20241210
Q: 貴社ビジネスモデルの概要と、競合他社との比較における特徴や強みについてご説明いただけますでしょうか?
A: 当社は、主に4つの事業を展開しています。基幹事業はJASRACと競合する著作権管理事業です。作詞作曲家が楽曲を作ると、音楽出版社に権利が譲渡されます。音楽出版社は、JASRACまたは当社に管理を委託します。委託を受けた著作権管理事業者は、利用者に対して楽曲の利用許諾を行い、使用料を徴収し、手数料を差し引いた上で音楽出版社に分配します。JASRACとの違いは契約形態です。当社は委任取次による委託契約を締結し、音楽出版社に著作権を残したまま管理を行います。一方、JASRACは信託譲渡契約を締結し、著作権を譲り受けて管理します。そのため、当社は権利者の意向を柔軟に反映した管理が可能です。
Q: シェア拡大の要因についてお教えください。
A: JASRAC管理楽曲は年に一度だけ当社に移管することができるルールがあり、毎年一定数の権利者がJASRACから当社に移管しています。
Q: アーティストにとって、貴社との契約のメリットはどのような点でしょうか?
A: 当社の柔軟な管理体制は強みですが、まだ「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分に参入できていないという課題があります。権利者の中には、全ての管理区分をJASRACに委託することを希望するケースもあります。将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスを提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がると考えています。
Q: カラオケの管理区分への参入障壁は高いのでしょうか?
A: JASRACは店舗から直接使用料を徴収していますが、当社は後発で従業員も少ないため、店舗からの直接徴収は難しい状況です。そのため、JASRACや文化庁と協議し、より透明性の高い管理方法を検討しています。
Q: 貴社はどのように使用料を徴収する予定でしょうか?
A: 現在のカラオケはほぼ全て通信カラオケであるため、カラオケメーカーと協力し、歌唱ログやデジタルを活用した使用料徴収を提案しています。
Q: 著作権管理において、最も収益性の高い区分はどれでしょうか?
A: 当社の直近の取扱高では、インタラクティブ配信が約65%を占めています。これはSpotify、Amazon Music、YouTubeなどの音楽配信サービスにおける利用料です。音楽配信市場は拡大しており、インタラクティブ配信は最も収益性の高い区分となっています。カラオケ歌唱は「演奏」区分に該当します。
Q: サブスクリプションサービスにおける使用料の契約形態はどのようになっていますか?
A: ストリーミング配信の場合、月会費と使用料率、当社管理楽曲の利用比率などを基に計算されます。
Q: 楽曲の契約は、アーティストごとでしょうか?それとも楽曲ごとでしょうか?
A: 主に音楽出版社と契約し、楽曲ごとに作品届を提出していただき管理を行います。そのため、同一アーティストでも、音楽出版社が異なれば、NexToneが管理する楽曲とJASRACが管理する楽曲が混在するケースがあります。
Q: 同じアーティストの楽曲でも、管理する事業者が異なる場合があるということですね。
A: はい。例えば、テレビドラマのタイアップがついた楽曲は、放送局系の音楽出版社が管理していることが多く、JASRACによって管理される傾向があります。
Q: 貴社はどのような楽曲を管理する傾向がありますか?
A: シンガーソングライターは、自身の楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、当社を選ばれる傾向があります。
Q: 近年増加している、自分で作詞作曲したものを自身のプラットフォームで公開するアーティストは、貴社の得意とする領域でしょうか?
A:当社の前身であるイーライセンスは、ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系の楽曲を多く管理していました。そのため、YouTubeなどで活躍する個人やVTuberなども、当社を管理先として選ぶ傾向があります。また、当社は原盤供給事業も行っているため、著作権管理だけでなく、音楽コンテンツの配信サポートも行っています。
Q: アーティストや事務所の管理業務を代行しているというイメージでしょうか?
A: 音楽事務所とは異なりますが、著作権管理と中小レコードメーカーの支援を原盤供給事業で行っています。
Q: 音楽配信事業についてお教えください。
A: 2023年9月に子会社化したレコチョクが、個人向けの単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービス、法人向けの結婚式場や店舗向けの音楽配信事業を展開しています。
Q: 音楽配信事業で扱う楽曲は、貴社が著作権管理している楽曲でしょうか?
A: いいえ。国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっており、著作権管理は当社とJASRACのどちらかが行っています。
Q: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?
A: ビジネスサポート事業では、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストなどを対象に、キャスティングサービスやECサイトソリューションサービスなどを提供しています。
Q: ライブビューイングのような主催興行は、どのような内容でしょうか?
A: これまで主催または共催という形でライブやフェスなどを開催し、アーティストのブッキングやチケット販売などを行ってきました。また、アーティストが映像コンテンツを発売する際には、映画館で先行上映会なども行っています。
Q: 第2四半期の決算状況について、著作権管理事業とDD事業が伸びている要因をお教えください。
A: 著作権管理事業とDD事業はストック型ビジネスであり、管理する楽曲や原盤コンテンツが増えるほど安定的に成長します。著作権管理事業は、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に前年比で約10%成長しており、インタラクティブ配信の収益が好調に推移しています。
Q: 管理楽曲の増加と収益増加の関係性についてお教えください。
A: 新規楽曲の獲得と既存楽曲の増加により、楽曲の使用が増えるほど収益も増加します。
Q: 株主還元施策について、どのようにお考えでしょうか?
