20250217
Q:貴社のビジネスモデル、事業内容、強みについてご教示ください。
A:当社のビジネスモデルは、「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営です。一都三県と関西圏の駅前一等立地への出店に注力し、24時間営業することで高い賃料を吸収しながら収益を上げています。2014年に東証二部に上場、2019年には東証一部に市場変更しました。親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっています。また、2019年にはM&Aにより、株式会社ジョー・スマイル(熊本)と株式会社クルークダイニング(長野)をグループ傘下に収め、事業拡大を図りました。
Q:M&Aの戦略について、詳細をご教示ください。
A: 2019年のM&Aは、「磯丸水産」の全国展開を加速させるためのものでした。地方でのノウハウ不足を補うため、FC展開と直営展開を比較検討し、M&Aを選択しました。FC展開は、現在、名古屋と福岡で2社に展開しています。コロナ禍の影響でM&A先の企業は、当初の20店舗から12店舗に規模を縮小せざるを得ませんでした。現在、熊本と長野で各2店舗の「磯丸水産」を展開しており、コロナ禍からの回復に伴い、今後の業績拡大に期待しています。
Q:出店戦略について、「磯丸水産」は駅前立地とのことですが、他のブランドの出店戦略はいかがでしょうか。
A:基本的には「磯丸水産」を出店していく方針ですが、今期は地方の未開拓地である中国、四国、九州地方にも「磯丸水産」の出店を計画しています。「磯丸水産」で業績が確認できたエリアにおいては、もう一つの注力業態である大衆業態の「五の五」を「磯丸水産」の近隣に出店することで、相乗効果を狙います。「五の五」は、「磯丸水産」よりも駅から少し離れた立地でも集客が見込める業態です。その他に鳥良事業があり、「おもてなしとりよし」という高単価な業態と、「鳥良商店」という低単価な業態の二つがあります。前者は路面店に加えビルの空中階に出店しており、後者は「磯丸水産」に近い立地で、1階の路面で出店しています。
Q:「鳥良」と「磯丸」という二つの強い軸のブランドがある中で、その他にも様々なブランド展開されている理由とメリットについてご教示ください。
A:ブランド自体は、M&Aした2社も含めると全部で28ブランドほどありますが、基本的には「鳥良」と「磯丸」がメインとなります。その他事業は上場までに約20ブランド展開していました。それぞれの商圏に合わせた地域一番店を目指しており、経営理念の「時代を先見したこだわりの限りなき追求」に基づき、それぞれの商圏とタイミングで出店してきました。洋食、中華、餃子居酒屋なども展開しており、その立地や商圏に応じて出店できるブランドを選べる点がメリットです。
Q:創業の経緯について、ご教示ください。
A: 1984年に吉祥寺で、今は無くなった「鳥良」という業態の店がオープンしました。創業家が経営を続けていましたが、2010年にファンドの傘下に入り、2013年に現在のクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携、2014年に東証二部へ上場しました。2014年までは創業家兄弟で「株式会社サムカワフードプランニング」という会社で経営していましたが、2014年に「SFPダイニング」になり、現在「SFPホールディングス」というように、資本の体系の変化に応じて社名が変わってきました。
Q: 最初「鳥良」から始まって、その後24時間営業形態の「磯丸水産」をオープンしていった経緯やきっかけをご教示ください。
A:「磯丸水産」は、ちょうど15年前に1号店を吉祥寺に出店しました。創業業態である「鳥良」の成長が頭打ちとなったことがきっかけで、様々な業態を試す中で、手応えが良かったのが「磯丸水産」でした。鳥良はビルの空中階に出店していましたが、磯丸水産は1階路面、駅前の一等立地に出店し、収益モデルを2つ持っていることが強みでした。
Q:今期のここまでの決算状況について、コロナ禍後で業績も回復してきているように拝見していますが、要因やトピックス的なものがありましたらご教示ください。
A:今期の第3四半期までの状況は、ほぼ計画通りです。既存店前年比は105%で、これは前期まで営業時間を延長してきたことと、外国人訪日客が増加していることが要因です。客単価は、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁によって粗利率を維持し、増収増益を達成しています。
Q:採用強化について、飲食業界全体で人材の採用に苦労されていると思いますが、貴社の採用戦略についてご教示ください。
A:アルバイトの時給は、首都圏を中心に上昇しています。当社は、最低賃金で募集することはなく、一定程度高く設定していますが、登録型のアルバイトが広がる中で、採用を継続することは容易ではありません。前期は人手不足解消のため、社員の採用を強化し、特に外国籍社員を採用しました。2023年2月期時点で外国籍社員の割合は10%未満でしたが、現在は3割近くまで増加しています。日本国籍の社員の採用は難しく、今後も賃上げや人事制度の見直しなどで離職率を抑制していく必要があります。
Q:株主還元について、ご教示ください。
A:株主還元は、コロナ前までは配当性向30%程度で実施していました。コロナ禍で配当できない状況になりましたが、2023年2月期から復配しました。安定的な株主還元が基本的な考え方です。2024年2月には、前期にプライム市場の要件を満たすための自社株買いを実施したことに伴い、配当総額を意識して1株あたり12円から13円に増配しました。今期は前期までの配当総額を意識して配当しています。
