
(株)ほぼ日
東証STD 3560
決算:8月末日
20251030
CP&X
【2025年8月期(通期)】
決算概要
増収・増益。2025年8月期通期の売上高は8,677百万円(前年同期比15.2%増)、営業利益616百万円(同12.7%増)、経常利益651百万円(同19.7%増)、当期純利益448百万円(同12.3%増)と、売上・各利益ともに二桁成長を達成した。利益面では、売上原価率の改善(主にほぼ日手帳による)が寄与し、利益率も改善傾向にある。なお、営業外収益として越境EC提携先からの営業保証金を受け取ったため、経常利益の増益率(19.7%)が営業利益の増益率(12.7%)を上回る結果となった。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は、北米およびヨーロッパを中心とした海外市場での伸びが継続し、国内販売も前期比17.0%増で伸長し、業績をしっかりと下支えする構造である。特に海外展開の成功が売上増加を牽引している。手帳以外の「ほぼ日商品」群では、「生活のたのしみ展」が過去最高の売上を更新したこと、およびゲームIPを活用した「ほぼ日MOTHERプロジェクト」(特に渋谷PARCOのポップアップショップ)の盛況が売上を押し上げた。
主要KPIの進捗と変化
「ほぼ日」ブランド全体の認知拡大において、Instagram、YouTube、TikTokといったSNS上でのUGC(User Generated Content)の増加が顕著に進捗している点が特筆される。このUGCによる認知拡大が、新規顧客層の獲得を促進するファクトとなっている。販売チャネルは自社EC(ほぼ日オンラインストア)、普段使いのEC(Amazon、楽天)、および現物確認が可能な店舗・卸先の3つを基盤としており、今後は特に海外における商品を手に取れる卸先としての販売場所を増やす戦略である。
季節性・一過性要因の有無と影響
当期においては、越境EC提携先から営業保証金を営業外収益として受領している。この一過性の補償金が経常利益水準を押し上げており、増益率の比較においては営業利益で評価することが適正であるとの見解が示されている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
来期(2026年8月期)の業績予想は、売上高9,500百万円(前年度比9.5%増)、営業利益680百万円(前年度比10.2%増)と、増収増益を見込んでいる。通期予想は、引き続き「ほぼ日手帳」が好調に推移することを想定しているものの、特に好調な北米市場における関税のインパクトを織り込んでいるため、計画としては保守的な要素も含んだ水準での設定である。好調な現状から増収増益の達成は見込めるものの、関税の影響がなければ更なる業績向上が期待できるとの認識である。
トピックス
直近のトピックスとして、代表取締役会長の異動が実施され、糸井氏が会長に、小泉副社長が代表取締役社長に就任した。この体制変更は、糸井氏が社長業からクリエイター業に専念し、創造活動に注力するための戦略的な意図に基づくものである。また、10月15日に配信開始した「ほぼ日手帳アプリ」が好調に推移しており、2週間で20万ダウンロードを達成し、手帳ユーザーの「LIFEのBOOK」を充実させるツールとして展開されている。IPコラボレーション戦略においては、ムーミン、たまごっち等に加え、特にホラー漫画『富江』(伊藤潤二氏)とのコラボレーションがアメリカ市場で大きな反響を得ており、IPに敏感な若い女性層の開拓を引き続き強化していく方針である。
・資料
ー

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材 アーカイブ
決算概要
2025年8月期第2四半期は、売上高57億4400万円(前年同期比+14.2%増)、営業利益10億2100万円(前年同期比△5.4%減)と、増収減益。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の好調な販売が牽引した。営業利益の減少は、「ほぼ日手帳」以外の商品の販売方法の変化に起因する。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は好調な販売を維持し、売上高増加に大きく貢献した。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高く、その売上比率の増加により原価率が改善される傾向にある。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品の売上規模は前年同等の推移であったが、前期に実施したウェブセールに対し、当期は「生活のたのしみ展」等のイベントでの定価販売が中心となり、これが利益変動に影響を与えた。
季節性・一過性要因の有無と影響
当社の事業において、最も利益率の高い「ほぼ日手帳」の販売ピークが上半期に集中するため、例年、上半期に利益が集中し、下半期に減少して着地する傾向にある。今期は「生活のたのしみ展」のようなイベントでの定価販売が売上を大きく牽引したが、前期同時期には「ほぼ日オンラインストア」でのウェブセールを実施しており、この販売手法の違いも利益に影響を与えた。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2025年8月期第2四半期の業績進捗は、例年の傾向に基づき概ね想定通りに推移している。特に問題は発生していない。アメリカやヨーロッパの緩やかな成長を背景に、今期から利益水準が切り上がる見込みである。
