をつけて競い合わせる文化ではなく、チームワークによって会社全体が良くなれば、全員にしっかりと還元されるという点に重きを置いております。
取材者:一部のスーパースターに頼るのではなく、チームワークで全員の年収を共有して上げていくという方針ですね。共存体系的な発想ですので、今の若年層にはそういった方針が合っているのでしょうね。非常に興味深いお話を伺うことができました。
回答者:お時間があれば、ぜひ当社のYouTube動画もご覧になってみてください。「デベロッパー師たち」という企画をすでに6本ほど作成しておりまして、1本20分程度の動画ですが、ご覧いただくと面白いかと思います。また、新卒から3年目の若手だけで構成された「MU-3」という動画もあります。こちらも10分から20分前後の動画で、若手が溌剌として活躍している雰囲気がよく伝わるかと思われます。
取材者:貴社としてここを広く強調したい部分がありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思っておりますがいかがですか。
回答者:第一に、先ほど申し上げた対象地域に特化しているという点です。ドミナント戦略が効きますので、不動産業は情報産業でもあります。どこに良い物件があるか、どこに売り物があるかという情報を幅広く広げすぎてしまうと、コアな情報が入手しにくくなりますので、地域を絞り、徹底的に入り込むことによって、なかなか手に入らない貴重な情報が入ってくるという戦略性が非常に大きい点です。第二に、不動産デベロッパーを取り巻く金利や資材の高騰といった外部環境は管理不可能な要因ですが、いわゆるCCCを最適化し、早期にキャッシュ化していくことを非常に重視しております。高層マンションよりも低層物件を自前の建設会社でよりスピーディーに建築、販売していく点です。不動産は景気循環産業であり、過去のバブル崩壊時も地方から価格が崩れていきましたが、東京の中心部は下落が遅く、保有していれば最終的にはまた価格が上昇することもあります。この都心に特化して開発期間を短くしているという点をアピールしていきたいです。最後に、物件の販売を個人の属人的なスーパースターに頼るのではなく、仕組み化したことによって若手社員にどんどんチャンスを与えているという点をアピールしてきたいと思っております。
取材者:例えば、城南・城西地区といった特定の場所に特化していることによるリスクというものは何かございますか。
回答者:リスクはないと考えております。
取材者:全体的に貴社の業績は今後も上がっていくかと存じますが、金利等の外部環境以外に、リスクと考えられる要因はどのようなものがございますか。
回答者:内部要因として挙げられるのは、土地価格が上昇して不動産が仕入れられなくなることです。土地の価格が上昇し、それに比べて家賃が上昇しないと利回りが低下してしまいます。現在は土地の高騰にともない家賃も上昇しているため上手く消化できておりますが、家賃が上がらずに土地だけが上昇する局面になると、仕入れが非常に困難になります。
取材者:やはり上手くお金が回っていかないと、家賃も上がっていきませんものね。
回答者:よくある間違いとしては、家賃利回りが合うエリアに進出したがることです。地方に行きますと、土地価格高騰の波がまだ到達していないため、九州や仙台などは購入できてしまいます。一定の家賃収入が得られるため、一見すると利回りは高く取れるように見えます。しかし、後に土地価格が下落する局面になった際、地方の土地から真っ先に下落いたします。そこで多くのデベロッパーが失敗するため、当社はそのような地域には進出しないようにしております。
取材者:特定の場所に特化している点が非常に特徴的かと存じますが、次に狙うエリアはどこになるのですか。
回答者:エリアは移動せずに、引き続き同じ場所で展開いたします。例えば、現在の4階建てを中心とした投資用マンションからもう少し階数を上げていくことや、古い建物をリニューアルして販売していくなど、商品の幅を増やしていく方針です。地域は変えません。不動産は動かない資産であり、情報の収集も仕入れもすべて地域性が重要となります。
取材者:城南・城西というエリアで、4階建て以上の高い建物は作られないのですか。
回答者:現在も作っております。新商品として『LOS ARCOS(ロスアルコス)』という商品発表をしたのですが、これなどは10階建ても建築しております。ただ、数は少ないです。
取材者:まだまだこの地域で貴社は成長していけるとお考えですか。
回答者:日本は世界的に存在感がなくなったと言われておりますが、人口も経済力も依然としてトップクラスです。東京の人口と経済力は、ヨーロッパの一つの国に匹敵するほどの規模があります。ですから、東京単体で見てもまだまだ開発の余地があると考えておりますし、高齢の方が所有されている土地も非常に多くあります。東京は若者が土地を購入していないため、現在どんどん相続で土地の世代交代が進んでおり、このようなチャンスはまだまだあると考えております。
取材者:城南・城西地区にまだまだ可能性があるというデータのようなものがあると嬉しいですね。地域が限定されていると、外部から見た際に、既に開発し尽くされているのではないか、時間の問題ではないかと思われがちですので。
回答者:その点は大丈夫です。東京の土地のポテンシャルと当社の規模感を勘案しますと、開発の限界はなかなか見えづらいと思います。もし東北や福岡に特化しているとなれば限界が見えてくるかもしれませんが、首都圏の城南・城西地区において当社の規模感であれば、その限界は見えないかと存じます。
取材者:他社もやはりこのエリアを狙っているわけですか。
回答者:もちろん狙っておりますが、当社は近い将来、城南・城西地区の1棟アパート・マンション市場でナンバーワンになると確信しております。ナンバーワンという実績が枕詞としてつけば、ナンバーワンだからこそさらに良質な土地情報が集まってくるようになります。
【本内容は2Q決算発表(2026年3月17日)前に取材】
2026年7月期第2四半期決算
大幅な増収・増益で推移。
売上高:14,861百万円(前年同期比26.5%増)
営業利益:1,440百万円(同37.0%増)
経常利益:1,202百万円(同67.0%増)
親会社に帰属する四半期純利益:859百万円(同86.7%増)
ビジネスモデルや事業内容
東京都内の23区、特に城南・城西地区に特化して物件を仕入れ開発・販売する1棟のアパート・マンションの投資用デベロッパー。主なターゲット層は国内外の投資家であり、購入者が大家となる賃貸経営向けの物件を提供する事業形態。
