
名古屋電機工業(株)
東証STD 6797
決算:3月末日
20250610
決算概要
2025年3月期決算は、売上高172億6,200万円(前期比1.8%減少)と減収であったものの、営業利益27億5,200万円(前期比17.4%増加)、経常利益27億8,200万円(前期比18.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益22億600万円(前期比31.3%増加)と、大幅な増益での着地となった。増益の主要因は、利益率の良い工事案件が多く計上されたことである。
主要KPIの進捗と変化
当社が主要KPIとして重視しているのは、売上高、営業利益、そして先行指標である受注残高である。これらに加え、中期経営計画において新たな領域のカテゴリーでの新システム販売比率を10%以上と設定しており、これはKPIの一つと位置付けている。会社全体としてはこの新システム販売比率10%を達成している状況であり、今後はこれをさらに拡大していくことが課題となっている。
季節性・一過性要因の有無と影響
当社の工期の長い案件は進行基準で計上されており、年によって利益率の良い案件の計上時期に波がある。今期は利益率の良い案件が中心に計上されたことで大幅増益となったが、社長の見解では2年間の平均で実力値が把握できるとしている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高175億円、営業利益22億5,000万円、経常利益23億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益17億4,000万円と、増収減益を見込んでいる。この予想は公表時から変更はない。減益の主な要因は、前期に利益率の良い案件が計上された反動で、今期に残っている案件の利益率が相対的に低いことである。親会社株主に帰属する当期純利益の減少は、有価証券の売却等による一時的な利益計上を現時点では見込んでいないためである。
トピックス
当社は新たな取り組みとして、トンネル内や道路路面への情報投影を目的とした投影装置を開発した。また、太陽光パネルを開発するPXP社との共同プロジェクトにて、長野県安曇野群白馬村でカルコパイライト太陽電池を用いたキロワット級のトレーラーハウス実証を開始した。この実証実験は、名古屋大学未来社会創造機構と白馬村の連携・協力による「セキュアでユビキタスな資源・エネルギー共創拠点にかかる連携・協力」の一環として、名古屋大学COI-NEXT変環共創拠点のもと進められている「未利用資源からエネルギーを生み出す実証実験事業」とタイアップして実施されたものである。これらの新規事業へのチャレンジは当社の重要なトピックスであり、既存事業の維持・強化と並行して進めている。
・資料
―

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
名古屋電機工業は、道路情報装置、具体的には国土交通省や道路管理者等の官公庁顧客向けに、情報提供システムを開発から製造、現場納入まで一貫して行う企業である。単一セグメントであり、この事業が100%を占める。常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てを一貫して提供できる点が特徴であり、強みである。ビジネスモデルは基本的に官公庁向けの入札が中心で、下請けの工事業者からの受注もある。製造業と建設業が一体となった事業運営が特徴である。2024年3月13日に東証スタンダード市場へ上場。
創業の経緯と転機となった出来事
創業は変圧器の修理事業から始まり、その後、日立製作所の下請けや代理店を経て、自社製品を持つメーカーを目指す。建設省(現国土交通省)からの情報提供システムのニーズを受け、道路情報板のシステムを考案、電話回線を用いた遠隔制御システムを開発したことが主力事業の始まりである。
特徴や強み
情報提供システムを一気通貫で提供できる点、常設・車載・仮設の3カテゴリー全てに対応できる点が大きな強みである。入札においては、経験値、技術力、提案力が重要であり、同社はこれらの点で優位性を持つ。更新需要への対応力、業界トップクラスのシェアも強みである。営業所は北海道から鹿児島まであり、全国に実績がある。
成長戦略
連続的な成長と非連続的な成長を掲げ、連続的な成長では他社との連携や周辺領域への事業拡大、非連続的な成長ではM&Aによる事業拡大を目指す。具体的には、IoT関連企業等とのM&Aを視野に入れ、道路交通安全を守る総合設備企業への進化を目指す。
直近の決算状況
