
(株)シノプス
東証GRT 4428
決算:12月末日
20251126
CP&X
【2025年12月期第3四半期】
決算概要
2025年12月期第3四半期の売上高は1,468百万円(YoY+15.2%)、営業利益は207百万円(YoY +223.0%)、経常利益は209百万円(YoY+226.8%)で、増収増益で着地した。通期目標の達成に向けて、売上・利益ともに順調に推移している。
セグメント別または事業別の増減要因
当社は「sinops事業」の単一セグメントである。
コアサービスである「sinops-CLOUD」では既存ユーザーのアップセル・クロスセルや新規ユーザーへの導入が主要因となり、売上が拡大。ARRも14.3%増と成長を継続している。また、既存ユーザーの製品ライセンス追加によりパッケージ売上が大幅に増加したこと及びクラウド売上の拡大により、売上総利益が大きく増加している。お客様の導入効果に対して費用をいただく基本方針に変更はないが、足元の人件費上昇や物価高等の情勢を鑑み、物価上昇に見合うだけの価格転化などは適宜検討する。
中長期を見据えた新規サービスである「DeCM-PF」では、物流業界の「2024年問題」や食品流通の持続性確保への課題に対応するためニーズが高まっており、官民連携した実証プロジェクトによるサービス拡張や、営業活動を進めている。
同様に「sinops-WLMS」では、小売業における労働需給のひっ迫や人件費・物流費の上昇が続く中、人時生産性の改善・向上ニーズが高く、既存・新規ユーザーへの提案、実証実験を行い、収益化への取り組みを着実に進めている。
主要KPIの進捗と変化
収益の安定性と成長性を示すストック型指標である「ARR」が、既存ユーザーへのクラウド製品追加・店舗展開 、および新規ユーザーとのクラウド契約により着実に進捗している。
また、ARRは店舗数×導入サービス数×単価で構成されている。クラウド各サービスの導入期間短縮の取り組みが功を奏し、「既存ユーザーの店舗あたりのサービス数」が4.1サービス(YoY+0.5アカウント)に増加しており、これは新規顧客獲得だけでなく既存顧客のクロスセルも順調に進んでいることを示している。
季節性・一過性要因の有無と影響
第3四半期には、一過性要因は特に発生していない。
なお、長期預金500百万円を流動資産に振り替えているが、これは当該預金が満期日までの期間が1年未満となったことによる会計上の処理によるものであり、特定の用途のためのものではない。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績目標に対する進捗率は、売上高が69.3%、営業利益が58.4%であり、ほぼ想定通りに進捗している。
前年比では大きく向上しているものの、営業利益の進捗率58.4%は通期予想に対しては一見低いように見えるが、期末に向けて導入支援・クラウドの売上規模が大きくなることに伴い、固定費比率も低下し、利益の絶対額及び利益率の改善を見込んでおり、現状の進捗は計画の範囲内であると認識している。クラウド案件の受注が本格化しはじめたことでARRは14.3%増の1,513百万円と積み上がっている。未達リスクとしては、導入支援売上の期ずれリスクがある。大型のプロジェクトに係る導入支援売上等が、顧客側の検討期間の延長や経営判断の変更等により、翌期へ繰り延べられるリスクが存在するが、昨年度の反省を踏まえ、特定の単一案件の動向で業績予想が大幅修正となるような予算組みは避けている。
トピックス
中長期成長に向けて事業領域を拡大する新サービス「DeCM-PF」「sinops-WLMS」がそれぞれ進捗している。
「DeCM-PF」は伊藤忠商事と共同で提供する、食品ディマンドチェーンマネジメント(DeCM)構築のためのプラットフォームであり、需要予測を活用して製・配・販を最適化することを目的としている。機能拡大に向けて官民連携した実証プロジェクトを実施しており、段階的なサービス拡充や収益化が進んでいる。「sinops-WLMS」は小売業の人時生産性改善・向上を目的としたAIサービスであり、拡販や機能拡充を継続し小売業のお客様から好感をいただいている。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年12月期第2四半期は、売上高995百万円で前年同期比20.7%増加、営業利益178百万円で同647.5%増加、経常利益179百万円で同641.3%増加、中間純利益115百万円で同718.7%増加と、大幅な増収増益を達成した。この要因の1つは、期首の計画にはなかった「sinops」シリーズの周辺サービスである賞味期限チェックサービスが、ユーザーの要望により導入されたことでパッケージ売上高が増加したことである。このシステムは、商品の賞味期限の確認業務を支援するものである。また、既存ユーザーのアップセル・クロスセルが順調に進捗したことや、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が製品改善により抑制できたこと等によりコストの増加が抑えられたことも増収増益の要因として寄与している。
セグメント別または事業別の増減要因
人的資本に関するサービス(sinops-WLMS)は、小売業全体をターゲットにしており 、ホームセンター系の複数の顧客でトライアルが決まっている。ホームセンターはスーパーに比べて利益率がかなり高い傾向にあるため、業績の良い企業との契約につながっている。
主要KPIの進捗と変化
第2四半期までのARR(年間経常収益)はほぼ順調。第3、第4四半期に向けては、ターゲットである小売業がインフレ、人件費上昇などの影響を受けていることからプラス面とマイナス面の両方が見られる。プラス面としては、業績の良い顧客は利益率改善のための投資意欲がさらに高まっており、横展開や新サービス追加検討の声が増加している。一方、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業が、サービス導入のペースを緩める懸念がある。採用状況は、第2四半期時点では計画に対して10名弱の未達であり、中途採用が計画を下回った。
季節性・一過性要因の有無と影響
業績に大きく影響する一過性の要因はなさそうである。季節性の要因もあまりない。猛暑や大雨による顧客の売上鈍化はあったが、当社のサービス利用を停止することにはつながっておらず、むしろ顧客への支援を通じて関係性の強化につながっている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績予想について、昨年11月に業績予想を修正したような事態は避ける方針であり、現時点ではその可能性はなさそうであると述べている。
トピックス
当社は、サプライチェーン全体の最適化を推進する「DeCM-PF」プロジェクトに注力している。当社の予測データを活用し、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に延長することで、無駄な在庫を削減することを目指している。特売品の発注リードタイムを14日まで延長するサービスの先行事例が成功し 、参加メーカーは100社を突破した。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、需要予測・自動発注サービス「sinops」シリーズで業績を拡大しています。需要予測市場で安定シェアを獲得した後も長期的に成長を継続できるよう、既存サービス以外への事業拡大と、サプライチェーン全体のDX化を推進しています。
当社の今期のパッケージ売上高成長をけん引したのは、「sinops」シリーズの周辺サービスである賞味期限チェックサービスです。期首の計画にはなかったものの、当社の需要予測・自動発注の周辺サービスとして提供している賞味期限チェックサービスのパッケージが、ユーザーからの要望によって導入されました。このパッケージにより、手作業で月におよそ100時間かかっていた賞味期限チェック業務を15分の1に短縮できます。このサービスは今後も人手不足に悩むスーパーマーケットからニーズがあると考えております。
また、当社の長期的な成長戦略の核となるのは、サプライチェーン全体を最適化する「DeCM-PF」プロジェクトと、人的資源最大化AIサービス「WLMS」です。
「DeCM-PF」は当社の自動発注システムが持つ正確な需要予測データを活用し、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に延長します。これにより、メーカーは無駄な在庫を抱えることがなくなります。無駄な在庫を削減できたメーカーから利用料をいただき、その一部を小売業者に還元するシェアモデルを実施しております。この取り組みは当社の小売ユーザー2社で成功しており、今後は特に大手のユーザーに拡大していく予定です。小売業者に直接改善効果が出るものではなく、全体最適の効果を間接的に還元するモデルであるため、浸透には時間がかかりますが、その分、完成した際には在庫に関するインフラとして、他社の追随を許さない優位性が確立できると考えています。
Q:通期業績の見通しについてご説明ください。
A:現時点で具体的な数字は申し上げられませんが、去年11月に業績予想の修正を発表したようなことがないように取り組んでおり、現時点ではその可能性はなさそうです。
当社のARR(年間経常収益)は、第2 四半期までは順調に推移しましたが、第3、第4四半期に向けてプラス面とマイナス面の両方が出ています。プラス面としては、業績が良いお客様ほど横展開や新しいサービスの追加導入を前倒しで進めたいという声が増えています。一方で、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業から、サービス導入のペースを緩めたいという話が来ることが懸念されます。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aについては検討を進めています。当社の売上を数倍にするような大きな案件はすぐには見当たらず、現状は社員数と同規模の、非常に効果がありそうな案件が複数ある状況です。
取材者:まず初めに、2025年12月期第2四半期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は995百万円で、前年同期比20.7%の増加です。営業利益は178百万円で同647.5%の増加、経常利益は179百万円で同641.3%の増加、中間純利益は115百万円で同718.7%の増加となりました。
大幅な増収増益であり、業績予想に向けても順調な進捗だと存じます。増減の要因についてご説明をお願いできますか?
