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中本パックス(株)

東証STD 7811

決算:2月末日

20251029

CP&X


【2026年2月期2Q】

決算概要

2026年2月期第2四半期は、売上高24,986百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益1,611百万円(同3.2%増)の増収・増益を達成したが、経常利益は1,567百万円(同3.6%減)、中間純利益は1,059百万円(同15.0%減)と減益着地である。「経常減益」については、外貨建貸付の評価損によるものである。全体の業績は計画通りに推移しているとの認識である。原材料費が大幅に増加した一方、値上げ効果や、中本アドバンストフィルムの利益貢献があったこと、および生産効率の改善により、粗利率の維持に努めたことが営業利益増加の主な要因である。


セグメント別または事業別の増減要因

食品関連は売上高が前年比2.8%の増収となったが、トップシールのコンビニエンスストアについては、採用が計画より遅れている。そして、コンビニの印刷無地化により、計画比で783百万円の未達となった。一方、冷凍弁当の製造販売を手掛ける株式会社シルバーライフなど新たな業界への積極的な営業活動を進めている。IT・工業材関連はモバイル、産業資材、半導体関連が牽引し、売上高4.1%増、利益7.8%増となったが、自動車関連は売上が減少した。建材関連は戸建て着工件数およびリフォーム件数の減少という外部要因により、売上高11.0%減、売上総利益22.8%減となり、特に利益率の高い機能性建材の大幅な減少が収益に大きな痛手を与えている状況である。


主要KPIの進捗と変化

企業側は特定の個別KPIを公表しておらず、全体として売上と粗利を確実に確保することを最重要戦略と位置付けている。生産性向上策として、インキ・材料の選定、段取り時間短縮など過去からのノウハウを活用した技術的な取り組みを行っており、コスト効率と品質の両立を目指したものである。


季節性・一過性要因の有無と影響

一過性のネガティブ要因として、食品関連では中国の子会社の利益が減少した。また、IT・工業材関連のスマートフォン部材において、中国での加工が減少。これは機械トラブルがあって、いただけるはずの注文がもらえなかったということがあった。このことにより、第2四半期に予定されていた立ち上がりが遅延したことが業績に影響を与えた。これらの見込み違いは第3四半期以降で回収していく計画である。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しについては、中間期の純利益は前年比マイナスであるものの、現時点では基本的に計画通りに推移していると認識している。一部で数字が落ち込んでいるように見える可能性については、第1四半期の好調の反動や前年第2四半期の好調の反動によるものであり、想定の範囲内である。計画通り進捗しているとの見解から、通期ガイダンスの達成可能性に強い懸念を示す言及は特に見受けられない状況である。


トピックス

生活資材関連では、大手小売店が自社開発・製造を進める中でNB商品の販売が厳しくなってきている。アールが展開する「Goodna」ブランドを通じたECサイトでの販売強化とOEM戦略(PB商品)の提案強化を成長戦略の柱としている。なお、埼玉に新設予定の工場に関しては、既存建物購入後の整備および導入機械の選定に時間を要したため、テストコーターの導入スケジュールが当初予定の2025年中から2026年5月稼働予定に変更となっている。

・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年2月期の売上高は491億3,200万円で前期比10.8%の増加、営業利益は28億7,100万円で前期比58.2%の増加、経常利益は29億800万円で前期比24.2%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,000万円で前期比90.1%の増加となり、大幅な増収増益を達成。過去最高の業績を記録した。業績増大の最大の要因は食品関連の売上伸長であった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    食品関連の売上は前期比18.2億円増、金額にして26億2,400万円の増加となった。内訳としては、容器成型が3.4億円増、包装材印刷が0.3億円増、紙容器関連が0.8億円増、中本アドバンストフィルムが18.5億円増、容器印刷が4.5億円増と、食品関連各分野が幅広く売上増加に寄与した。特に農産物のフードパックおよび容器成型とシート印刷が大きく伸びたことが特徴である。IT・工業材においては、スマートフォン関連の受注が上期に集中したことがあったものの、当期も前期同様の仕事量が見込まれている。また、IT・工業材の中でも粗利率は低いものの、数量と品質で信頼を得ている産業資材・自動車関係の仕事も継続して受注予定。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    期初計画では売上全体がさらに上昇すると見込んでいたものの、食品関係においてコンビニのトレーの印刷が当初予算には計上していたものの、結果としてほぼなくなったことと、トップシールが期待以上に伸びなかったことのマイナスにより、計画に対して進捗が抑制された。IT・工業材のスマートフォン関連においては、年間では想定以上の受注があったものの上半期に多くの注文が短期間で集中したという短期的な波が存在した。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年2月期の通期業績見通しとして、売上高520億円(前期比5.8%増)、営業利益30億2,500万円(前期比5.4%増)、経常利益31億円(前期比6.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20億1,100万円(前期同等)を計上している。この見通しにおいて、農産関係や食品関係は確実に売上が伸びると予想しており、これは確実な受注状況に裏付けられたものである。IT・工業材分野のスマートフォン関連も昨年同様の仕事量を確保できる見込みである。一方で、電子部品を含む半導体関連の市場が未だ明確に回復していないため、その回復時期が売上高の上限を規定する可能性があると認識している。既存の仕事は堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めていく方針である。

     

    トピックス

    今後の成長戦略として、冷凍弁当を扱う会社との連携強化、RNスマートパッケージにおけるラベルレストップシールのさらなる普及推進、そして海外販売比率を10%まで引き上げる方針が示された。加えて、埼玉工場に隣接する土地と工場を取得し、二次電池関連の試作工程をテストコーター機導入により、この分野へ注力する準備を進めている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略の主要なポイントは多岐にわたります。今後の取り組みとしましては、RNスマートパッケージ関連事業においては、特にラベルレストップシールの普及をさらに推進していくことで、環境配慮型製品の提供と市場シェアの拡大を目指します。同時に冷凍弁当の製造販売を行う企業との連携を強化し、新たな市場ニーズへの対応と事業拡大を図ってまいります。海外での販売比率も重要な戦略目標であり、これを10%まで引き上げていくことを目指し、グローバル展開を加速してまいります。加えて、IT・工業材分野、特に粗利に貢献する電子部品の領域に注力する方針でございます。現在の半導体市場が明確に回復している状況にはございませんが、既存業務を堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めてまいります。さらに、新たな取り組みとして、現在保有する埼玉工場に隣接する土地・工場を取得いたしました。この新施設を活用し、二次電池関連の試作工程をテストコーター機導入により、実際に稼働可能な環境を整備することで、当該分野に注力していく計画でございます。

     

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:成長戦略を進める上での前提条件といたしましては、現在の半導体市場の動向が挙げられます。報道等でもご承知の通り、半導体関連市場が明確に回復している状況にはございません。この市場状況がいつ回復するかによって、当社の売上高の上限が規定される可能性があると認識しております。また、期初計画との比較では、無地化によるコンビニトレーの印刷が消滅、トップシールの伸び悩みにより、売上全体が当初想定よりも伸び悩んだ側面もございました。

     

    Q:通期業績の見通しや進捗率、施策の進捗状況についてご説明ください。

    A:2026年2月期の通期業績見通しとして、売上高520億円、営業利益30億2,500万円、経常利益31億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億1,100万円を計上しております。この見通しは、農産関係や食品関係において確実な売上伸長が見込まれていることに裏付けされております。一方で、IT・工業材分野では、半導体関連市場の回復がまだ明確ではないため、その回復時期が売上高の上限に影響を与える可能性を認識しており、既存の仕事を堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めてまいります。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aに関しましては、現在も継続的に検討を進めている状況でございます。 M&Aは秘匿性の高い事項が多いですが、基本的には食品関連事業を中心に、当社が現在保有していない技術、例えば製造プロセスの川上や川下といった領域で、当社では対応できない技術を持つ企業を探しております。もしM&Aの条件が合致する企業が見つかれば、これを実行し、当社が不足する技術や既存技術をさらに強化・拡大していくことで、事業の競争力強化と成長に繋げていくことを企図しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元の方針につきましては、従前より変更はなく、将来の経営環境の変化に対応できるよう財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を図りながら安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行う方針を継続してまいります。

  • 取材者:まず初めに、2025年2月期の決算状況についてお聞かせいただきたいのですが、売上高は491億3,200万円で前期比10.8%増加 、営業利益は28億7,100万円で前期比58.2%増加、経常利益は29億800万円で前期比24.2%増加 、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,000万円で前期比90.1%の増加となり、大幅な増収増益を達成し、過去最高の業績を達成されたとのことですが、増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:一番大きな要因は食品関連が大きく伸びたことです。前回もお話させていただいたかと思いますが、農産物のフードパック、容器成型とシート印刷が大きく伸びました。食品関連の売上としては26億2,400万円の増加、対前年で18.2億円の増加となります。容器成型が3.4億円増、包装材印刷が0.3億円増、紙容器関連が0.8億円増、中本アドバンストフィルムのプラス分が18.5億円増、そして容器印刷が4.5億円増となり、売上が伸びました。

    取材者:期初からの計画と比較して、進捗度合いはいかがでしたか。

    回答者:元々売上全体としてはもう少し上がると考えていたのですが、やはりトップシールとコンビニトレーの無地化のマイナスがあったため、若干売上が落ちたという形になります。

    取材者:人の採用面では、前期と比較して採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:新卒採用を含め、中途採用も適材適数を採用しておりますので、前回よりも若干増えているか、前期と同程度です。

    取材者:その他、貴社の中で主要なKPIの数値はございますか。

    回答者:私達は通常KPIという言葉を使いませんが、重要な業績の評価として次の指標を目標としています。「ROE」:13%以上、「海外売上比率」:10%以上としています。同時に「資本コストや株価を意識した経営」を目指すべく日々邁進しております。

    基本的には売上と粗利益を毎年着実に積み上げて利益を出していくことが私達のミッションとなっております。

    取材者:好調だった食品関連については、売上総利益率が10%から14%に上昇しているとのことですが、どのような要因や施策があったのでしょうか。

    回答者:一番大きな要因は、中本アドバンストフィルムの貢献です。これが最も大きい部分です。売上総利益も約10億円増加し、中本アドバンストフィルムと子会社合わせて6億2,000万円程度の利益貢献がありましたので、これは非常に大きかったです。それと、長年の懸念材料であった価格転嫁により、製造コストの上昇分は概ね吸収できました。

