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プレミアアンチエイジング(株)

東証GRT 4934

決算:7月末日

20251023

CP&X


【2025年7月期(通期)】

決算概要

2025年7月期の売上高は16,160百万円(前年同期比20.6%減)と減収であったものの、営業利益は617百万円(同343.8%増)、経常利益は599百万円(同271.8%増)、当期純利益は471百万円と大幅な増益を達成。売上高は予想通りに着地したが、利益が大きく上振れした主因は、新規顧客獲得のための広告宣伝費(獲得費)が、顧客生涯価値(LTV)を大きく上回る状況が続いたため、当初予定していた販促投資を行えなかったこと及び固定費削減等の費用削減である。純利益の上振れには、経常利益の上振れに加え、2024年7月期に全額取り崩した繰延税金資産を積み増したことによる法人税等調整額の影響がある。


セグメント別または事業別の増減要因

主力であるアンチエイジング事業においては、リニューアルに伴う旧製品の返品が売上および利益の減少要因となっている。この返品額は、小売店の棚や倉庫の物量が正確に把握できないため、見込みにくい一過性の要因である。通信販売においては、新規顧客獲得コスト(CPO)がLTVを大幅に上回る状態が続き、新規顧客獲得のための積極的な広告投資を抑制せざるを得なかったことが、売上シュリンクの主要因である。一方で、リカバリー事業については、通期でしっかりと成長を実現した。


主要KPIの進捗と変化

人材投資の観点では、社員のエンゲージメントサーベイのスコア向上をKPIの一つに設定し、2年後の2027年7月期末の目標(10ポイント向上)に対し、過去1年間で4.7ポイントの上昇を実現している。また、アンチエイジング事業に関わる資格の保有数増加も重視しており、こちらも2027年7月期末の目標75個に対し、現在49個と順調に増加している状況である。これらは、事業回復・向上には社員のエンゲージメントが不可欠であるという思想に基づく。


季節性・一過性要因の有無と影響

決算期における業績の増減に最も大きく影響を与えた一過性の要因は、主力クレンジング製品のリニューアルに伴う旧製品の返品である。アンチエイジング事業に明確な季節要因はないが、もう一つの柱であるリカバリー事業においては季節性が明確に存在する。リカバリーウェアは、年末(第2四半期)のボーナス商戦およびギフト需要、並びに5月〜7月頃(父の日・母の日)の需要が特に強く、それ以外の時期は売上が伸びにくい傾向にある。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年7月期の通期業績予想は、売上高16,500百万円(前年度比2.1%増)、営業利益300百万円(同51.4%減)、経常利益300百万円(同50.0%減)、当期純利益300百万円(同36.4%減)と、増収・減益を見込んでいる。この予想は、過去2期続いた売上高の減少ペースを鈍化させ、連結ベースでの下げ止まりを達成するための戦略的な投資を織り込んでいることを示している。事業別では、アンチエイジング事業は売上の挽回に弱含みであるものの、リカバリー事業の成長により全体をけん引する計画である。


トピックス

売上高の約7割を占めるアンチエイジング事業におけるDUOの再生・再確保を最重要テーマとしている。リニューアル後のDUO製品は、リテール(ドラッグストア等)店頭での販売状況が堅調で、昨年度と比較して売上がほぼ横ばいまで回復しており、この勢いを維持・加速させる方針である。リテールの強化策として、ドン・キホーテの若い顧客層をターゲットに「落とす」機能を強化したスクラブ入りクレンジングを販売開始するなど、商品展開も進めている。マーケティング施策は、アンチエイジング事業におけるCM放映を抑制し、情報が欲しい顧客に的確な情報提供を行うプル型広告(化粧品専門媒体、Amazon口コミなど)への投資にシフトする戦略的変更を実施する。また、リカバリー事業における認知度向上のため、CM放映の準備が完了し、近々お披露目される見込みである。

・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年7月期第3四半期の実績は減収・増益となりました。売上高は、リカバリー事業の売上が計画を上回って順調に伸長したものの、アンチエイジング事業が減収となり、全社では125億円と計画をやや下回りました。一方、営業利益は12億6,600万円となりました。上期から引き続き、通信販売において、新規獲得の広告効率が十分に改善しなかったことなどから、広告宣伝費を中心とした販売費を抑制したことや、固定費の削減を継続し、適切なコストマネジメントを実行したことにより、計画を大幅に上回りました。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    アンチエイジング事業の売上高は102億円となり、通信販売、卸売販売ともに前年同期を下回りました。一方、営業利益は10億9,900万円となりました。広告宣伝費を中心とした販売費の抑制と固定費の削減が貢献し、計画を大幅に上回りました。

    リカバリー事業の売上高は22億円となりました。スタンダード・ドライ・プラスやコンフォート・ポンチなどの主力製品の販売が伸長し、計画を上回って着地しました。営業利益は、更なる売上成長を図るためのテレビCMやデジタルマーケティングを中心とした投資を実施しているため、前年同期比微増となっておりますが、計画通りに進捗しています。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    第3四半期までの業績の進捗状況及び今後の事業環境を踏まえ、通期の業績予想を修正します。売上高は、当初計画を下回る見込みです。営業利益は、第4四半期に「デュオ」や「Lalaskin(ララスキン)」、「ベネクス」への広告・販促投資を計画しているものの、当初計画を上回る見通しです。

     

    トピックス

    主力ブランドの「デュオ」は、「ザ クレンジングバーム」シリーズ5種のリニューアル新発売が4月までに完了し、新たに店舗限定で投入した66gサイズや18gミニサイズの販売が好調に推移しております。また、「ザ クレンジングバーム ブラックリペア」は、@cosmeベストコスメアワード2025年上半期新作ベストコスメで、ベストクレンジング第1位、価格別賞ミドルプライス部門クレンジング第1位の2冠を受賞しました。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A: 第4四半期には、リニューアルしたデュオやLalaskin(ララスキン)の全国発売等に向けた広告・販促投資を積極的に展開するほか、ベネクスの認知を高め、更なる売上成長を促すための追加のマーケティング投資を継続する予定です。しかしながら、アンチエイジング事業を取り巻く環境は依然として厳しく、通信販売及び卸売販売に加え、中国市場についても慎重な見方を継続しています。加えて、デュオのリニューアルに伴う旧品の返品なども一定程度想定しています。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A: 売上高は当初計画を下回る160億円を見込んでいます。一方、営業利益は、デュオのリニューアルに伴う旧品の返品の影響や、第4四半期にはデュオやLalaskin(ララスキン)、ベネクスへの広告・販促投資を計画しているため、当初計画を上回る3億円を見込んでいますが、第3四半期までの実績からは大きく減少する見通しです。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2023年9月14日に公表した中期経営計画(2024年7月期から2027年7月期)については、2027年7月期の主要財務KPIで設定した目標は、2024年9月12日に取り下げております。なお、非財務的目標は引き続き実現を目指しております。

