20250929
CP&X
決算概要
2025年10月期第3四半期は、売上高が四半期ベースで過去最高を更新し、前年同期比で安定的な成長を実現しました。営業利益を含む各段階利益は、四半期比では減益となっています。この理由は中期経営計画(中期経営計画2028)達成に向けた準備期間として、人材への積極的な投資(人員拡充)を行った結果、労務費や人件費が増加したためであり、想定どおりの推移です。
セグメント別または事業別の増減要因
当社はセキュリティ事業とソリューション事業の2事業を展開しており、第3四半期はソリューション事業の拡大が売上高成長を牽引しました。
① セキュリティ事業
前年同期比100.5%と安定した収益を確保しました。特殊詐欺被害は過去最悪を上回るペースで拡大しており、通信事業者全体で対策ニーズが高まっています。こうしたマクロ環境のもと、当社サービスが社会課題の解決に貢献できる余地は大きいと認識しています。
② ソリューション事業
法人向け製品「トビラフォン Biz」および「トビラフォン Cloud」の販売が順調に推移し、ソリューション事業としては、前年同期比154.5%と大きく成長いたしました。
-トビラフォン Biz
ビジネスフォン向け製品で、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策需要の高まりが販売増加の背景にあります。販売代理店との関係強化も進めており、リコージャパン株式会社の「電話カスハラ対策ソリューションパック」に採用され、新たな販路を獲得しました。
-トビラフォン Cloud
さらなる提供拡大を目指し、株式会社クロップスおよび株式会社エスケーアイと販売代理店契約を締結。直販に加え取次販売によるリード(見込み客)件数の増加や、営業人員増による新規リード対応力の向上が奏功し、課金ID数は増加基調を維持しています。
季節性・一過性要因の有無と影響
トビラフォン Bizは第2四半期は代理店の決算期の影響があったため、第3四半期では販売台数が前四半期比で減少しました。フロー収益には端末代が含まれるため販売台数の減少に伴いフロー収益は減少していますが、ストック収益は引き続き順調に積み上がっています。
通期見通しと進捗率・達成可能性
第3四半期終了時点(累計)では、売上高・各段階利益は通期業績予想に対して順調に進捗しており、通期としては業績予想をやや上振れて着地する見込みです。
トピックス
中期経営計画2028の重点施策「メンバーの拡大・成長」に基づき、積極的な採用活動を進めています。第3四半期末時点で前期末比23名の増員を達成しており、第4四半期も10名以上の採用を予定しています。これに伴い、人件費・労務費・採用費の増加を見込んでいます。
人員増加に対応するため、東京オフィスを2026年1月、名古屋オフィスを2026年9月に移転する計画を決定しました。さらに、2025年10月末には当社の強みである迷惑情報データベースを活用した新規プロダクトのリリースを予定しており、第4四半期には販促活動費用の発生を見込んでいます。
株主還元としては、株主優待制度を新設しました。優待内容は、迷惑電話・迷惑SMS対策アプリ 「トビラフォンモバイル」1年間無料利用です。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
2025年10月期第2四半期決算(累計)は、売上高13億7,200万円(前年同期比18.9%増加)、営業利益5億2,600万円(同20.2%増加)、経常利益5億2,700万円(同20.6%増加)、中間純利益3億5,300万円(同13.2%増加)と増収増益での着地となった。特にソリューション事業の売上が増加したことが主な要因である。
セグメント別または事業別の増減要因
第2四半期において、セキュリティ事業は安定的に成長。ソリューション事業は前年同期比167.7%と大幅に売上が増加しており、「トビラフォンBiz」の販売台数と「トビラフォンCloud」の契約数の増加がともに順調に増加したことが要因である。特に「トビラフォンBiz」は、代理店の決算期に伴う販売加速や、カスタマーハラスメント対策商材としての需要増加が販売増に寄与した。
主要KPIの進捗と変化
ソリューション事業では、「トビラフォンBiz」の販売台数と「トビラフォンCloud」の課金ID数を主要KPIとし、これらの伸長に注力している。ソリューション事業の通期売上目標は「トビラフォンBiz」で5億3,200万円、「トビラフォンCloud」で2億4,000万円である。
季節性・一過性要因の有無と影響
カスタマーハラスメント対策の需要は、業績に影響を与える大きな流れの一つである。カスタマーハラスメントの社会問題化に伴い、一部自治体での奨励金制度や、2026年からの改正労働施策総合推進法による全企業への対策義務付けが見込まれており、対策商材の販売加速に繋がる追い風と捉えている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
今期の通期業績見通しは、売上高26億5,000万円、営業利益8億3,200万円、経常利益8億3,100万円、当期純利益5億5,400万円である。ソリューション事業の収益基盤拡大を成長ドライバーとして掲げており、今期の計画も同事業の伸長を見込んで策定されている。第2四半期時点の進捗は計画に対して50%を上回っているものの、現時点での計画変更は見込んでおらず、出ている利益は前倒しで投資に充当していく方針である。
トピックス
中期経営計画2028の達成を最重要目標とし、その達成に必要な人材採用および投資を積極的に行っている。第2四半期終了時点で期末からプラス7名の人材採用が進んでおり、今期全体で約30名の採用を予定している。社長室内に新設された「人材戦略課」を設置し採用活動へ注力したことが、順調な採用を支えている。
直近では、中期経営計画2028内でも掲げている「トビラフォンCloud」の売上増加に向けた代理店販売の拡充を進めており、複数の販売代理店契約を締結したことを発表している。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、成長ドライバーと位置付けているソリューション事業における収益基盤の拡大に注力いたします。また、セキュリティ事業においても、JCB様へのデータベース提供開始や新規分野の開拓を進めております。
人材戦略においては、社長室内に「人材戦略課」を新設し、採用に特化したチームを編成することで、これまで以上に採用活動を強化できる体制を構築いたしました。
直近の取り組みとしては、中期経営計画2028内で掲げているトビラフォンCloudの売上増加に向け、代理店販売の拡充を推進しています。引き続き外部との連携を積極的に進めてまいります。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:季節性とは異なりますが、カスタマーハラスメント対策の需要増加が事業の大きな追い風となると考えております。カスタマーハラスメントが社会問題化しており、一部の自治体では奨励金制度が導入され、2026年には改正労働施策総合推進法により全企業に対策が義務付けられる見込みです。このような背景から、対策商材としての販売加速を期待しており、この波に乗るべく営業活動を強化してまいります。具体的な影響規模については予測が難しい部分もありますが、追い風であることは間違いありません。
Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aの検討は常に継続しております。しかし、M&Aありきの計画ではなく、既存事業と新規事業を今後も着実に成長させることで、2028年10月期には売上高60億円を目指してまいります。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:中期経営計画2028の達成に向けて、順調に進捗していると認識しております。採用面では、特に営業職と技術部のエンジニアを重点的に採用しております。また、中期経営計画で掲げている新規事業の立ち上げに必要な人員も確保していく方針です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元については、中期経営計画終了時点までは配当性向35%を基本方針としつつ、配当金の下限を20円と設定いたしました。これにより、仮に減益となった場合でも、20円は確実に配当いたします。利益が計画を上回った場合には、その要因も考慮し、適切に対応してまいります。
取材者:まず始めに、2025年10月期第2四半期の決算についてお伺いできればと思います。売上高13億7,200万円(前年同期比18.9%増加)、営業利益5億2,600万円(同20.2%増加)、経常利益5億2,700万円(同20.6%増加)、中間純利益3億5,300万円(同13.2%増加)と増収増益となり、通期の業績目標に比べてもかなり順調に進捗しているように見受けられますが、増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:第2四半期決算の結果は順調に進捗しております。売上高は、セキュリティ事業とソリューション事業ともに順調に進捗しており、特に今期はソリューション事業の売上が増加したことが主な要因となっております。
取材者:ソリューション事業が前年同期比で167.7%と大幅に売上が増加しています。
回答者:おっしゃる通りです。ソリューション事業では、「トビラフォンBiz」と「トビラフォンCloud」の2つの製品を販売しており、「トビラフォン Biz」は販売台数、「トビラフォン Cloud」は契約数とそれぞれ順調に増加したと捉えています。特に「トビラフォンBiz」においては、代理店の決算期に伴って販売が加速したことや、昨今社会問題化しているカスタマーハラスメント対策商材としての追い風もあり、販売が増加しております。
取材者:セキュリティ事業についてはいかがでしょうか?
