20241204
Q: 貴社のビジネスモデル、特徴、強みについてご説明いただけますでしょうか?
A: 当社は真空関連装置メーカーです。 真空度を上げてその中で成膜を行う装置を製造・販売しています。 主力製品は、スマートフォン用カメラレンズ向けの反射防止膜を成膜する真空蒸着装置と、水晶デバイスの周波数帯を調整するエッチング装置です。
Q: 貴社の創業の経緯や設立の思いについてご説明いただけますでしょうか?
A: 1953年に創業し、真空ポンプの修理から事業を開始しました。 その後、水晶デバイスの需要増加に伴い、水晶デバイス向けの真空装置を製造するようになり、事業の基盤を築きました。
Q: 第2四半期の決算状況について、増収の要因をご説明いただけますでしょうか?
A: 近年は、水晶デバイスメーカーと光学デバイスメーカーの設備投資の停滞により、業績が低迷していました。 しかし、2024年度第2四半期には、市況が回復し、売上が増加しました。 ただし、設備導入の遅延により、計画を下回る結果となりました。
Q: 新規取引先に対する具体的な施策についてお教えいただけますでしょうか?
A: 装置の購入を前提とした顧客に対し、当社所有の実験機を用いて、顧客と共に検証を行う取り組みを積極的に行っています。
Q: 新規開発装置の受注獲得状況についてお教えいただけますでしょうか?
A: 新規開発装置は、まだリリースしたばかりで、大口の受注には至っていません。
Q: 上期の実績で、営業利益が上振れている要因についてお教えいただけますでしょうか?
A: 昨年度、一昨年度と業績が低迷していたため、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたことが要因の一つです。 また、利益率の高いサービスセグメントが好調だったことも要因です。
Q: 下期での重点項目として、利益率向上に対する取り組みについてお教えいただけますでしょうか?
A: 材料費削減のため、部品の内製化や材料の共同調達を進めています。 また、外注加工費削減のため、内製化の検討や複数社への見積もり取得による競争を促しています。
Q: 研究開発体制についてお教えいただけますでしょうか?
A: 従業員138名のうち、研究開発に携わる社員は16名です。
Q: 設備投資計画についてお教えいただけますでしょうか?
A: 現在、大規模な設備投資計画はありません。 生産能力の増強は、工場のレイアウト変更や工程の見直しなど、既存のリソースを有効活用することで対応します。 老朽化対策は、各装置の適切なメンテナンスで対応しています。
Q: 株主還元についてお教えいただけますでしょうか?
A: 安定配当を基本方針としています。
Q: 中長期的な視点での成長戦略についてお教えいただけますでしょうか?
A: アルバックグループとの連携強化を図り、新たな分野への進出を目指します。
取材者:ビジネスモデルや特徴、強みなどをご説明いただけますでしょうか?
回答者: 真空関連装置には多種多様なものがございます。行っていることは、どの企業も同じように真空度を上げてその中で成膜をしていくという装置をメインに販売しております。
どちらかといいますと、用途によって会社ごとに得意不得意が分かれてくる中で、弊社は真空蒸着装置という成膜装置をメインに販売しております。これはカメラレンズ、スマートフォン等に搭載されているカメラモジュールの反射防止膜を成膜する装置です。
また、水晶デバイス向けの装置としては、水晶に一定の電圧を加えると振動して周波数を調整する、発信できるという機能があるのですが、その周波数帯を調整するエッチング装置も販売しております。こちらは、真空技術を利用した装置です。
今挙げた2点が弊社の主力となる部門の商品です。
取材者: 水晶デバイス向けのエッチング装置が主力の1つということですね。
回答者: そうですね。
取材者: 真空関連装置について、この2つの主力製品においては、競合はどういったところになるのでしょうか?
