Q：成長戦略のポイント（今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む）はなんでしょうか？

A：今後の取り組みとしましては、現在売上全体の3割を占めるファブリック（布製品）の比率を、中期的には4割、さらに6割へと引き上げていくことを主軸として、既にMD計画を推進しております。このファブリック強化策として、クッションやバブーシュなど他の強い商品でラインナップを増やし、見せ方を工夫して販売していく方向で動いています。従来強かったカーテンは、市場全体の縮小に伴い売上が落ちているため、その落ち込みを補う意図も含まれます。

また、来期（2027年1月期）のAW（秋冬）の新商品からは、現在開発を進めている少し変わった試みの新商品を出していく予定です。

さらに、デジタル施策として、これまで全く力を入れてこなかったSNSやファンミーティングといったデジタルコミュニケーションの領域を強化します。具体的には、Instagram、TikTok、YouTube、X、およびリール動画といった分野でコンサルタントを導入し、タスクフォースによるプロジェクトチームを立ち上げ、現在進行中です。また、メールマーケティングにおいても、マーケティングオートメーション（MA）ツールを効果的に活用し、例えばソファー購入後のお客様に適切なタイミングでオットマンの購入を促すなど、マーケティング分析に基づいたツールの活用とオートメーション化を推進しています。

Q：通期業績の見通についてご説明ください。

A：すでに下方修正を行った通期の業績予想に関しては、これ以上の修正は出ない着地になる見込みです。

Q：受注・競合状況は如何でしょうか？

A：市場自体が縮小しており、業界トップ企業であるニトリさんですら家具の売上を落としているという認識です。弊社においても、大ヒットシリーズが生まれておらず、中ヒット・小ヒットのラインナップにとどまっていることに加え、全国の店舗でコンサルティングモデルに必要な接客員の欠員が多数発生していること（関東だけでも40名近くの欠員）が、売上が伸びない主要因だと分析しております。家具市場自体の縮小は、しばらく続くと見ています。

Q：M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

A：M&Aに関しては、現在特に何もありません。方針としましては、ブランドに親和性がある、すなわち業務上の親和性が明らかにあるという状況であればM&Aを否定はしません。しかしながら、弊社がオリジナル商品での勝負、かつ、家具以外は毎年めまぐるしく新商品を開発し、定番商品で勝負するモデルではないため、製造ラインや工場を丸ごと引き継ぐM&Aの案件において、譲渡元の長年のお付き合いのあるお客様をそのままサポートし続けるという条件が組み込まれていることが大半で、過去のしがらみもあり、M&Aは難しいと考えております。

Q：中期事業計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

A：中期経営計画は、毎年3月に業績予想と同様にローリング（見直し）を行っております。直近の業績予想の下方修正に伴い、足元の状況を踏まえてローリングするため、中期経営計画も1年遅れになると予想しています。

Q：株主還元の方針をご説明ください。

A：特に変更はございません。上場時にブランドのファンの方々に株主となっていただきたいという思いがあり、株主限定のオリジナル商品を提供してまいりましたが、現在はショッピングチケットも追加し、株主の満足度向上に努めております。

取材者：2026年1月期第2四半期の決算は、売上高5,725百万円（前年同期比9.2%減）、営業利益マイナス75百万円、経常利益マイナス62百万円、中間純利益マイナス59百万円という状況です。第1四半期の後に業績予想の下方修正がなされており、かなり厳しい状況と見ております。こちらについて、業績の増減要因をご説明いただけますか。

回答者：売上が伸びないという点に尽きます。約10ポイント弱、90%台前半、92%といった状況になっていることが、一番大きな要因です。

取材者：売上が伸びていかない要因については、外部の付帯的状況など、どういったところに要因があると分析されていらっしゃいますか。

回答者：まず市場自体が、業界トップのニトリさんですら家具は同じように売上を落としていますので、それが一番大きな原因だと考えております。

あとは、弊社の商品の中で、大ヒットシリーズが出ておらず、中ヒット・小ヒットのラインナップになっており、その二つが最も大きな要因と考えております。

三つ目に挙げるとしたら、全国の店舗の欠員です。コンサルティングを行うモデルなので、接客を付けないと、なかなかやはり売上が上がっていかない部分もあります。関東だけでも40名近くの欠員が発生しており、各店舗で1名ずつ定員割れしている状況ですので、その辺りの影響が大きいかと考えております。

取材者：それは、採用が進んでいないというイメージですか。

回答者：その通りです。

取材者：従業員数の推移はいかがですか。

回答者：販売員は減っています。

取材者：前年、前々年と比べ、どれぐらい減っていますか。

回答者：9割、8割といった水準になってきています。関東だけでも去年は30名の欠員でしたが、今40名以上の欠員です。

取材者：人員に関して、対策や取り組まれていることはございますか。

回答者：給与テーブルを改定し、賞与を増やしました。加えて、今まで採用していなかったパート・アルバイトの採用を開始しております。また、ブランド的にターゲットは40代ぐらいまでなのですが、接客員の年齢制限を以前は35歳ぐらいとしておりましたが、40歳でも45歳でも50歳でも、アパレル系などの小売接客の経験があり、立ち仕事が可能であればというところで、採用対象を広げております。

