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(株)マクアケ

東証GRT 4479

決算:9月末日

20250819

CP&X


決算概要

2025年9月期 第3四半期は、売上高33億4,900万円(前年同期比22.6%増)、営業利益4億2,000万円、経常利益4億2,300万円、四半期純利益3億8,500万円と、増収増益で着地。取扱高の増加に加え、広告配信代行を中心とした付随サービスの成長により売上高が伸張。販管費が取扱高増加に伴う回収手数料の増加や開発にかかる費用及び人的資本経営投資による人件費増加で増えるも、売上高が計画を上回ったことで3Qの時点で利益が通期業績予想を超過達成。


主要KPIの進捗と変化

初日の応援購入金額最大化、実行者発行のクーポン活用促進、大型プロジェクトのグロース注力等を進めた結果、プロジェクト単価が大きく増加。一部の大型プロジェクトの影響も含まれているため、高い成長率は今後落ち着いてくる見込み。

アクティブプロジェクト件数も増加。セールスチームが新規優良プロジェクトの獲得に注力したほか、各種オフラインイベントへの継続的な出展を通じ、将来のアクティブプロジェクト件数向上のベースづくりを推進中。


季節性・一過性要因の有無と影響

5月、6月において大企業案件を中心に大型プロジェクトが創出できたことで取扱高及びプロジェクト単価が一時的に大きく増加した。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2025年8月26日に「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を開示。売上高44億8,000万円、営業利益4億3,000万円、経常利益4億3,000万円、当期純利益3億6,000万円を見込んでいる。新たな計画に対し、順調に推移している状況である。


トピックス

コロナ禍により一時中断していた、全国の「Makuake」プロジェクト実行者が一堂に会すイベント「マクアケCHALLENGER’S MEETUP 2025」をコロナ禍以降初めて再開。

当社の今後の方針説明やトークセッション、テーマ別インタラクティブセッション、懇親会を通し業界を越え実行者同士が事業成長のために学び合うとともに新たなつながりを築くことで挑戦の連鎖をさらに広げていくことを目指す。

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年9月期 第2四半期は、売上高20億5,000万円(前年同期比10.3%増)、営業利益2億6,100万円、経常利益2億6,200万円、中間純利益2億4,700万円と、増収・営業利益以下で黒字転換を達成した。主な増収増益要因は、取扱高の増加が全体を牽引したこと、および当初計画していた販売管理費の支出が下期にずれ込んだことにある。売上総利益率は75%前後を維持している状況である。

     

    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIである取扱高は増加傾向にあり、通常見られる季節性による減少が見られなかった。これは、年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト掲載の実行者獲得に注力し、3月の狙った時期に大型プロジェクトが掲載されたことが寄与している。これにより、掲載開始件数の減少に伴うアクティブプロジェクト件数および取扱高の減少傾向が見られなかった状況である。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    2025年9月期 第2四半期においては、年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト実行者の獲得が奏功し、3月を狙った大型プロジェクトが掲載されたことが、季節性による取扱高の減少傾向を打ち消す要因として作用した。これにより、取扱高の増加に繋がり、業績にプラスの影響を与えた。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    通期の業績見通しは、売上高40億4,000万円(前期比10.6%増)、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円と2025年9月期 第2四半期の決算発表日に開示した修正後の予想を維持している。上方修正のタイミングで綿密に精査された数字であるため、特段下振れすることはないと見込まれている。

     

    トピックス

    中期経営計画では、2026年を2027年9月期以降の成長に向けた投資および下準備の期間と位置付けている。「Makuake インサイト」やモール型サービスといった新規事業を2026年中に軌道に乗せ、2027年以降の収益貢献を目指す方針である。また、今期における成長投資として、AIを活用した生産性向上、新規事業である「Makuake インサイト」「モール事業」及び人的資本経営施策等に4,000万円の追加投資を計画している。

    M&Aや業務提携も継続検討しており、モノの売り買いに関わる多様なサービスとの親和性を重視した領域で、既存事業との連携を狙った規模のM&Aを検討している。

    直近のトピックスでは、キリンのウイスキープロジェクトが開始から4分で1億円の売上を達成し、Makuakeのプラットフォームが持つストーリー性実現能力と、それが流入増・取扱高増に繋がる可能性を象徴した。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は現在進行中の中期経営計画において、2026年を2027年9月期以降の成長に向けた投資および下準備の期間と位置付けております。具体的な取り組みとしては、「Makuake インサイト」やモール型サービスといった新規事業を2026年の1年間で着実に軌道に乗せ、2027年以降に大きな収益貢献が実現できるよう事業基盤を構築していく方針です。したがって、2026年の収益規模というよりも、2027年における成長率の最大化を重視した戦略を進めております。また、この成長戦略の一環として、来期以降の成長に向けた投資を強化してまいります。具体的には、AI分野への投資を増やす計画であり、キュレーターのコンサルティング業務におけるAIによる代替領域や、プロジェクト審査における法令遵守チェックへの活用を通じて生産性向上を目指しております。さらに、「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業への投資も含め、追加投資として4,000万円を計画しております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。

    A:通期の業績見通しにつきましては、現在、売上高40億4,000万円(前期比10.6%増)、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円という修正後の業績予想を公表しております。足元の状況に関する詳細なご説明は差し控えさせていただきますが、現状、計画通りに進捗していると認識しております。また、当該見通しは、上方修正を行った際に綿密に精査した数字に基づいており、現時点では特に下振れすることはないと見込んでおります。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:当社はこれまでも継続して新規事業の創出において業務提携やM&Aなどを検討しており、現在も様々な案件の検討を進めております。当社のプラットフォームは流通市場における先行販売フェーズを対象としているため、投資型や購入型のクラウドファンディングと解釈されがちですが、実態としては物品の売買を伴うものです。そのため、モノの売り買いに関わる多様なサービスとの親和性を考慮し、そのような領域におけるM&Aを検討していく方針です。M&Aを実施する場合でも、その規模は既存事業との連携を重視し、非常に大規模なものを狙うわけではありません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期経営計画は順調に進捗していると認識しております。2026年は、2027年9月期以降の成長に向けた投資と下準備の期間と位置付けております。具体的には、「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業を2026年中に軌道に乗せ、2027年以降の収益に大きく貢献できる体制を構築する計画です。

  • 取材者:早速ですが、2025年9月期第2四半期の決算についてお伺いいたします。売上高20億5,000万円、前年同期比10.3%の増加、営業利益2億6,100万円、経常利益2億6,200万円、中間純利益2億4,700万円と、増収増益で特に営業利益以下に関しては黒字転換と伺っております。こちらの増減要因についてご説明いただけますか?