トピックス
直近のトピックスとして、「地方×ほぼ日」という取り組みがある。これは、地方が持つメディアとしての潜在的な可能性に着目したもので、例えば群馬県・赤城山の赤城山頂駅記念館サントリービア・ハイランドホールでの取り組みが挙げられる。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略における直近のトピックスとしましては、「地方×ほぼ日」という取り組みがございます。地方が持つメディアとしての潜在的な可能性に着目しており、例えば、群馬県・赤城山の赤城山頂駅記念館サントリービア・ハイランドホールでの取り組みなどが挙げられます。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件として、特に原材料費と為替が事業に影響を及ぼします。原材料費に関しては、サプライチェーンがグローバルに広がっているため、エネルギー価格の変動が全体的に影響を与える可能性がございます。また、為替については、主に海外製品の販売において、円高は利益を圧迫し、円安は利益を増加させる方向に作用いたします。
Q:通期業績の見通についてご説明ください。
A:2025年8月期第2四半期においては、売上高が57億4400万円(前年同期比+14.2%増)、営業利益が10億2100万円(前年同期比△5.4%減)となりました。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の好調な販売が牽引しております。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高いため、ほぼ日手帳の売上比率が高まることで原価率が改善される傾向にございます。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品の売上規模は前年と同程度で推移しておりますが、販売手法が異なっており、当期は「生活のたのしみ展」のようなイベント販売での売上が大きく寄与しております。前期は同時期に「ほぼ日オンラインストア」でのウェブセールを実施しておりましたが、今期は定価販売を中心としたイベントでの販売が増加しております。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針に変更はございません。当社は安定配当を基本方針としており、業績の変動による配当の増減は極力抑える方針でございます。しかしながら、今期より利益水準が上昇する見込みであり、特にアメリカやヨーロッパの緩やかな成長を背景に利益の増加を想定しております。これに伴い、これまで1株あたり45円であった配当を、当期の配当から90円に増配する予定でございます。
―
取締役 最高財務責任者 鈴木基男様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
事業内容
株式会社ほぼ日は、自社オンラインストアを中心とした物販を主力事業とする企業である。 メインの収益源は手帳であるが、同社は自らを「コンテンツの会社」と定義し、Webサイトやイベントなど、人々に良質な時間を提供するための様々なコンテンツを制作・発信している。
ビジネスモデル
ほぼ日のビジネスモデルは、コンテンツを核としたものとなっている。 「ほぼ日刊イトイ新聞」などのWebサイトやイベントを通じて、人々に楽しいと感じてもらえるようなコンテンツを提供し、共感を得ることで商品販売に繋げている。
創業の経緯
ほぼ日は1998年、インターネット黎明期に創業した。 創業者である糸井重里氏は、広告主の意向に縛られない自由な表現の場を求め、「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げた。 当初はマネタイズを目的としていなかったが、自社Tシャツの販売をきっかけにEC事業に参入した。
転機となった出来事
手帳事業への進出が、ほぼ日の転機となった。 1日1ページ書き込める手帳は、当時の手帳の常識を覆すものであり、多くのユーザーを獲得した。
直近の決算状況
第1四半期の売上は増加しており、特にアメリカでの手帳販売が好調である。
特徴と強み
ほぼ日のコンテンツは、広告収入に依存せず、人々に良い時間を過ごしてもらうことを目的としている点に特徴がある。 また、コンテンツ・商品のファンである社員が共感を生むコンテンツ作りを行っている点が強みである。
成長戦略
海外市場への注力、手帳アプリの開発、動画コンテンツの強化などを成長戦略として掲げている。
株主還元策
長期安定配当を基本とし、株主優待や「株主ミーティング」などを通じて株主との交流を図っている。
今期の取り組みやトピックス
海外市場向けの商品開発強化、手帳アプリの開発、YouTubeでの動画コンテンツ強化などを進めている。
Q:貴社の事業内容とビジネスモデルについて、特徴と強みも踏まえて教えてください。
A:当社の業種は、一般的に小売業に分類されます。基本的には自社オンラインストアを通じた商品の物販がメインの収益源となっています。しかし、当社は自らを「コンテンツの会社」と捉えています。コンテンツとは、Webコンテンツに限らず、人々が良質な時間を過ごすためのあらゆるものを指します。例えば、当社で最も売上を上げている手帳も、単なるタスク管理ツールではなく、日々の思いや考えを書き留めることで心を整理し、豊かな時間を過ごすための相棒のような存在として提供しています。
Q:その他に、コンテンツとしてどのようなものを提供していますか?
