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(株)NexTone

東証GRT 7094

決算:3月末日

20250901

CP&X


決算概要

2026年3月期第1四半期決算は、売上高53億6100万円(前年同期比11.2%増)、営業利益3億2500万円(前年同期比46.7%増)、経常利益3億2400万円(前年同期比36.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2億1000万円(前年同期比26.9%増)と、増収増益となった。増収要因は主力事業が順調に伸長したこと、増益要因はレコチョクグループにおける成長分野や新規事業への先行投資を継続しつつ、売上の増収効果及び固定費の削減が奏功したことによる。


セグメント別または事業別の増減要因

全ての事業において、前年同期比で売上は増加した。
著作権管理事業では、アイドル楽曲の音楽ソフト等に係る録音権や海外利用分の徴収が伸長した。前年同期比で減益となった要因は、前年第1四半期に一部配信事業者から遡及徴収という特殊要因があったため。DD事業では、ストリーミング市場の拡大、取扱原盤の増加により増収増益となった。音楽配信事業では、個人向け主力サービスである「dヒッツ」のサービス料金改定やコスト削減が奏功し、前年同期比で増収増益となった。また、ビジネスサポート事業のうちキャスティング事業において、社内体制を強化したことによりコーディネート数が増加し、人気アイドルのコンサートや人気YouTuberのイベント等のライブビューイングが好調に推移した。

主要KPIの進捗と変化

当社の主要なKPIである著作権管理楽曲数は、2025年3月期に691,490曲となり、前年より167,229曲増加した。また、取扱原盤数は、2025年3月期に1,470,294原盤となり、前年より206,942原盤増加した。現時点において順調に増加しており、今後も着実な積み上げが見込まれている。

季節性・一過性要因の有無と影響

当社が展開する事業に季節性はないが、著作権管理楽曲数や取扱原盤数が積み上がることにより四半期毎に業績が逓増する傾向がある。また、著作権管理事業において毎期第4四半期に年に1度だけ使用料を徴収する利用者があるため、第4四半期の業績が増える傾向がある。

通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の業績見通しは、売上高230億円(前期比18.5%増)、営業利益18億円(前期比79.1%増)、経常利益18億円(前期比75%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(前期比73.3%増)と、大幅な増収増益を見込んでいる。この見通しは、著作権管理事業とDD事業の着実な成長を主軸としており、特に拡大を続けるインタラクティブ配信分野が引き続き業績を牽引する見込みである。また、レコチョクグループにおける新規事業の立ち上げを計画に織り込んでおり、計画達成において重要となる。

トピックス

当社は著作権管理事業の海外利用分の徴収強化を引き続き積極的に強化している。具体的には、2024年7月に米国の著作権管理事業者との徴収代行契約およびYouTubeとの直接徴収契約を締結したほか、2025年5月には韓国の著作権管理事業者との徴収代行契約を締結した。これらの取り組みは、2021年夏にフランスの著作権管理団体SACEMと締結したワールドワイドな徴収代行契約を一部改定し、北米やアジア圏からの徴収における効率と精度を向上させることを目的としている。直接契約の締結により、中間手数料の削減と著作権者への使用料分配スケジュールの早期化および精度の向上が期待される。

また、DD事業において、取扱原盤に係る放送二次使用料の再分配業務を開始した。一般社団法人日本レコード協会や分配に関する関係団体に加盟・所属していないレーベルや、個人アーティスト・クリエイターも、当社DD業務を通じて当該使用料を受け取ることが可能となり、原盤収益の最大化に取り組んでいる。

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年3月期決算は、売上高194億1,200万円(前期比44.5%増)、営業利益10億500万円(前期比54.9%増)、経常利益10億2,800万円(前期比57.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6億9,200万円(前期比30.3%増)と、過去最高の業績を達成し大幅な増収増益となった。これは主にレコチョクの連結によるものであり、2023年10月からの連結開始により、2025年3月期は通年でレコチョクの業績が反映されていることによる。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高の増収は、レコチョクの連結による影響が最も大きい。著作権管理事業においては、インタラクティブ配信や放送分野からの徴収が、楽曲数の積み上げと配信市場の年間約5%の成長と相まって、徴収額が非常に好調に推移していることが要因である。

    主要KPIの進捗と変化

    当社の主要なKPIである著作権管理楽曲数および取扱原盤数は、現時点において順調に増加しており、今後も着実な積み上げが見込まれている。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    営業利益が第4四半期に集中する傾向があるが、これは特定の季節要因ではなく事業構造に起因する。著作権管理楽曲数およびDD事業における取扱原盤数の四半期ごとの積み上がりに加え、著作権分野ではケーブルテレビや衛星放送など一部の利用者からの年間一括徴収が第4四半期に集中する傾向があるためである。また、2025年3月期第4四半期においては、ドコモが提供する『dヒッツ』(レコチョクがバックヤードを担当)の月額利用料金改定により、第4四半期の音楽配信事業売上が伸長したことが業績を押し上げる一因となった。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の業績見通しは、売上高230億円(前期比18.5%増)、営業利益18億円(前期比79.1%増)、経常利益18億円(前期比75%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(前期比73.3%増)と、大幅な増収増益を見込んでいる。この見通しは、著作権管理事業とDD事業の着実な成長を主軸としており、特に拡大を続ける配信市場におけるインタラクティブ配信分野が引き続き業績を牽引する見込みである。新たな施策として、NexToneが立ち上げた新規事業「BLONIA」があるが、2026年3月期時点では大きな売上貢献は想定されておらず、今後の成長が中期業績計画における課題となる。

     

    トピックス

    当社は著作権管理事業の海外展開を積極的に強化している。具体的には、2024年7月に米国の著作権管理事業者との徴収代行契約およびYouTubeとの直接徴収契約を締結したほか、2025年5月には韓国の著作権管理事業者との徴収代行契約を締結した。これらの取り組みは、2021年夏にフランスの著作権管理団体SACEMと締結したワールドワイド徴収代行契約を一部改定し、北米やアジア圏からの徴収における効率と精度を向上させることを目的としている。直接契約の締結により、中間手数料の削減と著作権者への使用料分配スケジュールの早期化および精度の向上が期待される。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略における主要なポイントは、新規事業の立ち上げにございます。具体的には、DD事業におけるレコチョクの新サービス「FLAGGLE」と、ビジネスサポート事業におけるエッグスのファンコミュニティ関連事業の立ち上げを今後の重要な取り組みとして推進しております。これらの新規事業は、今後の成長を牽引する中核として位置付けております。

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:成長戦略の前提条件として、当初2025年3月期下期に立ち上がりを想定しておりましたレコチョクおよびエッグスの新規事業が、進行期において若干の遅延が生じております。現在のところ、これらの事業は2026年3月期中に立ち上がる予定で進行しております。この立ち上がりが遅れる場合、2026年3月期を含む中期業績計画の達成に影響を及ぼす可能性があると認識しております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現時点において、具体的にお話できるM&Aや業務提携の案件はございません。しかしながら、当社としては引き続き、事業シナジーが見込まれる優良な案件があれば積極的に検討していく方針でございます。ただし、当社の事業領域は音楽業界に特化しており、音楽業界と関連性のない分野への進出は予定しておりません。また、エージェントとしての立ち位置を重視しており、IP(知的財産)を保有するレコード会社やプロダクションの買収は、当社の事業方向性とは異なると考えております。

     

    Q:中期業績計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期業績計画の進捗状況につきましては、全体として計画に沿って順調に推移していると認識しております。しかしながら、前述の通り、レコチョクとエッグスの新規事業の立ち上がりが、2026年3月期およびそれ以降の中期業績計画達成において重要な要素となります。これらの新規事業が計画通りに立ち上がることが、中期業績計画を確実に遂行するための鍵となります。

  • 取材者:2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高194億1,200万円、前期比44.5%増、営業利益10億500万円、前期比54.9%増、経常利益10億2,800万円、前期比57.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益6億9,200万円、前期比30.3%増と、過去最高の業績を達成され、大幅な増収増益を達成されたかと存じます。こちらについての増減要因についてご説明をお願いできますか?

     

    回答者:売上高の増収率が非常に高くなっておりますのは、レコチョクの連結によるものです。レコチョクを2023年10月から連結しているのですが、2024年3月期はレコチョクを半期分のみ取り込んでおり、2025年3月期は通年で1年分取り込んでおります。そのため、前期比で見ますと、売上の増収率がかなり大きく見えます。これがまず1点目です。著作権管理に関しましては、インタラクティブ配信や放送分野からの徴収が、楽曲数の積み上げと配信市場が毎年5%程度伸びている環境が合わさり、非常に好調に徴収額が推移いたしました。

     

    取材者:そうしますと、レコチョクの分を除いても20%近く増収されているかと存じますが、そういった部分に関してはやはりDD(デジタルディストリビューション)事業やその他の事業がしっかりと成長していると見てよろしいでしょうか?

     

    回答者:はい。著作権の配信周りもそうですし、デジタルコンテンツディストリビューションもそうですが、やはり配信が牽引している状況は変わっておりません。配信周りが20%以上の増収であったことが大きいです。

     

    取材者:あとは第4四半期の業績予想に対する進捗の部分に関しましては、売上高も計画比で3.0%減だったかと存じますが、そちらについてはどのようにお考えですか?

