20250207
Q:貴社のビジネスモデル、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?
A:当社グループは、親会社エスプールと子会社8社で構成されております。エスプールは事業持ち株会社としての機能と新規事業開発を担い、事業化したものを子会社化していく形でグループを形成しております。M&Aによる成長ではなく、基本的にオーガニックな成長を遂げてきた会社です。ただし、ブルーグリーンという会社は4年前に買収した会社になります。
Q:会計上の事業セグメントは、どのように区分されておりますでしょうか?
A:会計上の事業セグメントは、ビジネスソリューションと人材ソリューションの二つに区分され、売上構成は約半々ですが、利益構成ではビジネスソリューションが8割となっています。 当社は元々、人材ソリューションの派遣サービスが売上を大きく占めており、5年前には人材ソリューション事業が売上の7割、利益も7割を占めていました。
Q:以前は人材ソリューション、特に派遣ビジネスが売上、利益ともに大きく占めていたとのことですが、現在の事業戦略についてはいかがでしょうか?
A:派遣ビジネスは市場規模が大きい一方、差別化が難しく利益率も低いという課題があります。 したがって、人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあっても高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっております。 具体的には、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの三つに注力しております。 これらは成長性が見込め、かつ当社の特徴や優位性を発揮できる領域であり、結果として高い利益率を確保できております。 例えば、障がい者雇用の昨年の売上は80億円で、営業利益率は約35%、環境コンサルティングは約40~45%、広域行政BPOは約20~30%となっております。 一方で、人材ソリューションの売上規模は100億円を超えておりますが、営業利益率は約8%にとどまっております。
Q:貴社は社会課題の解決にも積極的に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動を行っていますでしょうか?
A:当社は「事業活動を通じて社会課題を解決する」というミッションを掲げ、雇用機会の少ない方への雇用創出、環境問題への取り組み支援、地方創生などをキーワードに事業展開しております。
Q:貴社の歴史についてもお伺いできますでしょうか?
A:当社はリーマンショックの際に債務超過に陥り、厳しい時期を経験いたしました。 その後、社会課題解決を目的とした事業に転換し、復活を遂げました。 創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かし、大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っていました。 しかし、ITバブル崩壊後の景気回復により、大学生の就職状況が改善したため、短期の派遣事業に参入しました。 その後、リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げました。
Q:貴社の特徴や強みについて、注力事業を中心に詳しくお伺いできますでしょうか?
A:投資家様に高く評価いただいているのは、障がい者雇用のビジネスです。 日本では障害者雇用促進法により、企業は従業員数の2.5%の障がい者を雇用することが義務付けられております。 しかし、多くの企業、特に中小企業では、この雇用率を達成できていないのが現状です。 その理由として、障がい者雇用に対する意識の低さ、雇用管理の難しさなどが挙げられます。 特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は進んでおらず、深刻な課題となっております。 そこで当社は、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、主に知的と精神障がい者雇用を支援しております。 具体的には、東名阪に53施設の農園を設け、企業に貸し出すことで、障がい者の方の雇用場所を提供しております。 収穫された野菜は、飲食店や社員食堂などで有効活用されております。 このビジネスモデルは、障がい者の方の定着率の高さ、社会貢献性、収益性のバランスがとれている点が高く評価されております。
Q:障がい者雇用を始めるに至ったきっかけは何だったのでしょうか?
A:当社は元々、人材派遣事業を行っていたため、障がい者雇用促進法の存在は認識しておりました。 しかし、実際に障がい者雇用に取り組んでみると、様々な課題に直面しました。 特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は難しく、彼らの多くが経済的に困窮している現状を目の当たりにしました。 そこで、何か彼らにできることはないかと模索する中で、農業に着目しました。 農業は、知的障がい者の方にとって働きやすく、やりがいを感じやすい仕事であり、社会貢献性も高いという点で、最適な選択肢だと考えました。
Q:なぜ農業に目をつけられたのでしょうか?
A:様々な福祉施設を視察する中で、知的障がい者の方が生き生きと働いている姿を見ることができました。 文献調査の結果、知的障がい者と農業の親和性の高さ、農福連携の重要性などを認識し、農業という選択肢が有力となりました。 しかし、農業で収益を上げることは容易ではありません。 そこで、収穫された野菜を社員食堂などで活用することで、収益性と社会貢献性を両立させるビジネスモデルを構築しました。
Q:福祉ビジネスは、国からの給付金や助成金に依存している企業が多いと思いますが、貴社はいかがでしょうか?
A:多くの福祉関連企業は、国からの公的資金に依存しております。 しかし、当社は国からの助成金等は一切受けておらず、全て企業様からのサービス対価として収益を上げております。 これにより、介護報酬改定などのリスクに左右されることなく、安定的な経営基盤を構築できております。
Q:環境コンサルティング事業の今後の見通しについてはいかがでしょうか?
A:環境コンサルティング事業は、4年前にM&Aによりグループに参画したブルーグリーンが担っております。 当初は従業員数名、売上1億円程度の小規模事業でしたが、現在は売上15億円を超え、営業利益率も4割を超えるまでに成長しました。 主に上場企業向けに、CO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供しています。 顧客数は550社を超え、契約更新率も8割を超えるなど、安定した収益基盤を築いています。 また、昨年からは自治体向けのコンサルティング事業にも参入し、3億円の売上を達成しました。 今後も、顧客基盤の拡大、サービスの拡充を図り、更なる成長を目指してまいります。
Q:広域行政BPOサービスについてもご説明いただけますでしょうか?
