20250213
Q: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
A:当社は、保育事業、人材事業、介護事業の3つの事業を展開しています。 人材事業は、携帯販売代理店の運営経験により培った人材育成のノウハウを強みとしています。 保育事業では、首都圏を中心に認可保育園を運営しており、独自開発のシステムによって業務効率化と保育の質向上を図っています。 介護事業では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴です。
Q: 人材事業では、どのような事業を行っていますか?
A:人材派遣を主軸とし、業務委託や人材紹介も行っています。 強みは、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成です。
Q: 保育事業におけるシステム開発の内容と、日本生命との業務提携に至った経緯について、お聞かせください。
A:当社は児童の情報管理や職員の配置状況の可視化を行うシステムや、保護者と保育士の連絡帳機能、物品販売、写真販売などの機能を備えたアプリを独自に開発しています。 基幹システムとアプリを自社開発している点に加え、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携にいたりました。システム開発に資金やリソースを投入し、システムを他の保育事業者でも利用できるように改修した上で販売する予定です。また、保育の質向上や業務改善を日本生命と当社が主導するプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、グローバルキッズ様や学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求める提言を行うなど業界全体への貢献を進めてまいります。
Q: 介護事業の特徴である「看取りまで行う」ことについてご説明いただけますか?
A:当社の介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、参入いたしました。 24時間看護体制の施設と地域の病院との医療連携により、介護度の高い方の受け入れも可能です。
Q: 介護事業の入居率の目標値は、どの程度でしょうか?
A:今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
Q: 保育事業と介護事業における、新規出店の違いについて、具体的にどのような点でしょうか?
A:保育事業は、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。 一方で、介護事業は、様々な形態で施設を開設できるため、競合が多いという点が挙げられます。 また、当社が運営する特定施設は、総量規制の対象となるため、認定の確実な取得が重要です。
Q: 創業の経緯について、お聞かせいただけますか?
A:当社の代表は、1993年に旅行企画の会社を設立しました。 その後、携帯電話の普及に伴い、携帯販売代理店や人材派遣事業へと業態を転換していきました。
保育事業には、人材派遣事業において女性の離職が課題であると感じていたことと、保育会社の買収案件があったことをきっかけに参入しました。 当時は病院内や企業内の受託施設が主軸でしたが、待機児童問題などを背景に、認可保育園の開設へと事業を拡大しました。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収案件をきっかけに参入しました。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社の事業は大きく3つに分類され、保育事業、人材事業、そして介護事業を展開しております。 まず、人材事業についてご説明いたします。当社の創業当初の経緯からご説明いたしますと、もともとは旅行会社として設立されました。その後、携帯販売の代理店事業を開始し、代理店運営を通じて人材派遣のニーズを捉え、人材派遣事業に注力するようになりました。
回答者: 当社は採用・育成を主軸として人材派遣を行い、事業を拡大してきた企業です。採用・育成といった人材育成の分野を大きな強みと考えておりまして、キャリア様の携帯販売の立ち上がりの時期から一緒に成長してきた企業ですので、キャリア様との繋がりや、無資格・未経験者を戦力化してきた人材育成のノウハウが蓄積されており、当社独自の他社にはない強みと考えております。
取材者: 貴社が横展開して、物流の分野に進出されているとのことですが、その分野でも、最初の段階の教育といったところでは、強みが生まれているといえますか。
回答者:新たな強みが生まれたとは考えておらず、物流部門でもこれまで培った採用や人材育成のノウハウを活かすことで、横展開できたと考えています。
取材者: 人材事業は、人材派遣が主軸とのことですが、他に事業は行っていますか?
回答者:業務委託や人材紹介も行っております。
取材者: 続いて、保育関連サービスについてですが、主に認可保育園の運営を行っているということでよろしいですね?
