
(株)ハルメクホールディングス
東証GRT 7119
決算:3月末日
20250904
決算概要
2026年3月期第1四半期(2025年4月~6月)の連結業績は、売上収益93.7億円(前年同期比+0.6%)、営業利益6.3億円(同+4.6%)、親会社株主に帰属する四半期利益4.0億円(同△1.1%)となりました。
売上は微増にとどまった一方、広告効率改善や物販の収益性向上により営業利益は増益を確保し、想定を上回って進捗しています。なお、情報コンテンツにおいて、特集の前倒し(7月→6月)による広告宣伝費の1ヶ月前倒し発生があり、その影響を除いた実力値では、1.3億円の増益と捉えています。
セグメント別または事業別の増減要因
情報コンテンツ事業では、1年で一番読者を獲得できる特集を2Qから1Qに前倒しした結果、広告宣伝費が増加し、1Q利益は減少(通年では利益増加の見込み)
ハルメク物販は、増収に加え広告効率(媒体費率)が改善したことで利益増
ことせ物販は、前年度下期からの広告投資抑制により減収も、完売比率改善により利益増(赤字幅縮小)
法人事業は、新規クライアントの開拓が順調に進み利益微増
先行投資事業は、押し花事業の赤字幅縮小により利益増(赤字幅縮小)
主要KPIの進捗と変化
アクティブ顧客数は前年並み(136万人)で推移。
ハルメク誌読者数は半年平均で約47万人。国内雑誌No.1(*1)を維持。
媒体費率(広告効率)は前年から大きく改善。カタログ配布施策の見直し効果が表れた。
(*1)一般社団法人日本ABC協会発行社レポート
季節性・一過性要因の有無と影響
情報コンテンツ事業において、例年2Qに行う大型特集を1Qに前倒しで実施したため、広告宣伝費が1億円前倒しで発生。この影響で1Qの利益は一時的に圧迫されたが、1か月前倒しで特集による新規顧客獲得ができているため、通年では増益要因となる見込み。
なお、当社業績は季節性があり、第1・第3四半期に利益が大きくなる傾向。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期予想(売上収益350億円、営業利益15億円、当期利益9億円)に変更なし。
1Q時点で営業利益進捗率97.3%と1Qの想定を上回る。
例年2Qは利益が小さいため業績予想は変更なし、利益改善が1Q想定をやや上回るペースで推移していることから、上期は業績予想をやや上回る見込み。
トピックス
2025年9月度から「抽選型株主優待」を新設(旅行体験や飲食体験などが当選)。
プレシニア向けの動画配信サービスを新規にローンチ予定。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
決算概要2025年3月期は、売上高339億3,000万円(前期比8.0%増)、営業利益10億6,800万円(同24.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益6億2,300万円(同31.0%増)と、増収増益を達成。主な増益要因は、雑誌の値上げ効果およびハルメク物販におけるカタログ経費の効率性改善に向けた取り組みの進捗である 。最終的には全体として8.5億円から10.6億円へ約2億円の増益となっている。
セグメント別または事業別の増減要因
情報コンテンツは1.5億円の増益となり、これは1年前の1月に実施した雑誌の値上げ効果によるもので、読者数はほとんど変わらずに推移。ハルメク物販では、2024年3月期後半から悪化していた売上高に占めるカタログ経費の効率性改善に取り組んだ結果、2025年3月期末には改善が見られたものの、第3四半期までは前年よりも悪い状態であった。売上は伸びたが、それ以上にカタログ費用がかさんだこと、また新規出店にかかるイニシャルコスト等もあり、0.7億円の減益となった。
主要KPIの進捗と変化
情報コンテンツにおいて、雑誌の値上げを実施したにもかかわらず読者数はほぼ横ばいを維持。CPO(新規読者獲得コスト)は以前よりも上昇傾向にあるものの、全体としては値上げ効果が大きく、情報コンテンツである雑誌については増益を達成。物販では、売上高に対するカタログ費用の割合である媒体費率の改善が重要であり、2025年3月期末には改善が見られたが、第3四半期までは前年よりも悪い状態であった。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期には、システム除却損2億2,600万円が発生し、これは当初想定していなかった一過性の損失である。また、ことせ物販が前期比0.7億円の減益となっており、これは完売による機会損失が主因であり、既に手は打っているとのこと。。これらの一時的な要因を合わせると3億円程度の影響が出ているが、2026年3月期にはこれらの影響がなくなる見込みである。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高350億円(前期比3.2%増)、営業利益15億円(同40.4%増)、当期利益9億円(同44.3%増)と、大幅な増益を見込んでいる。この営業利益の大幅な増加は、システム除却損約2.3億円の解消、ハルメク物販のカタログの1冊送付施策の効果が通年寄与することで、約1.2億円の増益、商品の完売による機会損失解消によることせ物販の増益約0.7億円を見込んでいることが主な要因である。加えて、昨年4月に実施した雑誌の値上げ効果が今期に本格的に反映されることで約0.6億円の利益増が見込まれる。これらの要因により利益はかなり堅調に推移する見込みである。
トピックス
中期経営計画において、2028年3月期までに売上高400億円、営業利益25億円の達成を目指すことを発表。この目標達成のため、2026年3月期は利益体質を筋肉質にするべく媒体費率や原価率の改善を進めている。その上で、2027年3月期以降は売上を毎年25億円ずつ伸ばし、それに伴い利益も年間5億円の増加を見込んでいる 。M&Aや業務提携も常に検討を進めており、株主還元については2025年3月期末から配当を開始し、配当性向35%を目安に、利益成長に応じた配当増を目指す方針である。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、2026年3月期を筋肉質な利益体質の強化に注力する期間と位置付けております。この基盤を確立した上で、来期(2026年3月期)からは、売上高を毎年25億円ずつ伸ばしていく方針です。過去の実績からこの程度の売上成長は十分に可能であると認識しており、今期の利益体質改善によって、売上が25億円増加した場合、利益は約5億円増加する蓋然性が高いと考えております。実際にはこれ以上の増益も期待できますが、将来に向けた先行投資も考慮し、年間5億円ずつの増益を着実に実現していく計画です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期における通期予想の戦略は、利益面において、より筋肉質な利益体質の構築を最優先課題としております。具体的な施策としては、媒体費率のさらなる改善、および原価の削減に注力しています。また、現行の一部のサービスが過剰であるとの認識に基づき、その見直しを進めております。例えば、通販における複数配送先への送料に関して、現在は1箇所分の配送料しかいただいておりませんが、これを複数箇所分へと変更する検討を進めております。これらの施策は今期中の完了を予定しておりますが、当期の業績予想には現時点では大きく織り込んでおりません。売上高については、今期は利益体質改善に重点を置いているため、大幅な伸びは想定しておりません。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aや業務提携につきましては、詳細な案件に言及することは差し控えますが、常に検討を進めております。具体的に検討中の案件が全くないという状況はほとんど発生しておらず、継続的に情報収集と精査を行っています。これらの案件が最終的に実現するかどうかは、相手先の状況や条件に左右される側面が大きく、確定的なことは申し上げられません。現時点では、これらの検討状況が当社の業績に与える具体的な影響について開示できる段階にはございませんし、中期経営計画にも織り込んでおりません。
Q:中期事業計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社の中期的な事業計画の根幹は、今期において利益体質を抜本的に改善し、強固な収益基盤を確立することにあります。その上で、来期からは売上高を毎年25億円ずつ増加させることを目指しております。過去の事業推移から、年間25億円の売上成長は十分に達成可能であると判断しております。この売上増に伴い、利益面では毎年5億円の増加を計画しております。実際の増益幅はこれを上回る可能性もございますが、成長に向けた戦略的な先行投資も視野に入れ、堅実に5億円ずつの増益を見込んでおります。この計画に基づき、事業の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。
取材者:まず初めに業績についてお伺いします。2025年3月期の決算について、売上高は339億3,000万円で前期比8.0%増加 、営業利益は10億6,800万円で前期比24.5%増加 、親会社の所有者に帰属する当期純利益は6億2,300万円で前期比31.0%増加 と、増収増益を達成されています。この増減要因について、まず初めにご説明いただけますか?
回答者:2025年3月期について、情報コンテンツは1.5億円の増益です。これは1年前の1月に雑誌を値上げした効果であり、読者数はほとんど変わらなかったため、値上げ効果として約1.5億円の利益が出ています。
ハルメク物販に関しては、2024年3月期後半から悪化していた売上高に占めるカタログ経費の比率を改善する取り組みを行い、2025年3月期末には改善が見られましたが、第3四半期までは前年よりも悪い状態でした。売上は伸びていますが、それ以上にカタログ費用がかさんだこと、また新規出店にかかるイニシャルコスト等もあり、0.7億円の減益となりました。ことせ物販は完売による機会損失が1.3億円あり、収益改善に取り組んだものの、結果として0.7億円の営業利益減となりました。
最終的には、全体として8.5億円から10.6億円へ約2億円の増益となっています。
取材者:ハルメク物販に関して、第4四半期では改善施策により利益率が改善されたとのことですが、来期以降の見通しはいかがですか?
