20250711
海外機関投資家B 様
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略の主要なポイントは、事業の多角化と顧客接点の拡大、そして長期的な収益基盤の強化にあります。まず、今後の大きなトピックスとして、新たな販路「ShaaS」の確立が挙げられます。これは、顧客基盤を持つ企業と提携し、その企業の顧客を当社サービスへ誘導する取り組みであり、既存の広告による契約獲得とは異なる、親和性の高い顧客層へのリーチが可能になると考えております。現在、複数の企業と交渉を進めており、第2四半期には具体的な発表を目指しております。
次に、2025年6月20日には表参道にリアル店舗をオープンいたしました。この店舗は、単なる販売拠点に留まらず、お客様との新たなタッチポイントとして、また自社で販売単価を決定できることから、収益拡大の可能性を探るものです。将来的には、この店舗を顧客との交流スペースやライブ販売の場としても活用し、入会促進やfrom Cからの調達機能の拡充に繋げていきたいと考えております。これは、当社の事業計画には莫大な費用を計上しているものではございませんが、新たな可能性を広げる戦略的な施策です。
「買えちゃうラクサス」においては、契約数の増加に伴う販売数の拡大を見込んでおります。また、BtoB/toC事業では、今期は単価向上をテーマとし、自社販路での販売を強化するとともに、BtoBへの卸しを減らし、toCへの販売を増やしていく方針でございます。これは、資産の回転を重視する当社のビジネスモデルにおいて、収益性を高める重要な戦略です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:今期は新規契約数に最も注力し、年間を通して契約数を伸ばすことを目標としております。例年契約数が減少する傾向にある第1四半期から第2四半期にかけて、広告を含む投資を増やし、この時期の契約数を増加させることを目指しております。具体的には、SNS広告を主要な販路とし、GoogleやYahoo!の検索連動型広告も活用しております。加えて、YouTuberとのタイアップやタクシー広告なども試行中で、特にタクシー広告においては、首都圏での検証でアプリダウンロード数やコンバージョン率の向上が見られたため、名古屋や大阪でも実施しております。
また、顧客基盤を持つ企業と提携し、その顧客を誘導する「ShaaS」という新たな販路の確立を進めております。
上期においては、広告予算を適切に活用しており、特に6月からは新規顧客獲得に向けた新たな施策を本格的に投入しており、順調に推移しております。下期は例年モチベーションの上がる時期であるため、10月や11月にも予算を組み、上半期に遅れた部分があったとしても、効率が良ければ年間で見た際に下半期に増額することも検討しながら進めていく予定でございます。通期の20%成長は挑戦的な目標ではございますが、着実に戦略を進めてまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:現状では、調達させていただいた資金を成長に使うことを最優先としております。今後、契約数のベースが上がった際には収益も伸ばしやすくなるため、安定的に増収していく中で、株主優待の変更など、株主還元についても議論しながら進めていきたいと考えております。
取材者: 初めての取材ですので、ビジネスモデルの基本的な部分をお伺いしたいのですが、資料を拝見いたしますとシンプルでございますね。貴社の収益構造や業界環境について理解を深めたく思っております。貴社のビジネスは、業界内でも非常に独自性の高いものと認識しておりますが、貴社としては現在どのようなポジションで市場を見ていらっしゃるのか、また、この市場の成長性について、どのように捉え、成長ドライバーを位置づけていらっしゃるのかについて、ご説明いただけますと幸いです。加えて、足元の四半期業績についても数字を確認させていただきたく、いくつかご質問させていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
回答者:当社の事業計画および成長可能性の資料に記載の通り、ブランドバッグのシェアリングと販売を主軸に、資産の回転を重視しております。収益の基本は、サブスクリプションユーザー様からの月額利用料です。加えて、ユーザー様がレンタル中に気に入ったバッグを購入する「買えちゃうラクサス」という事業がございます。これは、お客様が購入前に商品を試せる機会を提供することで、購入後のギャップをなくし、満足度を高めることを目的としております。販売はバッグが中心ですが、売上はユーザー様からの収益として計上しております。
また、BtoB/toCの形態もとっており、10年間のレンタル事業で培ってきた資産(バッグ)を回転させるため、販売を行っております。当初は様々なバッグを仕入れておりましたが、現在は人気の高いものやサブスクリプションに適した素材に絞り、精度を高めております。これらの資産は、大株主のワールドグループ傘下の二次流通店舗「RAGTAG」や海外のEC販路を通じて、委託販売などの形で販売しております。前期の売上構成比は、サブスクリプションが約4分の3を占め、残りを買えちゃうラクサス(8%)とBtoB/toC販売(18%)が占めております。当社が圧倒的な独占的ポジションにあると考えているのは、取り扱い資産の価値が落ちにくいという点が大きなポイントでございます。他社の状況は資料でしか把握できませんが、当社はそこが決定的に異なると考えております。ブランドバッグのサブスクを展開していた企業は、過去には共に事業を行っていた企業が撤退した事例もございます。これは、当社の圧倒的な資産数が強みになっているためだと考えております。
ブランドバッグのサブスクリプションという領域においては、当社が独占的なポジションに現在あると考えております。市場の成長性に関して、ラグジュアリー市場が本当に伸びるのかという点については、当社は単に競合するのではなく、「大切なものを繋いでいきたい」という思いがございます。これは当社のビジネスの根幹をなすものでございます。また、販売事業を含めますと、広義の意味では二次流通も競合となり得ると考えております。
さらに、将来的なファイナンスの可能性も検討しております。現在は「買えちゃうラクサス」で分割手数料は当社負担で、サブスクリプションと同様に月々1万円をお支払いいただく形で販売しておりますが、将来的には自動車の残価設定型ローンやバルーンローンのように、高額なバッグを販売する方法も検討していきたいと考えております。
バッグの資産評価については、100で仕入れたバッグは8年計画で減価償却を行い、残存価値は20%と設定しております。これは監査法人と協議の上で決定した償却方法でございます。7年や8年経過しても価値が落ちにくいバッグもございますため、売却時には減価償却が進んでいても販売収益をしっかりと確保できると考えております。
二次流通事業者のような企業は、仕入れと回転率による利益追求がビジネスモデルでございます。一方、当社は、例えば同じ金額で仕入れた場合でも、サブスクリプションからの収益で資金を調達し、さらに販売収益も得られるという点で、時間軸は異なりますが、ビジネスモデルが異なります。
バッグは価値が落ちにくい資産でございますが、アパレルは季節性により価値が大幅に下落する傾向がございます。私も大株主であるワールドから転籍してきておりますため、アパレルに関してはその点を熟知しております。以上が事業の特徴、強み、そして環境に関するご説明でございます。もし不足している点がございましたら、追加でご質問ください。
取材者: サブスクリプションについてですが、お一人で2個契約できるプランもございますのですね。
回答者: はい。サブスクリプションは、元々は月額6,800円(税抜き)でございましたが、2023年12月に9,800円(税抜き)に価格改定いたしました。その際にサービス内容も改定しており、ダブルプランは全員が対象ではございませんが、支払いをきちんとされている方や、バッグを丁寧に扱っていただいている方を対象に、バッグ2個持ちを可能にしております。2個持ちの価格は、価格改定後も据え置きの13,600円(税抜き)=6,800円×2となっております。今もその価格でございます。
取材者: ロイヤリティの高い既存ユーザーにのみ案内されているのですね。
回答者: ある程度の基準がございまして、例えば4ヶ月目に入っていて、バッグの扱い方など、社内の基準を満たしている方に案内しております。
取材者: 「買えちゃうラクサス」については、お試しで入会する方が多いのでしょうか、それとも本当に気に入って購入する方が多いのでしょうか。その割合は公開されておりますか。
回答者: 購入時の意図まで詳細には伺っておりませんので、具体的な割合はお伝えできません。ただし、サービス入会後1ヶ月目から3ヶ月以内程度で購入される方は、お試しで購入されている傾向があるかと存じます。長期利用されている方の中には、様々なバッグを試しながら、最終的に気に入ったものを購入する方もいらっしゃいます。一概には申し上げられませんが、あえてお試しをして購入する方の割合は比較的少ない印象でございます。
取材者: 短期間で解約する前提で入会される方は少ないのですね。