A:先日8回目の開催を迎えた「生活のたのしみ展」のようなイベントも、来場者に楽しいと感じてもらうという意味でコンテンツの一つですし、そこで販売されている商品もすべてコンテンツと捉えています。つまり、当社はコンテンツを核としたビジネスを展開している会社です。
Q:貴社のコンテンツ事業における強みは何ですか?
A:創業当初は、代表の糸井重里のこれまでの経歴や人脈が大きな要因となっていました。しかし、上場以降は、糸井の人脈よりも、ほぼ日の活動に共感して集まってくださるファンやアーティストの方々との繋がりを重視するようになりました。現在では、糸井が直接関わっていなくても、コンテンツを一緒に制作してくれる人や、代わりに制作してくれる人たちの力を強化することで、多様なコンテンツを世に送り出すことに取り組んでいます。
Q:具体的には、どのようなコンテンツを展開していますか?
A:一番長く続いているのは、「ほぼ日刊イトイ新聞」というウェブサイトです。そこには、多種多様なジャンルのコンテンツが集約されており、その一部は他の媒体でも展開しています。 中でも、購入して楽しむことができるコンテンツが売上に繋がっています。しかし、見て楽しむ動画コンテンツなども含め、すべてをコンテンツとして捉えています。お客様は、ほぼ日の世界観やフォーカスされている内容に興味を持ってサイトを訪れ、共感したものを購入してくださる方もいれば、日々コンテンツを楽しんでくださる方もいます。このように、様々なパートナーやクリエイターと協力しながら、コンテンツを世に送り出すとともに、その力を強化していくことを目指しています。過去に物販されたコンテンツもあれば、そうでないものも多数存在します。
Q:貴社が提供するコンテンツの特徴は、生活に根付いたものが多いですか?
A:その通りです。ほとんどのWebメディアは広告収入に依存しており、PVやユニークユーザー数を増やすために、センセーショナルな情報に頼ることもあります。しかし、当社は人々に良い時間を過ごしてほしいと考えているため、当社のコンテンツは、読んでよかったと思えるような、優しく、心が温まるものが多く、人々を傷つけないことを大切にしています。
Q:ファンを増やすための施策はございますか?
A:面白いコンテンツや、欲しいと思えるアイテムを、アイデアとともに提供することに尽きます。その量と質がすべてを決めていると考えています。特に、社員自身がファンであることが重要です。売るため、読んでもらうためではなく、社員が本当に好きなものを発信することで、共感を生み、興味を持ってくれる人を増やしていきたいと考えています。
Q:昨年、一昨年と大型採用を行っていましたが、どのような方が応募してきていますか?
A:多種多様な方が応募してきますが、共通しているのは、アイデアや企画力があり、指示された仕事をこなすだけでなく、自ら何かをしたいという意欲を持っていることです。
Q:掲載する記事の自由度は高いですか?
