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(株)オービーシステム

東証STD 5576

決算:3月末日

20250819

CP&X


決算概要

2026年3月期第1四半期の連結業績は、金融事業における銀行大型案件の端境期により受注が減少したことを主要因として、売上高は前年同期比4.0%減の17億5,300万円、営業利益は46.1%減の3,900万円、経常利益は38.1%減の5,100万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は28.3%減の6,600万円となった。

情報サービス業界においては、中東情勢や米国政策動向による景気下振れの一方、生成AIやクラウドサービス、DX関連投資など引続き投資需要が底堅く推移している。


セグメント別または事業別の増減要因

4つのサービスラインのうち、金融事業においては上記銀行案件の要因を保険その他の分野で補うところには至らなかった(12.7%減)が、産業流通事業、社会公共事業、ITイノベーション事業においては堅調に推移した。


季節性・一過性要因の有無と影響

クライアントや取引先Sierの予算執行のタイミングや開発工期の兼合いから、例年第1四半期は低く始まる傾向がある。さらに今期からグリーンキャット社を子会社化し連結対象に加えたが、同社の業績は決算期の関係から第2四半期以降に計上されることから、例年以上に年度計画に対する進捗率が低く見えるが、社内予算は達成し第2四半期以降の収益伸長を狙う。


通期見通しと進捗率・達成可能性

上記の通り季節要因があり、第2四半期以降の業績伸長を期待しており、通期業績予想は堅持している。


トピックス

5月に株式会社グリーンキャットの全株式を取得し完全子会社化した。同社の業績は第2四半期以降今期は8か月分が反映される。

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年3月期の連結業績は増収・増益。売上高は76億8,400万円で前期比11.4%増加したものの、営業利益は5億6,200万円で前期比4.8%減少、経常利益は6億1,100万円で前期比3.3%減少となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4億8,500万円で前期比9.9%増加した。売上高は順調に伸長し、当初予定をクリアしたが、営業利益および経常利益はコストの上昇が大きく、目標達成には至らなかった。経費上昇の主な要因は、新卒採用倍増による人件費の増加および研修期間の延長によるものであり、加えて子会社化したグリーンキャット社のデューデリジェンス費用も含まれる。粗利率は18.9%と前期比1.3ポイント向上しており、これは主に単価上昇が影響しているものと分析されている。特に大手顧客からの単価交渉への応諾が利益に直結したと認識されている。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高の増加は、ヒューマンテクノロジーズ社の連結子会社化による貢献が数億円規模であった。

     

    主要KPIの進捗と変化

    明確にKPIとして公表している指標はないものの、昨年策定した中期経営計画において、2027年3月期に売上高100億円、粗利率20%、営業利益率10%、ROE13%を目標としており、この計画の進捗は順調であると認識されている。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    業績変動には若干の季節要因があり、クライアントや大手Sierの予算・決算のタイミングにより、第2,4四半期および下期に売上が厚くなる傾向がある。しかしながら、一過性のものとして特筆すべき要因は存在しない。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2025年3月期の売上高は通期見通しに対し101.6%で達成されたものの、営業利益は93.7%であった。これは期初に想定していた以上にコストの増加が大きかったことに起因する。コストは予算編成時に厳しく絞っていたこと、および連結子会社化に伴うのれんや派生する部分が利益を圧迫する要因となったことが挙げられる。

     

    トピックス

    現在、外部に公表可能な取り組みとして、株式会社MILIZEとの提携による臨床検査システム「クリップ」へのAI組み込みが挙げられる。このAI導入は、今後さまざまな分野への展開につながる可能性があると見込まれている。また、人材戦略としては、成長のために規模拡大が重要であるため、新卒採用を積極的に増やしており、2024年4月には52名、2025年4月には49名を採用した。これは従来の年間20名程度の採用から大幅な増加であり、将来的な人材層の厚み形成への投資と位置付けられている。2026年3月期に向けては、グリーンキャット社の買収が売上に寄与すると見込まれるものの、買収によるシナジー効果を最大化し、利益に繋げることが課題であると認識されている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略における現在の主要な取り組みとして外部に公表できるものは、株式会社MILIZEとの提携により、当社の臨床検査システム「クリップ」にAIを組み込んだ点にございます。このAI導入は、今後さまざまな分野への展開を視野に入れた重要な一歩と考えております。2026年3月期に向けては、現在も多様な可能性を模索しており、既存の取り組みを継続しつつ、新たな施策についても検討を進めております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:2025年3月期においては、株式会社ヒューマンテクノロジーズを連結子会社化し、数億円規模の売上増加に貢献いたしました。また、今期5月1日にはグリーンキャット株式会社を子会社化しておりますが、先行したデューデリジェンス費用などが2025年3月期の販管費に含まれております。これらのM&Aによるコスト増は、将来的な成長のための先行投資であると評価しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:当社の株主還元方針に変更はございません。継続的な増配を基本方針としております。当初は配当性向30%以上を目標としておりましたが、これを早期に40%以上に引き上げ、さらに拡大していくことを目指しております。直近の2025年3月期においては、1株当たり80円の配当を実施し、配当性向は38%となりました。今期の予想としては、1株当たり100円、配当性向39.3%を計画しており、この配当水準を順調に伸ばしていきたいと思っております。

  • 取材者:まず初めに、2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高は76億8,400万円で前期比11.4%の増加、営業利益は5億6,200万円で前期比△4.8%の減少、経常利益は6億1,100万円で前期比3.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は4億8,500万円で前期比9.9%の増加とのことですが、これらの増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:はい。売上高に関しては順調に伸びていると考えております。ヒューマンテクノロジーズ社の連結子会社化による数字も含まれておりますので、その影響で数億円の売上増となっております。当初の予定もクリアした形になっていると思います。一方で、営業利益に関しましては、コストの上昇がかなり大きく、やや厳しい結果となりました。営業利益、経常利益に関しては、満足するところまではいっていないと考えております。経費上昇の主な要因は、新卒採用倍増による人件費の増加と、研修期間を延長したことによるものです。また、2025年5月1日に子会社化したグリーンキャット社のデューデリジェンスなどの費用も含まれておりますので、将来的な成長のためのコスト増と評価しております。したがって、数字が足りなかった点は不満ですが、方向性としては間違っていないと考えております。

    取材者:粗利率に関しましては、18.9%と前期に比べて1.3pt伸びているかと思いますが、その要因はどのようなことでしょうか。

    回答者:詳細な分析はできておりませんが、やはり単価の上昇が影響していると考えております。最近では、単なる賃上げだけでなく、サプライチェーン全体にわたって気を配るようにという国の指示も出ておりますので、大手である日立様を中心に単価交渉に応じていただけるようになったことが要因として挙げられます。この部分はそのまま利益に直結するため、ある程度達成できたのではないかと考えております。

