
(株)アイビー化粧品
東証STD 4918
決算:3月末日
20251120
CP&X
【2026年3月期第2四半期】
決算概要
主力製品の在庫調整完了と固定費削減の進展により増収・大幅増益
第2四半期の売上高は前年同期比0.2%増の1,384百万円、営業利益は同96%増の207百万円と増収・大幅増益で着地。主力製品の流通在庫適正化による売上伸長に加え、拠点集約に伴う固定費削減や人件費コントロール等の経営体質強化策が奏功し、各利益段階で前年実績を上回る結果となった。変動費率の低いビジネスモデルであるため、固定費の抑制が直接的に利益率改善へ寄与する構造が鮮明に表れている。
セグメント別または事業別の増減要因
主力製品の実売乖離解消による伸長および既存製品の堅調な推移
当上期に新製品の投入はなかったものの、特に発売9年目を迎える最大規模の主力製品「レッドパワーセラム」は、販売会社における在庫調整が完了し実売と出荷数量の乖離が解消されたことで、売上金額ベースで伸長し全体業績を牽引した。
主要KPIの進捗と変化
自己資本比率および経常利益率は目標超過も棚卸資産回転期間は未達
重要指標とする3つのKPIのうち、自己資本比率は73.6%(目標60%以上)、売上高経常利益率は15%以上(目標15%以上)となり、9月時点で財務健全性と収益性の目標を達成。一方で棚卸資産回転期間については現在10か月程度で推移しており、適正水準とする6か月に対して未達の状況にあるため、継続的な短縮に向けた取り組みが必要である。
季節性・一過性要因の有無と影響
対面活動の正常化が進む一方、記録的な猛暑が営業活動の一時的な停滞要因に コロナ禍の影響縮小により、地域によるマスク着用の差がなくなるなど対面での研修や接触活動は正常化へ向かうポジティブな変化が見られた。他方で5月から10月にかけての長期間にわたる記録的な猛暑により、研修の中止や外出控え、化粧品使用の抑制等のマイナス影響が発生し、業績の上振れを阻害する一過性の要因となった。
通期見通しと進捗率・達成可能性
下期の需要期入りで回復見込むも大型新製品不在の影響により通期減収予想
下期は気温低下に伴う主力の保湿製品への需要増や、気候安定による活動環境の改善により、例年通り上期を上回る業績推移を見込む。しかしながら前期末に実施したような大型新製品の発売予定がないことによる反動減を考慮し、通期業績については前期比で減収のガイダンスを据え置いている。
トピックス
配当可能利益の最大化による復配の確実な実行と新株予約権行使の進展
当期純利益の積み上げによる配当可能利益の最大化を最優先事項とし、通期EPS50円弱の予想に基づき来年6月の15円配当(復配)を確実に実行する方針を明示。また資本政策においては新株予約権の行使が約8割まで完了しており、今後は株価や出来高の推移を勘案しながら完全行使による完了を目指す段階にある。
・資料
ー

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
株式会社アイビー化粧品は、訪問販売を主軸とした化粧品会社である。スキンケア製品、特に美容液に強みを持ち、売上高の7割以上をスキンケア製品が占めている。これは、一般的な化粧品会社がスキンケアとメイクアップを半々、もしくはメイクアップの比率が高いのと比較すると、大きな特徴と言える。
訪問販売のみで全国展開しており、地域に影響力のある販売員がいるとその人を中心に販売網が拡大していく傾向がある。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、テレビで黒皮病のニュースを見て、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいという思いからアイビー化粧品を創業した。当初は工場を持たず、他社に製造を委託していたが、後に自社工場を設立した。
特徴や強み
同社は全国に販売網を有してるが、その展開方法は独特である。特定の地域に魅力的な人物がいると、その人を中心に販売網が広がっていくという、口コミや人的ネットワークを重視した戦略をとっている。地域によって販売員の分布にばらつきがあるのは、この戦略によるものである。また、愛用者作りと販売員育成を一体化した戦略を展開している。販売員は、顧客のお肌に責任を持って対応し、生涯にわたってサポートすることで、愛用者を獲得している。
同社の社名には、「愛と美と豊かさを実践と追求」という理念が込められており、この理念は創業当時から同社の事業を支える柱となっている。特に、女性が働きやすい環境を提供することに力を入れており、30代の子育て世代の女性が販売員として活躍している。
成長戦略
近年は、インターネットの普及や特商法の改正、コロナ禍の影響などにより、売上高は減少傾向にある。しかし、同社は愛用者作りと販売員育成を一体化した戦略を展開し、新製品の投入や販売員の教育、エステサロン「アルテミス」の展開など、様々な施策を講じている。
販売員の育成に力を入れており、化粧品の知識や美容知識、理念などを研修で教えている。
株主還元策
株主還元策として配当の再開も視野に入れ、企業価値向上を目指している。
Q:貴社の創業の理念や根幹に、女性が働きやすい社会という理念はあったのでしょうか?