創業の経緯と転機となった出来事
社歴は58年と長く、過去には大手企業とジョイントベンチャーを組む時期もあったが、現在は独自展開の実施。最大の転機は5年前の人事評価のフルモデルチェンジ。管理職自らが仕入れを行わずチームの売上を評価基準とする体制へ移行したことで若手へのノウハウ継承が進み、組織全体の総合力が向上したという経緯。
直近の決算状況
【2026年7月期1Q】
2026年7月期第1四半期の売上高は4,921百万円(前年同期比31.6%減)、営業利益は411百万円(前年同期比44.3%減)、経常利益は180百万円(前年同期比69.7%減)という実績。前年同期比における減収減益の要因は、前第1四半期に売却予定物件の期ずれによる売却が複数あったことによる売上高の減少と、人件費や融資関連費用の増加。しかしこの前年同期比減は期初の計画に織り込み済みであり、第2四半期以降での売上増加に伴い販管費等は回収される見込みであり、通期業績予想に向けて順調に進捗している状況。
特徴や強み
城南・城西地区へのドミナント戦略による高密度な情報収集力と、新卒から育成した20代の若手社員が同時多発的に仕入れを行うチームワーク制により、属人化を排した安定的な調達力。また、グループ内に建設会社2社と管理会社を持つ垂直統合戦略により、自前での迅速なプランニングと徹底したコスト管理が可能となる構造。これにより、土地仕入れから売却までのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を他社より約3ヶ月早い18ヶ月程度に短縮し、資金効率の飛躍的な向上。さらに、自社管理による将来の売却益確保を見据えた立地選定により、他社より高い賃料利回り4%前後の水準を提示できる競争優位性。
成長戦略
「垂直統合から水平展開へ」の方針のもと、城南・城西地区での開発体制は維持しつつ、買い手である投資家の開拓を海外へ水平展開していく戦略。具体的には台湾に販売拠点を設け、円安を背景とした海外投資家や海外在住の日本人富裕層への販売機会の拡大。さらに、スマートフォン支給やコミュニケーションツールの活用、AIを利用した迅速なプランニングといったDX化を推進し、仕入れの意思決定スピードを劇的に高める生産性向上。
株主還元策
昨年8月に累進配当制度を正式に導入し、継続的かつ安定的な還元と配当の絶対値引き上げを基本とする方針。配当性向などの目安はあえて設けず、デベロッパーとして不可欠な手元資金を充実させて事業利益を拡大し、結果として株価上昇を通じて投資家へより大きく還元する考え。2026年7月期の年間配当は7期連続累進配当となる13円/株を予想しており、新たに1,000株以上保有の株主に対して年2回デジタルギフトを進呈する株主優待制度の導入。
中期事業計画について
前期の急激な業績伸長を踏まえ、今後の伸び幅をしっかりと想定した計画。財務および業績のKPIとして、売上高に対する営業利益率10%以上、ROE15%以上を収益性の目標とし、財務面の安全基準として自己資本比率30%以上の維持。D/Eレシオによる厳格な制限よりも棚卸資産の回転期間を調整し、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を短縮して手元資金を浮かすことを最も重視した経営管理。
今期の取り組みやトピックス
第1四半期の開発物件売却は5件、開発用地取得は下北沢や緑が丘など8件の実績。対象エリアである城南・城西地区を変えることなく、従来の4階建て低層物件に加え、10階建ての高層物件の建築や古い建物のリニューアル販売を行うなど、商品の幅を増やす取り組み。また、高騰する資材価格や人件費などの外部環境のコストアップ要因に対しては、グループの建設会社を用いた内製化による工期短縮とコスト管理の徹底で影響を吸収する施策。
代表取締役会長兼社長 矢吹 満 様

(株)明豊エンタープライズ
東証STD 8927
決算:7月末日
【2026年7月期1Q】
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:当社は1棟のアパート・マンションを対象とした投資用デベロッパーであり、東京都内の23区、特に城南・城西地区に特化して物件の仕入れと販売を行っている点が最大の特徴です。特定の地域に特化するドミナント戦略により、密度と精度の高い情報が集まりやすく、その土地に関するノウハウが蓄積されることが強みとなっております。また、組織体制においては一部の優秀な担当者に依存するのではなく、チームワークを重視した仕組み化を行っております。新卒社員を徹底して育成し、20代の若手社員が同時多発的に仕入れを行うことで、安定的な調達力を実現しております。さらに、グループ内に建設会社と管理会社を擁する垂直統合戦略を展開しております。これにより、自前での迅速なプランニングや徹底したコスト管理が可能となり、土地の仕入れから売却までのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を他社より約3ヶ月早い18ヶ月程度に短縮し、資金効率を飛躍的に高めている点も大きな優位性です。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:今後の成長戦略として、DXやAIの活用による生産性向上に注力しております。具体的には、スマートフォン支給やコミュニケーションツールの活用により情報共有を迅速化し、AIや社内設計士を用いて建築プランを早期に作成することで、仕入れの意思決定スピードを劇的に高めております。また、新たな買い手の開拓として海外展開を積極的に進めており、台湾に子会社を設立いたしました。これにより、日本の不動産に興味をお持ちの海外投資家や、円安を背景に日本への資産組み替えを検討される海外在住の日本人富裕層に対して、当社の好立地な物件を販売する機会が増加しております。商品展開におきましては、対象エリアを城南・城西地区から広げることなく、従来の4階建て低層物件に加えて10階建ての高層物件の建築や、古い建物のリニューアル販売など、商品の幅を拡充していく方針です。採用面におきましても、YouTube等の動画コンテンツを活用して若手社員の活躍を積極的に発信し、優秀な人材の継続的な確保に繋げております。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:当社の業績が直近で急激に改善し、高い営業利益率を維持している主な要因は、5年前に実施した人事評価のフルモデルチェンジにともなう組織改革の成果が結実したことと、良好なマーケット環境が重なったためです。