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(株)オハラ

東証STD 5218

決算:10月末日

20251003

CP&X


決算概要

第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比1.1%増の21,067百万円、営業利益が前年同期比5.3%減の1,571百万円となりました。前年同期と比べて増収減益となった要因としましては、光事業において交換レンズ用途を中心に需要が回復し販売が増加したものの、エレクトロニクス事業において半導体露光装置用途製品の在庫調整に伴い販売が減少し、販売構成の変化が営業利益に影響を及ぼしたことによるものです。


セグメント別または事業別の増減要因

第3四半期連結累計期間における光事業の業績は、売上高が前年同期比5.9%増の11,083百万円、営業損失が前年同期の△716百万円から300百万円改善して△415百万円となりました。このような業績となった要因は、デジタルカメラ市場の需要が堅調に推移し販売が増加したことに加え、事業構造の転換に伴い、生産設備の稼働率が良化して原価率が改善したことによるものです。一方、エレクトロニクス事業の業績は、売上高が前年同期比3.8%減の9,983百万円、営業利益が前年同期比16.4%減の1,987百万円となりました。減収減益となった要因は、半導体露光装置用途製品の調整に伴い販売が減少したこと加え、販売構成の変化が営業利益に影響を及ぼしたことによるものです。


通期見通しと進捗率・達成可能性

光事業では、中国によるレアアース輸出規制が業績に与える影響を懸念しております。対象となっているレアアース原料を含有する製品については、中国の合弁会社において熔解し、ガラス化された材料を輸出することで対応しております。ただし、ガラス化された材料は、原料と比較すると加工進度が高く、調達コストが上昇することから、2025年10月期第4四半期の利益面に一定の影響が生じると見込んでおります。

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年10月期第2四半期決算は、売上高138億100万円(前年同期比4.2%増)、営業利益10億5,100万円(同25.6%増)、経常利益12億9,100万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益7億5,600万円(同25.0%増)と、増収増益で着地した。しかしながら、業績予想は修正されており、その進捗は遅延している。この要因は、光事業における原材料費、特にレアアース関連の価格上昇による原価改善の遅れと、エレクトロニクス事業における半導体関連の在庫調整の長期化が挙げられる。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    光事業は、在庫調整の終了により実需水準まで回復したことにより、売上は当初計画を上回る進捗である。しかし、レアアース関連の原材料費高騰が原価改善を阻害し、収益面が改善せず、結果として売上高は上方修正したものの、営業利益は下方修正となった。一方、エレクトロニクス事業は、半導体関連の在庫調整が予想以上に長引いたことで売上が伸び悩み下方修正されたものの、石英ガラスにおける価格転嫁などが奏功し、利益面は落ち込まずに推移した。

     

    主要KPIの進捗と変化

    今期の光事業におけるカメラ関連製品は順調な推移が見込まれる一方で、半導体市場の動向が今後の主要な注目点である。低誘電ガラスなどの新しい事業も進めているが、これらは今期の業績には影響せず、来期の貢献を目指し計画策定および取り組みを進めている段階である。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2025年10月期の通期業績見通しは、売上高275億円、営業利益19億円、経常利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益22億円であり、現在のところ開示されている数字で推移する見込みである。下期に特別な施策は予定されていないが、来期以降の新しい事業立ち上げに向けた投資が開始されており、下期から来期にかけて新しい体制構築を進めている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:低誘電ガラスを含む新しい事業は、今期の業績には関係ありませんが、来期の計画において貢献できるよう現在取り組んでいます。下期からは、この新しい事業の立ち上げに向けた投資を開始しており、来期にかけて新しい体制を整えていく方針です。これらの取り組みは、将来の成長戦略における重要なポイントであると考えております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。
    A:通期の業績は、現在開示している予想通りに推移する見込みです。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aについては、特に公表できる内容はありません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期経営計画は2026年度が最終年度となります。新規事業を立ち上げてある程度の収益性を確保するという目標を掲げていますが、顧客との調整が多く、売上や収益の進捗が遅れています。特に、売上はわずかに未達となる程度に留まる見込みである一方、収益面では大幅に未達となる可能性があります。

  • 取材者:まず初めに、2025年10月期第2四半期の決算についてお伺いします。売上高は138億100万円で前年同期比4.2%の増加、営業利益は10億5,100万円で同25.6%の増加、経常利益は12億9,100万円で同14.5%の増加、親会社株主に帰属する中間純利益は7億5,600万円で同25.0%の増加と、前年と比較して増収増益で着地しました。ただし、業績予想の修正も出されている通り、業績予想に対する進捗が遅れてしまったように見受けられます。この増減要因についてご説明いただけますか?

     

    回答者:光事業についてですが、元々は在庫調整等があったため、先行きが不透明でした。一方で、生産設備の稼働率改善や業務効率化によって収益面の改善に向けて取り組んでいくというのが当初の計画でした。それに対して、カメラ向け交換レンズの在庫調整が終わり、ほぼ実需の水準に戻ってきたため、売上は当初計画よりも上回っています。ただ、収益面では、原材料費、特にレアアース関連の価格が上昇しています。昨年、コストが高い時期に仕入れた在庫が残っていることもあり、なかなか原価が改善されません。そのため、収益面もなかなか改善されず、光事業に関しては売上は上方修正しましたが、営業利益は下方修正という形になりました。

    一方、エレクトロニクス事業は基本的に半導体がメインです。光事業の在庫調整は終わりましたが、今度は半導体関連の在庫調整が予想より長引き、売上が伸びませんでした。そのため売上高は下方修正しましたが、利益に関しては石英ガラスなどで価格転嫁や収益性の良い製品が出たため、利益面は落ち込んでいません。

    以上より、全体では売上高・営業利益ともに下方修正となりましたが、セグメント間の調整、特に営業利益の構成が想定と違ったため、これを補正させていただきました。

     

    取材者:業績に影響を与えるような一時的な要因や季節性、外的要因などはございましたか?