     

    回答者:主な要因は取扱高の増加が全体を牽引したこと、そして当初計画していた販管費の支出が下期以降にずれ込んだことの2点です。

    取扱高の増加についてですが、通常、掲載開始件数が減少すると、それに伴いアクティブプロジェクト件数も減少し、取扱高も他の四半期と比較して季節性として減少傾向にあります。しかし、今期はその傾向が見られませんでした。年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト実行者の獲得に注力し、3月の狙った時期にプロジェクトが掲載され、それが大型化したことが取扱高の増加に繋がりました。取扱高が増加すると売上高も増加しますが、売上総利益率については75%前後を維持しています。販管費については、以前から徹底したマネジメントによりコントロールできておりましたが、採用活動が下半期にずれ込んだこと、また、人的資本経営への投資として主にマネジメント層向けの支出が下半期にずれ込んだことにより、販管費が想定よりも抑えられ、利益が予想以上に計上されました。

     

    取材者:上半期のコストが下期にずれ込んだとのことですが、それを加味しても増益とのこと、販管費以外の利益要因はございますか?

     

    回答者:取扱高の増加および販売管理費の支出が下期にずれ込んだことが主因となります。決算資料7ページの通り、人件費については、役員体制変更による役員2名の減少と、人員数が継続的に減少傾向にあるため、人件費が抑えられております。前期は184名体制でしたが、今期は159名で運営しております。加えて、広告宣伝費についても社内のROI基準に合わせて、利益を出せる部分に投資を継続しており、金額をコントロールできております。回収手数料は取扱高と連動するため一部増加しましたが、その他の部分についてもコントロールできたことが全体の金額圧縮に影響しております。

     

    取材者:新生活キャンペーンの掲載について、短期間での掲載数増加に繋がった要因はございますか?

     

    回答者:新生活シーズンに限らず、Makuakeに掲載される商品は季節を先取りするものが多く、例えば夏向けの扇風機や寝具などが人気です。数ヶ月先に購入することで、そのシーズンになったときに利用するという流れと、シーズンになったときにMakuakeでの購入を想起するという二つの流れがあると考えております。特に、Makuakeへの掲載経験があり、成長意欲の高い優良なリピート実行者様をターゲットに、実行者向けの支援キャンペーンを実施いたしました。具体的には、メルマガの無料配信や、当社が広告配信を代行する際の一部費用負担などです。これらのキャンペーンにより、優良な実行者様を獲得でき、そのプロジェクトが時期に合わせて掲載できました。新規の実行者様の場合、時期を合わせるのは難しいのですが、リピート実行者様は経験があるため、必要な書類準備や事前準備を時期に合わせて行うことができる点が、この時期の掲載と大型化に繋がった一因と考えております。

     

    取材者:人員数の減少について、下期には採用を進めていくとのことですが、前期と比較した採用数の推移はいかがですか?

     

    回答者:コロナ禍で掲載数が爆発的に伸びた時期は、対応するキュレーターが多数必要だったため、200名近い人員で対応しておりました。その時期に比べると掲載数も減少し、事業フェーズの変化に伴い自然減として推移しております。前期と比較しても20名以上の差がありますが、これは事業運営上特段影響のある減少ではないと考えております。そのため、今期は開発部門を中心に必要最低限の採用に注力しております。開発人材の採用は難易度が高いですが、当社が求める人材を獲得できるよう、時期を決めず採用を進めています。

     

    取材者:通期の見通しについてお伺いいたします。業績修正後の業績予想では、売上高40億4,000万円、前期比10.6%の増加、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円と、大幅な増収増益を見込んでいるかと思いますが、進捗率や見通しはいかがですか?

     

    回答者:足元の状況を詳細にお話することは難しいですが、現状は計画通りに進捗しております 。見通しについても、上方修正したタイミングで綿密に精査した数字を開示しておりますので、特段下振れすることはないと見込んでおります 。

     

    取材者:人件費以外の成長投資として検討されているものはございますか?

     

    回答者:決算資料17ページで触れておりますが、上半期において予想以上の利益が出たのは、一部時期ずれのコストもありましたが、それ以外でもコストを抑えつつトップラインを伸ばせた結果だと考えております。つきましては、その利益の一部を来期以降の成長のための投資に回したいと考えております。特に、AIや新規事業への投資を増やしたいと考えております。AIについては、キュレーターのコンサルティング業務におけるAIによる代替領域や、プロジェクト審査における法令遵守チェックなど、AIが貢献できる部分が多くあると考えております。AIを活用することで生産性を向上させ、増員規模を圧縮できる未来も設計できると考えております。そのような観点からAIへの投資を進めてまいります。また、今回の決算発表のタイミングで既にリリースしておりますが、「Makuake インサイト」というMakuakeに蓄積されたデータを活用したコンサルティングサービスと、楽天やYahoo!ショッピング内に「Makuake Store」をトライアルで出店しているモール事業、これらの新規事業をトライアル段階から軌道に乗せるフェーズにおいて、投資を増やすことを検討しており、AI関連の投資も合わせて追加投資として4000万円を計画しております。

     

    取材者:今後の成長も見据えて、中期経営計画の進捗はいかがですか?目標に対する進捗についてお聞かせください。

     

    回答者:中期経営計画における2027年9月期の売上高や利益規模については、かなりコンサバではないかというご懸念をいただいているのが現状です。まずは今期において通期でしっかりと黒字化し、開示している予算を少しでも上振れた状態で着地することが第一段階だと考えております。ご懸念いただいている「コンサバ」という点は、裏を返せば現在の進捗が良いという解釈もできるかと思いますので、その通りの進捗であるとご理解いただいて問題ございません。中期経営計画において、2026年は2027年9月期以降の成長のための投資や下準備の期間と位置付けております。先ほどお話した「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業を、2026年の1年間でしっかりと軌道に乗せ、2027年以降に大きな収益貢献ができるように構築していく方針です。そのため、2026年の収益規模というよりも、2027年における成長率を大きく見込んでいる次第です。

     

    取材者:M&Aや業務提携の実施予定や検討状況について、お話いただける範囲でお聞かせいただけますか?

     

    回答者:2027年以降については、数字ではなくグラフなので、イメージに過ぎないですけれども、もちろんこれまでも継続して新規事業の創出の中で業務提携やM&Aなど、様々な案件を検討しておりまして、足元でも様々な検討を進めております。どちらかというと我々はクラウドファンディングという風に思われがちですが、今やっている事業の内容、Makuakeのプラットフォーム自体が、流通市場における先行販売というフェーズを対象としておりますので、購入する上でこれが投資だという感じではなく、本当に物を買うというような形になります。このようなビジネスモデルとモノを売り買いする様々なサービスとの親和性というところをちゃんと検討した上で、その領域におけるM&Aを検討していくような形になるかと思います。M&Aを実施するとしても、その規模というのは非常に大きいところを狙っていくわけではなく、先ほどお話した通り、既存の事業との親和性をちゃんと検証した上で、我々がコントロールできる、マネジメントできる規模の案件からスタートし、その後数を増やすような内容になっていくかと思います。

     

    取材者:株主還元の方針について、期初から変更点はございますか?

     

    回答者:今期はようやく3年間の赤字の後に黒字化を見込んでおります。まだ株主還元についてお話するのは少し早いかなとは思っております。しかし、やはり利益が出た後、成長に回すお金と還元に回すお金というのはしっかりと分けて考えて設計していった方が良いと考えております。以前のように、とにかく全て次の成長に回しますというような考え方というよりは、適切なタイミングで出た利益を株主様に還元できる、そのようなB/S、P/L作りを設計した上で、適切なタイミングで皆様に開示させていただければと思っております。

    繰り返しとなりますが、現時点では方針に変わりはなく、今後において、様々な要素を検討しながら考えていきたいと思っております。

     

    取材者:最後に、足元の状況について何かニュースリリースやトピックスがございましたらお聞かせいただけますか?

