20241122
Q:貴社のビジネスモデルについてご説明ください。
A: 当社の事業は、環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つで構成されております。 メンテナンス事業は、100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが担っております。 3つのセグメントとも、エンドユーザーの約9割は官公庁です。
環境事業は、上下水道局が発注する浄水場や下水処理場などの水処理施設の建設工事を落札し、機械類の設計・据え付けを行う業務です。 バルブ事業は、メーカーから鋳鉄製バルブやゲートなどの製造を受注し、埼玉県幸手市の基幹工場で生産からデリバリーまでを一貫して行う、いわゆる物売りです。 バルブ事業は、国内の水道用バルブメーカーの中で唯一、素材となる鋳物の製造からバルブ本体の製造までを一貫して行っていると考えています。
メンテナンス事業は、100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブの修理・交換を行う業務です。 具体的には、主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。
Q:メンテナンス事業について、具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
A: メンテナンス事業は、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブが古くなってきた際に、修理や交換を行う業務です。 具体的には、主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。
Q:バルブ事業で製造したバルブは、どのような企業に販売されているのでしょうか?
A: バルブ事業で製造したバルブは、同業他社やゼネコンにも販売しています。 また、水道工事を行う配管工事会社には、管財商社を通じてバルブを販売しています。
Q:貴社はメーカーでありながら、技術者が鋳物からバルブを製造しているとのことですが、その理由は何でしょうか。
A: 当社は鋳物製造の設備を保有しており、これが技術者が鋳物からバルブを製造できる理由です。 元々、前澤工業は前澤バルブ工業という社名でバルブ製造を専業としており、本社がある埼玉県川口市は鋳物の街として知られており、その歴史的背景からバルブ製造が始まりました。
Q:官公庁の仕事は、貴社の売上の9割を占めているとのことですが、官公庁からの需要が急増する可能性はあるのでしょうか。
A: 官公庁からの需要が爆発的に増加する可能性は低いと考えております。 一方で、一定の更新需要が見込まれるため、市場としての可能性は依然として大きいと認識しております。
Q:昨年、貴社の売上高が伸びたのは大型案件の受注によるものと拝察しますが、これは需要が伸びたというよりも、偶然案件を獲得できたことが要因でしょうか。
A: 環境事業は入札案件であるため、大型案件になればなるほど競争が激化します。 何十億規模の案件であっても、数百万円の差で落札の可否が決まることも珍しくありません。 昨年の売上高増加は、大型案件の獲得に成功したことが主な要因です。
Q:中期経営計画の中に、海外インフラ事業の拡大に関する記述がありましたが、現状における海外インフラ市場の売上高に占める割合はどの程度でしょうか。
A: 現時点では、海外インフラ市場の売上高に占める割合はごくわずかです。 日本のODA案件などを通じて、バルブや機械を納入している段階です。 日本の製品は品質が高いという評価を受けており、採用につながっております。
Q:中期経営計画では、海外売上高の増加を目標として掲げていらっしゃいますが、達成の見通しはいかがでしょうか。
A: 海外事業の拡大には課題も多く、容易ではありませんが、現在タイで国土交通省主体の実証実験を行っております。 実験が成功すれば、タイの下水処理場などに当社の機械を導入できる可能性があります。 ただし、為替変動や現地での人材確保などの課題もあるため、短期的な成果は難しいと考えております。 タイでの実証実験を足がかりに、海外事業を徐々に拡大していきたいと考えております。
Q:メンテナンス事業は、浄水場などに常駐して作業を行うイメージがありますが、実際はどのような業務内容なのでしょうか?
A: メンテナンス事業は、浄水場などに常駐して作業を行うイメージを持たれることもありますが、基本的には既存設備やバルブの修理・交換が中心であり、官公庁からの入札で仕事を受注する形態です。
Q:バイオガスプラント事業の現状の売上高はどの程度でしょうか。
A: バイオガスプラント事業の営業利益は、現時点では数千万円程度です。
Q:バイオガスプラント事業を今後どのように拡大していくお考えでしょうか。
A: バイオガスプラント事業は、牛や豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させて発電するプラントです。 現状では、北海道の酪農家様に納入しており、電気代の高騰を背景に、導入への関心が高まっております。 バイオガスプラントは、家畜の糞尿だけでなく、食品工場などから排出される食品残渣を原料とすることも可能です。 今後は、酪農家様だけでなく、食品工場などにも展開していく予定です。
Q:貴社の創業の経緯や創業者の思いについて教えていただけますでしょうか。
A: 当社の創業は、元々は新潟県で昭和製作所として設立されたことに遡ります。 その後、埼玉県幸手市でバルブの製造を開始し、当初は水道局にバルブを納入していましたが、徐々に下水処理場にも事業を拡大していきました。 創業者は、「バルブを通して社会に貢献したい」という強い思いを持っていたと聞いております。
Q:株主還元についてお伺いします。配当性向は30%を目安とされていますが、今後増配などの可能性はあるのでしょうか。
A: 配当性向は30%を目安とし、継続的かつ安定的な株主還元を心がけております。
取材者: 御社様のビジネスモデルについて伺いたいのですが、顧客は環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つの事業から構成されていると思いますが、これらの事業について、他社と比べたときの特徴や強みを含めてご説明いただけますでしょうか?