A:当時の黒皮病のニュースで、化粧品を使ったらかえってお肌がひどくなってしまったという内容のものが放送されており、創業者はそれを見て、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいと考えたとされています。 だからこそ、アイビー化粧品を作ったのです。
Q:創業者は元々化粧品業界に関わっていたのですか?
A:いいえ、全くの異業種からの参入でした。そのため、創業当初は工場もなく、創業者の考えに共鳴した人たちが「私も販売させてください」という形で徐々に増えていき、工場を作ったのは創業から10年以上経ってからです。それまでは他社に製造を委託していました。
Q:創業当初から化粧品の販売は順調でしたか?
A:創業者がたまたま入院中にテレビで黒皮病のニュースを見て、何かひらめいたようです。残りの人生をこれにかけてみようと思い、事業を始めることを決意しました。周囲の協力もあり、会社を設立することができたのです。創業当初は困難もあったようですが、社名もアイビー化粧品として、「愛と美と豊かさの実践と追求」という理念を掲げました。一般的なビジネスマンからは、「愛」という言葉に否定的な意見が多かったようですが、創業者の考えに共鳴する人たちもいて、協力してくれた方々のおかげで事業を立ち上げることができたと聞いています。
Q:その理念が、現在の訪問販売という形に繋がっているのでしょうか?
A:一度担当者から購入すると決めたら、ずっとその人から購入するという愛用者が多いです。通常、商品を販売したらそれで終わりですが、アイビー化粧品の販売員は「私はあなたのお肌に責任を持って対応します」という形で、生涯にわたってサポートしています。そのため、愛用者は他社製品に浮気することがないのです。
Q:貴社は愛用者作りに力を入れているということでしょうか?
A:愛用者を作るということは同時に販売員を作ることなので、それを謳い文句に今、事業を行っています。
Q:様々な販売員を育成していくことが基本的な方針でしょうか?
A:販売員の育成は重要な戦略です。愛用者を作ることは、同時に販売員を作ることにも繋がります。
Q:販売員の育成、セミナーやレクチャーは、オンラインが多いのでしょうか?
A:オンライン研修の増加は、時代の流れと言えるでしょう。対面での交流に抵抗がなくなってきた方も増えたため、研修の参加者は徐々に増加しています。
Q:貴社の販売員以外の方々に研修内容を教えることはありますか?
A:いいえ、そのようなことは考えていません。研修は、参加者の人生に役立つものであってほしいと考えています。
Q:訪問販売のノウハウがあり、ファンを増やしている貴社の研修は、受講希望者も多いのではないでしょうか?
A:素晴らしい研修ですねという意見はよくいただきます。しかし、丸1日拘束される研修となると、なかなか参加が難しいという方もいらっしゃいます。
Q:株主還元策についてどのようにお考えですか?
A:弊社の課題として、7年間配当を行っていないということがあります。無配の状態なので、いつ復配できるかが重要だと考えています。復配できるよう、環境を整えているところです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 弊社は、訪問販売を行っている化粧品会社です。一番の特徴は、スキンケア製品で、売上高の7割以上を占めております。通常、スキンケアとメイクアップですと半々、もしくはメイクアップが多い企業様が多いのですが、弊社はスキンケア、特に美容液に強みを持つ会社です。
取材者: 訪問販売以外に販売チャネルはございますか?
回答者: いいえ、訪問販売のみです。販売エリアは全国ですが、地域に魅力的な販売員がいると、その人を中心に広がっていくという特徴があります。例えば、山形県は販売員が多いのですが、青森県や秋田県にはほとんどいません。関東、関西は比較的多く、京都、大阪、奈良、滋賀、兵庫方面に販売員が多いです。和歌山、三重、中国地方では鳥取の米子などに販売員がいます。なぜか広島にはいないのですが、九州に行って山口や福岡など、地域的にバラバラです。主に売上高の中心は関西です。弊社の本社は東京にありますが、売上高でいうと関西の方が多いというのは、意外かもしれませんが、たまたまそこに魅力的な人がいたというだけの話です。
取材者: 魅力的な人というのは、どのような方ですか?