回答者:増減の要因は、まずパッケージの部分です。期首の計画にはなかったパッケージ案件が、ユーザー様からの要望により導入が決定したことが、増加の大きな要因となりました。このシステムは、食品 の賞味期限チェック業務を支援するものです。この業務を全て手作業で行うと、月におよそ100時間かかります。当社のシステムでは、その時点で、直近で期限が切れる商品を登録しておくことで、次の確認が必要になるタイミングをシステムが把握します。これにより、毎月チェックする必要がなくなり、チェック時間を15分の1に短縮できます。これは、人手不足に悩むスーパーマーケットのニーズに合致しており、今回は比較的規模の大きいお客様だったこともあり、大きな商談となりました。
取材者:その商談は、既存のユーザー様との関係強化による横展開がうまくいったという認識でよろしいですか?
回答者:はい、おっしゃる通りです。当社と良好な関係を築いている既存のユーザー様からお声がけをいただきました。
取材者:前回お話いただいた際に、今後は人的資本に関わるサービスをどんどん提供していきたいというお話がありましたが、そちらの進捗はいかがですか?
回答者:そちらについては、今年はまずトライアルを実施するユーザーと契約を結び、しっかりと効果を証明し、利用料契約に進むことをミッションとしています。すでに複数のユーザー様でトライアルを開始しています。計画に対してほぼ順調に進んでいると考えています。当初は主にスーパーマーケットをターゲットにしていましたが、純粋なスーパーマーケットは1社で、残りはホームセンター系の複数のお客様でトライアルが決まりました。若干見込みとはずれていますが、ホームセンターはスーパーに比べて利益率がかなり高い傾向にあります。契約してくれたユーザーは業績が良い企業が多く、業績が悪いお客様は「ぜひやりたいが、今期は予算が確保できない」といった理由で導入が延期になるケースがあります。
取材者:人的資本以外のサービスについて、スーパーマーケット以外への販路拡大の進捗はいかがですか?
回答者:自動発注系サービスにつきましては、スーパーマーケット以外の専門店、具体的にはドラッグストア、コンビニ、家電量販店などで少し成果が見え始めていますが、今期は食品スーパーマーケットを最優先に営業活動を進めています。
取材者:サービスの増加やクラウド利用店舗数の増加に伴う、前期比での人員の採用状況の推移はいかがですか?
回答者:人員数は、それほど大きく伸びてはいません。
取材者:計画と比較してはいかがですか?
回答者:計画と比較して、10名弱の未達となっています。
取材者:計画に届かなかった要因はどのようなところにあるとお考えですか?
回答者:新卒採用は計画通り10名ほど採用できましたが、中途採用が計画を下回りました。退職者を見込んで多めに採用計画を立てていましたが、昨今の売り手市場で一定数の退職があったこともあり、人員数を伸ばせませんでした。
取材者:下期に向けて採用をさらに強化していくご予定ですか?
回答者:はい、採用は強化していきます。一方で、既存業務の効率化も進めており、管理職を含めて少ない人員でも対応できるように業務の見直しを行っています。また、生成AIなどの新しい技術も活用し、当初の計画よりも少ない人員で業務を回せているという現状もあります。今後はこの実態をしっかり見極めて、今後の採用計画に反映していきたいと考えています。
取材者:貴社が重要視しているARRの推移について、計画に対する進捗はいかがですか?
回答者:第2四半期まではほぼ順調でしたが、第3、第4四半期に向けてはプラス面とマイナス面の両方が出ています。プラス面としては、業績が良いお客様ほど横展開を前倒しで進めたい、あるいは新しいサービスを追加で検討したいという声が増えています。一方、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業様から、サービス導入のペースを緩めたい、あるいは下期の導入が微妙だといった話がいくつか来る懸念があります。営業担当は計画を上回るように尽力していますが、まだまだ予断を許さない状況です。
取材者:その他に業績に影響を与えた一過性の要因や季節性の要因はございますか?
回答者:季節性の要因はあまりないと思います。今年は猛暑でしたが、暑すぎるとスーパーの売り上げは鈍化する傾向にあります。水不足などで食料品よりまず水をという購買行動になったり、傷みやすいものを買いたがらないといった影響が各お客様から出ましたが、それが当社のサービス利用を停止することにつながるような話は一切聞いておりません。大雨などの際も、一時的な閉店などを行うお客様への支援も行なっており、そういった活動は高く評価されています。
取材者:逆にそういった状況が、関係性の強化につながったということですね。
回答者:毎年何かしらの一時的な要因はありますが、今のところ業績に大きく影響するような一過性の要因はなさそうです。去年は本社移転後に退職者が予定外に多かったということがありましたが、今年はそういった大きな環境変化がありません。
取材者:ARR以外に重要視している指標はございますか?
回答者:公式な指標にはしていませんが、お客様が当社のサービスをどの程度活用しているかという、「発注勧告の採用率」を把握しています。サービスの利用が進んでいない状態が続くと解約リスクが高まるため、その数値を追っています。例えば100店舗あるお客様のうち、10店舗ほどは新店舗などでまだうまく使えていないという状況があるため、CS活動のチームを作り、弊社から「この店舗はこういう状況ですが大丈夫でしょうか?」と積極的に働きかける取り組みを本格的に始めています。
取材者:業績予想の見通しはいかがですか?
回答者:現時点で何%という具体的な数字は申し上げられませんが、去年11月に業績予想の修正を発表したようなことがないように取り組んでいます。現時点ではその可能性はなさそうだというふうに考えております。
取材者:M&Aや業務提携の実施の有無や検討状況について、お答えできる範囲でお聞かせいただけますか?
回答者:M&Aについても検討はしております。当社の売上を数倍にするような大きな案件はすぐには見当たらず、現状は社員数と同規模の、非常に効果がありそうな案件が複数あるといった状況です。
取材者:株主還元の方針について変更はございましたか?
回答者:従来の計画通り、配当性向40%を維持し、今年は去年から1円増配の年間16円の配当を予定しております。
取材者:最後に、足元の状況で何かトピックスやニュースリリースはございますか?
