
アルピコホールディングス(株)
東証STD 297A
決算:3月末日
20250826
決算概要
2026年3月期第1四半期は、流通事業での商品価格の見直しや運輸事業での運賃改定、運輸事業、観光事業でのインバウンド需要増が寄与し、営業収益255億6,800万円(前年同期比3.2%増)、営業利益7億800万円(同11.7%増)と増収増益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、繰越欠損金の解消による税金費用の増加等により3億9,500万円(同39.5%減)と減益となった。
セグメント別または事業別の増減要因
セグメント別営業利益構成比は、流通事業が59.5%(前年同期比2.0pt減)、運輸事業が21.5%(同4.4pt増)、観光事業が13.4%(同4.1pt増)となった 。流通事業は営業収益で同1.9%の増収、営業利益は同12.3%の増益となった。運輸事業はバス事業の観光系路線を中心に国内外の需要の取り込み等が寄与し、営業収益で同7.1%の増収、営業利益は同45.7%の増益となった。観光事業はホテル・旅館の客室の改装などの高付加価値化による客単価の上昇、旅行事業でのツアー募集の好調等が寄与し、営業収益は同7.7%の増収、営業利益は同66.7%の増益となった。不動産事業は前年同期に成約した大型分譲物件の反動があり、減収減益となった。
主要KPIの進捗と変化
流通事業における既存店売上高の伸率は102%程度と堅調に推移した。また、観光事業におけるホテル・旅館の客室稼働率は一部の月で前年を下回ったものの、高付加価値化が寄与し単価は前年同期を上回って推移した。
季節性・一過性要因の有無と影響
セグメント別では、第1四半期は流通事業の営業利益の構成比が例年高くなっている。これは、季節変動の大きい運輸事業および観光事業の構成比が第1四半期は相対的に低いためである。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期通期見通しは、営業収益1,055億円(前年同期比1.6%増)、営業利益31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(同34.6%減)である。第1四半期が概ね計画通りに推移していることから、達成は可能であるものと見込んでいる。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
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- CP&X - 決算概要 - 2025年3月期は、営業収益1,038億3,600万円(前期比4.2%増加)、営業利益34億1,200万円(同39.4%増加)、経常利益30億6,000万円(同44.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益22億9,200万円(同153.5%増加)を計上し、増収増益の決算であった 。流通事業の増収、運輸および観光事業におけるインバウンド需要の好調、加えて天候に恵まれたことを背景に、営業収益、各段階利益ともに過去最高を更新した。 - セグメント別または事業別の増減要因 - セグメント別営業利益構成比は、流通事業が41%(前期比13pt減)、運輸事業が40%(同11pt増)となり、従来の流通事業が利益の大部分を占める構造から、両事業が営業利益を二分する形に変化した 。流通事業は2.5%の増収であったが、人件費の増加により営業利益は1.0%の微減となった 。運輸事業は営業収益で9.1%の伸び、営業利益は80.1%の増益率を記録し、インバウンドの純増と好天候が寄与したことで、利益率は前期の8%から12%へ大幅に伸長した 。観光事業は営業収益8.0%増、営業利益33.9%増と全体の増収の中で収益を確保した 。不動産事業は期初の大型分譲物件の成約により、営業利益が74.7%増と特筆すべき増加を示した。 - 主要KPIの進捗と変化 - 流通事業の全体売上高は既存店売上高、一点単価ともに概ね100%以上を維持し堅調に推移している。2024年10月から12月にかけての松本市内の旗艦店改装による休業影響は、周辺店が顧客を取り込むことができた結果、既存店売上高は105ポイントまで上昇し、想定よりも落ち込みが少なく堅調さを維持した 。ホテル系の客単価は堅調に推移する一方、第4四半期は白馬エリアなどのスノーリゾートでの施設非保有のため稼働率が低下傾向にある 。上高地の「ルミエスタホテル」は全面改修により高単価営業に転換し、稼働率と客単価が著しく向上した 。諏訪市の温泉旅館「朱白」は、2024年4月から6月まで実施していたオールインクルーシブプランにより客室稼働率が低下していたが、2025年7月からのオールインクルーシブプランの縮小により客室稼働率は改善し、2025年1月から4月までの大幅改装を経て2025年5月の新装オープン後は堅調に推移している。 -  - 季節性・一過性要因の有無と影響 - 2025年3月期は、春から秋にかけて週末が概ね晴天続きであり、冬季も天候による交通支障がほぼ皆無であったことなど、運輸事業および観光事業ともに天候に非常に恵まれたことが業績に大きく寄与した 。これにより、当社のリソースを最大限に活用できた 。運輸事業では、この好天候がインバウンドの増加と相まって大幅な増収増益に貢献した 。2024年3月末が土曜日であったため、月末決済が翌月に繰り越され、流動負債の減少や営業活動によるキャッシュフローの異常値として表れたが、これは一時的な要因である。 - 通期見通しと進捗率・達成可能性 - 2026年3月期の通期業績見通しとして、営業収益は1,055億円(同1.6%増)と過去最高の売上高を予想している。一方で、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15.0%減)、当期純利益15億円(同34.6%減)と減益を予想している 。減益の主要因は、人件費の増加(グループ全体で約5億円増)、上場時の公募増資で調達した資金による設備投資に伴う償却負担の増加、金利上昇による支払利息やシンジケートローン手数料などの金利負担の増加、そして青色申告欠損金控除効果の終了による税負担の増加(約3億円増)である 。これらの要因により減益を予想しているものの、各利益指標は過去の業績の中では堅調な水準であると認識している。 - トピックス - M&Aに関しては、経営企画部内に専任チームを設置し、現在30数件の積極的な申し込みの中から検討を進めている。 - 今秋には長野県で主要な観光地である軽井沢にタクシー営業所を新設する計画である。これまで軽井沢の営業拠点は流通事業のデリシアのみだったが、観光客が多い地域での足がかりとして、運輸事業の進出を図る戦略である。 
- Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか? - A:2026年3月期以降は、公募増資で得た資金を設備投資に充当してまいります。特に償却年限の短いバスへの投資を計画しており、これにより営業利益にマイナスの影響が出る見込みです。また、長野県で主要な観光地である軽井沢への事業進出を計画しており、今秋にはタクシー営業所を新設する予定です。これまで軽井沢にはデリシア以外に営業拠点がなかったため、タクシー事業を足がかりとして、観光客の多い軽井沢での事業拡大を図ってまいります 。 - Q:成長戦略のポイントについて、戦略策定時からの前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。 - A:2025年3月期は、流通事業の増収と運輸・観光事業におけるインバウンド需要の増加、そして好天候に恵まれたことにより、設立以来過去最高益を更新いたしました。特に運輸事業においては、春から秋にかけて週末が晴天続きであり、冬季も大都市圏での降雪による交通支障がほぼ皆無であったため、弊社のリソースを最大限に活用できました 。主要マーケットである上高地・乗鞍・白骨エリアで約2割、白馬エリアで乗降客数が約3割増加し、値上げ後もお客様の来場が増加したことは、良い意味で想定外の状況でした。流通事業においては、旗艦店であるデリシア桐店の全面改装による2ヶ月間の休業がありましたが、周辺店が休業によるお客様を取り込んだ結果、既存店売上高が大きく上昇し、当初想定よりも落ち込みが少なかったことも堅調な要因となりました。観光事業のホテル・旅館においては、上高地のホテル「ルミエスタホテル」が全面改修を行い、高単価路線への転換を図った結果、稼働率と客単価が著しく向上いたしました。一方で、松本市の温泉旅館「朱白」では、オールインクルーシブプランの実施により一時的に客室稼働率が低下しましたが、オールインクルーシブプラン縮小後に稼働率は改善いたしました。今冬には全面改装を実施し、高単価路線の部屋を増やすことで、2025年5月の新装オープン以降は堅調に推移しております。 - Q:今期の通期予想、戦略と施策についてご説明ください。 - A:2026年3月期の通期業績見通しとして、営業収益は1,055億円(前年同期比1.6%増)と過去最高の売上高を予想しております 。しかしながら、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益は26億円(同15%減)、当期純利益は15億円(同34.6%減)と減益を予想しております。減益の主な要因は三点ございます。第一に、人件費の大幅な増加です。従業員の待遇改善と人材確保の観点から、グループ全体で約5億円の費用増を見込んでおります 。第二に、公募増資により調達した資金を2026年3月期以降の設備投資に充てることで、特にバスのような償却年限の短い資産の償却負担が増加し、営業利益に影響を及ぼす見込みです。第三に、金利上昇基調を予想しており、営業外費用における金利負担も増加する見込みです。また、2025年3月期にコロナ禍で発生した青色申告欠損金の控除効果を使い果たしたため、今期からは通常の税負担率で課税されることになり、その影響を見込んでおります。これらの要因により減益を予想しておりますが、営業利益は過去2番目、経常利益も過去2番目、当期純利益は過去3番目の水準であり、過去の業績の中では堅調な数字であると認識しております。 - Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。 - A:M&Aに関しては、経営企画部内に専任チームを設置し、金融機関、証券会社、仲介会社等に積極的にアプローチしております 。現在までに30数件の積極的な申し込みがあり、その中から検討を進めている段階です。現時点では発表できる段階にはございませんが、継続的に進捗を注視しております。 - Q:株主還元の方針をご説明ください。 - A:従来の配当3円に記念配当2円を加えた5円配当を6月25日の株主総会に上程し、承認可決される予定です。また、決算短信においても、この5円配当の継続方針を発表しております。現時点では現金配当を中心に株主還元を考えておりますが、広義の株主還元については、現在も内部で議論を進めております。 