回答者: はい。首都圏を中心に、東京・神奈川で認可保育園を運営しております。直近5~6年で多くの保育施設を開設しており、自治体との強固な関係を築いています。また、当社はこれまで大きなトラブルや事故を起こしておらず、自治体から高い信頼を得ています。
取材者: 例えば、他の保育事業様が補助金の不正受給や虐待の問題が挙げられていますが、そういったところが全く起こっていないというのは、素晴らしいですね。
取材者: それは、やはり管理体制が徹底されているということですか?
回答者:管理体制は築けていると思います。研修制度も初期から充実していたのですが、さらに強化し、プログラムを拡充しています。それに加え、ドミナントに施設を開設することで職員の異動も可能になるため、退職抑止にも繋がり、結果として、保育の安全性にも繋がっていると考えております。
回答者: また、当社では独自にアプリや社内基幹システムを開発し、業務効率化や保育の質向上を図っています。
取材者: システム開発は、貴社で独自に開発されているということですか?
回答者: おっしゃる通り、弊社独自で開発しております。
取材者: 具体的なシステムの内容について教えてください。
回答者: 例えば、保育士の配置状況を把握し、可視化するシステムを開発いたしました。以前は各施設からスーパーバイザーを通して本社の採用チームに連絡が入っていましたが、システム化により、情報が直接採用チームに伝わるようになり、採用活動の効率化とスピードアップを実現しました。
回答者:また、アプリでは、保護者様と保育士の連絡帳機能、オムツの購入などのサブスクリプションサービスの提供、写真販売などを行っています。
取材者: アプリで写真を購入できるのですね。
回答者: アプリで購入できます。ダウンロードと郵送を選択できますので、保護者様にとって利便性が高いと考えております。この2つのシステム、基幹システムとアプリを自社開発している点と、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携を締結いたしました。
取材者: 日本生命との資本業務提携の影響は、どのようなところに出てきますか?
回答者: システム開発に資金やリソースを投入し、弊社内のシステムを他の保育事業者でも使えるようなシステムに改修して、最終的には外販していきたいと考えています。
取材者: 外販していく流れがあるのですね。
回答者: まだ始まったばかりですが、そのように計画しています。また、もう一点、保育の質や業務効率化を日本生命と当社が主導して進めていこうというプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、ニチイ学館様やグローバルキッズ様、学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求めていくような提言などを行っていく予定です。
取材者: 業界全体としてそういう流れになってくるのですね。
回答者: 業界をリードするような立場に当社がなっていきたいと考えております。
取材者: 保育事業について、よくわかりました。続いて、介護事業についてですが、主に神奈川、東京、埼玉の春日部で、介護付有料老人ホームを運営されているということでよろしいですね?
回答者: はい。現在26施設(取材時点)を運営しております。当社の介護事業の特徴は、看取りまで行うという点です。他の介護事業者様も看取りまで行うところもあると思いますが、敬遠するところが多いと聞いております。
取材者: 他の介護事業者様が看取りまで行わないのは、収益性が出ないという点があるからですか?
回答者: その通りです。看取りを行うと退去日が想定できず、空室期間が出てしまうという点がございます。当社が看取りを行うのは、代表の考えでして、代表の母親が入居する介護施設を探した際に、看取りまで対応してくれる施設が少ないことに疑問を感じたことがきっかけです。
回答者: 24時間看護体制の施設や、地域の大きな病院との医療連携なども進めておりますので、介護度の高い方も受け入れることが可能な介護施設と考えています。
取材者: 介護事業において、入居率は重要な指標になってくるかと思いますが、目標値はございますか?
回答者: 今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
取材者: 昨年、保育事業ではかなり多く開設しているというお話でしたが、介護事業の新規開設についてはいかがでしょうか?