    取材者:通期の見通しに対して、売上高は101.6%で達成された一方で、営業利益は93.7%とのことですが、これは期初に、想定していた以上にコストの増加が大きかったという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。コストに関しては、予算編成時にかなり厳しく絞っておりましたので、達成が難しい部分もありました。連結子会社が増えると、当然ながらのれんや、そこから派生する部分が利益を圧迫する要因となります。それが無駄なコストでなければ良いと考えております。

    取材者:先ほどお話にもありましたが、人材採用につきましては、前期比で採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:これまで継続して採用活動は行っておりますが、成長を考えた際に規模の拡大が必要であるため、新卒採用を増やしております。それまでは毎年20名程度の採用でしたが、2024年4月には52名、今期2025年4月には49名を採用いたしました。この新卒社員が2年、3年と経験を積んで戦力化してくれば、人材の層の厚みもできてくるのではないかと考えております。当社はまだ小さな会社ですので、400名、500名規模の企業においては、1割の増員は人件費の増加という点で無視できない数字となります。しばらくの間は、コストが増加する部分が出てくるかもしれません。しかし、これにより赤字になるような状況ではありません。まだ財務的にも余裕がございますので、ここで投資を行い、将来的な布石を打っていくのが経営トップの考えでございます。

    取材者:承知いたしました。貴社の主要なKPIはどのようなものでしょうか。

    回答者:明確にKPIとして公表しているわけではありませんが、昨年策定した中期経営計画において、2027年3月期には売上高100億円、粗利率20%、営業利益10%、ROE13%といった目標を掲げております。

    取材者:そうしますと、中期経営計画の進捗状況はいかがでしょうか。

    回答者:進捗状況は順調であると考えております。

    取材者:今期も過去最高の売上高を達成されており、通期の業績予想も100%以上の増加とかなり高い数字を出されていますね。

    回答者:今期はグリーンキャット社の買収もありましたので、売上としては10数億、元々ある会社ですから、十分に伸びるとは考えております。ただ、一方で利益のほうですね。先ほどもお話しましたが、どれだけシナジー効果によってプラスアルファを生み出せるかがポイントになると思います。

    取材者:そういった点で、グリーンキャットの買収などの効果が出てくるのは今後の話になってくるという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。

    取材者:その他、今後のM&Aや業務提携に関して、実施状況や検討状況を教えていただけますか。

    回答者:プラスになることは何でも取り組みたいと考えておりますが、目に見えて効果が出る部分はまだ難しいと考えております。一つは、AIがポイントになるかと思いますので、社内で推進はしておりますが、現状では外部に公表できるものとしてはMILIZE社との提携で、当社の臨床検査システムのクリップにAIを組み込んだという点が挙げられます。こういった取り組みが続けば、今後様々な分野に広がっていく可能性があると考えております。

    取材者:なるほど。今後の展開に注目させていただきます。貴社の業績に影響するような特有の季節性や一過性のイベント的なものはございましたでしょうか。

    回答者:当社の場合、業績の変動に季節要因は若干あります。クライアント様や大手Sier様の予算・決算のタイミングで、第2,4四半期に売上が厚くなったり、下期の方がやや売上が厚くなったりといったことはありますが、一過性のものとして特筆すべきものはございません。

    取材者:承知いたしました。株主還元の方針につきまして、変更などはございますか。

    回答者:変更はございません。継続的に増配していく方針です。元々30%以上の配当性向を目標としておりましたが、早期に40%以上に引き上げ、さらに拡大していきたいと考えております。今期の2025年3月期は80円で38%の配当性向となりますが、今期の予想としては100円で39.3%となっており、これが順調に伸びていけばと考えております。

    取材者:その他、足元のニュースリリースやトピックスがございましたら教えていただけますか。

    回答者:足元で特筆すべきニュースリリースはございません。

    取材者:2026年3月期の業績予想として、売上高は94億で前期比22.3%の増加、営業利益は7億2,000万円で前期比28.0%の増加、経常利益は7億6,700万円で前期比25.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億9,000万円で前期比21.6%の増加とのことですが、新たに始められる施策や検討されていることはございますか。

    回答者:様々な可能性を探っているところや、当社が取り組んでいることに対してお声がけいただくことはございますが、まだお話できるレベルではございません。

    取材者:なるほど。それでは、今後、今期の動きを見ながら様々お聞かせいただければと思います。

    回答者:はい。やはり単純な再生産だけではいけません。未上場の段階であれば、社員を中心に会社が安定し、社員が生活できるという状況で良かったと思いますが、上場したことで意識を変えていかなければなりません。ステークホルダーがこれだけ広がっている中で、何ができるか、自社だけでなく社会に対する影響も考えていかなければならないと社長が積極的に推進しております。未上場の頃はESGといった概念は全くありませんでしたので、まだまだこれからといった状況です。上場したとはいえ、まだ小さな会社ですので、まずは会社を伸ばしていくことが重要です。そして、社会のインフラ整備に貢献するといったことを社是として掲げておりますので、まずは土台の部分をしっかり固めていきたいと考えております。

    取材者:まさに2027年度連結売上高100億円に向けて、今期も含めて土台を作りながら成長を支えていくという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。まだ会社としてそこまで余裕があるわけではありません。M&Aに関しても、止めているわけではありませんが、昨年ヒューマン&テクノロジーを連結子会社化するにあたり、連結という形にするために時間をかけてシナジーを検討してまいりました。グリーンキャットも5月に買収しましたが、これも今のところはまだ単純な足し算です。これをうまく連携させ、掛け算に近いところにどう持っていくかが、ある意味今期の課題かもしれません。

    取材者:なるほど。そういったシナジー効果に注目させていただきますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

    回答者:よろしくお願いいたします。

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • ビジネスモデルや事業内容

    株式会社オービーシステムは、1972年の設立以来、大手SIerへのソフトウェア供給を基盤とする事業を展開している。主要な取引先として、株式会社日立製作所および同社の子会社、三菱電機ソフトウェアなどが挙げられる。事業領域は金融分野に強みを持ちながらも、ITイノベーション事業を設立し、DX支援にも力を入れている点が特徴である。事業本部は、金融、ITイノベーション、産業流通、社会公共の4つで構成される。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    創業者の山田氏が、株式会社オービックの野田会長との前職での縁をきっかけに、同社向けソフトウェア開発を目的に会社を設立した経緯を持つ。その後、株式会社日立製作所との取引開始が、現在の事業の大きな流れを作る転機となった。2023年6月21日には上場を果たし、これを機に更なる成長と社会貢献を目指すこととなった。

     

    直近の決算状況

    同社は、上場以来、売上、利益ともに順調な成長を示している。

     