Q:貴社のESGに対する取り組み、特に環境の観点から、例えばフードロスに対する取り組みなどがあればご教示ください。
A:サステナビリティ経営は始まったばかりですが、フードロス削減として食材や調味料の共通化を進めています。「鳥良」では、手羽先の唐揚げなど揚げ物が多いことから廃油をリサイクルしペンキとして再利用しています。環境面では、店舗に節水コマを設置し節水に取り組んだり、LED電球への交換による消費電力抑制などを行っています。
Q:今期新しく取り組んでいることや、業績に係るトピックス的なものがありましたらご教示ください。
A:今期は、営業時間を維持拡大するために人員を増やし、出店攻勢により店舗数を純増に転換しました。人材採用は今後も容易ではないと考え、社内充実のため人事制度を整備しました。また、未開拓エリアである鹿児島への出店など、地方への出店も進めています。インバウンド需要の取り込みは堅調に推移しており、高単価な商品の投入や海外のグルメサイトでの予約システム導入などを行いました。来期以降は、物価高や水道光熱費の高騰が続くと予想されるため、一部商品では価格転嫁が必要と考えています。既存店前年比は100%を超えていく見込みです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 弊社のビジネスモデルは、主力ブランドである「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営です。特に、一都三県と関西圏の駅前一等地への出店に注力しており、24時間営業することで、高い賃料を吸収しながら収益を上げております。2014年に東証二部に上場、2019年には東証一部に市場変更いたしました。親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっております。また、2019年にはM&Aにより、株式会社ジョー・スマイル(熊本)と株式会社クルークダイニング(長野)をグループ傘下に収め、事業拡大を図っております。
取材者: M&Aの戦略について、もう少し詳しく教えていただけますか。
回答者: 2019年のM&Aは、「磯丸水産」の全国展開を加速させるためのものでした。当時は、FC展開と直営展開のどちらが良いか検討しており、地方でのノウハウ不足を補うため、M&Aを選択いたしました。FC展開は、現在、名古屋と福岡で2社に展開していただいております。直営展開とFC展開のどちらが良いかという観点から、M&Aを選択したという経緯がございます。しかし、コロナ禍の影響でM&A先の企業は、それぞれ20店舗ずつぐらいあったのですが12店舗に規模を縮小せざるを得ませんでした。現在、熊本と長野で各2店舗の「磯丸水産」を展開しており、コロナ禍からの回復に伴い、今後の業績拡大に期待しています。M&Aの背景には、店舗拡大をするにあたってのFC展開が良いのか直営展開が良いのかという課題があり、M&Aを実施したという経緯がございます。
取材者:出店戦略について、「磯丸水産」は駅前立地とのことですが、他のブランドの出店戦略はいかがでしょうか。
回答者: 基本的には「磯丸水産」を出店していこうという方針ですが、今後の出店戦略としては、未開拓である地方の中核都市で「磯丸水産」を出店していこうと考えております。「磯丸水産」で盛業が確認できたエリアにおいては、もう一つの注力業態である大衆業態の「五の五」を「磯丸水産」の近隣に出店することで、相乗効果を狙います。「五の五」は、「磯丸水産」よりも駅から少し離れた立地でも集客が見込める業態です。「磯丸水産」は基本的に駅前の、一等立地の、駅から非常に近いところの路面店に出店しているのですが、「五の五」は「磯丸水産」よりも駅から少し離れたところでも、近隣に出店することによって集客できるという特性があるので、駅近よりも少し離れたところに出店しています。「磯丸水産」よりも少し規模も小さい店舗ですが、出店しているというのが現状です。その他に鳥良事業がございます。弊社では、磯丸事業、鳥良事業、その他事業というような形でIRを出させていただいているのですが、元々、鳥良事業というのは「鳥良」というブランドのことです。鳥良の中には、「おもてなしとりよし」という、単価が高い業態と、「鳥良商店」という低単価な業態の二つがあり、前者の高単価の「おもてなしとりよし」という業態は、路面店もございますが、ビルの空中階に出店しています。そして、「鳥良商店」という低単価な業態は、「磯丸水産」に近い立地で、1階の路面で出店しているというような形でございます。
取材者: 貴社のように、「鳥良」と「磯丸」という二つの強い軸のブランドがある中で、その他にも様々なブランド展開されていると思いますが、ブランド数が多いことへのメリットはどのようにお考えでしょうか。
回答者: ブランド自体は、M&Aした2社も含めると全部で28ブランドほどあるのですが、基本的にはメインとしては「鳥良」と「磯丸」になります。その他事業という形でやっておりまして、上場までに20ブランドぐらいはできていたものです。それぞれの立地、地域一番店を目指すという中に、弊社の経営理念の中で「時流を先見したこだわりの限りなき追求」というものがあるのですが、それぞれの商圏に応じて、それぞれのタイミングで出店してきたという背景がある中で、洋食業態であったり、中華業態、餃子居酒屋なんかも、その他業態の中には含まれるのですが、出店してきたということで、その立地に応じて、その商圏に応じて出せるブランドを選べること。「磯丸水産」が出せる地域しかなかったら、「磯丸水産」しか出せないということにはなりうるのですが、こういうロケーションで、こういう物件が空いたときに、選択肢として、「磯丸水産」と、それ以外のブランドをぶつけることができるというところは、一つのメリットだと考えています。
