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ライク(株)

東証PRM 2462

決算:5月末日

20251030

CP&X

【2026年5月期第1四半期】

決算概要

2026年5月期第1四半期の業績は、売上高15,930百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益466百万円(同47.9%増)、四半期純利益265百万円(同59.2%増)と大幅な増収増益での着地となった。

セグメント別または事業別の増減要因

主な増益要因は、人材セグメントと介護セグメントの進捗が計画を上回ったことである。特に人材セグメントでは、ECセールに伴う短期派遣の旺盛な需要を取り込んだことで売上が拡大し、原価率の改善がみられ、利益率向上に貢献した。介護セグメントも計画を上回る進捗であった。一方で、保育セグメントは先行採用に伴う人件費の増加と物価高騰による食材費の増加により想定以上の減益となった

季節性・一過性要因の有無と影響

業績に影響を与えた一過性要因として、物価高騰による保育セグメントの食材費の想定以上の増加が挙げられる。これに対し、ライクは主要な仕入れ業者2社と価格交渉を行い、11月から仕入れ価格の引き下げを実現した。この施策により、下期にかけて物価高騰の影響を徐々に小さくしていく方針である。

通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しに対する第1四半期の進捗は、全体として計画通りとの認識である。特に好調な人材セグメントの物流分野は、セールが多く集中する第2四半期から年末にかけても引き続き好調に推移すると見込んでいる。保育セグメントで先行支出した人件費の一部は、第4四半期の補助金によってキャッチアップできる見通しである。現時点での通期ガイダンスに対する修正の言及はなく、計画通りの達成可能性が高いと見受けられる。

主要KPIの進捗と変化

介護セグメントにおいて、入居者数の着実な増加が収益の拡大につながると認識しているが、今期は施設の開設がない分、入居者の確保をしっかりと進め、入居率の向上を図る方針である。第1四半期は比較的計画通りに進んでいる。

トピックス

人材セグメントのモバイル部門でリファラル採用を強化している。他社からの転籍(約170名)を受け入れた際に、同社のリファラル採用ノウハウを獲得し、採用効率化に繋げている点が特徴である。また、物流部門では、昨年開始したAmazonとの直接取引の拡大を重点路線としており、これによりセール案件だけでなく通常の案件も獲得し、取引規模の安定的な拡大を目指していく方針である。グローバル事業については、インドネシアでの施設開設を目指し取り組んでいる状況である。

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    【2025年5月期】

    決算概要

    2025年5月期の売上高は623億3,600万円で前期比3.1%の増加、営業利益は29億5,100万円で同11.5%の減少、経常利益は34億9,800万円で同11.5%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は20億9,700万円で同14.3%の減少となり、増収減益での着地となった。減益の主な要因は、人件費や物価の高騰によるコスト増加に加え、子育て支援サービス事業における補助金の期ズレの発生である。

    セグメント別または事業別の増減要因

    総合人材サービス事業は、物流部門の減収が大きく影響し、前年同期比減収となった。一方で、子育て支援サービス事業および介護関連サービス事業は、順調な施設稼働により増収を達成した。子育て支援サービス事業の営業利益は補助金の期ズレに加え、人件費上昇や食材費・光熱費増加が影響し悪化したが、介護関連サービス事業の利益は計画通りに推移した。総合人材サービス事業では、物流部門でZOZOの直接雇用推進や一部倉庫でのオーダーの一律化により派遣需要が低下したことが主な要因となり減収した。一方モバイル部門は需要が旺盛であり、派遣単価の値上げもプラス要因となり売上は回復基調にある。

     

    主要KPIの進捗と変化

    子育て支援サービス事業の公的施設数は順調に増加している一方で、病院内保育施設は病院側の経営状況悪化等により115箇所から107箇所に減少した。全体の施設数は414箇所から419箇所に増加し、ほぼ計画通りに進捗している。公的保育の児童数も新規施設開設や過去5年間に開設した施設の充足に伴い増加している。介護関連サービス事業では2025年2月に介護付有料老人ホームを開設し、全体の施設数は25箇所から26箇所に増加した。2025年4月末時点の入居率は87.7%である。

    総合人材サービス事業のスタッフ数は物流部門の減少が主因となり減少傾向にある

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    子育て支援サービス事業では、人事院勧告による保育士の給与アップに伴う追加補助金12億円が2025年5月期に計上され、増収要因となった。一方で、2025年5月期に計上予定だった約2億9,000万円の補助金が2026年5月期に期ズレしたことで、今期の計画未達の大きな要因の一つとなった。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年5月期の業績予想は売上高652億円(前期比4.6%増)、営業利益34億6,000万円(同15.2%増)と増収増益を見込んでいる。子育て支援サービス事業は、過去5年間に開設した施設の充足率向上や学童の貢献により、十分達成可能であると見ている。総合人材サービス事業は、スタッフの採用状況に依拠するものの、モバイル部門の需要対応と物流部門の新規クライアント開拓により、売上を2024年5月期並みに戻すことを目指す。介護関連サービス事業は入居率の上昇に注力することで、十分達成可能であるとみている。営業利益は、物価高騰によるコスト増加も以前より落ち着いてきている点や、施設の充足率向上、保育士の配置に関する補助金の加算分を取得できる体制の構築により改善を見込んでいる。

     

    トピックス

    日本生命との資本業務提携により「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させ、システム開発と集中購買の検討を進めている。海外事業(グローバル事業)の展開も継続的に検討しており、特にインドネシアでの保育施設開設を優先的に進める計画である。

  • 【2025年5月期】

    Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:子育て支援サービス事業では、認可保育園や学童といった公的施設の増加は順調に進んでいる一方で、病院内保育施設については、病院の経営状況悪化に伴い閉鎖するケースが増加し、施設数が減少しました。今後は、公設公営の保育園や学童の運営がコスト増や採用難を背景に民営化が進んでいくと考えています。また、「小1の壁」と呼ばれる学童等の待機児童が社会課題となっており、国や自治体が学童の整備を積極的に進めています。そのため、民営化案件の受注や学童の開設を積極的に進めていきます。

    総合人材サービス事業では、採用媒体を費用対効果の高いものに最適化することで必要のない費用を削減しつつ、2024年11月に他社から受け入れた従業員やスタッフが持っているリファラル採用のノウハウを活用することで、コストを抑えた採用が可能になる取り組みを進めています。モバイル部門では、人材需要が引き続き旺盛であるため、この需要に応えることで売上拡大を目指します。また、物流部門においては、EC関連事業者の繁忙期と閑散期におけるスタッフの退職を防ぐため、周辺クライアントを確保し、スタッフの近隣クライアントへの異動が可能な体制を構築することで、新規採用コストの削減を見込んでいます。

    海外展開(グローバル事業)も継続的に検討しており、具体的な詳細についてはまだ話せる段階ではありませんが、主にベトナムやインドネシアでの保育施設の開設を優先的に取り組んでいこうと考えています。

     

    Q:セグメント別の増減要因について教えてください。

    A:子育て支援サービス事業は、人事院勧告による保育士の給与アップに伴い、予算に組み込んでいなかった追加の補助金が12億円ほどあり、これが大きな増収要因となりました。一方で、2025年5月期に計上予定だった約2億9,000万円の補助金が2026年5月期に計上されることになり、これが計画未達の大きな要因の一つとなりました。

    総合人材サービス事業では、ZOZOが直接雇用を進めたことや一部の倉庫で各派遣会社へのオーダーを一律化したことから、当社はネガティブな影響を受け、大きな減収要因となりました。一律オーダーへの切り替えは特定の拠点だけでしたが、他の拠点にも波及する可能性もあると考えています。モバイル部門では、各キャリア、特にソフトバンクでは約7年ぶりに派遣単価の上昇があったことはポジティブに捉えています。モバイル部門の業績も回復基調にあると考えています。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2026年5月期の通期予想では増収増益を見込んでおります。

    子育て支援サービス事業・介護関連サービス事業は施設運営が中心のため、十分達成可能だと考えています。子育て支援サービス事業では、過去5年間に開設した認可保育園の充足率が高まることや、2025年4月に開設した学童が初年度から売上と利益に貢献すると見込んでいます。

    介護関連サービス事業では、2025年2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東の入居が順調に進んでおり、第3四半期以降には利益に貢献する見込みです。2024年2月に開設したフェリエ ドゥ上井草については、充足を進め、売上への貢献と赤字幅の減少を目指します。

    また総合人材サービス事業では、採用状況が鍵となりますが、モバイル部門では各クライアントからの需要に応え、物流部門ではAmazonとの取引拡大や新たなクライアント開拓により、売上拡大を目指します。

    営業利益についは、昨年の悪化要因であった物価高騰によるコストの増加が落ち着いてきており、さらに既存施設の充足が進むことによる利益率の改善を見込んでいます。加えて、保育士の採用や配置に関する加算等の補助金を最大限に取得できるよう体制を構築していく方針です。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aについては、子育て支援サービス事業を中心に検討を進めています。良い案件があれば積極的に取り組んでいく方針です。業務提携については、日本生命と資本業務提携を結び、「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させました。このコンソーシアムを通じて、システムの開発や集中購買を進めています。システム開発は、当社のシステムを元に外販できるよう改修を進める予定です。集中購買では、当社のライクプロダクツを通して、当社および他の保育事業者が物品を購入することでスケールメリットを活かし、コスト削減を図ります。これにより、当社だけでなくコンソーシアム参画事業者のコスト圧縮も目指しています。

  • 【2025年5月期】

    取材者:早速ですが、まず初めに2025年5月期の決算状況についてお伺いします。売上高は623億3,600万円で、前期比3.1%の増加。営業利益は29億5,100万円で、同11.5%の減少。経常利益は34億9,800万円で、同11.5%の減少。親会社株主に帰属する当期純利益は20億9,700万円で、同14.3%の減少と、増収減益という着地でした。これについての増減要因の説明をお願いできますか?

     

    回答者:まず、増収要因ですが、総合人材サービス事業は物流部門の減収が大きく影響し、前年同期比で減収となりました。一方で、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業は増収となりました。施設運営が中心であるため、過去に開設した施設が順調に稼働したことが増収の大きな要因だと考えています。また、子育て支援サービス事業においては、人事院勧告による保育士の給与アップに伴い、予算に組み込んでいなかった追加の補助金が12億円ほどありましたので、これも大きな増収要因になりました。

     

    取材者:利益面はいかがですか?

     

    回答者:営業利益については、総合人材サービス事業で売上の減収があったものの、採用費の見直しなどを行った結果、コストを抑制できました。そのため、営業利益は前年同期並みで推移し、微増という着地になりました。

    一方、子育て支援サービス事業については、2025年5月期に計上予定だった補助金の一部が、2026年5月期に計上されることになりました。その額が2億9,000万円ほどであり、これが計画に対し未達となった大きな要因になります。加えて、人件費の増加や、近年の物価高騰による食材費、光熱費の増加もあり、これら全てを吸収しきれなかったことが、減益の要因だと考えています。

    介護関連サービス事業は計画通りの利益になったと考えています。2年連続で施設を開設しているため、開設コストの発生や、2024年2月に開設した大型施設の入居進捗が計画よりも遅れていることによる赤字(約2億円)を含めても、おおむね計画通りに進んだと考えています。これらの要因を総合的に見て、グループ全体として減益となりました。

     

    取材者:人件費のお話もありましたが、前期比での採用数の推移などはいかがですか?

     

    回答者:採用数は増加しています。子育て支援サービス事業・介護関連サービス事業で新しい施設を開設しているため、新規の従業員を採用しています。また、新規の従業員だけで不十分な部分もありましたので、パート従業員の採用や人材派遣なども活用しながら人員を確保しました。そういったことも含め、当初の計画よりも人件費が増加しました。特に保育では学童を開設しましたので、夏休みや冬休みといった学校の長期休みの期間は、学童指導員を派遣やアルバイトなどで採用する必要がありました。

     

    取材者:どのような方針で採用を行っていますか?

     

    回答者:保育士や学童指導員については、新卒採用を強化しています。子育て支援サービス事業を行うライフキッズのホームページを改修し、採用ページも変更しました。また、TikTokやInstagramなどのSNSを活用し、実際に施設で働いている保育士や学童指導員の方々に協力を仰ぎ、当社施設の様子や魅力をアピールしています。現在進めている2026年4月入社の新卒採用に関しては、現時点ですでに2025年同時期の倍以上の内定者数を確保しており、徐々に効果は出てきていると考えています。

    総合人材サービス事業については、新規採用の媒体を特に変更したわけではなく、媒体を最適化しているという表現が適切だと考えています。一つの媒体で採用できる数には限りがあるため、資金を投下して最大数の採用が可能な媒体に最適化し、採算の悪い媒体を削減することで、必要のないコストをかけないようにしています。しかし、それだけでは十分とはいえず、総合人材サービス事業ではまだ採用に苦戦している状況です。これが売上減収にもつながっています。2026年5月期については、媒体の最適化に加えてリファラル採用(友人紹介)を進めています。2024年11月に従業員やスタッフの転籍を受け入れましたが、元の会社では媒体を使わず、リファラル採用(友人紹介)でスタッフを集めるノウハウをお持ちでしたので、そのノウハウを活かしていきたいと考えています。

     

    取材者:その他に何か主要なKPIについてございましたら、教えていただけますか?

     

    回答者:子育て支援サービス事業については、施設数が主要なKPIの1つです。認可保育園や学童などの公的保育施設の数は順調に増加しています。一方、病院内保育施設については、病院側の経営状況の悪化により、保育施設を取りやめる事業者が出てきており、当社都合ではなく先方の都合で閉設するケースが多かったと認識しています。そのため、病院内保育施設の数は減少しており、2024年4月末と比較すると115箇所から107箇所に減っています。

     

    取材者:全体の施設数は414箇所から419箇所に増えています。この進捗は計画通りだと見てよろしいですか?

