
(株)鉄人化ホールディングス
東証STD 2404
決算:8月末日
20250220
Q:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
A:従来はカラオケ事業を主力としていましたが、近年の業界状況と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年に代表取締役の交代に至りました。現在は、カラオケ事業以外にも飲食事業や美容サロン事業を展開し、リスク分散を図っています。
Q:事業ポートフォリオの変遷について、ご説明いただけますでしょうか。
A:カラオケ事業は、当社上場以降、業界が大きく変化し、カラオケ機器メーカーの合併や淘汰が進み、現在は第一興商とエクシングの2社のみとなりました。かつては、カラオケ機器メーカーが多かった頃には、当社独自のカラオケシステムである「鉄人システム」を提供することで他社との差別化を図っていました。しかし、本年1月に鉄人システムの提供を終了し、現在では一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営を行っています。鉄人システム終了の理由としては、カラオケ機器メーカーが2社に集約されたことで、機器の選択肢が減り、システムとしての優位性が低下したことが挙げられます。また、運営店舗数が減ったことで、鉄人システムの開発・保守費用が大きな負担となっていたことも理由の一つです。さらに、コロナ禍の影響もあり、最終的に鉄人システムの開発・保守を断念しました。
Q:カラオケ業界の変遷について、ご説明いただけますでしょうか。
A:当社が上場した当時は、1台のカラオケ機器で提供できる楽曲数は多くても5万曲程度でしたが、鉄人システムでは約20万曲を提供することができ、差別化を図ることができていました。しかし、現在では1台の機器で提供できる楽曲数が増加し、20万曲に近い楽曲数を提供できるようになっています。そのため、楽曲数の優位性が失われてしまいました。
Q:鉄人システム廃止に伴うコスト削減の効果は、大きいと認識してよ
ろしいでしょうか。
A:コスト削減の効果は大きいです。店舗数でいうと、最盛期は約63店舗でしたが、現在は37店舗まで減らしました。また、カラオケ業界の競争環境も変化し、まねきねこやバンバンといった低価格帯のカラオケチェーンが台頭し、首都圏では価格競争が激化しています。さらに、原材料費や人件費、賃料の上昇により、収益を確保することが難しくなっています。鉄人システムの廃止も重なり、カラオケ事業は厳しい状況ですが、明るい兆しもあります。10年以上前から展開している、アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗が好評です。これまでは秋葉原や池袋など限られた地域で展開していましたが、「カラオケの鉄人コラボミックス」という名称で全国展開を進めています。コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れた店舗です。昨年は福岡と大阪に、そして今年は名古屋と松山に出店しました。
Q:新規のビジネスモデルついてご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスは、小規模な店舗のため収益力は低いですが、IPホルダーとの連携により、魅力的なコンテンツを提供することで集客力向上を目指しています。まだまだ実験段階ではありますが、松山店の成功を皮切りに、他の地域にも展開していきたいと考えています。まとめますと、カラオケ事業は従来型の店舗展開は行わず、鉄人システム廃止の影響もあり、厳しい状況です。一方で、コラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、今後の成長に期待しています。
Q:コラボミックスでは、「歌うだけじゃないカラオケ」を展開されているとのことですが、ご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスでは、コンテンツ販売にも力を入れています。年間約100タイトルものアニメ作品とコラボレーションしており、コンテンツの充実を図っています。また、コラボミックスは女性客の比率が高く、約8割を占めています。今後も女性客に響くようなコンテンツを開発し、店舗展開を進めていきたいと考えています。例えば「進撃の巨人」など話題の作品とコラボレーションした店舗は大きな集客力があります。近年はSNSの普及により、アニメの視聴者層が拡大しています。今後もアニメコンテンツとの連携を強化することで、新たな顧客層を獲得していきたいと考えています。コラボレーション作品のリクエストなどはホームページでリクエストを受け付けており、お客様の声を参考にコンテンツを選定しています。また、地域性も考慮し、それぞれの地域に合ったコンテンツを提供できるよう努めています。
Q:飲食事業について、ご説明いただけますでしょうか。
A:飲食事業は、現在の根来社長が就任する前に買収したラーメン事業を基盤に展開しています。ラーメン店「直久」は老舗のラーメン店で、コロナ禍の影響でフランチャイズ展開が遅れていましたが、今後は積極的に展開していく予定です。コロナ禍が明け、飲食業界は回復基調にあります。今後も新規出店を検討し、事業拡大を目指します。
Q:出店戦略についてご説明ください。
A:単独店舗での展開は難しいと考えており、ショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討しています。賃料は高くなりますが、集客力は抜群なので、出店機会があれば積極的に展開していきたいと考えています。
Q:飲食事業は「直久」以外にも展開されているのですか?
