Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
取材者:
貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますでしょうか。
回答者:
弊社は、50代からのより良い人生を応援する企業でございます。ターゲットは50代以上の女性で、その女性に向けたサービスを展開しております。50代以上の女性をターゲットとしている理由としましては、総人口が減少傾向にある中で、50歳以上の方の人口は横ばいを維持、もしくは微増の形で推移していくと見込まれており、今後の将来性についても担保されていることが挙げられます。また、年齢別の金融資産につきましては、50歳以上の方が約1800兆円以上の金融資産を保有しており、非常に大きな市場であるということも理由の一つです。
私どもは、シニアの活動的な層をブルーオーシャンとして捉えています。これまでは高齢化に伴って顕在化してきた問題に対処する市場が主に広がってきていましたが、それ以外の層、すなわち50代以上60代70代の方々は、定年後の人生をどう生きようかと前向きに、より華やかにしたいというニーズがあるにもかかわらず、そういった情報や機会を提供する企業が少ない状況でした。弊社は、そのようなニーズに応えるサービスを展開しています。
現在の事業領域は、65歳から90歳ぐらいまでのアクティブシニア向けですが、健康的で自立している65歳以上の層を主な事業領域としております。今後、50代からの女性についても対応していく予定ですが、こちらの詳細につきましては後ほどご説明させていただきます。基本的には、アクティブシニア市場の顧客に対してサービスを展開しているとご理解ください。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
私どもの主力商品としましては、雑誌「ハルメク」がございます。「ハルメク」は出版不況と言われる中、高い水準で読者を維持し続けている雑誌です。2022年から5半期連続で国内の全雑誌で発行部数No.1を記録しており、2024年上期では、3位の週刊誌と比較すると「ハルメク」は約3倍の部数を誇ります。
アナログ×アクティブシニア層は当社の試算でございますが、約830万人いらっしゃいます。弊社はそのうち7%のシェアしか獲得できていないので、まだまだこれからシェアを拡大していく余地が十分にあるというふうに捉えております。
ビジネスモデルについて、当社の一番の強みであると考えておりますので、ご説明させていただきます。まず私どもは情報コンテンツとして、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を発刊し、情報を皆様にお届けしております。その情報をもとに、読者の方のリアルな声を非常に多く収集しています。「ハルメク」の雑誌には、アンケート葉書のようなものがついており、「ハルメク」へのお手紙ということで、読者の方から毎月2000通ほどアンケートが届きます。弊社はそのアンケートを全て確認し、現在シニアの方が今どのような気持ちで過ごされているのか、何に関心があるのかなど顧客のインサイトに向き合い、コンテンツ制作や商品の企画開発に役立てています。
こうした読者の方向けにオリジナル商品中心に販売しているのが、物販事業です。そして、これはコミュニティという形で提供しておりますが、ハルメクと顧客、顧客同士が繋がる場として講座やイベントを企画して体験価値を提供しています。簡単に申し上げますと、情報コンテンツでお客様を集客し、物販をご利用いただくことで収益を上げ、コミュニティによってロイヤリティを高めるというビジネスモデルを構築しているというわけです。
またハルメクでは現在「ハルメク おみせ」という屋号で店舗展開も加速しています。現在、全国11都道府県18店舗で主に百貨店を中心に展開しています。それ以外にも法人向け事業をグループ会社のハルメク・エイジマーケティングが行っております。中には「生きかた上手研究所」というシンクタンク部門もあり、日々顧客の声やシニアの現在の動向を調査しています。調査リリースも毎月1本以上出しており、その知見をもとに、これからシニアビジネスに参入したいという企業様に、リサーチやマーケティングなどを提案しています。
加えて、グループ会社のハルメク・アルファが展開する「ことせ事業」というものがございます。これは大阪に本社があるグループ会社ですが、「ハルメク」よりお求めやすい価格帯の商品をハルメクよりも少し上の60代からの顧客を対象にして販売しています。
先行投資事業として、デジタルに非常に強い50代からのプレシニア層に向けて、「HALMEK up」というコンテンツサイトを作り、情報をウェブやスマートフォンなどでご覧いただけるよう情報を提供しています。こちらは始めたばかりでまだ先行投資を継続中という状況です。
押し花事業というのは、これは構想としては、茶道や華道のような仕組みを活用して、広く50代からのプレシニアの方にサービスをお届けできないかということを考えた事業です。著名な押し花の先生がいらっしゃいまして、押し花講師の育成を行っています。講師となられた方は生徒を取って、それが30人から40人ぐらい広がって、その中からまた講師が出てきてというような形で、講師の方を増やし、それをもとに生徒の方もまた増えて、そしてその方々が私どもが販売する押し花のキットなどを買っていただいて、事業を成長させていくようなモデルを組んでいます。