A:広域行政BPOサービスは、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負うサービスです。 パソナやリクルートなども参入している市場ですが、当社は人口1万人以下の地方都市に特化し、広域連携による効率化を強みとしています。 また、地域における雇用創出にも貢献しており、社会的な意義も高い事業です。 具体的には、コールセンター業務の集約、事務処理の効率化、オンライン行政相談窓口の設置など、様々なサービスを提供しています。 特に、イオンなどの商業施設内に窓口を設置し、住民の方々が気軽に行政相談できる体制を構築している点は、高く評価いただいています。 現在、全国400以上の自治体と取引があり、今後も更なる事業拡大を目指してまいります。
Q:貴社は多様な事業を展開されておりますが、各事業間のシナジー効果についてはいかがでしょうか?
A:シナジー効果については、今後の重要なテーマと考えております。 これまでは各事業が独立採算制で運営されてきましたが、今後は各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
Q:貴社の株主還元策についてお伺いできますでしょうか?
A:株主還元につきましては、配当性向30%以上を基本方針としております。 減配は株価に悪影響を与える可能性があるため、極力減配は行わない方針です。 具体的には、減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしております。 過去2年間は業績が低迷したものの、配当性向が60%を超えなかったため、減配は行っておりません。 今後は増収増益を達成し、配当額を増やしていくことを目指しております。
Q:貴社は事業拡大に伴い、人材採用が重要な課題となると考えられますが、採用戦略や求める人物像についてお伺いできますでしょうか?
A:人材採用は、この1~2年で非常に厳しくなってきております。 以前は「ソーシャルビジネス」というキーワードに魅力を感じ、社会貢献意欲の高い優秀な学生を採用することができていました。 しかし、近年では多くの企業が社会課題解決を掲げるようになり、採用競争が激化しています。 さらに、給与水準も上昇しているため、優秀な人材を確保することは容易ではありません。
Q:厳しい状況の中、どのような採用戦略で人材を確保していらっしゃいますか?
A:当社は、新規事業を立ち上げ、子会社化していくことで、常に新しいことに挑戦できる環境を提供しています。 また、社長自身も起業家精神旺盛な人物であり、リクルートのような社内ベンチャー文化を醸成しています。 これにより、安定志向よりも、若いうちに様々な経験を積みたい、自分のやりたいことを実現したいという野心的な人材を採用することができております。 グループの中で、新規事業を立ち上げ子会社化していくチャンスや、将来的に独立することも支援する制度もあるため、20代のうちに多様な経験を積みたいと考えている人材にとっては魅力的な環境です。
Q:改めて、貴社の中長期的な展望についてお伺いしたいのですが、どのようなビジョンをお持ちでしょうか?
A:中長期的には、既存事業の成長に加え、新規事業の創出にも積極的に取り組んでまいります。 特に、AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定です。
取材者:貴社のビジネスモデル、事業内容についてご説明いただけますか?
回答者:グループ全体としては、親会社エスプールと子会社8社という構成になっております。エスプールは事業持ち株会社としての機能と新規事業開発を担っており、事業化したものを子会社化していく形でグループが形成されております。M&Aで大きくなったというよりは、基本的にオーガニックで成長してきた会社です。ただし、ロゴの異なるブルーグリーンという会社だけは、4年前に買収した会社になります。
取材者: 会計上の事業セグメントは、どのように区分されているのですか?
回答者: 会計上の事業セグメントは、ビジネスソリューションと人材ソリューションの二つに分かれており、売上構成は約半々ですが、利益構成ではビジネスソリューションが6割を超えております。当社は元々、人材ソリューションの派遣サービスが売上を大きく占めており、5年前には人材ソリューション事業が売上の7割、利益も7割を占めていました。
取材者: 以前は人材ソリューション、特に派遣ビジネスが売上、利益ともに大きく占めていたとのことですが、現在の事業戦略についてはいかがでしょうか?
回答者: はい、派遣ビジネスは市場規模が大きい一方、差別化が難しく利益率も低いという課題がございます。そのため、人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあっても高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっております。具体的には、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの三つに注力しております。これらは成長性が見込め、かつ当社の特徴や優位性を発揮できる領域であり、結果として高い利益率を確保できております。例えば、障がい者雇用の昨年の売上は80億円で、営業利益率は約35%、環境コンサルティングは約40~45%、広域行政BPOは約25~30%となっております。一方で、人材ソリューションの売上規模は100億円を超えておりますが、営業利益率は約8%にとどまっております。
取材者: 貴社は社会課題の解決にも積極的に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動を行っていますか?
回答者: はい、当社は「事業活動を通じて社会課題を解決する」というミッションを掲げており、雇用機会の少ない方への雇用創出、環境問題への取り組み支援、地方創生などをキーワードに事業展開しております。
取材者: 貴社の歴史についてもお伺いできますか?
回答者: はい、当社はリーマンショックの際に債務超過に陥り、厳しい時期を経験いたしました。その後、社会課題解決をキーワードとした事業に転換し、復活を遂げました。創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かし、大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っておりました。しかし、ITバブル崩壊後の景気回復により、大学生の就職状況が改善したため、短期の派遣事業に参入しました。その後、リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げました。
取材者:貴社の特徴や強みについて、注力事業を中心に詳しくお伺いできますか?
