20250723
アナリスト様
Q:2025年5月期では、学童が増加し、保育事業は順調でしたか?
A:そのように考えています。加えて、数年前に開設した認可保育園が収益に貢献してきました。学童は開設時から収益が上がるのに対して、認可保育園の場合は開設から3~5年をかけて利益が最大化するためです。
Q:認可保育園の開設においては、公設民営が進んでいるのですか?
A:そのとおりです。当社では愛知県を中心に公設民営施設の受託を進めていますが、他の地域でも受託していきたいと考えています。また、都市の再開発に伴う案件も増えているので、積極的に狙っていきたいと考えています。
Q:受託保育施設の開設ペースは低下しているのですか?
A:以前に比べるとペースは低下しています。受託保育施設のニーズはあり、潜在的な待機児童もいるため、継続的に開設を進めていきたいと考えています。
Q:保育事業の市場動向として、病院内や企業内保育施設を福利厚生として事業者が進める動きはありますか?
A:福利厚生として設置する企業もありますが、認可保育園が整備され福利厚生としての需要は減少しています。一方、24時間保育を行う病院内保育施設の需要は引き続きあるものの、当社の施設数が減っているのは、病院の採算面で合わなくなったことや、少子化の影響で利用していたお子様が大きくなり需要がなくなったことなどが要因です。
Q:人材事業は物流部門で大きく減収になっています。ZOZOで動きがあったのですか?
A:ご認識の通りです。ZOZO様では、業務効率化や直雇用化が進み、人材派遣需要が減少しました。それに加え、一部の倉庫で人材派遣会社へのオーダーが一律に切り替えられたことも減収の要因です。
Q:物流倉庫内の効率化が進んでも、人手は必要になるのですか?
A:人手は引き続き必要ですが、閑散期のオーダーが減少傾向にあります。そのため、閑散期においても近くのクライアントで勤務できる体制構築を進めています。
Q:物流部門の売上は、減少傾向にあるとは考えていないのですか?
A:まだ伸ばす余地があると考えています。EC市場は引き続き拡大傾向にあり、物流倉庫の新設が特に地方都市の郊外で進んでいるためです。
Q:物流部門において、ライクの強みは何ですか?
A:多くの派遣社員を採用できる点がライクの強みです。セール期に100人以上のオーダーがあった場合でも、積極的に対応できる体制があります。
Q:外国人材の紹介は大きくは成長しないのでしょうか?
A:特定技能人材の事業は、人材派遣事業ではなく人材紹介事業と生活支援の事業であるため、稼働スタッフ数には入らず数値としては見えにくいですが、徐々に成長しています。
Q:特定技能外国人材は、国としても進めていきたい分野だと考えられるため、必要性に応じて拡大すれば、大きな成長が期待できますね。
A:その時々の状況を踏まえつつ、積極的にチャンスをとらえていきたいと考えています。2027年から特定技能1号のビザの方が、物流で働けるようになることも検討されているため、そのような情報を積極的に収集していきます。
Q:グローバル事業の展開を進めていくのですね。今期中の現地での開設の可能性もありますか?
A:可能であれば今期中の現地での開設を目指したいと考えています。まずはインドネシアでの事業展開を進めています。
Q:再開発案件に近いと感じますが、実際東南アジアにおいて保育施設を開設している日本の企業はありますか?
