【対話】
取材者:この2年ほどのアップデートについてですが、資料を拝見する限り、大きな構造の変化はないように見受けられます。大枠のところで、何かアップデートはございますか。
回答者:この2年間で申し上げますと、DRAFTというZEH・ライフライン事業を展開している会社をM&Aによりグループインさせております。住宅周辺の付帯サービス、具体的には入居者サポートを提供する会社です。我々の賃貸物件にご入居されたお客様に対して、通信(インターネット配線)や水の定期的な供給といった付帯サービス、分かりやすく申し上げますと、ラストワンマイルのような、ご入居時の付帯サービスを展開している会社です。事業セグメント自体に大きな変更はございません。
取材者: 今まで外部に委託していた部分を、内製化されたということなのですね。
回答者: おっしゃる通りです。
取材者: その売上インパクトは、年間でどの程度あるのですか。
回答者: 現状は、数億円程度といった規模です。今期はグループインして2年目となり、弊社からのお客様の成約も始まり、ようやく落ち着いてきましたので、業績は今期、会社内では過去最高の売上・利益を計上する予定となっております。
取材者: セグメントごとのここ数年の業績の流れについてお伺いします。まず賃貸DXのところで、3、4年前にいったん利益が停滞し、直近2、3年でかなり伸びてきておりますが、この流れはどのように見たらよろしいですか。
回答者: コロナ禍において、賃貸DXの中でも賃貸仲介事業が影響を受けました。一方、プロパティマネジメントは、サブスクリプションモデルのようなストックビジネスであるため、賃料がそのまま売上や粗利として入ってくる構造であり、大きく落ち込むことはございません。賃貸仲介のところは、コロナ禍から回復し、伸長している状況です。プロパティマネジメント(賃貸管理)が伸びている理由は、この中でも右肩上がりではありましたが、入居したいニーズ、すなわち景気の上振れと共に非常に入居率が高まったこと、賃貸ニーズ・引越しニーズが高まったことにあります。過去に比べても入居率がどんどん上がっている状況です。
また、賃料も引き上げています。コロナ禍の頃は賃料を上げられない状況もありましたが、現在は賃上げも行い、入居率も向上しています。入居率は、管理戸数が増えれば増えるほど低くなるのが一般的ですが、それがどんどん上がっているのが特筆すべき点です。この理由としては、もちろんDXシステムにかなり資金を投じて構築してきておりますので、他社と比較しても高度なものが出来上がってきており、その効果が相当大きいと認識しております。加えて、世の中的に入居ニーズが高まっていること、東京に人が集まり始めていること(外国籍の方も含めて)も大きい要因ではありますが、弊社の構築したDXシステムが大きく貢献していると考えております。
取材者: DXのところでは、電子契約やチャット型問い合わせといった機能があるかと存じますが、特にフックとなる、他の競合と比較した際の優位性はどこにございますか。
回答者: まずは、このAMBITION Cloud内の賃貸募集システムです。賃貸管理システム「CPMA」は以前からあるシステムですが、これを継続的にバージョンアップしています。端的に申し上げますと、24時間対応で不動産会社とやり取りができるシステムです。入居申し込みから契約の段取りまで、すべてオンラインでやり取りが完了できます。
また、入居申し込み後の審査の流れなども、不動産会社とオンライン上で確認可能です。例えば、不動産仲介会社が深夜に管理会社とやり取りしたいと思っても、担当者が休みで対応できないことがありますが、このシステムではやり取りができます。
さらに、必要な書類などもオンライン上に明記されているのです。審査が滞っている場合、通常は仲介会社の担当者に連絡し、「審査はどうなりましたか」と問い合わせ、担当者から「免許のコピーがまだ届いていません」「収入証明が届いていません」といった返答を受け、入居希望者に連絡して書類を揃えてもらうという流れになります。しかし、この賃貸管理システムを見れば一目瞭然で、審査がこれで止まっている、これが足りていないといった状況がすぐに把握できます。そのため、夜の10時や11時頃にお客様へLINEなどで「この書類をすぐに揃えてください」といった形で対応が可能です。また、データ入力もオンラインで処理しており、契約関係や重要事項説明関係もオンラインで対応しています。他社が1日で契約できる件数が10件、20件だとすると、当社は50件、100件ぐらいできてしまうほど、1人当たりの契約件数が格段に違うというところが特徴です。
取材者: 外部にも提供されているのですか。