    取材者:それは、値上げの進捗も順調に進んでいるという認識でよろしいですか。

    回答者:そうですね、完全にではないですが、私達のところで賄えるものやお願いできるものは進めております。

    取材者:当期純利益が前期比で約2倍となっていますが、これはこれまでの先行投資の成果が表れた結果と見てよろしいでしょうか。

    回答者: 2024年2月に完全子会社化した中本アドバンストフィルムの11か月分の貢献などがあり、M&Aの成果が表れた結果となりました。また、前期は関係会社の売却に伴う減損損失が発生しておりました。先ほども申し上げましたが、売上を上げ、粗利益をしっかりと確保していくのが私どもの経営方針です。

    取材者:2025年2月期に関して、何か外的要因や季節性、あるいは加速要因的なものはございましたか。

    回答者:毎年決算発表の際にお話させていただいておりますが、農産物のフードパックが好調であるということについて簡単にご説明いたします。ご存知かもしれませんが、テレビCMでブロッコリースプラウトが取り上げられたことで、生産者様の売上が上がり、弊社にも多くの仕事が回ってきました。ただ、農産物は毎年、工業製品と異なり同じものが同じ数量出るとは限りません。例えば、キウイが良かった時期はキウイ、トマトが良かった時期はトマトというように、様々な形で需給が変化します。この仕事というのは、厚みのあるフードパックで、野菜や果物が入っている透明の容器を成形して色を付ける技術は、他ではあまりないようです。私どもはその技術に強みを持っておりますので、そういう点では非常に仕事が回ってきますし、なくならないという形で、ありがたく仕事をさせていただいております。

    食品関連が好調だった要因については、冷凍食品及び乳製品の好調も売上に寄与しました。

    あとは、ラベルレスサーマルトップシールですね。前回もお話させていただいたと思いますが、コンビニエンスストアのサラダなどの嵌合蓋から、プラスチック容器に直接シールを貼ったような包材のものです。これがなかなかうまく進んでいないのが現状です。なぜ進まなかったかというと、実は弊社はフィルムを加工しているだけでなく、機械も一緒に購入していただいているからです。大手コンビニエンスストアであれば、その会社のトップが導入を決定すれば、フランチャイズを含め多くの店舗で機械も一緒に購入していただけるのですが、機械は高額なので、その機械を購入していただかないと意味がないため、案件が止まっているところもありました。実際に私たちが思うように進んでいないのが事実です。しかし、2026年2月期、今期に関しては確実にそれが導入されるという試算をしておりますので、トップシールがこれから伸びていくことを楽しみにしております。それとトップシール関係に付随しまして、冷凍弁当がございます。以前、私達とリコーさんが共同で設立したRNスマートパッケージングでニュースリリースを出させていただきました。シルバーライフ様は冷凍弁当を製造・販売しており、忙しいライフスタイルや健康志向の高まりを背景に冷凍弁当市場が急速に成長しています。そこにラベルレスサーマルトップシールをご採用いただきました。生産効率の向上と廃棄物の削減を目指して、これからも確実に伸びていくだろうと期待しております。

    取材者:その中で、2026年2月期の通期見通しについてもお聞かせいただきたいのですが、業績予想としては売上高520億円で前期比5.8%増加 、営業利益30億2,500万円で前期比5.4%増加 、経常利益31億円で前期比6.6%増加 、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,100万円で2025年2月期と同等の数字で計上されているかと思いますが 、見通しについてお伺いしてもよろしいですか。

    回答者:食品関係はこれからもまだ売上は伸びていくと予想しています。継続して仕事がもらえている状況ですので、これは確実に伸びるだろうということで売上をプラスにしました。

    回答者:あとは、IT・工業材があるのですが、前回もお話させていただいた通り、スマートフォン関係に関しては、今年も仕事をいただける見込みです。ただ、前回は短期間に多くの注文をいただき、下半期も引き続きいただいてはいましたが、上半期に比べると下半期の受注が少なかった部分もございますので、どのような波で売上が上がってくるのかはまだ分かりません。仕事に関しては昨年同様にいただけていると聞いています。加えて、私達が非常に期待している半導体関連、電子部品パッケージ素材です。産業資材、自動車関係はIT・工業材の中でも若干粗利率が少ないのですが、粗利率が少ない中でも仕事は取っていかなければなりませんし、逆に数量と品質に関しては弊社の工場を頼りにしてくださっているので、粗利率が少ないからといって仕事をやめるわけにはいきません。ありがたいことに、その仕事もしっかりこなしながら、IT・工業材の中でも粗利につながるスマートフォン用途、半導体関連の電子部品などの分野をしっかりと取りに行きたいと考えております。ただ、市況でもご存知の通り、まだ明確に半導体関係などがしっかりと回復しているという話はないと思いますので、それがいつ戻ってくるかによって売上の上限はあるかと思いますが、既存の仕事をしっかりとこなしながら、半導体関係を取り込んでいきたいと考えております。

    プラスアルファですが、これもリリースさせていただきましたが、実は埼玉に土地と工場を取得しました。これは現在も埼玉工場を持っているのですが、そこに隣接した土地工場を取得することができましたので、この工場を使って二次電池関連の試作工程、テストコーター機を導入し、実際に稼働できるような環境を整えて、そこに力を入れていきたいと考えております。

    取材者:先ほどから中本アドバンストフィルムや冷凍食品の会社の話も出ていましたが、現在M&Aや業務提携に関して、実施のご予定や検討状況はいかがでしょうか。

    回答者今は何とも言えませんが、あくまでも食品関係を中心に、私達が持っていない技術、例えば川上や川下、私達ができない技術を持っているところを探し続けていると思います。そことM&Aの条件が合いましたら、M&Aを実施して、さらに私達の持っていない技術や持っている技術をさらに大きくすることで、M&Aは継続して検討していくというのが現状です。

    取材者:承知いたしました。株主還元策につきまして、方針の変更などはございましたら教えていただけますか。

    回答者:株主還元につきましては、将来の経営環境の変化に対応できるよう、財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を図りながら安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行うという方針は変わっておりません。現在株主優待としてクオカードを差し上げております。また、東証などからご指摘がある通り、「資本コストや株価を意識した経営」に関して、現在も企業活動を行いながらしっかりと対応してまいります。まずはROE、PBRをしっかりと上げるような施策を作り、累進配当はしておりますが、やはり売上をしっかり上げていくことを重視しております。上げた売上の中から私達の次のステップを踏みながら、先ほどおっしゃっていただいたようなM&Aをしながら資金も確保し、適切に株主に配当していく。そのためには、やはり売上・利益をしっかりと上げていくことを継続して続けていくのが今の会社の方針でございます。

    取材者:承知いたしました。その他、足元のニュースリリースやトピックス的なものはございましたら教えていただけますか。

    回答者:今のところは、先ほど申し上げた冷凍弁当の会社と一緒にやっていくこと 、それとRNスマートパッケージ関係でラベルレストップシールをさらに広げていかないといけないと考えております 。それと、海外での販売比率を上げていきたいと考えており、10%まで引き上げていきたいと思っております 。

    取材者:今はちなみに何%くらいですか。

    回答者:今は7.08%くらいです。

    取材者:その7.08%を、例えば2026年2月期中に10%くらいまで、という目標値ですか。

    回答者:2026年2月期は少し厳しいかもしれませんが、少しずつ上げていきます 。2025年2月期は、前年に比べたら0.11ポイント増えました。やはりこの辺りを確実に海外の比率を増やしながら、海外での販売網を開拓していきたいと考えております。

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X
     

    ビジネスモデルや事業内容

    中本パックスは、祖業を洋紙販売・印刷会社としてスタートした。現在は主に食品トレーやヨーグルト容器の蓋、ラベルレスサーマルトップシールといった食品包装材の印刷加工を主力事業とする。その他、IT工業材関連としてスマートフォン部品固定用フィルムや電子部品のパッケージ素材、自動車内装材、生活資材関連として布団圧縮袋等の包装材・工業材の印刷加工・コーティング加工も手掛ける。


     

    創業の経緯と転機となった出来事

    戦後、台湾で培った紙の販売や印刷のノウハウを活かし、創業。当初は紙の販売業だったが、雪印メグミルクの前身であるクローバー乳業との取引をきっかけに、紙の加工、そして印刷へと事業を展開。さらに、業界で初めてカラートレーの印刷を手掛けたことが、本格的な発展へとつながった。


     

    直近の決算状況

    足元の業績は、価格転嫁の進展や生産性改善により増収増益を達成。特にスマートフォン部品固定用フィルムの販売が好調だった一方、その売上は上半期に偏っている。


     

    特徴や強み

    当社のビジネスの強みは「4つの技術(グラビア印刷・コーティング加工・ラミネート加工・素材開発)」により多様な用途へ展開しながら、全天候型経営を推進している。用途別に食品関連として食品トレーのような容器成型加工が主流であり、IT工業材関連は、スマートフォン部品固定用フィルム、電子部品のパッケージ素材や車の内装材、生活資材関連では布団圧縮袋などの包装材・工業材の印刷加工・コーティング加工を展開している。高い技術力と特殊な設備を活かしたニッチ分野が強み。


     

    成長戦略

    今後は、海外売上比率の拡大を目標に掲げ、M&Aによるシナジー創出や人材育成にも力を入れていく方針である。


     

    人材育成

    「事業は人なり」という社是のもと、人材育成に注力。社員に会社を任せて経営者感覚を養う、あるいは他社の子弟を預かり教育を施した上で返すなど、独自の育成方法で人材育成に取り組んでいる。

  • Q:貴社のビジネスモデルについてお伺いいたします。包装材の印刷加工プロセス、つまり印刷加工やラミネート加工工場での加工を含め、商品を入れる前の作業を全て貴社で行っているという認識で正しいでしょうか?

    A:貴社のご認識の通りではございません。主には印刷を担っております。主な商品は、スーパーなどで刺身やお肉などが乗っているようなカラーの食品トレーでございます。そのトレーへの印刷が当社のメイン事業でございます。お客様で上場会社様を例に挙げますと、エフピコ様という会社がございます。エフピコ様のトレーに当社で色を塗り、エフピコ様に納め、トレーとして市場に出回るという流れでございます。従って、当社では印刷の加工、中間加工という形になります。
     

    Q:貴社には5つほど用途別区分があると思いますが、それぞれの用途別区分の特徴や強みなどを含めてご説明いただけますか?

