20250317
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)は何でしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントは、主力サービスである「OLGA」の機能間連携を強化し、これまでのバラ売りからセット販売を推進することで、顧客単価の向上を目指すという点にあります。具体的には、お客様に複数のモジュールを導入いただくことで、平均顧客単価を上げていくという戦略が功を奏しており、実際に複数のモジュールを導入してくださる企業が増え、平均単価の上昇という実績も出てきています。さらに、アカウント数を増やしていくために、法務部だけでなく事業部の方々にも「OLGA」をご利用いただけるようなサービス展開を図っており、セールスフォースとの連携による「OLGA for Salesforce」の提供はその取り組みの一環です。加えて、トムソン・ロイターとの販売パートナーシップを通じて、これまで以上に大手企業へのアプローチを強化し、アカウント数の増加と平均単価の向上を目指していくことも、重要な成長戦略の一つと考えています。これらの取り組みを通じて、当社は更なる成長を加速させていきたいと考えています。
Q:業績の増減要因は何でしょうか?
A:当社は今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みであり、来期以降もこの黒字化を継続していくことを目指しております。当社のビジネスは収益が積み上げストック型に振っていく部分もありますので、このまま第4四半期に黒字化を達成し、基本的な基調としては黒字化を目指せるような基盤をしっかりと作っていくことが、業績を向上させるための重要な要素であると認識しています。一方で、成長のための投資も積極的に行っており、特にリーガルテックサービス事業におけるビジネスサイドや開発人材への戦略的な投資は、業績に影響を与える大きな要因の一つです。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注状況に関しては、当社の「OLGA」は多くのお客様にご利用いただいており、特に複数のモジュール導入が増えていることが、平均顧客単価の向上に大きく貢献しています。競合状況についてですが、リーガルテック市場はまだ成熟しているとは言い難く、法務部門の方々がツールに慣れていないという企業も少なくありません。そのような状況の中で、当社は上場企業としての信用力を活かし、お客様に安心してサービスをご利用いただけるよう努めており、この点が受注に繋がっていると考えています。なお、リーガルテック業界の広がりとともに、競合のサービスも少しずつ増えております。その中で、法務業務の上流にあたる案件管理の機能では特に競合よりも優れており、導入していただけるケースが多いです。
取材者:まず初めに、貴社決算状況であったり、あとは会社のホームページなども拝見させていただいたのですが、改めて貴社のビジネスモデルであったり、事業内容につきましてご説明いただけますか。
回答者:リーガルテックのサービスを提供しています。上場企業としてこのAI×リーガルテックのような事業を行っているのは珍しいかと思います。事業内容としては、大きく二つの事業を行っております。
一つがLegalTech SaaS事業で、「OLGA」という法務部門向けのDXサービスを提供しております。もう一方が登記事業です。これは主に中小企業や小規模事業者を中心に登記、いわゆる会社が行う登記申請などの業務を効率化するWebサービスを行っております。
回答者:一応この2事業、それぞれ運営しながらそれぞれがいわゆるターゲットになっている企業が別になっていまして、「OLGA」の方は大企業とか中堅の会社様とか、大体従業員100人を超えてくると、専任の法務部の人が採用されて、規模が大きくなるにつれて組織化されていくようなものになっています。それよりも小さい会社様、中小企業小規模事業者様でいくとあまり管理部というものは大きくなく、専任の法務部の人がおらず兼任で何か作業されているとか、小さい会社だと法務手続き系のところも代表の方が自分で頑張って調べて対応するか、士業に頼んで対応しているような状況です。そのような法務に精通していない方に対してサービスを提供しているという、大きく二つの事業があります。
リーガルテックサービス事業と登記事業について、順にご説明させていただくのですが、まずこの「OLGA」というサービスが四つのモジュールから成り立っています。
法務の仕事もいろいろ多岐にわたるのですが、基本的なものは、事業部の方から法務部へ契約書なり、新規事業の法的な相談などの依頼を受けて、それに回答していくというのが法務部の仕事になっています。本当にいろんな部署とかいろんな方々から依頼が来るのですが、その中で大体がメールとかSlackのようなビジネスチャットツールであるとか、大企業では内線電話であるとか業務フローのワークフローであるとか、そういういろんなツールを使って、法務部の方に問い合わせが来てこういうことをやってほしいと依頼があります。
法務部の担当者は、これらの依頼に対して、Excelで案件の進捗管理を行ったり、汎用的なストレージサービスでデータの管理のようなことをしています。その中でそれぞれのチームの進捗状況であるとかタスクの管理状況などを確認していきながら、メールとかチャットなどで回答をして、そこから何回かやり取りをするのですが、先方との交渉があったりするので、最終的に交渉が進めば、契約の締結に入ります。その契約締結には、電子契約などを使って、最終的に契約書が締結し終わったら、最終的に契約の管理というところでそれの期限管理などを行います。この一連の流れの中で問題点がいくつかあります。いろんなツールでやり取りをしているので、案件に関わるデータというのが散在しているということです。そのため、例えば同じような案件が来た場合にも、過去のデータを参照しに行くのが難しく、検索と調査に時間がかかってしまいます。あとはデータがバラバラにあるため、法務部門の方で一括管理しているものは非常に少ないです。