回答者: はい、その通りでございます。基本的にはスポット利用のお客様は、ブライダルや発表会など、特定のイベントのために利用を開始される方が多いです。スポット利用後、すぐに利用停止される方もいらっしゃいますが、当社のサービスは簡単に利用停止できるため、次の需要が発生した際に再開される方もいらっしゃいます。資料にも記載がございますが、約5分の1のお客様が再開されております。
取材者: 復活ユーザー、つまり潜在的に再開する可能性のあるお客様はどのくらいでいらっしゃいますか。
回答者: 現在アプローチしている対象としては、累計ユーザー数が18万人強に達しており、完全に退会される方はデータも全て削除いたしますが、基本的には利用停止されている方々にはアプローチを行っております。
取材者: なるほど。
回答者: 利用停止後1年以内の方の再開率が高い傾向にございます。やはりサービスを覚えていらっしゃるためかと存じます。実際にユーザー様にお話しを聞いてみると、20代の方々は新しいことを始めることへの抵抗が少なく、結婚式や友人の結婚式など、特定のイベントをきっかけに利用を開始される方もいらっしゃいます。また、新規契約獲得では最も反応が高かったです。一方で、継続率という点では、20代の方は30代・40代の方と比較して、早期に利用停止される傾向がございます。その後、結婚やお子様が生まれるなど、人生のステージが変化した際に、教育費にお金をかけたい一方で、ファッションも楽しみたいというニーズから、再度サービスを利用され、継続される方もいらっしゃいます。
取材者: なるほど。待機ユーザー数はどのくらいでございますか。
回答者: ざっくりとしたイメージですが、現在の契約数が約2万件弱でございますので、累計ユーザー数18万人から引きますと、約16万人の方々にアプローチできる可能性がございます。メールアドレスが有効かどうかの確認は必要ですが、現在も積極的にアプローチを行っております。
取材者: 現状、実店舗はまだございませんよね。
回答者: 実は、6月20日に表参道にリアル店舗をオープンいたしました。本社は広島に移転しましたが、東京オフィスは元々六本木ヒルズにあり、昨年移転いたしました。その際に、キャットストリートに面したマルジェラ様の向かいの物件を借りて、お客様とのタッチポイントとして販売を試みる計画を立てておりました。現在、実店舗での販売をスタートしており、単価を自社で決められますため、拡大の可能性を探っております。他社への委託販売よりも、市場価格や委託先よりも高い価格で販売できておりますのが現状です。手数料を支払う必要がないため、収益面でもプラスになっております。
取材者: メインのユーザー層は、やはりOLさんが多いのでしょうか。ユーザーの特徴について、何か他にございますか。
回答者: 当社のユーザーは、約7割が有職者で、お子様がいらっしゃる方が半数近くを占めております。年齢層は20代から50代まで幅広いですが、30代から40代の層が若干多い傾向にございます。またユーザーインタビューから、パワーカップルで、お子様がいらっしゃる方も多くいらっしゃいますが、教育など様々なことにお金を使いたい一方で、ファッションも楽しみたいという層の方々が多く利用されていると考えております。
取材者: ある程度の高年収世帯、もしくは個人の女性がメインということですね。
回答者: 世帯年収としては、ある程度の水準にある方が多いと考えております。また、ユーザーインタビューで様々なセグメントの方にお話を伺っておりますが、ブランドバッグを親から譲り受けた経験がある方や、ご自身で1つ持っている方、以前は多数所有していたが現在は本当に気に入ったものだけを持ち、他は楽しみたいという方が多い印象です。
取材者: 超富裕層の方の利用もそれなりにあるのですね。ミニマリストの方々も。
回答者: おっしゃる通りでございます。当社のキャッチコピーでも、「ミニマリスト」という言葉への反応が良かったことがございます。これからの時代を象徴する生き方だと考える方もいらっしゃるようです。
取材者: なるほど。そういう方々も利用されるのですね。女性がメインなので、男性向けのアイテムはまだございませんか。
回答者: 現状、男性向けのアイテムは少ないのが実情でございます。しかし、お客様の中には男性もいらっしゃいますので、今後は男性向けの訴求も検討していきたいと考えております。ただし、男性用のビジネスバッグは毎日使用するケースが多く、どうしても傷みが早い傾向がございます。
取材者: なるほど。男性の利用者もいらっしゃるのですね。
回答者: はい、いらっしゃいます。
取材者: 男性向けの商品もそれなりにございますか。
回答者: 男性向けというよりは、男女問わず利用できる共通のアイテムがございます。例えば、大きめのバッグやショルダーバッグなどは、男性の方もご利用いただけます。
取材者: 男性の契約で、彼女が使っているパターンもあるのでしょうか。
回答者: 基本的には、利用者がきちんと登録されているか確認しております。バッグの持ち出しを防ぐためにも、利用者と契約者の関係性を確認するなど、厳しくチェックしております。
取材者: 審査は厳しめに行っているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。例えば、本日100件の申し込みがあったとしても、約80~85件程度しか承認されず、残りの方々はお断りするか、書類不備などで手続きが進まないという状況でございます。
取材者: なるほど。ルールはしっかりしているのですね。解約ルールも特に厳しくはないのですか。例えば、初月で入会してすぐに解約しても罰則などはないのでしょうか。
回答者: 罰則はございません。ただし、初月にサービスをご利用いただいた場合、1か月分の料金は発生いたします。
取材者: 他に広告販路で何か特徴的なものはございますか。
回答者: 当社はアプリを主軸としたビジネスでございますので、ファッションとの親和性が高いInstagramが最も効果的です。SNS広告が主要な販路となっており、次いでGoogleやYahoo!の検索連動型広告が続きます。現在、資料にも記載しておりますが、YouTuberとのタイアップやタクシー広告なども試行中でございます。
取材者: なるほど。ライブコマースなども貴社との親和性が高いと存じますが、いかがでしょうか。
回答者: ライブコマースでの販売は、現状では委託で行っております。
取材者: なるほど。
回答者: 今後、具体的なスケジュールが決まっている話ではございませんが、当社の東京オフィスがタッチポイントとしての機能が確立できれば、入会促進の場としても活用できますし、from Cからの調達の場としても利用できると考えております。現在、ミーティングルームとして使用している部屋の一部を、将来的に顧客との交流スペースとして活用することも検討しており、将来的にはライブ販売の場としても活用できる可能性がございます。他社では海外のライブ販売チャネルを通じてかなりの売上を上げております。当社が自社でライブ販売を行う可能性も十分にございます。
取材者:成長戦略についてお伺いしたいのですが、今期上期も広告宣伝費を投下して新規獲得を目指すという話ですが、新規契約が増えている状況は順調と見て良いでしょうか。他に注目すべき要素はございますか。
回答者: 当社としては、今期は新規契約数に最も注力したいと考えております。当社のビジネスには季節性があり、2月、3月はモチベーションが高まり、最も契約数が増加いたします。上半期は季節性に伴う成長の流れに沿って伸ばしていきたいと考えておりますが、夏に向けては少し落ち込む傾向にございます。例年、第1四半期から第2四半期にかけては契約数が減少する傾向がございます。もし今回、6月から7月、8月にかけて、つまり第2四半期で契約数が伸びる実績を作ることができましたら、例年落ち込む時期に成長していることになります。それを実現できるよう、様々な取り組みを試している状況でございます。まずは契約数を最重要KPIとして取り組んでいきたいと考えております。
取材者: 第1四半期の契約数は例年、季節要因で落ちるのですね。
回答者: はい、当社の通常の傾向といたしましては、第1四半期、第2四半期は少し右肩下がりになります。それを挽回し、上昇させるために、広告を含む投資を増やすことと、現在いくつかリリースを控えておりますが、ShaaSを展開しております。これは、顧客基盤を持つ企業と提携し、その企業から顧客を誘導していただき、当社がバッグのサービスを提供するという取り組みでございます。現在、複数の企業と交渉を進めており、リリースできましたら、これまでの広告による契約獲得とは異なる新たな販路を確立できると考えております。ぜひ注目していただきたく存じます。
取材者: 新規販路が徐々に増えていくということですね。
回答者: はい、その通りでございます。他社との協業により、他社のユーザー層にアプローチできることは、SNSで広くアプローチするのとは異なる、親和性の高い顧客層へのリーチが可能になると考えております。
取材者: なるほど。他に、「買えちゃうラクサス」やBtoB/toC事業を広く展開する予定はございますか。基本的には、現在のサービスを強化する方向なのでしょうか。