回答者: 外部には提供しておりません。しかし、外部への展開を今後検討していきたいと考えています。実は「欲しい」という管理会社は非常に多いのです。このAMBITION Cloudは、他にも内装関係もオンラインでやり取りできるようになっており、例えば入居者が退去する際に、傷の程度や問題箇所などを内装会社と共にオンラインでやり取りしています。このAMBITION Cloud自体が様々なシステムを統合しているため、「このシステムだけ売ってほしい」「このシステムだけ使わせてほしい」という要望もあれば、パッケージごと導入したいという会社も多くございます。
しかし、基幹システムと連動させる必要があるため、他社の基幹システムを扱っている企業がAPIを解放し、情報連携を許可してくれないと利用できません。ここがネックとなり、他社に提供できていない状況です。それも踏まえ、昨年リリースさせたのですが、数億円を投じて自社で基幹システムを開発しています。不動産会社にとって「あったらいいな」というシステムを、強い決意をもって現在開発中の段階です。完成はあと2年ほどかかる見込みですが、これが出来上がれば、不動産仲介会社というよりも管理会社へ、一気に販売展開したいと考えております。
取材者: 承知いたしました。
取材者: 賃貸DXの中の、プロパティマネジメントと仲介で分けると賃貸仲介はどれぐらいでしょうか。
回答者: 賃貸仲介は概ね10億円には満たない、7億円か8億円ぐらいです。
取材者: 例えば、今期第3四半期までで営業利益はプロパティマネジメントが伸びていますが、ここはもう大半がプロパティマネジメントによるものと見てよろしいですか。
回答者: その通りです。仲介の方も利益は上がってきてはいますが、金額的にはそう多くはありません。ただ、仲介の役割としては、もちろん利益を上げてくれるに越したことはありませんが、弊社の管理物件を優先的に積極的に決めてもらうという非常に重要な役割を担っています。弊社が募集した物件も、1ヶ月かけて決めるよりも、募集して1日2日で決めた方が収益になりますので、優先的に決める部隊として賃貸仲介がしっかりと存在している、そういう位置づけです。
取材者: 承知いたしました。前期は管理戸数が200戸強しか増えておらず、今期第3四半期で2,200戸ほど増えていますが、この加速して見える要因は何ですか。
回答者: 昨年は不動産ファンドとの関係で解約が発生してしまいました。
取材者: 管理戸数が10%伸びたら売上も10%伸びると見てよろしいですか。
回答者: 物件の質にもよりますが、例えば高額な物件だったりすると多少変わってきますが、概ねそのイメージでお考えください。
取材者: 承知いたしました。これだけ増えても入居率は、昨年から少し下がった程度ですので、かなり順調に入居されているということでよろしいですね。売上が例えば9億円増えて、利益が3億円増えているのですが、この5億~6億円はどのようなコストなのですか。人件費ですか。
回答者: プロパティマネジメントで言えば、サブリースの場合はまず家賃、すなわちオーナーから借り上げている原価が発生します。売上はまず入居者から頂いている家賃です。そこに弊社がオーナーに支払っている家賃が原価として大きく計上されます。あとは販管費です。その粗利からの販管費の割合は10%にも満たないかもしれません。現在、弊社の会社で、成約賃料から借り上げ賃料を差し引いた転貸差益は、月間でおよそ1億円を超えてきています。この転貸差益だけで、会社全体の販管費を賄えるというのが私の考えであり、かなり収益状況が改善しております。来期はさらに改善をしていきたいと考えています。
取材者: 9億円増えて、その10%だとここまで利益が増えない気もするのですが、なぜ利益が3億円も増えているのですか。
回答者: まず、入居する際の敷金の収益のところがまず入っているというところです。あともう一つは、弊社の方で不動産会社に成約手数料のような形で業務委託料をお支払いするのですが、この業務委託料の金額が少なくなっているということです。以前に比べても、弊社の管理物件はかなり決めやすい状況です。また、仕組み的にも早く契約処理ができるため、不動産会社も対応しやすいということもあり、手数料を支払わなくても決めてもらえるようになってきているといった状況です。
取材者: それは来期に向けてもその流れは変わらないのですか。
回答者: 変わらない見込みです。今のところは変えるつもりはございません。もちろん、入居率が今のような水準ではなく悪くなってきた時は、そういったことも考えていかなくてはならないとは思っています。あとはもう一つの要因は、自社の仲介部門も自前の部隊が決めているという点も挙げられます。
取材者: これは何か、手数料体系を前期から今期にかけて変更されたということですか。