     

    回答者:コーポレート関連ではございませんが、直近でキリン様が出した、20年にかけてウイスキーをお届けするプロジェクトがリリースした後に、4分で1億円の売上を上げたというプレスリリースを出させていただきました。これは、まさにMakuakeの特徴を象徴するようなプロジェクトだと思っております。今の一般流通市場ではこのようなストーリー性や設計というのはなかなか難しく、こういうことが実現可能なのがMakuakeだからだと思います。同様のプロジェクトが増えていきますと、その分だけ流入も増えて、それが取扱高に繋がるかと考えております。

  • コーポレートリレーションズ部 部長 金 廷賢様

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    株式会社マクアケは、新商品や新サービスを先行販売する応援購入サービス「Makuake」を運営している。事業者はMakuakeに商品を掲載し、生活者はプロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、応援購入という形で先行購入する。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの間、実行者を応援する気持ちを持って待つという点がある。サービス開始当初はクラウドファンディングのプラットフォームとして事業を展開。日本各地の事業者と取引を進める中でMakuakeが新商品に関するテストマーケティングやPR、新規顧客獲得のために利用され、事業者における需要がそこにあることに気づき、事業概念をピボット。新商品や新商品のデビューの場として応援購入サービスMakuakeの運用を続けている。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立され、同年8月にMakuakeのサービスを開始した。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していたが、その後、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用する事業者のニーズが強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトした。

     

    直近の決算状況

    直近は取扱高の成長が鈍化している。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びたが、アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せている。

     

    特徴や強み

    Makuakeは新商品や新サービスのデビューの場として、他のクラウドファンディングサイトとは異なるターゲット市場と顧客層を持っている。ECサイトとは異なり、安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所である。

     

    成長戦略

    アクティブプロジェクト件数の増加と月次プロジェクト単価を伸ばす施策に注力し、優良な実行者案件掲載によるCVR向上施策にも注力し、今後の成長を目指す。

    より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていく。また、プロジェクト掲載前から実行者とPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告出稿やメルマガの配信、クーポンを配布などの施策を打つ。

     

    今期の取り組みやトピックス

    アクセスUU数については、botによるアクセス遮断の影響はあるものの、大きな減少は見られない。また、優良な実行者案件掲載によるCVR向上施策にも注力している。

  • Q:貴社の事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    A:事業者は、企画中の新商品やパイロット版を作成している段階でMakuakeに問い合わせをし、Makuakeに掲載されます。掲載期間は実行者の希望に沿って決定されますが、概ね2ヶ月から3ヶ月です。Makuakeでは、新商品や新サービスを先行販売しています。プロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、実行者の想いや新商品に魅力を感じた生活者が、プロジェクトサポーターとして応援購入という形で先行購入します。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの数ヵ月の間、応援する気持ちを持って実行者の連絡をサイト上で確認しながら待つという特徴があります。

     

    Q:他のクラウドファンディングサイトとの違いは何でしょうか?

    A:ターゲット市場と顧客層が異なります。クラウドファンディングは、個人や個人事業主、社会貢献のような事業を行う方、アーティスト、スポーツ選手などが資金集めをするためによく利用されています。一方、Makuakeの場合、基本的には事業者の方が自分の事業をより多くのお客さんに広めたい、新商品のデビューの場としてより多くの方にリーチしたいという目的で利用されています。資金集めよりも、新規顧客獲得やPRマーケティング、事前の市場調査といった目的で利用されるケースが多いです。

     

    Q:資金集めが目的ではないのでしょうか?

    A:実際、倒産しそうな企業がMakuakeを利用した際に、審査の段階で必要書類が準備できず掲載に至らないケースが多いです。そのような企業は資金調達のみを目的として掲載しようとする傾向がありますが、ちゃんとした新商品の企画やプロジェクトページの作成、エビデンスの提出、生産ラインの確保などがしっかりできていないと、掲載自体が難しくなります。

     

    Q:審査基準は厳しいのでしょうか?

    A:応援購入1件あたりの平均決済金額が1万2000円程度となるため、決して安くはありません。そのため、審査基準は厳しく設定しています。

     

    Q:今期の売上高の成長要因についてご説明いただけますでしょうか?

    A:直近は取扱高の成長が鈍化しているものの、Makuake自体は新商品や新サービスのデビューの場として提供しているため、競合がいません。クラウドファンディングサービスのような資金調達を目的としたサイトもありますが、ほとんどが資金集め目的で、Makuakeとは異なります。ECサイトと比較すると、Makuakeは安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所です。事業者側にとっても、自分の想いを持ってちゃんと売れると思った商品を提供しているサイトとなっています。このようなサイトがこれまでなかったということが大きな成長の原動力になっています。サービス開始当初から様々な中小企業に利用いただき、上場前は平均70%程度の成長を続けていました。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びました。アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せています。

     

    Q:貴社の施策の中でアクティブプロジェクトの増加という部分が挙げられていますが、具体的な取り組みについて教えていただけますでしょうか?

    A:アクティブプロジェクト件数は、四半期期間中に先行販売を継続していたプロジェクトの件数です。毎月の掲載開始件数と連動しており、コロナ禍は新商品がECに集中して伸びた時期でした。オフラインでのデビューの場を失った事業者の多くがMakuakeに問い合わせをしてくださったことで、掲載開始数が伸び、アクティブプロジェクト件数も増加しました。しかし、急激な件数の伸びに対応しきれず、人的リソースが圧迫され、通常フローが崩れてしまうこともありました。アフターコロナ後は問い合わせ数も落ち着きを見せているため、アクティブプロジェクト件数の大きな伸びよりも、月次プロジェクト単価を伸ばしていく施策を重視しています。もちろん件数を増やさないというわけではなく、徐々に伸ばしていく予定です。

     

    Q:単価を伸ばしていく施策とは具体的にどのようなものでしょうか?

    A:商品の単価は実行者によって変わるため、コントロールできる部分ではありません。より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていくことができます。また、プロジェクト掲載前から実行者とPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告を回したり、メルマガを配信したり、クーポンを配布したりするなどの施策を打つことができます。このような準備を事前にしておくことによって、プロジェクト単価を上げる施策を前期から継続して実施しています。

     

    Q:アクセスUU数や購入者を増やしていくための取り組みについて教えてください。

    A:アクセスUU数については、コロナ禍で一気に伸びたアクセス数から一度下がっていく流れはどうしても発生しています。直近の新たな動きとして、アクセスUU数にbotによるアクセスが含まれていたため、遮断する処理を行いました。そのため、第4四半期においてはアクセスUU数が減っているように見えますが、botによるアクセス遮断の影響を考慮すると、大きな減少はなかったと考えられます。一方で、アクティブプロジェクト件数の減少はアクセスUU数の減少に一部影響する可能性があります。しかし、優良な実行者の獲得やPRマーケティング施策などを行うことによって、アクセスUU数はこれ以上下がらない水準を維持できると考えられます。アクセスUU数自体が著しく減らない限りは、今の水準で大きな問題はないと考えられます。それよりもCVRを上げていくことの方が重要です。コンバージョンレートを上昇させ、それによってプロジェクト単価を上げる流れを作ることが重要です。

     

    Q:貴社の創業の経緯や思いについて教えていただけますでしょうか?