  • ​-

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • CP&X

     

    1. ビジネスモデルや事業内容

    プレミアアンチエイジング株式会社は、「誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる」社会を実現するため、アンチエイジング事業とリカバリー事業を展開。アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントをBtoCの自社通販チャネルと、バラエティショップやドラッグストアを中心とした卸売チャネルで販売。主力製品であるクレンジングバーム「DUO」は、5年連続でクレンジング売上No.1※を獲得。その他、オールインワン美容液を中心に展開する高機能エイジングケアブランド「CANADEL」やカラートリートメントを始めとする髪と地肌のエイジングケアを叶えるヘアケアブランド「clayence」を展開。リカバリー事業では、2023年1月に買収した株式会社ベネクスのリカバリーウェアブランド「VENEX」を展開。近年高まる健康意識や睡眠の質向上ニーズに対応し、成長を追求。

     

    ※TPC マーケティングリサーチ㈱調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019年4月~2024年3月/調査時期:2024年4月)

     

    2. 創業・理念

    2009年の創業以来、「誰もが年齢に捉われずに、人生100年時代をいきいきと生きることができる社会の実現」を目指し、アンチエイジング事業を展開。化粧品商材やヘアケア、リカバリーウェアを中心に、顧客や社会に貢献しながら利益の蓄積と投資を行い、将来に向けた事業基盤を構築。

     

    3. 直近の決算状況

    今期業績予想は減収増益。主力ブランド「DUO」のリニューアルやブランド価値向上のための広告戦略の見直しなど事業構造改革を進めている段階であり、まだ売上を反転させるまでには至らない見込み。第1四半期の営業利益は大幅増益。広告宣伝費や販管費の効率化、固定費削減などの効果によるもの。

     

    4. 成長戦略

    株式会社ベネクスのように、M&Aも積極的に活用し、アンチエイジングに関連して新たな成長が見込める分野の企業の買収を検討。新規事業の創出と垂直立ち上げを効率的に実現し、成長を加速。

     

    5. 株主還元策

    現状では株主還元は行わない。財務の健全性確保と事業投資を優先し、将来的な安定収益基盤の構築を目指す。将来的には、財務状況や業績の安定化、事業投資の進捗状況に応じて、配当や自社株買いなどの株主還元策を検討。

     

    6. 今期の取り組みやトピックス

    主力ブランド「DUO」のリニューアルを実施。ブランド誕生から15年を機に、クレンジングのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をさらにパワーアップするとともに店舗限定発売の価格設定を実施。ブランド価値向上のため、定期通販における広告戦略の見直しや、顧客獲得のための価格訴求からの脱却を推進。

  • Q1. 貴社のビジネスモデル、および事業内容について、他社と比較した場合の特徴や強みをご説明いただけますか。

    A1. 当社は、「アンチエイジング」を社名に掲げ、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会の実現を目指す企業です。 アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントを、自社ECサイト、楽天、Amazon等のECモール、バラエティショップやドラッグストア等の卸売チャネルで販売しています。 また、2023年1月に買収した株式会社ベネクスのリカバリーウェアを販売するリカバリー事業にも参入し、健康作りの3要素「運動」「栄養」「休養」の中でも、パフォーマンス向上に必要な「休養」に着目し、健康と睡眠の質向上に貢献しています。 ファブレス経営による迅速な商品企画・開発と、OEM先との協業による効率的な投資コントロールも強みです。

     

    Q2. 商品開発において、ワンシーズンに発売される新商品の数と、基幹商品である「DUO」のリニューアルに至った経緯について、お聞かせください。

    A2. 年によって変わりますが、新商品は年間で約6~10点程度発売しています。 基幹商品である「DUO」のザ クレンジングバームシリーズは、ブランド誕生から15年目にして初めてのリニューアルを行い、2025年1月8日から順次、5つの新商品を発売します。 クレンジングのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をさらにパワーアップするとともに、より店頭で手に取りやすい容量に調整することで、実質的な価格改定も行いました。

     

    Q3. 価格改定によるブランド戦略上の懸念点と、ブランド価値を維持するための戦略について、ご説明いただけますか。

    A3. 価格改定によるブランド価値の毀損は、容量調整によりグラム単価をほぼ維持することで起こらないと考えています。 中長期的には、ブランド価値を高める取り組みが重要です。 具体的には、定期通販における価格訴求の見直しや、クリエイティブの変更などを行っています。 従来の定期初回50%オフという価格訴求から、商品の価値を前面に出した訴求に変更し、ブランド力の向上を目指しています。

     

    Q4. 広告戦略において、ターゲット層と広告掲載媒体について、どのようにお考えでしょうか。

    A4. 広告媒体は、従来のテレビCMに加え、交通広告、インターネット広告、検索広告、SNS広告などを活用しています。 テレビCMは、地域や媒体によって視聴者に合わせた使い分けが必要ですが、一気に認知を拡大できるという強みがあります。 また、ニュース性や話題性を作り出すことで、より効果的にブランド認知を向上させることができます。 インターネット広告は、お客様の購買活動に直接作用するため重要な媒体であり、投資が必要です。

     

    Q5. 貴社の創業の経緯と、創業時の想いについてお聞かせください。

    A5. 当社は、2009年に松浦社長により創業されました。 創業の想いは、当社の企業理念、パーパスに集約されています。誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現するアンチエイジングカンパニーを目指しています。 そのために、現在は化粧品事業を中心に安定収益を確保し、将来に向けた事業投資を行っています。

