20241210
Q: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
A: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。 「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。 国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
Q: 競合他社の状況についてお教えください。
A: 国内における競合他社は数社のみです。 グローバルニッチ市場ではありますが、当社は世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
Q: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
A: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯など、様々な用途に展開しています。
Q: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
A: その通りです。
Q: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
A: 約20%が日本、約80%が海外です。 用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
Q: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
A: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。
Q: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
A: ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。 フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。 現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
Q: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
A: 明治25年、創業者が50歳を過ぎてから設立した会社です。 渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
Q: 第二次世界大戦後の事業展開についてお教えください。
A: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが、第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。 そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。 帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
Q: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
A: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。 特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。 なかなか回復基調にはならない見込みです。
Q: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
A: テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。 メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
Q: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
A: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。 特に中国で高価格帯の製品が売れています。
Q: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
A: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。 ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
Q:付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
A: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。 中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。 メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。 そのため、多少価格が高くても売れるのです。
Q: 中国の製品と比較した、日本製のペン先の書き心地についてお教えください。
A: 書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。 中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。 日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
Q: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
A: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。 また、最近では自社販売にも力を入れています。 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。 また、加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。 そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
Q: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは?
A:コア技術を応用した新しい分野をのことです。
Q: 術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
A: そうです。
Q: 貴社の株主還元施策について教えてください。
A: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上方修正と株主還元の ⽅ 針に基づき5円増配し、30円としました。 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。 幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
取材者: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
取材者: なるほど。競合他社は多いのでしょうか?
回答者: 国内での競合他社は数社のみです。グローバルニッチ市場ではありますが、当社は、世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
回答者: もう一つの「メディカル製品事業」は、医療機器製品として、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器「ベセルフューザー」とカテーテル治療に用いるガイドワイヤーを製造販売しています。こちらは後発で、歴史は30年ほどです。売上もまだ「テクノ製品事業」の半分以下ですが、今後は医療機器分野にも力を入れていきたいと考えています。
取材者: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
回答者: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯、タッチペンのペン先など、様々な用途に展開しています。
取材者: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
回答者: 約20%が日本、約80%が海外です。用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
取材者: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
回答者: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。もう一つの加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、ペン先の技術を応用した制御チューブを使用しています。
取材者: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
回答者: そうなのです。ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
取材者: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
回答者: 創業者は、新1万円札に採用された渋沢栄一です。明治25年、渋沢栄一が50歳を過ぎてから設立した会社です。渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
回答者: 当時の帽子は輸入品で非常に高価でした。国内で安く作ることができれば、庶民にも手が届き、西洋化が進むと考えたようです。
取材者: なるほど。
回答者: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。
回答者:帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
取材者: なるほど。
回答者:しかし、1990年代のバブル崩壊以降、ユニクロなどの台頭により、百貨店の破綻や再編の中で、当社のアパレル事業も不振により業績が悪化しましたが、2007年にアパレル事業から撤退して、ペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活しました。
回答者: リーマンショックなど、様々な困難を乗り越え、ここ十数年は黒字経営を維持し、配当も継続して支払っています。
回答者: 4年前のコロナ禍では、中国天津にある製造子会社の事業転換を行いました。約20年前、低コストな物作りをしようと中国に製造子会社を設立しましたが、経済発展による人件費の高騰や規制強化により、コスト競争力を失っていました。
回答者: コロナ禍のロックダウンで休業を余儀なくされ、社員の士気も低下したため、製造を停止し、人員をリストラしました。拠点は残し、日本から製品を送って販売する商社機能にシフトしたことで業績が急回復しました。
回答者: コロナ禍以後、中国子会社の販売が伸長し、中国以外のアジア地区の売上も大きく伸びました。当初はコスメチック用のペン先を販売していましたが、ここ2~3年は日本製の筆記具用ペン先の需要が伸びています。
取材者: 中国市場は、まだまだ成長の余地があるということですね。
回答者: そう感じています。
取材者: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
回答者: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。
取材者: なるほど。
回答者: なかなか回復基調にはならない見込みです。
取材者: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
回答者:テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。中国子会社は、一部加工工程を持っており、日本から送った原材料を加工した製品と日本から輸入した完成品を中国国内に販売しています。メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
取材者: ありがとうございます。
取材者: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
回答者: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。コロナ禍前の水準に戻ったと感じています。
回答者: 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。特に中国で高価格帯の製品が売れています。
取材者: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
回答者: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
取材者: ありがとうございます。先ほどご説明いただいた付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
回答者: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。
回答者: メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。そのため、多少価格が高くても売れるのです。
取材者: 中国の製品と比べて、書き心地が違うのでしょうか?