回答者: 「買えちゃうラクサス」については、ある程度の契約数ベースに対してコンバージョンレートは大きく変動しないと見ております。そのため、契約数が増えれば販売数も増加すると想定しております。BtoB/toC事業についても同様のイメージでございますが、昨年は海外のライバーとの連携やグループ会社の委託販売など、販路を多角的に検証しておりました。そのため、昨年は売上、販売個数ともに多かったと考えております。
当社はサブスクリプションが主軸でございますが、利用できなくなったバッグや状態の良くないバッグを販売していく中で、今期はBtoB/toC事業において単価を上げることをテーマとしております。そのため、自社販路での販売を強化するとともに、BtoBへの卸しを昨年よりも減らし、エンドユーザーであるtoCへの販売を増やしていく方針でございます。
取材者: わかりました。数字の部分についてお伺いしてもよろしいでしょうか。前期の振り返りについてお聞きしますが、先ほど言及された通り、単価改定があり、一人当たりの単価が上がったこと、そしてバッグの資産回転をかなり行ったということですね。前期の社内評価はいかがでございましたか。上場企業でございますので、計画からの乖離は少ないようにされていると存じますが。
回答者: 評価としては、正直、契約数についてはもっと伸ばしたかったという思いがございました。しかし、上場直後ということもあり、第4四半期が最もモチベーションが上がる時期でございましたため、広告費は効率を重視し、抑えめに投下した側面もございます。そのため、契約数をさらに伸ばしたかったという反省点が一つございます。
バッグの販売に関しては順調に進み、検証も行いました。それを踏まえ、今期は実店舗のオープンを含め、単価向上に注力していく方針でございます。今期は第1四半期にスタートが遅れた部分もございましたが、6月頃から新規顧客獲得に向けた新たな施策を本格的に投入しており、順調に推移しております。ShaaSについても、第2四半期には具体的な発表ができましたらと考えております。
取材者: 計画を若干下回ったのは、契約数の読みが甘かったということでしょうか。
回答者: 契約数という点に加え、当期純利益や営業利益については、上場後の費用や上場関連費用が計上されたことも影響しております。しかし、売上に関しては契約数が影響していると考えております。
取材者: 業績を見ますと、もう少し詳細なKPIが欲しいと感じましたが、例えば、契約数の四半期ごとの推移や売上の内訳など、もう少し詳細な数字を見ることは可能でございますか。
回答者: 他の投資家様からもご指摘をいただいており、検討していきたいと考えております。当社では、契約数と顧客契約別の単価をメインKPIとしており、事業売上における「買えちゃうラクサス」との構成比については、定期的にアップデートしていく予定でございます。今後も四半期ごとに公開していくことになるかと存じます。
取材者: これも出てくるのですね。もう少し具体的な数字が見られると良いと感じました。
回答者: ご指摘として今後の参考にさせていただきます。
取材者: 上半期予想も公表されておりますので、現在第1四半期を終えようとしておりますが、広告予算は想定通り使えておりますか。
回答者: 実際的な決算発表の締めはまだ先ですが、予算は使用できている状況でございます。ただし、少し遅れはございました。5月、6月がメインで、資料でも6月、7月と説明させていただきましたが、効果のある施策が見えてきている状況でございます。
取材者: 第1四半期としては、あまり満足のいく広告の結果ではございませんでしたか。
回答者: 本来であれば4月から本格的に動きたかったのでございますが、6月からのスタートとなりました。YouTubeやタクシー広告なども5月末にスタートいたしました。やはり場所の確保などの兼ね合いがございます。
取材者: なるほど。YouTube広告ではなく、YouTuberを使っているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。キャスティングのような形で、色々と試しております。
取材者: 様々な施策を試されている中で、現時点ですぐに効果は見えないと存じますが、手応えを感じているものはございますか。
回答者: 具体的な数字は申し上げられませんが、タクシー広告を首都圏で実施させていただいた際に、エリア選択や女性ターゲットの絞り込みができるため、検証を行いました。他のエリアと比較して、その期間のアプリダウンロード数やコンバージョン率が高い傾向が見られました。そのため、次の検証として名古屋と大阪で現在実施しております。初週の段階で同様の傾向が見られましたので、夏場はタクシーの利用が増えることもあり、再度首都圏で動画の質を向上させ、放映順を上げてみようと考えております。具体的なパーセンテージは申し上げられませんが、他のエリアと比較してコンバージョン率が向上していることは確認できております。
取材者: なるほど。アプリのダウンロード数は伸びないのですか。
回答者: ダウンロード数も伸びますが、他のエリアとの差でございますので、他のエリアでも伸びる時期でございます。既に200万ダウンロードを超えていることもあり、サービスを既に知っている方が多いのかもしれません。そのような方々が、実際に登録してくれるコンバージョン率が高い傾向にございます。アプリをダウンロードするだけで登録しない方も多いので、そのような方々が「そういえばあったね」と思い出して、コンバージョンにつながっている可能性もあると考えております。
取材者: わかりました。復活にも繋がりそうですね。昔利用したが、また利用してみようかな、というように。
回答者: はい。4年前、2021年のコロナが終わったと思われる時期に一度テレビCMを実施させていただきました。その際、CPAで見ますと瞬間的にはテレビ広告は費用対効果が合わないと判断されますが、テレビCMを見たことで認知度が向上し、「テレビでやっていたから安心」と感じてInstagram経由で入会された方もいらっしゃいました。やはり、最初の不安や信頼感は重要だと考えております。上場企業であることも一つですが、テレビでやっていたという安心感は、皆様の深層心理に良い影響を与えていると考えております。
取材者: どこかのマーケティング会社を取材した際、ユーザーはサービスを利用するまでに、テレビで見て、Instagramで見て、YouTuberが使っているのを見て初めて使う、というように、接点が多いほど利用する傾向があるという話がございました。
回答者: おっしゃる通りでございます。その効果を全て数字で検証しようとすると、どうしてもコストが高く見えてしまいます。しかし、それらが繋がっていることは間違いございません。
取材者: わかりました。第1四半期は、売上も前期第4四半期より落ちると見ておけばよろしいでしょうか。
回答者: 例年、その傾向にございます。もし意図的にバッグの販売を大幅に増やせば変わるかもしれませんが、当社はどちらかというと、昨年より単価に重きを置いている部分もございますため、そのようになるかと存じます。
取材者: そうですね。投資も組み込んでいるということですね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 各四半期で、上半期予想くらいを第2四半期で調整し、投資も組み込み、予想通りになりそうだということですね。
回答者: はい、第2四半期以降で目標達成を目指している状況でございます。収益面について申し上げますと、当社は明らかに大きな投資があったとしても、それを回収できる収益体制を確立していると考えております。そのため、当社の出している計画の収益は、絶対的なターゲットになります。今期はやはり契約数に挑戦する時期でございます。
取材者: そこに向けて、明らかに効率が良いのであれば攻めても良い気がしますね。
回答者: 来期、再来期に向けても、収益体制は確立できていると考えており、収益確保は契約数よりもコントロールしやすい部分だと認識しております。
取材者: わかりました。下半期のイメージですが、下半期も投資はするのでしょうか。
回答者: はい、下半期の方がモチベーションの上がる時期でございますので、10月や11月にも予算を組んでおります。もし上半期に遅れた部分がございましたとしても、効率が良ければ、年間で見た際に下半期に増額することも検討しながら進めていく予定でございます。
取材者: なるほど。投資として、踏めるのであれば踏むということですね。前期のような形で下振れる可能性もあると見ておけばよろしいでしょうか。
回答者: 現状ですぐにお答えできることではございませんが、昨年の反省としましては、第4四半期が最もピークになる時期でございますので、その点は考慮しております。
取材者: トップラインの20%成長というのは、かなり保守的な数字なのでしょうか、それともストレッチした数字になるのでしょうか。
回答者: 当社としては、グロース市場にいるという認識で、20%成長を目標に設定して事業を進めておりますので、現状で言いますと、もちろんチャレンジをしているという状況でございます。
取材者: なるほど。簡単な数字ではないという理解ですね。
回答者: はい、その通りでございます。挑戦しなければならないと認識しております。
取材者: 下期で伸ばさなければならないとなると、数字から見てもわかるので、ここはかなり前半で広告を積極的に投入し、早めに新規獲得を進めなければならないと感じます。