A:ヒューマンホールディングスが事業展開しています。その他、現地の企業も運営していますが、需要に対して施設数が大幅に不足しており、狭いスペースに多くの児童がいるのが現状です。このため、当社は日本式の質の高い保育を展開していきたいと考えています。
Q:「保育イノベーションコンソーシアム」におけるシステム外販に関して、進捗を教えてください。
A:今は保育士の配属や勤怠管理をシステムでできるように開発を進めています。保育事業者の多くは、配属や勤怠の管理を各施設ごとにExcelで行っており、中央一元管理ができていないケースが少なくありません。その結果、補助金を適切に請求できていないこともあります。当社で使っている管理システムを他事業者に展開できるよう、まずはニチイ学館で実証実験を行い改修を進めていきます。
Q:2~3年後に期待できる材料が増えていますね。既存事業の収益確保と新規事業への投資が重要ですね。
A:はい。
保育事業においては営業利益率の改善が課題のため、保育士の採用を強化することにより、加算の補助金の確保や採用費の抑制すること、また保育イノベーションコンソーシアムの取り組みにより、コスト圧縮と補助金以外の収益確保に取り組みます。
人材事業においては稼働スタッフ数の減少が課題のため、現場型正社員の採用を強化するとともに、物流部門の業績が重要ファクターとなるため、さらなる売上拡大と、採用手法の工夫により採用費等のコストの抑制を進めていきます。
介護事業においては新規開設の予定がないため、上井草と春日部東を含む既存施設の入居率を高めていくことで収益の拡大に繋げてまいります。
・資料
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企業名
上場市場 証券コード
決算日
取材アーカイブ
アナリスト様
Q: 3Qは計画通りの売上、営業利益でしたか?
A: 売上は想定からやや乖離しており、特に人材事業で、物流部門の売上減少が影響しました。営業利益は計画通りです。
Q: 4Qの着地見込はどのように考えたら良いでしょうか。
A: 前年同期比は増収増益見込みです。予算比では営業利益は達成見込みです。
Q: グループ全社で見ると、人材事業がカギとなり、保育事業と介護事業は安定成長していくと認識したら良いでしょうか?
A: 保育事業と介護事業は基本的に増収増益の基調であり、人材事業が要となります。
Q: 子育て市場の環境と、貴社の業績の関係を教えてください。
A: 待機児童が減少し、自治体主導の認可保育園の開設ペースが鈍化したことで、施設開設のニーズは学童に移りました。保育園は国主導で保育士の配置基準の改善が進んでおり、保育の質を充実させていく動きがみられます。弊社でも自治体主導の認可保育園の開設ペースは鈍化しておりますが、自治体が運営していた保育園の民営化や大規模開発に伴うテナントインの案件が増えてきております。引き続き、認可保育園の開設を進めながら学童にも注力することで、業績の拡大を狙っていきます。
Q: 待機児童が落ち着き、認可園1施設あたりの児童数が減っていく動きが見られます。貴社の保育施設の児童数に変化は見られますか?
A: 弊社の保育施設は、東京都と神奈川県を中心に開設しています。現状児童数の減少は起きていません。地方だと入園者数の減少は起きていくと思いますが、共働きも進み、今後も首都圏では保育所のニーズが続くので、影響は受けにくいと想定しています。
Q: 今後は保育施設の新規開発案件は減っていくと考えられますが、どのように事業を伸ばしていきますか。
A: 学童の開設を引き続き進めていきます。学童は待機児童が増えているので需要が旺盛にあります。このようなオーガニックな成長だけでなく、非連続的なM&Aも含めて、事業を伸ばしていきたいと考えています。
Q: 保育市場を見ると、今後幼稚園の需要が減り、良い保育園が残っていくと考えられますがいかがでしょうか。
A: 弊社でもそのように見込んでいます。現段階で事業規模を拡大し、業界が淘汰されるときに良い保育園として残っていきたいと考えています。
Q: 選ばれる保育園になるために、保育園の付加価値が重要になってくると思いますが、貴社はどのように取り組んでいきますか。
A: 他社様が付加価値を重視している中、弊社でも英語教室を全施設で無償で実施しており、体操教室は一部施設から運営を始めています。とはいえ依然として、施設立地こそが多くの方に望まれる園づくりの重要な要素であるため、現時点では他の施設との差別化よりも、規模の拡大を優先しています。
Q: 保育事業の課題を教えてください。
A: 保育業界や保育士に対して、ネガティブな印象があることから、保育士の採用に苦戦しています。実際は、弊社の総合職保育士は、給料が30万円を超えており、社宅に1万円で住むことができます。諸条件は大変良いので、適切に訴求し意識改革をすることで、採用を進めていこうと考えています。
Q: 保育業界の動きで、業績が下振れる要因になりえることはありますか?