書類フォルダーとかGoogleドライブなどで情報を管理している会社もありますが、情報が整理されずに格納されていることが多く、ちゃんと整理して一括管理されているという状況ではありません。そのため、属人的な業務になっているというのが法務部の課題です。
「OLGA」というサービスでは、いろいろできるのですが、まずは全部その入口、事業部からの入口依頼の全部を「OLGA」に統一できるということと、その「OLGA」のサービスの中で全部業務が完結するような形になっているので、あらゆる法務系のデータというのが蓄積されていくというのがあります。
その蓄積された「OLGA」を使ってAIで定型業務を高速化していくというのが「OLGA」の強みです。このデータを全部溜めるというところと再活用できるというのが「OLGA」のサービスになっています。いろんなお客様に使っていただいており、600社ぐらいの企業に使っていただいています。月額料金を中心としたサブスク型のビジネスで、大手から中堅ぐらいの企業を中心に利用いただいています。
もう1個が登記事業です。年間に会社の法人登記に関する件数は、約150万件ぐらいです。そのうちの110数万件が、会社の設立ではなくて設立した後に、役員変更や本店を移転したりとかという変更登記です。登記の申請手続きは専門性が高いため、法務局のホームページなどに書類の作成方法などが掲載されていますが、かなりわかりにくいものになっています。そのため、大体世の中の半分ぐらいが司法書士という専門家に依頼しています。残りの半分が、お金もかけられないから自分で頑張って申請書を作って出すという形になっています。司法書士とかに依頼すると、時間がかかってしまうという問題がありますし、その依頼先を探すのもかなり手間です。依頼コストもかかってしまいます。ただ、自分でやろうとすると、時間がかかる上にミスが起きやすいという問題があります。登記事業では、これらの問題を解決するために、Webサービスを作って「簡単に」「安く」「早く」行えるようにしています。簡単なものであれば、最短10分以内で書類作成もできますし、かなり申請箇所を自動化するような仕組みを使っているので間違いにくい構造になっています。1回当たりの申請費用というのも4分の1ぐらいになっています。
取材者:費用が安くなるのは大きなメリットですね。
回答者:登記事業は、サブスクの料金体系ではなくて1回の申請あたり1回の利用都度課金のような形になっています。そのため、累計の利用者数でいくと2万5000社を超えてきたぐらいで、多くの方々に利用いただけるようなサービスになっているかと思います。
取材者:「OLGA」を利用することによって、大体業務時間としてどの程度の割合削減されるのでしょうか?
回答者:なかなか比較するのは難しいところではあるのですが、1社事例として記載させていただいているのが、ミサワホーム様です。ミサワホーム様は、「OLGA」のサービスを使って、案件に関する情報が蓄積され、FAQのチャットボットのような機能があるので、それを使って自動化することで相談の件数が大体3分の1ぐらいまで減少しました。この事例からも、効率化の効果は出ているかと思います。
取材者:「OLGA」に関してはカスタマイズなどもされていますか。
回答者:導入にあたってのカスタマイズというのは発生しないサービスです。皆様が標準機能のまま使っています。
取材者:標準機能でもかなりサービスが充実しているということですか。
回答者:かゆいところに手が届くサービスだと言われています。細かい機能とかUXにはこだわっていますので、この辺は強みかと思います。
取材者:そのかゆいところに手が届くといった部分で何か好評なサービスの部分、具体的なものがあれば教えていただくことは可能ですか。
回答者:簡単なものを二つだけご紹介できればと思います。こちらが「OLGA」の画面になっています。こちらが「OLGA」のホーム画面で、全体の各チームと各メンバーの案件の進捗状況など確認することができます。その案件の中に入るとこういう形になって、左に案件情報、案件の概要に関する情報があって、真ん中に書類情報があります。書類は、通常の取引でもかなりバージョン管理が必要になってくるといいますか、契約1本でもファイルが行ったり来たりするので、例えば四つ五つとか下手したら10ぐらいの違うバージョンのファイルが出てきます。そのバージョン管理ができるというのもあります。真ん中にドキュメント情報があり、それに関するメンバーのやり取りができます。依頼者にその案件のヒアリングをしたりとか、チームの中で内容の確認をしたりとかというのが切り替えられて、全部そのやり取りというのがここに溜まっていくというところで、それを全部1画面で見ることができるというのは他の会社や、他の案件管理ツールをやっている会社にはない設計だったりするので、これはいいと言われます。
回答者:もう1個特徴的な機能として、案件が今誰のところに滞っているか、確認中なのか、相手依頼者の事業部の方で確認のステータスで止まっているのかとか、今どこにあるのかというのが、上長から見るとわかりにくいという問題があります。それが例えば依頼があってこの契約書でお願いしますって出したときに、自動でこの対応者、誰がボールを持っているのかというのが変わります。このメッセージを打ってこれでお願いしますって書くと、自動的に依頼者に確認中というステータスになります。その進捗管理というのが自動でできるというのが面白いということで、便利だと言われています。一般的なツールではあまり考慮されないような、細かな部分にまで配慮した設計となっています。
取材者:そういった部分を法務部だけじゃなくて他の部署とか、他の部分とかでタスク管理してほしい会社もありそうです。
回答者:知財管理や開示書類関連など、他の業務などにも横展開できるかということもあり、ターゲット市場を模索したりもします。
取材者:それでは、貴社の創業の経緯についてわかる範囲で教えていただけますか。