A: 現在グロース市場に上場しており、グロース市場にいる間は配当などの施策は見送り、成長投資に資金を充当します。2027年3月期にプライム上場を計画しており、プライムに上場した際には株主還元を検討します。
Q: 貴社の創業の思いについて改めてお教えください。
A: 2000年の法改正でJASRACの独占状態が解消され、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスの2社が2016年に統合し、現在のNexToneが誕生しました。当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして事業を展開していきます。また、権利者や利用者をサポートする複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えています。
取材者: 御社様のビジネスモデルについてお伺いします。おそらく競合はJASRACさんなどになってくるかと思うのですが、JASRACさんと比較したときの特徴や強みなどを交えながら、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?
回答者: 当社が展開している事業は主に4つございます。当社の基幹事業としましては、先ほどおっしゃられた著作権管理事業になります。こちらがJASRACと競合する部分になります。
作詞作曲家の方が楽曲を作りますと、日本の商慣習的に音楽出版社にその権利を譲渡する流れになります。
音楽出版社が、作詞作曲家から音楽の著作権を譲渡されますと、この音楽出版社が、JASRACか当社かを管理委託先として選択することになります。著作権管理事業者が、利用者の方々にその楽曲の利用許諾を行いまして、利用者から使用料を徴収し、手数料を差し引かせていただいて、音楽出版社に戻すというのが一般的な流れになります。
先ほどおっしゃられたJASRACとの一番の違いは、契約形態の違いにございます。
当社は委任取次による委託契約を音楽出版社と締結しておりまして、音楽の著作権は全て音楽出版社に残したまま、当社の方で著作権の管理を委託されて管理のみをするという契約になっております。一方、JASRACは、音楽出版社から権利を全て譲渡される信託譲渡契約になっております。
ですから、全ての著作権がJASRACに帰属いたしまして、JASRACは全て自分たちの権利として、音楽の著作権を管理することになります。
一方、当社は委任による管理の委託という形になりますので、権利者の意向を柔軟に反映することが可能でございます。ですから、権利者の方が「ここからは著作権使用料を取らなくて良い」、あるいは「使用料を少し免除してあげてほしい」という意向があった際は柔軟な対応が可能なので、自分で楽曲を作って自分で演奏するシンガーソングライターなどは、当社を比較的選んでいただける傾向が強いです。
音楽著作権管理事業は国内で当社とJASRACの2社だけしか展開しておらず、2社の寡占市場となっております。昨年度の徴収額シェアは当社が約8%、JASRACが約92%となっており、まだまだ差はあるのですが、年間の徴収額シェアは少しずつ当社のシェアが拡大してきている傾向にございます。
取材者: シェアが拡大している要因は何かございますか?
回答者: はい。JASRAC管理楽曲は年に一度だけJASRACから当社に移管することができるルールになっておりまして、JASRACから当社の方に管理を移管していただける権利者が毎年一定数いらしゃいます。
取材者: なるほど。アーティスト目線で見ると、著作権が移らない分、御社様との契約の方がメリットがあるように感じるのですが、そういった部分はいかがでしょうか?
回答者: はい。そうですね。当社の柔軟な管理は強みとしており、権利者の方からも喜ばれるところではあるのですが、逆に当社に足りない部分もございます。
著作権の管理区分は細分化されておりまして、現在13個の区分に分かれています。権利者の方は、1曲ごとに、そして区分ごとに、JASRACとNexToneのどちらに預けるかということを選択することができます。
1曲の中でも、例えば「演奏と録音はJASRAC、それ以外はNexTone」といった形に、1曲の中でも管理先が分かれることになります。当社はこの管理区分のうち「社交場(カラオケ)演奏」にまだ参入できておりません。
権利者の方からすると、この1区分だけ管理ができないのであれば、1から13まで全てJASRACに委託してしまうというケースもございます。2ヶ所に作品を届け出て、2ヶ所から使用料の分配が届くとなると、現場の業務的にも煩わしくなってしまいますので、この「社交場(カラオケ)演奏」がまだNexToneで管理できないのであれば、JASRACにまとめて委託したいという権利者の方も一定数いらっしゃいます。
将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスが提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がってくるのではないかと考えています。
取材者: このカラオケの管理区分への参入に関して、おそらく成長可能性資料などにも触れられているかと思うのですが、参入障壁は高いのでしょうか?
回答者: そうですね。JASRACが独占的に管理をしていたという点で、JASRACは店舗から直接徴収を行っています。
取材者: なるほど。
回答者:当社は後発で従業員もまだ100名程の会社ですので、店舗からの直接徴収が難しい状況です。ここはJASRACや監督官庁である文化庁ともお話をして、何かこの手法ではない形で、より透明性が高く管理できないかというところで今お話をさせていただいているという状況でございます。
取材者: JASRACのような体制がないと、なかなか実現できないと思いますが、逆にそこさえ別のやり方が見つかれば、そこまで人員をかけずに管理できるといった認識でよろしいでしょうか?
