
オーベクス(株)
東証STD 3583
決算:3月末日
20251113
CP&X
【2026年3月期第2四半期】
決算概要
増収・営業減益(最終増益):コスト増と価格圧力により本業収益は低下。2026年3月期第2四半期の実績は、売上高3,056百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益351百万円(同28.0%減)、経常利益350百万円(同22.7%減)での着地。売上高は微増を確保したものの、材料費・人件費の高騰などにより、原価率が悪化し、大幅な営業減益となった。なお、中間純利益は354百万円(同17.3%増)と増益だが、これは繰延税金資産の計上増による税金費用の減少という会計上の要因である。
セグメント別または事業別の増減要因
中国・アジア市場への依存度上昇と他地域の低迷
主力のテクノ製品事業、中国・アジア地区の売上が前年から大きく伸長し、全社業績を牽引する構造である。一方で、アジア以外の地域に関しては前期比で軒並み減少しており、地域別ポートフォリオは中国・アジアへの「一極集中」が鮮明化している。完成品メーカー全体の決算が芳しくない中、特定の成長市場頼みの状況が継続している。
主要KPIの進捗と変化
価格転嫁の遅れによるマージン圧迫
ペン先という「部品サプライヤー」の立ち位置ゆえに、BtoCの完成品メーカーと比較して価格転嫁交渉が難航している状況。原材料費や人件費が上昇トレンドにある中、販売価格への転嫁が思うように進まず、利益率を圧迫する主要因となっている。特に中国メーカー等からのコストダウン要求が強く、数量(売上)は確保できても収益性が伴いにくい事業環境にある。
季節性・一過性要因の有無と影響
米中対立の余波による値下げ圧力と税効果のプラス影響
トランプ関税等に起因する米中対立の影響で、当社の顧客である中国メーカーが米国輸出時に関税負担を強いられ、そのしわ寄せとして当社への値下げ圧力が強まったことが一過性かつ外部的な減益要因となった。一方で、純利益面では繰延税金資産の積み増しにより税金費用が相殺され、実力値以上の数値が表れる特殊要因が発生している。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期計画は据え置き、純利益は600百万円近辺への上振れを視野
通期予想(売上高6,200百万円、営業利益750百万円)に変更はなく、上期の利益減は保守的なコスト見積もりの範囲内として計画通りの進捗を維持。当期純利益については、前述の税効果により当初予想の510百万円から600百万円近くまで上振れる可能性が高いとの見解。ただし、中国経済のデフレ懸念や不況リスクがあり、好調なアジア売上が下期も継続するかについては不透明感が残る。
トピックス
生産能力増強に向けた用地取得と深刻な人手不足への対応
成長戦略の一環として、年内にメディカル新工場(第2工場)向けの用地取得を完了する目処が立ち、5年以内の建設を目指す計画。一方で、製造・管理部門ともに採用難と定着率低下、採用コスト高騰が深刻化しており、3年間で1,500百万円規模の設備投資を「自動化」「省力化」重点で実行するなど、人的リソース不足を補う施策を加速させている。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデル・事業内容
オーベクスは、筆記具のペン先を主力とする「テクノ製品事業」と、医療機器を扱う「メディカル製品事業」を展開している。創業以来130年以上、ペン先製造において培ってきた高度な技術力を有し、国内外で高いシェアを持つ。近年では、ペン先技術を応用した化粧品用チップや芳香剤の芯、医療機器分野にも進出しており、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器やカテーテル治療に用いるガイドワイヤーなどを製造販売しており今後の成長が期待される。
創業の経緯と転機
1892年、渋沢栄一により帽子メーカーとして創業。戦後、帽子の需要減退に伴い、フェルトペン先製造へと転換した。1990年代にはアパレル事業にも進出したが、バブル崩壊後の業績不振により撤退。2007年にペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活した。
直近の決算状況
2024年12月期の第2四半期決算は、前年同期比80%増益と大幅な増益を達成。コロナ禍からの反動増に加え、付加価値の高い製品の販売増加が寄与している。
特徴・強み
顧客の要望に応じたオーダーメイドの製品を製造できることが強み。長年培ってきたペン先製造技術を応用し、多様なニーズに対応することで、安定した収益を確保している。
成長戦略
アジア地域を中心に海外展開を積極的に推進。特に中国市場において、高価格帯の日本製ペン先の販売が好調である。
株主還元策
2024年12月期は、1株あたり25円の配当を予定していたが、業績好調を踏まえ、30円に増配することを決定した。
今期の取り組み・トピックス
コロナ禍で中止されていた学会や展示会が再開されたことを受け、「メディカル製品事業」のプロモーション活動を強化している。
今後の展望
コア技術を応用した新分野への展開を図るとともに、海外市場での販売拡大を目指す。
Q: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
A: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。 「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。 国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
Q: 競合他社の状況についてお教えください。
A: 国内における競合他社は数社のみです。 グローバルニッチ市場ではありますが、当社は世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
Q: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
A: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯など、様々な用途に展開しています。
Q: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
A: その通りです。
Q: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
A: 約20%が日本、約80%が海外です。 用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
Q: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
A: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。
Q: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
A: ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。 フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。 現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
Q: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
A: 明治25年、創業者が50歳を過ぎてから設立した会社です。 渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
Q: 第二次世界大戦後の事業展開についてお教えください。
A: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが、第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。 そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。 帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
Q: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
A: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。 特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。 なかなか回復基調にはならない見込みです。
Q: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
A: テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。 メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
Q: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
A: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。 特に中国で高価格帯の製品が売れています。
Q: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
A: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。 ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
Q:付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
A: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。 中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。 メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。 そのため、多少価格が高くても売れるのです。
Q: 中国の製品と比較した、日本製のペン先の書き心地についてお教えください。
A: 書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。 中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。 日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
Q: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
A: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。 また、最近では自社販売にも力を入れています。 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。 また、加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。 そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
Q: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは?
A:コア技術を応用した新しい分野をのことです。
Q: 術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
A: そうです。
Q: 貴社の株主還元施策について教えてください。
A: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上方修正と株主還元の ⽅ 針に基づき5円増配し、30円としました。 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。 幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
取材者: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
取材者: なるほど。競合他社は多いのでしょうか?