回答者: はい、その通りでございます。その効率を含めた「ここが良い」という場所を見つけることと、もう一つ、ShaaSについては、早めに立ち上げることが重要になりるとともに、そこの契約数も増やしていかなければならないと考えております。
取材者: なるほど。計画前提の中で、顧客単価や契約数のKPIのようなものは何かイメージとして持っておけるものはございますか。
回答者: 顧客単価や契約数については成長可能性の資料に掲載しておりますが、単価については、ほぼ据え置きという形で、計画値としての目標を掲げている状況でございます。
取材者: 成長性資料ですね。なるほど。そこに今期のイメージが載っているのですね。
回答者: そこを目指して現在も取り組んでいる状況でございます。
取材者: このようなサービスを利用する層は、あまりお米問題などを気にしない層の方々が多いと存じます。
回答者: 全体的な構成や日本全体の平均から見ますと、そのように考えられるかと存じます。
取材者: やはりターゲット層にしっかりとリーチし、サービスを利用してもらうことが重要ということですね。
回答者: おっしゃる通りでございます。当社が認知されていても、とにかく利用していただくためのリーチをどうしていくかということが重要です。
取材者: 月1万円であれば、比較的気軽に利用してくれそうな気がいたします。初回割引キャンペーンなどはございますか。
回答者: はい、3ヶ月間は半額という形で実施しております。
取材者: 半額なのですね。そこで試していただくという感じですか。最初は売上が少し弱くなりますが、継続者が増えれば伸びると。
回答者: はい、継続者を増やすことが重要になります。価格改定前や、私がラクサスに入社した当初は、初月無料などのキャンペーンもございました。
取材者: 以前は1,000円くらいで利用できるキャンペーンもあったように見受けられました。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 今は半額でやっているのですね。
回答者: 元々は初月無料のような形であったかと存じます。
取材者: なるほど。そこでまず3ヶ月間利用してもらって、4ヶ月目以降に継続してもらうことが重要ということですね。
回答者: おっしゃる通りでございます。
取材者: そうなると、下半期の20%成長も可能になってくるのですね。下半期で4割増しをしなければならないと考えると、ハードルは高いように見受けられますが、それをやり切れるだけの逆算はきちんとできているということですね。現状の機関投資家からの取材依頼状況は如何でしょうか。
回答者: 機関投資家からの取材の件数についてですが、件数は比較的多い方かと思います。特に決算発表後は増える傾向です。
取材者: 新規が多いのですか、それともIPOの上場時から継続している方々が多いのですか。
回答者: 半々よりも新規の方が多い印象でございます。もちろん定期的に継続して話している機関投資家様もいらっしゃいます。
取材者: なるほど。皆様、広告の効果を見極めている段階なのですね。
回答者: はい、おっしゃる通りでございます。
取材者: 期待値としましては、来期、再来期も20%程度の成長を期待する声は多いでしょうか。
回答者: グロース市場にいる以上、それは当然あるかと存じます。一度契約数のベースが上がった際は、収益も伸ばしやすい部分もございます。そのため、当社は安定的に増収し、例えば株主優待の変更など、株主還元についても議論しながら進めていきたいと考えております。
取材者: なるほど。ビジネスモデル上、広告をやめてしまいますと新規流入が減少してしまう部分もあると存じますので、ある程度の投資は必要ということですね。株主還元としては優待を実施されておりますが、将来的には配当なども検討されるのでしょうか。
回答者: 現状は、調達させていただいた資金を成長に使うことを最優先としております。
取材者: まだまだ投資すべき場所はございますね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: リリースで強調したいトピックスはございますか。
回答者: リリースとしましては、今後、提携先が許諾すればとなりますが、ShaaSに関連する新たなサービスが開始されたり、提携が締結されたりといった点に注目していただきたく存じます。新しい取り組みが進んでいることを示しております。
また、6月20日には実店舗もオープンいたしました。この店舗は計画に莫大な費用を計上しているわけではございませんが、新たなタッチポイントが増え、可能性を広げられると考えております。店舗を出店していくというよりも、売上向上や、買取サービスなどの機能拡充に繋げていきたいと考えております。
取材者: わかりました。他に、採用に関して、貴社は人材をそれほど必要としないのでしょうか。成長に対して、採用が進まないとボトルネックになるようなことはございますか。
回答者: オペレーションに関しては、やはり契約数の増加に伴い、当社の倉庫などの人員は増やす必要があります。
取材者: なるほど。貴社を見る上で、他に注目すべきリスクファクターはございますか。規制なども特に問題ございませんか。
回答者: 当社は古物などを扱っておりますので、規制は特に影響しないと考えております。古物商の資格を取得して事業を行っておりますが、それくらいでございます。あと、前払い式の資金決済も行っていますが、これも法律に沿って運用しております。
取材者: 現時点では、法的なリスクは特にないという認識で良いですか。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 購入した人がバッグを返さずにそのまま逃げてしまう、いわゆるデフォルトのようなものはございますか。
回答者: 一定数は発生いたします。そのため、決済回収の幅を広げたり、バッグに対して保険をかけるなどの対策を毎期実施しております。もちろん、これはリスクにもなり得る点でございますが、コントロール可能な範囲内だと考えております。入会時に審査をしっかり行っているため、そのようなリスクは極力排除しております。10年間事業を行っていますので、どのような人がリスクが高いかというノウハウもある程度蓄積されております。
取材者: データもあり、デフォルトのようなリスクはそれほど大きくないという認識でございます。
回答者: 一定量はあるものの、それによって決算が大幅な赤字になるようなものではなく、コントロールできる範囲内でございます。
取材者: 広告についてですが、自社で実施する部分と、代理店を使う部分の戦略はございますか。
回答者: 代理店の活用についてですが、当社は自社で運用している部分が多いです。しかし、10年間事業を行ってきた中で、広告に関して、当社の視点とは異なる改善点を見つけるため、外部の知見を借りる取り組みを開始しております。
取材者: 勝ちパターンを見つけつつも、より良いアイデアがないか、プロからの意見も取り入れているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 最近はAIを使った広告も増えていますが、広告を出すのが難しくなっているという印象もございます。貴社独自の勝ちパターンはございますか。
回答者: キャッチコピーなどは、その時々によって変化すると思っております。AIによる広告配分の変更などは以前から行われており、その精度は向上していると認識しておりますが、一度手動に戻した方が良い結果が出たりすることもございますため、試しながら運用しております。
取材者: なるほど。AIを使った広告に関する規制などもニュースで拝見しましたが、この辺りは今後どのように変わっていくと考えておりますか。貴社は様々なノウハウを持っているため、どのような変化にもすぐ対応できるという認識でよろしいでしょうか。
回答者: はい、その通りでございます。当社は経験値として多くのノウハウを社内に蓄積しておりますので、手動であっても対応できるスキルや人材がおります。
取材者: わかりました。バッグの選定ですが、貴社の女性社員が選んでいるのですか。
回答者: 高級バッグの選定、資産の入れ替えに関してですが、調達時に、これまで数万点仕入れてきたデータに基づき、どのバッグが、どれくらい人気があるかなどをリスト化し、調達を決めております。これは、データドリブンで行っており、精度はかなり上がっております。しかし、一方で、人気のあるバッグばかりに偏りますと、満足度は高いかもしれませんが、面白みに欠けるお店になってしまうという課題もございます。当社はアプリですが、ワールドでの経験から、入店時にあえて色味の違うものや、トレンド性の高いものを置いて、お客様に興味を持ってもらうことも重要だと考えております。そのため、新しいものにも挑戦していかなければならないと考えております。
取材者: 人気のバッグばかりではないのですね。
回答者: はい、その通りでございます。新しく流行しているブランドなども積極的に取り入れていく必要がございます。
取材者: わかりました。お時間いただきましてありがとうございました。
取材者: ありがとうございます。
取締役 執行役員 中尾 聡志様
執行役員 事業本部 本部長 秋岡 辰弥様
・資料
―

ラクサス・テクノロジーズ(株)
東証GRT 288A
決算:3月末日