回答者:はい、DeCM-PFのプロジェクトに力を入れています。当社の自動発注システムは、人が発注するよりも正確な需要予測が可能です。この予測データを活用して、製販連携(製造・販売の連携)を進めています。従来、小売業者が需要予測を卸売業者やメーカーに共有しても、それが確定した発注ではないため、在庫確保に繋がらずあまり活用が進まないという問題がありました。当社はこの慣習を変えようと、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に伸ばす取り組みを進めています。例えば、特売品については、従来の6日程度から14日まで延長することに成功しました。従来は直前に追加発注が50%程度発生していましたが、当社のサービスを導入した企業では、2週間前に発注が確定し、直前の追加発注は数パーセントにまで抑えられています。このインパクトが大きかったため、参加メーカーが100社を突破しました。
当社のシステムは、需要予測をした上で小売業者に発注を確定してもらうため、それが確定した発注データとして卸売業者やメーカーに流れます。従来のように、「1万ケース買うかも」という不確定な情報ではなく、実際の確定発注が流れるため、卸売業者やメーカーは無駄な在庫を抱えることがなくなります。
この取り組みは当社の小売ユーザー2社で成功しており、今後は特に大手のユーザー様に拡大していく予定です。自動発注システム自体は他社も提供していますが、当社の目指す「DeCM-PF」は単なる自動発注ではなく、小売業者を中心としたサプライチェーン全体のインフラを構築するものです。このインフラが完成すれば、他社の追随を許さない優位性が確立できると考えています。また、この取り組みのメリットとして、メーカーから利用料をいただき、その一部を小売業者に還元するシェアモデルをこの2社で実施しています。これにより、小売業者にも実利があり、メーカーや卸売業者は負担が減り、物流業務の効率も上がります。こうした効果によって、当社のシステムを導入する動機が、自社の業務改善だけでなく、サプライチェーン全体の改善への貢献へと変わっていくことを目指しています。
取材者:検証期間が終わり、今期から本格的に提案を進めていくということですか?
回答者:はい、そうです。今はこの取り組みをさらに進めており、特売品だけでなく、定番商品の発注リードタイムも伸ばそうとしています。従来の1日、2日から、7日まで延長することを目指しています。
この取り組みが成功すれば、卸売業者やメーカーは予測をすることなく、発注を受けてから手配すればよい受注生産に切り替えられます。これにより、さらなる業務改善が進みます。また、卸売業者から見たら7日前に発注勧告が確定し、小売業者の発注担当者から見たら今まで通りのタイミングで発注勧告が来るという実質リードタイムを伸ばす試みも、ある小売業者様で実験中です。
取材者:そういった先の部分に関しても、結果が出るのはもう少し先ですか?
回答者:実験については今期、この秋口には成果が出ると思います。経産省の補助事業にも選ばれており、来年3月にはレポートを出すことになっていますので、そちらでも公開できるかと思います。
取材者:承知いたしました。結果なども非常に楽しみです。
回答者:ここまで進めば、卸売業者やメーカーは受注してから発注する業務が自動化できますので、クレームがなくなります。実は、隠れた問題として卸売業者やメーカーの受注担当者の高齢化があり、若手はクレームを言われるため定着しないという悩みがありました。このサービスを使い始めてからは、小売業者が欠品しないため、不用意な追加発注でも在庫がなくても、小売業者は「貴社は悪くない」と言ってくれるようになり、怒られなくなったそうです。
取材者:そういった影響もあるのですね。
回答者:はい。現場では「ぜひ進めてほしい」という反応が多いです。今までは理不尽な急な大量発注など、業界的にグレーで許されていたことがありましたが、このサービスを導入すれば、誰かが我慢するのではなく、皆で利益をシェアしながら効率的な運営ができるようになります。
代表取締役社長 岡本数彦 様
管理部管掌取締役 武谷克裕 様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
2025年12月期第1四半期の売上高は454百万円(YoY+17.6%)、営業利益は43百万円(YoY +438.0%)、経常利益は44百万円(YoY+461.5%)で、増収増益で着地した。通期目標の達成に向けて、売上・利益ともに順調に推移している。
セグメント別または事業別の増減要因
当社は「sinops事業」の単一セグメントである。ターゲットである小売業の生産性の向上・業務効率化のためのIT投資は引き続き高い水準で推移しており、sinopsシリーズは順調に導入拡大。お客様の導入効果に対して費用をいただく基本方針に変更はないが、足元の人件費上昇や物価高等の情勢を鑑み、物価上昇に見合うだけの価格転化などは適宜検討する。
主要KPIの進捗と変化
通期業績目標に対する進捗率は、売上高が21.4%、営業利益が12.3%である。売上高・営業利益ともほぼ想定通りに進捗している。また、営業利益率が9.6%(YoY+7.5pt増)まで向上した要因としては、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が製品改善により抑えられていること及び利益率の高いパッケージ売上高を計上したことが貢献している。
主要なKPIとしては、ARR(ストック売上)の着実な増加が注視すべき指標である。ARRは店舗数×導入サービス数×単価で構成されており、先行指標は非開示であるものの、既存ユーザーの店舗あたりのサービス数が3.9サービス(YoY+0.6アカウント)に増加しており、これは新規顧客獲得だけでなく既存顧客のクロスセルも順調に進んでいることを示している。
季節性・一過性要因の有無と影響
第1四半期には、一過性要因は特に発生していない。
※大規模な企業であるほど、システム導入の意思決定プロセスに時間を要するため、小売業の決算期が多い2月から商談を開始した場合、システム稼働開始が12月頃になることも多く、当社としての売上計上時期も下期に偏重する傾向があった。パッケージのライセンス一括販売では売上偏重が顕著に表れてしまうため、初期投資が抑えられるクラウドサービスをメインとするようビジネスモデル転換を行い、現在では季節性は緩和されている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績目標に対して、前年比では大きく向上しているものの、営業利益の進捗率は12.3%である。期末に向けて導入支援・クラウドの売上規模が大きくなることに伴い、固定費比率も低下し、利益の絶対額及び利益率の改善を見込んでいる。通期の営業利益率は16.7%で計画に変更はない。クラウド案件の受注が本格化する見込みの第3四半期以降の業績進捗が、通期目標の達成度を左右する要素となる。
トピックス
今後の中長期成長を担う新サービス「DeCM-PF」「sinops-WLMS」がそれぞれ進捗している。
「DeCM-PF」は参画メーカー数が順調に増加し、当初はトップ30社のメーカー参画を目指していたが、大きく上振れし、3倍以上の社数のメーカーが参画。今期は「定番品LT長期化」や、物量コントロールに向けた3つのサービス(店舗納品平準化、店舗発注数量丸め、店舗発注曜日固定等の機能)の収益化を目標に、サービスを拡充する。「sinops-WLMS」は拡販に向けた実証実験を継続。全47店舗に「sinops-CLOUD」を導入完了したエバグリーン廣甚でも実証実験開始に好感をいただいている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:成長戦略のポイントは、中長期成長に向けた新サービスの「DeCM-PF」「sinops-WLMS」です。当社は「sinops事業」の単一セグメントであり、sinopsシリーズを中心に事業成長してきましたが、中長期成長には競合優位性のあるsinopsシリーズの需要予測をコア技術とした事業領域拡大が必須だと考えております。2025年12月期は新サービスの拡充・実証を行い、2026年以降の事業の柱となるよう育てています。
※「DeCM-PF」は、小売業の需要予測を、卸売業や製造業に連携することで食品流通の課題を解決し、食品バリューチェ―ンを最適化するプラットフォームです。伊藤忠商事と提携し、卸売業の在庫調整業務の負荷軽減や、車両及びドライバーの手配の計画性の向上、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制に貢献します。
※「sinops-WLMS」は、「作業」と「ヒト」に焦点をあて、人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービスです。より少ないコスト(人時数)で最大のパフォーマンス(収益向上)を実現するための現場マネジメントを支援し、小売業の人手不足問題へ貢献します。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2025年12月期の通期業績予想では、売上高は2,120百万円(YoY+19.3%)、営業利益は355百万円(YoY+129.2%)、経常利益は356百万円(YoY+130.0%)当期純利益は248百万円(YoY+129.1%)を計画しております。2024年12月期はクラウド大規模案件の検討期間延長のため対前年で売上高が+2.8%増にとどまりましたが、今期は売上の下振れ要因となりそうな案件を極力排した業績予想となっており、やや保守的に設定しております。
―
IR担当

企業名
上場市場 証券コード
決算日
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
シノプスは、世界中の無駄を10%削減するという目標を掲げ、需要予測に基づく自動発注システムを提供している企業です。同社のシステムは、小売業における在庫管理の効率化に大きく貢献しており、長年の経験と実績に基づいた高い精度を誇る。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、33歳の時に画像処理装置の製造販売を目的として会社を設立したが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化という現在の事業に転換した。 「sinops」開発のきっかけは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたった一人で管理しているのを目の当たりにしたことで、在庫管理のソフトウェアを提案できないか考えたことだった。 当時は、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかなく、世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手した。