回答者: 国内での競合他社は数社のみです。グローバルニッチ市場ではありますが、当社は、世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
回答者: もう一つの「メディカル製品事業」は、医療機器製品として、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器「ベセルフューザー」とカテーテル治療に用いるガイドワイヤーを製造販売しています。こちらは後発で、歴史は30年ほどです。売上もまだ「テクノ製品事業」の半分以下ですが、今後は医療機器分野にも力を入れていきたいと考えています。
取材者: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
回答者: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯、タッチペンのペン先など、様々な用途に展開しています。
取材者: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
回答者: 約20%が日本、約80%が海外です。用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
取材者: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
回答者: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。もう一つの加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、ペン先の技術を応用した制御チューブを使用しています。
取材者: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
回答者: そうなのです。ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
取材者: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
回答者: 創業者は、新1万円札に採用された渋沢栄一です。明治25年、渋沢栄一が50歳を過ぎてから設立した会社です。渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
回答者: 当時の帽子は輸入品で非常に高価でした。国内で安く作ることができれば、庶民にも手が届き、西洋化が進むと考えたようです。
取材者: なるほど。
回答者: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。
回答者:帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
取材者: なるほど。
回答者:しかし、1990年代のバブル崩壊以降、ユニクロなどの台頭により、百貨店の破綻や再編の中で、当社のアパレル事業も不振により業績が悪化しましたが、2007年にアパレル事業から撤退して、ペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活しました。
回答者: リーマンショックなど、様々な困難を乗り越え、ここ十数年は黒字経営を維持し、配当も継続して支払っています。
回答者: 4年前のコロナ禍では、中国天津にある製造子会社の事業転換を行いました。約20年前、低コストな物作りをしようと中国に製造子会社を設立しましたが、経済発展による人件費の高騰や規制強化により、コスト競争力を失っていました。
回答者: コロナ禍のロックダウンで休業を余儀なくされ、社員の士気も低下したため、製造を停止し、人員をリストラしました。拠点は残し、日本から製品を送って販売する商社機能にシフトしたことで業績が急回復しました。
回答者: コロナ禍以後、中国子会社の販売が伸長し、中国以外のアジア地区の売上も大きく伸びました。当初はコスメチック用のペン先を販売していましたが、ここ2~3年は日本製の筆記具用ペン先の需要が伸びています。
取材者: 中国市場は、まだまだ成長の余地があるということですね。
回答者: そう感じています。
取材者: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
回答者: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。
取材者: なるほど。
回答者: なかなか回復基調にはならない見込みです。
取材者: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
回答者:テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。中国子会社は、一部加工工程を持っており、日本から送った原材料を加工した製品と日本から輸入した完成品を中国国内に販売しています。メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
取材者: ありがとうございます。
取材者: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
回答者: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。コロナ禍前の水準に戻ったと感じています。
回答者: 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。特に中国で高価格帯の製品が売れています。
取材者: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
回答者: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
取材者: ありがとうございます。先ほどご説明いただいた付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
回答者: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。
回答者: メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。そのため、多少価格が高くても売れるのです。
取材者: 中国の製品と比べて、書き心地が違うのでしょうか?
回答者: そうですね。書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。
回答者: 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
取材者: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
回答者: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。また、最近では自社販売にも力を入れています。
回答者: 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。コロナ禍で学会や展示会が中止されていましたが、昨年頃から再開され、プロモーション活動を強化しています。
回答者: 加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
取材者: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは、そのことでしょうか?
回答者: そうですね。コア技術を応用した新しい分野と海外への展開を図っています。
取材者:術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: 株主還元施策について教えてください。
回答者: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上⽅修正と株主還元の⽅針に基づき5円増配し、30円としました。配当方針は特に変更ありません。
回答者: 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
IR担当
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オーベクス(株)
東証STD 3583
決算:3月末日
CP&X
【2026年3月期第2四半期】
決算概要
増収・営業減益(最終増益):コスト増と価格圧力により本業収益は低下。2026年3月期第2四半期の実績は、売上高3,056百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益351百万円(同28.0%減)、経常利益350百万円(同22.7%減)での着地。売上高は微増を確保したものの、材料費・人件費の高騰などにより、原価率が悪化し、大幅な営業減益となった。なお、中間純利益は354百万円(同17.3%増)と増益だが、これは繰延税金資産の計上増による税金費用の減少という会計上の要因である。
セグメント別または事業別の増減要因
中国・アジア市場への依存度上昇と他地域の低迷
主力のテクノ製品事業、中国・アジア地区の売上が前年から大きく伸長し、全社業績を牽引する構造である。一方で、アジア以外の地域に関しては前期比で軒並み減少しており、地域別ポートフォリオは中国・アジアへの「一極集中」が鮮明化している。完成品メーカー全体の決算が芳しくない中、特定の成長市場頼みの状況が継続している。
主要KPIの進捗と変化
価格転嫁の遅れによるマージン圧迫
ペン先という「部品サプライヤー」の立ち位置ゆえに、BtoCの完成品メーカーと比較して価格転嫁交渉が難航している状況。原材料費や人件費が上昇トレンドにある中、販売価格への転嫁が思うように進まず、利益率を圧迫する主要因となっている。特に中国メーカー等からのコストダウン要求が強く、数量(売上)は確保できても収益性が伴いにくい事業環境にある。
季節性・一過性要因の有無と影響
米中対立の余波による値下げ圧力と税効果のプラス影響
トランプ関税等に起因する米中対立の影響で、当社の顧客である中国メーカーが米国輸出時に関税負担を強いられ、そのしわ寄せとして当社への値下げ圧力が強まったことが一過性かつ外部的な減益要因となった。一方で、純利益面では繰延税金資産の積み増しにより税金費用が相殺され、実力値以上の数値が表れる特殊要因が発生している。
通期見通しと進捗率・達成可能性
通期計画は据え置き、純利益は600百万円近辺への上振れを視野