A: 女性の就業率の低下が起きた場合、保育所ニーズが減ると考えています。ただ、ほとんど起こりないと想定しています。厚生労働省のデータを見ると、現在は35~44歳の男性の就業率は93%で、同じ年齢の女性の就業率は79.2%です。また、幼稚園の代替として保育園が継続していくと考えられるため、保育業界は維持、ないしは出生率の低下を考慮すると少しだけ縮小すると見込んでいます。
Q: 人材事業は、3Qのみを見るとモバイル向けの売上が伸び、物流が減少しています。4Qはどのように考えたらよろしいでしょうか?
A: 人材セグメントは季節性があり、モバイル業界向けが4Qで伸びる傾向にあり、一方物流業界向けが3Q並みか少し減少すると想定しています。
Q: モバイル業界では人材需要があるとのことですが、採用はいかがでしょうか。
A: モバイル業界向けの中で、特に家電量販店の販売員の需要が引き続きあります。かつてモバイル業界向けでは、単価が上がらず、スタッフ様への支払い単価も上げることができませんでした。働き方も土日含む週4-5の案件がほとんどで、求職者様から選ばれにくい状況にあります。現場正社員の採用を強化し、クライアントのニーズに応えていきたいと考えています。
Q: モバイル業界での人材需要は、なぜ家電量販店に移っているのですか?
A: かつてはキャリアショップでの購買が多かったのですが、現在は各キャリアの多様な機種やプランから選びたいというお客様の需要があり、それに応えるために各キャリアが揃う家電量販店の人員を増やす動きがあります。
Q: 物流業界向けの売上が減少していますが、この動きは続きそうですか?
A: 物流施設が多く建ち、一つの施設内で扱う物量が減ったため、効率化が進んでいます。数年前までは人の手が必要だったことも、ロボット化で人手が不要になる等で、派遣人員の需要が減っています。この動きはもう少し続きそうです。物流業界向けのスタッフ様は比較的採用ができていますが、現状は売上の7割が特定のクライアント様関連のため、依存しないためにも様々な案件に派遣し、稼働スタッフ数を増やしていきたいと考えています。
Q: 特定技能分野で外国人材の紹介の状況はいかがでしょうか?
A: 海外から外国籍の方に来てもらうところまでは順調ですが、紹介先を見つけるところに課題があります。介護向けの紹介に力を入れているものの、介護業界は多数乱立で数人ずつしか紹介ができないため、営業工数がかかってしまいます。
Q: 特定技能では、日本に何年くらいいられますか?
A: 分野によりますが、介護は5年です。介護福祉士の資格を取ると、日本に定住できるようになります。そのため介護福祉士を取得し、家族を日本に呼ぶことを目標にしている方が多くいらっしゃいます。
Q: 介護福祉士の資格取得の支援を貴社でしているのですか?
A: 実施しています。資格取得支援に限らず、特定技能の業態的に必要な生活全般の支援を行っており、入国時にはライフラインの設定や日本語の教育等をしています。資格を取り終わるまで支援していきたいと考えています。
Q: 国の課題なので、ぜひ活躍してほしいと思います。今後は国規模でさらに拡大していくのでしょうか?
A: 上場企業が参入して進めていくことが重要だと考えています。弊社の場合はライクケアが介護施設の運営をしていることから説得力があるのではないでしょうか。ライクケアの施設で育成した方を他社様に紹介し、同じ国の方をその施設に紹介していくというモデルを作りたいと考えています。
Q: 介護事業では、開設コストが業績を圧迫しているのですか?
A: フェリエ ドゥ 上井草の入居率がまだ改善しておらず、業績を圧迫しています。フェリエ ドゥ 上井草の前に開設したサンライズ・ヴィラ小竹向原は、充足するまで2年かかりました。一方2025年2月に新規開設したサンライズ・ヴィラ春日部東は、同エリアにすでに2施設あり知名度が高いことも影響し、順調に充足が進んでいます。
Q: フェリエ ドゥ 上井草はなぜ埋まっていないのでしょうか?
