取材者：初めに、貴社のビジネスモデルについてお伺いします。大きく分けて、化学工業セグメントと化学分析受託事業の二つに分類されるかと存じますが、化学工業セグメントの中で、精密化学品事業部、機能材事業部、樹脂添加剤事業部といった三つの事業部がどのように機能しているのか、貴社のビジネスモデルの特徴や強みなどを踏まえてご説明いただけますか？

回答者：化学分析受託事業につきましては、ご覧いただいたとおり、規模的にも小さく、また、現状では内部向けが中心であるという点からも、今後、大きく拡大する可能性は低いと考えております。

取材者：なるほど。それは、どのような分析になるのでしょうか？IT関連の分析なども行っているのですか？

回答者：土壌汚染や排水などの化学物質の分析など、多岐にわたります。

取材者：そうなのですね。

回答者：分析受託事業は、現状では内部向けが中心であり、大きく拡大する可能性は低いと考えております。主たるビジネスは化学品であり、特に精密化学品が中心となります。精密化学品は、さらに農薬中間体、電子材料、樹脂原料の三つの分野に分けられます。農薬中間体は、医薬品や農薬の最終製品ではなく、その中間体となる化合物を製造するもので、受注生産が基本となります。電子材料は、主にエンジニアリングプラスチックを製造しており、電気回路のコネクタなどに使用されます。樹脂原料は、スマートフォン用のカメラレンズに用いられる樹脂を製造しており、これが現在の主力製品となっています。

取材者：なるほど。

回答者：樹脂原料は、三菱ガス化学株式会社様に樹脂原料モノマーを納入し、その先は三菱ガス化学様がポリマーにしたものをレンズメーカーに出荷されていると認識しています。

取材者：なるほど。三菱ガス化学様から発注があるという流れなのですね。

回答者：その通りです。

取材者：三菱ガス化学様との繋がりが強いのは、何か理由があるのですか？

回答者：これまでの技術開発の中で、パートナーシップ的に結びつきが強まったという理解です。

取材者：そうなのですね。

回答者：精密化学品事業部の売上高は、樹脂原料が半分程度を占めています。

取材者：なるほど。今期の中間期で前期と比べて売上が減少しているのは、在庫調整の影響が大きかったという理解でよろしいでしょうか？

回答者：在庫調整の影響のほか、農薬中間体の売上が減少していることなども影響しております。

回答者：機能材事業部では、ゴム薬品や接着剤などを製造しています。

取材者：接着剤は、OEMで製造しているのですか？

回答者：当社で生産したものを接着剤メーカーに販売しています。売上としては、それほど大きくはありません。

回答者：樹脂添加剤事業部では、主にワニスと可塑剤の二つを主力製品としています。ワニスは、ハイブリッド車やEV車などのモーターコイルに用いられる絶縁材です。可塑剤は、樹脂を柔らかくするための添加剤です。

取材者：可塑剤は、どのような製品に使用されているのですか？

回答者：可塑剤は、食品包装用フィルムなど様々な製品に使用されています。

取材者：なるほど。ワニスは、ガソリン車で使用されることはないのですか？

回答者：はい、ガソリン車には使用されません。

取材者：そうすると、近年、樹脂添加剤事業部は大きく伸びている印象ですが、

：ハイブリッド車用途などのワニス需要増加で売上が伸びているのですね。

回答者：はい、その通りです。

取材者：貴社全体の海外と国内の売上比率はどのくらいですか？

回答者：圧倒的に国内が多いです。樹脂原料は三菱ガス化学様の国内工場へ出荷していますし、農薬中間体も国内のメーカーからの受注が中心です。海外への輸出は、主に機能材事業部の製品となります。

取材者：なるほど。

回答者：今期の中間決算で、前期に比べて営業利益が増益となっている要因は、前期と比較して、交易条件が改善されたことが要因の一つです。具体的には、原料価格の上昇分を大きなタイムラグなく販売価格に転嫁できたことや、マージンの改善などの営業努力が挙げられます。

取材者：なるほど。

回答者：固定費は、労務費や修繕費の増加により、前期と比べて増加しています。数量は、全体的に前期を下回っています。その他、特殊要因として、2年前の業績が低迷した時期に生産調整を行った結果、評価単価の高い在庫が積み上がり、その在庫が前期に出荷されたことによる固定費の持ち越し分が、前期の第1四半期に大きく影響しました。一方で、今期は一部製品の単価が上昇したことにより、前期に比べて利益が増加しています。

取材者：つまり、2022年が業績の底だったということですね。

回答者：はい、その通りです。

取材者：わかりました。貴社の創業の経緯や経営理念についてお伺いできますか？

回答者：当社は、染料の製造からスタートしました。戦後、住友化学株式会社から出資を受け、有機合成の技術をベースに事業を展開してきました。その後、住友化学の関係会社と合併し、規模を拡大しました。今後も、有機合成の技術を基盤に、事業を展開していく所存です。