回答者: はい、まず投資家様に高く評価いただいているのは、障がい者雇用のビジネスです。日本では障害者雇用促進法により、企業は従業員数の2.5%の障がい者を雇用することが義務付けられています。しかし、多くの企業、特に中小企業では、この雇用率を達成できていないのが現状です。その理由として、障がい者雇用に対する意識の低さ、雇用管理の難しさなどが挙げられます。特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は進んでおらず、深刻な課題となっております。そこで当社は、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、障がい者雇用を支援しております。具体的には、東名阪に53施設の農園を設け、企業に貸し出すことで、障がい者の方の雇用場所を提供しております。収穫された野菜は、飲食店や社員食堂などで有効活用されております。このビジネスモデルは、障がい者の方の定着率の高さ、社会貢献性、収益性のバランスがとれている点が高く評価されております。
取材者: 障がい者雇用を始めるに至ったきっかけは何だったのですか?
回答者: 当社は元々、人材派遣事業を行っていたため、障がい者雇用促進法の存在は認識しておりました。しかし、実際に障がい者雇用に取り組んでみると、様々な課題に直面しました。特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は難しく、彼らの多くが経済的に困窮している現状を目の当たりにしました。そこで、何か彼らにできることはないかと模索する中で、農業に着目しました。農業は、知的障がい者の方にとって働きやすく、やりがいを感じやすい仕事であり、社会貢献性も高いという点で、最適な選択肢だと考えました。
取材者: なぜ農業に目をつけられたのですか?
回答者: 様々な福祉施設を視察する中で、知的障がい者の方が生き生きと働いている姿を見ることができました。文献調査の結果、知的障がい者と農業の親和性の高さ、農福連携の重要性などを認識し、農業という選択肢が有力となりました。しかし、農業で収益を上げることは容易ではありません。そこで、収穫された野菜を社員食堂などで活用することで、収益性と社会貢献性を両立させるビジネスモデルを構築しました。
取材者: 農業に従事されている方の収入はどの程度ですか?
回答者: 基本的に健常者と同じ最低賃金以上で、週5日、6時間勤務となります。東京都の農園の場合、月収は約16万円を超え、障がい者年金と合わせると20万円を超える方もいらっしゃいます。これは、従来の福祉施設での工賃と比較すると、大幅な収入アップとなります。また、経済的な自立を支援できるという点でも、大きな意義があると考えております。
取材者: 福祉ビジネスは、国からの給付金や助成金に依存している企業が多いと思いますが、貴社はいかがでしょうか?
回答者: はい、多くの福祉関連企業は、国からの公的資金に依存しております。しかし、当社は国からの助成金等は一切受けておらず、全て企業様からのサービス対価として収益を上げております。これにより、介護報酬改定などのリスクに左右されることなく、安定的な経営基盤を構築できております。
取材者: 障がい者雇用事業の今後の見通しについてはいかがでしょうか?
回答者: 障がい者雇用促進法の改正により、企業の雇用義務は年々増加しております。また、障がい者の方の就労意欲も高まっており、今後も市場は拡大していくと予想されます。当社は、既存サービスの拡充に加え、新規サービスの開発にも積極的に取り組むことで、更なる成長を目指してまいります。
取材者: 従業員の皆様のモチベーション維持、やりがいについてはいかがでしょうか?
回答者: 自分の仕事が社会に役立っている実感、成果が目に見える形で現れることなどが、従業員のモチベーション維持に繋がっていると感じております。また、収穫された野菜を食べた方からのフィードバックなども、やりがいに繋がっております。
取材者: ありがとうございます。それでは、二つ目の注力事業である環境コンサルティングについてお伺いします。
回答者: はい、環境コンサルティング事業は、4年前にM&Aによりグループに参画したブルーグリーンが担っております。当初は従業員数名、売上1億円程度の小規模事業でしたが、現在は売上15億円を超え、営業利益率も4割を超えるまでに成長しました。主に上場企業向けに、CO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供しております。顧客数は550社を超え、契約更新率も8割を超えるなど、安定した収益基盤を築いております。また、昨年からは自治体向けのコンサルティング事業にも参入し、3億円の売上を達成いたしました。今後も、顧客基盤の拡大、サービスの拡充を図り、更なる成長を目指してまいります。
取材者: 競合との差別化についてはいかがでしょうか?
回答者: 大手会計事務所やコンサルティングファームなど、多くの競合が存在しますが、当社は環境コンサルティングの専業であり、顧客規模を問わず幅広く対応している点が強みです。特に、中小企業向けのサービス提供においては、高い競争力を持つと自負しております。
取材者: 三つ目の注力事業である広域行政BPOサービスについてもご説明いただけますか?
回答者: はい、広域行政BPOサービスは、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負うサービスです。パソナやリクルートなども参入している市場ですが、当社は人口1万人以下の地方都市に特化し、広域連携による効率化を強みとしております。また、地域における雇用創出にも貢献しており、社会的な意義も高い事業です。具体的には、コールセンター業務の集約、事務処理の効率化、オンライン行政相談窓口の設置など、様々なサービスを提供しております。特に、イオンなどの商業施設内に窓口を設置し、住民の方々が気軽に行政相談できる体制を構築している点は、高く評価いただいております。現在、全国400以上の自治体と取引があり、今後も更なる事業拡大を目指してまいります。
取材者: 売上高の約半分を占める人材派遣事業についてはいかがでしょうか?