A: ドミナントでないエリアに新規開設すると、ご入居者様の紹介につながりにくいと感じています。またフェリエ ドゥ 上井草は弊社の施設の中ではご入居費用が高めであることも影響しています。弊社は医療依存度の高い方にも安心してご入居いただける24ナースが魅力であることもあり、医療依存度が低めな方のご入居が進みにくいことも要因にあります。
Q: 26年5月期の入居率の平均は、92%を目指せそうでしょうか?
A: そのように想定しています。最近定員が充足したサンライズ・ヴィラ小竹向原は入居率が90%を超えており、2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東の順調な推移も寄与要因となります。
Q: 貴社にはどんなグループシナジーがありますか?
A: 人材事業の特定技能外国人の紹介と、介護事業がシナジーが特に高いと考えています。介護施設の運営のため、ライクスタッフィングからライクケアに特定技能の外国人を紹介し、生活支援も実施しています。今ライクケアの施設では、正社員介護士のうち25%は外国籍の方です。
Q: 中期経営計画における現状の位置づけと、今後の戦略はいかがでしょうか?
A: 作成段階では、人材事業で大きく伸ばす予定でしたが、現状は人材派遣の市場が厳しく苦戦しており、保育事業で特に伸ばしていきたいと考えています。今後はオーガニックな成長に加えて、保育のM&Aで非連続的な成長を狙っていきます。保育のM&A案件は、2024年7月にデジタルディフェンスを買収したことで様々お声がけいただいているので可能だと想定しています。
Q: 中期経営計画達成に向けて、ほかにどんな要素がありますか?
A: 日本生命様との資本業務提携です。日本生命様の力を借りながら、保育業界に山積みする課題解決に注力していきたいと思います。またシステムの外販についても、着実に進めていきます。
取締役 岡本 拓岳 様
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ライク(株)
東証PRM 2462
決算:5月末日
20250723_アナリスト様
Q:2025年5月期では、学童が増加し、保育事業は順調でしたか?
A:そのように考えています。加えて、数年前に開設した認可保育園が収益に貢献してきました。学童は開設時から収益が上がるのに対して、認可保育園の場合は開設から3~5年をかけて利益が最大化するためです。
Q:認可保育園の開設においては、公設民営が進んでいるのですか?
A:そのとおりです。当社では愛知県を中心に公設民営施設の受託を進めていますが、他の地域でも受託していきたいと考えています。また、都市の再開発に伴う案件も増えているので、積極的に狙っていきたいと考えています。
Q:受託保育施設の開設ペースは低下しているのですか?
A:以前に比べるとペースは低下しています。受託保育施設のニーズはあり、潜在的な待機児童もいるため、継続的に開設を進めていきたいと考えています。
Q:保育事業の市場動向として、病院内や企業内保育施設を福利厚生として事業者が進める動きはありますか?
A:福利厚生として設置する企業もありますが、認可保育園が整備され福利厚生としての需要は減少しています。一方、24時間保育を行う病院内保育施設の需要は引き続きあるものの、当社の施設数が減っているのは、病院の採算面で合わなくなったことや、少子化の影響で利用していたお子様が大きくなり需要がなくなったことなどが要因です。
Q:人材事業は物流部門で大きく減収になっています。ZOZOで動きがあったのですか?
A:ご認識の通りです。ZOZO様では、業務効率化や直雇用化が進み、人材派遣需要が減少しました。それに加え、一部の倉庫で人材派遣会社へのオーダーが一律に切り替えられたことも減収の要因です。
Q:物流倉庫内の効率化が進んでも、人手は必要になるのですか?
A:人手は引き続き必要ですが、閑散期のオーダーが減少傾向にあります。そのため、閑散期においても近くのクライアントで勤務できる体制構築を進めています。
Q:物流部門の売上は、減少傾向にあるとは考えていないのですか?