回答者: 水晶装置に関しましては、競合という競合は特段ない状態です。弊社の水晶装置の市場シェアはだいぶ高い状態で、競合と呼べるのは弊社の装置をコピーしたような装置を作っている中国企業がいくつかあるくらいです。特段、競合と呼べる企業がない状態で水晶デバイス業界のビジネスを進めております。
光学デバイス、先ほど申し上げましたスマートフォン用のカメラレンズ向けの成膜装置では、国内で申し上げますと、シンクロン様、オプトラン様、その2社が競合になります。
取材者:御社様の創業の経緯や設立の思いの部分について、わかる範囲でご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 創業は1953年で、今年で72年目を迎えます。元々は現在の社長のお父様にあたる方が、真空ポンプの修理などを行うところからスタートしました。真空ポンプの修理を主にやりながら商売を始めていく中で、徐々に真空装置も手がけてみないかというお話があり、具体的に作るようになったのは、クォーツ時計やトランシーバーのブームなどで水晶デバイスがたくさん使われるようになった流れの中で、弊社も水晶デバイス向けの真空装置を手がけるようになり、事業の基盤を築いてきました。
水晶デバイスを事業の基盤に据えながら、先ほどお話のあった光学分野への真空装置など、水晶と光学以外にも真空技術の応用範囲は非常に広いので、今は水晶、光学に続く大きな柱を構築していきたいというところです。
取材者: 水晶に続く柱というのは、具体的にどのようなものを考えていますか?
回答者: いろいろあるのですが、1つは自動車向けの加飾ですね。エンブレムやコックピット内のメーター周りの装飾など、樹脂に金属的な装飾を施すようなものも真空装置を使って成膜しますので、そういった分野向けの装置です。あとは航空宇宙分野などでも、非常に広がりが期待できるので、そういった分野などへの真空技術の応用を探っていきたいと考えています。
取材者: ありがとうございます。先日発表されました第2四半期の決算状況についてお聞きしたいのですが、2024年度第2四半期の決算状況は前年と比べて増収ということですが、これは2023年度が特別悪かったということでしょうか?それとも何か要因があって増収になっているのでしょうか?
回答者: ここ数年、受注・売上ともに芳しくない状況が続いておりまして、先ほど申し上げました水晶デバイスメーカー、光学デバイスメーカーの設備投資の波が、ちょうど2つの業態で重なって停滞してしまい、昨年度、その前から芳しくない状態が続いておりました。
ここに至りまして、若干ですが回復の兆しが見え始めたところです。特段、昨年度に何か大きな事象があったというわけではありません。
取材者: 市況が回復してきたので、今期は売上が回復してきているという見方でしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: ただ、計画を下回ってしまったというのは、設備導入に関するものが遅延してしまい、それが下期に繰り越されてしまっているという認識で合っていますでしょうか?
回答者: はい。おっしゃる通りです。
取材者: 今期ここまでで、新規取引先に対する取り組みについて何か具体的な施策などありましたら教えていただけますでしょうか?
回答者: 弊社は装置のアッセンブリーメーカーでして、受託成膜のようなことはやっていないのですが、装置の購入を前提としたお客様からの相談事、例えば「こういった成膜はできないか?」という相談に対して、弊社所有の実験機を用いまして、お客様と一緒に検証を行い、無事お客様の求める成膜をすることができれば装置をご購入いただけるという流れのようなことを積極的に行っています。この取り組みによって、だいぶ受注を伸ばせている状況です。
取材者: 前回の決算説明資料にございました新規開発装置の受注獲得は、どのような形で推移していますでしょうか?
回答者: 新規開発装置の受注に関しましては、まだリリースしたばかりということもありまして、そんなに大口の受注が決まっているというようなことはないのですが、着実に販売を目指していた業態のリーディングカンパニーに弊社のプロトタイプの装置を納入しています。そこで採用されたメーカー様の方で、やりたいことがうまくできるような結果が出れば、今後の増収、投資の方は見込めるのかなと考えております。
取材者: 今はその新規開発装置を販売するフェーズというよりは、紹介させていただいたり、取引先との関係性を強化しているような段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。お客様へ紹介して、これからお客様の方で投資の判断をしていただいて、そちらに舵を切るというお客様がいれば投資をお願いしたいなというところで進めている段階です。
取材者: 上期の実績ですが、特に営業利益、利益の部分に関してはかなり上振れているかと思いますが、こちらの要因について教えていただけますでしょうか?