取材者: 創業の経緯について、教えていただけますか。
回答者: 1984年に吉祥寺で、今はないのですが、「鳥良」という業態がオープンしました。「おもてなしとりよし」とも「鳥良商店」とも違うのですが、「鳥良」という業態が吉祥寺にオープンしました。創業家がそのまま経営を続けていまして、2010年に、一旦ファンドに、上場企業が全てそのファンドの傘下に入り上場に向けた取組みをスタートさせました。2014年に今のクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し、2017年12月に上場したという背景があります。社名については創業家兄弟で「株式会社サムカワフードプランニング」という会社としてやってきて、2011年に「SFPダイニング」になり、2017年に現在の「SFPホールディングス」というような形で、資本の体系の変化に応じて社名が変わってきました。
取材者:そうした中で、最初「鳥良」から始まって、その後24時間営業形態の「磯丸水産」をオープンしていった経緯やきっかけについて教えていただけますか。
回答者: 「磯丸水産」自体は、ちょうど15年前に1号店を吉祥寺に出店したのですが、「磯丸水産」を出すに至った経緯としては、まず、当時、創業業態である「鳥良」の成長が頭打ちとなったことがきっかけです。様々な業態のトライアルをする中で、比較的手応えが良かったのが「磯丸水産」でした。鳥良はビルの空中階に出店していましたが、磯丸水産は1階路面、駅前の一等立地に出店し、収益モデルを2つ持っていることが強みでした。それ以外にも様々な業態のトライアルは行うのですが、磯丸水産は特に手応えがあって、一気に店舗を拡大させていったという形です。
取材者: 今期のここまでの決算状況についてもお伺いしたいのですが、コロナ禍後で業績も回復してきているように拝見しているのですが、今期ここまでの決算の要因やトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者: 今期の第3四半期までの状況としましては、前期の売上高が291億円、営業利益が20億円という着地から、今期は売上高300億円、営業利益21億円という計画を立てております。この背景には、コロナ禍が落ち着いて、抑制的に採用活動を行ってきたこと、そして固定費、賃料の高い物件や採算性の低い店舗を撤退してきたことが挙げられます。2023年の2月期からは平時に近い営業を取り戻せるようになってきており、2022年の11月頃に水際対策が緩和されて、外国人訪日客が増えてきたという背景もございます。その一方で、採用を抑制的に進めていた結果、人手不足により24時間営業ができないというような状況がありました。それを前期を通じて採用を強化し、営業時間を拡大してきました。前期が終わったタイミングで、売上高が290億円、営業利益が20億円、営業利益率は7%という形で、一旦コロナ前の2020年2月期に近い営業利益率まで戻りました。以降はここまで、基本的な出店戦略として直営店による出店を中心にすすめており、M&A、FCもお話があれば検討材料にはなりますけれども、基本的には直営出店というような形ですすめております。コロナ以降、固定費の削減や不採算店舗の撤退目的で店舗数は純減してきたのですが、今期はプラス着地に転じれるようすすめており、前期に人も採用しましたし、今期も着実に新規出店しております。順調に出店させて、増収をしっかりと確保していく。なおかつ、前期と同等の営業利益率を維持するというところから、300億で21億という形の営業計画を立てておりまして、第3四半期が終わった時点で、ほぼほぼ計画通りというような形です。既存店前年比でいうと105%という数字を出させていただいているのですが、これは前期まで営業時間を延ばしてきた分のギャップが来客数に反映されているということと、外国人訪日客が引き続き堅調に伸びてきているというところが、既存店売上高105%の要因と考えております。客単価に関しましては、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁をしつつ粗利率を維持するといった形で、増収増益という形で前期、今期とやってきているという状況でございます。
取材者: 採用強化のお話もありましたが、飲食業界全体で見ると、どうしても人材の採用に苦労されているという印象を受けるのですが、貴社の中で何か採用戦略のようなものはございますか。
回答者: 特にアルバイトに関しては、首都圏を中心に時給が上がってきているというのが現状です。弊社も、居酒屋で最低賃金で募集することはございません。一定程度高くはするのですが、昨今、登録型のアルバイトが広がっている中で、時給を高くするというのはもちろんなのですが、アルバイトを採用し続けることは苦労しているというのが現状です。前期においては、人手不足というところを解消するために、社員の採用を強化してきて、特に外国籍の社員を採用してきました。コロナが落ち着いた2023年の2月期が終わった段階で、外国籍の社員の割合というのは全体の10%にも満たないぐらいだったのですが、それを今、足元では3割近くまで増やして、人手不足に対応できてきているというのが現状です。日本国籍の社員というのはなかなか採用が難しく、今後も社内の賃上げや人事制度の見直しなどをやっていきながら、離職率を下げながらやっていく必要があると考えております。