A:まだ伸ばす余地があると考えています。EC市場は引き続き拡大傾向にあり、物流倉庫の新設が特に地方都市の郊外で進んでいるためです。
Q:物流部門において、ライクの強みは何ですか?
A:多くの派遣社員を採用できる点がライクの強みです。セール期に100人以上のオーダーがあった場合でも、積極的に対応できる体制があります。
Q:外国人材の紹介は大きくは成長しないのでしょうか?
A:特定技能人材の事業は、人材派遣事業ではなく人材紹介事業と生活支援の事業であるため、稼働スタッフ数には入らず数値としては見えにくいですが、徐々に成長しています。
Q:特定技能外国人材は、国としても進めていきたい分野だと考えられるため、必要性に応じて拡大すれば、大きな成長が期待できますね。
A:その時々の状況を踏まえつつ、積極的にチャンスをとらえていきたいと考えています。2027年から特定技能1号のビザの方が、物流で働けるようになることも検討されているため、そのような情報を積極的に収集していきます。
Q:グローバル事業の展開を進めていくのですね。今期中の現地での開設の可能性もありますか?
A:可能であれば今期中の現地での開設を目指したいと考えています。まずはインドネシアでの事業展開を進めています。
Q:再開発案件に近いと感じますが、実際東南アジアにおいて保育施設を開設している日本の企業はありますか?
A:ヒューマンホールディングスが事業展開しています。その他、現地の企業も運営していますが、需要に対して施設数が大幅に不足しており、狭いスペースに多くの児童がいるのが現状です。このため、当社は日本式の質の高い保育を展開していきたいと考えています。
Q:「保育イノベーションコンソーシアム」におけるシステム外販に関して、進捗を教えてください。
A:今は保育士の配属や勤怠管理をシステムでできるように開発を進めています。保育事業者の多くは、配属や勤怠の管理を各施設ごとにExcelで行っており、中央一元管理ができていないケースが少なくありません。その結果、補助金を適切に請求できていないこともあります。当社で使っている管理システムを他事業者に展開できるよう、まずはニチイ学館で実証実験を行い改修を進めていきます。
Q:2~3年後に期待できる材料が増えていますね。既存事業の収益確保と新規事業への投資が重要ですね。
A:はい。
保育事業においては営業利益率の改善が課題のため、保育士の採用を強化することにより、加算の補助金の確保や採用費の抑制すること、また保育イノベーションコンソーシアムの取り組みにより、コスト圧縮と補助金以外の収益確保に取り組みます。
人材事業においては稼働スタッフ数の減少が課題のため、現場型正社員の採用を強化するとともに、物流部門の業績が重要ファクターとなるため、さらなる売上拡大と、採用手法の工夫により採用費等のコストの抑制を進めていきます。
介護事業においては新規開設の予定がないため、上井草と春日部東を含む既存施設の入居率を高めていくことで収益の拡大に繋げてまいります。
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取材アーカイブ
アナリスト様
Q: 3Qは計画通りの売上、営業利益でしたか?
A: 売上は想定からやや乖離しており、特に人材事業で、物流部門の売上減少が影響しました。営業利益は計画通りです。
Q: 4Qの着地見込はどのように考えたら良いでしょうか。
A: 前年同期比は増収増益見込みです。予算比では営業利益は達成見込みです。
Q: グループ全社で見ると、人材事業がカギとなり、保育事業と介護事業は安定成長していくと認識したら良いでしょうか?
A: 保育事業と介護事業は基本的に増収増益の基調であり、人材事業が要となります。
Q: 子育て市場の環境と、貴社の業績の関係を教えてください。
A: 待機児童が減少し、自治体主導の認可保育園の開設ペースが鈍化したことで、施設開設のニーズは学童に移りました。保育園は国主導で保育士の配置基準の改善が進んでおり、保育の質を充実させていく動きがみられます。弊社でも自治体主導の認可保育園の開設ペースは鈍化しておりますが、自治体が運営していた保育園の民営化や大規模開発に伴うテナントインの案件が増えてきております。引き続き、認可保育園の開設を進めながら学童にも注力することで、業績の拡大を狙っていきます。
Q: 待機児童が落ち着き、認可園1施設あたりの児童数が減っていく動きが見られます。貴社の保育施設の児童数に変化は見られますか?
