
ファーマライズホールディングス(株)
東証STD 2796
決算:5月末日
20251024
決算概要
令和8年5月期第1四半期(令和7年6月から8月)は、売上高16,753百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益152百万円(前年同期比188.5%増)と増収増益、四半期純利益は18百万円の損失(前年同期は131百万円の損失)となったものの、112百万円の損失縮小となりました。増収増益となった要因は、前年に実施したM&Aによる売上・利益貢献と、調剤薬局事業における調剤技術料算定への取り組み成果が出たことによるものです。
セグメント別または事業別の増減要因
セグメント別では、コア事業である売上高の84.5%を占める調剤薬局事業において、前年同期比で大きく増収増益となっていることが特筆するところになります。
主要KPIの進捗と変化
中期経営計では令和10年5月期の営業利益16億円を目標にしております。本年度は営業利益11億円を計画しておりますが、第1四半期においてはほぼ計画通り推移しております。営業利益の目標達成するうえで重要な指標としては処方せん枚数と処方せん単価(特に技術料単価)となります。処方せん枚数は前年のM&Aにより約19万枚増加(15,6%増)しており、技術料単価については既存店ベースで前年同期比+123円と順調に伸びております。
季節性・一過性要因の有無と影響
猛暑の影響で、患者の受診抑制がありました。処方せん枚数は減少傾向、処方せん単価は上昇するというこれまでにはない動向となりましたが、数量及び単価の変動による売上高及び利益に与える影響は軽微でほぼ計画通り推移しております。夏季の一過性の減少とみていて、気候が安定してきている第2四半期及び調剤薬局事業では繁忙期となる時期には例年通りの動向に戻ると考えております。
通期見通しと進捗率・達成可能性
前述のとおり、猛暑の影響はあったものの第1四半期はほぼ計画通り進捗しております。したがって、第2四半期以降は患者動向も例年通りになるものと考えており、処方せん応需枚数動向や金利上昇リスクにやや懸念があるものの、開示している業績予想通り進むものと思われます。
トピックス
本年度スタートした中期経営計画の主軸である調剤薬局事業の3つの成長戦略について、それぞれの項目別に2~3のタスクフォース(全8つ)を設置して取り組みを開始しました。早速、「患者中心の薬局運営の継続」における「相談目的の来局者の増加」のタスクフォースでは結果を出しており、当社オリジナルの認知症カフェ「カフェにゃーまらいず」の展開は、本年目標は50店舗で新規開催でしたが、すでに61店舗で開催しており、本年度目標を100店舗以上での開催に上方修正してさらに取り組んでいるところです。

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
決算概要
令和7年5月期の決算は、売上高が635億800万円で前期比16.6%の増加を達成した一方で、営業利益は2億9,300万円で同67.9%の減少、経常利益は1億3,600万円で同83.6%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス3億6,700万円の減益であった。売上高の増加は、主にM&AでGOOD AIDグループの買収及び寛一商店グループから薬局54店舗の営業権を譲り受けたこと(現運営会社:next PH株式会社)が最大の要因である。利益減少の要因は、M&Aに伴う費用やのれん償却費用を含めたGOOD AIDグループのネガティブインパクト、調剤薬局業界の「300店舗以上のルール」による技術料の引き下げ、および医薬品の仕入れ原価の上昇である。
季節性・一過性要因の有無と影響
令和7年5月期は、調剤事業において「300店舗以上のルール」の通年適用により、技術料が大きく引き下げられ、約5億円強のマイナス影響が発生した。この技術料低下分は、1年間かけて半分以上を取り返すことができた。また、M&Aに伴うのれん償却に加え、GOOD AIDグループの運営の混乱により大きな利益が上がらず、マイナス額の半分ほどを占めた。
通期見通しと進捗率・達成可能性
令和8年5月期の業績予想は、売上高667億9,500万円(前期比5.2%増)、営業利益11億2,300万円(同287.2%増)を見込む。達成可能性のポイントは、M&Aで取得したnext PHやGOOD AIDの収益改善と、既存事業の調剤報酬や処方箋増加策による増益効果であり、通期での貢献により大幅な増収増益を見込んでいる。
トピックス
2025年6月25日、新・中期経営計画を開示。M&Aにより取得した会社のPMIを徹底し、事業基盤の強化を図ることで飛躍を目指す。6つの成長戦略に対して明確なKPIを設定しており、実行に向けた準備が整った段階にある。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、調剤薬局事業を基軸として、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局づくりを目指します。国が目指す薬局像を追求し、従業員教育を徹底することで、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に利用していただくことを新・中期経営計画の主要な項目としています。具体的な成長戦略は6つあり、それぞれの戦略に対して具体的なKPIを設定し、実行に向けた準備を進めている段階です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:令和8年5月期の業績予想達成に向けた主な戦略は、M&Aで取得した現運営会社のnext PHとGOOD AIDの収益改善です。next PHについては、前期は4ヶ月分の営業権の譲受効果しか反映されていませんでしたが、今期は通期で反映されるため、前期比で営業利益が2億円弱増加する見込みです。GOOD AIDについても、PMIの進捗により収益改善が進んでおり、今期通期で2億円強の増加を見込んでいます。これらのM&A店舗の収益力向上に加え、既存事業の成長も見込んでいます。具体的には、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下分を回復させることで、今期1年を通して3億円弱の貢献を見込んでおり、処方箋枚数増加策により約3億円の増加を見込んでいます。一方で、毎年の薬価改定により、2億円弱のマイナスを見込んでいます。これらの増減を合わせ、M&A店舗と既存事業の成長により、全体で約8億円の営業利益の増加を見込んでいます。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:新・中期経営計画では、PMIを徹底し足場を固めて飛躍することを主眼としているため、しばらくは大規模なM&Aは控える方針です。ただし、数店舗規模の案件や、新規出店に近い良質な案件については、引き続き取得を検討します。これまでのような大規模な借入れを伴うM&Aは、現時点では方針にありません。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社は今年の6月25日に新・中期経営計画を開示しました。その中で、営業利益を非常に重要視しています。今後3年間で、営業利益を初年度である令和8年5月期の11億円から最終年度の令和10年5月期の16億円まで伸ばしていくことを目標としています。また、最終年度にはROIC4.5%の達成を目指しています。前年度が大きな減益だったこともあり、営業利益を回復させることが最も重要な目標です。新・中期経営計画では、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局作りを目指していきます。調剤薬局事業を基軸として進めていく方針ですので、従業員の教育をしっかりと行い、国が目指す薬局作りを目指しながら、より良い薬局を作っていくことを基本としています。これにより、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に来ていただくことが、この中期経営計画の主要な項目です。