     

    Q6. 今後のM&Aに関する方針について、お聞かせください。

    A6. M&Aは、チャンスがあれば積極的に検討していきたいと考えています。 ゼロから事業を立ち上げるよりも、既存の事業やノウハウを活用することで、より迅速に事業を拡大できると考えています。 株式会社ベネクスの買収のように、M&Aは経営の有力な手段として活用していきます。

     

    Q7. 今期の業績予想における減収増益の要因について、ご説明いただけますか。

    A7. 減収増益の背景には、ブランドのリニューアルや競合他社への対応など、事業構造改革を進めている段階であり、まだ売上を反転させるまでには至らないという状況があります。 第1四半期の大幅な増益は、広告宣伝費や販管費の効率化、固定費の削減などの効果が出ているためです。

     

    Q8. 株主還元策について、現状における方針をお聞かせください。

    A8. 現状は、株主還元を行うステージにないと考えています。 財務の健全性や事業投資を優先し、事業投資を通じた成長を果たした上で、株主還元を検討します。

  • 取材者: 本日はよろしくお願いいたします。まず初めに、貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比べたときの特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますでしょうか。

    回答者: はい、承知いたしました。弊社は「アンチエイジング」を社名に掲げ、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現することを企業理念としています。その理念のもと、現在大きく二つの事業を展開しています。一つはアンチエイジング事業、もう一つはリカバリー事業です。

    取材者: アンチエイジング事業について詳しくお教えください。

    回答者: アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントを販売しています。販売チャネルは、BtoCの自社通販と、卸売によるリテール販売を中心に展開しています。リテール販売では、バラエティショップやドラッグストアを中心に全国18,000店舗以上に配荷しています。主力商品は、クレンジングバームの「DUO」で、クレンジング市場でトップシェアを維持しており、5年連続でクレンジング売上No.1※を獲得しています。

    取材者: 他の商品についてもご教示ください。

    回答者: その他、オールインワン美容液を中心に展開する高機能エイジングケアブランドの「CANADEL」、カラートリートメントを始めとする髪と地肌のエイジングケアを叶えるヘアケアブランドの「clayence」を展開しています。「CANADEL」オールインワン美容液は、化粧水、美容液、クリーム、マスク、マッサージ等の機能を一つにまとめた商品で、6年ほど前に立ち上げました。「clayence」のカラートリートメントは、白髪染めとは異なり、毎日使用することで徐々に染まるヘアケア商品で、3年ほど前に立ち上げました。

    取材者: リカバリー事業についてはいかがでしょうか。

    回答者:2023年1月に株式会社ベネクスを買収し、リカバリーウェアの販売を行っています。リカバリーウェアは、健康作りの3要素「運動」「栄養」「休養」の中でも、パフォーマンス向上に必要な「休養」に着目し、着用することでリラックス効果と疲労回復効果が期待できる商品で、厚生労働省から一般医療機器の認定を受けています。近年の健康志向の高まりや睡眠の質向上への関心の高まりを背景に、市場が拡大しています。

    取材者: 貴社の事業の特徴や強みは何でしょうか。

    回答者: ファブレス経営であることがひとつの特徴です。OEM先との協業により、迅速な商品企画・開発と、投資のコントロールを両立させています。また、BtoCの自社通販とリテールの両方の販売チャネルを持つことで、多様な顧客層にアプローチしています。

    取材者: 商品開発についてお聞かせください。年間でどれくらいの新商品を開発しているのでしょうか。

    回答者: 商品やブランドによって異なりますが、年間6~10点程度の新商品を開発しています。例えば、主力商品の「DUO」は、発売15年目にして初めてリニューアルを行いました。1月8日から4月にかけて、5つの新商品を発売予定です。また、既存ブランドの新商品だけでなく、新規ブランドの立ち上げも予定しています。

    取材者: リニューアルの背景には、どのような理由があったのでしょうか。

    回答者: かつて「DUO」は年間200億円を超える売上を誇っていましたが、近年は競合の台頭や消費者の低価格志向などにより、売上が落ち込んでいました。そこで、クレンジングバームのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をパワーアップし、リニューアルしました。リニューアルでは、美容成分の強化や香りの改良など、品質をさらに向上させました。また、リテールにおける競争力強化のため、容量を調整した上で価格を設定した店舗限定商品も投入しました。

    取材者: 価格改定によるブランド価値の毀損は懸念されませんか。

    回答者: グラム単価で見ると、価格改定前と大きな差はなく、ブランド価値を棄損しているとは考えていません。また、中長期的にブランド価値を高めるためには、価格訴求だけでなく、商品の価値を前面に押し出す必要があります。そのため定期通販では、これまで初回50%オフとしていましたが、11月からは30%オフに変更しました。今後は、商品の価値を訴求する広告戦略に力を入れてまいります。

    取材者: 広告戦略について、ターゲットや掲載場所についてご教示ください。

    回答者: これまで主流だったテレビCMに加え、インターネット広告やSNS広告も活用しています。テレビCMは、地域や媒体によって視聴者が異なるため、より効果的な活用方法を検討しています。また、ニュース性や話題性を作り出すことで、認知度向上につなげています。オフラインでは、交通広告や屋外広告も活用しています。

    回答者: 今回、テレビCMに一定の費用を投じています。テレビを見る人は減少傾向にあるかもしれませんが、地域によっては全然違います。例えば、東京ではテレビを見る人が減っていると思うのですが、地方に行くと引き続き見ている方がいらっしゃいます。またコネクティッドTV、つまりTVerなど、様々なサービスを視聴する方が増えていますので、テレビCMのパワーが落ちたという話はあるものの、地域性やテレビの中の媒体などを考慮し、より精査された使い分けが必要になっているのではないかと考えています。加えて、WebのCMに比べると、一気に認知を拡大することができるパワーというのがあります。

    取材者: なるほど。

    回答者: そのあたりを活用して、ニュースを作ることが可能です。例えばテレビCMを作ると、CMで放映されるだけではなくCMのメイキング動画、CMにご登壇いただいているキャストの皆さんの想いを込めた動画なども作成できます。さらに、記者会見などで主要なメディアが集まってきます。例えば、木村拓哉さんをブランドキャラクターとして起用した「CANADEL」の記者会見では、約100名の報道関係者が詰めかけてくださいました。そして翌日はキー局全ての朝のワイドショーなどで「木村さんがCMに出演」と取り上げてくださいました。またスポーツ新聞も同様に報道してくれました。このような効果があるため、テレビCMは一つの有効な手段として考えています。