    A:用途別区分についてご説明いたします。食品用途とは、先ほど申し上げたようなトレーの印刷や、一般の包装材でございます。食品関連では、マーガリンなどのカートンや、ヨーグルト容器の蓋材への印刷など、そういった関係のものを扱っております。こちらは、500g入りのヨーグルト容器などの蓋に使用されるような厚手の素材でございます。この厚みのものに印刷ができる会社というのは日本でも数社しかなく、ニッチな分野ではトップシェアでございます。 現在注力しているのは、リコー様と共同で立ち上げた「ラベルレスサーマルトップシール」という素材でございます。従来、コンビニエンスストアで購入するサラダの蓋は嵌合タイプが主流でしたが、近年はシールタイプが主流になってまいりました。この素材の需要拡大を見込み、今後注力してまいります。これら二つは比較的オリジナル性の高いもので、食品トレーの印刷等含めて、高いシェアを有しております。 直接の競合というのはあまりございませんが、食品関係で近いところでは上場会社様で言うと、大成ラミック様、段ボールを製造しているレンゴー様の子会社で朋和産業様、フジシール様でございますが、それぞれ得意分野がございますので棲み分けができているというような状況でございます。
     

    Q:先ほど伺った厚手のヨーグルトの蓋の部分と、トップシールに印刷する技術は全く別物のように思えるのですが、どちらも高い技術が要求されるのを貴社では可能にされているということでしょうか?

    A:技術というより、設備による部分が大きいのでございます。それを可能にする設備をお持ちの会社が少ないというところが一つございます。同時に技術やノウハウも重要でございます。加えて、素材によって使用するインキが特殊なこともあり、機械の適性が合っているかなどの設備とノウハウの面で特徴があるとご理解いただけたらと存じます。
     

    Q:IT工業材関連の増収要因について詳しくご説明お願いできますでしょうか?

    A:スマートフォン向けのフィルムが大きく躍進いたしました。それが一番の要因でございます。年間の仕事量を「10」とすると、それを前倒しして上半期に「7」、下期に「3」という割合で仕事が偏っている状況でございます。上半期に仕事、売上と利益が偏っております。
     

    Q:それは想定通りでしょうか?機種の場合、上半期に集中することは想定していますでしょうか?

    A:ここまでは想定しておりませんでした。上半期が多いのは例年の傾向ではございますが、ここまで偏るとは思っていませんでした。
     

    Q:どういった外的要因が考えられますか?

    A:最終のお客様とお話ができていないので憶測にすぎませんが、夏に発売された今年のモデルはAI対応機種というところで力を入れて作られた結果、前倒しで部材も調達されたのではないかと考えております。あとは売り上げも期待されていたと存じますが、実際それほど良くないと聞いております。今後のことはわかりかねますが、そういった要因があると推測いたします。
     

    Q:中期経営計画の施策の中に、今後海外での売上比率を10%以上に持っていきたいという記載があったと存じますが、アメリカでの販路拡大について何か具体的な取り組みや策などがあれば教えていただけますでしょうか?

    A:あまり表には出していませんが、リコー様と合弁会社を立ち上げました。リコー様の販売力を使いながら、当社の商材を展開していただいております。今までは自動車の内装材を中国やベトナムから持って行って販売していた分に加えて、食品の包材などもリコー様のルートに乗せて販売強化を図っていきたいと考えております。
     

    Q:今後も積極的にM&Aなどを進めていくということですが、どのようなところをターゲットにされているのでしょうか?

    A:主に食品分野で同じような仕事をしているところでございます。単に印刷だけを生業としているのではなく、例えば上流でフィルムを製造、下流で印刷した後、袋にする機能があるなど、コーティングの方式も各社違いがあるので、当社が持っていない設備や技術を有する会社であればなお良いと考えております。あとは、生活雑貨で同じような仕事をしているところがあればシナジーが出せるのではないかと考えております。
     

    Q:創業の経緯と創業者の想い等について教えていただけますでしょうか?

    A:元々は紙の販売業として創業いたしました。台湾の地で身に着けた紙の販売や印刷のノウハウを活かし、戦後日本に帰国して創業いたしました。紙の販売を契機に事業を進める中で、乳業メーカーのクローバー乳業(現在の雪印メグミルク様)との取引が始まったことが転機となり、紙の加工、そして印刷という分野に発展してまいりました。丁稚奉公から蓄積した知見と、今後伸びていく分野の大事なお客様との接点が生まれて発展してきたという歴史がございます。印刷の仕事からカラートレーの印刷を業界で初めて手掛け、本格的な発展を遂げていくまでには、苦労されてきました。そこから学んだことは、事業を進めていくには「人」が大事ということで「事業は人なり」という社是を掲げて、「人」を育てて社会に還元するということを基本に事業をしてきました。会社の発展途上においては、任せられる社員には会社を作って任せて経営者感覚を磨かせ、他の会社の子弟であれば教育してお返しするなど、競争させて経営者感覚を身につけてもらいました。人の教育、経営者の育成に力を入れてきたことが現在の礎になっていると存じます。判断もそれなりにできる人材が上場までにある程度育っていたというところが事業の発展につながってきたと考えております。
     

    Q:カラートレーを業界で初めてやられているということでしょうか?

    A:エフピコ様も同様の見解を示されていますが、エフピコ様のトレーに当社が印刷を載せているところが肝要であり、トレーの印刷は当時当社しかできなかったからでございます。ポリスチレンという素材に印刷できるインキがそれまでなかったものですから、ここは当社が最初に手掛けたという自負がございます。

  • 取材者: 貴社のビジネスモデルについてお伺いします。包装材の印刷加工プロセス、つまり印刷加工やラミネート加工工場での加工を含め、商品を入れる前の作業を全て貴社で行っているという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: そうではなく、主には印刷になります。主な商品は食品トレー、スーパーなどで刺身やお肉などが乗っているようなカラーのトレーです。そのトレーへの印刷が当社のメイン事業です。お客様で上場会社様を例に挙げますと、エフピコ様という会社があります。エフピコ様のトレーに当社で色を塗り、エフピコ様に納め、トレーとして市場に出回るという流れです。ですから、当社で行っているのは印刷の加工、中間加工という形になります。

    取材者: 貴社には5つほど用途別区分があると思いますが、それぞれの用途別区分の特徴や強みなどを含めてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 用途の部分ということですね。食品用途というのは、先ほど申し上げたようなトレーの印刷や、あとは一般の包装材です。食品関連ではマーガリンなどのカートンや、ヨーグルト容器の蓋材への印刷など、そういった関係のものを扱っております。こちらは少し厚手の素材で、例えば500g入りのヨーグルトなどを想定していただければと思います。あの厚みのものに印刷ができる会社というのは日本でも数社しかなく、ニッチな分野ではトップシェアです。それで今、力を入れているのがリコー様と共同で立ち上げた「ラベルレスサーマルトップシール」という素材です。これまでコンビニで購入するサラダは、嵌合タイプの蓋だったと思いますが、近年シールタイプのものが主流になってきました。その素材に今後注力して行きます。この二つは比較的オリジナル性の高いもので、食品トレーの印刷等含めて、そういった分野で高いシェアを持っています。

    ですので、あまり取組む会社が少ないので直接の競合というのはありませんが、食品関係で近いところでは上場会社様で言うと、大成ラミック様、段ボールを製造しているレンゴー様の子会社で朋和産業様、フジシール様ですが、それぞれ得意分野がありますので棲み分けができているというような状況です。

    取材者: 先ほど伺った厚手のヨーグルトの蓋の部分と、トップシールに印刷する技術は全く別物のように思えるのですが、どちらも高い技術が要求されるのを貴社では可能にされているという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: 技術というより、設備による方が大きいです。それを可能にする設備をお持ちの会社が少ないというところが一つあるのと同時に技術やノウハウも重要です。あとは素材によって使用するインキが特殊なこともあり機械の適性が合っているかなどの設備とノウハウの面で特徴があるとご理解いただけたらと思います。

    取材者: 承知しました。ありがとうございます。

    回答者: 続いてIT工業材の分野に関しましては、これもプラスチックのフィルムの表面に、色の代わりに機能性を付加するというようなイメージです。例えば粘着加工や、剥離加工などを中心にコーティング加工事業を推進しています。後程ご説明する用途になりますが、医療医薬関連では湿布薬の剥がして捨てるフィルムが剥離加工というコーティング加工事業です。

    例えば部材の保護フィルムで保護しておいて、使用後に剥がして捨てるフィルムを製造しています。量的に多いのは電子部品や半導体を製造する際の製造工程に使用するようなフィルムです。

    取材者: 製造工程に使うフィルムですね。

    回答者: そうです。半導体で言うと、ダイシングテープというものを製造過程の中で使用しますが、その保護に使う剥離用のテープを製造しています。

    取材者: 例えばスマートフォンの保護フィルムのようなものとは全く別物と考えてよろしいでしょうか?

    回答者: 市場で皆さんが使われるようなタッチパネルの保護フィルムではなく、例えば製造工程でプラスチックを型で打ち抜くときに、本体に傷が入らないようにかぶせておくフィルムは一部あります。

    取材者: ありがとうございます。

    回答者: 生活資材関連に関しては、当社の子会社のアールが、布団圧縮袋と言いまして、布団を圧縮袋に入れて掃除機で吸引したら薄くなるものです。それを元々販売し始めた会社で、この会社アールをM&Aで一緒にさせていただくことになりました。それから力を入れている分野が生活資材関連です。

    布団圧縮袋を中心に、例えば生活の中で家事を楽にするためのキッチングッズ・日用品に力を入れています。その他、窓に貼って断熱性を持たせて、冬の寒さを遮断するような断熱シートなどのエコ商品などを中心にホームセンターや100円ショップなどに卸しています。その他、自社ECサイトで直接販売しています。

    布団圧縮袋などは日本国内で大きなシェアを持っていますし、ヒット商品も生まれてくるようになってきたので、伸びつつある分野に育ってきました。

    取材者: ありがとうございます。

    回答者: 続いて建材関連です。例えば木目などの意匠印刷を手掛けています。建具の表面に意匠を印刷したフィルムを貼って、見た目を良く見せるための化粧を施すような印刷フィルムを手掛けています。近年、数は少なくなりましたが、レオパレス様の住宅の建具に当社の印刷物が使われていました。

    最近では、水周りで使われる特殊な表面加工をした部材を当社で行っています。洗剤や汚れなどに耐えられるような表面加工をするコーティングです。建材関連は住宅着工件数に左右されますので、リフォームでは堅実な需要があるものの、やはり新築の件数が増加しないと、市場的にはなかなか売上が伸びてこない。それでも新しい加工や商材を取り込むことで、ここを伸ばしたいと考えています。

    取材者: 特にコーティング剤を製造しているのですか?