- 取材者:2025年3月期は、営業収益1,038億3,600万円、前期比4.2%の増加、営業利益は34億1,200万円、前期比39.4%増加、経常利益は30億6,000万円、前期比44.1%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は22億9,200万円、前期比153.5%増加と、設立以来過去最高益を更新されましたが、増減要因などについてご説明をお願いいたします。 - 回答者:承知いたしました。それでは決算短信の付属説明資料に基づいて、概略を説明申し上げます。2025年3月期 決算補足説明資料の3ページでございますが、中央の黄色くハイライトされている部分が2025年3月期の業績でございまして、営業収益、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれの数値も、弊社2008年の設立以来最高値を記録いたしました。流通事業は増収、運輸観光事業は労働力不足がありながらも、インバウンドの追い風をしっかりと受けることができました。加えて、私どもの流通事業を除く他の事業は、天候要因による変動が非常に大きいです。端的に申し上げれば、天気が悪ければお客様は来られません。そのような意味では、2024年度(2025年3月期)は天候にも非常に恵まれました。春から秋にかけては週末が概ね晴天続きであり、また冬季に関しましても、大都市圏での降雪等による交通の支障もほぼ皆無でございました。これにより、弊社のリソースが滞りなく最大限に活用できた期間であったと認識しております。 - 取材者:そのとおりですね。 - 回答者:はい。続きまして4ページについてご説明申し上げます。こちらの左側の表で以前もこのような表をお示ししたことがあるかと存じますが、2025年3月期のセグメントごとの構成比の図でございます。外側の円が営業利益のセグメントごとの構成比、内側の小さい円が営業収益(売上高)のセグメントごとの構成比となっております。内側の営業収益に占めるセグメント比率は、若干の微増減はございますが、ほぼ構造としては比率構成に変化はございません。しかしながら、昨年度と大きく異なるのは、外側の円でございまして、従来、2024年3月期では、現在41%の流通事業が54%でした。また、その下の青色の運輸事業は現在40%ですが、2024年3月期では29%でした。従来は流通事業が大きな営業利益を占める構造でしたが、2025年3月期は流通事業と運輸事業が営業利益の大部分を二分する形となっております。加えて、全体のパイとしても、先ほど申し上げました通り営業収益、営業利益ともに成長しておりますので、比率は変わらずとも観光事業なども成長を続けているという構成でございます 。 - 取材者:はい。 - 回答者:ご不明な点はございますか。何かご質問等ございましたら随時お申し付けいただければと存じます。 - 取材者:承知いたしました。 - 回答者:はい。それでは続きまして5ページでセグメントごとの概況についてご説明申し上げます。 - まず左上の①の流通事業でございますが、こちらは2.5%の増収ではございましたが、営業利益に関しましては1%の微減となりました。増収ではあったものの、営業利益が伸び悩んだ主な要因は人件費の増加でございます。現在の情勢では、しっかりと待遇改善を行い従業員に報いないと、労働力の確保も困難な状況でございます。逆に言えば、大幅な人件費増にもかかわらず、1%の微減で済んだという結果であったと解釈しております。 - 次に②の運輸事業でございますが、こちらは今回、業績に非常に貢献いたしました。営業収益で9.1%の大幅な伸び、営業利益に至っては80%の増加率でございました。先ほど概況のところでお話しした内容と重複いたしますが、春から冬までを通じて、非常に多くの方々に弊社のバスや電車をご利用いただきました。インバウンドの純増に加え、先ほど申し上げました通り、非常に天候が良かったことが寄与しております。運輸事業セグメントの利益率も、2024年3月期は8%でしたが、12%と大幅に伸長しております。これは、固定費を超えた部分の売上が、ほぼそのまま収益として計上されたため、利益率としても非常に伸長いたしました。 - 取材者:そのとおりですね。利益率も全社で見ても、先ほど人件費の話もあった中で、全体としても営業利益率の推移としては上昇しているのかと思っていたのですが、やはりこういった部分が全体で見ても大きかったのでしょうか。 - 回答者:そのとおりです。今期の利益における主要因という観点においては、この運輸事業の伸長が非常に大きな要因となりました。 - 取材者:はい。やはりそのとおりなのですね。 - 回答者:続きまして、③観光事業でございますが、こちらも営業収益8%増、営業利益33%増という結果でございました。先ほど申し上げた通り、営業利益、営業収益における当初のセグメントベースの構成比ではあまり変わっておりませんが、こちらは全体の増収の中で、パイが広がった中で、しっかりと収益を上げることができました。特に第3四半期までは非常に活発に推移しており、正直もう少し伸びるかと思っておりましたが、以前お話ししたか定かではありませんが、弊社は第4四半期にスノーリゾートの宿泊施設を保有しておりませんので、どうしても第4四半期を含む通期では、結果的に利益構成比等は前年並みという形になっております。 - 取材者:はい。 - 回答者:④の不動産事業でございますが、こちらは営業利益も75%増と、特筆すべき数字となっております。元々のセグメントが小さいこともございまして、特に大きなトピックスはございませんでしたが、期初の段階で大型の分譲物件の成約ができたため、セグメント自体が小さいため、大型案件があるとこのように突出した数字が出ることがございます。特段大きな環境変化等はございませんでしたというのが総括でございます。 - 取材者:そうしますと、やはり通期計画からもかなり上振れて、営業収益や営業利益、最終利益も着地されていると思うのですが、やはり一番大きな要因、上振れた要因としては、やはりその天候的な部分が大きい要因なのでしょうか。 - 回答者:そのとおりです。天候的な部分と、あとは実際に、春から秋にかけての上高地、それから冬の白馬地区のお客様の増加も顕著でございます。資料の16ページにございますが、運輸事業のところの、私どもの主要なマーケットである二つの地域の乗降客数を示してございます。ご覧の通り、上高地・乗鞍・白骨エリアで約2割、白馬エリアで約3割のお客様が増加しております。この状況を受け、値上げも継続的に行っておりますが、値上げしてもなおお客様の来場はむしろ増えました。このほどのブーストは正直想定しておらず、天候面も多少の不順はあるだろうという見込みの中、不順もなかったということも併せて、非常に多くのお客様にお見えいただき、その部分は良い意味での想定外であったかと存じます。 - 取材者:承知いたしました。 - 回答者:次に6ページで流通事業についてのKPIでございます。詳しくはまたご参照いただければと存じますが、全体売上高は既存店売上高、一点単価という形のグラフで示しており、ご覧の通り概ね100%以上を維持でき、堅調な推移であったと総括してございます。一部、KPIが悪化した時期が2024年10月から12月頃でございますが、全体の売上高が98ポイント程度でございました。これは私どもの松本でデリシアの旗艦店としておりますデリシア桐店という店舗が全面改装のため、2ヶ月ほど休業いたしました。その関係で、大規模店の休業の影響がございまして、98ポイントまで低下はしておりますが、その後順調に回復しております。また、黄土色の折れ線グラフである既存店売上高でいきますと、逆にこの時期に105ポイントまで上昇しております。私どもも一生懸命、桐店のお客様に対するプロモーションをかけましたので、その結果として周辺店が桐店の従来のお客様を取り込み、既存店の売上高は大きく上昇いたしました。当初の計画では、この桐店の落ち込みによるダメージはもう少し大きいと想定しておりましたが、こちらも良い意味で想定外に落ち込みが少なく、これも流通事業の堅調さの要因の一つであったと考えております。 - 取材者:なるほど。 - 回答者:はい。それでは続きまして、7ページ、8ページでは観光事業のホテル旅館の稼働率等のデータを示してございます 。7ページがホテル系の単価と客室稼働率を表示するものです。8ページの方が旅館関係で、単価と客室稼働率を表示する形となっております 。まず7ページの方でございますが、ホテル系でございますが、ご覧の通り、赤いマイナスの数字が非常に少ない形で推移できており、客単価も堅調に推移しております。これも先ほど少し申し上げましたが、11月までの非常に好調な内容からするともう少し伸びるかと思っておりましたが、やはり私どもにとって不利な第4四半期は、ご覧の通り稼働率等もどうしても低下してしまいます。しかし、11月まで、すなわち上高地シーズンが終わるところまでは、しっかりと収益を上げることができたと考えております。 - 取材者:そうすると、やはりこの稼働率の部分のKPIの数値的には、かなりその計画通りと言いますか、目標値に近いような推移と見てよろしいですか。 - 回答者:そのとおりです。正確に申し上げると、ほぼ計画通りという形かと存じますが、どちらかというと第3四半期までは想定よりも少し良かったくらいの感じではあったかと思います。もう少しこの勢いで第4四半期も推移してほしかったのですが、そこはやはりいつも通りとなってしまったというところでございます。 - 取材者:なるほど。承知いたしました。 - 回答者:続きまして8ページでございますが、こちらにつきましても、最上段の「翔峰」という松本市の温泉旅館でございますが、こちらは若干の稼働率のマイナス時期もございますが、概ね高い稼働率を維持できており、客単価の方も堅調に推移してございます。飛びまして「ルミエスタホテル」ですが、これが上高地の国立公園内にありますホテルでございます。 - 取材者:はい。 - 回答者:昨年の春から冬にかけて全面改修を行いました。客室面積を広げ、仕様も豪華にし、高単価で営業するというコンセプトのもとに改装しましたが、ご覧の通り稼働率も元々高かったのですが、さらに上積みができ、客単価に関しては著しく向上いたしました。当初の目論見通りのしっかりとした成果を残せたかと考えております。中段の「朱白」とございますが、これが松本の少し南部の方に大きな湖がございまして、この湖畔にあります温泉旅館でございます。こちらの方は、なかなか弊社のホテル旅館の中では厳しい情勢が続いており、色々と試行錯誤しておりましたが、ここで大きな変化が出ております。まず2024年9月までの客単価が前年比でプラスだったところから、10月以降にマイナスになっている部分ですが、これは試行錯誤の中で、いわゆる全てコミコミのオールインクルーシブプランで客単価を上げて営業してみようということを行っておりましたが、上段ご覧いただきますと稼働率が非常に振るわなかったという状況が発生いたしましたので、この秋口のところでオールインクルーシブプランを縮小し、通常プラン主体の営業に切り替えました。この結果、10月以降、稼働率は改善したものの、オールインクルーシブで得られていた部分がなくなった分だけ単価は低下したという構造でございます。いずれにしてもこちらについては長年、設備改修等が後手に回っておりましたので、この冬、完全に休館しまして大幅な改装を行いました。こちらも先ほど申し上げた「ルミエスタホテル」と同じような形で、諏訪湖を眺められるレイクビューの客室につきまして、客室面積を広げて、豪華な内装に改装いたしました。また、食事処等も含めて改装いたしましたが、そういった形でこちらも高単価路線の部屋を増やすという全面改装に踏み切りました。こちらは5月のゴールデンウィーク、5月1日に新装オープンいたしまして、今のところ堅調に推移しているという形でございます。 - 取材者:なるほど。5月からオープンされたのですね。 - 回答者:続きまして9ページは、このように比率が改善しましたという表でございますので、数字だけご覧いただければと存じますが、各指標につきましても、空前の好決算を受けて改善しているというところでございます 。 - 取材者:はい。 - 回答者:続きまして10ページ、貸借対照表の概略でございます。ここは少し異常値の部分だけご説明しておきたいと存じますが、流動負債のところが前年対比で32億円の減少となっており、ここが少し突出しておりますが、これは何か異常な要因ではございません。2024年3月末が土曜日であった関係で、月末の決済が翌月に繰り越されました。そのような要因で流動負債の買掛金や未払金等の関係で少し異常値が出ているという構造でございまして、特に大きな変動ではございません。続きまして11ページでございますが、連結キャッシュフローの概況でございます。こちらもただいま申し上げた2024年3月末の休日要因の関係がございまして、営業活動によるキャッシュフロー(最上段)も少し異常値となってございます。基本的に申し上げますと、2024年3月期は11ヶ月分の支払決済しか行っておりません。それに対して2025年3月期は13ヶ月分の決済を行っておりますので、ここで78億円の差異が出ておりますが、実質は60億円台の営業キャッシュフローの創出でございますので、そのようにご理解いただければと存じます。財務活動キャッシュフローにつきましては、ご案内の通り増資資金等でキャッシュを調達いたしましたので、増加しているというところが連結キャッシュフローの概況でございます。 - 取材者:なるほど。 - 回答者:はい。それでは、通期の業績見通しについてご説明申し上げます。13ページをご参照ください。こちらにつきましては、左側の通期のところでご説明申し上げますが、営業収益は1,055億円(前年同期比1.6%増)と、こちらも昨年度を更新し過去最高の売上高になる予想でございます。一方、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15%減)、当期純利益につきましては15億円(同34.6%減)と、減益の予想を公表させていただいております。売上高は昨年度ほどではないにしても、堅実に伸長すると考えておりますが、減益の要因は大きく分けて三つございます。最大の要因は、先ほど少し出ましたが、やはり人件費の増加でございます。先ほど流通事業の方でご説明しましたが、当然ながら他の事業でも進めており、特に昨年度の決算を受けて、その従業員に報いるという意味、また人材確保の観点も含めて、人件費は大幅に積み増ししてございます。この要因だけでもグループ全体で5億円程度の費用増を見込んでおります。あと併せまして、公募増資で頂戴しました資金を2026年3月期以降は設備投資に充ててまいります。