回答者: はい、ご認識の通りです。今、カラオケはほぼ全て通信カラオケになっておりますので、カラオケメーカーにご協力いただいて、歌唱ログやデジタルを活用してカラオケの歌唱使用料徴収ができないか提案をしております。
取材者: これが実現したら、かなり革新的ですね。
ちなみに、この管理区分は、著作権的にはどこが一番売上、あるいは徴収額が大きい区分になるのでしょうか?
回答者: 真ん中の円グラフが、当社の直近の取扱高で、著作権使用料徴収額全体のうち、約65%がインタラクティブ配信になります。こちらは音楽配信、例えばSpotify、Amazon Music、YouTubeなどで楽曲が使用された場合の利用料になります。右側に参考に昨年度のJASRACの取扱高を記載しておりますけれども、JASRACでも一番多いのがこのインタラクティブ配信で35.5%となっております。音楽配信市場、ストリーミングサービスの拡大がここ数年続いておりまして、ストリーミングでの利用も全てこのインタラクティブ配信の区分に含まれます。音楽配信、ストリーミング、ダウンロード、YouTubeでの動画配信など、全てインタラクティブ配信になりますので、音楽利用で一番多い区分となっております。なお、カラオケ歌唱は「演奏」区分です。
取材者: SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスの場合、1曲1再生いくら、あるいは提供している楽曲1曲につきいくらといった契約になるのでしょうか?
回答者: ストリーミング配信の場合は、月会費と使用料率と当社管理楽曲の利用比率等を基に計算されます。
NexTone使用料早見表URL https://www.nex-tone.co.jp/files/royalty_table.pdf
取材者: なるほど。
回答者: より聞かれる楽曲を管理していた方が、分配額が多くなるということです。
取材者: なるほど。ちなみにこの楽曲の契約は、基本的にはアーティストごとになるのでしょうか?それとも楽曲ごとになっていくのでしょうか?
回答者: 主に当社の契約先は音楽出版社になりますので、楽曲ごとに作品届を提出していただき、管理するという流れになります。ですから、同一のアーティストでも、音楽出版社が違えば、同じアーティストの楽曲でもNexToneが管理するものもあれば、JASRACが管理するものもあり、様々です。
取材者: 同じアーティストで同じ作詞作曲者であっても、曲によって音楽出版社が違うことがあるということですね。
回答者: はい、おっしゃる通りです。例えば、同じアーティストでも、テレビドラマのタイアップがつくような楽曲ですと、音楽出版社が放送局系の傘下にあることが多いので、どちらかというとJASRACの方に管理がいく傾向にございます。
取材者: 逆に御社は、どういう楽曲だとNexToneに来る傾向があるのでしょうか?
回答者: そうですね。先ほど申し上げましたように、シンガーソングライターは、自分で作った楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、そういったアーティストの方々は当社を選んでいただける傾向にございます。
取材者: 今の時代、自分で作詞作曲したものを、自分のプラットフォームで公開しているようなアーティストの方も増えていると思いますが、それは御社様が得意とする領域になっていくのでしょうか?
回答者: まさにその通りです。当社の前身であるイーライセンスという会社が2000年に設立されたのですが、この会社は元々ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系のBGM、主題歌などを多く管理していました。ですから、YouTubeなどで活躍されている個人の方々や、最近ではVTuberの方々も、自分たちで創作した楽曲をアップロードしているケースがありますが、そういったネットクリエイターの方々は比較的当社を管理先として選んでいただける傾向が強いです。また、当社は、音楽の原盤を供給する事業(DD事業)も行っております。クリエイターの方々、オリジナルアーティストの方々が歌唱・演奏した音楽コンテンツを各配信プラットフォームに供給するサービスになります。こういったサービスも手がけておりますので、著作権の管理だけではなくて、クリエイターの方々が創作した音楽コンテンツを全世界に配信できるようにするというところも、著作権の管理と並行して行っております。この配信管理もお預けいただく権利者の方々も非常に多くございます。特にネットクリエイターは、「自分たちは創作の方に専念したいので、権利関係の部分は全てお願いします」というような形で、著作権の管理から配信の管理まで全て依頼をいただくというケースもございます。
取材者: なるほど。アーティストや事務所がやっている管理のような部分を代行しているようなイメージでしょうか?
回答者: そうですね。音楽事務所という形で管理をしているわけではないのですが、あくまで著作権の部分と、中小レコードメーカーの支援を当社の原盤供給事業で行っているというイメージです。
取材者:あと残り2つ、音楽配信事業とビジネスサポート事業について伺いたいのですが、こちらについてはいかがでしょうか?
回答者: はい。音楽配信事業は、こちらは2023年の9月に子会社化しましたレコチョクが展開している独自の事業になります。この音楽配信事業の中でも法人向けと個人向けがございまして、約9割が個人向けです。こちらは単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービスを展開しております。
法人向けは、結婚式場や店舗向けの音楽配信です。結婚式場では、結婚式の際に流すBGMの選曲から権利処理まで一貫して行っております。
取材者: この音楽配信事業で扱う楽曲は、御社が著作権管理している楽曲になるのでしょうか?
回答者: いいえ、こちらは国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっているとお考えください。ですから、著作権管理は当社かJASRACのどちらかが管理している楽曲が配信されております。
取材者: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?