通期予想(売上高6,200百万円、営業利益750百万円)に変更はなく、上期の利益減は保守的なコスト見積もりの範囲内として計画通りの進捗を維持。当期純利益については、前述の税効果により当初予想の510百万円から600百万円近くまで上振れる可能性が高いとの見解。ただし、中国経済のデフレ懸念や不況リスクがあり、好調なアジア売上が下期も継続するかについては不透明感が残る。
トピックス
生産能力増強に向けた用地取得と深刻な人手不足への対応
成長戦略の一環として、年内にメディカル新工場(第2工場)向けの用地取得を完了する目処が立ち、5年以内の建設を目指す計画。一方で、製造・管理部門ともに採用難と定着率低下、採用コスト高騰が深刻化しており、3年間で1,500百万円規模の設備投資を「自動化」「省力化」重点で実行するなど、人的リソース不足を補う施策を加速させている。
取材アーカイブ
CP&X
決算概要2025年3月期の売上高は60億3,500万円で前期比12.0%の増加、営業利益は8億4,100万円で同50.1%の増加、経常利益は8億1,400万円で同35.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億8,000万円で同32.9%の増加となり、増収増益で着地した 。これは、前期の業績が低水準であったことに対する反動が主な要因である 。高付加価値製品の売上伸長により、売上は目標に若干届かなかったものの、利益面では中期経営計画を達成した 。営業利益率の向上は、中国市場においてコピー品が作られにくい高い技術的付加価値を持つペン先製品の単価を高く設定できたことが貢献している 。
セグメント別または事業別の増減要因
当社の二つのセグメントのうち、中心はペン先製品を扱うテクノセグメントである 。テクノセグメントは海外売上比率が非常に高く、特に中国・アジア地域での伸びが顕著であった 。中国の子会社が4年前に製造から中国国内向けの商社機能に転換したことで、現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が円滑になり、中国地域での売上が伸長したことが要因である 。中国市場では、自国産品の使用推奨政策も背景に、国内向け製品を製造する企業が好調であり、当社のペン先製品もその恩恵を受けた 。
主要KPIの進捗と変化
新たな中期経営計画において、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資を計画している。これは、過去の計画でコロナ禍やウクライナ情勢の影響により遅延した設備投資分を埋め合わせるものである。正社員の採用は中途採用を積極的に行っているものの、欠員補充がやっとの状況であり、製造現場の従業員不足に対しては派遣社員などを増やして対応している。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期に限れば、コロナ禍やウクライナ情勢の影響が落ち着いてきたことが業績に影響した可能性がある。日本ではインバウンド観光客が増加し、円安効果も相まって、筆記具を含め様々な商品の消費マインドが高まっている 。売れているペン先の用途としては、ビジネス用よりもイラストレーターや漫画家などのプロ、趣味でイラスト・塗り絵をする層によるカラーペンの購入が数量増に寄与した。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高62億円(前期比2.7%増)、営業利益7億5,000万円(同10.9%減)、経常利益7億3,000万円(同10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5億1,000万円(同12.1%減)である。売上は前期以上に確保する計画だが、利益については賃上げや原材料費の高騰、設備投資に伴う減価償却費などを考慮し、2025年3月期と同水準を単年度で維持することは困難と見込んでいる。これは3年後に向けた設備投資と、賃上げを含む人的投資を見込んだ保守的な利益予想である。
トピックス
当社は今年、創立133周年を迎える。昭和60年に社名変更し、現在の社名は「オーベクス」だが、その前身は約130年前に渋沢栄一翁が西洋帽子を作る会社として設立した「東京帽子株式会社」である。社名変更から40周年を迎えるため、企業PRを強化し、増配の余地があれば記念配当も検討したい。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントは、高付加価値製品であるペン先製品を中心としたテクノセグメントの強化、特に中国・アジア地域での販売拡大、および生産体制の増強です。中国市場では、現地子会社が製造から商社機能へと転換したことで、為替の影響を受けずに現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が可能となり、商談が円滑に進むようになりました。このビジネスモデルの変更が奏功し、中国国内向けペン先製品の売上が好調に推移しています。また、趣味用カラーペン市場の伸長も追い風となっています。今後の取り組みとしては、中国を含むアジア地域での大口受注継続を見込み、増産のための設備投資や増産体制の構築を推進してまいります。人材面においても、中国子会社のペン先の加工(仕上げ)部門での増員や設備投資、千葉工場の設備投資と人的投資を2026年3月期から計画しております。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件における変化としては、中国経済の状況と筆記具市場の変化が挙げられます。当初は不動産バブル崩壊など中国経済の減速が懸念され、中国市場への期待は高くありませんでした。しかし、中国政府の自国産品推奨政策や、アメリカとの関係悪化による国内向け製品製造企業の好調が、当社の中国国内向けペン先製品の販売を後押ししました。また、海外ブランドの高級品が売れにくくなる中で、当社の実用品としてのペン先製品は影響を受けにくいという状況も確認されています。筆記具市場においては、インバウンド需要の増加や円安効果に加え、ビジネス用途から趣味用途(イラストレーター、漫画家、趣味のイラスト・塗り絵など)への需要シフトが見られ、特に多色セットでの購入が増加し、数量が伸びています。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期の通期業績予想では、売上高は62億円と前期比2.7%の増加を見込んでおりますが、営業利益は7億5,000万円で前期比10.9%の減少、経常利益は7億3,000万円で前期比10.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は5億1,000万円で前期比12.1%の減少を予想しております。これは、売上は前期以上に確保することを目指しつつも、利益面においては、賃上げや原材料費の高騰、および今後の成長に向けた設備投資に伴う減価償却費の増加を見込んでいるため、2025年3月期と同水準の利益を単年度で維持することは困難であるとの判断に基づいています。具体的には、新たな中期経営計画で掲げた2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資と、賃上げを含む人的投資を織り込んでおり、今期の利益予想はやや保守的に設定しております。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注状況については、特に中国・アジア地域での大口受注が継続して見込まれており、堅調に推移しています。競合状況に関しては、当社のペン先製品は中国市場において、高い技術的付加価値を有しており、容易にコピー品が製造されないという優位性があります。これにより、単価を高く設定することが可能であり、値下げ交渉やダンピング競争に巻き込まれるリスクが低い状況です。消費財、実用品としての特性も、海外ブランドの高級品が売れにくくなっている市場環境において、有利に作用していると考えております。
Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:現在、M&Aや業務提携、事業売却について具体的な実施予定や検討状況はございません。しかしながら、中国を含むアジア地域での大口受注が継続して見込めるため、それに向けた増産のための設備投資および増産体制の構築を進めております。これは人材面も含んでおり、中国子会社でのペン先加工(仕上げ部門)における増員や設備投資、および当社の主力工場である千葉工場での設備投資と人的投資を2026年3月期から計画しております。これらは、今後の事業拡大に向けた基盤強化を目的としています。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:2025年3月期は、3ヶ年計画の最終年度でした。この計画の1年目と2年目は売上停滞で厳しい状況でしたが、最終年度において高付加価値製品の売上が伸長し、売上高は目標にわずかに届かなかったものの、利益面では確実に中期経営計画を達成することができました。特に、ペン先製品を中心とするテクノセグメントの海外売上比率が非常に高く、中国・アジア地域での伸びが顕著でした。2025年5月には、新たな中期経営計画を発表いたしました。この新計画では、過去のコロナ禍やウクライナ情勢の影響で計画通りに進まなかった設備投資の分を、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資として盛り込んでおります。これは、今後の成長に向けた生産能力の増強を主眼としています。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:当社の株主還元方針として、配当性向などの具体的な数値目標は明確には設定しておりません。しかしながら、利益に応じた増配を検討する方針です。実際、2025年3月期においては、配当予想を2回増配で発表いたしました。現在の配当性向は約2割程度であり、一般的な上場企業の配当性向である3割から5割と比較すると低い水準にあります。今後、利益が計画通りに推移すれば、さらなる増配の余地があると考えております。また、今年は社名変更から40周年をを迎えるにあたり、企業PRの強化と共に、業績が計画以上であれば記念配当も検討してまいります。
取材者:まず初めに、2025年3月期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は60億3,500万円で前期比12.0%の増加、営業利益は8億4,100万円で前期比50.1%の増加、経常利益は8億1,400万円で前期比35.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億8,000万円で前期比32.9%の増加と、増収増益で着地されておりますが、増減要因についてお伺いできますか。
