
ナトコ(株)
東証STD 4627
決算:10月末日
20251216
CP&X
【2025年10月期(通期)】
決算概要
売上高:222.7億円(7.3%増) 営業利益:13.9億円(13.4%増)
経常利益:15.0億円(9.6%増) 当期純利益:11.3億円(19.0%増)
・売上高は新規ユーザーの獲得や一部で販売価格の改定が進んだことから増収
・営業利益および経常利益は、人件費や修繕費等の費用の増加があったものの、各事業での売上増や販売価格の改定、原価低減活動による利益改善が進んだことにより営業利益は増加 販売価格の改定が進んだことから増益
・当期純利益は三丸化学の子会社化に伴う負ののれん発生益の計上もあり増益
セグメント別または事業別の増減要因
・塗料事業
金属用塗料分野では、焼き付け塗料や遮熱塗料での新規案件の獲得、工作機械向けやボンベ向けの塗料の需要が増えたことで、売上高は前年同期に比べ増加
建材用塗料分野では、主力ユーザーの国内向けの需要増やDICグループから内装建材用塗料の販売事業を2024年7月1日付で譲り受けたことにより、売上高は前年同期に比べ増加
・ファインケミカル事業
光学フィルム向けのコーティング剤は堅調であったものの、モビリティ(自動車関連)向けのコーティング剤の低迷により、売上高は前年同期に比べ減少
・蒸留事業
車両関係の生産低迷による需要減はあるものの、既存顧客の需要増や新規案件の獲得、2025年6月30日付で三丸化学株式会社がナトコグループに加わったことにより、売上高は前年同期に比べ増加
季節性・一過性要因の有無と影響
塗料事業の売上高に塗装設備の売上として約2億8千万円があるが、これは継続的な案件ではなく一時的な売上である。
来期の業績予想及び戦略・施策
売上高:230.0億円(3.3%増) 営業利益:14.5億円(3.7%増)
経常利益:15.5億円(2.7%増) 当期純利益:10.0億円(19.0%増)
・売上高は、三丸化学の子会社化による蒸留事業の拡大に加え、積極的な新規採用活動により増収
・営業利益及び経常利益は、固定費が引き続き増加するものの売上増により増益
・当期純利益は、三丸化学子会社化に伴う負ののれん発生益が無くなることから減益
トピックス
当初の中期経営計画(2025年度~2027年度)の数字には含まれていなかった三丸化学が子会社(66%の持分)になり、売上として約1億円(3か月分)を計上している。
・資料
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企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年10月期第3四半期の決算は、売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(同21.1%増)、経常利益1,018百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(同23.0%増)と、増収・増益の好調な着地となった。売上高増加の主因は、昨年7月にDICグループから内装建材事業の譲渡を受けたことによる、8か月分の売上の上乗せである。また、第1四半期に約250百万円程度の設備売上があったことも、増収要因の一つとなった。
セグメント別または事業別の増減要因
塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3事業は、いずれも大きな伸びはないものの、バランス良く堅調に推移したことが、ベースの売上高を減らさずに維持した。一方で、原材料価格の高止まりが続いており、運送コストの反映も含めた本格的な価格改定の浸透は、顧客側のタイミングに合わせる形で今期ではなく来年度(2025年11月~)からとなる見込みであり、今期の業績への貢献は限定的である。
主要KPIの進捗と変化
同社は今後のM&Aや投資を増やす方針のため、EBITDAを重要なKPIの一つとして注視している。EBITDAは投資のタイミングにより、数値が徐々に改善するのではなく、最初は低く推移した後に一気に上昇する階段状の推移になることを予想しており、この上昇幅は2年程度になるであろうと見込まれている。また、一般的なROEについては、現状4.2%程度であり、まず一旦は6%まで引き上げた後、最終的に8%を目指すことを重要なKPIの一つとしている。
季節性・一過性要因の有無と影響
昨年7月のDICグループからの内装建材事業譲受は、今期第3四半期の売上高を前年同期比で大きく押し上げる一過性の要因となった。また、通期純利益の見通しでは、7月に子会社化した三丸化学の買収に伴って約1億円の負ののれんが発生しており、これが純利益を押し上げる一過性のプラス要因となる。一方で、為替については直近の円安傾向により、4千万円から5千万円程度の為替差損が発生する可能性があり、利益を若干押し下げる一過性のネガティブ要因となり得ると見込まれる。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期の業績予想について、売上高は概ね見込み通りに着地すると見られている。純利益に関しては、負ののれんのプラス要因と為替差損のマイナス要因を総合的に見ると、予想値(980百万円)に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見込まれている。価格改定については、今期は実施できているものの、本格的な値上げの浸透は本年11月(来年度)からとなる見込みであり、今期の利益改善への貢献は不十分な状況である。
トピックス
・事業成長に向けたM&Aと人員増強の強化
7月に三丸化学を子会社化し、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していくことで事業を成長させていく方向性に舵を切り、人員の補充を進めていく方針である。
・DIC事業譲受後のシナジー発現時期
DICグループからの事業譲受に伴う生産移管作業は今年の12月に完了する見込みであるが、本格的なシナジーが現れ、製品の統廃合や原料の共通化・置き換えによるコストダウンが実現できるのは、再来期になるであろうと見込まれている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:事業拡大に向け、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していく方針でございます。また、事業拡大の前提として、現在は人員の増強を進めております。投資についても増やしていく方針で、設備が古いという課題もあるため、設備の更新や、他社との提携による製造などの様々な方法を検討し、方向性を探っております。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:最近の景気の悪化に伴い、値下げ圧力が出始めており、特に自動車関連や塗料の分野でもその兆候が見られます。来期(2026年10月期)は、この値下げ圧力にどのように対応していくかが課題になるだろうと考えております。また、塗料事業において大きな懸念材料となっているのが住宅の着工件数です。弊社の売上全体に占める建築関連資材の割合は30%強から35%程度と大きいため、着工件数の動向に大きく影響を受けます。現状は下げ止まっているようにも見えますが、もし住宅着工件数の伸びが急に下がった場合、中間在庫の発生につながる懸念があり、動向を注視しております。
Q:通期業績の見通についてご説明ください。
A:売上高に関しては、通期予想の22,000百万円について見込み通りに推移すると見ております。利益面においては、第3四半期まではまだ不十分な状況ではございますが、価格改定(値上げ)を継続して実施しており、特に運送コストの反映を含めた本格的な値上げの影響は、顧客の事業開始時期を踏まえ、実質的に来年度の11月から浸透してくると見ております。今期(2025年10月期)は値上げ幅は不十分ではありますが、徐々に進んでいる状況です。
純利益に関しては、三丸化学買収に伴う約1億円の負ののれん発生が押し上げ要因となり、予想の980百万円に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見ております。その他の要因として、為替については円安方向への推移もあり、4~5千万円程度の為替差損が出る可能性があると見込んでおります。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:第4四半期(10月)に関しては、9月に値上げ前の駆け込み需要を取り込んでいる部分があるため、売上が多くなる見込みであり、その反動で10月は売上が少なくなるところがあると考えております。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:2025年7月に三丸化学を子会社化いたしました。現在も、M&Aや事業提携を継続して実施していく方針で、事業を成長させるためのM&Aについては、既存事業へのプラスやシナジー効果の程度を検討しながら、今後も行っていくことになるだろうと考えております。
DICグループからの事業譲渡については、現在、生産そのものの移管作業を進めており、完了は今年の12月、つまり来期(2026年10月期)に入る見込みです。移管完了後、製品の統廃合や、原料の共通化によるコストダウンの検証などを来期に行う予定です。本当の意味でのシナジー効果が現れ、利益向上に結びつくのは再来期(2027年10月期)になると考えております。現状は移管作業に伴う開発費や検証費といった人的コストがかかるため、再来期まではどちらかというとマイナスの影響が出る可能性もありますが、既存事業のプラス要因と相殺され、影響は軽微だと見ております。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:投資を増やしていく方針であり、その中でEBITDAを重要視するKPIの一つとしております。また、一般的なKPIであるROEについては、現状4.2%程度であり、最低目標として提示される8%を目指すにあたり、まずは6%程度まで引き上げることを目下の目標としております。このROEの目標達成は、年度ごとに徐々に改善するのではなく、最初は低い水準から始まり、階段状に(恐らく2年程度の期間で一気に)上昇していく形になると予想しております。
