【対話】
取材者:冒頭、主要セグメントについて、特に賃貸DXプロパティマネジメントと売買DXインベストの、差別化要因、そして今後の成長期待というところを、まず確認させていただければと存じますので、よろしくお願いいたします。
プロパティマネジメントの方からお伺いしたいのですが、大家様との契約獲得という面で、どのような方法をとられておりますか?
回答者:創業以来、この管理業務をやらせていただいております。まず、オーナー様との繋がりというよりも、不動産会社との繋がりが非常に大きいです。売買のみを行っている不動産会社やデベロッパーさんなどから、賃貸管理を受託する形でやらせていただいております。創業から継続して行ってきた結果、現在では取引実績のある業者数が100社以上あるかと存じます。そういった業者様から定期的に、「物件の方を当社で管理してもらえないか」とお話をいただきます。物件によっては、他社に管理を任せたり、自社で管理したりするケースもございますが、そのような長年の蓄積の中で、管理をお任せいただける業者が、数は多くあるという形でございます。
取材者:承知いたしました。そのように、より貴社に物件情報や管理を依頼する決め手が何かございますか?やはりこの分野には競争相手がいらっしゃるということですよね?
回答者:もちろん競争相手はおりますが、やはり長年の信用信頼というところで我々にお任せいただけると、入居率がとにかく高まるという点と、安心感がございます。当社はそのような業者様の場合、サブリース、つまり当社が物件の借り上げをするのですが、借り上げをしたところで、入居率もそうですし、我々が管理をすることによって、入居者の方々も安心していただけるという点がございます。管理した後、今まではDXサポートなども提供させていただいていますので、入居者の方からは、かなりご好評というか、他の会社に比べるとご満足をいただけているというところが、一つの強みとしてあると思います。
また、我々が管理をしているという形になりますと、例えば売買で物件を販売する際に、金融機関、銀行などの評価も高くなります。まず物件を作る時に銀行などから借入れをしなくては物件を建てられないケースがほとんどですので、我々が管理をしているという形で言うと、銀行からも評価が高いのです。この金額、例えば家賃設定を12万円とかにした場合、12万円の価格設定でこの物件に入居者が本当に決まるのかと銀行に問われた場合に、「管理しているのがアンビションだ」と言うと、「アンビションが管理しているのだったら大丈夫だね」といった形で、銀行の方がお金を貸してくれやすいという側面もあるかもしれないですね。
取材者:承知いたしました。管理とサブリース二つに分かれていると思うのですが、管理の場合だと、テナントの獲得も貴社がやらないといけないということですか?
回答者:テナント付けは当社が担当しているという形でございます。
取材者:テナントのその獲得というのは、貴社の仲介のチャンネル経由でやられているということでしょうか?
回答者:我々の仲介のチャンネルはもちろん活用させていただいております。それ以外にも、
全国に不動産業者もたくさんございますので、そちらの業者様の方にも物件情報をお流しして決めていただいているという形になります。
取材者:空室率はどれぐらいなのでしょうか?サブリースはおそらく高いと推測いたしますが、管理物件も同様に高いのでしょうか?
回答者: 98%を超える入居率となっております。サブリースの空室率も含め、全てを合わせた形です。サブリースは100%と思われがちですが、我々がサブリース事業を行っておりますので、入居率という形で全て合わせて対応させていただいております。
取材者:承知いたしました。恐縮ですが、この収益化モデルについてお伺いします。部屋あたり家賃の10%程度をいただくというイメージでよろしいでしょうか?
回答者:そのイメージで概ね結構です。ただし、物件によりますが、家賃の5%であったり、3%だったり、あるいは10%、15%などをいただくケースもあり、それは物件によって様々でございます。
取材者:管理の件なのですが、基本的に、一棟まるごと管理されるのですか、それとも部屋単位での管理もございますか?
回答者:部屋単位の管理もございますが、一棟まるごとお任せいただくケースがほとんどでございます。
取材者:承知いたしました。基本的に、開発の段階からそういう案件を取ってくるというイメージなのですか?そのプロセスを教えていただけてもよろしいですか?
回答者: デベロッパー様と当社が最初からやり取りをして、「このくらいの賃料で募集をかけたい」という形で、当社の方で「十分に管理できます」ということで受託しています。あるいは、業者様によっては、我々のこの査定によって購入の可否を判断しているところもございます。
取材者:承知いたしました。デベロッパー様は、どのようなところとのお付き合いが強いのですか?