回答者: はい、人材派遣事業は、主にコールセンター向けに特化しております。特徴としては、チーム制による派遣と、未経験者向けの研修制度などが挙げられます。特に、フィールドコンサルタントと呼ばれる従業員が、派遣スタッフの定着支援を行うことで、高い評価をいただいております。しかし、AIや自動化の影響により、コールセンター業務は縮小傾向にあります。そのため、人材派遣事業は、現状維持を基本とし、安定的な収益源として位置付けております。
取材者: 貴社は多様な事業を展開されておりますが、各事業間のシナジー効果についてはいかがでしょうか?
回答者: シナジー効果については、今後の重要なテーマと考えております。これまでは各事業が独立採算制で運営されてきましたが、今後は各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
取材者: 各事業部が保有する顧客基盤を活用したクロスセルなど、具体的な施策は検討されていますか?
回答者: はい、例えば障がい者雇用事業では、既存の貸農園型サービスに加え、新たなサービスを開発し、顧客企業への深掘りを図りたいと考えております。環境経営支援事業においても、既存顧客に対するサービスの拡販、新規顧客の開拓などを進めてまいります。また、広域行政BPO事業で培った自治体とのネットワークを活かし、環境経営支援事業の顧客基盤拡大を図るなど、各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
取材者: 貴社の株主還元策についてお伺いできますか?
回答者: 株主還元につきましては、配当性向30%以上を基本方針としております。減配は株価に悪影響を与える可能性があるため、極力減配は行わない方針です。具体的には、減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしております。過去2年間は業績が低迷したものの、配当性向が60%を超えなかったため、減配は行っておりません。今後は増収増益を達成し、配当額を増やしていくことを目指しております。
取材者: 貴社は事業拡大に伴い、人材採用が重要な課題となると考えられますが、採用戦略や求める人物像についてお伺いできますか?
回答者: 人材採用は、この1~2年で非常に厳しくなってきております。以前は「ソーシャルビジネス」というキーワードに魅力を感じ、社会貢献意欲の高い優秀な学生を採用することができておりました。しかし、近年では多くの企業が社会課題解決を掲げるようになり、採用競争が激化しております。さらに、給与水準も上昇しているため、優秀な人材を確保することは容易ではありません。
取材者: 厳しい状況の中、どのような採用戦略で人材を確保していらっしゃいますか?
回答者: 当社は、新規事業を立ち上げ、子会社化していくことで、常に新しいことに挑戦できる環境を提供しています。また、社長自身も起業家精神旺盛な人物であり、リクルートのような社内ベンチャー文化を醸成しています。これにより、安定志向よりも、若いうちに様々な経験を積みたい、自分のやりたいことを実現したいという野心的な人材を採用することができております。グループの中で、新規事業を立ち上げ子会社化していくチャンスや、将来的に独立することも支援する制度もあるため、20代のうちに多様な経験を積みたいと考えている人材にとっては魅力的な環境です。
取材者: 改めて、貴社の中長期的な展望についてお伺いしたいのですが、どのようなビジョンをお持ちですか?
回答者: 中長期的には、既存事業の成長に加え、新規事業の創出にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。特に、AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定です。また、海外展開も視野に入れており、まずは東南アジアへの進出を検討しております。
取材者: 具体的には、どのような新規事業を検討されているのですか?
回答者: 例えば、AIを活用した障がい者雇用支援サービスや、環境データ分析サービスなどを検討しております。また、海外展開においては、現地のニーズに合わせたサービスを提供していく必要があると考えております。
20250207 CP&X
ビジネスモデル・事業内容
エスプールは、事業持ち株会社として、人材ソリューションとビジネスソリューションの2つのセグメントで事業を展開している。 人材ソリューションでは、コールセンター向けの人材派遣を主力事業とする。 ビジネスソリューションでは、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの3つの事業に注力している。
創業の経緯と転機
創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かした大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っていた。 その後、ITバブル崩壊後の景気回復による大学生の就職状況の改善を受け、短期の派遣事業に参入した。 リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げた。
特徴・強み
障がい者雇用支援事業では、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、障がい者雇用を支援している。 環境経営支援事業では、上場企業向けにCO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供している。 広域行政BPOサービス事業では、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負っている。
成長戦略
人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあるものの高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっている。 障がい者雇用支援事業では、既存の貸農園型サービスに加え、新たなサービスを開発し、顧客企業への深掘りを図る。 環境経営支援事業においても、既存顧客に対するサービスの拡販、新規顧客の開拓を進める。 広域行政BPO事業で培った自治体とのネットワークを活かし、環境経営支援事業の顧客基盤拡大を図るなど、各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指す。
株主還元策
配当性向30%以上を基本方針とし、極力減配は行わない方針である。 減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしている。
今期の取り組み・トピックス
AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定である。
取締役社長室・子会社担当 荒井直様
・資料
ー
Q:貴社のビジネスモデル、事業内容についてご説明いただけますでしょうか?
A:当社グループは、親会社エスプールと子会社8社で構成されております。エスプールは事業持ち株会社としての機能と新規事業開発を担い、事業化したものを子会社化していく形でグループを形成しております。M&Aによる成長ではなく、基本的にオーガニックな成長を遂げてきた会社です。ただし、ブルーグリーンという会社は4年前に買収した会社になります。
Q:会計上の事業セグメントは、どのように区分されておりますでしょうか?