以上が弊社の事業モデルでございます。簡潔に決算説明会資料に入れている図を基にご説明させていただきました。
回答者:
入山様、何か補足でご説明することはございますか。
回答者:
「ハルメク」の特徴的なのは出版社ではあるものの、売上高の8割は物販という形で、事業を成長させてきた会社です。昨今ではコンテンツマーケティングという言い方になるかと思いますが、それが雑誌というリアルの媒体とカタログ、オリジナルの商品でできているところが一つ大きな特徴かと思います。
取材者:
ご説明ありがとうございます。「ハルメク」事業で扱われているオリジナル商品の割合は、どれくらいの割合になりますか。
回答者:
大体7割です。
取材者:
残りの3割はどのような商品を扱われているのですか。
回答者:
ナショナルブランドの商品で、例えば、シャワーヘッドなどがございます。雑貨関係も多く、コスメ、ファッション、インナーはほぼ100%オリジナルです。
取材者:
食品もオリジナル商品が多いということですか。
回答者:
食品もオリジナル商品が多いです。
取材者:
オリジナル商品が幅広く展開されているのですね。商品展開の幅広さは素晴らしいと思います。様々な商品を扱える要因というのはどのような点にございますか。
回答者:
商品を扱えること自体は、どの会社様でも可能だと思います。重要なのは、それを継続的な売上に繋げられるかどうかという点だと考えております。それができる理由としましては、先ほど少しご説明したことですが、雑誌で集客をしてそこでお客様の声をしっかり聞いて、何が売れるかどうかというのをしっかりと調査をして商品を出す、もしくは商品を準備するという点だと考えております。
例えば、商品を開発するときにはお客様に開発段階で試着などしていただき、使用感や肌触りなどの意見を聞くようにしています。ですので、外れが非常に少ないと思います。他社様はどれぐらい外れがあるかどうかは分かりかねますが、しっかりニーズを聞き出して開発を進めておりますので、その点は強みであり、その部分で様々な商品を扱っても失敗が少ないため、事業を継続できていると認識しております。
取材者:
ご説明ありがとうございます。雑誌に関して定期購買の割合は分かりますか。
回答者:
100%でございます。
雑誌は年間購読のみでございます。年間購読のみですので、お申し込みいただいた時点で、12冊分は全て100%となります。
取材者:
契約の更新率はいかがですか。
回答者:
まず1年間購読して2年目にご継続いただく方の割合が大体3割弱ぐらいです。2年間購読して3年目にご継続いただく方の割合が6割前後、その次にもう1回更新するかどうかという点では、8割強ぐらいになります。3年目以降はあまり変わりません。
取材者:
ファン化していくようなイメージなのですね。ありがとうございます。
店舗展開の方に関しまして、何か出店戦略的なものがあれば教えていただけますか。
回答者:
出店戦略はシンプルで、需要が多い百貨店に進出することです。地方都市ではなく、各県の主要都市に出店しており、直近では4月に広島に、3月は北九州の百貨店に出店いたしました。
取材者:
都市の中心部の百貨店に出店されているのですね。
貴社の創業の経緯につきまして、わかる範囲で教えていただけますか。
回答者:
元々ユーリーグという会社を創業しまして、先に申し上げますと、ユーリーグという会社が「いきいき」という雑誌を制作していました。それが40万部ほどに成長したのですが、リーマンショックの際に、非本業の事業問題が発生し、マーケティング費用を捻出できなくなり、部数が急激に減少しました。その後、民事再生に至り、プライベートエクイティファンドのJ-STAR様の支援を受け、「いきいき株式会社」を設立し、ユーリーグから事業譲渡を受けました。そして、現在の宮澤が「いきいき株式会社」の社長に就任し、事業再建に取り組んだというのが経緯です。
ですので、現在の会社としての創業は、いきいき株式会社がユーリーグから事業譲渡を受けた時点からとなりますが、一番最初のユーリーグという点では、元々は東京都で受託の編集プロダクションを運営しておりました。そこで高齢者向けの冊子を無料配布するものを制作したのですが、その制作していたものが受託終了となるタイミングで、せっかくの媒体だからということで自分たちが運営することにし、その時に書店売りではなく最初から定期購読のみという形でスタートし、現在のビジネスモデルに至ったという経緯になります。
取材者:
物販を始められた経緯やタイミングは、どのようなものだったのでしょうか。
回答者:
これも当時の話なのですが、ユーリーグは、お客様から編集部に様々なお問い合わせがあり、最初にあるお客様から「自宅でたくさんの柿が収穫できたので、他の読者の皆さんにお裾分けしたい」というお申し出がありました。それをきっかけに、編集部がお裾分けビジネスのような形で、まず商品をお預かりし、購入希望のお客様に販売するという形で物販ビジネスが始まりました。編集部がコールセンター業務を行い、商品の受け取りから発送まで全て担当していたそうです。
取材者:
編集部の業務範囲を超えた活動をされていたのですね。まるで一つのコミュニティが形成されていたような印象を受けます。
回答者:
当時、「いきいき」という雑誌が届くと、地域の方々が集まって「いきいき読書会」のようなものを自主的に開催していたという話も聞いております。
取材者:
そのような経緯を経て、2023年に上場されましたが、その目的についてお聞かせいただけますか。