特徴や強み
シノプスは、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化している。 また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が短く需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、効果の大きいロス削減にも取り組んでいる。
成長戦略
伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始している。 これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現する。 シェア率や契約店舗数を増やすために、費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置き、「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供している。
株主還元策
配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針である。
今期の取り組みやトピックス
今後は、需要予測に基づく自動発注システムに加え、現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していく。 具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスである。
さらに、モノの最適化だけでなくヒトの最適化に向けて、人的資源最大化AIサービスなど、新たな事業領域にも積極的に進出しており、今後の成長が期待される。
Q:貴社の事業内容、ビジネスモデル、特徴、強みをご説明ください。
A:当社は、食品や一般消費財の販売実績を元に需要量を予測し、日々の発注数を決定するシステムを提供しています。このシステムは、商品一点一点の需要量を予測し、お客様に様々なデータを提供することで、在庫の最適化を実現します。在庫管理は、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、最適な形でコントロールすることが重要です。当社は、近未来の需要予測を行い、必要な物を必要なだけ発注することを可能にしています。
Q:貴社が在庫管理において注力している点はどのような点ですか。
A:在庫管理は、単に在庫数を把握するだけでは不十分です。重要なのは、商品の需要量を予測し、適切な補充、保有、廃棄、値引きなどのアクションにつなげることです。当社は、在庫管理を有機的なお金の使い方につなげることが重要だと考えています。
Q:貴社の創業の経緯をご説明ください。
A:私は33歳の時に画像処理装置の製造販売を目的として会社を設立しましたが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化という現在の事業に転換しました。
Q:全く異なる業態に移る中で、苦労された点はどのような点ですか。
A:当初は画像処理装置のハードウェアの製造開発に注力していましたが、「sinops」開発のきっかけとなったのは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたったひとりで管理しているのを目の当たりにしたことです。そこで在庫管理のソフトウェアを提案できないか調べてみると、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかありませんでした。世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手しました。大学の卒業論文で需要予測と在庫最適化を取り扱った知見を活かし、半年ほどを経てようやく完成したのがsinopsの先駆けとなる製品でした。
Q:需要予測を勘案した発注システムは、当時としては先駆的な取り組みだったと考えられますが、いかがでしょうか。
A:ええ、その通りです。当初は需要予測に基づく自動発注システムは難しいと考えられていましたが、長年の経験と改善改良により、今では多くのお客様に認められています。
Q:メインサービスである需要予測の高度化については、どのような取り組みをされていますか。
A:当社は、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化しています。また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が短く需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、効果の大きいロス削減にも取り組んでいます。
Q:メーカーとの連携については、どのような取り組みをされていますか。
A:伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始しています。これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現します。
Q:シェア率や契約店舗数を増やすために、どのような取り組みをされていますか。
A:費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置いています。「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供しています。
Q:第3四半期の決算状況について、営業利益と経常利益が前年同期比で減少した要因は何ですか。
A:ある大手との契約が来期にずれ込んだことが、減収の大きな要因です。これに伴い、経常利益も減少しました。
Q:今後の業績見通しについてご説明ください。
A:契約のずれ込みによる影響が大きく、今期の業績目標の達成は難しいと判断したため、2024年11月29日に業績予想の修正を開示いたしました。来期の予算については、現在検討中で、来年2月の通期決算発表時に公表予定です。
Q:株主還元策について、ご説明ください。
A:配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針です。
Q:今後の展開についてご説明ください。
A:需要予測に基づく自動発注システムに加え、今後は現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していきます。具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社は、食品や一般消費財の販売実績を元に需要量を予測し、日々の発注数を決定するシステムを提供しています。このシステムは、商品一点一点の需要量を予測し、お客様に様々なデータを提供することで、在庫の最適化を実現します。
在庫管理は、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、最適な形でコントロールすることが重要です。当社は、近未来の需要予測を行い、必要な物を必要なだけ発注することを可能にしています。
取材者: 在庫管理において、御社はどのような点に注力していますか?
回答者: 在庫管理は、単に在庫数を把握するだけでは不十分です。重要なのは、商品の需要量を予測し、適切な補充、保有、廃棄、値引きなどのアクションにつなげることです。当社は、在庫管理を有機的なお金の使い方につなげることが重要だと考えています。
取材者: 御社の創業の経緯を教えてください。
回答者: 私は33歳の時に画像処理装置の 製造販売を目的として会社を設立しましたが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化 という現在の事業に転換しました。
取材者: 全く異なる業態に移る中で、苦労された点はありますか?
回答者: 当初は画像処理装置のハードウェアの 製造開発に注力していましたが、「sinops」開発のきっかけとなったのは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたったひとりで管理しているのを目の当たりにしたことです。そこで在庫管理のソフトウェアを提案できないか調べてみると、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかありませんでした。世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手。大学の卒業論文で需要予測と在庫最適化を取り扱った知見を活かし、半年ほどを経てようやく完成したのがsinopsの先駆けとなる製品でした。
取材者: 需要予測を勘案した発注システムは、当時としては先駆的な取り組みだったのではないでしょうか?
回答者: ええ、その通りです。当初は需要予測に基づく自動発注システムは難しいと考えられていましたが、長年の経験と改善改良により、今では多くのお客様に認められています。
取材者:メインサービスである需要予測の高度化 については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 当社は、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化しています。また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が 短く 需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、 効果の大きいロス削減にも取り組んでいます。
取材者: メーカーとの連携については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始しています 。これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現します 。
取材者: シェア率や契約店舗数を増やすために、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置いています。「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供しています。
取材者: 第3四半期の決算状況について、営業利益と経常利益が前年同期比で減少した要因は何ですか?
回答者: ある大手との契約が来期にずれ込んだことが、減収の大きな要因です。これに伴い、経常利益も減少しました。
取材者: 今後の業績見通しについてはいかがですか?
回答者: 契約のずれ込みによる影響が大きく、今期の業績目標の達成は難しいと判断したため、2024年11月29日に業績予想の修正を開示いたしました。来期の予算については、現在検討中で、来年2月の通期決算発表時に公表予定です。
取材者: 株主還元策については、どのような方針ですか?