     

    回答者:季節性は特にないと思います。

     

    取材者:やはり在庫調整が今期の上期の大きな要因だったということですか?

     

    回答者:その通りです。

     

    取材者:下期もエレクトロニクス事業に関しては、引き続き在庫調整を進めていくという認識でよろしいですか?

     

    回答者:そうですね、下期ももう少し時間がかかるかと思います。

     

    取材者:在庫を抱えてしまった要因について、改めて説明いただけますか?

     

    回答者:半導体市場が非常に好調だったため、お客様も強気に発注していた時期があったようです。お客様も部品の一つでも滞ると生産が止まってしまうため、多めに発注していたのではないかと思います。昨年の下期は過去最高レベルの業績を出したため、市場は非常に強いと思っていましたが、おそらく実需よりも多めに発注がかかっていたのではないかと思います。最近は、半導体製造装置市場も一部製品によっては需要が減少しており、半導体もすべてが良いわけではないようです。弊社のお客様のケースでも、当初は強気な数字を出していたものが、最近見るとかなり下がっています。そういった状況を見ると、やはりお客様の強い計画が想定通りに進んでいないということがあったのではないかと推測します。

     

    取材者:市場全体でそういった流れがあったということですね。主要なKPIなどがあれば教えていただけますか?

     

    回答者:今期は、光事業の交換レンズ向け材料は比較的このまま順調に進むと思いますが、半導体の動向がどうなるかという点が挙げられます。他にも、低誘電ガラスなど新しい事業も始めていますが、これは今期の数字には関係ないと思います。来期の計画を策定中ですが、そういった新しい事業がきちんと貢献できるように、現在取り組んでいるところです。

     

    取材者:それでは、前期比での採用数の推移はいかがですか?

     

    回答者:採用に関しては、新入社員は予定通り採用しています。以前から高齢化が進んでおり、若年層が少なかったことが課題となっていたため、ここ数年間、来年も含めて定期的に新しい人材を確保しようと動いています。

     

    取材者:それは順調に進捗していますか?

     

    回答者:市場が売り手市場になっているため、内定を出しても辞退されることもありますが、ここ数年間は順調に採用できています。

     

    取材者:2025年10月期の見通しについてお伺いします。売上高は275億円、営業利益は19億円、経常利益は23億円、親会社株主に帰属する当期純利益は22億円となっておりますが、進捗についてお伺いできますか?

     

    回答者:通期については、現在のところは開示した数字で推移していく見込みです。

     

    取材者:下期に向けた取り組みや施策はございますか?

     

    回答者:下期だからといって特別なことはありませんが、来期の新しい事業に向けた立ち上げの投資を始めています。この下期から来期にかけて、新しい体制を整えていこうと動いています。

     

    取材者:M&Aや業務提携について、実施の有無や検討状況があれば教えていただけますか?

     

    回答者:M&Aについては、特に公表できるような話はありません。

     

    取材者:株主還元の方針について、何か変更はございますか?

     

    回答者:現在のところ、特に変更はありません。来年が中期経営計画の最終年度であり、再来年から新しい中期経営計画が始まるため、何かあるとすればそのタイミングになるかと思います。今年は特にないと考えています。

     

    取材者:中期経営計画の進捗はいかがですか?

     

    回答者:中期経営計画は来年2026年度が最終年度です。基本的には新規事業を立ち上げて、ある程度の収益性を確保するという目標で動いていますが、お客様との調整が多く、売上や収益面が進捗しませんでした。特に売上よりも利益の方が想定通りに進まず、売上は若干未達となる程度かと思いますが、収益面で大幅に未達となる可能性があります。

     

    取材者:最後に、足元の状況について、何かトピックスやニュースリリースがあれば教えていただけますか?

     

    回答者:特にトピックスのような話はありません。何かあれば随時発表していくことになります。現在のところは開示しているもの以上の情報はありません。

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • ビジネスモデル・事業内容

    株式会社オハラは、来年創業90周年を迎える光学ガラスメーカーである。光学ガラスはカメラ用レンズなどに使用されており、HOYAと並び、両社で国内市場の7~8割を占めるリーディングカンパニーである。 創業当初は双眼鏡やカメラなどに使われるレンズを主力製品としていたが、近年ではエレクトロニクス事業にも注力し、半導体露光装置用ガラスで高い成長を遂げている。 AIやIoTの普及に伴い露光装置の需要は拡大しており、同社の業績を牽引している。創業当初は双眼鏡やカメラなどに使われるレンズを主力製品としていたが、近年ではエレクトロニクス事業にも注力し、半導体露光装置用ガラスで高い成長を遂げている。AIやIoTの普及に伴い露光装置の需要は拡大しており、同社の業績を牽引している。

     

    創業の経緯と転機

    1935年の創業当時は戦時中であり、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かった。 その後、エレクトロニクス事業への進出が転機となり、現在では半導体露光装置用ガラスが主力製品となっている。

     

    直近の決算状況

    2024年10月期の決算では、光学事業のカメラ向け製品において在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった。 これは、2022年度後半から2023年度前半にかけての半導体不足の影響による反動で、在庫調整が行われたことが要因である。 一方、エレクトロニクス事業は好調で、半導体露光装置用ガラスの需要増加が貢献している。

     

    特徴・強み

    光学ガラスは非常にニッチな分野であり、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない。 国内では、オハラとHOYAで市場の7~8割を占めており、高い技術力と市場シェアを有している。

     

    成長戦略

    海外市場の売上比率は6割を占めており、これまで日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心であったが、今後は日系メーカー以外への販売拡大や、中国市場への進出も視野に入れている。

     