回答者:ワンルームデベロッパー様です。
取材者:承知いたしました。サブリースと管理の違いについて、物件の入り口という面では同じでございますか?それは、大家様が一棟まるごと貴社に賃貸されるのか、あるいは管理のみを任せるのかという、単なる違いになるということですか?
回答者: サブリースの場合は、我々が物件を借り上げます。オーナー様の方から、例えば1部屋10万円で全て借り上げ、我々が賃料設定を11万円や12万円などにして募集をかけるという形になります。
一方で、通常の管理の場合は、賃料10万円の物件に対し、例えば3%をPM費として、あるいは5%をPM費としてお支払いいただくという形です。我々が扱う不動産リートの物件は、このパターンが多いです。PMとして、我々の方に丸ごと借り上げてもらうのではなく、最大限まで高い賃料にして入居者が決まった後、数%を管理フィーとしてお渡しいただくという形が多くなっています。
取材者:なるほど。管理はリート系が多いということでしょうか?
回答者:多いです。
取材者:承知いたしました。サブリースも、基本的に一棟というところですか?
回答者:一棟がほとんどです。
取材者:承知いたしました。サブリースする場合のその契約期間は大体どれぐらいなのですか?
回答者:大体5年で契約しております。大手様は大体30年とかで契約するのですが 、当社は5年でまた更新契約という形になっています。ただ更新されないケースの方は、パーセンテージ的にはもう1%か2%とかそのレベル感だと思います。
取材者:承知いたしました 。5年だとテナントの入れ替えっていう面で1回あるかないか、という感じでしょうか ?
回答者:5年ですと、テナントの入れ替えは2回から3回発生します。もちろん、長くご入居いただく方もいらっしゃいますが、基本的にこのくらいのコンパクトなワンルームマンションの場合は、更新するとしても2年半程度が多いです。通常、ご入居者の方は2年契約ですので5年間まるまるご入居いただく方は、全体で20%から30%程度ではないでしょうか。
取材者:承知いたしました。値上げができたら、そのサブリースの契約が更新する前に値上げできて、その分、粗利は改善するということなのですね?
回答者:そうです。基本的には、オーナー様の方から解約を申し出てくることはほとんどございません。弊社ももうすぐ20年を迎えようとしておりますが、オーナー様からの解約率は低く、大体自動更新で契約を更新していくという形です。
取材者:サブリース契約の仕組みなのですが、これ大家様に支払う金額は固定なのですか?
回答者:固定です。
取材者:承知いたしました。更新時は、オーナー様に支払う金額が上がってきているというわけではないのですか?
回答者:ございません。オーナー様に対しては、むしろ築年数が古くなるほど、少し下げていただく交渉をさせていただく場合もございます。
取材者:承知いたしました。テナントの入れ替え時の値上げという面では、そこもまるまる利益として落ちてきているというところなのですね?
回答者:そのような形になります。
取材者: 承知いたしました。ちなみに恐縮ですが、サブリースをされている大家様というのは、リートは管理に従事されるというお話でしたが、富裕層のお客様や個人の方も多いのですか?
回答者:はい、個人の方が多いですね。一棟まるごとその大家様がお持ちというわけではなく、区分マンションの形です。よって1部屋ごとオーナー様が異なるマンションになります。ワンルーム、特に投資用ワンルームの分譲マンションでございます。
取材者:承知いたしました。数年後にリース会計への変更があると思うのですが、この変更は今後の成長の見通しに対してどのような影響があるとお考えですか?影響はあまりないのでしょうか?
回答者:リース会計は、当社がこれまで行ってきている実態と全く同じです。ただ、改正制度として、財務諸表(BS)上での見え方が重くなり、自己資本比率などが極端に低くなるということはあると思います。
しかし、この賃貸管理のビジネスモデルは基本的にサブスクリプションのような形であり、管理件数を増やせば増やすほど、粗利額がどんどん増加していきます。ご入居者が退出されない限り、どんどん積み上げで増えていくビジネスモデルですので、金融機関様などからは非常に高い評価をいただいています。毎月安定的にキャッシュが入ってきます。
ただし、リース会計を導入したことによる見え方、具体的には投資家の方々からの見え方として、自己資本比率が非常に低くなってしまうという点がございます。その程度の影響です。リース会計を導入したからといって、我々のビジネスモデルが崩壊することはなく、むしろ年数を重ねるほど安定してきています。今では、月間の家賃の粗利額は1億円以上が毎月安定的に入ってきており、この点には非常に大きな安定感があると考えております。
取材者: リース会計の変更によって、このリース契約が資産化しなければならないという話になりますと、先ほどおっしゃられたように、現在の自己資本比率(例えば25%から)が大幅に低下し、極端な例として10%程度になるという話だと思います。この点について、銀行側としては、特に「もう少し資本の貯蓄に努めてください」といったような話にはなっていないということでしょうか?