    回答者: コーティング剤は製造していません。お客様から支給された材料を均一に塗布するというところが当社の技術です。

    最後は医療医薬関連ですが、これは先ほどお話しました湿布薬の貼付材の剥離加工をしています。これが一番分野としては大きいところです。

    現在は病院で使用する点滴を紫外線などから守るために、点滴薬の外装カバーが順調に採用されており、医薬医療関連では前述したものを中心に展開していきます。

    取材者: そうしますと、基本的に食品と建材関連の部分が印刷的な加工で、IT工業材と医療医薬はコーティング的な加工ということでしょうか?

    回答者: そうですね。大きくイメージしていただくとそういう形になります。

    取材者: 生活資材はどのように考えればよろしいでしょうか?

    回答者: 海外を中心とした協力工場で製造しているものの、株式会社アールがアイデアを出して、その仕様書に従って協力工場に作っていただいたものを販売するという形です。ここだけちょっと異色です。

    取材者: M&Aの株式会社アールですが、そこで提案や開発ができる理由などは何でしょうか?

    回答者: 業界経験者の方にご入社いただいていること、市場や顧客との関係性の強い営業担当者がいることで、実際にアイデアを出したものが市場に並ぶという力はついてきたと思います。

    取材者: 生活資材について、その他の事業との繋がりやシナジー的なものはございますか?

    回答者: 現在は中国の自社工場で圧縮袋を生産しており、自社のリソースを使っているという意味では相乗効果はあると思います。

    取材者: 今期の足元の業績の要因、特に営業利益の増収増益要因として、新規の販売活動の部分がプラスに寄与していたかと思うのですけども、具体的な取り組みはございますか?

    回答者: 外販の値上げに関する価格転嫁が進んだということがあります。価格転嫁が追いついてきたのが利益増加の要因です。

    取材者: 生産性の改善施策としては、山梨の工場が正常に稼働しているというのは大きな部分になるのでしょうか?

    回答者: おっしゃる部分もありますし、設備の改善ほか、インキの使用量を削減する、生産速度を上げるなどして工夫を重ねています。

    取材者: 山梨の工場で今までと異なる機械を導入したという説明だったと思うのですが、今までとどのように違って、生産はどのように改善されたのでしょうか?

    回答者: 業界に影響が出るので具体的には言えませんが、トップシールに変わることを前提に機械設備を徐々に置き換えています。

    取材者: シールだと、本体の形がどんなものでも蓋ができるということでしょうか?

    回答者: シールをする余白部分が必要ですが、その部分が平滑であれば、ある程度どんなものでもできます。

    取材者: 蓋をするよりも、いろんな形でパックを作れるようなイメージですか?

    回答者: そうですね。シールだと、剥がれない強度さえあれば対応はできると思います。

    取材者: IT工業材関連の増収要因について詳しくご説明お願いできますでしょうか?

    回答者: 先ほど申し上げましたスマートフォン向けのフィルムが大きく躍進しました。それが一番の要因です。年間で「10」の仕事があるとすると、それを前倒しして上半期に「7」、下期に「3」ということです。上半期に仕事、売上と利益が偏っています。

    取材者: それは想定通りでしょうか?機種の場合、上半期に集中することは想定していますでしょうか?

    回答者: ここまでは想定してなかったですね。上半期が多いのは例年の傾向ではありますが、ここまで偏るとは思っていませんでした。

    取材者: どういった外的要因が考えられますか?

    回答者: 最終のお客様とお話ができていないので憶測にすぎませんが、夏に発売された今年のモデルはAI対応機種というところで力を入れて作られた結果、前倒しで部材も調達されたのではないかなと思っています。あとは売り上げも期待されていたと思いますが、実際それほど良くないと聞いています。今後のことはわかりませんが、そういった要因があると推測しています。

    取材者: 中期経営計画の施策の中に、今後海外での売上比率を10%以上に持っていきたいという記載があったと思うのですけども、アメリカでの販路拡大について何か具体的な取り組みや施策などがあれば教えていただけますでしょうか?

    回答者: あまり表には出していませんが、リコー様と合弁会社を立ち上げました。リコー様の販売力を使いながら、当社の商材を展開していただいています。今までは自動車の内装材を中国やベトナムから持って行って販売していた分に加えて、食品の包材などもリコー様のルートに乗せて販売強化を図っていきたいと考えています。

    取材者: 今後も積極的にM&Aなどを進めていくということですが、どのようなところをターゲットにされているのでしょうか?

    回答者: 主に食品分野で同じような仕事をしているところで、単に印刷だけを生業としているのではなく、例えば上流でフィルムを製造、下流で印刷した後、袋にする機能があるなど、コーティングの方式も各社違いがあるので、当社が持ってない設備や技術を有する会社であればなお良いと考えています。あとは、生活雑貨で同じような仕事をしているところがあればシナジーが出せるのではないかと考えています。

    取材者: ありがとうございます。最後に、貴社の沿革といいますか、創業の経緯と創業者の想いについてわかる範囲で教えていただければと思うのですけども、いかがでしょうか?

    回答者: 元々は紙の販売業として創業しました。台湾の地で身に着けた紙の販売や印刷のノウハウを活かし、戦後日本に帰国して創業しました。紙の販売を契機に事業を進める中で、乳業メーカーのクローバー乳業(現在の雪印メグミルク様)との取引が始まったことが転機となり、紙の加工、そして印刷という分野に発展してきました。丁稚奉公から蓄積した知見と、今後伸びていく分野の大事なお客様との接点が生まれて発展してきたという歴史があります。

    印刷の仕事からカラートレーの印刷を業界で初めて手掛け、本格的な発展を遂げていくまでには、苦労されてきました。そこから学んだことは、事業を進めていくには「人」が大事ということで「事業は人なり」という社是を掲げて、「人」を育てて社会に還元するということを基本に事業をしてきました。会社の発展途上においては、任せられる社員には会社を作って任せて経営者感覚を磨かせ、他の会社の子弟であれば教育してお返しするなど、競争させて経営者感覚を身につけてもらいました。人の教育、経営者の育成に力を入れてきたことが現在の礎になっていると思います。判断もそれなりにできる人材が上場までにある程度育っていたというところが事業の発展につながってきたと考えています。

    取材者: カラートレーを業界で初めてやられているのですね?

    回答者: エフピコ様も同じことを言いますが、エフピコ様のトレーに当社が印刷を載せているところが肝で、トレーの印刷は当時当社しかできなかったからです。ポリスチレンという素材に印刷できるインキがそれまでなかったものですから、ここは当社が最初に手掛けたという自負があります。

  • IR担当

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中本パックス(株)

東証STD 7811

決算:2月末日

CP&X


【2026年2月期2Q】

決算概要

2026年2月期第2四半期は、売上高24,986百万円(前年同期比2.5%増)、営業利益1,611百万円(同3.2%増)の増収・増益を達成したが、経常利益は1,567百万円(同3.6%減)、中間純利益は1,059百万円(同15.0%減)と減益着地である。「経常減益」については、外貨建貸付の評価損によるものである。全体の業績は計画通りに推移しているとの認識である。原材料費が大幅に増加した一方、値上げ効果や、中本アドバンストフィルムの利益貢献があったこと、および生産効率の改善により、粗利率の維持に努めたことが営業利益増加の主な要因である。


セグメント別または事業別の増減要因

食品関連は売上高が前年比2.8%の増収となったが、トップシールのコンビニエンスストアについては、採用が計画より遅れている。そして、コンビニの印刷無地化により、計画比で783百万円の未達となった。一方、冷凍弁当の製造販売を手掛ける株式会社シルバーライフなど新たな業界への積極的な営業活動を進めている。IT・工業材関連はモバイル、産業資材、半導体関連が牽引し、売上高4.1%増、利益7.8%増となったが、自動車関連は売上が減少した。建材関連は戸建て着工件数およびリフォーム件数の減少という外部要因により、売上高11.0%減、売上総利益22.8%減となり、特に利益率の高い機能性建材の大幅な減少が収益に大きな痛手を与えている状況である。


主要KPIの進捗と変化

企業側は特定の個別KPIを公表しておらず、全体として売上と粗利を確実に確保することを最重要戦略と位置付けている。生産性向上策として、インキ・材料の選定、段取り時間短縮など過去からのノウハウを活用した技術的な取り組みを行っており、コスト効率と品質の両立を目指したものである。


季節性・一過性要因の有無と影響

一過性のネガティブ要因として、食品関連では中国の子会社の利益が減少した。また、IT・工業材関連のスマートフォン部材において、中国での加工が減少。これは機械トラブルがあって、いただけるはずの注文がもらえなかったということがあった。このことにより、第2四半期に予定されていた立ち上がりが遅延したことが業績に影響を与えた。これらの見込み違いは第3四半期以降で回収していく計画である。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しについては、中間期の純利益は前年比マイナスであるものの、現時点では基本的に計画通りに推移していると認識している。一部で数字が落ち込んでいるように見える可能性については、第1四半期の好調の反動や前年第2四半期の好調の反動によるものであり、想定の範囲内である。計画通り進捗しているとの見解から、通期ガイダンスの達成可能性に強い懸念を示す言及は特に見受けられない状況である。


トピックス

生活資材関連では、大手小売店が自社開発・製造を進める中でNB商品の販売が厳しくなってきている。アールが展開する「Goodna」ブランドを通じたECサイトでの販売強化とOEM戦略(PB商品)の提案強化を成長戦略の柱としている。なお、埼玉に新設予定の工場に関しては、既存建物購入後の整備および導入機械の選定に時間を要したため、テストコーターの導入スケジュールが当初予定の2025年中から2026年5月稼働予定に変更となっている。