    新規事業

    新規事業としては、電子基板用低誘電ガラスや全固体電池向けガラスの開発に注力している。 電子基板用ガラスでは、ファイバーメーカーと提携し、原料からガラスを製造する工程を担うことで、顧客の高品質なファイバー製造を可能にする。 全固体電池向けガラスは、高いリチウムイオン電導性を有する材料で、安全性が高く、車載用電池などに適しており、次世代材料としての採用を目指している。

     

    株主還元策

    安定的な配当を継続していく方針で、総還元性向は30%以上を基準としている。

     

    今期の取り組み

    今期は、新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力している。

    設備投資は毎年10億~20億円程度行っており、更新投資と新規事業への投資をバランスよく行うことで、持続的な成長を目指している。

  • Q:貴社のビジネスモデルについてお聞かせください。

    A:弊社は来年で創業90周年を迎えます。創業当初は光学ガラスをメインに、双眼鏡やカメラなどに使われるレンズ材料を主体として事業を行っていました。1935年の創業当時は戦時中であったため、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かったと聞いています。

     

    Q:半導体にも使われているということで、エレクトロニクス事業を展開されているということは、ガラスの分野においては、他の企業様と比較しても高い技術をお持ちであるという認識でよろしいでしょうか?

    A:その通りです。ガラスといっても様々な種類がありますが、当社が注力している光学ガラスは非常にニッチな分野です。国内では、当社とHOYAで市場の7~8割を占めており、ニコンなど、その他のメーカーは小規模です。また、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない、独自性の高い市場です。

     

    Q:貴社の中期経営計画では、国内外での販売額増加を掲げていらっしゃいますが、現状における国内売上と海外売上の比率はどのくらいでしょうか?

    A:海外市場の売上が若干多く、4対6程度の比率です。

     

    Q:今後の海外展開についてお聞かせください。

    A:これまでは、キヤノンやニコンといった日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心でした。今後は、日系メーカー以外への拡販にも力を入れていきたいと考えています。また、半導体関連では、欧米や台湾の企業とも取引を行っており、中国市場への展開も視野に入れています。

     

    Q: 2024年10月期の決算についてお伺いします。光学事業のカメラ向け製品において、在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった要因は何でしょうか?

    A:2022年度後半から2023年度前半は半導体不足の影響で、お客様からの注文が実需以上に殺到し、生産が追いつかない状況でした。その反動で、2023年度後半から2024年度前半にかけて在庫調整が行われたことが要因と考えています。しかし、最終顧客であるカメラメーカーの需要は堅調であり、市場環境は悪くないと認識しています。

     

    Q:カメラ向け製品の市場環境は一定とのことですが、エレクトロニクス事業が好調だったのは、どのような要因があるのでしょうか?

    A:エレクトロニクス事業でございますが、半導体関連がメインでございます。当社が製造しているガラスは、半導体露光装置のレンズに多く使用されています。近年、AIやIoTの普及により、露光装置の需要が高まっていることが好調の要因と考えています。エレクトロニクス事業は、一昨年頃から過去最高益を更新し続けています。

     

    Q:エレクトロニクス事業の市場は好調であるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:新規事業として参入を検討されている、電子基板用低誘電率ガラスについてご説明ください。

    A:電子基板用ガラス市場において、原料をガラスにする工程には高度なノウハウが必要となります。従来、ファイバーメーカー様は原料から直接ファイバーを製造していましたが、当社が原料をガラス化することで、より低温で高品質なファイバーを製造することが可能になると考えています。そこで、当社の熔解設備で原料からガラスを製造する工程を担うことになりました。原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになり、熔解時に発生する泡などの混入リスクも低減できます。

     

    Q:貴社が原料を一度ガラス化してからファイバーメーカー様に提供することで、ファイバーの製造工程が簡略化され、品質が向上するという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:貴社が原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様はより低い温度で加工が可能になるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。原料を溶かすには高い温度が必要ですが、ガラスを一度塊にすることで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになると考えています。ファイバーメーカー様は、ファイバーの引っ張り方など、様々なノウハウをお持ちですが、泡などの異物が無くガラスを溶かして均一な状態にするのは非常に難しい技術です。

     

    Q:貴社の技術は、ファイバーメーカー様の生産性向上をサポートするためのものであるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:貴社の新規事業の進捗状況についてお聞かせください。

    A:エレクトロニクス事業では、光学ガラス以外の様々な製品開発に取り組んでいます。例えば、全固体電池向けガラスは、安全性が高く、車載用電池などに適しています。また、従来のリチウムイオン電池に添加剤として使用することで、電池性能を向上させることも可能です。これらの製品を、電池メーカーに評価していただいています。

     

    Q:新規事業に関して、M&Aなども含めてご説明ください。

    A:現状では、具体的な計画はございません。弊社は、お客様と一緒に課題に取り組んでいくことで、ユニークな価値を備えた「ひかる材料」を作っていくことを第一ステップと考えています。

     

    Q:貴社は、顧客の要望に合わせて材料開発を行うことが可能とのことですが、それは貴社の高い技術力によるものという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。お客様から「こんな材料が欲しい」という要望があれば、それに合わせて開発を行うことができます。お客様のノウハウと当社の技術を組み合わせることで、様々な製品開発が可能になると考えています。

     

    Q:新たな取り組みや、トピックスがございましたら教えてください。

    A:今期は、新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力しています。

     

    Q:株主還元策について方針を教えていただけますか?

    A:経営基盤の強化と今後の事業拡大のため、必要な内部留保を充実しつつ、株主各位に対する安定かつ継続的な利益還元を実施していくことを基本方針としており、連結ベースでの30%以上の総還元性向を基準としています。

     

    Q:設備投資についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか?