回答者: 魅力的な人というのは、弊社の場合は販社長、それから営業所のビューティーマネージャーという販売員、そして愛用者の方です。やはり販社長や営業所の人が魅力的な人だと、その人から買いたいという方が多いようです。どんなに良い製品でも、自分が嫌いな人からは買いたくないものです。この人から買いたいという気持ちは、人間であれば当然のことです。魅力のある人がいると、その人に顧客が集まり、顧客が販売員になり、そして売れていくという流れです。
取材者: 従業員数は120名様ほどというふうに認識しておりますが、販売員の方の人数はどれくらいになるのでしょうか?
回答者: 従業員数というのは社員数ですね。販売会社数でいうと約240社ほどあり、営業所は約6,000ヶ所ほどございます。
取材者: 社員の方はこの訪問販売をされているわけではないのですか?
回答者: 社員は販売はしません。社員は教育しかしません。教育というのは、販売員を育成するための教育です。それが弊社の社員の役割です。例えば、化粧品の知識がない人には美容知識を教えます。弊社の場合は理念研修というのを大事にしておりまして、理念研修を行うトレーナーや営業担当者が様々なアドバイスをするという形です。
取材者: 販売員の方というのは、どのような方が多いのでしょうか?
回答者: 95%が女性です。今の日本社会は男女平等が進んでいると言われていますが、実際にはどうでしょうか。例えば、女性が企業に就職し、結婚を機に退社、そしてお子さんが生まれて再就職しようとします。仕事はたくさんありますが、子育てをしながらできる仕事はそれほど多くありません。また、自分に合った仕事かどうかでいうと、ミスマッチが多いのが現状です。しかし、化粧品の訪問販売、弊社の場合はノルマがあるわけではなく、自分の空いた時間で販売活動ができます。また、自分も使っているので、どのようなものか説明しやすいという点も魅力です。このような理由から、30代の子育て世代の女性が販売員になるパターンが多いです。
取材者: 貴社の創業の理念であったり、その根幹の部分、何か女性が働きやすいという社会的な部分もあったりするのですか?
回答者: そうですね。女性が働きやすいというよりかは、弊社の創業者である白銀昭が創業したときに、本人は癌を患っており、余命いくばくもない状態でした。何か社会に貢献できる仕事をしたいという思いから、この会社を立ち上げたのです。創業者は、女性が働きやすい環境を整備したいという思いがあったようです。当時の黒皮病のニュースで、化粧品を使ったらかえってお肌がひどくなってしまったという内容のものが放送されており、創業者はそれを見て、これは良くない、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいと考えたのです。だからこそ、アイビー化粧品を作ったのです。なので、女性のためにという思いを創業者は持っていたようですね。
取材者: 元々創業者は何か化粧品を使われていたのですか?
回答者: いいえ、違います。全く扱っていなかったのです。なので、最初は工場もなくスタートしました。創業者の考え方に共鳴する人たちが「私も販売させてください」という形でどんどん増えていき、工場を作ったのは創業して10年ちょっと経ってからです。それまでは工場はなく、他社に製造を委託していたということです。
取材者: 最初からそのような化粧品を扱って販売することができたのですか?
回答者: 創業者がたまたま病院のベッドで寝ていたときにテレビを見ていて、先ほど申し上げました黒皮病のニュースを見て、何かひらめいたようです。残りの人生をこれにかけてみようと思い、始めると言ったら、様々な人が協力してくれて、会社を設立することができたのです。最初は大変だったようですが、社名もアイビー化粧品ということで、「愛と美と豊かさの実践と追求」という理念を掲げています。一般的なビジネスマンの方からは、「愛なんて言って、ビジネスはできないよ」という意見が多く、ネガティブな反応が多かったようです。しかし、創業者の考えに共鳴する人もいて、協力してくれた方々のおかげで事業を立ち上げることができたと聞いています。
取材者: そういった理念というものが、今の訪問販売という形に繋がっているのですか?