回答者:ございません。これはあくまで上場会社の基準ですので、私はすでに全ての金融機関にお話しをしており、「評価はどうなるのか」と尋ねたところ、「これまで通りの評価でさせていただきます」とのことでした。むしろ、「管理物件はどんどん増やしてください」というお話をいただいております。
取材者:承知いたしました。成長率についてお伺いします。サブリース契約の獲得ペースですが、今期は千件以上を超えるペースだと推測いたします。これをさらに加速させる方法は何かございますか?例えば、新規デベロッパー様との関係構築など、いかがお考えですか?
回答者:おっしゃる通りです。いよいよ名古屋の方にも進出しており、これまで東京のプレミアムエリアで事業を行ってまいりましたが、昨今では大阪・名古屋の方にも進出させていただいております。そこでの獲得件数が増加しているという状況でございます。
取材者:承知いたしました。そこは既にお取引がある企業とやり取りが増えたとかそういうことでしょうか?
回答:不動産リートであったり、投資用マンションの会社であったり、そういったところから、「東京のアンビションだね」といった形で、案件をいただいております。
取材者:承知いたしました。採算性は、東京の案件と比較して同程度に良いと見てよろしいですか?
回答者:東京ほどではございませんが、十分採算は取れております。また、入居率についても、東京と遜色ない水準を現在維持している状況です。
取材者:承知いたしました。ここを増やすためには、やはり先行投資が重くなってしまう可能性があるのですか?
回答者:特に先行投資が必要というわけではございません。これまで通りの投資で対応可能です。
取材者:承知いたしました。貴社のビジネスモデルにおいてお伺いすべき点として、DX戦略についてございます。これをどのように捉えるべきでしょうか?
DXをさらに活用することで、入居率がより高められているという点は、賃貸契約に関する効率化の話かと推察いたします。しかし、効率化によって予算(バジェット)が捻出され、それを広告に充当できているという話なのでしょうか?この点について、もう少し詳しくご説明いただけますか?
回答者: はい、広告に回せているというよりも、賃貸の契約に関する効果が大きいです。
賃貸物件の契約は、一般的な会社が1日あたり1人10件の契約ができたと仮定します。弊社の場合はDXの効果によって、1日50件、つまり他社の約5倍の契約をこなすことができます。これは、DXすなわちテクノロジーによって業務が大幅に短縮できている点が非常に大きいです。
具体例を挙げますと、契約書のオンライン重説(重要事項説明)、オンライン契約は、弊社ではもはやデフォルトですが、それ以外に不動産仲介会社とのやり取りも効率化しています。例えば、テナント様が物件を内見し、申し込みをしたいという場合、従来は電話連絡をしてFAXで申込書を流し、FAXでやり取りするようなプロセスがございました。しかし、我々の場合、全てオンラインで対応させていただいております。オンラインであるため、無駄がなく、スピードも速いというメリットがございます。
また、不動産会社様が申し込みをした後の入居審査についても改善しています。入居審査をする際、不動産会社様は管理会社に対し、電話で「今審査はどうなりましたか」と連絡し、管理会社は「今審査中です」と回答することが多いです。しかし、弊社の場合はオンラインで対応させていただいておりますので、24時間対応で審査状況を確認できるのです。
これにより、「今審査が進んでいないが、なぜだろうか。この人はまだ免許証のコピーや収入証明などの必要書類が揃っていない」といったことが24時間で分かります。一般的な不動産会社の場合は、まず不動産会社に連絡しなければなりません。さらに、契約書のデータ入力などもRPAなどで処理していますので、1人あたりの生産性が他社とは全く異なります。その結果、1日あたりの契約件数がどんどん増えていくのです。
不動産会社の繁忙期は1月から3月ですが、この期間は契約したいというお客様が多数いらっしゃいます。我々の場合、こなせる数量が全く違いますので、すぐに入居まで持っていけるという点が、この高い入居率を支えている一つの要因だと考えております。
取材者:承知いたしました。物件見学はどうされているのでしょうか?