その結果、特に資金使途の中で大きいものとしてバスのような償却年限の短いものは、やはり償却負担も出てまいりますので、これはキャッシュアウトしないものの、損益計算書には影響してまいります。そのため、営業利益のところは少し減少する見込みです。また、金利も上昇基調を予想しておりますので、営業外費用において金利負担も少し増加する見込みでございます。これも非常に大きいのですが、最終的に15億円というところですが、2025年3月期は非常に好決算であったため、コロナ禍で被った痛みの関係で、法人の青色申告欠損金を大量に抱えており、これまで税負担が非常に低くなっておりました。その欠損金による控除の効果を昨年度使い果たしてしまいましたので、今期からは通常の税負担率で課税されることになりました。そういった税負担の影響もあり、最終利益が少し減少する見込みでございます。概ね大きい方から申し上げますと、人件費の5億円、そして税金の3億円あたり、の関係で減益を見込んでおります。とはいえ、営業利益も弊社過去2番目、営業利益、経常利益ともに2番目、そして当期純利益も過去3番目の数字であり、弊社の過去の業績の中ではまずまず良い数字だと思っておりますが、昨年度からすると落ち込み幅が大きいかと存じます。 - 取材者:なるほど。私の方でも昨年の業績予想と比較してもかなり高く設定されていて、引き続き好調なのかなと思う反面、その利益面で少し疑問といいますか、やはりその利益面で見ても、今までしっかりと成長投資という部分が滞っていたわけではなく、2026年3月期以降にそういった部分をしっかりと成長投資をしていくといったような見方でよろしいですか。 - 回答者:そのようにお考えいただければと存じます。 - 取材者:承知いたしました。あとは先ほどから人件費の話などもあるかと思うのですが、前期比においてあと人の採用数の推移などはいかがですか。 - 回答者:採用数ということですが、人材については、グループ各社で多少の変動はございますが、全体として大幅な増員にはなりません。増員したいのはやまやまですが、現実問題として人がどんどん採用できる状況ではないため、むしろ省力化投資等を進めながら、定年退職等で減少する人員を補充するという、概ね中立的な人員計画を立てております。人件費の増加分は、まさに報いるための部分で使っているという状況だとご理解ください。 - 回答者:一旦私の方からの説明はここまでとさせていただきますので、ご質問等ございましたら、お願いします。 - 取材者:まずはM&Aや業務提携の方針につきまして実施予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか。 - 回答者:はい。M&Aの専任チームを経営企画部内に設置いたしました。そこから、いわゆる仲介機関としてよくある金融機関、証券業界、それから仲介会社等々にはこちらの方から積極的にアプローチをかけまして、具体的なことはまだ申し上げられませんが、このようなものが欲しいというオーダーを出しながら、現在密に連絡を取っております。設置後は、30数件の積極的なお申し込みをいただき、様々な案件ごとにスクリーニングをかけながら現在検討を進めております。なかなかやはり30数件のお話をいただいても、実際、真剣に検討段階に進むのはその一部になりますが、その案件については、継続的に進捗を注視しており、現時点で発表やご説明できる段階ではございませんが、進めている段階でございます。 - 取材者:株主還元の方針につきまして変更などございましたら教えていただけますか。 - 回答者:来週開催されます弊社の定時株主総会の方では、従来からの配当3円に記念配当2円という形で、5円配当として上程する予定でございます。また、先ほどの決算短信の方で配当予想につきましては、この5円の配当の継続という方針で発表してございます。現時点では現金配当を中心に考えておりますが、いわゆる広い意味での株主還元ということに関しては、現在も歩みを止めずに、しっかりと内部的に議論を進めているところでございます。 - 取材者:最後に、足元の状況につきまして何かトピックスやニュースリリースなどございましたらご説明お願いできますか。 - 回答者:決定し発表させていただいたところで申し上げますと、軽井沢に今秋口、タクシーの営業所を新設することにいたしました。私ども長野県で最も有名な観光地である軽井沢には、従来、デリシアくらいしか営業拠点がなかったのですが、観光客も既にピークに達しているとはいえ非常に大きな観光地でございますので、こちらの方には足がかりを作りたいと考えており、まずはタクシー事業で進出を予定してございます。これに関しては、あくまでも認可が下りたところでの話ですので、一応その方向で進めているというところでございます。 
- 常務取締役 伊藤篤様 - 取締役 今村正平様 - 経営企画部長 上嶋圭介様 

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上場市場 証券コード
決算日
- CP&X - ビジネスモデルや事業内容 - アルピコホールディングスは、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業を主要な事業セグメントとする企業である。流通事業は、スーパーマーケット60店舗と1つの調剤薬局を有し、グループ全体の売上高、営業収益において非常に大きな割合を占める。運輸事業は、759台の車両を保有し、長野県内事業者として最大級の規模であり、県内主要都市での路線バス事業やタクシー事業、都市間高速バス事業の他、収益性の高い観光地への輸送サービスの比重が高いことが特徴である。観光事業は、宿泊施設等を運営し、客室数は667室で長野県内企業としてトップクラスの運営施設数。長野県の観光資源を活用したサービスを展開する。不動産事業は、県内の観光地で事業を展開し、別荘開発等を行っている。これらの事業セグメントの中で、流通事業が生み出すキャッシュフローが、他の事業セグメントへの投資を支える重要な役割を果たしている点が特徴である。 - 創業の経緯と転機となった出来事 - 創業は筑摩鉄道という名称で、松本市から新島々への電気鉄道敷設が目的である。その後、1967年に流通事業に参入し、現在では流通事業が収益の大きな柱となっている点が、事業の転換を示す出来事である。 - 直近の決算状況 - 2024年3月期は、コロナ禍の影響が薄れ人流が回復したことにより、利益が前年比300%と大幅に回復した。特に、観光需要の回復と円安によるインバウンドの増加が業績回復の大きな要因である。2025年3月期も、流通事業が安定的な収益基盤であることに加え、上高地や白馬などの観光地における来場者数、宿泊客数の増加が業績を牽引している。ただし、第4四半期は松本市が観光面で閑散期となることや、道路事情等が冬季の天候に左右されやすく、業績が比較的弱い時期となる傾向がある。 - 特徴や強み - 流通事業が生み出すキャッシュフローを、利益率の高い運輸事業や観光事業に充当する事業構造が強みである。運輸事業は、上高地や白馬への観光輸送で高い収益性を確保しており、観光事業も宿泊施設の高価格帯路線への転換が奏功している。 - 成長戦略 - 流通事業では新店開発と総菜部門の強化を図った新業態店舗の「デリシアミールズ」を展開、運輸事業では観光路線バスの強化、観光事業では高価格帯施設への転換、不動産事業では観光地エリア開発を推進する方針である。M&A専門部署を設置し、成長戦略の一環としてM&Aも積極的に検討する。 - 株主還元策 - 株主還元は重要な経営課題と認識しており、今後具体的な還元策を検討する。今期は、増配を実施する方針であり、今期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円の配当を予定している。 - 今期の取り組みやトピックス - 流通事業では総菜部門の強化を図った「デリシアミールズ」の展開、運輸事業では観光路線バスの強化、観光事業では施設のリニューアルによる高価格帯路線への転換が主なトピックスである。 - 上場に至った目的 - 上場は、知名度向上による人材確保、地域開発における資金調達の多様化、他社との連携を目的としており、2010年代初頭から準備を進めていたが、災害やコロナ禍の影響で延期、2023年に準備を再開し、昨年12月に至った経緯である。 
- Q:特徴や優位性をご説明ください。 - A:当社の事業は、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業という複数のセグメントで構成されています。中でも流通事業は売上高、営業収益において大きな割合を占めており、グループ連結ベースで非常に重要なキャッシュフローを生む源泉となっています。このキャッシュフローを、流通事業内への投資はもとより、運輸事業や観光事業といった利益率の高い事業に充当することで、事業全体の拡大を図っている点が特徴です。 - 運輸事業においては、長野県内で最大級の規模を誇り、特に上高地や白馬といった観光地への輸送が収益性の高い事業として貢献しています。観光事業も堅調な利益率を確保しており、これらの事業がグループ全体の収益性を高める上で重要な役割を果たしています。 - Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか? - A:弊社の成長戦略のポイントは、既存事業の深耕と新たな展開の双方にあります。 - 流通事業においては、年間平均1店舗程度の新店開発を継続し、売上増加を目指すと同時に、新たな店舗ブランド「デリシアミールズ」の展開を推進します。この新ブランドでは、総菜や加工食品の提供を強化し、収益性の向上を図ります。 - 運輸事業では、上高地、白馬の路線バス事業を強化し、観光需要に応じた輸送力の維持、強化、および運賃の見直しを行うことで、収益性の向上を目指します。 - 観光事業においては、施設のリニューアルを通じて高価格帯への転換を進めており、客室の高品質化やサービス向上を図ることで、収益性の向上を図ります。 - 不動産事業に関しては、蓼科エリアでの別荘開発に加え、長野県内の他の観光地におけるエリア開発も視野に入れ、観光需要の取り込みを図ります。 - さらに、M&A専門の部署を新設し、既存事業とのシナジーが見込める分野を中心に、M&Aも積極的に検討してまいります。 - Q:業績の増減要因をご説明ください。 - A:弊社の業績はまず、流通事業が安定的な収益基盤となっていることが、業績を支える大きな要因です。 - 加えて、人流の回復、特にインバウンドの増加が業績に大きく貢献しています。上高地や白馬などの観光地における来場者数、宿泊客数の増加が、運輸事業、観光事業の収益を押し上げています。観光路線においては、集客数の増加に加え、運賃の値上げも実施しており、これが更なる業績向上に繋がっています。 - 一方で、第4四半期は、観光面で閑散期となることや、冬季の天候に左右されるため、業績が比較的弱い時期となる傾向があります。 - Q:株主還元の方針をご説明ください? - A:株主還元は重要な経営課題と認識しており、今後しっかりと検討を進めてまいります。株主還元に関する具体的な還元水準や方法については、現在検討中ですが、今期は、好調な業績が見込める状況ですので、配当による株主還元を実施する予定です。具体的には、先日発表しました通り、今期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円の増配を予定しています。今後、具体的な株主還元策について、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。 