取材者:2025年10月期第3四半期の決算状況についてお伺いします。売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(前年同期比21.1%増)、経常利益1,018百万円(前年同期比8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(前年同期比23.0%増)と、非常に好調な決算であると拝見いたしましたが、こちらについての増減要因はいかがでしょうか。
回答者:まず売上の増加要因としては、昨年7月にDICさんから内装建材事業を譲り受けた点が大きな影響を与えています。昨年度は事業譲渡を受けたのが第3四半期の1ヶ月前後だったため、実質的に影響は1ヶ月分しか反映されていませんでした。しかし、今年はその譲渡を受けて9ヶ月分の売上が計上されることになり、その差が売上に大きく寄与しました。加えて、表面的には見えにくいのですが、塗料だけでなく、設備の販売も行っており、第1四半期には約250百万円程度の設備売上がありました。これも今回の決算における売上増の一因となっています。
ただし、塗料事業自体のベースとなる部分については、そこまで大きな伸びは見られていません。この点については、売上が大きく伸びているわけではないですが、概ね堅調に推移しているというのが実情です。当社は塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つを手がけておりますが、どの事業も大きくは伸びていないものの、いずれも安定して推移しているため、全体としてはバランスよく成果を上げることができました。
取材者:その設備の売上については、元々期首から計画されていたのでしょうか。
回答者:はい、計画の中には入っておりました。
取材者:先ほどのDICグループからの事業譲渡のお話があったかと思うのですが、売上以外の面で良い影響があったり、何かございましたでしょうか。
回答者:実際の事業譲渡では販売と共に生産を移管するという作業を今進めています。その生産移管の完了は今年の12月を予定しています。そこから、弊社が元々扱っている内装建材の塗料とDICからの事業を合わせて、全体をもう一度見直し、物によっては製品の統廃合というのも考えられると思っております。しかし、現時点においては、移管作業を継続しているというのが実態です。このような状況ですから本来のシナジー効果はまだ現れていません。生産移管も簡単にはできず、一品一品検証しながら進めておりますので、かなり時間がかかっております。これが終わるのが先ほど申し上げたように、今年の12月、つまり来期に入ってからになる見込みです。そこで改めて全体を見渡してのコストダウンの検討はこれから、つまり来期になってしまいます。本当の意味でシナジー効果を得ようとすると、おそらく再来期だろうと思います。それまではどちらかというと持ち出しの方が多いぐらいかもしれません。というのは、開発費、検証費といった人的なコストがかかり、マイナスの方に影響がある可能性があります。ただ、元々のプラス要因もあるので、それと相殺されるとトントンぐらいかなという程度だと思います。いずれにしろ、さらにそのシナジー効果を出すのは再来期以降と考えております。
取材者:昨年度は価格改定、つまり価格の転嫁がうまく進まなかったというお話を前回していたかと思うのですが、今期はここまで価格の改定についてはいかがでしょうか。
回答者:これもかなり苦労してはいます。弊社のお客様は4月から始まる会社が多いので、改定ができるタイミングというのは、4月、あるいは10月です。4月は若干難しいところもありましたが、この10月ぐらいからようやく改定ができつつあるので、今期の業績にはあまり影響は受けなくなってしまいます。それでも上期のところでもやれている部分はありますので、全くゼロではないです。しかし、本格的に効いてくるのはこの10月以降かなと見ております。ただそうは言っても、原材料が上がり始めてから3年4年ぐらいでしょうか、今回の改定でこれまでの分が取り返せるかというとそうではなく、まだ十分ではないと思っており、この先もやはり値上げはやっていかないといけないと考えております。実際、塗料の場合、運送コストもかかります。運送コストについては10月からの改定を予定しており、値上げの前、多分9月は非常に売上が多くなりそうです。これは駆け込みがあって、その値上げ前の需要を取り込んでいる部分があるためです。そうなると、10月は若干少なくなるというところがありますので、実質的に先ほどの値上げの方が反映されてくるのは来年度の11月からというところが多いと見ております。ですから、今期は値上げができたとしても、まだ不十分というような状況になるかと思います。このまま原材料が落ち着いてくれるという前提で話をすると、来期からはようやく値上げが浸透できたかなというところに落ち着くかと思います。最近は景気も少し悪くなってきており、この先は値下げ圧力も出てきております。来期はこの値下げのところにどうやって対応していくかというところが、やはり出てくるだろうというふうに思います。
取材者:前期比で人員の採用の推移などはいかがでしょうか。
回答者:人員は今かなり採るようにしています。一つは、非常に年齢構成が上がってきてしまっているということです。今は平均年齢42歳を若干超えているぐらいだと思いますが、若返りというところまでにはいかないまでも改善しつつあります。ただ、新卒が採れないので、中途が多いです。今、中途と新卒が半々ぐらいで採っています。大体今期14~15名ぐらい採用しておりまして、当然辞めていく人間もいますので、実際に純増としては10人強だと思います。
取材者:計画としては順調という見方でよろしいのでしょうか。
回答者:人員については、まだ少々不十分だと正直思っております。この間、売上は伸ばしていたのですが、実は人員はあまり増えていません。ですから、かなり仕事の方が忙しいという状況が続いていましたので、このあたりでもう少し余裕を持たせたいというのがあります。また、新しいことをやっていこうとするとちょっと対応が厳しいかなというところがございます。今回三丸化学というところを7月で子会社化しましたが、この先もM&Aだとか事業提携だとか、そういうのは継続してやっていきたいと思っております。そういったことをやるための人員も少々足りません。事業を拡大していくには、先に人員を増強していかないと、さすがに苦しいかなというふうに見ておりますので、この先も人員の方を補充していくという方向で会社としては進めております。
取材者:先ほどの三丸化学さんの株式取得の話もあったかと思うのですが、他にM&Aまたは業務提携に関しまして、方針であったり、実施の有無であったり、何か話が進んでいることがございましたら、お答えできる範囲で教えていただけますでしょうか。
回答者:検討している案件はあります。ただ、これもいろいろ見てみないとわからず、どれだけシナジー効果が得られるか、既存の事業に対してどれぐらいプラスがあるかというところを見ておりますので、なかなかすぐにというのは難しいかなとは思っております。ただ、今はもうどちらかというとそちら側に舵を切っている部分ががあり、事業を成長させるためのM&Aというのは、この先もやっていくことになるだろうと思っておりますし、会社としてはその方向性で動いているということです。
取材者:その他、重要視されている数値など、主要なKPIなどございましたら教えていただけますでしょうか。
回答者:この先、投資を増やしていこうと考えておりますので、EBITDAは重要視しています。ただ、なかなか株主さんに説明しづらいところがあるのですが、いろんな投資案件を物色しているという状況でして、今すぐに数値が改善するとかではなく、投資もタイミングで、一気に増えます。しかし、それがいつというところがなかなか難しいところがあります。弊社の場合、比較的キャッシュが多いということで、そのキャッシュの中からある程度、一定額は使っていこうという考えは持っております。そのタイミングが来年度になるのか再来年度になるのかは断言できません。投資案件を進めるには、時間がかかります。また、弊社の設備が非常に古いということがあって、これも弊社の中で更新するのか、あるいは他社と提携してそこで作ってもらうとか、いろんな方法があると思っており、現在いろんな方向性を探っています。EBITDAの話をしましたけれども、投資ではなく提携というような少々違うような形で、もう少し利益を出していくというような話になると、数値がガラッと変わってしまいます。いずれにしろ、最終的に利益を考えながらやっていくことになるかなと思っております。また、ROEについても重要なKPIと考えております。一般的には、最低でも8%という話はありますが、弊社は4.2%程度しかありません。まず6%ぐらいまで持っていき、その後で8%に持っていくということを考えていますが、その数値が年度ごとに綺麗に目標に向かっていくということは、結構難しくて、多分最初はかなり低いところへ行きながら、ボンと上がるという階段のような形になるであろうと予想しており、その階段の幅が1年ではなく2年程度になるであろうと実は思っています。ただ、その説明はなかなか難しいのです。
取材者:通期の目標についての最後にお伺いしますが、通期の業績予想で売上高22,000百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益1,450百万円(前年同期比17.7%増)、経常利益1,500百万円(前年同期比8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益980百万円(前年同期比2.5%増)の増収増益の着地を予想されているかと思うのですが、こちらについての見通しはいかがでしょうか。
回答者:まず売上については、見込み通りであろうと見ております。利益については、他の要因がありすぎてなかなか読みづらいところがあります。一つは為替です。為替に関して、今期は一時期1億円強程度の為替差損を出していたのが、かなり回復してきたものの、ここにきてまた円安方向に行ってしまっているのでわかりませんが、おそらく若干の為替差損が出るであろうと見ており、4~5千万円程度は出ると見込んでおりますので、若干マイナスになるかもしれません。しかし、今回三丸化学を買収したとき、負ののれんが約1億円出ていますので、それが純利益の方を押し上げます。そうすると、純利益は、目標のプラスアルファ程度に落ち着くのではと見ております。