     

    回答者:こちらに関しましては、やはりDD事業が予算対比で最も厳しかったです。前期との比較ではかなり伸びてはいるのですが、DD事業の方の競争環境が非常に厳しくなっており、競合他社が多数いる中で、有力な権利者をいかに自社に引き込むかが課題となっております。この計画は元々、予算を組んだタイミングで有力な権利者を取り込むことを見越して組んでいたのですが、残念ながらその部分がうまくいかなかったということがあります。

     

    取材者:四半期ごとの業績を見ると、営業利益に関しましてはかなり第4四半期に集中しているかと存じますが、こういった傾向はいかがですか?

     

    回答者:特に季節要因はあまりないのですが、基本的には著作権管理楽曲数と取扱原盤数が四半期ごとに積み上がってくるため、四半期ごとに増えていくトレンドがベースとしてあります。特に著作権管理事業に関しては、第4四半期に通常ですと四半期ごとに著作権使用料を利用者から徴収するのですが、一部の利用者に関しては年に1回だけ徴収するというのがあり、ケーブルテレビや衛星放送がそれに該当します。その関係もあって、第4四半期は著作権料が膨らむ傾向にあります。また、2025年3月期でいきますと、音楽配信事業の主力サービス「dヒッツ」のバックヤードをレコチョクが担当しておりますが、ドコモが「dヒッツ」の月額利用料金を550円から690円に改定しました。その影響もあり、第4四半期の音楽配信事業の売上が伸びましたので、第4四半期が伸びたという要因があります。

     

    取材者:何かその他、一過性の要因といいますか、外的要因などで業績に影響したものはございましたか?

     

    回答者:売上面では特に他にはないのですが、販管費のコスト面でいきますと、これもレコチョクが1月に本社を移転しており、その関係で固定資産の圧縮などを色々と行いましたので、第4四半期にコストが減ったというところでございます。

     

    取材者:採用については前期比で比べて推移などはいかがですか?

     

    回答者:こちらは前期に比べると人数が増えている状態ですが、退職者も増えている関係もあり、採用計画との比較では、予定通りには進んでいないというのが正直なところです。

     

    取材者:その他何か主要なKPIがございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:あとは著作権管理楽曲数と取扱原盤数です。そちらは順調に伸びております。

     

    取材者:今期以降も引き続きしっかりと伸びていくような想定でよろしいですか?

     

    回答者:はい、着実に積み上げていくと考えております。

     

    取材者:そうしましたら、2026年3月期の業績についても少しお伺いしたいのですが、2026年3月期の業績予想としまして、売上高が230億円、同期比18.5%の増加、営業利益に関しては18億円、前年比79.1%の増加、経常利益は18億円、前年比75%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は12億円、プラス73.3%の増加というところで、こちらも大幅な増収増益が見込まれているかと存じますが、こちらについての見通しについて教えていただけますか?

     

    回答者:やはり売上高のところに関しましては、著作権管理事業とDD事業を着実に伸ばしていくという方針です。引き続き配信市場は拡大しておりますので、インタラクティブ配信の部分が牽引するという事実は変わりません。

     

    取材者:何かそういった来期、2026年3月期に向けて新たな施策や、取り組みなどございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:取り組みとしましては、NexToneの方で新規事業のBLONIA(ブロニア)というサービスを立ち上げましたので、まだ2026年3月期の時点では大きな売上を見込んでおりませんが、今後しっかりと伸ばしていくというのがこの中期業績計画の課題でもあります。

     

    取材者:その中期業績計画の進捗状況としてはいかがですか?

     

    回答者:毎期3年分をローリングして1年付け足すような形で公表しておりますが、2026年3月期と2027年3月期に関しましては、トップラインと営業利益に関して公表済みの計画から変更はしておりません。若干一部で調整はしていますが、DD事業が少し計画未達でしたので、、そこの部分を少し下げたり、逆に音楽配信が価格改定の関係で伸びていったので、そこを少し増やしたり、あとは先ほど申し上げた新規事業分野が立ち上がったので、そちらの売上を計上したりといった調整は入れております。

     

    取材者:全体としてかなり順調に計画に向けて進捗しているように見えますが、そういった形で認識してよろしいですか?

     

    回答者:そうですね。あとはポイントになってくるのは、やはりレコチョクとエッグスの新規事業が、2025年3月期の下期ぐらいから立ち上がる想定だったものが、進行期に少しずれ込んでおりますので、2026年3月期中に立ち上がる予定で進めております。ここが立ち上がってこないとなかなか2026年3月期を含め、中期業績計画が厳しい状況になるかもしれません。

     

    取材者:最初はかなりその新規事業の動向が2026年3月期はかなりチェックポイントでポイントになっていくような認識ですか。

     

    回答者:そうですね。DD事業の中のレコチョクの新サービスの「FLAGGLE」と、あとビジネスサポート事業の中に、エッグスのファンコミュニティ周りを織り込んでおります。

     

    取材者:そうしますと、何かその他、M&Aや業務提携に関しまして、実施のご予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話いただけますか?

     

    回答者:まず現時点で具体的にお話できるような案件は特にないのですが、良い案件があれば引き続き積極的に検討していきたいと考えております。音楽業界と関係ない分野に進出する予定はございません。あくまで音楽業界の中で、エージェントという当社の立ち位置におりますので、権利を保有するようなIPを抱える立場になることはあまり想定しておりません。例えば、レコード会社やプロダクションを買収するということは、当社の方向性とは違うと考えております。

    取材者:あとは、今回、配当なども出されているかと存じますが、株主還元の方針につきまして変更などございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:今回初めて配当のご案内をさせていただいており、従来はプライムに移行した暁にはということでご説明しておりました。しかし、中期業績計画を再度ローリングして練り直す中で、今後の投資計画や事業計画の利益の積み上げを検討した結果、投資と配当が両立できると判断いたしましたので、今回、配当のご案内を出させていただきました。

     

    取材者:あとは、その他何か足元につきまして、トピックスやニュースリリースございましたら教えていただけますか?

    回答者:そうですね。ちょこちょこリリースは出させていただいておりますが、今、著作権の海外展開を強化しております。昨年7月に米国の著作権管理事業者との代行徴収契約やYouTubeから直接徴収するという契約を締結し、この5月には韓国の著作権管理事業者と代行徴収契約を締結しました。そういった形でアジア圏の各団体と調整を進めております。

     

    取材者:アジア以外にも世界に広げていくような動きがあるようなイメージなのでしょうか?

     

    回答者:元々2021年4月に、フランスの著作権管理団体のSACEM(サセム)と、ワールドワイドに徴収代行していただくという契約を結んでおります。SACEMも各国のSACEMが提携している利用団体を通じて間接的に徴収するという形になるのですが、特に北米やアジア圏からの徴収が思ったほど伸びてこないという実態があり、現地の団体と当社が直接契約を結ぶことで、SACEMを経由するワンクッションが減りますし、その分の手数料もなくなりますし、著作権者への使用料分配スケジュールの早期化が図れ、精度も上がるということで、今回、SACEMとの契約を一部改定し、各国の団体と直接代行契約を締結いたしました。

  • 取締役 渡邊 史弘 様 

    執行役員 経営管理本部長 桃枝 宏之 様

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • CP&X

     

    ビジネスモデル・事業内容

    株式会社NexToneは、音楽著作権管理事業を基幹事業とする企業である。作詞作曲家から音楽出版社に譲渡された著作権を、音楽出版社からの委託を受けて管理し、利用者への許諾や使用料の徴収を行う。委任契約に基づく管理体制により、権利者の意向に沿った柔軟な楽曲管理を特徴とする。音楽著作権管理事業以外にも、DD事業、音楽配信事業、ビジネスサポート事業等を展開し、権利者へのサービスを多角的に提供することでJASRACとの差別化を図っている。

     

    創業の経緯と転機

    2000年の法改正によりJASRACの独占状態が解消され、NexToneの前身となるイーライセンスが設立された。2016年にはジャパン・ライツ・クリアランスと統合し、現在のNexToneが誕生した。

     

    直近の決算状況

    第2四半期決算では、売上高、利益ともに前年同期比で増加している。これはレコチョクの子会社化に加え、著作権管理事業、DD事業の好調な業績が要因である。

     

    特徴・強み

    JASRACとの比較で、委任契約に基づく柔軟な楽曲管理体制が強みである。 特に、シンガーソングライターやネットクリエイターなど、自身の楽曲を自らコントロールしたいという権利者から支持を得ている。 また、ネットクリエイターやVTuberなど、インターネット上で活動するアーティストの著作権管理にも強みを持つ。

     

    成長戦略

    「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分への早期参入を目指し、フルライン化によるシェア拡大を図る。

     

    株主還元策

    現在グロース市場に上場しており、2027年3月期のプライム上場を目指している。 プライム上場後は、株主還元を検討する方針である。

  • Q: 貴社ビジネスモデルの概要と、競合他社との比較における特徴や強みについてご説明いただけますでしょうか?

    A: 当社は、主に4つの事業を展開しています。基幹事業はJASRACと競合する著作権管理事業です。作詞作曲家が楽曲を作ると、音楽出版社に権利が譲渡されます。音楽出版社は、JASRACまたは当社に管理を委託します。委託を受けた著作権管理事業者は、利用者に対して楽曲の利用許諾を行い、使用料を徴収し、手数料を差し引いた上で音楽出版社に分配します。JASRACとの違いは契約形態です。当社は委任取次による委託契約を締結し、音楽出版社に著作権を残したまま管理を行います。一方、JASRACは信託譲渡契約を締結し、著作権を譲り受けて管理します。そのため、当社は権利者の意向を柔軟に反映した管理が可能です。

     

    Q: シェア拡大の要因についてお教えください。

    A: JASRAC管理楽曲は年に一度だけ当社に移管することができるルールがあり、毎年一定数の権利者がJASRACから当社に移管しています。

     

    Q: アーティストにとって、貴社との契約のメリットはどのような点でしょうか?