回答者:過去の推移から申し上げますと、あくまでも前年度に比べて非常に高い成長率を達成した結果であり、これらは比較によるものです。例えば、2期前、3期前は非常に厳しい状況でした。4年前のコロナ禍で受注が大幅に減少した反動で、3年前は受注が翌年にずれ込んだこともあり好調でしたが、その後2期は徐々に減少していました。2025年3月期は、減少した分を取り戻す形となりました。良い数字であることに間違いありませんが、あくまでも昨年の数字が良くなかったため、単純な比較ではこのような増減率になります。
2025年3月期は3ヶ年計画の最終年度でした。1年目、2年目はあまり良くなかったため、達成は難しいかと思っていましたが、付加価値の高い製品がこの期に売上を伸ばすことができました。以前から販売はしていましたが、最終年度に売上に貢献したことで、売上は若干届かなかったものの、利益は確実に中期経営計画を達成することができました。
特に当社の2つのセグメント、テクノセグメントとメディカルセグメントのうち、中心はペン先製品のテクノセグメントです。海外売上比率が非常に高く、特に中国・アジア地域での伸びが顕著でした。
取材者:やはりアジアの伸びは、中期経営計画策定時よりも想定以上に伸びているのでしょうか。
回答者:その通りです。この2、3年は不動産バブルの崩壊など中国経済の減速に関する報道が多く、当初は中国市場にそれほど期待していませんでした。中国には子会社がありますが、元々は20年前に製造子会社として設立され、中国で安価に製品を製造し、日本を経由して海外に輸出するビジネスモデルでした。しかし、4年前に製造はほぼ縮小し、中国国内向けの商社機能に転換しました。これにより、中国地域での売上が伸びたのです。これまでは日本から中国へ輸出しており、為替の問題もありました。中国子会社と中国のメーカーとの間での商流が確立され、現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が可能になったことで、商談が非常にスムーズに進むようになりました。中国のビジネススタイル、即断即決が求められる環境に適応できたことが大きいと思います。世間では中国経済の不調が報じられていますが、この1年に限っては、当社商品である中国国内向けのペン先売上が非常に好調でした。
取材者:そうでしたか。意外な結果なのですね。
回答者:その通りです。中国市場も、ウクライナ情勢や反米などの影響でヨーロッパとアメリカとの関係が悪化しているようです。顧客の話を聞くと、国内向け製品を製造している企業は好調ですが、アメリカやヨーロッパに輸出している企業は元気がないとのことです。中国政府も自国産品の使用を推奨する政策があるようです。
取材者:当初、価格面でも節約志向がかなり強まっていたのでしょうか。
回答者:これまでの海外ブランドの高級品は売れなくなっていると聞いています。当社の製品は高級品ではありませんので、消費財、実用品としてあまり影響を受けなかったと考えています。
取材者:そうしますと、営業利益率もかなり向上しているかと思いますが、要因はどのような点にございましたか。
回答者:当社で作っているペン先は、中国ではなかなかコピー品が作られません。非常に高い技術的な付加価値があり、それに見合った価格で販売できる製品であるというアドバンテージがあったのだと思います。単価を高く設定できたということです。もし類似品が作られてしまうと、値下げ交渉やダンピング競争に巻き込まれる可能性がありますが、その点、中国市場においては当社の製品は非常に優位性がありました。
取材者:その他、業績に関して、季節性要因や外的要因、一過性の要因などがございましたらお聞かせいただけますか 。
回答者:この1年に限って言えば、コロナ禍が落ち着いてきたことも影響しているかもしれません。
取材者:そうでしたか。日本はインバウンドで観光客が増えています。
回答者:日本人が物を買わない一方で、インバウンドの観光客が円安効果もあり、様々なものを購入してくれています。筆記具に関しても、消費マインドが高まっていると言えるかもしれません。売れているペン先の用途としては、筆記具用ですが、どちらかというと趣味のカラーペンが多く、ビジネス用というよりも、イラストレーターや漫画家などのプロの方や女性、若い方が趣味でイラストや塗り絵などをされている方がユーザーとして購入されているようです。ビジネス用途では、黒、青、赤程度の色しか使用しませんが、趣味用では何色もセットで購入されるため、数量も伸びています。
取材者:採用に関して、前期と比べた推移はいかがですか 。
回答者:正社員の採用は、中途採用活動を積極的に行っていますが、欠員補充がやっとの状況です。製造現場では、ここ数年で生産量が増加したため、製造現場の従業員がかなり不足しており、増員しています。しかし、正社員の募集にはなかなか応募がなく、派遣社員などを増やして対応しています。新卒は1、2名程度の採用に留まっています。
取材者:採用に関して、改善策や施策的なものがございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:様々な人材会社を利用し、採用成功報酬として高額な費用を支払っていますが、大手企業に人材が集中してしまうため、増員には至っていません。ホームページを刷新し、会社のPRも積極的に行っていますが、上場企業であるということが学生へのPRにはなかなか繋がっていません。
取材者:その他、主要なKPIがございましたらお聞かせいただけますか 。
回答者:5月に決算発表と同時に新たな中期経営計画を発表しました。その中には、前回のコロナ禍やウクライナ情勢の影響で計画通りに進まなかった設備投資の分を、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資を行うことを盛り込んでいます。
取材者:2026年3月期の業績予想としましては、売上高が62億円で前期比2.7%の増加、営業利益が7億5,000万円で前期比10.9%の減少、経常利益が7億3,000万円で前期比10.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益が5億1,000万円で前期比12.1%の減少とのことですが、こちらの利益面に関しては、中期経営計画達成に向けた成長投資の意味合いが大きいのでしょうか。
回答者:その通りです。売上は前期以上に確保していきたいと考えています。利益については、賃上げや原材料費の高騰、設備投資に伴う減価償却費などを考慮すると、2025年3月期と同水準を単年度で維持することは難しいと見ています。3年後に向けた設備投資と、賃上げを含む人的投資を見込んで、今期の利益はやや保守的に見ています。
取材者:その他、M&Aや業務提携につきまして、実施予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか。
回答者:特に具体的なものはありませんが、中国を含むアジア地域での大口受注が継続して見込めるため、それに向けた増産のための設備投資、増産体制の構築を進めています。人材面も含めてです。中国の子会社では、ペン先の加工、特に仕上げ部門の加工工程だけを残しており、そちらでの増員や設備投資も並行して進めています。当社の主力工場である千葉工場でも、設備投資と人的投資を2026年3月期から予定しております。
取材者:株主還元方針につきまして、変更などございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:当社は配当性向など数値的な配当方針は明確に打ち出していません。ただし、2025年3月期は配当予想を2回増配で発表しました。利益に応じて増配を検討していきたいと考えています。現在の配当性向は約2割程度です。株主様とのヒアリングでは、上場企業の配当性向は3割から5割程度が一般的で、それに比べると低い水準であるとの意見をいただいています。利益が計画通りに推移すれば、もう少し増配の余地はあると考えています。
取材者:最後に、今期の足元の状況につきまして、トピックスやニュースリリースなどがございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:ニュースリリースについては、適宜発表しています。社内的な話題としては、今年は社名変更40周年を迎えます。現在の社名は、元々「東京帽子株式会社」で、約130年前にハット帽を作る会社として渋沢栄一が設立した会社です。昭和60年、今からちょうど40年前にCIブームなどがあり、「オーベクス」という社名に変更しました。この社名変更から40周年を迎えるため、PRを強化し、増配の余地があれば記念配当も検討したいと考えています。
取締役管理部長 塚越孝弘 様
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取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデル・事業内容
オーベクスは、筆記具のペン先を主力とする「テクノ製品事業」と、医療機器を扱う「メディカル製品事業」を展開している。創業以来130年以上、ペン先製造において培ってきた高度な技術力を有し、国内外で高いシェアを持つ。近年では、ペン先技術を応用した化粧品用チップや芳香剤の芯、医療機器分野にも進出しており、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器やカテーテル治療に用いるガイドワイヤーなどを製造販売しており今後の成長が期待される。
創業の経緯と転機
1892年、渋沢栄一により帽子メーカーとして創業。戦後、帽子の需要減退に伴い、フェルトペン先製造へと転換した。1990年代にはアパレル事業にも進出したが、バブル崩壊後の業績不振により撤退。2007年にペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活した。
直近の決算状況
2024年12月期の第2四半期決算は、前年同期比80%増益と大幅な増益を達成。コロナ禍からの反動増に加え、付加価値の高い製品の販売増加が寄与している。
特徴・強み
顧客の要望に応じたオーダーメイドの製品を製造できることが強み。長年培ってきたペン先製造技術を応用し、多様なニーズに対応することで、安定した収益を確保している。
成長戦略
アジア地域を中心に海外展開を積極的に推進。特に中国市場において、高価格帯の日本製ペン先の販売が好調である。
株主還元策