回答者: そうですね。逆に理念がなかったら、とっくに空中分解してなくなっていたと思います。アイビー化粧品の場合は、アイビー化粧品しか買わないという愛用者が非常に多いのです。それは単に製品が良いだけではなく、販売員の方の姿勢や考え方など、様々な要因があると思います。この人から買うと決めたら、ずっとその人から買うという愛用者が多いです。通常は、商品を販売したらそれで終わりですが、アイビー化粧品の販売員は「私はあなたのお肌に責任を持って対応します」という形で、一生面倒を見るつもりで対応しています。そのため、愛用者は浮気をしないのです。
取材者: 貴社は愛用者作りに力を入れているということですか?
回答者: そうですね。
取材者: 様々な販売員を育成していくということが基本的な方針になるのでしょうか?
回答者: そうですね。愛用者を作るということは同時に販売員を作ることなので、それを謳い文句に今、事業を行っています。
取材者: 今回、販売員を育てる部分、育成の部分といいますか、セミナーやレクチャーは、やはりオンラインが多いのですか?
回答者: オンラインが多くなりました。時代の流れなので仕方がないのですが、ただ、コロナ禍もあけ、実際に人に会うことに抵抗を持たなくなってきた方も増えてきましたので、研修の動員数は少しずつ増えてきました。リアルで会うこともできるようになってきたという感じです。
取材者: 研修の内容を、貴社の販売員以外の方々に教えるようなことはされているのですか?
回答者: あまりそういうことは考えておりません。研修そのものは、そこで何かを変えなければいけないということはありません。参加して人生の役に立ったね、で終わりの方もいます。
取材者: 訪問販売のノウハウがあり、ファンの方を増やしているというのは、研修だけを聞きたいという方も多いのではないでしょうか?
回答者: 実際、「すごく良い研修ですね」という意見はよくいただきます。ただ、フルに1日間、ずっと参加しなければいけないとなると、なかなか時間をとっていただけないということもあります。
取材者: 株主還元策についてどのようにお考えですか?
回答者: 弊社の課題として、7年間配当を行っていないということがあります。無配なので、いつ復配できるかということが一番重要かもしれません。復配できるよう、環境を整えなければいけません。現在、それに取り組んでいるところです。
取締役 経営管理部 部長 中山 聖仁 様
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(株)アイビー化粧品
東証STD 4918
決算:3月末日
CP&X
【2026年3月期第2四半期】
決算概要
主力製品の在庫調整完了と固定費削減の進展により増収・大幅増益
第2四半期の売上高は前年同期比0.2%増の1,384百万円、営業利益は同96%増の207百万円と増収・大幅増益で着地。主力製品の流通在庫適正化による売上伸長に加え、拠点集約に伴う固定費削減や人件費コントロール等の経営体質強化策が奏功し、各利益段階で前年実績を上回る結果となった。変動費率の低いビジネスモデルであるため、固定費の抑制が直接的に利益率改善へ寄与する構造が鮮明に表れている。
セグメント別または事業別の増減要因
主力製品の実売乖離解消による伸長および既存製品の堅調な推移
当上期に新製品の投入はなかったものの、特に発売9年目を迎える最大規模の主力製品「レッドパワーセラム」は、販売会社における在庫調整が完了し実売と出荷数量の乖離が解消されたことで、売上金額ベースで伸長し全体業績を牽引した。
主要KPIの進捗と変化
自己資本比率および経常利益率は目標超過も棚卸資産回転期間は未達
重要指標とする3つのKPIのうち、自己資本比率は73.6%(目標60%以上)、売上高経常利益率は15%以上(目標15%以上)となり、9月時点で財務健全性と収益性の目標を達成。一方で棚卸資産回転期間については現在10か月程度で推移しており、適正水準とする6か月に対して未達の状況にあるため、継続的な短縮に向けた取り組みが必要である。
季節性・一過性要因の有無と影響
対面活動の正常化が進む一方、記録的な猛暑が営業活動の一時的な停滞要因に コロナ禍の影響縮小により、地域によるマスク着用の差がなくなるなど対面での研修や接触活動は正常化へ向かうポジティブな変化が見られた。他方で5月から10月にかけての長期間にわたる記録的な猛暑により、研修の中止や外出控え、化粧品使用の抑制等のマイナス影響が発生し、業績の上振れを阻害する一過性の要因となった。
通期見通しと進捗率・達成可能性
下期の需要期入りで回復見込むも大型新製品不在の影響により通期減収予想
下期は気温低下に伴う主力の保湿製品への需要増や、気候安定による活動環境の改善により、例年通り上期を上回る業績推移を見込む。しかしながら前期末に実施したような大型新製品の発売予定がないことによる反動減を考慮し、通期業績については前期比で減収のガイダンスを据え置いている。