    A: 当社の柔軟な管理体制は強みですが、まだ「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分に参入できていないという課題があります。権利者の中には、全ての管理区分をJASRACに委託することを希望するケースもあります。将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスを提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がると考えています。

     

    Q: カラオケの管理区分への参入障壁は高いのでしょうか?

    A: JASRACは店舗から直接使用料を徴収していますが、当社は後発で従業員も少ないため、店舗からの直接徴収は難しい状況です。そのため、JASRACや文化庁と協議し、より透明性の高い管理方法を検討しています。

     

    Q: 貴社はどのように使用料を徴収する予定でしょうか?

    A: 現在のカラオケはほぼ全て通信カラオケであるため、カラオケメーカーと協力し、歌唱ログやデジタルを活用した使用料徴収を提案しています。

     

    Q: 著作権管理において、最も収益性の高い区分はどれでしょうか?

    A: 当社の直近の取扱高では、インタラクティブ配信が約65%を占めています。これはSpotify、Amazon Music、YouTubeなどの音楽配信サービスにおける利用料です。音楽配信市場は拡大しており、インタラクティブ配信は最も収益性の高い区分となっています。カラオケ歌唱は「演奏」区分に該当します。

     

    Q: サブスクリプションサービスにおける使用料の契約形態はどのようになっていますか?

    A: ストリーミング配信の場合、月会費と使用料率、当社管理楽曲の利用比率などを基に計算されます。

     

    Q: 楽曲の契約は、アーティストごとでしょうか?それとも楽曲ごとでしょうか?

    A: 主に音楽出版社と契約し、楽曲ごとに作品届を提出していただき管理を行います。そのため、同一アーティストでも、音楽出版社が異なれば、NexToneが管理する楽曲とJASRACが管理する楽曲が混在するケースがあります。

     

    Q: 同じアーティストの楽曲でも、管理する事業者が異なる場合があるということですね。

    A: はい。例えば、テレビドラマのタイアップがついた楽曲は、放送局系の音楽出版社が管理していることが多く、JASRACによって管理される傾向があります。

     

    Q: 貴社はどのような楽曲を管理する傾向がありますか?

    A: シンガーソングライターは、自身の楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、当社を選ばれる傾向があります。

     

    Q: 近年増加している、自分で作詞作曲したものを自身のプラットフォームで公開するアーティストは、貴社の得意とする領域でしょうか?

    A:当社の前身であるイーライセンスは、ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系の楽曲を多く管理していました。そのため、YouTubeなどで活躍する個人やVTuberなども、当社を管理先として選ぶ傾向があります。また、当社は原盤供給事業も行っているため、著作権管理だけでなく、音楽コンテンツの配信サポートも行っています。

     

    Q: アーティストや事務所の管理業務を代行しているというイメージでしょうか?

    A: 音楽事務所とは異なりますが、著作権管理と中小レコードメーカーの支援を原盤供給事業で行っています。

     

    Q: 音楽配信事業についてお教えください。

    A: 2023年9月に子会社化したレコチョクが、個人向けの単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービス、法人向けの結婚式場や店舗向けの音楽配信事業を展開しています。

     

    Q: 音楽配信事業で扱う楽曲は、貴社が著作権管理している楽曲でしょうか?

    A: いいえ。国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっており、著作権管理は当社とJASRACのどちらかが行っています。

     

    Q: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?

    A: ビジネスサポート事業では、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストなどを対象に、キャスティングサービスやECサイトソリューションサービスなどを提供しています。

     

    Q: ライブビューイングのような主催興行は、どのような内容でしょうか?

    A: これまで主催または共催という形でライブやフェスなどを開催し、アーティストのブッキングやチケット販売などを行ってきました。また、アーティストが映像コンテンツを発売する際には、映画館で先行上映会なども行っています。

     

    Q: 第2四半期の決算状況について、著作権管理事業とDD事業が伸びている要因をお教えください。

    A: 著作権管理事業とDD事業はストック型ビジネスであり、管理する楽曲や原盤コンテンツが増えるほど安定的に成長します。著作権管理事業は、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に前年比で約10%成長しており、インタラクティブ配信の収益が好調に推移しています。

     

    Q: 管理楽曲の増加と収益増加の関係性についてお教えください。

    A: 新規楽曲の獲得と既存楽曲の増加により、楽曲の使用が増えるほど収益も増加します。

     

    Q: 株主還元施策について、どのようにお考えでしょうか?

    A: 現在グロース市場に上場しており、グロース市場にいる間は配当などの施策は見送り、成長投資に資金を充当します。2027年3月期にプライム上場を計画しており、プライムに上場した際には株主還元を検討します。

     

    Q: 貴社の創業の思いについて改めてお教えください。

    A: 2000年の法改正でJASRACの独占状態が解消され、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスの2社が2016年に統合し、現在のNexToneが誕生しました。当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして事業を展開していきます。また、権利者や利用者をサポートする複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えています。

  • 取材者: 御社様のビジネスモデルについてお伺いします。おそらく競合はJASRACさんなどになってくるかと思うのですが、JASRACさんと比較したときの特徴や強みなどを交えながら、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 当社が展開している事業は主に4つございます。当社の基幹事業としましては、先ほどおっしゃられた著作権管理事業になります。こちらがJASRACと競合する部分になります。

    作詞作曲家の方が楽曲を作りますと、日本の商慣習的に音楽出版社にその権利を譲渡する流れになります。

    音楽出版社が、作詞作曲家から音楽の著作権を譲渡されますと、この音楽出版社が、JASRACか当社かを管理委託先として選択することになります。著作権管理事業者が、利用者の方々にその楽曲の利用許諾を行いまして、利用者から使用料を徴収し、手数料を差し引かせていただいて、音楽出版社に戻すというのが一般的な流れになります。

    先ほどおっしゃられたJASRACとの一番の違いは、契約形態の違いにございます。

    当社は委任取次による委託契約を音楽出版社と締結しておりまして、音楽の著作権は全て音楽出版社に残したまま、当社の方で著作権の管理を委託されて管理のみをするという契約になっております。一方、JASRACは、音楽出版社から権利を全て譲渡される信託譲渡契約になっております。

    ですから、全ての著作権がJASRACに帰属いたしまして、JASRACは全て自分たちの権利として、音楽の著作権を管理することになります。

    一方、当社は委任による管理の委託という形になりますので、権利者の意向を柔軟に反映することが可能でございます。ですから、権利者の方が「ここからは著作権使用料を取らなくて良い」、あるいは「使用料を少し免除してあげてほしい」という意向があった際は柔軟な対応が可能なので、自分で楽曲を作って自分で演奏するシンガーソングライターなどは、当社を比較的選んでいただける傾向が強いです。

    音楽著作権管理事業は国内で当社とJASRACの2社だけしか展開しておらず、2社の寡占市場となっております。昨年度の徴収額シェアは当社が約8%、JASRACが約92%となっており、まだまだ差はあるのですが、年間の徴収額シェアは少しずつ当社のシェアが拡大してきている傾向にございます。

    取材者: シェアが拡大している要因は何かございますか?

    回答者: はい。JASRAC管理楽曲は年に一度だけJASRACから当社に移管することができるルールになっておりまして、JASRACから当社の方に管理を移管していただける権利者が毎年一定数いらしゃいます。

    取材者: なるほど。アーティスト目線で見ると、著作権が移らない分、御社様との契約の方がメリットがあるように感じるのですが、そういった部分はいかがでしょうか?

    回答者: はい。そうですね。当社の柔軟な管理は強みとしており、権利者の方からも喜ばれるところではあるのですが、逆に当社に足りない部分もございます。

    著作権の管理区分は細分化されておりまして、現在13個の区分に分かれています。権利者の方は、1曲ごとに、そして区分ごとに、JASRACとNexToneのどちらに預けるかということを選択することができます。

    1曲の中でも、例えば「演奏と録音はJASRAC、それ以外はNexTone」といった形に、1曲の中でも管理先が分かれることになります。当社はこの管理区分のうち「社交場(カラオケ)演奏」にまだ参入できておりません。

    権利者の方からすると、この1区分だけ管理ができないのであれば、1から13まで全てJASRACに委託してしまうというケースもございます。2ヶ所に作品を届け出て、2ヶ所から使用料の分配が届くとなると、現場の業務的にも煩わしくなってしまいますので、この「社交場(カラオケ)演奏」がまだNexToneで管理できないのであれば、JASRACにまとめて委託したいという権利者の方も一定数いらっしゃいます。

    将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスが提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がってくるのではないかと考えています。

    取材者: このカラオケの管理区分への参入に関して、おそらく成長可能性資料などにも触れられているかと思うのですが、参入障壁は高いのでしょうか?

    回答者: そうですね。JASRACが独占的に管理をしていたという点で、JASRACは店舗から直接徴収を行っています。

    取材者: なるほど。

    回答者:当社は後発で従業員もまだ100名程の会社ですので、店舗からの直接徴収が難しい状況です。ここはJASRACや監督官庁である文化庁ともお話をして、何かこの手法ではない形で、より透明性が高く管理できないかというところで今お話をさせていただいているという状況でございます。

    取材者: JASRACのような体制がないと、なかなか実現できないと思いますが、逆にそこさえ別のやり方が見つかれば、そこまで人員をかけずに管理できるといった認識でよろしいでしょうか?