回答者: 配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針です。
取材者: 最後に、今後の展開についておしえてください。
回答者:需要予測に基づく自動発注システムに加え、今後は現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していきます。具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスです。
代表取締役社長 南谷洋志様
(3/26より代表取締役会長)

(株)シノプス
東証GRT 4428
決算:12月末日
CP&X
【2025年12月期第3四半期】
決算概要
2025年12月期第3四半期の売上高は1,468百万円(YoY+15.2%)、営業利益は207百万円(YoY +223.0%)、経常利益は209百万円(YoY+226.8%)で、増収増益で着地した。通期目標の達成に向けて、売上・利益ともに順調に推移している。
セグメント別または事業別の増減要因
当社は「sinops事業」の単一セグメントである。
コアサービスである「sinops-CLOUD」では既存ユーザーのアップセル・クロスセルや新規ユーザーへの導入が主要因となり、売上が拡大。ARRも14.3%増と成長を継続している。また、既存ユーザーの製品ライセンス追加によりパッケージ売上が大幅に増加したこと及びクラウド売上の拡大により、売上総利益が大きく増加している。お客様の導入効果に対して費用をいただく基本方針に変更はないが、足元の人件費上昇や物価高等の情勢を鑑み、物価上昇に見合うだけの価格転化などは適宜検討する。
中長期を見据えた新規サービスである「DeCM-PF」では、物流業界の「2024年問題」や食品流通の持続性確保への課題に対応するためニーズが高まっており、官民連携した実証プロジェクトによるサービス拡張や、営業活動を進めている。
同様に「sinops-WLMS」では、小売業における労働需給のひっ迫や人件費・物流費の上昇が続く中、人時生産性の改善・向上ニーズが高く、既存・新規ユーザーへの提案、実証実験を行い、収益化への取り組みを着実に進めている。
主要KPIの進捗と変化
収益の安定性と成長性を示すストック型指標である「ARR」が、既存ユーザーへのクラウド製品追加・店舗展開 、および新規ユーザーとのクラウド契約により着実に進捗している。
また、ARRは店舗数×導入サービス数×単価で構成されている。クラウド各サービスの導入期間短縮の取り組みが功を奏し、「既存ユーザーの店舗あたりのサービス数」が4.1サービス(YoY+0.5アカウント)に増加しており、これは新規顧客獲得だけでなく既存顧客のクロスセルも順調に進んでいることを示している。
季節性・一過性要因の有無と影響
第3四半期には、一過性要因は特に発生していない。
なお、長期預金500百万円を流動資産に振り替えているが、これは当該預金が満期日までの期間が1年未満となったことによる会計上の処理によるものであり、特定の用途のためのものではない。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績目標に対する進捗率は、売上高が69.3%、営業利益が58.4%であり、ほぼ想定通りに進捗している。
前年比では大きく向上しているものの、営業利益の進捗率58.4%は通期予想に対しては一見低いように見えるが、期末に向けて導入支援・クラウドの売上規模が大きくなることに伴い、固定費比率も低下し、利益の絶対額及び利益率の改善を見込んでおり、現状の進捗は計画の範囲内であると認識している。クラウド案件の受注が本格化しはじめたことでARRは14.3%増の1,513百万円と積み上がっている。未達リスクとしては、導入支援売上の期ずれリスクがある。大型のプロジェクトに係る導入支援売上等が、顧客側の検討期間の延長や経営判断の変更等により、翌期へ繰り延べられるリスクが存在するが、昨年度の反省を踏まえ、特定の単一案件の動向で業績予想が大幅修正となるような予算組みは避けている。
トピックス
中長期成長に向けて事業領域を拡大する新サービス「DeCM-PF」「sinops-WLMS」がそれぞれ進捗している。
「DeCM-PF」は伊藤忠商事と共同で提供する、食品ディマンドチェーンマネジメント(DeCM)構築のためのプラットフォームであり、需要予測を活用して製・配・販を最適化することを目的としている。機能拡大に向けて官民連携した実証プロジェクトを実施しており、段階的なサービス拡充や収益化が進んでいる。「sinops-WLMS」は小売業の人時生産性改善・向上を目的としたAIサービスであり、拡販や機能拡充を継続し小売業のお客様から好感をいただいている。
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取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年12月期第2四半期は、売上高995百万円で前年同期比20.7%増加、営業利益178百万円で同647.5%増加、経常利益179百万円で同641.3%増加、中間純利益115百万円で同718.7%増加と、大幅な増収増益を達成した。この要因の1つは、期首の計画にはなかった「sinops」シリーズの周辺サービスである賞味期限チェックサービスが、ユーザーの要望により導入されたことでパッケージ売上高が増加したことである。このシステムは、商品の賞味期限の確認業務を支援するものである。また、既存ユーザーのアップセル・クロスセルが順調に進捗したことや、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が製品改善により抑制できたこと等によりコストの増加が抑えられたことも増収増益の要因として寄与している。
セグメント別または事業別の増減要因
人的資本に関するサービス(sinops-WLMS)は、小売業全体をターゲットにしており 、ホームセンター系の複数の顧客でトライアルが決まっている。ホームセンターはスーパーに比べて利益率がかなり高い傾向にあるため、業績の良い企業との契約につながっている。
主要KPIの進捗と変化
第2四半期までのARR(年間経常収益)はほぼ順調。第3、第4四半期に向けては、ターゲットである小売業がインフレ、人件費上昇などの影響を受けていることからプラス面とマイナス面の両方が見られる。プラス面としては、業績の良い顧客は利益率改善のための投資意欲がさらに高まっており、横展開や新サービス追加検討の声が増加している。一方、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業が、サービス導入のペースを緩める懸念がある。採用状況は、第2四半期時点では計画に対して10名弱の未達であり、中途採用が計画を下回った。
季節性・一過性要因の有無と影響
業績に大きく影響する一過性の要因はなさそうである。季節性の要因もあまりない。猛暑や大雨による顧客の売上鈍化はあったが、当社のサービス利用を停止することにはつながっておらず、むしろ顧客への支援を通じて関係性の強化につながっている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績予想について、昨年11月に業績予想を修正したような事態は避ける方針であり、現時点ではその可能性はなさそうであると述べている。
トピックス
当社は、サプライチェーン全体の最適化を推進する「DeCM-PF」プロジェクトに注力している。当社の予測データを活用し、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に延長することで、無駄な在庫を削減することを目指している。特売品の発注リードタイムを14日まで延長するサービスの先行事例が成功し 、参加メーカーは100社を突破した。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、需要予測・自動発注サービス「sinops」シリーズで業績を拡大しています。需要予測市場で安定シェアを獲得した後も長期的に成長を継続できるよう、既存サービス以外への事業拡大と、サプライチェーン全体のDX化を推進しています。
当社の今期のパッケージ売上高成長をけん引したのは、「sinops」シリーズの周辺サービスである賞味期限チェックサービスです。期首の計画にはなかったものの、当社の需要予測・自動発注の周辺サービスとして提供している賞味期限チェックサービスのパッケージが、ユーザーからの要望によって導入されました。このパッケージにより、手作業で月におよそ100時間かかっていた賞味期限チェック業務を15分の1に短縮できます。このサービスは今後も人手不足に悩むスーパーマーケットからニーズがあると考えております。
また、当社の長期的な成長戦略の核となるのは、サプライチェーン全体を最適化する「DeCM-PF」プロジェクトと、人的資源最大化AIサービス「WLMS」です。
「DeCM-PF」は当社の自動発注システムが持つ正確な需要予測データを活用し、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に延長します。これにより、メーカーは無駄な在庫を抱えることがなくなります。無駄な在庫を削減できたメーカーから利用料をいただき、その一部を小売業者に還元するシェアモデルを実施しております。この取り組みは当社の小売ユーザー2社で成功しており、今後は特に大手のユーザーに拡大していく予定です。小売業者に直接改善効果が出るものではなく、全体最適の効果を間接的に還元するモデルであるため、浸透には時間がかかりますが、その分、完成した際には在庫に関するインフラとして、他社の追随を許さない優位性が確立できると考えています。
Q:通期業績の見通しについてご説明ください。
A:現時点で具体的な数字は申し上げられませんが、去年11月に業績予想の修正を発表したようなことがないように取り組んでおり、現時点ではその可能性はなさそうです。
当社のARR(年間経常収益)は、第2 四半期までは順調に推移しましたが、第3、第4四半期に向けてプラス面とマイナス面の両方が出ています。プラス面としては、業績が良いお客様ほど横展開や新しいサービスの追加導入を前倒しで進めたいという声が増えています。一方で、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業から、サービス導入のペースを緩めたいという話が来ることが懸念されます。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:M&Aについては検討を進めています。当社の売上を数倍にするような大きな案件はすぐには見当たらず、現状は社員数と同規模の、非常に効果がありそうな案件が複数ある状況です。
取材者:まず初めに、2025年12月期第2四半期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は995百万円で、前年同期比20.7%の増加です。営業利益は178百万円で同647.5%の増加、経常利益は179百万円で同641.3%の増加、中間純利益は115百万円で同718.7%の増加となりました。
大幅な増収増益であり、業績予想に向けても順調な進捗だと存じます。増減の要因についてご説明をお願いできますか?