2024年12月期は、1株あたり25円の配当を予定していたが、業績好調を踏まえ、30円に増配することを決定した。
今期の取り組み・トピックス
コロナ禍で中止されていた学会や展示会が再開されたことを受け、「メディカル製品事業」のプロモーション活動を強化している。
今後の展望
コア技術を応用した新分野への展開を図るとともに、海外市場での販売拡大を目指す。
Q: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
A: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。 「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。 国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
Q: 競合他社の状況についてお教えください。
A: 国内における競合他社は数社のみです。 グローバルニッチ市場ではありますが、当社は世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
Q: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
A: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯など、様々な用途に展開しています。
Q: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
A: その通りです。
Q: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
A: 約20%が日本、約80%が海外です。 用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
Q: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
A: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。
Q: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
A: ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。 フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。 現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
Q: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
A: 明治25年、創業者が50歳を過ぎてから設立した会社です。 渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
Q: 第二次世界大戦後の事業展開についてお教えください。
A: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが、第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。 そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。 帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
Q: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
A: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。 特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。 なかなか回復基調にはならない見込みです。
Q: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
A: テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。 メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
Q: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
A: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。 特に中国で高価格帯の製品が売れています。
Q: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
A: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。 ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
Q:付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
A: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。 中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。 メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。 そのため、多少価格が高くても売れるのです。
Q: 中国の製品と比較した、日本製のペン先の書き心地についてお教えください。
A: 書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。 中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。 日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
Q: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
A: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。 また、最近では自社販売にも力を入れています。 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。 また、加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。 そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
Q: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは?
A:コア技術を応用した新しい分野をのことです。
Q: 術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
A: そうです。
Q: 貴社の株主還元施策について教えてください。
A: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上方修正と株主還元の ⽅ 針に基づき5円増配し、30円としました。 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。 幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
取材者: 貴社のビジネスモデルにつきまして、事業セグメントが二つあるかと思いますが、他社と比べたときの特徴や強みなども含めてご説明お願いできますでしょうか?
回答者: 当社の事業は、「テクノ製品事業」と「メディカル製品事業」の二つのセグメントになります。「テクノ製品事業」は、当社の祖業である帽子の製造技術を応用したマーカーペンやサインペンのペン先を昭和30年初めから製造しています。国内ではペン先のみを製造しているメーカーは少なく、高い技術力で世界中に製品を供給しています。
取材者: なるほど。競合他社は多いのでしょうか?
回答者: 国内での競合他社は数社のみです。グローバルニッチ市場ではありますが、当社は、世界中の筆記具メーカーにペン先を供給しています。
回答者: もう一つの「メディカル製品事業」は、医療機器製品として、術後疼痛用の加圧式医薬品注入器「ベセルフューザー」とカテーテル治療に用いるガイドワイヤーを製造販売しています。こちらは後発で、歴史は30年ほどです。売上もまだ「テクノ製品事業」の半分以下ですが、今後は医療機器分野にも力を入れていきたいと考えています。
取材者: 「テクノ製品事業」は、当初は筆記具用のペン先を製造していたとのことですが、現在ではどのような分野に展開されているのでしょうか?
回答者: 筆記具以外にも、化粧品用チップや芳香剤の芯、タッチペンのペン先など、様々な用途に展開しています。
取材者: セグメントとしては、筆記具用途のペン先が中心の「テクノ製品事業」と、加圧式医薬品注入器とガイドワイヤーの「メディカル製品事業」の二つということですね。
回答者: その通りです。
取材者: 「テクノ製品事業」における、日本とその他の地域の売上構成比はどれくらいでしょうか?
回答者: 約20%が日本、約80%が海外です。用途別では、約70%が筆記具用ペン先になります。
取材者: 「メディカル製品事業」は後発とのことですが、一見するとペン先の事業とは関連性が薄いように思われます。医療機器分野に進出した経緯を教えていただけますでしょうか?
回答者: ガイドワイヤーは、元々別の会社が扱っていた製品で、その会社をM&Aしました。もう一つの加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、ペン先の技術を応用した制御チューブを使用しています。
取材者: ペン先の技術が医療分野にも応用されているのですね。
回答者: そうなのです。ペン先の技術は、明治25年の創業時の帽子製造から生まれたものです。フェルト生地の製造技術から発生したもので、その技術を応用してペン先製造を始めました。現在、帽子は製造していませんが、技術的なものは130年間受け継がれています。
取材者: 100年以上前に帽子製造から始まり、フェルトの加工技術を応用してペン先を製造するなど、素晴らしい歴史をお持ちの企業だと感じました。創業の経緯や当時の思いについて教えていただけますか?