     

    回答者:おっしゃる通り、計画通りに進んでいます。ただ、学童については競合他社も強化しており入札で取り切れないこともあるため、そこを確保できれば施設数をさらに伸ばせると考えています。認可保育園に関しては、待機児童数が減少していることもあり、自治体が開設のペースを鈍化させている状況です。しかし、保育施設があれば働きたい、預けたいという方は一定数いらっしゃるのも事実ですので、自治体と連携してリサーチを行いながら開設を進めていきます。最近は、公設公営の保育園や学童の運営がコストの増加や採用難から厳しく、民営化が進むと考えています。当社でも民営化案件を受けており、今後もそういった案件を積極的に獲得していきたいと考えています。先日、学童の待機児童数も発表されましたが、学童施設の不足はまだ深刻ですので、開設の追い風になると考えています。

     

    取材者:そういった民営化の部分も含め、2026年5月期の開設予定数はどのようになりますか?

     

    回答者:認可保育園は、12月に1施設、来年4月に2施設の計3施設の開設を予定しています。そのうちの1つが民営化案件です。学童と受託保育施設に関しては、現在入札を行っている段階ですので正確な数字は申し上げられませんが、目標としては学童10施設、受託保育施設5施設の開設を目指しています。秋頃にはこれらの数字も徐々に確定していく見込みです。

     

    取材者:総合人材サービス事業のKPIについて何かございますか?

     

    回答者:スタッフ数が主要なKPIですが、減少傾向にあります。主な要因としては、物流部門の減少が非常に大きいと考えています。物流部門の売上も4億円ほど減少しました。主な要因としては、ZOZOが直接雇用を進めたことや一部の倉庫で各派遣会社へのオーダーが一律になったことが影響しています。当社はこれまで多くのオーダーをいただいていたため、一律になったことでネガティブな影響を受けてしまいました。一律オーダーについて、現状では一部の拠点だけですが、他の拠点にも波及してくると、その影響は今期も続くと考えています。一方では、Amazonとの直接取引が昨年開始しましたので、この取引を広げていくことで売上拡大を目指したいと考えています。また、AmazonやZOZOなどEC関連では繁忙期と閑散期が分かれており、繁忙期に採用したスタッフが閑散期に退職してしまうケースが多くありました。そこで、これまで閑散期に退職していたスタッフを、他の近くのクライアントに異動させる取り組みを進めています。ZOZOやAmazonの倉庫を中心として周辺のクライアントを確保することで、スタッフの近隣クライアントへの異動が可能な体制を構築している状況です。これにより、退職を防ぐことができるだけでなく、新規採用コストの削減にもつながると考えています。モバイル部門については、引き続き需要は旺盛です。昨年1年間を通して四半期ごとに売上は増加傾向にあり、回復基調にあると考えています。今後は需要に応えていくことで、売上を拡大できると考えています。加えて、モバイル業界では派遣単価の値上げがありました。ソフトバンクだと約7年ぶりであり、これまで給与アップが行われてこなかった業界において、改定が行われたことはプラスに働くと捉えています。当社はこれまでも交渉を続けてきましたが、なかなか受け入れていただけないこともありましたが、他の業界でも賃金上昇が進んでいるため、各キャリアも賃上げをしないとスタッフの採用ができないと認識し始めたと考えています。ただ、来年も改定となるかは不透明な部分が多いので、当社としては今後も継続して交渉を行っていくことが重要だと考えています。

     

    取材者:介護関連サービス事業のKPIについて何かございますか?

     

    回答者:主要なKPIは施設数ですが、2025年2月にサンライズ・ヴィラ 春日部東を開設し、施設数は合計26施設となりました。施設数も増加してしたため入居者数も増加しておりますが、入居者率は開設の影響もあり2025年4月末時点で87.7%となりました。ただ、直近2年間で開設したフェリエ ドゥ 上井草とサンライズ・ヴィラ 春日部東を除くと92.3%であるため、この2施設の入居率を高めていくことが重要であると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。来期2026年5月期の見通しもお聞きできますか?業績予想として売上高652億円(前期比4.6%増)、営業利益34億6,000万円(同15.2%増)、経常利益40億5,000万円(同15.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億5,000万円(同31.1%増)と、2025年からは増収増益の着地を予想されているかと思いますが、これについての見通しについて説明いただけますか?

     

    回答者:まず、売上はセグメントごとに予算を開示しておりますが、子育て支援サービスと介護関連サービスは施設運営が中心であるため、十分達成可能だと考えています。子育て支援サービスについては、過去5年間に開設した認可保育園の充足率が高まっていくと考えており、学童も初年度から最大の売上と利益に貢献していくと見込んでいますので、達成可能だと考えています。また、2023年や2024年にもあった人事院勧告による保育士の給与アップが今年もあれば、予算には組み込んでおりませんが、売上の増収要因となります。

    介護関連サービス事業については、2025年2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東は入居が順調に進んでおり、2025年12月頃には黒字転換できるのではないかと考えています。第3四半期以降には利益に貢献すると見込んでいます。一方でフェリエ ドゥ上井草は、2026年5月期中の黒字転換は難しい状況です。充足を進めることで売上への貢献を狙い、できる限り赤字幅の減少を目指していく必要があると考えています。

    また総合人材サービスについては、正直なところ採用次第という面もありますが、モバイル部門は需要がまだまだありますので、応えていきたいと考えています。物流部門もAmazonのような新規クライアントを開拓し参入していくことで、売上を2024年5月期並みに戻すことができると考えています。

    営業利益については、2025年5月期の悪化要因であった物価高騰によるコストの増加が従前と比較すると落ち着いてきており、施設の充足が進むことで利益率を改善できると考えています。加えて、保育士の配置に関する加算等の補助金を、当社が最大限に活用できていないという実態があると考えています。JPホールディングスは、認可保育園の新規開設をそこまで多く進めていない代わりに、この5年の間に保育士の配置を整え、補助金を最大限得られるような仕組みを構築されたと考えています。一方、当社はこれまで開設を優先してきたため、配置に関する補助金などを全て取れているわけではないと認識しています。今後は、この補助金を取得できるように体制を構築していくことで、利益率の改善が目指せると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。その他、今後M&Aや業務提携の実施の有無、検討状況などございましたら、お答えできる範囲で教えていただけますか?

     

    回答者:M&Aについては、子育て支援サービス事業を中心に検討を進めております。良い案件があれば仕掛けていくように検討しています。業務提携については、日本生命と資本業務提携を結び、「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させました。この取り組みの中で、システムの開発や集中購買を進めているところです。システムの開発については、当社のシステムを外販できるように改修を進める予定です。外販に向けてパッケージ価格なども検討しているところです。集中購買では、当社のライクプロダクツを通して、当社と他の保育事業者の方に物品を買っていただくことで、スケールメリットを活かしてコスト削減を図ろうと考えています。これにより、当社だけでなくコンソーシアムに参画していただいている他の保育事業者様のコスト圧縮も狙えると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。株主還元の方針について、何か変更などございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:株主還元の方針について、特に変更はございません。

     

    取材者:最後に、足元の状況について何かトピックスやニュースリリースなどがございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:海外事業(グローバル事業)の展開を継続的に検討しています。具体的な詳細についてはまだお話できる段階ではありませんが、主にベトナムやインドネシアでの保育施設の開設を優先的に取り組んでいこうと考えています。おそらく、進捗が早いのはインドネシアだと想定していますので、何かしらの形で発表できるよう取り組んでいきたいと考えています。

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年5月期 第3四半期は増収減益となる。売上高は439億90百万円、前年同期比1.2%増。一方で、営業利益は13億43百万円(前年同期比7.8%減)、経常利益は13億94百万円(同19.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億23百万円(同15.8%減)となる。営業利益減少の主な要因は、前期開設の介護付有料老人ホームの運営に伴う先行コストの発生。経常利益減少の要因は、設備補助金収入の減少。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    子育て支援サービス事業の売上高は221億38百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は7億2百万円(同12.8%増)と、増収増益を達成。総合人材サービス事業の売上高は154億17百万円(前年同期比7.7%減)となるも、営業利益は10億49百万円と微減にとどまる(同0.1%減)。介護関連サービス事業の売上高は63億71百万円(同5.0%増)となるも、営業利益は2億9百万円(同43.4%減)と減益となる。子育て支援サービス事業は、2024年5月期に開設した施設の充足が売上増に貢献。総合人材サービス事業は、稼働スタッフ数の減少が減収要因。介護関連サービス事業は、前期開設の介護付有料老人ホームの運営に伴う先行コストが営業利益を圧迫。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    保育事業の補助金を第4四半期に計上するため、売上、営業利益ともに第4四半期に偏る傾向。

     

    戦略・注力領域の進展と変化

    子育て支援サービス事業では、保育士の2024年5月期の退職率は16%程度であったが、足元では14%程度になる見込みであり、人材の定着が進む。総合人材サービス事業においては、モバイル部門の採用を強化し、物流部門は部署の再編成を進めており、新規取引先の確保に取り組んでいる。介護関連サービス事業においては、ライクスタッフィングと連携し、特定技能外国人の採用拡大を進め、ライクケアの正社員の介護職員のうち、約25%が外国人である。これは他社と比較しても高い水準であり、グループ会社との連携によるシナジー効果である。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2025年5月期の通期連結業績予想に対する第3四半期時点での進捗率は、売上高が約69.8%、営業利益が約40.1%、経常利益が約34.9%、親会社株主に帰属する当期純利益が約32.9%。利益面はやや低調だが、新規施設の稼働安定化や営業強化による営業利益改善を見込む。

    トピックス

    総合人材サービス事業ではモバイル部門を筆頭に、2025年4月から給与単価のベースアップ。子育て支援サービス事業では、人事院勧告に伴う保育士のベースアップに関する追加の補助金が3月、4月に合計で10億円前後入る見込み。日本生命の子会社であるニチイ学館にシステムを試験導入中であり、来期以降に投資、外販に向けて取り組んでいる。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:今後の成長戦略のポイントとしては、人材事業における営業体制の強化が挙げられます。特に、物流部門の再編と新たな取引先の開拓、モバイル部門における採用の強化を推進し、各事業領域での人材確保と業績回復を目指します。

    また、保育事業においては、4月に認可保育園6ヶ所、学童クラブ8ヶ所、受託保育施設2ヶ所を新たに開設しており、これらの施設の収益への貢献が期待されます。さらに、日本生命の子会社であるニチイ学館様へのシステム試験導入を進めており、将来的にはシステム開発による収益も見込んでおります。

     

    Q:通期業績の見通しについてご説明ください。

    A:2025年5月期の通期業績予想につきましては、売上高630億円、営業利益33億50百万円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円を見込んでおります。第3四半期においては、売上高439億90百万円、営業利益13億43百万円、経常利益13億94百万円、四半期純利益は8億23百万円となっております。利益面は第3四半期では、介護付有料老人ホームの先行運営コストや保育事業における設備補助金収入の減少等が影響しておりますが、子育て支援サービスではその特性上、第4四半期に補助金が多く計上されます。そのため、補助金が計上されるまでの間は人件費等の先行投資が発生いたします。これは施設数の増加に伴い、金額も大きくなります。

     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:人材事業におけるモバイル業界では、他業種との人材獲得競争が激化しており、人材確保は依然として難航しておりますが、キャリア各社や家電量販店からの人材ニーズは堅調で、派遣単価も上昇傾向にあります。一方、物流業界では、大手企業による業務効率化が進み、人材派遣の需要はやや減少しております。保育・介護業界では、業界全体で慢性的な人材不足が深刻化しており、人材確保が重要です。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却等の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現時点では、具体的なM&A、業務提携、事業売却の予定はございません。日本生命との資本業務提携では、日本生命の子会社であるニチイ学館様との間で、当社が開発したシステムの試験導入を進めております 。このシステム導入が順調に進めば、将来的な収益貢献が期待されます。

  • 取材者: 先日はお話いただき、ありがとうございました。本日は、第3四半期の決算について、いくつかご質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

    回答者: こちらこそ、よろしくお願いいたします。

    取材者:2025年5月期 第3四半期の業績について、ご説明いただけますか?

    回答者:はい。まず、売上高は439億90百万円となり、前年同期比で1.2%の増加となりました。

    取材者:売上は堅調に推移しているようですね。利益面の状況はいかがでしょうか?

    回答者:営業利益は13億43百万円で、前年同期比では7.8%の減少となっております。これは、前期に開設いたしました介護付有料老人ホームの運営に伴う先行的なコストが発生したことが主な要因です。

    取材者:なるほど。新規施設の運営コストが影響したのですね。経常利益についても教えていただけますか?

    回答者:はい。経常利益は13億94百万円で、前年同期比で19.8%の減少となりました。子育て支援サービスにおける、設備補助金の収入が減少したことが影響しております。

    取材者:四半期純利益はどうなっていますか?

    回答者:親会社株主に帰属する四半期純利益は8億23百万円で、前年同期と比較して15.8%の減少となっております。

    取材者:ありがとうございました。売上は増加しているものの、運営コストや補助金収入の減少が営業利益に影響したという理解でよろしいでしょうか?

    回答者:おっしゃるとおりでございます。

    取材者:各セグメントの業績についてお聞きいたします。子育て支援サービス事業の現状について、教えていただけますか?

    回答者:はい。2023年の出生数は過去最低の727,288人となり、少子化が一層深刻化しています。一方で、潜在的な待機児童は約7万人、学童クラブの待機児童も増加しており、特に首都圏では保育の受け皿不足が続いています。

    取材者:なるほど。政府も対応を進めているようですね。

    回答者:おっしゃるとおりです。政府は「こども未来戦略」を掲げ、保育制度の拡充や保育士の処遇改善等、少子化対策を加速させています。

    取材者:貴社としては、どう対応されていますか?

    回答者:当社連結子会社のライクキッズでは、認可保育園の開設だけでなく、自治体・企業から運営の民営化案件も幅広く手がけています。また、保育士の採用を強化しており、優秀な保育士が働きやすい環境づくりとして処遇改善にも力を入れています。

    取材者:第3四半期の実績はいかがでしたか?