    A:2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立されました。共同創業者の3名で事業を立ち上げ、その年の8月にMakuakeのサービスを開始しました。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していました。しかし、その後、様々な事業者と接する中で、クラウドファンディングではなく、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用されていて、それに対する事業者のニーズがとても強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトしました。

  • 取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    回答者:事業者さんは、企画中の新商品やパイロット版を作成している段階でMakuakeに問い合わせをいただきます。問い合わせから1ヶ月-1ヶ月半後に、審査やプロジェクトページ作成などを経てMakuakeに掲載となります。掲載期間は実行者さんの希望に沿って決めていますが、大体2ヶ月から3ヶ月ぐらいです。Makuakeでは、新商品や新サービスを先行販売しています。プロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、実行者さんの想いや新商品に魅力を感じた生活者が、プロジェクトサポーターとして応援購入という形で先行購入します。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの数ヵ月の間、応援する気持ちを持って実行者さんの連絡をサイト上で確認しながら待つ、という点があります。

    取材者: 他のクラウドファンディングサイトとは何が違うのでしょうか?

    回答者:ターゲット市場と顧客層が異なります。クラウドファンディングは、個人や個人事業主、社会貢献のような事業を行う方、アーティスト、スポーツ選手などが資金集めをするためによく利用されています。一方、Makuakeの場合、基本的には事業者の方が自分の事業をより多くのお客さんに広めたい、新商品のデビューの場としてより多くの方にリーチしたいという目的で利用されています。資金集めというよりは、新規顧客獲得やPRマーケティング、事前の市場調査といった目的で利用されるケースが多いです。

    取材者: 資金集めが目的ではないのですか。

    回答者: 実際、倒産しそうな企業様がMakuakeを利用した際に、審査の段階で必要書類が準備できず掲載に至らないケースが多いです。そのような企業は本当にお金を集めるために何か売らなければいけないというモチベーションで掲載しようとする傾向がありますが、ちゃんとした新商品の企画やプロジェクトページの作成、エビデンスの提出、生産ラインの確保などがしっかりできていないと、掲載自体が難しくなります。

    取材者: 審査基準は厳しいのでしょうか?

    回答者: はい。応援購入1件あたりの平均決済金額が1万2000円ぐらいになりますので、決して安くはありません。そのため、審査基準は厳しく設定しています。

    取材者: わかりました。ありがとうございます。そうしましたら、今期の売上高の成長要因についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 直近は取扱高の成長が鈍化しているのですが、Makuake自体は新商品や新サービスのデビューの場として提供しているため、競合がいません。クラウドファンディングサービスのような資金調達を目的としたサイトもありますが、ほとんどが資金集め目的で、Makuakeとは異なります。ECサイトと比較すると、Makuakeは安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所です。事業者側にとっても、自分の想いを持ってちゃんと売れると思った商品を提供しているサイトとなっています。このようなサイトがこれまでなかったということが大きな成長の原動力になっていると思います。サービス開始当初から様々な中小企業に利用いただき、上場前は平均70%ぐらいの成長を続けていました。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びました。アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せています。

    取材者: 貴社の施策の中でアクティブプロジェクトの増加という部分が挙げられていますが、具体的な取り組みについて教えていただけますでしょうか?

    回答者: アクティブプロジェクト件数は、四半期期間中に先行販売を継続していたプロジェクトの件数です。毎月の掲載開始件数と連動しており、コロナ禍は新商品がECに集中して伸びた時期でした。オフラインでのデビューの場を失った事業者の多くがMakuakeに問い合わせをしてくださったことで、掲載開始数が伸び、アクティブプロジェクト件数も増加しました。しかし、急激な件数の伸びに対応しきれず、人的リソースが圧迫され、通常フローが崩れてしまうこともありました。アフターコロナ後は問い合わせ数も落ち着きを見せているため、アクティブプロジェクト件数の大きな伸びというよりは、月次プロジェクト単価を伸ばしていく施策をとっています。もちろん件数を増やさないというわけではなく、徐々に伸ばしていく予定です。

    取材者: 単価を伸ばしていく施策とは具体的にどのようなものでしょうか?

    回答者: 商品の単価は実行者さんの商品によって変わるため、私たちがコントロールできる部分ではありません。より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていくことができると考えています。また、プロジェクト掲載前から実行者さんとPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告を回したり、メルマガを配信したり、クーポンを配布したりするなどの施策を打つことができます。このような準備を事前にしておくことによって、プロジェクト単価を上げる施策を前期から継続して実施しています。

    取材者: アクセスUU数や購入者を増やしていくための取り組みについて教えてください。

    回答者: アクセスUU数については、コロナ禍で一気に伸びたアクセス数から一度下がっていく流れはどうしても発生しています。直近の新たな動きとして、アクセスUU数にbotによるアクセスが含まれていたため、遮断する処理を行いました。そのため、第4四半期においてはアクセスUU数が減っているように見えますが、botによるアクセス遮断の影響を考慮すると、大きな減少はなかったと考えています。一方で、アクティブプロジェクト件数の減少はアクセスUU数の減少に一部影響する可能性があります。しかし、優良な実行者さんの獲得やPRマーケティング施策などを行うことによって、アクセスUU数はこれ以上下がらない水準を維持できると考えています。アクセスUU数自体が著しく減らない限りは、今の水準で大きな問題はないと考えています。それよりもCVRを上げていくことの方が重要です。コンバージョンレートを上昇させ、それによってプロジェクト単価を上げる流れを作ることが重要です。

    取材者: プロジェクトの中身をより洗練させて、今のアクセスUU数でもプロジェクト単価を伸ばしていくということですか。

    回答者: その通りです。

    取材者: 貴社の創業の経緯や思いについて教えていただけますでしょうか?