・資料

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取材アーカイブ

  • 決算概要

    「環境経営と改善活動の推進、原点回帰でお客様満足度を最大化する」をスローガンに、

    環境負荷低減が出来る開発製品の販売、原価低減、生産効率・品質の向上に注力し、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は12,328百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は750百万円(同36.4%増)、経常利益は696百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は554百万円(同4.3%増)となった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    ■食品関連-売上高は7,960百万円(前年同期比4.2%増)、売上総利益は1,152百万円(同23.8%増)。既存の乳製品・農産向けフードパックなどが堅調に推移。同時に中本アドバンストフィルムの売上と利益貢献があった。

    ■IT・工業材関連-売上高は2,256百万円(前年同期比16.4%増)、売上総利益は484百万円(同7.7%増)。スマホや電子部品パッケージ材料、半導体関連、自動車内装材が堅調に推移したため。

    ■生活資材関連-売上高は1,035百万円(前年同期比11.6%増)、売上総利益は426百万円(同24.2%増)。利益率の高い自社開発商品の販売が好調であったため。

    ■建材関連-売上高は424百万円(前年同期比20.7%減)、売上総利益は53百万円(同21.7%減)。外部要因である住宅着工件数が減少、戸建て新築着工件数の鈍化による住宅内装向け建材需要の縮小のため。

    ■医療・医薬関連-売上高は434百万円(前年同期比7.4%増)、売上総利益は103百万円(同27.9%増)。貼付材関連が増加、医療品の包装材が堅調に推移したため。

    ■その他-売上高は217百万円(前年同期比22.9%増)、売上総利益は25百万円(同49.8%増)。汎用品の重袋、多層ナイロン共押出袋が堅調に推移、化学メーカー向け機械販売があったため。

     

    主要KPIの進捗と変化

    第1四半期では進捗を判断材料としていません。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    食品関連はラベルレスサーマルトップシールが想定通り進捗出来ず、若干苦戦しておりますがIT・工業材関連が満遍無く好調に推移したため食品関連をカバーすることが出来た。

     

    トピックス

    ラベルレスサーマルトップシールはコンビニ対象で足踏み状態ですが、宅配の冷凍弁当を手掛けるシルバーライフ様など、新しい分野でのお客様が確保できているので、リカバリーできる材料は増えています。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:RNスマートパッケージングのラベルレスサーマルトップシールが順調にお客様に浸透していくことで、食品関連が大きく飛躍すると考えています。同時に、IT・工業材関連の機能材が新しい分野に拡大していけるよう技術を磨いていきます。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A: 1Qが終わったばかりですので、目標通り推移する予定です。

     

    Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:特に現在は発表できるものはございません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:現在、中期経営計画2024の最終年度として順調に進捗しております。新たな中期経営計画は現在策定中です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:将来の経営環境の変化に対応できるよう財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実

    を図りながら、安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行う方針です。

    2026年2月期は2円増配の年間68円配当を予定しております。

  • IR担当

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取材アーカイブ

  • CP&X
     

    ビジネスモデルや事業内容

    中本パックスは、祖業を洋紙販売・印刷会社としてスタートした。現在は主に食品トレーやヨーグルト容器の蓋、ラベルレスサーマルトップシールといった食品包装材の印刷加工を主力事業とする。その他、IT工業材関連としてスマートフォン部品固定用フィルムや電子部品のパッケージ素材、自動車内装材、生活資材関連として布団圧縮袋等の包装材・工業材の印刷加工・コーティング加工も手掛ける。


     

    創業の経緯と転機となった出来事

    戦後、台湾で培った紙の販売や印刷のノウハウを活かし、創業。当初は紙の販売業だったが、雪印メグミルクの前身であるクローバー乳業との取引をきっかけに、紙の加工、そして印刷へと事業を展開。さらに、業界で初めてカラートレーの印刷を手掛けたことが、本格的な発展へとつながった。


     

    直近の決算状況

    足元の業績は、価格転嫁の進展や生産性改善により増収増益を達成。特にスマートフォン部品固定用フィルムの販売が好調だった一方、その売上は上半期に偏っている。


     

    特徴や強み

    当社のビジネスの強みは「4つの技術(グラビア印刷・コーティング加工・ラミネート加工・素材開発)」により多様な用途へ展開しながら、全天候型経営を推進している。用途別に食品関連として食品トレーのような容器成型加工が主流であり、IT工業材関連は、スマートフォン部品固定用フィルム、電子部品のパッケージ素材や車の内装材、生活資材関連では布団圧縮袋などの包装材・工業材の印刷加工・コーティング加工を展開している。高い技術力と特殊な設備を活かしたニッチ分野が強み。


     

    成長戦略

    今後は、海外売上比率の拡大を目標に掲げ、M&Aによるシナジー創出や人材育成にも力を入れていく方針である。


     

    人材育成

    「事業は人なり」という社是のもと、人材育成に注力。社員に会社を任せて経営者感覚を養う、あるいは他社の子弟を預かり教育を施した上で返すなど、独自の育成方法で人材育成に取り組んでいる。

  • Q:貴社のビジネスモデルについてお伺いいたします。包装材の印刷加工プロセス、つまり印刷加工やラミネート加工工場での加工を含め、商品を入れる前の作業を全て貴社で行っているという認識で正しいでしょうか?

    A:貴社のご認識の通りではございません。主には印刷を担っております。主な商品は、スーパーなどで刺身やお肉などが乗っているようなカラーの食品トレーでございます。そのトレーへの印刷が当社のメイン事業でございます。お客様で上場会社様を例に挙げますと、エフピコ様という会社がございます。エフピコ様のトレーに当社で色を塗り、エフピコ様に納め、トレーとして市場に出回るという流れでございます。従って、当社では印刷の加工、中間加工という形になります。
     

    Q:貴社には5つほど用途別区分があると思いますが、それぞれの用途別区分の特徴や強みなどを含めてご説明いただけますか?

    A:用途別区分についてご説明いたします。食品用途とは、先ほど申し上げたようなトレーの印刷や、一般の包装材でございます。食品関連では、マーガリンなどのカートンや、ヨーグルト容器の蓋材への印刷など、そういった関係のものを扱っております。こちらは、500g入りのヨーグルト容器などの蓋に使用されるような厚手の素材でございます。この厚みのものに印刷ができる会社というのは日本でも数社しかなく、ニッチな分野ではトップシェアでございます。 現在注力しているのは、リコー様と共同で立ち上げた「ラベルレスサーマルトップシール」という素材でございます。従来、コンビニエンスストアで購入するサラダの蓋は嵌合タイプが主流でしたが、近年はシールタイプが主流になってまいりました。この素材の需要拡大を見込み、今後注力してまいります。これら二つは比較的オリジナル性の高いもので、食品トレーの印刷等含めて、高いシェアを有しております。 直接の競合というのはあまりございませんが、食品関係で近いところでは上場会社様で言うと、大成ラミック様、段ボールを製造しているレンゴー様の子会社で朋和産業様、フジシール様でございますが、それぞれ得意分野がございますので棲み分けができているというような状況でございます。
     

    Q:先ほど伺った厚手のヨーグルトの蓋の部分と、トップシールに印刷する技術は全く別物のように思えるのですが、どちらも高い技術が要求されるのを貴社では可能にされているということでしょうか?

    A:技術というより、設備による部分が大きいのでございます。それを可能にする設備をお持ちの会社が少ないというところが一つございます。同時に技術やノウハウも重要でございます。加えて、素材によって使用するインキが特殊なこともあり、機械の適性が合っているかなどの設備とノウハウの面で特徴があるとご理解いただけたらと存じます。
     

    Q:IT工業材関連の増収要因について詳しくご説明お願いできますでしょうか?

    A:スマートフォン向けのフィルムが大きく躍進いたしました。それが一番の要因でございます。年間の仕事量を「10」とすると、それを前倒しして上半期に「7」、下期に「3」という割合で仕事が偏っている状況でございます。上半期に仕事、売上と利益が偏っております。
     

    Q:それは想定通りでしょうか?機種の場合、上半期に集中することは想定していますでしょうか?

    A:ここまでは想定しておりませんでした。上半期が多いのは例年の傾向ではございますが、ここまで偏るとは思っていませんでした。
     

    Q:どういった外的要因が考えられますか?

    A:最終のお客様とお話ができていないので憶測にすぎませんが、夏に発売された今年のモデルはAI対応機種というところで力を入れて作られた結果、前倒しで部材も調達されたのではないかと考えております。あとは売り上げも期待されていたと存じますが、実際それほど良くないと聞いております。今後のことはわかりかねますが、そういった要因があると推測いたします。
     

    Q:中期経営計画の施策の中に、今後海外での売上比率を10%以上に持っていきたいという記載があったと存じますが、アメリカでの販路拡大について何か具体的な取り組みや策などがあれば教えていただけますでしょうか?

    A:あまり表には出していませんが、リコー様と合弁会社を立ち上げました。リコー様の販売力を使いながら、当社の商材を展開していただいております。今までは自動車の内装材を中国やベトナムから持って行って販売していた分に加えて、食品の包材などもリコー様のルートに乗せて販売強化を図っていきたいと考えております。
     

    Q:今後も積極的にM&Aなどを進めていくということですが、どのようなところをターゲットにされているのでしょうか?

    A:主に食品分野で同じような仕事をしているところでございます。単に印刷だけを生業としているのではなく、例えば上流でフィルムを製造、下流で印刷した後、袋にする機能があるなど、コーティングの方式も各社違いがあるので、当社が持っていない設備や技術を有する会社であればなお良いと考えております。あとは、生活雑貨で同じような仕事をしているところがあればシナジーが出せるのではないかと考えております。
     

    Q:創業の経緯と創業者の想い等について教えていただけますでしょうか?

