取材者: それでは、早速取材を始めさせていただきます。
回答者: はい、よろしくお願いいたします。
取材者: 貴社の事業内容とビジネスモデルについて、他社と比較したときの特徴や強みを踏まえながらご説明いただけますか。
回答者: 地方を中心にドミナント展開していることが特徴です。調剤薬局業界では、高齢化社会や医療費抑制の観点から、施設調剤や在宅医療への対応が重要視されています。当社は古くから施設調剤や在宅医療を提供しており、薬剤師が施設等へ出向く必要のあるこれらのサービスにおいて、ドミナント展開は大きな強みとなります。
また、グループ会社にドラッグストアで扱う商材を展開できる「薬のヒグチ」があることも強みです。これは、医薬品と日用品を併売することで、顧客の利便性を高める戦略です。加えて、自社開発の電子お薬手帳は、遠隔服薬指導やカード決済にも対応しており、他社との差別化を図っています。
取材者: 調剤薬局事業の売上高の構成はどのようになっていますか?
回答者: 今上半期の売上高構成比では、処方箋調剤が約80%、OTC医薬品・衛生用品・健康食品等の商品販売が約15%となっています。
取材者: 他社との差別化という点では、具体的にどのような取り組みをされていますか?
回答者: 国が推進する「健康サポート薬局」の認定取得に力を入れています。健康サポート薬局とは、地域住民のかかりつけ薬局として、在宅医療への対応、介護サービスとの連携、行政機関との連携など、地域包括ケアシステムに貢献する薬局です。具体的には、健康相談や服薬指導、在宅医療への対応、介護サービスとの連携など、地域住民の健康をサポートするための様々な活動を行っています。
当社は、健康サポート薬局の認定取得を積極的に進めており、業界の中でも高い比率を達成しています。これは、地域医療への貢献を重視する当社の姿勢を示すものです。
取材者: 健康サポート薬局の具体的な取り組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
回答者: 健康相談では、薬剤師が患者様一人ひとりの健康状態や生活習慣を把握し、それに基づいたアドバイスを行っています。服薬指導では、薬の効果や副作用、飲み合わせなどを丁寧に説明し、患者様が安心して薬を服用できるようサポートしています。在宅医療では、薬剤師が患者様のご自宅に訪問し、服薬管理、健康状態の確認などを行っています。
取材者: 健康サポート薬局の比率が高いと、地域との結びつきは強くなりますか?
回答者: その通りです。行政、医療機関、介護事業所など、様々な関係機関と連携し、地域包括ケアシステムに貢献することで、地域との結びつきを強化しています。
取材者: 貴社の薬剤師は、地域との連携のために積極的に活動されているのですね。
回答者: ええ。在宅医療では、患者様のご自宅はもちろん、医療機関や介護事業所へも出向く必要があり、薬剤師には多職種との高いコミュニケーション能力が求められます。また、地域の医療機関や介護施設と連携し、患者様一人ひとりに最適な医療を提供できるよう努めています。
取材者: 外出して患者様と接する機会が多い中で、自社開発の電子お薬手帳はどのように役立ちますか?
回答者: 電子お薬手帳は、患者様の情報をクラウド上で安全に管理できるため、場所を問わずに情報共有できます。例えば、患者様のご自宅に訪問した際にも、薬剤師は電子お薬手帳を通じて、患者様の服薬状況やアレルギー情報などを確認することができます。
取材者: 電子お薬手帳の利用者数はどのくらいですか?
回答者: 現在、約12万人の患者様に利用いただいています。
取材者: なるほど。都心部への展開については、どのような方針をお持ちですか?
回答者: 基本的には、地方でのドミナント展開を重視しています。医療費抑制の観点から、効率的な店舗運営が求められる中、ドミナント展開は人材の融通を利かせ、人件費を抑制する上で有効な手段となります。また、地域に密着した医療を提供するという当社の理念とも合致しています。
取材者: 貴社の創業の経緯について教えてください。
回答者: 当社は、取締役会長である大野が創業しました。大野は、卸売業の社員時代に、地域の医師とのつながりがありました。あるとき、医師から薬局の経営を依頼されたことがきっかけで、創業に至りました。
取材者: 貴社のM&Aの方針について教えてください。
回答者: 地域に根ざした薬局を重視しています。また、既存の店舗とのシナジー効果も見込んでいます。M&Aによって、地域における医療サービスの充実を図るとともに、事業の効率化を推進しています。
取材者: 過去3年間で、何件のM&Aを実施しましたか?
回答者: 過去3年間で、小規模の物も含めると計10件程度のM&Aを実施しました。
取材者:DX企画の進捗状況について教えてください。
回答者: マイナ保険証、電子処方箋への対応は完了しています。また、セキュリティ対策として、UTMの導入による店舗単位でのセキュリティ強化も完了しています。
さらに、電子お薬手帳を用いた服薬指導、調剤薬局店舗におけるリモートワーク体制の整備など、DXを推進しています。
取材者: リモートワーク体制はどのように整備されていますか?
回答者: サーバーのクラウド化により、場所を問わずに社内システムにアクセスできる環境を構築しています。これにより、従業員の柔軟な働き方を支援するとともに、業務効率の向上を図っています。
取材者: 電子お薬手帳の今後の展望について教えてください。
回答者: 電子お薬手帳は、患者様と医療従事者間の情報共有を促進し、より質の高い医療サービスの提供に貢献できると考えています。また、将来的には、健康管理アプリとの連携など、更なる機能拡充を検討しています。
取材者: その他に、DX化で取り組んでいることはありますか?
回答者: 電子薬歴のクラウド化を進めています。これにより、薬剤師は、患者様の薬歴をいつでもどこでも確認することができるようになり、より適切な服薬指導が可能となります。また、入力業務のリモート化など、業務効率化のためのDXにも取り組んでいます。具体的には、処方箋入力、レセプト請求業務などをリモートで行うことで、薬剤師が本来業務に集中できる環境を整備しています。
取材者: 株主還元策について教えてください。
回答者: 当面は、安定配当を維持していく方針です。成長のための投資を優先し、配当は現在の水準で据え置かせていただきます。
取材者: 成長戦略のポイントについて教えてください。
回答者: 応需処方箋枚数の増加、人件費の効率化、そして人材育成を重視しています。
取材者: 人材育成については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: 社内学術大会の開催、外部研修への参加支援など、社員の知識・スキル向上のための投資を行っています。また、資格取得支援制度など、従業員のキャリアアップを支援する制度も充実させています。
取材者: 人材の定着率はどのくらいですか?
回答者: 新卒採用者の3年後の定着率は約80%、中途採用者の3年後の定着率は約60%です。
取材者: 今後の事業展開について教えてください。
回答者: 医療報酬の引き下げなど、厳しい経営環境が予想される中、M&Aによる規模拡大、既存店の運営効率化などに取り組んでいきます。また、人材育成にも注力し、質の高い医療サービスを提供することで、地域社会に貢献していきます。
取材者: 具体的な目標や計画はありますか?
回答者: はい、現在、新規の中期経営計画を策定中です。具体的な目標や計画については、策定後、改めて公表させていただきます。
取材者: 新規出店については、どのような計画をお持ちですか?
回答者: ドミナント展開を基本としつつ、収益性を見極めながら、新規出店を検討していきます。
取材者: 人件費の効率化については、どのような取り組みをされていますか?
回答者: リモート入力センターの導入、業務の標準化、変形労働制の運用進化を含む人員配置の最適化など、様々な取り組みを推進しています。