A:はい、非常に高いです。ほぼ日刊イトイ新聞の記事は、一見何の脈絡もなく並んでいますが、それぞれが独自のコンテンツを制作し、掲載時期も自分で決めています。
Q:貴社の創業の経緯について教えてください。
A:創業は26年前、インターネット黎明期の1998年です。楽天市場が開始して間もない時期に、ほぼ日刊イトイ新聞というメディアを立ち上げました。当時の代表である糸井重里は、コピーライター兼アートディレクターとして、トヨタ自動車のカローラや西武グループなどの広告制作に携わっていました。しかし、広告主の意向に沿ったクリエイティブしか作れないことに疑問を感じ、クリエイターが本当に面白いと思うものを自由に発信できる場を作りたいと考えました。それが、ほぼ日刊イトイ新聞の始まりです。
Q:貴社の今後の展望を教えてください。
A:ほぼ日手帳の販売が好調で、特にアメリカで大きく伸びています。そこで、海外市場向けの商品開発を強化したり、小売店との関係性を強化したりといった取り組みを進めています。また、ほぼ日手帳のアプリ版の開発もスタートしました。紙の手帳と同様に、自分自身の記録を残し、振り返ることができるようなアプリを目指しています。さらに、読み物コンテンツに加えて、動画コンテンツも強化しています。「ほぼ日の學校」という枠組みで制作した動画を、YouTubeで公開し始めました。まだ始めて半年ほどですが、登録者数は順調に伸びており、他のYouTubeチャンネルとは異なるコンテンツ領域のブルーオーシャンを開拓できると期待しています。例えば、「スーパーボランティア」として知られる尾畑春夫さんや、「SPY×FAMILY」など人気作品を担当する漫画編集者の林士平さん、保育士として日本一のフォロワーを持つてぃ先生など、様々な方のインタビュー動画を公開しています。今後も、様々なコンテンツを通じて、人々に優しく、温かい気持ちになってもらえるような活動を進めていきたいと考えています。
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取締役 最高財務責任者 鈴木基男様

(株)ほぼ日
東証STD 3560
決算:8月末日
CP&X
【2025年8月期(通期)】
決算概要
増収・増益。2025年8月期通期の売上高は8,677百万円(前年同期比15.2%増)、営業利益616百万円(同12.7%増)、経常利益651百万円(同19.7%増)、当期純利益448百万円(同12.3%増)と、売上・各利益ともに二桁成長を達成した。利益面では、売上原価率の改善(主にほぼ日手帳による)が寄与し、利益率も改善傾向にある。なお、営業外収益として越境EC提携先からの営業保証金を受け取ったため、経常利益の増益率(19.7%)が営業利益の増益率(12.7%)を上回る結果となった。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は、北米およびヨーロッパを中心とした海外市場での伸びが継続し、国内販売も前期比17.0%増で伸長し、業績をしっかりと下支えする構造である。特に海外展開の成功が売上増加を牽引している。手帳以外の「ほぼ日商品」群では、「生活のたのしみ展」が過去最高の売上を更新したこと、およびゲームIPを活用した「ほぼ日MOTHERプロジェクト」(特に渋谷PARCOのポップアップショップ)の盛況が売上を押し上げた。
主要KPIの進捗と変化
「ほぼ日」ブランド全体の認知拡大において、Instagram、YouTube、TikTokといったSNS上でのUGC(User Generated Content)の増加が顕著に進捗している点が特筆される。このUGCによる認知拡大が、新規顧客層の獲得を促進するファクトとなっている。販売チャネルは自社EC(ほぼ日オンラインストア)、普段使いのEC(Amazon、楽天)、および現物確認が可能な店舗・卸先の3つを基盤としており、今後は特に海外における商品を手に取れる卸先としての販売場所を増やす戦略である。
季節性・一過性要因の有無と影響
当期においては、越境EC提携先から営業保証金を営業外収益として受領している。この一過性の補償金が経常利益水準を押し上げており、増益率の比較においては営業利益で評価することが適正であるとの見解が示されている。
通期見通しと進捗率・達成可能性
来期(2026年8月期)の業績予想は、売上高9,500百万円(前年度比9.5%増)、営業利益680百万円(前年度比10.2%増)と、増収増益を見込んでいる。通期予想は、引き続き「ほぼ日手帳」が好調に推移することを想定しているものの、特に好調な北米市場における関税のインパクトを織り込んでいるため、計画としては保守的な要素も含んだ水準での設定である。好調な現状から増収増益の達成は見込めるものの、関税の影響がなければ更なる業績向上が期待できるとの認識である。
トピックス
直近のトピックスとして、代表取締役会長の異動が実施され、糸井氏が会長に、小泉副社長が代表取締役社長に就任した。この体制変更は、糸井氏が社長業からクリエイター業に専念し、創造活動に注力するための戦略的な意図に基づくものである。また、10月15日に配信開始した「ほぼ日手帳アプリ」が好調に推移しており、2週間で20万ダウンロードを達成し、手帳ユーザーの「LIFEのBOOK」を充実させるツールとして展開されている。IPコラボレーション戦略においては、ムーミン、たまごっち等に加え、特にホラー漫画『富江』(伊藤潤二氏)とのコラボレーションがアメリカ市場で大きな反響を得ており、IPに敏感な若い女性層の開拓を引き続き強化していく方針である。