回答者:改善した媒体費率は維持できており、さらなる改善に取り組んでいます。そのため、今期、2026年3月期においては、ハルメク物販において1.2億円の増益を見込んでいます。
取材者:今回の業績について、売上高は339億3,000万円と、前年度の業績予想からほぼ同じ水準(0.2%のマイナス)を達成されているかと思います。一方で、営業利益などは予想よりも上振れて着地されたように見受けられますが、こちらの要因についてはいかがでしょうか?
回答者:売上高はほぼ予想通りでした。営業利益については、システム除却損として2億2,600万円が発生しましたが、これは当初想定していなかったものです。ビジネス的には、業績予想よりも3億円近く上回ったと考えています。ハルメクの物販が思ったよりも悪くなかったことや、先行投資費用が赤字になるかと思われたものの、利益が改善したことも要因です。媒体費率の改善も業績予想より良くできたため、これも寄与しています。損益予想では、昨年最も悪かった時期の14.5%という媒体費率がそのまま継続すると想定していましたが、実際は13~14%程度に収まったため、業績予想よりも利益が改善しました。
取材者:この改善施策として、特にどの点が改善要因となりましたか?
回答者:一番大きいのは、カタログの1冊送付です。ハルメクには「おしゃれ」と「健康とくらし」の2種類のカタログがあり、従来はお客様に2冊ともお届けしていました。しかし、分析の結果、10年以上のカタログを送付しているお客様でも「おしゃれ」のカタログからしか購入していない方や、「健康とくらし」のカタログからしか購入していない方がいらっしゃることが分かりました。そのようなお客様に2冊送り続けるのはコストの無駄であると判断し、購入実績のあるカタログのみを送付するように変更しました。この施策は前期の途中から実施しており、当初は非読者と定義している「雑誌を購読しておらずカタログのみ送付しているお客様」から着手し、これがうまくいきました。1月からは、雑誌購読者の方でも片方のカタログしか購入していない方には、購入実績のあるカタログのみを送付する運用に変えています。非読者の方への変更は9月から、読者の方への変更は1月から実施した、ということでございます。そのため、2026年3月期にはこれらの効果が本格的に現れると予想しています。
取材者:新規店舗の展開もあったかと思いますが、前期比での人材採用の推移などはいかがですか?
回答者:人材採用については、上場したばかりの2024年3月期には48名と今後の成長を見据えて大量採用しましたが、2025年3月期は半分の25名程度に抑えました。これは退職者の欠員補充を含めた人数です。大量採用のフェーズは終了したと考えています。
取材者:今回新しい2026年度の新規店舗の計画といったものはいかがですか?
回答者:具体的な計画はまだ決定していませんが、2025年3月期に6店舗が増えましたので、同程度増やせたらと考えていますが、百貨店様側からの引き合い次第というところもございます。
取材者:その他に主要なKPIがございましたら教えていただけますか?
回答者:主要KPIは、雑誌については、主に「読者数」と「CPO」で見ています。読者数はおおむね横ばいを維持でき、これは成功でした。一方で、CPO(新しい読者を獲得するコスト)は以前よりも上昇傾向にありますが、全体としては値上げ効果が大きかったため、情報コンテンツである雑誌についてはしっかりと増益を達成できました。
取材者:2025年3月期に関して何かその経営業績に影響したような、例えばその期特有の季節要因など、何か一時的なイベント的なものはございましたか?
回答者:一時的なイベントとしては、先ほどお話したシステムの除去損がありました。また、ことせ物販の完売による機会損失が過去にはなかった話で、これが約1.3億円の利益減の要因となりました。これら一時的な要因を合わせると、3億円以上の影響が出ているため、2026年3月期にはこれらがなくなる見込みです。
取材者:予想以上に売れてしまったのですか、それとも何か仕入れのところで問題がありましたか?
回答者:予想以上に売れることは常にありますが、その際には早期に検知し、追加発注を行う仕組みが本来機能しなければなりません。しかし、その早期検知の仕組みがうまく機能せず、結果として追加発注ができず、売上を取りこぼしてしまいました。カタログは大量に送付していたため、結果としてカタログ作成・送付コストばかりがかかり、売上が取れなかったことで大きな損失が出てしまいました。
取材者:2026年3月期の見込みについてお伺いします。2026年3月期の業績予想としては、売上高が350億円で前期比3.2%増加 、営業利益も15億円で前期比40.4%増加 、当期利益も9億円で前期比44.3%増加と、かなり増益の計画ですが、こちらの見込みについて少し教えていただけますか?
回答者:営業利益は10.6億円から15億円と5億円近く増加する見込みですが、これは先ほどのシステム除去損の2.3億円がなくなることや、ハルメク物販のカタログの1冊送付施策の効果が通年寄与することで、約1.2億円、ことせ物販の完売による機会損失の1.3億円がなくなり、0.7億円の増益を見込んでいることが要因です。また、昨年4月に雑誌を値上げしましたが、その効果は前期には本格的に現れていませんでした。雑誌の定期購読は12月に開始されることが多く、初めに7,800円をいただき、その後毎月12分の1ずつ売上に計上します。前期は12月まで6,960円で購読していた読者の売上が計上されており、1月になって初めて7,800円の12分の1が売上となる形でした。そのため、前期にはまだ値上げ効果が十分に反映されておらず、それが今期になって本格的に反映されることで0.6億円の利益増が見込まれます。
これらの要因により、利益はかなり堅調に推移すると正直に思っています。
取材者:それに加えて今回、中期経営計画を出されていますが、2028年3月期までに売上高が400億円、営業利益が25億円といったところ、こちらに対してその目標を達成するための重要施策としてはどのようなことが挙げられますか?
回答者:主要施策としては、利益面では今期さらに筋肉質な利益体質にしていくため、媒体費率のさらなる改善や原価率の改善に取り組んでいます。また、一部過剰なサービスになっている部分があると考えており、そういったサービスの見直しも進めています。例えば、通販で注文した場合、自分用、自分の親用、義理の親用と、複数の届け先に発送しても、現状は1か所分の配送料しかいただいていません。このような場合に、複数箇所へ発送するのだから、それぞれの送料をいただくといったように、過剰なサービスを減らしていくことで、まずは筋肉質な利益体質を構築したいと考えています。これは今期中に完了する予定ですが、業績予想にはそこまで大きく織り込んでいません。
その上で、2026年3月期からは売上を毎年25億円ずつ伸ばしていく方針です。過去にも25億円程度は伸びてきているため、売上を伸ばすことは可能と考えております。今期は利益体質の改善に注力しているため、売上の伸びは控えめです。その後は筋肉質な体質にし、売上を25億円増やせば、利益が5億円程度増えていくという計画は十分に達成可能と考えております。実際はもう少し増える可能性もありますが、先行投資的な資金投下も考慮し、5億円ずつの増益という形を考えています。
取材者:決算説明資料のM&Aの取り組みに関して少し触れられていたかと思いますが、M&Aや業務提携に関して、何かその実施の見込みや検討状況がございましたら、答えられる範囲で教えてください。
回答者:具体的なお話はあまりできませんが、検討は進めています。検討中の案件がゼロであることはほとんどなく、常に何らかの検討を進めています。それが実現するかどうかは相手次第ということもありますし、もし実現しそうになったとしても、当然現時点でお伝えすることはできません。しかし、当社としてはM&Aや提携の両面について、常に何らかの案件を念頭に置きながら進めている状況です。
取材者:株主関係につきまして方針の変化などございましたら教えていただけますか?
回答者:配当は2025年3月期末から開始しました。基本的には、この配当を維持し、配当性向35%を目安に、まとまった金額を出していきたいと考えています。利益が2.5倍になれば配当も2.5倍になるような形で進めていく予定です。
取材者:株主優待も出されていましたよね。
回答者:はい、株主優待も提供しています。基本的には当社の製品であり、特に人気があるのは雑誌の定期購読です。これがあるため、当社の既存顧客が株主になってくださっています。ハルメクのファンであり、かつ株主でもある方々は、継続的に株式を持ち続けてくださったり、追加で購入してくださったりしています。ハルメクのお客様は基本的にシニア女性で、年金が主な収入源である方も多いため、そのような方々が長期的に株式を保有しやすいようにということも、配当を開始した理由の一つです。
取材者:足元のトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか?
回答者:まだ年度が始まったばかりですが、おおむね順調に推移しています。4月の実績も把握しており、5月についても受注状況から見て順調に推移していると考えています。
取材者:中期経営計画を出されてから、投資家様との面談は増えましたか?