令和7年5月期に、連結で前期比約6億円の営業利益のマイナスがありましたが、そのうち調剤事業で5億円のマイナスは、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下が主な要因です。その他に大きかったのが、GOOD AIDグループで、のれん償却に加え人員確保に苦慮した部分で運営が安定せず、より大きな利益が上がらなかったことによるものです。直近2つの大型M&A案件の収益性を当社の標準まで引き上げることにより、相応の利益改善が見込まれます。中期経営計画期間中にこれらをやり遂げることと、主軸である調剤薬局としてのあるべき姿を追求し、処方箋枚数を増やすことで利益を伸ばしていくことを考えています。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主優待と配当については、これまで通り継続していく方針です。取材者:まず、令和7年5月期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は635億800万円で前期比16.6%の増加、営業利益は2億9,300万円で同67.9%の減少、経常利益は1億3,600万円で同83.6%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス3億6,700万円とのことですが、売上高は業績予想に対して未達だったものの、前期比でかなり大幅な増収を達成されているかと思います。その増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:売上高の増加要因は、主にM&Aで取得した店舗です。GOOD AIDグループの買収と現在の運営会社であるnext PH株式会社が、寛一商店グループから薬局54店舗の営業権を譲り受けたことが最大の要因です。
取材者:M&Aによる店舗数の増加ですね。利益面についてはいかがですか。
回答者:令和7年5月期においては、第4四半期では、はだいぶ改善してきておりますが、上半期まではM&Aに伴う費用やのれんの増加が影響しました。加えて、初めての通年適用となった調剤薬局業界の「300店舗以上のルール」により、技術料が大きく引き下げられました。これにより、売上高は増加しましたが、利益面は減少しました。また、医薬品の仕入れ環境の変化により、原価が上昇したことも利益減少の一因です。
取材者:前期比での採用人数の推移についてはいかがですか。
回答者:店舗数が増加したことに伴い、採用コストもかかっています。特に、next PHよりも前の年度にグループ入りしたGOOD AIDグループは、人員確保が厳しく、採用コストがやや増加している状況です。社員の人数は、店舗数が増えたため、当然増加しています。
取材者:計画として、それほど遅れていないというイメージですか。
回答者:GOOD AIDについては、PMI(買収後の統合プロセス)の遅れが若干あり、最初の半期は利益が出ていませんでしたが、本部の管理業務効率化や、店舗運営の効率化、人員配置の見直しなどにより、後半にかけて改善してきています。next PHについては、当初は赤字を想定していましたが、取得した月から既に黒字を達成しており、予想以上に利益を上げることができています。
取材者:その他、重要視しているKPIや数値はございますか。
回答者:中期経営計画を今年の6月25日に開示しましたが、その中でも営業利益を非常に重要視しています。今後3年間で、営業利益を初年度である令和8年5月期の11億円から最終年度の令和10年5月期の16億円まで伸ばしていくことを目標としています。前年度が大きな減益だったこともあり、営業利益を回復させることが最も重要な目標です。また最終年度には、営業利益と同様に重要なKPIであるROICで4.5%を達成したいと考えています。
取材者:営業利益を増やすために、どのような重要な施策や取り組みを考えていますか。
回答者:この3年間は、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局作りを目指していきます。調剤薬局事業を基軸として進めていく方針ですので、従業員の教育をしっかりと行い、国が目指す薬局作りを目指しながら、より良い薬局を作っていくことを基本としています。これにより、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に来ていただくことが、この中期経営計画の主要な目指すべき成果です。
取材者:前期、令和7年5月期に業績に影響を与えた一過性の要因や、季節性・外的要因はございますか。
回答者:令和7年5月期は、連結で前期比で約6億円の営業利益のマイナスでした。そのうち、調剤事業で5億円、その他事業で1億円のマイナスです。調剤事業の5億円のマイナスは、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下が主な要因です。技術料の低下により5億円強のダメージがありましたが、1年間かけて半分以上は取り返すことができました。その他に大きかったのが、GOOD AIDグループです。のれん償却に加え、人員確保に苦慮した部分で運営が安定せず、より大きな利益が上がらなかったため、マイナス額の半分ほどを占めています。直近2つの大型M&A案件の収益性を当社の標準まで引き上げることにより、相応の利益改善が見込まれます。中期経営計画期間中にこれらをやり遂げることと、主軸である調剤薬局としてのあるべき姿を追求し、処方箋枚数を増やすことで利益を伸ばしていくことを考えています。その他事業は、今期比でややプラスを見込んでいます。特にnext PHは好調で、令和7年5月期においては、営業権の譲受効果が4か月分しか反映されていませんでしたが、令和8年5月期は通期で反映されることにより、大幅な改善が期待されます。
取材者:新・中期経営計画の達成に向けて、令和7年5月期は我慢の年だったという見方でよろしいですか。
回答者:令和7年5月期は「300店舗問題」による技術料の低下、人件費の増加、そしてGOOD AIDの想定よりも良くなかった業績が大きく影響しました。
取材者:令和8年5月期の業績予想は、売上高は667億9,500万円で前期比5.2%の増加、営業利益は11億2,300万円で同287.2%の増加、経常利益は9億4,100万円で同587.3%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2億6,600万円で大幅な増収増益を見込んでいるかと思いますが、見通しや具体的な施策について改めてご説明いただけますか。