トピックス
配当可能利益の最大化による復配の確実な実行と新株予約権行使の進展
当期純利益の積み上げによる配当可能利益の最大化を最優先事項とし、通期EPS50円弱の予想に基づき来年6月の15円配当(復配)を確実に実行する方針を明示。また資本政策においては新株予約権の行使が約8割まで完了しており、今後は株価や出来高の推移を勘案しながら完全行使による完了を目指す段階にある。
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取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
株式会社アイビー化粧品は、訪問販売を主軸とした化粧品会社である。スキンケア製品、特に美容液に強みを持ち、売上高の7割以上をスキンケア製品が占めている。これは、一般的な化粧品会社がスキンケアとメイクアップを半々、もしくはメイクアップの比率が高いのと比較すると、大きな特徴と言える。
訪問販売のみで全国展開しており、地域に影響力のある販売員がいるとその人を中心に販売網が拡大していく傾向がある。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、テレビで黒皮病のニュースを見て、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいという思いからアイビー化粧品を創業した。当初は工場を持たず、他社に製造を委託していたが、後に自社工場を設立した。
特徴や強み
同社は全国に販売網を有してるが、その展開方法は独特である。特定の地域に魅力的な人物がいると、その人を中心に販売網が広がっていくという、口コミや人的ネットワークを重視した戦略をとっている。地域によって販売員の分布にばらつきがあるのは、この戦略によるものである。また、愛用者作りと販売員育成を一体化した戦略を展開している。販売員は、顧客のお肌に責任を持って対応し、生涯にわたってサポートすることで、愛用者を獲得している。
同社の社名には、「愛と美と豊かさを実践と追求」という理念が込められており、この理念は創業当時から同社の事業を支える柱となっている。特に、女性が働きやすい環境を提供することに力を入れており、30代の子育て世代の女性が販売員として活躍している。
成長戦略
近年は、インターネットの普及や特商法の改正、コロナ禍の影響などにより、売上高は減少傾向にある。しかし、同社は愛用者作りと販売員育成を一体化した戦略を展開し、新製品の投入や販売員の教育、エステサロン「アルテミス」の展開など、様々な施策を講じている。
販売員の育成に力を入れており、化粧品の知識や美容知識、理念などを研修で教えている。
株主還元策
株主還元策として配当の再開も視野に入れ、企業価値向上を目指している。
Q:貴社の創業の理念や根幹に、女性が働きやすい社会という理念はあったのでしょうか?
A:当時の黒皮病のニュースで、化粧品を使ったらかえってお肌がひどくなってしまったという内容のものが放送されており、創業者はそれを見て、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいと考えたとされています。 だからこそ、アイビー化粧品を作ったのです。
Q:創業者は元々化粧品業界に関わっていたのですか?
A:いいえ、全くの異業種からの参入でした。そのため、創業当初は工場もなく、創業者の考えに共鳴した人たちが「私も販売させてください」という形で徐々に増えていき、工場を作ったのは創業から10年以上経ってからです。それまでは他社に製造を委託していました。
Q:創業当初から化粧品の販売は順調でしたか?
A:創業者がたまたま入院中にテレビで黒皮病のニュースを見て、何かひらめいたようです。残りの人生をこれにかけてみようと思い、事業を始めることを決意しました。周囲の協力もあり、会社を設立することができたのです。創業当初は困難もあったようですが、社名もアイビー化粧品として、「愛と美と豊かさの実践と追求」という理念を掲げました。一般的なビジネスマンからは、「愛」という言葉に否定的な意見が多かったようですが、創業者の考えに共鳴する人たちもいて、協力してくれた方々のおかげで事業を立ち上げることができたと聞いています。
Q:その理念が、現在の訪問販売という形に繋がっているのでしょうか?
A:一度担当者から購入すると決めたら、ずっとその人から購入するという愛用者が多いです。通常、商品を販売したらそれで終わりですが、アイビー化粧品の販売員は「私はあなたのお肌に責任を持って対応します」という形で、生涯にわたってサポートしています。そのため、愛用者は他社製品に浮気することがないのです。
Q:貴社は愛用者作りに力を入れているということでしょうか?
