
(株)メタルアート
東証STD 5644
決算:3月末日
20251119
CP&X
【2026年3月期 第2四半期】
決算概要
国内市場回復と原価低減が寄与するも修繕費増等により最終減益
売上高は22,233百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1,463百万円(同0.6%増)の増収増益、中間純利益は934百万円(同13.3%減)の減益での着地。増益の主な要因は、国内自動車市場の回復や建機・農機分野の底打ちに伴う売上増加効果(約277百万円)および継続的な原価低減活動の効果(約90百万円)。一方、減益の主な要因として、先行投資に伴う減価償却費の増加(131百万円)に加え、前年の修繕時期適正化の反動による修繕費の増加(142百万円)がある。
セグメント別または事業別の増減要因
国内ダイハツシェア回復とインドネシア市場の苦戦
国内市場では、主要顧客であるダイハツ工業のシェア回復が売上増加を牽引し、建設機械や農業機械分野においても底打ち感が見られる推移。一方、海外のインドネシア市場においては、中国系EVメーカーの台頭により日系メーカーのシェアが約5年前の95%程度から直近で75%程度まで低下するなど競争環境が激化。現地政府によるEV化促進を目的とした完成車輸入インセンティブ政策の影響で、内国生産産業の空洞化が進行。
主要KPIの進捗と変化
FA化やDXによる生産性向上と事業構造改革投資の継続
既存事業の体質強化として予算管理を徹底し、大きな収益ドライバーとして機能。効率化・合理化の観点からは、ロボット化や自動検査などのファクトリーオートメーション(FA)および間接部門におけるRPAやBIツール活用による人原単位の向上を推進。現在は事業構造改革に向けた先行投資段階であり、新規事業がトップラインに寄与するには至っていないものの、モーター事業などPR活動を通じて顧客からの関心を獲得。
季節性・一過性要因の有無と影響
インドネシア政策変更による輸入増と修繕費の反動増
インドネシア市場において、年内で打ち切り予定のEV完成車輸入へのインセンティブ政策に伴う駆け込み需要が発生し、輸入品増加による現地生産減少というネガティブな影響が継続。またコスト面では、前年に特別利益対策として実施した修繕時期の適正化の影響で、今期の修繕費が前年比で142百万円増加するという一過性の変動が発生。
通期見通しと進捗率・達成可能性
国内堅調と海外厳況を織り込み見通しを見直し
通期の見通しは、堅調な国内自動車市場と建機・農機の回復基調をプラス要因として織り込む一方、インドネシア市場の苦戦をマイナス要因として勘案し見直しを実施。インドネシアにおけるEVインセンティブ政策は年内打ち切り予定だが、駆け込み需要の影響等については今年度中続く想定。主要顧客によるASEAN輸出拠点化などの対策効果が今後のポイントとなる見通し。
トピックス
先行投資フェーズにおける増配決定と企業ブランディング強化
事業構造改革への先行投資を最優先としつつも、株主への還元を重視し増配を決定。人材戦略および認知度向上策として、現場若手の初任給引き上げや福利厚生充実を図るとともに、トップ主導によるビジョン経営やコトづくり(地域貢献)活動による企業ブランディングを強化。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
2026年3月期1Qは、売上高106.7億円(前年同月比+4.7%)、営業利益4.31億円(同+0.2%)、経常利益5.19億円(同+7.3%)。親会社株主に帰属する四半期純利益は2.95億円(同▲14.2%)。国内自動車向けの回復とその他部門の拡販が増収に寄与。一方、前年は一部顧客の操業停止に伴う受取補償金等の特別利益があった反動で純利益は減少。減価償却費の増加影響は、全社的な原価低減で吸収し営業利益は前年並みを確保しました。
セグメント別または事業別の増減要因
自動車部品:87.63億円(前年同月比+5.8%)。国内は出荷停止影響の解消で需要が回復。
海外(アセアン市場)は経済低迷で減少。
建設機械部品:13.66億円(同▲8.1%)。欧米中心に需要が低迷。
農業機械部品:1.77億円(同▲17.3%)。欧米中心に需要が低迷。
その他:3.66億円(同+73.7%)。新規拡販が寄与。
主要KPIの進捗と変化
概ね想定線。
季節性・一過性要因の有無と影響
前年1Qに計上された受取補償金等の特別利益の反動で純利益が減少。
前年1Qに対して売上は増加したものの、前年、特別利益対策として行った修繕時期の適正化の反動もあり、修繕費等が増加。
通期見通しと進捗率・達成可能性
受注環境は不安定ながら、通期見通しに対する進捗状況は概ね想定線。
建設機械部品に関して底打ち感が見られる。
トランプ関税による影響を注視。
トピックス
・連結子会社の吸収合併
2025年4月1日に主力である自動車市場の電動化及び日本の超少子高齢化にグループ一体となり事業構造を変革し、機動的かつ柔軟に対応することを目的として、株式会社メタルフォージを吸収合併。
・自己株式取得の実施
株主還元策の一環として、1株あたりの価値向上を目的として実施。
自己株式数は2025年3月期末254,790株⇒2026年3月期1Q 300,790株。
・役員退職慰労金制度の廃止とRS制度(譲渡制限付株式報酬制度)の導入
株主価値共有を一層の推進し、企業価値向上に貢献することを目的に導入。
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IR担当

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
2025年3月期の通期業績は、売上高439億5400万円(前年同期比2.4%減)と減収であった。営業利益は29億9500万円(前年同期比2.5%増)、経常利益は32億5300万円(前年同期比2.2%増)と増益を確保した一方、親会社株主に帰属する当期純利益は19億9800万円(前年同期比5.7%減)と減益であった。営業利益の増減要因としては、売上減少による1.3億円の減益要因が存在したものの、原価低減や、受注落ち込みに対する費用・大型修繕期間の先延ばしといった特別収益対策により3.5億円の増益要因を確保したことが挙げられる。一方で、先行投資継続に伴う減価償却費の増加が営業利益を押し下げる要因となった。
セグメント別または事業別の増減要因
特定のセグメント別または事業別の業績変化に関する具体的な記述はございませんが、2025年3月期における売上減少の背景として、欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことが影響し、売上が下振れするとの見込みであったことが述べられている。
主要KPIの進捗と変化
重視する主要なKPIは営業キャッシュフローである。営業キャッシュフローの推移については、先行投資により減価償却費が増加しているものの、企業としては維持できているとの認識である。先行投資の回収期間については明確な期間は定めていないものの、早期回収に向けて取り組んでいる。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期の売上においては、欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことが、売上が下振れしたとの認識が示されている。これに対し、企業側は通常の原価低減に加え、費用や大型修繕の期間を先延ばしするといった特別収益対策を講じ、これらが生産準備費用の減少や原価低減として寄与した。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の通期業績見通しは、売上高428億円(前年同期比2.6%減)、営業利益22億5000万円(同24.9%減)、経常利益25億円(同23.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益17億6,000万円(同11.9%減)と、減収減益を予想している。連結営業利益の減益要因としては、売上減少による2億円の減益、修繕費等の増加による2億円の減益、先行投資に関連する減価償却費のさらなる増加、開発費、および適正化した生産準備費用などによる3.2億円の減益が挙げられる。2026年3月期は、将来を見据えた準備期間と認識されている。
トピックス
直近のトピックスとして、機械加工領域の拡大がある。具体的には、滋賀県の水口に土地を取得し、新たな機械加工工場を建設する計画を進行中である。これは事業領域の拡大に向けた先行投資である。また、現時点では決議は未了であるものの、来る株主総会において、退職慰労金制度の廃止とRS制度(譲渡制限付株式報酬制度)の導入を付議する予定である。この制度変更は、株主価値の共有を一層推進し、企業価値向上に貢献することを目的としている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の重要なポイントとして、機械加工領域の拡大を推進しております。具体的には、滋賀県水口に土地を取得し、新たな機械加工工場の建設を進めていく計画でございます。これは、弊社の事業領域を拡大し、さらなる成長の基盤を築くための先行投資となります。
また、現時点ではまだ決議前ではございますが、本年6月26日に開催予定の株主総会において、役員向けの退職慰労金制度を廃止し、RS制度(譲渡制限付株式報酬制度)を導入することを付議する予定でございます。この制度変更は、役員報酬と企業価値の連動性を高めることで、株主の皆様とより一層価値を共有し、中長期的な企業価値向上への貢献を促進することを目的としております。これらの施策は、事業構造の強化と、株主価値最大化へのコミットメントを示すものと考えております。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期の通期見通しにつきましては、売上高は428億円で前年同期比2.6%のマイナス、営業利益は22億5000万円で前年同期比24.9%のマイナス、経常利益は25億円で前年同期比23.2%のマイナス、親会社株主に帰属する当期純利益は17億6,000万円で前年同期比11.9%のマイナスと、減収減益を予想しております。この減益の主な要因は、売上の減少による約2億円の減益に加え、時期の適正化や特別収益対策として、本来行うべき修繕やメンテナンスを先送りする対応を取った結果、修繕費等の増加が約2億円の減益要因として発生することにあります。さらに、先行投資に関連する減価償却費の増加、開発費、および生産準備費用などが約3.2億円の減益要因として挙げられます。これらの状況を踏まえ、2026年3月期は、将来を見据えた準備期間と位置付けて事業運営を進めてまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社の株主還元方針につきましては、従来からの変更はございません。安定的な配当を継続するという方針に基づき、2026年3月期の業績見通しが減収減益である中でも、配当目標を意識し、増配を実施させていただいております。これは、株主の皆様への安定的な利益還元を重視する弊社の姿勢を示すものでございます。
取材者:まず初めに、2025年3月期の業績についてお伺いいたします。売上高は439億5400万円で前年同期比2.4%減、営業利益は29億9500万円で前年同期比2.5%の増加、経常利益は32億5300万円で前年同期比2.2%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は19億9800万円で前年同期比5.7%の減益となりました。減収・営業利益は増益ではございますが、昨年と同様に推移しているかと存じます。この業績の増減要因についてご説明をお願いできますか?