回答者:まず、M&Aで取得したnext PHとGOOD AIDの収益改善が重要です。next PHについては、前期は4ヶ月分の貢献でしたが、今期は12ヶ月貢献することで、営業利益ベースで前期比2億円弱の増加を見込んでいます。GOOD AIDについても、収益改善が進んでおり、今期通期で2億円強の増加を見込んでいます。これで約4億円の増加となり、残りの4億円は既存の会社によるものです。調剤報酬の「300店舗ルール」による技術料の低下分を持ち直してきた分が、今期1年を通して3億円弱貢献する見込みです。また、処方箋枚数増加策により約3億円を見込んでいます。一方、毎年の薬価改定により、約2億円弱のマイナスを見込んでいます。これらの増減を合わせると、約4億円の増加となります。
増加分の半分はM&A店舗の収益力向上によるもので、残り半分は既存事業の成長によるもので、合わせて約8億円の増加を見込んでおります。
取材者:令和8年5月期以降のM&Aや業務提携の実施や検討状況について、お答えいただける範囲でお話いただけますか。
回答者:新・中期経営計画の方針として、PMIを徹底的に行い、足場を固めて飛躍することを主眼に置いています。そのため、しばらくは続けてきた大型のM&Aは控える方針です。ただし、数店舗規模の案件や、新規出店に近い良質な案件については取得を検討します。これまでのように大規模な借入れを伴うM&Aは、現時点では方針にありません。
取材者:株主還元の方針に変更はございますか。
回答者:株主優待と配当については、これまで通り継続いたします。
取材者:最後に、直近の足元の状況について、トピックスやニュースリリースはございますか。
回答者:新・中期経営計画のリリースでは、具体的な成長戦略が6つ記載されています。これらの各成長戦略に対して、具体的なKPIを設定しています。各タスクフォースで実行し、経営会議で進捗を確認するなど、実行のための下準備が整った段階です。
取締役 沼田 豊様
経営企画部 部長 寺本 尚徳様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
CP&X
1. ビジネスモデルや事業内容
都心部のみではなく、地方都市を中心にドミナント展開する調剤薬局チェーン。そのネットワークを活かし、施設調剤、在宅医療にも注力。グループ内にドラッグストア事業である「薬のヒグチ」を擁し、医薬品・健康食品・日用品等の幅広い商品を調剤薬局で展開する。また、自社開発の電子お薬手帳は、遠隔服薬指導やカード決済機能を備え、他社との差別化を図る。
2. 創業の経緯と転機となった出来事
創業者の大野氏が、卸売業勤務時代に関係を築いた医師からの依頼を受け、東京都文京区湯島に調剤薬局を開業したのが始まり。地域の医師との連携を深め、勉強会などを開催する中で事業を拡大。M&Aにも取り組み、業界に先駆けてチェーン薬局同士のM&Aを成功させた。
3. 直近の決算状況
第2四半期の決算は、調剤報酬改定の影響を受け業績予想を下方修正。M&Aによる店舗数拡大に伴い、PMIに関する課題解消に取り組んでいる。
4. 成長戦略
ドミナント展開による効率的な店舗運営を重視。M&Aもドミナント戦略の一環として活用し、事業拡大を図る。処方箋枚数増加のための戦略を検討中。ドラッグストア事業の強化にも取り組む。人材育成にも注力し、人的資本への投資を強化する。
5. 株主還元策
安定配当を維持。M&Aや新規出店、DX化などへの投資を優先するため、内部留保を重視。
6. 今期の取り組みやトピックス
電子処方箋への対応、電子お薬手帳の活用、電子薬歴のクラウド化などDX化を推進。業務効率化による人件費抑制にも取り組む。M&Aにより店舗数を拡大に伴い収益力改善を推し進める。
Q: 貴社の事業内容、ビジネスモデルにつきまして、他社と比較したときの特徴や強みは何ですか。
A:地方都市を中心にドミナント展開していることが特徴です。古くから在宅医療や施設調剤にも取り組んでいます。また、グループ会社にドラッグストア事業を持つため、調剤薬局にドラッグストアの商材を展開できることも強みです。さらに、自社開発の電子お薬手帳を活用し、遠隔服薬指導やカード決済などを実現しています。
Q: 健康サポート薬局の取得状況について教えてください。
A:健康サポート薬局の取得を積極的に進めており、業界標準と比較して取得比率が高いことが特徴です。健康サポート薬局の取得により、地域住民や医療機関との連携を強化し、地域包括ケアシステムへの貢献を目指しています。
Q: 貴社のドミナント展開について、都心部への展開方針はどういったものですか。
A: 基本的には、引き続き地方都市を中心としたドミナント展開を重視していきます。都心部への進出は、出店経費やランニングコストなどを考慮しながら、慎重に進める必要があると考えています。
Q:貴社の創業の経緯を教えてください。
A:創業者である取締役会長が、卸売業の社員時代に取引先のクリニックから依頼を受け、調剤薬局を開業したのが始まりです。その後、地域貢献や医療貢献の理念のもと、M&Aや新規出店を通じて事業を拡大してきました。
Q: M&Aの方針について教えてください。
A:地域に根ざした経営を行い、地域貢献に力を入れている企業を重視しています。また、既存の店舗とのシナジー効果も見込んでおり、ドミナント展開を強化できる企業とのM&Aを積極的に検討しています。
Q:DX企画の進捗状況について教えてください。
A:マイナ保険証や電子処方箋への対応、セキュリティ対策及び管理部門におけるリモートワーク対応などは完了しています。また、電子お薬手帳の活用や電子薬歴のクラウド化を進めています。さらに、調剤薬局におけるリモートワークの導入や業務効率化のためのシステム開発にも取り組んでいます。
Q:株主還元策について教えてください。
A:当面は安定配当を維持し、成長投資を優先していきます。M&Aや新規出店、DX推進など、将来の利益成長につながる投資に積極的に資金を投入していきます。
Q:成長戦略のポイントは何ですか。
A:応需処方箋枚数の増加、人件費の効率化、人的資本への投資を重視しています。また、規模の拡大による経営基盤の強化も重要な戦略です。M&Aや新規出店による事業拡大だけでなく、従業員の育成や定着率向上にも力を入れています。
取材者: それでは、早速取材を始めさせていただきます。
回答者: はい、よろしくお願いいたします。
取材者: 貴社の事業内容とビジネスモデルについて、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか。
回答者: 地方を中心にドミナント展開していることが特徴です。調剤薬局業界では、高齢化社会や医療費抑制の観点から、施設調剤や在宅医療への対応が重要視されています。当社は古くから施設調剤や在宅医療を提供しており、薬剤師が施設等へ出向く必要のあるこれらのサービスにおいて、ドミナント展開は大きな強みとなります。
また、グループ会社にドラッグストアで扱う商材を展開できる「薬のヒグチ」があることも強みです。これは、医薬品と日用品を併売することで、顧客の利便性を高める戦略です。加えて、自社開発の電子お薬手帳は、遠隔服薬指導やカード決済にも対応しており、他社との差別化を図っています。
取材者: 調剤薬局事業の売上高の構成はどのようになっていますか?
回答者: 今上半期の売上高構成比では、処方箋調剤が約80%、OTC医薬品・衛生用品・健康食品等の商品販売が約15%となっています。
取材者: 他社との差別化という点では、具体的にどのような取り組みをされていますか?