回答者:創業の経緯ですが、代表取締役社長の山本は、弁護士の資格を持っています。2009年ぐらいに弁護士登録をしてから、鳥飼総合法律事務所という、大企業などの企業法務を扱う部署に入り、そこでいろんな大企業支援とかもしていました。そこから並行して個人で、当時スタートアップの創世記で、VC調達して伸びていくようなスタートアップというのが増えだした頃で、その頃から個人でいろいろ相談を受けることが多くなって、マネーフォワード様は創業するタイミングぐらいから上場する時ぐらいまで顧問弁護士として対応していました。
その中で、スタートアップが非常に事業としては目新しいものでいろんなリーガルリスクを抱えやすいものであるけど、お金がないので弁護士に何か依頼するというのが非常に難しいという状況が多く見られました。このような状況の中で、スタートアップの支援に特化したような法律事務所を作ろうということで、GVA法律事務所を2012年に立ち上げました。そこから幅広く展開をしていきながら、一方で法律事務所は人間ビジネスですので、すごくスケールするかというとそうでもないという側面があります。より法務支援を受けられなくて困っている人たちを支援していくには、テクノロジーを使う必要があるということで、ちょうどAIブーム、第3次AIブームで、ディープラーニングというのが出てきたときに、このAIの技術を使って、契約書なりそういうリーガルの業務を支援するようなサービスを作ろうということで、GVA TECHという会社を設立したというのが全体の経緯です。
取材者:昨年末に上場されたかと思いますが、上場の目的はどういったところにありますか。
回答者:上場の目的は、一番が社会的信用力を獲得するということです。企業の契約書の情報やリーガルの情報を未上場の会社が預かっていくというのが、ハードルになる場面もありまして、上場していたら違うという声も聞かれました。特に大きな会社になればなるほど、そのような声が出てきて、やはり安心してサービスを利用いただくには、一定の信用力が必要だということで、事業をさらに拡大するためにも早めに上場するということが必要だというのが全体としてありました。
取材者:法務を扱うからこそそういった難しさもあるのですね。
回答者:法務部門の方は保守的な人も多いので、リーガルテック自体が成熟している市場ではないが故に、ツールに慣れていないという会社様もまだまだいる業界だと思っています。そのような意味でも、上場しているというのはいいかと思います。
取材者:上場してから3ヶ月少したったあたりだと思うのですが、機関投資家様とのミーティングなどの状況はいかがですか。
回答者:機関投資家様の方は、そこまで多くはありません。まだまだ我々の時価総額とその出来高から言うと、機関投資家様からもすごく入りにくいタイミングかと思います。IPOのロードショーのタイミングでも、事業的なユニークさと成長性についてはご理解いただけましたが、まだ小さい規模であるということで、投資を見送られたというケースも多かったです。
あとはやはり現時点では赤字を継続しているという点も、投資判断に影響を与えているかと思います。今後、黒字化してくると、評価も変わってくるかと思います。
取材者:今は成長フェーズということで、様々なところに投資をされているかと思いますが、現状ですと、どういった部分に多く投資をされているのでしょうか。
回答者:一つは人件費になってくるかと思います。特にリーガルテックサービス事業、「OLGA」のビジネスサイドであるとか、開発エンジニアに対する戦略的な投資があるかと思います。
取材者:先程、業績に関する資料を拝見したところ、今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みとのことでしたが、来期以降は黒字化を継続していくという理解でよろしいですか。
回答者:来期以降の数字を開示していないため、明確には申し上げられませんが、基本的には我々のビジネス、収益は積み上げストック型に振っていく部分もありますので、このまま第4四半期に黒字化をして、基本的な基調としては黒字化を目指せるような基盤というのはしっかり作っていこうと思っています。
取材者:特に先程の投資の部分とその人材の投資という部分があったかと思いますが、御社のような成長著しい企業では、人材の採用が難しいという側面もあるかと思います。その中で採用の戦略や、社員教育の教育方針のようなものがあれば教えていただけますか。
回答者:まさにおっしゃる通りでして、その中でも一つはその上場するということのメリットも、採用における認知であるとかを良くしたいというのが目的としてありました。その中で採用広報を含めた認知活動というのは広げていまして、特にSNSなどの認知活動は増やしています。やはりIPO上場しましたというニュースバリューというのは比較的あって、その中で会社を知っていただく機会というのはかなり増えていると感じています。
取材者:今期始まったばかりかと思いますが、何か今期から新しく取り組まれていたり、業績に関わらずトピックスなどございましたら教えていただけますか。
回答者:一つは「OLGA」のところで全部モジュールが四つぐらいあるのですが、「OLGA」という、今までバラ売りで売っていたところがありました。ただそこが昨年の11月からブランド変更をしました。今まではGVA assist、GVA manageとかそれぞれ別プロダクトとして名称も変え運営していたのですが、全部それを統一し変更して「OLGA」というので全部ひとまとめにしたのです。その中にいくつかの機能を持ったモジュールがあるという体裁にしました。
回答者:それの狙いというのが、各サービスプロダクトの機能間連携が結構出てきたので、バラ売りじゃなくてセットで導入してもらうということを増やして、平均的な顧客単価を上げていこうというのが狙いとしてありました。それが奏功しており複数のモジュールを導入してくださる企業も増えてきているのと、それによってお客様の平均単価が増えてきているというのが実績として出てきています。
ここが特に今期といいますか去年の末ぐらいから取り組み始めて、取り組みを強化しているところが数字には出てきているかと思います。
取材者:平均単価が上がっているというのは、サービスの利用料金や何かオプションを付けてもらうというよりは、複数のモジュールを導入する企業が増えているからこそ平均が上がっているという見方でよろしいですか。