回答者: 創業者は、新1万円札に採用された渋沢栄一です。明治25年、渋沢栄一が50歳を過ぎてから設立した会社です。渋沢栄一は、西洋文化を広めるために国内で帽子を製造販売しようと考えたのが創業のきっかけです。
回答者: 当時の帽子は輸入品で非常に高価でした。国内で安く作ることができれば、庶民にも手が届き、西洋化が進むと考えたようです。
取材者: なるほど。
回答者: 創業時には海外の技術者を招いて帽子製造を開始しましたが第二次世界大戦後、帽子の需要が減少し、業績が悪化しました。そこで、当時発売されたばかりのフェルトペン先を製造することになったのが、ペン先製造の原点です。
回答者:帽子の売上が落ち込む中で、百貨店で売れるものを探していたところ、同じ売場にネクタイや紳士服などがあったことから、アパレル事業にも進出しました。
取材者: なるほど。
回答者:しかし、1990年代のバブル崩壊以降、ユニクロなどの台頭により、百貨店の破綻や再編の中で、当社のアパレル事業も不振により業績が悪化しましたが、2007年にアパレル事業から撤退して、ペン先製造に特化してからは、業績も安定し、配当も復活しました。
回答者: リーマンショックなど、様々な困難を乗り越え、ここ十数年は黒字経営を維持し、配当も継続して支払っています。
回答者: 4年前のコロナ禍では、中国天津にある製造子会社の事業転換を行いました。約20年前、低コストな物作りをしようと中国に製造子会社を設立しましたが、経済発展による人件費の高騰や規制強化により、コスト競争力を失っていました。
回答者: コロナ禍のロックダウンで休業を余儀なくされ、社員の士気も低下したため、製造を停止し、人員をリストラしました。拠点は残し、日本から製品を送って販売する商社機能にシフトしたことで業績が急回復しました。
回答者: コロナ禍以後、中国子会社の販売が伸長し、中国以外のアジア地区の売上も大きく伸びました。当初はコスメチック用のペン先を販売していましたが、ここ2~3年は日本製の筆記具用ペン先の需要が伸びています。
取材者: 中国市場は、まだまだ成長の余地があるということですね。
回答者: そう感じています。
取材者: 逆に、今回の決算で欧州向けの売上が17%ほど下がっているようですが、これは何か要因があるのでしょうか?
回答者: 営業サイドからの情報によると、ウクライナ情勢の影響で、インフレが深刻化していることが原因のようです。特にドイツでは、エネルギー価格の高騰や食料品価格の上昇により、筆記具や化粧品などの消費が落ち込んでいるようです。
取材者: なるほど。
回答者: なかなか回復基調にはならない見込みです。
取材者: 現在は、製造はすべて日本国内で行われているのでしょうか?
回答者:テクノ製品の製造は、大部分は国内生産で、全世界に販売しています。中国子会社は、一部加工工程を持っており、日本から送った原材料を加工した製品と日本から輸入した完成品を中国国内に販売しています。メディカル製品は、ほぼ国内生産になります。
取材者: ありがとうございます。
取材者: 発表された第2四半期の決算では、利益が前年比80%増と大幅な増益を達成されました。その要因を教えていただけますでしょうか?
回答者: 前年まではコロナ禍の影響が残り業績が落ち込んでいたため、その反動で増益になったという側面があります。コロナ禍前の水準に戻ったと感じています。
回答者: 好調の要因としては、付加価値の高い製品の販売が増加しています。特に中国で高価格帯の製品が売れています。
取材者: 売上に関しては、コロナ禍前の水準に戻ったという見方でよろしいでしょうか?
回答者: 売上の水準としては、コロナ禍前の水準に戻ってきています。ただし、地域別に見ると、アジア地区が伸びている一方で、欧米地区はコロナ禍前よりも落ち込んでいます。
取材者: ありがとうございます。先ほどご説明いただいた付加価値の高い製品について、具体的にどのような内容でしょうか?
回答者: 基本的には単価の高いもの、技術的に他社、特に中国メーカーが作れないものです。中国国内で売れている要因は、日本製のペン先に対する信頼性が高いからです。
回答者: メイド・イン・ジャパンのペン先の技術水準には、中国メーカーはまだ追いついていないと思います。そのため、多少価格が高くても売れるのです。
取材者: 中国の製品と比べて、書き心地が違うのでしょうか?
回答者: そうですね。書き味に関しては、日本製のペン先は優位性があります。中国の消費者は、富裕層が増え、教育水準も上がっており、高品質なものを求めるようになっています。
回答者: 中国は、オリンピックや万博など、急速な発展を遂げており、所得水準も向上しています。日本製の製品に対する魅力はまだまだ高いと感じています。
取材者: 「メディカル製品事業」におけるプロモーション活動や販売活動について教えてください。
回答者: 医療機器は、病院や医師にプロモーションを行い、大手メーカーのOEMとして供給、販売しています。また、最近では自社販売にも力を入れています。
回答者: 学会や展示会などでプロモーション活動を行い、製品の採用に繋げています。コロナ禍で学会や展示会が中止されていましたが、昨年頃から再開され、プロモーション活動を強化しています。
回答者: 加圧式医薬品注入器「べセルフューザー」は、当初は術後疼痛のみに使用されていましたが、現在は無痛分娩や抗がん剤治療など、他の分野にも展開しています。そのため、イベントなどでプロモーション活動を強化しています。
取材者: 中期経営計画に書かれている新分野展開というのは、そのことでしょうか?
回答者: そうですね。コア技術を応用した新しい分野と海外への展開を図っています。
取材者:術後疼痛と抗がん剤治療の分野で「べセルフューザー」の販売が好調とのことですが、今期の「メディカル製品事業」の売上は、新規分野での無痛分娩用の販売が寄与していると考えてよろしいでしょうか?