回答者:承知いたしました。増減要因につきましては、まず営業利益の増減要因からお話しさせていただきますと、売上の減少が1.3億円ほどの減益要因としてございます。売上減少の支配的な要因は欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことになります。増益の要因としては昨年、ダイハツ様の件がございましたので、売上が下振れすると弊社では考えておりました。それに対し、特別収益対策と銘打ち、通常の原価低減以外に、受注が落ち込むことに対して、できるだけ費用や大型修繕の期間を先延ばしするなどの適正化に取り組みました。これらの内容は、開示資料では生産準備費用の減少や原価低減として開示しており、3.5億円ほどございます。弊社はご承知の通り、先行投資を継続しておりますので、減価償却費の増加が減益要因として2億円ほどございます。また、インドネシア市場も悪化しておりますので、その影響で3000万円ほど減益となっております。
取材者:全体的に、収益調整がうまくいったということですね。2月に発表された業績修正の理由も、そういった部分に起因するのですか?
回答者:2月に出しました業績修正に関しては、上期の特別収益対策の影響が出ており、通期の見通しは変更していなかったのですが、下期も特別収益対策を継続することが決定されましたので、それに基づいて通期の業績見通しを修正させていただきました。
取材者:下期も継続されたのですね。ダイハツ様の件以外に、為替の問題など、業績に影響するような外的要因はございましたか?
回答者:弊社にはインドネシアの子会社がございますが、実際に為替の影響を受けるのは連結する際の円換算の影響のみです。輸出入の取引を行っているわけではございません。インドネシアの子会社におきましては、資材の仕入れがドル建てとなり、売上に関しては国内取引でルピアにしなければならないというレギュレーションがございます。そこに為替差はございますが、基本的にはそれを価格に転嫁する仕組みがしっかり構築されております。そのため、それが実態の収益に大きなインパクトを与えることはないと存じます。
取材者:前期と比べて、人の採用の推移はいかがでしょうか?新入社員や中途採用も含めて、人員の増減についてお聞かせください。
回答者:人員の採用推移で申し上げますと、受注に応じて推移しているという状況です。新入社員の採用に関しては、弊社の年代のバランスが取れているわけではございませんので、若手の採用を積極的に行っております。ただし、他社様も同様かと存じますが、採用はかなり苦戦しているのが現状です。
取材者:ちなみに、今年の4月に採用された新入社員は何名でしたか?
回答者:9名です。高卒が7名、大卒が2名ほどで、計画通り採用できました。
取材者:貴社で主要なKPIはございますか?何か重視されている指標や数値的なものがございましたらお聞かせください。
回答者:重視する主要な指標に関しましては、営業キャッシュフローを重視して見ております。
取材者:営業キャッシュフローの推移はいかがでしょうか?
回答者:営業キャッシュフローの推移としましては、先行投資により減価償却費は膨らんでおりますが、キャッシュフローとしては維持できていると認識しております。
取材者:先行投資の部分については、どれくらいの期間で回収、あるいは成果が出てくるとお考えでしょうか?
回答者:弊社は装置産業ですので、なかなか難しいところではございます。また、先行投資という性質上、お客様が決まった状態で投資しているわけではございませんので、明確な期間は定めておりません。しかし、早く回収できるよう、取り組んでおります。
取材者:それでは、来期(2026年3月期)の通期見通しについても少しお伺いいたします。売上高は428億円で前年同期比2.6%のマイナス、営業利益は22億5,000万円で前年同期比24.9%のマイナス、経常利益は25億円で前年同期比23.2%のマイナス、親会社株主に帰属する当期純利益は17億6,000万円で前年同期比11.9%のマイナスと、減収減益の業績予想となっています。この見通しについてお聞かせいただけますか?
回答者:先ほどの説明と同様に、連結の営業利益の変動要因で申し上げますと、売上の減少による減益が2億円ほどございます 。先ほど時期の適正化、特別収益対策のお話をさせていただきましたが、やはり行うべき修繕やメンテナンスは発生しますので、修繕費等の増加が減益要因として2億円ほどございます。その他、先行投資に関連して減価償却費がさらに増加すること、開発費や、先ほど適正化した生産準備費用などが3.2億円の減益要因として挙げられます。
取材者:引き続き2026年3月期に関しても、その将来を見据えた準備期間という見方でよろしいですかね?
回答者:そのようにご認識いただけたら幸いです。
取材者:今後、M&Aや業務提携のご予定、あるいは検討状況がございましたら、お答えいただける範囲で結構ですのでお聞かせいただけますか?
回答者:そちらに関しては、正直なところ検討状況はございません。
取材者:配当や株主還元の方針について、何か変化はございますか?
回答者:配当方針に関しましては、変化はございません。しかし、2026年3月期の見通しが減収減益である中でも、配当方針に従い、配当目標を意識しながら安定的な配当を行うという方針で増配させていただいております。
取材者:貴社は中期経営計画を発表されていらっしゃいましたか?
回答者:発表しておりません。
取材者:今後、中期経営計画を発表するご予定などはございますか?
回答者:今のところ、現段階では予定はございません。みなさまからニーズがあることは認識しております。
取材者:やはり、先行投資の部分で、どのような目標を掲げているのか、数値的な目標を投資家の方々は非常に気にされている部分かと存じます。
回答者:おっしゃる通りだと存じます。ただ、なかなか難しい面もございます。新規参入であることや、まだお客様が決まっていない中で見通しが立ちにくいという点がございます。もちろん、お客様が決まって、ある程度見通しが立つようになれば、適宜開示していく所存です。
取材者:今期足元の状況で、トピックスやニュースリリース的なものがございましたらお聞かせいただけますか?