管理職自らが仕入れを行わず、チームの売上を評価基準とする体制を敷いたことで若手へのノウハウ継承が進み、組織全体の営業力や販売力が総合的に向上いたしました。一方で、懸念される内部要因としてのマイナスリスクは、土地価格の上昇に対して家賃相場が追いつかない局面に陥った場合、利回りが低下し仕入れが困難になる点です。しかしながら、現状の資材価格や人件費の高騰といった外部環境のコストアップ要因に対しては、グループの建設会社を用いた内製化による工期短縮と徹底したコスト管理を行うこと、ならびに販売価格への転嫁で、その影響を吸収し高い収益性を確保しております。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:土地の仕入れにおきましては、日本全国の土地面積が不変であるため他社との相対的な競争となりますが、当社は個人の能力に依存しない組織全体での仕入れ体制を構築しているため、他社と比較して優位かつ安定的な調達を実現しております。買い付けの検討スピードにおいても、他社が何日もかけている間に、当社は社内の設計士やAIを活用した迅速なプランニングによって即座に判断を下せるため、多くの仕入れ機会を獲得できております。建築コストの面では、外部の建設会社に全量発注して言い値になりがちな競合他社とは異なり、当社は自社施工のコストと比較しながら外部業者間で競争させることで、より低いコストを引き出しております。さらに、新築の1棟売りマンションの賃料利回りにおいて、他社が3.5%から3.8%程度であるのに対し、当社は4%前後の水準を提示できる点でお客様に対して強い競争優位性を持っております。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:中期経営計画におきましては、前期に急激に数字が伸びた実績を踏まえ、今後の伸び幅をしっかりと想定した計画を策定しております。事業戦略の核としては「垂直統合から水平展開へ」という方針を掲げております。これは、城南・城西地区における開発の垂直統合体制は維持しつつ、買い手である投資家の開拓を海外等へ水平展開していくというものであり、その具体的な進捗として台湾に販売拠点を設けております。財務および業績のKPIとしましては、売上高に対する営業利益率10%以上、ROE15%以上を収益性の目標として設定しております。また、財務面での安全基準として自己資本比率30%以上を指標としつつ、現金の回収サイクルであるCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の最適化を図ることを最も重視して経営を行っております。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元につきましては、これまで毎年増配を実施してまいりましたが、昨年8月に正式に累進配当制度を導入いたしました。今後におきましても、継続的かつ安定的な還元を基本方針としつつ、配当の絶対値を引き上げていく考えでおります。一方で、特定の配当性向などの目安となる基準はあえて設けておりません。これは、デベロッパーという事業の性質上、物件の仕入れに手元資金が不可欠であるためです。資金を過度に配当へ回すよりも、手元資金を充実させて事業利益を拡大し、結果として株価を上昇させることが、最終的に投資家の皆様へのより大きな還元に繋がると考えております。
【2026年7月期1Q】
取材者:貴社の決算分析をするにあたって、ファンダメンタルズ全般的な特徴等をお伺いしたいと思っております。一般的な導入部分になりますが、不動産会社は非常にたくさん上場しており、全国の津々浦々に中小から大企業までたくさんあるわけですが、その中で貴社の強みや特徴について聞かれた場合、どのようにお答えになっているのですか。
回答者:当社は1棟のアパート・マンションの投資用のデベロッパーになります。そういった意味での特徴といたしましては、東京都内の、特に23区の城南・城西地区を目指して物件を仕入れて販売しているというところが特徴です。地域に特化していることによって、情報もかなり密度と精度の高い情報が上がってまいりますし、不動産の、その土地に関するノウハウがかなり集まってまいりますので、そういったところが強みとなっております。
取材者:ホームページにも、23区でも特に立地の良い城南・城西地区を中心として情報分析力、事業企画力という二つのキーワードが出てくるかと思います。まず、もう少しその情報分析力の源泉になっているものや、他社よりもそういった情報収集力や分析力が長けている背景はどのようなところにあるのですか。
回答者:会社のあり方として、チームワークを重視していると言いますか、特に若手の新卒からしっかりと育て上げて戦力にしていくというのが特徴です。そういった意味では、入社して間もない新卒社員たちの育成メニューが充実しております。他社ですと、平均の販売価格が7億万円を超えておりますので、そういった物件を売るとなると、課長職以上の年齢にしても30歳代から40歳代の方々が売っていることが多いのですが、当社では20代の入社して間もない社員たちが、同じような物件を年間を通じて仕入れて売っているというところです。ここも、まず地域に特化していることによって情報が集まりやすく、またそれをマニュアル化しやすいというところがあり、新卒社員を鍛え上げて、同時多発的に仕入れをさせております。
取材者:そういった取り組みはいつ頃から始められて、成果は出ているのですか。
回答者:5年ほど前です。ちょうど業績が上がり、株価も上昇してくるところで、5年前のその辺りからスタートしております。
取材者:新卒で何名ぐらいずつ採用して、育成を継続されていらっしゃるのですか。
回答者:グループで平均して7名から8名ほど採用しておりまして、5年間ですので40名近くがグループに入っております。ここでの特徴として、離職がほぼないという点があります。他のデベロッパーではたくさん採用してほぼ辞めていくということが多いのでしょうが、当社はほぼ離職がありません。
取材者:それは待遇などの面よりも、やりがいといったところに重点を置いたやり方をなさっているということですか。
回答者:おっしゃる通り、やりがいの面があります。他社と比べますと、入社して間もない頃はまだまだ雑巾がけのようなことをやっているかと思いますが、当社ではこれら社員自ら積極的に仕入・販売を行っておりますので、スキルも上がります。それと同時に、もちろん歩合制度もありますので、そういった両面で辞めずにノウハウが蓄積され、それが仕入れや販売の結果を生んでいると考えております。
