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ナトコ(株)

東証STD 4627

決算:10月末日

20250929

CP&X


決算概要

2025年10月期第3四半期の決算は、売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(同21.1%増)、経常利益1,018百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(同23.0%増)と、増収・増益の好調な着地となった。売上高増加の主因は、昨年7月にDICグループから内装建材事業の譲渡を受けたことによる、8か月分の売上の上乗せである。また、第1四半期に約250百万円程度の設備売上があったことも、増収要因の一つとなった。


セグメント別または事業別の増減要因

塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3事業は、いずれも大きな伸びはないものの、バランス良く堅調に推移したことが、ベースの売上高を減らさずに維持した。一方で、原材料価格の高止まりが続いており、運送コストの反映も含めた本格的な価格改定の浸透は、顧客側のタイミングに合わせる形で今期ではなく来年度(2025年11月~)からとなる見込みであり、今期の業績への貢献は限定的である。


主要KPIの進捗と変化

同社は今後のM&Aや投資を増やす方針のため、EBITDAを重要なKPIの一つとして注視している。EBITDAは投資のタイミングにより、数値が徐々に改善するのではなく、最初は低く推移した後に一気に上昇する階段状の推移になることを予想しており、この上昇幅は2年程度になるであろうと見込まれている。また、一般的なROEについては、現状4.2%程度であり、まず一旦は6%まで引き上げた後、最終的に8%を目指すことを重要なKPIの一つとしている。


季節性・一過性要因の有無と影響

昨年7月のDICグループからの内装建材事業譲受は、今期第3四半期の売上高を前年同期比で大きく押し上げる一過性の要因となった。また、通期純利益の見通しでは、7月に子会社化した三丸化学の買収に伴って約1億円の負ののれんが発生しており、これが純利益を押し上げる一過性のプラス要因となる。一方で、為替については直近の円安傾向により、4千万円から5千万円程度の為替差損が発生する可能性があり、利益を若干押し下げる一過性のネガティブ要因となり得ると見込まれる。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期の業績予想について、売上高は概ね見込み通りに着地すると見られている。純利益に関しては、負ののれんのプラス要因と為替差損のマイナス要因を総合的に見ると、予想値(980百万円)に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見込まれている。価格改定については、今期は実施できているものの、本格的な値上げの浸透は本年11月(来年度)からとなる見込みであり、今期の利益改善への貢献は不十分な状況である。


トピックス

事業成長に向けたM&Aと人員増強の強化

7月に三丸化学を子会社化し、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していくことで事業を成長させていく方向性に舵を切り、人員の補充を進めていく方針である。

DIC事業譲受後のシナジー発現時期

DICグループからの事業譲受に伴う生産移管作業は今年の12月に完了する見込みであるが、本格的なシナジーが現れ、製品の統廃合や原料の共通化・置き換えによるコストダウンが実現できるのは、再来期になるであろうと見込まれている。

・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    ナトコ株式会社及びそのグループ会社は、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としている。 各事業が密接に関連し相乗効果を生み出すことで、顧客のニーズに対応した高品質な製品を提供している。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    ナトコ株式会社は、昭和23年に創業し、塗料事業を基盤に発展してきた。 創業当初はシンナーや酒精ニス、を販売していた。 その後、顧客のニーズに応える形で事業を拡大し、現在の3事業体制を構築した。 社名は、創業当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、現在の「ナトコ」へと変化している。

     

    直近の決算状況

    2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により増収を達成した。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与した。来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加が見込まれる。

     

    特徴や強み

    塗料事業では、住宅建材、各種金属、産業機械など幅広い分野で使用される塗料を製造・販売している。 建材用塗料では、サイディングボードメーカー向け塗料でトップシェアを誇り、強固な市場地位を築いている。 ファインケミカル事業では、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造している。 高い技術力と開発力により、顧客の要望に応じた製品を提供することで高い付加価値を実現している。

     

    成長戦略

    国内市場におけるシェア拡大に加え、海外市場への進出を加速させていく。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制の強化も視野に入れている。 また、新規顧客の獲得にも注力していく。

     

    株主還元策

    株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としている。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としている。

     

    今期の取り組みやトピックス

    利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっている。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れている。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指していく。

     

    新規顧客獲得に向けた取り組み

    売上高の特定の顧客への集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力している。 住宅建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めている。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めている。