回答者:
この点については、少々複雑な背景がございます。J-STAR様が一度Exitされ、ノーリツ鋼機様に株式を売却しました。当時のノーリツ鋼機様は、本業以外の分野で投資事業を展開しており、ハルメク(当時の「いきいき」)もその投資先の一つでした。その後、ハルメクは順調に成長しましたが、ノーリツ鋼機様が本業と定めた事業以外の事業を売却することになり、売却のタイミングで、経営陣がMBOを実施したという経緯です。MBOのための借入金もあり、借入金の返済や成長のためのシステム投資を実施する等の手段として、上場を目指しました。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
様々な投資を行うにあたり、当時借入金や、その制約も多かったのですが、この分野は非常に広範囲であり、先ほどご説明したように、市場は大きいものの、適切なサービスや物販を提供している企業が少ない状況です。その中で、ハルメクは順調に成長しているものの、まだシェアは10%に満たない状況です。今後の事業戦略としてM&Aなども視野に入れており、事業を拡大する上での制約条件を排除することも含めて、上場を目指しておりました。上場後は企業の信用性も高まり優秀な人材も多く獲得することができ、上場してよかったと思っております。
取材者:
承知いたしました。決算の状況についても少しお伺いしたいのですが、第3四半期終了時点で売上高は過去最高を記録し、利益に関しても業績予想を上回っているとのことですが、これらの結果は想定通りと見てよろしいでしょうか。
回答者:
はい、想定通りです。業績予想の修正も特に行っておりません。第4四半期は期初から赤字を見込んでおりました。
取材者:
第4四半期に何か大きな投資をされるご予定があるのでしょうか。
回答者:
特にございません。もともと第2四半期と第4四半期は、利益が減少する傾向にあります。
回答者:
売上高が最も増加するのは第1四半期と第3四半期で、利益が減少するのは第2四半期と第4四半期です。要因は二つあり、一つは、売上高と利益が大きく伸びる要因として、6月と11月12月に「感謝市」という催しを開催することです。弊社は通常、商品の値引き販売はほとんど行いませんが、感謝市期間中のみ値引き販売を行うため、多くのお客様にご購入いただいております。これにより、第1四半期と第3四半期の業績が大きく向上します。
第2四半期と第4四半期は、感謝市で売れ残った在庫商品をアウトレットセールという形で販売します。アウトレットセールは2月と8月に実施するため、利益率は低下します。第2四半期と第4四半期では、第4四半期は利益が落ち込みやすい傾向にあります。第4四半期は対象月が1月、2月、3月であり、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の売れ行きが低調な時期であることなどが影響します。弊社はファッション商品の売上高構成比が高いため、これらの要因が利益に影響を与えることがあります。例えば、2023年3月期では、第2四半期の利益は2.6億円でしたが、第4四半期は1億円の赤字といった具合です。
取材者:
季節要因がこれほどまでに業績に影響するとは考えておりませんでした。キャンペーンなどの要因があるのですね。
取材者:
今後の成長戦略についてお聞かせいただけますでしょうか。
回答者:
成長戦略につきましては、現在のアクティブシニア向けアナログ事業、すなわちこれまでご説明した雑誌「ハルメク」を通じて情報コンテンツを中心にしたビジネスモデルを、基盤事業と位置付けております。基盤事業は、これまでの成長を牽引し、安定的な成長と収益をもたらすビジネスモデルであると認識しております。ただし、基盤事業が今後急激に成長することは想定しておらず、今後も安定的に成長させ、収益を確保していくことを目指しております。アクティブシニア×アナログ事業の基盤事業は、安定成長・安定収益モデルとして考えております。
今後の成長を牽引するのは、プレシニア×デジタル事業です。先ほど少しご説明したWebコンテンツサービス「HALMEK up」をしっかりと育成していく事業として捉えております。このような形で成長を想定しており、「HALMEK up」や押し花事業などを成長させていくことが、今後の成長戦略となります。
取材者:
Webコンテンツの充実を図るという理解でよろしいでしょうか。
回答者:
はい。Webコンテンツを充実させることで、対象世代の幅を、これまでのメインの顧客層である65歳以上から、50代から64歳までに広げています。現在の65歳以上向け事業は、安定成長・安定収益が見込めるため、急激な成長はありませんが、今後も着実に事業を拡大していくという考えです。
取材者:
株主還元策につきましては方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:
株主還元につきましては、現在株主優待と配当の両方を実施しております。配当については、前期の2025年3月期に関しては、配当性向36.5%で20円からスタートしています。今後もこの配当性向を目安としつつ、しっかりと配当も行いながら事業成長のための内部留保も実施していきたいと考えております。
取材者:
その他、今期から新しく始めているトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者:
まず一つは、店舗展開を積極的に進めています。2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来年以降も店舗展開のスピードを緩めずに進めていきたいと考えております。
また、新たなマーケティング施策の開発にも取り組んでいます。これまでは新聞広告を中心に雑誌の読者を増やしてきましたが、新聞広告の出稿量が限界に近づいているため、それ以外の顧客開拓、顧客獲得の方法を検討する必要があります。そこで、テレビと新聞、テレビとWeb、テレビとチラシといった形で、クロスメディアマーケティングを展開していく新たな広告手法を開発中です。この手法は少しずつ効果が出始めており、来年からはさらに活用して集客を強化していく予定です。
ただ、昨今では春と秋が短く、季節の変わり目が分かりづらいという状況があります。カタログ通販は、1ヶ月に1回商品を入れ替えるため、タイミングによっては対応が難しい場合もあります。特に、暑い時期が長いため、その点については工夫しながら対応していく必要があると考えています。
売上の約25%をアパレル商品が占めているため、アパレル部門の動向が業績に大きく影響します。アパレル以外では、インナーなどが非常に好調に推移しているため、これらの分野を拡大することで、物販全体の利益率向上に繋げられると考えています。また、コスメの売上高構成比がもう少し高まると良いと考えています。
取材者:
季節性が薄れてきているような印象がありますね。
回答者:
利益に影響するという意味では、コスメは非常に有効です。シニア世代向けのコスメは、肌年齢に合わせて肌への負担が少ないという特徴があります。そのため、商品の特徴を効果的に伝え、お客様のニーズに合致すれば、コスメ部門の貢献度が高まるのではないかと考えています。
20250401_CP&X
ビジネスモデルや事業内容
ハルメクホールディングスは、50代以上の女性を顧客とし、雑誌「ハルメク」を中心とした情報コンテンツと、物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルを展開。雑誌「ハルメク」で得た顧客の声を商品企画に活用し、物販で収益を上げ、コミュニティで顧客ロイヤリティを高めることが特徴。
創業の経緯と転機となった出来事
ユーリーグという編集プロダクションが高齢者向け冊子制作を受託したことが創業の起点。受託終了を機に自社で定期購読誌として「いきいき」(現「ハルメク」)を創刊し、その後、顧客からの要望をきっかけに物販事業を開始。リーマンショック後の経営難を経て、J-STAR社やノーリツ鋼機社による事業譲渡と経営陣によるMBOを経て2023年3月に東証グロース市場に上場。現在に至る。
直近の決算状況
直近の第3四半期決算では、売上高は過去最高を記録し、利益も業績予想を上回る結果となった。ただし、第2四半期と第4四半期は、感謝市後のアウトレットセールの実施や、季節要因などにより、利益が減少する傾向にある。
特徴や強み
情報コンテンツと物販、コミュニティを融合させた独自のビジネスモデルが最大の強み。雑誌「ハルメク」は、5半期連続で国内雑誌販売部数1位を記録するほどの人気を誇り、顧客からのアンケートを商品開発に活かすことで、顧客ニーズに合致した商品を提供。物販では、顧客の声を反映したオリジナル商品の開発に注力し、高い顧客支持を得ている。コミュニティでは、情報コンテンツや物販と連動した講座・イベントを企画し、参加者のロイヤリティを高めている。
成長戦略
今後の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成。具体的には、店舗展開の加速、クロスメディアマーケティングの推進、Webコンテンツサービス「HALMEK up」のコンテンツ拡充や、押し花事業などの新規事業の展開など。
株主還元策
株主還元については、株主優待と配当の両方を実施。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮した方針。
今期の取り組みやトピックス
今期の主な取り組みとして、店舗展開の加速と、新たなマーケティング施策の開発が挙げられる。店舗展開については、2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来期以降も積極的に展開する方針。マーケティング施策については、従来は新聞広告で顧客を開拓する手法に加えて、テレビを軸にその他のメディアで誘引するクロスメディアマーケティングのテストを進めている。
広報・IR室 室長 入山真一様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様

(株)ハルメクホールディングス
東証GRT 7119
決算:3月末日
20250401