    A:元々は紙の販売業として創業いたしました。台湾の地で身に着けた紙の販売や印刷のノウハウを活かし、戦後日本に帰国して創業いたしました。紙の販売を契機に事業を進める中で、乳業メーカーのクローバー乳業(現在の雪印メグミルク様)との取引が始まったことが転機となり、紙の加工、そして印刷という分野に発展してまいりました。丁稚奉公から蓄積した知見と、今後伸びていく分野の大事なお客様との接点が生まれて発展してきたという歴史がございます。印刷の仕事からカラートレーの印刷を業界で初めて手掛け、本格的な発展を遂げていくまでには、苦労されてきました。そこから学んだことは、事業を進めていくには「人」が大事ということで「事業は人なり」という社是を掲げて、「人」を育てて社会に還元するということを基本に事業をしてきました。会社の発展途上においては、任せられる社員には会社を作って任せて経営者感覚を磨かせ、他の会社の子弟であれば教育してお返しするなど、競争させて経営者感覚を身につけてもらいました。人の教育、経営者の育成に力を入れてきたことが現在の礎になっていると存じます。判断もそれなりにできる人材が上場までにある程度育っていたというところが事業の発展につながってきたと考えております。
     

    Q:カラートレーを業界で初めてやられているということでしょうか?

    A:エフピコ様も同様の見解を示されていますが、エフピコ様のトレーに当社が印刷を載せているところが肝要であり、トレーの印刷は当時当社しかできなかったからでございます。ポリスチレンという素材に印刷できるインキがそれまでなかったものですから、ここは当社が最初に手掛けたという自負がございます。

  • 取材者: 貴社のビジネスモデルについてお伺いします。包装材の印刷加工プロセス、つまり印刷加工やラミネート加工工場での加工を含め、商品を入れる前の作業を全て貴社で行っているという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: そうではなく、主には印刷になります。主な商品は食品トレー、スーパーなどで刺身やお肉などが乗っているようなカラーのトレーです。そのトレーへの印刷が当社のメイン事業です。お客様で上場会社様を例に挙げますと、エフピコ様という会社があります。エフピコ様のトレーに当社で色を塗り、エフピコ様に納め、トレーとして市場に出回るという流れです。ですから、当社で行っているのは印刷の加工、中間加工という形になります。

    取材者: 貴社には5つほど用途別区分があると思いますが、それぞれの用途別区分の特徴や強みなどを含めてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 用途の部分ということですね。食品用途というのは、先ほど申し上げたようなトレーの印刷や、あとは一般の包装材です。食品関連ではマーガリンなどのカートンや、ヨーグルト容器の蓋材への印刷など、そういった関係のものを扱っております。こちらは少し厚手の素材で、例えば500g入りのヨーグルトなどを想定していただければと思います。あの厚みのものに印刷ができる会社というのは日本でも数社しかなく、ニッチな分野ではトップシェアです。それで今、力を入れているのがリコー様と共同で立ち上げた「ラベルレスサーマルトップシール」という素材です。これまでコンビニで購入するサラダは、嵌合タイプの蓋だったと思いますが、近年シールタイプのものが主流になってきました。その素材に今後注力して行きます。この二つは比較的オリジナル性の高いもので、食品トレーの印刷等含めて、そういった分野で高いシェアを持っています。

    ですので、あまり取組む会社が少ないので直接の競合というのはありませんが、食品関係で近いところでは上場会社様で言うと、大成ラミック様、段ボールを製造しているレンゴー様の子会社で朋和産業様、フジシール様ですが、それぞれ得意分野がありますので棲み分けができているというような状況です。

    取材者: 先ほど伺った厚手のヨーグルトの蓋の部分と、トップシールに印刷する技術は全く別物のように思えるのですが、どちらも高い技術が要求されるのを貴社では可能にされているという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: 技術というより、設備による方が大きいです。それを可能にする設備をお持ちの会社が少ないというところが一つあるのと同時に技術やノウハウも重要です。あとは素材によって使用するインキが特殊なこともあり機械の適性が合っているかなどの設備とノウハウの面で特徴があるとご理解いただけたらと思います。

    取材者: 承知しました。ありがとうございます。

    回答者: 続いてIT工業材の分野に関しましては、これもプラスチックのフィルムの表面に、色の代わりに機能性を付加するというようなイメージです。例えば粘着加工や、剥離加工などを中心にコーティング加工事業を推進しています。後程ご説明する用途になりますが、医療医薬関連では湿布薬の剥がして捨てるフィルムが剥離加工というコーティング加工事業です。

    例えば部材の保護フィルムで保護しておいて、使用後に剥がして捨てるフィルムを製造しています。量的に多いのは電子部品や半導体を製造する際の製造工程に使用するようなフィルムです。

    取材者: 製造工程に使うフィルムですね。

    回答者: そうです。半導体で言うと、ダイシングテープというものを製造過程の中で使用しますが、その保護に使う剥離用のテープを製造しています。

    取材者: 例えばスマートフォンの保護フィルムのようなものとは全く別物と考えてよろしいでしょうか?

    回答者: 市場で皆さんが使われるようなタッチパネルの保護フィルムではなく、例えば製造工程でプラスチックを型で打ち抜くときに、本体に傷が入らないようにかぶせておくフィルムは一部あります。

    取材者: ありがとうございます。

    回答者: 生活資材関連に関しては、当社の子会社のアールが、布団圧縮袋と言いまして、布団を圧縮袋に入れて掃除機で吸引したら薄くなるものです。それを元々販売し始めた会社で、この会社アールをM&Aで一緒にさせていただくことになりました。それから力を入れている分野が生活資材関連です。

    布団圧縮袋を中心に、例えば生活の中で家事を楽にするためのキッチングッズ・日用品に力を入れています。その他、窓に貼って断熱性を持たせて、冬の寒さを遮断するような断熱シートなどのエコ商品などを中心にホームセンターや100円ショップなどに卸しています。その他、自社ECサイトで直接販売しています。

    布団圧縮袋などは日本国内で大きなシェアを持っていますし、ヒット商品も生まれてくるようになってきたので、伸びつつある分野に育ってきました。

    取材者: ありがとうございます。

    回答者: 続いて建材関連です。例えば木目などの意匠印刷を手掛けています。建具の表面に意匠を印刷したフィルムを貼って、見た目を良く見せるための化粧を施すような印刷フィルムを手掛けています。近年、数は少なくなりましたが、レオパレス様の住宅の建具に当社の印刷物が使われていました。

    最近では、水周りで使われる特殊な表面加工をした部材を当社で行っています。洗剤や汚れなどに耐えられるような表面加工をするコーティングです。建材関連は住宅着工件数に左右されますので、リフォームでは堅実な需要があるものの、やはり新築の件数が増加しないと、市場的にはなかなか売上が伸びてこない。それでも新しい加工や商材を取り込むことで、ここを伸ばしたいと考えています。

    取材者: 特にコーティング剤を製造しているのですか?

    回答者: コーティング剤は製造していません。お客様から支給された材料を均一に塗布するというところが当社の技術です。

    最後は医療医薬関連ですが、これは先ほどお話しました湿布薬の貼付材の剥離加工をしています。これが一番分野としては大きいところです。

    現在は病院で使用する点滴を紫外線などから守るために、点滴薬の外装カバーが順調に採用されており、医薬医療関連では前述したものを中心に展開していきます。

    取材者: そうしますと、基本的に食品と建材関連の部分が印刷的な加工で、IT工業材と医療医薬はコーティング的な加工ということでしょうか?

    回答者: そうですね。大きくイメージしていただくとそういう形になります。

    取材者: 生活資材はどのように考えればよろしいでしょうか?

    回答者: 海外を中心とした協力工場で製造しているものの、株式会社アールがアイデアを出して、その仕様書に従って協力工場に作っていただいたものを販売するという形です。ここだけちょっと異色です。

    取材者: M&Aの株式会社アールですが、そこで提案や開発ができる理由などは何でしょうか?

    回答者: 業界経験者の方にご入社いただいていること、市場や顧客との関係性の強い営業担当者がいることで、実際にアイデアを出したものが市場に並ぶという力はついてきたと思います。

    取材者: 生活資材について、その他の事業との繋がりやシナジー的なものはございますか?

    回答者: 現在は中国の自社工場で圧縮袋を生産しており、自社のリソースを使っているという意味では相乗効果はあると思います。

    取材者: 今期の足元の業績の要因、特に営業利益の増収増益要因として、新規の販売活動の部分がプラスに寄与していたかと思うのですけども、具体的な取り組みはございますか?

    回答者: 外販の値上げに関する価格転嫁が進んだということがあります。価格転嫁が追いついてきたのが利益増加の要因です。

    取材者: 生産性の改善施策としては、山梨の工場が正常に稼働しているというのは大きな部分になるのでしょうか?

    回答者: おっしゃる部分もありますし、設備の改善ほか、インキの使用量を削減する、生産速度を上げるなどして工夫を重ねています。

    取材者: 山梨の工場で今までと異なる機械を導入したという説明だったと思うのですが、今までとどのように違って、生産はどのように改善されたのでしょうか?

    回答者: 業界に影響が出るので具体的には言えませんが、トップシールに変わることを前提に機械設備を徐々に置き換えています。

    取材者: シールだと、本体の形がどんなものでも蓋ができるということでしょうか?

    回答者: シールをする余白部分が必要ですが、その部分が平滑であれば、ある程度どんなものでもできます。

    取材者: 蓋をするよりも、いろんな形でパックを作れるようなイメージですか?

    回答者: そうですね。シールだと、剥がれない強度さえあれば対応はできると思います。

    取材者: IT工業材関連の増収要因について詳しくご説明お願いできますでしょうか?

    回答者: 先ほど申し上げましたスマートフォン向けのフィルムが大きく躍進しました。それが一番の要因です。年間で「10」の仕事があるとすると、それを前倒しして上半期に「7」、下期に「3」ということです。上半期に仕事、売上と利益が偏っています。

    取材者: それは想定通りでしょうか?機種の場合、上半期に集中することは想定していますでしょうか?

    回答者: ここまでは想定してなかったですね。上半期が多いのは例年の傾向ではありますが、ここまで偏るとは思っていませんでした。

    取材者: どういった外的要因が考えられますか?

    回答者: 最終のお客様とお話ができていないので憶測にすぎませんが、夏に発売された今年のモデルはAI対応機種というところで力を入れて作られた結果、前倒しで部材も調達されたのではないかなと思っています。あとは売り上げも期待されていたと思いますが、実際それほど良くないと聞いています。今後のことはわかりませんが、そういった要因があると推測しています。

    取材者: 中期経営計画の施策の中に、今後海外での売上比率を10%以上に持っていきたいという記載があったと思うのですけども、アメリカでの販路拡大について何か具体的な取り組みや施策などがあれば教えていただけますでしょうか?