回答者:内見はオンラインも最近かなり増えてきていますが、当然仲介会社さんがお客様を連れて内覧して決めるケースがほとんどです。
取材者:承知いたしました。
回答者:ご入居者が物件を内覧し契約するまでの期間(ターム)が、一般的な会社であれば2~3週間かかるところを、我々であれば数日で完了できるという側面もございます。
これにより、多くの入居者に入居を進めていただき、非常に高い回転率を実現しています。このように、DXにより様々な点で効果が出ております。弊社の業務を実際に知る不動産会社の方々であれば、驚くような仕組みだと感じていただけると思いますが、第三者の方には、その効果がなかなか伝わりにくい点があるかもしれません。
取材者:このツールを商品化かパッケージしてなんか他社に売るっていうのはあまり考えていないですか?
回答者:検討しております。ただ、不動産会社様は、大抵基幹システムを使っていることが多いのです。そうしたシステムはAPIを解放していないのです。
我々も横展開したいと考えており、他社の不動産会社様からも「弊社のサービスが使えるなら使いたい」というご要望が多くございましたが、このAPIの問題が大きな壁となっていました。
そこで、ついに我々も、基幹システムごと自社で構築することに着手しました。これにはかなりの金額を投資しておりますが、自前で基幹システムを作ってしまえば、不動産会社様にはシステムごと全て変更していただく形になりますので、弊社のサービスを横展開で販売していくことが可能になると考えております。
取材者:完成するのはいつぐらいなのですか?
回答者: 3年以内には完成させ、横展開していきたいと考えております。
取材者:承知いたしました 。非常に興味深い話だと思います。
回答者:もうすでに大手の不動産会社様や、管理をされている上場会社様から、「ぜひサービスを使いたいのだが、どうにかならないか」というご相談を、既にお受けしているサービスでございます。
取材者:承知いたしました。外部の資本を活用することで、その開発期間をさらに短縮できるといった可能性はございませんか?
回答者:もちろん、外部にもお願いするなどして、開発を進める検討をしており、これが設計上での最短期間として算出したものです。要件定義なども綿密に行った上で、これが最短であろうという形になっていますので、我々としては、なるべく急いで進めていきたいと考えております。
取材者: 承知いたしました。売買DXインベスト事業についてお伺いします。おそらく貴社インベスト部とヴェリタスで構成が変わってくるかと存じますが、売上利益の構成を見た時にいかがでしょうか?やはりヴェリタスが圧倒的に多いのですか?
回答者:ヴェリタスの利益の方が少なく、現在では、当社インベスト部、特にリノベーション販売事業が粗利面で会社全体を後押ししている状況となっています。
取材者:中古というのは、先ほどお話に出た不動産会社のネットワークから情報が流れてくる、という理解でよろしいでしょうか。
回答者:中古物件の情報は主に不動産会社のネットワークから入手していますが、直接オーナーから話が来る場合もあります。
取材者:中古物件の情報を提供している不動産会社は、およそ100社程度存在するという理解でよろしいでしょうか。
回答者: 100社どころではなく、何百社も存在しています。中古不動産の買取再販に関しては、都内の不動産会社すべてがお客様である、という認識です。
取材者:プロパティマネジメントのネットワークとはまた別ということでしょうか?
回答者:全く別です。
取材者:年間でどの程度の案件が情報として入ってくるのでしょうか?
回答者:入ってくる情報の中には、当社で査定して購入できないと判断し、切り捨てるものも多くあります。年間で100件契約したとすると、その100倍、1万件ほどの情報が入ってきていることになります。
取材者:承知いたしました。これを増やしていくためには、どのような方法を考えていますか?地域を拡大していくのか、それとも東京内で不動産会社との付き合いの数を増やしていくのか、どのようにお考えでしょうか。
回答者:私はこのビジネスに関しては、実は単価という形で考えております。件数、すなわち本数というよりも、良いもの、良い商品を、より安くではないですが、提供することを目指しています。
そこで、我々が数年前から着手しているのが、高額物件です。ニッチな分野ではございましたが、その高額な物件を完全に狙いに行っておりました。
取材者:社長の高額の定義は、いくらぐらいでしょうか?