回答者:セキュリティ事業は安定的に成長していると捉えております。また、既存のモバイル向け通信キャリア向けに加え、新規の分野も開拓しております。今期はJCB様へのデータベース提供も開始いたしました。
取材者:そうなると、どちらの事業も新規、既存ともに順調に進捗しているという見方でよろしいですか?
回答者:はい、計画に対して順調に進捗していると考えております。
取材者:主要なKPIがございましたら教えていただけますか?
回答者:ソリューション事業のKPIについては、第2四半期決算説明資料の27ページ、28ページに掲載しております。それぞれの内訳の売上高は記載しておりませんが、現在はトビラフォンBizの販売台数とトビラフォンCloudの課金ID数をお示ししており、この台数を伸ばすことに力を入れています。
取材者:何か目標値などは公表されていますか?累計販売台数など、目標値はございますか?
回答者:販売台数の目標値としては公開しておりませんが、サービス全体の最終的な計画数値としての売上高目標は公開しております。ソリューション事業では、通期の10月末までにトビラフォンBizで5億3,200万円、トビラフォンCloudで2億4,000万円を目指しております。
取材者:前期比で人材の採用数の推移などはいかがでしょうか?
回答者:人材の採用も順調に進んでおります。第2四半期終了時点の4月末までで、期末からプラス7名となっております。今期は全体で約30名の採用を予定しております。30名採用できるのかというご質問をよくいただきますが、足元の入社状況等を見る限り、30名は達成できると考えております。
取材者:それほどまでに順調に採用が進んでいる要因はどのようなところにあると思われますか?
回答者:今期、社長室の中に「人材戦略課」という新しい部署を設立いたしました。採用に特化したチームですので、これまで以上に採用に注力できる体制ができたことが要因の一つだと考えております。
取材者:ここまで、業績に影響を与えたような一過性の要因や、季節性、外的要因などございましたら教えていただけますか?
回答者:季節性とは少し異なりますが、カスタマーハラスメント対策の需要は一つの大きな流れとしてあると考えております。カスタマーハラスメントが社会問題化しており、実際に一部の自治体では奨励金が支給される制度ができていたり、2026年には改正労働施策総合推進法により全企業に対して対策が義務付けられる見込みもあります。このような背景も後押しとなり、対策商材としての販売が加速することを期待しております。実際にどれくらい影響があるかは正直予測できない部分ではありますが、追い風にはなると考えており、この波に乗れるよう、営業活動をしっかりと行っていきたいと思っております。
取材者:通期の見通しについてお伺いできればと思います。売上高の業績予想26億5,000万円、営業利益8億3,200万円、経常利益8億3,100万円、当期純利益5億5,400万円といったところで、ここまでかなり順調に進捗しているように見えます。通期の見通しについてご説明いただけますか?
回答者:今期の通期の見通しとしては、やはり成長ドライバーとして掲げているソリューション事業の収益基盤拡大をしっかり目指していきたいと考えております。今期の計画もソリューション事業が伸びる計画で立てたものになります。
取材者:今後、成長投資などは考えておられますか?
回答者:はい。営業利益のところで申し上げますと、前年同期比で100%とあまり伸びない予想になっているかと思いますが、これは当社として今最も達成すべきは中期経営計画2028だと考えているためです。中期経営計画2028の達成のために必要な採用、および必要な投資はしっかり行っていきたいと考えております。そのため、第2四半期の進捗としては計画に対して50%を上回っておりますが、現時点で計画変更の見通しはなく、出ている利益は前倒しで投資に充てていきたいと考えております。
取材者:今お話がございました中期経営計画2028について、進捗としてはいかがでしょうか?
回答者:順調に進捗していると考えています。採用面でも同様で、特に営業と技術部のエンジニアをメインに採用しておりますが、新しい新規事業の立ち上げも中期経営計画で掲げているため、これに必要な人員もしっかり確保していきたいと考えております。
取材者:M&Aや業務提携について、実施の有無や検討状況がございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか?
回答者:検討は常に継続しております。ただし、M&Aありきの計画というわけではなく、既存事業と新規事業を今後もしっかりと伸ばしていくことで、2028年10月期に売上高60億円を目指しております。提携などお知らせできることがございましたら、適宜お伝えしていきたいと考えております。
取材者:株主還元の方針につきまして、変更などございましたら教えていただけますか?
回答者:株主還元についても、中期経営計画終了時点までは配当性向35%を基本方針としつつ、下限を設定いたしました。そのため、20円を下限としております。例えば減益になった場合でも、20円は必ず配当いたします。
取材者:承知いたしました。最後に、直近の状況につきまして、何かトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか?
回答者:中期経営計画2028の中でトビラフォンCloudの売上増加を掲げており、代理店販売の拡充を目指しています。現在は直販のみですが、今後代理店販売を強化していく方針です。代理店販売の状況についてご質問をいただくことも多いのですが、最近プレスリリースで2件、販売代理店契約を締結したことを発表いたしました。これらがすぐに売上に直結するとは限りませんが、引き続き外部との連携も積極的に進めていきたいと考えております。
IR担当

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデル
迷惑情報データベースを基盤に、モバイル向け、ビジネスフォン向け、固定電話向けにサービスを展開。通信キャリアとの提携により、セキュリティオプションパックなどに同社の技術を提供。ビジネスフォン向けでは、迷惑電話ブロック機能に加え、電話の録音、書き起こし、音声品質向上など、電話のDX化に特化したサービスを提供。
創業の経緯と転機
創業者の祖父が原野商法の被害に遭い、迷惑電話に悩まされていたことをきっかけに、既存のサービスでは解決できないことから独自にサービスを開発。2011年に固定電話向け迷惑電話遮断装置「トビラフォン」を開発し、サービスを開始。2016年から2017年にかけて大手通信キャリアにセキュリティオプションパックとして導入されたことが転機となり、売上高が急増。
直近の決算状況
2024年10月期の売上高は24億500万円。そのうち約7割をモバイル向けが占める。ビジネスフォン向けサービスが大きく成長し、売上高を牽引。
成長戦略
ビジネスフォン向けサービスの販売チャネル拡大と代理店との連携強化を図る。代理店向け勉強会などを開催し、関係強化に注力。また、新規事業の創出にも注力し、2028年には売上高60億円を目指す。
株主還元策
2025年における配当性向は35%の見込み 。成長投資と株主還元を両立させ、安定的な配当を継続。自己株式の取得も実施。
今期の取り組みやトピックス
認知向上に向け、PR活動の強化に取り組んでおり、メディア露出が増加。同社の強みである迷惑情報データベースから得られる情報をもとにした、特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート等を適宜発信。