20250711
海外機関投資家B 様
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略の主要なポイントは、事業の多角化と顧客接点の拡大、そして長期的な収益基盤の強化にあります。まず、今後の大きなトピックスとして、新たな販路「ShaaS」の確立が挙げられます。これは、顧客基盤を持つ企業と提携し、その企業の顧客を当社サービスへ誘導する取り組みであり、既存の広告による契約獲得とは異なる、親和性の高い顧客層へのリーチが可能になると考えております。現在、複数の企業と交渉を進めており、第2四半期には具体的な発表を目指しております。
次に、2025年6月20日には表参道にリアル店舗をオープンいたしました。この店舗は、単なる販売拠点に留まらず、お客様との新たなタッチポイントとして、また自社で販売単価を決定できることから、収益拡大の可能性を探るものです。将来的には、この店舗を顧客との交流スペースやライブ販売の場としても活用し、入会促進やfrom Cからの調達機能の拡充に繋げていきたいと考えております。これは、当社の事業計画には莫大な費用を計上しているものではございませんが、新たな可能性を広げる戦略的な施策です。
「買えちゃうラクサス」においては、契約数の増加に伴う販売数の拡大を見込んでおります。また、BtoB/toC事業では、今期は単価向上をテーマとし、自社販路での販売を強化するとともに、BtoBへの卸しを減らし、toCへの販売を増やしていく方針でございます。これは、資産の回転を重視する当社のビジネスモデルにおいて、収益性を高める重要な戦略です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:今期は新規契約数に最も注力し、年間を通して契約数を伸ばすことを目標としております。例年契約数が減少する傾向にある第1四半期から第2四半期にかけて、広告を含む投資を増やし、この時期の契約数を増加させることを目指しております。具体的には、SNS広告を主要な販路とし、GoogleやYahoo!の検索連動型広告も活用しております。加えて、YouTuberとのタイアップやタクシー広告なども試行中で、特にタクシー広告においては、首都圏での検証でアプリダウンロード数やコンバージョン率の向上が見られたため、名古屋や大阪でも実施しております。
また、顧客基盤を持つ企業と提携し、その顧客を誘導する「ShaaS」という新たな販路の確立を進めております。
上期においては、広告予算を適切に活用しており、特に6月からは新規顧客獲得に向けた新たな施策を本格的に投入しており、順調に推移しております。下期は例年モチベーションの上がる時期であるため、10月や11月にも予算を組み、上半期に遅れた部分があったとしても、効率が良ければ年間で見た際に下半期に増額することも検討しながら進めていく予定でございます。通期の20%成長は挑戦的な目標ではございますが、着実に戦略を進めてまいります。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:現状では、調達させていただいた資金を成長に使うことを最優先としております。今後、契約数のベースが上がった際には収益も伸ばしやすくなるため、安定的に増収していく中で、株主優待の変更など、株主還元についても議論しながら進めていきたいと考えております。
取材者: 初めての取材ですので、ビジネスモデルの基本的な部分をお伺いしたいのですが、資料を拝見いたしますとシンプルでございますね。貴社の収益構造や業界環境について理解を深めたく思っております。貴社のビジネスは、業界内でも非常に独自性の高いものと認識しておりますが、貴社としては現在どのようなポジションで市場を見ていらっしゃるのか、また、この市場の成長性について、どのように捉え、成長ドライバーを位置づけていらっしゃるのかについて、ご説明いただけますと幸いです。加えて、足元の四半期業績についても数字を確認させていただきたく、いくつかご質問させていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
回答者:当社の事業計画および成長可能性の資料に記載の通り、ブランドバッグのシェアリングと販売を主軸に、資産の回転を重視しております。収益の基本は、サブスクリプションユーザー様からの月額利用料です。加えて、ユーザー様がレンタル中に気に入ったバッグを購入する「買えちゃうラクサス」という事業がございます。これは、お客様が購入前に商品を試せる機会を提供することで、購入後のギャップをなくし、満足度を高めることを目的としております。販売はバッグが中心ですが、売上はユーザー様からの収益として計上しております。
また、BtoB/toCの形態もとっており、10年間のレンタル事業で培ってきた資産(バッグ)を回転させるため、販売を行っております。当初は様々なバッグを仕入れておりましたが、現在は人気の高いものやサブスクリプションに適した素材に絞り、精度を高めております。これらの資産は、大株主のワールドグループ傘下の二次流通店舗「RAGTAG」や海外のEC販路を通じて、委託販売などの形で販売しております。前期の売上構成比は、サブスクリプションが約4分の3を占め、残りを買えちゃうラクサス(8%)とBtoB/toC販売(18%)が占めております。当社が圧倒的な独占的ポジションにあると考えているのは、取り扱い資産の価値が落ちにくいという点が大きなポイントでございます。他社の状況は資料でしか把握できませんが、当社はそこが決定的に異なると考えております。ブランドバッグのサブスクを展開していた企業は、過去には共に事業を行っていた企業が撤退した事例もございます。これは、当社の圧倒的な資産数が強みになっているためだと考えております。
ブランドバッグのサブスクリプションという領域においては、当社が独占的なポジションに現在あると考えております。市場の成長性に関して、ラグジュアリー市場が本当に伸びるのかという点については、当社は単に競合するのではなく、「大切なものを繋いでいきたい」という思いがございます。これは当社のビジネスの根幹をなすものでございます。また、販売事業を含めますと、広義の意味では二次流通も競合となり得ると考えております。
さらに、将来的なファイナンスの可能性も検討しております。現在は「買えちゃうラクサス」で分割手数料は当社負担で、サブスクリプションと同様に月々1万円をお支払いいただく形で販売しておりますが、将来的には自動車の残価設定型ローンやバルーンローンのように、高額なバッグを販売する方法も検討していきたいと考えております。
バッグの資産評価については、100で仕入れたバッグは8年計画で減価償却を行い、残存価値は20%と設定しております。これは監査法人と協議の上で決定した償却方法でございます。7年や8年経過しても価値が落ちにくいバッグもございますため、売却時には減価償却が進んでいても販売収益をしっかりと確保できると考えております。
二次流通事業者のような企業は、仕入れと回転率による利益追求がビジネスモデルでございます。一方、当社は、例えば同じ金額で仕入れた場合でも、サブスクリプションからの収益で資金を調達し、さらに販売収益も得られるという点で、時間軸は異なりますが、ビジネスモデルが異なります。
バッグは価値が落ちにくい資産でございますが、アパレルは季節性により価値が大幅に下落する傾向がございます。私も大株主であるワールドから転籍してきておりますため、アパレルに関してはその点を熟知しております。以上が事業の特徴、強み、そして環境に関するご説明でございます。もし不足している点がございましたら、追加でご質問ください。
取材者: サブスクリプションについてですが、お一人で2個契約できるプランもございますのですね。
回答者: はい。サブスクリプションは、元々は月額6,800円(税抜き)でございましたが、2023年12月に9,800円(税抜き)に価格改定いたしました。その際にサービス内容も改定しており、ダブルプランは全員が対象ではございませんが、支払いをきちんとされている方や、バッグを丁寧に扱っていただいている方を対象に、バッグ2個持ちを可能にしております。2個持ちの価格は、価格改定後も据え置きの13,600円(税抜き)=6,800円×2となっております。今もその価格でございます。
取材者: ロイヤリティの高い既存ユーザーにのみ案内されているのですね。
回答者: ある程度の基準がございまして、例えば4ヶ月目に入っていて、バッグの扱い方など、社内の基準を満たしている方に案内しております。
取材者: 「買えちゃうラクサス」については、お試しで入会する方が多いのでしょうか、それとも本当に気に入って購入する方が多いのでしょうか。その割合は公開されておりますか。
回答者: 購入時の意図まで詳細には伺っておりませんので、具体的な割合はお伝えできません。ただし、サービス入会後1ヶ月目から3ヶ月以内程度で購入される方は、お試しで購入されている傾向があるかと存じます。長期利用されている方の中には、様々なバッグを試しながら、最終的に気に入ったものを購入する方もいらっしゃいます。一概には申し上げられませんが、あえてお試しをして購入する方の割合は比較的少ない印象でございます。
取材者: 短期間で解約する前提で入会される方は少ないのですね。