- 取材者: - 貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか? - 回答者: - 主要なセグメントとしましては、この四つを掲げております。同じ資料に創業以来の沿革も記載しておりますが、現在では、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業、その他の事業セグメントという構成です。この中でも、後ほど述べますが、流通事業が売上高、営業収益で非常に大きな割合を占めているという構造です。資料には、主な設備概要も記載しております。流通事業ではスーパーマーケット60店舗と調剤薬局1店舗を有しており、セグメント全体では61施設です。運輸事業は759台の車両を保有しており、どの数値を見ても県内事業者としては長野県内で最大級の規模です。 - 一番古い事業は、もともと筑摩鉄道といいまして、上高地に向けて、松本市中心部から新島々というところまで電気鉄道を敷設することを目的に創業した経緯がございます。創業期の一番の発祥の事業は運輸事業ということになりますが、先ほど申し上げました通り、途中で参入した流通事業が、現在、事業の一番大きな営業収益を占めるという状況です。これらの概要は、資料15ページのグループ沿革にも記載がございます。 - 資料16ページが、事業のセグメント別の営業収益、それから営業利益の構成です。データは2024年3月期のものになりますが、内側の円が営業収益で、連結営業収益に占める流通事業の割合が75%、次いで運輸事業が12%、観光事業が11%という構成です。利益構成は外側の円になりますが、要素が少し変わりまして、営業利益のベースでも流通事業が54%を占めておりますが、続いて29%を占めているのが運輸事業です。営業収益で12%に満たないものの、営業利益では3割を占めるという構図になっており、これは主に運輸事業、具体的には観光系の運輸です。先ほど申し上げました上高地や、冬場の長野白馬間のスキー客、スノーボーダーの輸送といった観光系の路線が、運輸事業の中でも非常に大きな割合を占めており、利益が非常に大きく出る構造です。観光事業もまずまずの利益率を確保しているという状況です。 - 資料17ページが全体の事業構成のバブルチャートです。流通事業は非常に大きな売上高を示していますが、利益率はそれほど高くなく、2%から2.5%という水準です。しかし、グループ連結ベースでは非常に大きなキャッシュフローを生む源泉となっており、流通事業で生まれたキャッシュフローを、流通事業内での投資はもちろんのこと、運輸事業や観光事業といった利益率の高い事業に充当しながら、事業拡大を図っているという状況です。資料18ページには、長野県内の主要な観光スポットと、当社の営業拠点の図がございますので、こちらもご参照いただければと思います。 - 取材者: - 流通事業に関しましては、創業してから途中から参入されたという経緯があったかと思いますが、流通事業を始めるに至った経緯やきっかけなどはございますか? - 回答者: - 具体的な経緯は、1967年に第1号店を出店したのが最初です。当時の経営陣は、流通事業に関心を寄せており、当社が所有していた長野市内の営業所などの不動産活用という面でも有効だと判断したと聞いております。 - 取材者: - 不動産を所有されていたのですね。 - 回答者: - 初期の店舗は、概ね電車やバスの営業所から始まっています。 - 取材者: - 観光事業や流通事業に関しまして、特にスキーやスノーボードのお客様を白馬などに輸送されているとのことでしたが、貴社の事業において、季節による売上などの変動はございますか? - 回答者: - 決算短信等もご覧いただければと思いますが、当社が最も営業収益、営業利益を上げられるのは、第2四半期です。続いて第1四半期、第3四半期がほぼ同じくらいの水準で、この期間がいわゆるグリーンシーズン、春から秋にかけての紅葉のスノーシーズン以外の観光の季節となります。この期間は、先ほどから申し上げております上高地への輸送が運輸事業における一つのトピックスとなりますとともに、当社が宿泊施設を構えております松本市が、上高地への基地という位置付けで、宿泊需要も非常に高まる季節となります。観光系の宿泊、運輸ともに盛り上がる第1四半期から第3四半期、特に第2四半期の業績が強い期間です。 - 一方、第4四半期は、白馬の観光輸送が非常に活況であることは事実ですが、松本を拠点として白馬の観光をされるお客様はあまり多くないという状況です。当社は白馬に宿泊施設等を保有しておりませんので、運輸事業、観光事業が片肺飛行という形になり、第4四半期は業績が落ち込むという構造が通常です。 - 取材者: - そうしますと、貴社のホテルやバスを利用されるお客様は、県外からのお客様が多いというイメージですか? - 回答者: - 県外のお客様が大半です。例えば、白馬につきましては、県外あるいはインバウンドのお客様が、長野県庁所在地の長野市まで新幹線などでいらっしゃって、そこから白馬への輸送を担っているという構図です。 - 取材者: - 長野でホテルと聞くと、例えば部活動の合宿で菅平に合宿に行くといったイメージがありますが、菅平ではスポーツ施設の合宿などは行われているのですか? - 回答者: - 昔から菅平はラグビーの合宿が多いことで知られており、春から雪が降るまでの涼しい期間は、スポーツ合宿に最適な環境です。最近の状況は把握しておりませんが、従来はラグビー等の方々の利用が多かったと聞いております。菅平は、スキーのお客様もいらっしゃるかと思いますが、アクセスがあまり良くないため、現在、特に活況だという話は聞いておりません。そもそも、当社は菅平や長野県の東側にはあまり拠点がございませんので。 - 取材者: - 貴社は昨年の12月に上場されたとのことですが、このタイミングで上場された目的はどういったところにございましたか? - 回答者: - 時期としては、当社が想定した最短のスケジュールで上場に至ったというのが一つです。上場自体は、2010年代初頭から組織的には準備を進めておりました。ただ、ある程度準備が整ったところで、2019年に台風の被害があり、施設が損害を受けたり、コロナ禍で業績が大きく落ち込んだりしたため、結果的に見送り、延期という形になりました。コロナ禍が落ち着いた2023年あたりから、改めて上場準備を再開し、昨年12月に至ったという経緯です。 - 地方のインフラを担うことが事業の主体となっている企業体ですので、上場による知名度の向上を通じて、人材を確保することが主要な目的の一つです。また、観光系の事業も展開しておりますので、今後の成長を考えると、様々な地域開発への関与も必要と考えております。地域開発といった事業は、初期投資額も相当大きくなるため、上場による資金調達の多様化が図れることや、他社様と連携して開発事業を進めていく上でも、上場の知名度は非常に有効であると考え、主にこれら3点が上場の目的となります。 - 取材者: - 実際に、人材採用などで苦戦されている状況なのですか?上場による効果や、現在の採用戦略について教えていただけますか? - 回答者: - 上場後、最初の新卒採用は2025年4月入社の方々となりますので、直接的な影響はこれからとなります。次年度以降、プラスの影響が出ることを非常に期待しているところです。具体的な採用戦略については、まだ詳細を検討中ですが、せっかく得た知名度を生かしたグループ一括採用なども視野に入れながら、今後しっかりと計画を練っていく考えです。 - 取材者: - 業績についても少しお伺いしたいのですが、2024年3月期は、コロナ禍の影響が薄れて人流が回復したことなどが影響し、利益が前年比300%と大幅に回復したとのことでしたが、今期も昨年と比べて業績が好調な要因は何ですか? - 回答者: - 主な要因としては、まず、流通事業が大きな増減なく、一定程度の営業収益、営業利益を稼いでくれるという基盤が確立できていることが挙げられます。加えて、おっしゃられた通り、人流が当社の想定を上回る規模で回復しており、特に円安の影響によるインバウンドの増加が、非常に大きな追い風になっています。 - 最大のマーケットである上高地は、昨年度もコロナ禍前に比べて来場者数が大幅に増加しましたが、2025年3月期はそれをさらに上回る見込みです。資料にも乗降客数のデータがありますが、右肩上がりに増加しています。白馬についても同様に、2023年の実績をさらに上回る勢いです。これらの路線は観光路線であり、バスタクシー等は運賃規制がありますが、観光路線については弾力的な運賃体系が認められる傾向があります。そのため、観光客向けの路線については、可能な範囲で運賃の値上げも実施しており、集客数の増加と単価の上昇が業績を押し上げる要因となっています。 - また、宿泊客数も増加しており、特に第1四半期から第3四半期にかけての松本地区の宿泊施設は、稼働率が8割を超える水準で推移しています。これらの要因が、業績の大きな伸びに繋がっていると考えております。 - 取材者: - 観光地にいらっしゃるお客様のうち、外国人の方はどのくらいいらっしゃるのですか。 - 回答者: - 運輸事業の特性上、バスあるいはタクシーの乗客が国内か海外かということをデータとして正確に把握することが難しいのが実情です。感覚的な割合としては、シーズンにもよりますが、3割程度はいらっしゃるのではないでしょうか。日によっては、需要を上回るほど外国のお客様が多いと感じることもあります。 - 取材者: - 第3四半期までの業績は想定通りですか? - 回答者: - 第3四半期までは、当社の想定を上回る好調な状況です。業績については、様々な投資家様、その他からもお問い合わせをいただいておりますが、第4四半期は通常、業績が弱い時期となります。特に、冬季は天候に大きく左右され、例えば、東京などの大都市圏で悪天候により交通機関がストップすると、こちらへお越しいただくお客様が激減するということも想定されます。そのため、例年の傾向を考慮し、第4四半期についてはやや控えめな業績予想としている状況です。 - 取材者: - 今年は例年に比べても、新幹線などが運休しているという印象がありますが、業績への影響はございますか? - 回答者: - 過去には、数日間運休が続くといった大変な時期もありましたので、それに比べれば、影響は想定の範囲内であり、十分に許容できる程度だったと考えております。 - 取材者: - 今後の成長戦略について教えていただけますか? - 回答者: - 資料19ページに記載がございます。流通事業に関しましては、用地取得などの問題があり、計画通りに進まないこともありますが、当面3年間は、年間平均1店舗程度の新店開発を行いたいと考えております。それにより、緩やかな売上増加を目指すとともに、新たな店舗ブランド「デリシアミールズ」の展開も進めております。 - 昨年から、新店や改装を含めて3、4店舗で展開しているのが、お総菜や、簡単な加工ですぐに召し上がっていただける食材を提供する売り場の拡張です。これらの商品は、利益率も高いというメリットがあります。このタイプの店舗は、当社の店舗の中でも大型店であり、このブランドを展開することで、集客と売上、利益の向上を目指しております。 - 運輸事業につきましては、上高地、白馬の路線バスの強化が中心となります。これらの路線は、この2年間、当社の売上、利益を牽引してきたセグメントですので、ダイヤの適正化や、運転手不足という課題はありますが、赤字路線の撤退も進めておりますので、そこで生まれたリソースを投入しながら、輸送力を維持、強化するとともに、運賃につきましても、毎年必ずしも可能とは限りませんが、観光需要に応じて値上げも検討しながら、業績を伸ばしていきたいと考えております。 - 観光事業に関しましては、資料にも簡単に記載しておりますので、後ほどご参照いただきたいのですが、様々な施設において、高品質の部屋を用意し、高価格帯への移行を進めております。今期、春に上高地にありますルミエスタホテルをリニューアルオープンし、大規模改装によって高価格帯路線に転換しましたが、高い単価を維持しながら、稼働率も非常に高い水準を維持できております。 - 資料に掲載しております、諏訪湖の上諏訪温泉朱白では、レイクビュー客室の面積を広げ、内装も豪華にするなど、高価格帯の客室を増やしており、2025年5月頃にはリニューアルオープンできる見込みです。ブエナビスタは、当社の基幹ホテルですが、こちらも随時、大規模改修を行い、高単価の客室を増やす構想で検討しております。 - 最後に、不動産事業に関しましては、県内の観光地で一定の事業を行っておりますが、長野県内には、まだまだ観光地としてのポテンシャルがあると考えております。当社が従来から展開しております蓼科エリアの別荘開発も進めていきたいと考えておりますし、他にも県内の様々な観光地がございますので、そういったところでエリア開発を進めていきたいと考えております。 - 取材者: - これらの事業によって、今後も事業の拡大が期待できると思いますが、M&Aなどの戦略やご計画はございますか? - 回答者: - ようやく上場後に、M&A専門の部署を設置し、積極的に活動を始めたところです。従来は、金融機関などからの紹介案件を個別に審査するという受け身の姿勢でしたが、現在は、ターゲットを絞り、長期的な視点で育成しながら、こちらから様々な業者様や金融機関に、具体的な地域や事業についてM&Aを行いたいという意向を伝えている状況です。M&Aは、成長戦略において非常に重要な要素の一つと考えております。 - 取材者: - 既存の事業とのシナジーがある分野を中心に検討されているのですか?それとも、全く新しい事業への展開も視野に入れているのですか? - 回答者: - 全く新規の事業を否定するものではありませんが、現状としては、先ほど申し上げた既存のセグメントで成長が見込める分野で、M&A可能な案件があれば、積極的に取り組んでいきたいと考えております。 - 取材者: - 株主還元策につきまして、方針などございましたら教えていただけますか? - 回答者: - 株主還元は、非常に重要な経営課題というふうに考えておりまして、今後しっかり進めてまいりたいと思っております。株主還元に関する具体的な還元水準や方法など、まだ検討を進めている段階ですが、今後、しっかりと検討を進めてまいります。 - 先日発表しました通り2025年3月期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円と増配を予定しています。今後、具体的な株主還元策について、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。 