Q. 貴社のビジネスモデルはどういったものですか?
A. 当社は、迷惑電話やSMSをブロックするサービスを提供しており、2019年に上場しました。創業のきっかけは、創業者の祖父が原野商法の被害に遭ったことです。強みは、特殊詐欺などに使用される電話番号を常にアップデートしている迷惑情報データベースです。このデータベースは、約1,500万人のユーザーからの情報提供、警察などからのデータ提供、独自調査チームによる目視チェックにより、高い精度を誇っています。
Q. 警察からデータ提供を受けているそうですが、他社との違いはありますか?
A. 警察から実際に詐欺に使われた電話番号やSMSのデータ提供を受けていますが、当社と同じように同様のデータ提供を受けている会社もあります。しかしながら、当社は年間50億件以上の電話・メール・SMSを判定しており、その規模や精度は極めて高いものとなっています。
Q. モバイル向けサービスのビジネスモデルはどのようなものですか?
A. モバイル向けサービスは、主に通信キャリア向けのセキュリティオプションパックとして提供しています。ユーザーには通信キャリア経由で提供しており、当社が直接販売する形態ではありません。このため、販管費や広告宣伝費を抑え、高い利益率を確保できています。
Q. ビジネスフォン向けサービスにはどのような特徴がありますか?
A. ビジネスフォン向けサービスは、セキュリティ対策だけでなく、電話のDX化に特化したサービスであり、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2つの製品を提供しています。
「トビラフォン Biz」は、オフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。
「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
Q. 「トビラフォン Cloud」の販売戦略について教えてください。
A. 「トビラフォン Cloud」は、現在は直接販売を行っております。今後は代理店販売も検討しており、販売チャネルの拡大を目指しています。
Q. 中期経営計画における売上目標を教えてください。
A. 2028年に売上高60億円を目標としています。特に重点を置いている施策はビジネス向けと新規事業であり、合計で40億円を目標としています。モバイル向けと固定電話向けの目標を20億円としており、今後の成長がないように見えますが、そうではありません。モバイル向けや固定電話向けの成長も当然目指してまいりますが、主には通信キャリア向けの販売が主なものになると考えており、その金額や時期は計画に織り込むことは難しいため、計画の数値として含めていないものとなります。
Q. 新規事業の目標値はどのくらいですか?
A. 2028年に新規事業で10億円を目指しています。現在はビジネスアイデアを検討し、テストしている段階であり、具体的な内容は公表できません。当社は、強力な代理店網を活用することが可能と考えており、プロダクト完成後は迅速に販売をしてまいります。
Q. 成長投資と株主還元策について教えてください。
A. 成長投資としては、ビジネス向けサービスの強化、新規事業の開発、採用、人事制度の見直しなどを予定しています。また、M&Aや資本提携なども検討しています。株主還元については、配当性向35%を目標とし、20円の配当を下限として設定しています。2025年においては自己株式の取得も実施し、総還元性向は100%の見込みです。
取材者: 貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか?
回答者: 創業は2004年で、本社が名古屋にございます。従業員は昨年末でパート等含めると100名を超えたところで、社員構成としては技術者の割合が高い会社です。 拠点は名古屋と東京にございまして、名古屋がエンジニアと管理部門、東京が営業部門になっています。
現社長であり創業者の明田が、明田の祖父が原野商法という無価値な土地を売りつけられる詐欺被害に遭い、その事をきっかけにかかってくるようになった迷惑な電話に困っていました。困っている祖父を助けるために、当時色々サービスを探したそうですが見つからなかったので、ないのであれば自分で作ろうと開発に着手したことが事業のはじまりの経緯です。
取材者: 元々の経験からサービスを開始することを始めたのですね。
回答者: そうですね。その際に一番はじめに作ったのが2011年に開発した「トビラフォン」という製品で、固定電話に端末を取り付けるというサービスです。その後、警察との実証実験を行い、その後大手通信キャリアのオプションパックとしてデータベース提供等を経て2019年に上場しました。2016年から2017年にかけて売上が上がっているのは、大手通信キャリアにセキュリティオプションパックという形で導入いただいたことが収益に反映されたためです。
売上高としては毎年前年比を上回り安定的に成長しております。2021年の10月には、広告ブロックアプリの「280ブロッカー」を吸収合併し、現在はスタンダード市場に上場しております。
当社の強みは迷惑情報データベースだと捉えています。特殊詐欺などに使われる電話番号やSNSはすぐに使い回され足がはやいため、常にアップデートが必要になります。約1,500万人のユーザーからの報告や各警察から既に詐欺などに使われた電話番号やSMSのデータを受けています。また、提供された電話番号やURL情報をただデータベースに登録するのではなくて、当社独自で調査チームを抱えることでデータベースの精度を高めています。
取材者: 早急なチェックというのは、具体的にどのようなことをしているのですか?
回答者: 1件1件実際に電話をかけたり、SMSに記載されたURL等にアクセスをして確認したうえでデータベースに登録をしています。実際に他社との精度検証も行っていますが、他社と比較しても精度は高いと認識しています。
取材者: 先ほど沿革の中で警察との覚書のところも出てきましたが、警察からデータの提供を受けているのは、他社でも同様に行われているのですか?
回答者: 他社様でも受けていらっしゃる会社はあると聞いています。
取材者: つまり、貴社は他社と比べて、その情報をより正確に扱っているという点に強みがあるという理解でよろしいですか?
回答者: その認識で大丈夫だと思います。
回答者: この迷惑情報データをもとに、現在モバイル向けとビジネスフォン、それから固定電話向けにサービスを展開しています。売上高は昨年の10月期末で24億500万円で、そのうち約7割がモバイル向けの収益が占めています。次に伸びているのが、現在注力しているビジネスフォン向けです。こちらは法人向けに提供しています。
モバイル向けのものについては大きく2つあります。メインとなるのが通信キャリア向けのサービスです。これはソフトバンク、NTTドコモ、KDDI向けに提供しており、各社のセキュリティオプションパックに含めて提供しています。ビジネスモデルとしては、BtoBtoCです。
当社の利益率が高いところにご注目いただくことが多くありますが、この理由は、通信キャリア経由で販売を行っており、当社は開発に専念できることから、効率よく販売できていることが理由です。
もう1つは広告ブロックアプリ「280blocker」です。こちらは1回限り800円の買い切りで、App Storeで各ユーザーがご購入いただけるサービスです。
取材者: BtoBtoCはモバイル向けのモデルだけですか?