回答者:そこがメインの要因です。料金プランの改定、料金引き上げも行っていますので、そこが両方で影響しているという状況です。
追加的なところでいくと、もう少し2点だけご説明します。
平均単価を上げていくという試みの中で、一つがアカウント数を増やしていくということがあります。基本的には今まで法務部に対して基本料金があって、その基本料金を払ってもらえれば、1アカウント使えます。それから法務部員が2人3人4人5人いればその分アカウントプラス3とか4とかって増えていって、料金が上がっていくという形です。アカウント数がどれくらいかによって料金が上がっていくという形です。それをさらに料金を上げていくにあたり法務部の人たちだけではなくて事業部の人たちにも使えるようなサービスにしていきたいというのがあります。我々のパーパスとして、法務部の方、法務のリテラシーがない人たちも、メリットを享受してほしいというのがありますので、その中でセールスフォースとの連携とし「OLGA for Salesforce」というのを出して、営業が利用する営業ツールの中に、「OLGA」を組み込むことによって例えばその中で過去の契約書のやり取りが見ることができたり、AIで回答をもらったりとかそういうようなところをできるようにしています。これはまだ仕込み段階ではありますが、事業部にも展開していくような体系というのは、他の会社様、他の競合様にはない取り組みだったりもするので、当社の特徴的なところかと思います。
あとはトムソン・ロイターという会社が、リーガルテック業界ではかなり世界でも強いところなのですが、ここが弊社のサービスの販売パートナーになっています。トムソン・ロイターは、Westlawという判例検索のサービスを取り扱っていて、国内の大手の法律事務所とか大手の企業とかであれば、ほぼ100%と言ってよいほど導入率の高いサービスなので、そこに対してアプローチしていけます。大企業に提供していくことで、アカウントを大きくして、平均単価を上げていくという施策の取り組みでもありますので、この辺りが、今期以降さらに成長を加速させるための重要な要素になると思っています。
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ビジネスモデルや事業内容
GVA TECH株式会社は、リーガルテックのサービスを提供する企業である。主な事業として、法務部門向けのDXサービス「OLGA」を提供するLegalTech SaaS事業と、法人向けの登記申請業務を効率化するWebサービスを行う登記事業の二つを展開している。
創業の経緯と転機となった出来事
代表取締役社長の山本氏は、弁護士資格を持ち、大手法律事務所での勤務経験を持つ。スタートアップ企業が法的支援を必要としているにも関わらず、コスト面から弁護士への依頼が難しい状況を鑑み、2012年にGVA法律事務所を設立。その後、AI技術を活用してリーガルサービスを提供するGVA TECH株式会社を設立し、現在に至る。
直近の決算状況
今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みである。来期以降も黒字化を継続することを目指しており、収益は積み上げストック型ビジネスの性質を持つため、黒字化基盤の確立が重要である。
特徴や強み
「OLGA」は、法務業務における案件管理、契約書作成、締結、管理など、一連の業務を効率化するサービスである。案件に関わるデータの一元管理、AIによる定型業務の高速化、バージョン管理機能、進捗管理の自動化などが特徴。顧客からは、UI/UXにこだわったこれらの機能が「かゆいところに手が届く」と評価されている。
成長戦略
今後の成長戦略として、GVA TECH株式会社は「OLGA」の機能間連携を強化し、セット販売を推進することで顧客単価の向上を目指す。具体的には、複数モジュールの導入促進、アカウント数の増加、事業部への展開、販売パートナーシップの活用などを通じて、更なる成長を目指す。
今期の取り組みやトピックス
直近の取り組みとして、「OLGA」のブランド変更と機能モジュールの一体化がある。これにより、各プロダクトの機能連携を強化し、セット販売を促進することで、顧客単価の向上を図る。また、セールスフォースとの連携サービス「OLGA for Salesforce」の提供も開始し、法務部以外の事業部への展開も視野に入れている。
平均顧客単価の向上
平均顧客単価の向上は、複数のモジュール導入とアカウント数の増加が主な要因である。昨年11月に行った料金プランの改定も影響しているが、セット販売の推進が特に貢献している。
取締役経営企画部長 板倉侑輝様

GVA TECH(株)
東証GRT 298A
決算:12月末日
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)は何でしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントは、主力サービスである「OLGA」の機能間連携を強化し、これまでのバラ売りからセット販売を推進することで、顧客単価の向上を目指すという点にあります。具体的には、お客様に複数のモジュールを導入いただくことで、平均顧客単価を上げていくという戦略が功を奏しており、実際に複数のモジュールを導入してくださる企業が増え、平均単価の上昇という実績も出てきています。さらに、アカウント数を増やしていくために、法務部だけでなく事業部の方々にも「OLGA」をご利用いただけるようなサービス展開を図っており、セールスフォースとの連携による「OLGA for Salesforce」の提供はその取り組みの一環です。加えて、トムソン・ロイターとの販売パートナーシップを通じて、これまで以上に大手企業へのアプローチを強化し、アカウント数の増加と平均単価の向上を目指していくことも、重要な成長戦略の一つと考えています。これらの取り組みを通じて、当社は更なる成長を加速させていきたいと考えています。
Q:業績の増減要因は何でしょうか?