回答者: 介護事業は、保育事業ほど大規模な拡大は考えておらず、1施設ずつ開設していく予定です。保育事業と介護事業で違いがありまして、保育事業の場合、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。一方で、介護施設は様々な形態で開設が可能で、既存の介護施設の隣に新たな介護施設を開設することができるため、介護施設の方が競合が多いという点が挙げられます。また、当社が運営している特定施設である「介護付有料老人ホーム」は、自治体や国の総量規制の対象なので、特定施設の認定を確実に取れるかどうかというところも一つの指標として置いております。そのような兼ね合いで、多くの施設を開設することができないというのが現実です。
取材者: 例えば、東京・神奈川を中心にということでしたが、どういったところに実際に開設していくイメージですか?
回答者:基本的には少し郊外になるところになるかと思います。 現在の当社の施設も、少し都心から離れたところや、直近開設した施設ですと埼玉の春日部、東京都内でも板橋区の小竹向原や杉並区の上井草ですので、このようなところに今後も開設していくと考えております。
取材者: 承知いたしました。先ほど旅行会社の設立から始まったというお話がありましたが、貴社の創業の経緯についてもう少し詳しく教えていただけますか?
回答者: 当社の代表は、大学生の頃から起業したいという気持ちを持っていまして、卒業してすぐの起業は難しいということで、一度、銀行に就職いたしました。そこで金融系のノウハウを学び、その後、転職をして経営について学んだと聞いております。そして、資金をそれほど必要としない旅行企画の会社を立ち上げました。その後、携帯電話が普及してくるにつれて、ビジネスチャンスを見つけて、携帯販売の代理店の運営や人材派遣に業態を転換していきました。
取材者: 保育事業や介護事業を始められたきっかけは何ですか?
回答者: 保育事業は、M&Aで参入したのですが、当社が人材派遣を行っていく中で、7~8割の方が女性の派遣社員の方で、そういった方々が退職する理由が出産や育児だったので、そこに課題を持っていました。女性の子育てによる離職への課題感を持っているところに、現在のライクキッズ、旧サクセスアカデミー社が売りに出されるという話があり、M&Aを経て、保育事業に参入いたしました。当時は、病院内や企業内の受託施設を主軸として運営していたのですが、国が待機児童問題を重要視するようになったので、認可保育園等の公的施設の開設に注力していきました。2017~2024年ぐらいまでに、100施設ぐらい開設しており、多いときには年に20施設の認可保育園を開設してきました。
取材者: 構成比でいうと保育事業が一番多いですね。
回答者: はい。
取材者: 介護事業も同じようにM&Aということですか?
回答者: 介護事業もM&Aで参入いたしました。代表の母親の介護施設探しで苦労したことがあり、条件の良い案件が出てきたので、買収を行い参入していきました。
取材者: 今期の業績についてお伺いしたいのですが、今期は全体として見ても前年並みで推移されているかと思いますが、今期ここまでの業績決算の要因のポイントはどのあたりにありますか?
回答者: 人材事業で予算とのずれが生じている部分があります。当社の物流部門における軽作業の派遣が、当初の計画より伸びておりません。クライアント様が直雇用化などを始めましたので、当社への派遣のオーダーが減り、前年同期比で減収してしまっております。ここは予算策定段階で読み切れていなかった部分と考えております。その他は予想通りのところにいるかと思います。人材事業、保育事業共に、人材の採用を強化している状況ですが、特に人材事業でいいますと、モバイル業界向け、コールセンター業界向けで、働き方のミスマッチが起こっていると感じております。例えば、モバイル業界、コールセンター業界ですと、土日を含むフルタイム勤務が求められることが多いのですが、求職者が求めている働き方としては週3勤務やスキマバイトが主流になってきているため、どうしてもニーズがずれてしまい、求職者からの応募が減ってしまっていると感じております。また、給与水準も、これまで携帯販売職は、高い水準で給与を支払うことができていたのですが、今は他の業種も賃金が上がっていますので、モバイルの賃金がなかなか上がらなかったこともあり、一般的な給与水準になってしまっているというのも要因かと思います。
取材者: 多くの企業様が人材の採用で苦戦されている中で、貴社の事業は特に人材不足、採用が困難な業界かと思いますが、何か対策や戦略はございますか?