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社の特徴は、情報コンテンツと物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルにあります。具体的には、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を通じて得た顧客の声を商品企画に活用し、物販に繋げることで収益を上げています。また、雑誌とカタログを同封することで、情報提供と購買機会を一体化させている点も強みです。さらに、コミュニティ形成を通じて顧客ロイヤリティを高め、長期的な関係を構築しています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成です。具体的には、Webコンテンツサービス「HALMEK up」の充実や、押し花事業などの新しい取り組みを推進し、50代からの顧客層の開拓を目指しています。また、店舗展開の加速や、クロスメディアマーケティングなどの新たなマーケティング施策の開発も、成長戦略の重要な要素です。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:弊社の業績は、季節要因やキャンペーンの影響を受けます。具体的には、6月と11月12月に開催する「感謝市」では売上高と利益が大きく増加する一方、2月と8月の「アウトレットセール」では利益率が低下する傾向にあります。また、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の閑散期なども、業績に影響を与える要因です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社は、株主優待と配当の両方を実施しており、安定的な株主還元を目指しています。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮しながら、実施していく方針です。
取材者:
貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますでしょうか。
回答者:
弊社は、50代からのより良い人生を応援する企業でございます。ターゲットは50代以上の女性で、その女性に向けたサービスを展開しております。50代以上の女性をターゲットとしている理由としましては、総人口が減少傾向にある中で、50歳以上の方の人口は横ばいを維持、もしくは微増の形で推移していくと見込まれており、今後の将来性についても担保されていることが挙げられます。また、年齢別の金融資産につきましては、50歳以上の方が約1800兆円以上の金融資産を保有しており、非常に大きな市場であるということも理由の一つです。
私どもは、シニアの活動的な層をブルーオーシャンとして捉えています。これまでは高齢化に伴って顕在化してきた問題に対処する市場が主に広がってきていましたが、それ以外の層、すなわち50代以上60代70代の方々は、定年後の人生をどう生きようかと前向きに、より華やかにしたいというニーズがあるにもかかわらず、そういった情報や機会を提供する企業が少ない状況でした。弊社は、そのようなニーズに応えるサービスを展開しています。
現在の事業領域は、65歳から90歳ぐらいまでのアクティブシニア向けですが、健康的で自立している65歳以上の層を主な事業領域としております。今後、50代からの女性についても対応していく予定ですが、こちらの詳細につきましては後ほどご説明させていただきます。基本的には、アクティブシニア市場の顧客に対してサービスを展開しているとご理解ください。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
私どもの主力商品としましては、雑誌「ハルメク」がございます。「ハルメク」は出版不況と言われる中、高い水準で読者を維持し続けている雑誌です。2022年から5半期連続で国内の全雑誌で発行部数No.1を記録しており、2024年上期では、3位の週刊誌と比較すると「ハルメク」は約3倍の部数を誇ります。
アナログ×アクティブシニア層は当社の試算でございますが、約830万人いらっしゃいます。弊社はそのうち7%のシェアしか獲得できていないので、まだまだこれからシェアを拡大していく余地が十分にあるというふうに捉えております。
ビジネスモデルについて、当社の一番の強みであると考えておりますので、ご説明させていただきます。まず私どもは情報コンテンツとして、日本で一番売れている雑誌「ハルメク」を発刊し、情報を皆様にお届けしております。その情報をもとに、読者の方のリアルな声を非常に多く収集しています。「ハルメク」の雑誌には、アンケート葉書のようなものがついており、「ハルメク」へのお手紙ということで、読者の方から毎月2000通ほどアンケートが届きます。弊社はそのアンケートを全て確認し、現在シニアの方が今どのような気持ちで過ごされているのか、何に関心があるのかなど顧客のインサイトに向き合い、コンテンツ制作や商品の企画開発に役立てています。
こうした読者の方向けにオリジナル商品中心に販売しているのが、物販事業です。そして、これはコミュニティという形で提供しておりますが、ハルメクと顧客、顧客同士が繋がる場として講座やイベントを企画して体験価値を提供しています。簡単に申し上げますと、情報コンテンツでお客様を集客し、物販をご利用いただくことで収益を上げ、コミュニティによってロイヤリティを高めるというビジネスモデルを構築しているというわけです。
またハルメクでは現在「ハルメク おみせ」という屋号で店舗展開も加速しています。現在、全国11都道府県18店舗で主に百貨店を中心に展開しています。それ以外にも法人向け事業をグループ会社のハルメク・エイジマーケティングが行っております。中には「生きかた上手研究所」というシンクタンク部門もあり、日々顧客の声やシニアの現在の動向を調査しています。調査リリースも毎月1本以上出しており、その知見をもとに、これからシニアビジネスに参入したいという企業様に、リサーチやマーケティングなどを提案しています。