回答者:以前は2億円以上という形で考えておりましたが、最近は5億円以上という形でございます。我々が扱うのは「部屋」が中心です。
取材者:5億円以上の物件もあるのですね。
回答者:もちろんございます。例えば、タワーマンションで、弊社が売却した物件に虎ノ門ヒルズがございます。こちらは高額物件です。ですから、他社も買取再販を手掛けているかと存じますが、我々はそこから一線を画しています。
彼らが狙っている、例えば1部屋5,000万円から9,000万円程度の物件を一緒になって取りに行くのではなく、数年前に私の方で、彼らが狙っていない部屋を完全に取りに行くという方針を立て、実行してまいりました。そのため、本数的にはそれほど増えていませんが、単価が上がり、売上と利益が上がっているという形です。
取材者:なるほど。承知いたしました。これ全てに手を加えているというイメージなのですか?それとも転売されるケースも多いのでしょうか?
回答者: 転売するケースもございますが、ほとんどは手を加えています。リノベーションを施して再販をかけ、さらにクオリティの高いマンション、部屋に仕上げるという形です。
取材者: 承知いたしました。そのハイエンドの市場の中でのシェアを拡大していくというのが、貴社の狙いなのですか?
回答者:そうです。
取材者:承知いたしました。
回答者:ですから、もちろん数字上ではなかなか測りづらいという面はございますが、私は売上を伸ばす要素は契約件数を増やすか単価を上げるかのどちらかだと考えており、単価を上げる方にシフトしたという形です。
取材者:承知いたしました。インベスト部の単価は今どれぐらいなのですか ?
回答者:単価はどんどん上がってきています。すでに億は超えているのですが、売上単価としてはどのくらいか。まだ6月を締めくくっていないため正確ではありませんが、来期はさらに伸ばしていきたいと考えています。
取材者:まだ増やしていけるという発想ですか?
回答者:そうです。
取材者:すごいですね。
回答者:今後は、より広いマンションをターゲットにします。現在、大体60平米や70平米の物件が中心ですが、200平米など、なかなか市場にないニッチな物件、100平米から150平米程度の物件をもっと取りに行って、仕上げていきたいと考えております。
取材者:承知いたしました。この戦略におけるリスクは、どのように捉えるべきでしょうか?やはり、このような物件は景気サイクルに非常に敏感なのですか?
回答者:そうですね。この点は不動産ビジネスに限らず、どのビジネスにも言えることではございます。ただ、我々が特に懸念しているのはエリアです。郊外に手を広げてしまうことは、私自身が非常に避けたいと考えております。
都内のプレミアムエリアであれば、言い方は悪いですが、景気が悪化したとしても、売れるのです。しかし、件数や利益を追求しようとすると、どうしても皆郊外へ行ってしまいがちになります。私はそれが非常に避けたい点なのです。
ですから、現在、リスクという形で考えますと、やはり景気が不安定になった時に購買意欲が低下し、物件の在庫を抱えてしまうということが最も考えられます。しかし、我々の場合、そのような時でも、極端な言い方をすれば損切りしてでも売れるエリアでしか売らないという方針を貫いています。こちら(ハイエンド物件)は実需です。
取材者:承知いたしました。
取材者:物件を購入してから販売の契約期間までのリードタイムは、大体どの程度ですか?
回答者:1年で見ております。
取材者:最長で1年ですか?ここには何かルールが設定されているのですか?
回答者:ございます。厳しいルールがございます。もちろん、物件によっては延長する場合もごく稀にございますが、基本的に1年以内での売却を目標としています。中古物件ですので。
取材者:購入契約をしてからリノベーション期間はどの程度なのですか?
回答者:リノベーション期間に関しては、物件によって様々です。理想としては2ヶ月から3ヶ月ぐらいでリノベーションを完了したいというイメージです。ただ、リノベーションの契約をする前の段階から、そのような予定で動いておりますので、物件にもよりますが、半年ぐらいかかってしまうところもございますし、半年以上かかる物件もございます。しかし、その時点ではもうある程度のお客様、すなわち購入マインドのあるお客様が既にいらっしゃるというイメージです。
取材者:承知いたしました。粗利の目安はいかがでしょうか?2~3割程度とお考えですか?