  • Q. 貴社グループのビジネスモデルについてご説明ください。

    A. 弊社グループのビジネスモデルは、3つの事業を柱とした多角的な事業展開です。塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業がそれぞれ密接に関連しており、相乗効果を生み出すことで、お客様のニーズに対応した高品質な製品を提供しています。

     

    Q. 塗料事業の特徴や強みについて教えてください。

    A. 塗料事業は、住宅建材、各種金属、産業機械など、幅広い分野で使用される塗料を製造・販売しています。 特に住宅建材分野においては、サイディングボードメーカー向け用でトップシェアを誇り、国内の住宅市場において確固たる地位を築いています。 また、金属用塗料においても、高い技術力と品質管理により、お客様からの信頼を得ています。

     

    Q. ファインケミカル事業の特徴や強みについて教えてください。

    A. ファインケミカル事業は、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造しています。 高い技術力と開発力により、お客様の要望に応じた製品を提供することで、高い付加価値を実現しています。 また、海外顧客比率が高く、グローバルな事業展開を進めています。

     

    Q. 蒸流事業の特徴について教えてください。

    A. 蒸留事業は、塗料製造過程で発生する廃液・廃溶剤や電子材料製造工程で使用された溶剤などを蒸留・再生する事業です。 これにより、環境負荷の低減に貢献するとともに、資源の有効活用を図っています。

     

    Q. 中期経営計画における今後の事業展開について教えてください。

    A. 中期経営計画では、国内市場におけるシェア拡大とともに、海外市場への進出を加速させていきます。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制強化も視野に入れています。 また、新規顧客の獲得にも注力し、これまで培ってきた技術力とノウハウを活かして、新たな分野への進出も検討しています。

     

    Q. 2024年10月期の決算状況と、来期の業績見通しについて教えてください。

    A. 2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により、増収を達成しました。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与しました。 来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加もあり、増収増益を見込んでいます。

     

    Q. 利益面における課題と、その対策について教えてください。

    A. 利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっています。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れています。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指します。

     

    Q. 売上高の顧客集中に対する対策について教えてください。

    A. 特定の顧客への売上高の集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力しています。 建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めています。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めています。

     

    Q. 環境に対する取り組みについて教えてください。

    A. 当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量の削減に取り組んでいます。 電力会社との契約において、再生可能エネルギー比率を高めているほか、重油からLPガスへの転換、LED照明の導入など、省エネルギー化を進めています。 2013年度比で既に60%以上のCO2削減を達成しており、2030年には70%削減を目指しています。 今後は、スコープ3排出量の削減にも取り組み、子会社への展開も進めていきます。

     

    Q. 株主還元策についての方針を教えてください。

    A. 株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としています。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としています。 今後は、業績や投資計画などを考慮しながら、配当金の増配も視野に、柔軟な株主還元策を実施していく予定です。

     

    Q. 設備投資の方針について教えてください。

    A. 設備投資については、工場のリニューアルなどを計画しており、今後数年かけて段階的に実施していく予定です。 投資計画の詳細については、中期経営計画の進捗状況に合わせて、逐次公開していく予定です。 また、M&Aについても選択肢の一つとして検討しており、状況に応じて判断していきます。

  • 取材者: 貴社グループのビジネスモデルや事業内容について、特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。

    回答者: 弊社グループは、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としております。元々は塗料事業からスタートし、その後、ファインケミカル事業、さらに蒸留事業会社を子会社化することにより事業を拡張してまいりました。

    取材者: なるほど。それぞれの事業について詳しく教えていただけますか?

    回答者: 塗料事業は、販売店や代理店を通してユーザーに塗料をお届けする、一般的な販売形式をとっています。 ファインケミカル事業は、大手企業との取引が多く、商社を通して販売しています。 塗料事業は、キロ数百円の価格帯が大半ですが、ファインケミカル事業は、キロ数千円と、より高価格帯の製品を扱っています。 昔は微粒子事業というものを行っており、液晶パネル内に使用される微粒子状のスペーサーというものを製造しており、グラム数千円という価格帯でした。

    取材者: 塗料事業とファインケミカル事業の違いは何でしょうか?

    回答者: 塗料事業は、主に建材用塗料や金属用塗料を扱っており、ファインケミカル事業は、より高機能なコーティング剤を主に扱っています。 例えば、ファインケミカル事業では、スマートフォンのタッチペンや自動車の内装材などに使われる、高機能なコーティング剤を開発・販売しています。 塗料事業は、色物が多いのに対し、ファインケミカル事業は、透明でクリアなものが多く、個々の顧客が要望する機能を付与することで付加価値を高めています。

    取材者: なるほど。それぞれの事業で、どのような製品を扱っているのでしょうか?