    A:毎年10億~20億円程度の設備投資を行っています。その半分は更新投資で、残りは新規事業への投資です。工場の老朽化対策なども計画的に行っていく予定です。

  • 取材者: 貴社のビジネスモデルについてお聞かせください。

    回答者:弊社は来年で創業90周年を迎えます。創業当初は光学ガラスをメインに、双眼鏡やカメラなどに使われるレンズ材料を主体として事業を行っておりました。1935年の創業当時は戦時中であったため、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かったと聞いております。

    取材者: 半導体にも使われているということで、エレクトロニクス事業を展開されているということは、ガラスの分野においては、他の企業様と比較しても高い技術をお持ちであるという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: その通りです。ガラスといっても様々な種類がありますが、当社が注力している光学ガラスは非常にニッチな分野です。国内では、当社とHOYAで市場の7~8割を占めており、ニコンなど、その他のメーカーは小規模です。また、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない、独自性の高い市場です。

    取材者:貴社の中期経営計画では、国内外での販売額増加を掲げていらっしゃいますが、現状の売上比率はどのくらいでしょうか?

    回答者: 海外市場の売上が若干多く、4対6程度の比率です。

    取材者: 今後の海外展開についてお聞かせください。

    回答者: これまでは、キヤノンやニコンといった日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心でした。今後は、日系メーカー以外への拡販にも力を入れていきたいと考えております。また、半導体関連では、欧米や台湾の企業とも取引を行っており、中国市場への展開も視野に入れております。

    取材者: 今期発表されました2024年10月期の決算についてお伺いします。光学事業のカメラ向け製品において、在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった要因は何でしょうか?

    回答者: 2022年度後半から2023年度前半は半導体不足の影響で、お客様からの注文が実需以上に殺到し、生産が追いつかない状況でした。その反動で、2023年度後半から2024年度前半にかけて在庫調整が行われたことが要因と考えております。しかし、最終顧客であるカメラメーカーの需要は堅調であり、市場環境は悪くないと認識しております。

    取材者: カメラ向け製品の市場環境は一定とのことですが、エレクトロニクス事業が好調だったのは、どのような要因があるのでしょうか?

    回答者: エレクトロニクス事業でございますが、半導体関連がメインでございます。当社が製造しているガラスは、半導体露光装置のレンズに多く使用されております。近年、AIやIoTの普及により、露光装置の需要が高まっていることが好調の要因と考えております。エレクトロニクス事業は、一昨年頃から過去最高益を更新し続けております。

    取材者: こちらは逆に市場は好調なのですか?

    回答者: そうですね。

    取材者: 新規事業として参入を検討されている、電子基板用低誘電率ガラスについてご説明ください。

    回答者: 電子基板用ガラス市場において、原料をガラスにする工程には高度なノウハウが必要となります。従来、ファイバーメーカー様は原料から直接ファイバーを製造していましたが、当社が原料をガラス化することで、より低温で高品質なファイバーを製造することが可能になると考えております。そこで、当社の熔解設備で原料からガラスを製造する工程を担うことになりました。原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになり、熔解時に発生する泡などの混入リスクも低減できます。

    取材者: 原料からグラスファイバーを作るのでなく1回ガラスにすることによって、作りやすくなる、さらに良いものが作れるといったような認識でよろしいでしょうか?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: そうすると、低い温度での加工が可能になるという理解でよろしいでしょうか?

    回答者: そうです。原料を溶かすには高い温度が必要ですが、ガラスを一度塊にすることで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになると考えています。 ファイバーメーカー様は、ファイバーの引っ張り方など、様々なノウハウをお持ちですが、泡などの異物が無くガラスを溶かして均一な状態にするのは非常に難しい技術です。

    取材者: 貴社の技術を生かしてファイバーメーカー様の生産性の向上をサポートするようなイメージですよね?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: 貴社の新規事業の進捗状況についてお聞かせください。

    回答者: エレクトロニクス事業では、光学ガラス以外の様々な製品開発に取り組んでおります。例えば、全固体電池向けガラスは、安全性が高く、車載用電池などに適しております。また、従来のリチウムイオン電池に添加剤として使用することで、電池性能を向上させることも可能です。これらの製品を、電池メーカーに評価していただいております。

    取材者: 新規事業に関して、M&Aなども含めて考えはございますか?

    回答者: 現状では、具体的な計画はございません。弊社は、お客様と一緒に課題に取り組んでいくことで、ユニークな価値を備えた「ひかる材料」を作っていくことを第一ステップと考えております。

    取材者: 現状では、先ほどの電池の話も出たように、新規事業を行う企業様に技術を提供していくという方針でしょうか?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: それは貴社の技術力があるからこそできるようなことですか?

    回答者: そうです。お客様から「こんな材料が欲しい」という要望があれば、それに合わせて開発を行うことができます。お客様のノウハウと当社の技術を組み合わせることで、様々な製品開発が可能になると考えております。

    取材者: 今期新しく始まった取り組みや、トピックスがございましたら教えてください。

    回答者: 新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力しております。

    取材者: 承知いたしました。それでは、貴社の株主還元策について方針などございましたら教えていただけますか?

    回答者:経営基盤の強化と今後の事業拡大のため、必要な内部留保を充実しつつ、株主各位に対する安定かつ継続的な利益還元を実施していくことを基本方針としており、連結ベースでの30%以上の総還元性向を基準としております。

    取材者: 安定的に配当していくと。設備投資などにつきましてはどのようなお考えでしょうか?