取材者:どのような方がご指導なさっているのですか。
回答者:開発部の部長、次長、または課長といった管理職が指導にあたります。本来であれば彼ら自らが積極的に仕入れて、なるべくノウハウを教えたくないといった一般論があるのですが、当社では部長には仕入れをさせておりません。自ら仕入れをせずに、チームの売上や貢献を彼らの評価基準としておりますので、むしろ積極的に教えるというモチベーションになっております。
取材者:平面的と言いますか、あまり上下関係なく、チームワークで成果を上げるという体制がすでに出来上がっている点が一番の強みですか。
回答者:5年前に人事評価をフルモデルチェンジしまして、評価をしっかりと変えながら組織もそのように作っていったことが、大きな結果に結びついていると思います。
取材者:今が一番、5年が経過して、営業力や仕入れや販売力といった総合力が一番ついてきている段階に入ってきているということですか。
回答者:まさにその通りです。ですから、前期に急激に数字が伸びたことや、中期経営計画に関しましても、伸び幅をしっかりと想定できているという状況にあります。
取材者:最近、デベロッパーにとっては土地の手当てが非常に難しくなってきているという状況かと思いますが、そういった問題に対しても、地域に特化して密に情報を収集するという形で対応できており、安定的に調達できる体制が構築できているということですか。
回答者:日本の土地の面積は変わりません。ですから、土地を仕入れられるかどうかというのは相対論になります。土地自体が増えるわけではありませんので、他社に対して当社がより多く仕入れるためには、やはり仕入れの手法や、仕入れる担当者一人ひとりの意欲といったところが顕著に結果に表れます。一部のスーパー仕入れマンと言いますか、仕入れのスーパー部長を1人か2人抱えるという方法ではなく、組織全体で仕入れができるチームワーク制にしたというところが大きいと考えております。
取材者:それが安定的な調達に繋がり、売る側に対しても誠意が伝わる形で調達がしやすくなり、他社と競争しても優位に立てるということですか。
回答者:一部のスーパー部長に頼ってしまいますと、どうしても属人的なものになってしまい、その担当者が辞めた際や、気分の変動によって業績が左右されてしまいます。そこを量産化、分散化し、仕組み化したというところが大きな要因です。
取材者:それは城南・城西という土地柄にもフィットするやり方ですか。
回答者:むしろ、この都市型にはよりフィットしていると考えております。
取材者:この5年で実力がついてきて、今後も継続されていくと思うのですが、さらにパワーアップするためにはどういった課題が残っていらっしゃいますか。
回答者:人材の育成に関して終わりはなく、日々そこを強化しております。あとは、いわゆるDXやAIなどを活用し、設計・プランニング、コストダウンの工夫を蓄積して、より生産性を上げるようなところに注力しております。
取材者:具体的に少しお聞きしたいのですが、不動産業界に限らず各業界でDX化による生産性向上が非常に注目されております。現在、貴社におけるDX化の取り組みはどのような状況にあり、今後どのような方向で進めていきたいとお考えですか。
回答者:土地の仕入れもそうですが、私たちの仕事の大半はコミュニケーションが多いのです。現地へ行き、確認し、上に報告し、横に共有し、下に指示するというコミュニケーションが非常に重要です。昔は電話やFAXを使用し、一旦事務所に帰ってからという流れでしたが、現在は全員がスマートフォンを持ち、グループLINE等を作成して、よりスピーディーにコミュニケーションを取っております。そうしますと、コミュニケーションのスピードが迅速な判断にも繋がってまいります。また、土地を仕入れる際には、その土地にどのような建物のプランが立ち、どの程度の家賃が取れるかというプランを入れる必要があります。ここで当社が掲げている垂直統合戦略が活きており、当社のグループ内には建設会社が2社あります。もちろんそこには設計士も在籍しておりますので、自前でプランニングを行うスピードが非常に速いです。AIを活用して様々なプランを作成することも可能ですので、そういった意味でも迅速です。他社が買い付けの検討に何日もかけている間に、当社は検討が速く、買い付けも速いため、多くのチャンスが生まれるというところがDX強化の成果です。
取材者:製造業において、投資の意思決定をしてから竣工して量産化するまでのリードタイムがよく注目されますが、不動産においても当然そのような形になってくるかと思います。それを導入されているというのは非常に素晴らしいことだと存じます。業界平均と比較してどの程度速いのか、また、建設会社を2社抱えていることによってプランニングから竣工までのリードタイムがどの程度にか、教えていただけますか。
回答者:当社ではいわゆるCCCをKPIで設けておりまして、現金の回収サイクルを短くしております。土地を購入する際、物件の引渡を受け資金決済しますと、その資金には銀行の借入金利が発生します。例えば1年半後に売却して初めて資金を回収し利益が伸びるビジネスモデルにおいて、土地を仕入れてから売却するまでのタイムラインをいかに短縮するかを重視しております。土地を購入する際の意思決定や、購入後のプランニング、建物の設計、次に当社の管理会社である株式会社明豊プロパティーズがリーシングをし、ほぼ100%テナントを決めて、同時に投資家に売却していくという一連の作業を垂直統合戦略で行っております。グループ内に子会社の建設会社があることによって、コスト競争力もありますし、品質向上にも繋がっており、結果としてスピードが非常に速くなっております。
取材者:平均するとどの程度の期間で回収できるのですか。
回答者:他社との比較というよりは、建物の階数によって、7階建てや8階建て、あるいは6階建てですと、そもそも期間が異なってまいります。当社は基本的に4階建ての低層を基本としております。4階建てのRC造や鉄骨造なども手掛けておりますが、平均して回収期間は18ヶ月です。他社と比較しますと、やはり3ヶ月前後早いのではないかと認識しております。この18ヶ月という期間が他社と比較してどうかと申しますと、金融機関が他のデベロッパーに融資をしてその返済期間を見ておりますが、当社は非常に早いと評価されております。
取材者:やはり資金を融資してもらう上でも非常に優位ですね。