・資料
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決算概要
2025年8月期第3四半期は、売上高68億6500万円(前年同期比+14.5%増)、営業利益7億2400万円(前年同期比+9.7%増)と、増収減益。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の牽引に加え、「生活のたのしみ展」やセールを実施した影響による。営業利益の増加は、「ほぼ日手帳」の原価率改善による売上総利益の増加に起因する。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は好調な販売を維持し、売上高増加に大きく貢献した。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高く、その売上比率の増加により原価率が改善される傾向にある。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品は、「生活のたのしみ展」に加え、ほぼ日オンラインストアで5月にセールを実施したため、好調に推移した。
主要KPIの進捗と変化
当第3四半期累計期間までの2025年版の「ほぼ日手帳」販売部数は、過去最高の販売部数となった2024年版の90万部を超えて94万部となり、総販売部数は96万部となる見込みだ。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2025年8月期第3四半期の業績進捗は、例年の傾向に基づき概ね想定通りに推移している。特に問題は発生していない。
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IR担当
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CP&X
事業内容
株式会社ほぼ日は、自社オンラインストアを中心とした物販を主力事業とする企業である。 メインの収益源は手帳であるが、同社は自らを「コンテンツの会社」と定義し、Webサイトやイベントなど、人々に良質な時間を提供するための様々なコンテンツを制作・発信している。
ビジネスモデル
ほぼ日のビジネスモデルは、コンテンツを核としたものとなっている。 「ほぼ日刊イトイ新聞」などのWebサイトやイベントを通じて、人々に楽しいと感じてもらえるようなコンテンツを提供し、共感を得ることで商品販売に繋げている。
創業の経緯
ほぼ日は1998年、インターネット黎明期に創業した。 創業者である糸井重里氏は、広告主の意向に縛られない自由な表現の場を求め、「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げた。 当初はマネタイズを目的としていなかったが、自社Tシャツの販売をきっかけにEC事業に参入した。
転機となった出来事
手帳事業への進出が、ほぼ日の転機となった。 1日1ページ書き込める手帳は、当時の手帳の常識を覆すものであり、多くのユーザーを獲得した。
直近の決算状況
第1四半期の売上は増加しており、特にアメリカでの手帳販売が好調である。
特徴と強み
ほぼ日のコンテンツは、広告収入に依存せず、人々に良い時間を過ごしてもらうことを目的としている点に特徴がある。 また、コンテンツ・商品のファンである社員が共感を生むコンテンツ作りを行っている点が強みである。
成長戦略
海外市場への注力、手帳アプリの開発、動画コンテンツの強化などを成長戦略として掲げている。
株主還元策
長期安定配当を基本とし、株主優待や「株主ミーティング」などを通じて株主との交流を図っている。
今期の取り組みやトピックス
海外市場向けの商品開発強化、手帳アプリの開発、YouTubeでの動画コンテンツ強化などを進めている。
Q:貴社の事業内容とビジネスモデルについて、特徴と強みも踏まえて教えてください。
A:当社の業種は、一般的に小売業に分類されます。基本的には自社オンラインストアを通じた商品の物販がメインの収益源となっています。しかし、当社は自らを「コンテンツの会社」と捉えています。コンテンツとは、Webコンテンツに限らず、人々が良質な時間を過ごすためのあらゆるものを指します。例えば、当社で最も売上を上げている手帳も、単なるタスク管理ツールではなく、日々の思いや考えを書き留めることで心を整理し、豊かな時間を過ごすための相棒のような存在として提供しています。
Q:その他に、コンテンツとしてどのようなものを提供していますか?
A:先日8回目の開催を迎えた「生活のたのしみ展」のようなイベントも、来場者に楽しいと感じてもらうという意味でコンテンツの一つですし、そこで販売されている商品もすべてコンテンツと捉えています。つまり、当社はコンテンツを核としたビジネスを展開している会社です。
Q:貴社のコンテンツ事業における強みは何ですか?
A:創業当初は、代表の糸井重里のこれまでの経歴や人脈が大きな要因となっていました。しかし、上場以降は、糸井の人脈よりも、ほぼ日の活動に共感して集まってくださるファンやアーティストの方々との繋がりを重視するようになりました。現在では、糸井が直接関わっていなくても、コンテンツを一緒に制作してくれる人や、代わりに制作してくれる人たちの力を強化することで、多様なコンテンツを世に送り出すことに取り組んでいます。
Q:具体的には、どのようなコンテンツを展開していますか?