第3四半期までの業績は前年同期比で好調に推移、期初業績予想の範囲内であり、効率化によるコストダウンや収益性の高い案件の増加が要因である。売上計上のタイミングにより利益面でやや上振れしているが、通期業績予想からの大きな変動はない見込み。
株主還元策
中期経営計画において、株主還元策として配当性向を30%を目安とし、今後3年間で引き上げる方針を示している。具体的な施策として増配を実施しており、直近では10円の増配を開示している。これらの配当は、業績だけでなく、政策保有株の売却益も原資とする。株主への利益還元を重視し、投資とのバランスを考慮しながら、株主還元を実施する方針である。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社は、道路情報装置、具体的には国土交通省様や道路管理者様等の官公庁のお客様に対し、情報提供システムを開発から製造、現場への納入まで一貫して行っている企業です。この業界において、常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てを一貫して提供できる点が、弊社の大きな特徴であり、強みであると自負しております。
入札においては、経験値が重要な要素となります。総合評価方式での入札であるため、経験値や技術力、提案力などが高いほど有利となり、競争優位性を確立できます。また、更新需要においては、既設のメーカーが現場を熟知しているため有利となります。弊社は、常設、車載、仮設において業界トップクラスのシェアを誇っており、この点も受注における優位性に繋がっていると考えております。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略は、連続的な成長と非連続的な成長の2つの側面から構成されています。連続的な成長としては、他社との連携や周辺領域への事業拡大を目指し、現在の事業領域の拡大を図ります。非連続的な成長としては、M&Aによる事業拡大を検討しており、IoT関連の設備やセンサーなどを扱う企業との連携を通じて、事業を一層拡大していくことを考えております。
今後は、情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へと進化するために、技術提携などを通して外部からセンシング技術などを導入し、当社のシステムに組み込むことで、システム全体の付加価値を高めていきたいと考えております。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:第3四半期までの業績は、前年同期と比較して好調に推移しておりますが、これは期初の業績予想の範囲内であり、想定通りと言えます。業績好調の要因としては、効率化によるコストダウンや、収益性の高い案件の売上増加などが挙げられます。
売上計上のタイミングは、工場出荷時と工事進捗に応じてとなるものがあり、案件によって収益性の良いものや原価が先行するものなどがあるため、第3四半期までは利益面でやや上振れしたというのが弊社の分析結果です。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注件数は、年度の予算によって変動するため、横ばいという状況です。しかし、一件あたりの受注金額は増加傾向にあり、以前は数億円規模の案件が多かったのですが、最近では10億円、20億円という大型案件も珍しくありません。
大型案件が増えている背景には、官公庁のお客様がまとめて発注するようになったという理由があると考えております。
Q:株主還元の方針をご説明ください?
A:株主還元策に関しましては、昨年度5月に発表した中期経営計画の中で、配当性向を30%を目安に、今後3年間で引き上げていきたいという方針を示しております。株主の皆様への還元を重視しており、先週3月19日に10円増配を開示いたしました。これは業績だけでなく、政策保有株の売却益を株主還元に回すという意図もございます。投資と株主還元をバランス良く実施していく方針です。
取材者:貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか。
回答者:当社はいわゆる道路情報装置、官庁に納める、特に国土交通省様や道路管理者様、例えば高速道路のNEXCO様、首都高速様、阪神高速様といったお客様、全て自治体のお客様ですが、主に官庁のお客様に対して情報提供システムを開発から製造、現場への納入まで一貫して行っている会社でございます。単一セグメントですので、この事業が100%の事業となっております。特徴的なところは、当社が一気通貫で情報提供システムを提供できるという点です。