回答者:トピックスとしましては、すでに開示させていただいておりますが、一つは機械加工領域の拡大です。滋賀県の水口に土地を取得し、新たに機械加工工場を建設していくという点が第一のトピックスです。もう一点は、まだ決議は取れておりませんが、今回の総会(6月26日開催)において、退職慰労金制度を廃止し、RS制度(譲渡制限付株式報酬制度)を導入することを付議する決議をいたしました。これにより、株主の皆様とより一層価値を共有できるかと存じます。
取材者:本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
回答者:よろしくお願いいたします。
IR担当

企業名
上場市場 証券コード
決算日
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
メタルアートは、自動車や建設機械、農業機械向けの内燃機関部品の製造を主力事業とする企業である。同社は、設計から量産までを一貫して行える体制を強みとしており、鍛造だけでなく、機械加工完品まで行い、熱間鍛造、冷間鍛造、精密鍛造など様々な鍛造工法を組み合わせることで、顧客の多様なニーズに対応している。
また、カーボンニュートラル化の加速に対応するため、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業にも積極的に投資を行っています。
創業の経緯と転機となった出来事
1916年に大阪で後藤鍛工所として創業。 当時は各種の軍需部品の生産から始まり、終戦後にはヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していた。 1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設。 1991年に現在のメタルアートに商号変更した。
直近の決算状況
直近の決算では、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少している。 これは、新規事業への先行投資による設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因である。
特徴や強み
強みは設計から量産までを一貫して行えること。熱間鍛造、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富で、機械加工においても様々な設備を保有している。 中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入している。
成長戦略
カーボンニュートラルの世界的な加速に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行っている。
株主還元策
現状は先行投資を重視しており、短期的な視点ではなく、事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていく。
今期の取り組みやトピックス
地域貢献の一環として農業事業にも参画し、地域活性化にも貢献している。
DX化への取り組み
DX化にも積極的に取り組んでおり、滋賀大学データサイエンス学部との連携によるデータドリブンな生産管理や、社内DX推進センターによる間接業務の効率化などを推進しており、既存事業の拡販と新規事業への投資を両輪に、持続的な成長を目指していく方針である。
Q: 事業内容、ビジネスモデル、特徴、強みについてご説明ください。
A: 当社のビジネスモデルは、自動車、建設機械、農業機械などの部品を中心に製造しており、メインは内燃機関部品です。鍛造というものは基本的に強度が非常に優れているものですので、強度が必要な部分に使われています。 弊社のメインとなる製品は、エンジンのコンロッドやクランクシャフトといった部品です。 強みとしては、設計から量産までを一貫して行えることで、鍛造だけでなく、機械加工完品まで行えます。 また、カーボンニュートラルの世界的な加速(主力自動車市場のBEV化)に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行い、チャレンジしています。 規模の小さい会社であれば、例えば自動車部品しか作っていないということもあると思いますが、弊社はある程度の事業規模と各セグメントを持っていますので、比較的安定した収益基盤を持っていると考えています。
Q: モータドライブの開発について、株主の中には、今までやってきたことと全く違うという意見もあるようですが、既存技術を応用発展させたものと考えて良いですか?
A: 全く親和性がない事業に出ているわけではありません。 自動車市場と関連しており、モーターコアであれば同じプレス加工技術や金型製作・保全の知見を用いることができます。 そのため、弊社の知見を活かしてやっていけると考えています。
Q: モータドライブの開発パートナー様とは、どのように出会ったのですか?
A: モータドライブに関しては、マーケティングと研究開発を通じて、開発パートナー様とであい、リラクタンスモータの開発につながりました。
Q: 鍛造の技術力に関して、他社にはない設備をお持ちですか?
A: 全くオンリーワンという設備はないと思いますが、弊社は熱間鍛造だけでなく、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富です。 また、機械加工においても様々な設備を保有しています。 現在、中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入しています。 これはモータシャフトをターゲットとしています。
Q: スクリュープレスとは具体的にどういったものですか?
A: スクリュープレスとは、軸物(シャフト)と呼ばれる長いものの成形に最適化されたプレス機です。
Q: 熱間鍛造、冷間鍛造どちらもできるということですが、それらを掛け合わせて作ることはありますか?
A: 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で精度を出すことはあります。 冷間鍛造は精度が出ますが、大きな変形ができません。 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で仕上げることで、機械加工の工程を削減するといったことができます。
Q: 貴社は100周年を迎えたそうですが、創業の経緯や思いについて教えていただけますか?
A: 1916年に大阪で後藤鍛工所として創業しました。 当時は、各種の軍需部品の生産から始まったと聞いています。 終戦後には、ヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していました。 1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設し、お客様や地元地域のバックアップ、従業員に恵まれ、高度経済成長期とともに成長してきました。 1991年に現在のメタルアートに商号変更しました。バブル経済の時期を迎え、後藤鍛工所というオーナー色の強いネーミングでは新卒採用が難しくなったということで称号変更しました。 「鋼の芸術品」を生産すると「Aggressive Risk Taking」困難に果敢に立ち向かう企業風土の創造の願いを込めて、メタルアートに変更しました。
Q: 第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少しているのはなぜですか?
A: これは先行投資によるものです。 設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因です。 新規事業への先行投資が多いです。
Q: 収益の季節性があるのでしょうか?
A:自動車がメインですので、モデルチェンジに伴い、部品が入れ替わっていくことがあります。 常に拡販活動をしていかないと、売上が減少していくことになります。 季節性でいえば、自動車業界は年度末に向けてシェア争いをしますので、第4四半期が伸びる傾向にあります。
Q: 特に付き合いのある自動車メーカーはありますか?
A: ダイハツ工業の関連会社ですので、ダイハツ工業様がメインです。 トヨタグループとも取引があります。 海外では、開示していないため言えませんが、ケイレツを超えて様々な企業と取引しています。
Q: 海外の売上比率はどれくらいですか?
A: 中間期の実績で約18%です。インドネシアに子会社があり、インドネシアが主な売上先です。
Q: 来年から始まる農業事業についてご説明いただけますか?
A: メタルアートグループは、地域に愛される企業を目指しており、「コト作り」を掲げて地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。 その一つとして、農業事業に参画しています。 農業事業はあくまでCSV(共通価値創造)という考え方で、経済的に自立した活動を目指しています。
地元地域への貢献と弊社シニアの方をどう活躍させていくのかという課題意識の中で、従業員から農業事業の提案がありました。 草津市にはイチゴ農家が少なかったため、草津市とも協力し、地域活性化に繋がる事業として参画しました。
Q: 地域の雇用推進に力を入れているということですか?
A: むやみに雇用すると事業として成り立ちませんので、雇用は最適化を図りながら地域に貢献していくようにしています。 また、弊社はBtoB企業なので知名度がありません。 製造業はイメージが悪い面もありますので、BtoC事業を持つことによって、知名度向上とリクルートに繋げたいという思いもあります。
Q: DX化に対する取り組みについて教えてください。
A: DX、IoT、FAそれぞれに取り組んでいます。 新しいラインを引いたり、省人化にも取り組んでいます。 IoT化では、滋賀大学データサイエンス学部と連携し、データドリブンな生産管理を行っています。 DX化では、間接業務の効率化に取り組んでいます。 社内にDX推進センターという組織があり、メンバーが講師となってスタッフ教育を実施しています。 まだまだこれからで、伸び代があると考えています。 データの可視化により、例えば故障する前に予兆を感知して保全するといったことを実現したいと考えています。 傾向管理をしっかりと可視化し、異常の閾値を決め、アラートを出すことでカンコツに頼らずに対応できるようにしていきます。
Q: 株主還元施策についての方針や戦略はありますか?