    回答者: 2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立されました。共同創業者の3名で事業を立ち上げ、その年の8月にMakuakeのサービスを開始しました。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していました。しかし、その後、様々な事業者と接する中で、クラウドファンディングではなく、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用されていて、それに対する事業者のニーズがとても強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトしました。

    取材者: 最初は資金集めのところから始まったのですか。

    回答者: 今では企業の新商品のデビューの場という形にシフトしています。

  • IR担当

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(株)マクアケ

東証GRT 4479

決算:9月末日

CP&X


決算概要

2025年9月期 第3四半期は、売上高33億4,900万円(前年同期比22.6%増)、営業利益4億2,000万円、経常利益4億2,300万円、四半期純利益3億8,500万円と、増収増益で着地。取扱高の増加に加え、広告配信代行を中心とした付随サービスの成長により売上高が伸張。販管費が取扱高増加に伴う回収手数料の増加や開発にかかる費用及び人的資本経営投資による人件費増加で増えるも、売上高が計画を上回ったことで3Qの時点で利益が通期業績予想を超過達成。


主要KPIの進捗と変化

初日の応援購入金額最大化、実行者発行のクーポン活用促進、大型プロジェクトのグロース注力等を進めた結果、プロジェクト単価が大きく増加。一部の大型プロジェクトの影響も含まれているため、高い成長率は今後落ち着いてくる見込み。

アクティブプロジェクト件数も増加。セールスチームが新規優良プロジェクトの獲得に注力したほか、各種オフラインイベントへの継続的な出展を通じ、将来のアクティブプロジェクト件数向上のベースづくりを推進中。


季節性・一過性要因の有無と影響

5月、6月において大企業案件を中心に大型プロジェクトが創出できたことで取扱高及びプロジェクト単価が一時的に大きく増加した。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2025年8月26日に「通期業績予想の修正に関するお知らせ」を開示。売上高44億8,000万円、営業利益4億3,000万円、経常利益4億3,000万円、当期純利益3億6,000万円を見込んでいる。新たな計画に対し、順調に推移している状況である。


トピックス

コロナ禍により一時中断していた、全国の「Makuake」プロジェクト実行者が一堂に会すイベント「マクアケCHALLENGER’S MEETUP 2025」をコロナ禍以降初めて再開。

当社の今後の方針説明やトークセッション、テーマ別インタラクティブセッション、懇親会を通し業界を越え実行者同士が事業成長のために学び合うとともに新たなつながりを築くことで挑戦の連鎖をさらに広げていくことを目指す。

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年9月期 第2四半期は、売上高20億5,000万円(前年同期比10.3%増)、営業利益2億6,100万円、経常利益2億6,200万円、中間純利益2億4,700万円と、増収・営業利益以下で黒字転換を達成した。主な増収増益要因は、取扱高の増加が全体を牽引したこと、および当初計画していた販売管理費の支出が下期にずれ込んだことにある。売上総利益率は75%前後を維持している状況である。

     

    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIである取扱高は増加傾向にあり、通常見られる季節性による減少が見られなかった。これは、年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト掲載の実行者獲得に注力し、3月の狙った時期に大型プロジェクトが掲載されたことが寄与している。これにより、掲載開始件数の減少に伴うアクティブプロジェクト件数および取扱高の減少傾向が見られなかった状況である。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    2025年9月期 第2四半期においては、年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト実行者の獲得が奏功し、3月を狙った大型プロジェクトが掲載されたことが、季節性による取扱高の減少傾向を打ち消す要因として作用した。これにより、取扱高の増加に繋がり、業績にプラスの影響を与えた。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    通期の業績見通しは、売上高40億4,000万円(前期比10.6%増)、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円と2025年9月期 第2四半期の決算発表日に開示した修正後の予想を維持している。上方修正のタイミングで綿密に精査された数字であるため、特段下振れすることはないと見込まれている。

     

    トピックス

    中期経営計画では、2026年を2027年9月期以降の成長に向けた投資および下準備の期間と位置付けている。「Makuake インサイト」やモール型サービスといった新規事業を2026年中に軌道に乗せ、2027年以降の収益貢献を目指す方針である。また、今期における成長投資として、AIを活用した生産性向上、新規事業である「Makuake インサイト」「モール事業」及び人的資本経営施策等に4,000万円の追加投資を計画している。

    M&Aや業務提携も継続検討しており、モノの売り買いに関わる多様なサービスとの親和性を重視した領域で、既存事業との連携を狙った規模のM&Aを検討している。

    直近のトピックスでは、キリンのウイスキープロジェクトが開始から4分で1億円の売上を達成し、Makuakeのプラットフォームが持つストーリー性実現能力と、それが流入増・取扱高増に繋がる可能性を象徴した。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は現在進行中の中期経営計画において、2026年を2027年9月期以降の成長に向けた投資および下準備の期間と位置付けております。具体的な取り組みとしては、「Makuake インサイト」やモール型サービスといった新規事業を2026年の1年間で着実に軌道に乗せ、2027年以降に大きな収益貢献が実現できるよう事業基盤を構築していく方針です。したがって、2026年の収益規模というよりも、2027年における成長率の最大化を重視した戦略を進めております。また、この成長戦略の一環として、来期以降の成長に向けた投資を強化してまいります。具体的には、AI分野への投資を増やす計画であり、キュレーターのコンサルティング業務におけるAIによる代替領域や、プロジェクト審査における法令遵守チェックへの活用を通じて生産性向上を目指しております。さらに、「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業への投資も含め、追加投資として4,000万円を計画しております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。

    A:通期の業績見通しにつきましては、現在、売上高40億4,000万円(前期比10.6%増)、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円という修正後の業績予想を公表しております。足元の状況に関する詳細なご説明は差し控えさせていただきますが、現状、計画通りに進捗していると認識しております。また、当該見通しは、上方修正を行った際に綿密に精査した数字に基づいており、現時点では特に下振れすることはないと見込んでおります。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:当社はこれまでも継続して新規事業の創出において業務提携やM&Aなどを検討しており、現在も様々な案件の検討を進めております。当社のプラットフォームは流通市場における先行販売フェーズを対象としているため、投資型や購入型のクラウドファンディングと解釈されがちですが、実態としては物品の売買を伴うものです。そのため、モノの売り買いに関わる多様なサービスとの親和性を考慮し、そのような領域におけるM&Aを検討していく方針です。M&Aを実施する場合でも、その規模は既存事業との連携を重視し、非常に大規模なものを狙うわけではありません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:中期経営計画は順調に進捗していると認識しております。2026年は、2027年9月期以降の成長に向けた投資と下準備の期間と位置付けております。具体的には、「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業を2026年中に軌道に乗せ、2027年以降の収益に大きく貢献できる体制を構築する計画です。

  • 取材者:早速ですが、2025年9月期第2四半期の決算についてお伺いいたします。売上高20億5,000万円、前年同期比10.3%の増加、営業利益2億6,100万円、経常利益2億6,200万円、中間純利益2億4,700万円と、増収増益で特に営業利益以下に関しては黒字転換と伺っております。こちらの増減要因についてご説明いただけますか?

     

    回答者:主な要因は取扱高の増加が全体を牽引したこと、そして当初計画していた販管費の支出が下期以降にずれ込んだことの2点です。

    取扱高の増加についてですが、通常、掲載開始件数が減少すると、それに伴いアクティブプロジェクト件数も減少し、取扱高も他の四半期と比較して季節性として減少傾向にあります。しかし、今期はその傾向が見られませんでした。年始から開始した新生活シーズンに合わせたプロジェクト実行者の獲得に注力し、3月の狙った時期にプロジェクトが掲載され、それが大型化したことが取扱高の増加に繋がりました。取扱高が増加すると売上高も増加しますが、売上総利益率については75%前後を維持しています。販管費については、以前から徹底したマネジメントによりコントロールできておりましたが、採用活動が下半期にずれ込んだこと、また、人的資本経営への投資として主にマネジメント層向けの支出が下半期にずれ込んだことにより、販管費が想定よりも抑えられ、利益が予想以上に計上されました。

     

    取材者:上半期のコストが下期にずれ込んだとのことですが、それを加味しても増益とのこと、販管費以外の利益要因はございますか?