A:一番長く続いているのは、「ほぼ日刊イトイ新聞」というウェブサイトです。そこには、多種多様なジャンルのコンテンツが集約されており、その一部は他の媒体でも展開しています。 中でも、購入して楽しむことができるコンテンツが売上に繋がっています。しかし、見て楽しむ動画コンテンツなども含め、すべてをコンテンツとして捉えています。お客様は、ほぼ日の世界観やフォーカスされている内容に興味を持ってサイトを訪れ、共感したものを購入してくださる方もいれば、日々コンテンツを楽しんでくださる方もいます。このように、様々なパートナーやクリエイターと協力しながら、コンテンツを世に送り出すとともに、その力を強化していくことを目指しています。過去に物販されたコンテンツもあれば、そうでないものも多数存在します。
Q:貴社が提供するコンテンツの特徴は、生活に根付いたものが多いですか?
A:その通りです。ほとんどのWebメディアは広告収入に依存しており、PVやユニークユーザー数を増やすために、センセーショナルな情報に頼ることもあります。しかし、当社は人々に良い時間を過ごしてほしいと考えているため、当社のコンテンツは、読んでよかったと思えるような、優しく、心が温まるものが多く、人々を傷つけないことを大切にしています。
Q:ファンを増やすための施策はございますか?
A:面白いコンテンツや、欲しいと思えるアイテムを、アイデアとともに提供することに尽きます。その量と質がすべてを決めていると考えています。特に、社員自身がファンであることが重要です。売るため、読んでもらうためではなく、社員が本当に好きなものを発信することで、共感を生み、興味を持ってくれる人を増やしていきたいと考えています。
Q:昨年、一昨年と大型採用を行っていましたが、どのような方が応募してきていますか?
A:多種多様な方が応募してきますが、共通しているのは、アイデアや企画力があり、指示された仕事をこなすだけでなく、自ら何かをしたいという意欲を持っていることです。
Q:掲載する記事の自由度は高いですか?
A:はい、非常に高いです。ほぼ日刊イトイ新聞の記事は、一見何の脈絡もなく並んでいますが、それぞれが独自のコンテンツを制作し、掲載時期も自分で決めています。
Q:貴社の創業の経緯について教えてください。
A:創業は26年前、インターネット黎明期の1998年です。楽天市場が開始して間もない時期に、ほぼ日刊イトイ新聞というメディアを立ち上げました。当時の代表である糸井重里は、コピーライター兼アートディレクターとして、トヨタ自動車のカローラや西武グループなどの広告制作に携わっていました。しかし、広告主の意向に沿ったクリエイティブしか作れないことに疑問を感じ、クリエイターが本当に面白いと思うものを自由に発信できる場を作りたいと考えました。それが、ほぼ日刊イトイ新聞の始まりです。
Q:貴社の今後の展望を教えてください。
A:ほぼ日手帳の販売が好調で、特にアメリカで大きく伸びています。そこで、海外市場向けの商品開発を強化したり、小売店との関係性を強化したりといった取り組みを進めています。また、ほぼ日手帳のアプリ版の開発もスタートしました。紙の手帳と同様に、自分自身の記録を残し、振り返ることができるようなアプリを目指しています。さらに、読み物コンテンツに加えて、動画コンテンツも強化しています。「ほぼ日の學校」という枠組みで制作した動画を、YouTubeで公開し始めました。まだ始めて半年ほどですが、登録者数は順調に伸びており、他のYouTubeチャンネルとは異なるコンテンツ領域のブルーオーシャンを開拓できると期待しています。例えば、「スーパーボランティア」として知られる尾畑春夫さんや、「SPY×FAMILY」など人気作品を担当する漫画編集者の林士平さん、保育士として日本一のフォロワーを持つてぃ先生など、様々な方のインタビュー動画を公開しています。今後も、様々なコンテンツを通じて、人々に優しく、温かい気持ちになってもらえるような活動を進めていきたいと考えています。
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取締役 最高財務責任者 鈴木基男様
取材アーカイブ
決算概要
2025年8月期第2四半期は、売上高57億4400万円(前年同期比+14.2%増)、営業利益10億2100万円(前年同期比△5.4%減)と、増収減益。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の好調な販売が牽引した。営業利益の減少は、「ほぼ日手帳」以外の商品の販売方法の変化に起因する。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は好調な販売を維持し、売上高増加に大きく貢献した。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高く、その売上比率の増加により原価率が改善される傾向にある。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品の売上規模は前年同等の推移であったが、前期に実施したウェブセールに対し、当期は「生活のたのしみ展」等のイベントでの定価販売が中心となり、これが利益変動に影響を与えた。