取材者: 株主還元についてはいかがでしょうか。
回答者: 株主還元に関しては、まず配当ですが、コロナ前までは配当性向30%程度でやってきたという背景がございます。コロナ禍においては配当ができないような状況になりましたけれども、2023年の2月期から復配という形で実施させていただいております。安定的に株主還元を提供していくというところが基本的な考え方です。2024年の2月に、増配をさせていただいたのですが、これは前期にプライム市場の要件を満たすために自社株買いを実施したという背景がありまして、配当総額を意識して12円から13円に引き上げたというところでございます。安定的に株主還元し続けるというところから、今期においては前期までの配当総額を意識して配当をさせていただいております。
取材者: 貴社のESGに対する取り組み、特に環境の観点から何か、例えばフードロスに対する取り組みなどがあれば教えていただけますか。
回答者: サステナビリティ、サステナビリティ的な経営というのは、まだ始まったばかりというところではあるのですが、これまでやってきたものとして、フードロスに関して言えば、食材や調味料の共通化を進めています。「鳥良」は手羽先の唐揚げなど揚げ物が多く、その廃油をリサイクルしてペンキに変えることで再利用しております。環境的な部分でいくと、店舗に節水用のコマをつけて節水に取り組んでいたり、LED電球に変えることによって消費電力を抑えるなど、そういった取り組みをやっております。
取材者:今期何か新しく取り組まれていることや、業績に係るトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者: 今期においては、これまで申し上げたように、営業時間を維持拡大するために人を増やしてきました。そして、出店攻勢により純増に転換してきました。基本的なコスト面での動きですが、人材の採用が今後も必ずしも容易ではないと考えていますので、人事制度の整備をしてきました。それを踏まえて、出店の際に採用をしっかりと確保するというところもあるので、社内の整備を進めた上で、今月、未開拓エリアである鹿児島に出店を予定しておりますので、今期としては、地方への出店と、やはり「磯丸水産」を出店しているエリアに、「五の五」という大衆業態を出店という形ですすめております。それ以外に、インバウンドの取り込みというのは堅調に推移しておりますので、高付加価値で、かつ比較的高単価な商品を投入したり、これまで、旅行代理店を通じた予約集客はしておりましたが、直近では海外のグルメサイトを通じお客様自身で予約ができるような仕組みづくりを進めてきました。
回答者:来期以降、既存店に関して言えば、物価高や水道光熱費の高騰というのは続くと思いますので、一部商品では価格転嫁が必要だと考えております。既存店前年比は100%を超えていく見込みです。
20250217 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
SFPホールディングスは、「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営を主力事業とする企業である。一都三県と関西圏の駅前一等地への出店に注力し、24時間営業することで高い賃料を吸収しながら収益を上げている。 親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっている。
創業の経緯と転機
1984年に吉祥寺で「鳥良」という業態で創業。 2010年にファンドの傘下に入り、2013年にクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し再上場した。 2014年までは創業家による経営だったが、その後、資本の体系の変化に伴い社名も変更してきた。
直近の決算状況
今期第3四半期までの業績は、コロナ禍からの回復基調を受け、ほぼ計画通りに推移している。 前期まで営業時間を延長してきたことと、外国人訪日客の増加により、既存店売上高は前年比105%を達成した。 客単価については、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁によって粗利率を維持し、増収増益を達成している。
特徴と強み
駅前一等地への出店と24時間営業による高い収益力、そして「磯丸水産」と「おもてなしとりよし」という二つの強力なブランドを軸とした多様なブランドポートフォリオが強みである。 多様なブランドを展開することで、それぞれの立地や商圏に合わせて最適なブランドを出店できる。
成長戦略
「磯丸水産」を中心とした新規出店を継続し、特に中国、四国、九州といった地方の未開拓エリアへの進出を加速させている。 また、「磯丸水産」の近隣に大衆酒場「五の五」を出店することで相乗効果を狙う戦略をとっている。
株主還元策
コロナ前までは配当性向30%程度で配当を実施していた。 コロナ禍で一時中断していたが、2023年2月期から復配し、安定的な株主還元を目指している。 2024年2月には、前期に実施した自社株買いに伴い増配を実施した。
今期の取り組みとトピックス
今期は営業時間を維持拡大するための採用強化、特に外国籍社員の採用を積極的に行っている。 人事制度を整備し、社内体制を強化することで、今後の出店と人材確保を円滑に進める体制を構築した。 また、インバウンド需要を取り込むため、高単価な商品の投入や海外のグルメサイトでの予約システム導入など、新たな取り組みを実施している。