取材者：その中で、先ほどご説明のあった大ヒット商品が生まれない状況ですが、中ヒット商品や小ヒット商品という部分で、現状、今期ここまでどういった商品が好調なのでしょうか。

回答者：売れ筋と言いましても、あまりヒットしているものがない状況です。各商品がバランスよく、まあまあという状況です。TBC分析をすると、Aランクと、Sランクも多少あるのですが、それは絶対的な市場規模が縮小している中でSランクになるという部分もありますので、なかなか厳しい状況ではあります。

取材者：そのようなトレンド、流れが今期も続いてしまうようなイメージですか。

回答者：家具自体の市場のシュリンク（縮小）はしばらく続くと見ています。すぐには変えられないのですが、今、ファブリック（布製品）が売上全体の3割なのですが、それを4割、さらに6割へと上げていくことは、既にMD計画の方で動いております。

あとは見せ方の工夫です。家具のコーナーを少し減らし、ファブリックをもう少ししっかり見せていく、といったことは、来期に向けて、また足元ですぐできるところは実験店でテストしながら進めています。

取材者：その他、来期に向けて、業績を取り戻すための対策や、取り組まれる施策的なものがございましたら教えていただけますか。

回答者：ファブリックを4割に上げることが、一つの大きな対策だとまず考えております。それと、来期、SS（春夏）は間に合わないのですが、AW（秋冬）の新商品からは、少し変わった試みの新商品を出していくという開発を今進めております。

あとはデジタル施策です。SNSやファンミーティングといったデジタルコミュニケーションの領域です。具体的には、Instagram、TikTok、YouTube、X、それにリール動画といった分野には、今まで全く力を入れておりませんでしたので、コンサルタントを入れ、タスクフォースでプロジェクトチームを作って今動いている最中です。

また、メールの方も、今までですと、例えば単純にマーケティングオートメーション（MA）ツールを使いきれておらず、分かりやすく言えば、例えばソファーを購入されたお客様で、オットマンの買い足しをお客様が検討するのが3か月後といったデータが仮にあったとしたら、ソファー購入の3か月後に「オットマンはいかがですか」というメールを自動で配信する、といったマーケティング分析を行ってツールへの落とし込みを進め、オートメーション化していく動きを今行っている最中です。SNSは今まで全く力を入れていなかったので、今後ある程度見込めるかと存じます。

取材者：ファブリックの商品について、具体的にどういった商品にターゲットを絞って力を入れていく計画でしょうか。

回答者：一番今、足元で力を入れているのはクッションです。今まではカーテンが強かったのですが、カーテン業界の人に聞けば分かるとおり、新築でカーテン自体をあまりつけなくなってきており、逆にロールスクリーンやシャッターなど、弊社では布ではなく「メーカー物」と呼んでいるものが需要はまだあります。しかし、普通のカーテンは全体的なパイ自体が下がっており、それに伴ってカーテンの売上も落ちてきておりますので、その落ち込みを補う分も含めて、クッションやバブーシュなど、他の強い商品でラインナップを増やし、見せ方を工夫して売っていきたいという方向で動いております。

取材者：通期の業績予想に対する見通しという部分についてはいかがですか。

回答者：下方修正した数字に関しては、当然、これ以上の修正が出ない着地にはなるであろうとのが、今申し上げられるところです。

取材者：昨年、中期経営計画の数字も出されているかと思いますが、進捗はいかがですか。

回答者：中期経営計画は、毎年3月に業績予想と同様にローリング（見直し）しているのですが、当然、足元の状況を踏まえてローリングしますので、下方修正していますから、中期経営計画も1年遅れになると予想しています。

取材者：M&Aや業務提携に関して、実施の有無、あるいは検討状況など、お答えできる範囲で教えていただけますか。

回答者：M&Aに関しては特に何もありません。

取材者：方針としても、基本的にはM&Aなどは考えておられなというイメージですか。

回答者：ブランドに親和性がある、つまり業務上の親和性が明らかにあるという状況であれば、もちろんM&Aをすることを否定はしませんが、例えばよくある話として、ある商品に特化していて、ものすごくお客さんもついていたが、世代交代で後継者がいないため事業を譲渡したい、といった話がよく来るのですが、弊社はオリジナル商品で勝負しており、かつ、家具以外はもう毎年めまぐるしく新商品を開発していく中で、定番商品でずっと勝負するというモデルではありませんので、製造ラインや製造工場を丸ごと引き継いで、今までのお客様を全て切って弊社の商品を扱っていただくという話もありますが、そのようなところは過去のしがらみもあり、お客様はそのままサポートし続けるという条件が組み込まれていることが大半で、長年お付き合いのあるお客様を大事にしてほしいということですので、なかなか弊社はM&Aが難しいかと考えております。

取材者：株主還元につきまして、何か方針の変更などございますか。

回答者：特にはございません。

取材者：最後に、足元の状況につきまして、何かトピックス的なものやニュースリリースがございましたら教えていただけますか。

回答者：現状では特にございません。

取材者：まずはファブリックの部分に力を入れ、実験店でテストしながら進めていくという部分が重点的という認識でよろしいですか。

回答者：ファブリックを強化していくのと、それだけではなくやはりSNSでのデジタルマーケティングの部分です。

取締役管理本部長　鈴木 裕之 様