回答者:返済プランを入れる際にも、例えば昨今の中東地域の軍事トラブルといった外部環境の変動があると、金利の動向も読めなかったりします。そのため、なるべく早くキャッシュを回収していくというスタイルで垂直統合戦略を強化しておりますので、18ヶ月というスピードは競争力が高いと考えております。
取材者:資材高や人件費の上昇、建設労働者不足といった様々なコストアップ要因がありますが、そういったものに対する建築コスト等の面での取り組みは何かございますか。
回答者:もちろん、鉄筋やセメントといった素材はすべて価格が上がっておりますし、人件費も上昇しております。これらは管理不可能な要因です。一方で、そこを内部化し、垂直統合してスピーディーに進めることで、コストアップを吸収して対応しております。他社と比べまして、自前で施工を行っておりますので、コスト管理を徹底できるという点があります。工期が短いということはその分コストが下がっておりますので、現場の作業員がどのくらい時間をかけるかによってコストが発生するところを、短縮することで人件費も安く済みますし、金利負担も安く抑えられます。高騰する資材に関しましても、グループ直系の建設会社が管理しているという点において、しっかりとコスト管理ができていると考えております。
取材者:実コストが見える、透明化されるというメリットもあるのですね。販売されているマンション等は、すべて子会社の2社が請け負うのですか。
回答者:例えば年間で40棟ほど開発する場合、現在のところ子会社での施工は30%前後を目標としております。最終的には半数近くまで引き上げたいと思っておりますが、あえて全てを内製化しない理由といたしましては、他社との比較も含めて検討するためです。
取材者:他社のコスト水準が分かった方が当然良いでしょうから。そういったところも強みになっているのですね。
回答者:競合他社は100%外部の建設会社に委託しているため、コストが言い値になってしまいがちです。当社は自社のコストと比較しながら、外部の建設会社間で競争させることで、より低いコストを引き出せているということになります。
取材者:新築の1棟売りマンションの利回りについてですが、売値に対する賃料利回りの側面でも、お客様に優位な水準を提示できるということはございますか。
回答者:例えば当社では4%前後を出せておりますので、他社さんが3.5%から3.8%程度のところに対して、我々は4%前後の利回りを出せるという点は強みです。また、不動産投資は利回りだけでなく、例えば地方に行き田舎に行けば土地が安いため表面利回りは高くなります。しかし、売却した際に価格が下がるキャピタルロスが生じる可能性があります。稼働率が落ちたり、建物が古くなって家賃が下落するリスクがあります。当社はグループ内に管理会社を持っており、オーナー様と一生涯のお付き合いをしていく前提です。物件をオーナー様から管理受託し、そこから家賃を最大化していったり、場合によっては20年後の売却時までお手伝いをしておりますので、売却損が出ないような場所、それがまさに城南・城西地区を中心としている理由です。そうしますと、利回りが同等、あるいは若干低くても、立地が良いことで売却した際に売却益が出やすくなります。
取材者:トータルリターンとしては非常に優れているということですね。
回答者:LTVを上げていくというところを注視しております。
取材者:KPIについてですが、先ほどのCCCという指標を最も重要視されているということですか。
回答者:その他の指標といたしましては、売上高に対する営業利益率10%以上というところを掲げております。収益性という意味ではそういった点と、ROE15%以上というところをKPIに設定しております。財務面では、自己資本比率30%以上というところを指標としており、その上で先ほど申し上げたCCCの最適化を図っております。
取材者:中期経営計画でも出されておりますが、最近、営業利益率が10%から11%と非常に高水準で推移しており、大変順調な状況かと存じます。業績が向上した要因としては、新しい育成制度やチームワーク制の組織改革と、マーケット環境が良好であったことによって、2024年頃から収益が急激に改善したという理解でよろしいですか。
回答者:その通りです。
取材者:株主の80%強が個人株主とのことで、貴社は配当以外の株主に対するリターンを含めると非常に大きいかと存じます。今後、配当性向などについての考え方や、減配しないという方針はお出しになっているかと思いますが、その辺りの基準はございますか。
回答者:これまで毎年増配を実施してまいりましたが、改めて昨年8月に累進配当制度を正式に導入いたしました。今後も継続的かつ安定的な還元を行っていくことを基本としつつ、配当の絶対値を引き上げていきたいと考えております。
取材者:配当性向など、目安になる基準というのは設けないということで、業績に連動しつつも、多少業績が悪くなっても減配はせずに維持し、業績が良くなれば還元していくというお考えでよろしいですか。
回答者:我々デベロッパーは手元に資金がないと、やはり仕入れに支障をきたしてしまいますので、配当と同様に手元資金を充実させて利益を上げることも、結果的に株価の上昇にも繋がり、投資家の皆様へ還元できると考えております。
取材者:自己資本比率を30%に設定されている理由についてはいかがですか。
回答者:特段の理由というよりは、不動産業界の中で一般的に自己資本比率が30%あれば十分な安全基準であるとされているためです。自己資本を過度に溜め込みに行くというわけではありませんが、その水準を維持することを社内での申し合わせとしております。
取材者:D/Eレシオについてはどのようにお考えですか。
回答者:D/Eレシオを厳格に制限し始めますと、期末に向けて借入額の調整を行う必要が生じたりいたします。当社としては、やはり機動的に物件を仕入れなければなりませんし、最も高値で売却できるタイミングを見極める必要がありますので、そのような縛りは入れたくないと考えております。
取材者:不動産にはどうしても季節性や循環的な動きがあり、どのタイミングでレバレッジをかけるかという判断においては、一時的に数値が悪化しても、先ほどおっしゃったように1年半後には回収できる見込みが高ければ問題ないという理解でおります。ただ、ある程度そこにも基準を設けておく必要があるのではないかとも存じます。例えば中期経営計画の中でどの程度のレバレッジで運営していくのかといった点が、外部から見た貴社のリスク管理の度合いとして評価されるのではないかと思います。
回答者:一応そこの部分に関しましては、借入残高そのものというよりは、棚卸資産があまりにも増えすぎないように、回転期間を調整するということを目安としております。