A:飲食事業は「直久」以外にも、フランチャイズで「赤から」を3店舗展開しています。また、「牛カツ京都勝牛」もフランチャイズで1店舗運営しています。さらに、新宿で「福包酒場」という居酒屋をフランチャイズで運営しています。これらの店舗は全てフランチャイズであるため、当社独自のノウハウはありません。当社には独自の店舗業態を開発するノウハウがないため、フランチャイズ展開に注力しています。これらは、カラオケ事業の不振を補うため、カラオケ店舗に飲食店を併設する「プラスK」戦略として進めています。例えば、カラオケ店舗に「赤から」や「福包酒場」を併設するなど、新たな試みを行っています。さらに、M&A戦略の一環として、昨年9月に渋谷の焼き鳥店「鳥竹」を買収しました。今後も出店機会があれば、焼き鳥店の展開も視野に入れています。
Q: M&Aに関して方針等ご説明ください。
A:特に業種は限定しておらず、シナジー効果があれば良いと考えています。コロナ禍で大きな打撃を受けたため、リスク分散のため様々な業態に参入していく方針です。買収対象としては、当社がノウハウを持たない業態でも、自走できる企業を検討しています。また、資本力が限られているため、のれん償却が発生しても当期利益がマイナスにならない規模の企業を対象としています。個人オーナー企業のような、事業承継を検討している企業も対象となります。買収により、キャッシュアウトを抑えつつ連結子会社として利益に貢献できる企業を探しています。そのため、業種は問わず、経営を継続できる企業であればM&Aを検討していく方針です。
Q:美容事業についてはいかがでしょうか?
A:美容事業は、前経営者が買収した中京地区で11店舗展開している美容サロンを継承したことが始まりです。その後、ビアンカグループを買収し、美容事業を拡大しました。買収当時は35店舗でしたが、現在は50店舗まで拡大しています。美容業界はネット上ではネガティブな情報も見られますが、実際にはコロナ禍でも大きな影響を受けていません。私は一度鉄人化を退社した後、約5年間、美容サロンを経営する会社に勤めていました。その会社は90店舗を展開しており、2020年4月に札幌市で緊急事態宣言が発令された際も、1ヶ月間のみ業績が落ち込んだだけで、その後はV字回復しました。現在のビアンカグループでも同様の傾向が見られ、コロナ禍でも堅調に業績を伸ばしています。美容事業、特にマツエクとネイルは出店コストが低いというメリットがあります。一般的な美容サロンは40坪から60坪程度の広さが必要で、設備投資にも1,000万円から1,500万円程度かかります。一方で、マツエクとネイルはマンションの一室でも開業できるほど小規模で済みます。ビアンカグループの平均坪数は15坪で、小スペースで開業できるため、ショッピングセンターなどにも出店しやすいというメリットがあります。そのため、積極的に出店を進めています。ただし、美容業界ではスタイリストの定着率が低いという課題があります。これは業界全体の課題であり、当社も例外ではありません。しかし、鉄人化ホールディングス傘下に入ったことで、美容学校などからの信用度が向上し、新卒採用を強化できています。昨年は約60名、今年は100名以上の新卒採用を予定しています。定着率は低いものの、採用を強化することで事業拡大を図っています。美容事業は現在首都圏と中京地区に限定して展開していますが、まだまだ成長の余地があると考えています。
Q:創業の経緯についてご説明いただけますでしょうか?