回答者: はい、その通りでございます。基本的にはスポット利用のお客様は、ブライダルや発表会など、特定のイベントのために利用を開始される方が多いです。スポット利用後、すぐに利用停止される方もいらっしゃいますが、当社のサービスは簡単に利用停止できるため、次の需要が発生した際に再開される方もいらっしゃいます。資料にも記載がございますが、約5分の1のお客様が再開されております。
取材者: 復活ユーザー、つまり潜在的に再開する可能性のあるお客様はどのくらいでいらっしゃいますか。
回答者: 現在アプローチしている対象としては、累計ユーザー数が18万人強に達しており、完全に退会される方はデータも全て削除いたしますが、基本的には利用停止されている方々にはアプローチを行っております。
取材者: なるほど。
回答者: 利用停止後1年以内の方の再開率が高い傾向にございます。やはりサービスを覚えていらっしゃるためかと存じます。実際にユーザー様にお話しを聞いてみると、20代の方々は新しいことを始めることへの抵抗が少なく、結婚式や友人の結婚式など、特定のイベントをきっかけに利用を開始される方もいらっしゃいます。また、新規契約獲得では最も反応が高かったです。一方で、継続率という点では、20代の方は30代・40代の方と比較して、早期に利用停止される傾向がございます。その後、結婚やお子様が生まれるなど、人生のステージが変化した際に、教育費にお金をかけたい一方で、ファッションも楽しみたいというニーズから、再度サービスを利用され、継続される方もいらっしゃいます。
取材者: なるほど。待機ユーザー数はどのくらいでございますか。
回答者: ざっくりとしたイメージですが、現在の契約数が約2万件弱でございますので、累計ユーザー数18万人から引きますと、約16万人の方々にアプローチできる可能性がございます。メールアドレスが有効かどうかの確認は必要ですが、現在も積極的にアプローチを行っております。
取材者: 現状、実店舗はまだございませんよね。
回答者: 実は、6月20日に表参道にリアル店舗をオープンいたしました。本社は広島に移転しましたが、東京オフィスは元々六本木ヒルズにあり、昨年移転いたしました。その際に、キャットストリートに面したマルジェラ様の向かいの物件を借りて、お客様とのタッチポイントとして販売を試みる計画を立てておりました。現在、実店舗での販売をスタートしており、単価を自社で決められますため、拡大の可能性を探っております。他社への委託販売よりも、市場価格や委託先よりも高い価格で販売できておりますのが現状です。手数料を支払う必要がないため、収益面でもプラスになっております。
取材者: メインのユーザー層は、やはりOLさんが多いのでしょうか。ユーザーの特徴について、何か他にございますか。
回答者: 当社のユーザーは、約7割が有職者で、お子様がいらっしゃる方が半数近くを占めております。年齢層は20代から50代まで幅広いですが、30代から40代の層が若干多い傾向にございます。またユーザーインタビューから、パワーカップルで、お子様がいらっしゃる方も多くいらっしゃいますが、教育など様々なことにお金を使いたい一方で、ファッションも楽しみたいという層の方々が多く利用されていると考えております。
取材者: ある程度の高年収世帯、もしくは個人の女性がメインということですね。
回答者: 世帯年収としては、ある程度の水準にある方が多いと考えております。また、ユーザーインタビューで様々なセグメントの方にお話を伺っておりますが、ブランドバッグを親から譲り受けた経験がある方や、ご自身で1つ持っている方、以前は多数所有していたが現在は本当に気に入ったものだけを持ち、他は楽しみたいという方が多い印象です。
取材者: 超富裕層の方の利用もそれなりにあるのですね。ミニマリストの方々も。
回答者: おっしゃる通りでございます。当社のキャッチコピーでも、「ミニマリスト」という言葉への反応が良かったことがございます。これからの時代を象徴する生き方だと考える方もいらっしゃるようです。
取材者: なるほど。そういう方々も利用されるのですね。女性がメインなので、男性向けのアイテムはまだございませんか。
回答者: 現状、男性向けのアイテムは少ないのが実情でございます。しかし、お客様の中には男性もいらっしゃいますので、今後は男性向けの訴求も検討していきたいと考えております。ただし、男性用のビジネスバッグは毎日使用するケースが多く、どうしても傷みが早い傾向がございます。
取材者: なるほど。男性の利用者もいらっしゃるのですね。
回答者: はい、いらっしゃいます。
取材者: 男性向けの商品もそれなりにございますか。
回答者: 男性向けというよりは、男女問わず利用できる共通のアイテムがございます。例えば、大きめのバッグやショルダーバッグなどは、男性の方もご利用いただけます。
取材者: 男性の契約で、彼女が使っているパターンもあるのでしょうか。
回答者: 基本的には、利用者がきちんと登録されているか確認しております。バッグの持ち出しを防ぐためにも、利用者と契約者の関係性を確認するなど、厳しくチェックしております。
取材者: 審査は厳しめに行っているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。例えば、本日100件の申し込みがあったとしても、約80~85件程度しか承認されず、残りの方々はお断りするか、書類不備などで手続きが進まないという状況でございます。
取材者: なるほど。ルールはしっかりしているのですね。解約ルールも特に厳しくはないのですか。例えば、初月で入会してすぐに解約しても罰則などはないのでしょうか。
回答者: 罰則はございません。ただし、初月にサービスをご利用いただいた場合、1か月分の料金は発生いたします。
取材者: 他に広告販路で何か特徴的なものはございますか。
回答者: 当社はアプリを主軸としたビジネスでございますので、ファッションとの親和性が高いInstagramが最も効果的です。SNS広告が主要な販路となっており、次いでGoogleやYahoo!の検索連動型広告が続きます。現在、資料にも記載しておりますが、YouTuberとのタイアップやタクシー広告なども試行中でございます。
取材者: なるほど。ライブコマースなども貴社との親和性が高いと存じますが、いかがでしょうか。
回答者: ライブコマースでの販売は、現状では委託で行っております。
取材者: なるほど。
回答者: 今後、具体的なスケジュールが決まっている話ではございませんが、当社の東京オフィスがタッチポイントとしての機能が確立できれば、入会促進の場としても活用できますし、from Cからの調達の場としても利用できると考えております。現在、ミーティングルームとして使用している部屋の一部を、将来的に顧客との交流スペースとして活用することも検討しており、将来的にはライブ販売の場としても活用できる可能性がございます。他社では海外のライブ販売チャネルを通じてかなりの売上を上げております。当社が自社でライブ販売を行う可能性も十分にございます。
取材者:成長戦略についてお伺いしたいのですが、今期上期も広告宣伝費を投下して新規獲得を目指すという話ですが、新規契約が増えている状況は順調と見て良いでしょうか。他に注目すべき要素はございますか。
回答者: 当社としては、今期は新規契約数に最も注力したいと考えております。当社のビジネスには季節性があり、2月、3月はモチベーションが高まり、最も契約数が増加いたします。上半期は季節性に伴う成長の流れに沿って伸ばしていきたいと考えておりますが、夏に向けては少し落ち込む傾向にございます。例年、第1四半期から第2四半期にかけては契約数が減少する傾向がございます。もし今回、6月から7月、8月にかけて、つまり第2四半期で契約数が伸びる実績を作ることができましたら、例年落ち込む時期に成長していることになります。それを実現できるよう、様々な取り組みを試している状況でございます。まずは契約数を最重要KPIとして取り組んでいきたいと考えております。
取材者: 第1四半期の契約数は例年、季節要因で落ちるのですね。
回答者: はい、当社の通常の傾向といたしましては、第1四半期、第2四半期は少し右肩下がりになります。それを挽回し、上昇させるために、広告を含む投資を増やすことと、現在いくつかリリースを控えておりますが、ShaaSを展開しております。これは、顧客基盤を持つ企業と提携し、その企業から顧客を誘導していただき、当社がバッグのサービスを提供するという取り組みでございます。現在、複数の企業と交渉を進めており、リリースできましたら、これまでの広告による契約獲得とは異なる新たな販路を確立できると考えております。ぜひ注目していただきたく存じます。
取材者: 新規販路が徐々に増えていくということですね。
回答者: はい、その通りでございます。他社との協業により、他社のユーザー層にアプローチできることは、SNSで広くアプローチするのとは異なる、親和性の高い顧客層へのリーチが可能になると考えております。
取材者: なるほど。他に、「買えちゃうラクサス」やBtoB/toC事業を広く展開する予定はございますか。基本的には、現在のサービスを強化する方向なのでしょうか。