回答者:大きくは変わっていません。以前からお話を聞いてくださっている方々には継続して聞いていただいています。
取材者:本日は以上でございます。お時間いただきましてありがとうございました。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
回答者:よろしくお願いいたします。
取締役 CFO 石井文範様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
ハルメクホールディングスは、50代以上の女性を顧客とし、雑誌「ハルメク」を中心とした情報コンテンツと、物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルを展開。雑誌「ハルメク」で得た顧客の声を商品企画に活用し、物販で収益を上げ、コミュニティで顧客ロイヤリティを高めることが特徴。
創業の経緯と転機となった出来事
ユーリーグという編集プロダクションが高齢者向け冊子制作を受託したことが創業の起点。受託終了を機に自社で定期購読誌として「いきいき」(現「ハルメク」)を創刊し、その後、顧客からの要望をきっかけに物販事業を開始。リーマンショック後の経営難を経て、J-STAR社やノーリツ鋼機社による事業譲渡と経営陣によるMBOを経て2023年3月に東証グロース市場に上場。現在に至る。
直近の決算状況
直近の第3四半期決算では、売上高は過去最高を記録し、利益も業績予想を上回る結果となった。ただし、第2四半期と第4四半期は、感謝市後のアウトレットセールの実施や、季節要因などにより、利益が減少する傾向にある。
特徴や強み
情報コンテンツと物販、コミュニティを融合させた独自のビジネスモデルが最大の強み。雑誌「ハルメク」は、5半期連続で国内雑誌販売部数1位を記録するほどの人気を誇り、顧客からのアンケートを商品開発に活かすことで、顧客ニーズに合致した商品を提供。物販では、顧客の声を反映したオリジナル商品の開発に注力し、高い顧客支持を得ている。コミュニティでは、情報コンテンツや物販と連動した講座・イベントを企画し、参加者のロイヤリティを高めている。
成長戦略
今後の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成。具体的には、店舗展開の加速、クロスメディアマーケティングの推進、Webコンテンツサービス「HALMEK up」のコンテンツ拡充や、押し花事業などの新規事業の展開など。
株主還元策
株主還元については、株主優待と配当の両方を実施。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮した方針。
今期の取り組みやトピックス
今期の主な取り組みとして、店舗展開の加速と、新たなマーケティング施策の開発が挙げられる。店舗展開については、2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来期以降も積極的に展開する方針。マーケティング施策については、従来は新聞広告で顧客を開拓する手法に加えて、テレビを軸にその他のメディアで誘引するクロスメディアマーケティングのテストを進めている。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
取材者:
貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますでしょうか。
回答者:
弊社は、50代からのより良い人生を応援する企業でございます。ターゲットは50代以上の女性で、その女性に向けたサービスを展開しております。50代以上の女性をターゲットとしている理由としましては、総人口が減少傾向にある中で、50歳以上の方の人口は横ばいを維持、もしくは微増の形で推移していくと見込まれており、今後の将来性についても担保されていることが挙げられます。また、年齢別の金融資産につきましては、50歳以上の方が約1800兆円以上の金融資産を保有しており、非常に大きな市場であるということも理由の一つです。
私どもは、シニアの活動的な層をブルーオーシャンとして捉えています。これまでは高齢化に伴って顕在化してきた問題に対処する市場が主に広がってきていましたが、それ以外の層、すなわち50代以上60代70代の方々は、定年後の人生をどう生きようかと前向きに、より華やかにしたいというニーズがあるにもかかわらず、そういった情報や機会を提供する企業が少ない状況でした。弊社は、そのようなニーズに応えるサービスを展開しています。
現在の事業領域は、65歳から90歳ぐらいまでのアクティブシニア向けですが、健康的で自立している65歳以上の層を主な事業領域としております。今後、50代からの女性についても対応していく予定ですが、こちらの詳細につきましては後ほどご説明させていただきます。基本的には、アクティブシニア市場の顧客に対してサービスを展開しているとご理解ください。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
私どもの主力商品としましては、雑誌「ハルメク」がございます。「ハルメク」は出版不況と言われる中、高い水準で読者を維持し続けている雑誌です。2022年から5半期連続で国内の全雑誌で発行部数No.1を記録しており、2024年上期では、3位の週刊誌と比較すると「ハルメク」は約3倍の部数を誇ります。
アナログ×アクティブシニア層は当社の試算でございますが、約830万人いらっしゃいます。弊社はそのうち7%のシェアしか獲得できていないので、まだまだこれからシェアを拡大していく余地が十分にあるというふうに捉えております。
ビジネスモデルについて、当社の一番の強みであると考えておりますので、ご説明させていただきます。まず私どもは情報コンテンツとして、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を発刊し、情報を皆様にお届けしております。その情報をもとに、読者の方のリアルな声を非常に多く収集しています。「ハルメク」の雑誌には、アンケート葉書のようなものがついており、「ハルメク」へのお手紙ということで、読者の方から毎月2000通ほどアンケートが届きます。弊社はそのアンケートを全て確認し、現在シニアの方が今どのような気持ちで過ごされているのか、何に関心があるのかなど顧客のインサイトに向き合い、コンテンツ制作や商品の企画開発に役立てています。
こうした読者の方向けにオリジナル商品中心に販売しているのが、物販事業です。そして、これはコミュニティという形で提供しておりますが、ハルメクと顧客、顧客同士が繋がる場として講座やイベントを企画して体験価値を提供しています。簡単に申し上げますと、情報コンテンツでお客様を集客し、物販をご利用いただくことで収益を上げ、コミュニティによってロイヤリティを高めるというビジネスモデルを構築しているというわけです。
またハルメクでは現在「ハルメク おみせ」という屋号で店舗展開も加速しています。現在、全国11都道府県18店舗で主に百貨店を中心に展開しています。それ以外にも法人向け事業をグループ会社のハルメク・エイジマーケティングが行っております。中には「生きかた上手研究所」というシンクタンク部門もあり、日々顧客の声やシニアの現在の動向を調査しています。調査リリースも毎月1本以上出しており、その知見をもとに、これからシニアビジネスに参入したいという企業様に、リサーチやマーケティングなどを提案しています。
加えて、グループ会社のハルメク・アルファが展開する「ことせ事業」というものがございます。これは大阪に本社があるグループ会社ですが、「ハルメク」よりお求めやすい価格帯の商品をハルメクよりも少し上の60代からの顧客を対象にして販売しています。
先行投資事業として、デジタルに非常に強い50代からのプレシニア層に向けて、「HALMEK up」というコンテンツサイトを作り、情報をウェブやスマートフォンなどでご覧いただけるよう情報を提供しています。こちらは始めたばかりでまだ先行投資を継続中という状況です。
押し花事業というのは、これは構想としては、茶道や華道のような仕組みを活用して、広く50代からのプレシニアの方にサービスをお届けできないかということを考えた事業です。著名な押し花の先生がいらっしゃいまして、押し花講師の育成を行っています。講師となられた方は生徒を取って、それが30人から40人ぐらい広がって、その中からまた講師が出てきてというような形で、講師の方を増やし、それをもとに生徒の方もまた増えて、そしてその方々が私どもが販売する押し花のキットなどを買っていただいて、事業を成長させていくようなモデルを組んでいます。
以上が弊社の事業モデルでございます。簡潔に決算説明会資料に入れている図を基にご説明させていただきました。
回答者:
入山様、何か補足でご説明することはございますか。
回答者:
「ハルメク」の特徴的なのは出版社ではあるものの、売上高の8割は物販という形で、事業を成長させてきた会社です。昨今ではコンテンツマーケティングという言い方になるかと思いますが、それが雑誌というリアルの媒体とカタログ、オリジナルの商品でできているところが一つ大きな特徴かと思います。
取材者:
ご説明ありがとうございます。「ハルメク」事業で扱われているオリジナル商品の割合は、どれくらいの割合になりますか。
回答者:
大体7割です。
取材者:
残りの3割はどのような商品を扱われているのですか。
回答者:
ナショナルブランドの商品で、例えば、シャワーヘッドなどがございます。雑貨関係も多く、コスメ、ファッション、インナーはほぼ100%オリジナルです。
取材者:
食品もオリジナル商品が多いということですか。
回答者:
食品もオリジナル商品が多いです。
取材者:
オリジナル商品が幅広く展開されているのですね。商品展開の幅広さは素晴らしいと思います。様々な商品を扱える要因というのはどのような点にございますか。
回答者:
商品を扱えること自体は、どの会社様でも可能だと思います。重要なのは、それを継続的な売上に繋げられるかどうかという点だと考えております。それができる理由としましては、先ほど少しご説明したことですが、雑誌で集客をしてそこでお客様の声をしっかり聞いて、何が売れるかどうかというのをしっかりと調査をして商品を出す、もしくは商品を準備するという点だと考えております。
例えば、商品を開発するときにはお客様に開発段階で試着などしていただき、使用感や肌触りなどの意見を聞くようにしています。ですので、外れが非常に少ないと思います。他社様はどれぐらい外れがあるかどうかは分かりかねますが、しっかりニーズを聞き出して開発を進めておりますので、その点は強みであり、その部分で様々な商品を扱っても失敗が少ないため、事業を継続できていると認識しております。