    特徴や強み

    株式会社オービーシステムの大きな特徴として、株式会社日立製作所との40年以上、三菱電機ソフトウェア株式会社との30数年という長期にわたる安定的な取引関係が挙げられる。また、金融分野において豊富な実績とノウハウを有することも強みである。顧客との信頼関係を重視し、現場主導型の営業スタイルを確立している点も特徴である。さらに、上場による信用力向上と、人材採用における競争力強化も、同社の強みとして挙げられる。

     

    成長戦略

    同社は、ITイノベーション事業の強化を通じてDX市場への展開を図るとともに、株式会社MILIZEとの業務提携に代表されるAI活用等の新規事業の創出を目指している。また、株式会社ヒューマン&テクノロジー、株式会社グリーンキャットの子会社化など、M&Aも積極的に推進し、事業規模の拡大とシナジー創出を図っている。

     

    株主還元策

    株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、安定的な配当の継続と業績に応じた増配を基本方針としている。配当性向40%以上を目標とし、株主への積極的な利益還元を重視する姿勢を示す。

     

    中期事業計画について

    同社は、規模の拡大、利益の拡大、社会インフラを担う意識の醸成を中期事業計画の柱とし、売上高100億円の達成を目標に掲げている。

     

    今期の取り組みやトピックス

    今期の取り組みとして、医療検査システム「CLIP」へのAI組み込み、および株式会社グリーンキャットの子会社化が挙げられる。

  • Q:特徴や優位性をご説明ください。

    A:当社の特徴としましては、1972年の設立以来、株式会社オービック様へのソフトウェア供給を起点とし、株式会社日立製作所様および同社の子会社様、三菱電機ソフトウェア株式会社様といった大手SIer様との長期にわたる安定的な取引関係を構築している点が挙げられます。特に、株式会社日立製作所様との取引は40年以上にわたり、売上高の約7割を占めるなど、強固なパートナーシップが当社の事業基盤を支えています。また、金融分野に強みを持ち、金融事業本部が売上高の4割弱を占める一方で、ITイノベーション事業本部を設立し、DX事業にも注力するなど、時代の変化に対応した事業展開を行っていることも特徴です。

     

    Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略のポイントとしましては、ITイノベーション事業の強化、新規事業の創出、M&Aの推進などが挙げられます。

    ITイノベーション事業については、金融分野で培ったノウハウを活かし、DX支援を強化することで、更なる事業拡大を目指します。新規事業の創出としては、株式会社MILIZE様との業務提携によるAIを活用した医療検査システムの開発や当社との新事業創出の共同検討など、新たな領域への挑戦も進めております。

    M&Aについては、既存事業とのシナジーが見込める企業との提携を積極的に検討しており、株式会社ヒューマン&テクノロジー様、株式会社グリーンキャット様を子会社化いたしました。これらの取り組みを通じて、売上高100億円の達成を目標とし、更なる成長と社会への貢献を目指してまいります。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください?

    A:当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、安定的な配当の継続と、業績に応じた増配を基本的な方針としております。

    具体的には、配当性向30%以上を目標として掲げておりましたが、既にこの水準を超えております。中長期的には、配当性向40%以上を目標とし、更なる株主還元の強化に努めてまいります。自己資本の状況や投資計画などを総合的に勘案し、株主の皆様にとって最適な利益還元策を実施していく考えです。

  • 取材者:

    貴社のホームページの沿革や決算説明資料などを拝見させていただきましたが、改めて貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか。

    回答者:

    はい、承知いたしました。当社の沿革からお話しましょう。1972年に株式会社オービック様にソフトウェアを供給するという形で会社をスタートしております。

    そもそも当社の創業者の山田が、株式会社オービック様の野田会長と前職で一緒だったということがありまして、そのご縁で野田様が株式会社オービックを設立されてから、同社向けのソフトウェア開発を支援してくれというお話があり、それで会社を立ち上げたと聞いております。株式会社オービック様はその後、自社開発の方に移行されましたので、ここ数年はもうお取引はございません。

    現在は出資をいただいている部分と、社外監査役を1名派遣していただいているという関係になっております。株式会社オービック様は大株主でいらっしゃいますし、ソフトウェアビジネスの大先輩でもありますので、様々な形でご相談したり、お話を伺ったりしているという関係がございます。

    現状の当社の商売の状況としましては、1976年に株式会社日立製作所様が関西に進出される際に、地銀さん向けのシステム開発で取引を開始いたしました。これが今の大きな流れのスタートになっております。

    その後、三菱電機ソフトウェア株式会社様ともお取引を始め、30数年、株式会社日立製作所様とは40数年のお付き合いになりますが、当社の売上のおよそ7割が株式会社日立製作所様およびその子会社様との関係からとなっております。三菱電機ソフトウェア株式会社様が1割程度、それとそれ以外の大手のSIer様、株式会社NTTデータ関西様他といったところで1割、あとは直接契約が1割という割合です。

    ここ数年の間、コロナ禍もあり、事業環境の変化があって多少の変動はありますが、概ね7:1:1:1程度の比率で推移しております。

    当社は、事業本部を4つ設けておりまして、そのうちの金融事業が4割弱、それから金融から分離したITイノベーション事業が1割弱となっております。残りの半分は、産業流通が3割、社会公共が2割強というような売上構成です。

    2023年6月21日に上場しましたが、上場直前ぐらいからは一応順調に売上、利益は伸びてきていると考えております。

    取材者:

    何かこのタイミングで上場された目的はございますか。

    回答者:

    元々創業者の山田が上場したいと考えておりました。上場がゴールということではないのですが、せっかく会社を作ったのだから、やはり上場したいと考えており、ある程度売上を伸ばしてきたということで上場しようとしたのですが、過去にバブルの崩壊やリーマン・ショックがあり、ちょうど上場を考えたタイミングで業績が少し悪化するという状況がありました。

    どうしようかというところで、現社長の豊田が山田と血縁関係にあるのですが、証券会社の引受関係の仕事をしておりまして、それで山田に上場できるかと聞かれた際に「できますよ」と答えたところ、「うちに入ってやってくれ」と言われたということで、2019年に入社し、2020年から社長として上場準備に入ったという経緯です。

    会社の経営理念としまして、「永遠に伸びる会社」「社員一人ひとりが幸せになれる会社」「社会に貢献できる会社」ということを掲げております。その延長線上に、上場してある程度の規模を拡大し、影響力を持って社会に貢献できるという流れがあると考えております。

    業績に関しては既にご覧になっていると思いますが、上場する際にも「安定はしているが成長するのか」ということをよく聞かれましたが、おかげさまで、それなりに成長はしていると考えております。昨年、中期経営計画を公表させていただきましたが、規模の拡大、利益の拡大、そして社会インフラを担っているという意識の中で当社が仕事をして業績を伸ばしていくことが社会貢献に繋がるだろうと考え、ぜひ成長させていこうと考えております。