取材者:最後に、足元の状況につきまして、何かトピックス的やニュースリリースなどございましたら教えていただけますでしょうか。
回答者:特に大きなものはありませんが、懸念材料としては、住宅の着工件数です。やはり弊社は全体の中で建築、特に戸建てやマンションに使われる建材用塗料の売上が、全体に占める割合は結構大きく、30%強、35%程度はあると思います。ですから、ここがどうなるかによって、かなり影響を受けるのですが、今現在は若干下げ止まっているようなところがあります。今期、比較的その辺の影響が少なかったのは、住宅着工件数が、弊社の上期、つまり3月ぐらいまではプラスでした。そこが4月から下がったのですが、思ったほどは下がりませんでした。いわゆる一般的な住宅着工件数の比率と弊社の建材塗料の出荷の推移を見た場合、住宅着工件数の減少率ほどの減収はありませんでした。実はここが少々疑問で、在庫が積み増しされて、いきなり止まるというのが懸念材料としてあります。ですから、住宅が実際に建てられて、在庫がはければそれほど心配ではないのですが、急に着工件数が下がったりすると、中間在庫が増えるのではないかという気がしてなりません。
専務取締役 山本豊 様
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企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
ナトコ株式会社及びそのグループ会社は、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としている。 各事業が密接に関連し相乗効果を生み出すことで、顧客のニーズに対応した高品質な製品を提供している。
創業の経緯と転機となった出来事
ナトコ株式会社は、昭和23年に創業し、塗料事業を基盤に発展してきた。 創業当初はシンナーや酒精ニス、を販売していた。 その後、顧客のニーズに応える形で事業を拡大し、現在の3事業体制を構築した。 社名は、創業当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、現在の「ナトコ」へと変化している。
直近の決算状況
2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により増収を達成した。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与した。来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加が見込まれる。
特徴や強み
塗料事業では、住宅建材、各種金属、産業機械など幅広い分野で使用される塗料を製造・販売している。 建材用塗料では、サイディングボードメーカー向け塗料でトップシェアを誇り、強固な市場地位を築いている。 ファインケミカル事業では、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造している。 高い技術力と開発力により、顧客の要望に応じた製品を提供することで高い付加価値を実現している。
成長戦略
国内市場におけるシェア拡大に加え、海外市場への進出を加速させていく。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制の強化も視野に入れている。 また、新規顧客の獲得にも注力していく。
株主還元策
株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としている。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としている。
今期の取り組みやトピックス
利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっている。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れている。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指していく。
新規顧客獲得に向けた取り組み
売上高の特定の顧客への集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力している。 住宅建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めている。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めている。
Q. 貴社グループのビジネスモデルについてご説明ください。
A. 弊社グループのビジネスモデルは、3つの事業を柱とした多角的な事業展開です。塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業がそれぞれ密接に関連しており、相乗効果を生み出すことで、お客様のニーズに対応した高品質な製品を提供しています。
Q. 塗料事業の特徴や強みについて教えてください。
A. 塗料事業は、住宅建材、各種金属、産業機械など、幅広い分野で使用される塗料を製造・販売しています。 特に住宅建材分野においては、サイディングボードメーカー向け用でトップシェアを誇り、国内の住宅市場において確固たる地位を築いています。 また、金属用塗料においても、高い技術力と品質管理により、お客様からの信頼を得ています。
Q. ファインケミカル事業の特徴や強みについて教えてください。
A. ファインケミカル事業は、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造しています。 高い技術力と開発力により、お客様の要望に応じた製品を提供することで、高い付加価値を実現しています。 また、海外顧客比率が高く、グローバルな事業展開を進めています。
Q. 蒸流事業の特徴について教えてください。
A. 蒸留事業は、塗料製造過程で発生する廃液・廃溶剤や電子材料製造工程で使用された溶剤などを蒸留・再生する事業です。 これにより、環境負荷の低減に貢献するとともに、資源の有効活用を図っています。
Q. 中期経営計画における今後の事業展開について教えてください。
A. 中期経営計画では、国内市場におけるシェア拡大とともに、海外市場への進出を加速させていきます。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制強化も視野に入れています。 また、新規顧客の獲得にも注力し、これまで培ってきた技術力とノウハウを活かして、新たな分野への進出も検討しています。
Q. 2024年10月期の決算状況と、来期の業績見通しについて教えてください。
A. 2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により、増収を達成しました。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与しました。 来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加もあり、増収増益を見込んでいます。
Q. 利益面における課題と、その対策について教えてください。
A. 利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっています。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れています。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指します。
Q. 売上高の顧客集中に対する対策について教えてください。
A. 特定の顧客への売上高の集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力しています。 建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めています。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めています。
Q. 環境に対する取り組みについて教えてください。
A. 当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量の削減に取り組んでいます。 電力会社との契約において、再生可能エネルギー比率を高めているほか、重油からLPガスへの転換、LED照明の導入など、省エネルギー化を進めています。 2013年度比で既に60%以上のCO2削減を達成しており、2030年には70%削減を目指しています。 今後は、スコープ3排出量の削減にも取り組み、子会社への展開も進めていきます。
Q. 株主還元策についての方針を教えてください。
A. 株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としています。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としています。 今後は、業績や投資計画などを考慮しながら、配当金の増配も視野に、柔軟な株主還元策を実施していく予定です。
Q. 設備投資の方針について教えてください。
A. 設備投資については、工場のリニューアルなどを計画しており、今後数年かけて段階的に実施していく予定です。 投資計画の詳細については、中期経営計画の進捗状況に合わせて、逐次公開していく予定です。 また、M&Aについても選択肢の一つとして検討しており、状況に応じて判断していきます。
取材者: 貴社グループのビジネスモデルや事業内容について、特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。
回答者: 弊社グループは、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としております。元々は塗料事業からスタートし、その後、ファインケミカル事業、さらに蒸留事業会社を子会社化することにより事業を拡張してまいりました。
取材者: なるほど。それぞれの事業について詳しく教えていただけますか?