加えて、グループ会社のハルメク・アルファが展開する「ことせ事業」というものがございます。これは大阪に本社があるグループ会社ですが、「ハルメク」よりお求めやすい価格帯の商品をハルメクよりも少し上の60代からの顧客を対象にして販売しています。
先行投資事業として、デジタルに非常に強い50代からのプレシニア層に向けて、「HALMEK up」というコンテンツサイトを作り、情報をウェブやスマートフォンなどでご覧いただけるよう情報を提供しています。こちらは始めたばかりでまだ先行投資を継続中という状況です。
押し花事業というのは、これは構想としては、茶道や華道のような仕組みを活用して、広く50代からのプレシニアの方にサービスをお届けできないかということを考えた事業です。著名な押し花の先生がいらっしゃいまして、押し花講師の育成を行っています。講師となられた方は生徒を取って、それが30人から40人ぐらい広がって、その中からまた講師が出てきてというような形で、講師の方を増やし、それをもとに生徒の方もまた増えて、そしてその方々が私どもが販売する押し花のキットなどを買っていただいて、事業を成長させていくようなモデルを組んでいます。
以上が弊社の事業モデルでございます。簡潔に決算説明会資料に入れている図を基にご説明させていただきました。
回答者:
入山様、何か補足でご説明することはございますか。
回答者:
「ハルメク」の特徴的なのは出版社ではあるものの、売上高の8割は物販という形で、事業を成長させてきた会社です。昨今ではコンテンツマーケティングという言い方になるかと思いますが、それが雑誌というリアルの媒体とカタログ、オリジナルの商品でできているところが一つ大きな特徴かと思います。
取材者:
ご説明ありがとうございます。「ハルメク」事業で扱われているオリジナル商品の割合は、どれくらいの割合になりますか。
回答者:
大体7割です。
取材者:
残りの3割はどのような商品を扱われているのですか。
回答者:
ナショナルブランドの商品で、例えば、シャワーヘッドなどがございます。雑貨関係も多く、コスメ、ファッション、インナーはほぼ100%オリジナルです。
取材者:
食品もオリジナル商品が多いということですか。
回答者:
食品もオリジナル商品が多いです。
取材者:
オリジナル商品が幅広く展開されているのですね。商品展開の幅広さは素晴らしいと思います。様々な商品を扱える要因というのはどのような点にございますか。
回答者:
商品を扱えること自体は、どの会社様でも可能だと思います。重要なのは、それを継続的な売上に繋げられるかどうかという点だと考えております。それができる理由としましては、先ほど少しご説明したことですが、雑誌で集客をしてそこでお客様の声をしっかり聞いて、何が売れるかどうかというのをしっかりと調査をして商品を出す、もしくは商品を準備するという点だと考えております。
例えば、商品を開発するときにはお客様に開発段階で試着などしていただき、使用感や肌触りなどの意見を聞くようにしています。ですので、外れが非常に少ないと思います。他社様はどれぐらい外れがあるかどうかは分かりかねますが、しっかりニーズを聞き出して開発を進めておりますので、その点は強みであり、その部分で様々な商品を扱っても失敗が少ないため、事業を継続できていると認識しております。
取材者:
ご説明ありがとうございます。雑誌に関して定期購買の割合は分かりますか。
回答者:
100%でございます。
雑誌は年間購読のみでございます。年間購読のみですので、お申し込みいただいた時点で、12冊分は全て100%となります。
取材者:
契約の更新率はいかがですか。
回答者:
まず1年間購読して2年目にご継続いただく方の割合が大体3割弱ぐらいです。2年間購読して3年目にご継続いただく方の割合が6割前後、その次にもう1回更新するかどうかという点では、8割強ぐらいになります。3年目以降はあまり変わりません。
取材者:
ファン化していくようなイメージなのですね。ありがとうございます。
店舗展開の方に関しまして、何か出店戦略的なものがあれば教えていただけますか。
回答者:
出店戦略はシンプルで、需要が多い百貨店に進出することです。地方都市ではなく、各県の主要都市に出店しており、直近では4月に広島に、3月は北九州の百貨店に出店いたしました。
取材者:
都市の中心部の百貨店に出店されているのですね。
貴社の創業の経緯につきまして、わかる範囲で教えていただけますか。
回答者:
元々ユーリーグという会社を創業しまして、先に申し上げますと、ユーリーグという会社が「いきいき」という雑誌を制作していました。それが40万部ほどに成長したのですが、リーマンショックの際に、非本業の事業問題が発生し、マーケティング費用を捻出できなくなり、部数が急激に減少しました。その後、民事再生に至り、プライベートエクイティファンドのJ-STAR様の支援を受け、「いきいき株式会社」を設立し、ユーリーグから事業譲渡を受けました。そして、現在の宮澤が「いきいき株式会社」の社長に就任し、事業再建に取り組んだというのが経緯です。
ですので、現在の会社としての創業は、いきいき株式会社がユーリーグから事業譲渡を受けた時点からとなりますが、一番最初のユーリーグという点では、元々は東京都で受託の編集プロダクションを運営しておりました。そこで高齢者向けの冊子を無料配布するものを制作したのですが、その制作していたものが受託終了となるタイミングで、せっかくの媒体だからということで自分たちが運営することにし、その時に書店売りではなく最初から定期購読のみという形でスタートし、現在のビジネスモデルに至ったという経緯になります。