回答者:モバイルと固定電話向けサービスは通信キャリアを通じて提供しています。
回答者: 通信キャリアとの契約形態は3つに分かれていて、それぞれ各種キャリアで異なる契約を結んでいます。よくご質問として、どういったユーザーが利用されているのかとご質問をいただきますが、通信キャリア経由でアプリを販売しているため、当社がその情報は把握できておりません。利用者数の増加に向けての施策を各通信キャリアと適宜協議しています。
固定電話向けには大きく3つのサービスを販売しています。1つ目は従来型の端末を設置するタイプで、自治体での実証実験など無償提供される際にこの端末をお配りいただくことが多いです。 2つ目は、HGW向け、3つ目はケーブルテレビ向けサービスです。ネットワークの中で回線をブロックできるサービスであり、こちらが今主流になっています。
取材者: ネットワークの中で改善できるのですか?
回答者:ケーブルテレビ向けはお電話番号を電話などで申し込んでいただくことで、すぐにサービスをご利用可能です。
今、利用者の契約数が増えているのも、このケーブルテレビ向けのものになります。 ビジネスモデルとしてはモバイル向けとほとんど同じで、当社は通信キャリアにデータベースを提供して、そのライセンス費用として対価をいただいております。
次にビジネスフォン向けです。現在当社が注力しており、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2製品があります。「トビラフォンBiz」はオフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
取材者: ビジネスフォン向けのサービスは、セキュリティ機能に加えて、業務効率化やハラスメント対策といった、他のビジネスとは異なる要素に重点を置いているという理解でよろしいでしょうか?
回答者: おっしゃる通りです。迷惑電話ブロックという機能にプラスして、電話の録音や音声テキスト化、IVRなど、電話のDX化に特化したサービスとお考えいただければと思います。
回答者: この2製品はビジネスモデルが少し異なります。「トビラフォンBiz」は代理店販売の形をとっており、販売パートナー経由で法人ユーザー様に販売しております。 一方で「トビラフォンCloud」は、当社がリードからマーケティングまで実施し直接販売の形をとっています。
取材者: 「トビラフォンCloud」は直接販売で、「トビラフォンBiz」は代理店販売ということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 中計の中で「トビラフォンBiz」の販売加速が重点施策として挙げられていましたが、具体的な取り組みについて教えていただけますか?
回答者:「トビラフォンBiz」は代理店経由で販売しており、販売チャネルを増やすことを考えています。現状では提供できていないチャネルを獲得することで、販売量を増やしていきたいと考えています。
取材者: 具体的には、代理店チャネルをさらに増やしていくということですか?
回答者: そうです。
取材者: 「トビラフォンCloud」についてはいかがでしょうか?販売加速戦略や取り組みがあれば教えてください。
回答者: 「トビラフォンCloud」は、現在は直接販売ですが、将来的には「トビラフォンBiz」のように代理店販売に切り替えることも検討しており、協力できるパートナーを探しているところです。 また、「280blocker」など、当社が持つ他のサービスとの連携することで販売を加速できないかと考えています。
取材者: なるほど。ビジネスフォンに関しても、様々なチャネルとの連携を強化していくということですね。
回答者: そうです。当社が持っている強みを生かしつつ、新しいビジネスを始めることで成長を目指せると考えています。。
取材者: 中期経営計画では2028年に売上高60億円を掲げていますが、モバイル向けと固定電話向けの割合が伸びないと予想されているのはなぜですか?
回答者: 伸びないのではなく、計画上モバイルと固定電話向けの売上は入れていないことによるものです。モバイル向けと固定電話向けは通信キャリアの皆様との関係を強化して進める必要があり、相手のあることでありますので、計画数値としては織り込んでいません。中期経営計画では自分たちで伸ばせるビジネス層向けと新規事業に重点的に投資していきたいと考えています。
取材者: 新規事業の立ち上げ目標値はどのくらいですか?
回答者: 2028年までに10億円を目指しています。
取材者: 今は、まだ調査段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。社内では方向性は決まっているものの、現時点で公表できるものはありません。
回答者: 代理店とは既に良好な関係性を築けており、今後新しいサービスを出せた際にも、すぐに販売に移せるという点は強みだと考えています。
取材者: 代理店との関係性が非常に重要になってくるということですね。
回答者: 代理店との関係は非常に重要だと考えており、代理店向けに勉強会を開催するなど親密にコミュニケーションを取っています。
取材者: 体制の整備という点で、採用に関して何か戦略や取り組みなどがありましたら教えてください。
回答者: メンバーの拡充には力を入れていきたいと考えており、2028年度までに大幅に人員を増やしていく予定です。メーカーを目指していきたいという社長の考えもあり、1から製品を作れるという強みを活かすため、技術部と営業企画を中心に増員していく予定です。
取材者: 実際の採用状況はいかがですか?
回答者: 昨年度は15名程度の採用予定でしたが、約20名が入社しました。
取材者: それは中途採用、新卒採用どちらですか?
回答者: どちらかというと中途採用がメインです。
取材者: 業績に関してですが、売上拡大の要因は、ビジネスフォン関連の業績が好調ということでしょうか?
回答者: そうですね。昨年の10月期は順調に売上が伸びており、前期比でビジネス層向けのサービスが大きく伸びています。売上の構成比ではモバイル向けが大きいので、通信キャリアとの関係構築も引き続き重要だと考えています。
2024年10月期でモバイル向けが伸びた背景は、モバイル向けの3つの契約のうち、固定契約と、契約者数×単価モデルの契約更改があり、単価が上昇したことが大きく寄与しています。
取材者: 通信キャリアとの関係強化により、新しいサービスを提案しているということですか?