    回答者: はい、ご認識の通りです。今、カラオケはほぼ全て通信カラオケになっておりますので、カラオケメーカーにご協力いただいて、歌唱ログやデジタルを活用してカラオケの歌唱使用料徴収ができないか提案をしております。

    取材者: これが実現したら、かなり革新的ですね。

    ちなみに、この管理区分は、著作権的にはどこが一番売上、あるいは徴収額が大きい区分になるのでしょうか?

    回答者: 真ん中の円グラフが、当社の直近の取扱高で、著作権使用料徴収額全体のうち、約65%がインタラクティブ配信になります。こちらは音楽配信、例えばSpotify、Amazon Music、YouTubeなどで楽曲が使用された場合の利用料になります。右側に参考に昨年度のJASRACの取扱高を記載しておりますけれども、JASRACでも一番多いのがこのインタラクティブ配信で35.5%となっております。音楽配信市場、ストリーミングサービスの拡大がここ数年続いておりまして、ストリーミングでの利用も全てこのインタラクティブ配信の区分に含まれます。音楽配信、ストリーミング、ダウンロード、YouTubeでの動画配信など、全てインタラクティブ配信になりますので、音楽利用で一番多い区分となっております。なお、カラオケ歌唱は「演奏」区分です。

    取材者: SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスの場合、1曲1再生いくら、あるいは提供している楽曲1曲につきいくらといった契約になるのでしょうか?

    回答者: ストリーミング配信の場合は、月会費と使用料率と当社管理楽曲の利用比率等を基に計算されます。

    NexTone使用料早見表URL https://www.nex-tone.co.jp/files/royalty_table.pdf

    取材者: なるほど。

    回答者: より聞かれる楽曲を管理していた方が、分配額が多くなるということです。

    取材者: なるほど。ちなみにこの楽曲の契約は、基本的にはアーティストごとになるのでしょうか?それとも楽曲ごとになっていくのでしょうか?

    回答者: 主に当社の契約先は音楽出版社になりますので、楽曲ごとに作品届を提出していただき、管理するという流れになります。ですから、同一のアーティストでも、音楽出版社が違えば、同じアーティストの楽曲でもNexToneが管理するものもあれば、JASRACが管理するものもあり、様々です。

    取材者: 同じアーティストで同じ作詞作曲者であっても、曲によって音楽出版社が違うことがあるということですね。

    回答者: はい、おっしゃる通りです。例えば、同じアーティストでも、テレビドラマのタイアップがつくような楽曲ですと、音楽出版社が放送局系の傘下にあることが多いので、どちらかというとJASRACの方に管理がいく傾向にございます。

    取材者: 逆に御社は、どういう楽曲だとNexToneに来る傾向があるのでしょうか?

    回答者: そうですね。先ほど申し上げましたように、シンガーソングライターは、自分で作った楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、そういったアーティストの方々は当社を選んでいただける傾向にございます。

    取材者: 今の時代、自分で作詞作曲したものを、自分のプラットフォームで公開しているようなアーティストの方も増えていると思いますが、それは御社様が得意とする領域になっていくのでしょうか?

    回答者: まさにその通りです。当社の前身であるイーライセンスという会社が2000年に設立されたのですが、この会社は元々ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系のBGM、主題歌などを多く管理していました。ですから、YouTubeなどで活躍されている個人の方々や、最近ではVTuberの方々も、自分たちで創作した楽曲をアップロードしているケースがありますが、そういったネットクリエイターの方々は比較的当社を管理先として選んでいただける傾向が強いです。また、当社は、音楽の原盤を供給する事業(DD事業)も行っております。クリエイターの方々、オリジナルアーティストの方々が歌唱・演奏した音楽コンテンツを各配信プラットフォームに供給するサービスになります。こういったサービスも手がけておりますので、著作権の管理だけではなくて、クリエイターの方々が創作した音楽コンテンツを全世界に配信できるようにするというところも、著作権の管理と並行して行っております。この配信管理もお預けいただく権利者の方々も非常に多くございます。特にネットクリエイターは、「自分たちは創作の方に専念したいので、権利関係の部分は全てお願いします」というような形で、著作権の管理から配信の管理まで全て依頼をいただくというケースもございます。

    取材者: なるほど。アーティストや事務所がやっている管理のような部分を代行しているようなイメージでしょうか?

    回答者: そうですね。音楽事務所という形で管理をしているわけではないのですが、あくまで著作権の部分と、中小レコードメーカーの支援を当社の原盤供給事業で行っているというイメージです。

    取材者:あと残り2つ、音楽配信事業とビジネスサポート事業について伺いたいのですが、こちらについてはいかがでしょうか?

    回答者: はい。音楽配信事業は、こちらは2023年の9月に子会社化しましたレコチョクが展開している独自の事業になります。この音楽配信事業の中でも法人向けと個人向けがございまして、約9割が個人向けです。こちらは単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービスを展開しております。

    法人向けは、結婚式場や店舗向けの音楽配信です。結婚式場では、結婚式の際に流すBGMの選曲から権利処理まで一貫して行っております。

    取材者: この音楽配信事業で扱う楽曲は、御社が著作権管理している楽曲になるのでしょうか?

    回答者: いいえ、こちらは国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっているとお考えください。ですから、著作権管理は当社かJASRACのどちらかが管理している楽曲が配信されております。

    取材者: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: ビジネスサポート事業は、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストの方々などを対象に、様々なサポートを行っています。当社が展開しているサービスの一つとして、キャスティングサービスがございます。

    これは例えば、アーティストの方がライブを行う際に、ライブのチケットにプレミアがついて手に入らない、あるいは遠方のためにライブに参加できないといったようなファンの方々のために、映画館でのライブビューイングという形で映画館をブッキングしてライブの生中継をしたり、大手通信事業者の会員向けに配信する楽曲の権利処理などを当社で行っています。

    あとは、昨年子会社化しましたレコチョクでは、ECサイトのソリューションサービスを展開しておりまして、既にサービスインしている直販ビジネス支援マーケット「murket」というサービスがございます。こちらはレコードメーカー向けのECサイト支援で、レコードメーカーのオリジナルサイトを立ち上げて、そこでの販売支援などを行っております。

    取材者: 成長可能性資料の中にあった主催興行というのは、ライブビューイングのようなものが中心になるのでしょうか?

    回答者: はい。主催興行という形で、これまでも主催、共催という形でライブやフェスなどを行っており、アーティストのブッキングやチケットの販売なども当社で行っています。また上映イベントという形で、アーティストが例えば映像コンテンツを発売する際に、映画館を当社でブッキングして先行上映会も行っています。

    取材者: 先日発表されました第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、全体として売上高、利益ともに伸びているのはレコチョクを子会社化した影響が大きいと思いますが、それ以外の部分で、著作権管理事業、DD事業が伸びている要因について教えていただけますでしょうか?

    回答者: 承知いたしました。まず前提としまして、著作権管理事業、DD事業ともにストック型ビジネスになっており、管理する楽曲や原盤コンテンツが積み上がるほど、安定的に成長が見込まれるというビジネスになります。

    著作権管理事業は、先ほど少し申し上げました通り、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に、前年比で10%ほど成長しております。この配信市場の拡大を背景に、インタラクティブ配信の徴収が好調に推移しております。

    取材者: しっかりと管理楽曲も含めて数字が積み上がってきているという認識でよろしいですか?

    回答者: 年々新規の楽曲の獲得、プラス既存楽曲も含めて増加しておりますので、そういった楽曲が使用されれば使用されるほど、売上実績にも反映されてくるという形になります。

    取材者: おそらく配当などは出されていないかと思うのですが、株主還元施策についてはどのようにお考えでしょうか?

    回答者: 株主還元につきまして、よくご質問いただくのですが、現在グロース市場に上場しております。グロース市場にいる間は、配当等の施策は見送らせていただき、成長投資に資金を使わせていただきたいという方針でございます。2027年3月期にプライム上場を計画しておりまして、プライムに上場した暁には、株主の方になんらかの形で還元をしたいと考えております。

    取材者: 先ほどイーライセンスの話があったかと思うのですが、御社様の創業の思いについて改めて教えていただけますでしょうか?