    回答者: 毎年10億~20億円程度の設備投資を行っております。その半分は更新投資で、残りは新規事業への投資です。工場の老朽化対策なども計画的に行っていく予定です。

  • IR担当

(株)オハラ

東証STD 5218

決算:10月末日

CP&X


決算概要

第3四半期連結累計期間の業績は、売上高が前年同期比1.1%増の21,067百万円、営業利益が前年同期比5.3%減の1,571百万円となりました。前年同期と比べて増収減益となった要因としましては、光事業において交換レンズ用途を中心に需要が回復し販売が増加したものの、エレクトロニクス事業において半導体露光装置用途製品の在庫調整に伴い販売が減少し、販売構成の変化が営業利益に影響を及ぼしたことによるものです。


セグメント別または事業別の増減要因

第3四半期連結累計期間における光事業の業績は、売上高が前年同期比5.9%増の11,083百万円、営業損失が前年同期の△716百万円から300百万円改善して△415百万円となりました。このような業績となった要因は、デジタルカメラ市場の需要が堅調に推移し販売が増加したことに加え、事業構造の転換に伴い、生産設備の稼働率が良化して原価率が改善したことによるものです。一方、エレクトロニクス事業の業績は、売上高が前年同期比3.8%減の9,983百万円、営業利益が前年同期比16.4%減の1,987百万円となりました。減収減益となった要因は、半導体露光装置用途製品の調整に伴い販売が減少したこと加え、販売構成の変化が営業利益に影響を及ぼしたことによるものです。


通期見通しと進捗率・達成可能性

光事業では、中国によるレアアース輸出規制が業績に与える影響を懸念しております。対象となっているレアアース原料を含有する製品については、中国の合弁会社において熔解し、ガラス化された材料を輸出することで対応しております。ただし、ガラス化された材料は、原料と比較すると加工進度が高く、調達コストが上昇することから、2025年10月期第4四半期の利益面に一定の影響が生じると見込んでおります。

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年10月期第2四半期決算は、売上高138億100万円(前年同期比4.2%増)、営業利益10億5,100万円(同25.6%増)、経常利益12億9,100万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益7億5,600万円(同25.0%増)と、増収増益で着地した。しかしながら、業績予想は修正されており、その進捗は遅延している。この要因は、光事業における原材料費、特にレアアース関連の価格上昇による原価改善の遅れと、エレクトロニクス事業における半導体関連の在庫調整の長期化が挙げられる。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    光事業は、在庫調整の終了により実需水準まで回復したことにより、売上は当初計画を上回る進捗である。しかし、レアアース関連の原材料費高騰が原価改善を阻害し、収益面が改善せず、結果として売上高は上方修正したものの、営業利益は下方修正となった。一方、エレクトロニクス事業は、半導体関連の在庫調整が予想以上に長引いたことで売上が伸び悩み下方修正されたものの、石英ガラスにおける価格転嫁などが奏功し、利益面は落ち込まずに推移した。

     

    主要KPIの進捗と変化

    今期の光事業におけるカメラ関連製品は順調な推移が見込まれる一方で、半導体市場の動向が今後の主要な注目点である。低誘電ガラスなどの新しい事業も進めているが、これらは今期の業績には影響せず、来期の貢献を目指し計画策定および取り組みを進めている段階である。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2025年10月期の通期業績見通しは、売上高275億円、営業利益19億円、経常利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益22億円であり、現在のところ開示されている数字で推移する見込みである。下期に特別な施策は予定されていないが、来期以降の新しい事業立ち上げに向けた投資が開始されており、下期から来期にかけて新しい体制構築を進めている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:低誘電ガラスを含む新しい事業は、今期の業績には関係ありませんが、来期の計画において貢献できるよう現在取り組んでいます。下期からは、この新しい事業の立ち上げに向けた投資を開始しており、来期にかけて新しい体制を整えていく方針です。これらの取り組みは、将来の成長戦略における重要なポイントであると考えております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。
    A:通期の業績は、現在開示している予想通りに推移する見込みです。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aについては、特に公表できる内容はありません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期経営計画は2026年度が最終年度となります。新規事業を立ち上げてある程度の収益性を確保するという目標を掲げていますが、顧客との調整が多く、売上や収益の進捗が遅れています。特に、売上はわずかに未達となる程度に留まる見込みである一方、収益面では大幅に未達となる可能性があります。

  • 取材者:まず初めに、2025年10月期第2四半期の決算についてお伺いします。売上高は138億100万円で前年同期比4.2%の増加、営業利益は10億5,100万円で同25.6%の増加、経常利益は12億9,100万円で同14.5%の増加、親会社株主に帰属する中間純利益は7億5,600万円で同25.0%の増加と、前年と比較して増収増益で着地しました。ただし、業績予想の修正も出されている通り、業績予想に対する進捗が遅れてしまったように見受けられます。この増減要因についてご説明いただけますか?

     

    回答者:光事業についてですが、元々は在庫調整等があったため、先行きが不透明でした。一方で、生産設備の稼働率改善や業務効率化によって収益面の改善に向けて取り組んでいくというのが当初の計画でした。それに対して、カメラ向け交換レンズの在庫調整が終わり、ほぼ実需の水準に戻ってきたため、売上は当初計画よりも上回っています。ただ、収益面では、原材料費、特にレアアース関連の価格が上昇しています。昨年、コストが高い時期に仕入れた在庫が残っていることもあり、なかなか原価が改善されません。そのため、収益面もなかなか改善されず、光事業に関しては売上は上方修正しましたが、営業利益は下方修正という形になりました。

    一方、エレクトロニクス事業は基本的に半導体がメインです。光事業の在庫調整は終わりましたが、今度は半導体関連の在庫調整が予想より長引き、売上が伸びませんでした。そのため売上高は下方修正しましたが、利益に関しては石英ガラスなどで価格転嫁や収益性の良い製品が出たため、利益面は落ち込んでいません。

    以上より、全体では売上高・営業利益ともに下方修正となりましたが、セグメント間の調整、特に営業利益の構成が想定と違ったため、これを補正させていただきました。

     

    取材者:業績に影響を与えるような一時的な要因や季節性、外的要因などはございましたか?

     

    回答者:季節性は特にないと思います。

     

    取材者:やはり在庫調整が今期の上期の大きな要因だったということですか?