回答者: 塗料事業は、販売店や代理店を通してユーザーに塗料をお届けする、一般的な販売形式をとっています。 ファインケミカル事業は、大手企業との取引が多く、商社を通して販売しています。 塗料事業は、キロ数百円の価格帯が大半ですが、ファインケミカル事業は、キロ数千円と、より高価格帯の製品を扱っています。 昔は微粒子事業というものを行っており、液晶パネル内に使用される微粒子状のスペーサーというものを製造しており、グラム数千円という価格帯でした。
取材者: 塗料事業とファインケミカル事業の違いは何でしょうか?
回答者: 塗料事業は、主に建材用塗料や金属用塗料を扱っており、ファインケミカル事業は、より高機能なコーティング剤を主に扱っています。 例えば、ファインケミカル事業では、スマートフォンのタッチペンや自動車の内装材などに使われる、高機能なコーティング剤を開発・販売しています。 塗料事業は、色物が多いのに対し、ファインケミカル事業は、透明でクリアなものが多く、個々の顧客が要望する機能を付与することで付加価値を高めています。
取材者: なるほど。それぞれの事業で、どのような製品を扱っているのでしょうか?
回答者: 塗料事業では、建材用塗料と金属用塗料の2つに分かれます。 建材用塗料は、窯業系サイディング用塗料やインク、マンションや戸建てのフロア、階段などに塗られる塗料などがあります。 工業用塗料は、工作機械、鋼製家具、ボンベ、配電盤、家電製品など、様々な用途に使用されています。 ただし、自動車と船舶はほとんどありません。 これらは専用の塗料メーカーが存在し、参入の余地が少ないためです。 ファインケミカル事業では、スマートフォンなどの情報端末機器、パソコンの筐体、自動車の内装材などに使われるコーティング剤を扱っています。
取材者: 貴社の強みは何でしょうか?
回答者: 弊社の強みは、高機能な塗料を開発できる技術力と、顧客のニーズに応じた提案力です。 例えば、ファインケミカル事業では、顧客の要望に合わせて、100種類以上の試作品を作成し、最適な塗料を提案しています。 また、塗料事業においても、サイディングのデザインや色などを提案し、顧客に採用いただいています。
取材者: 車はなかなか関係性が強くて、塗料事業では難しいということですが、ファインケミカルのような付加価値をつける部分は、貴社しかできないのですか。
回答者: できないとは言いませんが、例えば、スマートフォンのカバーの純正品に採用されたケースでは、機能面もありますが、デザイン面も重要視されました。強い意味のデザイン化部分を持っていて、機能や性能、デザイン、この3つをセットで提案します。車関係も、最終決定するのはデザイナーが多いので、そこに対しての提案力というのが強みになります。
取材者: なるほど。提案力と機能面、両方あるからこそ採用されるということですね。
回答者: 先ほど塗料の方でも同じような話がありましたが、サイディング関係です。サイディングについても、基本的には要望があるのですが、それに対して弊社からデザインや色などを提案して、サンプルを作って見せて、採用してもらうということです。ですから、そういうデザイン性というのは非常に大きくて、売上に寄与しているというところがございます。
取材者: ありがとうございます。創業の経緯についてお聞かせいただけますか。
回答者: 弊社は1948年に名古屋で創業し、塗料メーカーとしてスタートしました。 その後、事業を拡大し、現在の愛知県みよし市に本社を移転しました。 社名は、当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、「ナトコ」に変更しました。
取材者: 社名変更の理由は何でしょうか?
回答者:塗料以外の分野にも事業を拡大していきたいという思いがあったからです。
取材者: ありがとうございます。決算状況についてお伺いします。2024年10月期の売上高は増収を達成されていますが、要因は何でしょうか?
回答者: 需要の高まりに加えて、価格改定による販売単価の上昇が主な要因です。 また、大手ユーザーの好調や、海外事業の売上増加も寄与しています。
取材者: 来期の業績見通しはいかがでしょうか?
回答者: 売上高、営業利益ともに増収増益を見込んでいます。 建材用塗料の事業譲渡による売上増加や、継続的な価格転嫁による収益改善が期待されます。
取材者: 中期経営計画に記載されていた、新規顧客獲得に向けた取り組みについて教えてください。
回答者: 塗料事業では、これまでとは異なる建材分野への進出や、中国市場における水系塗料の拡販などを進めています。
取材者: 環境に対する取り組みについて教えてください。
回答者: 再生可能エネルギーの利用や、CO2削減の工夫など、様々な取り組みを進めています。 2050年のカーボンニュートラルを目指し、2030年には2013年度比で60%以上のCO2削減を達成しています。
取材者: 60%削減とは素晴らしいですね。株主還元策についての方針を教えてください。
回答者: 配当性向40%、最低配当金50円を基本としています。 今後は、設備投資やM&Aなども検討しながら、株主還元策を充実させていく予定です。
取材者: 設備投資や株主還元の方針は、いつ頃明確になりますか?