回答者: 現状、派遣社員を市場から採用することが難しい状況ですので、正社員の派遣を強化していきたいと考えております。正社員として雇用した方にクライアント企業様の職場で働いていただきます。そこから先、社内に異動することもできますし、そのまま現場でリーダーや店長クラスを目指すなど、様々なキャリアプランを形成することが可能です。新卒正社員の採用に向けて、大学とのリレーションを強化しており、なかなか就職先が決まらない方が一定数いらっしゃいますので、大学から1人2人紹介してもらうというような関係を作っています。これを行うことで採用コストを抑えることができますし、安定的な紹介をお願いできるので、強みになると思います。
取材者: 株主還元策の方針はございますか?
回答者: 基本的に配当性向30%と掲げているのですが、今期は44%程度の予想です。基本的には維持もしくは増配といったところで考えております。
取材者: 新たな取り組みや重点施策をご説明ください。
回答者: 新たな取り組みとしては、日本生命との業務提携が大きなトピックスだと考えておりまして、まだPLに影響してくるかはわからないのですが、うまくいけば今後2~3年後にはPLに反映されてくるかと思います。もう一つ大きなトピックとしては、人材事業で他社から約170名の派遣スタッフを受け入れましたので、この170名の売上は下期に反映されてくるかと思います。これは計画になかったところですので、プラス要因と考えております。
取材者: 最後に、今後の見通しについてお願いします。
回答者: 今期に関しては、第2四半期時点では、当初の業績予想を据え置いています。下期にプラス材料が出てくる可能性もございますので、そういったところを注視して見ていただければと思います。具体的には、保育事業において、前期までに開設した園の充足による寄与や処遇改善加算の増加が見込まれます。また、介護事業においても、新規開設施設や既存施設の入居率向上による増収を見込んでおります
20250213 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
ライク株式会社は、子育て支援サービス事業、総合人材サービス事業、介護関連サービス事業の3つの事業を展開している。 子育て支援サービス事業(以下、保育事業)では、首都圏を中心に認可保育園を運営し、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を図っている。 総合人材サービス事業(以下、人材事業)は、人材派遣を主軸に、業務委託や人材紹介も行う。 介護関連サービス事業(以下、介護事業)では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴である。
創業の経緯と転機
創業当初は旅行会社として設立されたが、その後、携帯販売の代理店事業に転換し、人材派遣事業に注力するようになった。 保育事業は、人材派遣事業における女性の離職の課題と、保育会社の買収案件をきっかけに参入した。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収により参入した。
特徴と強み
人材事業では、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成を強みとしている。 保育事業では、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を強みとしている。 介護事業では、看取りまで行う点が特徴である。
成長戦略
人材事業では、エキスパート職と称する正社員の採用を強化し、大学とのリレーションを強化することで、採用コストの抑制と安定的な人材確保を目指す。 保育事業では、日本生命との業務提携により、システムの改修や保育の質向上のための「保育コンソーシアム」を立ち上げ、業界全体への貢献を図る。 介護事業は、1施設ずつ着実に開設していく方針である。
株主還元策
配当性向30%を基本とし、今期は44%程度の予想である。 基本的に維持もしくは増配を検討している。
新たな取り組みや重点施策
日本生命との業務提携が大きなトピックスである。人材事業において、他社から派遣スタッフを約170名受け入れている。
IR担当

ライク(株)
東証PRM 2462
決算:5月末日
Q: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
A:当社は、保育事業、人材事業、介護事業の3つの事業を展開しています。 人材事業は、携帯販売代理店の運営経験により培った人材育成のノウハウを強みとしています。 保育事業では、首都圏を中心に認可保育園を運営しており、独自開発のシステムによって業務効率化と保育の質向上を図っています。 介護事業では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴です。
Q: 人材事業では、どのような事業を行っていますか?