A: 弊社の保育施設は、東京都と神奈川県を中心に開設しています。現状児童数の減少は起きていません。地方だと入園者数の減少は起きていくと思いますが、共働きも進み、今後も首都圏では保育所のニーズが続くので、影響は受けにくいと想定しています。
Q: 今後は保育施設の新規開発案件は減っていくと考えられますが、どのように事業を伸ばしていきますか。
A: 学童の開設を引き続き進めていきます。学童は待機児童が増えているので需要が旺盛にあります。このようなオーガニックな成長だけでなく、非連続的なM&Aも含めて、事業を伸ばしていきたいと考えています。
Q: 保育市場を見ると、今後幼稚園の需要が減り、良い保育園が残っていくと考えられますがいかがでしょうか。
A: 弊社でもそのように見込んでいます。現段階で事業規模を拡大し、業界が淘汰されるときに良い保育園として残っていきたいと考えています。
Q: 選ばれる保育園になるために、保育園の付加価値が重要になってくると思いますが、貴社はどのように取り組んでいきますか。
A: 他社様が付加価値を重視している中、弊社でも英語教室を全施設で無償で実施しており、体操教室は一部施設から運営を始めています。とはいえ依然として、施設立地こそが多くの方に望まれる園づくりの重要な要素であるため、現時点では他の施設との差別化よりも、規模の拡大を優先しています。
Q: 保育事業の課題を教えてください。
A: 保育業界や保育士に対して、ネガティブな印象があることから、保育士の採用に苦戦しています。実際は、弊社の総合職保育士は、給料が30万円を超えており、社宅に1万円で住むことができます。諸条件は大変良いので、適切に訴求し意識改革をすることで、採用を進めていこうと考えています。
Q: 保育業界の動きで、業績が下振れる要因になりえることはありますか?
A: 女性の就業率の低下が起きた場合、保育所ニーズが減ると考えています。ただ、ほとんど起こりないと想定しています。厚生労働省のデータを見ると、現在は35~44歳の男性の就業率は93%で、同じ年齢の女性の就業率は79.2%です。また、幼稚園の代替として保育園が継続していくと考えられるため、保育業界は維持、ないしは出生率の低下を考慮すると少しだけ縮小すると見込んでいます。
Q: 人材事業は、3Qのみを見るとモバイル向けの売上が伸び、物流が減少しています。4Qはどのように考えたらよろしいでしょうか?
A: 人材セグメントは季節性があり、モバイル業界向けが4Qで伸びる傾向にあり、一方物流業界向けが3Q並みか少し減少すると想定しています。
Q: モバイル業界では人材需要があるとのことですが、採用はいかがでしょうか。
A: モバイル業界向けの中で、特に家電量販店の販売員の需要が引き続きあります。かつてモバイル業界向けでは、単価が上がらず、スタッフ様への支払い単価も上げることができませんでした。働き方も土日含む週4-5の案件がほとんどで、求職者様から選ばれにくい状況にあります。現場正社員の採用を強化し、クライアントのニーズに応えていきたいと考えています。
Q: モバイル業界での人材需要は、なぜ家電量販店に移っているのですか?
A: かつてはキャリアショップでの購買が多かったのですが、現在は各キャリアの多様な機種やプランから選びたいというお客様の需要があり、それに応えるために各キャリアが揃う家電量販店の人員を増やす動きがあります。
Q: 物流業界向けの売上が減少していますが、この動きは続きそうですか?
