20250116
Q. 貴社のビジネスモデルはどういったものですか?
A. 当社は、迷惑電話やSMSをブロックするサービスを提供しており、2019年に上場しました。創業のきっかけは、創業者の祖父が原野商法の被害に遭ったことです。強みは、特殊詐欺などに使用される電話番号を常にアップデートしている迷惑情報データベースです。このデータベースは、約1,500万人のユーザーからの情報提供、警察などからのデータ提供、独自調査チームによる目視チェックにより、高い精度を誇っています。
Q. 警察からデータ提供を受けているそうですが、他社との違いはありますか?
A. 警察から実際に詐欺に使われた電話番号やSMSのデータ提供を受けていますが、当社と同じように同様のデータ提供を受けている会社もあります。しかしながら、当社は年間50億件以上の電話・メール・SMSを判定しており、その規模や精度は極めて高いものとなっています。
Q. モバイル向けサービスのビジネスモデルはどのようなものですか?
A. モバイル向けサービスは、主に通信キャリア向けのセキュリティオプションパックとして提供しています。ユーザーには通信キャリア経由で提供しており、当社が直接販売する形態ではありません。このため、販管費や広告宣伝費を抑え、高い利益率を確保できています。
Q. ビジネスフォン向けサービスにはどのような特徴がありますか?
A. ビジネスフォン向けサービスは、セキュリティ対策だけでなく、電話のDX化に特化したサービスであり、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2つの製品を提供しています。
「トビラフォン Biz」は、オフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。
「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
Q. 「トビラフォン Cloud」の販売戦略について教えてください。
A. 「トビラフォン Cloud」は、現在は直接販売を行っております。今後は代理店販売も検討しており、販売チャネルの拡大を目指しています。
Q. 中期経営計画における売上目標を教えてください。
A. 2028年に売上高60億円を目標としています。特に重点を置いている施策はビジネス向けと新規事業であり、合計で40億円を目標としています。モバイル向けと固定電話向けの目標を20億円としており、今後の成長がないように見えますが、そうではありません。モバイル向けや固定電話向けの成長も当然目指してまいりますが、主には通信キャリア向けの販売が主なものになると考えており、その金額や時期は計画に織り込むことは難しいため、計画の数値として含めていないものとなります。
Q. 新規事業の目標値はどのくらいですか?
A. 2028年に新規事業で10億円を目指しています。現在はビジネスアイデアを検討し、テストしている段階であり、具体的な内容は公表できません。当社は、強力な代理店網を活用することが可能と考えており、プロダクト完成後は迅速に販売をしてまいります。
Q. 成長投資と株主還元策について教えてください。
A. 成長投資としては、ビジネス向けサービスの強化、新規事業の開発、採用、人事制度の見直しなどを予定しています。また、M&Aや資本提携なども検討しています。株主還元については、配当性向35%を目標とし、20円の配当を下限として設定しています。2025年においては自己株式の取得も実施し、総還元性向は100%の見込みです。
取材者: 貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか?