回答者: 国が推進する「健康サポート薬局」の認定取得に力を入れています。健康サポート薬局とは、地域住民のかかりつけ薬局として、在宅医療への対応、介護サービスとの連携、行政機関との連携など、地域包括ケアシステムに貢献する薬局です。具体的には、健康相談や服薬指導、在宅医療への対応、介護サービスとの連携など、地域住民の健康をサポートするための様々な活動を行っています。
当社は、健康サポート薬局の認定取得を積極的に進めており、業界の中でも高い比率を達成しています。これは、地域医療への貢献を重視する当社の姿勢を示すものです。
取材者: 健康サポート薬局の具体的な取り組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
回答者: 健康相談では、薬剤師が患者様一人ひとりの健康状態や生活習慣を把握し、それに基づいたアドバイスを行っています。服薬指導では、薬の効果や副作用、飲み合わせなどを丁寧に説明し、患者様が安心して薬を服用できるようサポートしています。在宅医療では、薬剤師が患者様のご自宅に訪問し、服薬管理、健康状態の確認などを行っています。
取材者: 健康サポート薬局の比率が高いと、地域との結びつきは強くなりますか?
回答者: その通りです。行政、医療機関、介護事業所など、様々な関係機関と連携し、地域包括ケアシステムに貢献することで、地域との結びつきを強化しています。
取材者: 貴社の薬剤師は、地域との連携のために積極的に活動されているのですね。
回答者: ええ。在宅医療では、患者様のご自宅はもちろん、医療機関や介護事業所へも出向く必要があり、薬剤師には多職種との高いコミュニケーション能力が求められます。また、地域の医療機関や介護施設と連携し、患者様一人ひとりに最適な医療を提供できるよう努めています。
取材者: 外出して患者様と接する機会が多い中で、自社開発の電子お薬手帳はどのように役立ちますか?
回答者: 電子お薬手帳は、患者様の情報をクラウド上で安全に管理できるため、場所を問わずに情報共有できます。例えば、患者様のご自宅に訪問した際にも、薬剤師は電子お薬手帳を通じて、患者様の服薬状況やアレルギー情報などを確認することができます。
取材者: 電子お薬手帳の利用者数はどのくらいですか?
回答者: 現在、約12万人の患者様に利用いただいています。
取材者: なるほど。都心部への展開については、どのような方針をお持ちですか?
回答者: 基本的には、地方でのドミナント展開を重視しています。医療費抑制の観点から、効率的な店舗運営が求められる中、ドミナント展開は人材の融通を利かせ、人件費を抑制する上で有効な手段となります。また、地域に密着した医療を提供するという当社の理念とも合致しています。
取材者: 貴社の創業の経緯について教えてください。
回答者: 当社は、取締役会長である大野が創業しました。大野は、卸売業の社員時代に、地域の医師とのつながりがありました。あるとき、医師から薬局の経営を依頼されたことがきっかけで、創業に至りました。
取材者: 貴社のM&Aの方針について教えてください。
回答者: 地域に根ざした薬局を重視しています。また、既存の店舗とのシナジー効果も見込んでいます。M&Aによって、地域における医療サービスの充実を図るとともに、事業の効率化を推進しています。
取材者: 過去3年間で、何件のM&Aを実施しましたか?
回答者: 過去3年間で、小規模の物も含めると計10件程度のM&Aを実施しました。
取材者:DX企画の進捗状況について教えてください。
回答者: マイナ保険証、電子処方箋への対応は完了しています。また、セキュリティ対策として、UTMの導入による店舗単位でのセキュリティ強化も完了しています。
さらに、電子お薬手帳を用いた服薬指導、調剤薬局店舗におけるリモートワーク体制の整備など、DXを推進しています。
取材者: リモートワーク体制はどのように整備されていますか?
回答者: サーバーのクラウド化により、場所を問わずに社内システムにアクセスできる環境を構築しています。これにより、従業員の柔軟な働き方を支援するとともに、業務効率の向上を図っています。
取材者: 電子お薬手帳の今後の展望について教えてください。
回答者: 電子お薬手帳は、患者様と医療従事者間の情報共有を促進し、より質の高い医療サービスの提供に貢献できると考えています。また、将来的には、健康管理アプリとの連携など、更なる機能拡充を検討しています。
取材者: その他に、DX化で取り組んでいることはありますか?
回答者: 電子薬歴のクラウド化を進めています。これにより、薬剤師は、患者様の薬歴をいつでもどこでも確認することができるようになり、より適切な服薬指導が可能となります。また、入力業務のリモート化など、業務効率化のためのDXにも取り組んでいます。具体的には、処方箋入力、レセプト請求業務などをリモートで行うことで、薬剤師が本来業務に集中できる環境を整備しています。
取材者: 株主還元策について教えてください。
回答者: 当面は、安定配当を維持していく方針です。成長のための投資を優先し、配当は現在の水準で据え置かせていただきます。
取材者: 成長戦略のポイントについて教えてください。
回答者: 応需処方箋枚数の増加、人件費の効率化、そして人材育成を重視しています。
取材者: 人材育成については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 社内学術大会の開催、外部研修への参加支援など、社員の知識・スキル向上のための投資を行っています。また、資格取得支援制度など、従業員のキャリアアップを支援する制度も充実させています。
取材者: 人材の定着率はどのくらいですか?
回答者: 新卒採用者の3年後の定着率は約80%、中途採用者の3年後の定着率は約60%です。
取材者: 今後の事業展開について教えてください。
回答者: 医療報酬の引き下げなど、厳しい経営環境が予想される中、M&Aによる規模拡大、既存店の運営効率化などに取り組んでいきます。また、人材育成にも注力し、質の高い医療サービスを提供することで、地域社会に貢献していきます。
取材者: 具体的な目標や計画はありますか?
回答者: はい、現在、新規の中期経営計画を策定中です。具体的な目標や計画については、策定後、改めて公表させていただきます。
取材者: 新規出店については、どのような計画をお持ちですか?