A:会計上の事業セグメントは、ビジネスソリューションと人材ソリューションの二つに区分され、売上構成は約半々ですが、利益構成ではビジネスソリューションが8割となっています。 当社は元々、人材ソリューションの派遣サービスが売上を大きく占めており、5年前には人材ソリューション事業が売上の7割、利益も7割を占めていました。
Q:以前は人材ソリューション、特に派遣ビジネスが売上、利益ともに大きく占めていたとのことですが、現在の事業戦略についてはいかがでしょうか?
A:派遣ビジネスは市場規模が大きい一方、差別化が難しく利益率も低いという課題があります。 したがって、人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあっても高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっております。 具体的には、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの三つに注力しております。 これらは成長性が見込め、かつ当社の特徴や優位性を発揮できる領域であり、結果として高い利益率を確保できております。 例えば、障がい者雇用の昨年の売上は80億円で、営業利益率は約35%、環境コンサルティングは約40~45%、広域行政BPOは約20~30%となっております。 一方で、人材ソリューションの売上規模は100億円を超えておりますが、営業利益率は約8%にとどまっております。
Q:貴社は社会課題の解決にも積極的に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動を行っていますでしょうか?
A:当社は「事業活動を通じて社会課題を解決する」というミッションを掲げ、雇用機会の少ない方への雇用創出、環境問題への取り組み支援、地方創生などをキーワードに事業展開しております。
Q:貴社の歴史についてもお伺いできますでしょうか?
A:当社はリーマンショックの際に債務超過に陥り、厳しい時期を経験いたしました。 その後、社会課題解決を目的とした事業に転換し、復活を遂げました。 創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かし、大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っていました。 しかし、ITバブル崩壊後の景気回復により、大学生の就職状況が改善したため、短期の派遣事業に参入しました。 その後、リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げました。
Q:貴社の特徴や強みについて、注力事業を中心に詳しくお伺いできますでしょうか?
A:投資家様に高く評価いただいているのは、障がい者雇用のビジネスです。 日本では障害者雇用促進法により、企業は従業員数の2.5%の障がい者を雇用することが義務付けられております。 しかし、多くの企業、特に中小企業では、この雇用率を達成できていないのが現状です。 その理由として、障がい者雇用に対する意識の低さ、雇用管理の難しさなどが挙げられます。 特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は進んでおらず、深刻な課題となっております。 そこで当社は、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、主に知的と精神障がい者雇用を支援しております。 具体的には、東名阪に53施設の農園を設け、企業に貸し出すことで、障がい者の方の雇用場所を提供しております。 収穫された野菜は、飲食店や社員食堂などで有効活用されております。 このビジネスモデルは、障がい者の方の定着率の高さ、社会貢献性、収益性のバランスがとれている点が高く評価されております。
Q:障がい者雇用を始めるに至ったきっかけは何だったのでしょうか?
A:当社は元々、人材派遣事業を行っていたため、障がい者雇用促進法の存在は認識しておりました。 しかし、実際に障がい者雇用に取り組んでみると、様々な課題に直面しました。 特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は難しく、彼らの多くが経済的に困窮している現状を目の当たりにしました。 そこで、何か彼らにできることはないかと模索する中で、農業に着目しました。 農業は、知的障がい者の方にとって働きやすく、やりがいを感じやすい仕事であり、社会貢献性も高いという点で、最適な選択肢だと考えました。
Q:なぜ農業に目をつけられたのでしょうか?
A:様々な福祉施設を視察する中で、知的障がい者の方が生き生きと働いている姿を見ることができました。 文献調査の結果、知的障がい者と農業の親和性の高さ、農福連携の重要性などを認識し、農業という選択肢が有力となりました。 しかし、農業で収益を上げることは容易ではありません。 そこで、収穫された野菜を社員食堂などで活用することで、収益性と社会貢献性を両立させるビジネスモデルを構築しました。
Q:福祉ビジネスは、国からの給付金や助成金に依存している企業が多いと思いますが、貴社はいかがでしょうか?
A:多くの福祉関連企業は、国からの公的資金に依存しております。 しかし、当社は国からの助成金等は一切受けておらず、全て企業様からのサービス対価として収益を上げております。 これにより、介護報酬改定などのリスクに左右されることなく、安定的な経営基盤を構築できております。
Q:環境コンサルティング事業の今後の見通しについてはいかがでしょうか?
A:環境コンサルティング事業は、4年前にM&Aによりグループに参画したブルーグリーンが担っております。 当初は従業員数名、売上1億円程度の小規模事業でしたが、現在は売上15億円を超え、営業利益率も4割を超えるまでに成長しました。 主に上場企業向けに、CO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供しています。 顧客数は550社を超え、契約更新率も8割を超えるなど、安定した収益基盤を築いています。 また、昨年からは自治体向けのコンサルティング事業にも参入し、3億円の売上を達成しました。 今後も、顧客基盤の拡大、サービスの拡充を図り、更なる成長を目指してまいります。
Q:広域行政BPOサービスについてもご説明いただけますでしょうか?