A:愛用者を作るということは同時に販売員を作ることなので、それを謳い文句に今、事業を行っています。
Q:様々な販売員を育成していくことが基本的な方針でしょうか?
A:販売員の育成は重要な戦略です。愛用者を作ることは、同時に販売員を作ることにも繋がります。
Q:販売員の育成、セミナーやレクチャーは、オンラインが多いのでしょうか?
A:オンライン研修の増加は、時代の流れと言えるでしょう。対面での交流に抵抗がなくなってきた方も増えたため、研修の参加者は徐々に増加しています。
Q:貴社の販売員以外の方々に研修内容を教えることはありますか?
A:いいえ、そのようなことは考えていません。研修は、参加者の人生に役立つものであってほしいと考えています。
Q:訪問販売のノウハウがあり、ファンを増やしている貴社の研修は、受講希望者も多いのではないでしょうか?
A:素晴らしい研修ですねという意見はよくいただきます。しかし、丸1日拘束される研修となると、なかなか参加が難しいという方もいらっしゃいます。
Q:株主還元策についてどのようにお考えですか?
A:弊社の課題として、7年間配当を行っていないということがあります。無配の状態なので、いつ復配できるかが重要だと考えています。復配できるよう、環境を整えているところです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 弊社は、訪問販売を行っている化粧品会社です。一番の特徴は、スキンケア製品で、売上高の7割以上を占めております。通常、スキンケアとメイクアップですと半々、もしくはメイクアップが多い企業様が多いのですが、弊社はスキンケア、特に美容液に強みを持つ会社です。
取材者: 訪問販売以外に販売チャネルはございますか?
回答者: いいえ、訪問販売のみです。販売エリアは全国ですが、地域に魅力的な販売員がいると、その人を中心に広がっていくという特徴があります。例えば、山形県は販売員が多いのですが、青森県や秋田県にはほとんどいません。関東、関西は比較的多く、京都、大阪、奈良、滋賀、兵庫方面に販売員が多いです。和歌山、三重、中国地方では鳥取の米子などに販売員がいます。なぜか広島にはいないのですが、九州に行って山口や福岡など、地域的にバラバラです。主に売上高の中心は関西です。弊社の本社は東京にありますが、売上高でいうと関西の方が多いというのは、意外かもしれませんが、たまたまそこに魅力的な人がいたというだけの話です。
取材者: 魅力的な人というのは、どのような方ですか?
回答者: 魅力的な人というのは、弊社の場合は販社長、それから営業所のビューティーマネージャーという販売員、そして愛用者の方です。やはり販社長や営業所の人が魅力的な人だと、その人から買いたいという方が多いようです。どんなに良い製品でも、自分が嫌いな人からは買いたくないものです。この人から買いたいという気持ちは、人間であれば当然のことです。魅力のある人がいると、その人に顧客が集まり、顧客が販売員になり、そして売れていくという流れです。
取材者: 従業員数は120名様ほどというふうに認識しておりますが、販売員の方の人数はどれくらいになるのでしょうか?
回答者: 従業員数というのは社員数ですね。販売会社数でいうと約240社ほどあり、営業所は約6,000ヶ所ほどございます。
取材者: 社員の方はこの訪問販売をされているわけではないのですか?
回答者: 社員は販売はしません。社員は教育しかしません。教育というのは、販売員を育成するための教育です。それが弊社の社員の役割です。例えば、化粧品の知識がない人には美容知識を教えます。弊社の場合は理念研修というのを大事にしておりまして、理念研修を行うトレーナーや営業担当者が様々なアドバイスをするという形です。
取材者: 販売員の方というのは、どのような方が多いのでしょうか?
回答者: 95%が女性です。今の日本社会は男女平等が進んでいると言われていますが、実際にはどうでしょうか。例えば、女性が企業に就職し、結婚を機に退社、そしてお子さんが生まれて再就職しようとします。仕事はたくさんありますが、子育てをしながらできる仕事はそれほど多くありません。また、自分に合った仕事かどうかでいうと、ミスマッチが多いのが現状です。しかし、化粧品の訪問販売、弊社の場合はノルマがあるわけではなく、自分の空いた時間で販売活動ができます。また、自分も使っているので、どのようなものか説明しやすいという点も魅力です。このような理由から、30代の子育て世代の女性が販売員になるパターンが多いです。
取材者: 貴社の創業の理念であったり、その根幹の部分、何か女性が働きやすいという社会的な部分もあったりするのですか?