具体的に申し上げますと、通常、道路の横に支柱を立てて設置されている道路情報板、これは常設と申します。常時設置されるものを常設と呼んでおります。また、トラックの荷台の後ろに標識などを載せて、工事現場や交通規制などで使用される、黄色いトラックの後ろについている標識も、弊社で受注販売しております。これらを車載と申します。「載せる」という意味です。それと、仮設というものがございます。例えば、工事現場などで「工事中、右へ」といった小さな表示板で、工事現場の端などに一時的に設置される標識板です。これらを仮設と申します。
この常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てをお客様に一貫して提供できるのは、この業界では弊社のみであると自負しております。ビジネスモデルは基本的に官公庁向けの入札が中心です。また、下請けの工事業者様が受注された際に、情報板や情報提供システムを提供するという形態もございます。
従いまして、製造業と建設業が一体となったような事業運営をしているところが特徴的であると考えております。
取材者:官公庁との取引が多く、売上げも安定しているかと存じますが、入札においてどのような強みがございますか。
回答者:入札につきましては、経験値が重要となります。総合評価方式での入札ですので、経験値や技術力、提案力などが高いほど有利になります。点数が高ければ、その分金額を上げても競合他社に競り勝つことができます。また、地域性というのもございます。道路はほとんど整備されており、新規の道路建設は少ないですが、国土強靭化政策の中で道路の支線を増やすといった事業はございます。多くは既存の道路設備の更新需要となります。更新需要に関しては、既設のメーカーが現場を熟知しているため、有利となります。
弊社は幸いにも、先ほどの常設、車載、仮設においては、シェアとしては正式な統計資料はないものの、弊社調べではNo.1ということで、この点も受注において優位に働いていると考えております。
取材者:地域というお話ですと、貴社の商品は全国各地で使われているというイメージですか。
回答者:はい。営業所や拠点も、北海道札幌から南は鹿児島までございます。貴社の装置は北海道から沖縄まで全ての実績がございます。
取材者: 貴社の創業の経緯についてご説明いただけますか。
回答者:創業の経緯は、言い伝えのようなものですが、創業者の話によりますと、弊社は元々、変圧器の修理事業から始まったそうです。戦後間もない頃、中古で仕入れた変圧器を修理し、他に販売していたのが始まりです。その後、創業者により事業を拡大し、日立製作所様の下請けや代理店などをしていた時期もあったと聞いております。
しかし、創業者としては、自社製品を持つメーカーにならなければ、下請けのままでは事業として成り立たないと考え、営業活動を行っていたそうです。その中で、当時の建設省(現在の国土交通省)の方から、中部地方の関ヶ原や鈴鹿峠は雪が降ると車が立ち往生するため、事前に情報提供ができる仕組みがあれば良いという話を聞き、道路情報板のシステムを考案したということです。それも、手動ではなく遠隔で制御できるシステムで、当時、電話回線を使って音声以外のデータを伝送するという、現在のインターネットの始まりのようなシステムを開発しました。
電話回線でデータを伝送するために、当時の電電公社とも協議を重ねたと聞いております。これから車が増えてくる時代になる中で、社会のニーズに応えるために情報装置の事業を始めたというのが、弊社の主力事業の始まりです。
取材者:貴社は2000年に名証に上場されていますが、昨年、東証のスタンダード市場に上場された目的はございますか。
回答者:名証への上場は、2代目の社長が会社を大きくし、社会からの信用を得るために実現しました。現在の我々の世代になり、より多くの方々に当社を知っていただくために、東証スタンダード市場へ上場いたしました。弊社はニッチな業界、ニッチな市場で事業を行っており、業界内では知られていても、一般的には知名度が低いという状況でした。
上場の目的としては、人材採用が挙げられます。新卒採用において、他社と比較して応募者が少ないという課題がありました。また、他社との連携においても、知名度があった方が有利になると考えました。これらの理由から、2024年3月13日に東証スタンダード市場へ上場いたしました。
取材者:他社との連携について、具体的にどのようなことをお考えですか。
回答者:具体的な連携先は決まっておりませんが、弊社はこれまで情報板メーカーとして事業を行ってきましたが、今後は情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へと進化したいと考えております。そのためには、例えばセンサーなどのセンシング技術は外部から導入する必要があります。