    回答者:2025年5月期は、認可保育園を7ヶ所、学童クラブ等を8ヶ所、受託施設を3ヶ所開設しました。その結果、売上高は221億38百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は7億2百万円(同12.8%増)と、増収増益となっております。

    取材者:総合人材サービス事業の現状と取り組みについて、お聞かせいただけますか?

    回答者:はい。日本国内では、少子高齢化による労働力人口の減少がますます深刻化しております。当社が注力している社会インフラとも言える業界では、人材の確保が極めて重要な経営課題となっております。

    取材者:そうした中で、具体的にどのような施策を講じているのでしょうか?

    回答者:当社の連結子会社であるライクスタッフィング株式会社では、モバイル、物流・製造、コールセンター、保育・介護、建設といった事業領域において、就業人口の増加を目指し、積極的な営業活動を行ってまいりました。

    取材者:業界ごとの状況について、詳しく教えていただけますか?

    回答者:モバイル業界では、社会全体の人材不足に加えて、他業種との間で人材獲得競争が激化しており、人材確保は依然として難航しています。一方で、キャリア各社の競争が激しい家電量販店向けの販売人材に対するニーズは堅調に推移しており、派遣単価も上昇傾向にあります。

    物流業界では、大手企業による物流施設の業務効率化が進んだことから、新たな人材派遣の需要はやや減少しました。

    保育・介護業界につきましては、慢性的な人材不足がさらに深刻化しているため、当社では営業体制の見直しを実施するとともに、連結子会社であるライクキッズ株式会社およびライクケア株式会社による施設運営のノウハウを活かして、派遣・紹介の強化に努めております。

    取材者:外国人材の活用についても取り組まれていると伺いました。

    回答者:はい。次なる成長分野として、以前より推進してまいりました外国人材就労支援サービスの拡大にも継続して注力しております。特に人材が逼迫している介護業界に対しては、積極的な営業活動を展開し、企業様が円滑に外国人材を受け入れていただけるよう、生活面の支援を含めた働きやすい環境の整備にも力を入れております。

    取材者:第3四半期の業績についても教えてください。

    回答者:はい。当第3四半期における総合人材サービス事業の売上高は154億17百万円で、稼働スタッフ数の減少により前年同期比で7.7%の減収となりました。一方で、営業利益は10億49百万円となり、前年同期比で0.1%の微減にとどまっております。

    取材者:介護関連サービス事業の取り組みについて、現状をご説明いただけますか?

    回答者:はい。介護関連サービス事業につきましては、当社の連結子会社であるライクケア株式会社が中心となり、神奈川県・東京都・埼玉県といった高齢者人口の多い首都圏において、介護付有料老人ホーム等を運営しております。

    取材者:どのような特徴の施設を運営されているのでしょうか?

    回答者:当社施設では、医療機関との連携を強みとしており、24時間体制で看護師が常駐しているほか、看取り介護にも対応している施設が多くございます。そのため、介護度が高く、ご自宅での介護が難しい方にも安心してご入居いただいております。

    取材者:新たな施設の開設も進められてきたと伺いました。

    回答者:はい。2024年2月には「フェリエ ドゥ 上井草」を開設し、さらに2025年2月には埼玉県春日部市に「サンライズ・ヴィラ春日部東」を新設いたしました。これにより、当社の運営施設数は合計で26施設となっております。なお、春日部市での施設開設は、「サンライズ・ヴィラ春日部」「サンライズ・ヴィラ北春日部」に続き、3施設目となります。

    取材者:それでは、今期の業績についても教えていただけますか?

    回答者:はい。当第3四半期における売上高は63億71百万円で、前年同期比5.0%の増収となりました。一方で、2024年2月に開設した「フェリエ ドゥ 上井草」にかかる先行的な運営コストが発生したことにより、営業利益は2億9百万円と、前年同期比で43.4%の減益となっております。

    取材者:新規施設開設に伴う投資が先行しているということですね。

    回答者:おっしゃるとおりです。

    取材者: それでは、子育て支援サービス事業が非常に順調に推移しているように見受けられますが、第3四半期決算で特筆すべき点等ございましたら、ご説明いただけますでしょうか?

    回答者:第3四半期の業績には大きく影響しておりませんが、4月に新たな施設を開設いたしました。認可保育園を6ヶ所、学童クラブを8ヶ所、そして受託保育施設を2ヶ所です。これらの開設は、4月から売上等にも寄与するため、来期以降の業績にもプラスの影響を与えると期待しております。

    取材者: 2024年4月末と2025年4月1日時点の施設数を比較すると6施設増加とのことですが、閉鎖した施設についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 閉鎖した施設の多くは受託保育施設であり、契約の終了や、事業者様のニーズの変化等が理由です。利用者様のお子様の成長に伴う利用状況の変化等により、施設の閉設等がございました。

    取材者: 他の認可保育園や学童クラブ等の閉設はなかったということですか?

    回答者: はい、その点に関しては特にございません。 受託保育施設は、企業様のご都合に左右されることがあると考えております。

    取材者: それでは、総合人材サービス事業についてはいかがでしょうか?

    回答者: 総合人材サービス事業につきましては、物流部門の業績が計画よりも下回っている点と、モバイル部門の採用が順調に進んでいない点が、第3四半期の業績に影響していると考えております。物流部門に関しては、部署を再編成し、新たな取引先の確保に向けて取り組んでおりますので、来期以降回復させていきたいと考えております。

    モバイル部門につきましても、人材の需要は依然として高い状況ですので、採用の強化を図ってまいります。これまでベースアップが難しい状況でしたが、4月から各キャリア様や量販店様から給与単価を引き上げていただいたので、採用面でのプラスの効果があると期待されます。

    取材者: 第2四半期と比べると、モバイル事業は回復しているように見受けられますが、第4四半期に向けて、さらに回復していく可能性があるということですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。

    取材者: 総合人材サービスにおいて、採用費の適正化に取り組んでいるとのことですが、具体的にご説明いただけますか?

    回答者: はい、ナビ媒体経由での採用が難しい状況ですので、採用効果の高い媒体を絞って運用を行っております。

    取材者: 媒体を絞って運用を行っているのですね?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。 効果的な媒体に絞って運用しております。

    取材者: そうしますと、第2四半期から第3四半期にかけて稼働スタッフが減少しているのは、その影響があるのですか?

    回答者: 稼働スタッフの減少については、季節性の要因がございます。第2四半期と第3四半期の違いとして、物流部門の動向が大きく関係しております。 第2四半期は、セール等の繁忙期にあたり、スタッフ数が非常に多いのですが、第3四半期は、セール等が落ち着くため、スタッフ数が減少します。

    取材者: 売上も第2四半期が最も大きくなるということですか?

    回答者: 物流部門は、その傾向がございます。

    取材者: 総合人材サービス事業全体、および子育て支援サービス、介護関連サービスを含めた全体として、季節性はいかがですか?

    回答者: グループ会社全体では、第4四半期に売上、営業利益ともに偏る傾向があります。これは、子育て支援サービスに関する補助金が、主に第4四半期の3月、4月に自治体から支給されるためです。

    取材者: その補助金は、今期の連結サマリーに記載されている経常利益の設備補助金とは別のものでございますか?

    回答者: はい、売上として計上される補助金は、施設の運営費や従業員の方の給与に対する補助金です。営業外収益に計上される設備補助金は、今回開設した認可保育園の開設費用に対する補助金です。 季節性に関する詳細につきましては、2025年5月期 第3四半期 決算説明資料の49ページにまとめておりますので、ご参照ください。

    取材者: 介護関連サービス事業についてはいかがでしょうか?

    回答者: 介護関連サービス事業は、ご入居者様の入居が当初の予定より遅れています。 2024年2月に開設した「フェリエ ドゥ 上井草」で、入居の進捗が想定を下回っております。

    取材者: 全体では入居率が89.5%で、目標の93%には届いていないとのことですが、上井草を除いた入居率はいかがでしょうか?

    回答者: 上井草を除いた入居率は、第3四半期末時点で93%となっております。

    取材者: 上井草の入居が遅れているということですか。

    回答者: はい。一方で、今年の2月に春日部市で新たに開設した施設につきましては、これまでの施設開設のノウハウや、ドミナント戦略が奏功し、入居は順調に進んでおります。職員の配置が追いついていない状況ではありますが、早期に満床となり、営業利益に貢献すると考えております。

    取材者: 今後の施設開設のご予定はございますか。

    回答者: 第4四半期および来期は開設の予定はございません。

    取材者: 承知いたしました。 介護スタッフの確保は大変かと存じます。

    回答者: はい、介護士不足は業界全体の課題となっております。当社の介護関連サービス事業を担うライクケアでは、ライクスタッフィングと連携し、特定技能外国人の採用を進める等、対策を講じております。おかげさまで、ライクケアの正社員の介護職員のうち、約25%が外国人の方となっております。

    取材者: それは他社と比較しても多いですか?

    回答者: はい、東京都高齢者福祉施設協議会が実施しているアンケート結果と比較し、多い方だと考えております。グループ会社のライクスタッフィングとの連携が、グループシナジーを生んでいると考えております。

    取材者: 承知いたしました。 経常利益の減少は、想定通りということでよろしいのですか?

    回答者: はい、経常利益の減少は想定通りです。 主な要因としては、前期、2024年5月期の第3四半期までに計上いたしました設備補助金が今期より大きかったことが挙げられます。 今期も10月に1施設保育施設を開設いたしましたが、保育施設開設にかかる設備補助金の差により、経常利益が減少しています。

    取材者: 全体の売上、営業利益の状況を拝見しますと、営業利益率が低い要因として、保育施設、介護施設の先行投資の影響が大きいという理解でよろしいですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。介護事業において、上井草の施設が赤字であることや、2月に開設いたしました春日部の施設の先行投資等が影響しております。

    取材者: 上井草の入居率を向上させるための施策等はございますか?

    回答者: はい、入居促進のため、様々な施策を実施しております。 開設当初は、要介護度の高い方を中心に入居いただいておりましたが、現在は、対象を限定せず積極的にアピールしております。 ただ、介護施設の特徴として、開設当初は要介護度の高い方が多く、新たな層の入居が進んでいない状況です。

    取材者: 他の施設も、開設当初は要介護度の高い方が多いのですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。上井草の前に開設いたしました板橋区の小竹向原の施設も、当初は要介護度の高い方が多かったのですが、第3四半期末時点ではほぼ満床となっております。 満床になるまで2年以上の時間がかかりました。

    取材者: 長期的な視点で見守る必要があるということですね。

    回答者: はい。

    取材者:2025年5月期の通期業績予想と、これまでの進捗状況についてお聞かせください。

    回答者:はい。2025年5月期の通期連結業績予想につきましては、売上高630億円、営業利益33億50百万円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円を見込んでおります。

    取材者:第3四半期までの進捗状況はいかがでしょうか?

    回答者:はい、売上高の進捗率は439億90百万円で約69.8%、営業利益は13億43百万円で約40.1%、経常利益は13億94百万円で約34.9%、四半期純利益については8億23百万円で約32.9%の進捗となっております。

    取材者:利益面ではやや低調のようにも見受けられますが、その背景についてご説明いただけますか?

    回答者:はい、主な要因としては、前連結会計年度に開設した介護付有料老人ホームの先行的な運営コストの発生や、設備補助金収入の減少等が挙げられます。また、子育て支援サービスではその特性上、第4四半期に補助金が多く計上されます。そのため、補助金が計上されるまでの間は人件費等の先行投資が発生いたします。これは施設数が増えるほど大きくなります。通期に向けては新規施設の稼働安定化や営業強化による営業利益改善を見込んでおります。

    取材者:通期目標の達成に向けた施策についてもご説明ください。

    回答者:今後は、人材事業の営業体制をさらに強化するとともに、保育事業や介護事業での施設運営の効率化も進めてまいります。新規開設施設の収益寄与も見込まれますので、利益面での巻き返しに努めてまいります。

    取材者: 日本生命様との取り組みに関して、進捗等ございましたら教えていただけますか?

    回答者: はい、日本生命様の子会社のニチイ学館様に、当社が開発したシステムを試験的に導入していただいている段階です。 画面等をご覧いただきながら、進めている状況で、今期中には試験導入を進めていきたいと考えております。その後、改修等を行っていく予定です。

    取材者: それでは、4月以降、何か新しいトピックス等はございますか?

    回答者:4月からのトピックスとして、モバイル業界での給与単価がベースアップされたことが挙げられます。モバイル業界だけでなく、同一労働同一賃金の関係で、コールセンターや物流の分野でもベースアップが行われております。

    また、保育事業に関しては、第4四半期に補助金が大きく入ってくることに加え、昨年の10月に実施されました人事院勧告による保育士の給与ベースアップに関する追加の補助金が、3月、4月に入ってくる予定です。補助金の額は、10億円前後になる見込みです。

    取材者: それは大きいですね。

    回答者: はい、売上として計上されます。そのまま保育士に還元いたしますので、営業利益には影響はないとお考えください。

    取材者: 少し、保育士が働きやすくなりますね。

    回答者: そうですね。 保育士の給与水準は、高水準だと考えております。弊社の総合職保育士の初任給は、31万円程度ですし、社宅も自己負担1万円で利用できます。保育士の処遇面は改善されてきていると言えます。

    保育士の離職理由として、賃金等の待遇面が挙げられることが多いですが、厚生労働省のアンケート調査では、待遇面よりも人間関係を挙げられる方が多くいらっしゃいます。園長先生や保護者の方、同僚との人間関係が、離職の主な理由になっていると考えております。

    当社は、東京、神奈川を中心にドミナントで施設展開しておりますので、従業員の方の他の施設への異動を比較的柔軟に行えます。そのため、人間関係による離職を抑制できていると考えております。

    取材者: 退職率はどのくらいでしょうか?