    取材者: はい。

    回答者: また、弊社はまだそこまで資金もないため積極的に活用できていませんが、オフラインの媒体として、電車の中の広告や、屋外広告、いわゆるOOH広告も認知度を高めるためには必要な手段と考えています。

    取材者: はい。

    回答者: さらに、購買活動に具体的に働きかける媒体という意味で言うと、インターネット広告、検索広告、さらにはSNS広告等の重要性が高まっており、こちらにも当然費用をかけています。

    取材者: ありがとうございます。承知いたしました。それでは、貴社の創業の経緯や、創業時のエピソードについてわかる範囲で教えていただけますでしょうか。

    回答者: はい、弊社は2009年に現在の社長の松浦が創業し、昨年12月に15周年を迎えました。創業の想いはまさに企業理念に集約されているのですが、人生100年時代と言われている中で、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現することです。現在は、アンチエイジング事業として、化粧品やヘアケア、サプリメントを中心に事業を展開していますが、今申し上げたような世界を実現するために今後も様々な事業にトライしていきたいと考えています。ただし、そのためにはお客様や社会に貢献しながらも、投資を行うために利益の蓄積も必要です。その意味で言うと今は化粧品事業、リカバリー事業を中心に事業投資を行い、将来に向けた原資を確保しようとしています。

    取材者: なるほど、ありがとうございます。先ほど今後の事業展開についてお話がありましたが、リカバリーウェアの株式会社ベネクスのように、今後もM&Aなどによる成長戦略をお考えでしょうか。M&Aに対する方針や戦略についてお聞かせください。

    回答者: はい。M&Aにつきましては、チャンスがあれば積極的に活用していきたいと考えています。弊社の体力を考えても、新規事業を立ち上げるにおいて、ゼロから作り上げるよりは、M&Aを活用することができるのであれば、有効な手段であると考えています。株式会社ベネクス買収でも成功したように、一つの経営の有力な手段として活用していきたいと考えています。

    取材者: はい。ありがとうございます。今期の業績について少しお伺いしたいのですが、業績予想としまして、減収増益という形で予想を出されているかと思いますが、これは先ほどご説明のあった他社との競合状況や、ブランドのリニューアルなどの影響で、準備段階ということもあり、減収になっているという理解でよろしいでしょうか。

    回答者: そうですね、準備段階というよりは事業構造改革の取り組みを推進しているところですが、その取り組みを推進しても、まだ売上を反転させるまでには至らないと考えています。もう少し時間が必要であると考えています。

    取材者: なるほど。今期第1クォーターでの営業利益に関しては、かなり大幅な増益になっているようですが、これは広告宣伝費や販管費の部分の影響が大きいのでしょうか。

    回答者: そうですね、広告宣伝費、販管費の影響が大きいと考えています。これは多少の期ずれの要因もありますが、広告宣伝費・販促費の効率的・効果的な運用に寄与するところが大きいと考えています。また、固定費の削減を含めたコントロールについては、経営として意識を変えており、大きなテーマとして取り組んでいます。したがって、固定費の削減も一定程度は寄与しているとご理解いただければと存じます。

    取材者: ありがとうございます。貴社の株主還元策について方針などございましたらお教えください。

    回答者: はい。現状では株主還元を行うことは考えておりません。資本政策の考え方として、まず企業の安定性、財務の健全性、事業投資、そして株主の皆様に対する配当、自社株買いという三つの要素を考えていく必要があります。弊社としましては、現状においては財務の健全性を重視しており、自己資本比率のターゲットである50%を少し超えているという状況です。しかしながら、業績はまだ安定しているわけではありませんので、資本を蓄えていく必要があります。さらに、事業投資の優先度が配当や自社株買いよりも現時点においては高いと考えています。これは、まだ弊社の既存事業のテコ入れが必要ですし、隣接分野に対して事業投資を行うことで成長していく余地がありますので、まずは事業投資をしっかり行っていきたいと考えています。逆に言えば、財務が安定し、業績が安定し、一定の事業投資を行い、余剰資本があるという状況になれば、株主の皆様に還元することも真摯に考えたいと思っていますが、現時点ではそのステージまではまだ差があると考えています。

    取材者: わかりました。こちらは今後の課題として考えていらっしゃるということでしょうか。

    回答者: そうですね、課題というよりは、まだその段階ではないということです。

    取材者: ありがとうございます。ESGに関する取り組みについて、様々な取り組みを行っていらっしゃると思いますが、特に環境の観点からの取り組みについて、例えば原材料の入手経路などに関する方針や取り組みについてお聞かせください。

    回答者: はい、承知しました。まず一つ目に、弊社では調達方針を策定し、社内外に公表しています。これはお取引先様に遵守いただきたい弊社の調達に関する考え方をまとめたものです。もちろん人権尊重なども含めてです。それから二つ目は、様々な取り組みを過去から行っていますが、現状において変化し続けているものとして、輸送効率を上げるための取り組みがあります。コンパクト便、ポスト投函型の配送サービスです。ポストに入るようなサイズの、運送効率の良い配送スタイルに合わせた容器を開発しました。

    取材者: なるほど

    回答者: つまり、再配達の削減に取り組んでいるということです。

    取材者: 承知いたしました。ありがとうございます。その他、今期新しく始めた取り組みや、業績に関わらず何かトピックスがございましたらお教えください。

    回答者: そうですね、やはり冒頭からお伝えしました「DUO」ブランドのリニューアルが一番大きなトピックスかと存じます。

    取材者: わかりました。本日はありがとうございました。

    回答者: ありがとうございました。

    ※TPC マーケティングリサーチ㈱調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019年4月~2024 年 3月/調査時期:2024 年4月)

  • 取締役 常務執行役員 CFO 伊藤洋一郎 様

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プレミアアンチエイジング(株)