回答者:そうですね。これも物件によって異なりますが、粗利が取れている物件は非常に多くございます。3割程度というのも、冗談ではなくそのぐらい取れてしまう場合もございますし、それ以上になることもございます。もちろん、粗利が薄い物件もございます。
ただ、現在イメージしておりますのは、部屋ごとの区分ですので、1,000万円以上の粗利を稼げるような形で査定を行い、リノベーションも進めているという状況です。
取材者:承知いたしました。お客様の層はどのような方々ですか?やはり、新築の価格が非常に高騰しているため、中古へシフトしているという状況なのですか?
回答者:そのような層よりも、我々が狙っているのは富裕層の方々です。比較的資金に余裕のある方々をターゲットとしております。
「新築が難しくなったから中古へ」という層というよりも、とにかくエリアを重視し、例えば「ヒルズの物件を購入したかった」といった、資産価値を重視される形でご購入されている方が多いです。ローンは当然組まれますが、やはりお金持ちの方ほど、キャッシュの重要性を理解されているため、金融機関から資金を借り入れをされます。
取材者:承知いたしました。これは興味深いです。このバランスシートの使い方というのは、年々増やしていきたいというお考えでございますか?
回答者:そうです。おかげさまで、金融機関の方からも、融資枠をどんどん広げていただいている状況です。この金融機関の方々の評価を下支えしているのが、我々の管理物件なのです。賃貸のPM(プロパティマネジメント)によって毎月安定したキャッシュフローが見えるため、他の不動産会社に比べても、我々は融資枠を広げていただき、どんどん貸していただけるケースが多いです。
取材者:バランスシートのレバレッジについてお伺いします。現在の自己資本比率が25%程度でございますが、これはこの水準を維持されるお考えですか、それともさらにリスクを取ることも可能なのでしょうか?
回答者:十分リスクは取れると思います。
取材者:ということは、大体数年間25%ぐらいで見るべきということですか?
回答者:自己資本比率は、先ほどのリース会計基準にもよるのですが、私は高まっていくと考えています。利益がどんどんまた上がってきますので。
取材者:つまり、リース会計を導入することによって自己資本比率は下がるけれども、銀行はそれを気にしないというお話でしたので、そのサブリースの影響を除いた自己資本比率の考え方としては、大体今の水準の25%ぐらいで見るべきということですね。ですから、利益の4倍ぐらいを安定的に投資していくという点でございますね。ただ、配当を支払う必要性がございます。
回答者:そうですね。ただ、配当を支払ったとしても、最低限会社に残すキャッシュというのを私の中で決めておりますので、それを上回っていれば、当然配当を出しても全く問題ないという形で考えています。
取材者:承知いたしました。恐縮ですが、今期は記念配当が入っていると思うのですが、これを中期的に考えた時の配当の目安はどの程度で見るべきですか?
回答者:今期の記念配当は、当然、将来維持できる配当として考えており、そこまで無理をしているつもりもございません。会社としてこのぐらいのキャッシュが入ってくれば問題ないという形ですので。ここで我々の成長が踊り場となり、今年と同じぐらいの利益しか上がらないという形であれば問題ですが、我々が目指しているところはもっと上にございますので、来期、再来期も、配当というのはあまりこのような言い方はできませんが、株主様の期待以上のものは出していきたいと考えております。
取材者:承知いたしました。100億円という目標は、今のビジネスモデルの組み合わせで達成可能ですか?例えば、その高単価なリノベーション物件の件数はそんなに多くあるものなのですか?
回答者:もちろん、ございます。短期的に100億円まで持っていきたいと考えています。そのためには、M&Aも積極的に仕掛けていかなければならないと思っています。
取材者: M&Aについて恐縮ですが、最後にそのM&Aで買収するとしたら、どのような企業を検討されているのですか?
回答者:今、我々と完全にシナジーがある会社ですね。事業シナジーがあるという点で、現在考えているのが実は解体事業です。
解体は、これからの時代、必ずニーズがあると考えています。日本はスクラップアンドビルドの国であり、ヨーロッパのように築200年、300年の建物を永続的に使用するというわけではなく、地震大国でもありますので、解体ニーズは非常に高いのです。私は今まで蓄積してきた不動産ネットワークがあり、デベロッパー様との繋がりも非常に多いため、そういった会社様から解体事業を受注することも十分に可能であると考えています。
これが入ってくれば、また面白い展開になるかと考えています。もちろんそれだけではないのですが、60億円から70億円ぐらいまでは、今の事業でも達成可能だと見通しを立てています。あとは、あと1つか2つの要素で、100億円まで持っていきたいと考えております。