     

    回答者:その通りです。

     

    取材者:下期もエレクトロニクス事業に関しては、引き続き在庫調整を進めていくという認識でよろしいですか?

     

    回答者:そうですね、下期ももう少し時間がかかるかと思います。

     

    取材者:在庫を抱えてしまった要因について、改めて説明いただけますか?

     

    回答者:半導体市場が非常に好調だったため、お客様も強気に発注していた時期があったようです。お客様も部品の一つでも滞ると生産が止まってしまうため、多めに発注していたのではないかと思います。昨年の下期は過去最高レベルの業績を出したため、市場は非常に強いと思っていましたが、おそらく実需よりも多めに発注がかかっていたのではないかと思います。最近は、半導体製造装置市場も一部製品によっては需要が減少しており、半導体もすべてが良いわけではないようです。弊社のお客様のケースでも、当初は強気な数字を出していたものが、最近見るとかなり下がっています。そういった状況を見ると、やはりお客様の強い計画が想定通りに進んでいないということがあったのではないかと推測します。

     

    取材者:市場全体でそういった流れがあったということですね。主要なKPIなどがあれば教えていただけますか?

     

    回答者:今期は、光事業の交換レンズ向け材料は比較的このまま順調に進むと思いますが、半導体の動向がどうなるかという点が挙げられます。他にも、低誘電ガラスなど新しい事業も始めていますが、これは今期の数字には関係ないと思います。来期の計画を策定中ですが、そういった新しい事業がきちんと貢献できるように、現在取り組んでいるところです。

     

    取材者:それでは、前期比での採用数の推移はいかがですか?

     

    回答者:採用に関しては、新入社員は予定通り採用しています。以前から高齢化が進んでおり、若年層が少なかったことが課題となっていたため、ここ数年間、来年も含めて定期的に新しい人材を確保しようと動いています。

     

    取材者:それは順調に進捗していますか?

     

    回答者:市場が売り手市場になっているため、内定を出しても辞退されることもありますが、ここ数年間は順調に採用できています。

     

    取材者:2025年10月期の見通しについてお伺いします。売上高は275億円、営業利益は19億円、経常利益は23億円、親会社株主に帰属する当期純利益は22億円となっておりますが、進捗についてお伺いできますか?

     

    回答者:通期については、現在のところは開示した数字で推移していく見込みです。

     

    取材者:下期に向けた取り組みや施策はございますか?

     

    回答者:下期だからといって特別なことはありませんが、来期の新しい事業に向けた立ち上げの投資を始めています。この下期から来期にかけて、新しい体制を整えていこうと動いています。

     

    取材者:M&Aや業務提携について、実施の有無や検討状況があれば教えていただけますか?

     

    回答者:M&Aについては、特に公表できるような話はありません。

     

    取材者:株主還元の方針について、何か変更はございますか?

     

    回答者:現在のところ、特に変更はありません。来年が中期経営計画の最終年度であり、再来年から新しい中期経営計画が始まるため、何かあるとすればそのタイミングになるかと思います。今年は特にないと考えています。

     

    取材者:中期経営計画の進捗はいかがですか?

     

    回答者:中期経営計画は来年2026年度が最終年度です。基本的には新規事業を立ち上げて、ある程度の収益性を確保するという目標で動いていますが、お客様との調整が多く、売上や収益面が進捗しませんでした。特に売上よりも利益の方が想定通りに進まず、売上は若干未達となる程度かと思いますが、収益面で大幅に未達となる可能性があります。

     

    取材者:最後に、足元の状況について、何かトピックスやニュースリリースがあれば教えていただけますか?

     

    回答者:特にトピックスのような話はありません。何かあれば随時発表していくことになります。現在のところは開示しているもの以上の情報はありません。

  • IR担当

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取材アーカイブ

  • ビジネスモデル・事業内容

    株式会社オハラは、来年創業90周年を迎える光学ガラスメーカーである。光学ガラスはカメラ用レンズなどに使用されており、HOYAと並び、両社で国内市場の7~8割を占めるリーディングカンパニーである。 創業当初は双眼鏡やカメラなどに使われるレンズを主力製品としていたが、近年ではエレクトロニクス事業にも注力し、半導体露光装置用ガラスで高い成長を遂げている。 AIやIoTの普及に伴い露光装置の需要は拡大しており、同社の業績を牽引している。創業当初は双眼鏡やカメラなどに使われるレンズを主力製品としていたが、近年ではエレクトロニクス事業にも注力し、半導体露光装置用ガラスで高い成長を遂げている。AIやIoTの普及に伴い露光装置の需要は拡大しており、同社の業績を牽引している。

     

    創業の経緯と転機

    1935年の創業当時は戦時中であり、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かった。 その後、エレクトロニクス事業への進出が転機となり、現在では半導体露光装置用ガラスが主力製品となっている。

     

    直近の決算状況

    2024年10月期の決算では、光学事業のカメラ向け製品において在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった。 これは、2022年度後半から2023年度前半にかけての半導体不足の影響による反動で、在庫調整が行われたことが要因である。 一方、エレクトロニクス事業は好調で、半導体露光装置用ガラスの需要増加が貢献している。

     

    特徴・強み

    光学ガラスは非常にニッチな分野であり、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない。 国内では、オハラとHOYAで市場の7~8割を占めており、高い技術力と市場シェアを有している。

     

    成長戦略

    海外市場の売上比率は6割を占めており、これまで日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心であったが、今後は日系メーカー以外への販売拡大や、中国市場への進出も視野に入れている。

     

    新規事業

    新規事業としては、電子基板用低誘電ガラスや全固体電池向けガラスの開発に注力している。 電子基板用ガラスでは、ファイバーメーカーと提携し、原料からガラスを製造する工程を担うことで、顧客の高品質なファイバー製造を可能にする。 全固体電池向けガラスは、高いリチウムイオン電導性を有する材料で、安全性が高く、車載用電池などに適しており、次世代材料としての採用を目指している。