回答者: 事業は環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つに分かれております。メンテナンス事業は100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが行っております。3つのセグメントともエンドユーザーはほぼ9割が官公庁様です。具体的には、〇〇町水道局様、〇〇町下水道局様といったところがエンドユーザー様です。ホームページにも「水インフラを支える」と記載しているように、上下水道の事業を行っている会社です。
まず、環境事業ですが、これは上下水道局が発注される工事を落札し、浄水場や下水処理場などの水を綺麗にする機械類を設計・据え付けする業務です。
バルブ事業は、メーカーが受注した中に鋳鉄製バルブやゲートといったものがあると、そこから仕事を引き受けるというものです。埼玉県幸手市の基幹工場で生産し、デリバリーまで行う、いわゆる物売りです。バルブを作って売るという商売です。
バルブ事業は、国内の水道用バルブを作っている会社の中で、唯一、素材の部分を鋳物の部分から、つまり鉄を溶かして型に流し込み、バルブ本体などを作るという工程を一貫して行っていると考えております。
最後に、100%子会社のメンテナンス事業ですが、これは少し勘違いされる方がいらっしゃるかもしれません。メンテナンスというと、浄水場などに常駐して作業しているイメージがあるかもしれませんが、そういった事業もゼロではありません。しかし基本的には、先ほどお話した環境事業で設置した設備や、バルブ事業で販売したバルブが古くなってきた際に、修理や交換を行うというものです。主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。そのため、メンテナンス事業もほぼ官公庁様からの受注で、環境事業と同様に官公庁の入札で仕事を受注するという形です。
取材者: なるほど。そうしますと、環境事業において入札で取ってきたところに対して、バルブ事業で部品を売ったり、メンテナンス事業で修理を行ったりというような形で、すべて繋がっているような感じでしょうか?
回答者: そうですね、繋がっている部分はあると思います。バルブ事業で製造したバルブを、弊社と同業他社やゼネコンに販売することがあります。バルブは配管の要所要所に設置されるものですから、ゼネコンが街中で地面を掘り返して配管の取り替え工事などをしているところに販売したりしています。また、水道工事を行う配管工事屋さんの場合は、管財商社を通してバルブを販売し、工事屋さんが施工するという形になりますので、管財商社に販売したりもしています。行き着く先は水道局や下水道局ですが、バルブ事業の場合は、売り先は商社や同業他社、ゼネコンなど、様々です。
取材者:御社はメーカーでありながら、技術者が鋳物から作られているとのことですが、なぜそれができるのでしょうか?設備があるからというのが一番大きな理由でしょうか?
回答者: 鋳物の設備があるからです。元々、前澤工業は前澤バルブ工業という社名で、バルブを製造していました。本社がある埼玉県川口市は鋳物の街として知られており、その歴史からバルブ製造が始まったという経緯があります。
取材者:官公庁の仕事については、9割を占めているとのことですが、官公庁の仕事は何か需要が一気に高まるということはあるのでしょうか?
回答者: よく聞かれるのですが、爆発的に需要が伸びる市場ではないという認識です。一定の更新需要などはありますので、市場としてはまだまだあると考えています。
取材者: なるほど、ありがとうございます。昨年、売上高が伸びたのは大型の受注があったからだと思いますが、これは特に需要が伸びたからというわけではなく、たまたま案件を取れたからということでしょうか?
回答者: 環境事業に関しては入札案件ですので、大きな案件だと競争も激しいものです。何十億の案件でも、数百万円の差で落札したり落札できなかったりしますので、今回はうまく取れたというのが一番の要因です。
取材者: ありがとうございます。中期経営計画の中に、海外インフラに関して、それをもう少し伸ばしていくというような記載があったかと思いますが、現状、海外インフラ市場に対する売上高の割合はどのくらいでしょうか?