回答者: 新たしいサービスというよりは、昨今の特殊詐欺被害が増えているという社会情勢の後押しもあり、単価アップでの契約更改をいただけました。最近の傾向として、類似サービスを展開している会社も増えてきているのでサービスの精度検証だけでなく、新しいサービスの提案なども行っています。
取材者: 貴社の株主還元策について、方針や戦略がありましたら教えてください。
回答者: 中期計画期間中は配当性向35%の基本方針とあわせ、配当の下限を20円に設定いたしました。2025年においては自社株株式の取得についても発表しており、総還元性向50%を見込んでいます。中期経営計画で掲げているように成長に向けた投資等を行う中でも、応援いただく株主の皆様に安心して投資いただけるように下限の配当を設定しました。
今度も株主の皆様に対して安定的な利益還元を行うとともに、自己株式の取得に関しても機動的に実施していきたい考えです。
取材者: 最後に、今後の見通しや中期経営計画の進捗状況、課題などございましたら教えてください。
回答者:昨年12月に発表した中期経営計画2028に掲げたとおり、特にビジネスフォン向けや新規事業を成長させることを目標に掲げています。採用活動においても引き続き積極的に実施する考えです。新規事業についても、進捗があり次第、適宜開示していきたいと考えています。
IR担当

トビラシステムズ(株)
東証STD 4441
決算:10月末日
CP&X
決算概要
2025年10月期第3四半期は、売上高が四半期ベースで過去最高を更新し、前年同期比で安定的な成長を実現しました。営業利益を含む各段階利益は、四半期比では減益となっています。この理由は中期経営計画(中期経営計画2028)達成に向けた準備期間として、人材への積極的な投資(人員拡充)を行った結果、労務費や人件費が増加したためであり、想定どおりの推移です。
セグメント別または事業別の増減要因
当社はセキュリティ事業とソリューション事業の2事業を展開しており、第3四半期はソリューション事業の拡大が売上高成長を牽引しました。
① セキュリティ事業
前年同期比100.5%と安定した収益を確保しました。特殊詐欺被害は過去最悪を上回るペースで拡大しており、通信事業者全体で対策ニーズが高まっています。こうしたマクロ環境のもと、当社サービスが社会課題の解決に貢献できる余地は大きいと認識しています。
② ソリューション事業
法人向け製品「トビラフォン Biz」および「トビラフォン Cloud」の販売が順調に推移し、ソリューション事業としては、前年同期比154.5%と大きく成長いたしました。
-トビラフォン Biz
ビジネスフォン向け製品で、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策需要の高まりが販売増加の背景にあります。販売代理店との関係強化も進めており、リコージャパン株式会社の「電話カスハラ対策ソリューションパック」に採用され、新たな販路を獲得しました。
-トビラフォン Cloud
さらなる提供拡大を目指し、株式会社クロップスおよび株式会社エスケーアイと販売代理店契約を締結。直販に加え取次販売によるリード(見込み客)件数の増加や、営業人員増による新規リード対応力の向上が奏功し、課金ID数は増加基調を維持しています。
季節性・一過性要因の有無と影響
トビラフォン Bizは第2四半期は代理店の決算期の影響があったため、第3四半期では販売台数が前四半期比で減少しました。フロー収益には端末代が含まれるため販売台数の減少に伴いフロー収益は減少していますが、ストック収益は引き続き順調に積み上がっています。
通期見通しと進捗率・達成可能性
第3四半期終了時点(累計)では、売上高・各段階利益は通期業績予想に対して順調に進捗しており、通期としては業績予想をやや上振れて着地する見込みです。
トピックス
中期経営計画2028の重点施策「メンバーの拡大・成長」に基づき、積極的な採用活動を進めています。第3四半期末時点で前期末比23名の増員を達成しており、第4四半期も10名以上の採用を予定しています。これに伴い、人件費・労務費・採用費の増加を見込んでいます。
人員増加に対応するため、東京オフィスを2026年1月、名古屋オフィスを2026年9月に移転する計画を決定しました。さらに、2025年10月末には当社の強みである迷惑情報データベースを活用した新規プロダクトのリリースを予定しており、第4四半期には販促活動費用の発生を見込んでいます。
株主還元としては、株主優待制度を新設しました。優待内容は、迷惑電話・迷惑SMS対策アプリ 「トビラフォンモバイル」1年間無料利用です。
取材アーカイブ
決算概要
2025年10月期第2四半期決算(累計)は、売上高13億7,200万円(前年同期比18.9%増加)、営業利益5億2,600万円(同20.2%増加)、経常利益5億2,700万円(同20.6%増加)、中間純利益3億5,300万円(同13.2%増加)と増収増益での着地となった。特にソリューション事業の売上が増加したことが主な要因である。
セグメント別または事業別の増減要因
第2四半期において、セキュリティ事業は安定的に成長。ソリューション事業は前年同期比167.7%と大幅に売上が増加しており、「トビラフォンBiz」の販売台数と「トビラフォンCloud」の契約数の増加がともに順調に増加したことが要因である。特に「トビラフォンBiz」は、代理店の決算期に伴う販売加速や、カスタマーハラスメント対策商材としての需要増加が販売増に寄与した。
主要KPIの進捗と変化
ソリューション事業では、「トビラフォンBiz」の販売台数と「トビラフォンCloud」の課金ID数を主要KPIとし、これらの伸長に注力している。ソリューション事業の通期売上目標は「トビラフォンBiz」で5億3,200万円、「トビラフォンCloud」で2億4,000万円である。
季節性・一過性要因の有無と影響
カスタマーハラスメント対策の需要は、業績に影響を与える大きな流れの一つである。カスタマーハラスメントの社会問題化に伴い、一部自治体での奨励金制度や、2026年からの改正労働施策総合推進法による全企業への対策義務付けが見込まれており、対策商材の販売加速に繋がる追い風と捉えている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
今期の通期業績見通しは、売上高26億5,000万円、営業利益8億3,200万円、経常利益8億3,100万円、当期純利益5億5,400万円である。ソリューション事業の収益基盤拡大を成長ドライバーとして掲げており、今期の計画も同事業の伸長を見込んで策定されている。第2四半期時点の進捗は計画に対して50%を上回っているものの、現時点での計画変更は見込んでおらず、出ている利益は前倒しで投資に充当していく方針である。
トピックス
中期経営計画2028の達成を最重要目標とし、その達成に必要な人材採用および投資を積極的に行っている。第2四半期終了時点で期末からプラス7名の人材採用が進んでおり、今期全体で約30名の採用を予定している。社長室内に新設された「人材戦略課」を設置し採用活動へ注力したことが、順調な採用を支えている。
直近では、中期経営計画2028内でも掲げている「トビラフォンCloud」の売上増加に向けた代理店販売の拡充を進めており、複数の販売代理店契約を締結したことを発表している。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、成長ドライバーと位置付けているソリューション事業における収益基盤の拡大に注力いたします。また、セキュリティ事業においても、JCB様へのデータベース提供開始や新規分野の開拓を進めております。
人材戦略においては、社長室内に「人材戦略課」を新設し、採用に特化したチームを編成することで、これまで以上に採用活動を強化できる体制を構築いたしました。
直近の取り組みとしては、中期経営計画2028内で掲げているトビラフォンCloudの売上増加に向け、代理店販売の拡充を推進しています。引き続き外部との連携を積極的に進めてまいります。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:季節性とは異なりますが、カスタマーハラスメント対策の需要増加が事業の大きな追い風となると考えております。カスタマーハラスメントが社会問題化しており、一部の自治体では奨励金制度が導入され、2026年には改正労働施策総合推進法により全企業に対策が義務付けられる見込みです。このような背景から、対策商材としての販売加速を期待しており、この波に乗るべく営業活動を強化してまいります。具体的な影響規模については予測が難しい部分もありますが、追い風であることは間違いありません。
Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aの検討は常に継続しております。しかし、M&Aありきの計画ではなく、既存事業と新規事業を今後も着実に成長させることで、2028年10月期には売上高60億円を目指してまいります。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:中期経営計画2028の達成に向けて、順調に進捗していると認識しております。採用面では、特に営業職と技術部のエンジニアを重点的に採用しております。また、中期経営計画で掲げている新規事業の立ち上げに必要な人員も確保していく方針です。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元については、中期経営計画終了時点までは配当性向35%を基本方針としつつ、配当金の下限を20円と設定いたしました。これにより、仮に減益となった場合でも、20円は確実に配当いたします。利益が計画を上回った場合には、その要因も考慮し、適切に対応してまいります。
取材者:まず始めに、2025年10月期第2四半期の決算についてお伺いできればと思います。売上高13億7,200万円(前年同期比18.9%増加)、営業利益5億2,600万円(同20.2%増加)、経常利益5億2,700万円(同20.6%増加)、中間純利益3億5,300万円(同13.2%増加)と増収増益となり、通期の業績目標に比べてもかなり順調に進捗しているように見受けられますが、増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:第2四半期決算の結果は順調に進捗しております。売上高は、セキュリティ事業とソリューション事業ともに順調に進捗しており、特に今期はソリューション事業の売上が増加したことが主な要因となっております。
取材者:ソリューション事業が前年同期比で167.7%と大幅に売上が増加しています。
回答者:おっしゃる通りです。ソリューション事業では、「トビラフォンBiz」と「トビラフォンCloud」の2つの製品を販売しており、「トビラフォン Biz」は販売台数、「トビラフォン Cloud」は契約数とそれぞれ順調に増加したと捉えています。特に「トビラフォンBiz」においては、代理店の決算期に伴って販売が加速したことや、昨今社会問題化しているカスタマーハラスメント対策商材としての追い風もあり、販売が増加しております。
取材者:セキュリティ事業についてはいかがでしょうか?