回答者: 創業は2004年で、本社が名古屋にございます。従業員は昨年末でパート等含めると100名を超えたところで、社員構成としては技術者の割合が高い会社です。 拠点は名古屋と東京にございまして、名古屋がエンジニアと管理部門、東京が営業部門になっています。
現社長であり創業者の明田が、明田の祖父が原野商法という無価値な土地を売りつけられる詐欺被害に遭い、その事をきっかけにかかってくるようになった迷惑な電話に困っていました。困っている祖父を助けるために、当時色々サービスを探したそうですが見つからなかったので、ないのであれば自分で作ろうと開発に着手したことが事業のはじまりの経緯です。
取材者: 元々の経験からサービスを開始することを始めたのですね。
回答者: そうですね。その際に一番はじめに作ったのが2011年に開発した「トビラフォン」という製品で、固定電話に端末を取り付けるというサービスです。その後、警察との実証実験を行い、その後大手通信キャリアのオプションパックとしてデータベース提供等を経て2019年に上場しました。2016年から2017年にかけて売上が上がっているのは、大手通信キャリアにセキュリティオプションパックという形で導入いただいたことが収益に反映されたためです。
売上高としては毎年前年比を上回り安定的に成長しております。2021年の10月には、広告ブロックアプリの「280ブロッカー」を吸収合併し、現在はスタンダード市場に上場しております。
当社の強みは迷惑情報データベースだと捉えています。特殊詐欺などに使われる電話番号やSNSはすぐに使い回され足がはやいため、常にアップデートが必要になります。約1,500万人のユーザーからの報告や各警察から既に詐欺などに使われた電話番号やSMSのデータを受けています。また、提供された電話番号やURL情報をただデータベースに登録するのではなくて、当社独自で調査チームを抱えることでデータベースの精度を高めています。
取材者: 早急なチェックというのは、具体的にどのようなことをしているのですか?
回答者: 1件1件実際に電話をかけたり、SMSに記載されたURL等にアクセスをして確認したうえでデータベースに登録をしています。実際に他社との精度検証も行っていますが、他社と比較しても精度は高いと認識しています。
取材者: 先ほど沿革の中で警察との覚書のところも出てきましたが、警察からデータの提供を受けているのは、他社でも同様に行われているのですか?
回答者: 他社様でも受けていらっしゃる会社はあると聞いています。
取材者: つまり、貴社は他社と比べて、その情報をより正確に扱っているという点に強みがあるという理解でよろしいですか?
回答者: その認識で大丈夫だと思います。
回答者: この迷惑情報データをもとに、現在モバイル向けとビジネスフォン、それから固定電話向けにサービスを展開しています。売上高は昨年の10月期末で24億500万円で、そのうち約7割がモバイル向けの収益が占めています。次に伸びているのが、現在注力しているビジネスフォン向けです。こちらは法人向けに提供しています。
モバイル向けのものについては大きく2つあります。メインとなるのが通信キャリア向けのサービスです。これはソフトバンク、NTTドコモ、KDDI向けに提供しており、各社のセキュリティオプションパックに含めて提供しています。ビジネスモデルとしては、BtoBtoCです。
当社の利益率が高いところにご注目いただくことが多くありますが、この理由は、通信キャリア経由で販売を行っており、当社は開発に専念できることから、効率よく販売できていることが理由です。
もう1つは広告ブロックアプリ「280blocker」です。こちらは1回限り800円の買い切りで、App Storeで各ユーザーがご購入いただけるサービスです。
取材者: BtoBtoCはモバイル向けのモデルだけですか?
回答者:モバイルと固定電話向けサービスは通信キャリアを通じて提供しています。
回答者: 通信キャリアとの契約形態は3つに分かれていて、それぞれ各種キャリアで異なる契約を結んでいます。よくご質問として、どういったユーザーが利用されているのかとご質問をいただきますが、通信キャリア経由でアプリを販売しているため、当社がその情報は把握できておりません。利用者数の増加に向けての施策を各通信キャリアと適宜協議しています。
固定電話向けには大きく3つのサービスを販売しています。1つ目は従来型の端末を設置するタイプで、自治体での実証実験など無償提供される際にこの端末をお配りいただくことが多いです。 2つ目は、HGW向け、3つ目はケーブルテレビ向けサービスです。ネットワークの中で回線をブロックできるサービスであり、こちらが今主流になっています。
取材者: ネットワークの中で改善できるのですか?
回答者:ケーブルテレビ向けはお電話番号を電話などで申し込んでいただくことで、すぐにサービスをご利用可能です。
今、利用者の契約数が増えているのも、このケーブルテレビ向けのものになります。 ビジネスモデルとしてはモバイル向けとほとんど同じで、当社は通信キャリアにデータベースを提供して、そのライセンス費用として対価をいただいております。
次にビジネスフォン向けです。現在当社が注力しており、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2製品があります。「トビラフォンBiz」はオフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
取材者: ビジネスフォン向けのサービスは、セキュリティ機能に加えて、業務効率化やハラスメント対策といった、他のビジネスとは異なる要素に重点を置いているという理解でよろしいでしょうか?