A:広域行政BPOサービスは、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負うサービスです。 パソナやリクルートなども参入している市場ですが、当社は人口1万人以下の地方都市に特化し、広域連携による効率化を強みとしています。 また、地域における雇用創出にも貢献しており、社会的な意義も高い事業です。 具体的には、コールセンター業務の集約、事務処理の効率化、オンライン行政相談窓口の設置など、様々なサービスを提供しています。 特に、イオンなどの商業施設内に窓口を設置し、住民の方々が気軽に行政相談できる体制を構築している点は、高く評価いただいています。 現在、全国400以上の自治体と取引があり、今後も更なる事業拡大を目指してまいります。
Q:貴社は多様な事業を展開されておりますが、各事業間のシナジー効果についてはいかがでしょうか?
A:シナジー効果については、今後の重要なテーマと考えております。 これまでは各事業が独立採算制で運営されてきましたが、今後は各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
Q:貴社の株主還元策についてお伺いできますでしょうか?
A:株主還元につきましては、配当性向30%以上を基本方針としております。 減配は株価に悪影響を与える可能性があるため、極力減配は行わない方針です。 具体的には、減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしております。 過去2年間は業績が低迷したものの、配当性向が60%を超えなかったため、減配は行っておりません。 今後は増収増益を達成し、配当額を増やしていくことを目指しております。
Q:貴社は事業拡大に伴い、人材採用が重要な課題となると考えられますが、採用戦略や求める人物像についてお伺いできますでしょうか?
A:人材採用は、この1~2年で非常に厳しくなってきております。 以前は「ソーシャルビジネス」というキーワードに魅力を感じ、社会貢献意欲の高い優秀な学生を採用することができていました。 しかし、近年では多くの企業が社会課題解決を掲げるようになり、採用競争が激化しています。 さらに、給与水準も上昇しているため、優秀な人材を確保することは容易ではありません。
Q:厳しい状況の中、どのような採用戦略で人材を確保していらっしゃいますか?
A:当社は、新規事業を立ち上げ、子会社化していくことで、常に新しいことに挑戦できる環境を提供しています。 また、社長自身も起業家精神旺盛な人物であり、リクルートのような社内ベンチャー文化を醸成しています。 これにより、安定志向よりも、若いうちに様々な経験を積みたい、自分のやりたいことを実現したいという野心的な人材を採用することができております。 グループの中で、新規事業を立ち上げ子会社化していくチャンスや、将来的に独立することも支援する制度もあるため、20代のうちに多様な経験を積みたいと考えている人材にとっては魅力的な環境です。
Q:改めて、貴社の中長期的な展望についてお伺いしたいのですが、どのようなビジョンをお持ちでしょうか?
A:中長期的には、既存事業の成長に加え、新規事業の創出にも積極的に取り組んでまいります。 特に、AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定です。
取材者:貴社のビジネスモデル、事業内容についてご説明いただけますか?
回答者:グループ全体としては、親会社エスプールと子会社8社という構成になっております。エスプールは事業持ち株会社としての機能と新規事業開発を担っており、事業化したものを子会社化していく形でグループが形成されております。M&Aで大きくなったというよりは、基本的にオーガニックで成長してきた会社です。ただし、ロゴの異なるブルーグリーンという会社だけは、4年前に買収した会社になります。
取材者: 会計上の事業セグメントは、どのように区分されているのですか?
回答者: 会計上の事業セグメントは、ビジネスソリューションと人材ソリューションの二つに分かれており、売上構成は約半々ですが、利益構成ではビジネスソリューションが6割を超えております。当社は元々、人材ソリューションの派遣サービスが売上を大きく占めており、5年前には人材ソリューション事業が売上の7割、利益も7割を占めていました。
取材者: 以前は人材ソリューション、特に派遣ビジネスが売上、利益ともに大きく占めていたとのことですが、現在の事業戦略についてはいかがでしょうか?
回答者: はい、派遣ビジネスは市場規模が大きい一方、差別化が難しく利益率も低いという課題がございます。そのため、人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあっても高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっております。具体的には、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの三つに注力しております。これらは成長性が見込め、かつ当社の特徴や優位性を発揮できる領域であり、結果として高い利益率を確保できております。例えば、障がい者雇用の昨年の売上は80億円で、営業利益率は約35%、環境コンサルティングは約40~45%、広域行政BPOは約25~30%となっております。一方で、人材ソリューションの売上規模は100億円を超えておりますが、営業利益率は約8%にとどまっております。
取材者: 貴社は社会課題の解決にも積極的に取り組んでいらっしゃるとのことですが、具体的にはどのような活動を行っていますか?
回答者: はい、当社は「事業活動を通じて社会課題を解決する」というミッションを掲げており、雇用機会の少ない方への雇用創出、環境問題への取り組み支援、地方創生などをキーワードに事業展開しております。
取材者: 貴社の歴史についてもお伺いできますか?
回答者: はい、当社はリーマンショックの際に債務超過に陥り、厳しい時期を経験いたしました。その後、社会課題解決をキーワードとした事業に転換し、復活を遂げました。創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かし、大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っておりました。しかし、ITバブル崩壊後の景気回復により、大学生の就職状況が改善したため、短期の派遣事業に参入しました。その後、リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げました。
取材者:貴社の特徴や強みについて、注力事業を中心に詳しくお伺いできますか?