技術導入にあたっては、技術提携などを通して、当社のシステムに組み込み、システム全体の付加価値を高めてお客様に提供することで、道路交通の安全を守る総合設備企業になるという目標を達成できると考えております。
取材者:今後の成長戦略について、他に何かございますか。
回答者:成長戦略としては、連続的な成長と非連続的な成長の両方を考えております。連続的な成長は、現在の事業領域の拡大です。他社との連携や、周辺領域への事業拡大を目指します。非連続的な成長は、M&Aによる事業拡大です。
具体的には、M&Aによって、当社の事業と親和性の高い事業や技術を持つ企業、例えばIoT関連の設備やセンサーなどを扱う企業とグループになることで、事業をより一層拡大していくことを考えております。
取材者:M&Aの方針といいますか、戦略的な部分についてはございますか。どのような企業との連携をお考えですか。
回答者:先ほども申し上げましたが、現在の事業領域と大きくかけ離れた分野への進出は考えておりません。M&Aの戦略については、現在検討している段階です。来週から4月に入りますので、具体的にどう進めていくか検討しているところです。
大前提として、道路交通に関連する分野、すなわち道路交通安全を守る総合設備企業になるために、共に事業を行える企業との連携を考えております。
取材者:貴社の事業は、社会課題の解決にも貢献できる、非常に重要な事業だと感じました。
回答者:社会課題の解決は、非常に重要なテーマです。弊社は官公庁を中心にお客様とする企業ですので、地域や社会への貢献は重要な使命であると考えております。
取材者:それでは、業績についてお伺いします。第3四半期までの業績は、前年同期と比較して非常に好調に推移しているようですが、これは期初の業績予想から想定通りの進捗と見てよろしいですか。
回答者:当初の業績予想の範囲内でありますので、想定通りと言えます。短信にも記載させていただきましたが、効率化によるコストダウンや、収益性の高い案件の売上増加などが要因です。弊社は官公庁から多くの受注残を抱えており、売上計上のタイミングは、工場出荷時と工事進捗に応じてとなるものがあります。案件によって収益性の良いものや、原価が先行するものなどがあり、第3四半期までは利益面でやや上振れしたというのが、弊社の分析結果です。
取材者:通期の業績予想から大きくぶれることはないという理解でよろしいですか。
回答者:現時点では、業績予想に変更はございません。
取材者:官公庁とのお仕事ですと、第4四半期に売上が集中するということはございますか。
回答者:以前は特に、第4四半期の3月に集中しておりました。12月や1月頃は、今年度利益が出るのか心配しながら進めて、3月に一気に売上が上がるという状況が通常でした。しかし、最近は工期が2年、3年と長期にわたる案件が増えてきたこともあり、偏重の度合いは緩やかになってきました。とはいえ、下期に偏重している状況に変わりはありません。官公庁は3月31日が会計年度末ですので、最終的な結果が出るまで予断を許さないという状況はございます。ただ、行政の動向については、予想の範囲を超えることはまずないだろうと考えております。
取材者:確かに、進捗率だけを見ると驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。受注件数は、年々増加傾向にあるのでしょうか。
回答者:受注件数は、年度の予算によって変動するため、横ばいという状況です。ただ、一件あたりの受注金額は増加傾向にあります。以前は数億円規模の案件が多かったのですが、最近では10億円、20億円という大型案件も珍しくありません。
取材者:大型案件が増えているということですか。
回答者:官公庁のお客様が、まとめて発注されるようになったということが理由の一つかと思います。細かく分けて発注すると、事務手続きの負担が大きくなるため、まとめて発注されるのだと思います。官公庁も人員が限られていますから。
取材者:大型案件が多いと、貴社のような規模の会社でも、受注するのは大変なのではないですか。
回答者:通常のスーパーゼネコンが受注するような規模の案件ではありませんので、その点では弊社は業界内でも体力がある方だと考えております。
取材者:株主還元策について、何か方針などがございましたら教えていただけますか。
回答者:株主還元策に関しましては、昨年度5月に発表した中期経営計画の中で、配当性向を30%を目安に、今後3年間で引き上げていきたいという方針を示しております。株主の皆様への還元を重視しており、先週3月19日に10円増配を開示いたしました。これは業績だけでなく、政策保有株の売却益を株主還元に回すという意図もございます。投資と株主還元をバランス良く実施していく方針です。まずは、配当性向30%を目安としております。