回答者: ドミナント展開を基本としつつ、収益性を見極めながら、新規出店を検討していきます。
取材者: 人件費の効率化については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: リモート入力センターの導入、業務の標準化、変形労働制の運用進化を含む人員配置の最適化など、様々な取り組みを推進しています。
取締役 沼田豊様

ファーマライズホールディングス(株)
東証STD 2796
決算:5月末日
決算概要
令和8年5月期第1四半期(令和7年6月から8月)は、売上高16,753百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益152百万円(前年同期比188.5%増)と増収増益、四半期純利益は18百万円の損失(前年同期は131百万円の損失)となったものの、112百万円の損失縮小となりました。増収増益となった要因は、前年に実施したM&Aによる売上・利益貢献と、調剤薬局事業における調剤技術料算定への取り組み成果が出たことによるものです。
セグメント別または事業別の増減要因
セグメント別では、コア事業である売上高の84.5%を占める調剤薬局事業において、前年同期比で大きく増収増益となっていることが特筆するところになります。
主要KPIの進捗と変化
中期経営計では令和10年5月期の営業利益16億円を目標にしております。本年度は営業利益11億円を計画しておりますが、第1四半期においてはほぼ計画通り推移しております。営業利益の目標達成するうえで重要な指標としては処方せん枚数と処方せん単価(特に技術料単価)となります。処方せん枚数は前年のM&Aにより約19万枚増加(15,6%増)しており、技術料単価については既存店ベースで前年同期比+123円と順調に伸びております。
季節性・一過性要因の有無と影響
猛暑の影響で、患者の受診抑制がありました。処方せん枚数は減少傾向、処方せん単価は上昇するというこれまでにはない動向となりましたが、数量及び単価の変動による売上高及び利益に与える影響は軽微でほぼ計画通り推移しております。夏季の一過性の減少とみていて、気候が安定してきている第2四半期及び調剤薬局事業では繁忙期となる時期には例年通りの動向に戻ると考えております。
通期見通しと進捗率・達成可能性
前述のとおり、猛暑の影響はあったものの第1四半期はほぼ計画通り進捗しております。したがって、第2四半期以降は患者動向も例年通りになるものと考えており、処方せん応需枚数動向や金利上昇リスクにやや懸念があるものの、開示している業績予想通り進むものと思われます。
トピックス
本年度スタートした中期経営計画の主軸である調剤薬局事業の3つの成長戦略について、それぞれの項目別に2~3のタスクフォース(全8つ)を設置して取り組みを開始しました。早速、「患者中心の薬局運営の継続」における「相談目的の来局者の増加」のタスクフォースでは結果を出しており、当社オリジナルの認知症カフェ「カフェにゃーまらいず」の展開は、本年目標は50店舗で新規開催でしたが、すでに61店舗で開催しており、本年度目標を100店舗以上での開催に上方修正してさらに取り組んでいるところです。
取材アーカイブ
CP&X
決算概要
令和7年5月期の決算は、売上高が635億800万円で前期比16.6%の増加を達成した一方で、営業利益は2億9,300万円で同67.9%の減少、経常利益は1億3,600万円で同83.6%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス3億6,700万円の減益であった。売上高の増加は、主にM&AでGOOD AIDグループの買収及び寛一商店グループから薬局54店舗の営業権を譲り受けたこと(現運営会社:next PH株式会社)が最大の要因である。利益減少の要因は、M&Aに伴う費用やのれん償却費用を含めたGOOD AIDグループのネガティブインパクト、調剤薬局業界の「300店舗以上のルール」による技術料の引き下げ、および医薬品の仕入れ原価の上昇である。
季節性・一過性要因の有無と影響
令和7年5月期は、調剤事業において「300店舗以上のルール」の通年適用により、技術料が大きく引き下げられ、約5億円強のマイナス影響が発生した。この技術料低下分は、1年間かけて半分以上を取り返すことができた。また、M&Aに伴うのれん償却に加え、GOOD AIDグループの運営の混乱により大きな利益が上がらず、マイナス額の半分ほどを占めた。
通期見通しと進捗率・達成可能性
令和8年5月期の業績予想は、売上高667億9,500万円(前期比5.2%増)、営業利益11億2,300万円(同287.2%増)を見込む。達成可能性のポイントは、M&Aで取得したnext PHやGOOD AIDの収益改善と、既存事業の調剤報酬や処方箋増加策による増益効果であり、通期での貢献により大幅な増収増益を見込んでいる。
トピックス
2025年6月25日、新・中期経営計画を開示。M&Aにより取得した会社のPMIを徹底し、事業基盤の強化を図ることで飛躍を目指す。6つの成長戦略に対して明確なKPIを設定しており、実行に向けた準備が整った段階にある。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社は、調剤薬局事業を基軸として、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局づくりを目指します。国が目指す薬局像を追求し、従業員教育を徹底することで、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に利用していただくことを新・中期経営計画の主要な項目としています。具体的な成長戦略は6つあり、それぞれの戦略に対して具体的なKPIを設定し、実行に向けた準備を進めている段階です。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:令和8年5月期の業績予想達成に向けた主な戦略は、M&Aで取得した現運営会社のnext PHとGOOD AIDの収益改善です。next PHについては、前期は4ヶ月分の営業権の譲受効果しか反映されていませんでしたが、今期は通期で反映されるため、前期比で営業利益が2億円弱増加する見込みです。GOOD AIDについても、PMIの進捗により収益改善が進んでおり、今期通期で2億円強の増加を見込んでいます。これらのM&A店舗の収益力向上に加え、既存事業の成長も見込んでいます。具体的には、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下分を回復させることで、今期1年を通して3億円弱の貢献を見込んでおり、処方箋枚数増加策により約3億円の増加を見込んでいます。一方で、毎年の薬価改定により、2億円弱のマイナスを見込んでいます。これらの増減を合わせ、M&A店舗と既存事業の成長により、全体で約8億円の営業利益の増加を見込んでいます。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:新・中期経営計画では、PMIを徹底し足場を固めて飛躍することを主眼としているため、しばらくは大規模なM&Aは控える方針です。ただし、数店舗規模の案件や、新規出店に近い良質な案件については、引き続き取得を検討します。