東証GRT 4934

決算:7月末日

CP&X


【2025年7月期(通期)】

決算概要

2025年7月期の売上高は16,160百万円(前年同期比20.6%減)と減収であったものの、営業利益は617百万円(同343.8%増)、経常利益は599百万円(同271.8%増)、当期純利益は471百万円と大幅な増益を達成。売上高は予想通りに着地したが、利益が大きく上振れした主因は、新規顧客獲得のための広告宣伝費(獲得費)が、顧客生涯価値(LTV)を大きく上回る状況が続いたため、当初予定していた販促投資を行えなかったこと及び固定費削減等の費用削減である。純利益の上振れには、経常利益の上振れに加え、2024年7月期に全額取り崩した繰延税金資産を積み増したことによる法人税等調整額の影響がある。


セグメント別または事業別の増減要因

主力であるアンチエイジング事業においては、リニューアルに伴う旧製品の返品が売上および利益の減少要因となっている。この返品額は、小売店の棚や倉庫の物量が正確に把握できないため、見込みにくい一過性の要因である。通信販売においては、新規顧客獲得コスト(CPO)がLTVを大幅に上回る状態が続き、新規顧客獲得のための積極的な広告投資を抑制せざるを得なかったことが、売上シュリンクの主要因である。一方で、リカバリー事業については、通期でしっかりと成長を実現した。


主要KPIの進捗と変化

人材投資の観点では、社員のエンゲージメントサーベイのスコア向上をKPIの一つに設定し、2年後の2027年7月期末の目標(10ポイント向上)に対し、過去1年間で4.7ポイントの上昇を実現している。また、アンチエイジング事業に関わる資格の保有数増加も重視しており、こちらも2027年7月期末の目標75個に対し、現在49個と順調に増加している状況である。これらは、事業回復・向上には社員のエンゲージメントが不可欠であるという思想に基づく。


季節性・一過性要因の有無と影響

決算期における業績の増減に最も大きく影響を与えた一過性の要因は、主力クレンジング製品のリニューアルに伴う旧製品の返品である。アンチエイジング事業に明確な季節要因はないが、もう一つの柱であるリカバリー事業においては季節性が明確に存在する。リカバリーウェアは、年末(第2四半期)のボーナス商戦およびギフト需要、並びに5月〜7月頃(父の日・母の日)の需要が特に強く、それ以外の時期は売上が伸びにくい傾向にある。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年7月期の通期業績予想は、売上高16,500百万円(前年度比2.1%増)、営業利益300百万円(同51.4%減)、経常利益300百万円(同50.0%減)、当期純利益300百万円(同36.4%減)と、増収・減益を見込んでいる。この予想は、過去2期続いた売上高の減少ペースを鈍化させ、連結ベースでの下げ止まりを達成するための戦略的な投資を織り込んでいることを示している。事業別では、アンチエイジング事業は売上の挽回に弱含みであるものの、リカバリー事業の成長により全体をけん引する計画である。


トピックス

売上高の約7割を占めるアンチエイジング事業におけるDUOの再生・再確保を最重要テーマとしている。リニューアル後のDUO製品は、リテール(ドラッグストア等)店頭での販売状況が堅調で、昨年度と比較して売上がほぼ横ばいまで回復しており、この勢いを維持・加速させる方針である。リテールの強化策として、ドン・キホーテの若い顧客層をターゲットに「落とす」機能を強化したスクラブ入りクレンジングを販売開始するなど、商品展開も進めている。マーケティング施策は、アンチエイジング事業におけるCM放映を抑制し、情報が欲しい顧客に的確な情報提供を行うプル型広告(化粧品専門媒体、Amazon口コミなど)への投資にシフトする戦略的変更を実施する。また、リカバリー事業における認知度向上のため、CM放映の準備が完了し、近々お披露目される見込みである。

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  • CP&X

     

    1. ビジネスモデルや事業内容

    プレミアアンチエイジング株式会社は、「誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる」社会を実現するため、アンチエイジング事業とリカバリー事業を展開。アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントをBtoCの自社通販チャネルと、バラエティショップやドラッグストアを中心とした卸売チャネルで販売。主力製品であるクレンジングバーム「DUO」は、5年連続でクレンジング売上No.1※を獲得。その他、オールインワン美容液を中心に展開する高機能エイジングケアブランド「CANADEL」やカラートリートメントを始めとする髪と地肌のエイジングケアを叶えるヘアケアブランド「clayence」を展開。リカバリー事業では、2023年1月に買収した株式会社ベネクスのリカバリーウェアブランド「VENEX」を展開。近年高まる健康意識や睡眠の質向上ニーズに対応し、成長を追求。

     

    ※TPC マーケティングリサーチ㈱調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019年4月~2024年3月/調査時期:2024年4月)

     

    2. 創業・理念

    2009年の創業以来、「誰もが年齢に捉われずに、人生100年時代をいきいきと生きることができる社会の実現」を目指し、アンチエイジング事業を展開。化粧品商材やヘアケア、リカバリーウェアを中心に、顧客や社会に貢献しながら利益の蓄積と投資を行い、将来に向けた事業基盤を構築。

     

    3. 直近の決算状況

    今期業績予想は減収増益。主力ブランド「DUO」のリニューアルやブランド価値向上のための広告戦略の見直しなど事業構造改革を進めている段階であり、まだ売上を反転させるまでには至らない見込み。第1四半期の営業利益は大幅増益。広告宣伝費や販管費の効率化、固定費削減などの効果によるもの。

     

    4. 成長戦略

    株式会社ベネクスのように、M&Aも積極的に活用し、アンチエイジングに関連して新たな成長が見込める分野の企業の買収を検討。新規事業の創出と垂直立ち上げを効率的に実現し、成長を加速。

     

    5. 株主還元策

    現状では株主還元は行わない。財務の健全性確保と事業投資を優先し、将来的な安定収益基盤の構築を目指す。将来的には、財務状況や業績の安定化、事業投資の進捗状況に応じて、配当や自社株買いなどの株主還元策を検討。

     

    6. 今期の取り組みやトピックス

    主力ブランド「DUO」のリニューアルを実施。ブランド誕生から15年を機に、クレンジングのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をさらにパワーアップするとともに店舗限定発売の価格設定を実施。ブランド価値向上のため、定期通販における広告戦略の見直しや、顧客獲得のための価格訴求からの脱却を推進。