A:人材派遣を主軸とし、業務委託や人材紹介も行っています。 強みは、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成です。
Q: 保育事業におけるシステム開発の内容と、日本生命との業務提携に至った経緯について、お聞かせください。
A:当社は児童の情報管理や職員の配置状況の可視化を行うシステムや、保護者と保育士の連絡帳機能、物品販売、写真販売などの機能を備えたアプリを独自に開発しています。 基幹システムとアプリを自社開発している点に加え、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携にいたりました。システム開発に資金やリソースを投入し、システムを他の保育事業者でも利用できるように改修した上で販売する予定です。また、保育の質向上や業務改善を日本生命と当社が主導するプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、グローバルキッズ様や学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求める提言を行うなど業界全体への貢献を進めてまいります。
Q: 介護事業の特徴である「看取りまで行う」ことについてご説明いただけますか?
A:当社の介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、参入いたしました。 24時間看護体制の施設と地域の病院との医療連携により、介護度の高い方の受け入れも可能です。
Q: 介護事業の入居率の目標値は、どの程度でしょうか?
A:今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
Q: 保育事業と介護事業における、新規出店の違いについて、具体的にどのような点でしょうか?
A:保育事業は、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。 一方で、介護事業は、様々な形態で施設を開設できるため、競合が多いという点が挙げられます。 また、当社が運営する特定施設は、総量規制の対象となるため、認定の確実な取得が重要です。
Q: 創業の経緯について、お聞かせいただけますか?
A:当社の代表は、1993年に旅行企画の会社を設立しました。 その後、携帯電話の普及に伴い、携帯販売代理店や人材派遣事業へと業態を転換していきました。
保育事業には、人材派遣事業において女性の離職が課題であると感じていたことと、保育会社の買収案件があったことをきっかけに参入しました。 当時は病院内や企業内の受託施設が主軸でしたが、待機児童問題などを背景に、認可保育園の開設へと事業を拡大しました。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収案件をきっかけに参入しました。
取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 当社の事業は大きく3つに分類され、保育事業、人材事業、そして介護事業を展開しております。 まず、人材事業についてご説明いたします。当社の創業当初の経緯からご説明いたしますと、もともとは旅行会社として設立されました。その後、携帯販売の代理店事業を開始し、代理店運営を通じて人材派遣のニーズを捉え、人材派遣事業に注力するようになりました。
回答者: 当社は採用・育成を主軸として人材派遣を行い、事業を拡大してきた企業です。採用・育成といった人材育成の分野を大きな強みと考えておりまして、キャリア様の携帯販売の立ち上がりの時期から一緒に成長してきた企業ですので、キャリア様との繋がりや、無資格・未経験者を戦力化してきた人材育成のノウハウが蓄積されており、当社独自の他社にはない強みと考えております。
取材者: 貴社が横展開して、物流の分野に進出されているとのことですが、その分野でも、最初の段階の教育といったところでは、強みが生まれているといえますか。
回答者:新たな強みが生まれたとは考えておらず、物流部門でもこれまで培った採用や人材育成のノウハウを活かすことで、横展開できたと考えています。
取材者: 人材事業は、人材派遣が主軸とのことですが、他に事業は行っていますか?
回答者:業務委託や人材紹介も行っております。
取材者: 続いて、保育関連サービスについてですが、主に認可保育園の運営を行っているということでよろしいですね?
回答者: はい。首都圏を中心に、東京・神奈川で認可保育園を運営しております。直近5~6年で多くの保育施設を開設しており、自治体との強固な関係を築いています。また、当社はこれまで大きなトラブルや事故を起こしておらず、自治体から高い信頼を得ています。
取材者: 例えば、他の保育事業様が補助金の不正受給や虐待の問題が挙げられていますが、そういったところが全く起こっていないというのは、素晴らしいですね。
取材者: それは、やはり管理体制が徹底されているということですか?
