
フォルシア(株)
東証GRT 304A
決算:2月末日
20251023
CP&X
決算概要
2026年2月期第2四半期の決算は、売上高1,097百万円(前年同期比3.2%の増加)と微増収となったものの、営業利益33百万円(同58.2%のマイナス)、経常利益34百万円(同56.3%のマイナス)、純利益21百万円(同58.8%のマイナス)と大幅な減益での着地となった。減益の主要因は、期初想定通りに計上された先行投資的な販管費および売上原価に対し、売上高の伸びが当初計画を下回ったことである。売上高の未達は、第1四半期ないし第2四半期で予定していた大型案件の初期開発収益計上が、下期以降に時期ずれしたことによる影響である。
セグメント別または事業別の増減要因
ソリューション・SaaSを要素分解して開示された収益構造のうち、SaaS型の月額収益は前年同期比36.1%の成長を達成している。この成長は、第1四半期にリリースされた大型案件が月額収益として計上されたことによる寄与が大きく、ストック型収益は計画通りに推移している。一方で、高利益率案件である大型案件の初期開発収益の計上時期が下期にずれ込んだため、全体の増収幅が計画を下回り、粗利率および営業利益率の低下につながった。
主要KPIの進捗と変化
webコネクトの顧客数については、初期開発収益のみをターゲットとした顧客の増減要素を排除するため、定義が「既にリリース済みで月額収益が発生している顧客」に変更された。この定義変更により、第1四半期の顧客数は前回開示の28社から24社に減少しているが、これは開発中または要件定義中の顧客を除外した差分であり、チャーンではない。第2四半期では、webコネクト導入顧客において初の解約が発生したが、これは導入会社の事業再編によるもので、残存の月額利用料は解約料として受領されている。また、顧客群は規模感に応じて「エンタープライズ」「スタンダード」「ベーシック」の三つに再分類された。
季節性・一過性要因の有無と影響
業績に影響を与えた一過性要因として、第1四半期ないし第2四半期に計上予定であった別顧客の大型案件(初期開発収益)の下期への時期ずれが存在する。当該案件の売上高は第2四半期までの実績には含まれていないが、当該案件にかかる売上原価等は期初想定通りに計上されているため、結果的に収益率を大きく押し下げる結果となった。ただし、案件自体は失注ではなく、第3四半期以降に向けて要件定義および開発準備が進捗している状況である。
通期見通しと進捗率・達成可能性
現段階で通期業績見通しに変更はないが、第2四半期までの売上および営業利益率の進捗は鈍い状況であり、この状況は第3四半期まで継続すると見込まれている。しかしながら、下期に時期ずれした大型案件は高利益率の初期開発収益が見込めるため、これが予定通り計上されれば、第3四半期および第4四半期の進捗が一気に向上し、通期着地見込みを達成できるとの見解が示されている。当該大型案件は、時期ずれのリスク要因はあるものの、場合によっては通期見通しの上方修正の可能性もある上乗せ要素として捉えられている。
トピックス
成長戦略を三つのセクターに再定義し、「ベーシック」顧客群(月額100万円未満)の顧客数増加を目指す方針が明確にされた。成長戦略②として、これまでカスタマイズが前提であったwebコネクトの機能をパッケージ化し、短納期・低価格で非旅行業界向けに展開する「共同利用型のWebコネクト」の準備費用が先行投資として計上されている。成長戦略③として、従来の旅行販売側(セラー)向けwebコネクトからビジョンを拡大し、サプライヤー側に提供する「着地素材型サイトコントローラー」を別ブランドとして開発中であり、今年度中のリリースを予定している状況である。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
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決算概要
今四半期は、前年同期比で増収・減益という結果となりました。主力サービスであるSaaS型の「webコネクト」が引き続き売上を牽引し、売上高は前年同期比+4.2%の増収となりましたが、営業利益は△52.6%と一時的に落ち込みました。この減益は、いずれも一時的な要因であり、通期業績見通しの達成に向けた「仕込み」と捉えています。
セグメント別または事業別の増減要因
SaaS型サービス売上は359百万円(前年同期比+14.4%)と2桁成長を維持。主力サービス「webコネクト」の利用拡大が継続しており、月額課金ベースの収益が着実に積み上がりました。一方、ソリューション型サービスは204百万円(前年同期比△9.9%)の減収となりました。これは、既存顧客におけるSpookからwebコネクトへの移行が進んだことなどが主な要因です。
主要KPIの進捗と変化
主要KPIのうち、webコネクト顧客数は、顧客の拡大と継続により堅調に推移しました。一方、エンジニア1人あたりの売上高は、一部案件の売上時期の延伸と大型案件のリリースの影響で一時的に悪化しました。具体的には、前期に売上計上済みの大型案件のリリース作業に伴う稼働が今四半期に集中したことや、後ろ倒しとなった案件にアサイン予定だったリソースを将来投資(新機能開発等)に振り替えたことが要因です。今後は回復を見込んでいます。
季節性・一過性要因の有無と影響
今四半期のSaaS型サービス売上は、前四半期比で減少しましたが、これはKNT-CTホールディングス向け大型案件の進捗に起因します。前四半期は開発が最盛期で、進捗に応じた開発売上が大きく計上された一方、今四半期はリリース後フェーズに入り開発売上が減少。運用に伴う月額収益の立ち上がりはこれからであり、一時的な変動と認識しています。契約負債も前四半期比で約86百万円増加しており、第2四半期以降の売上計上が見込まれます。
通期見通しと進捗率・達成可能性
今四半期の売上成長がやや抑制的だった背景には、いくつかの受注案件の後ろ倒しがありました。これは需要の消失ではなく、着手時期のずれにすぎません。第2四半期以降は、5月にリリースしたKNT-CTホールディングス向けの大型案件をはじめとする月額課金収益が増加し、後ろ倒しとなった新規案件も稼働を開始する見込みです。これらを踏まえ、通期での売上+7.9%、営業利益+15.9%という業績目標は十分達成可能と見ています。
トピックス
2025年5月21日より、KNT-CTホールディングス株式会社およびグループ会社が運営するknt.co.jpの「飛行機+宿泊」の国内ダイナミックパッケージオンライン旅行予約サイトにwebコネクトのダイナミックパッケージ型検索機能および、予約・販売機能の提供を開始しました。本案件については第2四半期以降、月額課金型にシフトし、リソース投入量に依存しない安定収入源となっていくことが見込まれます。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の主力サービスである「webコネクト」は、大手旅行会社向けのソリューション型営業を主軸に、個別カスタマイズ対応を中心に成長してきました。今後に向けては、ターゲットごとのニーズに応じた「バーティカル型の商品戦略」へとシフトし、成長可能性書面に記載した3つの成長戦略(1. 既存顧客へのサービス拡充、2. 新規参入企業へのサービス提供、3. 業界全体をつなぐマーケットプレイス基盤の提供)を段階的に進めていきます。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A: 2026年2月期の通期業績予想(売上+7.9%、営業利益+15.9%)については、現時点で変更はなく、達成可能と見込んでいます。その前提となる戦略と施策は以下のとおりです。
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主力SaaS型サービス「webコネクト」の拡張と深耕
検索領域に加え、予約・決済など周辺機能の拡張を通じて、既存顧客からの収益最大化を図ります。また、観光業界以外の企業との連携も進め、新たな市場を開拓します。 -
大型案件の収益寄与タイミングの本格化
第1四半期にリリースしたKNT-CTホールディングス向け大型案件は、第2四半期以降、月額課金収入へとシフトし、継続的かつ安定的な売上貢献が見込まれます。 -
受注遅延案件の反転と商談進捗の加速
第1四半期に後ろ倒しとなった案件の受注・着手を第2四半期以降に計画しており、それに伴う売上・利益の回収が進む見通しです。
Q:受注・競合状況についてご説明ください。
A:当社が主にサービスを提供している旅行・観光業界においては、訪日外国人旅行(インバウンド)需要の再拡大に加え、国内においても旅行スタイルの多様化が進み、観光資源の利活用や地域連携を重視した旅行商品の拡充が求められています。また、2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博が活況を呈している関西圏をはじめとして、地方都市における観光回遊の活性化やデジタルインフラ整備への取り組みが加速しており、旅行業界全体として、ユーザー体験の高度化に向けたシステム投資や業務のデジタル化を進める動きが一層強まっています。このような旅行・観光業界のIT化の波はまだまだ続くと考えられるため、当社が展開する事業領域への他者参入の可能性はあると考えています。しかしながら、当社の提供するサービスは、単なる技術の集合ではなく、長年にわたり蓄積してきた業界特有の知見やノウハウに基づいて構築されていますので、短期的に現在の我々のポジションが揺らぐことはないと考えます。
(技術面=Spook)
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一般的な検索エンジンが不得意とする条件・属性に応じた絞り込み型のデータ検索に強い
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旅行業界の複雑なデータ環境と相性が良い
(ポジショニング=ハイブリッド)
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一般的なSaaSは柔軟性に欠け、スクラッチ型の受託開発はスピードとコスト効率に課題
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当社はその中間に位置し、標準機能+個別カスタマイズという形で、柔軟性とスピード、コスト効率をすべてバランス良く提供
(顧客リレーション=大手旅行会社との長年の取引)
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業界特有のデータ構造や業務プロセスに精通、業界知識を生かした提案力や導入後のサポートにも優れている
これらの要素は短期間で模倣することが難しく、当社の競争優位性を維持する要因となっています。
Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A: 当社では、成長戦略の実現に向けて、外部リソース・パートナーとの協業体制構築を重要視しております。とりわけ、生成AIの急速な進化に象徴される技術革新を適切に取り込み、顧客への価値提供を飛躍的に高めていくためには、自社の強みと他社の先進技術を掛け合わせた共創が不可欠と考えています。