回答者: おっしゃる通りです。迷惑電話ブロックという機能にプラスして、電話の録音や音声テキスト化、IVRなど、電話のDX化に特化したサービスとお考えいただければと思います。
回答者: この2製品はビジネスモデルが少し異なります。「トビラフォンBiz」は代理店販売の形をとっており、販売パートナー経由で法人ユーザー様に販売しております。 一方で「トビラフォンCloud」は、当社がリードからマーケティングまで実施し直接販売の形をとっています。
取材者: 「トビラフォンCloud」は直接販売で、「トビラフォンBiz」は代理店販売ということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 中計の中で「トビラフォンBiz」の販売加速が重点施策として挙げられていましたが、具体的な取り組みについて教えていただけますか?
回答者:「トビラフォンBiz」は代理店経由で販売しており、販売チャネルを増やすことを考えています。現状では提供できていないチャネルを獲得することで、販売量を増やしていきたいと考えています。
取材者: 具体的には、代理店チャネルをさらに増やしていくということですか?
回答者: そうです。
取材者: 「トビラフォンCloud」についてはいかがでしょうか?販売加速戦略や取り組みがあれば教えてください。
回答者: 「トビラフォンCloud」は、現在は直接販売ですが、将来的には「トビラフォンBiz」のように代理店販売に切り替えることも検討しており、協力できるパートナーを探しているところです。 また、「280blocker」など、当社が持つ他のサービスとの連携することで販売を加速できないかと考えています。
取材者: なるほど。ビジネスフォンに関しても、様々なチャネルとの連携を強化していくということですね。
回答者: そうです。当社が持っている強みを生かしつつ、新しいビジネスを始めることで成長を目指せると考えています。。
取材者: 中期経営計画では2028年に売上高60億円を掲げていますが、モバイル向けと固定電話向けの割合が伸びないと予想されているのはなぜですか?
回答者: 伸びないのではなく、計画上モバイルと固定電話向けの売上は入れていないことによるものです。モバイル向けと固定電話向けは通信キャリアの皆様との関係を強化して進める必要があり、相手のあることでありますので、計画数値としては織り込んでいません。中期経営計画では自分たちで伸ばせるビジネス層向けと新規事業に重点的に投資していきたいと考えています。
取材者: 新規事業の立ち上げ目標値はどのくらいですか?
回答者: 2028年までに10億円を目指しています。
取材者: 今は、まだ調査段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。社内では方向性は決まっているものの、現時点で公表できるものはありません。
回答者: 代理店とは既に良好な関係性を築けており、今後新しいサービスを出せた際にも、すぐに販売に移せるという点は強みだと考えています。
取材者: 代理店との関係性が非常に重要になってくるということですね。
回答者: 代理店との関係は非常に重要だと考えており、代理店向けに勉強会を開催するなど親密にコミュニケーションを取っています。
取材者: 体制の整備という点で、採用に関して何か戦略や取り組みなどがありましたら教えてください。
回答者: メンバーの拡充には力を入れていきたいと考えており、2028年度までに大幅に人員を増やしていく予定です。メーカーを目指していきたいという社長の考えもあり、1から製品を作れるという強みを活かすため、技術部と営業企画を中心に増員していく予定です。
取材者: 実際の採用状況はいかがですか?
回答者: 昨年度は15名程度の採用予定でしたが、約20名が入社しました。
取材者: それは中途採用、新卒採用どちらですか?
回答者: どちらかというと中途採用がメインです。
取材者: 業績に関してですが、売上拡大の要因は、ビジネスフォン関連の業績が好調ということでしょうか?