回答者: そうですね。
取材者: 株主還元施策について教えてください。
回答者: 今期は、5円増配し25円としておりましたが、11月の通期業績予想の上⽅修正と株主還元の⽅針に基づき5円増配し、30円としました。配当方針は特に変更ありません。
回答者: 株主の皆様への配当は重要課題の一つと考えており、将来に向けた研究・開発、設備投資等を行うための内部留保の充実を図りつつ、バランスを取りながら、株主還元を行っています。幸いにもここ十数年減配はしておらず、業績が計画を上回れば、今後も株主還元を検討していきます。
IR担当
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CP&X
決算概要2025年3月期の売上高は60億3,500万円で前期比12.0%の増加、営業利益は8億4,100万円で同50.1%の増加、経常利益は8億1,400万円で同35.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億8,000万円で同32.9%の増加となり、増収増益で着地した 。これは、前期の業績が低水準であったことに対する反動が主な要因である 。高付加価値製品の売上伸長により、売上は目標に若干届かなかったものの、利益面では中期経営計画を達成した 。営業利益率の向上は、中国市場においてコピー品が作られにくい高い技術的付加価値を持つペン先製品の単価を高く設定できたことが貢献している 。
セグメント別または事業別の増減要因
当社の二つのセグメントのうち、中心はペン先製品を扱うテクノセグメントである 。テクノセグメントは海外売上比率が非常に高く、特に中国・アジア地域での伸びが顕著であった 。中国の子会社が4年前に製造から中国国内向けの商社機能に転換したことで、現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が円滑になり、中国地域での売上が伸長したことが要因である 。中国市場では、自国産品の使用推奨政策も背景に、国内向け製品を製造する企業が好調であり、当社のペン先製品もその恩恵を受けた 。
主要KPIの進捗と変化
新たな中期経営計画において、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資を計画している。これは、過去の計画でコロナ禍やウクライナ情勢の影響により遅延した設備投資分を埋め合わせるものである。正社員の採用は中途採用を積極的に行っているものの、欠員補充がやっとの状況であり、製造現場の従業員不足に対しては派遣社員などを増やして対応している。
季節性・一過性要因の有無と影響
2025年3月期に限れば、コロナ禍やウクライナ情勢の影響が落ち着いてきたことが業績に影響した可能性がある。日本ではインバウンド観光客が増加し、円安効果も相まって、筆記具を含め様々な商品の消費マインドが高まっている 。売れているペン先の用途としては、ビジネス用よりもイラストレーターや漫画家などのプロ、趣味でイラスト・塗り絵をする層によるカラーペンの購入が数量増に寄与した。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期の業績予想は、売上高62億円(前期比2.7%増)、営業利益7億5,000万円(同10.9%減)、経常利益7億3,000万円(同10.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5億1,000万円(同12.1%減)である。売上は前期以上に確保する計画だが、利益については賃上げや原材料費の高騰、設備投資に伴う減価償却費などを考慮し、2025年3月期と同水準を単年度で維持することは困難と見込んでいる。これは3年後に向けた設備投資と、賃上げを含む人的投資を見込んだ保守的な利益予想である。
トピックス
当社は今年、創立133周年を迎える。昭和60年に社名変更し、現在の社名は「オーベクス」だが、その前身は約130年前に渋沢栄一翁が西洋帽子を作る会社として設立した「東京帽子株式会社」である。社名変更から40周年を迎えるため、企業PRを強化し、増配の余地があれば記念配当も検討したい。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントは、高付加価値製品であるペン先製品を中心としたテクノセグメントの強化、特に中国・アジア地域での販売拡大、および生産体制の増強です。中国市場では、現地子会社が製造から商社機能へと転換したことで、為替の影響を受けずに現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が可能となり、商談が円滑に進むようになりました。このビジネスモデルの変更が奏功し、中国国内向けペン先製品の売上が好調に推移しています。また、趣味用カラーペン市場の伸長も追い風となっています。今後の取り組みとしては、中国を含むアジア地域での大口受注継続を見込み、増産のための設備投資や増産体制の構築を推進してまいります。人材面においても、中国子会社のペン先の加工(仕上げ)部門での増員や設備投資、千葉工場の設備投資と人的投資を2026年3月期から計画しております。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件における変化としては、中国経済の状況と筆記具市場の変化が挙げられます。当初は不動産バブル崩壊など中国経済の減速が懸念され、中国市場への期待は高くありませんでした。しかし、中国政府の自国産品推奨政策や、アメリカとの関係悪化による国内向け製品製造企業の好調が、当社の中国国内向けペン先製品の販売を後押ししました。また、海外ブランドの高級品が売れにくくなる中で、当社の実用品としてのペン先製品は影響を受けにくいという状況も確認されています。筆記具市場においては、インバウンド需要の増加や円安効果に加え、ビジネス用途から趣味用途(イラストレーター、漫画家、趣味のイラスト・塗り絵など)への需要シフトが見られ、特に多色セットでの購入が増加し、数量が伸びています。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年3月期の通期業績予想では、売上高は62億円と前期比2.7%の増加を見込んでおりますが、営業利益は7億5,000万円で前期比10.9%の減少、経常利益は7億3,000万円で前期比10.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は5億1,000万円で前期比12.1%の減少を予想しております。これは、売上は前期以上に確保することを目指しつつも、利益面においては、賃上げや原材料費の高騰、および今後の成長に向けた設備投資に伴う減価償却費の増加を見込んでいるため、2025年3月期と同水準の利益を単年度で維持することは困難であるとの判断に基づいています。具体的には、新たな中期経営計画で掲げた2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資と、賃上げを含む人的投資を織り込んでおり、今期の利益予想はやや保守的に設定しております。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注状況については、特に中国・アジア地域での大口受注が継続して見込まれており、堅調に推移しています。競合状況に関しては、当社のペン先製品は中国市場において、高い技術的付加価値を有しており、容易にコピー品が製造されないという優位性があります。これにより、単価を高く設定することが可能であり、値下げ交渉やダンピング競争に巻き込まれるリスクが低い状況です。消費財、実用品としての特性も、海外ブランドの高級品が売れにくくなっている市場環境において、有利に作用していると考えております。
Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:現在、M&Aや業務提携、事業売却について具体的な実施予定や検討状況はございません。しかしながら、中国を含むアジア地域での大口受注が継続して見込めるため、それに向けた増産のための設備投資および増産体制の構築を進めております。これは人材面も含んでおり、中国子会社でのペン先加工(仕上げ部門)における増員や設備投資、および当社の主力工場である千葉工場での設備投資と人的投資を2026年3月期から計画しております。これらは、今後の事業拡大に向けた基盤強化を目的としています。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:2025年3月期は、3ヶ年計画の最終年度でした。この計画の1年目と2年目は売上停滞で厳しい状況でしたが、最終年度において高付加価値製品の売上が伸長し、売上高は目標にわずかに届かなかったものの、利益面では確実に中期経営計画を達成することができました。特に、ペン先製品を中心とするテクノセグメントの海外売上比率が非常に高く、中国・アジア地域での伸びが顕著でした。2025年5月には、新たな中期経営計画を発表いたしました。この新計画では、過去のコロナ禍やウクライナ情勢の影響で計画通りに進まなかった設備投資の分を、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資として盛り込んでおります。これは、今後の成長に向けた生産能力の増強を主眼としています。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:当社の株主還元方針として、配当性向などの具体的な数値目標は明確には設定しておりません。しかしながら、利益に応じた増配を検討する方針です。実際、2025年3月期においては、配当予想を2回増配で発表いたしました。現在の配当性向は約2割程度であり、一般的な上場企業の配当性向である3割から5割と比較すると低い水準にあります。今後、利益が計画通りに推移すれば、さらなる増配の余地があると考えております。また、今年は社名変更から40周年をを迎えるにあたり、企業PRの強化と共に、業績が計画以上であれば記念配当も検討してまいります。