近年、生成AIをはじめとする大規模言語モデル(LLM)の進化により、自然言語による対話を起点とした情報探索や業務支援のニーズが急速に拡大しています。特に、膨大で複雑なデータベースを扱う領域においては、従来の検索を超えた「文脈理解に基づくレコメンド」や「自動プランニング」といった対話型のUI/UXへの期待が高まっています。
ただし、生成AI単体で検索・レコメンドから意思決定・購買に至る一連の業務プロセスを正確に導くには、まだ限界があると考えています。特に、データの即時性や正確性の担保という観点では課題が残されており、こうした実務的な用途には、堅牢な検索基盤や業務システムとの接続性が不可欠です。
当社が提供する高速・高精度な検索技術基盤「Spook」は、企業や公共機関に広く導入され、複雑な情報を的確に整理・提示する能力において高い評価をいただいています。今後は、この「Spook」の検索技術とAIを融合させることで、自然言語による指示から検索、実行までを一気通貫で実現する、これまでにない検索体験の創出を目指しています。
こうした背景のもと、2025年7月にはグロースエクスパートナーズ株式会社との業務提携を発表しました。検索技術とAI駆動型リサーチサービスを掛け合わせることで、より高度な検索・提案・業務支援を実現していく計画です。これらの先進技術は、企業活動のみならず、産業構造の変革や地域課題の解決にもつながると考えており、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社では、これまでの事業環境の変化や事業構造の特性を踏まえ、中期経営計画の開示を控えておりましたが、現在は中・長期的な成長戦略の明確化を目的に、新たな中期経営計画の策定を進めております。具体的には、旅行・観光業界向けのSaaS型サービス「webコネクト」の拡大と、それを基盤としたB2Bマーケットプレイス事業の構築を両輪とする成長シナリオを軸に、今後3~5年を見据えた計画を検討しております。中期経営計画の開示にあたっては、変化の早い業界環境に柔軟に対応しつつ、定量目標とともに事業戦略や重点施策、リスクマネジメント体制なども含めて、有益な情報開示となるよう慎重に検討してまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:当社は現在成長過程にあり、内部留保を活用して事業拡充や組織体制への投資を行うことが、長期的に見た場合の株主利益最大化に資すると考え、現時点では配当を実施しておりません。配当方針の見直しにあたっては、その時点における現預金残高、資金ニーズ(運転資金・設備投資資金)、ROEの水準、事業環境の変化などを総合的に勘案し、慎重に判断してまいります。将来的には、これらの要素を踏まえた上で、配当の実施可否および時期について、適切なタイミングで判断していく方針ですが、現時点において具体的な実施時期等は未定となっております。
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経営企画室長 洲巻 圭介様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年2月期の売上高は23億1000万円(前期比18.7%増)、営業利益は2億1500万円(前期比54.7%増)、経常利益は1億9800万円(同41.3%増)、当期純利益は1億3100万円(同32.9%増)と、増収・大幅な増益。これは当初の増収増益計画を上回る着地であり、主にソリューション事業における売上計上タイミングの前倒しによる上振れが要因である。また、SaaS型の売上へのシフトが進んだことで、ビジネス全体の売上の伸びが顕著であった。
セグメント別または事業別の増減要因
ソリューション事業とSaaS事業の二つの軸で事業を展開しており、2025年2月期においてはSaaS型売上がソリューション型売上の約1.7倍の規模となった。前期までは両事業がほぼ半々であったが、既存顧客のビジネスがSaaS型へシフトしたことが要因である。ソリューション事業の売上は顧客への納品タイミングやシステム開発の進捗により変動する特性を持ち、今期においては前倒しで売上が計上された。今後の成長は主にSaaS型事業が牽引すると見込んでいる。SaaS型事業の伸びに伴い、利益率の高いSaaS型の構成比が増加したことで、営業利益率も前期の7.1%から9.3%へ改善した。
主要KPIの進捗と変化
主要KPIは、SaaS型ビジネスの主要プロダクトである「webコネクト」の導入顧客数と、生産性を測る指標であるエンジニア稼働1日当たりの売上高の2点である。2025年2月期においては、特にエンジニア稼働1日当たりの売上高が伸びている。これは売上高の伸びに対し、売上原価が低く抑えられたことによるものであり、エンジニアの投入稼働量と利益率のバランスを重視した結果である。
季節性・一過性要因の有無と影響
ソリューション型とSaaS型では、初期開発費と月額費の部分で売上の計上方法が異なる。月額費は固定型で季節変動がなく、期間に応じて安定的に売上が計上される。初期開発費は案件の開始時期と終了時期のタイミングに応じてサービス開始前までに計上され、特定の季節変動はないものの、進捗に応じた売上計上となるため期間に応じた変動性があるビジネスモデルである。今期、2025年2月期においては、ソリューション事業の売上が計画に対して前倒しで計上されたという一過性の要因で、当初の着地見込みを上回った。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年2月期の業績予想は、売上高24億9200万円(前期比7.9%増)、営業利益2億4900万円(同15.9%増)、経常利益2億4900万円(同25.8%増)、当期純利益1億7100万円(同30.5%増)である。この見通しは、SaaS型事業の引き続き堅調な伸びを基本線としている。ソリューション型事業の業績予想は微減を見込んでいるが、これは前期の売上前倒し計上による影響であり、おおよそ横ばいをベースに計画を組み立てている。
トピックス
2024年12月のIPOにおける資金調達の背景には、M&Aや業務提携を軸とした事業拡大の意図があり、現在それに向けた準備が進められている。現時点では具体的な企業名やタイミング、内容の公表は控えているが、成長戦略にかかる分野において具体的な取り組みが進行中である。中期経営計画については、現時点では明確な数値目標の公表には至っていないが、IPO時に開示した定性的な成長戦略に整合する形で、定量的な数値目標を含む中期経営計画の策定準備を進めており、いずれかのタイミングで公表される予定である。人員計画では毎年約10名の増員を図っており、2025年2月期における離職率は5%未満と低い水準を維持している。株主還元については、発表時点から成長投資優先の方針であり、現段階においても配当は実施していない。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略は、SaaS型事業の堅調な拡大を基盤としております。これは、これまで策定してきた事業計画に沿った形で推進されており、引き続きこのSaaS型事業の成長に注力してまいります。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件に大きな変化はございません。基本的な事業構造は変わらず、SaaS型が引き続き堅調に伸びていくことを基本線としております。ソリューション型の業績予想については、2025年2月期から2026年2月期にかけて微減と見込んでおりますが、これはおおよそ横ばいをベースに組み立てた結果であり、SaaS型へのシフトが進んでいることが影響しております 。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年2月期の通期予想は、売上高24億9200万円(前期比7.9%増)、営業利益2億4900万円(同15.9%増)、経常利益2億4900万円(同25.8%増)、当期純利益1億7100万円(同30.5%増)を見込んでおります。この増収増益の主な要因は、SaaS型事業が引き続き堅調に伸びていくという基本線にあります。ソリューション型事業の業績予想は微減傾向ですが、これは前期にソリューション事業で前倒し計上があった影響であり、長期的な視点では横ばいを維持する計画です。SaaS型の売上の伸びに伴い、より利益率の高いSaaS型の伸びに合わせて営業利益率も改善する見込みでございます。
Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:2024年12月のIPOにおける主要な資金調達の背景には、成長戦略に伴う業績拡大に加えて、M&Aや業務提携を軸とした事業拡大の意向がございました。これに向けて現在準備を進めております。現時点では具体的な企業名、時期、内容などを説明できる段階にはございませんが、弊社の成長戦略1、2、3にかかる分野において、このような取り組みの準備が進捗しているとご理解いただきたく存じます。
Q:中期経営計画の発表および策定の進捗状況についてご説明ください。
A:現時点では、具体的な数値目標を含む中期経営計画は明確には策定しておりません。IPO時に開示した定性的な成長戦略を基盤として事業を推進しており、おおよそその成長戦略との整合性を保ちながら進捗しております。特に2026年2月期までの業績予想は、ある程度の蓋然性を持って見通せる状況にございます。しかしながら、2027年、2028年といった事業計画はまだ流動的な要素も多いため、現時点では公表に至っておりません。今後は、定性的な戦略に整合する形で、定量的な数値目標を含む中期経営計画の策定準備を進めており、いずれかのタイミングで公表できる見込みです。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針としては、発表時点から成長投資優先という立場を取っており、現段階においても配当は実施しない方針でございます。
取材者:2025年2月期の決算についてお伺いいたします。売上高は23億1000万円で前期比18.7%の増加、営業利益は2億1500万円で前期比54.7%の増加、経常利益は1億9800万円で前期比41.3%の増加、当期純利益は1億3100万円で前期比32.9%と大幅な増収増益を達成されたとのことですが、これらの増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:まず2025年2月期は売上高23.1億円で、お伝えいただいた通り、いずれも増収増益です。もともと増収増益の計画を立てておりましたので、基本的には計画通りでございます。とはいえ、当初想定していた着地見込みよりもやや上振れたというのが実情です。22.8億円程度の着地見込みだったのが、最終的に23.1億円で着地いたしました。