回答者: 今期が終わった段階で、中期経営計画の進捗と合わせて、ある程度のものを出せるかと思います。 並行して進めているものについては、決定次第、逐次公開していく予定です。
取材者: 本日はありがとうございました。
専務取締役 山本豊様
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ナトコ(株)
東証STD 4627
決算:10月末日
CP&X
【2025年10月期(通期)】
決算概要
売上高:222.7億円(7.3%増) 営業利益:13.9億円(13.4%増)
経常利益:15.0億円(9.6%増) 当期純利益:11.3億円(19.0%増)
・売上高は新規ユーザーの獲得や一部で販売価格の改定が進んだことから増収
・営業利益および経常利益は、人件費や修繕費等の費用の増加があったものの、各事業での売上増や販売価格の改定、原価低減活動による利益改善が進んだことにより営業利益は増加 販売価格の改定が進んだことから増益
・当期純利益は三丸化学の子会社化に伴う負ののれん発生益の計上もあり増益
セグメント別または事業別の増減要因
・塗料事業
金属用塗料分野では、焼き付け塗料や遮熱塗料での新規案件の獲得、工作機械向けやボンベ向けの塗料の需要が増えたことで、売上高は前年同期に比べ増加
建材用塗料分野では、主力ユーザーの国内向けの需要増やDICグループから内装建材用塗料の販売事業を2024年7月1日付で譲り受けたことにより、売上高は前年同期に比べ増加
・ファインケミカル事業
光学フィルム向けのコーティング剤は堅調であったものの、モビリティ(自動車関連)向けのコーティング剤の低迷により、売上高は前年同期に比べ減少
・蒸留事業
車両関係の生産低迷による需要減はあるものの、既存顧客の需要増や新規案件の獲得、2025年6月30日付で三丸化学株式会社がナトコグループに加わったことにより、売上高は前年同期に比べ増加
季節性・一過性要因の有無と影響
塗料事業の売上高に塗装設備の売上として約2億8千万円があるが、これは継続的な案件ではなく一時的な売上である。
来期の業績予想及び戦略・施策
売上高:230.0億円(3.3%増) 営業利益:14.5億円(3.7%増)
経常利益:15.5億円(2.7%増) 当期純利益:10.0億円(19.0%増)
・売上高は、三丸化学の子会社化による蒸留事業の拡大に加え、積極的な新規採用活動により増収
・営業利益及び経常利益は、固定費が引き続き増加するものの売上増により増益
・当期純利益は、三丸化学子会社化に伴う負ののれん発生益が無くなることから減益
トピックス
当初の中期経営計画(2025年度~2027年度)の数字には含まれていなかった三丸化学が子会社(66%の持分)になり、売上として約1億円(3か月分)を計上している。
・資料
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取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年10月期第3四半期の決算は、売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(同21.1%増)、経常利益1,018百万円(同8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(同23.0%増)と、増収・増益の好調な着地となった。売上高増加の主因は、昨年7月にDICグループから内装建材事業の譲渡を受けたことによる、8か月分の売上の上乗せである。また、第1四半期に約250百万円程度の設備売上があったことも、増収要因の一つとなった。
セグメント別または事業別の増減要因
塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3事業は、いずれも大きな伸びはないものの、バランス良く堅調に推移したことが、ベースの売上高を減らさずに維持した。一方で、原材料価格の高止まりが続いており、運送コストの反映も含めた本格的な価格改定の浸透は、顧客側のタイミングに合わせる形で今期ではなく来年度(2025年11月~)からとなる見込みであり、今期の業績への貢献は限定的である。
主要KPIの進捗と変化
同社は今後のM&Aや投資を増やす方針のため、EBITDAを重要なKPIの一つとして注視している。EBITDAは投資のタイミングにより、数値が徐々に改善するのではなく、最初は低く推移した後に一気に上昇する階段状の推移になることを予想しており、この上昇幅は2年程度になるであろうと見込まれている。また、一般的なROEについては、現状4.2%程度であり、まず一旦は6%まで引き上げた後、最終的に8%を目指すことを重要なKPIの一つとしている。
季節性・一過性要因の有無と影響
昨年7月のDICグループからの内装建材事業譲受は、今期第3四半期の売上高を前年同期比で大きく押し上げる一過性の要因となった。また、通期純利益の見通しでは、7月に子会社化した三丸化学の買収に伴って約1億円の負ののれんが発生しており、これが純利益を押し上げる一過性のプラス要因となる。一方で、為替については直近の円安傾向により、4千万円から5千万円程度の為替差損が発生する可能性があり、利益を若干押し下げる一過性のネガティブ要因となり得ると見込まれる。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期の業績予想について、売上高は概ね見込み通りに着地すると見られている。純利益に関しては、負ののれんのプラス要因と為替差損のマイナス要因を総合的に見ると、予想値(980百万円)に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見込まれている。価格改定については、今期は実施できているものの、本格的な値上げの浸透は本年11月(来年度)からとなる見込みであり、今期の利益改善への貢献は不十分な状況である。
トピックス
・事業成長に向けたM&Aと人員増強の強化
7月に三丸化学を子会社化し、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していくことで事業を成長させていく方向性に舵を切り、人員の補充を進めていく方針である。
・DIC事業譲受後のシナジー発現時期
DICグループからの事業譲受に伴う生産移管作業は今年の12月に完了する見込みであるが、本格的なシナジーが現れ、製品の統廃合や原料の共通化・置き換えによるコストダウンが実現できるのは、再来期になるであろうと見込まれている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:事業拡大に向け、今後もM&Aや事業提携を継続して実施していく方針でございます。また、事業拡大の前提として、現在は人員の増強を進めております。投資についても増やしていく方針で、設備が古いという課題もあるため、設備の更新や、他社との提携による製造などの様々な方法を検討し、方向性を探っております。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:最近の景気の悪化に伴い、値下げ圧力が出始めており、特に自動車関連や塗料の分野でもその兆候が見られます。来期(2026年10月期)は、この値下げ圧力にどのように対応していくかが課題になるだろうと考えております。また、塗料事業において大きな懸念材料となっているのが住宅の着工件数です。弊社の売上全体に占める建築関連資材の割合は30%強から35%程度と大きいため、着工件数の動向に大きく影響を受けます。現状は下げ止まっているようにも見えますが、もし住宅着工件数の伸びが急に下がった場合、中間在庫の発生につながる懸念があり、動向を注視しております。
Q:通期業績の見通についてご説明ください。
A:売上高に関しては、通期予想の22,000百万円について見込み通りに推移すると見ております。利益面においては、第3四半期まではまだ不十分な状況ではございますが、価格改定(値上げ)を継続して実施しており、特に運送コストの反映を含めた本格的な値上げの影響は、顧客の事業開始時期を踏まえ、実質的に来年度の11月から浸透してくると見ております。今期(2025年10月期)は値上げ幅は不十分ではありますが、徐々に進んでいる状況です。
純利益に関しては、三丸化学買収に伴う約1億円の負ののれん発生が押し上げ要因となり、予想の980百万円に対してプラスアルファ程度に落ち着くと見ております。その他の要因として、為替については円安方向への推移もあり、4~5千万円程度の為替差損が出る可能性があると見込んでおります。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:第4四半期(10月)に関しては、9月に値上げ前の駆け込み需要を取り込んでいる部分があるため、売上が多くなる見込みであり、その反動で10月は売上が少なくなるところがあると考えております。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:2025年7月に三丸化学を子会社化いたしました。現在も、M&Aや事業提携を継続して実施していく方針で、事業を成長させるためのM&Aについては、既存事業へのプラスやシナジー効果の程度を検討しながら、今後も行っていくことになるだろうと考えております。
DICグループからの事業譲渡については、現在、生産そのものの移管作業を進めており、完了は今年の12月、つまり来期(2026年10月期)に入る見込みです。移管完了後、製品の統廃合や、原料の共通化によるコストダウンの検証などを来期に行う予定です。本当の意味でのシナジー効果が現れ、利益向上に結びつくのは再来期(2027年10月期)になると考えております。現状は移管作業に伴う開発費や検証費といった人的コストがかかるため、再来期まではどちらかというとマイナスの影響が出る可能性もありますが、既存事業のプラス要因と相殺され、影響は軽微だと見ております。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:投資を増やしていく方針であり、その中でEBITDAを重要視するKPIの一つとしております。また、一般的なKPIであるROEについては、現状4.2%程度であり、最低目標として提示される8%を目指すにあたり、まずは6%程度まで引き上げることを目下の目標としております。このROEの目標達成は、年度ごとに徐々に改善するのではなく、最初は低い水準から始まり、階段状に(恐らく2年程度の期間で一気に)上昇していく形になると予想しております。