回答者: ビジネスサポート事業は、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストの方々などを対象に、様々なサポートを行っています。当社が展開しているサービスの一つとして、キャスティングサービスがございます。
これは例えば、アーティストの方がライブを行う際に、ライブのチケットにプレミアがついて手に入らない、あるいは遠方のためにライブに参加できないといったようなファンの方々のために、映画館でのライブビューイングという形で映画館をブッキングしてライブの生中継をしたり、大手通信事業者の会員向けに配信する楽曲の権利処理などを当社で行っています。
あとは、昨年子会社化しましたレコチョクでは、ECサイトのソリューションサービスを展開しておりまして、既にサービスインしている直販ビジネス支援マーケット「murket」というサービスがございます。こちらはレコードメーカー向けのECサイト支援で、レコードメーカーのオリジナルサイトを立ち上げて、そこでの販売支援などを行っております。
取材者: 成長可能性資料の中にあった主催興行というのは、ライブビューイングのようなものが中心になるのでしょうか?
回答者: はい。主催興行という形で、これまでも主催、共催という形でライブやフェスなどを行っており、アーティストのブッキングやチケットの販売なども当社で行っています。また上映イベントという形で、アーティストが例えば映像コンテンツを発売する際に、映画館を当社でブッキングして先行上映会も行っています。
取材者: 先日発表されました第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、全体として売上高、利益ともに伸びているのはレコチョクを子会社化した影響が大きいと思いますが、それ以外の部分で、著作権管理事業、DD事業が伸びている要因について教えていただけますでしょうか?
回答者: 承知いたしました。まず前提としまして、著作権管理事業、DD事業ともにストック型ビジネスになっており、管理する楽曲や原盤コンテンツが積み上がるほど、安定的に成長が見込まれるというビジネスになります。
著作権管理事業は、先ほど少し申し上げました通り、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に、前年比で10%ほど成長しております。この配信市場の拡大を背景に、インタラクティブ配信の徴収が好調に推移しております。
取材者: しっかりと管理楽曲も含めて数字が積み上がってきているという認識でよろしいですか?
回答者: 年々新規の楽曲の獲得、プラス既存楽曲も含めて増加しておりますので、そういった楽曲が使用されれば使用されるほど、売上実績にも反映されてくるという形になります。
取材者: おそらく配当などは出されていないかと思うのですが、株主還元施策についてはどのようにお考えでしょうか?
回答者: 株主還元につきまして、よくご質問いただくのですが、現在グロース市場に上場しております。グロース市場にいる間は、配当等の施策は見送らせていただき、成長投資に資金を使わせていただきたいという方針でございます。2027年3月期にプライム上場を計画しておりまして、プライムに上場した暁には、株主の方になんらかの形で還元をしたいと考えております。
取材者: 先ほどイーライセンスの話があったかと思うのですが、御社様の創業の思いについて改めて教えていただけますでしょうか?
回答者: 承知いたしました。先ほどJASRACとの比較の中でお話させていただいた通り、戦前から2000年までJASRACが独占していたのですが、
2000年の法改正で民間の企業がこの市場に参入できるようになり、JASRACとは異なる管理形態を求めて、20数社が参入していきました。しかし、低廉な手数料で行うビジネスであるため、継続することができずに、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスという2社だけが生き残り、2016年に2社が統合して現在のNexToneが誕生しました。
当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして、これからも事業展開をしていこうと考えております。著作権管理だけではなくて、当社は権利者、利用者の方々をサポートするようなビジネスを展開しておりますので、そういった複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えております。
各部門が連携しながらアーティスト、権利者の方をサポートするということを強みとしておりますので、今後も子会社化したレコチョクを含めて音楽文化、音楽産業の発展に寄与してまいりたいと考えております。
20241210 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
株式会社NexToneは、音楽著作権管理事業を基幹事業とする企業である。作詞作曲家から音楽出版社に譲渡された著作権を、音楽出版社からの委託を受けて管理し、利用者への許諾や使用料の徴収を行う。委任契約に基づく管理体制により、権利者の意向に沿った柔軟な楽曲管理を特徴とする。音楽著作権管理事業以外にも、DD事業、音楽配信事業、ビジネスサポート事業等を展開し、権利者へのサービスを多角的に提供することでJASRACとの差別化を図っている。
創業の経緯と転機
2000年の法改正によりJASRACの独占状態が解消され、NexToneの前身となるイーライセンスが設立された。2016年にはジャパン・ライツ・クリアランスと統合し、現在のNexToneが誕生した。
直近の決算状況
第2四半期決算では、売上高、利益ともに前年同期比で増加している。これはレコチョクの子会社化に加え、著作権管理事業、DD事業の好調な業績が要因である。
特徴・強み
JASRACとの比較で、委任契約に基づく柔軟な楽曲管理体制が強みである。 特に、シンガーソングライターやネットクリエイターなど、自身の楽曲を自らコントロールしたいという権利者から支持を得ている。 また、ネットクリエイターやVTuberなど、インターネット上で活動するアーティストの著作権管理にも強みを持つ。
成長戦略
「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分への早期参入を目指し、フルライン化によるシェア拡大を図る。
株主還元策
現在グロース市場に上場しており、2027年3月期のプライム上場を目指している。 プライム上場後は、株主還元を検討する方針である。
IR担当

(株)NexTone
東証GRT 7094
決算:3月末日
Q: 貴社ビジネスモデルの概要と、競合他社との比較における特徴や強みについてご説明いただけますでしょうか?