    回答者: 2024年5月期の退職率は16%程度でしたが、足元では14%程度になる見込みです。 正確な数字は集計中ですので、まだお伝えできませんが、そのくらいの水準になると考えております。

    取材者: 承知いたしました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

    回答者: ありがとうございました。

  • IR担当

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

  • CP&X
     

    ビジネスモデルおよび事業内容

    ライク株式会社は、子育て支援サービス事業、総合人材サービス事業、介護関連サービス事業の3つの事業を展開している。 子育て支援サービス事業(以下、保育事業)では、首都圏を中心に認可保育園を運営し、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を図っている。 総合人材サービス事業(以下、人材事業)は、人材派遣を主軸に、業務委託や人材紹介も行う。 介護関連サービス事業(以下、介護事業)では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴である。
     

    創業の経緯と転機

    創業当初は旅行会社として設立されたが、その後、携帯販売の代理店事業に転換し、人材派遣事業に注力するようになった。 保育事業は、人材派遣事業における女性の離職の課題と、保育会社の買収案件をきっかけに参入した。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収により参入した。
     

    特徴と強み

    人材事業では、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成を強みとしている。 保育事業では、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を強みとしている。 介護事業では、看取りまで行う点が特徴である。
     

    成長戦略

    人材事業では、エキスパート職と称する正社員の採用を強化し、大学とのリレーションを強化することで、採用コストの抑制と安定的な人材確保を目指す。 保育事業では、日本生命との業務提携により、システムの改修や保育の質向上のための「保育コンソーシアム」を立ち上げ、業界全体への貢献を図る。 介護事業は、1施設ずつ着実に開設していく方針である。
     

    株主還元策

    配当性向30%を基本とし、今期は44%程度の予想である。 基本的に維持もしくは増配を検討している。
     

    新たな取り組みや重点施策

    日本生命との業務提携が大きなトピックスである。人材事業において、他社から派遣スタッフを約170名受け入れている。

  • Q: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    A:当社は、保育事業、人材事業、介護事業の3つの事業を展開しています。 人材事業は、携帯販売代理店の運営経験により培った人材育成のノウハウを強みとしています。 保育事業では、首都圏を中心に認可保育園を運営しており、独自開発のシステムによって業務効率化と保育の質向上を図っています。 介護事業では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴です。
     

    Q: 人材事業では、どのような事業を行っていますか?

    A:人材派遣を主軸とし、業務委託や人材紹介も行っています。 強みは、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成です。
     

    Q: 保育事業におけるシステム開発の内容と、日本生命との業務提携に至った経緯について、お聞かせください。

    A:当社は児童の情報管理や職員の配置状況の可視化を行うシステムや、保護者と保育士の連絡帳機能、物品販売、写真販売などの機能を備えたアプリを独自に開発しています。 基幹システムとアプリを自社開発している点に加え、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携にいたりました。システム開発に資金やリソースを投入し、システムを他の保育事業者でも利用できるように改修した上で販売する予定です。また、保育の質向上や業務改善を日本生命と当社が主導するプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、グローバルキッズ様や学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求める提言を行うなど業界全体への貢献を進めてまいります。
     

    Q: 介護事業の特徴である「看取りまで行う」ことについてご説明いただけますか?

    A:当社の介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、参入いたしました。 24時間看護体制の施設と地域の病院との医療連携により、介護度の高い方の受け入れも可能です。
     

    Q: 介護事業の入居率の目標値は、どの程度でしょうか?

    A:今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
     

    Q: 保育事業と介護事業における、新規出店の違いについて、具体的にどのような点でしょうか?

    A:保育事業は、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。 一方で、介護事業は、様々な形態で施設を開設できるため、競合が多いという点が挙げられます。 また、当社が運営する特定施設は、総量規制の対象となるため、認定の確実な取得が重要です。
     

    Q: 創業の経緯について、お聞かせいただけますか?

    A:当社の代表は、1993年に旅行企画の会社を設立しました。 その後、携帯電話の普及に伴い、携帯販売代理店や人材派遣事業へと業態を転換していきました。

    保育事業には、人材派遣事業において女性の離職が課題であると感じていたことと、保育会社の買収案件があったことをきっかけに参入しました。 当時は病院内や企業内の受託施設が主軸でしたが、待機児童問題などを背景に、認可保育園の開設へと事業を拡大しました。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収案件をきっかけに参入しました。

  • 取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    回答者: 当社の事業は大きく3つに分類され、保育事業、人材事業、そして介護事業を展開しております。 まず、人材事業についてご説明いたします。当社の創業当初の経緯からご説明いたしますと、もともとは旅行会社として設立されました。その後、携帯販売の代理店事業を開始し、代理店運営を通じて人材派遣のニーズを捉え、人材派遣事業に注力するようになりました。

    回答者: 当社は採用・育成を主軸として人材派遣を行い、事業を拡大してきた企業です。採用・育成といった人材育成の分野を大きな強みと考えておりまして、キャリア様の携帯販売の立ち上がりの時期から一緒に成長してきた企業ですので、キャリア様との繋がりや、無資格・未経験者を戦力化してきた人材育成のノウハウが蓄積されており、当社独自の他社にはない強みと考えております。

    取材者: 貴社が横展開して、物流の分野に進出されているとのことですが、その分野でも、最初の段階の教育といったところでは、強みが生まれているといえますか。

    回答者:新たな強みが生まれたとは考えておらず、物流部門でもこれまで培った採用や人材育成のノウハウを活かすことで、横展開できたと考えています。

    取材者: 人材事業は、人材派遣が主軸とのことですが、他に事業は行っていますか?

    回答者:業務委託や人材紹介も行っております。

    取材者: 続いて、保育関連サービスについてですが、主に認可保育園の運営を行っているということでよろしいですね?

    回答者: はい。首都圏を中心に、東京・神奈川で認可保育園を運営しております。直近5~6年で多くの保育施設を開設しており、自治体との強固な関係を築いています。また、当社はこれまで大きなトラブルや事故を起こしておらず、自治体から高い信頼を得ています。

    取材者: 例えば、他の保育事業様が補助金の不正受給や虐待の問題が挙げられていますが、そういったところが全く起こっていないというのは、素晴らしいですね。

    取材者: それは、やはり管理体制が徹底されているということですか?

    回答者:管理体制は築けていると思います。研修制度も初期から充実していたのですが、さらに強化し、プログラムを拡充しています。それに加え、ドミナントに施設を開設することで職員の異動も可能になるため、退職抑止にも繋がり、結果として、保育の安全性にも繋がっていると考えております。

    回答者: また、当社では独自にアプリや社内基幹システムを開発し、業務効率化や保育の質向上を図っています。

    取材者: システム開発は、貴社で独自に開発されているということですか?

    回答者: おっしゃる通り、弊社独自で開発しております。

    取材者: 具体的なシステムの内容について教えてください。

    回答者: 例えば、保育士の配置状況を把握し、可視化するシステムを開発いたしました。以前は各施設からスーパーバイザーを通して本社の採用チームに連絡が入っていましたが、システム化により、情報が直接採用チームに伝わるようになり、採用活動の効率化とスピードアップを実現しました。

    回答者:また、アプリでは、保護者様と保育士の連絡帳機能、オムツの購入などのサブスクリプションサービスの提供、写真販売などを行っています。

    取材者: アプリで写真を購入できるのですね。

    回答者: アプリで購入できます。ダウンロードと郵送を選択できますので、保護者様にとって利便性が高いと考えております。この2つのシステム、基幹システムとアプリを自社開発している点と、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携を締結いたしました。

    取材者: 日本生命との資本業務提携の影響は、どのようなところに出てきますか?

    回答者: システム開発に資金やリソースを投入し、弊社内のシステムを他の保育事業者でも使えるようなシステムに改修して、最終的には外販していきたいと考えています。

    取材者: 外販していく流れがあるのですね。

    回答者: まだ始まったばかりですが、そのように計画しています。また、もう一点、保育の質や業務効率化を日本生命と当社が主導して進めていこうというプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、ニチイ学館様やグローバルキッズ様、学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求めていくような提言などを行っていく予定です。

    取材者: 業界全体としてそういう流れになってくるのですね。

    回答者: 業界をリードするような立場に当社がなっていきたいと考えております。

    取材者: 保育事業について、よくわかりました。続いて、介護事業についてですが、主に神奈川、東京、埼玉の春日部で、介護付有料老人ホームを運営されているということでよろしいですね?

    回答者: はい。現在26施設(取材時点)を運営しております。当社の介護事業の特徴は、看取りまで行うという点です。他の介護事業者様も看取りまで行うところもあると思いますが、敬遠するところが多いと聞いております。

    取材者: 他の介護事業者様が看取りまで行わないのは、収益性が出ないという点があるからですか?

    回答者: その通りです。看取りを行うと退去日が想定できず、空室期間が出てしまうという点がございます。当社が看取りを行うのは、代表の考えでして、代表の母親が入居する介護施設を探した際に、看取りまで対応してくれる施設が少ないことに疑問を感じたことがきっかけです。

    回答者: 24時間看護体制の施設や、地域の大きな病院との医療連携なども進めておりますので、介護度の高い方も受け入れることが可能な介護施設と考えています。

    取材者: 介護事業において、入居率は重要な指標になってくるかと思いますが、目標値はございますか?

    回答者: 今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。

    取材者: 昨年、保育事業ではかなり多く開設しているというお話でしたが、介護事業の新規開設についてはいかがでしょうか?

    回答者: 介護事業は、保育事業ほど大規模な拡大は考えておらず、1施設ずつ開設していく予定です。保育事業と介護事業で違いがありまして、保育事業の場合、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。一方で、介護施設は様々な形態で開設が可能で、既存の介護施設の隣に新たな介護施設を開設することができるため、介護施設の方が競合が多いという点が挙げられます。また、当社が運営している特定施設である「介護付有料老人ホーム」は、自治体や国の総量規制の対象なので、特定施設の認定を確実に取れるかどうかというところも一つの指標として置いております。そのような兼ね合いで、多くの施設を開設することができないというのが現実です。

    取材者: 例えば、東京・神奈川を中心にということでしたが、どういったところに実際に開設していくイメージですか?

    回答者:基本的には少し郊外になるところになるかと思います。 現在の当社の施設も、少し都心から離れたところや、直近開設した施設ですと埼玉の春日部、東京都内でも板橋区の小竹向原や杉並区の上井草ですので、このようなところに今後も開設していくと考えております。

    取材者: 承知いたしました。先ほど旅行会社の設立から始まったというお話がありましたが、貴社の創業の経緯についてもう少し詳しく教えていただけますか?

    回答者: 当社の代表は、大学生の頃から起業したいという気持ちを持っていまして、卒業してすぐの起業は難しいということで、一度、銀行に就職いたしました。そこで金融系のノウハウを学び、その後、転職をして経営について学んだと聞いております。そして、資金をそれほど必要としない旅行企画の会社を立ち上げました。その後、携帯電話が普及してくるにつれて、ビジネスチャンスを見つけて、携帯販売の代理店の運営や人材派遣に業態を転換していきました。

    取材者: 保育事業や介護事業を始められたきっかけは何ですか?

    回答者: 保育事業は、M&Aで参入したのですが、当社が人材派遣を行っていく中で、7~8割の方が女性の派遣社員の方で、そういった方々が退職する理由が出産や育児だったので、そこに課題を持っていました。女性の子育てによる離職への課題感を持っているところに、現在のライクキッズ、旧サクセスアカデミー社が売りに出されるという話があり、M&Aを経て、保育事業に参入いたしました。当時は、病院内や企業内の受託施設を主軸として運営していたのですが、国が待機児童問題を重要視するようになったので、認可保育園等の公的施設の開設に注力していきました。2017~2024年ぐらいまでに、100施設ぐらい開設しており、多いときには年に20施設の認可保育園を開設してきました。

    取材者: 構成比でいうと保育事業が一番多いですね。

    回答者: はい。

    取材者: 介護事業も同じようにM&Aということですか?

    回答者: 介護事業もM&Aで参入いたしました。代表の母親の介護施設探しで苦労したことがあり、条件の良い案件が出てきたので、買収を行い参入していきました。

    取材者: 今期の業績についてお伺いしたいのですが、今期は全体として見ても前年並みで推移されているかと思いますが、今期ここまでの業績決算の要因のポイントはどのあたりにありますか?

    回答者: 人材事業で予算とのずれが生じている部分があります。当社の物流部門における軽作業の派遣が、当初の計画より伸びておりません。クライアント様が直雇用化などを始めましたので、当社への派遣のオーダーが減り、前年同期比で減収してしまっております。ここは予算策定段階で読み切れていなかった部分と考えております。その他は予想通りのところにいるかと思います。人材事業、保育事業共に、人材の採用を強化している状況ですが、特に人材事業でいいますと、モバイル業界向け、コールセンター業界向けで、働き方のミスマッチが起こっていると感じております。例えば、モバイル業界、コールセンター業界ですと、土日を含むフルタイム勤務が求められることが多いのですが、求職者が求めている働き方としては週3勤務やスキマバイトが主流になってきているため、どうしてもニーズがずれてしまい、求職者からの応募が減ってしまっていると感じております。また、給与水準も、これまで携帯販売職は、高い水準で給与を支払うことができていたのですが、今は他の業種も賃金が上がっていますので、モバイルの賃金がなかなか上がらなかったこともあり、一般的な給与水準になってしまっているというのも要因かと思います。

    取材者: 多くの企業様が人材の採用で苦戦されている中で、貴社の事業は特に人材不足、採用が困難な業界かと思いますが、何か対策や戦略はございますか?

    回答者: 現状、派遣社員を市場から採用することが難しい状況ですので、正社員の派遣を強化していきたいと考えております。正社員として雇用した方にクライアント企業様の職場で働いていただきます。そこから先、社内に異動することもできますし、そのまま現場でリーダーや店長クラスを目指すなど、様々なキャリアプランを形成することが可能です。新卒正社員の採用に向けて、大学とのリレーションを強化しており、なかなか就職先が決まらない方が一定数いらっしゃいますので、大学から1人2人紹介してもらうというような関係を作っています。これを行うことで採用コストを抑えることができますし、安定的な紹介をお願いできるので、強みになると思います。

    取材者: 株主還元策の方針はございますか?