A: 配当方針は、開示している通りですが、現状は先行投資を重視しています。 弊社は現状、内燃機関の部品がメインですので、BEV化が進むと事業規模は縮小していくことが明確です。 そのため、リスクを取って先行投資を続けていかないと、持続的な成長は難しいと考えています。 短期的な視点でやってしまうと、将来ジリ貧になってしまいます。 事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていきたいと考えています。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社のビジネスモデルは、自動車、建設機械、農業機械などの部品を中心に製造しておりまして、メインは内燃機関部品です。鍛造というものは基本的に強度が非常に優れているものですので、強度が必要な部分に使われております。
弊社のメインは、エンジンのコンロッドやクランクシャフトといった部品です。強みは、設計から量産までを一貫して行えることです。鍛造だけでなく、機械加工完品まで行えます。
取材者:鍛造事業だと、そこまで一貫してやられている会社は少ないのですか?
回答者:鍛造事業として複数の鍛造工法が可能で、機械加工完品まで一貫して行っている会社は多くありません。弊社としても強みとしております。
やはり、対応できる領域が広い方が柔軟な対応ができ、コスト面でも中間工程の削減や納期の短縮など、様々なメリットがあります。
また、カーボンニュートラルの世界的な加速(主力自動車市場のBEV化)に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行い、チャレンジしております。規模の小さい会社であれば、例えば自動車部品しか作っていないということもあると思いますが、弊社はある程度の事業規模と各セグメントを持っていますので、比較的安定した収益基盤を持っていると考えております。
取材者: 株主の中には、モータドライブの開発について、今までやってきたことと全く違うという意見もあるようですが、それは既存技術を応用発展させたものと考えて良いですか?
回答者: 全く親和性がない事業に出ているわけではありません。自動車市場と関連しており、モーターコアであれば同じプレス加工技術や金型製作・保全の知見を用いることができます。そのため、弊社の知見を活かしてやっていけると考えております。
また、モータドライブに関しては、マーケティングと研究開発を通じて、開発パートナー様とであい、リラクタンスモータの開発につながりました。
取材者: 鍛造の技術力に関して、他社にはない設備をお持ちですか?
回答者: 全くオンリーワンという設備はないと思いますが、弊社は熱間鍛造だけでなく、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富です。また、機械加工においても様々な設備を保有しています。
現在、中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入しております。
これはモータシャフトをターゲットとしています。
取材者: スクリュープレスとは具体的にどういったものですか?
回答者: 軸物(シャフト)と呼ばれる長いものの成形に最適化されたプレス機です。
取材者: 熱間鍛造、冷間鍛造どちらもできるということですが、それらを掛け合わせて作ることはありますか?
回答者: 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で精度を出すことはあります。冷間鍛造は精度が出ますが、大きな変形ができません。熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で仕上げることで、機械加工の工程を削減するといったことができます。
取材者: なるほど。お客様の要望に合わせて、納期、精度、コストなどを考慮しながら提案できるということですね。
回答者: 様々な選択肢の中から、お客様に最適な提案をさせていただきます。
取材者: 貴社は100周年を迎えたそうですが、創業の経緯や思いについて教えていただけますか?
回答者: 1916年に大阪で後藤鍛工所として創業しました。当時は、各種の軍需部品の生産から始まったと聞いております。終戦後には、ヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していました。
1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設し、お客様や地元地域のバックアップ、従業員に恵まれ、高度経済成長期とともに成長してきました。
1991年に現在のメタルアートに商号変更しました。
取材者: なぜ商号変更したのですか?
回答者: バブル経済の時期を迎え、後藤鍛工所というオーナー色の強いネーミングでは新卒採用が難しくなったということがありました。「鋼の芸術品」を生産すると「Aggressive Risk Taking」困難に果敢に立ち向かう企業風土の創造の願いを込めて、メタルアートに変更しました。
取材者: 先日発表された第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少しているのはなぜですか?
回答者: これは先行投資によるものです。設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因です。
取材者: 新規事業の先行投資が多いということですか?
回答者: はい、ほとんどそうです。
取材者: 既存事業の拡販については、何か取り組まれていることはありますか?
回答者: 新規事業だけに注力しているわけではなく、既存事業の拡販にも取り組んでいます。様々な部品を受注し、生産準備を進めています。
取材者: いきなり大口の受注があったり、季節性があったりするのでしょうか?
回答者: いきなり大口の受注は難しいですが、自動車がメインですので、モデルチェンジに伴い、部品が入れ替わっていくことがあります。常に拡販活動をしていかないと、売上が減少していくことになります。
季節性でいえば、自動車業界は年度末に向けてシェア争いをしますので、第4四半期が伸びる傾向にあります。
取材者: 特に付き合いのある自動車メーカーはありますか?
回答者: ダイハツ工業の関連会社ですので、ダイハツ工業様がメインです。トヨタグループとも取引があります。海外では、開示していないため言えませんが、ケイレツを超えて様々な企業と取引しています。
取材者: 海外の売上比率はどれくらいですか?
回答者: 中間期の実績で約18%です。
取材者: 中国や東南アジアが多いのですか?
回答者: インドネシアに子会社があり、インドネシアがメインです。
取材者: 来年から始まる農業事業についてご説明いただけますか?
回答者: メタルアートグループは、地域に愛される企業を目指しており、「コト作り」を掲げて地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。その一つとして、農業事業に参画しています。
農業事業はあくまでCSV(共通価値創造)という考え方で、経済的に自立した活動を目指しています。
取材者: 農業機械向けのエンジンを作っていたから、という関連性はないのですか?
回答者: その関連性はありません。
地元地域への貢献と弊社シニアの方をどう活躍させていくのかという課題意識の中で、従業員から農業事業の提案がありました。
草津市にはイチゴ農家が少なかったため、草津市とも協力し、地域活性化に繋がる事業として参画しました。
取材者: 地域の雇用推進に力を入れているということですね?
回答者: むやみに雇用すると事業として成り立ちませんので、最適化を図りながら雇用を行い地域に貢献していきたいと考えています。
また、弊社はBtoB企業なので知名度がありません。製造業はイメージが悪い面もありますので、BtoC事業を持つことによって、知名度向上とリクルートに繋げたいという思いもあります。
取材者: DX化に対する取り組みについて教えてください。
回答者: DX、IoT、FAそれぞれに取り組んでいます。新しいラインを引いたり、省人化にも取り組んでいます。
IoT化では、滋賀大学データサイエンス学部と連携し、データドリブンな生産管理を行っています。
DX化では、間接業務の効率化に取り組んでいます。社内にDX推進センターという組織があり、メンバーが講師となってスタッフ教育を実施しています。
取材者: まだまだこれからということですね?
回答者: はい。伸び代があると考えています。
取材者: 製造ラインにもDX化は生かされていくのですか?
回答者: データの可視化により、例えば故障する前に予兆を感知して保全するといったことを実現したいと考えています。
取材者: 計画的に設備の管理ができるようになるのですね?
回答者: はい。傾向管理をしっかりと可視化し、異常の閾値を決め、アラートを出すことでカンコツに頼らずに対応できるようにしていきます。
取材者: 株主還元施策についての方針や戦略はありますか?
回答者: 配当方針は、開示している通りですが、現状は先行投資を重視しています。弊社は現状、内燃機関の部品がメインですので、BEV化が進むと事業規模は縮小していくことが明確です。
そのため、リスクを取って先行投資を続けていかないと、持続的な成長は難しいと考えています。
取材者: 先行投資を重視していくということですね?