回答者:管理体制は築けていると思います。研修制度も初期から充実していたのですが、さらに強化し、プログラムを拡充しています。それに加え、ドミナントに施設を開設することで職員の異動も可能になるため、退職抑止にも繋がり、結果として、保育の安全性にも繋がっていると考えております。
回答者: また、当社では独自にアプリや社内基幹システムを開発し、業務効率化や保育の質向上を図っています。
取材者: システム開発は、貴社で独自に開発されているということですか?
回答者: おっしゃる通り、弊社独自で開発しております。
取材者: 具体的なシステムの内容について教えてください。
回答者: 例えば、保育士の配置状況を把握し、可視化するシステムを開発いたしました。以前は各施設からスーパーバイザーを通して本社の採用チームに連絡が入っていましたが、システム化により、情報が直接採用チームに伝わるようになり、採用活動の効率化とスピードアップを実現しました。
回答者:また、アプリでは、保護者様と保育士の連絡帳機能、オムツの購入などのサブスクリプションサービスの提供、写真販売などを行っています。
取材者: アプリで写真を購入できるのですね。
回答者: アプリで購入できます。ダウンロードと郵送を選択できますので、保護者様にとって利便性が高いと考えております。この2つのシステム、基幹システムとアプリを自社開発している点と、売上高が上場会社の中で業界2位であることから、日本生命と資本業務提携を締結いたしました。
取材者: 日本生命との資本業務提携の影響は、どのようなところに出てきますか?
回答者: システム開発に資金やリソースを投入し、弊社内のシステムを他の保育事業者でも使えるようなシステムに改修して、最終的には外販していきたいと考えています。
取材者: 外販していく流れがあるのですね。
回答者: まだ始まったばかりですが、そのように計画しています。また、もう一点、保育の質や業務効率化を日本生命と当社が主導して進めていこうというプロジェクト、「保育コンソーシアム」を立ち上げ、ニチイ学館様やグローバルキッズ様、学研ホールディングス様などに参画いただき、各自治体や他の保育事業者、政府に対して、保育の業務改善を求めていくような提言などを行っていく予定です。
取材者: 業界全体としてそういう流れになってくるのですね。
回答者: 業界をリードするような立場に当社がなっていきたいと考えております。
取材者: 保育事業について、よくわかりました。続いて、介護事業についてですが、主に神奈川、東京、埼玉の春日部で、介護付有料老人ホームを運営されているということでよろしいですね?
回答者: はい。現在26施設(取材時点)を運営しております。当社の介護事業の特徴は、看取りまで行うという点です。他の介護事業者様も看取りまで行うところもあると思いますが、敬遠するところが多いと聞いております。
取材者: 他の介護事業者様が看取りまで行わないのは、収益性が出ないという点があるからですか?
回答者: その通りです。看取りを行うと退去日が想定できず、空室期間が出てしまうという点がございます。当社が看取りを行うのは、代表の考えでして、代表の母親が入居する介護施設を探した際に、看取りまで対応してくれる施設が少ないことに疑問を感じたことがきっかけです。
回答者: 24時間看護体制の施設や、地域の大きな病院との医療連携なども進めておりますので、介護度の高い方も受け入れることが可能な介護施設と考えています。
取材者: 介護事業において、入居率は重要な指標になってくるかと思いますが、目標値はございますか?
回答者: 今期末の目標は93%です。第2四半期末(2024年10月末)時点では全体で88.2%、新規開設施設(フェリエ ドゥ 上井草)を除くと92.3%と比較的高水準で推移しています。
取材者: 昨年、保育事業ではかなり多く開設しているというお話でしたが、介護事業の新規開設についてはいかがでしょうか?