     

    株主還元策

    安定的な配当を継続していく方針で、総還元性向は30%以上を基準としている。

     

    今期の取り組み

    今期は、新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力している。

    設備投資は毎年10億~20億円程度行っており、更新投資と新規事業への投資をバランスよく行うことで、持続的な成長を目指している。

  • Q:貴社のビジネスモデルについてお聞かせください。

    A:弊社は来年で創業90周年を迎えます。創業当初は光学ガラスをメインに、双眼鏡やカメラなどに使われるレンズ材料を主体として事業を行っていました。1935年の創業当時は戦時中であったため、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かったと聞いています。

     

    Q:半導体にも使われているということで、エレクトロニクス事業を展開されているということは、ガラスの分野においては、他の企業様と比較しても高い技術をお持ちであるという認識でよろしいでしょうか?

    A:その通りです。ガラスといっても様々な種類がありますが、当社が注力している光学ガラスは非常にニッチな分野です。国内では、当社とHOYAで市場の7~8割を占めており、ニコンなど、その他のメーカーは小規模です。また、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない、独自性の高い市場です。

     

    Q:貴社の中期経営計画では、国内外での販売額増加を掲げていらっしゃいますが、現状における国内売上と海外売上の比率はどのくらいでしょうか?

    A:海外市場の売上が若干多く、4対6程度の比率です。

     

    Q:今後の海外展開についてお聞かせください。

    A:これまでは、キヤノンやニコンといった日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心でした。今後は、日系メーカー以外への拡販にも力を入れていきたいと考えています。また、半導体関連では、欧米や台湾の企業とも取引を行っており、中国市場への展開も視野に入れています。

     

    Q: 2024年10月期の決算についてお伺いします。光学事業のカメラ向け製品において、在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった要因は何でしょうか?

    A:2022年度後半から2023年度前半は半導体不足の影響で、お客様からの注文が実需以上に殺到し、生産が追いつかない状況でした。その反動で、2023年度後半から2024年度前半にかけて在庫調整が行われたことが要因と考えています。しかし、最終顧客であるカメラメーカーの需要は堅調であり、市場環境は悪くないと認識しています。

     

    Q:カメラ向け製品の市場環境は一定とのことですが、エレクトロニクス事業が好調だったのは、どのような要因があるのでしょうか?

    A:エレクトロニクス事業でございますが、半導体関連がメインでございます。当社が製造しているガラスは、半導体露光装置のレンズに多く使用されています。近年、AIやIoTの普及により、露光装置の需要が高まっていることが好調の要因と考えています。エレクトロニクス事業は、一昨年頃から過去最高益を更新し続けています。

     

    Q:エレクトロニクス事業の市場は好調であるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:新規事業として参入を検討されている、電子基板用低誘電率ガラスについてご説明ください。

    A:電子基板用ガラス市場において、原料をガラスにする工程には高度なノウハウが必要となります。従来、ファイバーメーカー様は原料から直接ファイバーを製造していましたが、当社が原料をガラス化することで、より低温で高品質なファイバーを製造することが可能になると考えています。そこで、当社の熔解設備で原料からガラスを製造する工程を担うことになりました。原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになり、熔解時に発生する泡などの混入リスクも低減できます。

     

    Q:貴社が原料を一度ガラス化してからファイバーメーカー様に提供することで、ファイバーの製造工程が簡略化され、品質が向上するという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:貴社が原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様はより低い温度で加工が可能になるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。原料を溶かすには高い温度が必要ですが、ガラスを一度塊にすることで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになると考えています。ファイバーメーカー様は、ファイバーの引っ張り方など、様々なノウハウをお持ちですが、泡などの異物が無くガラスを溶かして均一な状態にするのは非常に難しい技術です。

     

    Q:貴社の技術は、ファイバーメーカー様の生産性向上をサポートするためのものであるという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。

     

    Q:貴社の新規事業の進捗状況についてお聞かせください。

    A:エレクトロニクス事業では、光学ガラス以外の様々な製品開発に取り組んでいます。例えば、全固体電池向けガラスは、安全性が高く、車載用電池などに適しています。また、従来のリチウムイオン電池に添加剤として使用することで、電池性能を向上させることも可能です。これらの製品を、電池メーカーに評価していただいています。

     

    Q:新規事業に関して、M&Aなども含めてご説明ください。

    A:現状では、具体的な計画はございません。弊社は、お客様と一緒に課題に取り組んでいくことで、ユニークな価値を備えた「ひかる材料」を作っていくことを第一ステップと考えています。

     

    Q:貴社は、顧客の要望に合わせて材料開発を行うことが可能とのことですが、それは貴社の高い技術力によるものという理解でよろしいでしょうか?

    A:はい、その通りです。お客様から「こんな材料が欲しい」という要望があれば、それに合わせて開発を行うことができます。お客様のノウハウと当社の技術を組み合わせることで、様々な製品開発が可能になると考えています。

     

    Q:新たな取り組みや、トピックスがございましたら教えてください。

    A:今期は、新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力しています。

     

    Q:株主還元策について方針を教えていただけますか?

    A:経営基盤の強化と今後の事業拡大のため、必要な内部留保を充実しつつ、株主各位に対する安定かつ継続的な利益還元を実施していくことを基本方針としており、連結ベースでの30%以上の総還元性向を基準としています。

     

    Q:設備投資についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか?