回答者: そうですね。書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。
回答者: 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
取材者: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
回答者: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。また、最近では自社販売にも力を入れています。
回答者: 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。コロナ禍で学会や展示会が中止されていましたが、昨年頃から再開され、プロモーション活動を強化しています。
回答者: 加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
取材者: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは、そのことでしょうか?
回答者: そうですね。コア技術を応用した新しい分野と海外への展開を図っています。
取材者:術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: 株主還元施策について教えてください。
回答者: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上⽅修正と株主還元の⽅針に基づき5円増配し、30円としました。配当方針は特に変更ありません。
回答者: 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
20241210 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
オーベクスは、筆記具のペン先を主力とする「テクノ製品事業」と、医療機器を扱う「メディカル製品事業」を展開している。創業以来130年以上、ペン先製造において培ってきた高度な技術力を有し、国内外で高いシェアを持つ。近年では、ペン先技術を応用した化粧品用チップや芳香剤の芯、医療機器分野にも進出しており、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器やカテーテル治療に用いるガイドワイヤーなどを製造販売しており今後の成長が期待される。
創業の経緯と転機
1892年、渋沢栄一により帽子メーカーとして創業。戦後、帽子の需要減退に伴い、フェルトペン先製造へと転換した。1990年代にはアパレル事業にも進出したが、バブル崩壊後の業績不振により撤退。2007年にペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活した。
直近の決算状況
2024年12月期の第2四半期決算は、前年同期比80%増益と大幅な増益を達成。コロナ禍からの反動増に加え、付加価値の高い製品の販売増加が寄与している。
特徴・強み
顧客の要望に応じたオーダーメイドの製品を製造できることが強み。長年培ってきたペン先製造技術を応用し、多様なニーズに対応することで、安定した収益を確保している。
成長戦略
アジア地域を中心に海外展開を積極的に推進。特に中国市場において、高価格帯の日本製ペン先の販売が好調である。
株主還元策
2024年12月期は、1株あたり25円の配当を予定していたが、業績好調を踏まえ、30円に増配することを決定した。
今期の取り組み・トピックス
コロナ禍で中止されていた学会や展示会が再開されたことを受け、「メディカル製品事業」のプロモーション活動を強化している。
今後の展望
コア技術を応用した新分野への展開を図るとともに、海外市場での販売拡大を目指す。
IR担当
・資料
ー

オーベクス(株)
東証STD 3583
決算:3月末日
Q: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
A: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。 「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。 国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
Q: 競合他社の状況についてお教えください。
A: 国内における競合他社は数社のみです。 グローバルニッチ市場ではありますが、当社は世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
Q: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
A: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯など、様々な用途に展開しています。
Q: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
A: その通りです。
Q: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
A: 約20%が日本、約80%が海外です。 用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
Q: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
A: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。
Q: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
A: ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。 フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。 現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
Q: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
A: 明治25年、創業者が50歳を過ぎてから設立した会社です。 渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
Q: 第二次世界大戦後の事業展開についてお教えください。
A: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが、第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。 そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。 帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
Q: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
A: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。 特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。 なかなか回復基調にはならない見込みです。
Q: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
A: テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。 メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
Q: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
A: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。 特に中国で高価格帯の製品が売れています。
Q: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
A: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。 ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
Q:付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
A: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。 中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。 メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。 そのため、多少価格が高くても売れるのです。
Q: 中国の製品と比較した、日本製のペン先の書き心地についてお教えください。
A: 書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。 中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。 日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
Q: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
A: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。 また、最近では自社販売にも力を入れています。 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。 また、加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。 そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
Q: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは?
A:コア技術を応用した新しい分野をのことです。
Q: 術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
A: そうです。
Q: 貴社の株主還元施策について教えてください。
A: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上方修正と株主還元の ⽅ 針に基づき5円増配し、30円としました。 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。 幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
取材者: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
取材者: なるほど。競合他社は多いのでしょうか?