増収要因としましては、22.8億円から23.1億円への上振れは、ソリューション事業における売上計上のタイミングによる変動と認識しております。弊社にはソリューション事業とSaaS事業がございます。ソリューション事業は、顧客の個別課題解決、いわゆる受託開発的なビジネスモデルで売上を計上しており、顧客への納品タイミングやシステム開発の進捗によって売上高が変動いたします。結果的に、今期、2025年2月期においては良い方向に売上が伸びました。
取材者:承知いたしました。
回答者:ソリューション事業の売上は、長期的な売上の中で今期計上される場合もあれば、翌年、翌々年に計上されることもございますが、全体的なキャパシティの中で案件が増えたというよりは、想定していた計画の中で、今期に前倒しで売上が計上された要因の影響も大きいと考えております。したがって、今回の増収増益は、構造的な成長に加えて、22.8億円の計画値に対して売上が一部前倒しで計上された結果、23.1億円で着地したという、上振れ要因も影響しているという認識です。
取材者:承知いたしました。
回答者:当初想定していた計画で申し上げますと、ソリューションとSaaSという二つの軸で事業を進めておりますが、SaaS型の売上へのシフトがより進み、ビジネス全体の売上の伸びが顕著であったため、増収増益となりました。
取材者:SaaS型の売上は14億6800万円ですね。割合としては3分の2ぐらいになるのでしょうか。
回答者:はい、その通りです。もともと前期まではほぼ半々でしたが、現時点ではソリューション型からSaaS型へ既存のお客様のビジネスもシフトしていることもあり、2025年2月期においては、ソリューション型の売上に比べてSaaS型の方が1.7倍程度の規模感となっております。ソリューション型は、現在の売上規模がある程度横ばいで今後も推移していくと見ており、今後の成長要因はSaaS型にあるとご理解いただいております。
取材者:営業利益率も前年の7.1%から9.3%に増加しているのは、SaaS型が増えていることによるものでしょうか。
回答者:はい、おっしゃる通りです。SaaS型の売上の伸びに伴い、より利益率の高いSaaS型の伸びに合わせて営業利益率も改善いたしました。
取材者:貴社は、販売売上などに季節性はございますか。
回答者:ソリューション型とSaaS型では、初期開発費の部分と月額費の部分がございます。月額費のところは期間に応じて安定的に売上が計上される固定型のビジネスモデルで、季節変動性はございません。お客様から受注した案件の開始時期と終了時期のタイミングに応じて、当然ながら初期開発費の売上はサービス開始前までに計上されますので、サービス開始後は月額費に変わっていく形になります。初期開発費の部分は進捗に応じた売上計上となるため、夏に高くなるなど特定の季節変動はございませんが、期間に応じた変動があるビジネスモデルでございます。
取材者:主要なKPIについては、どのようなものがKPIでしょうか。
回答者:はい、現在二つのKPIを決算説明資料でも開示させていただいております。一つは、SaaS型ビジネスの主要プロダクトである「webコネクト」の導入顧客数です。もう一つは、生産性を測る指標として、エンジニア稼働1日当たりの売上高を主要KPIとしております 。設定しているKPIはその2点で、決算説明資料では「appendix」という箇所に記載しております。
取材者:承知いたしました。エンジニア稼働1日当たりの売上高についてです。前期比で伸びているかと存じますが、どのような要因があるとお考えでしょうか。
回答者:はい。エンジニア稼働1日当たりの売上高が伸びる要因としては、売上高の伸びとエンジニア要員の伸びを比較し、売上原価の伸び以上に売上高が高まれば、当然ながら売上高が増加いたします。2025年2月期においては、先ほど申し上げた増収要因による売上高の伸びに対し、売上原価が低く抑えられたことによって、エンジニア稼働1日当たり売上高が増加いたしました。
このKPIを設定しているのは、ビジネスにおいて、売上を計上するにあたって、エンジニアの投入稼働量に応じて売上が算出されるという側面があるためです。お客様の課題解決において、過剰にエンジニアの稼働をかければ利益率は下がりますし、逆に少ない人数で対応できれば利益率は上がります。営業部門が売上のトップラインをつくる一方で、技術部門はその売上を適切なコストの範囲で実現できるかが重要となります。そのため、適切な利益率を出す範囲内でエンジニアが稼働できているかを測るという意味で、エンジニア稼働1日当たりの売上高を主要KPIとしております。
取材者:前期比で人の採用数などの推移はいかがでしょうか。
回答者:人員計画について申し上げますと、基本的には毎年、新卒・キャリアともに職種に応じた採用を行っており、10人程度の増員を図っております。年度によって程度の差はございますが、離職率は低い形で、5%未満を目途としております。一定の離職数もございますが、直近の有価証券報告書にも掲載させていただきましたが、2025年2月期においては、結果的に2名の純増となっております。
取材者:2026年2月期の見通しについても少しお伺いしたいのですが、業績予想は売上高24億9200万円で、前期から7.9%の増加、営業利益2億4900万円で15.9%の増加、経常利益2億4900万円で25.8%の増加、当期純利益も1億7100万円で、前期比30.5%の増加となっております。先ほど前期に前倒しで案件があったというお話がありましたが、2026年2月期もかなり増収増益の数値を見込まれているかと存じます。この進捗要因や増減率の要因について、何か計画していることがあれば教えていただけますか。
回答者:基本的な事業構造は変わらず、SaaS型が引き続き堅調に伸びていくというのが基本線であり、その部分が増収に繋がっております。一方で、ソリューション型の業績予想は、2025年2月期から2026年2月期にかけて微減という感じですが、先ほど申し上げたように、おおよそ横ばいをベースに組み立てております。そこの部分が1億円強減少しているため、前期に比べると、いわゆる上昇の幅は2026年2月期に関してはやや少ないというところが、現状の業績予想の理由でございます。ただ、基調としては、SaaS型が今後も引き続き伸びていくというところは、これまでの事業計画に沿った形で計画しております。
取材者:承知いたしました。貴社の成長可能性資料以外に、中期経営計画などはまだ策定されていないかと存じますが、今後何か数値目標や中期経営計画を出す予定などはございますか。
回答者:現時点ではまだ明確には申し上げられませんが、先般実施した株主総会でも同様のご質問をいただきました。IPO時点で成長戦略、いわゆる定性的な成長戦略を出させていただいており、おおよそその成長戦略自体は、成長戦略「1」が一部SaaS型にもかかりますが、ソリューション型にかかる部分と、「2」ないし「3」の部分がSaaS型にかかる部分がございます。基本的にはこの2026年2月期の業績予想を出していることもあり、計画としてはある程度見えている部分はあるのですが、2027年、2028年といった事業計画はまだ流動的なところもあり、現時点では公表できておりません。ただ、ある程度、定性的な戦略に整合する形で、いわゆる定量的な数値目標のような中期経営計画を出す準備を進めておりますので、いずれかのタイミングでお出しできるだろうとご理解いただければと思います。
取材者:M&Aや業務提携に関して、実施状況や検討状況などございましたら、お答えできる範囲で結構ですので、ご説明いただけますか。
回答者:はい。2024年12月のIPOの主要な資金調達の背景には、当然ながら成長戦略に伴う業績の拡大がございました。さらにはM&Aや業務提携を軸に事業を拡大していくという形で、常に公開でご説明している部分もございますので、それに向けた準備は現状進んでおります。恐れ入りますが、現時点ではまだ具体的な企業名やタイミング、内容などを説明する段階にはございませんが、現在の成長戦略1、2、3にかかる分野において、そのような取り組みの準備が進んでいるとご理解ください。
取材者:承知いたしました。株主還元の方針について変更などございましたか。
回答者:発表時点では成長投資優先というところで、配当は実施していないことを説明いたしました。今後においても、現段階においては同様の方針でございます。
取材者:承知いたしました。足元のニュースリリースやトピックスがございましたら、ご説明いただけますか。
回答者:今年度はまだ目立った事業内容についてのプレスリリースやトピックスは発表させていただいておりません。2025年5月で第1四半期が終わったタイミングではございますが、次の第2四半期決算の時期にリリース等が出ていく形になるかと存じます。
取材者:特に第2四半期決算ではトピックスがあるかもしれないということですね。
回答者:決算そのものもそうですが、どちらかというと、これまで成長戦略として申し上げてきた取り組み自体が、具体的に過去の取り組みとして説明してきましたが、その内容を受けたものが可視化されるフェーズに入ってきております。それらを反映した情報発信が第2四半期以降に行われることになる見込みです。
経営企画室長 洲巻 圭介様
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企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
ビジネスモデル
フォルシアは、高速検索技術を強みとするソリューション型、SaaS型のシステムを提供している。 顧客ごとにカスタマイズしたシステム構築に加え、旅行業界に特化したワンストップサービス「webコネクト」を提供している。
事業内容
旅行業界向けに、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、顧客のシステムに組み込むことで旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供している。 近年では、当社が強みを持つ検索に加え、外部接続機能、旅行素材管理システム、予約システムなどを組み合わせたワンストップ型のサービス「webコネクト」の提供に注力している。
特徴と強み
フォルシアの強みは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで、大量・複雑なデータを高速に処理することを可能にする技術(Spook)である。 また、顧客の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方までを考慮したデータベース設計を行っている。 さらに、競合他社との差別化要素として、カスタマイズ性の高いシステム開発を行うことに加え、webコネクトを通じ、コスト競争力の高いシステムを提供できることも強みとしている。
成長戦略
旅行業界における顧客へのサービス拡大に注力し、当面は大手旅行会社からの大型案件獲得による売上増加を目指している。 また、新規顧客獲得のため、展示会出展やコーポレートサイトでの情報発信などを通して認知度向上を図っている。
人材の採用と育成
新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、OJTを通して育成している。
株主還元策