執行役員 管理本部長 原悦久様
管理本部 経営企画部長 中原英祐様

SFPホールディングス(株)
東証PRM 3198
決算:2月末日
Q:貴社のビジネスモデル、事業内容、強みについてご教示ください。
A:当社のビジネスモデルは、「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営です。一都三県と関西圏の駅前一等立地への出店に注力し、24時間営業することで高い賃料を吸収しながら収益を上げています。2014年に東証二部に上場、2019年には東証一部に市場変更しました。親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっています。また、2019年にはM&Aにより、株式会社ジョー・スマイル(熊本)と株式会社クルークダイニング(長野)をグループ傘下に収め、事業拡大を図りました。
Q:M&Aの戦略について、詳細をご教示ください。
A: 2019年のM&Aは、「磯丸水産」の全国展開を加速させるためのものでした。地方でのノウハウ不足を補うため、FC展開と直営展開を比較検討し、M&Aを選択しました。FC展開は、現在、名古屋と福岡で2社に展開しています。コロナ禍の影響でM&A先の企業は、当初の20店舗から12店舗に規模を縮小せざるを得ませんでした。現在、熊本と長野で各2店舗の「磯丸水産」を展開しており、コロナ禍からの回復に伴い、今後の業績拡大に期待しています。
Q:出店戦略について、「磯丸水産」は駅前立地とのことですが、他のブランドの出店戦略はいかがでしょうか。
A:基本的には「磯丸水産」を出店していく方針ですが、今期は地方の未開拓地である中国、四国、九州地方にも「磯丸水産」の出店を計画しています。「磯丸水産」で業績が確認できたエリアにおいては、もう一つの注力業態である大衆業態の「五の五」を「磯丸水産」の近隣に出店することで、相乗効果を狙います。「五の五」は、「磯丸水産」よりも駅から少し離れた立地でも集客が見込める業態です。その他に鳥良事業があり、「おもてなしとりよし」という高単価な業態と、「鳥良商店」という低単価な業態の二つがあります。前者は路面店に加えビルの空中階に出店しており、後者は「磯丸水産」に近い立地で、1階の路面で出店しています。
Q:「鳥良」と「磯丸」という二つの強い軸のブランドがある中で、その他にも様々なブランド展開されている理由とメリットについてご教示ください。
A:ブランド自体は、M&Aした2社も含めると全部で28ブランドほどありますが、基本的には「鳥良」と「磯丸」がメインとなります。その他事業は上場までに約20ブランド展開していました。それぞれの商圏に合わせた地域一番店を目指しており、経営理念の「時代を先見したこだわりの限りなき追求」に基づき、それぞれの商圏とタイミングで出店してきました。洋食、中華、餃子居酒屋なども展開しており、その立地や商圏に応じて出店できるブランドを選べる点がメリットです。
Q:創業の経緯について、ご教示ください。
A: 1984年に吉祥寺で、今は無くなった「鳥良」という業態の店がオープンしました。創業家が経営を続けていましたが、2010年にファンドの傘下に入り、2013年に現在のクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携、2014年に東証二部へ上場しました。2014年までは創業家兄弟で「株式会社サムカワフードプランニング」という会社で経営していましたが、2014年に「SFPダイニング」になり、現在「SFPホールディングス」というように、資本の体系の変化に応じて社名が変わってきました。
Q: 最初「鳥良」から始まって、その後24時間営業形態の「磯丸水産」をオープンしていった経緯やきっかけをご教示ください。
A:「磯丸水産」は、ちょうど15年前に1号店を吉祥寺に出店しました。創業業態である「鳥良」の成長が頭打ちとなったことがきっかけで、様々な業態を試す中で、手応えが良かったのが「磯丸水産」でした。鳥良はビルの空中階に出店していましたが、磯丸水産は1階路面、駅前の一等立地に出店し、収益モデルを2つ持っていることが強みでした。
Q:今期のここまでの決算状況について、コロナ禍後で業績も回復してきているように拝見していますが、要因やトピックス的なものがありましたらご教示ください。
A:今期の第3四半期までの状況は、ほぼ計画通りです。既存店前年比は105%で、これは前期まで営業時間を延長してきたことと、外国人訪日客が増加していることが要因です。客単価は、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁によって粗利率を維持し、増収増益を達成しています。
Q:採用強化について、飲食業界全体で人材の採用に苦労されていると思いますが、貴社の採用戦略についてご教示ください。
A:アルバイトの時給は、首都圏を中心に上昇しています。当社は、最低賃金で募集することはなく、一定程度高く設定していますが、登録型のアルバイトが広がる中で、採用を継続することは容易ではありません。前期は人手不足解消のため、社員の採用を強化し、特に外国籍社員を採用しました。2023年2月期時点で外国籍社員の割合は10%未満でしたが、現在は3割近くまで増加しています。日本国籍の社員の採用は難しく、今後も賃上げや人事制度の見直しなどで離職率を抑制していく必要があります。
Q:株主還元について、ご教示ください。