回答者: 短期的な視点でやってしまうと、将来ジリ貧になってしまいます。事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていきたいと考えています。
IR担当

(株)メタルアート
東証STD 5644
決算:3月末日
CP&X
【2026年3月期 第2四半期】
決算概要
国内市場回復と原価低減が寄与するも修繕費増等により最終減益
売上高は22,233百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は1,463百万円(同0.6%増)の増収増益、中間純利益は934百万円(同13.3%減)の減益での着地。増益の主な要因は、国内自動車市場の回復や建機・農機分野の底打ちに伴う売上増加効果(約277百万円)および継続的な原価低減活動の効果(約90百万円)。一方、減益の主な要因として、先行投資に伴う減価償却費の増加(131百万円)に加え、前年の修繕時期適正化の反動による修繕費の増加(142百万円)がある。
セグメント別または事業別の増減要因
国内ダイハツシェア回復とインドネシア市場の苦戦
国内市場では、主要顧客であるダイハツ工業のシェア回復が売上増加を牽引し、建設機械や農業機械分野においても底打ち感が見られる推移。一方、海外のインドネシア市場においては、中国系EVメーカーの台頭により日系メーカーのシェアが約5年前の95%程度から直近で75%程度まで低下するなど競争環境が激化。現地政府によるEV化促進を目的とした完成車輸入インセンティブ政策の影響で、内国生産産業の空洞化が進行。
主要KPIの進捗と変化
FA化やDXによる生産性向上と事業構造改革投資の継続
既存事業の体質強化として予算管理を徹底し、大きな収益ドライバーとして機能。効率化・合理化の観点からは、ロボット化や自動検査などのファクトリーオートメーション(FA)および間接部門におけるRPAやBIツール活用による人原単位の向上を推進。現在は事業構造改革に向けた先行投資段階であり、新規事業がトップラインに寄与するには至っていないものの、モーター事業などPR活動を通じて顧客からの関心を獲得。
季節性・一過性要因の有無と影響
インドネシア政策変更による輸入増と修繕費の反動増
インドネシア市場において、年内で打ち切り予定のEV完成車輸入へのインセンティブ政策に伴う駆け込み需要が発生し、輸入品増加による現地生産減少というネガティブな影響が継続。またコスト面では、前年に特別利益対策として実施した修繕時期の適正化の影響で、今期の修繕費が前年比で142百万円増加するという一過性の変動が発生。
通期見通しと進捗率・達成可能性
国内堅調と海外厳況を織り込み見通しを見直し
通期の見通しは、堅調な国内自動車市場と建機・農機の回復基調をプラス要因として織り込む一方、インドネシア市場の苦戦をマイナス要因として勘案し見直しを実施。インドネシアにおけるEVインセンティブ政策は年内打ち切り予定だが、駆け込み需要の影響等については今年度中続く想定。主要顧客によるASEAN輸出拠点化などの対策効果が今後のポイントとなる見通し。
トピックス
先行投資フェーズにおける増配決定と企業ブランディング強化
事業構造改革への先行投資を最優先としつつも、株主への還元を重視し増配を決定。人材戦略および認知度向上策として、現場若手の初任給引き上げや福利厚生充実を図るとともに、トップ主導によるビジョン経営やコトづくり(地域貢献)活動による企業ブランディングを強化。
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取材アーカイブ
決算概要
2026年3月期1Qは、売上高106.7億円(前年同月比+4.7%)、営業利益4.31億円(同+0.2%)、経常利益5.19億円(同+7.3%)。親会社株主に帰属する四半期純利益は2.95億円(同▲14.2%)。国内自動車向けの回復とその他部門の拡販が増収に寄与。一方、前年は一部顧客の操業停止に伴う受取補償金等の特別利益があった反動で純利益は減少。減価償却費の増加影響は、全社的な原価低減で吸収し営業利益は前年並みを確保しました。
セグメント別または事業別の増減要因
自動車部品:87.63億円(前年同月比+5.8%)。国内は出荷停止影響の解消で需要が回復。
海外(アセアン市場)は経済低迷で減少。
建設機械部品:13.66億円(同▲8.1%)。欧米中心に需要が低迷。
農業機械部品:1.77億円(同▲17.3%)。欧米中心に需要が低迷。
その他:3.66億円(同+73.7%)。新規拡販が寄与。
主要KPIの進捗と変化
概ね想定線。
季節性・一過性要因の有無と影響
前年1Qに計上された受取補償金等の特別利益の反動で純利益が減少。
前年1Qに対して売上は増加したものの、前年、特別利益対策として行った修繕時期の適正化の反動もあり、修繕費等が増加。
通期見通しと進捗率・達成可能性
受注環境は不安定ながら、通期見通しに対する進捗状況は概ね想定線。
建設機械部品に関して底打ち感が見られる。
トランプ関税による影響を注視。
トピックス
・連結子会社の吸収合併
2025年4月1日に主力である自動車市場の電動化及び日本の超少子高齢化にグループ一体となり事業構造を変革し、機動的かつ柔軟に対応することを目的として、株式会社メタルフォージを吸収合併。
・自己株式取得の実施
株主還元策の一環として、1株あたりの価値向上を目的として実施。
自己株式数は2025年3月期末254,790株⇒2026年3月期1Q 300,790株。
・役員退職慰労金制度の廃止とRS制度(譲渡制限付株式報酬制度)の導入
株主価値共有を一層の推進し、企業価値向上に貢献することを目的に導入。
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IR担当
取材アーカイブ
決算概要
2025年3月期の通期業績は、売上高439億5400万円(前年同期比2.4%減)と減収であった。営業利益は29億9500万円(前年同期比2.5%増)、経常利益は32億5300万円(前年同期比2.2%増)と増益を確保した一方、親会社株主に帰属する当期純利益は19億9800万円(前年同期比5.7%減)と減益であった。営業利益の増減要因としては、売上減少による1.3億円の減益要因が存在したものの、原価低減や、受注落ち込みに対する費用・大型修繕期間の先延ばしといった特別収益対策により3.5億円の増益要因を確保したことが挙げられる。一方で、先行投資継続に伴う減価償却費の増加が営業利益を押し下げる要因となった。
セグメント別または事業別の増減要因
特定のセグメント別または事業別の業績変化に関する具体的な記述はございませんが、2025年3月期における売上減少の背景として、欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことが影響し、売上が下振れするとの見込みであったことが述べられている。
主要KPIの進捗と変化
重視する主要なKPIは営業キャッシュフローである。営業キャッシュフローの推移については、先行投資により減価償却費が増加しているものの、企業としては維持できているとの認識である。先行投資の回収期間については明確な期間は定めていないものの、早期回収に向けて取り組んでいる。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期の売上においては、欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことが、売上が下振れしたとの認識が示されている。これに対し、企業側は通常の原価低減に加え、費用や大型修繕の期間を先延ばしするといった特別収益対策を講じ、これらが生産準備費用の減少や原価低減として寄与した。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の通期業績見通しは、売上高428億円(前年同期比2.6%減)、営業利益22億5000万円(同24.9%減)、経常利益25億円(同23.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益17億6,000万円(同11.9%減)と、減収減益を予想している。連結営業利益の減益要因としては、売上減少による2億円の減益、修繕費等の増加による2億円の減益、先行投資に関連する減価償却費のさらなる増加、開発費、および適正化した生産準備費用などによる3.2億円の減益が挙げられる。2026年3月期は、将来を見据えた準備期間と認識されている。
トピックス
直近のトピックスとして、機械加工領域の拡大がある。具体的には、滋賀県の水口に土地を取得し、新たな機械加工工場を建設する計画を進行中である。これは事業領域の拡大に向けた先行投資である。また、現時点では決議は未了であるものの、来る株主総会において、退職慰労金制度の廃止とRS制度(譲渡制限付株式報酬制度)の導入を付議する予定である。この制度変更は、株主価値の共有を一層推進し、企業価値向上に貢献することを目的としている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略の重要なポイントとして、機械加工領域の拡大を推進しております。具体的には、滋賀県水口に土地を取得し、新たな機械加工工場の建設を進めていく計画でございます。これは、弊社の事業領域を拡大し、さらなる成長の基盤を築くための先行投資となります。
また、現時点ではまだ決議前ではございますが、本年6月26日に開催予定の株主総会において、役員向けの退職慰労金制度を廃止し、RS制度(譲渡制限付株式報酬制度)を導入することを付議する予定でございます。この制度変更は、役員報酬と企業価値の連動性を高めることで、株主の皆様とより一層価値を共有し、中長期的な企業価値向上への貢献を促進することを目的としております。これらの施策は、事業構造の強化と、株主価値最大化へのコミットメントを示すものと考えております。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期の通期見通しにつきましては、売上高は428億円で前年同期比2.6%のマイナス、営業利益は22億5000万円で前年同期比24.9%のマイナス、経常利益は25億円で前年同期比23.2%のマイナス、親会社株主に帰属する当期純利益は17億6,000万円で前年同期比11.9%のマイナスと、減収減益を予想しております。この減益の主な要因は、売上の減少による約2億円の減益に加え、時期の適正化や特別収益対策として、本来行うべき修繕やメンテナンスを先送りする対応を取った結果、修繕費等の増加が約2億円の減益要因として発生することにあります。さらに、先行投資に関連する減価償却費の増加、開発費、および生産準備費用などが約3.2億円の減益要因として挙げられます。これらの状況を踏まえ、2026年3月期は、将来を見据えた準備期間と位置付けて事業運営を進めてまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:弊社の株主還元方針につきましては、従来からの変更はございません。安定的な配当を継続するという方針に基づき、2026年3月期の業績見通しが減収減益である中でも、配当目標を意識し、増配を実施させていただいております。これは、株主の皆様への安定的な利益還元を重視する弊社の姿勢を示すものでございます。
取材者:まず初めに、2025年3月期の業績についてお伺いいたします。売上高は439億5400万円で前年同期比2.4%減、営業利益は29億9500万円で前年同期比2.5%の増加、経常利益は32億5300万円で前年同期比2.2%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は19億9800万円で前年同期比5.7%の減益となりました。減収・営業利益は増益ではございますが、昨年と同様に推移しているかと存じます。この業績の増減要因についてご説明をお願いできますか?