取材者:2025年10月期第3四半期の決算状況についてお伺いします。売上高16,572百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益1,001百万円(前年同期比21.1%増)、経常利益1,018百万円(前年同期比8.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益790百万円(前年同期比23.0%増)と、非常に好調な決算であると拝見いたしましたが、こちらについての増減要因はいかがでしょうか。
回答者:まず売上の増加要因としては、昨年7月にDICさんから内装建材事業を譲り受けた点が大きな影響を与えています。昨年度は事業譲渡を受けたのが第3四半期の1ヶ月前後だったため、実質的に影響は1ヶ月分しか反映されていませんでした。しかし、今年はその譲渡を受けて9ヶ月分の売上が計上されることになり、その差が売上に大きく寄与しました。加えて、表面的には見えにくいのですが、塗料だけでなく、設備の販売も行っており、第1四半期には約250百万円程度の設備売上がありました。これも今回の決算における売上増の一因となっています。
ただし、塗料事業自体のベースとなる部分については、そこまで大きな伸びは見られていません。この点については、売上が大きく伸びているわけではないですが、概ね堅調に推移しているというのが実情です。当社は塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つを手がけておりますが、どの事業も大きくは伸びていないものの、いずれも安定して推移しているため、全体としてはバランスよく成果を上げることができました。
取材者:その設備の売上については、元々期首から計画されていたのでしょうか。
回答者:はい、計画の中には入っておりました。
取材者:先ほどのDICグループからの事業譲渡のお話があったかと思うのですが、売上以外の面で良い影響があったり、何かございましたでしょうか。
回答者:実際の事業譲渡では販売と共に生産を移管するという作業を今進めています。その生産移管の完了は今年の12月を予定しています。そこから、弊社が元々扱っている内装建材の塗料とDICからの事業を合わせて、全体をもう一度見直し、物によっては製品の統廃合というのも考えられると思っております。しかし、現時点においては、移管作業を継続しているというのが実態です。このような状況ですから本来のシナジー効果はまだ現れていません。生産移管も簡単にはできず、一品一品検証しながら進めておりますので、かなり時間がかかっております。これが終わるのが先ほど申し上げたように、今年の12月、つまり来期に入ってからになる見込みです。そこで改めて全体を見渡してのコストダウンの検討はこれから、つまり来期になってしまいます。本当の意味でシナジー効果を得ようとすると、おそらく再来期だろうと思います。それまではどちらかというと持ち出しの方が多いぐらいかもしれません。というのは、開発費、検証費といった人的なコストがかかり、マイナスの方に影響がある可能性があります。ただ、元々のプラス要因もあるので、それと相殺されるとトントンぐらいかなという程度だと思います。いずれにしろ、さらにそのシナジー効果を出すのは再来期以降と考えております。
取材者:昨年度は価格改定、つまり価格の転嫁がうまく進まなかったというお話を前回していたかと思うのですが、今期はここまで価格の改定についてはいかがでしょうか。
回答者:これもかなり苦労してはいます。弊社のお客様は4月から始まる会社が多いので、改定ができるタイミングというのは、4月、あるいは10月です。4月は若干難しいところもありましたが、この10月ぐらいからようやく改定ができつつあるので、今期の業績にはあまり影響は受けなくなってしまいます。それでも上期のところでもやれている部分はありますので、全くゼロではないです。しかし、本格的に効いてくるのはこの10月以降かなと見ております。ただそうは言っても、原材料が上がり始めてから3年4年ぐらいでしょうか、今回の改定でこれまでの分が取り返せるかというとそうではなく、まだ十分ではないと思っており、この先もやはり値上げはやっていかないといけないと考えております。実際、塗料の場合、運送コストもかかります。運送コストについては10月からの改定を予定しており、値上げの前、多分9月は非常に売上が多くなりそうです。これは駆け込みがあって、その値上げ前の需要を取り込んでいる部分があるためです。そうなると、10月は若干少なくなるというところがありますので、実質的に先ほどの値上げの方が反映されてくるのは来年度の11月からというところが多いと見ております。ですから、今期は値上げができたとしても、まだ不十分というような状況になるかと思います。このまま原材料が落ち着いてくれるという前提で話をすると、来期からはようやく値上げが浸透できたかなというところに落ち着くかと思います。最近は景気も少し悪くなってきており、この先は値下げ圧力も出てきております。来期はこの値下げのところにどうやって対応していくかというところが、やはり出てくるだろうというふうに思います。
取材者:前期比で人員の採用の推移などはいかがでしょうか。
回答者:人員は今かなり採るようにしています。一つは、非常に年齢構成が上がってきてしまっているということです。今は平均年齢42歳を若干超えているぐらいだと思いますが、若返りというところまでにはいかないまでも改善しつつあります。ただ、新卒が採れないので、中途が多いです。今、中途と新卒が半々ぐらいで採っています。大体今期14~15名ぐらい採用しておりまして、当然辞めていく人間もいますので、実際に純増としては10人強だと思います。
取材者:計画としては順調という見方でよろしいのでしょうか。
回答者:人員については、まだ少々不十分だと正直思っております。この間、売上は伸ばしていたのですが、実は人員はあまり増えていません。ですから、かなり仕事の方が忙しいという状況が続いていましたので、このあたりでもう少し余裕を持たせたいというのがあります。また、新しいことをやっていこうとするとちょっと対応が厳しいかなというところがございます。今回三丸化学というところを7月で子会社化しましたが、この先もM&Aだとか事業提携だとか、そういうのは継続してやっていきたいと思っております。そういったことをやるための人員も少々足りません。事業を拡大していくには、先に人員を増強していかないと、さすがに苦しいかなというふうに見ておりますので、この先も人員の方を補充していくという方向で会社としては進めております。
取材者:先ほどの三丸化学さんの株式取得の話もあったかと思うのですが、他にM&Aまたは業務提携に関しまして、方針であったり、実施の有無であったり、何か話が進んでいることがございましたら、お答えできる範囲で教えていただけますでしょうか。
回答者:検討している案件はあります。ただ、これもいろいろ見てみないとわからず、どれだけシナジー効果が得られるか、既存の事業に対してどれぐらいプラスがあるかというところを見ておりますので、なかなかすぐにというのは難しいかなとは思っております。ただ、今はもうどちらかというとそちら側に舵を切っている部分ががあり、事業を成長させるためのM&Aというのは、この先もやっていくことになるだろうと思っておりますし、会社としてはその方向性で動いているということです。
取材者:その他、重要視されている数値など、主要なKPIなどございましたら教えていただけますでしょうか。
回答者:この先、投資を増やしていこうと考えておりますので、EBITDAは重要視しています。ただ、なかなか株主さんに説明しづらいところがあるのですが、いろんな投資案件を物色しているという状況でして、今すぐに数値が改善するとかではなく、投資もタイミングで、一気に増えます。しかし、それがいつというところがなかなか難しいところがあります。弊社の場合、比較的キャッシュが多いということで、そのキャッシュの中からある程度、一定額は使っていこうという考えは持っております。そのタイミングが来年度になるのか再来年度になるのかは断言できません。投資案件を進めるには、時間がかかります。また、弊社の設備が非常に古いということがあって、これも弊社の中で更新するのか、あるいは他社と提携してそこで作ってもらうとか、いろんな方法があると思っており、現在いろんな方向性を探っています。EBITDAの話をしましたけれども、投資ではなく提携というような少々違うような形で、もう少し利益を出していくというような話になると、数値がガラッと変わってしまいます。いずれにしろ、最終的に利益を考えながらやっていくことになるかなと思っております。また、ROEについても重要なKPIと考えております。一般的には、最低でも8%という話はありますが、弊社は4.2%程度しかありません。まず6%ぐらいまで持っていき、その後で8%に持っていくということを考えていますが、その数値が年度ごとに綺麗に目標に向かっていくということは、結構難しくて、多分最初はかなり低いところへ行きながら、ボンと上がるという階段のような形になるであろうと予想しており、その階段の幅が1年ではなく2年程度になるであろうと実は思っています。ただ、その説明はなかなか難しいのです。
取材者:通期の目標についての最後にお伺いしますが、通期の業績予想で売上高22,000百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益1,450百万円(前年同期比17.7%増)、経常利益1,500百万円(前年同期比8.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益980百万円(前年同期比2.5%増)の増収増益の着地を予想されているかと思うのですが、こちらについての見通しはいかがでしょうか。