A:株主還元は、コロナ前までは配当性向30%程度で実施していました。コロナ禍で配当できない状況になりましたが、2023年2月期から復配しました。安定的な株主還元が基本的な考え方です。2024年2月には、前期にプライム市場の要件を満たすための自社株買いを実施したことに伴い、配当総額を意識して1株あたり12円から13円に増配しました。今期は前期までの配当総額を意識して配当しています。
Q:貴社のESGに対する取り組み、特に環境の観点から、例えばフードロスに対する取り組みなどがあればご教示ください。
A:サステナビリティ経営は始まったばかりですが、フードロス削減として食材や調味料の共通化を進めています。「鳥良」では、手羽先の唐揚げなど揚げ物が多いことから廃油をリサイクルしペンキとして再利用しています。環境面では、店舗に節水コマを設置し節水に取り組んだり、LED電球への交換による消費電力抑制などを行っています。
Q:今期新しく取り組んでいることや、業績に係るトピックス的なものがありましたらご教示ください。
A:今期は、営業時間を維持拡大するために人員を増やし、出店攻勢により店舗数を純増に転換しました。人材採用は今後も容易ではないと考え、社内充実のため人事制度を整備しました。また、未開拓エリアである鹿児島への出店など、地方への出店も進めています。インバウンド需要の取り込みは堅調に推移しており、高単価な商品の投入や海外のグルメサイトでの予約システム導入などを行いました。来期以降は、物価高や水道光熱費の高騰が続くと予想されるため、一部商品では価格転嫁が必要と考えています。既存店前年比は100%を超えていく見込みです。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 弊社のビジネスモデルは、主力ブランドである「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営です。特に、一都三県と関西圏の駅前一等地への出店に注力しており、24時間営業することで、高い賃料を吸収しながら収益を上げております。2014年に東証二部に上場、2019年には東証一部に市場変更いたしました。親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっております。また、2019年にはM&Aにより、株式会社ジョー・スマイル(熊本)と株式会社クルークダイニング(長野)をグループ傘下に収め、事業拡大を図っております。
取材者: M&Aの戦略について、もう少し詳しく教えていただけますか。
回答者: 2019年のM&Aは、「磯丸水産」の全国展開を加速させるためのものでした。当時は、FC展開と直営展開のどちらが良いか検討しており、地方でのノウハウ不足を補うため、M&Aを選択いたしました。FC展開は、現在、名古屋と福岡で2社に展開していただいております。直営展開とFC展開のどちらが良いかという観点から、M&Aを選択したという経緯がございます。しかし、コロナ禍の影響でM&A先の企業は、それぞれ20店舗ずつぐらいあったのですが12店舗に規模を縮小せざるを得ませんでした。現在、熊本と長野で各2店舗の「磯丸水産」を展開しており、コロナ禍からの回復に伴い、今後の業績拡大に期待しています。M&Aの背景には、店舗拡大をするにあたってのFC展開が良いのか直営展開が良いのかという課題があり、M&Aを実施したという経緯がございます。
取材者:出店戦略について、「磯丸水産」は駅前立地とのことですが、他のブランドの出店戦略はいかがでしょうか。
回答者: 基本的には「磯丸水産」を出店していこうという方針ですが、今後の出店戦略としては、未開拓である地方の中核都市で「磯丸水産」を出店していこうと考えております。「磯丸水産」で盛業が確認できたエリアにおいては、もう一つの注力業態である大衆業態の「五の五」を「磯丸水産」の近隣に出店することで、相乗効果を狙います。「五の五」は、「磯丸水産」よりも駅から少し離れた立地でも集客が見込める業態です。「磯丸水産」は基本的に駅前の、一等立地の、駅から非常に近いところの路面店に出店しているのですが、「五の五」は「磯丸水産」よりも駅から少し離れたところでも、近隣に出店することによって集客できるという特性があるので、駅近よりも少し離れたところに出店しています。「磯丸水産」よりも少し規模も小さい店舗ですが、出店しているというのが現状です。その他に鳥良事業がございます。弊社では、磯丸事業、鳥良事業、その他事業というような形でIRを出させていただいているのですが、元々、鳥良事業というのは「鳥良」というブランドのことです。鳥良の中には、「おもてなしとりよし」という、単価が高い業態と、「鳥良商店」という低単価な業態の二つがあり、前者の高単価の「おもてなしとりよし」という業態は、路面店もございますが、ビルの空中階に出店しています。そして、「鳥良商店」という低単価な業態は、「磯丸水産」に近い立地で、1階の路面で出店しているというような形でございます。
取材者: 貴社のように、「鳥良」と「磯丸」という二つの強い軸のブランドがある中で、その他にも様々なブランド展開されていると思いますが、ブランド数が多いことへのメリットはどのようにお考えでしょうか。
回答者: ブランド自体は、M&Aした2社も含めると全部で28ブランドほどあるのですが、基本的にはメインとしては「鳥良」と「磯丸」になります。その他事業という形でやっておりまして、上場までに20ブランドぐらいはできていたものです。それぞれの立地、地域一番店を目指すという中に、弊社の経営理念の中で「時流を先見したこだわりの限りなき追求」というものがあるのですが、それぞれの商圏に応じて、それぞれのタイミングで出店してきたという背景がある中で、洋食業態であったり、中華業態、餃子居酒屋なんかも、その他業態の中には含まれるのですが、出店してきたということで、その立地に応じて、その商圏に応じて出せるブランドを選べること。「磯丸水産」が出せる地域しかなかったら、「磯丸水産」しか出せないということにはなりうるのですが、こういうロケーションで、こういう物件が空いたときに、選択肢として、「磯丸水産」と、それ以外のブランドをぶつけることができるというところは、一つのメリットだと考えています。