    回答者: 塗料事業では、建材用塗料と金属用塗料の2つに分かれます。 建材用塗料は、窯業系サイディング用塗料やインク、マンションや戸建てのフロア、階段などに塗られる塗料などがあります。 工業用塗料は、工作機械、鋼製家具、ボンベ、配電盤、家電製品など、様々な用途に使用されています。 ただし、自動車と船舶はほとんどありません。 これらは専用の塗料メーカーが存在し、参入の余地が少ないためです。 ファインケミカル事業では、スマートフォンなどの情報端末機器、パソコンの筐体、自動車の内装材などに使われるコーティング剤を扱っています。

    取材者: 貴社の強みは何でしょうか?

    回答者: 弊社の強みは、高機能な塗料を開発できる技術力と、顧客のニーズに応じた提案力です。 例えば、ファインケミカル事業では、顧客の要望に合わせて、100種類以上の試作品を作成し、最適な塗料を提案しています。 また、塗料事業においても、サイディングのデザインや色などを提案し、顧客に採用いただいています。

    取材者: 車はなかなか関係性が強くて、塗料事業では難しいということですが、ファインケミカルのような付加価値をつける部分は、貴社しかできないのですか。

    回答者: できないとは言いませんが、例えば、スマートフォンのカバーの純正品に採用されたケースでは、機能面もありますが、デザイン面も重要視されました。強い意味のデザイン化部分を持っていて、機能や性能、デザイン、この3つをセットで提案します。車関係も、最終決定するのはデザイナーが多いので、そこに対しての提案力というのが強みになります。

    取材者: なるほど。提案力と機能面、両方あるからこそ採用されるということですね。

    回答者: 先ほど塗料の方でも同じような話がありましたが、サイディング関係です。サイディングについても、基本的には要望があるのですが、それに対して弊社からデザインや色などを提案して、サンプルを作って見せて、採用してもらうということです。ですから、そういうデザイン性というのは非常に大きくて、売上に寄与しているというところがございます。

    取材者: ありがとうございます。創業の経緯についてお聞かせいただけますか。

    回答者: 弊社は1948年に名古屋で創業し、塗料メーカーとしてスタートしました。 その後、事業を拡大し、現在の愛知県みよし市に本社を移転しました。 社名は、当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、「ナトコ」に変更しました。

    取材者: 社名変更の理由は何でしょうか?

    回答者:塗料以外の分野にも事業を拡大していきたいという思いがあったからです。

    取材者: ありがとうございます。決算状況についてお伺いします。2024年10月期の売上高は増収を達成されていますが、要因は何でしょうか?

    回答者: 需要の高まりに加えて、価格改定による販売単価の上昇が主な要因です。 また、大手ユーザーの好調や、海外事業の売上増加も寄与しています。

    取材者: 来期の業績見通しはいかがでしょうか?

    回答者: 売上高、営業利益ともに増収増益を見込んでいます。 建材用塗料の事業譲渡による売上増加や、継続的な価格転嫁による収益改善が期待されます。

    取材者: 中期経営計画に記載されていた、新規顧客獲得に向けた取り組みについて教えてください。

    回答者: 塗料事業では、これまでとは異なる建材分野への進出や、中国市場における水系塗料の拡販などを進めています。

    取材者: 環境に対する取り組みについて教えてください。

    回答者: 再生可能エネルギーの利用や、CO2削減の工夫など、様々な取り組みを進めています。 2050年のカーボンニュートラルを目指し、2030年には2013年度比で60%以上のCO2削減を達成しています。

    取材者: 60%削減とは素晴らしいですね。株主還元策についての方針を教えてください。

    回答者: 配当性向40%、最低配当金50円を基本としています。 今後は、設備投資やM&Aなども検討しながら、株主還元策を充実させていく予定です。

    取材者: 設備投資や株主還元の方針は、いつ頃明確になりますか?