上場による資金調達を行ったばかりのため、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指している。
今期の取り組みとトピックス
大型案件の受注が好調で、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みである。 来期以降も大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んでいく。
Q:事業内容をご説明ください。
A:当社の事業は、ソリューション型とSaaS型に大別されます。ソリューション型は、顧客ごとにカスタマイズしたシステムを構築するサービスで、初期開発費と月額のライセンス料、運用保守費を収益としています。一方、SaaS型は、「webコネクト」というサービスが主力であり、旅行業界のお客様に特化したシステムをワンストップで提供しています。こちらは初期開発費と月額のサービス利用料を収益としています。「webコネクト」は、一定のカスタマイズを前提としたSaaS型サービスであり、原則として5年間は解約不能としています。
Q:ビジネスモデルをご説明ください。
A:元々、当社は検索機能に特化したサービスを提供しており、システムインテグレーター(SIer)が構築したシステムに検索機能を組み込むという形で事業を行っていました。 しかし、旅行業界のお客様との取引が増える中で、検索機能だけでなく、旅行素材の管理や予約、電子クーポンなど、周辺サービスまで含めたワンストップ型のサービスを提供できるようになりました。 大手旅行会社様は、従来、SIerから高額なシステムを購入していましたが、当社はそれよりも競争力のある価格で、かつ機能性の高いシステムを提供しています。
Q:強みをご説明ください。
A:当社の強みは、大量・複雑なデータを高速に検索できる技術(Spook)です。これは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで実現しています。また、お客様の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方まで考慮したデータベース設計を行っています。
Q:具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
A:旅行業界のお客様向けには、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、お客様のシステムに組み込んでいただくことで、旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供しています。
Q:今後の成長戦略についての方向性をご説明ください。
A:現状では、旅行業界のお客様へのサービス拡大に注力していきます。大手旅行会社様からは、億単位の大型案件を受注することもあり、売上へのインパクトも大きいためです。もちろん、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでおり、展示会への出展やコーポレートサイトでの情報発信などを行っています。旅行業界では、当社は既に認知度が高く、主要な企業様とは取引があるか、接点がある状態です。展示会などを通じて、新規顧客との接点を増やし、案件につなげていく方針でございます。
Q:コーポレートサイトでは、具体的にどのような情報発信を行っているのでしょうか。
A:会社概要、サービス内容、導入事例などを掲載しており、投資家情報として、決算短信、有価証券報告書などの財務情報も公開してまいります。また、採用情報ページでは、新卒採用、中途採用に関する情報を掲載し、人材募集も行っております。
Q:従来のデータベースと比較して、どれくらいスピードに差が出るのでしょうか。また、競合他社のサービスとの違いについてもご説明ください。
A:データ量が少ない場合は、大きな差は出ないと思いますが、数千万件、数億件といった膨大なデータを扱うとなると、当社より高速に処理できる汎用的な検索サービスはおそらく無いものと認識しています。市販のパッケージソフトでは、数万件程度のデータであれば高速に処理できますが、数千万件、数億件といった規模のデータを効率的に処理できるものはないと考えております。SIerが独自に開発しているシステムのような、カスタマイズ性の高いシステムと競合することが多く、その点で差別化を図っております。
Q:人材の採用、育成については、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
A:新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、社内で育成しています。現在、エンジニアの約7割が新卒入社です。教育はOJT(On-the-Job Training)を中心に、実務を通して経験を積ませています。また、競技プログラミングなどのイベントに参加・協賛し、優秀な人材の発掘にも努めています。新卒は、個人差はありますが、競技プログラミング経験者などは即戦力となる一方、未経験者でも1年程度で戦力となるように育成しております。
Q:株主還元策について、どのようにお考えでしょうか。
A:上場による資金調達を行ったばかりですので、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指しております。
Q:今期は業績予想、新たな取り組みやトピックスをご説明ください。
A:大型案件の受注が好調であり、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みです。来期以降も、大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んで参ります。
取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者:当社の事業は、ソリューション型とSaaS型に大別されます。ソリューション型は、顧客ごとにカスタマイズしたシステムを構築するサービスで、初期開発費と月額のライセンス料、運用保守費を収益としております。 一方、SaaS型は、「webコネクト」というサービスが主力であり、旅行業界のお客様に特化したシステムをワンストップで提供しております。こちらは初期開発費と月額のサービス利用料を収益としております。「webコネクト」は、一定量のカスタマイズを前提としたSaaS型サービスであり、原則として5年間は解約不能とさせていただいております。 当社の強みは、大量の複雑なデータを高速に検索できる技術です。これは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで実現しています。また、お客様の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方まで考慮したデータベース設計を行っております。 元々、当社は検索機能に特化したサービスを提供しており、システムインテグレーター(SIer)が構築したシステムに検索機能を組み込むという形で事業を行っておりました。しかし、旅行業界のお客様との取引が増える中で、検索機能だけでなく、旅行素材の管理や予約、電子クーポンなど、周辺サービスまで含めたワンストップ型のサービスを提供できるようになりました。大手旅行会社様は、従来、SIerから高額なシステムを購入しておりましたが、当社はそれよりも競争力のある価格で、かつ機能性の高いシステムを提供しております。
取材者:つまり、高速検索という強みを生かしつつ、旅行業界のお客様にはSaaS型のワンストップサービスを提供することで、サービス領域を拡大しているというビジネスモデルですね。
回答者:その通りでございます。
取材者:具体的には、どのようなサービスを提供されているのでしょうか?
回答者:旅行業界のお客様向けには、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、お客様のシステムに組み込んでいただくことで、旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供しております。
取材者:今後の成長戦略としては、どのような方向性をお考えですか?
回答者:現状では、旅行業界のお客様へのサービス拡大に注力してまいります。大手旅行会社様からは、億単位の大型案件を受注することもあり、売上へのインパクトも大きいためです。もちろん、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでおり、展示会への出展やコーポレートサイトでの情報発信などを行っております。旅行業界では、当社は既に認知度が高く、主要な企業様とは取引があるか、接点がある状態です。展示会などを通じて、新規顧客との接点を増やし、案件につなげていく方針でございます。
取材者:コーポレートサイトでは、具体的にどのような情報発信をされているのでしょうか?
回答者:会社概要、サービス内容、導入事例などを掲載しており、投資家情報として、決算短信、有価証券報告書などの財務情報も公開してまいります。また、採用情報ページでは、新卒採用、中途採用に関する情報を掲載し、人材募集も行っております。
取材者:従来のデータベースと比較して、どれくらいスピードに差が出るのでしょうか? また、競合他社のサービスとの違いについても教えてください。
回答者:データ量が少ない場合は、大きな差は出ないと思いますが、数千万件、数億件といった膨大なデータを扱うとなると、当社より高速に処理できる汎用的な検索サービスはおそらく無いものと認識しております。市販のパッケージソフトでは、数万件程度のデータであれば高速に処理できますが、数千万件、数億件といった規模のデータを効率的に処理できるものはないと考えております。SIerが独自に開発しているシステムのような、カスタマイズ性の高いシステムと競合することが多く、その点で差別化を図っております。
取材者:人材の採用、育成については、どのような取り組みをされておりますか?
回答者:新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、社内で育成しております。現在、エンジニアの約7割が新卒入社です。教育はOJT(On-the-Job Training)を中心に、実務を通して経験を積ませています。また、競技プログラミングなどのイベントに参加・協賛し、優秀な人材の発掘にも努めております。
取材者:新卒で入社された方は、どれくらいで独り立ちできるのでしょうか?
回答者:個人差はありますが、競技プログラミング経験者などは即戦力となる一方、未経験者でも1年程度で戦力となるように育成しております。
取材者:株主還元策については、どのようにお考えでしょうか?
回答者:上場による資金調達を行ったばかりですので、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指してまいります。
取材者:今期は業績予想の達成が期待されておりますが、何か新たな取り組みやトピックスはございますか?