    回答者: 基本的に配当性向30%と掲げているのですが、今期は44%程度の予想です。基本的には維持もしくは増配といったところで考えております。

    取材者: 新たな取り組みや重点施策をご説明ください。

    回答者: 新たな取り組みとしては、日本生命との業務提携が大きなトピックスだと考えておりまして、まだPLに影響してくるかはわからないのですが、うまくいけば今後2~3年後にはPLに反映されてくるかと思います。もう一つ大きなトピックとしては、人材事業で他社から約170名の派遣スタッフを受け入れましたので、この170名の売上は下期に反映されてくるかと思います。これは計画になかったところですので、プラス要因と考えております。

    取材者: 最後に、今後の見通しについてお願いします。

    回答者: 今期に関しては、第2四半期時点では、当初の業績予想を据え置いています。下期にプラス材料が出てくる可能性もございますので、そういったところを注視して見ていただければと思います。具体的には、保育事業において、前期までに開設した園の充足による寄与や処遇改善加算の増加が見込まれます。また、介護事業においても、新規開設施設や既存施設の入居率向上による増収を見込んでおります。

  • IR担当

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ライク(株)

東証PRM 2462

決算:5月末日

CP&X

【2026年5月期第1四半期】

決算概要

2026年5月期第1四半期の業績は、売上高15,930百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益466百万円(同47.9%増)、四半期純利益265百万円(同59.2%増)と大幅な増収増益での着地となった。

セグメント別または事業別の増減要因

主な増益要因は、人材セグメントと介護セグメントの進捗が計画を上回ったことである。特に人材セグメントでは、ECセールに伴う短期派遣の旺盛な需要を取り込んだことで売上が拡大し、原価率の改善がみられ、利益率向上に貢献した。介護セグメントも計画を上回る進捗であった。一方で、保育セグメントは先行採用に伴う人件費の増加と物価高騰による食材費の増加により想定以上の減益となった

季節性・一過性要因の有無と影響

業績に影響を与えた一過性要因として、物価高騰による保育セグメントの食材費の想定以上の増加が挙げられる。これに対し、ライクは主要な仕入れ業者2社と価格交渉を行い、11月から仕入れ価格の引き下げを実現した。この施策により、下期にかけて物価高騰の影響を徐々に小さくしていく方針である。

通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しに対する第1四半期の進捗は、全体として計画通りとの認識である。特に好調な人材セグメントの物流分野は、セールが多く集中する第2四半期から年末にかけても引き続き好調に推移すると見込んでいる。保育セグメントで先行支出した人件費の一部は、第4四半期の補助金によってキャッチアップできる見通しである。現時点での通期ガイダンスに対する修正の言及はなく、計画通りの達成可能性が高いと見受けられる。

主要KPIの進捗と変化

介護セグメントにおいて、入居者数の着実な増加が収益の拡大につながると認識しているが、今期は施設の開設がない分、入居者の確保をしっかりと進め、入居率の向上を図る方針である。第1四半期は比較的計画通りに進んでいる。

トピックス

人材セグメントのモバイル部門でリファラル採用を強化している。他社からの転籍(約170名)を受け入れた際に、同社のリファラル採用ノウハウを獲得し、採用効率化に繋げている点が特徴である。また、物流部門では、昨年開始したAmazonとの直接取引の拡大を重点路線としており、これによりセール案件だけでなく通常の案件も獲得し、取引規模の安定的な拡大を目指していく方針である。グローバル事業については、インドネシアでの施設開設を目指し取り組んでいる状況である。

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    【2025年5月期】

    決算概要

    2025年5月期の売上高は623億3,600万円で前期比3.1%の増加、営業利益は29億5,100万円で同11.5%の減少、経常利益は34億9,800万円で同11.5%の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は20億9,700万円で同14.3%の減少となり、増収減益での着地となった。減益の主な要因は、人件費や物価の高騰によるコスト増加に加え、子育て支援サービス事業における補助金の期ズレの発生である。

    セグメント別または事業別の増減要因

    総合人材サービス事業は、物流部門の減収が大きく影響し、前年同期比減収となった。一方で、子育て支援サービス事業および介護関連サービス事業は、順調な施設稼働により増収を達成した。子育て支援サービス事業の営業利益は補助金の期ズレに加え、人件費上昇や食材費・光熱費増加が影響し悪化したが、介護関連サービス事業の利益は計画通りに推移した。総合人材サービス事業では、物流部門でZOZOの直接雇用推進や一部倉庫でのオーダーの一律化により派遣需要が低下したことが主な要因となり減収した。一方モバイル部門は需要が旺盛であり、派遣単価の値上げもプラス要因となり売上は回復基調にある。

     

    主要KPIの進捗と変化

    子育て支援サービス事業の公的施設数は順調に増加している一方で、病院内保育施設は病院側の経営状況悪化等により115箇所から107箇所に減少した。全体の施設数は414箇所から419箇所に増加し、ほぼ計画通りに進捗している。公的保育の児童数も新規施設開設や過去5年間に開設した施設の充足に伴い増加している。介護関連サービス事業では2025年2月に介護付有料老人ホームを開設し、全体の施設数は25箇所から26箇所に増加した。2025年4月末時点の入居率は87.7%である。

    総合人材サービス事業のスタッフ数は物流部門の減少が主因となり減少傾向にある

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    子育て支援サービス事業では、人事院勧告による保育士の給与アップに伴う追加補助金12億円が2025年5月期に計上され、増収要因となった。一方で、2025年5月期に計上予定だった約2億9,000万円の補助金が2026年5月期に期ズレしたことで、今期の計画未達の大きな要因の一つとなった。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年5月期の業績予想は売上高652億円(前期比4.6%増)、営業利益34億6,000万円(同15.2%増)と増収増益を見込んでいる。子育て支援サービス事業は、過去5年間に開設した施設の充足率向上や学童の貢献により、十分達成可能であると見ている。総合人材サービス事業は、スタッフの採用状況に依拠するものの、モバイル部門の需要対応と物流部門の新規クライアント開拓により、売上を2024年5月期並みに戻すことを目指す。介護関連サービス事業は入居率の上昇に注力することで、十分達成可能であるとみている。営業利益は、物価高騰によるコスト増加も以前より落ち着いてきている点や、施設の充足率向上、保育士の配置に関する補助金の加算分を取得できる体制の構築により改善を見込んでいる。

     

    トピックス

    日本生命との資本業務提携により「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させ、システム開発と集中購買の検討を進めている。海外事業(グローバル事業)の展開も継続的に検討しており、特にインドネシアでの保育施設開設を優先的に進める計画である。

  • 【2025年5月期】

    Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:子育て支援サービス事業では、認可保育園や学童といった公的施設の増加は順調に進んでいる一方で、病院内保育施設については、病院の経営状況悪化に伴い閉鎖するケースが増加し、施設数が減少しました。今後は、公設公営の保育園や学童の運営がコスト増や採用難を背景に民営化が進んでいくと考えています。また、「小1の壁」と呼ばれる学童等の待機児童が社会課題となっており、国や自治体が学童の整備を積極的に進めています。そのため、民営化案件の受注や学童の開設を積極的に進めていきます。

    総合人材サービス事業では、採用媒体を費用対効果の高いものに最適化することで必要のない費用を削減しつつ、2024年11月に他社から受け入れた従業員やスタッフが持っているリファラル採用のノウハウを活用することで、コストを抑えた採用が可能になる取り組みを進めています。モバイル部門では、人材需要が引き続き旺盛であるため、この需要に応えることで売上拡大を目指します。また、物流部門においては、EC関連事業者の繁忙期と閑散期におけるスタッフの退職を防ぐため、周辺クライアントを確保し、スタッフの近隣クライアントへの異動が可能な体制を構築することで、新規採用コストの削減を見込んでいます。

    海外展開(グローバル事業)も継続的に検討しており、具体的な詳細についてはまだ話せる段階ではありませんが、主にベトナムやインドネシアでの保育施設の開設を優先的に取り組んでいこうと考えています。

     

    Q:セグメント別の増減要因について教えてください。

    A:子育て支援サービス事業は、人事院勧告による保育士の給与アップに伴い、予算に組み込んでいなかった追加の補助金が12億円ほどあり、これが大きな増収要因となりました。一方で、2025年5月期に計上予定だった約2億9,000万円の補助金が2026年5月期に計上されることになり、これが計画未達の大きな要因の一つとなりました。

    総合人材サービス事業では、ZOZOが直接雇用を進めたことや一部の倉庫で各派遣会社へのオーダーを一律化したことから、当社はネガティブな影響を受け、大きな減収要因となりました。一律オーダーへの切り替えは特定の拠点だけでしたが、他の拠点にも波及する可能性もあると考えています。モバイル部門では、各キャリア、特にソフトバンクでは約7年ぶりに派遣単価の上昇があったことはポジティブに捉えています。モバイル部門の業績も回復基調にあると考えています。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2026年5月期の通期予想では増収増益を見込んでおります。

    子育て支援サービス事業・介護関連サービス事業は施設運営が中心のため、十分達成可能だと考えています。子育て支援サービス事業では、過去5年間に開設した認可保育園の充足率が高まることや、2025年4月に開設した学童が初年度から売上と利益に貢献すると見込んでいます。

    介護関連サービス事業では、2025年2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東の入居が順調に進んでおり、第3四半期以降には利益に貢献する見込みです。2024年2月に開設したフェリエ ドゥ上井草については、充足を進め、売上への貢献と赤字幅の減少を目指します。

    また総合人材サービス事業では、採用状況が鍵となりますが、モバイル部門では各クライアントからの需要に応え、物流部門ではAmazonとの取引拡大や新たなクライアント開拓により、売上拡大を目指します。

    営業利益についは、昨年の悪化要因であった物価高騰によるコストの増加が落ち着いてきており、さらに既存施設の充足が進むことによる利益率の改善を見込んでいます。加えて、保育士の採用や配置に関する加算等の補助金を最大限に取得できるよう体制を構築していく方針です。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:M&Aについては、子育て支援サービス事業を中心に検討を進めています。良い案件があれば積極的に取り組んでいく方針です。業務提携については、日本生命と資本業務提携を結び、「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させました。このコンソーシアムを通じて、システムの開発や集中購買を進めています。システム開発は、当社のシステムを元に外販できるよう改修を進める予定です。集中購買では、当社のライクプロダクツを通して、当社および他の保育事業者が物品を購入することでスケールメリットを活かし、コスト削減を図ります。これにより、当社だけでなくコンソーシアム参画事業者のコスト圧縮も目指しています。

  • ​【2025年5月期】

    取材者:早速ですが、まず初めに2025年5月期の決算状況についてお伺いします。売上高は623億3,600万円で、前期比3.1%の増加。営業利益は29億5,100万円で、同11.5%の減少。経常利益は34億9,800万円で、同11.5%の減少。親会社株主に帰属する当期純利益は20億9,700万円で、同14.3%の減少と、増収減益という着地でした。これについての増減要因の説明をお願いできますか?

     

    回答者:まず、増収要因ですが、総合人材サービス事業は物流部門の減収が大きく影響し、前年同期比で減収となりました。一方で、子育て支援サービス事業、介護関連サービス事業は増収となりました。施設運営が中心であるため、過去に開設した施設が順調に稼働したことが増収の大きな要因だと考えています。また、子育て支援サービス事業においては、人事院勧告による保育士の給与アップに伴い、予算に組み込んでいなかった追加の補助金が12億円ほどありましたので、これも大きな増収要因になりました。

     

    取材者:利益面はいかがですか?

     

    回答者:営業利益については、総合人材サービス事業で売上の減収があったものの、採用費の見直しなどを行った結果、コストを抑制できました。そのため、営業利益は前年同期並みで推移し、微増という着地になりました。

    一方、子育て支援サービス事業については、2025年5月期に計上予定だった補助金の一部が、2026年5月期に計上されることになりました。その額が2億9,000万円ほどであり、これが計画に対し未達となった大きな要因になります。加えて、人件費の増加や、近年の物価高騰による食材費、光熱費の増加もあり、これら全てを吸収しきれなかったことが、減益の要因だと考えています。

    介護関連サービス事業は計画通りの利益になったと考えています。2年連続で施設を開設しているため、開設コストの発生や、2024年2月に開設した大型施設の入居進捗が計画よりも遅れていることによる赤字(約2億円)を含めても、おおむね計画通りに進んだと考えています。これらの要因を総合的に見て、グループ全体として減益となりました。

     

    取材者:人件費のお話もありましたが、前期比での採用数の推移などはいかがですか?

     

    回答者:採用数は増加しています。子育て支援サービス事業・介護関連サービス事業で新しい施設を開設しているため、新規の従業員を採用しています。また、新規の従業員だけで不十分な部分もありましたので、パート従業員の採用や人材派遣なども活用しながら人員を確保しました。そういったことも含め、当初の計画よりも人件費が増加しました。特に保育では学童を開設しましたので、夏休みや冬休みといった学校の長期休みの期間は、学童指導員を派遣やアルバイトなどで採用する必要がありました。

     

    取材者:どのような方針で採用を行っていますか?