    回答者: 承知いたしました。先ほどJASRACとの比較の中でお話させていただいた通り、戦前から2000年までJASRACが独占していたのですが、

    2000年の法改正で民間の企業がこの市場に参入できるようになり、JASRACとは異なる管理形態を求めて、20数社が参入していきました。しかし、低廉な手数料で行うビジネスであるため、継続することができずに、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスという2社だけが生き残り、2016年に2社が統合して現在のNexToneが誕生しました。

    当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして、これからも事業展開をしていこうと考えております。著作権管理だけではなくて、当社は権利者、利用者の方々をサポートするようなビジネスを展開しておりますので、そういった複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えております。

    各部門が連携しながらアーティスト、権利者の方をサポートするということを強みとしておりますので、今後も子会社化したレコチョクを含めて音楽文化、音楽産業の発展に寄与してまいりたいと考えております。

  • IR担当

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(株)NexTone

東証GRT 7094

決算:3月末日

CP&X


決算概要

2026年3月期第1四半期決算は、売上高53億6100万円(前年同期比11.2%増)、営業利益3億2500万円(前年同期比46.7%増)、経常利益3億2400万円(前年同期比36.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2億1000万円(前年同期比26.9%増)と、増収増益となった。増収要因は主力事業が順調に伸長したこと、増益要因はレコチョクグループにおける成長分野や新規事業への先行投資を継続しつつ、売上の増収効果及び固定費の削減が奏功したことによる。


セグメント別または事業別の増減要因

全ての事業において、前年同期比で売上は増加した。
著作権管理事業では、アイドル楽曲の音楽ソフト等に係る録音権や海外利用分の徴収が伸長した。前年同期比で減益となった要因は、前年第1四半期に一部配信事業者から遡及徴収という特殊要因があったため。DD事業では、ストリーミング市場の拡大、取扱原盤の増加により増収増益となった。音楽配信事業では、個人向け主力サービスである「dヒッツ」のサービス料金改定やコスト削減が奏功し、前年同期比で増収増益となった。また、ビジネスサポート事業のうちキャスティング事業において、社内体制を強化したことによりコーディネート数が増加し、人気アイドルのコンサートや人気YouTuberのイベント等のライブビューイングが好調に推移した。

主要KPIの進捗と変化

当社の主要なKPIである著作権管理楽曲数は、2025年3月期に691,490曲となり、前年より167,229曲増加した。また、取扱原盤数は、2025年3月期に1,470,294原盤となり、前年より206,942原盤増加した。現時点において順調に増加しており、今後も着実な積み上げが見込まれている。

季節性・一過性要因の有無と影響

当社が展開する事業に季節性はないが、著作権管理楽曲数や取扱原盤数が積み上がることにより四半期毎に業績が逓増する傾向がある。また、著作権管理事業において毎期第4四半期に年に1度だけ使用料を徴収する利用者があるため、第4四半期の業績が増える傾向がある。

通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の業績見通しは、売上高230億円(前期比18.5%増)、営業利益18億円(前期比79.1%増)、経常利益18億円(前期比75%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(前期比73.3%増)と、大幅な増収増益を見込んでいる。この見通しは、著作権管理事業とDD事業の着実な成長を主軸としており、特に拡大を続けるインタラクティブ配信分野が引き続き業績を牽引する見込みである。また、レコチョクグループにおける新規事業の立ち上げを計画に織り込んでおり、計画達成において重要となる。

トピックス

当社は著作権管理事業の海外利用分の徴収強化を引き続き積極的に強化している。具体的には、2024年7月に米国の著作権管理事業者との徴収代行契約およびYouTubeとの直接徴収契約を締結したほか、2025年5月には韓国の著作権管理事業者との徴収代行契約を締結した。これらの取り組みは、2021年夏にフランスの著作権管理団体SACEMと締結したワールドワイドな徴収代行契約を一部改定し、北米やアジア圏からの徴収における効率と精度を向上させることを目的としている。直接契約の締結により、中間手数料の削減と著作権者への使用料分配スケジュールの早期化および精度の向上が期待される。

また、DD事業において、取扱原盤に係る放送二次使用料の再分配業務を開始した。一般社団法人日本レコード協会や分配に関する関係団体に加盟・所属していないレーベルや、個人アーティスト・クリエイターも、当社DD業務を通じて当該使用料を受け取ることが可能となり、原盤収益の最大化に取り組んでいる。

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年3月期決算は、売上高194億1,200万円(前期比44.5%増)、営業利益10億500万円(前期比54.9%増)、経常利益10億2,800万円(前期比57.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6億9,200万円(前期比30.3%増)と、過去最高の業績を達成し大幅な増収増益となった。これは主にレコチョクの連結によるものであり、2023年10月からの連結開始により、2025年3月期は通年でレコチョクの業績が反映されていることによる。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高の増収は、レコチョクの連結による影響が最も大きい。著作権管理事業においては、インタラクティブ配信や放送分野からの徴収が、楽曲数の積み上げと配信市場の年間約5%の成長と相まって、徴収額が非常に好調に推移していることが要因である。

    主要KPIの進捗と変化

    当社の主要なKPIである著作権管理楽曲数および取扱原盤数は、現時点において順調に増加しており、今後も着実な積み上げが見込まれている。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    営業利益が第4四半期に集中する傾向があるが、これは特定の季節要因ではなく事業構造に起因する。著作権管理楽曲数およびDD事業における取扱原盤数の四半期ごとの積み上がりに加え、著作権分野ではケーブルテレビや衛星放送など一部の利用者からの年間一括徴収が第4四半期に集中する傾向があるためである。また、2025年3月期第4四半期においては、ドコモが提供する『dヒッツ』(レコチョクがバックヤードを担当)の月額利用料金改定により、第4四半期の音楽配信事業売上が伸長したことが業績を押し上げる一因となった。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の業績見通しは、売上高230億円(前期比18.5%増)、営業利益18億円(前期比79.1%増)、経常利益18億円(前期比75%増)、親会社株主に帰属する当期純利益12億円(前期比73.3%増)と、大幅な増収増益を見込んでいる。この見通しは、著作権管理事業とDD事業の着実な成長を主軸としており、特に拡大を続ける配信市場におけるインタラクティブ配信分野が引き続き業績を牽引する見込みである。新たな施策として、NexToneが立ち上げた新規事業「BLONIA」があるが、2026年3月期時点では大きな売上貢献は想定されておらず、今後の成長が中期業績計画における課題となる。

     

    トピックス

    当社は著作権管理事業の海外展開を積極的に強化している。具体的には、2024年7月に米国の著作権管理事業者との徴収代行契約およびYouTubeとの直接徴収契約を締結したほか、2025年5月には韓国の著作権管理事業者との徴収代行契約を締結した。これらの取り組みは、2021年夏にフランスの著作権管理団体SACEMと締結したワールドワイド徴収代行契約を一部改定し、北米やアジア圏からの徴収における効率と精度を向上させることを目的としている。直接契約の締結により、中間手数料の削減と著作権者への使用料分配スケジュールの早期化および精度の向上が期待される。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略における主要なポイントは、新規事業の立ち上げにございます。具体的には、DD事業におけるレコチョクの新サービス「FLAGGLE」と、ビジネスサポート事業におけるエッグスのファンコミュニティ関連事業の立ち上げを今後の重要な取り組みとして推進しております。これらの新規事業は、今後の成長を牽引する中核として位置付けております。

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:成長戦略の前提条件として、当初2025年3月期下期に立ち上がりを想定しておりましたレコチョクおよびエッグスの新規事業が、進行期において若干の遅延が生じております。現在のところ、これらの事業は2026年3月期中に立ち上がる予定で進行しております。この立ち上がりが遅れる場合、2026年3月期を含む中期業績計画の達成に影響を及ぼす可能性があると認識しております。

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現時点において、具体的にお話できるM&Aや業務提携の案件はございません。しかしながら、当社としては引き続き、事業シナジーが見込まれる優良な案件があれば積極的に検討していく方針でございます。ただし、当社の事業領域は音楽業界に特化しており、音楽業界と関連性のない分野への進出は予定しておりません。また、エージェントとしての立ち位置を重視しており、IP(知的財産)を保有するレコード会社やプロダクションの買収は、当社の事業方向性とは異なると考えております。

     

    Q:中期業績計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期業績計画の進捗状況につきましては、全体として計画に沿って順調に推移していると認識しております。しかしながら、前述の通り、レコチョクとエッグスの新規事業の立ち上がりが、2026年3月期およびそれ以降の中期業績計画達成において重要な要素となります。これらの新規事業が計画通りに立ち上がることが、中期業績計画を確実に遂行するための鍵となります。

  • 取材者:2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高194億1,200万円、前期比44.5%増、営業利益10億500万円、前期比54.9%増、経常利益10億2,800万円、前期比57.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益6億9,200万円、前期比30.3%増と、過去最高の業績を達成され、大幅な増収増益を達成されたかと存じます。こちらについての増減要因についてご説明をお願いできますか?

     

    回答者:売上高の増収率が非常に高くなっておりますのは、レコチョクの連結によるものです。レコチョクを2023年10月から連結しているのですが、2024年3月期はレコチョクを半期分のみ取り込んでおり、2025年3月期は通年で1年分取り込んでおります。そのため、前期比で見ますと、売上の増収率がかなり大きく見えます。これがまず1点目です。著作権管理に関しましては、インタラクティブ配信や放送分野からの徴収が、楽曲数の積み上げと配信市場が毎年5%程度伸びている環境が合わさり、非常に好調に徴収額が推移いたしました。

     

    取材者:そうしますと、レコチョクの分を除いても20%近く増収されているかと存じますが、そういった部分に関してはやはりDD(デジタルディストリビューション)事業やその他の事業がしっかりと成長していると見てよろしいでしょうか?

     

    回答者:はい。著作権の配信周りもそうですし、デジタルコンテンツディストリビューションもそうですが、やはり配信が牽引している状況は変わっておりません。配信周りが20%以上の増収であったことが大きいです。

     

    取材者:あとは第4四半期の業績予想に対する進捗の部分に関しましては、売上高も計画比で3.0%減だったかと存じますが、そちらについてはどのようにお考えですか?

     

    回答者:こちらに関しましては、やはりDD事業が予算対比で最も厳しかったです。前期との比較ではかなり伸びてはいるのですが、DD事業の方の競争環境が非常に厳しくなっており、競合他社が多数いる中で、有力な権利者をいかに自社に引き込むかが課題となっております。この計画は元々、予算を組んだタイミングで有力な権利者を取り込むことを見越して組んでいたのですが、残念ながらその部分がうまくいかなかったということがあります。

     

    取材者:四半期ごとの業績を見ると、営業利益に関しましてはかなり第4四半期に集中しているかと存じますが、こういった傾向はいかがですか?