回答者: 割合で言うと、極少量です。現時点では、海外インフラといっても直接弊社がというよりは、日本のODA案件などを通してバルブや機械を納入しています。日本の製品は現地で作るよりも品質が良いということで、採用いただいています。
取材者: なるほど。中期経営計画では、海外売上高を引き上げる目標を掲げていらっしゃいますが、達成の見通しはいかがでしょうか?
回答者: なかなか難しい部分もありますが、今、タイで国交省主体の実証実験を行っています。うまくいけば、タイの下水処理場等に弊社の機械を据え付けられる可能性があります。ただ、海外は為替の問題もありますし、現地での人材確保の問題もありますので、すぐには難しいと考えています。タイでの実証実験を足がかりにして、伸ばしていければと考えています。
取材者: バイオガスプラント事業についてお伺いしたいのですが、これは今、売上がどのくらいあるのでしょうか?
回答者: バイオガスプラント事業は、営業利益としてはまだ数千万円程度です。
取材者: これは、今後どのように伸ばしていくお考えでしょうか?
回答者: バイオガスプラント事業は、牛や豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させて発電するプラントです。現状では、北海道の酪農家様に納入しています。酪農家様は、電気代が高騰しているため、バイオガスプラントの導入に非常に興味を示していらっしゃいます。バイオガスプラントは、酪農家様だけでなく、食品工場などからも排出される“食品残さ”を元にメタンガスを発生させる事もできます。そのため、今後は酪農家様だけでなく、食品工場などにも展開していきたいと考えています。
取材者: なるほど。食品工場は、酪農家様に比べて数が多いため、市場規模も大きいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
回答者: そうですね。食品工場は酪農家様に比べて数が多いため、市場規模は大きいと考えています。食品工場は全国にありますので、営業エリアも広がります。
取材者: 株主還元についてお伺いします。配当性向は30%を目安とされていますが、今後、増配などの可能性はあるのでしょうか?
回答者: 配当性向は30%を目安として、継続的かつ安定的にと考えています。
取材者: 先ほどビジネスモデルのところで前澤バルブ工業様の話もあったかと思いますが、御社そもそも創業の経緯や創業者の思いの部分につきましてわかる範囲で教えていただけますでしょうか。
回答者: 創業の経緯についてですが、元々新潟の方で昭和製作所というのができまして、その後、埼玉県幸手市でバルブを作り始めました。最初は水道局にバルブを納めていたのですが、その中で下水処理場にも乗り出していったという経緯です。創業者の思いとしては、バルブを通して社会に貢献したいという強い思いがあったと聞いています。
20241122 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
前澤工業株式会社は、官公庁向けに上下水道施設の建設・メンテナンス、バルブ製造を行う企業である。 事業は、環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つで構成される。 環境事業は上下水道局が発注する浄水場や下水処理場などの水処理施設の建設工事を落札し、機械類の設計・据え付けを行う。 バルブ事業はメーカーから鋳鉄製バルブやゲートなどの製造を受注し、埼玉県幸手市の基幹工場で生産からデリバリーまでを一貫して行う。 メンテナンス事業は100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブの修理・交換を行う。
創業の経緯と転機
創業当初は新潟県で昭和製作所として設立され、その後埼玉県幸手市でバルブの製造を開始した。 当初は水道局にバルブを納入していたが、徐々に下水処理場にも事業を拡大していった。
直近の決算状況
昨年は、大型案件の受注により売上高が伸びている。
特徴と強み
バルブ事業において、国内で唯一、素材となる鋳物の製造からバルブ本体の製造までを一貫して行っている。
成長戦略
近年ではバイオガスプラント事業にも注力しており、酪農家だけでなく、食品工場などにも展開を拡大していく方針である。 また、海外事業は現在模索段階だが、タイでの実証実験を足がかりに、将来的には海外展開も積極的に進めていきたい考えである。
今期の取り組みやトピックス
タイでの実証実験を足がかりに、海外事業の拡大を図る。
株主還元策
配当性向は30%を目安とし、継続的かつ安定的な株主還元を心がけている。
IR担当
・資料
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前澤工業(株)
東証STD 6489
決算:5月末日
Q:貴社のビジネスモデルについてご説明ください。
A: 当社の事業は、環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つで構成されております。 メンテナンス事業は、100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが担っております。 3つのセグメントとも、エンドユーザーの約9割は官公庁です。
環境事業は、上下水道局が発注する浄水場や下水処理場などの水処理施設の建設工事を落札し、機械類の設計・据え付けを行う業務です。 バルブ事業は、メーカーから鋳鉄製バルブやゲートなどの製造を受注し、埼玉県幸手市の基幹工場で生産からデリバリーまでを一貫して行う、いわゆる物売りです。 バルブ事業は、国内の水道用バルブメーカーの中で唯一、素材となる鋳物の製造からバルブ本体の製造までを一貫して行っていると考えています。
メンテナンス事業は、100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブの修理・交換を行う業務です。 具体的には、主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。
Q:メンテナンス事業について、具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか?