取材者: 創業の経緯について、教えていただけますか。
回答者: 1984年に吉祥寺で、今はないのですが、「鳥良」という業態がオープンしました。「おもてなしとりよし」とも「鳥良商店」とも違うのですが、「鳥良」という業態が吉祥寺にオープンしました。創業家がそのまま経営を続けていまして、2010年に、一旦ファンドに、上場企業が全てそのファンドの傘下に入り上場に向けた取組みをスタートさせました。2014年に今のクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し、2017年12月に上場したという背景があります。社名については創業家兄弟で「株式会社サムカワフードプランニング」という会社としてやってきて、2011年に「SFPダイニング」になり、2017年に現在の「SFPホールディングス」というような形で、資本の体系の変化に応じて社名が変わってきました。
取材者:そうした中で、最初「鳥良」から始まって、その後24時間営業形態の「磯丸水産」をオープンしていった経緯やきっかけについて教えていただけますか。
回答者: 「磯丸水産」自体は、ちょうど15年前に1号店を吉祥寺に出店したのですが、「磯丸水産」を出すに至った経緯としては、まず、当時、創業業態である「鳥良」の成長が頭打ちとなったことがきっかけです。様々な業態のトライアルをする中で、比較的手応えが良かったのが「磯丸水産」でした。鳥良はビルの空中階に出店していましたが、磯丸水産は1階路面、駅前の一等立地に出店し、収益モデルを2つ持っていることが強みでした。それ以外にも様々な業態のトライアルは行うのですが、磯丸水産は特に手応えがあって、一気に店舗を拡大させていったという形です。
取材者: 今期のここまでの決算状況についてもお伺いしたいのですが、コロナ禍後で業績も回復してきているように拝見しているのですが、今期ここまでの決算の要因やトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者: 今期の第3四半期までの状況としましては、前期の売上高が291億円、営業利益が20億円という着地から、今期は売上高300億円、営業利益21億円という計画を立てております。この背景には、コロナ禍が落ち着いて、抑制的に採用活動を行ってきたこと、そして固定費、賃料の高い物件や採算性の低い店舗を撤退してきたことが挙げられます。2023年の2月期からは平時に近い営業を取り戻せるようになってきており、2022年の11月頃に水際対策が緩和されて、外国人訪日客が増えてきたという背景もございます。その一方で、採用を抑制的に進めていた結果、人手不足により24時間営業ができないというような状況がありました。それを前期を通じて採用を強化し、営業時間を拡大してきました。前期が終わったタイミングで、売上高が290億円、営業利益が20億円、営業利益率は7%という形で、一旦コロナ前の2020年2月期に近い営業利益率まで戻りました。以降はここまで、基本的な出店戦略として直営店による出店を中心にすすめており、M&A、FCもお話があれば検討材料にはなりますけれども、基本的には直営出店というような形ですすめております。コロナ以降、固定費の削減や不採算店舗の撤退目的で店舗数は純減してきたのですが、今期はプラス着地に転じれるようすすめており、前期に人も採用しましたし、今期も着実に新規出店しております。順調に出店させて、増収をしっかりと確保していく。なおかつ、前期と同等の営業利益率を維持するというところから、300億で21億という形の営業計画を立てておりまして、第3四半期が終わった時点で、ほぼほぼ計画通りというような形です。既存店前年比でいうと105%という数字を出させていただいているのですが、これは前期まで営業時間を延ばしてきた分のギャップが来客数に反映されているということと、外国人訪日客が引き続き堅調に伸びてきているというところが、既存店売上高105%の要因と考えております。客単価に関しましては、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁をしつつ粗利率を維持するといった形で、増収増益という形で前期、今期とやってきているという状況でございます。
取材者: 採用強化のお話もありましたが、飲食業界全体で見ると、どうしても人材の採用に苦労されているという印象を受けるのですが、貴社の中で何か採用戦略のようなものはございますか。
回答者: 特にアルバイトに関しては、首都圏を中心に時給が上がってきているというのが現状です。弊社も、居酒屋で最低賃金で募集することはございません。一定程度高くはするのですが、昨今、登録型のアルバイトが広がっている中で、時給を高くするというのはもちろんなのですが、アルバイトを採用し続けることは苦労しているというのが現状です。前期においては、人手不足というところを解消するために、社員の採用を強化してきて、特に外国籍の社員を採用してきました。コロナが落ち着いた2023年の2月期が終わった段階で、外国籍の社員の割合というのは全体の10%にも満たないぐらいだったのですが、それを今、足元では3割近くまで増やして、人手不足に対応できてきているというのが現状です。日本国籍の社員というのはなかなか採用が難しく、今後も社内の賃上げや人事制度の見直しなどをやっていきながら、離職率を下げながらやっていく必要があると考えております。