これまでのような大規模な借入れを伴うM&Aは、現時点では方針にありません。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:当社は今年の6月25日に新・中期経営計画を開示しました。その中で、営業利益を非常に重要視しています。今後3年間で、営業利益を初年度である令和8年5月期の11億円から最終年度の令和10年5月期の16億円まで伸ばしていくことを目標としています。また、最終年度にはROIC4.5%の達成を目指しています。前年度が大きな減益だったこともあり、営業利益を回復させることが最も重要な目標です。新・中期経営計画では、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局作りを目指していきます。調剤薬局事業を基軸として進めていく方針ですので、従業員の教育をしっかりと行い、国が目指す薬局作りを目指しながら、より良い薬局を作っていくことを基本としています。これにより、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に来ていただくことが、この中期経営計画の主要な項目です。
令和7年5月期に、連結で前期比約6億円の営業利益のマイナスがありましたが、そのうち調剤事業で5億円のマイナスは、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下が主な要因です。その他に大きかったのが、GOOD AIDグループで、のれん償却に加え人員確保に苦慮した部分で運営が安定せず、より大きな利益が上がらなかったことによるものです。直近2つの大型M&A案件の収益性を当社の標準まで引き上げることにより、相応の利益改善が見込まれます。中期経営計画期間中にこれらをやり遂げることと、主軸である調剤薬局としてのあるべき姿を追求し、処方箋枚数を増やすことで利益を伸ばしていくことを考えています。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主優待と配当については、これまで通り継続していく方針です。取材者:まず、令和7年5月期の決算状況についてお伺いいたします。売上高は635億800万円で前期比16.6%の増加、営業利益は2億9,300万円で同67.9%の減少、経常利益は1億3,600万円で同83.6%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益はマイナス3億6,700万円とのことですが、売上高は業績予想に対して未達だったものの、前期比でかなり大幅な増収を達成されているかと思います。その増減要因についてご説明いただけますか。
回答者:売上高の増加要因は、主にM&Aで取得した店舗です。GOOD AIDグループの買収と現在の運営会社であるnext PH株式会社が、寛一商店グループから薬局54店舗の営業権を譲り受けたことが最大の要因です。
取材者:M&Aによる店舗数の増加ですね。利益面についてはいかがですか。
回答者:令和7年5月期においては、第4四半期では、はだいぶ改善してきておりますが、上半期まではM&Aに伴う費用やのれんの増加が影響しました。加えて、初めての通年適用となった調剤薬局業界の「300店舗以上のルール」により、技術料が大きく引き下げられました。これにより、売上高は増加しましたが、利益面は減少しました。また、医薬品の仕入れ環境の変化により、原価が上昇したことも利益減少の一因です。
取材者:前期比での採用人数の推移についてはいかがですか。
回答者:店舗数が増加したことに伴い、採用コストもかかっています。特に、next PHよりも前の年度にグループ入りしたGOOD AIDグループは、人員確保が厳しく、採用コストがやや増加している状況です。社員の人数は、店舗数が増えたため、当然増加しています。
取材者:計画として、それほど遅れていないというイメージですか。
回答者:GOOD AIDについては、PMI(買収後の統合プロセス)の遅れが若干あり、最初の半期は利益が出ていませんでしたが、本部の管理業務効率化や、店舗運営の効率化、人員配置の見直しなどにより、後半にかけて改善してきています。next PHについては、当初は赤字を想定していましたが、取得した月から既に黒字を達成しており、予想以上に利益を上げることができています。
取材者:その他、重要視しているKPIや数値はございますか。
回答者:中期経営計画を今年の6月25日に開示しましたが、その中でも営業利益を非常に重要視しています。今後3年間で、営業利益を初年度である令和8年5月期の11億円から最終年度の令和10年5月期の16億円まで伸ばしていくことを目標としています。前年度が大きな減益だったこともあり、営業利益を回復させることが最も重要な目標です。また最終年度には、営業利益と同様に重要なKPIであるROICで4.5%を達成したいと考えています。
取材者:営業利益を増やすために、どのような重要な施策や取り組みを考えていますか。
回答者:この3年間は、M&Aで取得した会社のPMIを徹底的に行い、当社の基準に合わせた営業と薬局作りを目指していきます。調剤薬局事業を基軸として進めていく方針ですので、従業員の教育をしっかりと行い、国が目指す薬局作りを目指しながら、より良い薬局を作っていくことを基本としています。これにより、処方箋枚数を増やし、より多くの患者様に来ていただくことが、この中期経営計画の主要な目指すべき成果です。
取材者:前期、令和7年5月期に業績に影響を与えた一過性の要因や、季節性・外的要因はございますか。
回答者:令和7年5月期は、連結で前期比で約6億円の営業利益のマイナスでした。そのうち、調剤事業で5億円、その他事業で1億円のマイナスです。調剤事業の5億円のマイナスは、「300店舗以上のルール」適用による技術料の低下が主な要因です。技術料の低下により5億円強のダメージがありましたが、1年間かけて半分以上は取り返すことができました。その他に大きかったのが、GOOD AIDグループです。のれん償却に加え、人員確保に苦慮した部分で運営が安定せず、より大きな利益が上がらなかったため、マイナス額の半分ほどを占めています。直近2つの大型M&A案件の収益性を当社の標準まで引き上げることにより、相応の利益改善が見込まれます。中期経営計画期間中にこれらをやり遂げることと、主軸である調剤薬局としてのあるべき姿を追求し、処方箋枚数を増やすことで利益を伸ばしていくことを考えています。その他事業は、今期比でややプラスを見込んでいます。特にnext PHは好調で、令和7年5月期においては、営業権の譲受効果が4か月分しか反映されていませんでしたが、令和8年5月期は通期で反映されることにより、大幅な改善が期待されます。
取材者:新・中期経営計画の達成に向けて、令和7年5月期は我慢の年だったという見方でよろしいですか。
回答者:令和7年5月期は「300店舗問題」による技術料の低下、人件費の増加、そしてGOOD AIDの想定よりも良くなかった業績が大きく影響しました。
取材者:令和8年5月期の業績予想は、売上高は667億9,500万円で前期比5.2%の増加、営業利益は11億2,300万円で同287.2%の増加、経常利益は9億4,100万円で同587.3%の増加、親会社株主に帰属する当期純利益は2億6,600万円で大幅な増収増益を見込んでいるかと思いますが、見通しや具体的な施策について改めてご説明いただけますか。