A: メンテナンス事業は、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブが古くなってきた際に、修理や交換を行う業務です。 具体的には、主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。
Q:バルブ事業で製造したバルブは、どのような企業に販売されているのでしょうか?
A: バルブ事業で製造したバルブは、同業他社やゼネコンにも販売しています。 また、水道工事を行う配管工事会社には、管財商社を通じてバルブを販売しています。
Q:貴社はメーカーでありながら、技術者が鋳物からバルブを製造しているとのことですが、その理由は何でしょうか。
A: 当社は鋳物製造の設備を保有しており、これが技術者が鋳物からバルブを製造できる理由です。 元々、前澤工業は前澤バルブ工業という社名でバルブ製造を専業としており、本社がある埼玉県川口市は鋳物の街として知られており、その歴史的背景からバルブ製造が始まりました。
Q:官公庁の仕事は、貴社の売上の9割を占めているとのことですが、官公庁からの需要が急増する可能性はあるのでしょうか。
A: 官公庁からの需要が爆発的に増加する可能性は低いと考えております。 一方で、一定の更新需要が見込まれるため、市場としての可能性は依然として大きいと認識しております。
Q:昨年、貴社の売上高が伸びたのは大型案件の受注によるものと拝察しますが、これは需要が伸びたというよりも、偶然案件を獲得できたことが要因でしょうか。
A: 環境事業は入札案件であるため、大型案件になればなるほど競争が激化します。 何十億規模の案件であっても、数百万円の差で落札の可否が決まることも珍しくありません。 昨年の売上高増加は、大型案件の獲得に成功したことが主な要因です。
Q:中期経営計画の中に、海外インフラ事業の拡大に関する記述がありましたが、現状における海外インフラ市場の売上高に占める割合はどの程度でしょうか。
A: 現時点では、海外インフラ市場の売上高に占める割合はごくわずかです。 日本のODA案件などを通じて、バルブや機械を納入している段階です。 日本の製品は品質が高いという評価を受けており、採用につながっております。
Q:中期経営計画では、海外売上高の増加を目標として掲げていらっしゃいますが、達成の見通しはいかがでしょうか。
A: 海外事業の拡大には課題も多く、容易ではありませんが、現在タイで国土交通省主体の実証実験を行っております。 実験が成功すれば、タイの下水処理場などに当社の機械を導入できる可能性があります。 ただし、為替変動や現地での人材確保などの課題もあるため、短期的な成果は難しいと考えております。 タイでの実証実験を足がかりに、海外事業を徐々に拡大していきたいと考えております。
Q:メンテナンス事業は、浄水場などに常駐して作業を行うイメージがありますが、実際はどのような業務内容なのでしょうか?
A: メンテナンス事業は、浄水場などに常駐して作業を行うイメージを持たれることもありますが、基本的には既存設備やバルブの修理・交換が中心であり、官公庁からの入札で仕事を受注する形態です。
Q:バイオガスプラント事業の現状の売上高はどの程度でしょうか。
A: バイオガスプラント事業の営業利益は、現時点では数千万円程度です。
Q:バイオガスプラント事業を今後どのように拡大していくお考えでしょうか。
A: バイオガスプラント事業は、牛や豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させて発電するプラントです。 現状では、北海道の酪農家様に納入しており、電気代の高騰を背景に、導入への関心が高まっております。 バイオガスプラントは、家畜の糞尿だけでなく、食品工場などから排出される食品残渣を原料とすることも可能です。 今後は、酪農家様だけでなく、食品工場などにも展開していく予定です。
Q:貴社の創業の経緯や創業者の思いについて教えていただけますでしょうか。
A: 当社の創業は、元々は新潟県で昭和製作所として設立されたことに遡ります。 その後、埼玉県幸手市でバルブの製造を開始し、当初は水道局にバルブを納入していましたが、徐々に下水処理場にも事業を拡大していきました。 創業者は、「バルブを通して社会に貢献したい」という強い思いを持っていたと聞いております。
Q:株主還元についてお伺いします。配当性向は30%を目安とされていますが、今後増配などの可能性はあるのでしょうか。
A: 配当性向は30%を目安とし、継続的かつ安定的な株主還元を心がけております。
取材者: 御社様のビジネスモデルについて伺いたいのですが、顧客は環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つの事業から構成されていると思いますが、これらの事業について、他社と比べたときの特徴や強みを含めてご説明いただけますでしょうか?