取材者:
ご説明ありがとうございます。雑誌に関して定期購買の割合は分かりますか。
回答者:
100%でございます。
雑誌は年間購読のみでございます。年間購読のみですので、お申し込みいただいた時点で、12冊分は全て100%となります。
取材者:
契約の更新率はいかがですか。
回答者:
まず1年間購読して2年目にご継続いただく方の割合が大体3割弱ぐらいです。2年間購読して3年目にご継続いただく方の割合が6割前後、その次にもう1回更新するかどうかという点では、8割強ぐらいになります。3年目以降はあまり変わりません。
取材者:
ファン化していくようなイメージなのですね。ありがとうございます。
店舗展開の方に関しまして、何か出店戦略的なものがあれば教えていただけますか。
回答者:
出店戦略はシンプルで、需要が多い百貨店に進出することです。地方都市ではなく、各県の主要都市に出店しており、直近では4月に広島に、3月は北九州の百貨店に出店いたしました。
取材者:
都市の中心部の百貨店に出店されているのですね。
貴社の創業の経緯につきまして、わかる範囲で教えていただけますか。
回答者:
元々ユーリーグという会社を創業しまして、先に申し上げますと、ユーリーグという会社が「いきいき」という雑誌を制作していました。それが40万部ほどに成長したのですが、リーマンショックの際に、非本業の事業問題が発生し、マーケティング費用を捻出できなくなり、部数が急激に減少しました。その後、民事再生に至り、プライベートエクイティファンドのJ-STAR様の支援を受け、「いきいき株式会社」を設立し、ユーリーグから事業譲渡を受けました。そして、現在の宮澤が「いきいき株式会社」の社長に就任し、事業再建に取り組んだというのが経緯です。
ですので、現在の会社としての創業は、いきいき株式会社がユーリーグから事業譲渡を受けた時点からとなりますが、一番最初のユーリーグという点では、元々は東京都で受託の編集プロダクションを運営しておりました。そこで高齢者向けの冊子を無料配布するものを制作したのですが、その制作していたものが受託終了となるタイミングで、せっかくの媒体だからということで自分たちが運営することにし、その時に書店売りではなく最初から定期購読のみという形でスタートし、現在のビジネスモデルに至ったという経緯になります。
取材者:
物販を始められた経緯やタイミングは、どのようなものだったのでしょうか。
回答者:
これも当時の話なのですが、ユーリーグは、お客様から編集部に様々なお問い合わせがあり、最初にあるお客様から「自宅でたくさんの柿が収穫できたので、他の読者の皆さんにお裾分けしたい」というお申し出がありました。それをきっかけに、編集部がお裾分けビジネスのような形で、まず商品をお預かりし、購入希望のお客様に販売するという形で物販ビジネスが始まりました。編集部がコールセンター業務を行い、商品の受け取りから発送まで全て担当していたそうです。
取材者:
編集部の業務範囲を超えた活動をされていたのですね。まるで一つのコミュニティが形成されていたような印象を受けます。
回答者:
当時、「いきいき」という雑誌が届くと、地域の方々が集まって「いきいき読書会」のようなものを自主的に開催していたという話も聞いております。
取材者:
そのような経緯を経て、2023年に上場されましたが、その目的についてお聞かせいただけますか。
回答者:
この点については、少々複雑な背景がございます。J-STAR様が一度Exitされ、ノーリツ鋼機様に株式を売却しました。当時のノーリツ鋼機様は、本業以外の分野で投資事業を展開しており、ハルメク(当時の「いきいき」)もその投資先の一つでした。その後、ハルメクは順調に成長しましたが、ノーリツ鋼機様が本業と定めた事業以外の事業を売却することになり、売却のタイミングで、経営陣がMBOを実施したという経緯です。MBOのための借入金もあり、借入金の返済や成長のためのシステム投資を実施する等の手段として、上場を目指しました。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
様々な投資を行うにあたり、当時借入金や、その制約も多かったのですが、この分野は非常に広範囲であり、先ほどご説明したように、市場は大きいものの、適切なサービスや物販を提供している企業が少ない状況です。その中で、ハルメクは順調に成長しているものの、まだシェアは10%に満たない状況です。今後の事業戦略としてM&Aなども視野に入れており、事業を拡大する上での制約条件を排除することも含めて、上場を目指しておりました。上場後は企業の信用性も高まり優秀な人材も多く獲得することができ、上場してよかったと思っております。
取材者:
承知いたしました。決算の状況についても少しお伺いしたいのですが、第3四半期終了時点で売上高は過去最高を記録し、利益に関しても業績予想を上回っているとのことですが、これらの結果は想定通りと見てよろしいでしょうか。
回答者:
はい、想定通りです。業績予想の修正も特に行っておりません。第4四半期は期初から赤字を見込んでおりました。
取材者:
第4四半期に何か大きな投資をされるご予定があるのでしょうか。
回答者:
特にございません。もともと第2四半期と第4四半期は、利益が減少する傾向にあります。
回答者:
売上高が最も増加するのは第1四半期と第3四半期で、利益が減少するのは第2四半期と第4四半期です。要因は二つあり、一つは、売上高と利益が大きく伸びる要因として、6月と11月12月に「感謝市」という催しを開催することです。弊社は通常、商品の値引き販売はほとんど行いませんが、感謝市期間中のみ値引き販売を行うため、多くのお客様にご購入いただいております。これにより、第1四半期と第3四半期の業績が大きく向上します。
第2四半期と第4四半期は、感謝市で売れ残った在庫商品をアウトレットセールという形で販売します。アウトレットセールは2月と8月に実施するため、利益率は低下します。第2四半期と第4四半期では、第4四半期は利益が落ち込みやすい傾向にあります。第4四半期は対象月が1月、2月、3月であり、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の売れ行きが低調な時期であることなどが影響します。弊社はファッション商品の売上高構成比が高いため、これらの要因が利益に影響を与えることがあります。例えば、2023年3月期では、第2四半期の利益は2.6億円でしたが、第4四半期は1億円の赤字といった具合です。
取材者:
季節要因がこれほどまでに業績に影響するとは考えておりませんでした。キャンペーンなどの要因があるのですね。
取材者:
今後の成長戦略についてお聞かせいただけますでしょうか。
回答者:
成長戦略につきましては、現在のアクティブシニア向けアナログ事業、すなわちこれまでご説明した雑誌「ハルメク」を通じて情報コンテンツを中心にしたビジネスモデルを、基盤事業と位置付けております。基盤事業は、これまでの成長を牽引し、安定的な成長と収益をもたらすビジネスモデルであると認識しております。ただし、基盤事業が今後急激に成長することは想定しておらず、今後も安定的に成長させ、収益を確保していくことを目指しております。アクティブシニア×アナログ事業の基盤事業は、安定成長・安定収益モデルとして考えております。
今後の成長を牽引するのは、プレシニア×デジタル事業です。先ほど少しご説明したWebコンテンツサービス「HALMEK up」をしっかりと育成していく事業として捉えております。このような形で成長を想定しており、「HALMEK up」や押し花事業などを成長させていくことが、今後の成長戦略となります。
取材者:
Webコンテンツの充実を図るという理解でよろしいでしょうか。
回答者:
はい。Webコンテンツを充実させることで、対象世代の幅を、これまでのメインの顧客層である65歳以上から、50代から64歳までに広げています。現在の65歳以上向け事業は、安定成長・安定収益が見込めるため、急激な成長はありませんが、今後も着実に事業を拡大していくという考えです。
取材者:
株主還元策につきましては方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:
株主還元につきましては、現在株主優待と配当の両方を実施しております。配当については、前期の2025年3月期に関しては、配当性向36.5%で20円からスタートしています。今後もこの配当性向を目安としつつ、しっかりと配当も行いながら事業成長のための内部留保も実施していきたいと考えております。
取材者:
その他、今期から新しく始めているトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者:
まず一つは、店舗展開を積極的に進めています。2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来年以降も店舗展開のスピードを緩めずに進めていきたいと考えております。
また、新たなマーケティング施策の開発にも取り組んでいます。これまでは新聞広告を中心に雑誌の読者を増やしてきましたが、新聞広告の出稿量が限界に近づいているため、それ以外の顧客開拓、顧客獲得の方法を検討する必要があります。そこで、テレビと新聞、テレビとWeb、テレビとチラシといった形で、クロスメディアマーケティングを展開していく新たな広告手法を開発中です。この手法は少しずつ効果が出始めており、来年からはさらに活用して集客を強化していく予定です。
ただ、昨今では春と秋が短く、季節の変わり目が分かりづらいという状況があります。カタログ通販は、1ヶ月に1回商品を入れ替えるため、タイミングによっては対応が難しい場合もあります。特に、暑い時期が長いため、その点については工夫しながら対応していく必要があると考えています。
売上の約25%をアパレル商品が占めているため、アパレル部門の動向が業績に大きく影響します。アパレル以外では、インナーなどが非常に好調に推移しているため、これらの分野を拡大することで、物販全体の利益率向上に繋げられると考えています。また、コスメの売上高構成比がもう少し高まると良いと考えています。
取材者:
季節性が薄れてきているような印象がありますね。
回答者:
利益に影響するという意味では、コスメは非常に有効です。シニア世代向けのコスメは、肌年齢に合わせて肌への負担が少ないという特徴があります。そのため、商品の特徴を効果的に伝え、お客様のニーズに合致すれば、コスメ部門の貢献度が高まるのではないかと考えています。
広報・IR室 室長 入山真一様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様

(株)ハルメクホールディングス
東証GRT 7119
決算:3月末日
決算概要
2026年3月期第1四半期(2025年4月~6月)の連結業績は、売上収益93.7億円(前年同期比+0.6%)、営業利益6.3億円(同+4.6%)、親会社株主に帰属する四半期利益4.0億円(同△1.1%)となりました。
売上は微増にとどまった一方、広告効率改善や物販の収益性向上により営業利益は増益を確保し、想定を上回って進捗しています。なお、情報コンテンツにおいて、特集の前倒し(7月→6月)による広告宣伝費の1ヶ月前倒し発生があり、その影響を除いた実力値では、1.3億円の増益と捉えています。
セグメント別または事業別の増減要因
情報コンテンツ事業では、1年で一番読者を獲得できる特集を2Qから1Qに前倒しした結果、広告宣伝費が増加し、1Q利益は減少(通年では利益増加の見込み)
ハルメク物販は、増収に加え広告効率(媒体費率)が改善したことで利益増
ことせ物販は、前年度下期からの広告投資抑制により減収も、完売比率改善により利益増(赤字幅縮小)
法人事業は、新規クライアントの開拓が順調に進み利益微増
先行投資事業は、押し花事業の赤字幅縮小により利益増(赤字幅縮小)
主要KPIの進捗と変化
アクティブ顧客数は前年並み(136万人)で推移。
ハルメク誌読者数は半年平均で約47万人。国内雑誌No.1(*1)を維持。
媒体費率(広告効率)は前年から大きく改善。カタログ配布施策の見直し効果が表れた。
(*1)一般社団法人日本ABC協会発行社レポート
季節性・一過性要因の有無と影響
情報コンテンツ事業において、例年2Qに行う大型特集を1Qに前倒しで実施したため、広告宣伝費が1億円前倒しで発生。この影響で1Qの利益は一時的に圧迫されたが、1か月前倒しで特集による新規顧客獲得ができているため、通年では増益要因となる見込み。
なお、当社業績は季節性があり、第1・第3四半期に利益が大きくなる傾向。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期予想(売上収益350億円、営業利益15億円、当期利益9億円)に変更なし。
1Q時点で営業利益進捗率97.3%と1Qの想定を上回る。
例年2Qは利益が小さいため業績予想は変更なし、利益改善が1Q想定をやや上回るペースで推移していることから、上期は業績予想をやや上回る見込み。
トピックス
2025年9月度から「抽選型株主優待」を新設(旅行体験や飲食体験などが当選)。
プレシニア向けの動画配信サービスを新規にローンチ予定。
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
ハルメクホールディングスは、50代以上の女性を顧客とし、雑誌「ハルメク」を中心とした情報コンテンツと、物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルを展開。雑誌「ハルメク」で得た顧客の声を商品企画に活用し、物販で収益を上げ、コミュニティで顧客ロイヤリティを高めることが特徴。
創業の経緯と転機となった出来事
ユーリーグという編集プロダクションが高齢者向け冊子制作を受託したことが創業の起点。受託終了を機に自社で定期購読誌として「いきいき」(現「ハルメク」)を創刊し、その後、顧客からの要望をきっかけに物販事業を開始。リーマンショック後の経営難を経て、J-STAR社やノーリツ鋼機社による事業譲渡と経営陣によるMBOを経て2023年3月に東証グロース市場に上場。現在に至る。
直近の決算状況
直近の第3四半期決算では、売上高は過去最高を記録し、利益も業績予想を上回る結果となった。ただし、第2四半期と第4四半期は、感謝市後のアウトレットセールの実施や、季節要因などにより、利益が減少する傾向にある。
特徴や強み
情報コンテンツと物販、コミュニティを融合させた独自のビジネスモデルが最大の強み。雑誌「ハルメク」は、5半期連続で国内雑誌販売部数1位を記録するほどの人気を誇り、顧客からのアンケートを商品開発に活かすことで、顧客ニーズに合致した商品を提供。物販では、顧客の声を反映したオリジナル商品の開発に注力し、高い顧客支持を得ている。コミュニティでは、情報コンテンツや物販と連動した講座・イベントを企画し、参加者のロイヤリティを高めている。
成長戦略
今後の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成。具体的には、店舗展開の加速、クロスメディアマーケティングの推進、Webコンテンツサービス「HALMEK up」のコンテンツ拡充や、押し花事業などの新規事業の展開など。
株主還元策
株主還元については、株主優待と配当の両方を実施。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮した方針。
今期の取り組みやトピックス
今期の主な取り組みとして、店舗展開の加速と、新たなマーケティング施策の開発が挙げられる。店舗展開については、2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来期以降も積極的に展開する方針。マーケティング施策については、従来は新聞広告で顧客を開拓する手法に加えて、テレビを軸にその他のメディアで誘引するクロスメディアマーケティングのテストを進めている。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
取材者:
貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますでしょうか。
回答者:
弊社は、50代からのより良い人生を応援する企業でございます。ターゲットは50代以上の女性で、その女性に向けたサービスを展開しております。50代以上の女性をターゲットとしている理由としましては、総人口が減少傾向にある中で、50歳以上の方の人口は横ばいを維持、もしくは微増の形で推移していくと見込まれており、今後の将来性についても担保されていることが挙げられます。また、年齢別の金融資産につきましては、50歳以上の方が約1800兆円以上の金融資産を保有しており、非常に大きな市場であるということも理由の一つです。
私どもは、シニアの活動的な層をブルーオーシャンとして捉えています。これまでは高齢化に伴って顕在化してきた問題に対処する市場が主に広がってきていましたが、それ以外の層、すなわち50代以上60代70代の方々は、定年後の人生をどう生きようかと前向きに、より華やかにしたいというニーズがあるにもかかわらず、そういった情報や機会を提供する企業が少ない状況でした。弊社は、そのようなニーズに応えるサービスを展開しています。
現在の事業領域は、65歳から90歳ぐらいまでのアクティブシニア向けですが、健康的で自立している65歳以上の層を主な事業領域としております。今後、50代からの女性についても対応していく予定ですが、こちらの詳細につきましては後ほどご説明させていただきます。基本的には、アクティブシニア市場の顧客に対してサービスを展開しているとご理解ください。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
私どもの主力商品としましては、雑誌「ハルメク」がございます。「ハルメク」は出版不況と言われる中、高い水準で読者を維持し続けている雑誌です。2022年から5半期連続で国内の全雑誌で発行部数No.1を記録しており、2024年上期では、3位の週刊誌と比較すると「ハルメク」は約3倍の部数を誇ります。
アナログ×アクティブシニア層は当社の試算でございますが、約830万人いらっしゃいます。弊社はそのうち7%のシェアしか獲得できていないので、まだまだこれからシェアを拡大していく余地が十分にあるというふうに捉えております。
ビジネスモデルについて、当社の一番の強みであると考えておりますので、ご説明させていただきます。まず私どもは情報コンテンツとして、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を発刊し、情報を皆様にお届けしております。その情報をもとに、読者の方のリアルな声を非常に多く収集しています。「ハルメク」の雑誌には、アンケート葉書のようなものがついており、「ハルメク」へのお手紙ということで、読者の方から毎月2000通ほどアンケートが届きます。弊社はそのアンケートを全て確認し、現在シニアの方が今どのような気持ちで過ごされているのか、何に関心があるのかなど顧客のインサイトに向き合い、コンテンツ制作や商品の企画開発に役立てています。
こうした読者の方向けにオリジナル商品中心に販売しているのが、物販事業です。そして、これはコミュニティという形で提供しておりますが、ハルメクと顧客、顧客同士が繋がる場として講座やイベントを企画して体験価値を提供しています。簡単に申し上げますと、情報コンテンツでお客様を集客し、物販をご利用いただくことで収益を上げ、コミュニティによってロイヤリティを高めるというビジネスモデルを構築しているというわけです。
またハルメクでは現在「ハルメク おみせ」という屋号で店舗展開も加速しています。現在、全国11都道府県18店舗で主に百貨店を中心に展開しています。それ以外にも法人向け事業をグループ会社のハルメク・エイジマーケティングが行っております。中には「生きかた上手研究所」というシンクタンク部門もあり、日々顧客の声やシニアの現在の動向を調査しています。調査リリースも毎月1本以上出しており、その知見をもとに、これからシニアビジネスに参入したいという企業様に、リサーチやマーケティングなどを提案しています。
加えて、グループ会社のハルメク・アルファが展開する「ことせ事業」というものがございます。これは大阪に本社があるグループ会社ですが、「ハルメク」よりお求めやすい価格帯の商品をハルメクよりも少し上の60代からの顧客を対象にして販売しています。
先行投資事業として、デジタルに非常に強い50代からのプレシニア層に向けて、「HALMEK up」というコンテンツサイトを作り、情報をウェブやスマートフォンなどでご覧いただけるよう情報を提供しています。こちらは始めたばかりでまだ先行投資を継続中という状況です。