回答者: はい、まず投資家様に高く評価いただいているのは、障がい者雇用のビジネスです。日本では障害者雇用促進法により、企業は従業員数の2.5%の障がい者を雇用することが義務付けられています。しかし、多くの企業、特に中小企業では、この雇用率を達成できていないのが現状です。その理由として、障がい者雇用に対する意識の低さ、雇用管理の難しさなどが挙げられます。特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は進んでおらず、深刻な課題となっております。そこで当社は、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、障がい者雇用を支援しております。具体的には、東名阪に53施設の農園を設け、企業に貸し出すことで、障がい者の方の雇用場所を提供しております。収穫された野菜は、飲食店や社員食堂などで有効活用されております。このビジネスモデルは、障がい者の方の定着率の高さ、社会貢献性、収益性のバランスがとれている点が高く評価されております。
取材者: 障がい者雇用を始めるに至ったきっかけは何だったのですか?
回答者: 当社は元々、人材派遣事業を行っていたため、障がい者雇用促進法の存在は認識しておりました。しかし、実際に障がい者雇用に取り組んでみると、様々な課題に直面しました。特に、知的障がい者や精神障がい者の雇用は難しく、彼らの多くが経済的に困窮している現状を目の当たりにしました。そこで、何か彼らにできることはないかと模索する中で、農業に着目しました。農業は、知的障がい者の方にとって働きやすく、やりがいを感じやすい仕事であり、社会貢献性も高いという点で、最適な選択肢だと考えました。
取材者: なぜ農業に目をつけられたのですか?
回答者: 様々な福祉施設を視察する中で、知的障がい者の方が生き生きと働いている姿を見ることができました。文献調査の結果、知的障がい者と農業の親和性の高さ、農福連携の重要性などを認識し、農業という選択肢が有力となりました。しかし、農業で収益を上げることは容易ではありません。そこで、収穫された野菜を社員食堂などで活用することで、収益性と社会貢献性を両立させるビジネスモデルを構築しました。
取材者: 農業に従事されている方の収入はどの程度ですか?
回答者: 基本的に健常者と同じ最低賃金以上で、週5日、6時間勤務となります。東京都の農園の場合、月収は約16万円を超え、障がい者年金と合わせると20万円を超える方もいらっしゃいます。これは、従来の福祉施設での工賃と比較すると、大幅な収入アップとなります。また、経済的な自立を支援できるという点でも、大きな意義があると考えております。
取材者: 福祉ビジネスは、国からの給付金や助成金に依存している企業が多いと思いますが、貴社はいかがでしょうか?
回答者: はい、多くの福祉関連企業は、国からの公的資金に依存しております。しかし、当社は国からの助成金等は一切受けておらず、全て企業様からのサービス対価として収益を上げております。これにより、介護報酬改定などのリスクに左右されることなく、安定的な経営基盤を構築できております。
取材者: 障がい者雇用事業の今後の見通しについてはいかがでしょうか?
回答者: 障がい者雇用促進法の改正により、企業の雇用義務は年々増加しております。また、障がい者の方の就労意欲も高まっており、今後も市場は拡大していくと予想されます。当社は、既存サービスの拡充に加え、新規サービスの開発にも積極的に取り組むことで、更なる成長を目指してまいります。
取材者: 従業員の皆様のモチベーション維持、やりがいについてはいかがでしょうか?
回答者: 自分の仕事が社会に役立っている実感、成果が目に見える形で現れることなどが、従業員のモチベーション維持に繋がっていると感じております。また、収穫された野菜を食べた方からのフィードバックなども、やりがいに繋がっております。
取材者: ありがとうございます。それでは、二つ目の注力事業である環境コンサルティングについてお伺いします。
回答者: はい、環境コンサルティング事業は、4年前にM&Aによりグループに参画したブルーグリーンが担っております。当初は従業員数名、売上1億円程度の小規模事業でしたが、現在は売上15億円を超え、営業利益率も4割を超えるまでに成長しました。主に上場企業向けに、CO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供しております。顧客数は550社を超え、契約更新率も8割を超えるなど、安定した収益基盤を築いております。また、昨年からは自治体向けのコンサルティング事業にも参入し、3億円の売上を達成いたしました。今後も、顧客基盤の拡大、サービスの拡充を図り、更なる成長を目指してまいります。
取材者: 競合との差別化についてはいかがでしょうか?
回答者: 大手会計事務所やコンサルティングファームなど、多くの競合が存在しますが、当社は環境コンサルティングの専業であり、顧客規模を問わず幅広く対応している点が強みです。特に、中小企業向けのサービス提供においては、高い競争力を持つと自負しております。
取材者: 三つ目の注力事業である広域行政BPOサービスについてもご説明いただけますか?
回答者: はい、広域行政BPOサービスは、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負うサービスです。パソナやリクルートなども参入している市場ですが、当社は人口1万人以下の地方都市に特化し、広域連携による効率化を強みとしております。また、地域における雇用創出にも貢献しており、社会的な意義も高い事業です。具体的には、コールセンター業務の集約、事務処理の効率化、オンライン行政相談窓口の設置など、様々なサービスを提供しております。特に、イオンなどの商業施設内に窓口を設置し、住民の方々が気軽に行政相談できる体制を構築している点は、高く評価いただいております。現在、全国400以上の自治体と取引があり、今後も更なる事業拡大を目指してまいります。
取材者: 売上高の約半分を占める人材派遣事業についてはいかがでしょうか?
回答者: はい、人材派遣事業は、主にコールセンター向けに特化しております。特徴としては、チーム制による派遣と、未経験者向けの研修制度などが挙げられます。特に、フィールドコンサルタントと呼ばれる従業員が、派遣スタッフの定着支援を行うことで、高い評価をいただいております。しかし、AIや自動化の影響により、コールセンター業務は縮小傾向にあります。そのため、人材派遣事業は、現状維持を基本とし、安定的な収益源として位置付けております。
取材者: 貴社は多様な事業を展開されておりますが、各事業間のシナジー効果についてはいかがでしょうか?