取材者:まず初めに、2025年3月期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は60億3,500万円で前期比12.0%の増加、営業利益は8億4,100万円で前期比50.1%の増加、経常利益は8億1,400万円で前期比35.5%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は5億8,000万円で前期比32.9%の増加と、増収増益で着地されておりますが、増減要因についてお伺いできますか。
回答者:過去の推移から申し上げますと、あくまでも前年度に比べて非常に高い成長率を達成した結果であり、これらは比較によるものです。例えば、2期前、3期前は非常に厳しい状況でした。4年前のコロナ禍で受注が大幅に減少した反動で、3年前は受注が翌年にずれ込んだこともあり好調でしたが、その後2期は徐々に減少していました。2025年3月期は、減少した分を取り戻す形となりました。良い数字であることに間違いありませんが、あくまでも昨年の数字が良くなかったため、単純な比較ではこのような増減率になります。
2025年3月期は3ヶ年計画の最終年度でした。1年目、2年目はあまり良くなかったため、達成は難しいかと思っていましたが、付加価値の高い製品がこの期に売上を伸ばすことができました。以前から販売はしていましたが、最終年度に売上に貢献したことで、売上は若干届かなかったものの、利益は確実に中期経営計画を達成することができました。
特に当社の2つのセグメント、テクノセグメントとメディカルセグメントのうち、中心はペン先製品のテクノセグメントです。海外売上比率が非常に高く、特に中国・アジア地域での伸びが顕著でした。
取材者:やはりアジアの伸びは、中期経営計画策定時よりも想定以上に伸びているのでしょうか。
回答者:その通りです。この2、3年は不動産バブルの崩壊など中国経済の減速に関する報道が多く、当初は中国市場にそれほど期待していませんでした。中国には子会社がありますが、元々は20年前に製造子会社として設立され、中国で安価に製品を製造し、日本を経由して海外に輸出するビジネスモデルでした。しかし、4年前に製造はほぼ縮小し、中国国内向けの商社機能に転換しました。これにより、中国地域での売上が伸びたのです。これまでは日本から中国へ輸出しており、為替の問題もありました。中国子会社と中国のメーカーとの間での商流が確立され、現地通貨での取引や中国人営業社員による交渉が可能になったことで、商談が非常にスムーズに進むようになりました。中国のビジネススタイル、即断即決が求められる環境に適応できたことが大きいと思います。世間では中国経済の不調が報じられていますが、この1年に限っては、当社商品である中国国内向けのペン先売上が非常に好調でした。
取材者:そうでしたか。意外な結果なのですね。
回答者:その通りです。中国市場も、ウクライナ情勢や反米などの影響でヨーロッパとアメリカとの関係が悪化しているようです。顧客の話を聞くと、国内向け製品を製造している企業は好調ですが、アメリカやヨーロッパに輸出している企業は元気がないとのことです。中国政府も自国産品の使用を推奨する政策があるようです。
取材者:当初、価格面でも節約志向がかなり強まっていたのでしょうか。
回答者:これまでの海外ブランドの高級品は売れなくなっていると聞いています。当社の製品は高級品ではありませんので、消費財、実用品としてあまり影響を受けなかったと考えています。
取材者:そうしますと、営業利益率もかなり向上しているかと思いますが、要因はどのような点にございましたか。
回答者:当社で作っているペン先は、中国ではなかなかコピー品が作られません。非常に高い技術的な付加価値があり、それに見合った価格で販売できる製品であるというアドバンテージがあったのだと思います。単価を高く設定できたということです。もし類似品が作られてしまうと、値下げ交渉やダンピング競争に巻き込まれる可能性がありますが、その点、中国市場においては当社の製品は非常に優位性がありました。
取材者:その他、業績に関して、季節性要因や外的要因、一過性の要因などがございましたらお聞かせいただけますか 。
回答者:この1年に限って言えば、コロナ禍が落ち着いてきたことも影響しているかもしれません。
取材者:そうでしたか。日本はインバウンドで観光客が増えています。
回答者:日本人が物を買わない一方で、インバウンドの観光客が円安効果もあり、様々なものを購入してくれています。筆記具に関しても、消費マインドが高まっていると言えるかもしれません。売れているペン先の用途としては、筆記具用ですが、どちらかというと趣味のカラーペンが多く、ビジネス用というよりも、イラストレーターや漫画家などのプロの方や女性、若い方が趣味でイラストや塗り絵などをされている方がユーザーとして購入されているようです。ビジネス用途では、黒、青、赤程度の色しか使用しませんが、趣味用では何色もセットで購入されるため、数量も伸びています。
取材者:採用に関して、前期と比べた推移はいかがですか 。
回答者:正社員の採用は、中途採用活動を積極的に行っていますが、欠員補充がやっとの状況です。製造現場では、ここ数年で生産量が増加したため、製造現場の従業員がかなり不足しており、増員しています。しかし、正社員の募集にはなかなか応募がなく、派遣社員などを増やして対応しています。新卒は1、2名程度の採用に留まっています。
取材者:採用に関して、改善策や施策的なものがございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:様々な人材会社を利用し、採用成功報酬として高額な費用を支払っていますが、大手企業に人材が集中してしまうため、増員には至っていません。ホームページを刷新し、会社のPRも積極的に行っていますが、上場企業であるということが学生へのPRにはなかなか繋がっていません。
取材者:その他、主要なKPIがございましたらお聞かせいただけますか 。
回答者:5月に決算発表と同時に新たな中期経営計画を発表しました。その中には、前回のコロナ禍やウクライナ情勢の影響で計画通りに進まなかった設備投資の分を、2026年3月期から3年間で約15億円の設備投資を行うことを盛り込んでいます。
取材者:2026年3月期の業績予想としましては、売上高が62億円で前期比2.7%の増加、営業利益が7億5,000万円で前期比10.9%の減少、経常利益が7億3,000万円で前期比10.3%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益が5億1,000万円で前期比12.1%の減少とのことですが、こちらの利益面に関しては、中期経営計画達成に向けた成長投資の意味合いが大きいのでしょうか。
回答者:その通りです。売上は前期以上に確保していきたいと考えています。利益については、賃上げや原材料費の高騰、設備投資に伴う減価償却費などを考慮すると、2025年3月期と同水準を単年度で維持することは難しいと見ています。3年後に向けた設備投資と、賃上げを含む人的投資を見込んで、今期の利益はやや保守的に見ています。
取材者:その他、M&Aや業務提携につきまして、実施予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか。
回答者:特に具体的なものはありませんが、中国を含むアジア地域での大口受注が継続して見込めるため、それに向けた増産のための設備投資、増産体制の構築を進めています。人材面も含めてです。中国の子会社では、ペン先の加工、特に仕上げ部門の加工工程だけを残しており、そちらでの増員や設備投資も並行して進めています。当社の主力工場である千葉工場でも、設備投資と人的投資を2026年3月期から予定しております。
取材者:株主還元方針につきまして、変更などございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:当社は配当性向など数値的な配当方針は明確に打ち出していません。ただし、2025年3月期は配当予想を2回増配で発表しました。利益に応じて増配を検討していきたいと考えています。現在の配当性向は約2割程度です。株主様とのヒアリングでは、上場企業の配当性向は3割から5割程度が一般的で、それに比べると低い水準であるとの意見をいただいています。利益が計画通りに推移すれば、もう少し増配の余地はあると考えています。
取材者:最後に、今期の足元の状況につきまして、トピックスやニュースリリースなどがございましたらお聞かせいただけますか。
回答者:ニュースリリースについては、適宜発表しています。社内的な話題としては、今年は社名変更40周年を迎えます。現在の社名は、元々「東京帽子株式会社」で、約130年前にハット帽を作る会社として渋沢栄一が設立した会社です。昭和60年、今からちょうど40年前にCIブームなどがあり、「オーベクス」という社名に変更しました。この社名変更から40周年を迎えるため、PRを強化し、増配の余地があれば記念配当も検討したいと考えています。
取締役管理部長 塚越孝弘 様
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