回答者: 前期より手数料体系を、外部に出す手数料体系を少なくしているということです。
取材者: では、例えば今期と来期で言うとそこの手数料体系は同じと思ってよろしいですか。
回答者: そのように見ていただいて結構です。
取材者: 承知いたしました。来期も同じく売上が増えたとして、今期ぐらい利益が残るかというと、そこは少し厳しめに見た方がいいのですね。
回答者: 利益額は当然増えると思いますが、利益率という部分で考えると、おっしゃる通りです。
取材者: 承知いたしました。次に売買DXインベスト事業のところですが、今期のこの伸びはヴェリタスと貴社インベスト部とで、それぞれとの程度寄与しているのですか。
回答者: ヴェリタスは毎年10億円ぐらいの売上を計上してきています。それが今期も変わらないということです。寄与したのは完全に本体のインベスト部ところです。
取材者: 承知いたしました。今の貴社単体の仕入れ状況はいかがですか。販売は、仕入れられればほぼ売れるのですか。
回答者: 売れる物件と売れない物件というのがあるため、ここはやはり目利きが重要になります。また、弊社のリノベーションの仕上がり具合にもよります。実際に売れていない会社は売れていません。高値で買ってしまったり、物件選定を誤ったりしているのです。弊社は今、狙うべきところをしっかりと狙いに行っており、そこの情報量がかなり豊富ですので、このような結果になっていると考えていただいて結構です。
取材者: 承知いたしました。このペースで伸ばすと、そろそろエクイティの調達が必要になってきますか。
回答者: 株価が上がれば当然、そういったことも考えていきたいとは思います。ファイナンスに関しては、金融機関の評価が、一般の方々が思っているより弊社はかなり高いのです。これはやはり賃貸管理をやっているからに他なりません。毎月、粗利で1億円以上の粗利が入ってくるという安定したビジネスモデルを展開しているため、金融機関の方々からはお褒めの言葉と安心感をいただいているところです。
取材者: 定量的な中期経営計画の目標は既に公開されているのですか。
回答者: 公開しております。売上・利益の具体的な定量目標までは出しておりません。
取材者: 承知いたしました。利益ベースで毎年20%ぐらいを目指すことになるのですか。
回答者: 20%は出していきたいと考えております。
取材者: 他に来期に向けた変動要素はございますか。
回答者: 現在M&Aで、先日基本合意のリリースを出させていただきましたが、AIの会社を一つ、M&Aで基本合意しています。おそらく契約まで進んでいくと思いますが、その会社がまずグループインするというところです。また、M&Aで、弊社の不動産ポートフォリオの中で私自身が少し足りないと考えている分野がございますので、ここを補完したいと考えています。業種まで申し上げてよろしいか分かりませんが、解体業者を是非とも買収したいと考えているのです。
これからの日本はスクラップアンドビルドの国です。ヨーロッパのように200年、300年ビルなどの建物が継続する国ではないため、必ずスクラップ&ビルドのスクラップの時代が来ると考えています。実際、土地もそんなに買える土地が少なくなってきておりますし、解体の需要が高まると考えております。解体業者を一つグループインさせたいという思いがございます。解体業者をグループに迎えることで、私から今までの蓄積された不動産会社とのネットワークを介して解体業者へ案件を流すことができますので、このネットワークだけでもかなりの売上になることが予測され、収益が見込めます。
解体業者のM&A が実現すればかなり利益増になると思っております。もちろん、案件が多くなるため、人員の採用などは共有して必要だとは思っています。将来的には、営業利益100億円、売上1,000億円は、今のビジネスモデルでも十分、近い将来で到達する可能性があると考えております。営業利益100億円のうち、概ね60億円、70億円ぐらいまでは達成可能であるとイメージもできていますが、100億円を達成するためには、基幹システムの開発(既に手を打っています)と、M&Aによる足りない分野の補完が必要になると考えています。100億円はこの数年で達成したいと考えております。
取材者: 毎年20%よりも、もうちょっと高い増益ペースで想定されているのですか。
回答者: 私の中では、このM&Aなどで手を打っていけば可能だと考えております。それなりの手が打てて、100億円が見えた時点で、その目標を出していきたいと考えております。
取材者: 60億円は、来期、再来年ぐらいには実現可能となる見込みですか。
回答者: 目標を達成できるように努力してまいりたいと考えております。