回答者:まず、M&Aで取得したnext PHとGOOD AIDの収益改善が重要です。next PHについては、前期は4ヶ月分の貢献でしたが、今期は12ヶ月貢献することで、営業利益ベースで前期比2億円弱の増加を見込んでいます。GOOD AIDについても、収益改善が進んでおり、今期通期で2億円強の増加を見込んでいます。これで約4億円の増加となり、残りの4億円は既存の会社によるものです。調剤報酬の「300店舗ルール」による技術料の低下分を持ち直してきた分が、今期1年を通して3億円弱貢献する見込みです。また、処方箋枚数増加策により約3億円を見込んでいます。一方、毎年の薬価改定により、約2億円弱のマイナスを見込んでいます。これらの増減を合わせると、約4億円の増加となります。
増加分の半分はM&A店舗の収益力向上によるもので、残り半分は既存事業の成長によるもので、合わせて約8億円の増加を見込んでおります。
取材者:令和8年5月期以降のM&Aや業務提携の実施や検討状況について、お答えいただける範囲でお話いただけますか。
回答者:新・中期経営計画の方針として、PMIを徹底的に行い、足場を固めて飛躍することを主眼に置いています。そのため、しばらくは続けてきた大型のM&Aは控える方針です。ただし、数店舗規模の案件や、新規出店に近い良質な案件については取得を検討します。これまでのように大規模な借入れを伴うM&Aは、現時点では方針にありません。
取材者:株主還元の方針に変更はございますか。
回答者:株主優待と配当については、これまで通り継続いたします。
取材者:最後に、直近の足元の状況について、トピックスやニュースリリースはございますか。
回答者:新・中期経営計画のリリースでは、具体的な成長戦略が6つ記載されています。これらの各成長戦略に対して、具体的なKPIを設定しています。各タスクフォースで実行し、経営会議で進捗を確認するなど、実行のための下準備が整った段階です。
取締役 沼田 豊様
経営企画部 部長 寺本 尚徳様
取材アーカイブ
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1. ビジネスモデルや事業内容
都心部のみではなく、地方都市を中心にドミナント展開する調剤薬局チェーン。そのネットワークを活かし、施設調剤、在宅医療にも注力。グループ内にドラッグストア事業である「薬のヒグチ」を擁し、医薬品・健康食品・日用品等の幅広い商品を調剤薬局で展開する。また、自社開発の電子お薬手帳は、遠隔服薬指導やカード決済機能を備え、他社との差別化を図る。
2. 創業の経緯と転機となった出来事
創業者の大野氏が、卸売業勤務時代に関係を築いた医師からの依頼を受け、東京都文京区湯島に調剤薬局を開業したのが始まり。地域の医師との連携を深め、勉強会などを開催する中で事業を拡大。M&Aにも取り組み、業界に先駆けてチェーン薬局同士のM&Aを成功させた。
3. 直近の決算状況
第2四半期の決算は、調剤報酬改定の影響を受け業績予想を下方修正。M&Aによる店舗数拡大に伴い、PMIに関する課題解消に取り組んでいる。
4. 成長戦略
ドミナント展開による効率的な店舗運営を重視。M&Aもドミナント戦略の一環として活用し、事業拡大を図る。処方箋枚数増加のための戦略を検討中。ドラッグストア事業の強化にも取り組む。人材育成にも注力し、人的資本への投資を強化する。
5. 株主還元策
安定配当を維持。M&Aや新規出店、DX化などへの投資を優先するため、内部留保を重視。
6. 今期の取り組みやトピックス
電子処方箋への対応、電子お薬手帳の活用、電子薬歴のクラウド化などDX化を推進。業務効率化による人件費抑制にも取り組む。M&Aにより店舗数を拡大に伴い収益力改善を推し進める。
Q: 貴社の事業内容、ビジネスモデルにつきまして、他社と比較したときの特徴や強みは何ですか。
A:地方都市を中心にドミナント展開していることが特徴です。古くから在宅医療や施設調剤にも取り組んでいます。また、グループ会社にドラッグストア事業を持つため、調剤薬局にドラッグストアの商材を展開できることも強みです。さらに、自社開発の電子お薬手帳を活用し、遠隔服薬指導やカード決済などを実現しています。
Q: 健康サポート薬局の取得状況について教えてください。
A:健康サポート薬局の取得を積極的に進めており、業界標準と比較して取得比率が高いことが特徴です。健康サポート薬局の取得により、地域住民や医療機関との連携を強化し、地域包括ケアシステムへの貢献を目指しています。
Q: 貴社のドミナント展開について、都心部への展開方針はどういったものですか。
A: 基本的には、引き続き地方都市を中心としたドミナント展開を重視していきます。都心部への進出は、出店経費やランニングコストなどを考慮しながら、慎重に進める必要があると考えています。
Q:貴社の創業の経緯を教えてください。
A:創業者である取締役会長が、卸売業の社員時代に取引先のクリニックから依頼を受け、調剤薬局を開業したのが始まりです。その後、地域貢献や医療貢献の理念のもと、M&Aや新規出店を通じて事業を拡大してきました。
Q: M&Aの方針について教えてください。
A:地域に根ざした経営を行い、地域貢献に力を入れている企業を重視しています。また、既存の店舗とのシナジー効果も見込んでおり、ドミナント展開を強化できる企業とのM&Aを積極的に検討しています。
Q:DX企画の進捗状況について教えてください。
A:マイナ保険証や電子処方箋への対応、セキュリティ対策及び管理部門におけるリモートワーク対応などは完了しています。また、電子お薬手帳の活用や電子薬歴のクラウド化を進めています。さらに、調剤薬局におけるリモートワークの導入や業務効率化のためのシステム開発にも取り組んでいます。
Q:株主還元策について教えてください。
A:当面は安定配当を維持し、成長投資を優先していきます。M&Aや新規出店、DX推進など、将来の利益成長につながる投資に積極的に資金を投入していきます。
Q:成長戦略のポイントは何ですか。
A:応需処方箋枚数の増加、人件費の効率化、人的資本への投資を重視しています。また、規模の拡大による経営基盤の強化も重要な戦略です。M&Aや新規出店による事業拡大だけでなく、従業員の育成や定着率向上にも力を入れています。
取材者: それでは、早速取材を始めさせていただきます。
回答者: はい、よろしくお願いいたします。
取材者: 貴社の事業内容とビジネスモデルについて、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか。
回答者: 地方を中心にドミナント展開していることが特徴です。調剤薬局業界では、高齢化社会や医療費抑制の観点から、施設調剤や在宅医療への対応が重要視されています。当社は古くから施設調剤や在宅医療を提供しており、薬剤師が施設等へ出向く必要のあるこれらのサービスにおいて、ドミナント展開は大きな強みとなります。
また、グループ会社にドラッグストアで扱う商材を展開できる「薬のヒグチ」があることも強みです。これは、医薬品と日用品を併売することで、顧客の利便性を高める戦略です。加えて、自社開発の電子お薬手帳は、遠隔服薬指導やカード決済にも対応しており、他社との差別化を図っています。
取材者: 調剤薬局事業の売上高の構成はどのようになっていますか?