回答者: 事業は環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つに分かれております。メンテナンス事業は100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが行っております。3つのセグメントともエンドユーザーはほぼ9割が官公庁様です。具体的には、〇〇町水道局様、〇〇町下水道局様といったところがエンドユーザー様です。ホームページにも「水インフラを支える」と記載しているように、上下水道の事業を行っている会社です。
まず、環境事業ですが、これは上下水道局が発注される工事を落札し、浄水場や下水処理場などの水を綺麗にする機械類を設計・据え付けする業務です。
バルブ事業は、メーカーが受注した中に鋳鉄製バルブやゲートといったものがあると、そこから仕事を引き受けるというものです。埼玉県幸手市の基幹工場で生産し、デリバリーまで行う、いわゆる物売りです。バルブを作って売るという商売です。
バルブ事業は、国内の水道用バルブを作っている会社の中で、唯一、素材の部分を鋳物の部分から、つまり鉄を溶かして型に流し込み、バルブ本体などを作るという工程を一貫して行っていると考えております。
最後に、100%子会社のメンテナンス事業ですが、これは少し勘違いされる方がいらっしゃるかもしれません。メンテナンスというと、浄水場などに常駐して作業しているイメージがあるかもしれませんが、そういった事業もゼロではありません。しかし基本的には、先ほどお話した環境事業で設置した設備や、バルブ事業で販売したバルブが古くなってきた際に、修理や交換を行うというものです。主要機械の修理やメンテナンス、修理に伴う交換などを行っています。そのため、メンテナンス事業もほぼ官公庁様からの受注で、環境事業と同様に官公庁の入札で仕事を受注するという形です。
取材者: なるほど。そうしますと、環境事業において入札で取ってきたところに対して、バルブ事業で部品を売ったり、メンテナンス事業で修理を行ったりというような形で、すべて繋がっているような感じでしょうか?
回答者: そうですね、繋がっている部分はあると思います。バルブ事業で製造したバルブを、弊社と同業他社やゼネコンに販売することがあります。バルブは配管の要所要所に設置されるものですから、ゼネコンが街中で地面を掘り返して配管の取り替え工事などをしているところに販売したりしています。また、水道工事を行う配管工事屋さんの場合は、管財商社を通してバルブを販売し、工事屋さんが施工するという形になりますので、管財商社に販売したりもしています。行き着く先は水道局や下水道局ですが、バルブ事業の場合は、売り先は商社や同業他社、ゼネコンなど、様々です。
取材者:御社はメーカーでありながら、技術者が鋳物から作られているとのことですが、なぜそれができるのでしょうか?設備があるからというのが一番大きな理由でしょうか?
回答者: 鋳物の設備があるからです。元々、前澤工業は前澤バルブ工業という社名で、バルブを製造していました。本社がある埼玉県川口市は鋳物の街として知られており、その歴史からバルブ製造が始まったという経緯があります。
取材者:官公庁の仕事については、9割を占めているとのことですが、官公庁の仕事は何か需要が一気に高まるということはあるのでしょうか?
回答者: よく聞かれるのですが、爆発的に需要が伸びる市場ではないという認識です。一定の更新需要などはありますので、市場としてはまだまだあると考えています。
取材者: なるほど、ありがとうございます。昨年、売上高が伸びたのは大型の受注があったからだと思いますが、これは特に需要が伸びたからというわけではなく、たまたま案件を取れたからということでしょうか?
回答者: 環境事業に関しては入札案件ですので、大きな案件だと競争も激しいものです。何十億の案件でも、数百万円の差で落札したり落札できなかったりしますので、今回はうまく取れたというのが一番の要因です。
取材者: ありがとうございます。中期経営計画の中に、海外インフラに関して、それをもう少し伸ばしていくというような記載があったかと思いますが、現状、海外インフラ市場に対する売上高の割合はどのくらいでしょうか?