押し花事業というのは、これは構想としては、茶道や華道のような仕組みを活用して、広く50代からのプレシニアの方にサービスをお届けできないかということを考えた事業です。著名な押し花の先生がいらっしゃいまして、押し花講師の育成を行っています。講師となられた方は生徒を取って、それが30人から40人ぐらい広がって、その中からまた講師が出てきてというような形で、講師の方を増やし、それをもとに生徒の方もまた増えて、そしてその方々が私どもが販売する押し花のキットなどを買っていただいて、事業を成長させていくようなモデルを組んでいます。
以上が弊社の事業モデルでございます。簡潔に決算説明会資料に入れている図を基にご説明させていただきました。
回答者:
入山様、何か補足でご説明することはございますか。
回答者:
「ハルメク」の特徴的なのは出版社ではあるものの、売上高の8割は物販という形で、事業を成長させてきた会社です。昨今ではコンテンツマーケティングという言い方になるかと思いますが、それが雑誌というリアルの媒体とカタログ、オリジナルの商品でできているところが一つ大きな特徴かと思います。
取材者:
ご説明ありがとうございます。「ハルメク」事業で扱われているオリジナル商品の割合は、どれくらいの割合になりますか。
回答者:
大体7割です。
取材者:
残りの3割はどのような商品を扱われているのですか。
回答者:
ナショナルブランドの商品で、例えば、シャワーヘッドなどがございます。雑貨関係も多く、コスメ、ファッション、インナーはほぼ100%オリジナルです。
取材者:
食品もオリジナル商品が多いということですか。
回答者:
食品もオリジナル商品が多いです。
取材者:
オリジナル商品が幅広く展開されているのですね。商品展開の幅広さは素晴らしいと思います。様々な商品を扱える要因というのはどのような点にございますか。
回答者:
商品を扱えること自体は、どの会社様でも可能だと思います。重要なのは、それを継続的な売上に繋げられるかどうかという点だと考えております。それができる理由としましては、先ほど少しご説明したことですが、雑誌で集客をしてそこでお客様の声をしっかり聞いて、何が売れるかどうかというのをしっかりと調査をして商品を出す、もしくは商品を準備するという点だと考えております。
例えば、商品を開発するときにはお客様に開発段階で試着などしていただき、使用感や肌触りなどの意見を聞くようにしています。ですので、外れが非常に少ないと思います。他社様はどれぐらい外れがあるかどうかは分かりかねますが、しっかりニーズを聞き出して開発を進めておりますので、その点は強みであり、その部分で様々な商品を扱っても失敗が少ないため、事業を継続できていると認識しております。
取材者:
ご説明ありがとうございます。雑誌に関して定期購買の割合は分かりますか。
回答者:
100%でございます。
雑誌は年間購読のみでございます。年間購読のみですので、お申し込みいただいた時点で、12冊分は全て100%となります。
取材者:
契約の更新率はいかがですか。
回答者:
まず1年間購読して2年目にご継続いただく方の割合が大体3割弱ぐらいです。2年間購読して3年目にご継続いただく方の割合が6割前後、その次にもう1回更新するかどうかという点では、8割強ぐらいになります。3年目以降はあまり変わりません。
取材者:
ファン化していくようなイメージなのですね。ありがとうございます。
店舗展開の方に関しまして、何か出店戦略的なものがあれば教えていただけますか。
回答者:
出店戦略はシンプルで、需要が多い百貨店に進出することです。地方都市ではなく、各県の主要都市に出店しており、直近では4月に広島に、3月は北九州の百貨店に出店いたしました。
取材者:
都市の中心部の百貨店に出店されているのですね。
貴社の創業の経緯につきまして、わかる範囲で教えていただけますか。
回答者:
元々ユーリーグという会社を創業しまして、先に申し上げますと、ユーリーグという会社が「いきいき」という雑誌を制作していました。それが40万部ほどに成長したのですが、リーマンショックの際に、非本業の事業問題が発生し、マーケティング費用を捻出できなくなり、部数が急激に減少しました。その後、民事再生に至り、プライベートエクイティファンドのJ-STAR様の支援を受け、「いきいき株式会社」を設立し、ユーリーグから事業譲渡を受けました。そして、現在の宮澤が「いきいき株式会社」の社長に就任し、事業再建に取り組んだというのが経緯です。
ですので、現在の会社としての創業は、いきいき株式会社がユーリーグから事業譲渡を受けた時点からとなりますが、一番最初のユーリーグという点では、元々は東京都で受託の編集プロダクションを運営しておりました。そこで高齢者向けの冊子を無料配布するものを制作したのですが、その制作していたものが受託終了となるタイミングで、せっかくの媒体だからということで自分たちが運営することにし、その時に書店売りではなく最初から定期購読のみという形でスタートし、現在のビジネスモデルに至ったという経緯になります。
取材者:
物販を始められた経緯やタイミングは、どのようなものだったのでしょうか。
回答者:
これも当時の話なのですが、ユーリーグは、お客様から編集部に様々なお問い合わせがあり、最初にあるお客様から「自宅でたくさんの柿が収穫できたので、他の読者の皆さんにお裾分けしたい」というお申し出がありました。それをきっかけに、編集部がお裾分けビジネスのような形で、まず商品をお預かりし、購入希望のお客様に販売するという形で物販ビジネスが始まりました。編集部がコールセンター業務を行い、商品の受け取りから発送まで全て担当していたそうです。
取材者:
編集部の業務範囲を超えた活動をされていたのですね。まるで一つのコミュニティが形成されていたような印象を受けます。
回答者:
当時、「いきいき」という雑誌が届くと、地域の方々が集まって「いきいき読書会」のようなものを自主的に開催していたという話も聞いております。
取材者:
そのような経緯を経て、2023年に上場されましたが、その目的についてお聞かせいただけますか。
回答者:
この点については、少々複雑な背景がございます。J-STAR様が一度Exitされ、ノーリツ鋼機様に株式を売却しました。当時のノーリツ鋼機様は、本業以外の分野で投資事業を展開しており、ハルメク(当時の「いきいき」)もその投資先の一つでした。その後、ハルメクは順調に成長しましたが、ノーリツ鋼機様が本業と定めた事業以外の事業を売却することになり、売却のタイミングで、経営陣がMBOを実施したという経緯です。MBOのための借入金もあり、借入金の返済や成長のためのシステム投資を実施する等の手段として、上場を目指しました。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
様々な投資を行うにあたり、当時借入金や、その制約も多かったのですが、この分野は非常に広範囲であり、先ほどご説明したように、市場は大きいものの、適切なサービスや物販を提供している企業が少ない状況です。その中で、ハルメクは順調に成長しているものの、まだシェアは10%に満たない状況です。今後の事業戦略としてM&Aなども視野に入れており、事業を拡大する上での制約条件を排除することも含めて、上場を目指しておりました。上場後は企業の信用性も高まり優秀な人材も多く獲得することができ、上場してよかったと思っております。
取材者:
承知いたしました。決算の状況についても少しお伺いしたいのですが、第3四半期終了時点で売上高は過去最高を記録し、利益に関しても業績予想を上回っているとのことですが、これらの結果は想定通りと見てよろしいでしょうか。
回答者:
はい、想定通りです。業績予想の修正も特に行っておりません。第4四半期は期初から赤字を見込んでおりました。
取材者:
第4四半期に何か大きな投資をされるご予定があるのでしょうか。
回答者:
特にございません。もともと第2四半期と第4四半期は、利益が減少する傾向にあります。
回答者:
売上高が最も増加するのは第1四半期と第3四半期で、利益が減少するのは第2四半期と第4四半期です。要因は二つあり、一つは、売上高と利益が大きく伸びる要因として、6月と11月12月に「感謝市」という催しを開催することです。弊社は通常、商品の値引き販売はほとんど行いませんが、感謝市期間中のみ値引き販売を行うため、多くのお客様にご購入いただいております。これにより、第1四半期と第3四半期の業績が大きく向上します。
第2四半期と第4四半期は、感謝市で売れ残った在庫商品をアウトレットセールという形で販売します。アウトレットセールは2月と8月に実施するため、利益率は低下します。第2四半期と第4四半期では、第4四半期は利益が落ち込みやすい傾向にあります。第4四半期は対象月が1月、2月、3月であり、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の売れ行きが低調な時期であることなどが影響します。弊社はファッション商品の売上高構成比が高いため、これらの要因が利益に影響を与えることがあります。例えば、2023年3月期では、第2四半期の利益は2.6億円でしたが、第4四半期は1億円の赤字といった具合です。
取材者:
季節要因がこれほどまでに業績に影響するとは考えておりませんでした。キャンペーンなどの要因があるのですね。
取材者:
今後の成長戦略についてお聞かせいただけますでしょうか。
回答者:
成長戦略につきましては、現在のアクティブシニア向けアナログ事業、すなわちこれまでご説明した雑誌「ハルメク」を通じて情報コンテンツを中心にしたビジネスモデルを、基盤事業と位置付けております。基盤事業は、これまでの成長を牽引し、安定的な成長と収益をもたらすビジネスモデルであると認識しております。ただし、基盤事業が今後急激に成長することは想定しておらず、今後も安定的に成長させ、収益を確保していくことを目指しております。アクティブシニア×アナログ事業の基盤事業は、安定成長・安定収益モデルとして考えております。
今後の成長を牽引するのは、プレシニア×デジタル事業です。先ほど少しご説明したWebコンテンツサービス「HALMEK up」をしっかりと育成していく事業として捉えております。このような形で成長を想定しており、「HALMEK up」や押し花事業などを成長させていくことが、今後の成長戦略となります。
取材者:
Webコンテンツの充実を図るという理解でよろしいでしょうか。
回答者:
はい。Webコンテンツを充実させることで、対象世代の幅を、これまでのメインの顧客層である65歳以上から、50代から64歳までに広げています。現在の65歳以上向け事業は、安定成長・安定収益が見込めるため、急激な成長はありませんが、今後も着実に事業を拡大していくという考えです。