     

    回答者:取扱高の増加および販売管理費の支出が下期にずれ込んだことが主因となります。決算資料7ページの通り、人件費については、役員体制変更による役員2名の減少と、人員数が継続的に減少傾向にあるため、人件費が抑えられております。前期は184名体制でしたが、今期は159名で運営しております。加えて、広告宣伝費についても社内のROI基準に合わせて、利益を出せる部分に投資を継続しており、金額をコントロールできております。回収手数料は取扱高と連動するため一部増加しましたが、その他の部分についてもコントロールできたことが全体の金額圧縮に影響しております。

     

    取材者:新生活キャンペーンの掲載について、短期間での掲載数増加に繋がった要因はございますか?

     

    回答者:新生活シーズンに限らず、Makuakeに掲載される商品は季節を先取りするものが多く、例えば夏向けの扇風機や寝具などが人気です。数ヶ月先に購入することで、そのシーズンになったときに利用するという流れと、シーズンになったときにMakuakeでの購入を想起するという二つの流れがあると考えております。特に、Makuakeへの掲載経験があり、成長意欲の高い優良なリピート実行者様をターゲットに、実行者向けの支援キャンペーンを実施いたしました。具体的には、メルマガの無料配信や、当社が広告配信を代行する際の一部費用負担などです。これらのキャンペーンにより、優良な実行者様を獲得でき、そのプロジェクトが時期に合わせて掲載できました。新規の実行者様の場合、時期を合わせるのは難しいのですが、リピート実行者様は経験があるため、必要な書類準備や事前準備を時期に合わせて行うことができる点が、この時期の掲載と大型化に繋がった一因と考えております。

     

    取材者:人員数の減少について、下期には採用を進めていくとのことですが、前期と比較した採用数の推移はいかがですか?

     

    回答者:コロナ禍で掲載数が爆発的に伸びた時期は、対応するキュレーターが多数必要だったため、200名近い人員で対応しておりました。その時期に比べると掲載数も減少し、事業フェーズの変化に伴い自然減として推移しております。前期と比較しても20名以上の差がありますが、これは事業運営上特段影響のある減少ではないと考えております。そのため、今期は開発部門を中心に必要最低限の採用に注力しております。開発人材の採用は難易度が高いですが、当社が求める人材を獲得できるよう、時期を決めず採用を進めています。

     

    取材者:通期の見通しについてお伺いいたします。業績修正後の業績予想では、売上高40億4,000万円、前期比10.6%の増加、営業利益3億1,000万円、経常利益3億1,000万円、当期純利益2億9,000万円と、大幅な増収増益を見込んでいるかと思いますが、進捗率や見通しはいかがですか?

     

    回答者:足元の状況を詳細にお話することは難しいですが、現状は計画通りに進捗しております 。見通しについても、上方修正したタイミングで綿密に精査した数字を開示しておりますので、特段下振れすることはないと見込んでおります 。

     

    取材者:人件費以外の成長投資として検討されているものはございますか?

     

    回答者:決算資料17ページで触れておりますが、上半期において予想以上の利益が出たのは、一部時期ずれのコストもありましたが、それ以外でもコストを抑えつつトップラインを伸ばせた結果だと考えております。つきましては、その利益の一部を来期以降の成長のための投資に回したいと考えております。特に、AIや新規事業への投資を増やしたいと考えております。AIについては、キュレーターのコンサルティング業務におけるAIによる代替領域や、プロジェクト審査における法令遵守チェックなど、AIが貢献できる部分が多くあると考えております。AIを活用することで生産性を向上させ、増員規模を圧縮できる未来も設計できると考えております。そのような観点からAIへの投資を進めてまいります。また、今回の決算発表のタイミングで既にリリースしておりますが、「Makuake インサイト」というMakuakeに蓄積されたデータを活用したコンサルティングサービスと、楽天やYahoo!ショッピング内に「Makuake Store」をトライアルで出店しているモール事業、これらの新規事業をトライアル段階から軌道に乗せるフェーズにおいて、投資を増やすことを検討しており、AI関連の投資も合わせて追加投資として4000万円を計画しております。

     

    取材者:今後の成長も見据えて、中期経営計画の進捗はいかがですか?目標に対する進捗についてお聞かせください。

     

    回答者:中期経営計画における2027年9月期の売上高や利益規模については、かなりコンサバではないかというご懸念をいただいているのが現状です。まずは今期において通期でしっかりと黒字化し、開示している予算を少しでも上振れた状態で着地することが第一段階だと考えております。ご懸念いただいている「コンサバ」という点は、裏を返せば現在の進捗が良いという解釈もできるかと思いますので、その通りの進捗であるとご理解いただいて問題ございません。中期経営計画において、2026年は2027年9月期以降の成長のための投資や下準備の期間と位置付けております。先ほどお話した「Makuake インサイト」やモール事業といった新規事業を、2026年の1年間でしっかりと軌道に乗せ、2027年以降に大きな収益貢献ができるように構築していく方針です。そのため、2026年の収益規模というよりも、2027年における成長率を大きく見込んでいる次第です。

     

    取材者:M&Aや業務提携の実施予定や検討状況について、お話いただける範囲でお聞かせいただけますか?

     

    回答者:2027年以降については、数字ではなくグラフなので、イメージに過ぎないですけれども、もちろんこれまでも継続して新規事業の創出の中で業務提携やM&Aなど、様々な案件を検討しておりまして、足元でも様々な検討を進めております。どちらかというと我々はクラウドファンディングという風に思われがちですが、今やっている事業の内容、Makuakeのプラットフォーム自体が、流通市場における先行販売というフェーズを対象としておりますので、購入する上でこれが投資だという感じではなく、本当に物を買うというような形になります。このようなビジネスモデルとモノを売り買いする様々なサービスとの親和性というところをちゃんと検討した上で、その領域におけるM&Aを検討していくような形になるかと思います。M&Aを実施するとしても、その規模というのは非常に大きいところを狙っていくわけではなく、先ほどお話した通り、既存の事業との親和性をちゃんと検証した上で、我々がコントロールできる、マネジメントできる規模の案件からスタートし、その後数を増やすような内容になっていくかと思います。

     

    取材者:株主還元の方針について、期初から変更点はございますか?

     

    回答者:今期はようやく3年間の赤字の後に黒字化を見込んでおります。まだ株主還元についてお話するのは少し早いかなとは思っております。しかし、やはり利益が出た後、成長に回すお金と還元に回すお金というのはしっかりと分けて考えて設計していった方が良いと考えております。以前のように、とにかく全て次の成長に回しますというような考え方というよりは、適切なタイミングで出た利益を株主様に還元できる、そのようなB/S、P/L作りを設計した上で、適切なタイミングで皆様に開示させていただければと思っております。

    繰り返しとなりますが、現時点では方針に変わりはなく、今後において、様々な要素を検討しながら考えていきたいと思っております。

     

    取材者:最後に、足元の状況について何かニュースリリースやトピックスがございましたらお聞かせいただけますか?