回答者: そうですね。昨年の10月期は順調に売上が伸びており、前期比でビジネス層向けのサービスが大きく伸びています。売上の構成比ではモバイル向けが大きいので、通信キャリアとの関係構築も引き続き重要だと考えています。
2024年10月期でモバイル向けが伸びた背景は、モバイル向けの3つの契約のうち、固定契約と、契約者数×単価モデルの契約更改があり、単価が上昇したことが大きく寄与しています。
取材者: 通信キャリアとの関係強化により、新しいサービスを提案しているということですか?
回答者: 新たしいサービスというよりは、昨今の特殊詐欺被害が増えているという社会情勢の後押しもあり、単価アップでの契約更改をいただけました。最近の傾向として、類似サービスを展開している会社も増えてきているのでサービスの精度検証だけでなく、新しいサービスの提案なども行っています。
取材者: 貴社の株主還元策について、方針や戦略がありましたら教えてください。
回答者: 中期計画期間中は配当性向35%の基本方針とあわせ、配当の下限を20円に設定いたしました。2025年においては自社株株式の取得についても発表しており、総還元性向50%を見込んでいます。中期経営計画で掲げているように成長に向けた投資等を行う中でも、応援いただく株主の皆様に安心して投資いただけるように下限の配当を設定しました。
今度も株主の皆様に対して安定的な利益還元を行うとともに、自己株式の取得に関しても機動的に実施していきたい考えです。
取材者: 最後に、今後の見通しや中期経営計画の進捗状況、課題などございましたら教えてください。
回答者:昨年12月に発表した中期経営計画2028に掲げたとおり、特にビジネスフォン向けや新規事業を成長させることを目標に掲げています。採用活動においても引き続き積極的に実施する考えです。新規事業についても、進捗があり次第、適宜開示していきたいと考えています。
20250116 CP&X
ビジネスモデル
迷惑情報データベースを基盤に、モバイル向け、ビジネスフォン向け、固定電話向けにサービスを展開。通信キャリアとの提携により、セキュリティオプションパックなどに同社の技術を提供。ビジネスフォン向けでは、迷惑電話ブロック機能に加え、電話の録音、書き起こし、音声品質向上など、電話のDX化に特化したサービスを提供。
創業の経緯と転機
創業者の祖父が原野商法の被害に遭い、迷惑電話に悩まされていたことをきっかけに、既存のサービスでは解決できないことから独自にサービスを開発。2011年に固定電話向け迷惑電話遮断装置「トビラフォン」を開発し、サービスを開始。2016年から2017年にかけて大手通信キャリアにセキュリティオプションパックとして導入されたことが転機となり、売上高が急増。
直近の決算状況
2024年10月期の売上高は24億500万円。そのうち約7割をモバイル向けが占める。ビジネスフォン向けサービスが大きく成長し、売上高を牽引。
成長戦略
ビジネスフォン向けサービスの販売チャネル拡大と代理店との連携強化を図る。代理店向け勉強会などを開催し、関係強化に注力。また、新規事業の創出にも注力し、2028年には売上高60億円を目指す。
株主還元策
2025年における配当性向は35%の見込み 。成長投資と株主還元を両立させ、安定的な配当を継続。自己株式の取得も実施。
今期の取り組みやトピックス
認知向上に向け、PR活動の強化に取り組んでおり、メディア露出が増加。同社の強みである迷惑情報データベースから得られる情報をもとにした、特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート等を適宜発信。
IR担当

トビラシステムズ(株)
東証STD 4441
決算:10月末日
Q. 貴社のビジネスモデルはどういったものですか?
A. 当社は、迷惑電話やSMSをブロックするサービスを提供しており、2019年に上場しました。創業のきっかけは、創業者の祖父が原野商法の被害に遭ったことです。強みは、特殊詐欺などに使用される電話番号を常にアップデートしている迷惑情報データベースです。このデータベースは、約1,500万人のユーザーからの情報提供、警察などからのデータ提供、独自調査チームによる目視チェックにより、高い精度を誇っています。