回答者:大型案件の受注が好調であり、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みです。来期以降も、大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んでまいります。
IR担当

フォルシア(株)
東証GRT 304A
決算:2月末日
CP&X
決算概要
2026年2月期第2四半期の決算は、売上高1,097百万円(前年同期比3.2%の増加)と微増収となったものの、営業利益33百万円(同58.2%のマイナス)、経常利益34百万円(同56.3%のマイナス)、純利益21百万円(同58.8%のマイナス)と大幅な減益での着地となった。減益の主要因は、期初想定通りに計上された先行投資的な販管費および売上原価に対し、売上高の伸びが当初計画を下回ったことである。売上高の未達は、第1四半期ないし第2四半期で予定していた大型案件の初期開発収益計上が、下期以降に時期ずれしたことによる影響である。
セグメント別または事業別の増減要因
ソリューション・SaaSを要素分解して開示された収益構造のうち、SaaS型の月額収益は前年同期比36.1%の成長を達成している。この成長は、第1四半期にリリースされた大型案件が月額収益として計上されたことによる寄与が大きく、ストック型収益は計画通りに推移している。一方で、高利益率案件である大型案件の初期開発収益の計上時期が下期にずれ込んだため、全体の増収幅が計画を下回り、粗利率および営業利益率の低下につながった。
主要KPIの進捗と変化
webコネクトの顧客数については、初期開発収益のみをターゲットとした顧客の増減要素を排除するため、定義が「既にリリース済みで月額収益が発生している顧客」に変更された。この定義変更により、第1四半期の顧客数は前回開示の28社から24社に減少しているが、これは開発中または要件定義中の顧客を除外した差分であり、チャーンではない。第2四半期では、webコネクト導入顧客において初の解約が発生したが、これは導入会社の事業再編によるもので、残存の月額利用料は解約料として受領されている。また、顧客群は規模感に応じて「エンタープライズ」「スタンダード」「ベーシック」の三つに再分類された。
季節性・一過性要因の有無と影響
業績に影響を与えた一過性要因として、第1四半期ないし第2四半期に計上予定であった別顧客の大型案件(初期開発収益)の下期への時期ずれが存在する。当該案件の売上高は第2四半期までの実績には含まれていないが、当該案件にかかる売上原価等は期初想定通りに計上されているため、結果的に収益率を大きく押し下げる結果となった。ただし、案件自体は失注ではなく、第3四半期以降に向けて要件定義および開発準備が進捗している状況である。
通期見通しと進捗率・達成可能性
現段階で通期業績見通しに変更はないが、第2四半期までの売上および営業利益率の進捗は鈍い状況であり、この状況は第3四半期まで継続すると見込まれている。しかしながら、下期に時期ずれした大型案件は高利益率の初期開発収益が見込めるため、これが予定通り計上されれば、第3四半期および第4四半期の進捗が一気に向上し、通期着地見込みを達成できるとの見解が示されている。当該大型案件は、時期ずれのリスク要因はあるものの、場合によっては通期見通しの上方修正の可能性もある上乗せ要素として捉えられている。
トピックス
成長戦略を三つのセクターに再定義し、「ベーシック」顧客群(月額100万円未満)の顧客数増加を目指す方針が明確にされた。成長戦略②として、これまでカスタマイズが前提であったwebコネクトの機能をパッケージ化し、短納期・低価格で非旅行業界向けに展開する「共同利用型のWebコネクト」の準備費用が先行投資として計上されている。成長戦略③として、従来の旅行販売側(セラー)向けwebコネクトからビジョンを拡大し、サプライヤー側に提供する「着地素材型サイトコントローラー」を別ブランドとして開発中であり、今年度中のリリースを予定している状況である。
取材アーカイブ
決算概要
今四半期は、前年同期比で増収・減益という結果となりました。主力サービスであるSaaS型の「webコネクト」が引き続き売上を牽引し、売上高は前年同期比+4.2%の増収となりましたが、営業利益は△52.6%と一時的に落ち込みました。この減益は、いずれも一時的な要因であり、通期業績見通しの達成に向けた「仕込み」と捉えています。
セグメント別または事業別の増減要因
SaaS型サービス売上は359百万円(前年同期比+14.4%)と2桁成長を維持。主力サービス「webコネクト」の利用拡大が継続しており、月額課金ベースの収益が着実に積み上がりました。一方、ソリューション型サービスは204百万円(前年同期比△9.9%)の減収となりました。これは、既存顧客におけるSpookからwebコネクトへの移行が進んだことなどが主な要因です。
主要KPIの進捗と変化
主要KPIのうち、webコネクト顧客数は、顧客の拡大と継続により堅調に推移しました。一方、エンジニア1人あたりの売上高は、一部案件の売上時期の延伸と大型案件のリリースの影響で一時的に悪化しました。具体的には、前期に売上計上済みの大型案件のリリース作業に伴う稼働が今四半期に集中したことや、後ろ倒しとなった案件にアサイン予定だったリソースを将来投資(新機能開発等)に振り替えたことが要因です。今後は回復を見込んでいます。
季節性・一過性要因の有無と影響
今四半期のSaaS型サービス売上は、前四半期比で減少しましたが、これはKNT-CTホールディングス向け大型案件の進捗に起因します。前四半期は開発が最盛期で、進捗に応じた開発売上が大きく計上された一方、今四半期はリリース後フェーズに入り開発売上が減少。運用に伴う月額収益の立ち上がりはこれからであり、一時的な変動と認識しています。契約負債も前四半期比で約86百万円増加しており、第2四半期以降の売上計上が見込まれます。
通期見通しと進捗率・達成可能性
今四半期の売上成長がやや抑制的だった背景には、いくつかの受注案件の後ろ倒しがありました。これは需要の消失ではなく、着手時期のずれにすぎません。第2四半期以降は、5月にリリースしたKNT-CTホールディングス向けの大型案件をはじめとする月額課金収益が増加し、後ろ倒しとなった新規案件も稼働を開始する見込みです。これらを踏まえ、通期での売上+7.9%、営業利益+15.9%という業績目標は十分達成可能と見ています。
トピックス
2025年5月21日より、KNT-CTホールディングス株式会社およびグループ会社が運営するknt.co.jpの「飛行機+宿泊」の国内ダイナミックパッケージオンライン旅行予約サイトにwebコネクトのダイナミックパッケージ型検索機能および、予約・販売機能の提供を開始しました。本案件については第2四半期以降、月額課金型にシフトし、リソース投入量に依存しない安定収入源となっていくことが見込まれます。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の主力サービスである「webコネクト」は、大手旅行会社向けのソリューション型営業を主軸に、個別カスタマイズ対応を中心に成長してきました。今後に向けては、ターゲットごとのニーズに応じた「バーティカル型の商品戦略」へとシフトし、成長可能性書面に記載した3つの成長戦略(1. 既存顧客へのサービス拡充、2. 新規参入企業へのサービス提供、3. 業界全体をつなぐマーケットプレイス基盤の提供)を段階的に進めていきます。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A: 2026年2月期の通期業績予想(売上+7.9%、営業利益+15.9%)については、現時点で変更はなく、達成可能と見込んでいます。その前提となる戦略と施策は以下のとおりです。
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主力SaaS型サービス「webコネクト」の拡張と深耕
検索領域に加え、予約・決済など周辺機能の拡張を通じて、既存顧客からの収益最大化を図ります。また、観光業界以外の企業との連携も進め、新たな市場を開拓します。 -
大型案件の収益寄与タイミングの本格化
第1四半期にリリースしたKNT-CTホールディングス向け大型案件は、第2四半期以降、月額課金収入へとシフトし、継続的かつ安定的な売上貢献が見込まれます。 -
受注遅延案件の反転と商談進捗の加速
第1四半期に後ろ倒しとなった案件の受注・着手を第2四半期以降に計画しており、それに伴う売上・利益の回収が進む見通しです。
Q:受注・競合状況についてご説明ください。
A:当社が主にサービスを提供している旅行・観光業界においては、訪日外国人旅行(インバウンド)需要の再拡大に加え、国内においても旅行スタイルの多様化が進み、観光資源の利活用や地域連携を重視した旅行商品の拡充が求められています。また、2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博が活況を呈している関西圏をはじめとして、地方都市における観光回遊の活性化やデジタルインフラ整備への取り組みが加速しており、旅行業界全体として、ユーザー体験の高度化に向けたシステム投資や業務のデジタル化を進める動きが一層強まっています。このような旅行・観光業界のIT化の波はまだまだ続くと考えられるため、当社が展開する事業領域への他者参入の可能性はあると考えています。しかしながら、当社の提供するサービスは、単なる技術の集合ではなく、長年にわたり蓄積してきた業界特有の知見やノウハウに基づいて構築されていますので、短期的に現在の我々のポジションが揺らぐことはないと考えます。
(技術面=Spook)
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一般的な検索エンジンが不得意とする条件・属性に応じた絞り込み型のデータ検索に強い
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旅行業界の複雑なデータ環境と相性が良い
(ポジショニング=ハイブリッド)
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一般的なSaaSは柔軟性に欠け、スクラッチ型の受託開発はスピードとコスト効率に課題
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当社はその中間に位置し、標準機能+個別カスタマイズという形で、柔軟性とスピード、コスト効率をすべてバランス良く提供
(顧客リレーション=大手旅行会社との長年の取引)
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業界特有のデータ構造や業務プロセスに精通、業界知識を生かした提案力や導入後のサポートにも優れている
これらの要素は短期間で模倣することが難しく、当社の競争優位性を維持する要因となっています。
Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A: 当社では、成長戦略の実現に向けて、外部リソース・パートナーとの協業体制構築を重要視しております。とりわけ、生成AIの急速な進化に象徴される技術革新を適切に取り込み、顧客への価値提供を飛躍的に高めていくためには、自社の強みと他社の先進技術を掛け合わせた共創が不可欠と考えています。
近年、生成AIをはじめとする大規模言語モデル(LLM)の進化により、自然言語による対話を起点とした情報探索や業務支援のニーズが急速に拡大しています。特に、膨大で複雑なデータベースを扱う領域においては、従来の検索を超えた「文脈理解に基づくレコメンド」や「自動プランニング」といった対話型のUI/UXへの期待が高まっています。
ただし、生成AI単体で検索・レコメンドから意思決定・購買に至る一連の業務プロセスを正確に導くには、まだ限界があると考えています。特に、データの即時性や正確性の担保という観点では課題が残されており、こうした実務的な用途には、堅牢な検索基盤や業務システムとの接続性が不可欠です。
当社が提供する高速・高精度な検索技術基盤「Spook」は、企業や公共機関に広く導入され、複雑な情報を的確に整理・提示する能力において高い評価をいただいています。今後は、この「Spook」の検索技術とAIを融合させることで、自然言語による指示から検索、実行までを一気通貫で実現する、これまでにない検索体験の創出を目指しています。
こうした背景のもと、2025年7月にはグロースエクスパートナーズ株式会社との業務提携を発表しました。検索技術とAI駆動型リサーチサービスを掛け合わせることで、より高度な検索・提案・業務支援を実現していく計画です。これらの先進技術は、企業活動のみならず、産業構造の変革や地域課題の解決にもつながると考えており、持続可能な社会の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社では、これまでの事業環境の変化や事業構造の特性を踏まえ、中期経営計画の開示を控えておりましたが、現在は中・長期的な成長戦略の明確化を目的に、新たな中期経営計画の策定を進めております。具体的には、旅行・観光業界向けのSaaS型サービス「webコネクト」の拡大と、それを基盤としたB2Bマーケットプレイス事業の構築を両輪とする成長シナリオを軸に、今後3~5年を見据えた計画を検討しております。中期経営計画の開示にあたっては、変化の早い業界環境に柔軟に対応しつつ、定量目標とともに事業戦略や重点施策、リスクマネジメント体制なども含めて、有益な情報開示となるよう慎重に検討してまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:当社は現在成長過程にあり、内部留保を活用して事業拡充や組織体制への投資を行うことが、長期的に見た場合の株主利益最大化に資すると考え、現時点では配当を実施しておりません。配当方針の見直しにあたっては、その時点における現預金残高、資金ニーズ(運転資金・設備投資資金)、ROEの水準、事業環境の変化などを総合的に勘案し、慎重に判断してまいります。将来的には、これらの要素を踏まえた上で、配当の実施可否および時期について、適切なタイミングで判断していく方針ですが、現時点において具体的な実施時期等は未定となっております。
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経営企画室長 洲巻 圭介様
取材アーカイブ
CP&X
決算概要
2025年2月期の売上高は23億1000万円(前期比18.7%増)、営業利益は2億1500万円(前期比54.7%増)、経常利益は1億9800万円(同41.3%増)、当期純利益は1億3100万円(同32.9%増)と、増収・大幅な増益。これは当初の増収増益計画を上回る着地であり、主にソリューション事業における売上計上タイミングの前倒しによる上振れが要因である。また、SaaS型の売上へのシフトが進んだことで、ビジネス全体の売上の伸びが顕著であった。
セグメント別または事業別の増減要因
ソリューション事業とSaaS事業の二つの軸で事業を展開しており、2025年2月期においてはSaaS型売上がソリューション型売上の約1.7倍の規模となった。前期までは両事業がほぼ半々であったが、既存顧客のビジネスがSaaS型へシフトしたことが要因である。ソリューション事業の売上は顧客への納品タイミングやシステム開発の進捗により変動する特性を持ち、今期においては前倒しで売上が計上された。今後の成長は主にSaaS型事業が牽引すると見込んでいる。SaaS型事業の伸びに伴い、利益率の高いSaaS型の構成比が増加したことで、営業利益率も前期の7.1%から9.3%へ改善した。
主要KPIの進捗と変化
主要KPIは、SaaS型ビジネスの主要プロダクトである「webコネクト」の導入顧客数と、生産性を測る指標であるエンジニア稼働1日当たりの売上高の2点である。2025年2月期においては、特にエンジニア稼働1日当たりの売上高が伸びている。これは売上高の伸びに対し、売上原価が低く抑えられたことによるものであり、エンジニアの投入稼働量と利益率のバランスを重視した結果である。
季節性・一過性要因の有無と影響
ソリューション型とSaaS型では、初期開発費と月額費の部分で売上の計上方法が異なる。月額費は固定型で季節変動がなく、期間に応じて安定的に売上が計上される。初期開発費は案件の開始時期と終了時期のタイミングに応じてサービス開始前までに計上され、特定の季節変動はないものの、進捗に応じた売上計上となるため期間に応じた変動性があるビジネスモデルである。今期、2025年2月期においては、ソリューション事業の売上が計画に対して前倒しで計上されたという一過性の要因で、当初の着地見込みを上回った。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年2月期の業績予想は、売上高24億9200万円(前期比7.9%増)、営業利益2億4900万円(同15.9%増)、経常利益2億4900万円(同25.8%増)、当期純利益1億7100万円(同30.5%増)である。この見通しは、SaaS型事業の引き続き堅調な伸びを基本線としている。ソリューション型事業の業績予想は微減を見込んでいるが、これは前期の売上前倒し計上による影響であり、おおよそ横ばいをベースに計画を組み立てている。
トピックス
2024年12月のIPOにおける資金調達の背景には、M&Aや業務提携を軸とした事業拡大の意図があり、現在それに向けた準備が進められている。現時点では具体的な企業名やタイミング、内容の公表は控えているが、成長戦略にかかる分野において具体的な取り組みが進行中である。中期経営計画については、現時点では明確な数値目標の公表には至っていないが、IPO時に開示した定性的な成長戦略に整合する形で、定量的な数値目標を含む中期経営計画の策定準備を進めており、いずれかのタイミングで公表される予定である。人員計画では毎年約10名の増員を図っており、2025年2月期における離職率は5%未満と低い水準を維持している。株主還元については、発表時点から成長投資優先の方針であり、現段階においても配当は実施していない。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:弊社の成長戦略は、SaaS型事業の堅調な拡大を基盤としております。これは、これまで策定してきた事業計画に沿った形で推進されており、引き続きこのSaaS型事業の成長に注力してまいります。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:成長戦略の前提条件に大きな変化はございません。基本的な事業構造は変わらず、SaaS型が引き続き堅調に伸びていくことを基本線としております。ソリューション型の業績予想については、2025年2月期から2026年2月期にかけて微減と見込んでおりますが、これはおおよそ横ばいをベースに組み立てた結果であり、SaaS型へのシフトが進んでいることが影響しております 。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年2月期の通期予想は、売上高24億9200万円(前期比7.9%増)、営業利益2億4900万円(同15.9%増)、経常利益2億4900万円(同25.8%増)、当期純利益1億7100万円(同30.5%増)を見込んでおります。この増収増益の主な要因は、SaaS型事業が引き続き堅調に伸びていくという基本線にあります。ソリューション型事業の業績予想は微減傾向ですが、これは前期にソリューション事業で前倒し計上があった影響であり、長期的な視点では横ばいを維持する計画です。SaaS型の売上の伸びに伴い、より利益率の高いSaaS型の伸びに合わせて営業利益率も改善する見込みでございます。
Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:2024年12月のIPOにおける主要な資金調達の背景には、成長戦略に伴う業績拡大に加えて、M&Aや業務提携を軸とした事業拡大の意向がございました。これに向けて現在準備を進めております。現時点では具体的な企業名、時期、内容などを説明できる段階にはございませんが、弊社の成長戦略1、2、3にかかる分野において、このような取り組みの準備が進捗しているとご理解いただきたく存じます。
Q:中期経営計画の発表および策定の進捗状況についてご説明ください。
A:現時点では、具体的な数値目標を含む中期経営計画は明確には策定しておりません。IPO時に開示した定性的な成長戦略を基盤として事業を推進しており、おおよそその成長戦略との整合性を保ちながら進捗しております。特に2026年2月期までの業績予想は、ある程度の蓋然性を持って見通せる状況にございます。しかしながら、2027年、2028年といった事業計画はまだ流動的な要素も多いため、現時点では公表に至っておりません。今後は、定性的な戦略に整合する形で、定量的な数値目標を含む中期経営計画の策定準備を進めており、いずれかのタイミングで公表できる見込みです。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針としては、発表時点から成長投資優先という立場を取っており、現段階においても配当は実施しない方針でございます。
取材者:2025年2月期の決算についてお伺いいたします。売上高は23億1000万円で前期比18.7%の増加、営業利益は2億1500万円で前期比54.7%の増加、経常利益は1億9800万円で前期比41.3%の増加、当期純利益は1億3100万円で前期比32.9%と大幅な増収増益を達成されたとのことですが、これらの増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:まず2025年2月期は売上高23.1億円で、お伝えいただいた通り、いずれも増収増益です。もともと増収増益の計画を立てておりましたので、基本的には計画通りでございます。とはいえ、当初想定していた着地見込みよりもやや上振れたというのが実情です。22.8億円程度の着地見込みだったのが、最終的に23.1億円で着地いたしました。