取材者:D/Eレシオよりも回転期間の方を重視されているということですね。安全性を考えればそちらの方が重要かと存じます。
回答者:キャッシュ・コンバージョン・サイクルを短くすることで回転期間を短縮できております。実際に連結での数値を見ていただいても、その成果が表れてきていることがご理解いただけるかと存じます。当社の借入というのも、すべて土地や建物といった不動産商品に代わっております。仕掛をいかに早くキャッシュ化し、結果的に手元資金を浮かすかが業界の特性でもあります。そのため、キャッシュフローを重視し、借入残高と土地の仕入残高のバランスを注視して経営を行っております。
取材者:お客様についてお伺いいたします。台湾に子会社を設立されるなど、足元で海外展開に非常に積極的でいらっしゃいますが、現在、お客様のうち海外投資家の割合はどの程度いらっしゃるのですか。
回答者:割合よりも物件数で申し上げますと、年間で40件から50件ほど販売していく中で、例えば平均単価7億円の物件をバルクでまとめて10件ご購入いただき、70億円となるようなケースもあります。13件、14件となれば100億円近くに達することもあります。そういった形で海外の投資家様がご購入される場合もあり、そうなりますと棚卸の20%から30%程度が海外の投資家様向けとなることもありますので、そこはケースバイケースとなります。
取材者:足元で外国人投資家に対する不動産購入の規制といった議論が出てきておりますが、その辺りの動きに対するお考えはいかがですか。
回答者:外国人規制という点につきましては、当社の物件は都心のレジデンスである投資用1棟アパート・マンションであり、購入者は大家さんになります。一般の方が居住用に区分マンションを購入されるような市場とは別市場であるため、外国人による投資が区分マンションの市場に直接影響を与えることは少ないと考えております。都心に住む方はほぼ日本人であり、その大家さんが外国人になるという形になります。また、日本で積極的に購入したいという方の国籍は限定的であり、台湾の方や、一部シンガポール、香港の方などが中心です。そのため、規制によって当社が大きな影響を受けることはないと考えております。
取材者:中国本土のお客様はあまりいらっしゃらないのですか。
回答者:中国本土の方よりも台湾のお客様が一番多い状況です。
取材者:セミナーを開催したり、子会社を運営されている人材というのは、外部から採用されているのですか。
回答者:台湾の会社を設立した背景は、中期経営計画でも発表しました「垂直統合から水平展開へ」という方針に基づくものです。何を水平展開するかと申しますと、開発の拠点は水平展開せずに、引き続き城南・城西地区で垂直統合していくのですが、買い手である投資家様の開拓を水平展開しております。以前は都内や地方の地主様が多かったのですが、今後は日本に興味をお持ちの海外の投資家様や、一部欧米の投資家様などもターゲットとするため、台湾に販売拠点を設けました。これにより、セミナーを開催したり営業活動がしやすくなり、必然的に台湾の投資家様が購入される機会が増加しております。
取材者:貴社が仕入れてこれから販売を予定している物件をアピールされるのですか。それとも、お客様のニーズを取り込みながら、そのニーズに合った物件開発にも活かしていくという方法で進められているのですか。
回答者:既に仕入れている物件が常時何十棟もありますので、それらを案内します。彼らは東京の場所の特徴に驚くほど詳しく、その立地を気に入ってご購入されていきます。
取材者:彼ら向けに特別に作るというよりは、要は先方が既に調べており、それにフィットするような物件を出していけば契約に繋がりやすいということですね。
回答者:インバウンドで年間4,000万人の外国人が来日されておりますが、初めての場合は例えば富士山や京都などを訪れます。しかし、5回、6回と来日を重ねると、東京の中目黒など、かなり具体的な場所に関心を持たれます。特に城南・城西地区については非常に詳しくなってきておりますので、我々が売りたい物件と合致するようになってきます。
取材者:私の認識ですと、城南・城西地区は高級住宅街もあれば、古い町工場もあるような地域かと存じますが、そういった意味でまだ土地の案件は出やすい場所なのですか。
回答者:例えば世田谷区などでは、高齢の方が古い家をお持ちのケースが多くあります。相続の際、若い世代はマンションに住みたいといった理由で土地を売却されます。現在、200坪から300坪といった豪邸はあまり好まれませんので、そういった広い土地を当社が買い取り、分割するなどして程よい広さの土地に仕上げます。駅徒歩10分以内で都心へのアクセスが便利であれば、地方から流入してくる若者が賃貸で住むため、アパート・マンション経営がしやすい土地となります。これは台湾の投資家様にとっても同じで、彼ら自身が住むわけではなく家賃収入を得ることが目的ですので、賃貸需要が高く借り手がつきやすい立地が求められます。
取材者:土地の手当てというよりは借り手がつきやすい、場所的にも非常に好都合な案件が結構あるということですね。
回答者:賃料収入がしっかりと入るような場所です。例えば大富豪が住むような松濤や田園調布といった高級住宅街に、若者が賃貸で住むかというとそうではありません。やはり高円寺や目黒などの方が、賃貸需要が高く収益性が上がります。当社はそうした賃料収入の上がるところを選んで購入しております。
取材者:やはりそこが一番のキーポイントなのですね。イメージ的にも大変良い場所ですので、そういったビジネスモデルが取りやすいのではないかという印象を受けました。そうしますと、まだまだ外国人投資家の投資意欲というのは十分に継続するとお考えですか。
回答者:継続すると思っております。
取材者:今後、台湾以外に会社を設立されるご計画はございますか。
回答者:現状では具体的な計画はありませんが、まずはシンガポールや香港、場合によってはニューヨークなどへアプローチする可能性があります。過去のバブル期に海外へ移住された日本人の方が結構いらっしゃいます。日本が一番お金を持っていた時代に海外へ投資された方が多く、現在70歳代などご高齢になられて、やはり日本に戻りたくなるという方がいらっしゃいます。最後は日本で過ごしたいというご要望です。現在は円安ですので、アメリカ等の物件を売却し、ドルを円に換えるのに適した時期と言えます。一方、アメリカで資産を保有したまま相続を迎えると多額の税金がかかるため、日本の物件に資産を組み替えたいというニーズがあります。まさに我々の物件を購入されるターゲットとなり得ます。そういった意味では、物件を購入したいという方はアメリカ等にも結構いらっしゃると思われます。