回答者:増減の要因は、まずパッケージの部分です。期首の計画にはなかったパッケージ案件が、ユーザー様からの要望により導入が決定したことが、増加の大きな要因となりました。このシステムは、食品 の賞味期限チェック業務を支援するものです。この業務を全て手作業で行うと、月におよそ100時間かかります。当社のシステムでは、その時点で、直近で期限が切れる商品を登録しておくことで、次の確認が必要になるタイミングをシステムが把握します。これにより、毎月チェックする必要がなくなり、チェック時間を15分の1に短縮できます。これは、人手不足に悩むスーパーマーケットのニーズに合致しており、今回は比較的規模の大きいお客様だったこともあり、大きな商談となりました。
取材者:その商談は、既存のユーザー様との関係強化による横展開がうまくいったという認識でよろしいですか?
回答者:はい、おっしゃる通りです。当社と良好な関係を築いている既存のユーザー様からお声がけをいただきました。
取材者:前回お話いただいた際に、今後は人的資本に関わるサービスをどんどん提供していきたいというお話がありましたが、そちらの進捗はいかがですか?
回答者:そちらについては、今年はまずトライアルを実施するユーザーと契約を結び、しっかりと効果を証明し、利用料契約に進むことをミッションとしています。すでに複数のユーザー様でトライアルを開始しています。計画に対してほぼ順調に進んでいると考えています。当初は主にスーパーマーケットをターゲットにしていましたが、純粋なスーパーマーケットは1社で、残りはホームセンター系の複数のお客様でトライアルが決まりました。若干見込みとはずれていますが、ホームセンターはスーパーに比べて利益率がかなり高い傾向にあります。契約してくれたユーザーは業績が良い企業が多く、業績が悪いお客様は「ぜひやりたいが、今期は予算が確保できない」といった理由で導入が延期になるケースがあります。
取材者:人的資本以外のサービスについて、スーパーマーケット以外への販路拡大の進捗はいかがですか?
回答者:自動発注系サービスにつきましては、スーパーマーケット以外の専門店、具体的にはドラッグストア、コンビニ、家電量販店などで少し成果が見え始めていますが、今期は食品スーパーマーケットを最優先に営業活動を進めています。
取材者:サービスの増加やクラウド利用店舗数の増加に伴う、前期比での人員の採用状況の推移はいかがですか?
回答者:人員数は、それほど大きく伸びてはいません。
取材者:計画と比較してはいかがですか?
回答者:計画と比較して、10名弱の未達となっています。
取材者:計画に届かなかった要因はどのようなところにあるとお考えですか?
回答者:新卒採用は計画通り10名ほど採用できましたが、中途採用が計画を下回りました。退職者を見込んで多めに採用計画を立てていましたが、昨今の売り手市場で一定数の退職があったこともあり、人員数を伸ばせませんでした。
取材者:下期に向けて採用をさらに強化していくご予定ですか?
回答者:はい、採用は強化していきます。一方で、既存業務の効率化も進めており、管理職を含めて少ない人員でも対応できるように業務の見直しを行っています。また、生成AIなどの新しい技術も活用し、当初の計画よりも少ない人員で業務を回せているという現状もあります。今後はこの実態をしっかり見極めて、今後の採用計画に反映していきたいと考えています。
取材者:貴社が重要視しているARRの推移について、計画に対する進捗はいかがですか?
回答者:第2四半期まではほぼ順調でしたが、第3、第4四半期に向けてはプラス面とマイナス面の両方が出ています。プラス面としては、業績が良いお客様ほど横展開を前倒しで進めたい、あるいは新しいサービスを追加で検討したいという声が増えています。一方、マイナス面としては、今期の見通しが若干弱くなってきた企業様から、サービス導入のペースを緩めたい、あるいは下期の導入が微妙だといった話がいくつか来る懸念があります。営業担当は計画を上回るように尽力していますが、まだまだ予断を許さない状況です。
取材者:その他に業績に影響を与えた一過性の要因や季節性の要因はございますか?
回答者:季節性の要因はあまりないと思います。今年は猛暑でしたが、暑すぎるとスーパーの売り上げは鈍化する傾向にあります。水不足などで食料品よりまず水をという購買行動になったり、傷みやすいものを買いたがらないといった影響が各お客様から出ましたが、それが当社のサービス利用を停止することにつながるような話は一切聞いておりません。大雨などの際も、一時的な閉店などを行うお客様への支援も行なっており、そういった活動は高く評価されています。
取材者:逆にそういった状況が、関係性の強化につながったということですね。
回答者:毎年何かしらの一時的な要因はありますが、今のところ業績に大きく影響するような一過性の要因はなさそうです。去年は本社移転後に退職者が予定外に多かったということがありましたが、今年はそういった大きな環境変化がありません。
取材者:ARR以外に重要視している指標はございますか?
回答者:公式な指標にはしていませんが、お客様が当社のサービスをどの程度活用しているかという、「発注勧告の採用率」を把握しています。サービスの利用が進んでいない状態が続くと解約リスクが高まるため、その数値を追っています。例えば100店舗あるお客様のうち、10店舗ほどは新店舗などでまだうまく使えていないという状況があるため、CS活動のチームを作り、弊社から「この店舗はこういう状況ですが大丈夫でしょうか?」と積極的に働きかける取り組みを本格的に始めています。
取材者:業績予想の見通しはいかがですか?
回答者:現時点で何%という具体的な数字は申し上げられませんが、去年11月に業績予想の修正を発表したようなことがないように取り組んでいます。現時点ではその可能性はなさそうだというふうに考えております。
取材者:M&Aや業務提携の実施の有無や検討状況について、お答えできる範囲でお聞かせいただけますか?
回答者:M&Aについても検討はしております。当社の売上を数倍にするような大きな案件はすぐには見当たらず、現状は社員数と同規模の、非常に効果がありそうな案件が複数あるといった状況です。
取材者:株主還元の方針について変更はございましたか?
回答者:従来の計画通り、配当性向40%を維持し、今年は去年から1円増配の年間16円の配当を予定しております。
取材者:最後に、足元の状況で何かトピックスやニュースリリースはございますか?
回答者:はい、DeCM-PFのプロジェクトに力を入れています。当社の自動発注システムは、人が発注するよりも正確な需要予測が可能です。この予測データを活用して、製販連携(製造・販売の連携)を進めています。従来、小売業者が需要予測を卸売業者やメーカーに共有しても、それが確定した発注ではないため、在庫確保に繋がらずあまり活用が進まないという問題がありました。当社はこの慣習を変えようと、小売業者から卸売業者やメーカーへの発注リードタイムを大幅に伸ばす取り組みを進めています。例えば、特売品については、従来の6日程度から14日まで延長することに成功しました。従来は直前に追加発注が50%程度発生していましたが、当社のサービスを導入した企業では、2週間前に発注が確定し、直前の追加発注は数パーセントにまで抑えられています。このインパクトが大きかったため、参加メーカーが100社を突破しました。
当社のシステムは、需要予測をした上で小売業者に発注を確定してもらうため、それが確定した発注データとして卸売業者やメーカーに流れます。従来のように、「1万ケース買うかも」という不確定な情報ではなく、実際の確定発注が流れるため、卸売業者やメーカーは無駄な在庫を抱えることがなくなります。
この取り組みは当社の小売ユーザー2社で成功しており、今後は特に大手のユーザー様に拡大していく予定です。自動発注システム自体は他社も提供していますが、当社の目指す「DeCM-PF」は単なる自動発注ではなく、小売業者を中心としたサプライチェーン全体のインフラを構築するものです。このインフラが完成すれば、他社の追随を許さない優位性が確立できると考えています。また、この取り組みのメリットとして、メーカーから利用料をいただき、その一部を小売業者に還元するシェアモデルをこの2社で実施しています。これにより、小売業者にも実利があり、メーカーや卸売業者は負担が減り、物流業務の効率も上がります。こうした効果によって、当社のシステムを導入する動機が、自社の業務改善だけでなく、サプライチェーン全体の改善への貢献へと変わっていくことを目指しています。
取材者:検証期間が終わり、今期から本格的に提案を進めていくということですか?