回答者:承知いたしました。増減要因につきましては、まず営業利益の増減要因からお話しさせていただきますと、売上の減少が1.3億円ほどの減益要因としてございます。売上減少の支配的な要因は欧米市場を中心とした建設機械、農業機械のいわゆる産業機械の落ち込みが大きかったことになります。増益の要因としては昨年、ダイハツ様の件がございましたので、売上が下振れすると弊社では考えておりました。それに対し、特別収益対策と銘打ち、通常の原価低減以外に、受注が落ち込むことに対して、できるだけ費用や大型修繕の期間を先延ばしするなどの適正化に取り組みました。これらの内容は、開示資料では生産準備費用の減少や原価低減として開示しており、3.5億円ほどございます。弊社はご承知の通り、先行投資を継続しておりますので、減価償却費の増加が減益要因として2億円ほどございます。また、インドネシア市場も悪化しておりますので、その影響で3000万円ほど減益となっております。
取材者:全体的に、収益調整がうまくいったということですね。2月に発表された業績修正の理由も、そういった部分に起因するのですか?
回答者:2月に出しました業績修正に関しては、上期の特別収益対策の影響が出ており、通期の見通しは変更していなかったのですが、下期も特別収益対策を継続することが決定されましたので、それに基づいて通期の業績見通しを修正させていただきました。
取材者:下期も継続されたのですね。ダイハツ様の件以外に、為替の問題など、業績に影響するような外的要因はございましたか?
回答者:弊社にはインドネシアの子会社がございますが、実際に為替の影響を受けるのは連結する際の円換算の影響のみです。輸出入の取引を行っているわけではございません。インドネシアの子会社におきましては、資材の仕入れがドル建てとなり、売上に関しては国内取引でルピアにしなければならないというレギュレーションがございます。そこに為替差はございますが、基本的にはそれを価格に転嫁する仕組みがしっかり構築されております。そのため、それが実態の収益に大きなインパクトを与えることはないと存じます。
取材者:前期と比べて、人の採用の推移はいかがでしょうか?新入社員や中途採用も含めて、人員の増減についてお聞かせください。
回答者:人員の採用推移で申し上げますと、受注に応じて推移しているという状況です。新入社員の採用に関しては、弊社の年代のバランスが取れているわけではございませんので、若手の採用を積極的に行っております。ただし、他社様も同様かと存じますが、採用はかなり苦戦しているのが現状です。
取材者:ちなみに、今年の4月に採用された新入社員は何名でしたか?
回答者:9名です。高卒が7名、大卒が2名ほどで、計画通り採用できました。
取材者:貴社で主要なKPIはございますか?何か重視されている指標や数値的なものがございましたらお聞かせください。
回答者:重視する主要な指標に関しましては、営業キャッシュフローを重視して見ております。
取材者:営業キャッシュフローの推移はいかがでしょうか?
回答者:営業キャッシュフローの推移としましては、先行投資により減価償却費は膨らんでおりますが、キャッシュフローとしては維持できていると認識しております。
取材者:先行投資の部分については、どれくらいの期間で回収、あるいは成果が出てくるとお考えでしょうか?
回答者:弊社は装置産業ですので、なかなか難しいところではございます。また、先行投資という性質上、お客様が決まった状態で投資しているわけではございませんので、明確な期間は定めておりません。しかし、早く回収できるよう、取り組んでおります。
取材者:それでは、来期(2026年3月期)の通期見通しについても少しお伺いいたします。売上高は428億円で前年同期比2.6%のマイナス、営業利益は22億5,000万円で前年同期比24.9%のマイナス、経常利益は25億円で前年同期比23.2%のマイナス、親会社株主に帰属する当期純利益は17億6,000万円で前年同期比11.9%のマイナスと、減収減益の業績予想となっています。この見通しについてお聞かせいただけますか?
回答者:先ほどの説明と同様に、連結の営業利益の変動要因で申し上げますと、売上の減少による減益が2億円ほどございます 。先ほど時期の適正化、特別収益対策のお話をさせていただきましたが、やはり行うべき修繕やメンテナンスは発生しますので、修繕費等の増加が減益要因として2億円ほどございます。その他、先行投資に関連して減価償却費がさらに増加すること、開発費や、先ほど適正化した生産準備費用などが3.2億円の減益要因として挙げられます。
取材者:引き続き2026年3月期に関しても、その将来を見据えた準備期間という見方でよろしいですかね?
回答者:そのようにご認識いただけたら幸いです。
取材者:今後、M&Aや業務提携のご予定、あるいは検討状況がございましたら、お答えいただける範囲で結構ですのでお聞かせいただけますか?
回答者:そちらに関しては、正直なところ検討状況はございません。
取材者:配当や株主還元の方針について、何か変化はございますか?
回答者:配当方針に関しましては、変化はございません。しかし、2026年3月期の見通しが減収減益である中でも、配当方針に従い、配当目標を意識しながら安定的な配当を行うという方針で増配させていただいております。
取材者:貴社は中期経営計画を発表されていらっしゃいましたか?
回答者:発表しておりません。
取材者:今後、中期経営計画を発表するご予定などはございますか?
回答者:今のところ、現段階では予定はございません。みなさまからニーズがあることは認識しております。
取材者:やはり、先行投資の部分で、どのような目標を掲げているのか、数値的な目標を投資家の方々は非常に気にされている部分かと存じます。
回答者:おっしゃる通りだと存じます。ただ、なかなか難しい面もございます。新規参入であることや、まだお客様が決まっていない中で見通しが立ちにくいという点がございます。もちろん、お客様が決まって、ある程度見通しが立つようになれば、適宜開示していく所存です。
取材者:今期足元の状況で、トピックスやニュースリリース的なものがございましたらお聞かせいただけますか?