A: 当社は、主に4つの事業を展開しています。基幹事業はJASRACと競合する著作権管理事業です。作詞作曲家が楽曲を作ると、音楽出版社に権利が譲渡されます。音楽出版社は、JASRACまたは当社に管理を委託します。委託を受けた著作権管理事業者は、利用者に対して楽曲の利用許諾を行い、使用料を徴収し、手数料を差し引いた上で音楽出版社に分配します。JASRACとの違いは契約形態です。当社は委任取次による委託契約を締結し、音楽出版社に著作権を残したまま管理を行います。一方、JASRACは信託譲渡契約を締結し、著作権を譲り受けて管理します。そのため、当社は権利者の意向を柔軟に反映した管理が可能です。
Q: シェア拡大の要因についてお教えください。
A: JASRAC管理楽曲は年に一度だけ当社に移管することができるルールがあり、毎年一定数の権利者がJASRACから当社に移管しています。
Q: アーティストにとって、貴社との契約のメリットはどのような点でしょうか?
A: 当社の柔軟な管理体制は強みですが、まだ「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分に参入できていないという課題があります。権利者の中には、全ての管理区分をJASRACに委託することを希望するケースもあります。将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスを提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がると考えています。
Q: カラオケの管理区分への参入障壁は高いのでしょうか?
A: JASRACは店舗から直接使用料を徴収していますが、当社は後発で従業員も少ないため、店舗からの直接徴収は難しい状況です。そのため、JASRACや文化庁と協議し、より透明性の高い管理方法を検討しています。
Q: 貴社はどのように使用料を徴収する予定でしょうか?
A: 現在のカラオケはほぼ全て通信カラオケであるため、カラオケメーカーと協力し、歌唱ログやデジタルを活用した使用料徴収を提案しています。
Q: 著作権管理において、最も収益性の高い区分はどれでしょうか?
A: 当社の直近の取扱高では、インタラクティブ配信が約65%を占めています。これはSpotify、Amazon Music、YouTubeなどの音楽配信サービスにおける利用料です。音楽配信市場は拡大しており、インタラクティブ配信は最も収益性の高い区分となっています。カラオケ歌唱は「演奏」区分に該当します。
Q: サブスクリプションサービスにおける使用料の契約形態はどのようになっていますか?
A: ストリーミング配信の場合、月会費と使用料率、当社管理楽曲の利用比率などを基に計算されます。
Q: 楽曲の契約は、アーティストごとでしょうか?それとも楽曲ごとでしょうか?
A: 主に音楽出版社と契約し、楽曲ごとに作品届を提出していただき管理を行います。そのため、同一アーティストでも、音楽出版社が異なれば、NexToneが管理する楽曲とJASRACが管理する楽曲が混在するケースがあります。
Q: 同じアーティストの楽曲でも、管理する事業者が異なる場合があるということですね。
A: はい。例えば、テレビドラマのタイアップがついた楽曲は、放送局系の音楽出版社が管理していることが多く、JASRACによって管理される傾向があります。
Q: 貴社はどのような楽曲を管理する傾向がありますか?
A: シンガーソングライターは、自身の楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、当社を選ばれる傾向があります。
Q: 近年増加している、自分で作詞作曲したものを自身のプラットフォームで公開するアーティストは、貴社の得意とする領域でしょうか?
A:当社の前身であるイーライセンスは、ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系の楽曲を多く管理していました。そのため、YouTubeなどで活躍する個人やVTuberなども、当社を管理先として選ぶ傾向があります。また、当社は原盤供給事業も行っているため、著作権管理だけでなく、音楽コンテンツの配信サポートも行っています。
Q: アーティストや事務所の管理業務を代行しているというイメージでしょうか?
A: 音楽事務所とは異なりますが、著作権管理と中小レコードメーカーの支援を原盤供給事業で行っています。
Q: 音楽配信事業についてお教えください。
A: 2023年9月に子会社化したレコチョクが、個人向けの単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービス、法人向けの結婚式場や店舗向けの音楽配信事業を展開しています。
Q: 音楽配信事業で扱う楽曲は、貴社が著作権管理している楽曲でしょうか?
A: いいえ。国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっており、著作権管理は当社とJASRACのどちらかが行っています。
Q: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?
A: ビジネスサポート事業では、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストなどを対象に、キャスティングサービスやECサイトソリューションサービスなどを提供しています。
Q: ライブビューイングのような主催興行は、どのような内容でしょうか?
A: これまで主催または共催という形でライブやフェスなどを開催し、アーティストのブッキングやチケット販売などを行ってきました。また、アーティストが映像コンテンツを発売する際には、映画館で先行上映会なども行っています。
Q: 第2四半期の決算状況について、著作権管理事業とDD事業が伸びている要因をお教えください。
A: 著作権管理事業とDD事業はストック型ビジネスであり、管理する楽曲や原盤コンテンツが増えるほど安定的に成長します。著作権管理事業は、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に前年比で約10%成長しており、インタラクティブ配信の収益が好調に推移しています。
Q: 管理楽曲の増加と収益増加の関係性についてお教えください。
A: 新規楽曲の獲得と既存楽曲の増加により、楽曲の使用が増えるほど収益も増加します。
Q: 株主還元施策について、どのようにお考えでしょうか?