IR担当
―

名古屋電機工業(株)
東証STD 6797
決算:3月末日
決算概要
2025年3月期決算は、売上高172億6,200万円(前期比1.8%減少)と減収であったものの、営業利益27億5,200万円(前期比17.4%増加)、経常利益27億8,200万円(前期比18.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益22億600万円(前期比31.3%増加)と、大幅な増益での着地となった。増益の主要因は、利益率の良い工事案件が多く計上されたことである。
主要KPIの進捗と変化
当社が主要KPIとして重視しているのは、売上高、営業利益、そして先行指標である受注残高である。これらに加え、中期経営計画において新たな領域のカテゴリーでの新システム販売比率を10%以上と設定しており、これはKPIの一つと位置付けている。会社全体としてはこの新システム販売比率10%を達成している状況であり、今後はこれをさらに拡大していくことが課題となっている。
季節性・一過性要因の有無と影響
当社の工期の長い案件は進行基準で計上されており、年によって利益率の良い案件の計上時期に波がある。今期は利益率の良い案件が中心に計上されたことで大幅増益となったが、社長の見解では2年間の平均で実力値が把握できるとしている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高175億円、営業利益22億5,000万円、経常利益23億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益17億4,000万円と、増収減益を見込んでいる。この予想は公表時から変更はない。減益の主な要因は、前期に利益率の良い案件が計上された反動で、今期に残っている案件の利益率が相対的に低いことである。親会社株主に帰属する当期純利益の減少は、有価証券の売却等による一時的な利益計上を現時点では見込んでいないためである。
トピックス
当社は新たな取り組みとして、トンネル内や道路路面への情報投影を目的とした投影装置を開発した。また、太陽光パネルを開発するPXP社との共同プロジェクトにて、長野県安曇野群白馬村でカルコパイライト太陽電池を用いたキロワット級のトレーラーハウス実証を開始した。この実証実験は、名古屋大学未来社会創造機構と白馬村の連携・協力による「セキュアでユビキタスな資源・エネルギー共創拠点にかかる連携・協力」の一環として、名古屋大学COI-NEXT変環共創拠点のもと進められている「未利用資源からエネルギーを生み出す実証実験事業」とタイアップして実施されたものである。これらの新規事業へのチャレンジは当社の重要なトピックスであり、既存事業の維持・強化と並行して進めている。
・資料
Add a Title
―
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
名古屋電機工業は、道路情報装置、具体的には国土交通省や道路管理者等の官公庁顧客向けに、情報提供システムを開発から製造、現場納入まで一貫して行う企業である。単一セグメントであり、この事業が100%を占める。常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てを一貫して提供できる点が特徴であり、強みである。ビジネスモデルは基本的に官公庁向けの入札が中心で、下請けの工事業者からの受注もある。製造業と建設業が一体となった事業運営が特徴である。2024年3月13日に東証スタンダード市場へ上場。
創業の経緯と転機となった出来事
創業は変圧器の修理事業から始まり、その後、日立製作所の下請けや代理店を経て、自社製品を持つメーカーを目指す。建設省(現国土交通省)からの情報提供システムのニーズを受け、道路情報板のシステムを考案、電話回線を用いた遠隔制御システムを開発したことが主力事業の始まりである。
特徴や強み
情報提供システムを一気通貫で提供できる点、常設・車載・仮設の3カテゴリー全てに対応できる点が大きな強みである。入札においては、経験値、技術力、提案力が重要であり、同社はこれらの点で優位性を持つ。更新需要への対応力、業界トップクラスのシェアも強みである。営業所は北海道から鹿児島まであり、全国に実績がある。
成長戦略
連続的な成長と非連続的な成長を掲げ、連続的な成長では他社との連携や周辺領域への事業拡大、非連続的な成長ではM&Aによる事業拡大を目指す。具体的には、IoT関連企業等とのM&Aを視野に入れ、道路交通安全を守る総合設備企業への進化を目指す。
直近の決算状況