  • Q1. 貴社のビジネスモデル、および事業内容について、他社と比較した場合の特徴や強みをご説明いただけますか。

    A1. 当社は、「アンチエイジング」を社名に掲げ、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会の実現を目指す企業です。 アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントを、自社ECサイト、楽天、Amazon等のECモール、バラエティショップやドラッグストア等の卸売チャネルで販売しています。 また、2023年1月に買収した株式会社ベネクスのリカバリーウェアを販売するリカバリー事業にも参入し、健康作りの3要素「運動」「栄養」「休養」の中でも、パフォーマンス向上に必要な「休養」に着目し、健康と睡眠の質向上に貢献しています。 ファブレス経営による迅速な商品企画・開発と、OEM先との協業による効率的な投資コントロールも強みです。

     

    Q2. 商品開発において、ワンシーズンに発売される新商品の数と、基幹商品である「DUO」のリニューアルに至った経緯について、お聞かせください。

    A2. 年によって変わりますが、新商品は年間で約6~10点程度発売しています。 基幹商品である「DUO」のザ クレンジングバームシリーズは、ブランド誕生から15年目にして初めてのリニューアルを行い、2025年1月8日から順次、5つの新商品を発売します。 クレンジングのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をさらにパワーアップするとともに、より店頭で手に取りやすい容量に調整することで、実質的な価格改定も行いました。

     

    Q3. 価格改定によるブランド戦略上の懸念点と、ブランド価値を維持するための戦略について、ご説明いただけますか。

    A3. 価格改定によるブランド価値の毀損は、容量調整によりグラム単価をほぼ維持することで起こらないと考えています。 中長期的には、ブランド価値を高める取り組みが重要です。 具体的には、定期通販における価格訴求の見直しや、クリエイティブの変更などを行っています。 従来の定期初回50%オフという価格訴求から、商品の価値を前面に出した訴求に変更し、ブランド力の向上を目指しています。

     

    Q4. 広告戦略において、ターゲット層と広告掲載媒体について、どのようにお考えでしょうか。

    A4. 広告媒体は、従来のテレビCMに加え、交通広告、インターネット広告、検索広告、SNS広告などを活用しています。 テレビCMは、地域や媒体によって視聴者に合わせた使い分けが必要ですが、一気に認知を拡大できるという強みがあります。 また、ニュース性や話題性を作り出すことで、より効果的にブランド認知を向上させることができます。 インターネット広告は、お客様の購買活動に直接作用するため重要な媒体であり、投資が必要です。

     

    Q5. 貴社の創業の経緯と、創業時の想いについてお聞かせください。

    A5. 当社は、2009年に松浦社長により創業されました。 創業の想いは、当社の企業理念、パーパスに集約されています。誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現するアンチエイジングカンパニーを目指しています。 そのために、現在は化粧品事業を中心に安定収益を確保し、将来に向けた事業投資を行っています。

     

    Q6. 今後のM&Aに関する方針について、お聞かせください。

    A6. M&Aは、チャンスがあれば積極的に検討していきたいと考えています。 ゼロから事業を立ち上げるよりも、既存の事業やノウハウを活用することで、より迅速に事業を拡大できると考えています。 株式会社ベネクスの買収のように、M&Aは経営の有力な手段として活用していきます。

     

    Q7. 今期の業績予想における減収増益の要因について、ご説明いただけますか。

    A7. 減収増益の背景には、ブランドのリニューアルや競合他社への対応など、事業構造改革を進めている段階であり、まだ売上を反転させるまでには至らないという状況があります。 第1四半期の大幅な増益は、広告宣伝費や販管費の効率化、固定費の削減などの効果が出ているためです。

     

    Q8. 株主還元策について、現状における方針をお聞かせください。

    A8. 現状は、株主還元を行うステージにないと考えています。 財務の健全性や事業投資を優先し、事業投資を通じた成長を果たした上で、株主還元を検討します。

  • 取材者: 本日はよろしくお願いいたします。まず初めに、貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比べたときの特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますでしょうか。

    回答者: はい、承知いたしました。弊社は「アンチエイジング」を社名に掲げ、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現することを企業理念としています。その理念のもと、現在大きく二つの事業を展開しています。一つはアンチエイジング事業、もう一つはリカバリー事業です。

    取材者: アンチエイジング事業について詳しくお教えください。

    回答者: アンチエイジング事業では、化粧品、ヘアケア商品、サプリメントを販売しています。販売チャネルは、BtoCの自社通販と、卸売によるリテール販売を中心に展開しています。リテール販売では、バラエティショップやドラッグストアを中心に全国18,000店舗以上に配荷しています。主力商品は、クレンジングバームの「DUO」で、クレンジング市場でトップシェアを維持しており、5年連続でクレンジング売上No.1※を獲得しています。

    取材者: 他の商品についてもご教示ください。

    回答者: その他、オールインワン美容液を中心に展開する高機能エイジングケアブランドの「CANADEL」、カラートリートメントを始めとする髪と地肌のエイジングケアを叶えるヘアケアブランドの「clayence」を展開しています。「CANADEL」オールインワン美容液は、化粧水、美容液、クリーム、マスク、マッサージ等の機能を一つにまとめた商品で、6年ほど前に立ち上げました。「clayence」のカラートリートメントは、白髪染めとは異なり、毎日使用することで徐々に染まるヘアケア商品で、3年ほど前に立ち上げました。

    取材者: リカバリー事業についてはいかがでしょうか。

    回答者:2023年1月に株式会社ベネクスを買収し、リカバリーウェアの販売を行っています。リカバリーウェアは、健康作りの3要素「運動」「栄養」「休養」の中でも、パフォーマンス向上に必要な「休養」に着目し、着用することでリラックス効果と疲労回復効果が期待できる商品で、厚生労働省から一般医療機器の認定を受けています。近年の健康志向の高まりや睡眠の質向上への関心の高まりを背景に、市場が拡大しています。

    取材者: 貴社の事業の特徴や強みは何でしょうか。

    回答者: ファブレス経営であることがひとつの特徴です。OEM先との協業により、迅速な商品企画・開発と、投資のコントロールを両立させています。また、BtoCの自社通販とリテールの両方の販売チャネルを持つことで、多様な顧客層にアプローチしています。