回答者:まず売上については、見込み通りであろうと見ております。利益については、他の要因がありすぎてなかなか読みづらいところがあります。一つは為替です。為替に関して、今期は一時期1億円強程度の為替差損を出していたのが、かなり回復してきたものの、ここにきてまた円安方向に行ってしまっているのでわかりませんが、おそらく若干の為替差損が出るであろうと見ており、4~5千万円程度は出ると見込んでおりますので、若干マイナスになるかもしれません。しかし、今回三丸化学を買収したとき、負ののれんが約1億円出ていますので、それが純利益の方を押し上げます。そうすると、純利益は、目標のプラスアルファ程度に落ち着くのではと見ております。
取材者:最後に、足元の状況につきまして、何かトピックス的やニュースリリースなどございましたら教えていただけますでしょうか。
回答者:特に大きなものはありませんが、懸念材料としては、住宅の着工件数です。やはり弊社は全体の中で建築、特に戸建てやマンションに使われる建材用塗料の売上が、全体に占める割合は結構大きく、30%強、35%程度はあると思います。ですから、ここがどうなるかによって、かなり影響を受けるのですが、今現在は若干下げ止まっているようなところがあります。今期、比較的その辺の影響が少なかったのは、住宅着工件数が、弊社の上期、つまり3月ぐらいまではプラスでした。そこが4月から下がったのですが、思ったほどは下がりませんでした。いわゆる一般的な住宅着工件数の比率と弊社の建材塗料の出荷の推移を見た場合、住宅着工件数の減少率ほどの減収はありませんでした。実はここが少々疑問で、在庫が積み増しされて、いきなり止まるというのが懸念材料としてあります。ですから、住宅が実際に建てられて、在庫がはければそれほど心配ではないのですが、急に着工件数が下がったりすると、中間在庫が増えるのではないかという気がしてなりません。
専務取締役 山本豊 様
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CP&X
ビジネスモデルや事業内容
ナトコ株式会社及びそのグループ会社は、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としている。 各事業が密接に関連し相乗効果を生み出すことで、顧客のニーズに対応した高品質な製品を提供している。
創業の経緯と転機となった出来事
ナトコ株式会社は、昭和23年に創業し、塗料事業を基盤に発展してきた。 創業当初はシンナーや酒精ニス、を販売していた。 その後、顧客のニーズに応える形で事業を拡大し、現在の3事業体制を構築した。 社名は、創業当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、現在の「ナトコ」へと変化している。
直近の決算状況
2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により増収を達成した。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与した。来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加が見込まれる。
特徴や強み
塗料事業では、住宅建材、各種金属、産業機械など幅広い分野で使用される塗料を製造・販売している。 建材用塗料では、サイディングボードメーカー向け塗料でトップシェアを誇り、強固な市場地位を築いている。 ファインケミカル事業では、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造している。 高い技術力と開発力により、顧客の要望に応じた製品を提供することで高い付加価値を実現している。
成長戦略
国内市場におけるシェア拡大に加え、海外市場への進出を加速させていく。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制の強化も視野に入れている。 また、新規顧客の獲得にも注力していく。
株主還元策
株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としている。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としている。
今期の取り組みやトピックス
利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっている。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れている。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指していく。
新規顧客獲得に向けた取り組み
売上高の特定の顧客への集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力している。 住宅建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めている。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めている。
Q. 貴社グループのビジネスモデルについてご説明ください。
A. 弊社グループのビジネスモデルは、3つの事業を柱とした多角的な事業展開です。塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業がそれぞれ密接に関連しており、相乗効果を生み出すことで、お客様のニーズに対応した高品質な製品を提供しています。
Q. 塗料事業の特徴や強みについて教えてください。
A. 塗料事業は、住宅建材、各種金属、産業機械など、幅広い分野で使用される塗料を製造・販売しています。 特に住宅建材分野においては、サイディングボードメーカー向け用でトップシェアを誇り、国内の住宅市場において確固たる地位を築いています。 また、金属用塗料においても、高い技術力と品質管理により、お客様からの信頼を得ています。
Q. ファインケミカル事業の特徴や強みについて教えてください。
A. ファインケミカル事業は、スマートフォン、タブレット、自動車内装などに使用される高機能なコーティング剤を開発・製造しています。 高い技術力と開発力により、お客様の要望に応じた製品を提供することで、高い付加価値を実現しています。 また、海外顧客比率が高く、グローバルな事業展開を進めています。
Q. 蒸流事業の特徴について教えてください。
A. 蒸留事業は、塗料製造過程で発生する廃液・廃溶剤や電子材料製造工程で使用された溶剤などを蒸留・再生する事業です。 これにより、環境負荷の低減に貢献するとともに、資源の有効活用を図っています。
Q. 中期経営計画における今後の事業展開について教えてください。
A. 中期経営計画では、国内市場におけるシェア拡大とともに、海外市場への進出を加速させていきます。 特に、成長が見込めるアジア市場においては、積極的な事業展開を図り、現地生産体制強化も視野に入れています。 また、新規顧客の獲得にも注力し、これまで培ってきた技術力とノウハウを活かして、新たな分野への進出も検討しています。
Q. 2024年10月期の決算状況と、来期の業績見通しについて教えてください。
A. 2024年10月期は、需要の高まりと価格改定により、増収を達成しました。 また、大手ユーザーの好調や海外売上高の増加も寄与しました。 来期は、建材用塗料の事業譲渡による売上高の増加もあり、増収増益を見込んでいます。
Q. 利益面における課題と、その対策について教えてください。
A. 利益面においては、価格転嫁の遅れが課題となっています。 特に、競合が多い塗料事業においては、価格転嫁が難しく、利益率の改善が遅れています。 今後も継続的な価格転嫁を進めるとともに、コスト削減にも取り組むことで、収益力の向上を目指します。
Q. 売上高の顧客集中に対する対策について教えてください。
A. 特定の顧客への売上高の集中を避けるため、新規顧客の獲得に注力しています。 建材分野では、これまで培った技術を活かしこれまでとは異なるメーカーへのアプローチを進めています。 また、中国市場では、水系塗料の需要増加に対応するため、環境対応と機能性を両立させた製品を開発し、新規顧客の開拓を進めています。
Q. 環境に対する取り組みについて教えてください。
A. 当社は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、CO2排出量の削減に取り組んでいます。 電力会社との契約において、再生可能エネルギー比率を高めているほか、重油からLPガスへの転換、LED照明の導入など、省エネルギー化を進めています。 2013年度比で既に60%以上のCO2削減を達成しており、2030年には70%削減を目指しています。 今後は、スコープ3排出量の削減にも取り組み、子会社への展開も進めていきます。
Q. 株主還元策についての方針を教えてください。
A. 株主還元策として、配当性向40%、最低配当金50円を基本方針としています。 これは、上場企業平均を参考に、安定的な株主還元を図ることを目的としています。 今後は、業績や投資計画などを考慮しながら、配当金の増配も視野に、柔軟な株主還元策を実施していく予定です。
Q. 設備投資の方針について教えてください。
A. 設備投資については、工場のリニューアルなどを計画しており、今後数年かけて段階的に実施していく予定です。 投資計画の詳細については、中期経営計画の進捗状況に合わせて、逐次公開していく予定です。 また、M&Aについても選択肢の一つとして検討しており、状況に応じて判断していきます。
取材者: 貴社グループのビジネスモデルや事業内容について、特徴や強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。
回答者: 弊社グループは、塗料事業、ファインケミカル事業、蒸留事業の3つの事業を柱としております。元々は塗料事業からスタートし、その後、ファインケミカル事業、さらに蒸留事業会社を子会社化することにより事業を拡張してまいりました。
取材者: なるほど。それぞれの事業について詳しく教えていただけますか?