    A:毎年10億~20億円程度の設備投資を行っています。その半分は更新投資で、残りは新規事業への投資です。工場の老朽化対策なども計画的に行っていく予定です。

  • 取材者: 貴社のビジネスモデルについてお聞かせください。

    回答者:弊社は来年で創業90周年を迎えます。創業当初は光学ガラスをメインに、双眼鏡やカメラなどに使われるレンズ材料を主体として事業を行っておりました。1935年の創業当時は戦時中であったため、潜望鏡やライフルスコープなど、光学ガラスの需要が高かったと聞いております。

    取材者: 半導体にも使われているということで、エレクトロニクス事業を展開されているということは、ガラスの分野においては、他の企業様と比較しても高い技術をお持ちであるという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: その通りです。ガラスといっても様々な種類がありますが、当社が注力している光学ガラスは非常にニッチな分野です。国内では、当社とHOYAで市場の7~8割を占めており、ニコンなど、その他のメーカーは小規模です。また、世界的に見ても光学ガラスを大量に生産しているメーカーは数社しか存在しない、独自性の高い市場です。

    取材者:貴社の中期経営計画では、国内外での販売額増加を掲げていらっしゃいますが、現状の売上比率はどのくらいでしょうか?

    回答者: 海外市場の売上が若干多く、4対6程度の比率です。

    取材者: 今後の海外展開についてお聞かせください。

    回答者: これまでは、キヤノンやニコンといった日系カメラメーカーの海外工場への販売が中心でした。今後は、日系メーカー以外への拡販にも力を入れていきたいと考えております。また、半導体関連では、欧米や台湾の企業とも取引を行っており、中国市場への展開も視野に入れております。

    取材者: 今期発表されました2024年10月期の決算についてお伺いします。光学事業のカメラ向け製品において、在庫調整が解消した一方で、光学プレス品や光学ブロック品の販売が前期水準まで回復しなかった要因は何でしょうか?

    回答者: 2022年度後半から2023年度前半は半導体不足の影響で、お客様からの注文が実需以上に殺到し、生産が追いつかない状況でした。その反動で、2023年度後半から2024年度前半にかけて在庫調整が行われたことが要因と考えております。しかし、最終顧客であるカメラメーカーの需要は堅調であり、市場環境は悪くないと認識しております。

    取材者: カメラ向け製品の市場環境は一定とのことですが、エレクトロニクス事業が好調だったのは、どのような要因があるのでしょうか?

    回答者: エレクトロニクス事業でございますが、半導体関連がメインでございます。当社が製造しているガラスは、半導体露光装置のレンズに多く使用されております。近年、AIやIoTの普及により、露光装置の需要が高まっていることが好調の要因と考えております。エレクトロニクス事業は、一昨年頃から過去最高益を更新し続けております。

    取材者: こちらは逆に市場は好調なのですか?

    回答者: そうですね。

    取材者: 新規事業として参入を検討されている、電子基板用低誘電率ガラスについてご説明ください。

    回答者: 電子基板用ガラス市場において、原料をガラスにする工程には高度なノウハウが必要となります。従来、ファイバーメーカー様は原料から直接ファイバーを製造していましたが、当社が原料をガラス化することで、より低温で高品質なファイバーを製造することが可能になると考えております。そこで、当社の熔解設備で原料からガラスを製造する工程を担うことになりました。原料を一度ガラス化することで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになり、熔解時に発生する泡などの混入リスクも低減できます。

    取材者: 原料からグラスファイバーを作るのでなく1回ガラスにすることによって、作りやすくなる、さらに良いものが作れるといったような認識でよろしいでしょうか?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: そうすると、低い温度での加工が可能になるという理解でよろしいでしょうか?

    回答者: そうです。原料を溶かすには高い温度が必要ですが、ガラスを一度塊にすることで、ファイバーメーカー様は低い温度で加工ができるようになると考えています。 ファイバーメーカー様は、ファイバーの引っ張り方など、様々なノウハウをお持ちですが、泡などの異物が無くガラスを溶かして均一な状態にするのは非常に難しい技術です。

    取材者: 貴社の技術を生かしてファイバーメーカー様の生産性の向上をサポートするようなイメージですよね?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: 貴社の新規事業の進捗状況についてお聞かせください。

    回答者: エレクトロニクス事業では、光学ガラス以外の様々な製品開発に取り組んでおります。例えば、全固体電池向けガラスは、安全性が高く、車載用電池などに適しております。また、従来のリチウムイオン電池に添加剤として使用することで、電池性能を向上させることも可能です。これらの製品を、電池メーカーに評価していただいております。

    取材者: 新規事業に関して、M&Aなども含めて考えはございますか?

    回答者: 現状では、具体的な計画はございません。弊社は、お客様と一緒に課題に取り組んでいくことで、ユニークな価値を備えた「ひかる材料」を作っていくことを第一ステップと考えております。

    取材者: 現状では、先ほどの電池の話も出たように、新規事業を行う企業様に技術を提供していくという方針でしょうか?

    回答者: はい、その通りです。

    取材者: それは貴社の技術力があるからこそできるようなことですか?

    回答者: そうです。お客様から「こんな材料が欲しい」という要望があれば、それに合わせて開発を行うことができます。お客様のノウハウと当社の技術を組み合わせることで、様々な製品開発が可能になると考えております。

    取材者: 今期新しく始まった取り組みや、トピックスがございましたら教えてください。

    回答者: 新規事業である電子基板用ガラスの量産化に注力しております。

    取材者: 承知いたしました。それでは、貴社の株主還元策について方針などございましたら教えていただけますか?

    回答者:経営基盤の強化と今後の事業拡大のため、必要な内部留保を充実しつつ、株主各位に対する安定かつ継続的な利益還元を実施していくことを基本方針としており、連結ベースでの30%以上の総還元性向を基準としております。

    取材者: 安定的に配当していくと。設備投資などにつきましてはどのようなお考えでしょうか?

    回答者: 毎年10億~20億円程度の設備投資を行っております。その半分は更新投資で、残りは新規事業への投資です。工場の老朽化対策なども計画的に行っていく予定です。

  • IR担当

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