     

    回答者:特に季節要因はあまりないのですが、基本的には著作権管理楽曲数と取扱原盤数が四半期ごとに積み上がってくるため、四半期ごとに増えていくトレンドがベースとしてあります。特に著作権管理事業に関しては、第4四半期に通常ですと四半期ごとに著作権使用料を利用者から徴収するのですが、一部の利用者に関しては年に1回だけ徴収するというのがあり、ケーブルテレビや衛星放送がそれに該当します。その関係もあって、第4四半期は著作権料が膨らむ傾向にあります。また、2025年3月期でいきますと、音楽配信事業の主力サービス「dヒッツ」のバックヤードをレコチョクが担当しておりますが、ドコモが「dヒッツ」の月額利用料金を550円から690円に改定しました。その影響もあり、第4四半期の音楽配信事業の売上が伸びましたので、第4四半期が伸びたという要因があります。

     

    取材者:何かその他、一過性の要因といいますか、外的要因などで業績に影響したものはございましたか?

     

    回答者:売上面では特に他にはないのですが、販管費のコスト面でいきますと、これもレコチョクが1月に本社を移転しており、その関係で固定資産の圧縮などを色々と行いましたので、第4四半期にコストが減ったというところでございます。

     

    取材者:採用については前期比で比べて推移などはいかがですか?

     

    回答者:こちらは前期に比べると人数が増えている状態ですが、退職者も増えている関係もあり、採用計画との比較では、予定通りには進んでいないというのが正直なところです。

     

    取材者:その他何か主要なKPIがございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:あとは著作権管理楽曲数と取扱原盤数です。そちらは順調に伸びております。

     

    取材者:今期以降も引き続きしっかりと伸びていくような想定でよろしいですか?

     

    回答者:はい、着実に積み上げていくと考えております。

     

    取材者:そうしましたら、2026年3月期の業績についても少しお伺いしたいのですが、2026年3月期の業績予想としまして、売上高が230億円、同期比18.5%の増加、営業利益に関しては18億円、前年比79.1%の増加、経常利益は18億円、前年比75%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は12億円、プラス73.3%の増加というところで、こちらも大幅な増収増益が見込まれているかと存じますが、こちらについての見通しについて教えていただけますか?

     

    回答者:やはり売上高のところに関しましては、著作権管理事業とDD事業を着実に伸ばしていくという方針です。引き続き配信市場は拡大しておりますので、インタラクティブ配信の部分が牽引するという事実は変わりません。

     

    取材者:何かそういった来期、2026年3月期に向けて新たな施策や、取り組みなどございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:取り組みとしましては、NexToneの方で新規事業のBLONIA(ブロニア)というサービスを立ち上げましたので、まだ2026年3月期の時点では大きな売上を見込んでおりませんが、今後しっかりと伸ばしていくというのがこの中期業績計画の課題でもあります。

     

    取材者:その中期業績計画の進捗状況としてはいかがですか?

     

    回答者:毎期3年分をローリングして1年付け足すような形で公表しておりますが、2026年3月期と2027年3月期に関しましては、トップラインと営業利益に関して公表済みの計画から変更はしておりません。若干一部で調整はしていますが、DD事業が少し計画未達でしたので、、そこの部分を少し下げたり、逆に音楽配信が価格改定の関係で伸びていったので、そこを少し増やしたり、あとは先ほど申し上げた新規事業分野が立ち上がったので、そちらの売上を計上したりといった調整は入れております。

     

    取材者:全体としてかなり順調に計画に向けて進捗しているように見えますが、そういった形で認識してよろしいですか?

     

    回答者:そうですね。あとはポイントになってくるのは、やはりレコチョクとエッグスの新規事業が、2025年3月期の下期ぐらいから立ち上がる想定だったものが、進行期に少しずれ込んでおりますので、2026年3月期中に立ち上がる予定で進めております。ここが立ち上がってこないとなかなか2026年3月期を含め、中期業績計画が厳しい状況になるかもしれません。

     

    取材者:最初はかなりその新規事業の動向が2026年3月期はかなりチェックポイントでポイントになっていくような認識ですか。

     

    回答者:そうですね。DD事業の中のレコチョクの新サービスの「FLAGGLE」と、あとビジネスサポート事業の中に、エッグスのファンコミュニティ周りを織り込んでおります。

     

    取材者:そうしますと、何かその他、M&Aや業務提携に関しまして、実施のご予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話いただけますか?

     

    回答者:まず現時点で具体的にお話できるような案件は特にないのですが、良い案件があれば引き続き積極的に検討していきたいと考えております。音楽業界と関係ない分野に進出する予定はございません。あくまで音楽業界の中で、エージェントという当社の立ち位置におりますので、権利を保有するようなIPを抱える立場になることはあまり想定しておりません。例えば、レコード会社やプロダクションを買収するということは、当社の方向性とは違うと考えております。

    取材者:あとは、今回、配当なども出されているかと存じますが、株主還元の方針につきまして変更などございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:今回初めて配当のご案内をさせていただいており、従来はプライムに移行した暁にはということでご説明しておりました。しかし、中期業績計画を再度ローリングして練り直す中で、今後の投資計画や事業計画の利益の積み上げを検討した結果、投資と配当が両立できると判断いたしましたので、今回、配当のご案内を出させていただきました。

     

    取材者:あとは、その他何か足元につきまして、トピックスやニュースリリースございましたら教えていただけますか?

    回答者:そうですね。ちょこちょこリリースは出させていただいておりますが、今、著作権の海外展開を強化しております。昨年7月に米国の著作権管理事業者との代行徴収契約やYouTubeから直接徴収するという契約を締結し、この5月には韓国の著作権管理事業者と代行徴収契約を締結しました。そういった形でアジア圏の各団体と調整を進めております。

     

    取材者:アジア以外にも世界に広げていくような動きがあるようなイメージなのでしょうか?

     

    回答者:元々2021年4月に、フランスの著作権管理団体のSACEM(サセム)と、ワールドワイドに徴収代行していただくという契約を結んでおります。SACEMも各国のSACEMが提携している利用団体を通じて間接的に徴収するという形になるのですが、特に北米やアジア圏からの徴収が思ったほど伸びてこないという実態があり、現地の団体と当社が直接契約を結ぶことで、SACEMを経由するワンクッションが減りますし、その分の手数料もなくなりますし、著作権者への使用料分配スケジュールの早期化が図れ、精度も上がるということで、今回、SACEMとの契約を一部改定し、各国の団体と直接代行契約を締結いたしました。

  • 取締役 渡邊 史弘 様 

    執行役員 経営管理本部長 桃枝 宏之 様

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    ビジネスモデル・事業内容

    株式会社NexToneは、音楽著作権管理事業を基幹事業とする企業である。作詞作曲家から音楽出版社に譲渡された著作権を、音楽出版社からの委託を受けて管理し、利用者への許諾や使用料の徴収を行う。委任契約に基づく管理体制により、権利者の意向に沿った柔軟な楽曲管理を特徴とする。音楽著作権管理事業以外にも、DD事業、音楽配信事業、ビジネスサポート事業等を展開し、権利者へのサービスを多角的に提供することでJASRACとの差別化を図っている。

     

    創業の経緯と転機

    2000年の法改正によりJASRACの独占状態が解消され、NexToneの前身となるイーライセンスが設立された。2016年にはジャパン・ライツ・クリアランスと統合し、現在のNexToneが誕生した。

     

    直近の決算状況

    第2四半期決算では、売上高、利益ともに前年同期比で増加している。これはレコチョクの子会社化に加え、著作権管理事業、DD事業の好調な業績が要因である。

     

    特徴・強み

    JASRACとの比較で、委任契約に基づく柔軟な楽曲管理体制が強みである。 特に、シンガーソングライターやネットクリエイターなど、自身の楽曲を自らコントロールしたいという権利者から支持を得ている。 また、ネットクリエイターやVTuberなど、インターネット上で活動するアーティストの著作権管理にも強みを持つ。

     

    成長戦略

    「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分への早期参入を目指し、フルライン化によるシェア拡大を図る。

     

    株主還元策

    現在グロース市場に上場しており、2027年3月期のプライム上場を目指している。 プライム上場後は、株主還元を検討する方針である。

  • Q: 貴社ビジネスモデルの概要と、競合他社との比較における特徴や強みについてご説明いただけますでしょうか?

    A: 当社は、主に4つの事業を展開しています。基幹事業はJASRACと競合する著作権管理事業です。作詞作曲家が楽曲を作ると、音楽出版社に権利が譲渡されます。音楽出版社は、JASRACまたは当社に管理を委託します。委託を受けた著作権管理事業者は、利用者に対して楽曲の利用許諾を行い、使用料を徴収し、手数料を差し引いた上で音楽出版社に分配します。JASRACとの違いは契約形態です。当社は委任取次による委託契約を締結し、音楽出版社に著作権を残したまま管理を行います。一方、JASRACは信託譲渡契約を締結し、著作権を譲り受けて管理します。そのため、当社は権利者の意向を柔軟に反映した管理が可能です。

     

    Q: シェア拡大の要因についてお教えください。

    A: JASRAC管理楽曲は年に一度だけ当社に移管することができるルールがあり、毎年一定数の権利者がJASRACから当社に移管しています。

     

    Q: アーティストにとって、貴社との契約のメリットはどのような点でしょうか?