     

    回答者:保育士や学童指導員については、新卒採用を強化しています。子育て支援サービス事業を行うライフキッズのホームページを改修し、採用ページも変更しました。また、TikTokやInstagramなどのSNSを活用し、実際に施設で働いている保育士や学童指導員の方々に協力を仰ぎ、当社施設の様子や魅力をアピールしています。現在進めている2026年4月入社の新卒採用に関しては、現時点ですでに2025年同時期の倍以上の内定者数を確保しており、徐々に効果は出てきていると考えています。

    総合人材サービス事業については、新規採用の媒体を特に変更したわけではなく、媒体を最適化しているという表現が適切だと考えています。一つの媒体で採用できる数には限りがあるため、資金を投下して最大数の採用が可能な媒体に最適化し、採算の悪い媒体を削減することで、必要のないコストをかけないようにしています。しかし、それだけでは十分とはいえず、総合人材サービス事業ではまだ採用に苦戦している状況です。これが売上減収にもつながっています。2026年5月期については、媒体の最適化に加えてリファラル採用(友人紹介)を進めています。2024年11月に従業員やスタッフの転籍を受け入れましたが、元の会社では媒体を使わず、リファラル採用(友人紹介)でスタッフを集めるノウハウをお持ちでしたので、そのノウハウを活かしていきたいと考えています。

     

    取材者:その他に何か主要なKPIについてございましたら、教えていただけますか?

     

    回答者:子育て支援サービス事業については、施設数が主要なKPIの1つです。認可保育園や学童などの公的保育施設の数は順調に増加しています。一方、病院内保育施設については、病院側の経営状況の悪化により、保育施設を取りやめる事業者が出てきており、当社都合ではなく先方の都合で閉設するケースが多かったと認識しています。そのため、病院内保育施設の数は減少しており、2024年4月末と比較すると115箇所から107箇所に減っています。

     

    取材者:全体の施設数は414箇所から419箇所に増えています。この進捗は計画通りだと見てよろしいですか?

     

    回答者:おっしゃる通り、計画通りに進んでいます。ただ、学童については競合他社も強化しており入札で取り切れないこともあるため、そこを確保できれば施設数をさらに伸ばせると考えています。認可保育園に関しては、待機児童数が減少していることもあり、自治体が開設のペースを鈍化させている状況です。しかし、保育施設があれば働きたい、預けたいという方は一定数いらっしゃるのも事実ですので、自治体と連携してリサーチを行いながら開設を進めていきます。最近は、公設公営の保育園や学童の運営がコストの増加や採用難から厳しく、民営化が進むと考えています。当社でも民営化案件を受けており、今後もそういった案件を積極的に獲得していきたいと考えています。先日、学童の待機児童数も発表されましたが、学童施設の不足はまだ深刻ですので、開設の追い風になると考えています。

     

    取材者:そういった民営化の部分も含め、2026年5月期の開設予定数はどのようになりますか?

     

    回答者:認可保育園は、12月に1施設、来年4月に2施設の計3施設の開設を予定しています。そのうちの1つが民営化案件です。学童と受託保育施設に関しては、現在入札を行っている段階ですので正確な数字は申し上げられませんが、目標としては学童10施設、受託保育施設5施設の開設を目指しています。秋頃にはこれらの数字も徐々に確定していく見込みです。

     

    取材者:総合人材サービス事業のKPIについて何かございますか?

     

    回答者:スタッフ数が主要なKPIですが、減少傾向にあります。主な要因としては、物流部門の減少が非常に大きいと考えています。物流部門の売上も4億円ほど減少しました。主な要因としては、ZOZOが直接雇用を進めたことや一部の倉庫で各派遣会社へのオーダーが一律になったことが影響しています。当社はこれまで多くのオーダーをいただいていたため、一律になったことでネガティブな影響を受けてしまいました。一律オーダーについて、現状では一部の拠点だけですが、他の拠点にも波及してくると、その影響は今期も続くと考えています。一方では、Amazonとの直接取引が昨年開始しましたので、この取引を広げていくことで売上拡大を目指したいと考えています。また、AmazonやZOZOなどEC関連では繁忙期と閑散期が分かれており、繁忙期に採用したスタッフが閑散期に退職してしまうケースが多くありました。そこで、これまで閑散期に退職していたスタッフを、他の近くのクライアントに異動させる取り組みを進めています。ZOZOやAmazonの倉庫を中心として周辺のクライアントを確保することで、スタッフの近隣クライアントへの異動が可能な体制を構築している状況です。これにより、退職を防ぐことができるだけでなく、新規採用コストの削減にもつながると考えています。モバイル部門については、引き続き需要は旺盛です。昨年1年間を通して四半期ごとに売上は増加傾向にあり、回復基調にあると考えています。今後は需要に応えていくことで、売上を拡大できると考えています。加えて、モバイル業界では派遣単価の値上げがありました。ソフトバンクだと約7年ぶりであり、これまで給与アップが行われてこなかった業界において、改定が行われたことはプラスに働くと捉えています。当社はこれまでも交渉を続けてきましたが、なかなか受け入れていただけないこともありましたが、他の業界でも賃金上昇が進んでいるため、各キャリアも賃上げをしないとスタッフの採用ができないと認識し始めたと考えています。ただ、来年も改定となるかは不透明な部分が多いので、当社としては今後も継続して交渉を行っていくことが重要だと考えています。

     

    取材者:介護関連サービス事業のKPIについて何かございますか?

     

    回答者:主要なKPIは施設数ですが、2025年2月にサンライズ・ヴィラ 春日部東を開設し、施設数は合計26施設となりました。施設数も増加してしたため入居者数も増加しておりますが、入居者率は開設の影響もあり2025年4月末時点で87.7%となりました。ただ、直近2年間で開設したフェリエ ドゥ 上井草とサンライズ・ヴィラ 春日部東を除くと92.3%であるため、この2施設の入居率を高めていくことが重要であると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。来期2026年5月期の見通しもお聞きできますか?業績予想として売上高652億円(前期比4.6%増)、営業利益34億6,000万円(同15.2%増)、経常利益40億5,000万円(同15.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億5,000万円(同31.1%増)と、2025年からは増収増益の着地を予想されているかと思いますが、これについての見通しについて説明いただけますか?

     

    回答者:まず、売上はセグメントごとに予算を開示しておりますが、子育て支援サービスと介護関連サービスは施設運営が中心であるため、十分達成可能だと考えています。子育て支援サービスについては、過去5年間に開設した認可保育園の充足率が高まっていくと考えており、学童も初年度から最大の売上と利益に貢献していくと見込んでいますので、達成可能だと考えています。また、2023年や2024年にもあった人事院勧告による保育士の給与アップが今年もあれば、予算には組み込んでおりませんが、売上の増収要因となります。

    介護関連サービス事業については、2025年2月に開設したサンライズ・ヴィラ春日部東は入居が順調に進んでおり、2025年12月頃には黒字転換できるのではないかと考えています。第3四半期以降には利益に貢献すると見込んでいます。一方でフェリエ ドゥ上井草は、2026年5月期中の黒字転換は難しい状況です。充足を進めることで売上への貢献を狙い、できる限り赤字幅の減少を目指していく必要があると考えています。

    また総合人材サービスについては、正直なところ採用次第という面もありますが、モバイル部門は需要がまだまだありますので、応えていきたいと考えています。物流部門もAmazonのような新規クライアントを開拓し参入していくことで、売上を2024年5月期並みに戻すことができると考えています。

    営業利益については、2025年5月期の悪化要因であった物価高騰によるコストの増加が従前と比較すると落ち着いてきており、施設の充足が進むことで利益率を改善できると考えています。加えて、保育士の配置に関する加算等の補助金を、当社が最大限に活用できていないという実態があると考えています。JPホールディングスは、認可保育園の新規開設をそこまで多く進めていない代わりに、この5年の間に保育士の配置を整え、補助金を最大限得られるような仕組みを構築されたと考えています。一方、当社はこれまで開設を優先してきたため、配置に関する補助金などを全て取れているわけではないと認識しています。今後は、この補助金を取得できるように体制を構築していくことで、利益率の改善が目指せると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。その他、今後M&Aや業務提携の実施の有無、検討状況などございましたら、お答えできる範囲で教えていただけますか?

     

    回答者:M&Aについては、子育て支援サービス事業を中心に検討を進めております。良い案件があれば仕掛けていくように検討しています。業務提携については、日本生命と資本業務提携を結び、「保育イノベーションコンソーシアム」を発足させました。この取り組みの中で、システムの開発や集中購買を進めているところです。システムの開発については、当社のシステムを外販できるように改修を進める予定です。外販に向けてパッケージ価格なども検討しているところです。集中購買では、当社のライクプロダクツを通して、当社と他の保育事業者の方に物品を買っていただくことで、スケールメリットを活かしてコスト削減を図ろうと考えています。これにより、当社だけでなくコンソーシアムに参画していただいている他の保育事業者様のコスト圧縮も狙えると考えています。

     

    取材者:承知いたしました。株主還元の方針について、何か変更などございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:株主還元の方針について、特に変更はございません。

     

    取材者:最後に、足元の状況について何かトピックスやニュースリリースなどがございましたら教えていただけますか?

     

    回答者:海外事業(グローバル事業)の展開を継続的に検討しています。具体的な詳細についてはまだお話できる段階ではありませんが、主にベトナムやインドネシアでの保育施設の開設を優先的に取り組んでいこうと考えています。おそらく、進捗が早いのはインドネシアだと想定していますので、何かしらの形で発表できるよう取り組んでいきたいと考えています。

  • IR担当

取材アーカイブ

  • text

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:今後の成長戦略のポイントとしては、人材事業における営業体制の強化が挙げられます。特に、物流部門の再編と新たな取引先の開拓、モバイル部門における採用の強化を推進し、各事業領域での人材確保と業績回復を目指します。

    また、保育事業においては、4月に認可保育園6ヶ所、学童クラブ8ヶ所、受託保育施設2ヶ所を新たに開設しており、これらの施設の収益への貢献が期待されます。さらに、日本生命の子会社であるニチイ学館様へのシステム試験導入を進めており、将来的にはシステム開発による収益も見込んでおります。

     

    Q:通期業績の見通しについてご説明ください。

    A:2025年5月期の通期業績予想につきましては、売上高630億円、営業利益33億50百万円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円を見込んでおります。第3四半期においては、売上高439億90百万円、営業利益13億43百万円、経常利益13億94百万円、四半期純利益は8億23百万円となっております。利益面は第3四半期では、介護付有料老人ホームの先行運営コストや保育事業における設備補助金収入の減少等が影響しておりますが、子育て支援サービスではその特性上、第4四半期に補助金が多く計上されます。そのため、補助金が計上されるまでの間は人件費等の先行投資が発生いたします。これは施設数の増加に伴い、金額も大きくなります。

     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:人材事業におけるモバイル業界では、他業種との人材獲得競争が激化しており、人材確保は依然として難航しておりますが、キャリア各社や家電量販店からの人材ニーズは堅調で、派遣単価も上昇傾向にあります。一方、物流業界では、大手企業による業務効率化が進み、人材派遣の需要はやや減少しております。保育・介護業界では、業界全体で慢性的な人材不足が深刻化しており、人材確保が重要です。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却等の実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現時点では、具体的なM&A、業務提携、事業売却の予定はございません。日本生命との資本業務提携では、日本生命の子会社であるニチイ学館様との間で、当社が開発したシステムの試験導入を進めております 。このシステム導入が順調に進めば、将来的な収益貢献が期待されます。

  • 取材者: 先日はお話いただき、ありがとうございました。本日は、第3四半期の決算について、いくつかご質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

    回答者: こちらこそ、よろしくお願いいたします。

    取材者:2025年5月期 第3四半期の業績について、ご説明いただけますか?

    回答者:はい。まず、売上高は439億90百万円となり、前年同期比で1.2%の増加となりました。

    取材者:売上は堅調に推移しているようですね。利益面の状況はいかがでしょうか?

    回答者:営業利益は13億43百万円で、前年同期比では7.8%の減少となっております。これは、前期に開設いたしました介護付有料老人ホームの運営に伴う先行的なコストが発生したことが主な要因です。

    取材者:なるほど。新規施設の運営コストが影響したのですね。経常利益についても教えていただけますか?

    回答者:はい。経常利益は13億94百万円で、前年同期比で19.8%の減少となりました。子育て支援サービスにおける、設備補助金の収入が減少したことが影響しております。

    取材者:四半期純利益はどうなっていますか?

    回答者:親会社株主に帰属する四半期純利益は8億23百万円で、前年同期と比較して15.8%の減少となっております。

    取材者:ありがとうございました。売上は増加しているものの、運営コストや補助金収入の減少が営業利益に影響したという理解でよろしいでしょうか?

    回答者:おっしゃるとおりでございます。

    取材者:各セグメントの業績についてお聞きいたします。子育て支援サービス事業の現状について、教えていただけますか?

    回答者:はい。2023年の出生数は過去最低の727,288人となり、少子化が一層深刻化しています。一方で、潜在的な待機児童は約7万人、学童クラブの待機児童も増加しており、特に首都圏では保育の受け皿不足が続いています。

    取材者:なるほど。政府も対応を進めているようですね。

    回答者:おっしゃるとおりです。政府は「こども未来戦略」を掲げ、保育制度の拡充や保育士の処遇改善等、少子化対策を加速させています。

    取材者:貴社としては、どう対応されていますか?

    回答者:当社連結子会社のライクキッズでは、認可保育園の開設だけでなく、自治体・企業から運営の民営化案件も幅広く手がけています。また、保育士の採用を強化しており、優秀な保育士が働きやすい環境づくりとして処遇改善にも力を入れています。

    取材者:第3四半期の実績はいかがでしたか?

    回答者:2025年5月期は、認可保育園を7ヶ所、学童クラブ等を8ヶ所、受託施設を3ヶ所開設しました。その結果、売上高は221億38百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は7億2百万円(同12.8%増)と、増収増益となっております。

    取材者:総合人材サービス事業の現状と取り組みについて、お聞かせいただけますか?

    回答者:はい。日本国内では、少子高齢化による労働力人口の減少がますます深刻化しております。当社が注力している社会インフラとも言える業界では、人材の確保が極めて重要な経営課題となっております。

    取材者:そうした中で、具体的にどのような施策を講じているのでしょうか?

    回答者:当社の連結子会社であるライクスタッフィング株式会社では、モバイル、物流・製造、コールセンター、保育・介護、建設といった事業領域において、就業人口の増加を目指し、積極的な営業活動を行ってまいりました。

    取材者:業界ごとの状況について、詳しく教えていただけますか?