回答者: 先ほども申し上げました通り、昨年、一昨年とあまり業績がよろしくない中で、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたのが一つの要因です。厳しく見込んでいた分、思ったより改善したのが一つです。
また、弊社の装置の販売をメインとして行っているのですが、納めた装置の改造工事や修理保守、あとは装置で使用される消耗品の販売等も行っています。そちらは弊社のセグメントでサービスセグメントというふうに分類されるのですが、そちらの方が利益率が高い中で、当初計画していたよりも若干ながらも上振れたので、その分利益も向上しました。
取材者: 利益率の高いサービスセグメントが好調だったために、上期までは利益が高くなっていたということですね。
回答者: はい。
取材者: 下期での重点の実行項目として、利益率の向上に対する取り組みの部分が記載されているかと思いますが、こちらについての具体的な取り組みを教えていただけますでしょうか?
回答者: 利益率向上に関してですが、製造原価、売上原価をいかに抑えるかというのが一番の課題です。
売上原価を構成するもののうち、一番割合を占めているのが材料費です。材料費をいかに抑えるかということが一番の課題になります。
材料費を削減するために、今までは外注していた部品を内製化したり、材料を共同で調達したりすることで、できるだけコストを抑える努力をしています。
また、製造原価の中で2番目に大きいのが外注加工費です。外注加工費に関しましても、できるだけ内製化できないかということを検討しています。
内製化できるものは内製化して、外注に出すにしても1社に頼るのではなく、複数社に見積もりを取って競合させることによって、できるだけコストを抑える努力を継続して行っています。
取材者: 研究開発体制についてお伺いしたいのですが、現在はどういった体制で、どのくらいの規模感で行っているのでしょうか?
回答者: 規模感としましては、弊社の従業員数が138名おりまして、そのうち研究開発に携わっている社員が16名です。
体制としましては、大きく2つに分かれておりまして、1つは既存製品の改良、改善を行う部署です。もう1つは、新規開発に特化した部署です。
この2つの部署で構成されています。
取材者: 今後は、研究開発費の比率を高めていくような方針はございますか?
回答者: 研究開発費の比率を高めていくという方針は、今のところ特にございません。
取材者: ありがとうございます。続いて、設備投資計画についてお伺いしたいのですが、製造設備の老朽化対策や生産能力増強のための設備投資計画は何かございますか?
回答者: 設備投資計画としましては、今現在特に大きなものは予定しておりません。
ただ、生産能力の増強というところでは、生産能力を増強するというよりは、工場のレイアウト変更や工程の見直し等によって、今あるリソースでいかに効率よく生産していくかということをメインに考えています。
老朽化対策としましては、各装置ごとに適切なメンテナンスをしながら使用していますので、今現在、老朽化によって更新しなければならない装置というのは特段ございません。
取材者: 株主還元についてお伺いしたいのですが、配当政策や株主還元に対する考え方について教えていただけますでしょうか?
回答者: 株主還元につきましては、安定配当を基本方針としております。
取材者: 中長期的な視点での成長戦略についてお伺いしたいのですが、今後注力していく事業や目指す企業像などについて教えていただけますでしょうか?