    取材者: 商品開発についてお聞かせください。年間でどれくらいの新商品を開発しているのでしょうか。

    回答者: 商品やブランドによって異なりますが、年間6~10点程度の新商品を開発しています。例えば、主力商品の「DUO」は、発売15年目にして初めてリニューアルを行いました。1月8日から4月にかけて、5つの新商品を発売予定です。また、既存ブランドの新商品だけでなく、新規ブランドの立ち上げも予定しています。

    取材者: リニューアルの背景には、どのような理由があったのでしょうか。

    回答者: かつて「DUO」は年間200億円を超える売上を誇っていましたが、近年は競合の台頭や消費者の低価格志向などにより、売上が落ち込んでいました。そこで、クレンジングバームのパイオニアとして、多様化するお客様のニーズにお応えするべく、「落とすだけではないスキンケア効果」にこだわり、処方をパワーアップし、リニューアルしました。リニューアルでは、美容成分の強化や香りの改良など、品質をさらに向上させました。また、リテールにおける競争力強化のため、容量を調整した上で価格を設定した店舗限定商品も投入しました。

    取材者: 価格改定によるブランド価値の毀損は懸念されませんか。

    回答者: グラム単価で見ると、価格改定前と大きな差はなく、ブランド価値を棄損しているとは考えていません。また、中長期的にブランド価値を高めるためには、価格訴求だけでなく、商品の価値を前面に押し出す必要があります。そのため定期通販では、これまで初回50%オフとしていましたが、11月からは30%オフに変更しました。今後は、商品の価値を訴求する広告戦略に力を入れてまいります。

    取材者: 広告戦略について、ターゲットや掲載場所についてご教示ください。

    回答者: これまで主流だったテレビCMに加え、インターネット広告やSNS広告も活用しています。テレビCMは、地域や媒体によって視聴者が異なるため、より効果的な活用方法を検討しています。また、ニュース性や話題性を作り出すことで、認知度向上につなげています。オフラインでは、交通広告や屋外広告も活用しています。

    回答者: 今回、テレビCMに一定の費用を投じています。テレビを見る人は減少傾向にあるかもしれませんが、地域によっては全然違います。例えば、東京ではテレビを見る人が減っていると思うのですが、地方に行くと引き続き見ている方がいらっしゃいます。またコネクティッドTV、つまりTVerなど、様々なサービスを視聴する方が増えていますので、テレビCMのパワーが落ちたという話はあるものの、地域性やテレビの中の媒体などを考慮し、より精査された使い分けが必要になっているのではないかと考えています。加えて、WebのCMに比べると、一気に認知を拡大することができるパワーというのがあります。

    取材者: なるほど。

    回答者: そのあたりを活用して、ニュースを作ることが可能です。例えばテレビCMを作ると、CMで放映されるだけではなくCMのメイキング動画、CMにご登壇いただいているキャストの皆さんの想いを込めた動画なども作成できます。さらに、記者会見などで主要なメディアが集まってきます。例えば、木村拓哉さんをブランドキャラクターとして起用した「CANADEL」の記者会見では、約100名の報道関係者が詰めかけてくださいました。そして翌日はキー局全ての朝のワイドショーなどで「木村さんがCMに出演」と取り上げてくださいました。またスポーツ新聞も同様に報道してくれました。このような効果があるため、テレビCMは一つの有効な手段として考えています。

    取材者: はい。

    回答者: また、弊社はまだそこまで資金もないため積極的に活用できていませんが、オフラインの媒体として、電車の中の広告や、屋外広告、いわゆるOOH広告も認知度を高めるためには必要な手段と考えています。

    取材者: はい。

    回答者: さらに、購買活動に具体的に働きかける媒体という意味で言うと、インターネット広告、検索広告、さらにはSNS広告等の重要性が高まっており、こちらにも当然費用をかけています。

    取材者: ありがとうございます。承知いたしました。それでは、貴社の創業の経緯や、創業時のエピソードについてわかる範囲で教えていただけますでしょうか。

    回答者: はい、弊社は2009年に現在の社長の松浦が創業し、昨年12月に15周年を迎えました。創業の想いはまさに企業理念に集約されているのですが、人生100年時代と言われている中で、誰もが年齢に捉われずに、いきいきと生きることができる社会を実現することです。現在は、アンチエイジング事業として、化粧品やヘアケア、サプリメントを中心に事業を展開していますが、今申し上げたような世界を実現するために今後も様々な事業にトライしていきたいと考えています。ただし、そのためにはお客様や社会に貢献しながらも、投資を行うために利益の蓄積も必要です。その意味で言うと今は化粧品事業、リカバリー事業を中心に事業投資を行い、将来に向けた原資を確保しようとしています。

    取材者: なるほど、ありがとうございます。先ほど今後の事業展開についてお話がありましたが、リカバリーウェアの株式会社ベネクスのように、今後もM&Aなどによる成長戦略をお考えでしょうか。M&Aに対する方針や戦略についてお聞かせください。

    回答者: はい。M&Aにつきましては、チャンスがあれば積極的に活用していきたいと考えています。弊社の体力を考えても、新規事業を立ち上げるにおいて、ゼロから作り上げるよりは、M&Aを活用することができるのであれば、有効な手段であると考えています。株式会社ベネクス買収でも成功したように、一つの経営の有力な手段として活用していきたいと考えています。

    取材者: はい。ありがとうございます。今期の業績について少しお伺いしたいのですが、業績予想としまして、減収増益という形で予想を出されているかと思いますが、これは先ほどご説明のあった他社との競合状況や、ブランドのリニューアルなどの影響で、準備段階ということもあり、減収になっているという理解でよろしいでしょうか。

    回答者: そうですね、準備段階というよりは事業構造改革の取り組みを推進しているところですが、その取り組みを推進しても、まだ売上を反転させるまでには至らないと考えています。もう少し時間が必要であると考えています。