回答者: 塗料事業は、販売店や代理店を通してユーザーに塗料をお届けする、一般的な販売形式をとっています。 ファインケミカル事業は、大手企業との取引が多く、商社を通して販売しています。 塗料事業は、キロ数百円の価格帯が大半ですが、ファインケミカル事業は、キロ数千円と、より高価格帯の製品を扱っています。 昔は微粒子事業というものを行っており、液晶パネル内に使用される微粒子状のスペーサーというものを製造しており、グラム数千円という価格帯でした。
取材者: 塗料事業とファインケミカル事業の違いは何でしょうか?
回答者: 塗料事業は、主に建材用塗料や金属用塗料を扱っており、ファインケミカル事業は、より高機能なコーティング剤を主に扱っています。 例えば、ファインケミカル事業では、スマートフォンのタッチペンや自動車の内装材などに使われる、高機能なコーティング剤を開発・販売しています。 塗料事業は、色物が多いのに対し、ファインケミカル事業は、透明でクリアなものが多く、個々の顧客が要望する機能を付与することで付加価値を高めています。
取材者: なるほど。それぞれの事業で、どのような製品を扱っているのでしょうか?
回答者: 塗料事業では、建材用塗料と金属用塗料の2つに分かれます。 建材用塗料は、窯業系サイディング用塗料やインク、マンションや戸建てのフロア、階段などに塗られる塗料などがあります。 工業用塗料は、工作機械、鋼製家具、ボンベ、配電盤、家電製品など、様々な用途に使用されています。 ただし、自動車と船舶はほとんどありません。 これらは専用の塗料メーカーが存在し、参入の余地が少ないためです。 ファインケミカル事業では、スマートフォンなどの情報端末機器、パソコンの筐体、自動車の内装材などに使われるコーティング剤を扱っています。
取材者: 貴社の強みは何でしょうか?
回答者: 弊社の強みは、高機能な塗料を開発できる技術力と、顧客のニーズに応じた提案力です。 例えば、ファインケミカル事業では、顧客の要望に合わせて、100種類以上の試作品を作成し、最適な塗料を提案しています。 また、塗料事業においても、サイディングのデザインや色などを提案し、顧客に採用いただいています。
取材者: 車はなかなか関係性が強くて、塗料事業では難しいということですが、ファインケミカルのような付加価値をつける部分は、貴社しかできないのですか。
回答者: できないとは言いませんが、例えば、スマートフォンのカバーの純正品に採用されたケースでは、機能面もありますが、デザイン面も重要視されました。強い意味のデザイン化部分を持っていて、機能や性能、デザイン、この3つをセットで提案します。車関係も、最終決定するのはデザイナーが多いので、そこに対しての提案力というのが強みになります。
取材者: なるほど。提案力と機能面、両方あるからこそ採用されるということですね。
回答者: 先ほど塗料の方でも同じような話がありましたが、サイディング関係です。サイディングについても、基本的には要望があるのですが、それに対して弊社からデザインや色などを提案して、サンプルを作って見せて、採用してもらうということです。ですから、そういうデザイン性というのは非常に大きくて、売上に寄与しているというところがございます。
取材者: ありがとうございます。創業の経緯についてお聞かせいただけますか。
回答者: 弊社は1948年に名古屋で創業し、塗料メーカーとしてスタートしました。 その後、事業を拡大し、現在の愛知県みよし市に本社を移転しました。 社名は、当初の「名古屋塗料」から、「ナトコペイント」を経て、「ナトコ」に変更しました。
取材者: 社名変更の理由は何でしょうか?
回答者:塗料以外の分野にも事業を拡大していきたいという思いがあったからです。
取材者: ありがとうございます。決算状況についてお伺いします。2024年10月期の売上高は増収を達成されていますが、要因は何でしょうか?
回答者: 需要の高まりに加えて、価格改定による販売単価の上昇が主な要因です。 また、大手ユーザーの好調や、海外事業の売上増加も寄与しています。
取材者: 来期の業績見通しはいかがでしょうか?
回答者: 売上高、営業利益ともに増収増益を見込んでいます。 建材用塗料の事業譲渡による売上増加や、継続的な価格転嫁による収益改善が期待されます。
取材者: 中期経営計画に記載されていた、新規顧客獲得に向けた取り組みについて教えてください。
回答者: 塗料事業では、これまでとは異なる建材分野への進出や、中国市場における水系塗料の拡販などを進めています。
取材者: 環境に対する取り組みについて教えてください。
回答者: 再生可能エネルギーの利用や、CO2削減の工夫など、様々な取り組みを進めています。 2050年のカーボンニュートラルを目指し、2030年には2013年度比で60%以上のCO2削減を達成しています。
取材者: 60%削減とは素晴らしいですね。株主還元策についての方針を教えてください。
回答者: 配当性向40%、最低配当金50円を基本としています。 今後は、設備投資やM&Aなども検討しながら、株主還元策を充実させていく予定です。
取材者: 設備投資や株主還元の方針は、いつ頃明確になりますか?
回答者: 今期が終わった段階で、中期経営計画の進捗と合わせて、ある程度のものを出せるかと思います。 並行して進めているものについては、決定次第、逐次公開していく予定です。
取材者: 本日はありがとうございました。
専務取締役 山本豊様
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