回答者: 中長期的な成長戦略としましては、先ほども少しお話に上がりましたが、今現在、弊社の主力製品である水晶デバイス向けの装置と、光学デバイス向けの装置、この2本柱に加えて、第3、第4の柱となるような新規事業を育成していくというのが、一番大きな目標です。
具体的には、先ほども申し上げました通り、自動車部品や航空宇宙関連など、今まであまり注力してこなかった分野にも積極的に進出していきたいと考えています。
また、弊社はアルバックグループの一員ということもありまして、アルバックグループとの連携を強化することによって、今までリーチできなかったような分野にも進出していきたいと考えています。目指す企業像としましては、世界中のお客様から信頼され、必要とされる企業を目指しています。
20241204 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
昭和真空株式会社(東証STD:6384、決算:3月末日)は、1953年創業の真空関連装置メーカーである。 主力製品は、スマートフォン用カメラレンズ向けの反射防止膜を成膜する真空蒸着装置と、水晶デバイスの周波数帯を調整するエッチング装置である。 同社は、顧客のニーズに合わせた装置を生産する受注生産体制を採用しており、顧客との関係性を重視したビジネスを展開している。
創業の経緯と転機
創業当初は真空ポンプの修理から事業を開始し、その後水晶デバイスの需要増加に伴い、水晶デバイス向けの真空装置製造へと転換した。 これが事業の基盤を築く転機となった。
直近の決算状況
近年は、主要顧客である水晶デバイスメーカーと光学デバイスメーカーの設備投資の停滞により業績が低迷していた。 しかし、2024年度第2四半期には、市況が回復し、売上が増加した。 ただし、設備導入の遅延により、計画を下回る結果となった。 上期の実績では、営業利益が上振れている。 これは、昨年度、一昨年度と業績が低迷していたため、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたことが要因の一つである。
特徴・強み
水晶デバイス向けのエッチング装置では、競合と呼べるのは同社の装置をコピーしたような装置を作っている中国企業がいくつかある程度で、市場シェアは高い。
成長戦略
自動車部品や航空宇宙関連など、新たな市場への進出に積極的に取り組んでいる。 また、アルバックグループとの連携強化を図ることで、業績の安定化と成長を目指している。
株主還元策
安定配当を基本方針としている。
今期の取り組み・トピックス
装置の購入を前提とした顧客に対し、同社所有の実験機を用いて、顧客と共に検証を行う取り組みを積極的に行っている。 また、利益率向上のため、部品の内製化や材料の共同調達、複数社への見積もり取得による外注加工費の削減などを進めている。
IR担当
・資料
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(株)昭和真空
東証STD 6384
決算:3月末日
Q: 貴社のビジネスモデル、特徴、強みについてご説明いただけますでしょうか?
A: 当社は真空関連装置メーカーです。 真空度を上げてその中で成膜を行う装置を製造・販売しています。 主力製品は、スマートフォン用カメラレンズ向けの反射防止膜を成膜する真空蒸着装置と、水晶デバイスの周波数帯を調整するエッチング装置です。
Q: 貴社の創業の経緯や設立の思いについてご説明いただけますでしょうか?
A: 1953年に創業し、真空ポンプの修理から事業を開始しました。 その後、水晶デバイスの需要増加に伴い、水晶デバイス向けの真空装置を製造するようになり、事業の基盤を築きました。
Q: 第2四半期の決算状況について、増収の要因をご説明いただけますでしょうか?
A: 近年は、水晶デバイスメーカーと光学デバイスメーカーの設備投資の停滞により、業績が低迷していました。 しかし、2024年度第2四半期には、市況が回復し、売上が増加しました。 ただし、設備導入の遅延により、計画を下回る結果となりました。
Q: 新規取引先に対する具体的な施策についてお教えいただけますでしょうか?
A: 装置の購入を前提とした顧客に対し、当社所有の実験機を用いて、顧客と共に検証を行う取り組みを積極的に行っています。
Q: 新規開発装置の受注獲得状況についてお教えいただけますでしょうか?
A: 新規開発装置は、まだリリースしたばかりで、大口の受注には至っていません。
Q: 上期の実績で、営業利益が上振れている要因についてお教えいただけますでしょうか?
A: 昨年度、一昨年度と業績が低迷していたため、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたことが要因の一つです。 また、利益率の高いサービスセグメントが好調だったことも要因です。
Q: 下期での重点項目として、利益率向上に対する取り組みについてお教えいただけますでしょうか?
A: 材料費削減のため、部品の内製化や材料の共同調達を進めています。 また、外注加工費削減のため、内製化の検討や複数社への見積もり取得による競争を促しています。
Q: 研究開発体制についてお教えいただけますでしょうか?