Q. 警察からデータ提供を受けているそうですが、他社との違いはありますか?
A. 警察から実際に詐欺に使われた電話番号やSMSのデータ提供を受けていますが、当社と同じように同様のデータ提供を受けている会社もあります。しかしながら、当社は年間50億件以上の電話・メール・SMSを判定しており、その規模や精度は極めて高いものとなっています。
Q. モバイル向けサービスのビジネスモデルはどのようなものですか?
A. モバイル向けサービスは、主に通信キャリア向けのセキュリティオプションパックとして提供しています。ユーザーには通信キャリア経由で提供しており、当社が直接販売する形態ではありません。このため、販管費や広告宣伝費を抑え、高い利益率を確保できています。
Q. ビジネスフォン向けサービスにはどのような特徴がありますか?
A. ビジネスフォン向けサービスは、セキュリティ対策だけでなく、電話のDX化に特化したサービスであり、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2つの製品を提供しています。
「トビラフォン Biz」は、オフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。
「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
Q. 「トビラフォン Cloud」の販売戦略について教えてください。
A. 「トビラフォン Cloud」は、現在は直接販売を行っております。今後は代理店販売も検討しており、販売チャネルの拡大を目指しています。
Q. 中期経営計画における売上目標を教えてください。
A. 2028年に売上高60億円を目標としています。特に重点を置いている施策はビジネス向けと新規事業であり、合計で40億円を目標としています。モバイル向けと固定電話向けの目標を20億円としており、今後の成長がないように見えますが、そうではありません。モバイル向けや固定電話向けの成長も当然目指してまいりますが、主には通信キャリア向けの販売が主なものになると考えており、その金額や時期は計画に織り込むことは難しいため、計画の数値として含めていないものとなります。
Q. 新規事業の目標値はどのくらいですか?
A. 2028年に新規事業で10億円を目指しています。現在はビジネスアイデアを検討し、テストしている段階であり、具体的な内容は公表できません。当社は、強力な代理店網を活用することが可能と考えており、プロダクト完成後は迅速に販売をしてまいります。
Q. 成長投資と株主還元策について教えてください。
A. 成長投資としては、ビジネス向けサービスの強化、新規事業の開発、採用、人事制度の見直しなどを予定しています。また、M&Aや資本提携なども検討しています。株主還元については、配当性向35%を目標とし、20円の配当を下限として設定しています。2025年においては自己株式の取得も実施し、総還元性向は100%の見込みです。
取材者: 貴社のビジネスモデル、事業内容について、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか?
回答者: 創業は2004年で、本社が名古屋にございます。従業員は昨年末でパート等含めると100名を超えたところで、社員構成としては技術者の割合が高い会社です。 拠点は名古屋と東京にございまして、名古屋がエンジニアと管理部門、東京が営業部門になっています。
現社長であり創業者の明田が、明田の祖父が原野商法という無価値な土地を売りつけられる詐欺被害に遭い、その事をきっかけにかかってくるようになった迷惑な電話に困っていました。困っている祖父を助けるために、当時色々サービスを探したそうですが見つからなかったので、ないのであれば自分で作ろうと開発に着手したことが事業のはじまりの経緯です。
取材者: 元々の経験からサービスを開始することを始めたのですね。
回答者: そうですね。その際に一番はじめに作ったのが2011年に開発した「トビラフォン」という製品で、固定電話に端末を取り付けるというサービスです。その後、警察との実証実験を行い、その後大手通信キャリアのオプションパックとしてデータベース提供等を経て2019年に上場しました。2016年から2017年にかけて売上が上がっているのは、大手通信キャリアにセキュリティオプションパックという形で導入いただいたことが収益に反映されたためです。
売上高としては毎年前年比を上回り安定的に成長しております。2021年の10月には、広告ブロックアプリの「280ブロッカー」を吸収合併し、現在はスタンダード市場に上場しております。
当社の強みは迷惑情報データベースだと捉えています。特殊詐欺などに使われる電話番号やSNSはすぐに使い回され足がはやいため、常にアップデートが必要になります。約1,500万人のユーザーからの報告や各警察から既に詐欺などに使われた電話番号やSMSのデータを受けています。また、提供された電話番号やURL情報をただデータベースに登録するのではなくて、当社独自で調査チームを抱えることでデータベースの精度を高めています。
取材者: 早急なチェックというのは、具体的にどのようなことをしているのですか?