第3四半期までの業績は前年同期比で好調に推移、期初業績予想の範囲内であり、効率化によるコストダウンや収益性の高い案件の増加が要因である。売上計上のタイミングにより利益面でやや上振れしているが、通期業績予想からの大きな変動はない見込み。
株主還元策
中期経営計画において、株主還元策として配当性向を30%を目安とし、今後3年間で引き上げる方針を示している。具体的な施策として増配を実施しており、直近では10円の増配を開示している。これらの配当は、業績だけでなく、政策保有株の売却益も原資とする。株主への利益還元を重視し、投資とのバランスを考慮しながら、株主還元を実施する方針である。
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:弊社は、道路情報装置、具体的には国土交通省様や道路管理者様等の官公庁のお客様に対し、情報提供システムを開発から製造、現場への納入まで一貫して行っている企業です。この業界において、常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てを一貫して提供できる点が、弊社の大きな特徴であり、強みであると自負しております。
入札においては、経験値が重要な要素となります。総合評価方式での入札であるため、経験値や技術力、提案力などが高いほど有利となり、競争優位性を確立できます。また、更新需要においては、既設のメーカーが現場を熟知しているため有利となります。弊社は、常設、車載、仮設において業界トップクラスのシェアを誇っており、この点も受注における優位性に繋がっていると考えております。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略は、連続的な成長と非連続的な成長の2つの側面から構成されています。連続的な成長としては、他社との連携や周辺領域への事業拡大を目指し、現在の事業領域の拡大を図ります。非連続的な成長としては、M&Aによる事業拡大を検討しており、IoT関連の設備やセンサーなどを扱う企業との連携を通じて、事業を一層拡大していくことを考えております。
今後は、情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へと進化するために、技術提携などを通して外部からセンシング技術などを導入し、当社のシステムに組み込むことで、システム全体の付加価値を高めていきたいと考えております。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:第3四半期までの業績は、前年同期と比較して好調に推移しておりますが、これは期初の業績予想の範囲内であり、想定通りと言えます。業績好調の要因としては、効率化によるコストダウンや、収益性の高い案件の売上増加などが挙げられます。
売上計上のタイミングは、工場出荷時と工事進捗に応じてとなるものがあり、案件によって収益性の良いものや原価が先行するものなどがあるため、第3四半期までは利益面でやや上振れしたというのが弊社の分析結果です。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注件数は、年度の予算によって変動するため、横ばいという状況です。しかし、一件あたりの受注金額は増加傾向にあり、以前は数億円規模の案件が多かったのですが、最近では10億円、20億円という大型案件も珍しくありません。
大型案件が増えている背景には、官公庁のお客様がまとめて発注するようになったという理由があると考えております。
Q:株主還元の方針をご説明ください?
A:株主還元策に関しましては、昨年度5月に発表した中期経営計画の中で、配当性向を30%を目安に、今後3年間で引き上げていきたいという方針を示しております。株主の皆様への還元を重視しており、先週3月19日に10円増配を開示いたしました。これは業績だけでなく、政策保有株の売却益を株主還元に回すという意図もございます。投資と株主還元をバランス良く実施していく方針です。
取材者:貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか。
回答者:当社はいわゆる道路情報装置、官庁に納める、特に国土交通省様や道路管理者様、例えば高速道路のNEXCO様、首都高速様、阪神高速様といったお客様、全て自治体のお客様ですが、主に官庁のお客様に対して情報提供システムを開発から製造、現場への納入まで一貫して行っている会社でございます。単一セグメントですので、この事業が100%の事業となっております。特徴的なところは、当社が一気通貫で情報提供システムを提供できるという点です。