A:創業の経緯についてお話します。創業者はたまたま実家の近くでカラオケ店を経営しており、そこに鉄人システムを導入したところ、大きな成功を収めたそうです。当時はカラオケ事業が非常に儲かっており、創業者は鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立したそうです。創業者は元銀行員ということもあり、堅実な経営を重視していました。現在の根来社長は元ゴールドマン・サックス出身で、投資銀行業務に精通しています。創業以来、堅実な経営を続けてきたことが、現在の多角化された事業形態にもつながっていると考えています。
また当社は創業以来、数値分析に基づいた経営を続けてきました。例えば、投資利回りを綿密に計算した上で、事業展開を決定してきました。創業者はカラオケ事業が好きだからという理由ではなく、投資家の視点で事業を評価し、将来性を見据えて起業したと聞いています。
Q:決算状況について、ご説明いただけますでしょうか。
A:前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成しましたが、これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものです。店舗を閉店する場合、事前に通知する必要があり、その間も賃料などのコストが発生します。前期は不採算店舗の整理が完了し、後半からは新たな事業展開に注力することができました。例えば、昨年9月には焼き鳥店を買収し、カラオケ事業ではコラボミックスの出店を開始しました。今期はコロナ禍の影響が薄れ、新たなスタートを切ることができました。今後もコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指します。また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の店をオープンしました。今期は既存事業の強化に加え、新規事業の展開にも積極的に取り組んでいきます。
Q:コラボミックスも含め、今期の業績の見通しについて、ご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスは小規模店舗のため、出店コストを抑えることができます。ある程度の集客が見込めるのであれば、地方都市への出店も積極的に検討していきたいと考えています。また、全国展開を進めることで、より多くのIPを活用できるようになり、相乗効果が期待できます。出店地域を拡大することによって、今まで使えなかったようなキャラクターコンテンツを活用できるようになるので、プラスの効果が出るのではないかと考えています。
Q:株主還元の方針等ご説明ください。
A:株主還元策については特に具体的な方針は定まっておりませんが、できる限り早く復配したいと考えています。しかしながら、資本金が毀損していること、そして筆頭株主が7割近くの株式を保有していることから、配当よりも投資を優先すべきという意見もあります。そのため、現在は株主優待による還元を主に行っています。私が2020年に役員に就任した当時は株主数は約7,000人でしたが、前期末には約12,000人にまで増加しました。これは、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評であるためだと考えています。そのため、当面は株主優待を継続し、将来的には資本の状況をみながら復配を検討していきたいと考えています。ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券は利用範囲が広く、好評を博しています。特に「直久ラーメンギフトセット」は人気が高いようです。当該ギフトセットの発送にはコストがかかりますが、株主還元策の一環として今後も継続していきたいと考えています。
取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者:弊社は、従来カラオケ事業を主力として展開してまいりましたが、近年の業界状況と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年に代表取締役の交代に至りました。経緯を簡潔にご説明いたしますと、創業時からの代表取締役は、現在も筆頭株主として約7割近くの株式を保有しており、長年会社を経営してまいりましたが、カラオケ事業の将来的な変革を目的として、外部から新たな代表取締役を招聘いたしました。しかしながら、新たなカラオケ事業モデルの構築は難航し、コロナ禍に突入する中で数名の代表取締役が交代いたしました。そして2020年12月、現在の根来社長が就任し、同時に私も役員に復帰いたしました。上場時にも役員を務めておりましたが、新事業モデル構築の際に退任し、その後、コロナ禍における業績悪化に伴い、根来社長とともに経営再建に参画いたしました。リスク分散のため、カラオケ事業以外にも事業を展開し、現在ではカラオケ事業が約5割、美容サロン事業が約25%、飲食事業が約25%となっております。また、コロナ禍で不採算店舗を閉鎖・譲渡した結果、事業ドメインが広がりました。
次に、カラオケ事業についてご説明いたします。当社上場以降、カラオケ業界は大きく変化し、カラオケ機器メーカーは合併や淘汰が進み、現在は第一興商とエクシングの2社のみとなりました。かつては、カラオケ機器メーカーが多かった頃には、当社独自のカラオケシステムである「鉄人システム」を提供することで他社との差別化を図っておりました。しかし、本年1月に鉄人システムの提供を終了し、現在では一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営を行っております。鉄人システム終了の理由としましては、カラオケ機器メーカーが2社に集約されたことで、機器の選択肢が減り、システムとしての優位性が低下したことが挙げられます。また、運営店舗数が減ったことで、鉄人システムの開発・保守費用が大きな負担となっていたことも理由の一つです。さらに、コロナ禍の影響もあり、最終的に鉄人システムの開発・保守を断念いたしました。
当社が上場した当時は、1台のカラオケ機器で提供できる楽曲数は多くても5万曲程度でしたが、鉄人システムでは約20万曲を提供することができ、差別化を図ることができていました。しかし、現在では1台の機器で提供できる楽曲数が増加し、20万曲に近い楽曲数を提供できるようになっています。そのため、楽曲数の優位性が失われてしまいました。
取材者:鉄人システム廃止の背景について、理解しました。コスト削減の効果は大きいのでしょうか?