A:当社は今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みであり、来期以降もこの黒字化を継続していくことを目指しております。当社のビジネスは収益が積み上げストック型に振っていく部分もありますので、このまま第4四半期に黒字化を達成し、基本的な基調としては黒字化を目指せるような基盤をしっかりと作っていくことが、業績を向上させるための重要な要素であると認識しています。一方で、成長のための投資も積極的に行っており、特にリーガルテックサービス事業におけるビジネスサイドや開発人材への戦略的な投資は、業績に影響を与える大きな要因の一つです。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:受注状況に関しては、当社の「OLGA」は多くのお客様にご利用いただいており、特に複数のモジュール導入が増えていることが、平均顧客単価の向上に大きく貢献しています。競合状況についてですが、リーガルテック市場はまだ成熟しているとは言い難く、法務部門の方々がツールに慣れていないという企業も少なくありません。そのような状況の中で、当社は上場企業としての信用力を活かし、お客様に安心してサービスをご利用いただけるよう努めており、この点が受注に繋がっていると考えています。なお、リーガルテック業界の広がりとともに、競合のサービスも少しずつ増えております。その中で、法務業務の上流にあたる案件管理の機能では特に競合よりも優れており、導入していただけるケースが多いです。
取材者:まず初めに、貴社決算状況であったり、あとは会社のホームページなども拝見させていただいたのですが、改めて貴社のビジネスモデルであったり、事業内容につきましてご説明いただけますか。
回答者:リーガルテックのサービスを提供しています。上場企業としてこのAI×リーガルテックのような事業を行っているのは珍しいかと思います。事業内容としては、大きく二つの事業を行っております。
一つがLegalTech SaaS事業で、「OLGA」という法務部門向けのDXサービスを提供しております。もう一方が登記事業です。これは主に中小企業や小規模事業者を中心に登記、いわゆる会社が行う登記申請などの業務を効率化するWebサービスを行っております。
回答者:一応この2事業、それぞれ運営しながらそれぞれがいわゆるターゲットになっている企業が別になっていまして、「OLGA」の方は大企業とか中堅の会社様とか、大体従業員100人を超えてくると、専任の法務部の人が採用されて、規模が大きくなるにつれて組織化されていくようなものになっています。それよりも小さい会社様、中小企業小規模事業者様でいくとあまり管理部というものは大きくなく、専任の法務部の人がおらず兼任で何か作業されているとか、小さい会社だと法務手続き系のところも代表の方が自分で頑張って調べて対応するか、士業に頼んで対応しているような状況です。そのような法務に精通していない方に対してサービスを提供しているという、大きく二つの事業があります。
リーガルテックサービス事業と登記事業について、順にご説明させていただくのですが、まずこの「OLGA」というサービスが四つのモジュールから成り立っています。
法務の仕事もいろいろ多岐にわたるのですが、基本的なものは、事業部の方から法務部へ契約書なり、新規事業の法的な相談などの依頼を受けて、それに回答していくというのが法務部の仕事になっています。本当にいろんな部署とかいろんな方々から依頼が来るのですが、その中で大体がメールとかSlackのようなビジネスチャットツールであるとか、大企業では内線電話であるとか業務フローのワークフローであるとか、そういういろんなツールを使って、法務部の方に問い合わせが来てこういうことをやってほしいと依頼があります。
法務部の担当者は、これらの依頼に対して、Excelで案件の進捗管理を行ったり、汎用的なストレージサービスでデータの管理のようなことをしています。その中でそれぞれのチームの進捗状況であるとかタスクの管理状況などを確認していきながら、メールとかチャットなどで回答をして、そこから何回かやり取りをするのですが、先方との交渉があったりするので、最終的に交渉が進めば、契約の締結に入ります。その契約締結には、電子契約などを使って、最終的に契約書が締結し終わったら、最終的に契約の管理というところでそれの期限管理などを行います。この一連の流れの中で問題点がいくつかあります。いろんなツールでやり取りをしているので、案件に関わるデータというのが散在しているということです。そのため、例えば同じような案件が来た場合にも、過去のデータを参照しに行くのが難しく、検索と調査に時間がかかってしまいます。あとはデータがバラバラにあるため、法務部門の方で一括管理しているものは非常に少ないです。
書類フォルダーとかGoogleドライブなどで情報を管理している会社もありますが、情報が整理されずに格納されていることが多く、ちゃんと整理して一括管理されているという状況ではありません。そのため、属人的な業務になっているというのが法務部の課題です。
「OLGA」というサービスでは、いろいろできるのですが、まずは全部その入口、事業部からの入口依頼の全部を「OLGA」に統一できるということと、その「OLGA」のサービスの中で全部業務が完結するような形になっているので、あらゆる法務系のデータというのが蓄積されていくというのがあります。