取材者:そういったところを狙っていくということですね。
回答者:あくまでも日本の物件をご購入いただく富裕層としては、やはりドルを保有している方が有利になります。
取材者:継続的な円安基調であれば、まだまだ日本の不動産は割安ですよね。
回答者:台湾ドルにしても、米ドルやユーロにしても、円転すれば非常に割安です。ただ、文化的に欧米の方が日本の物件を購入されるというスタイルはまだ一般的ではありませんので、欧米に居住され投資されていた日本人の方で、日本に帰国される層に向けて販売していくアプローチになります。
取材者:そういう視点ですね。私の感覚でも、ヨーロッパの方はあまり日本の不動産を購入されないかと思います。
回答者:ただ、現地にお住まいの日本人の方は結構いらっしゃいます。イギリス等でマンションを保有されており、それを売却して日本に戻ろうかとお考えの方に対してアプローチするために、出張所等を設けるといった可能性はあるかと存じます。
取材者:有価証券報告書を拝見した際、ヒストリカルなデータとして大手商社タイアップされたような記載がありましたが、現在もそういったタイアップ等はございますか。
回答者:それはジョイントベンチャーで土地を買い取るといったものですね。当面はそういった取り組みはないかと存じます。
取材者:独自で十分に海外市場等も開拓できるということですね。
回答者:当社は社歴が58年と長いため、過去においては大手企業様とジョイントベンチャーを組んで行っていたこともありましたが、現在は行っていません。
取材者:今後の人材採用などは非常に難しい環境かと存じますが、その辺りの対応や、年間でどの程度新卒を採用していくかという方針についてお聞かせください。
回答者:不動産業界は人がいかに活躍するかが肝ですので、採用活動には非常に積極的です。現在はYouTube等の動画コンテンツを活用しており、特に当社の番組を月に1本配信しております。そこには新卒から3年目などの20代の若手社員が活躍する姿を、20分から30分の動画形式で流しております。面接に来られる方はほぼ全員がその動画をご覧になっておりますので、面接で1時間お話しするよりも、動画を見ていただくことで社風や文化を深く理解していただき、入社に繋がっております。今後もそういった取り組みを強化していきたいと考えております。
取材者:初任給を引き上げる等の方針を取られているわけではなく、ですね。
回答者:結果的に業績が向上いたしますと社内還元も行っておりまして、直近の日経新聞の調査では、目黒区に本社を置く上場・非上場企業の中で、当社の平均年収が上位3位に入りました。目黒区には多数の企業が本社を構えております。結果として年収も上がってきておりますので、若手に対しても良い影響があると考えております。個人のインセンティブや歩合に差をつけて競い合わせる文化ではなく、チームワークによって会社全体が良くなれば、全員にしっかりと還元されるという点に重きを置いております。
取材者:一部のスーパースターに頼るのではなく、チームワークで全員の年収を共有して上げていくという方針ですね。共存体系的な発想ですので、今の若年層にはそういった方針が合っているのでしょうね。非常に興味深いお話を伺うことができました。
回答者:お時間があれば、ぜひ当社のYouTube動画もご覧になってみてください。「デベロッパー師たち」という企画をすでに6本ほど作成しておりまして、1本20分程度の動画ですが、ご覧いただくと面白いかと思います。また、新卒から3年目の若手だけで構成された「MU-3」という動画もあります。こちらも10分から20分前後の動画で、若手が溌剌として活躍している雰囲気がよく伝わるかと思われます。
取材者:貴社としてここを広く強調したい部分がありましたら、ぜひお聞かせ願いたいと思っておりますがいかがですか。
回答者:第一に、先ほど申し上げた対象地域に特化しているという点です。ドミナント戦略が効きますので、不動産業は情報産業でもあります。どこに良い物件があるか、どこに売り物があるかという情報を幅広く広げすぎてしまうと、コアな情報が入手しにくくなりますので、地域を絞り、徹底的に入り込むことによって、なかなか手に入らない貴重な情報が入ってくるという戦略性が非常に大きい点です。第二に、不動産デベロッパーを取り巻く金利や資材の高騰といった外部環境は管理不可能な要因ですが、いわゆるCCCを最適化し、早期にキャッシュ化していくことを非常に重視しております。高層マンションよりも低層物件を自前の建設会社でよりスピーディーに建築、販売していく点です。不動産は景気循環産業であり、過去のバブル崩壊時も地方から価格が崩れていきましたが、東京の中心部は下落が遅く、保有していれば最終的にはまた価格が上昇することもあります。この都心に特化して開発期間を短くしているという点をアピールしていきたいです。最後に、物件の販売を個人の属人的なスーパースターに頼るのではなく、仕組み化したことによって若手社員にどんどんチャンスを与えているという点をアピールしてきたいと思っております。
取材者:例えば、城南・城西地区といった特定の場所に特化していることによるリスクというものは何かございますか。
回答者:リスクはないと考えております。
取材者:全体的に貴社の業績は今後も上がっていくかと存じますが、金利等の外部環境以外に、リスクと考えられる要因はどのようなものがございますか。
回答者:内部要因として挙げられるのは、土地価格が上昇して不動産が仕入れられなくなることです。土地の価格が上昇し、それに比べて家賃が上昇しないと利回りが低下してしまいます。現在は土地の高騰にともない家賃も上昇しているため上手く消化できておりますが、家賃が上がらずに土地だけが上昇する局面になると、仕入れが非常に困難になります。
取材者:やはり上手くお金が回っていかないと、家賃も上がっていきませんものね。
回答者:よくある間違いとしては、家賃利回りが合うエリアに進出したがることです。地方に行きますと、土地価格高騰の波がまだ到達していないため、九州や仙台などは購入できてしまいます。一定の家賃収入が得られるため、一見すると利回りは高く取れるように見えます。しかし、後に土地価格が下落する局面になった際、地方の土地から真っ先に下落いたします。そこで多くのデベロッパーが失敗するため、当社はそのような地域には進出しないようにしております。
取材者:特定の場所に特化している点が非常に特徴的かと存じますが、次に狙うエリアはどこになるのですか。