季節性・一過性要因の有無と影響
当社の事業において、最も利益率の高い「ほぼ日手帳」の販売ピークが上半期に集中するため、例年、上半期に利益が集中し、下半期に減少して着地する傾向にある。今期は「生活のたのしみ展」のようなイベントでの定価販売が売上を大きく牽引したが、前期同時期には「ほぼ日オンラインストア」でのウェブセールを実施しており、この販売手法の違いも利益に影響を与えた。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2025年8月期第2四半期の業績進捗は、例年の傾向に基づき概ね想定通りに推移している。特に問題は発生していない。アメリカやヨーロッパの緩やかな成長を背景に、今期から利益水準が切り上がる見込みである。
トピックス
直近のトピックスとして、「地方×ほぼ日」という取り組みがある。これは、地方が持つメディアとしての潜在的な可能性に着目したもので、例えば群馬県・赤城山の赤城山頂駅記念館サントリービア・ハイランドホールでの取り組みが挙げられる。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略における直近のトピックスとしましては、「地方×ほぼ日」という取り組みがございます。地方が持つメディアとしての潜在的な可能性に着目しており、例えば、群馬県・赤城山の赤城山頂駅記念館サントリービア・ハイランドホールでの取り組みなどが挙げられます。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件として、特に原材料費と為替が事業に影響を及ぼします。原材料費に関しては、サプライチェーンがグローバルに広がっているため、エネルギー価格の変動が全体的に影響を与える可能性がございます。また、為替については、主に海外製品の販売において、円高は利益を圧迫し、円安は利益を増加させる方向に作用いたします。
Q:通期業績の見通についてご説明ください。
A:2025年8月期第2四半期においては、売上高が57億4400万円(前年同期比+14.2%増)、営業利益が10億2100万円(前年同期比△5.4%減)となりました。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の好調な販売が牽引しております。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高いため、ほぼ日手帳の売上比率が高まることで原価率が改善される傾向にございます。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品の売上規模は前年と同程度で推移しておりますが、販売手法が異なっており、当期は「生活のたのしみ展」のようなイベント販売での売上が大きく寄与しております。前期は同時期に「ほぼ日オンラインストア」でのウェブセールを実施しておりましたが、今期は定価販売を中心としたイベントでの販売が増加しております。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針に変更はございません。当社は安定配当を基本方針としており、業績の変動による配当の増減は極力抑える方針でございます。しかしながら、今期より利益水準が上昇する見込みであり、特にアメリカやヨーロッパの緩やかな成長を背景に利益の増加を想定しております。これに伴い、これまで1株あたり45円であった配当を、当期の配当から90円に増配する予定でございます。
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取締役 最高財務責任者 鈴木基男様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
2025年8月期第3四半期は、売上高68億6500万円(前年同期比+14.5%増)、営業利益7億2400万円(前年同期比+9.7%増)と、増収減益。売上高の増加は「ほぼ日手帳」の牽引に加え、「生活のたのしみ展」やセールを実施した影響による。営業利益の増加は、「ほぼ日手帳」の原価率改善による売上総利益の増加に起因する。
セグメント別または事業別の増減要因
「ほぼ日手帳」は好調な販売を維持し、売上高増加に大きく貢献した。ほぼ日手帳は他の商品と比較して利益率が高く、その売上比率の増加により原価率が改善される傾向にある。一方、「ほぼ日手帳」以外の商品は、「生活のたのしみ展」に加え、ほぼ日オンラインストアで5月にセールを実施したため、好調に推移した。
主要KPIの進捗と変化
当第3四半期累計期間までの2025年版の「ほぼ日手帳」販売部数は、過去最高の販売部数となった2024年版の90万部を超えて94万部となり、総販売部数は96万部となる見込みだ。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2025年8月期第3四半期の業績進捗は、例年の傾向に基づき概ね想定通りに推移している。特に問題は発生していない。
ー
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IR担当