    回答者: 今期が終わった段階で、中期経営計画の進捗と合わせて、ある程度のものを出せるかと思います。 並行して進めているものについては、決定次第、逐次公開していく予定です。

    取材者: 本日はありがとうございました。

  • 専務取締役 山本豊様

ナトコ(株)

東証STD 4627

決算:10月末日

CP&X


決算概要

2025年10月期第3四半期の決算は、売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(同21.1%増)、経常利益1,018百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(同23.0%増)と、増収・増益の好調な着地となった。売上高増加の主因は、昨年7月にDICグループから内装建材事業の譲渡を受けたことによる、8か月分の売上の上乗せである。また、第1四半期に約250百万円程度の設備売上があったことも、増収要因の一つとなった。


セグメント別または事業別の増減要因

塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3事業は、いずれも大きな伸びはないものの、バランス良く堅調に推移したことが、ベースの売上高を減らさずに維持した。一方で、原材料価格の高止まりが続いており、運送コストの反映も含めた本格的な価格改定の浸透は、顧客側のタイミングに合わせる形で今期ではなく来年度(2025年11月~)からとなる見込みであり、今期の業績への貢献は限定的である。


主要KPIの進捗と変化

同社は今後のM&Aや投資を増やす方針のため、EBITDAを重要なKPIの一つとして注視している。EBITDAは投資のタイミングにより、数値が徐々に改善するのではなく、最初は低く推移した後に一気に上昇する階段状の推移になることを予想しており、この上昇幅は2年程度になるであろうと見込まれている。また、一般的なROEについては、現状4.2%程度であり、まず一旦は6%まで引き上げた後、最終的に8%を目指すことを重要なKPIの一つとしている。


季節性・一過性要因の有無と影響

昨年7月のDICグループからの内装建材事業譲受は、今期第3四半期の売上高を前年同期比で大きく押し上げる一過性の要因となった。また、通期純利益の見通しでは、7月に子会社化した三丸化学の買収に伴って約1億円の負ののれんが発生しており、これが純利益を押し上げる一過性のプラス要因となる。一方で、為替については直近の円安傾向により、4千万円から5千万円程度の為替差損が発生する可能性があり、利益を若干押し下げる一過性のネガティブ要因となり得ると見込まれる。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期の業績予想について、売上高は概ね見込み通りに着地すると見られている。純利益に関しては、負ののれんのプラス要因と為替差損のマイナス要因を総合的に見ると、予想値(980百万円)に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見込まれている。価格改定については、今期は実施できているものの、本格的な値上げの浸透は本年11月(来年度)からとなる見込みであり、今期の利益改善への貢献は不十分な状況である。


トピックス

事業成長に向けたM&Aと人員増強の強化

7月に三丸化学を子会社化し、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していくことで事業を成長させていく方向性に舵を切り、人員の補充を進めていく方針である。

DIC事業譲受後のシナジー発現時期

DICグループからの事業譲受に伴う生産移管作業は今年の12月に完了する見込みであるが、本格的なシナジーが現れ、製品の統廃合や原料の共通化・置き換えによるコストダウンが実現できるのは、再来期になるであろうと見込まれている。

・資料

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取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    ナトコ株式会社及びそのグループ会社は、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としている。 各事業が密接に関連し相乗効果を生み出すことで、顧客のニーズに対応した高品質な製品を提供している。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    ナトコ株式会社は、昭和23年に創業し、塗料事業を基盤に発展してきた。 創業当初はシンナーや酒精ニス、を販売していた。 その後、顧客のニーズに応える形で事業を拡大し、現在の3事業体制を構築した。 社名は、創業当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、現在の「ナトコ」へと変化している。

     

    直近の決算状況

    2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により増収を達成した。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与した。来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加が見込まれる。

     

    特徴や強み

    塗料事業では、住宅建材、各種金属、産業機械など幅広い分野で使用される塗料を製造・販売している。 建材用塗料では、サイディングボードメーカー向け塗料でトップシェアを誇り、強固な市場地位を築いている。 ファインケミカル事業では、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造している。 高い技術力と開発力により、顧客の要望に応じた製品を提供することで高い付加価値を実現している。

     

    成長戦略

    国内市場におけるシェア拡大に加え、海外市場への進出を加速させていく。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制の強化も視野に入れている。 また、新規顧客の獲得にも注力していく。

     

    株主還元策

    株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としている。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としている。

     

    今期の取り組みやトピックス

    利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっている。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れている。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指していく。

     

    新規顧客獲得に向けた取り組み

    売上高の特定の顧客への集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力している。 住宅建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めている。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めている。