回答者:トピックスとしましては、すでに開示させていただいておりますが、一つは機械加工領域の拡大です。滋賀県の水口に土地を取得し、新たに機械加工工場を建設していくという点が第一のトピックスです。もう一点は、まだ決議は取れておりませんが、今回の総会(6月26日開催)において、退職慰労金制度を廃止し、RS制度(譲渡制限付株式報酬制度)を導入することを付議する決議をいたしました。これにより、株主の皆様とより一層価値を共有できるかと存じます。
取材者:本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
回答者:よろしくお願いいたします。
IR担当
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
メタルアートは、自動車や建設機械、農業機械向けの内燃機関部品の製造を主力事業とする企業である。同社は、設計から量産までを一貫して行える体制を強みとしており、鍛造だけでなく、機械加工完品まで行い、熱間鍛造、冷間鍛造、精密鍛造など様々な鍛造工法を組み合わせることで、顧客の多様なニーズに対応している。
また、カーボンニュートラル化の加速に対応するため、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業にも積極的に投資を行っています。
創業の経緯と転機となった出来事
1916年に大阪で後藤鍛工所として創業。 当時は各種の軍需部品の生産から始まり、終戦後にはヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していた。 1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設。 1991年に現在のメタルアートに商号変更した。
直近の決算状況
直近の決算では、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少している。 これは、新規事業への先行投資による設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因である。
特徴や強み
強みは設計から量産までを一貫して行えること。熱間鍛造、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富で、機械加工においても様々な設備を保有している。 中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入している。
成長戦略
カーボンニュートラルの世界的な加速に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行っている。
株主還元策
現状は先行投資を重視しており、短期的な視点ではなく、事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていく。
今期の取り組みやトピックス
地域貢献の一環として農業事業にも参画し、地域活性化にも貢献している。
DX化への取り組み
DX化にも積極的に取り組んでおり、滋賀大学データサイエンス学部との連携によるデータドリブンな生産管理や、社内DX推進センターによる間接業務の効率化などを推進しており、既存事業の拡販と新規事業への投資を両輪に、持続的な成長を目指していく方針である。
Q: 事業内容、ビジネスモデル、特徴、強みについてご説明ください。
A: 当社のビジネスモデルは、自動車、建設機械、農業機械などの部品を中心に製造しており、メインは内燃機関部品です。鍛造というものは基本的に強度が非常に優れているものですので、強度が必要な部分に使われています。 弊社のメインとなる製品は、エンジンのコンロッドやクランクシャフトといった部品です。 強みとしては、設計から量産までを一貫して行えることで、鍛造だけでなく、機械加工完品まで行えます。 また、カーボンニュートラルの世界的な加速(主力自動車市場のBEV化)に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行い、チャレンジしています。 規模の小さい会社であれば、例えば自動車部品しか作っていないということもあると思いますが、弊社はある程度の事業規模と各セグメントを持っていますので、比較的安定した収益基盤を持っていると考えています。
Q: モータドライブの開発について、株主の中には、今までやってきたことと全く違うという意見もあるようですが、既存技術を応用発展させたものと考えて良いですか?
A: 全く親和性がない事業に出ているわけではありません。 自動車市場と関連しており、モーターコアであれば同じプレス加工技術や金型製作・保全の知見を用いることができます。 そのため、弊社の知見を活かしてやっていけると考えています。
Q: モータドライブの開発パートナー様とは、どのように出会ったのですか?
A: モータドライブに関しては、マーケティングと研究開発を通じて、開発パートナー様とであい、リラクタンスモータの開発につながりました。
Q: 鍛造の技術力に関して、他社にはない設備をお持ちですか?
A: 全くオンリーワンという設備はないと思いますが、弊社は熱間鍛造だけでなく、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富です。 また、機械加工においても様々な設備を保有しています。 現在、中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入しています。 これはモータシャフトをターゲットとしています。
Q: スクリュープレスとは具体的にどういったものですか?
A: スクリュープレスとは、軸物(シャフト)と呼ばれる長いものの成形に最適化されたプレス機です。
Q: 熱間鍛造、冷間鍛造どちらもできるということですが、それらを掛け合わせて作ることはありますか?
A: 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で精度を出すことはあります。 冷間鍛造は精度が出ますが、大きな変形ができません。 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で仕上げることで、機械加工の工程を削減するといったことができます。
Q: 貴社は100周年を迎えたそうですが、創業の経緯や思いについて教えていただけますか?
A: 1916年に大阪で後藤鍛工所として創業しました。 当時は、各種の軍需部品の生産から始まったと聞いています。 終戦後には、ヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していました。 1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設し、お客様や地元地域のバックアップ、従業員に恵まれ、高度経済成長期とともに成長してきました。 1991年に現在のメタルアートに商号変更しました。バブル経済の時期を迎え、後藤鍛工所というオーナー色の強いネーミングでは新卒採用が難しくなったということで称号変更しました。 「鋼の芸術品」を生産すると「Aggressive Risk Taking」困難に果敢に立ち向かう企業風土の創造の願いを込めて、メタルアートに変更しました。
Q: 第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少しているのはなぜですか?
A: これは先行投資によるものです。 設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因です。 新規事業への先行投資が多いです。
Q: 収益の季節性があるのでしょうか?
A:自動車がメインですので、モデルチェンジに伴い、部品が入れ替わっていくことがあります。 常に拡販活動をしていかないと、売上が減少していくことになります。 季節性でいえば、自動車業界は年度末に向けてシェア争いをしますので、第4四半期が伸びる傾向にあります。
Q: 特に付き合いのある自動車メーカーはありますか?
A: ダイハツ工業の関連会社ですので、ダイハツ工業様がメインです。 トヨタグループとも取引があります。 海外では、開示していないため言えませんが、ケイレツを超えて様々な企業と取引しています。
Q: 海外の売上比率はどれくらいですか?
A: 中間期の実績で約18%です。インドネシアに子会社があり、インドネシアが主な売上先です。
Q: 来年から始まる農業事業についてご説明いただけますか?
A: メタルアートグループは、地域に愛される企業を目指しており、「コト作り」を掲げて地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。 その一つとして、農業事業に参画しています。 農業事業はあくまでCSV(共通価値創造)という考え方で、経済的に自立した活動を目指しています。
地元地域への貢献と弊社シニアの方をどう活躍させていくのかという課題意識の中で、従業員から農業事業の提案がありました。 草津市にはイチゴ農家が少なかったため、草津市とも協力し、地域活性化に繋がる事業として参画しました。
Q: 地域の雇用推進に力を入れているということですか?
A: むやみに雇用すると事業として成り立ちませんので、雇用は最適化を図りながら地域に貢献していくようにしています。 また、弊社はBtoB企業なので知名度がありません。 製造業はイメージが悪い面もありますので、BtoC事業を持つことによって、知名度向上とリクルートに繋げたいという思いもあります。
Q: DX化に対する取り組みについて教えてください。
A: DX、IoT、FAそれぞれに取り組んでいます。 新しいラインを引いたり、省人化にも取り組んでいます。 IoT化では、滋賀大学データサイエンス学部と連携し、データドリブンな生産管理を行っています。 DX化では、間接業務の効率化に取り組んでいます。 社内にDX推進センターという組織があり、メンバーが講師となってスタッフ教育を実施しています。 まだまだこれからで、伸び代があると考えています。 データの可視化により、例えば故障する前に予兆を感知して保全するといったことを実現したいと考えています。 傾向管理をしっかりと可視化し、異常の閾値を決め、アラートを出すことでカンコツに頼らずに対応できるようにしていきます。
Q: 株主還元施策についての方針や戦略はありますか?
A: 配当方針は、開示している通りですが、現状は先行投資を重視しています。 弊社は現状、内燃機関の部品がメインですので、BEV化が進むと事業規模は縮小していくことが明確です。 そのため、リスクを取って先行投資を続けていかないと、持続的な成長は難しいと考えています。 短期的な視点でやってしまうと、将来ジリ貧になってしまいます。 事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていきたいと考えています。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社のビジネスモデルは、自動車、建設機械、農業機械などの部品を中心に製造しておりまして、メインは内燃機関部品です。鍛造というものは基本的に強度が非常に優れているものですので、強度が必要な部分に使われております。
弊社のメインは、エンジンのコンロッドやクランクシャフトといった部品です。強みは、設計から量産までを一貫して行えることです。鍛造だけでなく、機械加工完品まで行えます。
取材者:鍛造事業だと、そこまで一貫してやられている会社は少ないのですか?