増収要因としましては、22.8億円から23.1億円への上振れは、ソリューション事業における売上計上のタイミングによる変動と認識しております。弊社にはソリューション事業とSaaS事業がございます。ソリューション事業は、顧客の個別課題解決、いわゆる受託開発的なビジネスモデルで売上を計上しており、顧客への納品タイミングやシステム開発の進捗によって売上高が変動いたします。結果的に、今期、2025年2月期においては良い方向に売上が伸びました。
取材者:承知いたしました。
回答者:ソリューション事業の売上は、長期的な売上の中で今期計上される場合もあれば、翌年、翌々年に計上されることもございますが、全体的なキャパシティの中で案件が増えたというよりは、想定していた計画の中で、今期に前倒しで売上が計上された要因の影響も大きいと考えております。したがって、今回の増収増益は、構造的な成長に加えて、22.8億円の計画値に対して売上が一部前倒しで計上された結果、23.1億円で着地したという、上振れ要因も影響しているという認識です。
取材者:承知いたしました。
回答者:当初想定していた計画で申し上げますと、ソリューションとSaaSという二つの軸で事業を進めておりますが、SaaS型の売上へのシフトがより進み、ビジネス全体の売上の伸びが顕著であったため、増収増益となりました。
取材者:SaaS型の売上は14億6800万円ですね。割合としては3分の2ぐらいになるのでしょうか。
回答者:はい、その通りです。もともと前期まではほぼ半々でしたが、現時点ではソリューション型からSaaS型へ既存のお客様のビジネスもシフトしていることもあり、2025年2月期においては、ソリューション型の売上に比べてSaaS型の方が1.7倍程度の規模感となっております。ソリューション型は、現在の売上規模がある程度横ばいで今後も推移していくと見ており、今後の成長要因はSaaS型にあるとご理解いただいております。
取材者:営業利益率も前年の7.1%から9.3%に増加しているのは、SaaS型が増えていることによるものでしょうか。
回答者:はい、おっしゃる通りです。SaaS型の売上の伸びに伴い、より利益率の高いSaaS型の伸びに合わせて営業利益率も改善いたしました。
取材者:貴社は、販売売上などに季節性はございますか。
回答者:ソリューション型とSaaS型では、初期開発費の部分と月額費の部分がございます。月額費のところは期間に応じて安定的に売上が計上される固定型のビジネスモデルで、季節変動性はございません。お客様から受注した案件の開始時期と終了時期のタイミングに応じて、当然ながら初期開発費の売上はサービス開始前までに計上されますので、サービス開始後は月額費に変わっていく形になります。初期開発費の部分は進捗に応じた売上計上となるため、夏に高くなるなど特定の季節変動はございませんが、期間に応じた変動があるビジネスモデルでございます。
取材者:主要なKPIについては、どのようなものがKPIでしょうか。
回答者:はい、現在二つのKPIを決算説明資料でも開示させていただいております。一つは、SaaS型ビジネスの主要プロダクトである「webコネクト」の導入顧客数です。もう一つは、生産性を測る指標として、エンジニア稼働1日当たりの売上高を主要KPIとしております 。設定しているKPIはその2点で、決算説明資料では「appendix」という箇所に記載しております。
取材者:承知いたしました。エンジニア稼働1日当たりの売上高についてです。前期比で伸びているかと存じますが、どのような要因があるとお考えでしょうか。
回答者:はい。エンジニア稼働1日当たりの売上高が伸びる要因としては、売上高の伸びとエンジニア要員の伸びを比較し、売上原価の伸び以上に売上高が高まれば、当然ながら売上高が増加いたします。2025年2月期においては、先ほど申し上げた増収要因による売上高の伸びに対し、売上原価が低く抑えられたことによって、エンジニア稼働1日当たり売上高が増加いたしました。
このKPIを設定しているのは、ビジネスにおいて、売上を計上するにあたって、エンジニアの投入稼働量に応じて売上が算出されるという側面があるためです。お客様の課題解決において、過剰にエンジニアの稼働をかければ利益率は下がりますし、逆に少ない人数で対応できれば利益率は上がります。営業部門が売上のトップラインをつくる一方で、技術部門はその売上を適切なコストの範囲で実現できるかが重要となります。そのため、適切な利益率を出す範囲内でエンジニアが稼働できているかを測るという意味で、エンジニア稼働1日当たりの売上高を主要KPIとしております。
取材者:前期比で人の採用数などの推移はいかがでしょうか。
回答者:人員計画について申し上げますと、基本的には毎年、新卒・キャリアともに職種に応じた採用を行っており、10人程度の増員を図っております。年度によって程度の差はございますが、離職率は低い形で、5%未満を目途としております。一定の離職数もございますが、直近の有価証券報告書にも掲載させていただきましたが、2025年2月期においては、結果的に2名の純増となっております。
取材者:2026年2月期の見通しについても少しお伺いしたいのですが、業績予想は売上高24億9200万円で、前期から7.9%の増加、営業利益2億4900万円で15.9%の増加、経常利益2億4900万円で25.8%の増加、当期純利益も1億7100万円で、前期比30.5%の増加となっております。先ほど前期に前倒しで案件があったというお話がありましたが、2026年2月期もかなり増収増益の数値を見込まれているかと存じます。この進捗要因や増減率の要因について、何か計画していることがあれば教えていただけますか。
回答者:基本的な事業構造は変わらず、SaaS型が引き続き堅調に伸びていくというのが基本線であり、その部分が増収に繋がっております。一方で、ソリューション型の業績予想は、2025年2月期から2026年2月期にかけて微減という感じですが、先ほど申し上げたように、おおよそ横ばいをベースに組み立てております。そこの部分が1億円強減少しているため、前期に比べると、いわゆる上昇の幅は2026年2月期に関してはやや少ないというところが、現状の業績予想の理由でございます。ただ、基調としては、SaaS型が今後も引き続き伸びていくというところは、これまでの事業計画に沿った形で計画しております。
取材者:承知いたしました。貴社の成長可能性資料以外に、中期経営計画などはまだ策定されていないかと存じますが、今後何か数値目標や中期経営計画を出す予定などはございますか。
回答者:現時点ではまだ明確には申し上げられませんが、先般実施した株主総会でも同様のご質問をいただきました。IPO時点で成長戦略、いわゆる定性的な成長戦略を出させていただいており、おおよそその成長戦略自体は、成長戦略「1」が一部SaaS型にもかかりますが、ソリューション型にかかる部分と、「2」ないし「3」の部分がSaaS型にかかる部分がございます。基本的にはこの2026年2月期の業績予想を出していることもあり、計画としてはある程度見えている部分はあるのですが、2027年、2028年といった事業計画はまだ流動的なところもあり、現時点では公表できておりません。ただ、ある程度、定性的な戦略に整合する形で、いわゆる定量的な数値目標のような中期経営計画を出す準備を進めておりますので、いずれかのタイミングでお出しできるだろうとご理解いただければと思います。
取材者:M&Aや業務提携に関して、実施状況や検討状況などございましたら、お答えできる範囲で結構ですので、ご説明いただけますか。
回答者:はい。2024年12月のIPOの主要な資金調達の背景には、当然ながら成長戦略に伴う業績の拡大がございました。さらにはM&Aや業務提携を軸に事業を拡大していくという形で、常に公開でご説明している部分もございますので、それに向けた準備は現状進んでおります。恐れ入りますが、現時点ではまだ具体的な企業名やタイミング、内容などを説明する段階にはございませんが、現在の成長戦略1、2、3にかかる分野において、そのような取り組みの準備が進んでいるとご理解ください。
取材者:承知いたしました。株主還元の方針について変更などございましたか。
回答者:発表時点では成長投資優先というところで、配当は実施していないことを説明いたしました。今後においても、現段階においては同様の方針でございます。
取材者:承知いたしました。足元のニュースリリースやトピックスがございましたら、ご説明いただけますか。
回答者:今年度はまだ目立った事業内容についてのプレスリリースやトピックスは発表させていただいておりません。2025年5月で第1四半期が終わったタイミングではございますが、次の第2四半期決算の時期にリリース等が出ていく形になるかと存じます。
取材者:特に第2四半期決算ではトピックスがあるかもしれないということですね。
回答者:決算そのものもそうですが、どちらかというと、これまで成長戦略として申し上げてきた取り組み自体が、具体的に過去の取り組みとして説明してきましたが、その内容を受けたものが可視化されるフェーズに入ってきております。それらを反映した情報発信が第2四半期以降に行われることになる見込みです。
経営企画室長 洲巻 圭介様
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CP&X
ビジネスモデル
フォルシアは、高速検索技術を強みとするソリューション型、SaaS型のシステムを提供している。 顧客ごとにカスタマイズしたシステム構築に加え、旅行業界に特化したワンストップサービス「webコネクト」を提供している。
事業内容
旅行業界向けに、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、顧客のシステムに組み込むことで旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供している。 近年では、当社が強みを持つ検索に加え、外部接続機能、旅行素材管理システム、予約システムなどを組み合わせたワンストップ型のサービス「webコネクト」の提供に注力している。
特徴と強み
フォルシアの強みは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで、大量・複雑なデータを高速に処理することを可能にする技術(Spook)である。 また、顧客の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方までを考慮したデータベース設計を行っている。 さらに、競合他社との差別化要素として、カスタマイズ性の高いシステム開発を行うことに加え、webコネクトを通じ、コスト競争力の高いシステムを提供できることも強みとしている。
成長戦略
旅行業界における顧客へのサービス拡大に注力し、当面は大手旅行会社からの大型案件獲得による売上増加を目指している。 また、新規顧客獲得のため、展示会出展やコーポレートサイトでの情報発信などを通して認知度向上を図っている。
人材の採用と育成
新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、OJTを通して育成している。