    回答者:モバイル業界では、社会全体の人材不足に加えて、他業種との間で人材獲得競争が激化しており、人材確保は依然として難航しています。一方で、キャリア各社の競争が激しい家電量販店向けの販売人材に対するニーズは堅調に推移しており、派遣単価も上昇傾向にあります。

    物流業界では、大手企業による物流施設の業務効率化が進んだことから、新たな人材派遣の需要はやや減少しました。

    保育・介護業界につきましては、慢性的な人材不足がさらに深刻化しているため、当社では営業体制の見直しを実施するとともに、連結子会社であるライクキッズ株式会社およびライクケア株式会社による施設運営のノウハウを活かして、派遣・紹介の強化に努めております。

    取材者:外国人材の活用についても取り組まれていると伺いました。

    回答者:はい。次なる成長分野として、以前より推進してまいりました外国人材就労支援サービスの拡大にも継続して注力しております。特に人材が逼迫している介護業界に対しては、積極的な営業活動を展開し、企業様が円滑に外国人材を受け入れていただけるよう、生活面の支援を含めた働きやすい環境の整備にも力を入れております。

    取材者:第3四半期の業績についても教えてください。

    回答者:はい。当第3四半期における総合人材サービス事業の売上高は154億17百万円で、稼働スタッフ数の減少により前年同期比で7.7%の減収となりました。一方で、営業利益は10億49百万円となり、前年同期比で0.1%の微減にとどまっております。

    取材者:介護関連サービス事業の取り組みについて、現状をご説明いただけますか?

    回答者:はい。介護関連サービス事業につきましては、当社の連結子会社であるライクケア株式会社が中心となり、神奈川県・東京都・埼玉県といった高齢者人口の多い首都圏において、介護付有料老人ホーム等を運営しております。

    取材者:どのような特徴の施設を運営されているのでしょうか?

    回答者:当社施設では、医療機関との連携を強みとしており、24時間体制で看護師が常駐しているほか、看取り介護にも対応している施設が多くございます。そのため、介護度が高く、ご自宅での介護が難しい方にも安心してご入居いただいております。

    取材者:新たな施設の開設も進められてきたと伺いました。

    回答者:はい。2024年2月には「フェリエ ドゥ 上井草」を開設し、さらに2025年2月には埼玉県春日部市に「サンライズ・ヴィラ春日部東」を新設いたしました。これにより、当社の運営施設数は合計で26施設となっております。なお、春日部市での施設開設は、「サンライズ・ヴィラ春日部」「サンライズ・ヴィラ北春日部」に続き、3施設目となります。

    取材者:それでは、今期の業績についても教えていただけますか?

    回答者:はい。当第3四半期における売上高は63億71百万円で、前年同期比5.0%の増収となりました。一方で、2024年2月に開設した「フェリエ ドゥ 上井草」にかかる先行的な運営コストが発生したことにより、営業利益は2億9百万円と、前年同期比で43.4%の減益となっております。

    取材者:新規施設開設に伴う投資が先行しているということですね。

    回答者:おっしゃるとおりです。

    取材者: それでは、子育て支援サービス事業が非常に順調に推移しているように見受けられますが、第3四半期決算で特筆すべき点等ございましたら、ご説明いただけますでしょうか?

    回答者:第3四半期の業績には大きく影響しておりませんが、4月に新たな施設を開設いたしました。認可保育園を6ヶ所、学童クラブを8ヶ所、そして受託保育施設を2ヶ所です。これらの開設は、4月から売上等にも寄与するため、来期以降の業績にもプラスの影響を与えると期待しております。

    取材者: 2024年4月末と2025年4月1日時点の施設数を比較すると6施設増加とのことですが、閉鎖した施設についてご説明いただけますでしょうか?

    回答者: 閉鎖した施設の多くは受託保育施設であり、契約の終了や、事業者様のニーズの変化等が理由です。利用者様のお子様の成長に伴う利用状況の変化等により、施設の閉設等がございました。

    取材者: 他の認可保育園や学童クラブ等の閉設はなかったということですか?

    回答者: はい、その点に関しては特にございません。 受託保育施設は、企業様のご都合に左右されることがあると考えております。

    取材者: それでは、総合人材サービス事業についてはいかがでしょうか?

    回答者: 総合人材サービス事業につきましては、物流部門の業績が計画よりも下回っている点と、モバイル部門の採用が順調に進んでいない点が、第3四半期の業績に影響していると考えております。物流部門に関しては、部署を再編成し、新たな取引先の確保に向けて取り組んでおりますので、来期以降回復させていきたいと考えております。

    モバイル部門につきましても、人材の需要は依然として高い状況ですので、採用の強化を図ってまいります。これまでベースアップが難しい状況でしたが、4月から各キャリア様や量販店様から給与単価を引き上げていただいたので、採用面でのプラスの効果があると期待されます。

    取材者: 第2四半期と比べると、モバイル事業は回復しているように見受けられますが、第4四半期に向けて、さらに回復していく可能性があるということですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。

    取材者: 総合人材サービスにおいて、採用費の適正化に取り組んでいるとのことですが、具体的にご説明いただけますか?

    回答者: はい、ナビ媒体経由での採用が難しい状況ですので、採用効果の高い媒体を絞って運用を行っております。

    取材者: 媒体を絞って運用を行っているのですね?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。 効果的な媒体に絞って運用しております。

    取材者: そうしますと、第2四半期から第3四半期にかけて稼働スタッフが減少しているのは、その影響があるのですか?

    回答者: 稼働スタッフの減少については、季節性の要因がございます。第2四半期と第3四半期の違いとして、物流部門の動向が大きく関係しております。 第2四半期は、セール等の繁忙期にあたり、スタッフ数が非常に多いのですが、第3四半期は、セール等が落ち着くため、スタッフ数が減少します。

    取材者: 売上も第2四半期が最も大きくなるということですか?

    回答者: 物流部門は、その傾向がございます。

    取材者: 総合人材サービス事業全体、および子育て支援サービス、介護関連サービスを含めた全体として、季節性はいかがですか?

    回答者: グループ会社全体では、第4四半期に売上、営業利益ともに偏る傾向があります。これは、子育て支援サービスに関する補助金が、主に第4四半期の3月、4月に自治体から支給されるためです。

    取材者: その補助金は、今期の連結サマリーに記載されている経常利益の設備補助金とは別のものでございますか?

    回答者: はい、売上として計上される補助金は、施設の運営費や従業員の方の給与に対する補助金です。営業外収益に計上される設備補助金は、今回開設した認可保育園の開設費用に対する補助金です。 季節性に関する詳細につきましては、2025年5月期 第3四半期 決算説明資料の49ページにまとめておりますので、ご参照ください。

    取材者: 介護関連サービス事業についてはいかがでしょうか?

    回答者: 介護関連サービス事業は、ご入居者様の入居が当初の予定より遅れています。 2024年2月に開設した「フェリエ ドゥ 上井草」で、入居の進捗が想定を下回っております。

    取材者: 全体では入居率が89.5%で、目標の93%には届いていないとのことですが、上井草を除いた入居率はいかがでしょうか?

    回答者: 上井草を除いた入居率は、第3四半期末時点で93%となっております。

    取材者: 上井草の入居が遅れているということですか。

    回答者: はい。一方で、今年の2月に春日部市で新たに開設した施設につきましては、これまでの施設開設のノウハウや、ドミナント戦略が奏功し、入居は順調に進んでおります。職員の配置が追いついていない状況ではありますが、早期に満床となり、営業利益に貢献すると考えております。

    取材者: 今後の施設開設のご予定はございますか。

    回答者: 第4四半期および来期は開設の予定はございません。

    取材者: 承知いたしました。 介護スタッフの確保は大変かと存じます。

    回答者: はい、介護士不足は業界全体の課題となっております。当社の介護関連サービス事業を担うライクケアでは、ライクスタッフィングと連携し、特定技能外国人の採用を進める等、対策を講じております。おかげさまで、ライクケアの正社員の介護職員のうち、約25%が外国人の方となっております。

    取材者: それは他社と比較しても多いですか?

    回答者: はい、東京都高齢者福祉施設協議会が実施しているアンケート結果と比較し、多い方だと考えております。グループ会社のライクスタッフィングとの連携が、グループシナジーを生んでいると考えております。

    取材者: 承知いたしました。 経常利益の減少は、想定通りということでよろしいのですか?

    回答者: はい、経常利益の減少は想定通りです。 主な要因としては、前期、2024年5月期の第3四半期までに計上いたしました設備補助金が今期より大きかったことが挙げられます。 今期も10月に1施設保育施設を開設いたしましたが、保育施設開設にかかる設備補助金の差により、経常利益が減少しています。

    取材者: 全体の売上、営業利益の状況を拝見しますと、営業利益率が低い要因として、保育施設、介護施設の先行投資の影響が大きいという理解でよろしいですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。介護事業において、上井草の施設が赤字であることや、2月に開設いたしました春日部の施設の先行投資等が影響しております。

    取材者: 上井草の入居率を向上させるための施策等はございますか?

    回答者: はい、入居促進のため、様々な施策を実施しております。 開設当初は、要介護度の高い方を中心に入居いただいておりましたが、現在は、対象を限定せず積極的にアピールしております。 ただ、介護施設の特徴として、開設当初は要介護度の高い方が多く、新たな層の入居が進んでいない状況です。

    取材者: 他の施設も、開設当初は要介護度の高い方が多いのですか?

    回答者: はい、おっしゃるとおりです。上井草の前に開設いたしました板橋区の小竹向原の施設も、当初は要介護度の高い方が多かったのですが、第3四半期末時点ではほぼ満床となっております。 満床になるまで2年以上の時間がかかりました。

    取材者: 長期的な視点で見守る必要があるということですね。

    回答者: はい。

    取材者:2025年5月期の通期業績予想と、これまでの進捗状況についてお聞かせください。

    回答者:はい。2025年5月期の通期連結業績予想につきましては、売上高630億円、営業利益33億50百万円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円を見込んでおります。

    取材者:第3四半期までの進捗状況はいかがでしょうか?

    回答者:はい、売上高の進捗率は439億90百万円で約69.8%、営業利益は13億43百万円で約40.1%、経常利益は13億94百万円で約34.9%、四半期純利益については8億23百万円で約32.9%の進捗となっております。

    取材者:利益面ではやや低調のようにも見受けられますが、その背景についてご説明いただけますか?

    回答者:はい、主な要因としては、前連結会計年度に開設した介護付有料老人ホームの先行的な運営コストの発生や、設備補助金収入の減少等が挙げられます。また、子育て支援サービスではその特性上、第4四半期に補助金が多く計上されます。そのため、補助金が計上されるまでの間は人件費等の先行投資が発生いたします。これは施設数が増えるほど大きくなります。通期に向けては新規施設の稼働安定化や営業強化による営業利益改善を見込んでおります。

    取材者:通期目標の達成に向けた施策についてもご説明ください。

    回答者:今後は、人材事業の営業体制をさらに強化するとともに、保育事業や介護事業での施設運営の効率化も進めてまいります。新規開設施設の収益寄与も見込まれますので、利益面での巻き返しに努めてまいります。

    取材者: 日本生命様との取り組みに関して、進捗等ございましたら教えていただけますか?

    回答者: はい、日本生命様の子会社のニチイ学館様に、当社が開発したシステムを試験的に導入していただいている段階です。 画面等をご覧いただきながら、進めている状況で、今期中には試験導入を進めていきたいと考えております。その後、改修等を行っていく予定です。

    取材者: それでは、4月以降、何か新しいトピックス等はございますか?

    回答者:4月からのトピックスとして、モバイル業界での給与単価がベースアップされたことが挙げられます。モバイル業界だけでなく、同一労働同一賃金の関係で、コールセンターや物流の分野でもベースアップが行われております。

    また、保育事業に関しては、第4四半期に補助金が大きく入ってくることに加え、昨年の10月に実施されました人事院勧告による保育士の給与ベースアップに関する追加の補助金が、3月、4月に入ってくる予定です。補助金の額は、10億円前後になる見込みです。

    取材者: それは大きいですね。

    回答者: はい、売上として計上されます。そのまま保育士に還元いたしますので、営業利益には影響はないとお考えください。

    取材者: 少し、保育士が働きやすくなりますね。

    回答者: そうですね。 保育士の給与水準は、高水準だと考えております。弊社の総合職保育士の初任給は、31万円程度ですし、社宅も自己負担1万円で利用できます。保育士の処遇面は改善されてきていると言えます。

    保育士の離職理由として、賃金等の待遇面が挙げられることが多いですが、厚生労働省のアンケート調査では、待遇面よりも人間関係を挙げられる方が多くいらっしゃいます。園長先生や保護者の方、同僚との人間関係が、離職の主な理由になっていると考えております。

    当社は、東京、神奈川を中心にドミナントで施設展開しておりますので、従業員の方の他の施設への異動を比較的柔軟に行えます。そのため、人間関係による離職を抑制できていると考えております。

    取材者: 退職率はどのくらいでしょうか?