取材者:
物販を始められた経緯やタイミングは、どのようなものだったのでしょうか。
回答者:
これも当時の話なのですが、ユーリーグは、お客様から編集部に様々なお問い合わせがあり、最初にあるお客様から「自宅でたくさんの柿が収穫できたので、他の読者の皆さんにお裾分けしたい」というお申し出がありました。それをきっかけに、編集部がお裾分けビジネスのような形で、まず商品をお預かりし、購入希望のお客様に販売するという形で物販ビジネスが始まりました。編集部がコールセンター業務を行い、商品の受け取りから発送まで全て担当していたそうです。
取材者:
編集部の業務範囲を超えた活動をされていたのですね。まるで一つのコミュニティが形成されていたような印象を受けます。
回答者:
当時、「いきいき」という雑誌が届くと、地域の方々が集まって「いきいき読書会」のようなものを自主的に開催していたという話も聞いております。
取材者:
そのような経緯を経て、2023年に上場されましたが、その目的についてお聞かせいただけますか。
回答者:
この点については、少々複雑な背景がございます。J-STAR様が一度Exitされ、ノーリツ鋼機様に株式を売却しました。当時のノーリツ鋼機様は、本業以外の分野で投資事業を展開しており、ハルメク(当時の「いきいき」)もその投資先の一つでした。その後、ハルメクは順調に成長しましたが、ノーリツ鋼機様が本業と定めた事業以外の事業を売却することになり、売却のタイミングで、経営陣がMBOを実施したという経緯です。MBOのための借入金もあり、借入金の返済や成長のためのシステム投資を実施する等の手段として、上場を目指しました。
取材者:
承知いたしました。
回答者:
様々な投資を行うにあたり、当時借入金や、その制約も多かったのですが、この分野は非常に広範囲であり、先ほどご説明したように、市場は大きいものの、適切なサービスや物販を提供している企業が少ない状況です。その中で、ハルメクは順調に成長しているものの、まだシェアは10%に満たない状況です。今後の事業戦略としてM&Aなども視野に入れており、事業を拡大する上での制約条件を排除することも含めて、上場を目指しておりました。上場後は企業の信用性も高まり優秀な人材も多く獲得することができ、上場してよかったと思っております。
取材者:
承知いたしました。決算の状況についても少しお伺いしたいのですが、第3四半期終了時点で売上高は過去最高を記録し、利益に関しても業績予想を上回っているとのことですが、これらの結果は想定通りと見てよろしいでしょうか。
回答者:
はい、想定通りです。業績予想の修正も特に行っておりません。第4四半期は期初から赤字を見込んでおりました。
取材者:
第4四半期に何か大きな投資をされるご予定があるのでしょうか。
回答者:
特にございません。もともと第2四半期と第4四半期は、利益が減少する傾向にあります。
回答者:
売上高が最も増加するのは第1四半期と第3四半期で、利益が減少するのは第2四半期と第4四半期です。要因は二つあり、一つは、売上高と利益が大きく伸びる要因として、6月と11月12月に「感謝市」という催しを開催することです。弊社は通常、商品の値引き販売はほとんど行いませんが、感謝市期間中のみ値引き販売を行うため、多くのお客様にご購入いただいております。これにより、第1四半期と第3四半期の業績が大きく向上します。
第2四半期と第4四半期は、感謝市で売れ残った在庫商品をアウトレットセールという形で販売します。アウトレットセールは2月と8月に実施するため、利益率は低下します。第2四半期と第4四半期では、第4四半期は利益が落ち込みやすい傾向にあります。第4四半期は対象月が1月、2月、3月であり、年末年始の休暇や2月の日数の少なさ、アパレル商品の売れ行きが低調な時期であることなどが影響します。弊社はファッション商品の売上高構成比が高いため、これらの要因が利益に影響を与えることがあります。例えば、2023年3月期では、第2四半期の利益は2.6億円でしたが、第4四半期は1億円の赤字といった具合です。
取材者:
季節要因がこれほどまでに業績に影響するとは考えておりませんでした。キャンペーンなどの要因があるのですね。
取材者:
今後の成長戦略についてお聞かせいただけますでしょうか。
回答者:
成長戦略につきましては、現在のアクティブシニア向けアナログ事業、すなわちこれまでご説明した雑誌「ハルメク」を通じて情報コンテンツを中心にしたビジネスモデルを、基盤事業と位置付けております。基盤事業は、これまでの成長を牽引し、安定的な成長と収益をもたらすビジネスモデルであると認識しております。ただし、基盤事業が今後急激に成長することは想定しておらず、今後も安定的に成長させ、収益を確保していくことを目指しております。アクティブシニア×アナログ事業の基盤事業は、安定成長・安定収益モデルとして考えております。
今後の成長を牽引するのは、プレシニア×デジタル事業です。先ほど少しご説明したWebコンテンツサービス「HALMEK up」をしっかりと育成していく事業として捉えております。このような形で成長を想定しており、「HALMEK up」や押し花事業などを成長させていくことが、今後の成長戦略となります。
取材者:
Webコンテンツの充実を図るという理解でよろしいでしょうか。
回答者:
はい。Webコンテンツを充実させることで、対象世代の幅を、これまでのメインの顧客層である65歳以上から、50代から64歳までに広げています。現在の65歳以上向け事業は、安定成長・安定収益が見込めるため、急激な成長はありませんが、今後も着実に事業を拡大していくという考えです。
取材者:
株主還元策につきましては方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:
株主還元につきましては、現在株主優待と配当の両方を実施しております。配当については、前期の2025年3月期に関しては、配当性向36.5%で20円からスタートしています。今後もこの配当性向を目安としつつ、しっかりと配当も行いながら事業成長のための内部留保も実施していきたいと考えております。
取材者:
その他、今期から新しく始めているトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者:
まず一つは、店舗展開を積極的に進めています。2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来年以降も店舗展開のスピードを緩めずに進めていきたいと考えております。
また、新たなマーケティング施策の開発にも取り組んでいます。これまでは新聞広告を中心に雑誌の読者を増やしてきましたが、新聞広告の出稿量が限界に近づいているため、それ以外の顧客開拓、顧客獲得の方法を検討する必要があります。そこで、テレビと新聞、テレビとWeb、テレビとチラシといった形で、クロスメディアマーケティングを展開していく新たな広告手法を開発中です。この手法は少しずつ効果が出始めており、来年からはさらに活用して集客を強化していく予定です。
ただ、昨今では春と秋が短く、季節の変わり目が分かりづらいという状況があります。カタログ通販は、1ヶ月に1回商品を入れ替えるため、タイミングによっては対応が難しい場合もあります。特に、暑い時期が長いため、その点については工夫しながら対応していく必要があると考えています。
売上の約25%をアパレル商品が占めているため、アパレル部門の動向が業績に大きく影響します。アパレル以外では、インナーなどが非常に好調に推移しているため、これらの分野を拡大することで、物販全体の利益率向上に繋げられると考えています。また、コスメの売上高構成比がもう少し高まると良いと考えています。
取材者:
季節性が薄れてきているような印象がありますね。
回答者:
利益に影響するという意味では、コスメは非常に有効です。シニア世代向けのコスメは、肌年齢に合わせて肌への負担が少ないという特徴があります。そのため、商品の特徴を効果的に伝え、お客様のニーズに合致すれば、コスメ部門の貢献度が高まるのではないかと考えています。
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ビジネスモデルや事業内容
ハルメクホールディングスは、50代以上の女性を顧客とし、雑誌「ハルメク」を中心とした情報コンテンツと、物販、コミュニティを組み合わせたビジネスモデルを展開。雑誌「ハルメク」で得た顧客の声を商品企画に活用し、物販で収益を上げ、コミュニティで顧客ロイヤリティを高めることが特徴。
創業の経緯と転機となった出来事
ユーリーグという編集プロダクションが高齢者向け冊子制作を受託したことが創業の起点。受託終了を機に自社で定期購読誌として「いきいき」(現「ハルメク」)を創刊し、その後、顧客からの要望をきっかけに物販事業を開始。リーマンショック後の経営難を経て、J-STAR社やノーリツ鋼機社による事業譲渡と経営陣によるMBOを経て2023年3月に東証グロース市場に上場。現在に至る。
直近の決算状況
直近の第3四半期決算では、売上高は過去最高を記録し、利益も業績予想を上回る結果となった。ただし、第2四半期と第4四半期は、感謝市後のアウトレットセールの実施や、季節要因などにより、利益が減少する傾向にある。
特徴や強み
情報コンテンツと物販、コミュニティを融合させた独自のビジネスモデルが最大の強み。雑誌「ハルメク」は、5半期連続で国内雑誌販売部数1位を記録するほどの人気を誇り、顧客からのアンケートを商品開発に活かすことで、顧客ニーズに合致した商品を提供。物販では、顧客の声を反映したオリジナル商品の開発に注力し、高い顧客支持を得ている。コミュニティでは、情報コンテンツや物販と連動した講座・イベントを企画し、参加者のロイヤリティを高めている。
成長戦略
今後の成長戦略の柱は、既存のアクティブシニア向けアナログ事業の安定成長と、プレシニア向けデジタル事業の育成。具体的には、店舗展開の加速、クロスメディアマーケティングの推進、Webコンテンツサービス「HALMEK up」のコンテンツ拡充や、押し花事業などの新規事業の展開など。
株主還元策
株主還元については、株主優待と配当の両方を実施。配当については、配当性向を基準としつつ、事業成長のための内部留保とのバランスを考慮した方針。
今期の取り組みやトピックス
今期の主な取り組みとして、店舗展開の加速と、新たなマーケティング施策の開発が挙げられる。店舗展開については、2024年3月から2025年3月期にかけて7店舗をオープンし、来期以降も積極的に展開する方針。マーケティング施策については、従来は新聞広告で顧客を開拓する手法に加えて、テレビを軸にその他のメディアで誘引するクロスメディアマーケティングのテストを進めている。
広報・IR室 室長 入山真一様
広報・IR室 シニアエキスパート 武曽裕之様