    取材者:

    成長戦略として、新規の取引先の拡大という部分も挙げられているかと思いますが、具体的に4つの事業の中でどの事業をメインに広げていくといった戦略をお持ちでしょうか。

    回答者:

    ITイノベーション事業に力を入れていきたいと考えております。当初から事業拡大のテーマとしてDX、デジタル変革というものを掲げておりましたので、それに特に注力できる環境づくりとして、ITイノベーション事業を2022年に金融事業から分離いたしました。

    当社の場合、営業は、実際に開発している現場が、取引先と関係を築き信頼を得ながら次の仕事を取っていくという形で動いてきた部分が大きいです。営業が仕事を取ってきて、それを開発に渡して開発が実行するという体制にはなっていないため、現場が今までの関係から横に広げていく、あるいは開発が一段落したタイミングで自社に切り替えていくという進め方が一番やりやすいと考えており、既存の取引先との関係を活かしITイノベーション事業の拡大も図りたいと考えております。

    取材者:

    ITイノベーション事業は、金融事業から独立されたということで、金融事業者向けに提供していたサービスを、他の業種にも展開していくのでしょうか。

    回答者:

    そうですね。ただ、今のところ他の業種にまで展開しているということはなく、金融機関のインフラ、クラウドなどが中心に徐々に生成AIの対応なども行いながら、ビジネス範囲を広げています。あとは、会社全体のDXの旗振り役ということも期待しているところです。

    取材者:

    具体的にどのようなところからDXを進めていくのでしょうか。

    回答者:

    既にご承知のことと思いますが、当社は大手のSIer様の仕事をしているため、Sier様が受注したDX案件に参画し、スキルを習得し仕事の幅を広げているフェーズです。

    自社が主体となってDXを推進していくということに関しては、まだ少し先になると考えております。やはり自社がお客様と直接取引し請負で仕事をすることによって利益率は上がりますので、そういったところは伸ばしていきたいと考えております。

    取材者:

    承知いたしました。新規事業の創出や拡大ということも考えられているかと思いますが、いつまでに事業を立ち上げるというような数値的な目標はございますか?

    回答者:

    特に事業に関して具体的な目標を立てているということはないのですが、1年かけてやってきたこととしては、株式会社MILIZEと業務提携し、AIを使った事業を行うということです。今回「CLIP」という、医療検査、臨床検査システムにAIを組み込んだものを4月から発売することになりました。

    株式会社MILIZEはAIに強みを持っており、同社自体が金融のマーケット分析などでAIを使うツールやノウハウを持っていますので、そういった部分を今後の当社の金融事業に活かせるのではないかと考えています。

    金融関係の事業が全体の半分を占めていますので、その中でもし当社がイニシアチブを取って株式会社MILLIZEと協業できるような仕事があれば、AIの事業領域も拡大していけるのではないかと期待しています。

    取材者:

    既存の拡大ということも重要ですよね。

    回答者:

    そうですね。

    取材者:

    M&Aなども考えられているかと思いますが、M&Aに関しては、どのような企業をターゲットにしているか、戦略などはございますか。

    回答者:

    当社とシナジーを生み出せるような、補完関係を築ける企業が候補になります。

    昨年4月から北海道の株式会社ヒューマン&テクノロジーを子会社化し、今年の5月には株式会社グリーンキャットを子会社化するということで、2社M&Aを行いました。株式会社ヒューマン&テクノロジーに関しては、北海道の会社で優秀な人材を比較的容易に集めやすく、顧客が重ならない、エリアが違うという点、そしてリモートで開発ができるため、お互いに仕事を融通し合えるという点がメリットです。将来的なメリットとしては、同社は40人程度の会社であり、教育システム整備に限界があり、採用を経験者に限定せざるを得ず、体制の拡大が悩みでしたが、そこに当社の教育プログラムなどを提供することで、新卒採用により体制拡大のスピードを上げ、将来的にはグループとして開発力の強化に繋げられると考えています。

    株式会社グリーンキャットに関しては、40年にわたる事業の中で、取引先と強固な関係を築いており、金融を中心とした業務内容が近いため、開発テーマや必要とされる技術により人材を融通できるということもメリットになると思います。

    当社は元々小さな会社で、上場して成長してきましたが、売上もまだ70億円程度ですので、まずは100億円という一つの目標を達成して、それなりの規模の会社として社会に貢献し、影響を与えられるようになりたいと考えており、そのための手段としてM&Aも検討しているという状況です。

    取材者:

    株式会社ヒューマン&テクノロジーさんの話にもありましたが、どの企業も採用に苦労されている中で、貴社は採用が順調に進んでいるようですが、何か戦略や方針などはございますか。

    回答者:

    結果的に上場したことが良かったと考えています。元々大阪では採用できていたのですが、東京での採用が難しく、大阪で採用して東京に異動してもらうということを嫌がる人が多かったのです。ある程度地域を限定した働き方になるため、大阪、東京、名古屋のいずれかの拠点で働くことになります。東京で勤務する人材を採用できるようになったのは、上場したことが大きな理由の一つだと考えております。

    取材者:

    社員教育についてですが、新入社員が入社してから一人立ちし、戦力になるまでどれくらいの期間がかかるのでしょうか。

    回答者:

    昨年から新人研修を3ヶ月間の集合研修として実施しており、その後配属して上期中はOJTを行います。当社の場合、下期からはチームの一員として売上にも貢献できるようになります。ただ、一人前になるまでは2、3年かかると思います。

    取材者:

    それでも早いですよね。

    回答者:

    そうですね。やはりチームで仕事をしているという強みもあるのでしょう。

    取材者:

    株主還元策について、方針がございましたら教えていただけますか?