回答者: 介護事業は、保育事業ほど大規模な拡大は考えておらず、1施設ずつ開設していく予定です。保育事業と介護事業で違いがありまして、保育事業の場合、認可保育園の開設は自治体主導であるため、1施設開設されると周辺での開設が難しくなるという特徴があります。一方で、介護施設は様々な形態で開設が可能で、既存の介護施設の隣に新たな介護施設を開設することができるため、介護施設の方が競合が多いという点が挙げられます。また、当社が運営している特定施設である「介護付有料老人ホーム」は、自治体や国の総量規制の対象なので、特定施設の認定を確実に取れるかどうかというところも一つの指標として置いております。そのような兼ね合いで、多くの施設を開設することができないというのが現実です。
取材者: 例えば、東京・神奈川を中心にということでしたが、どういったところに実際に開設していくイメージですか?
回答者:基本的には少し郊外になるところになるかと思います。 現在の当社の施設も、少し都心から離れたところや、直近開設した施設ですと埼玉の春日部、東京都内でも板橋区の小竹向原や杉並区の上井草ですので、このようなところに今後も開設していくと考えております。
取材者: 承知いたしました。先ほど旅行会社の設立から始まったというお話がありましたが、貴社の創業の経緯についてもう少し詳しく教えていただけますか?
回答者: 当社の代表は、大学生の頃から起業したいという気持ちを持っていまして、卒業してすぐの起業は難しいということで、一度、銀行に就職いたしました。そこで金融系のノウハウを学び、その後、転職をして経営について学んだと聞いております。そして、資金をそれほど必要としない旅行企画の会社を立ち上げました。その後、携帯電話が普及してくるにつれて、ビジネスチャンスを見つけて、携帯販売の代理店の運営や人材派遣に業態を転換していきました。
取材者: 保育事業や介護事業を始められたきっかけは何ですか?
回答者: 保育事業は、M&Aで参入したのですが、当社が人材派遣を行っていく中で、7~8割の方が女性の派遣社員の方で、そういった方々が退職する理由が出産や育児だったので、そこに課題を持っていました。女性の子育てによる離職への課題感を持っているところに、現在のライクキッズ、旧サクセスアカデミー社が売りに出されるという話があり、M&Aを経て、保育事業に参入いたしました。当時は、病院内や企業内の受託施設を主軸として運営していたのですが、国が待機児童問題を重要視するようになったので、認可保育園等の公的施設の開設に注力していきました。2017~2024年ぐらいまでに、100施設ぐらい開設しており、多いときには年に20施設の認可保育園を開設してきました。
取材者: 構成比でいうと保育事業が一番多いですね。
回答者: はい。
取材者: 介護事業も同じようにM&Aということですか?
回答者: 介護事業もM&Aで参入いたしました。代表の母親の介護施設探しで苦労したことがあり、条件の良い案件が出てきたので、買収を行い参入していきました。
取材者: 今期の業績についてお伺いしたいのですが、今期は全体として見ても前年並みで推移されているかと思いますが、今期ここまでの業績決算の要因のポイントはどのあたりにありますか?
回答者: 人材事業で予算とのずれが生じている部分があります。当社の物流部門における軽作業の派遣が、当初の計画より伸びておりません。クライアント様が直雇用化などを始めましたので、当社への派遣のオーダーが減り、前年同期比で減収してしまっております。ここは予算策定段階で読み切れていなかった部分と考えております。その他は予想通りのところにいるかと思います。人材事業、保育事業共に、人材の採用を強化している状況ですが、特に人材事業でいいますと、モバイル業界向け、コールセンター業界向けで、働き方のミスマッチが起こっていると感じております。例えば、モバイル業界、コールセンター業界ですと、土日を含むフルタイム勤務が求められることが多いのですが、求職者が求めている働き方としては週3勤務やスキマバイトが主流になってきているため、どうしてもニーズがずれてしまい、求職者からの応募が減ってしまっていると感じております。また、給与水準も、これまで携帯販売職は、高い水準で給与を支払うことができていたのですが、今は他の業種も賃金が上がっていますので、モバイルの賃金がなかなか上がらなかったこともあり、一般的な給与水準になってしまっているというのも要因かと思います。
取材者: 多くの企業様が人材の採用で苦戦されている中で、貴社の事業は特に人材不足、採用が困難な業界かと思いますが、何か対策や戦略はございますか?