- 取締役 伊藤篤様 - 取締役 今村正平様 

アルピコホールディングス(株)
東証STD 297A
決算:3月末日
決算概要
2026年3月期第1四半期は、流通事業での商品価格の見直しや運輸事業での運賃改定、運輸事業、観光事業でのインバウンド需要増が寄与し、営業収益255億6,800万円(前年同期比3.2%増)、営業利益7億800万円(同11.7%増)と増収増益となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、繰越欠損金の解消による税金費用の増加等により3億9,500万円(同39.5%減)と減益となった。
セグメント別または事業別の増減要因
セグメント別営業利益構成比は、流通事業が59.5%(前年同期比2.0pt減)、運輸事業が21.5%(同4.4pt増)、観光事業が13.4%(同4.1pt増)となった 。流通事業は営業収益で同1.9%の増収、営業利益は同12.3%の増益となった。運輸事業はバス事業の観光系路線を中心に国内外の需要の取り込み等が寄与し、営業収益で同7.1%の増収、営業利益は同45.7%の増益となった。観光事業はホテル・旅館の客室の改装などの高付加価値化による客単価の上昇、旅行事業でのツアー募集の好調等が寄与し、営業収益は同7.7%の増収、営業利益は同66.7%の増益となった。不動産事業は前年同期に成約した大型分譲物件の反動があり、減収減益となった。
主要KPIの進捗と変化
流通事業における既存店売上高の伸率は102%程度と堅調に推移した。また、観光事業におけるホテル・旅館の客室稼働率は一部の月で前年を下回ったものの、高付加価値化が寄与し単価は前年同期を上回って推移した。
季節性・一過性要因の有無と影響
セグメント別では、第1四半期は流通事業の営業利益の構成比が例年高くなっている。これは、季節変動の大きい運輸事業および観光事業の構成比が第1四半期は相対的に低いためである。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年3月期通期見通しは、営業収益1,055億円(前年同期比1.6%増)、営業利益31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15億円(同34.6%減)である。第1四半期が概ね計画通りに推移していることから、達成は可能であるものと見込んでいる。
取材アーカイブ
- CP&X - 決算概要 - 2025年3月期は、営業収益1,038億3,600万円(前期比4.2%増加)、営業利益34億1,200万円(同39.4%増加)、経常利益30億6,000万円(同44.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益22億9,200万円(同153.5%増加)を計上し、増収増益の決算であった 。流通事業の増収、運輸および観光事業におけるインバウンド需要の好調、加えて天候に恵まれたことを背景に、営業収益、各段階利益ともに過去最高を更新した。 - セグメント別または事業別の増減要因 - セグメント別営業利益構成比は、流通事業が41%(前期比13pt減)、運輸事業が40%(同11pt増)となり、従来の流通事業が利益の大部分を占める構造から、両事業が営業利益を二分する形に変化した 。流通事業は2.5%の増収であったが、人件費の増加により営業利益は1.0%の微減となった 。運輸事業は営業収益で9.1%の伸び、営業利益は80.1%の増益率を記録し、インバウンドの純増と好天候が寄与したことで、利益率は前期の8%から12%へ大幅に伸長した 。観光事業は営業収益8.0%増、営業利益33.9%増と全体の増収の中で収益を確保した 。不動産事業は期初の大型分譲物件の成約により、営業利益が74.7%増と特筆すべき増加を示した。 - 主要KPIの進捗と変化 - 流通事業の全体売上高は既存店売上高、一点単価ともに概ね100%以上を維持し堅調に推移している。2024年10月から12月にかけての松本市内の旗艦店改装による休業影響は、周辺店が顧客を取り込むことができた結果、既存店売上高は105ポイントまで上昇し、想定よりも落ち込みが少なく堅調さを維持した 。ホテル系の客単価は堅調に推移する一方、第4四半期は白馬エリアなどのスノーリゾートでの施設非保有のため稼働率が低下傾向にある 。上高地の「ルミエスタホテル」は全面改修により高単価営業に転換し、稼働率と客単価が著しく向上した 。諏訪市の温泉旅館「朱白」は、2024年4月から6月まで実施していたオールインクルーシブプランにより客室稼働率が低下していたが、2025年7月からのオールインクルーシブプランの縮小により客室稼働率は改善し、2025年1月から4月までの大幅改装を経て2025年5月の新装オープン後は堅調に推移している。 -  - 季節性・一過性要因の有無と影響 - 2025年3月期は、春から秋にかけて週末が概ね晴天続きであり、冬季も天候による交通支障がほぼ皆無であったことなど、運輸事業および観光事業ともに天候に非常に恵まれたことが業績に大きく寄与した 。これにより、当社のリソースを最大限に活用できた 。運輸事業では、この好天候がインバウンドの増加と相まって大幅な増収増益に貢献した 。2024年3月末が土曜日であったため、月末決済が翌月に繰り越され、流動負債の減少や営業活動によるキャッシュフローの異常値として表れたが、これは一時的な要因である。 - 通期見通しと進捗率・達成可能性 - 2026年3月期の通期業績見通しとして、営業収益は1,055億円(同1.6%増)と過去最高の売上高を予想している。一方で、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15.0%減)、当期純利益15億円(同34.6%減)と減益を予想している 。減益の主要因は、人件費の増加(グループ全体で約5億円増)、上場時の公募増資で調達した資金による設備投資に伴う償却負担の増加、金利上昇による支払利息やシンジケートローン手数料などの金利負担の増加、そして青色申告欠損金控除効果の終了による税負担の増加(約3億円増)である 。これらの要因により減益を予想しているものの、各利益指標は過去の業績の中では堅調な水準であると認識している。 - トピックス - M&Aに関しては、経営企画部内に専任チームを設置し、現在30数件の積極的な申し込みの中から検討を進めている。 - 今秋には長野県で主要な観光地である軽井沢にタクシー営業所を新設する計画である。これまで軽井沢の営業拠点は流通事業のデリシアのみだったが、観光客が多い地域での足がかりとして、運輸事業の進出を図る戦略である。 
- Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか? - A:2026年3月期以降は、公募増資で得た資金を設備投資に充当してまいります。特に償却年限の短いバスへの投資を計画しており、これにより営業利益にマイナスの影響が出る見込みです。また、長野県で主要な観光地である軽井沢への事業進出を計画しており、今秋にはタクシー営業所を新設する予定です。これまで軽井沢にはデリシア以外に営業拠点がなかったため、タクシー事業を足がかりとして、観光客の多い軽井沢での事業拡大を図ってまいります 。 - Q:成長戦略のポイントについて、戦略策定時からの前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。 - A:2025年3月期は、流通事業の増収と運輸・観光事業におけるインバウンド需要の増加、そして好天候に恵まれたことにより、設立以来過去最高益を更新いたしました。特に運輸事業においては、春から秋にかけて週末が晴天続きであり、冬季も大都市圏での降雪による交通支障がほぼ皆無であったため、弊社のリソースを最大限に活用できました 。主要マーケットである上高地・乗鞍・白骨エリアで約2割、白馬エリアで乗降客数が約3割増加し、値上げ後もお客様の来場が増加したことは、良い意味で想定外の状況でした。流通事業においては、旗艦店であるデリシア桐店の全面改装による2ヶ月間の休業がありましたが、周辺店が休業によるお客様を取り込んだ結果、既存店売上高が大きく上昇し、当初想定よりも落ち込みが少なかったことも堅調な要因となりました。観光事業のホテル・旅館においては、上高地のホテル「ルミエスタホテル」が全面改修を行い、高単価路線への転換を図った結果、稼働率と客単価が著しく向上いたしました。一方で、松本市の温泉旅館「朱白」では、オールインクルーシブプランの実施により一時的に客室稼働率が低下しましたが、オールインクルーシブプラン縮小後に稼働率は改善いたしました。今冬には全面改装を実施し、高単価路線の部屋を増やすことで、2025年5月の新装オープン以降は堅調に推移しております。 - Q:今期の通期予想、戦略と施策についてご説明ください。 - A:2026年3月期の通期業績見通しとして、営業収益は1,055億円(前年同期比1.6%増)と過去最高の売上高を予想しております 。しかしながら、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益は26億円(同15%減)、当期純利益は15億円(同34.6%減)と減益を予想しております。減益の主な要因は三点ございます。第一に、人件費の大幅な増加です。従業員の待遇改善と人材確保の観点から、グループ全体で約5億円の費用増を見込んでおります 。第二に、公募増資により調達した資金を2026年3月期以降の設備投資に充てることで、特にバスのような償却年限の短い資産の償却負担が増加し、営業利益に影響を及ぼす見込みです。第三に、金利上昇基調を予想しており、営業外費用における金利負担も増加する見込みです。また、2025年3月期にコロナ禍で発生した青色申告欠損金の控除効果を使い果たしたため、今期からは通常の税負担率で課税されることになり、その影響を見込んでおります。これらの要因により減益を予想しておりますが、営業利益は過去2番目、経常利益も過去2番目、当期純利益は過去3番目の水準であり、過去の業績の中では堅調な数字であると認識しております。 - Q:M&A、業務提携の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。 - A:M&Aに関しては、経営企画部内に専任チームを設置し、金融機関、証券会社、仲介会社等に積極的にアプローチしております 。現在までに30数件の積極的な申し込みがあり、その中から検討を進めている段階です。現時点では発表できる段階にはございませんが、継続的に進捗を注視しております。 - Q:株主還元の方針をご説明ください。 - A:従来の配当3円に記念配当2円を加えた5円配当を6月25日の株主総会に上程し、承認可決される予定です。また、決算短信においても、この5円配当の継続方針を発表しております。現時点では現金配当を中心に株主還元を考えておりますが、広義の株主還元については、現在も内部で議論を進めております。 