具体的に申し上げますと、通常、道路の横に支柱を立てて設置されている道路情報板、これは常設と申します。常時設置されるものを常設と呼んでおります。また、トラックの荷台の後ろに標識などを載せて、工事現場や交通規制などで使用される、黄色いトラックの後ろについている標識も、弊社で受注販売しております。これらを車載と申します。「載せる」という意味です。それと、仮設というものがございます。例えば、工事現場などで「工事中、右へ」といった小さな表示板で、工事現場の端などに一時的に設置される標識板です。これらを仮設と申します。
この常設、車載、仮設という3つのカテゴリー全てをお客様に一貫して提供できるのは、この業界では弊社のみであると自負しております。ビジネスモデルは基本的に官公庁向けの入札が中心です。また、下請けの工事業者様が受注された際に、情報板や情報提供システムを提供するという形態もございます。
従いまして、製造業と建設業が一体となったような事業運営をしているところが特徴的であると考えております。
取材者:官公庁との取引が多く、売上げも安定しているかと存じますが、入札においてどのような強みがございますか。
回答者:入札につきましては、経験値が重要となります。総合評価方式での入札ですので、経験値や技術力、提案力などが高いほど有利になります。点数が高ければ、その分金額を上げても競合他社に競り勝つことができます。また、地域性というのもございます。道路はほとんど整備されており、新規の道路建設は少ないですが、国土強靭化政策の中で道路の支線を増やすといった事業はございます。多くは既存の道路設備の更新需要となります。更新需要に関しては、既設のメーカーが現場を熟知しているため、有利となります。
弊社は幸いにも、先ほどの常設、車載、仮設においては、シェアとしては正式な統計資料はないものの、弊社調べではNo.1ということで、この点も受注において優位に働いていると考えております。
取材者:地域というお話ですと、貴社の商品は全国各地で使われているというイメージですか。
回答者:はい。営業所や拠点も、北海道札幌から南は鹿児島までございます。貴社の装置は北海道から沖縄まで全ての実績がございます。
取材者: 貴社の創業の経緯についてご説明いただけますか。
回答者:創業の経緯は、言い伝えのようなものですが、創業者の話によりますと、弊社は元々、変圧器の修理事業から始まったそうです。戦後間もない頃、中古で仕入れた変圧器を修理し、他に販売していたのが始まりです。その後、創業者により事業を拡大し、日立製作所様の下請けや代理店などをしていた時期もあったと聞いております。
しかし、創業者としては、自社製品を持つメーカーにならなければ、下請けのままでは事業として成り立たないと考え、営業活動を行っていたそうです。その中で、当時の建設省(現在の国土交通省)の方から、中部地方の関ヶ原や鈴鹿峠は雪が降ると車が立ち往生するため、事前に情報提供ができる仕組みがあれば良いという話を聞き、道路情報板のシステムを考案したということです。それも、手動ではなく遠隔で制御できるシステムで、当時、電話回線を使って音声以外のデータを伝送するという、現在のインターネットの始まりのようなシステムを開発しました。
電話回線でデータを伝送するために、当時の電電公社とも協議を重ねたと聞いております。これから車が増えてくる時代になる中で、社会のニーズに応えるために情報装置の事業を始めたというのが、弊社の主力事業の始まりです。
取材者:貴社は2000年に名証に上場されていますが、昨年、東証のスタンダード市場に上場された目的はございますか。
回答者:名証への上場は、2代目の社長が会社を大きくし、社会からの信用を得るために実現しました。現在の我々の世代になり、より多くの方々に当社を知っていただくために、東証スタンダード市場へ上場いたしました。弊社はニッチな業界、ニッチな市場で事業を行っており、業界内では知られていても、一般的には知名度が低いという状況でした。
上場の目的としては、人材採用が挙げられます。新卒採用において、他社と比較して応募者が少ないという課題がありました。また、他社との連携においても、知名度があった方が有利になると考えました。これらの理由から、2024年3月13日に東証スタンダード市場へ上場いたしました。
取材者:他社との連携について、具体的にどのようなことをお考えですか。
回答者:具体的な連携先は決まっておりませんが、弊社はこれまで情報板メーカーとして事業を行ってきましたが、今後は情報板メーカーから道路交通安全を守る総合設備企業へと進化したいと考えております。そのためには、例えばセンサーなどのセンシング技術は外部から導入する必要があります。