回答者: 現状、派遣社員を市場から採用することが難しい状況ですので、正社員の派遣を強化していきたいと考えております。正社員として雇用した方にクライアント企業様の職場で働いていただきます。そこから先、社内に異動することもできますし、そのまま現場でリーダーや店長クラスを目指すなど、様々なキャリアプランを形成することが可能です。新卒正社員の採用に向けて、大学とのリレーションを強化しており、なかなか就職先が決まらない方が一定数いらっしゃいますので、大学から1人2人紹介してもらうというような関係を作っています。これを行うことで採用コストを抑えることができますし、安定的な紹介をお願いできるので、強みになると思います。
取材者: 株主還元策の方針はございますか?
回答者: 基本的に配当性向30%と掲げているのですが、今期は44%程度の予想です。基本的には維持もしくは増配といったところで考えております。
取材者: 新たな取り組みや重点施策をご説明ください。
回答者: 新たな取り組みとしては、日本生命との業務提携が大きなトピックスだと考えておりまして、まだPLに影響してくるかはわからないのですが、うまくいけば今後2~3年後にはPLに反映されてくるかと思います。もう一つ大きなトピックとしては、人材事業で他社から約170名の派遣スタッフを受け入れましたので、この170名の売上は下期に反映されてくるかと思います。これは計画になかったところですので、プラス要因と考えております。
取材者: 最後に、今後の見通しについてお願いします。
回答者: 今期に関しては、第2四半期時点では、当初の業績予想を据え置いています。下期にプラス材料が出てくる可能性もございますので、そういったところを注視して見ていただければと思います。具体的には、保育事業において、前期までに開設した園の充足による寄与や処遇改善加算の増加が見込まれます。また、介護事業においても、新規開設施設や既存施設の入居率向上による増収を見込んでおります
20250213 CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
ライク株式会社は、子育て支援サービス事業、総合人材サービス事業、介護関連サービス事業の3つの事業を展開している。 子育て支援サービス事業(以下、保育事業)では、首都圏を中心に認可保育園を運営し、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を図っている。 総合人材サービス事業(以下、人材事業)は、人材派遣を主軸に、業務委託や人材紹介も行う。 介護関連サービス事業(以下、介護事業)では、神奈川、東京、埼玉で介護付有料老人ホームを運営しており、看取りまで行う点が特徴である。
創業の経緯と転機
創業当初は旅行会社として設立されたが、その後、携帯販売の代理店事業に転換し、人材派遣事業に注力するようになった。 保育事業は、人材派遣事業における女性の離職の課題と、保育会社の買収案件をきっかけに参入した。 介護事業は、代表の母親の介護経験から、看取りまで対応する介護施設の必要性を感じ、買収により参入した。
特徴と強み
人材事業では、無資格・未経験者を戦力化してきた独自のノウハウを活かした人材育成を強みとしている。 保育事業では、独自開発のシステムによる業務効率化と保育の質向上を強みとしている。 介護事業では、看取りまで行う点が特徴である。
成長戦略
人材事業では、エキスパート職と称する正社員の採用を強化し、大学とのリレーションを強化することで、採用コストの抑制と安定的な人材確保を目指す。 保育事業では、日本生命との業務提携により、システムの改修や保育の質向上のための「保育コンソーシアム」を立ち上げ、業界全体への貢献を図る。 介護事業は、1施設ずつ着実に開設していく方針である。
株主還元策
配当性向30%を基本とし、今期は44%程度の予想である。 基本的に維持もしくは増配を検討している。
新たな取り組みや重点施策
日本生命との業務提携が大きなトピックスである。人材事業において、他社から派遣スタッフを約170名受け入れている。
IR担当