A: 現在グロース市場に上場しており、グロース市場にいる間は配当などの施策は見送り、成長投資に資金を充当します。2027年3月期にプライム上場を計画しており、プライムに上場した際には株主還元を検討します。
Q: 貴社の創業の思いについて改めてお教えください。
A: 2000年の法改正でJASRACの独占状態が解消され、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスの2社が2016年に統合し、現在のNexToneが誕生しました。当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして事業を展開していきます。また、権利者や利用者をサポートする複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えています。
取材者: 御社様のビジネスモデルについてお伺いします。おそらく競合はJASRACさんなどになってくるかと思うのですが、JASRACさんと比較したときの特徴や強みなどを交えながら、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?
回答者: 当社が展開している事業は主に4つございます。当社の基幹事業としましては、先ほどおっしゃられた著作権管理事業になります。こちらがJASRACと競合する部分になります。
作詞作曲家の方が楽曲を作りますと、日本の商慣習的に音楽出版社にその権利を譲渡する流れになります。
音楽出版社が、作詞作曲家から音楽の著作権を譲渡されますと、この音楽出版社が、JASRACか当社かを管理委託先として選択することになります。著作権管理事業者が、利用者の方々にその楽曲の利用許諾を行いまして、利用者から使用料を徴収し、手数料を差し引かせていただいて、音楽出版社に戻すというのが一般的な流れになります。
先ほどおっしゃられたJASRACとの一番の違いは、契約形態の違いにございます。
当社は委任取次による委託契約を音楽出版社と締結しておりまして、音楽の著作権は全て音楽出版社に残したまま、当社の方で著作権の管理を委託されて管理のみをするという契約になっております。一方、JASRACは、音楽出版社から権利を全て譲渡される信託譲渡契約になっております。
ですから、全ての著作権がJASRACに帰属いたしまして、JASRACは全て自分たちの権利として、音楽の著作権を管理することになります。
一方、当社は委任による管理の委託という形になりますので、権利者の意向を柔軟に反映することが可能でございます。ですから、権利者の方が「ここからは著作権使用料を取らなくて良い」、あるいは「使用料を少し免除してあげてほしい」という意向があった際は柔軟な対応が可能なので、自分で楽曲を作って自分で演奏するシンガーソングライターなどは、当社を比較的選んでいただける傾向が強いです。
音楽著作権管理事業は国内で当社とJASRACの2社だけしか展開しておらず、2社の寡占市場となっております。昨年度の徴収額シェアは当社が約8%、JASRACが約92%となっており、まだまだ差はあるのですが、年間の徴収額シェアは少しずつ当社のシェアが拡大してきている傾向にございます。
取材者: シェアが拡大している要因は何かございますか?
回答者: はい。JASRAC管理楽曲は年に一度だけJASRACから当社に移管することができるルールになっておりまして、JASRACから当社の方に管理を移管していただける権利者が毎年一定数いらしゃいます。
取材者: なるほど。アーティスト目線で見ると、著作権が移らない分、御社様との契約の方がメリットがあるように感じるのですが、そういった部分はいかがでしょうか?
回答者: はい。そうですね。当社の柔軟な管理は強みとしており、権利者の方からも喜ばれるところではあるのですが、逆に当社に足りない部分もございます。
著作権の管理区分は細分化されておりまして、現在13個の区分に分かれています。権利者の方は、1曲ごとに、そして区分ごとに、JASRACとNexToneのどちらに預けるかということを選択することができます。
1曲の中でも、例えば「演奏と録音はJASRAC、それ以外はNexTone」といった形に、1曲の中でも管理先が分かれることになります。当社はこの管理区分のうち「社交場(カラオケ)演奏」にまだ参入できておりません。
権利者の方からすると、この1区分だけ管理ができないのであれば、1から13まで全てJASRACに委託してしまうというケースもございます。2ヶ所に作品を届け出て、2ヶ所から使用料の分配が届くとなると、現場の業務的にも煩わしくなってしまいますので、この「社交場(カラオケ)演奏」がまだNexToneで管理できないのであれば、JASRACにまとめて委託したいという権利者の方も一定数いらっしゃいます。
将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスが提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がってくるのではないかと考えています。
取材者: このカラオケの管理区分への参入に関して、おそらく成長可能性資料などにも触れられているかと思うのですが、参入障壁は高いのでしょうか?
回答者: そうですね。JASRACが独占的に管理をしていたという点で、JASRACは店舗から直接徴収を行っています。
取材者: なるほど。
回答者:当社は後発で従業員もまだ100名程の会社ですので、店舗からの直接徴収が難しい状況です。ここはJASRACや監督官庁である文化庁ともお話をして、何かこの手法ではない形で、より透明性が高く管理できないかというところで今お話をさせていただいているという状況でございます。
取材者: JASRACのような体制がないと、なかなか実現できないと思いますが、逆にそこさえ別のやり方が見つかれば、そこまで人員をかけずに管理できるといった認識でよろしいでしょうか?