その蓄積された「OLGA」を使ってAIで定型業務を高速化していくというのが「OLGA」の強みです。このデータを全部溜めるというところと再活用できるというのが「OLGA」のサービスになっています。いろんなお客様に使っていただいており、600社ぐらいの企業に使っていただいています。月額料金を中心としたサブスク型のビジネスで、大手から中堅ぐらいの企業を中心に利用いただいています。
もう1個が登記事業です。年間に会社の法人登記に関する件数は、約150万件ぐらいです。そのうちの110数万件が、会社の設立ではなくて設立した後に、役員変更や本店を移転したりとかという変更登記です。登記の申請手続きは専門性が高いため、法務局のホームページなどに書類の作成方法などが掲載されていますが、かなりわかりにくいものになっています。そのため、大体世の中の半分ぐらいが司法書士という専門家に依頼しています。残りの半分が、お金もかけられないから自分で頑張って申請書を作って出すという形になっています。司法書士とかに依頼すると、時間がかかってしまうという問題がありますし、その依頼先を探すのもかなり手間です。依頼コストもかかってしまいます。ただ、自分でやろうとすると、時間がかかる上にミスが起きやすいという問題があります。登記事業では、これらの問題を解決するために、Webサービスを作って「簡単に」「安く」「早く」行えるようにしています。簡単なものであれば、最短10分以内で書類作成もできますし、かなり申請箇所を自動化するような仕組みを使っているので間違いにくい構造になっています。1回当たりの申請費用というのも4分の1ぐらいになっています。
取材者:費用が安くなるのは大きなメリットですね。
回答者:登記事業は、サブスクの料金体系ではなくて1回の申請あたり1回の利用都度課金のような形になっています。そのため、累計の利用者数でいくと2万5000社を超えてきたぐらいで、多くの方々に利用いただけるようなサービスになっているかと思います。
取材者:「OLGA」を利用することによって、大体業務時間としてどの程度の割合削減されるのでしょうか?
回答者:なかなか比較するのは難しいところではあるのですが、1社事例として記載させていただいているのが、ミサワホーム様です。ミサワホーム様は、「OLGA」のサービスを使って、案件に関する情報が蓄積され、FAQのチャットボットのような機能があるので、それを使って自動化することで相談の件数が大体3分の1ぐらいまで減少しました。この事例からも、効率化の効果は出ているかと思います。
取材者:「OLGA」に関してはカスタマイズなどもされていますか。
回答者:導入にあたってのカスタマイズというのは発生しないサービスです。皆様が標準機能のまま使っています。
取材者:標準機能でもかなりサービスが充実しているということですか。
回答者:かゆいところに手が届くサービスだと言われています。細かい機能とかUXにはこだわっていますので、この辺は強みかと思います。
取材者:そのかゆいところに手が届くといった部分で何か好評なサービスの部分、具体的なものがあれば教えていただくことは可能ですか。
回答者:簡単なものを二つだけご紹介できればと思います。こちらが「OLGA」の画面になっています。こちらが「OLGA」のホーム画面で、全体の各チームと各メンバーの案件の進捗状況など確認することができます。その案件の中に入るとこういう形になって、左に案件情報、案件の概要に関する情報があって、真ん中に書類情報があります。書類は、通常の取引でもかなりバージョン管理が必要になってくるといいますか、契約1本でもファイルが行ったり来たりするので、例えば四つ五つとか下手したら10ぐらいの違うバージョンのファイルが出てきます。そのバージョン管理ができるというのもあります。真ん中にドキュメント情報があり、それに関するメンバーのやり取りができます。依頼者にその案件のヒアリングをしたりとか、チームの中で内容の確認をしたりとかというのが切り替えられて、全部そのやり取りというのがここに溜まっていくというところで、それを全部1画面で見ることができるというのは他の会社や、他の案件管理ツールをやっている会社にはない設計だったりするので、これはいいと言われます。
回答者:もう1個特徴的な機能として、案件が今誰のところに滞っているか、確認中なのか、相手依頼者の事業部の方で確認のステータスで止まっているのかとか、今どこにあるのかというのが、上長から見るとわかりにくいという問題があります。それが例えば依頼があってこの契約書でお願いしますって出したときに、自動でこの対応者、誰がボールを持っているのかというのが変わります。このメッセージを打ってこれでお願いしますって書くと、自動的に依頼者に確認中というステータスになります。その進捗管理というのが自動でできるというのが面白いということで、便利だと言われています。一般的なツールではあまり考慮されないような、細かな部分にまで配慮した設計となっています。
取材者:そういった部分を法務部だけじゃなくて他の部署とか、他の部分とかでタスク管理してほしい会社もありそうです。
回答者:知財管理や開示書類関連など、他の業務などにも横展開できるかということもあり、ターゲット市場を模索したりもします。
取材者:それでは、貴社の創業の経緯についてわかる範囲で教えていただけますか。