回答者: 割合で言うと、極少量です。現時点では、海外インフラといっても直接弊社がというよりは、日本のODA案件などを通してバルブや機械を納入しています。日本の製品は現地で作るよりも品質が良いということで、採用いただいています。
取材者: なるほど。中期経営計画では、海外売上高を引き上げる目標を掲げていらっしゃいますが、達成の見通しはいかがでしょうか?
回答者: なかなか難しい部分もありますが、今、タイで国交省主体の実証実験を行っています。うまくいけば、タイの下水処理場等に弊社の機械を据え付けられる可能性があります。ただ、海外は為替の問題もありますし、現地での人材確保の問題もありますので、すぐには難しいと考えています。タイでの実証実験を足がかりにして、伸ばしていければと考えています。
取材者: バイオガスプラント事業についてお伺いしたいのですが、これは今、売上がどのくらいあるのでしょうか?
回答者: バイオガスプラント事業は、営業利益としてはまだ数千万円程度です。
取材者: これは、今後どのように伸ばしていくお考えでしょうか?
回答者: バイオガスプラント事業は、牛や豚などの家畜の糞尿からメタンガスを発生させて発電するプラントです。現状では、北海道の酪農家様に納入しています。酪農家様は、電気代が高騰しているため、バイオガスプラントの導入に非常に興味を示していらっしゃいます。バイオガスプラントは、酪農家様だけでなく、食品工場などからも排出される“食品残さ”を元にメタンガスを発生させる事もできます。そのため、今後は酪農家様だけでなく、食品工場などにも展開していきたいと考えています。
取材者: なるほど。食品工場は、酪農家様に比べて数が多いため、市場規模も大きいのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
回答者: そうですね。食品工場は酪農家様に比べて数が多いため、市場規模は大きいと考えています。食品工場は全国にありますので、営業エリアも広がります。
取材者: 株主還元についてお伺いします。配当性向は30%を目安とされていますが、今後、増配などの可能性はあるのでしょうか?
回答者: 配当性向は30%を目安として、継続的かつ安定的にと考えています。
取材者: 先ほどビジネスモデルのところで前澤バルブ工業様の話もあったかと思いますが、御社そもそも創業の経緯や創業者の思いの部分につきましてわかる範囲で教えていただけますでしょうか。
回答者: 創業の経緯についてですが、元々新潟の方で昭和製作所というのができまして、その後、埼玉県幸手市でバルブを作り始めました。最初は水道局にバルブを納めていたのですが、その中で下水処理場にも乗り出していったという経緯です。創業者の思いとしては、バルブを通して社会に貢献したいという強い思いがあったと聞いています。
20241122 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
前澤工業株式会社は、官公庁向けに上下水道施設の建設・メンテナンス、バルブ製造を行う企業である。 事業は、環境事業、バルブ事業、メンテナンス事業の3つで構成される。 環境事業は上下水道局が発注する浄水場や下水処理場などの水処理施設の建設工事を落札し、機械類の設計・据え付けを行う。 バルブ事業はメーカーから鋳鉄製バルブやゲートなどの製造を受注し、埼玉県幸手市の基幹工場で生産からデリバリーまでを一貫して行う。 メンテナンス事業は100%子会社の前澤エンジニアリングサービスが、環境事業で設置した設備やバルブ事業で販売したバルブの修理・交換を行う。
創業の経緯と転機
創業当初は新潟県で昭和製作所として設立され、その後埼玉県幸手市でバルブの製造を開始した。 当初は水道局にバルブを納入していたが、徐々に下水処理場にも事業を拡大していった。
直近の決算状況
昨年は、大型案件の受注により売上高が伸びている。
特徴と強み
バルブ事業において、国内で唯一、素材となる鋳物の製造からバルブ本体の製造までを一貫して行っている。
成長戦略
近年ではバイオガスプラント事業にも注力しており、酪農家だけでなく、食品工場などにも展開を拡大していく方針である。 また、海外事業は現在模索段階だが、タイでの実証実験を足がかりに、将来的には海外展開も積極的に進めていきたい考えである。
今期の取り組みやトピックス
タイでの実証実験を足がかりに、海外事業の拡大を図る。
株主還元策
配当性向は30%を目安とし、継続的かつ安定的な株主還元を心がけている。
IR担当
・資料
Add a Title
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