A: 従業員138名のうち、研究開発に携わる社員は16名です。
Q: 設備投資計画についてお教えいただけますでしょうか?
A: 現在、大規模な設備投資計画はありません。 生産能力の増強は、工場のレイアウト変更や工程の見直しなど、既存のリソースを有効活用することで対応します。 老朽化対策は、各装置の適切なメンテナンスで対応しています。
Q: 株主還元についてお教えいただけますでしょうか?
A: 安定配当を基本方針としています。
Q: 中長期的な視点での成長戦略についてお教えいただけますでしょうか?
A: アルバックグループとの連携強化を図り、新たな分野への進出を目指します。
取材者:ビジネスモデルや特徴、強みなどをご説明いただけますでしょうか?
回答者: 真空関連装置には多種多様なものがございます。行っていることは、どの企業も同じように真空度を上げてその中で成膜をしていくという装置をメインに販売しております。
どちらかといいますと、用途によって会社ごとに得意不得意が分かれてくる中で、弊社は真空蒸着装置という成膜装置をメインに販売しております。これはカメラレンズ、スマートフォン等に搭載されているカメラモジュールの反射防止膜を成膜する装置です。
また、水晶デバイス向けの装置としては、水晶に一定の電圧を加えると振動して周波数を調整する、発信できるという機能があるのですが、その周波数帯を調整するエッチング装置も販売しております。こちらは、真空技術を利用した装置です。
今挙げた2点が弊社の主力となる部門の商品です。
取材者: 水晶デバイス向けのエッチング装置が主力の1つということですね。
回答者: そうですね。
取材者: 真空関連装置について、この2つの主力製品においては、競合はどういったところになるのでしょうか?
回答者: 水晶装置に関しましては、競合という競合は特段ない状態です。弊社の水晶装置の市場シェアはだいぶ高い状態で、競合と呼べるのは弊社の装置をコピーしたような装置を作っている中国企業がいくつかあるくらいです。特段、競合と呼べる企業がない状態で水晶デバイス業界のビジネスを進めております。
光学デバイス、先ほど申し上げましたスマートフォン用のカメラレンズ向けの成膜装置では、国内で申し上げますと、シンクロン様、オプトラン様、その2社が競合になります。
取材者:御社様の創業の経緯や設立の思いの部分について、わかる範囲でご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 創業は1953年で、今年で72年目を迎えます。元々は現在の社長のお父様にあたる方が、真空ポンプの修理などを行うところからスタートしました。真空ポンプの修理を主にやりながら商売を始めていく中で、徐々に真空装置も手がけてみないかというお話があり、具体的に作るようになったのは、クォーツ時計やトランシーバーのブームなどで水晶デバイスがたくさん使われるようになった流れの中で、弊社も水晶デバイス向けの真空装置を手がけるようになり、事業の基盤を築いてきました。
水晶デバイスを事業の基盤に据えながら、先ほどお話のあった光学分野への真空装置など、水晶と光学以外にも真空技術の応用範囲は非常に広いので、今は水晶、光学に続く大きな柱を構築していきたいというところです。
取材者: 水晶に続く柱というのは、具体的にどのようなものを考えていますか?
回答者: いろいろあるのですが、1つは自動車向けの加飾ですね。エンブレムやコックピット内のメーター周りの装飾など、樹脂に金属的な装飾を施すようなものも真空装置を使って成膜しますので、そういった分野向けの装置です。あとは航空宇宙分野などでも、非常に広がりが期待できるので、そういった分野などへの真空技術の応用を探っていきたいと考えています。
取材者: ありがとうございます。先日発表されました第2四半期の決算状況についてお聞きしたいのですが、2024年度第2四半期の決算状況は前年と比べて増収ということですが、これは2023年度が特別悪かったということでしょうか?それとも何か要因があって増収になっているのでしょうか?