回答者:創業の経緯ですが、代表取締役社長の山本は、弁護士の資格を持っています。2009年ぐらいに弁護士登録をしてから、鳥飼総合法律事務所という、大企業などの企業法務を扱う部署に入り、そこでいろんな大企業支援とかもしていました。そこから並行して個人で、当時スタートアップの創世記で、VC調達して伸びていくようなスタートアップというのが増えだした頃で、その頃から個人でいろいろ相談を受けることが多くなって、マネーフォワード様は創業するタイミングぐらいから上場する時ぐらいまで顧問弁護士として対応していました。
その中で、スタートアップが非常に事業としては目新しいものでいろんなリーガルリスクを抱えやすいものであるけど、お金がないので弁護士に何か依頼するというのが非常に難しいという状況が多く見られました。このような状況の中で、スタートアップの支援に特化したような法律事務所を作ろうということで、GVA法律事務所を2012年に立ち上げました。そこから幅広く展開をしていきながら、一方で法律事務所は人間ビジネスですので、すごくスケールするかというとそうでもないという側面があります。より法務支援を受けられなくて困っている人たちを支援していくには、テクノロジーを使う必要があるということで、ちょうどAIブーム、第3次AIブームで、ディープラーニングというのが出てきたときに、このAIの技術を使って、契約書なりそういうリーガルの業務を支援するようなサービスを作ろうということで、GVA TECHという会社を設立したというのが全体の経緯です。
取材者:昨年末に上場されたかと思いますが、上場の目的はどういったところにありますか。
回答者:上場の目的は、一番が社会的信用力を獲得するということです。企業の契約書の情報やリーガルの情報を未上場の会社が預かっていくというのが、ハードルになる場面もありまして、上場していたら違うという声も聞かれました。特に大きな会社になればなるほど、そのような声が出てきて、やはり安心してサービスを利用いただくには、一定の信用力が必要だということで、事業をさらに拡大するためにも早めに上場するということが必要だというのが全体としてありました。
取材者:法務を扱うからこそそういった難しさもあるのですね。
回答者:法務部門の方は保守的な人も多いので、リーガルテック自体が成熟している市場ではないが故に、ツールに慣れていないという会社様もまだまだいる業界だと思っています。そのような意味でも、上場しているというのはいいかと思います。
取材者:上場してから3ヶ月少したったあたりだと思うのですが、機関投資家様とのミーティングなどの状況はいかがですか。
回答者:機関投資家様の方は、そこまで多くはありません。まだまだ我々の時価総額とその出来高から言うと、機関投資家様からもすごく入りにくいタイミングかと思います。IPOのロードショーのタイミングでも、事業的なユニークさと成長性についてはご理解いただけましたが、まだ小さい規模であるということで、投資を見送られたというケースも多かったです。
あとはやはり現時点では赤字を継続しているという点も、投資判断に影響を与えているかと思います。今後、黒字化してくると、評価も変わってくるかと思います。
取材者:今は成長フェーズということで、様々なところに投資をされているかと思いますが、現状ですと、どういった部分に多く投資をされているのでしょうか。
回答者:一つは人件費になってくるかと思います。特にリーガルテックサービス事業、「OLGA」のビジネスサイドであるとか、開発エンジニアに対する戦略的な投資があるかと思います。
取材者:先程、業績に関する資料を拝見したところ、今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みとのことでしたが、来期以降は黒字化を継続していくという理解でよろしいですか。
回答者:来期以降の数字を開示していないため、明確には申し上げられませんが、基本的には我々のビジネス、収益は積み上げストック型に振っていく部分もありますので、このまま第4四半期に黒字化をして、基本的な基調としては黒字化を目指せるような基盤というのはしっかり作っていこうと思っています。
取材者:特に先程の投資の部分とその人材の投資という部分があったかと思いますが、御社のような成長著しい企業では、人材の採用が難しいという側面もあるかと思います。その中で採用の戦略や、社員教育の教育方針のようなものがあれば教えていただけますか。
回答者:まさにおっしゃる通りでして、その中でも一つはその上場するということのメリットも、採用における認知であるとかを良くしたいというのが目的としてありました。その中で採用広報を含めた認知活動というのは広げていまして、特にSNSなどの認知活動は増やしています。やはりIPO上場しましたというニュースバリューというのは比較的あって、その中で会社を知っていただく機会というのはかなり増えていると感じています。
取材者:今期始まったばかりかと思いますが、何か今期から新しく取り組まれていたり、業績に関わらずトピックスなどございましたら教えていただけますか。
回答者:一つは「OLGA」のところで全部モジュールが四つぐらいあるのですが、「OLGA」という、今までバラ売りで売っていたところがありました。ただそこが昨年の11月からブランド変更をしました。今まではGVA assist、GVA manageとかそれぞれ別プロダクトとして名称も変え運営していたのですが、全部それを統一し変更して「OLGA」というので全部ひとまとめにしたのです。その中にいくつかの機能を持ったモジュールがあるという体裁にしました。