  • Q. 貴社グループのビジネスモデルについてご説明ください。

    A. 弊社グループのビジネスモデルは、3つの事業を柱とした多角的な事業展開です。塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業がそれぞれ密接に関連しており、相乗効果を生み出すことで、お客様のニーズに対応した高品質な製品を提供しています。

     

    Q. 塗料事業の特徴や強みについて教えてください。

    A. 塗料事業は、住宅建材、各種金属、産業機械など、幅広い分野で使用される塗料を製造・販売しています。 特に住宅建材分野においては、サイディングボードメーカー向け用でトップシェアを誇り、国内の住宅市場において確固たる地位を築いています。 また、金属用塗料においても、高い技術力と品質管理により、お客様からの信頼を得ています。

     

    Q. ファインケミカル事業の特徴や強みについて教えてください。

    A. ファインケミカル事業は、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造しています。 高い技術力と開発力により、お客様の要望に応じた製品を提供することで、高い付加価値を実現しています。 また、海外顧客比率が高く、グローバルな事業展開を進めています。

     

    Q. 蒸流事業の特徴について教えてください。

    A. 蒸留事業は、塗料製造過程で発生する廃液・廃溶剤や電子材料製造工程で使用された溶剤などを蒸留・再生する事業です。 これにより、環境負荷の低減に貢献するとともに、資源の有効活用を図っています。

     

    Q. 中期経営計画における今後の事業展開について教えてください。

    A. 中期経営計画では、国内市場におけるシェア拡大とともに、海外市場への進出を加速させていきます。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制強化も視野に入れています。 また、新規顧客の獲得にも注力し、これまで培ってきた技術力とノウハウを活かして、新たな分野への進出も検討しています。

     

    Q. 2024年10月期の決算状況と、来期の業績見通しについて教えてください。

    A. 2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により、増収を達成しました。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与しました。 来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加もあり、増収増益を見込んでいます。

     

    Q. 利益面における課題と、その対策について教えてください。

    A. 利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっています。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れています。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指します。

     

    Q. 売上高の顧客集中に対する対策について教えてください。

    A. 特定の顧客への売上高の集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力しています。 建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めています。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めています。

     

    Q. 環境に対する取り組みについて教えてください。

    A. 当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量の削減に取り組んでいます。 電力会社との契約において、再生可能エネルギー比率を高めているほか、重油からLPガスへの転換、LED照明の導入など、省エネルギー化を進めています。 2013年度比で既に60%以上のCO2削減を達成しており、2030年には70%削減を目指しています。 今後は、スコープ3排出量の削減にも取り組み、子会社への展開も進めていきます。

     

    Q. 株主還元策についての方針を教えてください。

    A. 株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としています。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としています。 今後は、業績や投資計画などを考慮しながら、配当金の増配も視野に、柔軟な株主還元策を実施していく予定です。

     

    Q. 設備投資の方針について教えてください。

    A. 設備投資については、工場のリニューアルなどを計画しており、今後数年かけて段階的に実施していく予定です。 投資計画の詳細については、中期経営計画の進捗状況に合わせて、逐次公開していく予定です。 また、M&Aについても選択肢の一つとして検討しており、状況に応じて判断していきます。

  • 取材者: 貴社グループのビジネスモデルや事業内容について、特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。

    回答者: 弊社グループは、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としております。元々は塗料事業からスタートし、その後、ファインケミカル事業、さらに蒸留事業会社を子会社化することにより事業を拡張してまいりました。

    取材者: なるほど。それぞれの事業について詳しく教えていただけますか?

    回答者: 塗料事業は、販売店や代理店を通してユーザーに塗料をお届けする、一般的な販売形式をとっています。 ファインケミカル事業は、大手企業との取引が多く、商社を通して販売しています。 塗料事業は、キロ数百円の価格帯が大半ですが、ファインケミカル事業は、キロ数千円と、より高価格帯の製品を扱っています。 昔は微粒子事業というものを行っており、液晶パネル内に使用される微粒子状のスペーサーというものを製造しており、グラム数千円という価格帯でした。

    取材者: 塗料事業とファインケミカル事業の違いは何でしょうか?

    回答者: 塗料事業は、主に建材用塗料や金属用塗料を扱っており、ファインケミカル事業は、より高機能なコーティング剤を主に扱っています。 例えば、ファインケミカル事業では、スマートフォンのタッチペンや自動車の内装材などに使われる、高機能なコーティング剤を開発・販売しています。 塗料事業は、色物が多いのに対し、ファインケミカル事業は、透明でクリアなものが多く、個々の顧客が要望する機能を付与することで付加価値を高めています。

    取材者: なるほど。それぞれの事業で、どのような製品を扱っているのでしょうか?

