取材者： 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

回答者： 弊社株式会社エイトレッドは、ワークフローシステムの開発・販売を行っており、事業は単一セグメントです。ワークフローシステムとは、稟議書や経費精算書、休暇届などの申請・承認をシステム化し、業務効率化を図るものです。当社のシステムは、あらゆる申請・承認業務に対応できる汎用性を備えています。最大の特徴は、カスタマイズを一切不要とした製品であるという点です。多くの競合他社がカスタマイズを前提とした製品を提供する中、弊社は標準機能のみで顧客のニーズに対応できる製品開発に注力しています。機能面での差別化が難しい中、当社はサポート力、特にレスポンスの早さと品質の高さで顧客から高い評価を頂いております。

取材者： カスタマイズなしで製品を販売できるのは、どういった要因があるのですか。

回答者： 導入企業様の声を収集し、製品開発にフィードバックすることで、カスタマイズを必要としない製品開発を実現しています。また、カスタマイズは個別のサポートや保守が必要となり、コスト増加に繋がるため、排除することで顧客への提供価格を抑えています。

取材者： サポート力については、カスタマイズをしないからこそ、リソースを集中でき、強力なサポート体制を構築できているということですね。

回答者： その通りです。

取材者： クラウド型の「X-point Cloud」と「AgileWorks」の2つの製品を提供されていますが、それぞれの特徴を教えてください。

回答者： 大きな違いとしましては、「X-point Cloud」はシンプルな操作性を重視した製品で、主に中小企業をターゲットとしています。一方で、「AgileWorks」は大企業をターゲットとし、基幹システムやグループウェアとの連携機能、組織情報管理機能などを備えています。例えば、4月いっぱいで組織変更があった場合、「AgileWorks」だと事前にデータを入力しておけば、4月1日になった時点で自動的に組織情報が切り替わります。「X-point Cloud」の場合は、4月1日になった時点で手動で切り替える必要があります。組織変更が多い企業では、「AgileWorks」の方が適しています。

取材者： 「X-point Cloud」から「AgileWorks」への切り替えは多いのですか。

回答者： そうですね。X-pointのパッケージ販売を終了しているというのもありまして、切り替えは増加傾向にあります。ただ、切り替えですと、サーバー等の保守期限のタイミングや、どうしてもやっぱりコストが、かかってしまうっていうところもありまして、なかなかすぐには切り替えられないお客様もいらっしゃいます。

取材者： 貴社のサービスを利用する最大のメリットは何ですか。

回答者： そうですね。1つは、業務効率化と経費削減というところですかね。メリットは、業務効率化と経費削減です。簡単に考えられるかと思いますが、現場の業務効率化という点では、例えばある顧客では、書類保管のためにビル1棟を借りていましたが、当社のシステム導入により、書類を電子化し、ビルを解約できたという事例がございます。

取材者： 貴社の創業の経緯について教えてください。

回答者： 弊社の設立は2009年ですが、2007年に親会社のソフトクリエイト社の一部門としてワークフロー事業をスタートしたのが始まりです。当初から代理店販売を進めていましたが、ソフトクリエイト社の直販部隊と代理店販売が競合する事象が増えてきたため、それを解消するために、当社を独立系メーカーとして設立したのが2009年です。

取材者： 当初から2つのシステムを販売されていたのですか。

回答者： いえ、一番初めは「X-point」のみです。「X-point」パッケージのみで販売を開始し、独立してからは1年弱で「AgileWorks」の販売を開始しました。

取材者： 当時はワークフローシステムを提供する企業は少なかったのですか。

回答者： 数社程度でした。当時はワークフローシステムの市場規模がまだ小さく、競合も少なかったです。

取材者： そういった部分で、カスタマイズをせずに製品を提供するという戦略が成功した要因ですか。

回答者： そうですね。販売当初は、パッケージ製品ではなく、受託開発でワークフローシステムを構築することが多かったのですが、当社はカスタマイズ不要の製品を提供することで、他社との差別化を図ることができました。

取材者： 今期の業績についてお伺いします。売上は好調とのことですが、新規顧客の獲得に向けてどのような取り組みをされていますか。

回答者： パートナー企業経由の販売が9割近くを占めており、パートナー経由のセミナー開催や、当社独自のセミナー開催などを通じて新規顧客を獲得しています。また、既存顧客からの口コミや、転職した方が新しい会社で導入してくれるケースもございます。

取材者： 顧客の継続率はどの程度ですか。

回答者： 「AgileWorks」と「X-point Cloud」ともに、月平均で約99.8%超です。

取材者： 売上に関して、季節性などはございますか。

回答者： 「AgileWorks」はパッケージ製品であるため、第2四半期と第4四半期に導入が集中する傾向がございます。

取材者： 今期の通期業績の見通しはいかがですか。

回答者： 現状、進捗としては少し遅れている部分もございますが、順調に推移すると見込んでいます。

取材者： 貴社の今後の成長戦略について教えてください。

回答者： ワークフロー市場は年平均10%程度の成長を続けており、当社もそれに合わせて10%程度の成長を目指しています。

取材者： サポート体制の維持・強化には人材の確保が重要かと思いますが、採用活動についての方針や教育方針をお聞かせください。

回答者： 人材不足の状況下、新卒を採用し、育成に力を入れています。今年の4月には、新卒だけで15名を採用しました。

取材者： 採用された方は、どのような業務に携わるのですか。

回答者： ほとんどが開発要員です。

取材者： 株主還元策についての方針はございますか。

回答者： 配当性向30%程度を目安に、安定配当を継続していく方針でございます。

取材者： 既存サービスの拡充や新規サービスの開発についてはいかがですか。

回答者： 既存サービスの拡充は行っていますが、昨年3月に「AgileWorks Cloud」を発表して以降、大規模な新規サービスの開発はございません。

取材者： 第4四半期におけるトピックスはございますか。

回答者：今期のトピックスとしましては、 昨年8月からAgileWorksのバージョン3のメジャーバージョンアップを実施しておりまして、旧バージョンからの入れ替えを継続して実施しています。3月末でX-pointの通常サポートが終了しますので、クラウド版のX-point CloudまたはAgileWorksへの切り替えを促進しています。第4四半期におけるトピックスは特にありません。

取材者： 「X-point」のサポート終了による影響はございますか。

回答者： 延長サポートが2027年3月まで提供されるため、大きな影響はないと考えています。正直、延長サポート等がまだ更に2年、2027年3月まであるので、お客様のサーバー等の保守期限等もあり、期限ギリギリまでご利用されるお客様がそれなりにいらっしゃると見込んでいます。

取材者： サポート終了に伴い、駆け込みで切り替えが増えるようなことはございますか。

回答者： 今のところ、駆け込みで切り替える動きはあまり見られません。お客様のサーバー更新時期に合わせて切り替えられることが多いようです。