     

    回答者:コーポレート関連ではございませんが、直近でキリン様が出した、20年にかけてウイスキーをお届けするプロジェクトがリリースした後に、4分で1億円の売上を上げたというプレスリリースを出させていただきました。これは、まさにMakuakeの特徴を象徴するようなプロジェクトだと思っております。今の一般流通市場ではこのようなストーリー性や設計というのはなかなか難しく、こういうことが実現可能なのがMakuakeだからだと思います。同様のプロジェクトが増えていきますと、その分だけ流入も増えて、それが取扱高に繋がるかと考えております。

  • コーポレートリレーションズ部 部長 金 廷賢様

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    株式会社マクアケは、新商品や新サービスを先行販売する応援購入サービス「Makuake」を運営している。事業者はMakuakeに商品を掲載し、生活者はプロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、応援購入という形で先行購入する。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの間、実行者を応援する気持ちを持って待つという点がある。サービス開始当初はクラウドファンディングのプラットフォームとして事業を展開。日本各地の事業者と取引を進める中でMakuakeが新商品に関するテストマーケティングやPR、新規顧客獲得のために利用され、事業者における需要がそこにあることに気づき、事業概念をピボット。新商品や新商品のデビューの場として応援購入サービスMakuakeの運用を続けている。

     

    創業の経緯と転機となった出来事

    2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立され、同年8月にMakuakeのサービスを開始した。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していたが、その後、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用する事業者のニーズが強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトした。

     

    直近の決算状況

    直近は取扱高の成長が鈍化している。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びたが、アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せている。

     

    特徴や強み

    Makuakeは新商品や新サービスのデビューの場として、他のクラウドファンディングサイトとは異なるターゲット市場と顧客層を持っている。ECサイトとは異なり、安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所である。

     

    成長戦略

    アクティブプロジェクト件数の増加と月次プロジェクト単価を伸ばす施策に注力し、優良な実行者案件掲載によるCVR向上施策にも注力し、今後の成長を目指す。

    より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていく。また、プロジェクト掲載前から実行者とPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告出稿やメルマガの配信、クーポンを配布などの施策を打つ。

     

    今期の取り組みやトピックス

    アクセスUU数については、botによるアクセス遮断の影響はあるものの、大きな減少は見られない。また、優良な実行者案件掲載によるCVR向上施策にも注力している。

  • Q:貴社の事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    A:事業者は、企画中の新商品やパイロット版を作成している段階でMakuakeに問い合わせをし、Makuakeに掲載されます。掲載期間は実行者の希望に沿って決定されますが、概ね2ヶ月から3ヶ月です。Makuakeでは、新商品や新サービスを先行販売しています。プロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、実行者の想いや新商品に魅力を感じた生活者が、プロジェクトサポーターとして応援購入という形で先行購入します。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの数ヵ月の間、応援する気持ちを持って実行者の連絡をサイト上で確認しながら待つという特徴があります。

     

    Q:他のクラウドファンディングサイトとの違いは何でしょうか?

    A:ターゲット市場と顧客層が異なります。クラウドファンディングは、個人や個人事業主、社会貢献のような事業を行う方、アーティスト、スポーツ選手などが資金集めをするためによく利用されています。一方、Makuakeの場合、基本的には事業者の方が自分の事業をより多くのお客さんに広めたい、新商品のデビューの場としてより多くの方にリーチしたいという目的で利用されています。資金集めよりも、新規顧客獲得やPRマーケティング、事前の市場調査といった目的で利用されるケースが多いです。

     

    Q:資金集めが目的ではないのでしょうか?

    A:実際、倒産しそうな企業がMakuakeを利用した際に、審査の段階で必要書類が準備できず掲載に至らないケースが多いです。そのような企業は資金調達のみを目的として掲載しようとする傾向がありますが、ちゃんとした新商品の企画やプロジェクトページの作成、エビデンスの提出、生産ラインの確保などがしっかりできていないと、掲載自体が難しくなります。

     

    Q:審査基準は厳しいのでしょうか?

    A:応援購入1件あたりの平均決済金額が1万2000円程度となるため、決して安くはありません。そのため、審査基準は厳しく設定しています。

     

    Q:今期の売上高の成長要因についてご説明いただけますでしょうか?

    A:直近は取扱高の成長が鈍化しているものの、Makuake自体は新商品や新サービスのデビューの場として提供しているため、競合がいません。クラウドファンディングサービスのような資金調達を目的としたサイトもありますが、ほとんどが資金集め目的で、Makuakeとは異なります。ECサイトと比較すると、Makuakeは安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所です。事業者側にとっても、自分の想いを持ってちゃんと売れると思った商品を提供しているサイトとなっています。このようなサイトがこれまでなかったということが大きな成長の原動力になっています。サービス開始当初から様々な中小企業に利用いただき、上場前は平均70%程度の成長を続けていました。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びました。アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せています。

     

    Q:貴社の施策の中でアクティブプロジェクトの増加という部分が挙げられていますが、具体的な取り組みについて教えていただけますでしょうか?

    A:アクティブプロジェクト件数は、四半期期間中に先行販売を継続していたプロジェクトの件数です。毎月の掲載開始件数と連動しており、コロナ禍は新商品がECに集中して伸びた時期でした。オフラインでのデビューの場を失った事業者の多くがMakuakeに問い合わせをしてくださったことで、掲載開始数が伸び、アクティブプロジェクト件数も増加しました。しかし、急激な件数の伸びに対応しきれず、人的リソースが圧迫され、通常フローが崩れてしまうこともありました。アフターコロナ後は問い合わせ数も落ち着きを見せているため、アクティブプロジェクト件数の大きな伸びよりも、月次プロジェクト単価を伸ばしていく施策を重視しています。もちろん件数を増やさないというわけではなく、徐々に伸ばしていく予定です。

     

    Q:単価を伸ばしていく施策とは具体的にどのようなものでしょうか?

    A:商品の単価は実行者によって変わるため、コントロールできる部分ではありません。より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていくことができます。また、プロジェクト掲載前から実行者とPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告を回したり、メルマガを配信したり、クーポンを配布したりするなどの施策を打つことができます。このような準備を事前にしておくことによって、プロジェクト単価を上げる施策を前期から継続して実施しています。

     

    Q:アクセスUU数や購入者を増やしていくための取り組みについて教えてください。

    A:アクセスUU数については、コロナ禍で一気に伸びたアクセス数から一度下がっていく流れはどうしても発生しています。直近の新たな動きとして、アクセスUU数にbotによるアクセスが含まれていたため、遮断する処理を行いました。そのため、第4四半期においてはアクセスUU数が減っているように見えますが、botによるアクセス遮断の影響を考慮すると、大きな減少はなかったと考えられます。一方で、アクティブプロジェクト件数の減少はアクセスUU数の減少に一部影響する可能性があります。しかし、優良な実行者の獲得やPRマーケティング施策などを行うことによって、アクセスUU数はこれ以上下がらない水準を維持できると考えられます。アクセスUU数自体が著しく減らない限りは、今の水準で大きな問題はないと考えられます。それよりもCVRを上げていくことの方が重要です。コンバージョンレートを上昇させ、それによってプロジェクト単価を上げる流れを作ることが重要です。

     

    Q:貴社の創業の経緯や思いについて教えていただけますでしょうか?