- 取材者:2025年3月期は、営業収益1,038億3,600万円、前期比4.2%の増加、営業利益は34億1,200万円、前期比39.4%増加、経常利益は30億6,000万円、前期比44.1%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は22億9,200万円、前期比153.5%増加と、設立以来過去最高益を更新されましたが、増減要因などについてご説明をお願いいたします。 - 回答者:承知いたしました。それでは決算短信の付属説明資料に基づいて、概略を説明申し上げます。2025年3月期 決算補足説明資料の3ページでございますが、中央の黄色くハイライトされている部分が2025年3月期の業績でございまして、営業収益、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれの数値も、弊社2008年の設立以来最高値を記録いたしました。流通事業は増収、運輸観光事業は労働力不足がありながらも、インバウンドの追い風をしっかりと受けることができました。加えて、私どもの流通事業を除く他の事業は、天候要因による変動が非常に大きいです。端的に申し上げれば、天気が悪ければお客様は来られません。そのような意味では、2024年度(2025年3月期)は天候にも非常に恵まれました。春から秋にかけては週末が概ね晴天続きであり、また冬季に関しましても、大都市圏での降雪等による交通の支障もほぼ皆無でございました。これにより、弊社のリソースが滞りなく最大限に活用できた期間であったと認識しております。 - 取材者:そのとおりですね。 - 回答者:はい。続きまして4ページについてご説明申し上げます。こちらの左側の表で以前もこのような表をお示ししたことがあるかと存じますが、2025年3月期のセグメントごとの構成比の図でございます。外側の円が営業利益のセグメントごとの構成比、内側の小さい円が営業収益(売上高)のセグメントごとの構成比となっております。内側の営業収益に占めるセグメント比率は、若干の微増減はございますが、ほぼ構造としては比率構成に変化はございません。しかしながら、昨年度と大きく異なるのは、外側の円でございまして、従来、2024年3月期では、現在41%の流通事業が54%でした。また、その下の青色の運輸事業は現在40%ですが、2024年3月期では29%でした。従来は流通事業が大きな営業利益を占める構造でしたが、2025年3月期は流通事業と運輸事業が営業利益の大部分を二分する形となっております。加えて、全体のパイとしても、先ほど申し上げました通り営業収益、営業利益ともに成長しておりますので、比率は変わらずとも観光事業なども成長を続けているという構成でございます 。 - 取材者:はい。 - 回答者:ご不明な点はございますか。何かご質問等ございましたら随時お申し付けいただければと存じます。 - 取材者:承知いたしました。 - 回答者:はい。それでは続きまして5ページでセグメントごとの概況についてご説明申し上げます。 - まず左上の①の流通事業でございますが、こちらは2.5%の増収ではございましたが、営業利益に関しましては1%の微減となりました。増収ではあったものの、営業利益が伸び悩んだ主な要因は人件費の増加でございます。現在の情勢では、しっかりと待遇改善を行い従業員に報いないと、労働力の確保も困難な状況でございます。逆に言えば、大幅な人件費増にもかかわらず、1%の微減で済んだという結果であったと解釈しております。 - 次に②の運輸事業でございますが、こちらは今回、業績に非常に貢献いたしました。営業収益で9.1%の大幅な伸び、営業利益に至っては80%の増加率でございました。先ほど概況のところでお話しした内容と重複いたしますが、春から冬までを通じて、非常に多くの方々に弊社のバスや電車をご利用いただきました。インバウンドの純増に加え、先ほど申し上げました通り、非常に天候が良かったことが寄与しております。運輸事業セグメントの利益率も、2024年3月期は8%でしたが、12%と大幅に伸長しております。これは、固定費を超えた部分の売上が、ほぼそのまま収益として計上されたため、利益率としても非常に伸長いたしました。 - 取材者:そのとおりですね。利益率も全社で見ても、先ほど人件費の話もあった中で、全体としても営業利益率の推移としては上昇しているのかと思っていたのですが、やはりこういった部分が全体で見ても大きかったのでしょうか。 - 回答者:そのとおりです。今期の利益における主要因という観点においては、この運輸事業の伸長が非常に大きな要因となりました。 - 取材者:はい。やはりそのとおりなのですね。 - 回答者:続きまして、③観光事業でございますが、こちらも営業収益8%増、営業利益33%増という結果でございました。先ほど申し上げた通り、営業利益、営業収益における当初のセグメントベースの構成比ではあまり変わっておりませんが、こちらは全体の増収の中で、パイが広がった中で、しっかりと収益を上げることができました。特に第3四半期までは非常に活発に推移しており、正直もう少し伸びるかと思っておりましたが、以前お話ししたか定かではありませんが、弊社は第4四半期にスノーリゾートの宿泊施設を保有しておりませんので、どうしても第4四半期を含む通期では、結果的に利益構成比等は前年並みという形になっております。 - 取材者:はい。 - 回答者:④の不動産事業でございますが、こちらは営業利益も75%増と、特筆すべき数字となっております。元々のセグメントが小さいこともございまして、特に大きなトピックスはございませんでしたが、期初の段階で大型の分譲物件の成約ができたため、セグメント自体が小さいため、大型案件があるとこのように突出した数字が出ることがございます。特段大きな環境変化等はございませんでしたというのが総括でございます。 - 取材者:そうしますと、やはり通期計画からもかなり上振れて、営業収益や営業利益、最終利益も着地されていると思うのですが、やはり一番大きな要因、上振れた要因としては、やはりその天候的な部分が大きい要因なのでしょうか。 - 回答者:そのとおりです。天候的な部分と、あとは実際に、春から秋にかけての上高地、それから冬の白馬地区のお客様の増加も顕著でございます。資料の16ページにございますが、運輸事業のところの、私どもの主要なマーケットである二つの地域の乗降客数を示してございます。ご覧の通り、上高地・乗鞍・白骨エリアで約2割、白馬エリアで約3割のお客様が増加しております。この状況を受け、値上げも継続的に行っておりますが、値上げしてもなおお客様の来場はむしろ増えました。このほどのブーストは正直想定しておらず、天候面も多少の不順はあるだろうという見込みの中、不順もなかったということも併せて、非常に多くのお客様にお見えいただき、その部分は良い意味での想定外であったかと存じます。 - 取材者:承知いたしました。 - 回答者:次に6ページで流通事業についてのKPIでございます。詳しくはまたご参照いただければと存じますが、全体売上高は既存店売上高、一点単価という形のグラフで示しており、ご覧の通り概ね100%以上を維持でき、堅調な推移であったと総括してございます。一部、KPIが悪化した時期が2024年10月から12月頃でございますが、全体の売上高が98ポイント程度でございました。これは私どもの松本でデリシアの旗艦店としておりますデリシア桐店という店舗が全面改装のため、2ヶ月ほど休業いたしました。その関係で、大規模店の休業の影響がございまして、98ポイントまで低下はしておりますが、その後順調に回復しております。また、黄土色の折れ線グラフである既存店売上高でいきますと、逆にこの時期に105ポイントまで上昇しております。私どもも一生懸命、桐店のお客様に対するプロモーションをかけましたので、その結果として周辺店が桐店の従来のお客様を取り込み、既存店の売上高は大きく上昇いたしました。当初の計画では、この桐店の落ち込みによるダメージはもう少し大きいと想定しておりましたが、こちらも良い意味で想定外に落ち込みが少なく、これも流通事業の堅調さの要因の一つであったと考えております。 - 取材者:なるほど。 - 回答者:はい。それでは続きまして、7ページ、8ページでは観光事業のホテル旅館の稼働率等のデータを示してございます 。7ページがホテル系の単価と客室稼働率を表示するものです。8ページの方が旅館関係で、単価と客室稼働率を表示する形となっております 。まず7ページの方でございますが、ホテル系でございますが、ご覧の通り、赤いマイナスの数字が非常に少ない形で推移できており、客単価も堅調に推移しております。これも先ほど少し申し上げましたが、11月までの非常に好調な内容からするともう少し伸びるかと思っておりましたが、やはり私どもにとって不利な第4四半期は、ご覧の通り稼働率等もどうしても低下してしまいます。しかし、11月まで、すなわち上高地シーズンが終わるところまでは、しっかりと収益を上げることができたと考えております。 - 取材者:そうすると、やはりこの稼働率の部分のKPIの数値的には、かなりその計画通りと言いますか、目標値に近いような推移と見てよろしいですか。 - 回答者:そのとおりです。正確に申し上げると、ほぼ計画通りという形かと存じますが、どちらかというと第3四半期までは想定よりも少し良かったくらいの感じではあったかと思います。もう少しこの勢いで第4四半期も推移してほしかったのですが、そこはやはりいつも通りとなってしまったというところでございます。 - 取材者:なるほど。承知いたしました。 - 回答者:続きまして8ページでございますが、こちらにつきましても、最上段の「翔峰」という松本市の温泉旅館でございますが、こちらは若干の稼働率のマイナス時期もございますが、概ね高い稼働率を維持できており、客単価の方も堅調に推移してございます。飛びまして「ルミエスタホテル」ですが、これが上高地の国立公園内にありますホテルでございます。 - 取材者:はい。 - 回答者:昨年の春から冬にかけて全面改修を行いました。客室面積を広げ、仕様も豪華にし、高単価で営業するというコンセプトのもとに改装しましたが、ご覧の通り稼働率も元々高かったのですが、さらに上積みができ、客単価に関しては著しく向上いたしました。当初の目論見通りのしっかりとした成果を残せたかと考えております。中段の「朱白」とございますが、これが松本の少し南部の方に大きな湖がございまして、この湖畔にあります温泉旅館でございます。こちらの方は、なかなか弊社のホテル旅館の中では厳しい情勢が続いており、色々と試行錯誤しておりましたが、ここで大きな変化が出ております。まず2024年9月までの客単価が前年比でプラスだったところから、10月以降にマイナスになっている部分ですが、これは試行錯誤の中で、いわゆる全てコミコミのオールインクルーシブプランで客単価を上げて営業してみようということを行っておりましたが、上段ご覧いただきますと稼働率が非常に振るわなかったという状況が発生いたしましたので、この秋口のところでオールインクルーシブプランを縮小し、通常プラン主体の営業に切り替えました。この結果、10月以降、稼働率は改善したものの、オールインクルーシブで得られていた部分がなくなった分だけ単価は低下したという構造でございます。いずれにしてもこちらについては長年、設備改修等が後手に回っておりましたので、この冬、完全に休館しまして大幅な改装を行いました。こちらも先ほど申し上げた「ルミエスタホテル」と同じような形で、諏訪湖を眺められるレイクビューの客室につきまして、客室面積を広げて、豪華な内装に改装いたしました。また、食事処等も含めて改装いたしましたが、そういった形でこちらも高単価路線の部屋を増やすという全面改装に踏み切りました。こちらは5月のゴールデンウィーク、5月1日に新装オープンいたしまして、今のところ堅調に推移しているという形でございます。 - 取材者:なるほど。5月からオープンされたのですね。 - 回答者:続きまして9ページは、このように比率が改善しましたという表でございますので、数字だけご覧いただければと存じますが、各指標につきましても、空前の好決算を受けて改善しているというところでございます 。 - 取材者:はい。 - 回答者:続きまして10ページ、貸借対照表の概略でございます。ここは少し異常値の部分だけご説明しておきたいと存じますが、流動負債のところが前年対比で32億円の減少となっており、ここが少し突出しておりますが、これは何か異常な要因ではございません。2024年3月末が土曜日であった関係で、月末の決済が翌月に繰り越されました。そのような要因で流動負債の買掛金や未払金等の関係で少し異常値が出ているという構造でございまして、特に大きな変動ではございません。続きまして11ページでございますが、連結キャッシュフローの概況でございます。こちらもただいま申し上げた2024年3月末の休日要因の関係がございまして、営業活動によるキャッシュフロー(最上段)も少し異常値となってございます。基本的に申し上げますと、2024年3月期は11ヶ月分の支払決済しか行っておりません。それに対して2025年3月期は13ヶ月分の決済を行っておりますので、ここで78億円の差異が出ておりますが、実質は60億円台の営業キャッシュフローの創出でございますので、そのようにご理解いただければと存じます。財務活動キャッシュフローにつきましては、ご案内の通り増資資金等でキャッシュを調達いたしましたので、増加しているというところが連結キャッシュフローの概況でございます。 - 取材者:なるほど。 - 回答者:はい。それでは、通期の業績見通しについてご説明申し上げます。13ページをご参照ください。こちらにつきましては、左側の通期のところでご説明申し上げますが、営業収益は1,055億円(前年同期比1.6%増)と、こちらも昨年度を更新し過去最高の売上高になる予想でございます。一方、営業利益は31億円(同9.2%減)、経常利益26億円(同15%減)、当期純利益につきましては15億円(同34.6%減)と、減益の予想を公表させていただいております。売上高は昨年度ほどではないにしても、堅実に伸長すると考えておりますが、減益の要因は大きく分けて三つございます。最大の要因は、先ほど少し出ましたが、やはり人件費の増加でございます。先ほど流通事業の方でご説明しましたが、当然ながら他の事業でも進めており、特に昨年度の決算を受けて、その従業員に報いるという意味、また人材確保の観点も含めて、人件費は大幅に積み増ししてございます。この要因だけでもグループ全体で5億円程度の費用増を見込んでおります。あと併せまして、公募増資で頂戴しました資金を2026年3月期以降は設備投資に充ててまいります。