回答者: 「買えちゃうラクサス」については、ある程度の契約数ベースに対してコンバージョンレートは大きく変動しないと見ております。そのため、契約数が増えれば販売数も増加すると想定しております。BtoB/toC事業についても同様のイメージでございますが、昨年は海外のライバーとの連携やグループ会社の委託販売など、販路を多角的に検証しておりました。そのため、昨年は売上、販売個数ともに多かったと考えております。
当社はサブスクリプションが主軸でございますが、利用できなくなったバッグや状態の良くないバッグを販売していく中で、今期はBtoB/toC事業において単価を上げることをテーマとしております。そのため、自社販路での販売を強化するとともに、BtoBへの卸しを昨年よりも減らし、エンドユーザーであるtoCへの販売を増やしていく方針でございます。
取材者: わかりました。数字の部分についてお伺いしてもよろしいでしょうか。前期の振り返りについてお聞きしますが、先ほど言及された通り、単価改定があり、一人当たりの単価が上がったこと、そしてバッグの資産回転をかなり行ったということですね。前期の社内評価はいかがでございましたか。上場企業でございますので、計画からの乖離は少ないようにされていると存じますが。
回答者: 評価としては、正直、契約数についてはもっと伸ばしたかったという思いがございました。しかし、上場直後ということもあり、第4四半期が最もモチベーションが上がる時期でございましたため、広告費は効率を重視し、抑えめに投下した側面もございます。そのため、契約数をさらに伸ばしたかったという反省点が一つございます。
バッグの販売に関しては順調に進み、検証も行いました。それを踏まえ、今期は実店舗のオープンを含め、単価向上に注力していく方針でございます。今期は第1四半期にスタートが遅れた部分もございましたが、6月頃から新規顧客獲得に向けた新たな施策を本格的に投入しており、順調に推移しております。ShaaSについても、第2四半期には具体的な発表ができましたらと考えております。
取材者: 計画を若干下回ったのは、契約数の読みが甘かったということでしょうか。
回答者: 契約数という点に加え、当期純利益や営業利益については、上場後の費用や上場関連費用が計上されたことも影響しております。しかし、売上に関しては契約数が影響していると考えております。
取材者: 業績を見ますと、もう少し詳細なKPIが欲しいと感じましたが、例えば、契約数の四半期ごとの推移や売上の内訳など、もう少し詳細な数字を見ることは可能でございますか。
回答者: 他の投資家様からもご指摘をいただいており、検討していきたいと考えております。当社では、契約数と顧客契約別の単価をメインKPIとしており、事業売上における「買えちゃうラクサス」との構成比については、定期的にアップデートしていく予定でございます。今後も四半期ごとに公開していくことになるかと存じます。
取材者: これも出てくるのですね。もう少し具体的な数字が見られると良いと感じました。
回答者: ご指摘として今後の参考にさせていただきます。
取材者: 上半期予想も公表されておりますので、現在第1四半期を終えようとしておりますが、広告予算は想定通り使えておりますか。
回答者: 実際的な決算発表の締めはまだ先ですが、予算は使用できている状況でございます。ただし、少し遅れはございました。5月、6月がメインで、資料でも6月、7月と説明させていただきましたが、効果のある施策が見えてきている状況でございます。
取材者: 第1四半期としては、あまり満足のいく広告の結果ではございませんでしたか。
回答者: 本来であれば4月から本格的に動きたかったのでございますが、6月からのスタートとなりました。YouTubeやタクシー広告なども5月末にスタートいたしました。やはり場所の確保などの兼ね合いがございます。
取材者: なるほど。YouTube広告ではなく、YouTuberを使っているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。キャスティングのような形で、色々と試しております。
取材者: 様々な施策を試されている中で、現時点ですぐに効果は見えないと存じますが、手応えを感じているものはございますか。
回答者: 具体的な数字は申し上げられませんが、タクシー広告を首都圏で実施させていただいた際に、エリア選択や女性ターゲットの絞り込みができるため、検証を行いました。他のエリアと比較して、その期間のアプリダウンロード数やコンバージョン率が高い傾向が見られました。そのため、次の検証として名古屋と大阪で現在実施しております。初週の段階で同様の傾向が見られましたので、夏場はタクシーの利用が増えることもあり、再度首都圏で動画の質を向上させ、放映順を上げてみようと考えております。具体的なパーセンテージは申し上げられませんが、他のエリアと比較してコンバージョン率が向上していることは確認できております。
取材者: なるほど。アプリのダウンロード数は伸びないのですか。
回答者: ダウンロード数も伸びますが、他のエリアとの差でございますので、他のエリアでも伸びる時期でございます。既に200万ダウンロードを超えていることもあり、サービスを既に知っている方が多いのかもしれません。そのような方々が、実際に登録してくれるコンバージョン率が高い傾向にございます。アプリをダウンロードするだけで登録しない方も多いので、そのような方々が「そういえばあったね」と思い出して、コンバージョンにつながっている可能性もあると考えております。
取材者: わかりました。復活にも繋がりそうですね。昔利用したが、また利用してみようかな、というように。
回答者: はい。4年前、2021年のコロナが終わったと思われる時期に一度テレビCMを実施させていただきました。その際、CPAで見ますと瞬間的にはテレビ広告は費用対効果が合わないと判断されますが、テレビCMを見たことで認知度が向上し、「テレビでやっていたから安心」と感じてInstagram経由で入会された方もいらっしゃいました。やはり、最初の不安や信頼感は重要だと考えております。上場企業であることも一つですが、テレビでやっていたという安心感は、皆様の深層心理に良い影響を与えていると考えております。
取材者: どこかのマーケティング会社を取材した際、ユーザーはサービスを利用するまでに、テレビで見て、Instagramで見て、YouTuberが使っているのを見て初めて使う、というように、接点が多いほど利用する傾向があるという話がございました。
回答者: おっしゃる通りでございます。その効果を全て数字で検証しようとすると、どうしてもコストが高く見えてしまいます。しかし、それらが繋がっていることは間違いございません。
取材者: わかりました。第1四半期は、売上も前期第4四半期より落ちると見ておけばよろしいでしょうか。
回答者: 例年、その傾向にございます。もし意図的にバッグの販売を大幅に増やせば変わるかもしれませんが、当社はどちらかというと、昨年より単価に重きを置いている部分もございますため、そのようになるかと存じます。
取材者: そうですね。投資も組み込んでいるということですね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 各四半期で、上半期予想くらいを第2四半期で調整し、投資も組み込み、予想通りになりそうだということですね。
回答者: はい、第2四半期以降で目標達成を目指している状況でございます。収益面について申し上げますと、当社は明らかに大きな投資があったとしても、それを回収できる収益体制を確立していると考えております。そのため、当社の出している計画の収益は、絶対的なターゲットになります。今期はやはり契約数に挑戦する時期でございます。
取材者: そこに向けて、明らかに効率が良いのであれば攻めても良い気がしますね。
回答者: 来期、再来期に向けても、収益体制は確立できていると考えており、収益確保は契約数よりもコントロールしやすい部分だと認識しております。
取材者: わかりました。下半期のイメージですが、下半期も投資はするのでしょうか。
回答者: はい、下半期の方がモチベーションの上がる時期でございますので、10月や11月にも予算を組んでおります。もし上半期に遅れた部分がございましたとしても、効率が良ければ、年間で見た際に下半期に増額することも検討しながら進めていく予定でございます。
取材者: なるほど。投資として、踏めるのであれば踏むということですね。前期のような形で下振れる可能性もあると見ておけばよろしいでしょうか。
回答者: 現状ですぐにお答えできることではございませんが、昨年の反省としましては、第4四半期が最もピークになる時期でございますので、その点は考慮しております。
取材者: トップラインの20%成長というのは、かなり保守的な数字なのでしょうか、それともストレッチした数字になるのでしょうか。
回答者: 当社としては、グロース市場にいるという認識で、20%成長を目標に設定して事業を進めておりますので、現状で言いますと、もちろんチャレンジをしているという状況でございます。
取材者: なるほど。簡単な数字ではないという理解ですね。
回答者: はい、その通りでございます。挑戦しなければならないと認識しております。
取材者: 下期で伸ばさなければならないとなると、数字から見てもわかるので、ここはかなり前半で広告を積極的に投入し、早めに新規獲得を進めなければならないと感じます。