回答者: そうですね。女性が働きやすいというよりかは、弊社の創業者である白銀昭が創業したときに、本人は癌を患っており、余命いくばくもない状態でした。何か社会に貢献できる仕事をしたいという思いから、この会社を立ち上げたのです。創業者は、女性が働きやすい環境を整備したいという思いがあったようです。当時の黒皮病のニュースで、化粧品を使ったらかえってお肌がひどくなってしまったという内容のものが放送されており、創業者はそれを見て、これは良くない、本当に綺麗になれる化粧品を作りたいと考えたのです。だからこそ、アイビー化粧品を作ったのです。なので、女性のためにという思いを創業者は持っていたようですね。
取材者: 元々創業者は何か化粧品を使われていたのですか?
回答者: いいえ、違います。全く扱っていなかったのです。なので、最初は工場もなくスタートしました。創業者の考え方に共鳴する人たちが「私も販売させてください」という形でどんどん増えていき、工場を作ったのは創業して10年ちょっと経ってからです。それまでは工場はなく、他社に製造を委託していたということです。
取材者: 最初からそのような化粧品を扱って販売することができたのですか?
回答者: 創業者がたまたま病院のベッドで寝ていたときにテレビを見ていて、先ほど申し上げました黒皮病のニュースを見て、何かひらめいたようです。残りの人生をこれにかけてみようと思い、始めると言ったら、様々な人が協力してくれて、会社を設立することができたのです。最初は大変だったようですが、社名もアイビー化粧品ということで、「愛と美と豊かさの実践と追求」という理念を掲げています。一般的なビジネスマンの方からは、「愛なんて言って、ビジネスはできないよ」という意見が多く、ネガティブな反応が多かったようです。しかし、創業者の考えに共鳴する人もいて、協力してくれた方々のおかげで事業を立ち上げることができたと聞いています。
取材者: そういった理念というものが、今の訪問販売という形に繋がっているのですか?
回答者: そうですね。逆に理念がなかったら、とっくに空中分解してなくなっていたと思います。アイビー化粧品の場合は、アイビー化粧品しか買わないという愛用者が非常に多いのです。それは単に製品が良いだけではなく、販売員の方の姿勢や考え方など、様々な要因があると思います。この人から買うと決めたら、ずっとその人から買うという愛用者が多いです。通常は、商品を販売したらそれで終わりですが、アイビー化粧品の販売員は「私はあなたのお肌に責任を持って対応します」という形で、一生面倒を見るつもりで対応しています。そのため、愛用者は浮気をしないのです。
取材者: 貴社は愛用者作りに力を入れているということですか?
回答者: そうですね。
取材者: 様々な販売員を育成していくということが基本的な方針になるのでしょうか?
回答者: そうですね。愛用者を作るということは同時に販売員を作ることなので、それを謳い文句に今、事業を行っています。
取材者: 今回、販売員を育てる部分、育成の部分といいますか、セミナーやレクチャーは、やはりオンラインが多いのですか?
回答者: オンラインが多くなりました。時代の流れなので仕方がないのですが、ただ、コロナ禍もあけ、実際に人に会うことに抵抗を持たなくなってきた方も増えてきましたので、研修の動員数は少しずつ増えてきました。リアルで会うこともできるようになってきたという感じです。
取材者: 研修の内容を、貴社の販売員以外の方々に教えるようなことはされているのですか?
回答者: あまりそういうことは考えておりません。研修そのものは、そこで何かを変えなければいけないということはありません。参加して人生の役に立ったね、で終わりの方もいます。
取材者: 訪問販売のノウハウがあり、ファンの方を増やしているというのは、研修だけを聞きたいという方も多いのではないでしょうか?
回答者: 実際、「すごく良い研修ですね」という意見はよくいただきます。ただ、フルに1日間、ずっと参加しなければいけないとなると、なかなか時間をとっていただけないということもあります。
取材者: 株主還元策についてどのようにお考えですか?
回答者: 弊社の課題として、7年間配当を行っていないということがあります。無配なので、いつ復配できるかということが一番重要かもしれません。復配できるよう、環境を整えなければいけません。現在、それに取り組んでいるところです。
取締役 経営管理部 部長 中山 聖仁 様
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