    取材者: なるほど。今期第1クォーターでの営業利益に関しては、かなり大幅な増益になっているようですが、これは広告宣伝費や販管費の部分の影響が大きいのでしょうか。

    回答者: そうですね、広告宣伝費、販管費の影響が大きいと考えています。これは多少の期ずれの要因もありますが、広告宣伝費・販促費の効率的・効果的な運用に寄与するところが大きいと考えています。また、固定費の削減を含めたコントロールについては、経営として意識を変えており、大きなテーマとして取り組んでいます。したがって、固定費の削減も一定程度は寄与しているとご理解いただければと存じます。

    取材者: ありがとうございます。貴社の株主還元策について方針などございましたらお教えください。

    回答者: はい。現状では株主還元を行うことは考えておりません。資本政策の考え方として、まず企業の安定性、財務の健全性、事業投資、そして株主の皆様に対する配当、自社株買いという三つの要素を考えていく必要があります。弊社としましては、現状においては財務の健全性を重視しており、自己資本比率のターゲットである50%を少し超えているという状況です。しかしながら、業績はまだ安定しているわけではありませんので、資本を蓄えていく必要があります。さらに、事業投資の優先度が配当や自社株買いよりも現時点においては高いと考えています。これは、まだ弊社の既存事業のテコ入れが必要ですし、隣接分野に対して事業投資を行うことで成長していく余地がありますので、まずは事業投資をしっかり行っていきたいと考えています。逆に言えば、財務が安定し、業績が安定し、一定の事業投資を行い、余剰資本があるという状況になれば、株主の皆様に還元することも真摯に考えたいと思っていますが、現時点ではそのステージまではまだ差があると考えています。

    取材者: わかりました。こちらは今後の課題として考えていらっしゃるということでしょうか。

    回答者: そうですね、課題というよりは、まだその段階ではないということです。

    取材者: ありがとうございます。ESGに関する取り組みについて、様々な取り組みを行っていらっしゃると思いますが、特に環境の観点からの取り組みについて、例えば原材料の入手経路などに関する方針や取り組みについてお聞かせください。

    回答者: はい、承知しました。まず一つ目に、弊社では調達方針を策定し、社内外に公表しています。これはお取引先様に遵守いただきたい弊社の調達に関する考え方をまとめたものです。もちろん人権尊重なども含めてです。それから二つ目は、様々な取り組みを過去から行っていますが、現状において変化し続けているものとして、輸送効率を上げるための取り組みがあります。コンパクト便、ポスト投函型の配送サービスです。ポストに入るようなサイズの、運送効率の良い配送スタイルに合わせた容器を開発しました。

    取材者: なるほど

    回答者: つまり、再配達の削減に取り組んでいるということです。

    取材者: 承知いたしました。ありがとうございます。その他、今期新しく始めた取り組みや、業績に関わらず何かトピックスがございましたらお教えください。

    回答者: そうですね、やはり冒頭からお伝えしました「DUO」ブランドのリニューアルが一番大きなトピックスかと存じます。

    取材者: わかりました。本日はありがとうございました。

    回答者: ありがとうございました。

    ※TPC マーケティングリサーチ㈱調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019年4月~2024 年 3月/調査時期:2024 年4月)

  • 取締役 常務執行役員 CFO 伊藤洋一郎 様

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年7月期第3四半期の実績は減収・増益となりました。売上高は、リカバリー事業の売上が計画を上回って順調に伸長したものの、アンチエイジング事業が減収となり、全社では125億円と計画をやや下回りました。一方、営業利益は12億6,600万円となりました。上期から引き続き、通信販売において、新規獲得の広告効率が十分に改善しなかったことなどから、広告宣伝費を中心とした販売費を抑制したことや、固定費の削減を継続し、適切なコストマネジメントを実行したことにより、計画を大幅に上回りました。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    アンチエイジング事業の売上高は102億円となり、通信販売、卸売販売ともに前年同期を下回りました。一方、営業利益は10億9,900万円となりました。広告宣伝費を中心とした販売費の抑制と固定費の削減が貢献し、計画を大幅に上回りました。

    リカバリー事業の売上高は22億円となりました。スタンダード・ドライ・プラスやコンフォート・ポンチなどの主力製品の販売が伸長し、計画を上回って着地しました。営業利益は、更なる売上成長を図るためのテレビCMやデジタルマーケティングを中心とした投資を実施しているため、前年同期比微増となっておりますが、計画通りに進捗しています。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    第3四半期までの業績の進捗状況及び今後の事業環境を踏まえ、通期の業績予想を修正します。売上高は、当初計画を下回る見込みです。営業利益は、第4四半期に「デュオ」や「Lalaskin(ララスキン)」、「ベネクス」への広告・販促投資を計画しているものの、当初計画を上回る見通しです。

     

    トピックス

    主力ブランドの「デュオ」は、「ザ クレンジングバーム」シリーズ5種のリニューアル新発売が4月までに完了し、新たに店舗限定で投入した66gサイズや18gミニサイズの販売が好調に推移しております。また、「ザ クレンジングバーム ブラックリペア」は、@cosmeベストコスメアワード2025年上半期新作ベストコスメで、ベストクレンジング第1位、価格別賞ミドルプライス部門クレンジング第1位の2冠を受賞しました。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A: 第4四半期には、リニューアルしたデュオやLalaskin(ララスキン)の全国発売等に向けた広告・販促投資を積極的に展開するほか、ベネクスの認知を高め、更なる売上成長を促すための追加のマーケティング投資を継続する予定です。しかしながら、アンチエイジング事業を取り巻く環境は依然として厳しく、通信販売及び卸売販売に加え、中国市場についても慎重な見方を継続しています。加えて、デュオのリニューアルに伴う旧品の返品なども一定程度想定しています。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A: 売上高は当初計画を下回る160億円を見込んでいます。一方、営業利益は、デュオのリニューアルに伴う旧品の返品の影響や、第4四半期にはデュオやLalaskin(ララスキン)、ベネクスへの広告・販促投資を計画しているため、当初計画を上回る3億円を見込んでいますが、第3四半期までの実績からは大きく減少する見通しです。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2023年9月14日に公表した中期経営計画(2024年7月期から2027年7月期)については、2027年7月期の主要財務KPIで設定した目標は、2024年9月12日に取り下げております。なお、非財務的目標は引き続き実現を目指しております。

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  • IR担当

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