    A: 当社の柔軟な管理体制は強みですが、まだ「社交場(カラオケ)演奏」の管理区分に参入できていないという課題があります。権利者の中には、全ての管理区分をJASRACに委託することを希望するケースもあります。将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスを提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がると考えています。

     

    Q: カラオケの管理区分への参入障壁は高いのでしょうか?

    A: JASRACは店舗から直接使用料を徴収していますが、当社は後発で従業員も少ないため、店舗からの直接徴収は難しい状況です。そのため、JASRACや文化庁と協議し、より透明性の高い管理方法を検討しています。

     

    Q: 貴社はどのように使用料を徴収する予定でしょうか?

    A: 現在のカラオケはほぼ全て通信カラオケであるため、カラオケメーカーと協力し、歌唱ログやデジタルを活用した使用料徴収を提案しています。

     

    Q: 著作権管理において、最も収益性の高い区分はどれでしょうか?

    A: 当社の直近の取扱高では、インタラクティブ配信が約65%を占めています。これはSpotify、Amazon Music、YouTubeなどの音楽配信サービスにおける利用料です。音楽配信市場は拡大しており、インタラクティブ配信は最も収益性の高い区分となっています。カラオケ歌唱は「演奏」区分に該当します。

     

    Q: サブスクリプションサービスにおける使用料の契約形態はどのようになっていますか?

    A: ストリーミング配信の場合、月会費と使用料率、当社管理楽曲の利用比率などを基に計算されます。

     

    Q: 楽曲の契約は、アーティストごとでしょうか?それとも楽曲ごとでしょうか?

    A: 主に音楽出版社と契約し、楽曲ごとに作品届を提出していただき管理を行います。そのため、同一アーティストでも、音楽出版社が異なれば、NexToneが管理する楽曲とJASRACが管理する楽曲が混在するケースがあります。

     

    Q: 同じアーティストの楽曲でも、管理する事業者が異なる場合があるということですね。

    A: はい。例えば、テレビドラマのタイアップがついた楽曲は、放送局系の音楽出版社が管理していることが多く、JASRACによって管理される傾向があります。

     

    Q: 貴社はどのような楽曲を管理する傾向がありますか?

    A: シンガーソングライターは、自身の楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、当社を選ばれる傾向があります。

     

    Q: 近年増加している、自分で作詞作曲したものを自身のプラットフォームで公開するアーティストは、貴社の得意とする領域でしょうか?

    A:当社の前身であるイーライセンスは、ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系の楽曲を多く管理していました。そのため、YouTubeなどで活躍する個人やVTuberなども、当社を管理先として選ぶ傾向があります。また、当社は原盤供給事業も行っているため、著作権管理だけでなく、音楽コンテンツの配信サポートも行っています。

     

    Q: アーティストや事務所の管理業務を代行しているというイメージでしょうか?

    A: 音楽事務所とは異なりますが、著作権管理と中小レコードメーカーの支援を原盤供給事業で行っています。

     

    Q: 音楽配信事業についてお教えください。

    A: 2023年9月に子会社化したレコチョクが、個人向けの単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービス、法人向けの結婚式場や店舗向けの音楽配信事業を展開しています。

     

    Q: 音楽配信事業で扱う楽曲は、貴社が著作権管理している楽曲でしょうか?

    A: いいえ。国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっており、著作権管理は当社とJASRACのどちらかが行っています。

     

    Q: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?

    A: ビジネスサポート事業では、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストなどを対象に、キャスティングサービスやECサイトソリューションサービスなどを提供しています。

     

    Q: ライブビューイングのような主催興行は、どのような内容でしょうか?

    A: これまで主催または共催という形でライブやフェスなどを開催し、アーティストのブッキングやチケット販売などを行ってきました。また、アーティストが映像コンテンツを発売する際には、映画館で先行上映会なども行っています。

     

    Q: 第2四半期の決算状況について、著作権管理事業とDD事業が伸びている要因をお教えください。

    A: 著作権管理事業とDD事業はストック型ビジネスであり、管理する楽曲や原盤コンテンツが増えるほど安定的に成長します。著作権管理事業は、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に前年比で約10%成長しており、インタラクティブ配信の収益が好調に推移しています。

     

    Q: 管理楽曲の増加と収益増加の関係性についてお教えください。

    A: 新規楽曲の獲得と既存楽曲の増加により、楽曲の使用が増えるほど収益も増加します。

     

    Q: 株主還元施策について、どのようにお考えでしょうか?

    A: 現在グロース市場に上場しており、グロース市場にいる間は配当などの施策は見送り、成長投資に資金を充当します。2027年3月期にプライム上場を計画しており、プライムに上場した際には株主還元を検討します。

     

    Q: 貴社の創業の思いについて改めてお教えください。

    A: 2000年の法改正でJASRACの独占状態が解消され、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスの2社が2016年に統合し、現在のNexToneが誕生しました。当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして事業を展開していきます。また、権利者や利用者をサポートする複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えています。

  • 取材者: 御社様のビジネスモデルについてお伺いします。おそらく競合はJASRACさんなどになってくるかと思うのですが、JASRACさんと比較したときの特徴や強みなどを交えながら、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 当社が展開している事業は主に4つございます。当社の基幹事業としましては、先ほどおっしゃられた著作権管理事業になります。こちらがJASRACと競合する部分になります。

    作詞作曲家の方が楽曲を作りますと、日本の商慣習的に音楽出版社にその権利を譲渡する流れになります。

    音楽出版社が、作詞作曲家から音楽の著作権を譲渡されますと、この音楽出版社が、JASRACか当社かを管理委託先として選択することになります。著作権管理事業者が、利用者の方々にその楽曲の利用許諾を行いまして、利用者から使用料を徴収し、手数料を差し引かせていただいて、音楽出版社に戻すというのが一般的な流れになります。

    先ほどおっしゃられたJASRACとの一番の違いは、契約形態の違いにございます。

    当社は委任取次による委託契約を音楽出版社と締結しておりまして、音楽の著作権は全て音楽出版社に残したまま、当社の方で著作権の管理を委託されて管理のみをするという契約になっております。一方、JASRACは、音楽出版社から権利を全て譲渡される信託譲渡契約になっております。

    ですから、全ての著作権がJASRACに帰属いたしまして、JASRACは全て自分たちの権利として、音楽の著作権を管理することになります。

    一方、当社は委任による管理の委託という形になりますので、権利者の意向を柔軟に反映することが可能でございます。ですから、権利者の方が「ここからは著作権使用料を取らなくて良い」、あるいは「使用料を少し免除してあげてほしい」という意向があった際は柔軟な対応が可能なので、自分で楽曲を作って自分で演奏するシンガーソングライターなどは、当社を比較的選んでいただける傾向が強いです。

    音楽著作権管理事業は国内で当社とJASRACの2社だけしか展開しておらず、2社の寡占市場となっております。昨年度の徴収額シェアは当社が約8%、JASRACが約92%となっており、まだまだ差はあるのですが、年間の徴収額シェアは少しずつ当社のシェアが拡大してきている傾向にございます。

    取材者: シェアが拡大している要因は何かございますか?

    回答者: はい。JASRAC管理楽曲は年に一度だけJASRACから当社に移管することができるルールになっておりまして、JASRACから当社の方に管理を移管していただける権利者が毎年一定数いらしゃいます。

    取材者: なるほど。アーティスト目線で見ると、著作権が移らない分、御社様との契約の方がメリットがあるように感じるのですが、そういった部分はいかがでしょうか?

    回答者: はい。そうですね。当社の柔軟な管理は強みとしており、権利者の方からも喜ばれるところではあるのですが、逆に当社に足りない部分もございます。

    著作権の管理区分は細分化されておりまして、現在13個の区分に分かれています。権利者の方は、1曲ごとに、そして区分ごとに、JASRACとNexToneのどちらに預けるかということを選択することができます。

    1曲の中でも、例えば「演奏と録音はJASRAC、それ以外はNexTone」といった形に、1曲の中でも管理先が分かれることになります。当社はこの管理区分のうち「社交場(カラオケ)演奏」にまだ参入できておりません。

    権利者の方からすると、この1区分だけ管理ができないのであれば、1から13まで全てJASRACに委託してしまうというケースもございます。2ヶ所に作品を届け出て、2ヶ所から使用料の分配が届くとなると、現場の業務的にも煩わしくなってしまいますので、この「社交場(カラオケ)演奏」がまだNexToneで管理できないのであれば、JASRACにまとめて委託したいという権利者の方も一定数いらっしゃいます。

    将来的に当社も早期参入を目指しており、フルラインのサービスが提供できるようになれば、当社への移管スピードも上がってくるのではないかと考えています。

    取材者: このカラオケの管理区分への参入に関して、おそらく成長可能性資料などにも触れられているかと思うのですが、参入障壁は高いのでしょうか?

    回答者: そうですね。JASRACが独占的に管理をしていたという点で、JASRACは店舗から直接徴収を行っています。

    取材者: なるほど。

    回答者:当社は後発で従業員もまだ100名程の会社ですので、店舗からの直接徴収が難しい状況です。ここはJASRACや監督官庁である文化庁ともお話をして、何かこの手法ではない形で、より透明性が高く管理できないかというところで今お話をさせていただいているという状況でございます。

    取材者: JASRACのような体制がないと、なかなか実現できないと思いますが、逆にそこさえ別のやり方が見つかれば、そこまで人員をかけずに管理できるといった認識でよろしいでしょうか?