    回答者:

    できるだけ多く還元したいと考えております。

    元々、配当性向30%以上という目標を掲げていましたが、既に超えています。そのため、中長期的には40%以上という目標を控えめに設定していますが、社長は上場の時から50%という話もしておりました。

    現時点で公式に申し上げているのは、中長期的に40%以上という点ですが、特に設備投資などは積極的に行っていないため、自己資本が増えています。会社の健全性としては良いのですが、資本効率の面から考えるとマイナスになりますので、他に有効な使い道がなければ、株主還元をしていく予定です。

    前期は1株当たり75円から80円に増配しましたが、今期も増配を目指していくことになると思います。今後も配当性向は上げていきたいと考えています。株主優待のお話もいただきますが、基本的には配当で還元していく方針です。

  • IR担当

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(株)オービーシステム

東証STD 5576

決算:3月末日

CP&X


決算概要

2026年3月期第1四半期の連結業績は、金融事業における銀行大型案件の端境期により受注が減少したことを主要因として、売上高は前年同期比4.0%減の17億5,300万円、営業利益は46.1%減の3,900万円、経常利益は38.1%減の5,100万円となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は28.3%減の6,600万円となった。

情報サービス業界においては、中東情勢や米国政策動向による景気下振れの一方、生成AIやクラウドサービス、DX関連投資など引続き投資需要が底堅く推移している。


セグメント別または事業別の増減要因

4つのサービスラインのうち、金融事業においては上記銀行案件の要因を保険その他の分野で補うところには至らなかった(12.7%減)が、産業流通事業、社会公共事業、ITイノベーション事業においては堅調に推移した。


季節性・一過性要因の有無と影響

クライアントや取引先Sierの予算執行のタイミングや開発工期の兼合いから、例年第1四半期は低く始まる傾向がある。さらに今期からグリーンキャット社を子会社化し連結対象に加えたが、同社の業績は決算期の関係から第2四半期以降に計上されることから、例年以上に年度計画に対する進捗率が低く見えるが、社内予算は達成し第2四半期以降の収益伸長を狙う。


通期見通しと進捗率・達成可能性

上記の通り季節要因があり、第2四半期以降の業績伸長を期待しており、通期業績予想は堅持している。


トピックス

5月に株式会社グリーンキャットの全株式を取得し完全子会社化した。同社の業績は第2四半期以降今期は8か月分が反映される。

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年3月期の連結業績は増収・増益。売上高は76億8,400万円で前期比11.4%増加したものの、営業利益は5億6,200万円で前期比4.8%減少、経常利益は6億1,100万円で前期比3.3%減少となり、親会社株主に帰属する当期純利益は4億8,500万円で前期比9.9%増加した。売上高は順調に伸長し、当初予定をクリアしたが、営業利益および経常利益はコストの上昇が大きく、目標達成には至らなかった。経費上昇の主な要因は、新卒採用倍増による人件費の増加および研修期間の延長によるものであり、加えて子会社化したグリーンキャット社のデューデリジェンス費用も含まれる。粗利率は18.9%と前期比1.3ポイント向上しており、これは主に単価上昇が影響しているものと分析されている。特に大手顧客からの単価交渉への応諾が利益に直結したと認識されている。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上高の増加は、ヒューマンテクノロジーズ社の連結子会社化による貢献が数億円規模であった。

     

    主要KPIの進捗と変化

    明確にKPIとして公表している指標はないものの、昨年策定した中期経営計画において、2027年3月期に売上高100億円、粗利率20%、営業利益率10%、ROE13%を目標としており、この計画の進捗は順調であると認識されている。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    業績変動には若干の季節要因があり、クライアントや大手Sierの予算・決算のタイミングにより、第2,4四半期および下期に売上が厚くなる傾向がある。しかしながら、一過性のものとして特筆すべき要因は存在しない。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2025年3月期の売上高は通期見通しに対し101.6%で達成されたものの、営業利益は93.7%であった。これは期初に想定していた以上にコストの増加が大きかったことに起因する。コストは予算編成時に厳しく絞っていたこと、および連結子会社化に伴うのれんや派生する部分が利益を圧迫する要因となったことが挙げられる。

     

    トピックス

    現在、外部に公表可能な取り組みとして、株式会社MILIZEとの提携による臨床検査システム「クリップ」へのAI組み込みが挙げられる。このAI導入は、今後さまざまな分野への展開につながる可能性があると見込まれている。また、人材戦略としては、成長のために規模拡大が重要であるため、新卒採用を積極的に増やしており、2024年4月には52名、2025年4月には49名を採用した。これは従来の年間20名程度の採用から大幅な増加であり、将来的な人材層の厚み形成への投資と位置付けられている。2026年3月期に向けては、グリーンキャット社の買収が売上に寄与すると見込まれるものの、買収によるシナジー効果を最大化し、利益に繋げることが課題であると認識されている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略における現在の主要な取り組みとして外部に公表できるものは、株式会社MILIZEとの提携により、当社の臨床検査システム「クリップ」にAIを組み込んだ点にございます。このAI導入は、今後さまざまな分野への展開を視野に入れた重要な一歩と考えております。2026年3月期に向けては、現在も多様な可能性を模索しており、既存の取り組みを継続しつつ、新たな施策についても検討を進めております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:2025年3月期においては、株式会社ヒューマンテクノロジーズを連結子会社化し、数億円規模の売上増加に貢献いたしました。また、今期5月1日にはグリーンキャット株式会社を子会社化しておりますが、先行したデューデリジェンス費用などが2025年3月期の販管費に含まれております。これらのM&Aによるコスト増は、将来的な成長のための先行投資であると評価しております。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:当社の株主還元方針に変更はございません。継続的な増配を基本方針としております。当初は配当性向30%以上を目標としておりましたが、これを早期に40%以上に引き上げ、さらに拡大していくことを目指しております。直近の2025年3月期においては、1株当たり80円の配当を実施し、配当性向は38%となりました。今期の予想としては、1株当たり100円、配当性向39.3%を計画しており、この配当水準を順調に伸ばしていきたいと思っております。

  • 取材者:まず初めに、2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高は76億8,400万円で前期比11.4%の増加、営業利益は5億6,200万円で前期比△4.8%の減少、経常利益は6億1,100万円で前期比3.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は4億8,500万円で前期比9.9%の増加とのことですが、これらの増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:はい。売上高に関しては順調に伸びていると考えております。ヒューマンテクノロジーズ社の連結子会社化による数字も含まれておりますので、その影響で数億円の売上増となっております。当初の予定もクリアした形になっていると思います。一方で、営業利益に関しましては、コストの上昇がかなり大きく、やや厳しい結果となりました。営業利益、経常利益に関しては、満足するところまではいっていないと考えております。経費上昇の主な要因は、新卒採用倍増による人件費の増加と、研修期間を延長したことによるものです。また、2025年5月1日に子会社化したグリーンキャット社のデューデリジェンスなどの費用も含まれておりますので、将来的な成長のためのコスト増と評価しております。したがって、数字が足りなかった点は不満ですが、方向性としては間違っていないと考えております。

    取材者:粗利率に関しましては、18.9%と前期に比べて1.3pt伸びているかと思いますが、その要因はどのようなことでしょうか。

    回答者:詳細な分析はできておりませんが、やはり単価の上昇が影響していると考えております。最近では、単なる賃上げだけでなく、サプライチェーン全体にわたって気を配るようにという国の指示も出ておりますので、大手である日立様を中心に単価交渉に応じていただけるようになったことが要因として挙げられます。この部分はそのまま利益に直結するため、ある程度達成できたのではないかと考えております。