    A:2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立されました。共同創業者の3名で事業を立ち上げ、その年の8月にMakuakeのサービスを開始しました。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していました。しかし、その後、様々な事業者と接する中で、クラウドファンディングではなく、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用されていて、それに対する事業者のニーズがとても強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトしました。

  • 取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    回答者:事業者さんは、企画中の新商品やパイロット版を作成している段階でMakuakeに問い合わせをいただきます。問い合わせから1ヶ月-1ヶ月半後に、審査やプロジェクトページ作成などを経てMakuakeに掲載となります。掲載期間は実行者さんの希望に沿って決めていますが、大体2ヶ月から3ヶ月ぐらいです。Makuakeでは、新商品や新サービスを先行販売しています。プロジェクトページの内容やリターンの内容を見て、実行者さんの想いや新商品に魅力を感じた生活者が、プロジェクトサポーターとして応援購入という形で先行購入します。商品は数ヶ月後に届くため、他のサイトとの違いとして、商品が出来上がるまでの数ヵ月の間、応援する気持ちを持って実行者さんの連絡をサイト上で確認しながら待つ、という点があります。

    取材者: 他のクラウドファンディングサイトとは何が違うのでしょうか?

    回答者:ターゲット市場と顧客層が異なります。クラウドファンディングは、個人や個人事業主、社会貢献のような事業を行う方、アーティスト、スポーツ選手などが資金集めをするためによく利用されています。一方、Makuakeの場合、基本的には事業者の方が自分の事業をより多くのお客さんに広めたい、新商品のデビューの場としてより多くの方にリーチしたいという目的で利用されています。資金集めというよりは、新規顧客獲得やPRマーケティング、事前の市場調査といった目的で利用されるケースが多いです。

    取材者: 資金集めが目的ではないのですか。

    回答者: 実際、倒産しそうな企業様がMakuakeを利用した際に、審査の段階で必要書類が準備できず掲載に至らないケースが多いです。そのような企業は本当にお金を集めるために何か売らなければいけないというモチベーションで掲載しようとする傾向がありますが、ちゃんとした新商品の企画やプロジェクトページの作成、エビデンスの提出、生産ラインの確保などがしっかりできていないと、掲載自体が難しくなります。

    取材者: 審査基準は厳しいのでしょうか?

    回答者: はい。応援購入1件あたりの平均決済金額が1万2000円ぐらいになりますので、決して安くはありません。そのため、審査基準は厳しく設定しています。

    取材者: わかりました。ありがとうございます。そうしましたら、今期の売上高の成長要因についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 直近は取扱高の成長が鈍化しているのですが、Makuake自体は新商品や新サービスのデビューの場として提供しているため、競合がいません。クラウドファンディングサービスのような資金調達を目的としたサイトもありますが、ほとんどが資金集め目的で、Makuakeとは異なります。ECサイトと比較すると、Makuakeは安く早く届けるのではなく、本当に自分の趣味嗜好にあった商品を探せる場所です。事業者側にとっても、自分の想いを持ってちゃんと売れると思った商品を提供しているサイトとなっています。このようなサイトがこれまでなかったということが大きな成長の原動力になっていると思います。サービス開始当初から様々な中小企業に利用いただき、上場前は平均70%ぐらいの成長を続けていました。コロナ禍ではECに追い風が吹き、取扱高が大きく伸びました。アフターコロナになり、オフラインや体験系の消費にお金が流れるようになり、取扱高は落ち着きを見せています。

    取材者: 貴社の施策の中でアクティブプロジェクトの増加という部分が挙げられていますが、具体的な取り組みについて教えていただけますでしょうか?

    回答者: アクティブプロジェクト件数は、四半期期間中に先行販売を継続していたプロジェクトの件数です。毎月の掲載開始件数と連動しており、コロナ禍は新商品がECに集中して伸びた時期でした。オフラインでのデビューの場を失った事業者の多くがMakuakeに問い合わせをしてくださったことで、掲載開始数が伸び、アクティブプロジェクト件数も増加しました。しかし、急激な件数の伸びに対応しきれず、人的リソースが圧迫され、通常フローが崩れてしまうこともありました。アフターコロナ後は問い合わせ数も落ち着きを見せているため、アクティブプロジェクト件数の大きな伸びというよりは、月次プロジェクト単価を伸ばしていく施策をとっています。もちろん件数を増やさないというわけではなく、徐々に伸ばしていく予定です。

    取材者: 単価を伸ばしていく施策とは具体的にどのようなものでしょうか?

    回答者: 商品の単価は実行者さんの商品によって変わるため、私たちがコントロールできる部分ではありません。より質の高い商品、サポーターが興味を持ちそうな人気になりやすいジャンルに能動的にアプローチすることでプロジェクトの単価を上げていくことができると考えています。また、プロジェクト掲載前から実行者さんとPRマーケティング戦略を組むことで、適切なタイミングで広告を回したり、メルマガを配信したり、クーポンを配布したりするなどの施策を打つことができます。このような準備を事前にしておくことによって、プロジェクト単価を上げる施策を前期から継続して実施しています。

    取材者: アクセスUU数や購入者を増やしていくための取り組みについて教えてください。

    回答者: アクセスUU数については、コロナ禍で一気に伸びたアクセス数から一度下がっていく流れはどうしても発生しています。直近の新たな動きとして、アクセスUU数にbotによるアクセスが含まれていたため、遮断する処理を行いました。そのため、第4四半期においてはアクセスUU数が減っているように見えますが、botによるアクセス遮断の影響を考慮すると、大きな減少はなかったと考えています。一方で、アクティブプロジェクト件数の減少はアクセスUU数の減少に一部影響する可能性があります。しかし、優良な実行者さんの獲得やPRマーケティング施策などを行うことによって、アクセスUU数はこれ以上下がらない水準を維持できると考えています。アクセスUU数自体が著しく減らない限りは、今の水準で大きな問題はないと考えています。それよりもCVRを上げていくことの方が重要です。コンバージョンレートを上昇させ、それによってプロジェクト単価を上げる流れを作ることが重要です。

    取材者: プロジェクトの中身をより洗練させて、今のアクセスUU数でもプロジェクト単価を伸ばしていくということですか。

    回答者: その通りです。

    取材者: 貴社の創業の経緯や思いについて教えていただけますでしょうか?

    回答者: 2013年5月にサイバーエージェントの100%子会社として設立されました。共同創業者の3名で事業を立ち上げ、その年の8月にMakuakeのサービスを開始しました。当初はクラウドファンディング事業として資金集めを軸に事業を展開していました。しかし、その後、様々な事業者と接する中で、クラウドファンディングではなく、テストマーケティングや新規顧客獲得といった側面でサービスを利用されていて、それに対する事業者のニーズがとても強いことに気づき、2015年頃から銀行との提携を積極的に進め、事業展開の方向性をシフトしました。

    取材者: 最初は資金集めのところから始まったのですか。

    回答者: 今では企業の新商品のデビューの場という形にシフトしています。

  • IR担当

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