技術導入にあたっては、技術提携などを通して、当社のシステムに組み込み、システム全体の付加価値を高めてお客様に提供することで、道路交通の安全を守る総合設備企業になるという目標を達成できると考えております。
取材者:今後の成長戦略について、他に何かございますか。
回答者:成長戦略としては、連続的な成長と非連続的な成長の両方を考えております。連続的な成長は、現在の事業領域の拡大です。他社との連携や、周辺領域への事業拡大を目指します。非連続的な成長は、M&Aによる事業拡大です。
具体的には、M&Aによって、当社の事業と親和性の高い事業や技術を持つ企業、例えばIoT関連の設備やセンサーなどを扱う企業とグループになることで、事業をより一層拡大していくことを考えております。
取材者:M&Aの方針といいますか、戦略的な部分についてはございますか。どのような企業との連携をお考えですか。
回答者:先ほども申し上げましたが、現在の事業領域と大きくかけ離れた分野への進出は考えておりません。M&Aの戦略については、現在検討している段階です。来週から4月に入りますので、具体的にどう進めていくか検討しているところです。
大前提として、道路交通に関連する分野、すなわち道路交通安全を守る総合設備企業になるために、共に事業を行える企業との連携を考えております。
取材者:貴社の事業は、社会課題の解決にも貢献できる、非常に重要な事業だと感じました。
回答者:社会課題の解決は、非常に重要なテーマです。弊社は官公庁を中心にお客様とする企業ですので、地域や社会への貢献は重要な使命であると考えております。
取材者:それでは、業績についてお伺いします。第3四半期までの業績は、前年同期と比較して非常に好調に推移しているようですが、これは期初の業績予想から想定通りの進捗と見てよろしいですか。
回答者:当初の業績予想の範囲内でありますので、想定通りと言えます。短信にも記載させていただきましたが、効率化によるコストダウンや、収益性の高い案件の売上増加などが要因です。弊社は官公庁から多くの受注残を抱えており、売上計上のタイミングは、工場出荷時と工事進捗に応じてとなるものがあります。案件によって収益性の良いものや、原価が先行するものなどがあり、第3四半期までは利益面でやや上振れしたというのが、弊社の分析結果です。
取材者:通期の業績予想から大きくぶれることはないという理解でよろしいですか。
回答者:現時点では、業績予想に変更はございません。
取材者:官公庁とのお仕事ですと、第4四半期に売上が集中するということはございますか。
回答者:以前は特に、第4四半期の3月に集中しておりました。12月や1月頃は、今年度利益が出るのか心配しながら進めて、3月に一気に売上が上がるという状況が通常でした。しかし、最近は工期が2年、3年と長期にわたる案件が増えてきたこともあり、偏重の度合いは緩やかになってきました。とはいえ、下期に偏重している状況に変わりはありません。官公庁は3月31日が会計年度末ですので、最終的な結果が出るまで予断を許さないという状況はございます。ただ、行政の動向については、予想の範囲を超えることはまずないだろうと考えております。
取材者:確かに、進捗率だけを見ると驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。受注件数は、年々増加傾向にあるのでしょうか。
回答者:受注件数は、年度の予算によって変動するため、横ばいという状況です。ただ、一件あたりの受注金額は増加傾向にあります。以前は数億円規模の案件が多かったのですが、最近では10億円、20億円という大型案件も珍しくありません。
取材者:大型案件が増えているということですか。
回答者:官公庁のお客様が、まとめて発注されるようになったということが理由の一つかと思います。細かく分けて発注すると、事務手続きの負担が大きくなるため、まとめて発注されるのだと思います。官公庁も人員が限られていますから。
取材者:大型案件が多いと、貴社のような規模の会社でも、受注するのは大変なのではないですか。
回答者:通常のスーパーゼネコンが受注するような規模の案件ではありませんので、その点では弊社は業界内でも体力がある方だと考えております。
取材者:株主還元策について、何か方針などがございましたら教えていただけますか。
回答者:株主還元策に関しましては、昨年度5月に発表した中期経営計画の中で、配当性向を30%を目安に、今後3年間で引き上げていきたいという方針を示しております。株主の皆様への還元を重視しており、先週3月19日に10円増配を開示いたしました。これは業績だけでなく、政策保有株の売却益を株主還元に回すという意図もございます。投資と株主還元をバランス良く実施していく方針です。まずは、配当性向30%を目安としております。
IR担当
―