回答者:セキュリティ事業は安定的に成長していると捉えております。また、既存のモバイル向け通信キャリア向けに加え、新規の分野も開拓しております。今期はJCB様へのデータベース提供も開始いたしました。
取材者:そうなると、どちらの事業も新規、既存ともに順調に進捗しているという見方でよろしいですか?
回答者:はい、計画に対して順調に進捗していると考えております。
取材者:主要なKPIがございましたら教えていただけますか?
回答者:ソリューション事業のKPIについては、第2四半期決算説明資料の27ページ、28ページに掲載しております。それぞれの内訳の売上高は記載しておりませんが、現在はトビラフォンBizの販売台数とトビラフォンCloudの課金ID数をお示ししており、この台数を伸ばすことに力を入れています。
取材者:何か目標値などは公表されていますか?累計販売台数など、目標値はございますか?
回答者:販売台数の目標値としては公開しておりませんが、サービス全体の最終的な計画数値としての売上高目標は公開しております。ソリューション事業では、通期の10月末までにトビラフォンBizで5億3,200万円、トビラフォンCloudで2億4,000万円を目指しております。
取材者:前期比で人材の採用数の推移などはいかがでしょうか?
回答者:人材の採用も順調に進んでおります。第2四半期終了時点の4月末までで、期末からプラス7名となっております。今期は全体で約30名の採用を予定しております。30名採用できるのかというご質問をよくいただきますが、足元の入社状況等を見る限り、30名は達成できると考えております。
取材者:それほどまでに順調に採用が進んでいる要因はどのようなところにあると思われますか?
回答者:今期、社長室の中に「人材戦略課」という新しい部署を設立いたしました。採用に特化したチームですので、これまで以上に採用に注力できる体制ができたことが要因の一つだと考えております。
取材者:ここまで、業績に影響を与えたような一過性の要因や、季節性、外的要因などございましたら教えていただけますか?
回答者:季節性とは少し異なりますが、カスタマーハラスメント対策の需要は一つの大きな流れとしてあると考えております。カスタマーハラスメントが社会問題化しており、実際に一部の自治体では奨励金が支給される制度ができていたり、2026年には改正労働施策総合推進法により全企業に対して対策が義務付けられる見込みもあります。このような背景も後押しとなり、対策商材としての販売が加速することを期待しております。実際にどれくらい影響があるかは正直予測できない部分ではありますが、追い風にはなると考えており、この波に乗れるよう、営業活動をしっかりと行っていきたいと思っております。
取材者:通期の見通しについてお伺いできればと思います。売上高の業績予想26億5,000万円、営業利益8億3,200万円、経常利益8億3,100万円、当期純利益5億5,400万円といったところで、ここまでかなり順調に進捗しているように見えます。通期の見通しについてご説明いただけますか?
回答者:今期の通期の見通しとしては、やはり成長ドライバーとして掲げているソリューション事業の収益基盤拡大をしっかり目指していきたいと考えております。今期の計画もソリューション事業が伸びる計画で立てたものになります。
取材者:今後、成長投資などは考えておられますか?
回答者:はい。営業利益のところで申し上げますと、前年同期比で100%とあまり伸びない予想になっているかと思いますが、これは当社として今最も達成すべきは中期経営計画2028だと考えているためです。中期経営計画2028の達成のために必要な採用、および必要な投資はしっかり行っていきたいと考えております。そのため、第2四半期の進捗としては計画に対して50%を上回っておりますが、現時点で計画変更の見通しはなく、出ている利益は前倒しで投資に充てていきたいと考えております。
取材者:今お話がございました中期経営計画2028について、進捗としてはいかがでしょうか?
回答者:順調に進捗していると考えています。採用面でも同様で、特に営業と技術部のエンジニアをメインに採用しておりますが、新しい新規事業の立ち上げも中期経営計画で掲げているため、これに必要な人員もしっかり確保していきたいと考えております。
取材者:M&Aや業務提携について、実施の有無や検討状況がございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか?
回答者:検討は常に継続しております。ただし、M&Aありきの計画というわけではなく、既存事業と新規事業を今後もしっかりと伸ばしていくことで、2028年10月期に売上高60億円を目指しております。提携などお知らせできることがございましたら、適宜お伝えしていきたいと考えております。
取材者:株主還元の方針につきまして、変更などございましたら教えていただけますか?
回答者:株主還元についても、中期経営計画終了時点までは配当性向35%を基本方針としつつ、下限を設定いたしました。そのため、20円を下限としております。例えば減益になった場合でも、20円は必ず配当いたします。
取材者:承知いたしました。最後に、直近の状況につきまして、何かトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか?
回答者:中期経営計画2028の中でトビラフォンCloudの売上増加を掲げており、代理店販売の拡充を目指しています。現在は直販のみですが、今後代理店販売を強化していく方針です。代理店販売の状況についてご質問をいただくことも多いのですが、最近プレスリリースで2件、販売代理店契約を締結したことを発表いたしました。これらがすぐに売上に直結するとは限りませんが、引き続き外部との連携も積極的に進めていきたいと考えております。
IR担当
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデル
迷惑情報データベースを基盤に、モバイル向け、ビジネスフォン向け、固定電話向けにサービスを展開。通信キャリアとの提携により、セキュリティオプションパックなどに同社の技術を提供。ビジネスフォン向けでは、迷惑電話ブロック機能に加え、電話の録音、書き起こし、音声品質向上など、電話のDX化に特化したサービスを提供。
創業の経緯と転機
創業者の祖父が原野商法の被害に遭い、迷惑電話に悩まされていたことをきっかけに、既存のサービスでは解決できないことから独自にサービスを開発。2011年に固定電話向け迷惑電話遮断装置「トビラフォン」を開発し、サービスを開始。2016年から2017年にかけて大手通信キャリアにセキュリティオプションパックとして導入されたことが転機となり、売上高が急増。
直近の決算状況
2024年10月期の売上高は24億500万円。そのうち約7割をモバイル向けが占める。ビジネスフォン向けサービスが大きく成長し、売上高を牽引。
成長戦略
ビジネスフォン向けサービスの販売チャネル拡大と代理店との連携強化を図る。代理店向け勉強会などを開催し、関係強化に注力。また、新規事業の創出にも注力し、2028年には売上高60億円を目指す。
株主還元策
2025年における配当性向は35%の見込み 。成長投資と株主還元を両立させ、安定的な配当を継続。自己株式の取得も実施。
今期の取り組みやトピックス
認知向上に向け、PR活動の強化に取り組んでおり、メディア露出が増加。同社の強みである迷惑情報データベースから得られる情報をもとにした、特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート等を適宜発信。