    回答者: あまり表には出していませんが、リコー様と合弁会社を立ち上げました。リコー様の販売力を使いながら、当社の商材を展開していただいています。今までは自動車の内装材を中国やベトナムから持って行って販売していた分に加えて、食品の包材などもリコー様のルートに乗せて販売強化を図っていきたいと考えています。

    取材者: 今後も積極的にM&Aなどを進めていくということですが、どのようなところをターゲットにされているのでしょうか?

    回答者: 主に食品分野で同じような仕事をしているところで、単に印刷だけを生業としているのではなく、例えば上流でフィルムを製造、下流で印刷した後、袋にする機能があるなど、コーティングの方式も各社違いがあるので、当社が持ってない設備や技術を有する会社であればなお良いと考えています。あとは、生活雑貨で同じような仕事をしているところがあればシナジーが出せるのではないかと考えています。

    取材者: ありがとうございます。最後に、貴社の沿革といいますか、創業の経緯と創業者の想いについてわかる範囲で教えていただければと思うのですけども、いかがでしょうか?

    回答者: 元々は紙の販売業として創業しました。台湾の地で身に着けた紙の販売や印刷のノウハウを活かし、戦後日本に帰国して創業しました。紙の販売を契機に事業を進める中で、乳業メーカーのクローバー乳業(現在の雪印メグミルク様)との取引が始まったことが転機となり、紙の加工、そして印刷という分野に発展してきました。丁稚奉公から蓄積した知見と、今後伸びていく分野の大事なお客様との接点が生まれて発展してきたという歴史があります。

    印刷の仕事からカラートレーの印刷を業界で初めて手掛け、本格的な発展を遂げていくまでには、苦労されてきました。そこから学んだことは、事業を進めていくには「人」が大事ということで「事業は人なり」という社是を掲げて、「人」を育てて社会に還元するということを基本に事業をしてきました。会社の発展途上においては、任せられる社員には会社を作って任せて経営者感覚を磨かせ、他の会社の子弟であれば教育してお返しするなど、競争させて経営者感覚を身につけてもらいました。人の教育、経営者の育成に力を入れてきたことが現在の礎になっていると思います。判断もそれなりにできる人材が上場までにある程度育っていたというところが事業の発展につながってきたと考えています。

    取材者: カラートレーを業界で初めてやられているのですね?

    回答者: エフピコ様も同じことを言いますが、エフピコ様のトレーに当社が印刷を載せているところが肝で、トレーの印刷は当時当社しかできなかったからです。ポリスチレンという素材に印刷できるインキがそれまでなかったものですから、ここは当社が最初に手掛けたという自負があります。

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取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年2月期の売上高は491億3,200万円で前期比10.8%の増加、営業利益は28億7,100万円で前期比58.2%の増加、経常利益は29億800万円で前期比24.2%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,000万円で前期比90.1%の増加となり、大幅な増収増益を達成。過去最高の業績を記録した。業績増大の最大の要因は食品関連の売上伸長であった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    食品関連の売上は前期比18.2億円増、金額にして26億2,400万円の増加となった。内訳としては、容器成型が3.4億円増、包装材印刷が0.3億円増、紙容器関連が0.8億円増、中本アドバンストフィルムが18.5億円増、容器印刷が4.5億円増と、食品関連各分野が幅広く売上増加に寄与した。特に農産物のフードパックおよび容器成型とシート印刷が大きく伸びたことが特徴である。IT・工業材においては、スマートフォン関連の受注が上期に集中したことがあったものの、当期も前期同様の仕事量が見込まれている。また、IT・工業材の中でも粗利率は低いものの、数量と品質で信頼を得ている産業資材・自動車関係の仕事も継続して受注予定。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    期初計画では売上全体がさらに上昇すると見込んでいたものの、食品関係においてコンビニのトレーの印刷が当初予算には計上していたものの、結果としてほぼなくなったことと、トップシールが期待以上に伸びなかったことのマイナスにより、計画に対して進捗が抑制された。IT・工業材のスマートフォン関連においては、年間では想定以上の受注があったものの上半期に多くの注文が短期間で集中したという短期的な波が存在した。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年2月期の通期業績見通しとして、売上高520億円(前期比5.8%増)、営業利益30億2,500万円(前期比5.4%増)、経常利益31億円(前期比6.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益20億1,100万円(前期同等)を計上している。この見通しにおいて、農産関係や食品関係は確実に売上が伸びると予想しており、これは確実な受注状況に裏付けられたものである。IT・工業材分野のスマートフォン関連も昨年同様の仕事量を確保できる見込みである。一方で、電子部品を含む半導体関連の市場が未だ明確に回復していないため、その回復時期が売上高の上限を規定する可能性があると認識している。既存の仕事は堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めていく方針である。

     

    トピックス

    今後の成長戦略として、冷凍弁当を扱う会社との連携強化、RNスマートパッケージにおけるラベルレストップシールのさらなる普及推進、そして海外販売比率を10%まで引き上げる方針が示された。加えて、埼玉工場に隣接する土地と工場を取得し、二次電池関連の試作工程をテストコーター機導入により、この分野へ注力する準備を進めている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略の主要なポイントは多岐にわたります。今後の取り組みとしましては、RNスマートパッケージ関連事業においては、特にラベルレストップシールの普及をさらに推進していくことで、環境配慮型製品の提供と市場シェアの拡大を目指します。同時に冷凍弁当の製造販売を行う企業との連携を強化し、新たな市場ニーズへの対応と事業拡大を図ってまいります。海外での販売比率も重要な戦略目標であり、これを10%まで引き上げていくことを目指し、グローバル展開を加速してまいります。加えて、IT・工業材分野、特に粗利に貢献する電子部品の領域に注力する方針でございます。現在の半導体市場が明確に回復している状況にはございませんが、既存業務を堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めてまいります。さらに、新たな取り組みとして、現在保有する埼玉工場に隣接する土地・工場を取得いたしました。この新施設を活用し、二次電池関連の試作工程をテストコーター機導入により、実際に稼働可能な環境を整備することで、当該分野に注力していく計画でございます。

     

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:成長戦略を進める上での前提条件といたしましては、現在の半導体市場の動向が挙げられます。報道等でもご承知の通り、半導体関連市場が明確に回復している状況にはございません。この市場状況がいつ回復するかによって、当社の売上高の上限が規定される可能性があると認識しております。また、期初計画との比較では、無地化によるコンビニトレーの印刷が消滅、トップシールの伸び悩みにより、売上全体が当初想定よりも伸び悩んだ側面もございました。

     

    Q:通期業績の見通しや進捗率、施策の進捗状況についてご説明ください。

    A:2026年2月期の通期業績見通しとして、売上高520億円、営業利益30億2,500万円、経常利益31億円、親会社株主に帰属する当期純利益20億1,100万円を計上しております。この見通しは、農産関係や食品関係において確実な売上伸長が見込まれていることに裏付けされております。一方で、IT・工業材分野では、半導体関連市場の回復がまだ明確ではないため、その回復時期が売上高の上限に影響を与える可能性を認識しており、既存の仕事を堅実にこなしつつ、半導体関連の取り込みを進めてまいります。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aに関しましては、現在も継続的に検討を進めている状況でございます。 M&Aは秘匿性の高い事項が多いですが、基本的には食品関連事業を中心に、当社が現在保有していない技術、例えば製造プロセスの川上や川下といった領域で、当社では対応できない技術を持つ企業を探しております。もしM&Aの条件が合致する企業が見つかれば、これを実行し、当社が不足する技術や既存技術をさらに強化・拡大していくことで、事業の競争力強化と成長に繋げていくことを企図しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元の方針につきましては、従前より変更はなく、将来の経営環境の変化に対応できるよう財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を図りながら安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行う方針を継続してまいります。

  • 取材者:まず初めに、2025年2月期の決算状況についてお聞かせいただきたいのですが、売上高は491億3,200万円で前期比10.8%増加 、営業利益は28億7,100万円で前期比58.2%増加、経常利益は29億800万円で前期比24.2%増加 、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,000万円で前期比90.1%の増加となり、大幅な増収増益を達成し、過去最高の業績を達成されたとのことですが、増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:一番大きな要因は食品関連が大きく伸びたことです。前回もお話させていただいたかと思いますが、農産物のフードパック、容器成型とシート印刷が大きく伸びました。食品関連の売上としては26億2,400万円の増加、対前年で18.2億円の増加となります。容器成型が3.4億円増、包装材印刷が0.3億円増、紙容器関連が0.8億円増、中本アドバンストフィルムのプラス分が18.5億円増、そして容器印刷が4.5億円増となり、売上が伸びました。

    取材者:期初からの計画と比較して、進捗度合いはいかがでしたか。

    回答者:元々売上全体としてはもう少し上がると考えていたのですが、やはりトップシールとコンビニトレーの無地化のマイナスがあったため、若干売上が落ちたという形になります。

    取材者:人の採用面では、前期と比較して採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:新卒採用を含め、中途採用も適材適数を採用しておりますので、前回よりも若干増えているか、前期と同程度です。

    取材者:その他、貴社の中で主要なKPIの数値はございますか。

    回答者:私達は通常KPIという言葉を使いませんが、重要な業績の評価として次の指標を目標としています。「ROE」:13%以上、「海外売上比率」:10%以上としています。同時に「資本コストや株価を意識した経営」を目指すべく日々邁進しております。

    基本的には売上と粗利益を毎年着実に積み上げて利益を出していくことが私達のミッションとなっております。

    取材者:好調だった食品関連については、売上総利益率が10%から14%に上昇しているとのことですが、どのような要因や施策があったのでしょうか。

    回答者:一番大きな要因は、中本アドバンストフィルムの貢献です。これが最も大きい部分です。売上総利益も約10億円増加し、中本アドバンストフィルムと子会社合わせて6億2,000万円程度の利益貢献がありましたので、これは非常に大きかったです。それと、長年の懸念材料であった価格転嫁により、製造コストの上昇分は概ね吸収できました。