回答者: シナジー効果については、今後の重要なテーマと考えております。これまでは各事業が独立採算制で運営されてきましたが、今後は各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
取材者: 各事業部が保有する顧客基盤を活用したクロスセルなど、具体的な施策は検討されていますか?
回答者: はい、例えば障がい者雇用事業では、既存の貸農園型サービスに加え、新たなサービスを開発し、顧客企業への深掘りを図りたいと考えております。環境経営支援事業においても、既存顧客に対するサービスの拡販、新規顧客の開拓などを進めてまいります。また、広域行政BPO事業で培った自治体とのネットワークを活かし、環境経営支援事業の顧客基盤拡大を図るなど、各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指してまいります。
取材者: 貴社の株主還元策についてお伺いできますか?
回答者: 株主還元につきましては、配当性向30%以上を基本方針としております。減配は株価に悪影響を与える可能性があるため、極力減配は行わない方針です。具体的には、減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしております。過去2年間は業績が低迷したものの、配当性向が60%を超えなかったため、減配は行っておりません。今後は増収増益を達成し、配当額を増やしていくことを目指しております。
取材者: 貴社は事業拡大に伴い、人材採用が重要な課題となると考えられますが、採用戦略や求める人物像についてお伺いできますか?
回答者: 人材採用は、この1~2年で非常に厳しくなってきております。以前は「ソーシャルビジネス」というキーワードに魅力を感じ、社会貢献意欲の高い優秀な学生を採用することができておりました。しかし、近年では多くの企業が社会課題解決を掲げるようになり、採用競争が激化しております。さらに、給与水準も上昇しているため、優秀な人材を確保することは容易ではありません。
取材者: 厳しい状況の中、どのような採用戦略で人材を確保していらっしゃいますか?
回答者: 当社は、新規事業を立ち上げ、子会社化していくことで、常に新しいことに挑戦できる環境を提供しています。また、社長自身も起業家精神旺盛な人物であり、リクルートのような社内ベンチャー文化を醸成しています。これにより、安定志向よりも、若いうちに様々な経験を積みたい、自分のやりたいことを実現したいという野心的な人材を採用することができております。グループの中で、新規事業を立ち上げ子会社化していくチャンスや、将来的に独立することも支援する制度もあるため、20代のうちに多様な経験を積みたいと考えている人材にとっては魅力的な環境です。
取材者: 改めて、貴社の中長期的な展望についてお伺いしたいのですが、どのようなビジョンをお持ちですか?
回答者: 中長期的には、既存事業の成長に加え、新規事業の創出にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。特に、AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定です。また、海外展開も視野に入れており、まずは東南アジアへの進出を検討しております。
取材者: 具体的には、どのような新規事業を検討されているのですか?
回答者: 例えば、AIを活用した障がい者雇用支援サービスや、環境データ分析サービスなどを検討しております。また、海外展開においては、現地のニーズに合わせたサービスを提供していく必要があると考えております。
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ビジネスモデル・事業内容
エスプールは、事業持ち株会社として、人材ソリューションとビジネスソリューションの2つのセグメントで事業を展開している。 人材ソリューションでは、コールセンター向けの人材派遣を主力事業とする。 ビジネスソリューションでは、障がい者雇用支援、環境経営支援、広域行政BPOの3つの事業に注力している。
創業の経緯と転機
創業当初は、創業者の浦上が経営していた家庭教師センターのノウハウを活かした大学生の就職支援を目的としたインターンシップ事業を行っていた。 その後、ITバブル崩壊後の景気回復による大学生の就職状況の改善を受け、短期の派遣事業に参入した。 リーマンショックによる業績悪化を契機に、社会に役立つ事業を創出し、分散化経営を推進することで、現在の姿へと成長を遂げた。
特徴・強み
障がい者雇用支援事業では、企業向けの貸農園ビジネスを展開し、障がい者雇用を支援している。 環境経営支援事業では、上場企業向けにCO2排出量算定、削減コンサルティング、環境認証取得支援などのサービスを提供している。 広域行政BPOサービス事業では、地方自治体の事務業務をアウトソーシングで請け負っている。
成長戦略
人材派遣で得た収益を、ニッチな領域ではあるものの高付加価値、高利益率のビジネスソリューションに投資していく戦略をとっている。 障がい者雇用支援事業では、既存の貸農園型サービスに加え、新たなサービスを開発し、顧客企業への深掘りを図る。 環境経営支援事業においても、既存顧客に対するサービスの拡販、新規顧客の開拓を進める。 広域行政BPO事業で培った自治体とのネットワークを活かし、環境経営支援事業の顧客基盤拡大を図るなど、各事業間の連携を強化することで、シナジー効果の最大化を目指す。
株主還元策
配当性向30%以上を基本方針とし、極力減配は行わない方針である。 減益となった場合でも、連結配当性向が60%を超えない限りは減配を行わないこととしている。
今期の取り組み・トピックス
AIやIoTなどの最新技術を活用した新規事業開発に力を入れていく予定である。
取締役社長室・子会社担当 荒井直様
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(株) エスプール
東証PRM 2471
決算:11月末日