回答者: 1件1件実際に電話をかけたり、SMSに記載されたURL等にアクセスをして確認したうえでデータベースに登録をしています。実際に他社との精度検証も行っていますが、他社と比較しても精度は高いと認識しています。
取材者: 先ほど沿革の中で警察との覚書のところも出てきましたが、警察からデータの提供を受けているのは、他社でも同様に行われているのですか?
回答者: 他社様でも受けていらっしゃる会社はあると聞いています。
取材者: つまり、貴社は他社と比べて、その情報をより正確に扱っているという点に強みがあるという理解でよろしいですか?
回答者: その認識で大丈夫だと思います。
回答者: この迷惑情報データをもとに、現在モバイル向けとビジネスフォン、それから固定電話向けにサービスを展開しています。売上高は昨年の10月期末で24億500万円で、そのうち約7割がモバイル向けの収益が占めています。次に伸びているのが、現在注力しているビジネスフォン向けです。こちらは法人向けに提供しています。
モバイル向けのものについては大きく2つあります。メインとなるのが通信キャリア向けのサービスです。これはソフトバンク、NTTドコモ、KDDI向けに提供しており、各社のセキュリティオプションパックに含めて提供しています。ビジネスモデルとしては、BtoBtoCです。
当社の利益率が高いところにご注目いただくことが多くありますが、この理由は、通信キャリア経由で販売を行っており、当社は開発に専念できることから、効率よく販売できていることが理由です。
もう1つは広告ブロックアプリ「280blocker」です。こちらは1回限り800円の買い切りで、App Storeで各ユーザーがご購入いただけるサービスです。
取材者: BtoBtoCはモバイル向けのモデルだけですか?
回答者:モバイルと固定電話向けサービスは通信キャリアを通じて提供しています。
回答者: 通信キャリアとの契約形態は3つに分かれていて、それぞれ各種キャリアで異なる契約を結んでいます。よくご質問として、どういったユーザーが利用されているのかとご質問をいただきますが、通信キャリア経由でアプリを販売しているため、当社がその情報は把握できておりません。利用者数の増加に向けての施策を各通信キャリアと適宜協議しています。
固定電話向けには大きく3つのサービスを販売しています。1つ目は従来型の端末を設置するタイプで、自治体での実証実験など無償提供される際にこの端末をお配りいただくことが多いです。 2つ目は、HGW向け、3つ目はケーブルテレビ向けサービスです。ネットワークの中で回線をブロックできるサービスであり、こちらが今主流になっています。
取材者: ネットワークの中で改善できるのですか?
回答者:ケーブルテレビ向けはお電話番号を電話などで申し込んでいただくことで、すぐにサービスをご利用可能です。
今、利用者の契約数が増えているのも、このケーブルテレビ向けのものになります。 ビジネスモデルとしてはモバイル向けとほとんど同じで、当社は通信キャリアにデータベースを提供して、そのライセンス費用として対価をいただいております。
次にビジネスフォン向けです。現在当社が注力しており、「トビラフォン Biz」と「トビラフォン Cloud」の2製品があります。「トビラフォンBiz」はオフィス電話に必要とされる便利な機能を1台に集約したサービスです。既存の電話環境にプラスで設置することで、悪質営業や迷惑FAXなどを一括でブロックする「迷惑電話対策」、聞き逃しや顧客とのトラブル防止に役立つ「通話録音システム」、通話履歴や電話帳などの管理がクラウド上で可能な「集中管理システム」などの機能が利用可能です。「トビラフォン Cloud」はフルクラウド型のビジネスフォンサービスです。スマートフォンに「トビラフォン Cloud」アプリをインストールすることで、外線・内線・転送・グループ着信・IVR(自動音声応答)・通話録音など、ビジネスフォンに必要な機能が利⽤できます。1台のスマートフォンで、電話番号や通話料を私⽤と社⽤で簡単に使い分けられます。
取材者: ビジネスフォン向けのサービスは、セキュリティ機能に加えて、業務効率化やハラスメント対策といった、他のビジネスとは異なる要素に重点を置いているという理解でよろしいでしょうか?