回答者:エリアは移動せずに、引き続き同じ場所で展開いたします。例えば、現在の4階建てを中心とした投資用マンションからもう少し階数を上げていくことや、古い建物をリニューアルして販売していくなど、商品の幅を増やしていく方針です。地域は変えません。不動産は動かない資産であり、情報の収集も仕入れもすべて地域性が重要となります。
取材者:城南・城西というエリアで、4階建て以上の高い建物は作られないのですか。
回答者:現在も作っております。新商品として『LOS ARCOS(ロスアルコス)』という商品発表をしたのですが、これなどは10階建ても建築しております。ただ、数は少ないです。
取材者:まだまだこの地域で貴社は成長していけるとお考えですか。
回答者:日本は世界的に存在感がなくなったと言われておりますが、人口も経済力も依然としてトップクラスです。東京の人口と経済力は、ヨーロッパの一つの国に匹敵するほどの規模があります。ですから、東京単体で見てもまだまだ開発の余地があると考えておりますし、高齢の方が所有されている土地も非常に多くあります。東京は若者が土地を購入していないため、現在どんどん相続で土地の世代交代が進んでおり、このようなチャンスはまだまだあると考えております。
取材者:城南・城西地区にまだまだ可能性があるというデータのようなものがあると嬉しいですね。地域が限定されていると、外部から見た際に、既に開発し尽くされているのではないか、時間の問題ではないかと思われがちですので。
回答者:その点は大丈夫です。東京の土地のポテンシャルと当社の規模感を勘案しますと、開発の限界はなかなか見えづらいと思います。もし東北や福岡に特化しているとなれば限界が見えてくるかもしれませんが、首都圏の城南・城西地区において当社の規模感であれば、その限界は見えないかと存じます。
取材者:他社もやはりこのエリアを狙っているわけですか。
回答者:もちろん狙っておりますが、当社は近い将来、城南・城西地区の1棟アパート・マンション市場でナンバーワンになると確信しております。ナンバーワンという実績が枕詞としてつけば、ナンバーワンだからこそさらに良質な土地情報が集まってくるようになります。
【本内容は2Q決算発表(2026年3月17日)前に取材】
2026年7月期第2四半期決算
大幅な増収・増益で推移。
売上高:14,861百万円(前年同期比26.5%増)
営業利益:1,440百万円(同37.0%増)
経常利益:1,202百万円(同67.0%増)
親会社に帰属する四半期純利益:859百万円(同86.7%増)
ビジネスモデルや事業内容
東京都内の23区、特に城南・城西地区に特化して物件を仕入れ開発・販売する1棟のアパート・マンションの投資用デベロッパー。主なターゲット層は国内外の投資家であり、購入者が大家となる賃貸経営向けの物件を提供する事業形態。
創業の経緯と転機となった出来事
社歴は58年と長く、過去には大手企業とジョイントベンチャーを組む時期もあったが、現在は独自展開の実施。最大の転機は5年前の人事評価のフルモデルチェンジ。管理職自らが仕入れを行わずチームの売上を評価基準とする体制へ移行したことで若手へのノウハウ継承が進み、組織全体の総合力が向上したという経緯。
直近の決算状況
【2026年7月期1Q】
2026年7月期第1四半期の売上高は4,921百万円(前年同期比31.6%減)、営業利益は411百万円(前年同期比44.3%減)、経常利益は180百万円(前年同期比69.7%減)という実績。前年同期比における減収減益の要因は、前第1四半期に売却予定物件の期ずれによる売却が複数あったことによる売上高の減少と、人件費や融資関連費用の増加。しかしこの前年同期比減は期初の計画に織り込み済みであり、第2四半期以降での売上増加に伴い販管費等は回収される見込みであり、通期業績予想に向けて順調に進捗している状況。
特徴や強み
城南・城西地区へのドミナント戦略による高密度な情報収集力と、新卒から育成した20代の若手社員が同時多発的に仕入れを行うチームワーク制により、属人化を排した安定的な調達力。また、グループ内に建設会社2社と管理会社を持つ垂直統合戦略により、自前での迅速なプランニングと徹底したコスト管理が可能となる構造。これにより、土地仕入れから売却までのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を他社より約3ヶ月早い18ヶ月程度に短縮し、資金効率の飛躍的な向上。さらに、自社管理による将来の売却益確保を見据えた立地選定により、他社より高い賃料利回り4%前後の水準を提示できる競争優位性。
成長戦略
「垂直統合から水平展開へ」の方針のもと、城南・城西地区での開発体制は維持しつつ、買い手である投資家の開拓を海外へ水平展開していく戦略。具体的には台湾に販売拠点を設け、円安を背景とした海外投資家や海外在住の日本人富裕層への販売機会の拡大。さらに、スマートフォン支給やコミュニケーションツールの活用、AIを利用した迅速なプランニングといったDX化を推進し、仕入れの意思決定スピードを劇的に高める生産性向上。
株主還元策
昨年8月に累進配当制度を正式に導入し、継続的かつ安定的な還元と配当の絶対値引き上げを基本とする方針。配当性向などの目安はあえて設けず、デベロッパーとして不可欠な手元資金を充実させて事業利益を拡大し、結果として株価上昇を通じて投資家へより大きく還元する考え。2026年7月期の年間配当は7期連続累進配当となる13円/株を予想しており、新たに1,000株以上保有の株主に対して年2回デジタルギフトを進呈する株主優待制度の導入。
中期事業計画について
前期の急激な業績伸長を踏まえ、今後の伸び幅をしっかりと想定した計画。財務および業績のKPIとして、売上高に対する営業利益率10%以上、ROE15%以上を収益性の目標とし、財務面の安全基準として自己資本比率30%以上の維持。D/Eレシオによる厳格な制限よりも棚卸資産の回転期間を調整し、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)を短縮して手元資金を浮かすことを最も重視した経営管理。
今期の取り組みやトピックス
第1四半期の開発物件売却は5件、開発用地取得は下北沢や緑が丘など8件の実績。対象エリアである城南・城西地区を変えることなく、従来の4階建て低層物件に加え、10階建ての高層物件の建築や古い建物のリニューアル販売を行うなど、商品の幅を増やす取り組み。また、高騰する資材価格や人件費などの外部環境のコストアップ要因に対しては、グループの建設会社を用いた内製化による工期短縮とコスト管理の徹底で影響を吸収する施策。
代表取締役会長兼社長 矢吹 満 様