    取材者:通期の見通しに対して、売上高は101.6%で達成された一方で、営業利益は93.7%とのことですが、これは期初に、想定していた以上にコストの増加が大きかったという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。コストに関しては、予算編成時にかなり厳しく絞っておりましたので、達成が難しい部分もありました。連結子会社が増えると、当然ながらのれんや、そこから派生する部分が利益を圧迫する要因となります。それが無駄なコストでなければ良いと考えております。

    取材者:先ほどお話にもありましたが、人材採用につきましては、前期比で採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:これまで継続して採用活動は行っておりますが、成長を考えた際に規模の拡大が必要であるため、新卒採用を増やしております。それまでは毎年20名程度の採用でしたが、2024年4月には52名、今期2025年4月には49名を採用いたしました。この新卒社員が2年、3年と経験を積んで戦力化してくれば、人材の層の厚みもできてくるのではないかと考えております。当社はまだ小さな会社ですので、400名、500名規模の企業においては、1割の増員は人件費の増加という点で無視できない数字となります。しばらくの間は、コストが増加する部分が出てくるかもしれません。しかし、これにより赤字になるような状況ではありません。まだ財務的にも余裕がございますので、ここで投資を行い、将来的な布石を打っていくのが経営トップの考えでございます。

    取材者:承知いたしました。貴社の主要なKPIはどのようなものでしょうか。

    回答者:明確にKPIとして公表しているわけではありませんが、昨年策定した中期経営計画において、2027年3月期には売上高100億円、粗利率20%、営業利益10%、ROE13%といった目標を掲げております。

    取材者:そうしますと、中期経営計画の進捗状況はいかがでしょうか。

    回答者:進捗状況は順調であると考えております。

    取材者:今期も過去最高の売上高を達成されており、通期の業績予想も100%以上の増加とかなり高い数字を出されていますね。

    回答者:今期はグリーンキャット社の買収もありましたので、売上としては10数億、元々ある会社ですから、十分に伸びるとは考えております。ただ、一方で利益のほうですね。先ほどもお話しましたが、どれだけシナジー効果によってプラスアルファを生み出せるかがポイントになると思います。

    取材者:そういった点で、グリーンキャットの買収などの効果が出てくるのは今後の話になってくるという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。

    取材者:その他、今後のM&Aや業務提携に関して、実施状況や検討状況を教えていただけますか。

    回答者:プラスになることは何でも取り組みたいと考えておりますが、目に見えて効果が出る部分はまだ難しいと考えております。一つは、AIがポイントになるかと思いますので、社内で推進はしておりますが、現状では外部に公表できるものとしてはMILIZE社との提携で、当社の臨床検査システムのクリップにAIを組み込んだという点が挙げられます。こういった取り組みが続けば、今後様々な分野に広がっていく可能性があると考えております。

    取材者:なるほど。今後の展開に注目させていただきます。貴社の業績に影響するような特有の季節性や一過性のイベント的なものはございましたでしょうか。

    回答者:当社の場合、業績の変動に季節要因は若干あります。クライアント様や大手Sier様の予算・決算のタイミングで、第2,4四半期に売上が厚くなったり、下期の方がやや売上が厚くなったりといったことはありますが、一過性のものとして特筆すべきものはございません。

    取材者:承知いたしました。株主還元の方針につきまして、変更などはございますか。

    回答者:変更はございません。継続的に増配していく方針です。元々30%以上の配当性向を目標としておりましたが、早期に40%以上に引き上げ、さらに拡大していきたいと考えております。今期の2025年3月期は80円で38%の配当性向となりますが、今期の予想としては100円で39.3%となっており、これが順調に伸びていけばと考えております。

    取材者:その他、足元のニュースリリースやトピックスがございましたら教えていただけますか。

    回答者:足元で特筆すべきニュースリリースはございません。

    取材者:2026年3月期の業績予想として、売上高は94億で前期比22.3%の増加、営業利益は7億2,000万円で前期比28.0%の増加、経常利益は7億6,700万円で前期比25.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億9,000万円で前期比21.6%の増加とのことですが、新たに始められる施策や検討されていることはございますか。

    回答者:様々な可能性を探っているところや、当社が取り組んでいることに対してお声がけいただくことはございますが、まだお話できるレベルではございません。

    取材者:なるほど。それでは、今後、今期の動きを見ながら様々お聞かせいただければと思います。

    回答者:はい。やはり単純な再生産だけではいけません。未上場の段階であれば、社員を中心に会社が安定し、社員が生活できるという状況で良かったと思いますが、上場したことで意識を変えていかなければなりません。ステークホルダーがこれだけ広がっている中で、何ができるか、自社だけでなく社会に対する影響も考えていかなければならないと社長が積極的に推進しております。未上場の頃はESGといった概念は全くありませんでしたので、まだまだこれからといった状況です。上場したとはいえ、まだ小さな会社ですので、まずは会社を伸ばしていくことが重要です。そして、社会のインフラ整備に貢献するといったことを社是として掲げておりますので、まずは土台の部分をしっかり固めていきたいと考えております。

    取材者:まさに2027年度連結売上高100億円に向けて、今期も含めて土台を作りながら成長を支えていくという認識でよろしいですか。

    回答者:はい、その認識で問題ございません。まだ会社としてそこまで余裕があるわけではありません。M&Aに関しても、止めているわけではありませんが、昨年ヒューマン&テクノロジーを連結子会社化するにあたり、連結という形にするために時間をかけてシナジーを検討してまいりました。グリーンキャットも5月に買収しましたが、これも今のところはまだ単純な足し算です。これをうまく連携させ、掛け算に近いところにどう持っていくかが、ある意味今期の課題かもしれません。

    取材者:なるほど。そういったシナジー効果に注目させていただきますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

    回答者:よろしくお願いいたします。

  • IR担当

  • ビジネスモデルや事業内容

    株式会社オービーシステムは、1972年の設立以来、大手SIerへのソフトウェア供給を基盤とする事業を展開している。主要な取引先として、株式会社日立製作所および同社の子会社、三菱電機ソフトウェアなどが挙げられる。事業領域は金融分野に強みを持ちながらも、ITイノベーション事業を設立し、DX支援にも力を入れている点が特徴である。事業本部は、金融、ITイノベーション、産業流通、社会公共の4つで構成される。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    創業者の山田氏が、株式会社オービックの野田会長との前職での縁をきっかけに、同社向けソフトウェア開発を目的に会社を設立した経緯を持つ。その後、株式会社日立製作所との取引開始が、現在の事業の大きな流れを作る転機となった。2023年6月21日には上場を果たし、これを機に更なる成長と社会貢献を目指すこととなった。

     