回答者: おっしゃる通りです。迷惑電話ブロックという機能にプラスして、電話の録音や音声テキスト化、IVRなど、電話のDX化に特化したサービスとお考えいただければと思います。
回答者: この2製品はビジネスモデルが少し異なります。「トビラフォンBiz」は代理店販売の形をとっており、販売パートナー経由で法人ユーザー様に販売しております。 一方で「トビラフォンCloud」は、当社がリードからマーケティングまで実施し直接販売の形をとっています。
取材者: 「トビラフォンCloud」は直接販売で、「トビラフォンBiz」は代理店販売ということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 中計の中で「トビラフォンBiz」の販売加速が重点施策として挙げられていましたが、具体的な取り組みについて教えていただけますか?
回答者:「トビラフォンBiz」は代理店経由で販売しており、販売チャネルを増やすことを考えています。現状では提供できていないチャネルを獲得することで、販売量を増やしていきたいと考えています。
取材者: 具体的には、代理店チャネルをさらに増やしていくということですか?
回答者: そうです。
取材者: 「トビラフォンCloud」についてはいかがでしょうか?販売加速戦略や取り組みがあれば教えてください。
回答者: 「トビラフォンCloud」は、現在は直接販売ですが、将来的には「トビラフォンBiz」のように代理店販売に切り替えることも検討しており、協力できるパートナーを探しているところです。 また、「280blocker」など、当社が持つ他のサービスとの連携することで販売を加速できないかと考えています。
取材者: なるほど。ビジネスフォンに関しても、様々なチャネルとの連携を強化していくということですね。
回答者: そうです。当社が持っている強みを生かしつつ、新しいビジネスを始めることで成長を目指せると考えています。。
取材者: 中期経営計画では2028年に売上高60億円を掲げていますが、モバイル向けと固定電話向けの割合が伸びないと予想されているのはなぜですか?
回答者: 伸びないのではなく、計画上モバイルと固定電話向けの売上は入れていないことによるものです。モバイル向けと固定電話向けは通信キャリアの皆様との関係を強化して進める必要があり、相手のあることでありますので、計画数値としては織り込んでいません。中期経営計画では自分たちで伸ばせるビジネス層向けと新規事業に重点的に投資していきたいと考えています。
取材者: 新規事業の立ち上げ目標値はどのくらいですか?
回答者: 2028年までに10億円を目指しています。
取材者: 今は、まだ調査段階ということでしょうか?
回答者: そうですね。社内では方向性は決まっているものの、現時点で公表できるものはありません。
回答者: 代理店とは既に良好な関係性を築けており、今後新しいサービスを出せた際にも、すぐに販売に移せるという点は強みだと考えています。
取材者: 代理店との関係性が非常に重要になってくるということですね。
回答者: 代理店との関係は非常に重要だと考えており、代理店向けに勉強会を開催するなど親密にコミュニケーションを取っています。
取材者: 体制の整備という点で、採用に関して何か戦略や取り組みなどがありましたら教えてください。
回答者: メンバーの拡充には力を入れていきたいと考えており、2028年度までに大幅に人員を増やしていく予定です。メーカーを目指していきたいという社長の考えもあり、1から製品を作れるという強みを活かすため、技術部と営業企画を中心に増員していく予定です。
取材者: 実際の採用状況はいかがですか?