取材者: 株主還元についてはいかがでしょうか。
回答者: 株主還元に関しては、まず配当ですが、コロナ前までは配当性向30%程度でやってきたという背景がございます。コロナ禍においては配当ができないような状況になりましたけれども、2023年の2月期から復配という形で実施させていただいております。安定的に株主還元を提供していくというところが基本的な考え方です。2024年の2月に、増配をさせていただいたのですが、これは前期にプライム市場の要件を満たすために自社株買いを実施したという背景がありまして、配当総額を意識して12円から13円に引き上げたというところでございます。安定的に株主還元し続けるというところから、今期においては前期までの配当総額を意識して配当をさせていただいております。
取材者: 貴社のESGに対する取り組み、特に環境の観点から何か、例えばフードロスに対する取り組みなどがあれば教えていただけますか。
回答者: サステナビリティ、サステナビリティ的な経営というのは、まだ始まったばかりというところではあるのですが、これまでやってきたものとして、フードロスに関して言えば、食材や調味料の共通化を進めています。「鳥良」は手羽先の唐揚げなど揚げ物が多く、その廃油をリサイクルしてペンキに変えることで再利用しております。環境的な部分でいくと、店舗に節水用のコマをつけて節水に取り組んでいたり、LED電球に変えることによって消費電力を抑えるなど、そういった取り組みをやっております。
取材者:今期何か新しく取り組まれていることや、業績に係るトピックス的なものがありましたら教えていただけますか。
回答者: 今期においては、これまで申し上げたように、営業時間を維持拡大するために人を増やしてきました。そして、出店攻勢により純増に転換してきました。基本的なコスト面での動きですが、人材の採用が今後も必ずしも容易ではないと考えていますので、人事制度の整備をしてきました。それを踏まえて、出店の際に採用をしっかりと確保するというところもあるので、社内の整備を進めた上で、今月、未開拓エリアである鹿児島に出店を予定しておりますので、今期としては、地方への出店と、やはり「磯丸水産」を出店しているエリアに、「五の五」という大衆業態を出店という形ですすめております。それ以外に、インバウンドの取り込みというのは堅調に推移しておりますので、高付加価値で、かつ比較的高単価な商品を投入したり、これまで、旅行代理店を通じた予約集客はしておりましたが、直近では海外のグルメサイトを通じお客様自身で予約ができるような仕組みづくりを進めてきました。
回答者:来期以降、既存店に関して言えば、物価高や水道光熱費の高騰というのは続くと思いますので、一部商品では価格転嫁が必要だと考えております。既存店前年比は100%を超えていく見込みです。
20250217 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
SFPホールディングスは、「磯丸水産」を中心とした居酒屋経営を主力事業とする企業である。一都三県と関西圏の駅前一等地への出店に注力し、24時間営業することで高い賃料を吸収しながら収益を上げている。 親会社はクリエイト・レストランツ・ホールディングスで、親子上場という形態をとっている。
創業の経緯と転機
1984年に吉祥寺で「鳥良」という業態で創業。 2010年にファンドの傘下に入り、2013年にクリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携し再上場した。 2014年までは創業家による経営だったが、その後、資本の体系の変化に伴い社名も変更してきた。
直近の決算状況
今期第3四半期までの業績は、コロナ禍からの回復基調を受け、ほぼ計画通りに推移している。 前期まで営業時間を延長してきたことと、外国人訪日客の増加により、既存店売上高は前年比105%を達成した。 客単価については、コロナ禍以降の円高、物価高の影響を受けながらも、価格転嫁によって粗利率を維持し、増収増益を達成している。
特徴と強み
駅前一等地への出店と24時間営業による高い収益力、そして「磯丸水産」と「おもてなしとりよし」という二つの強力なブランドを軸とした多様なブランドポートフォリオが強みである。 多様なブランドを展開することで、それぞれの立地や商圏に合わせて最適なブランドを出店できる。
成長戦略
「磯丸水産」を中心とした新規出店を継続し、特に中国、四国、九州といった地方の未開拓エリアへの進出を加速させている。 また、「磯丸水産」の近隣に大衆酒場「五の五」を出店することで相乗効果を狙う戦略をとっている。
株主還元策
コロナ前までは配当性向30%程度で配当を実施していた。 コロナ禍で一時中断していたが、2023年2月期から復配し、安定的な株主還元を目指している。 2024年2月には、前期に実施した自社株買いに伴い増配を実施した。
今期の取り組みとトピックス
今期は営業時間を維持拡大するための採用強化、特に外国籍社員の採用を積極的に行っている。 人事制度を整備し、社内体制を強化することで、今後の出店と人材確保を円滑に進める体制を構築した。 また、インバウンド需要を取り込むため、高単価な商品の投入や海外のグルメサイトでの予約システム導入など、新たな取り組みを実施している。
執行役員 管理本部長 原悦久様
管理本部 経営企画部長 中原英祐様