取材者:
株主還元策につきましては方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:
株主還元につきましては、現在株主優待と配当の両方を実施しております。配当については、前期の2025年3月期に関しては、配当性向36.5%で20円からスタートしています。今後もこの配当性向を目安としつつ、しっかりと配当も行いながら事業成長のための内部留保も実施していきたいと考えております。
取材者:
その他、今期から新しく始めているトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者:
まず一つは、店舗展開を積極的に進めています。2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来年以降も店舗展開のスピードを緩めずに進めていきたいと考えております。
また、新たなマーケティング施策の開発にも取り組んでいます。これまでは新聞広告を中心に雑誌の読者を増やしてきましたが、新聞広告の出稿量が限界に近づいているため、それ以外の顧客開拓、顧客獲得の方法を検討する必要があります。そこで、テレビと新聞、テレビとWeb、テレビとチラシといった形で、クロスメディアマーケティングを展開していく新たな広告手法を開発中です。この手法は少しずつ効果が出始めており、来年からはさらに活用して集客を強化していく予定です。
ただ、昨今では春と秋が短く、季節の変わり目が分かりづらいという状況があります。カタログ通販は、1ヶ月に1回商品を入れ替えるため、タイミングによっては対応が難しい場合もあります。特に、暑い時期が長いため、その点については工夫しながら対応していく必要があると考えています。
売上の約25%をアパレル商品が占めているため、アパレル部門の動向が業績に大きく影響します。アパレル以外では、インナーなどが非常に好調に推移しているため、これらの分野を拡大することで、物販全体の利益率向上に繋げられると考えています。また、コスメの売上高構成比がもう少し高まると良いと考えています。
取材者:
季節性が薄れてきているような印象がありますね。
回答者:
利益に影響するという意味では、コスメは非常に有効です。シニア世代向けのコスメは、肌年齢に合わせて肌への負担が少ないという特徴があります。そのため、商品の特徴を効果的に伝え、お客様のニーズに合致すれば、コスメ部門の貢献度が高まるのではないかと考えています。
広報・IR室 室長 入山真一様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様
2025年3月期 第3四半期 決算説明資料
取材アーカイブ
CP&X
決算概要2025年3月期は、売上高339億3,000万円(前期比8.0%増)、営業利益10億6,800万円(同24.5%増)、親会社の所有者に帰属する当期純利益6億2,300万円(同31.0%増)と、増収増益を達成。主な増益要因は、雑誌の値上げ効果およびハルメク物販におけるカタログ経費の効率性改善に向けた取り組みの進捗である 。最終的には全体として8.5億円から10.6億円へ約2億円の増益となっている。
セグメント別または事業別の増減要因
情報コンテンツは1.5億円の増益となり、これは1年前の1月に実施した雑誌の値上げ効果によるもので、読者数はほとんど変わらずに推移。ハルメク物販では、2024年3月期後半から悪化していた売上高に占めるカタログ経費の効率性改善に取り組んだ結果、2025年3月期末には改善が見られたものの、第3四半期までは前年よりも悪い状態であった。売上は伸びたが、それ以上にカタログ費用がかさんだこと、また新規出店にかかるイニシャルコスト等もあり、0.7億円の減益となった。
主要KPIの進捗と変化
情報コンテンツにおいて、雑誌の値上げを実施したにもかかわらず読者数はほぼ横ばいを維持。CPO(新規読者獲得コスト)は以前よりも上昇傾向にあるものの、全体としては値上げ効果が大きく、情報コンテンツである雑誌については増益を達成。物販では、売上高に対するカタログ費用の割合である媒体費率の改善が重要であり、2025年3月期末には改善が見られたが、第3四半期までは前年よりも悪い状態であった。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期には、システム除却損2億2,600万円が発生し、これは当初想定していなかった一過性の損失である。また、ことせ物販が前期比0.7億円の減益となっており、これは完売による機会損失が主因であり、既に手は打っているとのこと。。これらの一時的な要因を合わせると3億円程度の影響が出ているが、2026年3月期にはこれらの影響がなくなる見込みである。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高350億円(前期比3.2%増)、営業利益15億円(同40.4%増)、当期利益9億円(同44.3%増)と、大幅な増益を見込んでいる。この営業利益の大幅な増加は、システム除却損約2.3億円の解消、ハルメク物販のカタログの1冊送付施策の効果が通年寄与することで、約1.2億円の増益、商品の完売による機会損失解消によることせ物販の増益約0.7億円を見込んでいることが主な要因である。加えて、昨年4月に実施した雑誌の値上げ効果が今期に本格的に反映されることで約0.6億円の利益増が見込まれる。これらの要因により利益はかなり堅調に推移する見込みである。
トピックス
中期経営計画において、2028年3月期までに売上高400億円、営業利益25億円の達成を目指すことを発表。この目標達成のため、2026年3月期は利益体質を筋肉質にするべく媒体費率や原価率の改善を進めている。その上で、2027年3月期以降は売上を毎年25億円ずつ伸ばし、それに伴い利益も年間5億円の増加を見込んでいる 。M&Aや業務提携も常に検討を進めており、株主還元については2025年3月期末から配当を開始し、配当性向35%を目安に、利益成長に応じた配当増を目指す方針である。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、2026年3月期を筋肉質な利益体質の強化に注力する期間と位置付けております。この基盤を確立した上で、来期(2026年3月期)からは、売上高を毎年25億円ずつ伸ばしていく方針です。過去の実績からこの程度の売上成長は十分に可能であると認識しており、今期の利益体質改善によって、売上が25億円増加した場合、利益は約5億円増加する蓋然性が高いと考えております。実際にはこれ以上の増益も期待できますが、将来に向けた先行投資も考慮し、年間5億円ずつの増益を着実に実現していく計画です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期における通期予想の戦略は、利益面において、より筋肉質な利益体質の構築を最優先課題としております。具体的な施策としては、媒体費率のさらなる改善、および原価の削減に注力しています。また、現行の一部のサービスが過剰であるとの認識に基づき、その見直しを進めております。例えば、通販における複数配送先への送料に関して、現在は1箇所分の配送料しかいただいておりませんが、これを複数箇所分へと変更する検討を進めております。これらの施策は今期中の完了を予定しておりますが、当期の業績予想には現時点では大きく織り込んでおりません。売上高については、今期は利益体質改善に重点を置いているため、大幅な伸びは想定しておりません。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aや業務提携につきましては、詳細な案件に言及することは差し控えますが、常に検討を進めております。具体的に検討中の案件が全くないという状況はほとんど発生しておらず、継続的に情報収集と精査を行っています。これらの案件が最終的に実現するかどうかは、相手先の状況や条件に左右される側面が大きく、確定的なことは申し上げられません。現時点では、これらの検討状況が当社の業績に与える具体的な影響について開示できる段階にはございませんし、中期経営計画にも織り込んでおりません。
Q:中期事業計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社の中期的な事業計画の根幹は、今期において利益体質を抜本的に改善し、強固な収益基盤を確立することにあります。その上で、来期からは売上高を毎年25億円ずつ増加させることを目指しております。過去の事業推移から、年間25億円の売上成長は十分に達成可能であると判断しております。この売上増に伴い、利益面では毎年5億円の増加を計画しております。実際の増益幅はこれを上回る可能性もございますが、成長に向けた戦略的な先行投資も視野に入れ、堅実に5億円ずつの増益を見込んでおります。この計画に基づき、事業の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。
取材者:まず初めに業績についてお伺いします。2025年3月期の決算について、売上高は339億3,000万円で前期比8.0%増加 、営業利益は10億6,800万円で前期比24.5%増加 、親会社の所有者に帰属する当期純利益は6億2,300万円で前期比31.0%増加 と、増収増益を達成されています。この増減要因について、まず初めにご説明いただけますか?
回答者:2025年3月期について、情報コンテンツは1.5億円の増益です。これは1年前の1月に雑誌を値上げした効果であり、読者数はほとんど変わらなかったため、値上げ効果として約1.5億円の利益が出ています。
ハルメク物販に関しては、2024年3月期後半から悪化していた売上高に占めるカタログ経費の比率を改善する取り組みを行い、2025年3月期末には改善が見られましたが、第3四半期までは前年よりも悪い状態でした。売上は伸びていますが、それ以上にカタログ費用がかさんだこと、また新規出店にかかるイニシャルコスト等もあり、0.7億円の減益となりました。ことせ物販は完売による機会損失が1.3億円あり、収益改善に取り組んだものの、結果として0.7億円の営業利益減となりました。
最終的には、全体として8.5億円から10.6億円へ約2億円の増益となっています。
取材者:ハルメク物販に関して、第4四半期では改善施策により利益率が改善されたとのことですが、来期以降の見通しはいかがですか?