    回答者: 2024年5月期の退職率は16%程度でしたが、足元では14%程度になる見込みです。 正確な数字は集計中ですので、まだお伝えできませんが、そのくらいの水準になると考えております。

    取材者: 承知いたしました。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

    回答者: ありがとうございました。

  • IR担当

  • CP&X
     

    ビジネスモデルおよび事業内容

    ライク株式会社は、子育て支援サービス事業、総合人材サービス事業、介護関連サービス事業の3つの事業を展開している。 子育て支援サービス事業(以下、保育事業)では、首都圏を中心に認可保育園を運営し、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を図っている。 総合人材サービス事業(以下、人材事業)は、人材派遣を主軸に、業務委託や人材紹介も行う。 介護関連サービス事業(以下、介護事業)では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴である。
     

    創業の経緯と転機

    創業当初は旅行会社として設立されたが、その後、携帯販売の代理店事業に転換し、人材派遣事業に注力するようになった。 保育事業は、人材派遣事業における女性の離職の課題と、保育会社の買収案件をきっかけに参入した。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収により参入した。
     

    特徴と強み

    人材事業では、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成を強みとしている。 保育事業では、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を強みとしている。 介護事業では、看取りまで行う点が特徴である。
     

    成長戦略

    人材事業では、エキスパート職と称する正社員の採用を強化し、大学とのリレーションを強化することで、採用コストの抑制と安定的な人材確保を目指す。 保育事業では、日本生命との業務提携により、システムの改修や保育の質向上のための「保育コンソーシアム」を立ち上げ、業界全体への貢献を図る。 介護事業は、1施設ずつ着実に開設していく方針である。
     

    株主還元策

    配当性向30%を基本とし、今期は44%程度の予想である。 基本的に維持もしくは増配を検討している。
     

    新たな取り組みや重点施策

    日本生命との業務提携が大きなトピックスである。人材事業において、他社から派遣スタッフを約170名受け入れている。

  • Q: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    A:当社は、保育事業、人材事業、介護事業の3つの事業を展開しています。 人材事業は、携帯販売代理店の運営経験により培った人材育成のノウハウを強みとしています。 保育事業では、首都圏を中心に認可保育園を運営しており、独自開発のシステムによって業務効率化と保育の質向上を図っています。 介護事業では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴です。
     

    Q: 人材事業では、どのような事業を行っていますか?

    A:人材派遣を主軸とし、業務委託や人材紹介も行っています。 強みは、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成です。
     

    Q: 保育事業におけるシステム開発の内容と、日本生命との業務提携に至った経緯について、お聞かせください。

    A:当社は児童の情報管理や職員の配置状況の可視化を行うシステムや、保護者と保育士の連絡帳機能、物品販売、写真販売などの機能を備えたアプリを独自に開発しています。 基幹システムとアプリを自社開発している点に加え、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携にいたりました。システム開発に資金やリソースを投入し、システムを他の保育事業者でも利用できるように改修した上で販売する予定です。また、保育の質向上や業務改善を日本生命と当社が主導するプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、グローバルキッズ様や学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求める提言を行うなど業界全体への貢献を進めてまいります。
     

    Q: 介護事業の特徴である「看取りまで行う」ことについてご説明いただけますか?

    A:当社の介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、参入いたしました。 24時間看護体制の施設と地域の病院との医療連携により、介護度の高い方の受け入れも可能です。
     

    Q: 介護事業の入居率の目標値は、どの程度でしょうか?

    A:今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
     

    Q: 保育事業と介護事業における、新規出店の違いについて、具体的にどのような点でしょうか?

    A:保育事業は、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。 一方で、介護事業は、様々な形態で施設を開設できるため、競合が多いという点が挙げられます。 また、当社が運営する特定施設は、総量規制の対象となるため、認定の確実な取得が重要です。

  • 取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。

    回答者: 当社の事業は大きく3つに分類され、保育事業、人材事業、そして介護事業を展開しております。 まず、人材事業についてご説明いたします。当社の創業当初の経緯からご説明いたしますと、もともとは旅行会社として設立されました。その後、携帯販売の代理店事業を開始し、代理店運営を通じて人材派遣のニーズを捉え、人材派遣事業に注力するようになりました。

    回答者: 当社は採用・育成を主軸として人材派遣を行い、事業を拡大してきた企業です。採用・育成といった人材育成の分野を大きな強みと考えておりまして、キャリア様の携帯販売の立ち上がりの時期から一緒に成長してきた企業ですので、キャリア様との繋がりや、無資格・未経験者を戦力化してきた人材育成のノウハウが蓄積されており、当社独自の他社にはない強みと考えております。

    取材者: 貴社が横展開して、物流の分野に進出されているとのことですが、その分野でも、最初の段階の教育といったところでは、強みが生まれているといえますか。

    回答者:新たな強みが生まれたとは考えておらず、物流部門でもこれまで培った採用や人材育成のノウハウを活かすことで、横展開できたと考えています。

    取材者: 人材事業は、人材派遣が主軸とのことですが、他に事業は行っていますか?

    回答者:業務委託や人材紹介も行っております。

    取材者: 続いて、保育関連サービスについてですが、主に認可保育園の運営を行っているということでよろしいですね?

    回答者: はい。首都圏を中心に、東京・神奈川で認可保育園を運営しております。直近5~6年で多くの保育施設を開設しており、自治体との強固な関係を築いています。また、当社はこれまで大きなトラブルや事故を起こしておらず、自治体から高い信頼を得ています。

    取材者: 例えば、他の保育事業様が補助金の不正受給や虐待の問題が挙げられていますが、そういったところが全く起こっていないというのは、素晴らしいですね。

    取材者: それは、やはり管理体制が徹底されているということですか?

    回答者:管理体制は築けていると思います。研修制度も初期から充実していたのですが、さらに強化し、プログラムを拡充しています。それに加え、ドミナントに施設を開設することで職員の異動も可能になるため、退職抑止にも繋がり、結果として、保育の安全性にも繋がっていると考えております。

    回答者: また、当社では独自にアプリや社内基幹システムを開発し、業務効率化や保育の質向上を図っています。

    取材者: システム開発は、貴社で独自に開発されているということですか?

    回答者: おっしゃる通り、弊社独自で開発しております。

    取材者: 具体的なシステムの内容について教えてください。

    回答者: 例えば、保育士の配置状況を把握し、可視化するシステムを開発いたしました。以前は各施設からスーパーバイザーを通して本社の採用チームに連絡が入っていましたが、システム化により、情報が直接採用チームに伝わるようになり、採用活動の効率化とスピードアップを実現しました。

    回答者:また、アプリでは、保護者様と保育士の連絡帳機能、オムツの購入などのサブスクリプションサービスの提供、写真販売などを行っています。

    取材者: アプリで写真を購入できるのですね。

    回答者: アプリで購入できます。ダウンロードと郵送を選択できますので、保護者様にとって利便性が高いと考えております。この2つのシステム、基幹システムとアプリを自社開発している点と、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携を締結いたしました。

    取材者: 日本生命との資本業務提携の影響は、どのようなところに出てきますか?

    回答者: システム開発に資金やリソースを投入し、弊社内のシステムを他の保育事業者でも使えるようなシステムに改修して、最終的には外販していきたいと考えています。

    取材者: 外販していく流れがあるのですね。

    回答者: まだ始まったばかりですが、そのように計画しています。また、もう一点、保育の質や業務効率化を日本生命と当社が主導して進めていこうというプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、ニチイ学館様やグローバルキッズ様、学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求めていくような提言などを行っていく予定です。

    取材者: 業界全体としてそういう流れになってくるのですね。

    回答者: 業界をリードするような立場に当社がなっていきたいと考えております。

    取材者: 保育事業について、よくわかりました。続いて、介護事業についてですが、主に神奈川、東京、埼玉の春日部で、介護付有料老人ホームを運営されているということでよろしいですね?

    回答者: はい。現在26施設(取材時点)を運営しております。当社の介護事業の特徴は、看取りまで行うという点です。他の介護事業者様も看取りまで行うところもあると思いますが、敬遠するところが多いと聞いております。

    取材者: 他の介護事業者様が看取りまで行わないのは、収益性が出ないという点があるからですか?

    回答者: その通りです。看取りを行うと退去日が想定できず、空室期間が出てしまうという点がございます。当社が看取りを行うのは、代表の考えでして、代表の母親が入居する介護施設を探した際に、看取りまで対応してくれる施設が少ないことに疑問を感じたことがきっかけです。

    回答者: 24時間看護体制の施設や、地域の大きな病院との医療連携なども進めておりますので、介護度の高い方も受け入れることが可能な介護施設と考えています。

    取材者: 介護事業において、入居率は重要な指標になってくるかと思いますが、目標値はございますか?

    回答者: 今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。

    取材者: 昨年、保育事業ではかなり多く開設しているというお話でしたが、介護事業の新規開設についてはいかがでしょうか?

    回答者: 介護事業は、保育事業ほど大規模な拡大は考えておらず、1施設ずつ開設していく予定です。保育事業と介護事業で違いがありまして、保育事業の場合、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。一方で、介護施設は様々な形態で開設が可能で、既存の介護施設の隣に新たな介護施設を開設することができるため、介護施設の方が競合が多いという点が挙げられます。また、当社が運営している特定施設である「介護付有料老人ホーム」は、自治体や国の総量規制の対象なので、特定施設の認定を確実に取れるかどうかというところも一つの指標として置いております。そのような兼ね合いで、多くの施設を開設することができないというのが現実です。

    取材者: 例えば、東京・神奈川を中心にということでしたが、どういったところに実際に開設していくイメージですか?

    回答者:基本的には少し郊外になるところになるかと思います。 現在の当社の施設も、少し都心から離れたところや、直近開設した施設ですと埼玉の春日部、東京都内でも板橋区の小竹向原や杉並区の上井草ですので、このようなところに今後も開設していくと考えております。

    取材者: 承知いたしました。先ほど旅行会社の設立から始まったというお話がありましたが、貴社の創業の経緯についてもう少し詳しく教えていただけますか?

    回答者: 当社の代表は、大学生の頃から起業したいという気持ちを持っていまして、卒業してすぐの起業は難しいということで、一度、銀行に就職いたしました。そこで金融系のノウハウを学び、その後、転職をして経営について学んだと聞いております。そして、資金をそれほど必要としない旅行企画の会社を立ち上げました。その後、携帯電話が普及してくるにつれて、ビジネスチャンスを見つけて、携帯販売の代理店の運営や人材派遣に業態を転換していきました。

    取材者: 保育事業や介護事業を始められたきっかけは何ですか?

    回答者: 保育事業は、M&Aで参入したのですが、当社が人材派遣を行っていく中で、7~8割の方が女性の派遣社員の方で、そういった方々が退職する理由が出産や育児だったので、そこに課題を持っていました。女性の子育てによる離職への課題感を持っているところに、現在のライクキッズ、旧サクセスアカデミー社が売りに出されるという話があり、M&Aを経て、保育事業に参入いたしました。当時は、病院内や企業内の受託施設を主軸として運営していたのですが、国が待機児童問題を重要視するようになったので、認可保育園等の公的施設の開設に注力していきました。2017~2024年ぐらいまでに、100施設ぐらい開設しており、多いときには年に20施設の認可保育園を開設してきました。

    取材者: 構成比でいうと保育事業が一番多いですね。

    回答者: はい。

    取材者: 介護事業も同じようにM&Aということですか?

    回答者: 介護事業もM&Aで参入いたしました。代表の母親の介護施設探しで苦労したことがあり、条件の良い案件が出てきたので、買収を行い参入していきました。

    取材者: 今期の業績についてお伺いしたいのですが、今期は全体として見ても前年並みで推移されているかと思いますが、今期ここまでの業績決算の要因のポイントはどのあたりにありますか?

    回答者: 人材事業で予算とのずれが生じている部分があります。当社の物流部門における軽作業の派遣が、当初の計画より伸びておりません。クライアント様が直雇用化などを始めましたので、当社への派遣のオーダーが減り、前年同期比で減収してしまっております。ここは予算策定段階で読み切れていなかった部分と考えております。その他は予想通りのところにいるかと思います。人材事業、保育事業共に、人材の採用を強化している状況ですが、特に人材事業でいいますと、モバイル業界向け、コールセンター業界向けで、働き方のミスマッチが起こっていると感じております。例えば、モバイル業界、コールセンター業界ですと、土日を含むフルタイム勤務が求められることが多いのですが、求職者が求めている働き方としては週3勤務やスキマバイトが主流になってきているため、どうしてもニーズがずれてしまい、求職者からの応募が減ってしまっていると感じております。また、給与水準も、これまで携帯販売職は、高い水準で給与を支払うことができていたのですが、今は他の業種も賃金が上がっていますので、モバイルの賃金がなかなか上がらなかったこともあり、一般的な給与水準になってしまっているというのも要因かと思います。

    取材者: 多くの企業様が人材の採用で苦戦されている中で、貴社の事業は特に人材不足、採用が困難な業界かと思いますが、何か対策や戦略はございますか?

    回答者: 現状、派遣社員を市場から採用することが難しい状況ですので、正社員の派遣を強化していきたいと考えております。正社員として雇用した方にクライアント企業様の職場で働いていただきます。そこから先、社内に異動することもできますし、そのまま現場でリーダーや店長クラスを目指すなど、様々なキャリアプランを形成することが可能です。新卒正社員の採用に向けて、大学とのリレーションを強化しており、なかなか就職先が決まらない方が一定数いらっしゃいますので、大学から1人2人紹介してもらうというような関係を作っています。これを行うことで採用コストを抑えることができますし、安定的な紹介をお願いできるので、強みになると思います。

    取材者: 株主還元策の方針はございますか?

    回答者: 基本的に配当性向30%と掲げているのですが、今期は44%程度の予想です。基本的には維持もしくは増配といったところで考えております。

    取材者: 新たな取り組みや重点施策をご説明ください。

    回答者: 新たな取り組みとしては、日本生命との業務提携が大きなトピックスだと考えておりまして、まだPLに影響してくるかはわからないのですが、うまくいけば今後2~3年後にはPLに反映されてくるかと思います。もう一つ大きなトピックとしては、人材事業で他社から約170名の派遣スタッフを受け入れましたので、この170名の売上は下期に反映されてくるかと思います。これは計画になかったところですので、プラス要因と考えております。

    取材者: 最後に、今後の見通しについてお願いします。

    回答者: 今期に関しては、第2四半期時点では、当初の業績予想を据え置いています。下期にプラス材料が出てくる可能性もございますので、そういったところを注視して見ていただければと思います。具体的には、保育事業において、前期までに開設した園の充足による寄与や処遇改善加算の増加が見込まれます。また、介護事業においても、新規開設施設や既存施設の入居率向上による増収を見込んでおります。

  • IR担当

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