その結果、特に資金使途の中で大きいものとしてバスのような償却年限の短いものは、やはり償却負担も出てまいりますので、これはキャッシュアウトしないものの、損益計算書には影響してまいります。そのため、営業利益のところは少し減少する見込みです。また、金利も上昇基調を予想しておりますので、営業外費用において金利負担も少し増加する見込みでございます。これも非常に大きいのですが、最終的に15億円というところですが、2025年3月期は非常に好決算であったため、コロナ禍で被った痛みの関係で、法人の青色申告欠損金を大量に抱えており、これまで税負担が非常に低くなっておりました。その欠損金による控除の効果を昨年度使い果たしてしまいましたので、今期からは通常の税負担率で課税されることになりました。そういった税負担の影響もあり、最終利益が少し減少する見込みでございます。概ね大きい方から申し上げますと、人件費の5億円、そして税金の3億円あたり、の関係で減益を見込んでおります。とはいえ、営業利益も弊社過去2番目、営業利益、経常利益ともに2番目、そして当期純利益も過去3番目の数字であり、弊社の過去の業績の中ではまずまず良い数字だと思っておりますが、昨年度からすると落ち込み幅が大きいかと存じます。 - 取材者:なるほど。私の方でも昨年の業績予想と比較してもかなり高く設定されていて、引き続き好調なのかなと思う反面、その利益面で少し疑問といいますか、やはりその利益面で見ても、今までしっかりと成長投資という部分が滞っていたわけではなく、2026年3月期以降にそういった部分をしっかりと成長投資をしていくといったような見方でよろしいですか。 - 回答者:そのようにお考えいただければと存じます。 - 取材者:承知いたしました。あとは先ほどから人件費の話などもあるかと思うのですが、前期比においてあと人の採用数の推移などはいかがですか。 - 回答者:採用数ということですが、人材については、グループ各社で多少の変動はございますが、全体として大幅な増員にはなりません。増員したいのはやまやまですが、現実問題として人がどんどん採用できる状況ではないため、むしろ省力化投資等を進めながら、定年退職等で減少する人員を補充するという、概ね中立的な人員計画を立てております。人件費の増加分は、まさに報いるための部分で使っているという状況だとご理解ください。 - 回答者:一旦私の方からの説明はここまでとさせていただきますので、ご質問等ございましたら、お願いします。 - 取材者:まずはM&Aや業務提携の方針につきまして実施予定や検討状況などございましたら、お答えできる範囲でお話しいただけますか。 - 回答者:はい。M&Aの専任チームを経営企画部内に設置いたしました。そこから、いわゆる仲介機関としてよくある金融機関、証券業界、それから仲介会社等々にはこちらの方から積極的にアプローチをかけまして、具体的なことはまだ申し上げられませんが、このようなものが欲しいというオーダーを出しながら、現在密に連絡を取っております。設置後は、30数件の積極的なお申し込みをいただき、様々な案件ごとにスクリーニングをかけながら現在検討を進めております。なかなかやはり30数件のお話をいただいても、実際、真剣に検討段階に進むのはその一部になりますが、その案件については、継続的に進捗を注視しており、現時点で発表やご説明できる段階ではございませんが、進めている段階でございます。 - 取材者:株主還元の方針につきまして変更などございましたら教えていただけますか。 - 回答者:来週開催されます弊社の定時株主総会の方では、従来からの配当3円に記念配当2円という形で、5円配当として上程する予定でございます。また、先ほどの決算短信の方で配当予想につきましては、この5円の配当の継続という方針で発表してございます。現時点では現金配当を中心に考えておりますが、いわゆる広い意味での株主還元ということに関しては、現在も歩みを止めずに、しっかりと内部的に議論を進めているところでございます。 - 取材者:最後に、足元の状況につきまして何かトピックスやニュースリリースなどございましたらご説明お願いできますか。 - 回答者:決定し発表させていただいたところで申し上げますと、軽井沢に今秋口、タクシーの営業所を新設することにいたしました。私ども長野県で最も有名な観光地である軽井沢には、従来、デリシアくらいしか営業拠点がなかったのですが、観光客も既にピークに達しているとはいえ非常に大きな観光地でございますので、こちらの方には足がかりを作りたいと考えており、まずはタクシー事業で進出を予定してございます。これに関しては、あくまでも認可が下りたところでの話ですので、一応その方向で進めているというところでございます。 
- 常務取締役 伊藤篤様 - 取締役 今村正平様 - 経営企画部長 上嶋圭介様 
- CP&X - ビジネスモデルや事業内容 - アルピコホールディングスは、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業を主要な事業セグメントとする企業である。流通事業は、スーパーマーケット60店舗と1つの調剤薬局を有し、グループ全体の売上高、営業収益において非常に大きな割合を占める。運輸事業は、759台の車両を保有し、長野県内事業者として最大級の規模であり、県内主要都市での路線バス事業やタクシー事業、都市間高速バス事業の他、収益性の高い観光地への輸送サービスの比重が高いことが特徴である。観光事業は、宿泊施設等を運営し、客室数は667室で長野県内企業としてトップクラスの運営施設数。長野県の観光資源を活用したサービスを展開する。不動産事業は、県内の観光地で事業を展開し、別荘開発等を行っている。これらの事業セグメントの中で、流通事業が生み出すキャッシュフローが、他の事業セグメントへの投資を支える重要な役割を果たしている点が特徴である。 - 創業の経緯と転機となった出来事 - 創業は筑摩鉄道という名称で、松本市から新島々への電気鉄道敷設が目的である。その後、1967年に流通事業に参入し、現在では流通事業が収益の大きな柱となっている点が、事業の転換を示す出来事である。 - 直近の決算状況 - 2024年3月期は、コロナ禍の影響が薄れ人流が回復したことにより、利益が前年比300%と大幅に回復した。特に、観光需要の回復と円安によるインバウンドの増加が業績回復の大きな要因である。2025年3月期も、流通事業が安定的な収益基盤であることに加え、上高地や白馬などの観光地における来場者数、宿泊客数の増加が業績を牽引している。ただし、第4四半期は松本市が観光面で閑散期となることや、道路事情等が冬季の天候に左右されやすく、業績が比較的弱い時期となる傾向がある。 - 特徴や強み - 流通事業が生み出すキャッシュフローを、利益率の高い運輸事業や観光事業に充当する事業構造が強みである。運輸事業は、上高地や白馬への観光輸送で高い収益性を確保しており、観光事業も宿泊施設の高価格帯路線への転換が奏功している。 - 成長戦略 - 流通事業では新店開発と総菜部門の強化を図った新業態店舗の「デリシアミールズ」を展開、運輸事業では観光路線バスの強化、観光事業では高価格帯施設への転換、不動産事業では観光地エリア開発を推進する方針である。M&A専門部署を設置し、成長戦略の一環としてM&Aも積極的に検討する。 - 株主還元策 - 株主還元は重要な経営課題と認識しており、今後具体的な還元策を検討する。今期は、増配を実施する方針であり、今期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円の配当を予定している。 - 今期の取り組みやトピックス - 流通事業では総菜部門の強化を図った「デリシアミールズ」の展開、運輸事業では観光路線バスの強化、観光事業では施設のリニューアルによる高価格帯路線への転換が主なトピックスである。 - 上場に至った目的 - 上場は、知名度向上による人材確保、地域開発における資金調達の多様化、他社との連携を目的としており、2010年代初頭から準備を進めていたが、災害やコロナ禍の影響で延期、2023年に準備を再開し、昨年12月に至った経緯である。 
- Q:特徴や優位性をご説明ください。 - A:当社の事業は、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業という複数のセグメントで構成されています。中でも流通事業は売上高、営業収益において大きな割合を占めており、グループ連結ベースで非常に重要なキャッシュフローを生む源泉となっています。このキャッシュフローを、流通事業内への投資はもとより、運輸事業や観光事業といった利益率の高い事業に充当することで、事業全体の拡大を図っている点が特徴です。 - 運輸事業においては、長野県内で最大級の規模を誇り、特に上高地や白馬といった観光地への輸送が収益性の高い事業として貢献しています。観光事業も堅調な利益率を確保しており、これらの事業がグループ全体の収益性を高める上で重要な役割を果たしています。 - Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか? - A:弊社の成長戦略のポイントは、既存事業の深耕と新たな展開の双方にあります。 - 流通事業においては、年間平均1店舗程度の新店開発を継続し、売上増加を目指すと同時に、新たな店舗ブランド「デリシアミールズ」の展開を推進します。この新ブランドでは、総菜や加工食品の提供を強化し、収益性の向上を図ります。 - 運輸事業では、上高地、白馬の路線バス事業を強化し、観光需要に応じた輸送力の維持、強化、および運賃の見直しを行うことで、収益性の向上を目指します。 - 観光事業においては、施設のリニューアルを通じて高価格帯への転換を進めており、客室の高品質化やサービス向上を図ることで、収益性の向上を図ります。 - 不動産事業に関しては、蓼科エリアでの別荘開発に加え、長野県内の他の観光地におけるエリア開発も視野に入れ、観光需要の取り込みを図ります。 - さらに、M&A専門の部署を新設し、既存事業とのシナジーが見込める分野を中心に、M&Aも積極的に検討してまいります。 - Q:業績の増減要因をご説明ください。 - A:弊社の業績はまず、流通事業が安定的な収益基盤となっていることが、業績を支える大きな要因です。 - 加えて、人流の回復、特にインバウンドの増加が業績に大きく貢献しています。上高地や白馬などの観光地における来場者数、宿泊客数の増加が、運輸事業、観光事業の収益を押し上げています。観光路線においては、集客数の増加に加え、運賃の値上げも実施しており、これが更なる業績向上に繋がっています。 - 一方で、第4四半期は、観光面で閑散期となることや、冬季の天候に左右されるため、業績が比較的弱い時期となる傾向があります。 - Q:株主還元の方針をご説明ください? - A:株主還元は重要な経営課題と認識しており、今後しっかりと検討を進めてまいります。株主還元に関する具体的な還元水準や方法については、現在検討中ですが、今期は、好調な業績が見込める状況ですので、配当による株主還元を実施する予定です。具体的には、先日発表しました通り、今期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円の増配を予定しています。今後、具体的な株主還元策について、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。 