回答者: ここ数年、受注・売上ともに芳しくない状況が続いておりまして、先ほど申し上げました水晶デバイスメーカー、光学デバイスメーカーの設備投資の波が、ちょうど2つの業態で重なって停滞してしまい、昨年度、その前から芳しくない状態が続いておりました。
ここに至りまして、若干ですが回復の兆しが見え始めたところです。特段、昨年度に何か大きな事象があったというわけではありません。
取材者: 市況が回復してきたので、今期は売上が回復してきているという見方でしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: ただ、計画を下回ってしまったというのは、設備導入に関するものが遅延してしまい、それが下期に繰り越されてしまっているという認識で合っていますでしょうか?
回答者: はい。おっしゃる通りです。
取材者: 今期ここまでで、新規取引先に対する取り組みについて何か具体的な施策などありましたら教えていただけますでしょうか?
回答者: 弊社は装置のアッセンブリーメーカーでして、受託成膜のようなことはやっていないのですが、装置の購入を前提としたお客様からの相談事、例えば「こういった成膜はできないか?」という相談に対して、弊社所有の実験機を用いまして、お客様と一緒に検証を行い、無事お客様の求める成膜をすることができれば装置をご購入いただけるという流れのようなことを積極的に行っています。この取り組みによって、だいぶ受注を伸ばせている状況です。
取材者: 前回の決算説明資料にございました新規開発装置の受注獲得は、どのような形で推移していますでしょうか?
回答者: 新規開発装置の受注に関しましては、まだリリースしたばかりということもありまして、そんなに大口の受注が決まっているというようなことはないのですが、着実に販売を目指していた業態のリーディングカンパニーに弊社のプロトタイプの装置を納入しています。そこで採用されたメーカー様の方で、やりたいことがうまくできるような結果が出れば、今後の増収、投資の方は見込めるのかなと考えております。
取材者: 今はその新規開発装置を販売するフェーズというよりは、紹介させていただいたり、取引先との関係性を強化しているような段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。お客様へ紹介して、これからお客様の方で投資の判断をしていただいて、そちらに舵を切るというお客様がいれば投資をお願いしたいなというところで進めている段階です。
取材者: 上期の実績ですが、特に営業利益、利益の部分に関してはかなり上振れているかと思いますが、こちらの要因について教えていただけますでしょうか?
回答者: 先ほども申し上げました通り、昨年、一昨年とあまり業績がよろしくない中で、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたのが一つの要因です。厳しく見込んでいた分、思ったより改善したのが一つです。
また、弊社の装置の販売をメインとして行っているのですが、納めた装置の改造工事や修理保守、あとは装置で使用される消耗品の販売等も行っています。そちらは弊社のセグメントでサービスセグメントというふうに分類されるのですが、そちらの方が利益率が高い中で、当初計画していたよりも若干ながらも上振れたので、その分利益も向上しました。
取材者: 利益率の高いサービスセグメントが好調だったために、上期までは利益が高くなっていたということですね。
回答者: はい。
取材者: 下期での重点の実行項目として、利益率の向上に対する取り組みの部分が記載されているかと思いますが、こちらについての具体的な取り組みを教えていただけますでしょうか?
回答者: 利益率向上に関してですが、製造原価、売上原価をいかに抑えるかというのが一番の課題です。
売上原価を構成するもののうち、一番割合を占めているのが材料費です。材料費をいかに抑えるかということが一番の課題になります。
材料費を削減するために、今までは外注していた部品を内製化したり、材料を共同で調達したりすることで、できるだけコストを抑える努力をしています。
また、製造原価の中で2番目に大きいのが外注加工費です。外注加工費に関しましても、できるだけ内製化できないかということを検討しています。
内製化できるものは内製化して、外注に出すにしても1社に頼るのではなく、複数社に見積もりを取って競合させることによって、できるだけコストを抑える努力を継続して行っています。
取材者: 研究開発体制についてお伺いしたいのですが、現在はどういった体制で、どのくらいの規模感で行っているのでしょうか?