回答者: はい、ご認識の通りです。今、カラオケはほぼ全て通信カラオケになっておりますので、カラオケメーカーにご協力いただいて、歌唱ログやデジタルを活用してカラオケの歌唱使用料徴収ができないか提案をしております。
取材者: これが実現したら、かなり革新的ですね。
ちなみに、この管理区分は、著作権的にはどこが一番売上、あるいは徴収額が大きい区分になるのでしょうか?
回答者: 真ん中の円グラフが、当社の直近の取扱高で、著作権使用料徴収額全体のうち、約65%がインタラクティブ配信になります。こちらは音楽配信、例えばSpotify、Amazon Music、YouTubeなどで楽曲が使用された場合の利用料になります。右側に参考に昨年度のJASRACの取扱高を記載しておりますけれども、JASRACでも一番多いのがこのインタラクティブ配信で35.5%となっております。音楽配信市場、ストリーミングサービスの拡大がここ数年続いておりまして、ストリーミングでの利用も全てこのインタラクティブ配信の区分に含まれます。音楽配信、ストリーミング、ダウンロード、YouTubeでの動画配信など、全てインタラクティブ配信になりますので、音楽利用で一番多い区分となっております。なお、カラオケ歌唱は「演奏」区分です。
取材者: SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスの場合、1曲1再生いくら、あるいは提供している楽曲1曲につきいくらといった契約になるのでしょうか?
回答者: ストリーミング配信の場合は、月会費と使用料率と当社管理楽曲の利用比率等を基に計算されます。
NexTone使用料早見表URL https://www.nex-tone.co.jp/files/royalty_table.pdf
取材者: なるほど。
回答者: より聞かれる楽曲を管理していた方が、分配額が多くなるということです。
取材者: なるほど。ちなみにこの楽曲の契約は、基本的にはアーティストごとになるのでしょうか?それとも楽曲ごとになっていくのでしょうか?
回答者: 主に当社の契約先は音楽出版社になりますので、楽曲ごとに作品届を提出していただき、管理するという流れになります。ですから、同一のアーティストでも、音楽出版社が違えば、同じアーティストの楽曲でもNexToneが管理するものもあれば、JASRACが管理するものもあり、様々です。
取材者: 同じアーティストで同じ作詞作曲者であっても、曲によって音楽出版社が違うことがあるということですね。
回答者: はい、おっしゃる通りです。例えば、同じアーティストでも、テレビドラマのタイアップがつくような楽曲ですと、音楽出版社が放送局系の傘下にあることが多いので、どちらかというとJASRACの方に管理がいく傾向にございます。
取材者: 逆に御社は、どういう楽曲だとNexToneに来る傾向があるのでしょうか?
回答者: そうですね。先ほど申し上げましたように、シンガーソングライターは、自分で作った楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、そういったアーティストの方々は当社を選んでいただける傾向にございます。
取材者: 今の時代、自分で作詞作曲したものを、自分のプラットフォームで公開しているようなアーティストの方も増えていると思いますが、それは御社様が得意とする領域になっていくのでしょうか?
回答者: まさにその通りです。当社の前身であるイーライセンスという会社が2000年に設立されたのですが、この会社は元々ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系のBGM、主題歌などを多く管理していました。ですから、YouTubeなどで活躍されている個人の方々や、最近ではVTuberの方々も、自分たちで創作した楽曲をアップロードしているケースがありますが、そういったネットクリエイターの方々は比較的当社を管理先として選んでいただける傾向が強いです。また、当社は、音楽の原盤を供給する事業(DD事業)も行っております。クリエイターの方々、オリジナルアーティストの方々が歌唱・演奏した音楽コンテンツを各配信プラットフォームに供給するサービスになります。こういったサービスも手がけておりますので、著作権の管理だけではなくて、クリエイターの方々が創作した音楽コンテンツを全世界に配信できるようにするというところも、著作権の管理と並行して行っております。この配信管理もお預けいただく権利者の方々も非常に多くございます。特にネットクリエイターは、「自分たちは創作の方に専念したいので、権利関係の部分は全てお願いします」というような形で、著作権の管理から配信の管理まで全て依頼をいただくというケースもございます。
取材者: なるほど。アーティストや事務所がやっている管理のような部分を代行しているようなイメージでしょうか?
回答者: そうですね。音楽事務所という形で管理をしているわけではないのですが、あくまで著作権の部分と、中小レコードメーカーの支援を当社の原盤供給事業で行っているというイメージです。
取材者:あと残り2つ、音楽配信事業とビジネスサポート事業について伺いたいのですが、こちらについてはいかがでしょうか?
回答者: はい。音楽配信事業は、こちらは2023年の9月に子会社化しましたレコチョクが展開している独自の事業になります。この音楽配信事業の中でも法人向けと個人向けがございまして、約9割が個人向けです。こちらは単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービスを展開しております。
法人向けは、結婚式場や店舗向けの音楽配信です。結婚式場では、結婚式の際に流すBGMの選曲から権利処理まで一貫して行っております。
取材者: この音楽配信事業で扱う楽曲は、御社が著作権管理している楽曲になるのでしょうか?
回答者: いいえ、こちらは国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっているとお考えください。ですから、著作権管理は当社かJASRACのどちらかが管理している楽曲が配信されております。
取材者: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?