    直近の決算状況

    同社は、上場以来、売上、利益ともに順調な成長を示している。

     

    特徴や強み

    株式会社オービーシステムの大きな特徴として、株式会社日立製作所との40年以上、三菱電機ソフトウェア株式会社との30数年という長期にわたる安定的な取引関係が挙げられる。また、金融分野において豊富な実績とノウハウを有することも強みである。顧客との信頼関係を重視し、現場主導型の営業スタイルを確立している点も特徴である。さらに、上場による信用力向上と、人材採用における競争力強化も、同社の強みとして挙げられる。

     

    成長戦略

    同社は、ITイノベーション事業の強化を通じてDX市場への展開を図るとともに、株式会社MILIZEとの業務提携に代表されるAI活用等の新規事業の創出を目指している。また、株式会社ヒューマン&テクノロジー、株式会社グリーンキャットの子会社化など、M&Aも積極的に推進し、事業規模の拡大とシナジー創出を図っている。

     

    株主還元策

    株主への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、安定的な配当の継続と業績に応じた増配を基本方針としている。配当性向40%以上を目標とし、株主への積極的な利益還元を重視する姿勢を示す。

     

    中期事業計画について

    同社は、規模の拡大、利益の拡大、社会インフラを担う意識の醸成を中期事業計画の柱とし、売上高100億円の達成を目標に掲げている。

     

    今期の取り組みやトピックス

    今期の取り組みとして、医療検査システム「CLIP」へのAI組み込み、および株式会社グリーンキャットの子会社化が挙げられる。

  • Q:特徴や優位性をご説明ください。

    A:当社の特徴としましては、1972年の設立以来、株式会社オービック様へのソフトウェア供給を起点とし、株式会社日立製作所様および同社の子会社様、三菱電機ソフトウェア株式会社様といった大手SIer様との長期にわたる安定的な取引関係を構築している点が挙げられます。特に、株式会社日立製作所様との取引は40年以上にわたり、売上高の約7割を占めるなど、強固なパートナーシップが当社の事業基盤を支えています。また、金融分野に強みを持ち、金融事業本部が売上高の4割弱を占める一方で、ITイノベーション事業本部を設立し、DX事業にも注力するなど、時代の変化に対応した事業展開を行っていることも特徴です。

     

    Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略のポイントとしましては、ITイノベーション事業の強化、新規事業の創出、M&Aの推進などが挙げられます。

    ITイノベーション事業については、金融分野で培ったノウハウを活かし、DX支援を強化することで、更なる事業拡大を目指します。新規事業の創出としては、株式会社MILIZE様との業務提携によるAIを活用した医療検査システムの開発や当社との新事業創出の共同検討など、新たな領域への挑戦も進めております。

    M&Aについては、既存事業とのシナジーが見込める企業との提携を積極的に検討しており、株式会社ヒューマン&テクノロジー様、株式会社グリーンキャット様を子会社化いたしました。これらの取り組みを通じて、売上高100億円の達成を目標とし、更なる成長と社会への貢献を目指してまいります。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください?

    A:当社は、株主の皆様への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、安定的な配当の継続と、業績に応じた増配を基本的な方針としております。

    具体的には、配当性向30%以上を目標として掲げておりましたが、既にこの水準を超えております。中長期的には、配当性向40%以上を目標とし、更なる株主還元の強化に努めてまいります。自己資本の状況や投資計画などを総合的に勘案し、株主の皆様にとって最適な利益還元策を実施していく考えです。

  • 取材者:

    貴社のホームページの沿革や決算説明資料などを拝見させていただきましたが、改めて貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか。

    回答者:

    はい、承知いたしました。当社の沿革からお話しましょう。1972年に株式会社オービック様にソフトウェアを供給するという形で会社をスタートしております。

    そもそも当社の創業者の山田が、株式会社オービック様の野田会長と前職で一緒だったということがありまして、そのご縁で野田様が株式会社オービックを設立されてから、同社向けのソフトウェア開発を支援してくれというお話があり、それで会社を立ち上げたと聞いております。株式会社オービック様はその後、自社開発の方に移行されましたので、ここ数年はもうお取引はございません。

    現在は出資をいただいている部分と、社外監査役を1名派遣していただいているという関係になっております。株式会社オービック様は大株主でいらっしゃいますし、ソフトウェアビジネスの大先輩でもありますので、様々な形でご相談したり、お話を伺ったりしているという関係がございます。

    現状の当社の商売の状況としましては、1976年に株式会社日立製作所様が関西に進出される際に、地銀さん向けのシステム開発で取引を開始いたしました。これが今の大きな流れのスタートになっております。

    その後、三菱電機ソフトウェア株式会社様ともお取引を始め、30数年、株式会社日立製作所様とは40数年のお付き合いになりますが、当社の売上のおよそ7割が株式会社日立製作所様およびその子会社様との関係からとなっております。三菱電機ソフトウェア株式会社様が1割程度、それとそれ以外の大手のSIer様、株式会社NTTデータ関西様他といったところで1割、あとは直接契約が1割という割合です。

    ここ数年の間、コロナ禍もあり、事業環境の変化があって多少の変動はありますが、概ね7:1:1:1程度の比率で推移しております。

    当社は、事業本部を4つ設けておりまして、そのうちの金融事業が4割弱、それから金融から分離したITイノベーション事業が1割弱となっております。残りの半分は、産業流通が3割、社会公共が2割強というような売上構成です。

    2023年6月21日に上場しましたが、上場直前ぐらいからは一応順調に売上、利益は伸びてきていると考えております。

    取材者:

    何かこのタイミングで上場された目的はございますか。

    回答者:

    元々創業者の山田が上場したいと考えておりました。上場がゴールということではないのですが、せっかく会社を作ったのだから、やはり上場したいと考えており、ある程度売上を伸ばしてきたということで上場しようとしたのですが、過去にバブルの崩壊やリーマン・ショックがあり、ちょうど上場を考えたタイミングで業績が少し悪化するという状況がありました。

    どうしようかというところで、現社長の豊田が山田と血縁関係にあるのですが、証券会社の引受関係の仕事をしておりまして、それで山田に上場できるかと聞かれた際に「できますよ」と答えたところ、「うちに入ってやってくれ」と言われたということで、2019年に入社し、2020年から社長として上場準備に入ったという経緯です。

    会社の経営理念としまして、「永遠に伸びる会社」「社員一人ひとりが幸せになれる会社」「社会に貢献できる会社」ということを掲げております。その延長線上に、上場してある程度の規模を拡大し、影響力を持って社会に貢献できるという流れがあると考えております。