回答者:はい、そうです。今はこの取り組みをさらに進めており、特売品だけでなく、定番商品の発注リードタイムも伸ばそうとしています。従来の1日、2日から、7日まで延長することを目指しています。
この取り組みが成功すれば、卸売業者やメーカーは予測をすることなく、発注を受けてから手配すればよい受注生産に切り替えられます。これにより、さらなる業務改善が進みます。また、卸売業者から見たら7日前に発注勧告が確定し、小売業者の発注担当者から見たら今まで通りのタイミングで発注勧告が来るという実質リードタイムを伸ばす試みも、ある小売業者様で実験中です。
取材者:そういった先の部分に関しても、結果が出るのはもう少し先ですか?
回答者:実験については今期、この秋口には成果が出ると思います。経産省の補助事業にも選ばれており、来年3月にはレポートを出すことになっていますので、そちらでも公開できるかと思います。
取材者:承知いたしました。結果なども非常に楽しみです。
回答者:ここまで進めば、卸売業者やメーカーは受注してから発注する業務が自動化できますので、クレームがなくなります。実は、隠れた問題として卸売業者やメーカーの受注担当者の高齢化があり、若手はクレームを言われるため定着しないという悩みがありました。このサービスを使い始めてからは、小売業者が欠品しないため、不用意な追加発注でも在庫がなくても、小売業者は「貴社は悪くない」と言ってくれるようになり、怒られなくなったそうです。
取材者:そういった影響もあるのですね。
回答者:はい。現場では「ぜひ進めてほしい」という反応が多いです。今までは理不尽な急な大量発注など、業界的にグレーで許されていたことがありましたが、このサービスを導入すれば、誰かが我慢するのではなく、皆で利益をシェアしながら効率的な運営ができるようになります。
代表取締役社長 岡本数彦 様
管理部管掌取締役 武谷克裕 様
取材アーカイブ
決算概要
2025年12月期第1四半期の売上高は454百万円(YoY+17.6%)、営業利益は43百万円(YoY +438.0%)、経常利益は44百万円(YoY+461.5%)で、増収増益で着地した。通期目標の達成に向けて、売上・利益ともに順調に推移している。
セグメント別または事業別の増減要因
当社は「sinops事業」の単一セグメントである。ターゲットである小売業の生産性の向上・業務効率化のためのIT投資は引き続き高い水準で推移しており、sinopsシリーズは順調に導入拡大。お客様の導入効果に対して費用をいただく基本方針に変更はないが、足元の人件費上昇や物価高等の情勢を鑑み、物価上昇に見合うだけの価格転化などは適宜検討する。
主要KPIの進捗と変化
通期業績目標に対する進捗率は、売上高が21.4%、営業利益が12.3%である。売上高・営業利益ともほぼ想定通りに進捗している。また、営業利益率が9.6%(YoY+7.5pt増)まで向上した要因としては、クラウド売上拡大に伴う通信費の増加が製品改善により抑えられていること及び利益率の高いパッケージ売上高を計上したことが貢献している。
主要なKPIとしては、ARR(ストック売上)の着実な増加が注視すべき指標である。ARRは店舗数×導入サービス数×単価で構成されており、先行指標は非開示であるものの、既存ユーザーの店舗あたりのサービス数が3.9サービス(YoY+0.6アカウント)に増加しており、これは新規顧客獲得だけでなく既存顧客のクロスセルも順調に進んでいることを示している。
季節性・一過性要因の有無と影響
第1四半期には、一過性要因は特に発生していない。
※大規模な企業であるほど、システム導入の意思決定プロセスに時間を要するため、小売業の決算期が多い2月から商談を開始した場合、システム稼働開始が12月頃になることも多く、当社としての売上計上時期も下期に偏重する傾向があった。パッケージのライセンス一括販売では売上偏重が顕著に表れてしまうため、初期投資が抑えられるクラウドサービスをメインとするようビジネスモデル転換を行い、現在では季節性は緩和されている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期業績目標に対して、前年比では大きく向上しているものの、営業利益の進捗率は12.3%である。期末に向けて導入支援・クラウドの売上規模が大きくなることに伴い、固定費比率も低下し、利益の絶対額及び利益率の改善を見込んでいる。通期の営業利益率は16.7%で計画に変更はない。クラウド案件の受注が本格化する見込みの第3四半期以降の業績進捗が、通期目標の達成度を左右する要素となる。
トピックス
今後の中長期成長を担う新サービス「DeCM-PF」「sinops-WLMS」がそれぞれ進捗している。
「DeCM-PF」は参画メーカー数が順調に増加し、当初はトップ30社のメーカー参画を目指していたが、大きく上振れし、3倍以上の社数のメーカーが参画。今期は「定番品LT長期化」や、物量コントロールに向けた3つのサービス(店舗納品平準化、店舗発注数量丸め、店舗発注曜日固定等の機能)の収益化を目標に、サービスを拡充する。「sinops-WLMS」は拡販に向けた実証実験を継続。全47店舗に「sinops-CLOUD」を導入完了したエバグリーン廣甚でも実証実験開始に好感をいただいている。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:成長戦略のポイントは、中長期成長に向けた新サービスの「DeCM-PF」「sinops-WLMS」です。当社は「sinops事業」の単一セグメントであり、sinopsシリーズを中心に事業成長してきましたが、中長期成長には競合優位性のあるsinopsシリーズの需要予測をコア技術とした事業領域拡大が必須だと考えております。2025年12月期は新サービスの拡充・実証を行い、2026年以降の事業の柱となるよう育てています。
※「DeCM-PF」は、小売業の需要予測を、卸売業や製造業に連携することで食品流通の課題を解決し、食品バリューチェ―ンを最適化するプラットフォームです。伊藤忠商事と提携し、卸売業の在庫調整業務の負荷軽減や、車両及びドライバーの手配の計画性の向上、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制に貢献します。
※「sinops-WLMS」は、「作業」と「ヒト」に焦点をあて、人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービスです。より少ないコスト(人時数)で最大のパフォーマンス(収益向上)を実現するための現場マネジメントを支援し、小売業の人手不足問題へ貢献します。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2025年12月期の通期業績予想では、売上高は2,120百万円(YoY+19.3%)、営業利益は355百万円(YoY+129.2%)、経常利益は356百万円(YoY+130.0%)当期純利益は248百万円(YoY+129.1%)を計画しております。2024年12月期はクラウド大規模案件の検討期間延長のため対前年で売上高が+2.8%増にとどまりましたが、今期は売上の下振れ要因となりそうな案件を極力排した業績予想となっており、やや保守的に設定しております。
―
IR担当
CP&X
ビジネスモデルや事業内容
シノプスは、世界中の無駄を10%削減するという目標を掲げ、需要予測に基づく自動発注システムを提供している企業です。同社のシステムは、小売業における在庫管理の効率化に大きく貢献しており、長年の経験と実績に基づいた高い精度を誇る。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、33歳の時に画像処理装置の製造販売を目的として会社を設立したが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化という現在の事業に転換した。 「sinops」開発のきっかけは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたった一人で管理しているのを目の当たりにしたことで、在庫管理のソフトウェアを提案できないか考えたことだった。 当時は、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかなく、世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手した。
特徴や強み
シノプスは、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化している。 また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が短く需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、効果の大きいロス削減にも取り組んでいる。
成長戦略
伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始している。 これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現する。 シェア率や契約店舗数を増やすために、費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置き、「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供している。
株主還元策
配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針である。
今期の取り組みやトピックス