- 取材者: - 貴社のビジネスモデルや事業内容につきまして、特徴や強みなども含めてご説明いただけますか? - 回答者: - 主要なセグメントとしましては、この四つを掲げております。同じ資料に創業以来の沿革も記載しておりますが、現在では、流通事業、運輸事業、観光事業、不動産事業、その他の事業セグメントという構成です。この中でも、後ほど述べますが、流通事業が売上高、営業収益で非常に大きな割合を占めているという構造です。資料には、主な設備概要も記載しております。流通事業ではスーパーマーケット60店舗と調剤薬局1店舗を有しており、セグメント全体では61施設です。運輸事業は759台の車両を保有しており、どの数値を見ても県内事業者としては長野県内で最大級の規模です。 - 一番古い事業は、もともと筑摩鉄道といいまして、上高地に向けて、松本市中心部から新島々というところまで電気鉄道を敷設することを目的に創業した経緯がございます。創業期の一番の発祥の事業は運輸事業ということになりますが、先ほど申し上げました通り、途中で参入した流通事業が、現在、事業の一番大きな営業収益を占めるという状況です。これらの概要は、資料15ページのグループ沿革にも記載がございます。 - 資料16ページが、事業のセグメント別の営業収益、それから営業利益の構成です。データは2024年3月期のものになりますが、内側の円が営業収益で、連結営業収益に占める流通事業の割合が75%、次いで運輸事業が12%、観光事業が11%という構成です。利益構成は外側の円になりますが、要素が少し変わりまして、営業利益のベースでも流通事業が54%を占めておりますが、続いて29%を占めているのが運輸事業です。営業収益で12%に満たないものの、営業利益では3割を占めるという構図になっており、これは主に運輸事業、具体的には観光系の運輸です。先ほど申し上げました上高地や、冬場の長野白馬間のスキー客、スノーボーダーの輸送といった観光系の路線が、運輸事業の中でも非常に大きな割合を占めており、利益が非常に大きく出る構造です。観光事業もまずまずの利益率を確保しているという状況です。 - 資料17ページが全体の事業構成のバブルチャートです。流通事業は非常に大きな売上高を示していますが、利益率はそれほど高くなく、2%から2.5%という水準です。しかし、グループ連結ベースでは非常に大きなキャッシュフローを生む源泉となっており、流通事業で生まれたキャッシュフローを、流通事業内での投資はもちろんのこと、運輸事業や観光事業といった利益率の高い事業に充当しながら、事業拡大を図っているという状況です。資料18ページには、長野県内の主要な観光スポットと、当社の営業拠点の図がございますので、こちらもご参照いただければと思います。 - 取材者: - 流通事業に関しましては、創業してから途中から参入されたという経緯があったかと思いますが、流通事業を始めるに至った経緯やきっかけなどはございますか? - 回答者: - 具体的な経緯は、1967年に第1号店を出店したのが最初です。当時の経営陣は、流通事業に関心を寄せており、当社が所有していた長野市内の営業所などの不動産活用という面でも有効だと判断したと聞いております。 - 取材者: - 不動産を所有されていたのですね。 - 回答者: - 初期の店舗は、概ね電車やバスの営業所から始まっています。 - 取材者: - 観光事業や流通事業に関しまして、特にスキーやスノーボードのお客様を白馬などに輸送されているとのことでしたが、貴社の事業において、季節による売上などの変動はございますか? - 回答者: - 決算短信等もご覧いただければと思いますが、当社が最も営業収益、営業利益を上げられるのは、第2四半期です。続いて第1四半期、第3四半期がほぼ同じくらいの水準で、この期間がいわゆるグリーンシーズン、春から秋にかけての紅葉のスノーシーズン以外の観光の季節となります。この期間は、先ほどから申し上げております上高地への輸送が運輸事業における一つのトピックスとなりますとともに、当社が宿泊施設を構えております松本市が、上高地への基地という位置付けで、宿泊需要も非常に高まる季節となります。観光系の宿泊、運輸ともに盛り上がる第1四半期から第3四半期、特に第2四半期の業績が強い期間です。 - 一方、第4四半期は、白馬の観光輸送が非常に活況であることは事実ですが、松本を拠点として白馬の観光をされるお客様はあまり多くないという状況です。当社は白馬に宿泊施設等を保有しておりませんので、運輸事業、観光事業が片肺飛行という形になり、第4四半期は業績が落ち込むという構造が通常です。 - 取材者: - そうしますと、貴社のホテルやバスを利用されるお客様は、県外からのお客様が多いというイメージですか? - 回答者: - 県外のお客様が大半です。例えば、白馬につきましては、県外あるいはインバウンドのお客様が、長野県庁所在地の長野市まで新幹線などでいらっしゃって、そこから白馬への輸送を担っているという構図です。 - 取材者: - 長野でホテルと聞くと、例えば部活動の合宿で菅平に合宿に行くといったイメージがありますが、菅平ではスポーツ施設の合宿などは行われているのですか? - 回答者: - 昔から菅平はラグビーの合宿が多いことで知られており、春から雪が降るまでの涼しい期間は、スポーツ合宿に最適な環境です。最近の状況は把握しておりませんが、従来はラグビー等の方々の利用が多かったと聞いております。菅平は、スキーのお客様もいらっしゃるかと思いますが、アクセスがあまり良くないため、現在、特に活況だという話は聞いておりません。そもそも、当社は菅平や長野県の東側にはあまり拠点がございませんので。 - 取材者: - 貴社は昨年の12月に上場されたとのことですが、このタイミングで上場された目的はどういったところにございましたか? - 回答者: - 時期としては、当社が想定した最短のスケジュールで上場に至ったというのが一つです。上場自体は、2010年代初頭から組織的には準備を進めておりました。ただ、ある程度準備が整ったところで、2019年に台風の被害があり、施設が損害を受けたり、コロナ禍で業績が大きく落ち込んだりしたため、結果的に見送り、延期という形になりました。コロナ禍が落ち着いた2023年あたりから、改めて上場準備を再開し、昨年12月に至ったという経緯です。 - 地方のインフラを担うことが事業の主体となっている企業体ですので、上場による知名度の向上を通じて、人材を確保することが主要な目的の一つです。また、観光系の事業も展開しておりますので、今後の成長を考えると、様々な地域開発への関与も必要と考えております。地域開発といった事業は、初期投資額も相当大きくなるため、上場による資金調達の多様化が図れることや、他社様と連携して開発事業を進めていく上でも、上場の知名度は非常に有効であると考え、主にこれら3点が上場の目的となります。 - 取材者: - 実際に、人材採用などで苦戦されている状況なのですか?上場による効果や、現在の採用戦略について教えていただけますか? - 回答者: - 上場後、最初の新卒採用は2025年4月入社の方々となりますので、直接的な影響はこれからとなります。次年度以降、プラスの影響が出ることを非常に期待しているところです。具体的な採用戦略については、まだ詳細を検討中ですが、せっかく得た知名度を生かしたグループ一括採用なども視野に入れながら、今後しっかりと計画を練っていく考えです。 - 取材者: - 業績についても少しお伺いしたいのですが、2024年3月期は、コロナ禍の影響が薄れて人流が回復したことなどが影響し、利益が前年比300%と大幅に回復したとのことでしたが、今期も昨年と比べて業績が好調な要因は何ですか? - 回答者: - 主な要因としては、まず、流通事業が大きな増減なく、一定程度の営業収益、営業利益を稼いでくれるという基盤が確立できていることが挙げられます。加えて、おっしゃられた通り、人流が当社の想定を上回る規模で回復しており、特に円安の影響によるインバウンドの増加が、非常に大きな追い風になっています。 - 最大のマーケットである上高地は、昨年度もコロナ禍前に比べて来場者数が大幅に増加しましたが、2025年3月期はそれをさらに上回る見込みです。資料にも乗降客数のデータがありますが、右肩上がりに増加しています。白馬についても同様に、2023年の実績をさらに上回る勢いです。これらの路線は観光路線であり、バスタクシー等は運賃規制がありますが、観光路線については弾力的な運賃体系が認められる傾向があります。そのため、観光客向けの路線については、可能な範囲で運賃の値上げも実施しており、集客数の増加と単価の上昇が業績を押し上げる要因となっています。 - また、宿泊客数も増加しており、特に第1四半期から第3四半期にかけての松本地区の宿泊施設は、稼働率が8割を超える水準で推移しています。これらの要因が、業績の大きな伸びに繋がっていると考えております。 - 取材者: - 観光地にいらっしゃるお客様のうち、外国人の方はどのくらいいらっしゃるのですか。 - 回答者: - 運輸事業の特性上、バスあるいはタクシーの乗客が国内か海外かということをデータとして正確に把握することが難しいのが実情です。感覚的な割合としては、シーズンにもよりますが、3割程度はいらっしゃるのではないでしょうか。日によっては、需要を上回るほど外国のお客様が多いと感じることもあります。 - 取材者: - 第3四半期までの業績は想定通りですか? - 回答者: - 第3四半期までは、当社の想定を上回る好調な状況です。業績については、様々な投資家様、その他からもお問い合わせをいただいておりますが、第4四半期は通常、業績が弱い時期となります。特に、冬季は天候に大きく左右され、例えば、東京などの大都市圏で悪天候により交通機関がストップすると、こちらへお越しいただくお客様が激減するということも想定されます。そのため、例年の傾向を考慮し、第4四半期についてはやや控えめな業績予想としている状況です。 - 取材者: - 今年は例年に比べても、新幹線などが運休しているという印象がありますが、業績への影響はございますか? - 回答者: - 過去には、数日間運休が続くといった大変な時期もありましたので、それに比べれば、影響は想定の範囲内であり、十分に許容できる程度だったと考えております。 - 取材者: - 今後の成長戦略について教えていただけますか? - 回答者: - 資料19ページに記載がございます。流通事業に関しましては、用地取得などの問題があり、計画通りに進まないこともありますが、当面3年間は、年間平均1店舗程度の新店開発を行いたいと考えております。それにより、緩やかな売上増加を目指すとともに、新たな店舗ブランド「デリシアミールズ」の展開も進めております。 - 昨年から、新店や改装を含めて3、4店舗で展開しているのが、お総菜や、簡単な加工ですぐに召し上がっていただける食材を提供する売り場の拡張です。これらの商品は、利益率も高いというメリットがあります。このタイプの店舗は、当社の店舗の中でも大型店であり、このブランドを展開することで、集客と売上、利益の向上を目指しております。 - 運輸事業につきましては、上高地、白馬の路線バスの強化が中心となります。これらの路線は、この2年間、当社の売上、利益を牽引してきたセグメントですので、ダイヤの適正化や、運転手不足という課題はありますが、赤字路線の撤退も進めておりますので、そこで生まれたリソースを投入しながら、輸送力を維持、強化するとともに、運賃につきましても、毎年必ずしも可能とは限りませんが、観光需要に応じて値上げも検討しながら、業績を伸ばしていきたいと考えております。 - 観光事業に関しましては、資料にも簡単に記載しておりますので、後ほどご参照いただきたいのですが、様々な施設において、高品質の部屋を用意し、高価格帯への移行を進めております。今期、春に上高地にありますルミエスタホテルをリニューアルオープンし、大規模改装によって高価格帯路線に転換しましたが、高い単価を維持しながら、稼働率も非常に高い水準を維持できております。 - 資料に掲載しております、諏訪湖の上諏訪温泉朱白では、レイクビュー客室の面積を広げ、内装も豪華にするなど、高価格帯の客室を増やしており、2025年5月頃にはリニューアルオープンできる見込みです。ブエナビスタは、当社の基幹ホテルですが、こちらも随時、大規模改修を行い、高単価の客室を増やす構想で検討しております。 - 最後に、不動産事業に関しましては、県内の観光地で一定の事業を行っておりますが、長野県内には、まだまだ観光地としてのポテンシャルがあると考えております。当社が従来から展開しております蓼科エリアの別荘開発も進めていきたいと考えておりますし、他にも県内の様々な観光地がございますので、そういったところでエリア開発を進めていきたいと考えております。 - 取材者: - これらの事業によって、今後も事業の拡大が期待できると思いますが、M&Aなどの戦略やご計画はございますか? - 回答者: - ようやく上場後に、M&A専門の部署を設置し、積極的に活動を始めたところです。従来は、金融機関などからの紹介案件を個別に審査するという受け身の姿勢でしたが、現在は、ターゲットを絞り、長期的な視点で育成しながら、こちらから様々な業者様や金融機関に、具体的な地域や事業についてM&Aを行いたいという意向を伝えている状況です。M&Aは、成長戦略において非常に重要な要素の一つと考えております。 - 取材者: - 既存の事業とのシナジーがある分野を中心に検討されているのですか?それとも、全く新しい事業への展開も視野に入れているのですか? - 回答者: - 全く新規の事業を否定するものではありませんが、現状としては、先ほど申し上げた既存のセグメントで成長が見込める分野で、M&A可能な案件があれば、積極的に取り組んでいきたいと考えております。 - 取材者: - 株主還元策につきまして、方針などございましたら教えていただけますか? - 回答者: - 株主還元は、非常に重要な経営課題というふうに考えておりまして、今後しっかり進めてまいりたいと思っております。株主還元に関する具体的な還元水準や方法など、まだ検討を進めている段階ですが、今後、しっかりと検討を進めてまいります。 - 先日発表しました通り2025年3月期は普通配当3円、上場記念配当2円、合計5円と増配を予定しています。今後、具体的な株主還元策について、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。 
- 取締役 伊藤篤様 - 取締役 今村正平様 