Q. 貴社のビジネスモデルはどういったものですか?
A. 当社は、迷惑電話やSMSをブロックするサービスを提供しており、2019年に上場しました。創業のきっかけは、創業者の祖父が原野商法の被害に遭ったことです。強みは、特殊詐欺などに使用される電話番号を常にアップデートしている迷惑情報データベースです。このデータベースは、約1,500万人のユーザーからの情報提供、警察などからのデータ提供、独自調査チームによる目視チェックにより、高い精度を誇っています。
Q. 警察からデータ提供を受けているそうですが、他社との違いはありますか?
A. 警察から実際に詐欺に使われた電話番号やSMSのデータ提供を受けていますが、当社と同じように同様のデータ提供を受けている会社もあります。しかしながら、当社は年間50億件以上の電話・メール・SMSを判定しており、その規模や精度は極めて高いものとなっています。
Q. モバイル向けサービスのビジネスモデルはどのようなものですか?
A. モバイル向けサービスは、主に通信キャリア向けのセキュリティオプションパックとして提供しています。ユーザーには通信キャリア経由で提供しており、当社が直接販売する形態ではありません。このため、販管費や広告宣伝費を抑え、高い利益率を確保できています。
Q. ビジネスフォン向けサービスにはどのような特徴がありますか?
A. ビジネスフォン向けサービスは、セキュリティ対策だけでなく、電話のDX化に特化したサービスであり、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2つの製品を提供しています。
「トビラフォン Biz」は、オフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。
「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
Q. 「トビラフォン Cloud」の販売戦略について教えてください。
A. 「トビラフォン Cloud」は、現在は直接販売を行っております。今後は代理店販売も検討しており、販売チャネルの拡大を目指しています。
Q. 中期経営計画における売上目標を教えてください。
A. 2028年に売上高60億円を目標としています。特に重点を置いている施策はビジネス向けと新規事業であり、合計で40億円を目標としています。モバイル向けと固定電話向けの目標を20億円としており、今後の成長がないように見えますが、そうではありません。モバイル向けや固定電話向けの成長も当然目指してまいりますが、主には通信キャリア向けの販売が主なものになると考えており、その金額や時期は計画に織り込むことは難しいため、計画の数値として含めていないものとなります。
Q. 新規事業の目標値はどのくらいですか?
A. 2028年に新規事業で10億円を目指しています。現在はビジネスアイデアを検討し、テストしている段階であり、具体的な内容は公表できません。当社は、強力な代理店網を活用することが可能と考えており、プロダクト完成後は迅速に販売をしてまいります。
Q. 成長投資と株主還元策について教えてください。
A. 成長投資としては、ビジネス向けサービスの強化、新規事業の開発、採用、人事制度の見直しなどを予定しています。また、M&Aや資本提携なども検討しています。株主還元については、配当性向35%を目標とし、20円の配当を下限として設定しています。2025年においては自己株式の取得も実施し、総還元性向は100%の見込みです。
取材者: 貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか?
回答者: 創業は2004年で、本社が名古屋にございます。従業員は昨年末でパート等含めると100名を超えたところで、社員構成としては技術者の割合が高い会社です。 拠点は名古屋と東京にございまして、名古屋がエンジニアと管理部門、東京が営業部門になっています。
現社長であり創業者の明田が、明田の祖父が原野商法という無価値な土地を売りつけられる詐欺被害に遭い、その事をきっかけにかかってくるようになった迷惑な電話に困っていました。困っている祖父を助けるために、当時色々サービスを探したそうですが見つからなかったので、ないのであれば自分で作ろうと開発に着手したことが事業のはじまりの経緯です。
取材者: 元々の経験からサービスを開始することを始めたのですね。
回答者: そうですね。その際に一番はじめに作ったのが2011年に開発した「トビラフォン」という製品で、固定電話に端末を取り付けるというサービスです。その後、警察との実証実験を行い、その後大手通信キャリアのオプションパックとしてデータベース提供等を経て2019年に上場しました。2016年から2017年にかけて売上が上がっているのは、大手通信キャリアにセキュリティオプションパックという形で導入いただいたことが収益に反映されたためです。
売上高としては毎年前年比を上回り安定的に成長しております。2021年の10月には、広告ブロックアプリの「280ブロッカー」を吸収合併し、現在はスタンダード市場に上場しております。
当社の強みは迷惑情報データベースだと捉えています。特殊詐欺などに使われる電話番号やSNSはすぐに使い回され足がはやいため、常にアップデートが必要になります。約1,500万人のユーザーからの報告や各警察から既に詐欺などに使われた電話番号やSMSのデータを受けています。また、提供された電話番号やURL情報をただデータベースに登録するのではなくて、当社独自で調査チームを抱えることでデータベースの精度を高めています。
取材者: 早急なチェックというのは、具体的にどのようなことをしているのですか?
回答者: 1件1件実際に電話をかけたり、SMSに記載されたURL等にアクセスをして確認したうえでデータベースに登録をしています。実際に他社との精度検証も行っていますが、他社と比較しても精度は高いと認識しています。
取材者: 先ほど沿革の中で警察との覚書のところも出てきましたが、警察からデータの提供を受けているのは、他社でも同様に行われているのですか?
回答者: 他社様でも受けていらっしゃる会社はあると聞いています。
取材者: つまり、貴社は他社と比べて、その情報をより正確に扱っているという点に強みがあるという理解でよろしいですか?
回答者: その認識で大丈夫だと思います。
回答者: この迷惑情報データをもとに、現在モバイル向けとビジネスフォン、それから固定電話向けにサービスを展開しています。売上高は昨年の10月期末で24億500万円で、そのうち約7割がモバイル向けの収益が占めています。次に伸びているのが、現在注力しているビジネスフォン向けです。こちらは法人向けに提供しています。
モバイル向けのものについては大きく2つあります。メインとなるのが通信キャリア向けのサービスです。これはソフトバンク、NTTドコモ、KDDI向けに提供しており、各社のセキュリティオプションパックに含めて提供しています。ビジネスモデルとしては、BtoBtoCです。
当社の利益率が高いところにご注目いただくことが多くありますが、この理由は、通信キャリア経由で販売を行っており、当社は開発に専念できることから、効率よく販売できていることが理由です。
もう1つは広告ブロックアプリ「280blocker」です。こちらは1回限り800円の買い切りで、App Storeで各ユーザーがご購入いただけるサービスです。
取材者: BtoBtoCはモバイル向けのモデルだけですか?