今後は、需要予測に基づく自動発注システムに加え、現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していく。 具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスである。
さらに、モノの最適化だけでなくヒトの最適化に向けて、人的資源最大化AIサービスなど、新たな事業領域にも積極的に進出しており、今後の成長が期待される。
Q:貴社の事業内容、ビジネスモデル、特徴、強みをご説明ください。
A:当社は、食品や一般消費財の販売実績を元に需要量を予測し、日々の発注数を決定するシステムを提供しています。このシステムは、商品一点一点の需要量を予測し、お客様に様々なデータを提供することで、在庫の最適化を実現します。在庫管理は、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、最適な形でコントロールすることが重要です。当社は、近未来の需要予測を行い、必要な物を必要なだけ発注することを可能にしています。
Q:貴社が在庫管理において注力している点はどのような点ですか。
A:在庫管理は、単に在庫数を把握するだけでは不十分です。重要なのは、商品の需要量を予測し、適切な補充、保有、廃棄、値引きなどのアクションにつなげることです。当社は、在庫管理を有機的なお金の使い方につなげることが重要だと考えています。
Q:貴社の創業の経緯をご説明ください。
A:私は33歳の時に画像処理装置の製造販売を目的として会社を設立しましたが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化という現在の事業に転換しました。
Q:全く異なる業態に移る中で、苦労された点はどのような点ですか。
A:当初は画像処理装置のハードウェアの製造開発に注力していましたが、「sinops」開発のきっかけとなったのは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたったひとりで管理しているのを目の当たりにしたことです。そこで在庫管理のソフトウェアを提案できないか調べてみると、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかありませんでした。世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手しました。大学の卒業論文で需要予測と在庫最適化を取り扱った知見を活かし、半年ほどを経てようやく完成したのがsinopsの先駆けとなる製品でした。
Q:需要予測を勘案した発注システムは、当時としては先駆的な取り組みだったと考えられますが、いかがでしょうか。
A:ええ、その通りです。当初は需要予測に基づく自動発注システムは難しいと考えられていましたが、長年の経験と改善改良により、今では多くのお客様に認められています。
Q:メインサービスである需要予測の高度化については、どのような取り組みをされていますか。
A:当社は、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化しています。また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が短く需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、効果の大きいロス削減にも取り組んでいます。
Q:メーカーとの連携については、どのような取り組みをされていますか。
A:伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始しています。これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現します。
Q:シェア率や契約店舗数を増やすために、どのような取り組みをされていますか。
A:費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置いています。「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供しています。
Q:第3四半期の決算状況について、営業利益と経常利益が前年同期比で減少した要因は何ですか。
A:ある大手との契約が来期にずれ込んだことが、減収の大きな要因です。これに伴い、経常利益も減少しました。
Q:今後の業績見通しについてご説明ください。
A:契約のずれ込みによる影響が大きく、今期の業績目標の達成は難しいと判断したため、2024年11月29日に業績予想の修正を開示いたしました。来期の予算については、現在検討中で、来年2月の通期決算発表時に公表予定です。
Q:株主還元策について、ご説明ください。
A:配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針です。
Q:今後の展開についてご説明ください。
A:需要予測に基づく自動発注システムに加え、今後は現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していきます。具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社は、食品や一般消費財の販売実績を元に需要量を予測し、日々の発注数を決定するシステムを提供しています。このシステムは、商品一点一点の需要量を予測し、お客様に様々なデータを提供することで、在庫の最適化を実現します。
在庫管理は、企業のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、最適な形でコントロールすることが重要です。当社は、近未来の需要予測を行い、必要な物を必要なだけ発注することを可能にしています。
取材者: 在庫管理において、御社はどのような点に注力していますか?
回答者: 在庫管理は、単に在庫数を把握するだけでは不十分です。重要なのは、商品の需要量を予測し、適切な補充、保有、廃棄、値引きなどのアクションにつなげることです。当社は、在庫管理を有機的なお金の使い方につなげることが重要だと考えています。
取材者: 御社の創業の経緯を教えてください。
回答者: 私は33歳の時に画像処理装置の 製造販売を目的として会社を設立しましたが、その後、物流関係の在庫最適化というマーケットに出会い、需要予測による在庫の最適化 という現在の事業に転換しました。
取材者: 全く異なる業態に移る中で、苦労された点はありますか?
回答者: 当初は画像処理装置のハードウェアの 製造開発に注力していましたが、「sinops」開発のきっかけとなったのは、ある卸売業の会社を訪れた際、山積みの在庫をたったひとりで管理しているのを目の当たりにしたことです。そこで在庫管理のソフトウェアを提案できないか調べてみると、在庫数を把握するだけのシステムはあっても、需要予測は人間の経験と勘に頼るしかありませんでした。世の中にないなら、自分でつくってしまえ、ということで開発に着手。大学の卒業論文で需要予測と在庫最適化を取り扱った知見を活かし、半年ほどを経てようやく完成したのがsinopsの先駆けとなる製品でした。
取材者: 需要予測を勘案した発注システムは、当時としては先駆的な取り組みだったのではないでしょうか?
回答者: ええ、その通りです。当初は需要予測に基づく自動発注システムは難しいと考えられていましたが、長年の経験と改善改良により、今では多くのお客様に認められています。
取材者:メインサービスである需要予測の高度化 については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 当社は、KPIを設定し、お客様と共有することで、導入効果を明確化しています。また、比較的簡易な需要予測で対応可能な一般食品や雑貨だけでなく、日配品や惣菜など、賞味期限が 短く 需要予測が難しいといわれていた商品カテゴリでも需要予測を可能にすることで、 効果の大きいロス削減にも取り組んでいます。
取材者: メーカーとの連携については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 伊藤忠商事と連携し、小売業の販売データを地域ごとに最適化し、メーカーの生産計画に役立てることを目指してDeCM-PFサービスを開始しています 。これにより、バリューチェーン全体の最適化を実現します 。
取材者: シェア率や契約店舗数を増やすために、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 費用対効果の高いサービスを提供することに重点を置いています。「ないと困る」機能やサービスを優先的に開発し、お客様に提供しています。
取材者: 第3四半期の決算状況について、営業利益と経常利益が前年同期比で減少した要因は何ですか?
回答者: ある大手との契約が来期にずれ込んだことが、減収の大きな要因です。これに伴い、経常利益も減少しました。
取材者: 今後の業績見通しについてはいかがですか?
回答者: 契約のずれ込みによる影響が大きく、今期の業績目標の達成は難しいと判断したため、2024年11月29日に業績予想の修正を開示いたしました。来期の予算については、現在検討中で、来年2月の通期決算発表時に公表予定です。
取材者: 株主還元策については、どのような方針ですか?
回答者: 配当性向40%を目安に、継続的な配当を実施していく方針です。
取材者: 最後に、今後の展開についておしえてください。
回答者:需要予測に基づく自動発注システムに加え、今後は現場の人の最適化に焦点を当てたサービスを展開していきます。具体的には、スーパーマーケットなどの店舗における、シフト作成や作業スケジュールの効率化を支援するサービスです。
代表取締役社長 南谷洋志様
(3/26より代表取締役会長)