回答者: 規模感としましては、弊社の従業員数が138名おりまして、そのうち研究開発に携わっている社員が16名です。
体制としましては、大きく2つに分かれておりまして、1つは既存製品の改良、改善を行う部署です。もう1つは、新規開発に特化した部署です。
この2つの部署で構成されています。
取材者: 今後は、研究開発費の比率を高めていくような方針はございますか?
回答者: 研究開発費の比率を高めていくという方針は、今のところ特にございません。
取材者: ありがとうございます。続いて、設備投資計画についてお伺いしたいのですが、製造設備の老朽化対策や生産能力増強のための設備投資計画は何かございますか?
回答者: 設備投資計画としましては、今現在特に大きなものは予定しておりません。
ただ、生産能力の増強というところでは、生産能力を増強するというよりは、工場のレイアウト変更や工程の見直し等によって、今あるリソースでいかに効率よく生産していくかということをメインに考えています。
老朽化対策としましては、各装置ごとに適切なメンテナンスをしながら使用していますので、今現在、老朽化によって更新しなければならない装置というのは特段ございません。
取材者: 株主還元についてお伺いしたいのですが、配当政策や株主還元に対する考え方について教えていただけますでしょうか?
回答者: 株主還元につきましては、安定配当を基本方針としております。
取材者: 中長期的な視点での成長戦略についてお伺いしたいのですが、今後注力していく事業や目指す企業像などについて教えていただけますでしょうか?
回答者: 中長期的な成長戦略としましては、先ほども少しお話に上がりましたが、今現在、弊社の主力製品である水晶デバイス向けの装置と、光学デバイス向けの装置、この2本柱に加えて、第3、第4の柱となるような新規事業を育成していくというのが、一番大きな目標です。
具体的には、先ほども申し上げました通り、自動車部品や航空宇宙関連など、今まであまり注力してこなかった分野にも積極的に進出していきたいと考えています。
また、弊社はアルバックグループの一員ということもありまして、アルバックグループとの連携を強化することによって、今までリーチできなかったような分野にも進出していきたいと考えています。目指す企業像としましては、世界中のお客様から信頼され、必要とされる企業を目指しています。
20241204 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
昭和真空株式会社(東証STD:6384、決算:3月末日)は、1953年創業の真空関連装置メーカーである。 主力製品は、スマートフォン用カメラレンズ向けの反射防止膜を成膜する真空蒸着装置と、水晶デバイスの周波数帯を調整するエッチング装置である。 同社は、顧客のニーズに合わせた装置を生産する受注生産体制を採用しており、顧客との関係性を重視したビジネスを展開している。
創業の経緯と転機
創業当初は真空ポンプの修理から事業を開始し、その後水晶デバイスの需要増加に伴い、水晶デバイス向けの真空装置製造へと転換した。 これが事業の基盤を築く転機となった。
直近の決算状況
近年は、主要顧客である水晶デバイスメーカーと光学デバイスメーカーの設備投資の停滞により業績が低迷していた。 しかし、2024年度第2四半期には、市況が回復し、売上が増加した。 ただし、設備導入の遅延により、計画を下回る結果となった。 上期の実績では、営業利益が上振れている。 これは、昨年度、一昨年度と業績が低迷していたため、今期の予測を立てる際に、利益面で厳しく見込んでいたことが要因の一つである。
特徴・強み
水晶デバイス向けのエッチング装置では、競合と呼べるのは同社の装置をコピーしたような装置を作っている中国企業がいくつかある程度で、市場シェアは高い。
成長戦略
自動車部品や航空宇宙関連など、新たな市場への進出に積極的に取り組んでいる。 また、アルバックグループとの連携強化を図ることで、業績の安定化と成長を目指している。
株主還元策
安定配当を基本方針としている。
今期の取り組み・トピックス
装置の購入を前提とした顧客に対し、同社所有の実験機を用いて、顧客と共に検証を行う取り組みを積極的に行っている。 また、利益率向上のため、部品の内製化や材料の共同調達、複数社への見積もり取得による外注加工費の削減などを進めている。
IR担当
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