    回答者: 塗料事業では、建材用塗料と金属用塗料の2つに分かれます。 建材用塗料は、窯業系サイディング用塗料やインク、マンションや戸建てのフロア、階段などに塗られる塗料などがあります。 工業用塗料は、工作機械、鋼製家具、ボンベ、配電盤、家電製品など、様々な用途に使用されています。 ただし、自動車と船舶はほとんどありません。 これらは専用の塗料メーカーが存在し、参入の余地が少ないためです。 ファインケミカル事業では、スマートフォンなどの情報端末機器、パソコンの筐体、自動車の内装材などに使われるコーティング剤を扱っています。

    取材者: 貴社の強みは何でしょうか?

    回答者: 弊社の強みは、高機能な塗料を開発できる技術力と、顧客のニーズに応じた提案力です。 例えば、ファインケミカル事業では、顧客の要望に合わせて、100種類以上の試作品を作成し、最適な塗料を提案しています。 また、塗料事業においても、サイディングのデザインや色などを提案し、顧客に採用いただいています。

    取材者: 車はなかなか関係性が強くて、塗料事業では難しいということですが、ファインケミカルのような付加価値をつける部分は、貴社しかできないのですか。

    回答者: できないとは言いませんが、例えば、スマートフォンのカバーの純正品に採用されたケースでは、機能面もありますが、デザイン面も重要視されました。強い意味のデザイン化部分を持っていて、機能や性能、デザイン、この3つをセットで提案します。車関係も、最終決定するのはデザイナーが多いので、そこに対しての提案力というのが強みになります。

    取材者: なるほど。提案力と機能面、両方あるからこそ採用されるということですね。

    回答者: 先ほど塗料の方でも同じような話がありましたが、サイディング関係です。サイディングについても、基本的には要望があるのですが、それに対して弊社からデザインや色などを提案して、サンプルを作って見せて、採用してもらうということです。ですから、そういうデザイン性というのは非常に大きくて、売上に寄与しているというところがございます。

    取材者: ありがとうございます。創業の経緯についてお聞かせいただけますか。

    回答者: 弊社は1948年に名古屋で創業し、塗料メーカーとしてスタートしました。 その後、事業を拡大し、現在の愛知県みよし市に本社を移転しました。 社名は、当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、「ナトコ」に変更しました。

    取材者: 社名変更の理由は何でしょうか?

    回答者:塗料以外の分野にも事業を拡大していきたいという思いがあったからです。

    取材者: ありがとうございます。決算状況についてお伺いします。2024年10月期の売上高は増収を達成されていますが、要因は何でしょうか?

    回答者: 需要の高まりに加えて、価格改定による販売単価の上昇が主な要因です。 また、大手ユーザーの好調や、海外事業の売上増加も寄与しています。

    取材者: 来期の業績見通しはいかがでしょうか?

    回答者: 売上高、営業利益ともに増収増益を見込んでいます。 建材用塗料の事業譲渡による売上増加や、継続的な価格転嫁による収益改善が期待されます。

    取材者: 中期経営計画に記載されていた、新規顧客獲得に向けた取り組みについて教えてください。

    回答者: 塗料事業では、これまでとは異なる建材分野への進出や、中国市場における水系塗料の拡販などを進めています。

    取材者: 環境に対する取り組みについて教えてください。

    回答者: 再生可能エネルギーの利用や、CO2削減の工夫など、様々な取り組みを進めています。 2050年のカーボンニュートラルを目指し、2030年には2013年度比で60%以上のCO2削減を達成しています。

    取材者: 60%削減とは素晴らしいですね。株主還元策についての方針を教えてください。

    回答者: 配当性向40%、最低配当金50円を基本としています。 今後は、設備投資やM&Aなども検討しながら、株主還元策を充実させていく予定です。

    取材者: 設備投資や株主還元の方針は、いつ頃明確になりますか?

    回答者: 今期が終わった段階で、中期経営計画の進捗と合わせて、ある程度のものを出せるかと思います。 並行して進めているものについては、決定次第、逐次公開していく予定です。

    取材者: 本日はありがとうございました。

  • 専務取締役 山本豊様

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