回答者:それの狙いというのが、各サービスプロダクトの機能間連携が結構出てきたので、バラ売りじゃなくてセットで導入してもらうということを増やして、平均的な顧客単価を上げていこうというのが狙いとしてありました。それが奏功しており複数のモジュールを導入してくださる企業も増えてきているのと、それによってお客様の平均単価が増えてきているというのが実績として出てきています。
ここが特に今期といいますか去年の末ぐらいから取り組み始めて、取り組みを強化しているところが数字には出てきているかと思います。
取材者:平均単価が上がっているというのは、サービスの利用料金や何かオプションを付けてもらうというよりは、複数のモジュールを導入する企業が増えているからこそ平均が上がっているという見方でよろしいですか。
回答者:そこがメインの要因です。料金プランの改定、料金引き上げも行っていますので、そこが両方で影響しているという状況です。
追加的なところでいくと、もう少し2点だけご説明します。
平均単価を上げていくという試みの中で、一つがアカウント数を増やしていくということがあります。基本的には今まで法務部に対して基本料金があって、その基本料金を払ってもらえれば、1アカウント使えます。それから法務部員が2人3人4人5人いればその分アカウントプラス3とか4とかって増えていって、料金が上がっていくという形です。アカウント数がどれくらいかによって料金が上がっていくという形です。それをさらに料金を上げていくにあたり法務部の人たちだけではなくて事業部の人たちにも使えるようなサービスにしていきたいというのがあります。我々のパーパスとして、法務部の方、法務のリテラシーがない人たちも、メリットを享受してほしいというのがありますので、その中でセールスフォースとの連携とし「OLGA for Salesforce」というのを出して、営業が利用する営業ツールの中に、「OLGA」を組み込むことによって例えばその中で過去の契約書のやり取りが見ることができたり、AIで回答をもらったりとかそういうようなところをできるようにしています。これはまだ仕込み段階ではありますが、事業部にも展開していくような体系というのは、他の会社様、他の競合様にはない取り組みだったりもするので、当社の特徴的なところかと思います。
あとはトムソン・ロイターという会社が、リーガルテック業界ではかなり世界でも強いところなのですが、ここが弊社のサービスの販売パートナーになっています。トムソン・ロイターは、Westlawという判例検索のサービスを取り扱っていて、国内の大手の法律事務所とか大手の企業とかであれば、ほぼ100%と言ってよいほど導入率の高いサービスなので、そこに対してアプローチしていけます。大企業に提供していくことで、アカウントを大きくして、平均単価を上げていくという施策の取り組みでもありますので、この辺りが、今期以降さらに成長を加速させるための重要な要素になると思っています。
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ビジネスモデルや事業内容
GVA TECH株式会社は、リーガルテックのサービスを提供する企業である。主な事業として、法務部門向けのDXサービス「OLGA」を提供するLegalTech SaaS事業と、法人向けの登記申請業務を効率化するWebサービスを行う登記事業の二つを展開している。
創業の経緯と転機となった出来事
代表取締役社長の山本氏は、弁護士資格を持ち、大手法律事務所での勤務経験を持つ。スタートアップ企業が法的支援を必要としているにも関わらず、コスト面から弁護士への依頼が難しい状況を鑑み、2012年にGVA法律事務所を設立。その後、AI技術を活用してリーガルサービスを提供するGVA TECH株式会社を設立し、現在に至る。
直近の決算状況
今期の第4四半期から黒字化を達成する見込みである。来期以降も黒字化を継続することを目指しており、収益は積み上げストック型ビジネスの性質を持つため、黒字化基盤の確立が重要である。
特徴や強み
「OLGA」は、法務業務における案件管理、契約書作成、締結、管理など、一連の業務を効率化するサービスである。案件に関わるデータの一元管理、AIによる定型業務の高速化、バージョン管理機能、進捗管理の自動化などが特徴。顧客からは、UI/UXにこだわったこれらの機能が「かゆいところに手が届く」と評価されている。
成長戦略
今後の成長戦略として、GVA TECH株式会社は「OLGA」の機能間連携を強化し、セット販売を推進することで顧客単価の向上を目指す。具体的には、複数モジュールの導入促進、アカウント数の増加、事業部への展開、販売パートナーシップの活用などを通じて、更なる成長を目指す。
今期の取り組みやトピックス
直近の取り組みとして、「OLGA」のブランド変更と機能モジュールの一体化がある。これにより、各プロダクトの機能連携を強化し、セット販売を促進することで、顧客単価の向上を図る。また、セールスフォースとの連携サービス「OLGA for Salesforce」の提供も開始し、法務部以外の事業部への展開も視野に入れている。
平均顧客単価の向上
平均顧客単価の向上は、複数のモジュール導入とアカウント数の増加が主な要因である。昨年11月に行った料金プランの改定も影響しているが、セット販売の推進が特に貢献している。
取締役経営企画部長 板倉侑輝様