株主還元策
上場による資金調達を行ったばかりのため、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指している。
今期の取り組みとトピックス
大型案件の受注が好調で、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みである。 来期以降も大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んでいく。
Q:事業内容をご説明ください。
A:当社の事業は、ソリューション型とSaaS型に大別されます。ソリューション型は、顧客ごとにカスタマイズしたシステムを構築するサービスで、初期開発費と月額のライセンス料、運用保守費を収益としています。一方、SaaS型は、「webコネクト」というサービスが主力であり、旅行業界のお客様に特化したシステムをワンストップで提供しています。こちらは初期開発費と月額のサービス利用料を収益としています。「webコネクト」は、一定のカスタマイズを前提としたSaaS型サービスであり、原則として5年間は解約不能としています。
Q:ビジネスモデルをご説明ください。
A:元々、当社は検索機能に特化したサービスを提供しており、システムインテグレーター(SIer)が構築したシステムに検索機能を組み込むという形で事業を行っていました。 しかし、旅行業界のお客様との取引が増える中で、検索機能だけでなく、旅行素材の管理や予約、電子クーポンなど、周辺サービスまで含めたワンストップ型のサービスを提供できるようになりました。 大手旅行会社様は、従来、SIerから高額なシステムを購入していましたが、当社はそれよりも競争力のある価格で、かつ機能性の高いシステムを提供しています。
Q:強みをご説明ください。
A:当社の強みは、大量・複雑なデータを高速に検索できる技術(Spook)です。これは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで実現しています。また、お客様の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方まで考慮したデータベース設計を行っています。
Q:具体的にどのようなサービスを提供しているのでしょうか。
A:旅行業界のお客様向けには、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、お客様のシステムに組み込んでいただくことで、旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供しています。
Q:今後の成長戦略についての方向性をご説明ください。
A:現状では、旅行業界のお客様へのサービス拡大に注力していきます。大手旅行会社様からは、億単位の大型案件を受注することもあり、売上へのインパクトも大きいためです。もちろん、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでおり、展示会への出展やコーポレートサイトでの情報発信などを行っています。旅行業界では、当社は既に認知度が高く、主要な企業様とは取引があるか、接点がある状態です。展示会などを通じて、新規顧客との接点を増やし、案件につなげていく方針でございます。
Q:コーポレートサイトでは、具体的にどのような情報発信を行っているのでしょうか。
A:会社概要、サービス内容、導入事例などを掲載しており、投資家情報として、決算短信、有価証券報告書などの財務情報も公開してまいります。また、採用情報ページでは、新卒採用、中途採用に関する情報を掲載し、人材募集も行っております。
Q:従来のデータベースと比較して、どれくらいスピードに差が出るのでしょうか。また、競合他社のサービスとの違いについてもご説明ください。
A:データ量が少ない場合は、大きな差は出ないと思いますが、数千万件、数億件といった膨大なデータを扱うとなると、当社より高速に処理できる汎用的な検索サービスはおそらく無いものと認識しています。市販のパッケージソフトでは、数万件程度のデータであれば高速に処理できますが、数千万件、数億件といった規模のデータを効率的に処理できるものはないと考えております。SIerが独自に開発しているシステムのような、カスタマイズ性の高いシステムと競合することが多く、その点で差別化を図っております。
Q:人材の採用、育成については、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
A:新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、社内で育成しています。現在、エンジニアの約7割が新卒入社です。教育はOJT(On-the-Job Training)を中心に、実務を通して経験を積ませています。また、競技プログラミングなどのイベントに参加・協賛し、優秀な人材の発掘にも努めています。新卒は、個人差はありますが、競技プログラミング経験者などは即戦力となる一方、未経験者でも1年程度で戦力となるように育成しております。
Q:株主還元策について、どのようにお考えでしょうか。
A:上場による資金調達を行ったばかりですので、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指しております。
Q:今期は業績予想、新たな取り組みやトピックスをご説明ください。
A:大型案件の受注が好調であり、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みです。来期以降も、大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んで参ります。
取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者:当社の事業は、ソリューション型とSaaS型に大別されます。ソリューション型は、顧客ごとにカスタマイズしたシステムを構築するサービスで、初期開発費と月額のライセンス料、運用保守費を収益としております。 一方、SaaS型は、「webコネクト」というサービスが主力であり、旅行業界のお客様に特化したシステムをワンストップで提供しております。こちらは初期開発費と月額のサービス利用料を収益としております。「webコネクト」は、一定量のカスタマイズを前提としたSaaS型サービスであり、原則として5年間は解約不能とさせていただいております。 当社の強みは、大量の複雑なデータを高速に検索できる技術です。これは、検索に特化した独自のデータ構造を持つデータベースを構築することで実現しています。また、お客様の利用状況に合わせて、検索結果の見せ方まで考慮したデータベース設計を行っております。 元々、当社は検索機能に特化したサービスを提供しており、システムインテグレーター(SIer)が構築したシステムに検索機能を組み込むという形で事業を行っておりました。しかし、旅行業界のお客様との取引が増える中で、検索機能だけでなく、旅行素材の管理や予約、電子クーポンなど、周辺サービスまで含めたワンストップ型のサービスを提供できるようになりました。大手旅行会社様は、従来、SIerから高額なシステムを購入しておりましたが、当社はそれよりも競争力のある価格で、かつ機能性の高いシステムを提供しております。
取材者:つまり、高速検索という強みを生かしつつ、旅行業界のお客様にはSaaS型のワンストップサービスを提供することで、サービス領域を拡大しているというビジネスモデルですね。
回答者:その通りでございます。
取材者:具体的には、どのようなサービスを提供されているのでしょうか?
回答者:旅行業界のお客様向けには、宿泊施設、交通機関、観光情報などへの外部接続機能や旅行素材データベースを提供し、お客様のシステムに組み込んでいただくことで、旅行商品の検索、予約などを可能にするサービスを提供しております。
取材者:今後の成長戦略としては、どのような方向性をお考えですか?
回答者:現状では、旅行業界のお客様へのサービス拡大に注力してまいります。大手旅行会社様からは、億単位の大型案件を受注することもあり、売上へのインパクトも大きいためです。もちろん、新規顧客の獲得にも積極的に取り組んでおり、展示会への出展やコーポレートサイトでの情報発信などを行っております。旅行業界では、当社は既に認知度が高く、主要な企業様とは取引があるか、接点がある状態です。展示会などを通じて、新規顧客との接点を増やし、案件につなげていく方針でございます。
取材者:コーポレートサイトでは、具体的にどのような情報発信をされているのでしょうか?
回答者:会社概要、サービス内容、導入事例などを掲載しており、投資家情報として、決算短信、有価証券報告書などの財務情報も公開してまいります。また、採用情報ページでは、新卒採用、中途採用に関する情報を掲載し、人材募集も行っております。
取材者:従来のデータベースと比較して、どれくらいスピードに差が出るのでしょうか? また、競合他社のサービスとの違いについても教えてください。
回答者:データ量が少ない場合は、大きな差は出ないと思いますが、数千万件、数億件といった膨大なデータを扱うとなると、当社より高速に処理できる汎用的な検索サービスはおそらく無いものと認識しております。市販のパッケージソフトでは、数万件程度のデータであれば高速に処理できますが、数千万件、数億件といった規模のデータを効率的に処理できるものはないと考えております。SIerが独自に開発しているシステムのような、カスタマイズ性の高いシステムと競合することが多く、その点で差別化を図っております。
取材者:人材の採用、育成については、どのような取り組みをされておりますか?
回答者:新卒採用に力を入れており、プログラミング経験者だけでなく、ポテンシャルの高い学生を採用し、社内で育成しております。現在、エンジニアの約7割が新卒入社です。教育はOJT(On-the-Job Training)を中心に、実務を通して経験を積ませています。また、競技プログラミングなどのイベントに参加・協賛し、優秀な人材の発掘にも努めております。
取材者:新卒で入社された方は、どれくらいで独り立ちできるのでしょうか?
回答者:個人差はありますが、競技プログラミング経験者などは即戦力となる一方、未経験者でも1年程度で戦力となるように育成しております。
取材者:株主還元策については、どのようにお考えでしょうか?
回答者:上場による資金調達を行ったばかりですので、当面は配当ではなく、成長への投資を優先し、株価上昇による還元を目指してまいります。
取材者:今期は業績予想の達成が期待されておりますが、何か新たな取り組みやトピックスはございますか?
回答者:大型案件の受注が好調であり、「webコネクト」が牽引し、売上高は前年の19.5億円から22.8億円に増加する見込みです。来期以降も、大型案件の獲得、シェア拡大に注力するとともに、新規顧客の開拓にも積極的に取り組んでまいります。
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