    回答者: はい、ご認識の通りです。今、カラオケはほぼ全て通信カラオケになっておりますので、カラオケメーカーにご協力いただいて、歌唱ログやデジタルを活用してカラオケの歌唱使用料徴収ができないか提案をしております。

    取材者: これが実現したら、かなり革新的ですね。

    ちなみに、この管理区分は、著作権的にはどこが一番売上、あるいは徴収額が大きい区分になるのでしょうか?

    回答者: 真ん中の円グラフが、当社の直近の取扱高で、著作権使用料徴収額全体のうち、約65%がインタラクティブ配信になります。こちらは音楽配信、例えばSpotify、Amazon Music、YouTubeなどで楽曲が使用された場合の利用料になります。右側に参考に昨年度のJASRACの取扱高を記載しておりますけれども、JASRACでも一番多いのがこのインタラクティブ配信で35.5%となっております。音楽配信市場、ストリーミングサービスの拡大がここ数年続いておりまして、ストリーミングでの利用も全てこのインタラクティブ配信の区分に含まれます。音楽配信、ストリーミング、ダウンロード、YouTubeでの動画配信など、全てインタラクティブ配信になりますので、音楽利用で一番多い区分となっております。なお、カラオケ歌唱は「演奏」区分です。

    取材者: SpotifyやApple Musicなどのサブスクリプションサービスの場合、1曲1再生いくら、あるいは提供している楽曲1曲につきいくらといった契約になるのでしょうか?

    回答者: ストリーミング配信の場合は、月会費と使用料率と当社管理楽曲の利用比率等を基に計算されます。

    NexTone使用料早見表URL https://www.nex-tone.co.jp/files/royalty_table.pdf

    取材者: なるほど。

    回答者: より聞かれる楽曲を管理していた方が、分配額が多くなるということです。

    取材者: なるほど。ちなみにこの楽曲の契約は、基本的にはアーティストごとになるのでしょうか?それとも楽曲ごとになっていくのでしょうか?

    回答者: 主に当社の契約先は音楽出版社になりますので、楽曲ごとに作品届を提出していただき、管理するという流れになります。ですから、同一のアーティストでも、音楽出版社が違えば、同じアーティストの楽曲でもNexToneが管理するものもあれば、JASRACが管理するものもあり、様々です。

    取材者: 同じアーティストで同じ作詞作曲者であっても、曲によって音楽出版社が違うことがあるということですね。

    回答者: はい、おっしゃる通りです。例えば、同じアーティストでも、テレビドラマのタイアップがつくような楽曲ですと、音楽出版社が放送局系の傘下にあることが多いので、どちらかというとJASRACの方に管理がいく傾向にございます。

    取材者: 逆に御社は、どういう楽曲だとNexToneに来る傾向があるのでしょうか?

    回答者: そうですね。先ほど申し上げましたように、シンガーソングライターは、自分で作った楽曲を自分でコントロールしたいという傾向があり、そういったアーティストの方々は当社を選んでいただける傾向にございます。

    取材者: 今の時代、自分で作詞作曲したものを、自分のプラットフォームで公開しているようなアーティストの方も増えていると思いますが、それは御社様が得意とする領域になっていくのでしょうか?

    回答者: まさにその通りです。当社の前身であるイーライセンスという会社が2000年に設立されたのですが、この会社は元々ネットクリエイターやゲーム系、アニメ系のBGM、主題歌などを多く管理していました。ですから、YouTubeなどで活躍されている個人の方々や、最近ではVTuberの方々も、自分たちで創作した楽曲をアップロードしているケースがありますが、そういったネットクリエイターの方々は比較的当社を管理先として選んでいただける傾向が強いです。また、当社は、音楽の原盤を供給する事業(DD事業)も行っております。クリエイターの方々、オリジナルアーティストの方々が歌唱・演奏した音楽コンテンツを各配信プラットフォームに供給するサービスになります。こういったサービスも手がけておりますので、著作権の管理だけではなくて、クリエイターの方々が創作した音楽コンテンツを全世界に配信できるようにするというところも、著作権の管理と並行して行っております。この配信管理もお預けいただく権利者の方々も非常に多くございます。特にネットクリエイターは、「自分たちは創作の方に専念したいので、権利関係の部分は全てお願いします」というような形で、著作権の管理から配信の管理まで全て依頼をいただくというケースもございます。

    取材者: なるほど。アーティストや事務所がやっている管理のような部分を代行しているようなイメージでしょうか?

    回答者: そうですね。音楽事務所という形で管理をしているわけではないのですが、あくまで著作権の部分と、中小レコードメーカーの支援を当社の原盤供給事業で行っているというイメージです。

    取材者:あと残り2つ、音楽配信事業とビジネスサポート事業について伺いたいのですが、こちらについてはいかがでしょうか?

    回答者: はい。音楽配信事業は、こちらは2023年の9月に子会社化しましたレコチョクが展開している独自の事業になります。この音楽配信事業の中でも法人向けと個人向けがございまして、約9割が個人向けです。こちらは単曲ダウンロードサービスや定額制ストリーミングサービスを展開しております。

    法人向けは、結婚式場や店舗向けの音楽配信です。結婚式場では、結婚式の際に流すBGMの選曲から権利処理まで一貫して行っております。

    取材者: この音楽配信事業で扱う楽曲は、御社が著作権管理している楽曲になるのでしょうか?

    回答者: いいえ、こちらは国内にあるほぼ全ての楽曲がレコチョクに集まっているとお考えください。ですから、著作権管理は当社かJASRACのどちらかが管理している楽曲が配信されております。

    取材者: ビジネスサポート事業についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: ビジネスサポート事業は、レコードメーカーやプロダクション、作詞作曲家、アーティストの方々などを対象に、様々なサポートを行っています。当社が展開しているサービスの一つとして、キャスティングサービスがございます。

    これは例えば、アーティストの方がライブを行う際に、ライブのチケットにプレミアがついて手に入らない、あるいは遠方のためにライブに参加できないといったようなファンの方々のために、映画館でのライブビューイングという形で映画館をブッキングしてライブの生中継をしたり、大手通信事業者の会員向けに配信する楽曲の権利処理などを当社で行っています。

    あとは、昨年子会社化しましたレコチョクでは、ECサイトのソリューションサービスを展開しておりまして、既にサービスインしている直販ビジネス支援マーケット「murket」というサービスがございます。こちらはレコードメーカー向けのECサイト支援で、レコードメーカーのオリジナルサイトを立ち上げて、そこでの販売支援などを行っております。

    取材者: 成長可能性資料の中にあった主催興行というのは、ライブビューイングのようなものが中心になるのでしょうか?

    回答者: はい。主催興行という形で、これまでも主催、共催という形でライブやフェスなどを行っており、アーティストのブッキングやチケットの販売なども当社で行っています。また上映イベントという形で、アーティストが例えば映像コンテンツを発売する際に、映画館を当社でブッキングして先行上映会も行っています。

    取材者: 先日発表されました第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、全体として売上高、利益ともに伸びているのはレコチョクを子会社化した影響が大きいと思いますが、それ以外の部分で、著作権管理事業、DD事業が伸びている要因について教えていただけますでしょうか?

    回答者: 承知いたしました。まず前提としまして、著作権管理事業、DD事業ともにストック型ビジネスになっており、管理する楽曲や原盤コンテンツが積み上がるほど、安定的に成長が見込まれるというビジネスになります。

    著作権管理事業は、先ほど少し申し上げました通り、国内の音楽市場がストリーミングの拡大を背景に、前年比で10%ほど成長しております。この配信市場の拡大を背景に、インタラクティブ配信の徴収が好調に推移しております。

    取材者: しっかりと管理楽曲も含めて数字が積み上がってきているという認識でよろしいですか?

    回答者: 年々新規の楽曲の獲得、プラス既存楽曲も含めて増加しておりますので、そういった楽曲が使用されれば使用されるほど、売上実績にも反映されてくるという形になります。

    取材者: おそらく配当などは出されていないかと思うのですが、株主還元施策についてはどのようにお考えでしょうか?

    回答者: 株主還元につきまして、よくご質問いただくのですが、現在グロース市場に上場しております。グロース市場にいる間は、配当等の施策は見送らせていただき、成長投資に資金を使わせていただきたいという方針でございます。2027年3月期にプライム上場を計画しておりまして、プライムに上場した暁には、株主の方になんらかの形で還元をしたいと考えております。

    取材者: 先ほどイーライセンスの話があったかと思うのですが、御社様の創業の思いについて改めて教えていただけますでしょうか?

    回答者: 承知いたしました。先ほどJASRACとの比較の中でお話させていただいた通り、戦前から2000年までJASRACが独占していたのですが、

    2000年の法改正で民間の企業がこの市場に参入できるようになり、JASRACとは異なる管理形態を求めて、20数社が参入していきました。しかし、低廉な手数料で行うビジネスであるため、継続することができずに、当社の前身であるイーライセンスとジャパン・ライツ・クリアランスという2社だけが生き残り、2016年に2社が統合して現在のNexToneが誕生しました。

    当社は柔軟で透明性の高い著作権管理を強みとして、これからも事業展開をしていこうと考えております。著作権管理だけではなくて、当社は権利者、利用者の方々をサポートするようなビジネスを展開しておりますので、そういった複合的なサービスを展開することで、JASRACとの差別化を図っていきたいと考えております。

    各部門が連携しながらアーティスト、権利者の方をサポートするということを強みとしておりますので、今後も子会社化したレコチョクを含めて音楽文化、音楽産業の発展に寄与してまいりたいと考えております。

  • IR担当

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