A: 物流施設が多く建ち、一つの施設内で扱う物量が減ったため、効率化が進んでいます。数年前までは人の手が必要だったことも、ロボット化で人手が不要になる等で、派遣人員の需要が減っています。この動きはもう少し続きそうです。物流業界向けのスタッフ様は比較的採用ができていますが、現状は売上の7割が特定のクライアント様関連のため、依存しないためにも様々な案件に派遣し、稼働スタッフ数を増やしていきたいと考えています。
Q: 特定技能分野で外国人材の紹介の状況はいかがでしょうか?
A: 海外から外国籍の方に来てもらうところまでは順調ですが、紹介先を見つけるところに課題があります。介護向けの紹介に力を入れているものの、介護業界は多数乱立で数人ずつしか紹介ができないため、営業工数がかかってしまいます。
Q: 特定技能では、日本に何年くらいいられますか?
A: 分野によりますが、介護は5年です。介護福祉士の資格を取ると、日本に定住できるようになります。そのため介護福祉士を取得し、家族を日本に呼ぶことを目標にしている方が多くいらっしゃいます。
Q: 介護福祉士の資格取得の支援を貴社でしているのですか?
A: 実施しています。資格取得支援に限らず、特定技能の業態的に必要な生活全般の支援を行っており、入国時にはライフラインの設定や日本語の教育等をしています。資格を取り終わるまで支援していきたいと考えています。
Q: 国の課題なので、ぜひ活躍してほしいと思います。今後は国規模でさらに拡大していくのでしょうか?
A: 上場企業が参入して進めていくことが重要だと考えています。弊社の場合はライクケアが介護施設の運営をしていることから説得力があるのではないでしょうか。ライクケアの施設で育成した方を他社様に紹介し、同じ国の方をその施設に紹介していくというモデルを作りたいと考えています。
Q: 介護事業では、開設コストが業績を圧迫しているのですか?
A: フェリエ ドゥ 上井草の入居率がまだ改善しておらず、業績を圧迫しています。フェリエ ドゥ 上井草の前に開設したサンライズ・ヴィラ小竹向原は、充足するまで2年かかりました。一方2025年2月に新規開設したサンライズ・ヴィラ春日部東は、同エリアにすでに2施設あり知名度が高いことも影響し、順調に充足が進んでいます。
Q: フェリエ ドゥ 上井草はなぜ埋まっていないのでしょうか?
A: ドミナントでないエリアに新規開設すると、ご入居者様の紹介につながりにくいと感じています。またフェリエ ドゥ 上井草は弊社の施設の中ではご入居費用が高めであることも影響しています。弊社は医療依存度の高い方にも安心してご入居いただける24ナースが魅力であることもあり、医療依存度が低めな方のご入居が進みにくいことも要因にあります。
Q: 26年5月期の入居率の平均は、92%を目指せそうでしょうか?
A: そのように想定しています。最近定員が充足したサンライズ・ヴィラ小竹向原は入居率が90%を超えており、2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東の順調な推移も寄与要因となります。
Q: 貴社にはどんなグループシナジーがありますか?
A: 人材事業の特定技能外国人の紹介と、介護事業がシナジーが特に高いと考えています。介護施設の運営のため、ライクスタッフィングからライクケアに特定技能の外国人を紹介し、生活支援も実施しています。今ライクケアの施設では、正社員介護士のうち25%は外国籍の方です。
Q: 中期経営計画における現状の位置づけと、今後の戦略はいかがでしょうか?
A: 作成段階では、人材事業で大きく伸ばす予定でしたが、現状は人材派遣の市場が厳しく苦戦しており、保育事業で特に伸ばしていきたいと考えています。今後はオーガニックな成長に加えて、保育のM&Aで非連続的な成長を狙っていきます。保育のM&A案件は、2024年7月にデジタルディフェンスを買収したことで様々お声がけいただいているので可能だと想定しています。
Q: 中期経営計画達成に向けて、ほかにどんな要素がありますか?
A: 日本生命様との資本業務提携です。日本生命様の力を借りながら、保育業界に山積みする課題解決に注力していきたいと思います。またシステムの外販についても、着実に進めていきます。
取締役 岡本 拓岳 様
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