回答者:改善した媒体費率は維持できており、さらなる改善に取り組んでいます。そのため、今期、2026年3月期においては、ハルメク物販において1.2億円の増益を見込んでいます。
取材者:今回の業績について、売上高は339億3,000万円と、前年度の業績予想からほぼ同じ水準(0.2%のマイナス)を達成されているかと思います。一方で、営業利益などは予想よりも上振れて着地されたように見受けられますが、こちらの要因についてはいかがでしょうか?
回答者:売上高はほぼ予想通りでした。営業利益については、システム除却損として2億2,600万円が発生しましたが、これは当初想定していなかったものです。ビジネス的には、業績予想よりも3億円近く上回ったと考えています。ハルメクの物販が思ったよりも悪くなかったことや、先行投資費用が赤字になるかと思われたものの、利益が改善したことも要因です。媒体費率の改善も業績予想より良くできたため、これも寄与しています。損益予想では、昨年最も悪かった時期の14.5%という媒体費率がそのまま継続すると想定していましたが、実際は13~14%程度に収まったため、業績予想よりも利益が改善しました。
取材者:この改善施策として、特にどの点が改善要因となりましたか?
回答者:一番大きいのは、カタログの1冊送付です。ハルメクには「おしゃれ」と「健康とくらし」の2種類のカタログがあり、従来はお客様に2冊ともお届けしていました。しかし、分析の結果、10年以上のカタログを送付しているお客様でも「おしゃれ」のカタログからしか購入していない方や、「健康とくらし」のカタログからしか購入していない方がいらっしゃることが分かりました。そのようなお客様に2冊送り続けるのはコストの無駄であると判断し、購入実績のあるカタログのみを送付するように変更しました。この施策は前期の途中から実施しており、当初は非読者と定義している「雑誌を購読しておらずカタログのみ送付しているお客様」から着手し、これがうまくいきました。1月からは、雑誌購読者の方でも片方のカタログしか購入していない方には、購入実績のあるカタログのみを送付する運用に変えています。非読者の方への変更は9月から、読者の方への変更は1月から実施した、ということでございます。そのため、2026年3月期にはこれらの効果が本格的に現れると予想しています。
取材者:新規店舗の展開もあったかと思いますが、前期比での人材採用の推移などはいかがですか?
回答者:人材採用については、上場したばかりの2024年3月期には48名と今後の成長を見据えて大量採用しましたが、2025年3月期は半分の25名程度に抑えました。これは退職者の欠員補充を含めた人数です。大量採用のフェーズは終了したと考えています。
取材者:今回新しい2026年度の新規店舗の計画といったものはいかがですか?
回答者:具体的な計画はまだ決定していませんが、2025年3月期に6店舗が増えましたので、同程度増やせたらと考えていますが、百貨店様側からの引き合い次第というところもございます。
取材者:その他に主要なKPIがございましたら教えていただけますか?
回答者:主要KPIは、雑誌については、主に「読者数」と「CPO」で見ています。読者数はおおむね横ばいを維持でき、これは成功でした。一方で、CPO(新しい読者を獲得するコスト)は以前よりも上昇傾向にありますが、全体としては値上げ効果が大きかったため、情報コンテンツである雑誌についてはしっかりと増益を達成できました。
取材者:2025年3月期に関して何かその経営業績に影響したような、例えばその期特有の季節要因など、何か一時的なイベント的なものはございましたか?
回答者:一時的なイベントとしては、先ほどお話したシステムの除去損がありました。また、ことせ物販の完売による機会損失が過去にはなかった話で、これが約1.3億円の利益減の要因となりました。これら一時的な要因を合わせると、3億円以上の影響が出ているため、2026年3月期にはこれらがなくなる見込みです。
取材者:予想以上に売れてしまったのですか、それとも何か仕入れのところで問題がありましたか?
回答者:予想以上に売れることは常にありますが、その際には早期に検知し、追加発注を行う仕組みが本来機能しなければなりません。しかし、その早期検知の仕組みがうまく機能せず、結果として追加発注ができず、売上を取りこぼしてしまいました。カタログは大量に送付していたため、結果としてカタログ作成・送付コストばかりがかかり、売上が取れなかったことで大きな損失が出てしまいました。
取材者:2026年3月期の見込みについてお伺いします。2026年3月期の業績予想としては、売上高が350億円で前期比3.2%増加 、営業利益も15億円で前期比40.4%増加 、当期利益も9億円で前期比44.3%増加と、かなり増益の計画ですが、こちらの見込みについて少し教えていただけますか?
回答者:営業利益は10.6億円から15億円と5億円近く増加する見込みですが、これは先ほどのシステム除去損の2.3億円がなくなることや、ハルメク物販のカタログの1冊送付施策の効果が通年寄与することで、約1.2億円、ことせ物販の完売による機会損失の1.3億円がなくなり、0.7億円の増益を見込んでいることが要因です。また、昨年4月に雑誌を値上げしましたが、その効果は前期には本格的に現れていませんでした。雑誌の定期購読は12月に開始されることが多く、初めに7,800円をいただき、その後毎月12分の1ずつ売上に計上します。前期は12月まで6,960円で購読していた読者の売上が計上されており、1月になって初めて7,800円の12分の1が売上となる形でした。そのため、前期にはまだ値上げ効果が十分に反映されておらず、それが今期になって本格的に反映されることで0.6億円の利益増が見込まれます。
これらの要因により、利益はかなり堅調に推移すると正直に思っています。
取材者:それに加えて今回、中期経営計画を出されていますが、2028年3月期までに売上高が400億円、営業利益が25億円といったところ、こちらに対してその目標を達成するための重要施策としてはどのようなことが挙げられますか?
回答者:主要施策としては、利益面では今期さらに筋肉質な利益体質にしていくため、媒体費率のさらなる改善や原価率の改善に取り組んでいます。また、一部過剰なサービスになっている部分があると考えており、そういったサービスの見直しも進めています。例えば、通販で注文した場合、自分用、自分の親用、義理の親用と、複数の届け先に発送しても、現状は1か所分の配送料しかいただいていません。このような場合に、複数箇所へ発送するのだから、それぞれの送料をいただくといったように、過剰なサービスを減らしていくことで、まずは筋肉質な利益体質を構築したいと考えています。これは今期中に完了する予定ですが、業績予想にはそこまで大きく織り込んでいません。
その上で、2026年3月期からは売上を毎年25億円ずつ伸ばしていく方針です。過去にも25億円程度は伸びてきているため、売上を伸ばすことは可能と考えております。今期は利益体質の改善に注力しているため、売上の伸びは控えめです。その後は筋肉質な体質にし、売上を25億円増やせば、利益が5億円程度増えていくという計画は十分に達成可能と考えております。実際はもう少し増える可能性もありますが、先行投資的な資金投下も考慮し、5億円ずつの増益という形を考えています。
取材者:決算説明資料のM&Aの取り組みに関して少し触れられていたかと思いますが、M&Aや業務提携に関して、何かその実施の見込みや検討状況がございましたら、答えられる範囲で教えてください。
回答者:具体的なお話はあまりできませんが、検討は進めています。検討中の案件がゼロであることはほとんどなく、常に何らかの検討を進めています。それが実現するかどうかは相手次第ということもありますし、もし実現しそうになったとしても、当然現時点でお伝えすることはできません。しかし、当社としてはM&Aや提携の両面について、常に何らかの案件を念頭に置きながら進めている状況です。
取材者:株主関係につきまして方針の変化などございましたら教えていただけますか?
回答者:配当は2025年3月期末から開始しました。基本的には、この配当を維持し、配当性向35%を目安に、まとまった金額を出していきたいと考えています。利益が2.5倍になれば配当も2.5倍になるような形で進めていく予定です。
取材者:株主優待も出されていましたよね。
回答者:はい、株主優待も提供しています。基本的には当社の製品であり、特に人気があるのは雑誌の定期購読です。これがあるため、当社の既存顧客が株主になってくださっています。ハルメクのファンであり、かつ株主でもある方々は、継続的に株式を持ち続けてくださったり、追加で購入してくださったりしています。ハルメクのお客様は基本的にシニア女性で、年金が主な収入源である方も多いため、そのような方々が長期的に株式を保有しやすいようにということも、配当を開始した理由の一つです。
取材者:足元のトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか?
回答者:まだ年度が始まったばかりですが、おおむね順調に推移しています。4月の実績も把握しており、5月についても受注状況から見て順調に推移していると考えています。
取材者:中期経営計画を出されてから、投資家様との面談は増えましたか?
回答者:大きくは変わっていません。以前からお話を聞いてくださっている方々には継続して聞いていただいています。
取材者:本日は以上でございます。お時間いただきましてありがとうございました。引き続き何卒よろしくお願いいたします。
回答者:よろしくお願いいたします。
取締役 CFO 石井文範様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様