回答者:モバイルと固定電話向けサービスは通信キャリアを通じて提供しています。
回答者: 通信キャリアとの契約形態は3つに分かれていて、それぞれ各種キャリアで異なる契約を結んでいます。よくご質問として、どういったユーザーが利用されているのかとご質問をいただきますが、通信キャリア経由でアプリを販売しているため、当社がその情報は把握できておりません。利用者数の増加に向けての施策を各通信キャリアと適宜協議しています。
固定電話向けには大きく3つのサービスを販売しています。1つ目は従来型の端末を設置するタイプで、自治体での実証実験など無償提供される際にこの端末をお配りいただくことが多いです。 2つ目は、HGW向け、3つ目はケーブルテレビ向けサービスです。ネットワークの中で回線をブロックできるサービスであり、こちらが今主流になっています。
取材者: ネットワークの中で改善できるのですか?
回答者:ケーブルテレビ向けはお電話番号を電話などで申し込んでいただくことで、すぐにサービスをご利用可能です。
今、利用者の契約数が増えているのも、このケーブルテレビ向けのものになります。 ビジネスモデルとしてはモバイル向けとほとんど同じで、当社は通信キャリアにデータベースを提供して、そのライセンス費用として対価をいただいております。
次にビジネスフォン向けです。現在当社が注力しており、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2製品があります。「トビラフォンBiz」はオフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
取材者: ビジネスフォン向けのサービスは、セキュリティ機能に加えて、業務効率化やハラスメント対策といった、他のビジネスとは異なる要素に重点を置いているという理解でよろしいでしょうか?
回答者: おっしゃる通りです。迷惑電話ブロックという機能にプラスして、電話の録音や音声テキスト化、IVRなど、電話のDX化に特化したサービスとお考えいただければと思います。
回答者: この2製品はビジネスモデルが少し異なります。「トビラフォンBiz」は代理店販売の形をとっており、販売パートナー経由で法人ユーザー様に販売しております。 一方で「トビラフォンCloud」は、当社がリードからマーケティングまで実施し直接販売の形をとっています。
取材者: 「トビラフォンCloud」は直接販売で、「トビラフォンBiz」は代理店販売ということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 中計の中で「トビラフォンBiz」の販売加速が重点施策として挙げられていましたが、具体的な取り組みについて教えていただけますか?
回答者:「トビラフォンBiz」は代理店経由で販売しており、販売チャネルを増やすことを考えています。現状では提供できていないチャネルを獲得することで、販売量を増やしていきたいと考えています。
取材者: 具体的には、代理店チャネルをさらに増やしていくということですか?
回答者: そうです。
取材者: 「トビラフォンCloud」についてはいかがでしょうか?販売加速戦略や取り組みがあれば教えてください。
回答者: 「トビラフォンCloud」は、現在は直接販売ですが、将来的には「トビラフォンBiz」のように代理店販売に切り替えることも検討しており、協力できるパートナーを探しているところです。 また、「280blocker」など、当社が持つ他のサービスとの連携することで販売を加速できないかと考えています。
取材者: なるほど。ビジネスフォンに関しても、様々なチャネルとの連携を強化していくということですね。
回答者: そうです。当社が持っている強みを生かしつつ、新しいビジネスを始めることで成長を目指せると考えています。。
取材者: 中期経営計画では2028年に売上高60億円を掲げていますが、モバイル向けと固定電話向けの割合が伸びないと予想されているのはなぜですか?
回答者: 伸びないのではなく、計画上モバイルと固定電話向けの売上は入れていないことによるものです。モバイル向けと固定電話向けは通信キャリアの皆様との関係を強化して進める必要があり、相手のあることでありますので、計画数値としては織り込んでいません。中期経営計画では自分たちで伸ばせるビジネス層向けと新規事業に重点的に投資していきたいと考えています。
取材者: 新規事業の立ち上げ目標値はどのくらいですか?
回答者: 2028年までに10億円を目指しています。
取材者: 今は、まだ調査段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。社内では方向性は決まっているものの、現時点で公表できるものはありません。
回答者: 代理店とは既に良好な関係性を築けており、今後新しいサービスを出せた際にも、すぐに販売に移せるという点は強みだと考えています。
取材者: 代理店との関係性が非常に重要になってくるということですね。
回答者: 代理店との関係は非常に重要だと考えており、代理店向けに勉強会を開催するなど親密にコミュニケーションを取っています。
取材者: 体制の整備という点で、採用に関して何か戦略や取り組みなどがありましたら教えてください。
回答者: メンバーの拡充には力を入れていきたいと考えており、2028年度までに大幅に人員を増やしていく予定です。メーカーを目指していきたいという社長の考えもあり、1から製品を作れるという強みを活かすため、技術部と営業企画を中心に増員していく予定です。
取材者: 実際の採用状況はいかがですか?
回答者: 昨年度は15名程度の採用予定でしたが、約20名が入社しました。
取材者: それは中途採用、新卒採用どちらですか?
回答者: どちらかというと中途採用がメインです。
取材者: 業績に関してですが、売上拡大の要因は、ビジネスフォン関連の業績が好調ということでしょうか?
回答者: そうですね。昨年の10月期は順調に売上が伸びており、前期比でビジネス層向けのサービスが大きく伸びています。売上の構成比ではモバイル向けが大きいので、通信キャリアとの関係構築も引き続き重要だと考えています。
2024年10月期でモバイル向けが伸びた背景は、モバイル向けの3つの契約のうち、固定契約と、契約者数×単価モデルの契約更改があり、単価が上昇したことが大きく寄与しています。
取材者: 通信キャリアとの関係強化により、新しいサービスを提案しているということですか?
回答者: 新たしいサービスというよりは、昨今の特殊詐欺被害が増えているという社会情勢の後押しもあり、単価アップでの契約更改をいただけました。最近の傾向として、類似サービスを展開している会社も増えてきているのでサービスの精度検証だけでなく、新しいサービスの提案なども行っています。
取材者: 貴社の株主還元策について、方針や戦略がありましたら教えてください。
回答者: 中期計画期間中は配当性向35%の基本方針とあわせ、配当の下限を20円に設定いたしました。2025年においては自社株株式の取得についても発表しており、総還元性向50%を見込んでいます。中期経営計画で掲げているように成長に向けた投資等を行う中でも、応援いただく株主の皆様に安心して投資いただけるように下限の配当を設定しました。
今度も株主の皆様に対して安定的な利益還元を行うとともに、自己株式の取得に関しても機動的に実施していきたい考えです。
取材者: 最後に、今後の見通しや中期経営計画の進捗状況、課題などございましたら教えてください。
回答者:昨年12月に発表した中期経営計画2028に掲げたとおり、特にビジネスフォン向けや新規事業を成長させることを目標に掲げています。採用活動においても引き続き積極的に実施する考えです。新規事業についても、進捗があり次第、適宜開示していきたいと考えています。
IR担当