    業績に関しては既にご覧になっていると思いますが、上場する際にも「安定はしているが成長するのか」ということをよく聞かれましたが、おかげさまで、それなりに成長はしていると考えております。昨年、中期経営計画を公表させていただきましたが、規模の拡大、利益の拡大、そして社会インフラを担っているという意識の中で当社が仕事をして業績を伸ばしていくことが社会貢献に繋がるだろうと考え、ぜひ成長させていこうと考えております。

    取材者:

    成長戦略として、新規の取引先の拡大という部分も挙げられているかと思いますが、具体的に4つの事業の中でどの事業をメインに広げていくといった戦略をお持ちでしょうか。

    回答者:

    ITイノベーション事業に力を入れていきたいと考えております。当初から事業拡大のテーマとしてDX、デジタル変革というものを掲げておりましたので、それに特に注力できる環境づくりとして、ITイノベーション事業を2022年に金融事業から分離いたしました。

    当社の場合、営業は、実際に開発している現場が、取引先と関係を築き信頼を得ながら次の仕事を取っていくという形で動いてきた部分が大きいです。営業が仕事を取ってきて、それを開発に渡して開発が実行するという体制にはなっていないため、現場が今までの関係から横に広げていく、あるいは開発が一段落したタイミングで自社に切り替えていくという進め方が一番やりやすいと考えており、既存の取引先との関係を活かしITイノベーション事業の拡大も図りたいと考えております。

    取材者:

    ITイノベーション事業は、金融事業から独立されたということで、金融事業者向けに提供していたサービスを、他の業種にも展開していくのでしょうか。

    回答者:

    そうですね。ただ、今のところ他の業種にまで展開しているということはなく、金融機関のインフラ、クラウドなどが中心に徐々に生成AIの対応なども行いながら、ビジネス範囲を広げています。あとは、会社全体のDXの旗振り役ということも期待しているところです。

    取材者:

    具体的にどのようなところからDXを進めていくのでしょうか。

    回答者:

    既にご承知のことと思いますが、当社は大手のSIer様の仕事をしているため、Sier様が受注したDX案件に参画し、スキルを習得し仕事の幅を広げているフェーズです。

    自社が主体となってDXを推進していくということに関しては、まだ少し先になると考えております。やはり自社がお客様と直接取引し請負で仕事をすることによって利益率は上がりますので、そういったところは伸ばしていきたいと考えております。

    取材者:

    承知いたしました。新規事業の創出や拡大ということも考えられているかと思いますが、いつまでに事業を立ち上げるというような数値的な目標はございますか?

    回答者:

    特に事業に関して具体的な目標を立てているということはないのですが、1年かけてやってきたこととしては、株式会社MILIZEと業務提携し、AIを使った事業を行うということです。今回「CLIP」という、医療検査、臨床検査システムにAIを組み込んだものを4月から発売することになりました。

    株式会社MILIZEはAIに強みを持っており、同社自体が金融のマーケット分析などでAIを使うツールやノウハウを持っていますので、そういった部分を今後の当社の金融事業に活かせるのではないかと考えています。

    金融関係の事業が全体の半分を占めていますので、その中でもし当社がイニシアチブを取って株式会社MILLIZEと協業できるような仕事があれば、AIの事業領域も拡大していけるのではないかと期待しています。

    取材者:

    既存の拡大ということも重要ですよね。

    回答者:

    そうですね。

    取材者:

    M&Aなども考えられているかと思いますが、M&Aに関しては、どのような企業をターゲットにしているか、戦略などはございますか。

    回答者:

    当社とシナジーを生み出せるような、補完関係を築ける企業が候補になります。

    昨年4月から北海道の株式会社ヒューマン&テクノロジーを子会社化し、今年の5月には株式会社グリーンキャットを子会社化するということで、2社M&Aを行いました。株式会社ヒューマン&テクノロジーに関しては、北海道の会社で優秀な人材を比較的容易に集めやすく、顧客が重ならない、エリアが違うという点、そしてリモートで開発ができるため、お互いに仕事を融通し合えるという点がメリットです。将来的なメリットとしては、同社は40人程度の会社であり、教育システム整備に限界があり、採用を経験者に限定せざるを得ず、体制の拡大が悩みでしたが、そこに当社の教育プログラムなどを提供することで、新卒採用により体制拡大のスピードを上げ、将来的にはグループとして開発力の強化に繋げられると考えています。

    株式会社グリーンキャットに関しては、40年にわたる事業の中で、取引先と強固な関係を築いており、金融を中心とした業務内容が近いため、開発テーマや必要とされる技術により人材を融通できるということもメリットになると思います。

    当社は元々小さな会社で、上場して成長してきましたが、売上もまだ70億円程度ですので、まずは100億円という一つの目標を達成して、それなりの規模の会社として社会に貢献し、影響を与えられるようになりたいと考えており、そのための手段としてM&Aも検討しているという状況です。

    取材者:

    株式会社ヒューマン&テクノロジーさんの話にもありましたが、どの企業も採用に苦労されている中で、貴社は採用が順調に進んでいるようですが、何か戦略や方針などはございますか。

    回答者:

    結果的に上場したことが良かったと考えています。元々大阪では採用できていたのですが、東京での採用が難しく、大阪で採用して東京に異動してもらうということを嫌がる人が多かったのです。ある程度地域を限定した働き方になるため、大阪、東京、名古屋のいずれかの拠点で働くことになります。東京で勤務する人材を採用できるようになったのは、上場したことが大きな理由の一つだと考えております。

    取材者:

    社員教育についてですが、新入社員が入社してから一人立ちし、戦力になるまでどれくらいの期間がかかるのでしょうか。

    回答者:

    昨年から新人研修を3ヶ月間の集合研修として実施しており、その後配属して上期中はOJTを行います。当社の場合、下期からはチームの一員として売上にも貢献できるようになります。ただ、一人前になるまでは2、3年かかると思います。

    取材者:

    それでも早いですよね。

    回答者:

    そうですね。やはりチームで仕事をしているという強みもあるのでしょう。

    取材者:

    株主還元策について、方針がございましたら教えていただけますか?

    回答者:

    できるだけ多く還元したいと考えております。

    元々、配当性向30%以上という目標を掲げていましたが、既に超えています。そのため、中長期的には40%以上という目標を控えめに設定していますが、社長は上場の時から50%という話もしておりました。

    現時点で公式に申し上げているのは、中長期的に40%以上という点ですが、特に設備投資などは積極的に行っていないため、自己資本が増えています。会社の健全性としては良いのですが、資本効率の面から考えるとマイナスになりますので、他に有効な使い道がなければ、株主還元をしていく予定です。

    前期は1株当たり75円から80円に増配しましたが、今期も増配を目指していくことになると思います。今後も配当性向は上げていきたいと考えています。株主優待のお話もいただきますが、基本的には配当で還元していく方針です。

  • IR担当

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