回答者: 国内での競合他社は数社のみです。グローバルニッチ市場ではありますが、当社は、世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
回答者: もう一つの「メディカル製品事業」は、医療機器製品として、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器「ベセルフューザー」とカテーテル治療に用いるガイドワイヤーを製造販売しています。こちらは後発で、歴史は30年ほどです。売上もまだ「テクノ製品事業」の半分以下ですが、今後は医療機器分野にも力を入れていきたいと考えています。
取材者: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
回答者: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯、タッチペンのペン先など、様々な用途に展開しています。
取材者: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
回答者: 約20%が日本、約80%が海外です。用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
取材者: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
回答者: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。もう一つの加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、ペン先の技術を応用した制御チューブを使用しています。
取材者: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
回答者: そうなのです。ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
取材者: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
回答者: 創業者は、新1万円札に採用された渋沢栄一です。明治25年、渋沢栄一が50歳を過ぎてから設立した会社です。渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
回答者: 当時の帽子は輸入品で非常に高価でした。国内で安く作ることができれば、庶民にも手が届き、西洋化が進むと考えたようです。
取材者: なるほど。
回答者: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。
回答者:帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
取材者: なるほど。
回答者:しかし、1990年代のバブル崩壊以降、ユニクロなどの台頭により、百貨店の破綻や再編の中で、当社のアパレル事業も不振により業績が悪化しましたが、2007年にアパレル事業から撤退して、ペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活しました。
回答者: リーマンショックなど、様々な困難を乗り越え、ここ十数年は黒字経営を維持し、配当も継続して支払っています。
回答者: 4年前のコロナ禍では、中国天津にある製造子会社の事業転換を行いました。約20年前、低コストな物作りをしようと中国に製造子会社を設立しましたが、経済発展による人件費の高騰や規制強化により、コスト競争力を失っていました。
回答者: コロナ禍のロックダウンで休業を余儀なくされ、社員の士気も低下したため、製造を停止し、人員をリストラしました。拠点は残し、日本から製品を送って販売する商社機能にシフトしたことで業績が急回復しました。
回答者: コロナ禍以後、中国子会社の販売が伸長し、中国以外のアジア地区の売上も大きく伸びました。当初はコスメチック用のペン先を販売していましたが、ここ2~3年は日本製の筆記具用ペン先の需要が伸びています。
取材者: 中国市場は、まだまだ成長の余地があるということですね。
回答者: そう感じています。
取材者: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
回答者: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。
取材者: なるほど。
回答者: なかなか回復基調にはならない見込みです。
取材者: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
回答者:テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。中国子会社は、一部加工工程を持っており、日本から送った原材料を加工した製品と日本から輸入した完成品を中国国内に販売しています。メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
取材者: ありがとうございます。
取材者: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
回答者: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。コロナ禍前の水準に戻ったと感じています。
回答者: 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。特に中国で高価格帯の製品が売れています。
取材者: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
回答者: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
取材者: ありがとうございます。先ほどご説明いただいた付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
回答者: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。
回答者: メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。そのため、多少価格が高くても売れるのです。
取材者: 中国の製品と比べて、書き心地が違うのでしょうか?
回答者: そうですね。書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。
回答者: 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
取材者: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
回答者: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。また、最近では自社販売にも力を入れています。
回答者: 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。コロナ禍で学会や展示会が中止されていましたが、昨年頃から再開され、プロモーション活動を強化しています。
回答者: 加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
取材者: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは、そのことでしょうか?
回答者: そうですね。コア技術を応用した新しい分野と海外への展開を図っています。
取材者:術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: 株主還元施策について教えてください。
回答者: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上⽅修正と株主還元の⽅針に基づき5円増配し、30円としました。配当方針は特に変更ありません。
回答者: 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
20241210 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
オーベクスは、筆記具のペン先を主力とする「テクノ製品事業」と、医療機器を扱う「メディカル製品事業」を展開している。創業以来130年以上、ペン先製造において培ってきた高度な技術力を有し、国内外で高いシェアを持つ。近年では、ペン先技術を応用した化粧品用チップや芳香剤の芯、医療機器分野にも進出しており、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器やカテーテル治療に用いるガイドワイヤーなどを製造販売しており今後の成長が期待される。
創業の経緯と転機
1892年、渋沢栄一により帽子メーカーとして創業。戦後、帽子の需要減退に伴い、フェルトペン先製造へと転換した。1990年代にはアパレル事業にも進出したが、バブル崩壊後の業績不振により撤退。2007年にペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活した。
直近の決算状況
2024年12月期の第2四半期決算は、前年同期比80%増益と大幅な増益を達成。コロナ禍からの反動増に加え、付加価値の高い製品の販売増加が寄与している。
特徴・強み
顧客の要望に応じたオーダーメイドの製品を製造できることが強み。長年培ってきたペン先製造技術を応用し、多様なニーズに対応することで、安定した収益を確保している。
成長戦略
アジア地域を中心に海外展開を積極的に推進。特に中国市場において、高価格帯の日本製ペン先の販売が好調である。
株主還元策
2024年12月期は、1株あたり25円の配当を予定していたが、業績好調を踏まえ、30円に増配することを決定した。
今期の取り組み・トピックス
コロナ禍で中止されていた学会や展示会が再開されたことを受け、「メディカル製品事業」のプロモーション活動を強化している。
今後の展望
コア技術を応用した新分野への展開を図るとともに、海外市場での販売拡大を目指す。
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