    取材者:それは、値上げの進捗も順調に進んでいるという認識でよろしいですか。

    回答者:そうですね、完全にではないですが、私達のところで賄えるものやお願いできるものは進めております。

    取材者:当期純利益が前期比で約2倍となっていますが、これはこれまでの先行投資の成果が表れた結果と見てよろしいでしょうか。

    回答者: 2024年2月に完全子会社化した中本アドバンストフィルムの11か月分の貢献などがあり、M&Aの成果が表れた結果となりました。また、前期は関係会社の売却に伴う減損損失が発生しておりました。先ほども申し上げましたが、売上を上げ、粗利益をしっかりと確保していくのが私どもの経営方針です。

    取材者:2025年2月期に関して、何か外的要因や季節性、あるいは加速要因的なものはございましたか。

    回答者:毎年決算発表の際にお話させていただいておりますが、農産物のフードパックが好調であるということについて簡単にご説明いたします。ご存知かもしれませんが、テレビCMでブロッコリースプラウトが取り上げられたことで、生産者様の売上が上がり、弊社にも多くの仕事が回ってきました。ただ、農産物は毎年、工業製品と異なり同じものが同じ数量出るとは限りません。例えば、キウイが良かった時期はキウイ、トマトが良かった時期はトマトというように、様々な形で需給が変化します。この仕事というのは、厚みのあるフードパックで、野菜や果物が入っている透明の容器を成形して色を付ける技術は、他ではあまりないようです。私どもはその技術に強みを持っておりますので、そういう点では非常に仕事が回ってきますし、なくならないという形で、ありがたく仕事をさせていただいております。

    食品関連が好調だった要因については、冷凍食品及び乳製品の好調も売上に寄与しました。

    あとは、ラベルレスサーマルトップシールですね。前回もお話させていただいたと思いますが、コンビニエンスストアのサラダなどの嵌合蓋から、プラスチック容器に直接シールを貼ったような包材のものです。これがなかなかうまく進んでいないのが現状です。なぜ進まなかったかというと、実は弊社はフィルムを加工しているだけでなく、機械も一緒に購入していただいているからです。大手コンビニエンスストアであれば、その会社のトップが導入を決定すれば、フランチャイズを含め多くの店舗で機械も一緒に購入していただけるのですが、機械は高額なので、その機械を購入していただかないと意味がないため、案件が止まっているところもありました。実際に私たちが思うように進んでいないのが事実です。しかし、2026年2月期、今期に関しては確実にそれが導入されるという試算をしておりますので、トップシールがこれから伸びていくことを楽しみにしております。それとトップシール関係に付随しまして、冷凍弁当がございます。以前、私達とリコーさんが共同で設立したRNスマートパッケージングでニュースリリースを出させていただきました。シルバーライフ様は冷凍弁当を製造・販売しており、忙しいライフスタイルや健康志向の高まりを背景に冷凍弁当市場が急速に成長しています。そこにラベルレスサーマルトップシールをご採用いただきました。生産効率の向上と廃棄物の削減を目指して、これからも確実に伸びていくだろうと期待しております。

    取材者:その中で、2026年2月期の通期見通しについてもお聞かせいただきたいのですが、業績予想としては売上高520億円で前期比5.8%増加 、営業利益30億2,500万円で前期比5.4%増加 、経常利益31億円で前期比6.6%増加 、親会社株主に帰属する当期純利益は20億1,100万円で2025年2月期と同等の数字で計上されているかと思いますが 、見通しについてお伺いしてもよろしいですか。

    回答者:食品関係はこれからもまだ売上は伸びていくと予想しています。継続して仕事がもらえている状況ですので、これは確実に伸びるだろうということで売上をプラスにしました。

    回答者:あとは、IT・工業材があるのですが、前回もお話させていただいた通り、スマートフォン関係に関しては、今年も仕事をいただける見込みです。ただ、前回は短期間に多くの注文をいただき、下半期も引き続きいただいてはいましたが、上半期に比べると下半期の受注が少なかった部分もございますので、どのような波で売上が上がってくるのかはまだ分かりません。仕事に関しては昨年同様にいただけていると聞いています。加えて、私達が非常に期待している半導体関連、電子部品パッケージ素材です。産業資材、自動車関係はIT・工業材の中でも若干粗利率が少ないのですが、粗利率が少ない中でも仕事は取っていかなければなりませんし、逆に数量と品質に関しては弊社の工場を頼りにしてくださっているので、粗利率が少ないからといって仕事をやめるわけにはいきません。ありがたいことに、その仕事もしっかりこなしながら、IT・工業材の中でも粗利につながるスマートフォン用途、半導体関連の電子部品などの分野をしっかりと取りに行きたいと考えております。ただ、市況でもご存知の通り、まだ明確に半導体関係などがしっかりと回復しているという話はないと思いますので、それがいつ戻ってくるかによって売上の上限はあるかと思いますが、既存の仕事をしっかりとこなしながら、半導体関係を取り込んでいきたいと考えております。

    プラスアルファですが、これもリリースさせていただきましたが、実は埼玉に土地と工場を取得しました。これは現在も埼玉工場を持っているのですが、そこに隣接した土地工場を取得することができましたので、この工場を使って二次電池関連の試作工程、テストコーター機を導入し、実際に稼働できるような環境を整えて、そこに力を入れていきたいと考えております。

    取材者:先ほどから中本アドバンストフィルムや冷凍食品の会社の話も出ていましたが、現在M&Aや業務提携に関して、実施のご予定や検討状況はいかがでしょうか。

    回答者今は何とも言えませんが、あくまでも食品関係を中心に、私達が持っていない技術、例えば川上や川下、私達ができない技術を持っているところを探し続けていると思います。そことM&Aの条件が合いましたら、M&Aを実施して、さらに私達の持っていない技術や持っている技術をさらに大きくすることで、M&Aは継続して検討していくというのが現状です。

    取材者:承知いたしました。株主還元策につきまして、方針の変更などはございましたら教えていただけますか。

    回答者:株主還元につきましては、将来の経営環境の変化に対応できるよう、財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実を図りながら安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行うという方針は変わっておりません。現在株主優待としてクオカードを差し上げております。また、東証などからご指摘がある通り、「資本コストや株価を意識した経営」に関して、現在も企業活動を行いながらしっかりと対応してまいります。まずはROE、PBRをしっかりと上げるような施策を作り、累進配当はしておりますが、やはり売上をしっかり上げていくことを重視しております。上げた売上の中から私達の次のステップを踏みながら、先ほどおっしゃっていただいたようなM&Aをしながら資金も確保し、適切に株主に配当していく。そのためには、やはり売上・利益をしっかりと上げていくことを継続して続けていくのが今の会社の方針でございます。

    取材者:承知いたしました。その他、足元のニュースリリースやトピックス的なものはございましたら教えていただけますか。

    回答者:今のところは、先ほど申し上げた冷凍弁当の会社と一緒にやっていくこと 、それとRNスマートパッケージ関係でラベルレストップシールをさらに広げていかないといけないと考えております 。それと、海外での販売比率を上げていきたいと考えており、10%まで引き上げていきたいと思っております 。

    取材者:今はちなみに何%くらいですか。

    回答者:今は7.08%くらいです。

    取材者:その7.08%を、例えば2026年2月期中に10%くらいまで、という目標値ですか。

    回答者:2026年2月期は少し厳しいかもしれませんが、少しずつ上げていきます 。2025年2月期は、前年に比べたら0.11ポイント増えました。やはりこの辺りを確実に海外の比率を増やしながら、海外での販売網を開拓していきたいと考えております。

  • IR担当

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  • 決算概要

    「環境経営と改善活動の推進、原点回帰でお客様満足度を最大化する」をスローガンに、

    環境負荷低減が出来る開発製品の販売、原価低減、生産効率・品質の向上に注力し、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は12,328百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益は750百万円(同36.4%増)、経常利益は696百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は554百万円(同4.3%増)となった。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    ■食品関連-売上高は7,960百万円(前年同期比4.2%増)、売上総利益は1,152百万円(同23.8%増)。既存の乳製品・農産向けフードパックなどが堅調に推移。同時に中本アドバンストフィルムの売上と利益貢献があった。

    ■IT・工業材関連-売上高は2,256百万円(前年同期比16.4%増)、売上総利益は484百万円(同7.7%増)。スマホや電子部品パッケージ材料、半導体関連、自動車内装材が堅調に推移したため。

    ■生活資材関連-売上高は1,035百万円(前年同期比11.6%増)、売上総利益は426百万円(同24.2%増)。利益率の高い自社開発商品の販売が好調であったため。

    ■建材関連-売上高は424百万円(前年同期比20.7%減)、売上総利益は53百万円(同21.7%減)。外部要因である住宅着工件数が減少、戸建て新築着工件数の鈍化による住宅内装向け建材需要の縮小のため。

    ■医療・医薬関連-売上高は434百万円(前年同期比7.4%増)、売上総利益は103百万円(同27.9%増)。貼付材関連が増加、医療品の包装材が堅調に推移したため。

    ■その他-売上高は217百万円(前年同期比22.9%増)、売上総利益は25百万円(同49.8%増)。汎用品の重袋、多層ナイロン共押出袋が堅調に推移、化学メーカー向け機械販売があったため。

     

    主要KPIの進捗と変化

    第1四半期では進捗を判断材料としていません。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    食品関連はラベルレスサーマルトップシールが想定通り進捗出来ず、若干苦戦しておりますがIT・工業材関連が満遍無く好調に推移したため食品関連をカバーすることが出来た。

     

    トピックス

    ラベルレスサーマルトップシールはコンビニ対象で足踏み状態ですが、宅配の冷凍弁当を手掛けるシルバーライフ様など、新しい分野でのお客様が確保できているので、リカバリーできる材料は増えています。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:RNスマートパッケージングのラベルレスサーマルトップシールが順調にお客様に浸透していくことで、食品関連が大きく飛躍すると考えています。同時に、IT・工業材関連の機能材が新しい分野に拡大していけるよう技術を磨いていきます。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A: 1Qが終わったばかりですので、目標通り推移する予定です。

     

    Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:特に現在は発表できるものはございません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:現在、中期経営計画2024の最終年度として順調に進捗しております。新たな中期経営計画は現在策定中です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:将来の経営環境の変化に対応できるよう財務体質の強化と事業拡大に必要な内部留保の充実

    を図りながら、安定配当をベースとして業績に裏付けられた適正な利益還元を行う方針です。

    2026年2月期は2円増配の年間68円配当を予定しております。

  • IR担当

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