回答者: ビジネスサポート事業は、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストの方々などを対象に、様々なサポートを行っています。当社が展開しているサービスの一つとして、キャスティングサービスがございます。
これは例えば、アーティストの方がライブを行う際に、ライブのチケットにプレミアがついて手に入らない、あるいは遠方のためにライブに参加できないといったようなファンの方々のために、映画館でのライブビューイングという形で映画館をブッキングしてライブの生中継をしたり、大手通信事業者の会員向けに配信する楽曲の権利処理などを当社で行っています。
あとは、昨年子会社化しましたレコチョクでは、ECサイトのソリューションサービスを展開しておりまして、既にサービスインしている直販ビジネス支援マーケット「murket」というサービスがございます。こちらはレコードメーカー向けのECサイト支援で、レコードメーカーのオリジナルサイトを立ち上げて、そこでの販売支援などを行っております。
取材者: 成長可能性資料の中にあった主催興行というのは、ライブビューイングのようなものが中心になるのでしょうか?
回答者: はい。主催興行という形で、これまでも主催、共催という形でライブやフェスなどを行っており、アーティストのブッキングやチケットの販売なども当社で行っています。また上映イベントという形で、アーティストが例えば映像コンテンツを発売する際に、映画館を当社でブッキングして先行上映会も行っています。
取材者: 先日発表されました第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、全体として売上高、利益ともに伸びているのはレコチョクを子会社化した影響が大きいと思いますが、それ以外の部分で、著作権管理事業、DD事業が伸びている要因について教えていただけますでしょうか?
回答者: 承知いたしました。まず前提としまして、著作権管理事業、DD事業ともにストック型ビジネスになっており、管理する楽曲や原盤コンテンツが積み上がるほど、安定的に成長が見込まれるというビジネスになります。
著作権管理事業は、先ほど少し申し上げました通り、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に、前年比で10%ほど成長しております。この配信市場の拡大を背景に、インタラクティブ配信の徴収が好調に推移しております。
取材者: しっかりと管理楽曲も含めて数字が積み上がってきているという認識でよろしいですか?
回答者: 年々新規の楽曲の獲得、プラス既存楽曲も含めて増加しておりますので、そういった楽曲が使用されれば使用されるほど、売上実績にも反映されてくるという形になります。
取材者: おそらく配当などは出されていないかと思うのですが、株主還元施策についてはどのようにお考えでしょうか?
回答者: 株主還元につきまして、よくご質問いただくのですが、現在グロース市場に上場しております。グロース市場にいる間は、配当等の施策は見送らせていただき、成長投資に資金を使わせていただきたいという方針でございます。2027年3月期にプライム上場を計画しておりまして、プライムに上場した暁には、株主の方になんらかの形で還元をしたいと考えております。
取材者: 先ほどイーライセンスの話があったかと思うのですが、御社様の創業の思いについて改めて教えていただけますでしょうか?
回答者: 承知いたしました。先ほどJASRACとの比較の中でお話させていただいた通り、戦前から2000年までJASRACが独占していたのですが、
2000年の法改正で民間の企業がこの市場に参入できるようになり、JASRACとは異なる管理形態を求めて、20数社が参入していきました。しかし、低廉な手数料で行うビジネスであるため、継続することができずに、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスという2社だけが生き残り、2016年に2社が統合して現在のNexToneが誕生しました。
当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして、これからも事業展開をしていこうと考えております。著作権管理だけではなくて、当社は権利者、利用者の方々をサポートするようなビジネスを展開しておりますので、そういった複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えております。
各部門が連携しながらアーティスト、権利者の方をサポートするということを強みとしておりますので、今後も子会社化したレコチョクを含めて音楽文化、音楽産業の発展に寄与してまいりたいと考えております。
20241210 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
株式会社NexToneは、音楽著作権管理事業を基幹事業とする企業である。作詞作曲家から音楽出版社に譲渡された著作権を、音楽出版社からの委託を受けて管理し、利用者への許諾や使用料の徴収を行う。委任契約に基づく管理体制により、権利者の意向に沿った柔軟な楽曲管理を特徴とする。音楽著作権管理事業以外にも、DD事業、音楽配信事業、ビジネスサポート事業等を展開し、権利者へのサービスを多角的に提供することでJASRACとの差別化を図っている。
創業の経緯と転機
2000年の法改正によりJASRACの独占状態が解消され、NexToneの前身となるイーライセンスが設立された。2016年にはジャパン・ライツ・クリアランスと統合し、現在のNexToneが誕生した。
直近の決算状況
第2四半期決算では、売上高、利益ともに前年同期比で増加している。これはレコチョクの子会社化に加え、著作権管理事業、DD事業の好調な業績が要因である。
特徴・強み
JASRACとの比較で、委任契約に基づく柔軟な楽曲管理体制が強みである。 特に、シンガーソングライターやネットクリエイターなど、自身の楽曲を自らコントロールしたいという権利者から支持を得ている。 また、ネットクリエイターやVTuberなど、インターネット上で活動するアーティストの著作権管理にも強みを持つ。
成長戦略
「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分への早期参入を目指し、フルライン化によるシェア拡大を図る。
株主還元策
現在グロース市場に上場しており、2027年3月期のプライム上場を目指している。 プライム上場後は、株主還元を検討する方針である。
IR担当