回答者: 今上半期の売上高構成比では、処方箋調剤が約80%、OTC医薬品・衛生用品・健康食品等の商品販売が約15%となっています。
取材者: 他社との差別化という点では、具体的にどのような取り組みをされていますか?
回答者: 国が推進する「健康サポート薬局」の認定取得に力を入れています。健康サポート薬局とは、地域住民のかかりつけ薬局として、在宅医療への対応、介護サービスとの連携、行政機関との連携など、地域包括ケアシステムに貢献する薬局です。具体的には、健康相談や服薬指導、在宅医療への対応、介護サービスとの連携など、地域住民の健康をサポートするための様々な活動を行っています。
当社は、健康サポート薬局の認定取得を積極的に進めており、業界の中でも高い比率を達成しています。これは、地域医療への貢献を重視する当社の姿勢を示すものです。
取材者: 健康サポート薬局の具体的な取り組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
回答者: 健康相談では、薬剤師が患者様一人ひとりの健康状態や生活習慣を把握し、それに基づいたアドバイスを行っています。服薬指導では、薬の効果や副作用、飲み合わせなどを丁寧に説明し、患者様が安心して薬を服用できるようサポートしています。在宅医療では、薬剤師が患者様のご自宅に訪問し、服薬管理、健康状態の確認などを行っています。
取材者: 健康サポート薬局の比率が高いと、地域との結びつきは強くなりますか?
回答者: その通りです。行政、医療機関、介護事業所など、様々な関係機関と連携し、地域包括ケアシステムに貢献することで、地域との結びつきを強化しています。
取材者: 貴社の薬剤師は、地域との連携のために積極的に活動されているのですね。
回答者: ええ。在宅医療では、患者様のご自宅はもちろん、医療機関や介護事業所へも出向く必要があり、薬剤師には多職種との高いコミュニケーション能力が求められます。また、地域の医療機関や介護施設と連携し、患者様一人ひとりに最適な医療を提供できるよう努めています。
取材者: 外出して患者様と接する機会が多い中で、自社開発の電子お薬手帳はどのように役立ちますか?
回答者: 電子お薬手帳は、患者様の情報をクラウド上で安全に管理できるため、場所を問わずに情報共有できます。例えば、患者様のご自宅に訪問した際にも、薬剤師は電子お薬手帳を通じて、患者様の服薬状況やアレルギー情報などを確認することができます。
取材者: 電子お薬手帳の利用者数はどのくらいですか?
回答者: 現在、約12万人の患者様に利用いただいています。
取材者: なるほど。都心部への展開については、どのような方針をお持ちですか?
回答者: 基本的には、地方でのドミナント展開を重視しています。医療費抑制の観点から、効率的な店舗運営が求められる中、ドミナント展開は人材の融通を利かせ、人件費を抑制する上で有効な手段となります。また、地域に密着した医療を提供するという当社の理念とも合致しています。
取材者: 貴社の創業の経緯について教えてください。
回答者: 当社は、取締役会長である大野が創業しました。大野は、卸売業の社員時代に、地域の医師とのつながりがありました。あるとき、医師から薬局の経営を依頼されたことがきっかけで、創業に至りました。
取材者: 貴社のM&Aの方針について教えてください。
回答者: 地域に根ざした薬局を重視しています。また、既存の店舗とのシナジー効果も見込んでいます。M&Aによって、地域における医療サービスの充実を図るとともに、事業の効率化を推進しています。
取材者: 過去3年間で、何件のM&Aを実施しましたか?
回答者: 過去3年間で、小規模の物も含めると計10件程度のM&Aを実施しました。
取材者:DX企画の進捗状況について教えてください。
回答者: マイナ保険証、電子処方箋への対応は完了しています。また、セキュリティ対策として、UTMの導入による店舗単位でのセキュリティ強化も完了しています。
さらに、電子お薬手帳を用いた服薬指導、調剤薬局店舗におけるリモートワーク体制の整備など、DXを推進しています。
取材者: リモートワーク体制はどのように整備されていますか?
回答者: サーバーのクラウド化により、場所を問わずに社内システムにアクセスできる環境を構築しています。これにより、従業員の柔軟な働き方を支援するとともに、業務効率の向上を図っています。
取材者: 電子お薬手帳の今後の展望について教えてください。
回答者: 電子お薬手帳は、患者様と医療従事者間の情報共有を促進し、より質の高い医療サービスの提供に貢献できると考えています。また、将来的には、健康管理アプリとの連携など、更なる機能拡充を検討しています。
取材者: その他に、DX化で取り組んでいることはありますか?
回答者: 電子薬歴のクラウド化を進めています。これにより、薬剤師は、患者様の薬歴をいつでもどこでも確認することができるようになり、より適切な服薬指導が可能となります。また、入力業務のリモート化など、業務効率化のためのDXにも取り組んでいます。具体的には、処方箋入力、レセプト請求業務などをリモートで行うことで、薬剤師が本来業務に集中できる環境を整備しています。
取材者: 株主還元策について教えてください。
回答者: 当面は、安定配当を維持していく方針です。成長のための投資を優先し、配当は現在の水準で据え置かせていただきます。
取材者: 成長戦略のポイントについて教えてください。
回答者: 応需処方箋枚数の増加、人件費の効率化、そして人材育成を重視しています。
取材者: 人材育成については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 社内学術大会の開催、外部研修への参加支援など、社員の知識・スキル向上のための投資を行っています。また、資格取得支援制度など、従業員のキャリアアップを支援する制度も充実させています。
取材者: 人材の定着率はどのくらいですか?
回答者: 新卒採用者の3年後の定着率は約80%、中途採用者の3年後の定着率は約60%です。
取材者: 今後の事業展開について教えてください。
回答者: 医療報酬の引き下げなど、厳しい経営環境が予想される中、M&Aによる規模拡大、既存店の運営効率化などに取り組んでいきます。また、人材育成にも注力し、質の高い医療サービスを提供することで、地域社会に貢献していきます。
取材者: 具体的な目標や計画はありますか?
回答者: はい、現在、新規の中期経営計画を策定中です。具体的な目標や計画については、策定後、改めて公表させていただきます。
取材者: 新規出店については、どのような計画をお持ちですか?
回答者: ドミナント展開を基本としつつ、収益性を見極めながら、新規出店を検討していきます。
取材者: 人件費の効率化については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: リモート入力センターの導入、業務の標準化、変形労働制の運用進化を含む人員配置の最適化など、様々な取り組みを推進しています。
取締役 沼田豊様