回答者:鍛造事業として複数の鍛造工法が可能で、機械加工完品まで一貫して行っている会社は多くありません。弊社としても強みとしております。
やはり、対応できる領域が広い方が柔軟な対応ができ、コスト面でも中間工程の削減や納期の短縮など、様々なメリットがあります。
また、カーボンニュートラルの世界的な加速(主力自動車市場のBEV化)に対応するために、モーター事業や産業用ロボット部品事業といった新規事業分野に先行投資を行い、チャレンジしております。規模の小さい会社であれば、例えば自動車部品しか作っていないということもあると思いますが、弊社はある程度の事業規模と各セグメントを持っていますので、比較的安定した収益基盤を持っていると考えております。
取材者: 株主の中には、モータドライブの開発について、今までやってきたことと全く違うという意見もあるようですが、それは既存技術を応用発展させたものと考えて良いですか?
回答者: 全く親和性がない事業に出ているわけではありません。自動車市場と関連しており、モーターコアであれば同じプレス加工技術や金型製作・保全の知見を用いることができます。そのため、弊社の知見を活かしてやっていけると考えております。
また、モータドライブに関しては、マーケティングと研究開発を通じて、開発パートナー様とであい、リラクタンスモータの開発につながりました。
取材者: 鍛造の技術力に関して、他社にはない設備をお持ちですか?
回答者: 全くオンリーワンという設備はないと思いますが、弊社は熱間鍛造だけでなく、冷間鍛造、精密鍛造など、鍛造工法のバリエーションが豊富です。また、機械加工においても様々な設備を保有しています。
現在、中空シャフト生産に競争力のあるスクリュープレスを導入しております。
これはモータシャフトをターゲットとしています。
取材者: スクリュープレスとは具体的にどういったものですか?
回答者: 軸物(シャフト)と呼ばれる長いものの成形に最適化されたプレス機です。
取材者: 熱間鍛造、冷間鍛造どちらもできるということですが、それらを掛け合わせて作ることはありますか?
回答者: 熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で精度を出すことはあります。冷間鍛造は精度が出ますが、大きな変形ができません。熱間鍛造である程度の形を作り、冷間鍛造で仕上げることで、機械加工の工程を削減するといったことができます。
取材者: なるほど。お客様の要望に合わせて、納期、精度、コストなどを考慮しながら提案できるということですね。
回答者: 様々な選択肢の中から、お客様に最適な提案をさせていただきます。
取材者: 貴社は100周年を迎えたそうですが、創業の経緯や思いについて教えていただけますか?
回答者: 1916年に大阪で後藤鍛工所として創業しました。当時は、各種の軍需部品の生産から始まったと聞いております。終戦後には、ヤンマー、クボタ、漁船のクランクシャフト・コンロッド、ダイハツの3輪貨物の部品などを生産していました。
1962年に大阪証券取引所市場第二部に上場し、1964年に滋賀県草津市に工場を新設し、お客様や地元地域のバックアップ、従業員に恵まれ、高度経済成長期とともに成長してきました。
1991年に現在のメタルアートに商号変更しました。
取材者: なぜ商号変更したのですか?
回答者: バブル経済の時期を迎え、後藤鍛工所というオーナー色の強いネーミングでは新卒採用が難しくなったということがありました。「鋼の芸術品」を生産すると「Aggressive Risk Taking」困難に果敢に立ち向かう企業風土の創造の願いを込めて、メタルアートに変更しました。
取材者: 先日発表された第2四半期の決算状況についてお伺いしたいのですが、売上高は前年並みを維持している中で、利益が減少しているのはなぜですか?
回答者: これは先行投資によるものです。設備などの減価償却費負担や開発費の増加が要因です。
取材者: 新規事業の先行投資が多いということですか?
回答者: はい、ほとんどそうです。
取材者: 既存事業の拡販については、何か取り組まれていることはありますか?
回答者: 新規事業だけに注力しているわけではなく、既存事業の拡販にも取り組んでいます。様々な部品を受注し、生産準備を進めています。
取材者: いきなり大口の受注があったり、季節性があったりするのでしょうか?
回答者: いきなり大口の受注は難しいですが、自動車がメインですので、モデルチェンジに伴い、部品が入れ替わっていくことがあります。常に拡販活動をしていかないと、売上が減少していくことになります。
季節性でいえば、自動車業界は年度末に向けてシェア争いをしますので、第4四半期が伸びる傾向にあります。
取材者: 特に付き合いのある自動車メーカーはありますか?
回答者: ダイハツ工業の関連会社ですので、ダイハツ工業様がメインです。トヨタグループとも取引があります。海外では、開示していないため言えませんが、ケイレツを超えて様々な企業と取引しています。
取材者: 海外の売上比率はどれくらいですか?
回答者: 中間期の実績で約18%です。
取材者: 中国や東南アジアが多いのですか?
回答者: インドネシアに子会社があり、インドネシアがメインです。
取材者: 来年から始まる農業事業についてご説明いただけますか?
回答者: メタルアートグループは、地域に愛される企業を目指しており、「コト作り」を掲げて地域貢献活動に積極的に取り組んでいます。その一つとして、農業事業に参画しています。
農業事業はあくまでCSV(共通価値創造)という考え方で、経済的に自立した活動を目指しています。
取材者: 農業機械向けのエンジンを作っていたから、という関連性はないのですか?
回答者: その関連性はありません。
地元地域への貢献と弊社シニアの方をどう活躍させていくのかという課題意識の中で、従業員から農業事業の提案がありました。
草津市にはイチゴ農家が少なかったため、草津市とも協力し、地域活性化に繋がる事業として参画しました。
取材者: 地域の雇用推進に力を入れているということですね?
回答者: むやみに雇用すると事業として成り立ちませんので、最適化を図りながら雇用を行い地域に貢献していきたいと考えています。
また、弊社はBtoB企業なので知名度がありません。製造業はイメージが悪い面もありますので、BtoC事業を持つことによって、知名度向上とリクルートに繋げたいという思いもあります。
取材者: DX化に対する取り組みについて教えてください。
回答者: DX、IoT、FAそれぞれに取り組んでいます。新しいラインを引いたり、省人化にも取り組んでいます。
IoT化では、滋賀大学データサイエンス学部と連携し、データドリブンな生産管理を行っています。
DX化では、間接業務の効率化に取り組んでいます。社内にDX推進センターという組織があり、メンバーが講師となってスタッフ教育を実施しています。
取材者: まだまだこれからということですね?
回答者: はい。伸び代があると考えています。
取材者: 製造ラインにもDX化は生かされていくのですか?
回答者: データの可視化により、例えば故障する前に予兆を感知して保全するといったことを実現したいと考えています。
取材者: 計画的に設備の管理ができるようになるのですね?
回答者: はい。傾向管理をしっかりと可視化し、異常の閾値を決め、アラートを出すことでカンコツに頼らずに対応できるようにしていきます。
取材者: 株主還元施策についての方針や戦略はありますか?
回答者: 配当方針は、開示している通りですが、現状は先行投資を重視しています。弊社は現状、内燃機関の部品がメインですので、BEV化が進むと事業規模は縮小していくことが明確です。
そのため、リスクを取って先行投資を続けていかないと、持続的な成長は難しいと考えています。
取材者: 先行投資を重視していくということですね?
回答者: 短期的な視点でやってしまうと、将来ジリ貧になってしまいます。事業の継続性を重視した上で、株主還元を行っていきたいと考えています。
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