回答者: 昨年度は15名程度の採用予定でしたが、約20名が入社しました。
取材者: それは中途採用、新卒採用どちらですか?
回答者: どちらかというと中途採用がメインです。
取材者: 業績に関してですが、売上拡大の要因は、ビジネスフォン関連の業績が好調ということでしょうか?
回答者: そうですね。昨年の10月期は順調に売上が伸びており、前期比でビジネス層向けのサービスが大きく伸びています。売上の構成比ではモバイル向けが大きいので、通信キャリアとの関係構築も引き続き重要だと考えています。
2024年10月期でモバイル向けが伸びた背景は、モバイル向けの3つの契約のうち、固定契約と、契約者数×単価モデルの契約更改があり、単価が上昇したことが大きく寄与しています。
取材者: 通信キャリアとの関係強化により、新しいサービスを提案しているということですか?
回答者: 新たしいサービスというよりは、昨今の特殊詐欺被害が増えているという社会情勢の後押しもあり、単価アップでの契約更改をいただけました。最近の傾向として、類似サービスを展開している会社も増えてきているのでサービスの精度検証だけでなく、新しいサービスの提案なども行っています。
取材者: 貴社の株主還元策について、方針や戦略がありましたら教えてください。
回答者: 中期計画期間中は配当性向35%の基本方針とあわせ、配当の下限を20円に設定いたしました。2025年においては自社株株式の取得についても発表しており、総還元性向50%を見込んでいます。中期経営計画で掲げているように成長に向けた投資等を行う中でも、応援いただく株主の皆様に安心して投資いただけるように下限の配当を設定しました。
今度も株主の皆様に対して安定的な利益還元を行うとともに、自己株式の取得に関しても機動的に実施していきたい考えです。
取材者: 最後に、今後の見通しや中期経営計画の進捗状況、課題などございましたら教えてください。
回答者:昨年12月に発表した中期経営計画2028に掲げたとおり、特にビジネスフォン向けや新規事業を成長させることを目標に掲げています。採用活動においても引き続き積極的に実施する考えです。新規事業についても、進捗があり次第、適宜開示していきたいと考えています。
20250116 CP&X
ビジネスモデル
迷惑情報データベースを基盤に、モバイル向け、ビジネスフォン向け、固定電話向けにサービスを展開。通信キャリアとの提携により、セキュリティオプションパックなどに同社の技術を提供。ビジネスフォン向けでは、迷惑電話ブロック機能に加え、電話の録音、書き起こし、音声品質向上など、電話のDX化に特化したサービスを提供。
創業の経緯と転機
創業者の祖父が原野商法の被害に遭い、迷惑電話に悩まされていたことをきっかけに、既存のサービスでは解決できないことから独自にサービスを開発。2011年に固定電話向け迷惑電話遮断装置「トビラフォン」を開発し、サービスを開始。2016年から2017年にかけて大手通信キャリアにセキュリティオプションパックとして導入されたことが転機となり、売上高が急増。
直近の決算状況
2024年10月期の売上高は24億500万円。そのうち約7割をモバイル向けが占める。ビジネスフォン向けサービスが大きく成長し、売上高を牽引。
成長戦略
ビジネスフォン向けサービスの販売チャネル拡大と代理店との連携強化を図る。代理店向け勉強会などを開催し、関係強化に注力。また、新規事業の創出にも注力し、2028年には売上高60億円を目指す。
株主還元策
2025年における配当性向は35%の見込み 。成長投資と株主還元を両立させ、安定的な配当を継続。自己株式の取得も実施。
今期の取り組みやトピックス
認知向上に向け、PR活動の強化に取り組んでおり、メディア露出が増加。同社の強みである迷惑情報データベースから得られる情報をもとにした、特殊詐欺・フィッシング詐欺に関するレポート等を適宜発信。
IR担当