回答者: はい、その通りでございます。その効率を含めた「ここが良い」という場所を見つけることと、もう一つ、ShaaSについては、早めに立ち上げることが重要になりるとともに、そこの契約数も増やしていかなければならないと考えております。
取材者: なるほど。計画前提の中で、顧客単価や契約数のKPIのようなものは何かイメージとして持っておけるものはございますか。
回答者: 顧客単価や契約数については成長可能性の資料に掲載しておりますが、単価については、ほぼ据え置きという形で、計画値としての目標を掲げている状況でございます。
取材者: 成長性資料ですね。なるほど。そこに今期のイメージが載っているのですね。
回答者: そこを目指して現在も取り組んでいる状況でございます。
取材者: このようなサービスを利用する層は、あまりお米問題などを気にしない層の方々が多いと存じます。
回答者: 全体的な構成や日本全体の平均から見ますと、そのように考えられるかと存じます。
取材者: やはりターゲット層にしっかりとリーチし、サービスを利用してもらうことが重要ということですね。
回答者: おっしゃる通りでございます。当社が認知されていても、とにかく利用していただくためのリーチをどうしていくかということが重要です。
取材者: 月1万円であれば、比較的気軽に利用してくれそうな気がいたします。初回割引キャンペーンなどはございますか。
回答者: はい、3ヶ月間は半額という形で実施しております。
取材者: 半額なのですね。そこで試していただくという感じですか。最初は売上が少し弱くなりますが、継続者が増えれば伸びると。
回答者: はい、継続者を増やすことが重要になります。価格改定前や、私がラクサスに入社した当初は、初月無料などのキャンペーンもございました。
取材者: 以前は1,000円くらいで利用できるキャンペーンもあったように見受けられました。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 今は半額でやっているのですね。
回答者: 元々は初月無料のような形であったかと存じます。
取材者: なるほど。そこでまず3ヶ月間利用してもらって、4ヶ月目以降に継続してもらうことが重要ということですね。
回答者: おっしゃる通りでございます。
取材者: そうなると、下半期の20%成長も可能になってくるのですね。下半期で4割増しをしなければならないと考えると、ハードルは高いように見受けられますが、それをやり切れるだけの逆算はきちんとできているということですね。現状の機関投資家からの取材依頼状況は如何でしょうか。
回答者: 機関投資家からの取材の件数についてですが、件数は比較的多い方かと思います。特に決算発表後は増える傾向です。
取材者: 新規が多いのですか、それともIPOの上場時から継続している方々が多いのですか。
回答者: 半々よりも新規の方が多い印象でございます。もちろん定期的に継続して話している機関投資家様もいらっしゃいます。
取材者: なるほど。皆様、広告の効果を見極めている段階なのですね。
回答者: はい、おっしゃる通りでございます。
取材者: 期待値としましては、来期、再来期も20%程度の成長を期待する声は多いでしょうか。
回答者: グロース市場にいる以上、それは当然あるかと存じます。一度契約数のベースが上がった際は、収益も伸ばしやすい部分もございます。そのため、当社は安定的に増収し、例えば株主優待の変更など、株主還元についても議論しながら進めていきたいと考えております。
取材者: なるほど。ビジネスモデル上、広告をやめてしまいますと新規流入が減少してしまう部分もあると存じますので、ある程度の投資は必要ということですね。株主還元としては優待を実施されておりますが、将来的には配当なども検討されるのでしょうか。
回答者: 現状は、調達させていただいた資金を成長に使うことを最優先としております。
取材者: まだまだ投資すべき場所はございますね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: リリースで強調したいトピックスはございますか。
回答者: リリースとしましては、今後、提携先が許諾すればとなりますが、ShaaSに関連する新たなサービスが開始されたり、提携が締結されたりといった点に注目していただきたく存じます。新しい取り組みが進んでいることを示しております。
また、6月20日には実店舗もオープンいたしました。この店舗は計画に莫大な費用を計上しているわけではございませんが、新たなタッチポイントが増え、可能性を広げられると考えております。店舗を出店していくというよりも、売上向上や、買取サービスなどの機能拡充に繋げていきたいと考えております。
取材者: わかりました。他に、採用に関して、貴社は人材をそれほど必要としないのでしょうか。成長に対して、採用が進まないとボトルネックになるようなことはございますか。
回答者: オペレーションに関しては、やはり契約数の増加に伴い、当社の倉庫などの人員は増やす必要があります。
取材者: なるほど。貴社を見る上で、他に注目すべきリスクファクターはございますか。規制なども特に問題ございませんか。
回答者: 当社は古物などを扱っておりますので、規制は特に影響しないと考えております。古物商の資格を取得して事業を行っておりますが、それくらいでございます。あと、前払い式の資金決済も行っていますが、これも法律に沿って運用しております。
取材者: 現時点では、法的なリスクは特にないという認識で良いですか。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 購入した人がバッグを返さずにそのまま逃げてしまう、いわゆるデフォルトのようなものはございますか。
回答者: 一定数は発生いたします。そのため、決済回収の幅を広げたり、バッグに対して保険をかけるなどの対策を毎期実施しております。もちろん、これはリスクにもなり得る点でございますが、コントロール可能な範囲内だと考えております。入会時に審査をしっかり行っているため、そのようなリスクは極力排除しております。10年間事業を行っていますので、どのような人がリスクが高いかというノウハウもある程度蓄積されております。
取材者: データもあり、デフォルトのようなリスクはそれほど大きくないという認識でございます。
回答者: 一定量はあるものの、それによって決算が大幅な赤字になるようなものではなく、コントロールできる範囲内でございます。
取材者: 広告についてですが、自社で実施する部分と、代理店を使う部分の戦略はございますか。
回答者: 代理店の活用についてですが、当社は自社で運用している部分が多いです。しかし、10年間事業を行ってきた中で、広告に関して、当社の視点とは異なる改善点を見つけるため、外部の知見を借りる取り組みを開始しております。
取材者: 勝ちパターンを見つけつつも、より良いアイデアがないか、プロからの意見も取り入れているのですね。
回答者: はい、その通りでございます。
取材者: 最近はAIを使った広告も増えていますが、広告を出すのが難しくなっているという印象もございます。貴社独自の勝ちパターンはございますか。
回答者: キャッチコピーなどは、その時々によって変化すると思っております。AIによる広告配分の変更などは以前から行われており、その精度は向上していると認識しておりますが、一度手動に戻した方が良い結果が出たりすることもございますため、試しながら運用しております。
取材者: なるほど。AIを使った広告に関する規制などもニュースで拝見しましたが、この辺りは今後どのように変わっていくと考えておりますか。貴社は様々なノウハウを持っているため、どのような変化にもすぐ対応できるという認識でよろしいでしょうか。
回答者: はい、その通りでございます。当社は経験値として多くのノウハウを社内に蓄積しておりますので、手動であっても対応できるスキルや人材がおります。
取材者: わかりました。バッグの選定ですが、貴社の女性社員が選んでいるのですか。
回答者: 高級バッグの選定、資産の入れ替えに関してですが、調達時に、これまで数万点仕入れてきたデータに基づき、どのバッグが、どれくらい人気があるかなどをリスト化し、調達を決めております。これは、データドリブンで行っており、精度はかなり上がっております。しかし、一方で、人気のあるバッグばかりに偏りますと、満足度は高いかもしれませんが、面白みに欠けるお店になってしまうという課題もございます。当社はアプリですが、ワールドでの経験から、入店時にあえて色味の違うものや、トレンド性の高いものを置いて、お客様に興味を持ってもらうことも重要だと考えております。そのため、新しいものにも挑戦していかなければならないと考えております。
取材者: 人気のバッグばかりではないのですね。
回答者: はい、その通りでございます。新しく流行しているブランドなども積極的に取り入れていく必要がございます。
取材者: わかりました。お時間いただきましてありがとうございました。
取材者: ありがとうございます。
取締役 執行役員 中尾 聡志様
執行役員 事業本部 本部長 秋岡 辰弥様
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