回答者:はい、大きいです。店舗数でいうと、最盛期は約63店舗でしたが、現在は37店舗まで減らしました。また、カラオケ業界の競争環境も変化し、まねきねこやバンバンといった低価格帯のカラオケチェーンが台頭し、首都圏では価格競争が激化しています。さらに、原材料費や人件費、賃料の上昇により、収益を確保することが難しくなっています。鉄人システムの廃止も重なり、カラオケ事業は厳しい状況ですが、明るい兆しもあります。10年以上前から展開している、アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗が好評です。これまでは秋葉原や池袋など限られた地域で展開していましたが、「カラオケの鉄人コラボミックス」という名称で全国展開を進めています。コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れた店舗です。昨年は福岡と大阪に、そして今年は名古屋と松山に出店いたしました。
取材者:新しいビジネスモデルですね。
回答者:はい。小規模な店舗のため収益力は低いですが、IPホルダーとの連携により、魅力的なコンテンツを提供することで集客力向上を目指しています。まだまだ実験段階ではありますが、松山店の成功を皮切りに、他の地域にも展開していきたいと考えています。まとめますと、カラオケ事業は従来型の店舗展開は行わず、鉄人システム廃止の影響もあり、厳しい状況です。一方で、コラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、今後の成長に期待しています。
取材者:「歌うだけじゃないカラオケ」ということですね。
回答者:はい。コンテンツ販売にも力を入れています。年間約100タイトルものアニメ作品とコラボレーションしており、コンテンツの充実を図っています。また、コラボミックスは女性客の比率が高く、約8割を占めています。今後も女性客に響くようなコンテンツを開発し、店舗展開を進めていきたいと考えています。例えば「進撃の巨人」など話題の作品とコラボレーションした店舗は大きな集客力があります。近年はSNSの普及により、アニメの視聴者層が拡大しています。今後もアニメコンテンツとの連携を強化することで、新たな顧客層を獲得していきたいと考えています。
取材者:コラボレーション作品のリクエストなども受け付けているのでしょうか?
回答者:はい。ホームページでリクエストを受け付けており、お客様の声を参考にコンテンツを選定しています。また、地域性も考慮し、それぞれの地域に合ったコンテンツを提供できるよう努めています。
取材者:次に、飲食事業についてお伺いします。
回答者:飲食事業は、現在の根来社長が就任する前に買収したラーメン事業を基盤に展開しています。まず、ラーメン店「直久」は老舗のラーメン店で、コロナ禍の影響でフランチャイズ展開が遅れていましたが、今後は積極的に展開していく予定です。コロナ禍が明け、飲食業界は回復基調にあります。今後も新規出店を検討し、事業拡大を目指します。
取材者:出店戦略について、何か具体的なものはありますか?
回答者:はい。単独店舗での展開は難しいと考えており、ショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討しています。賃料は高くなりますが、集客力は抜群なので、出店機会があれば積極的に展開していきたいと考えています。
飲食事業は「直久」以外にも、フランチャイズで「赤から」を3店舗展開しています。また、「牛カツ京都勝牛」もフランチャイズで1店舗運営しています。さらに、新宿で「福包酒場」という居酒屋をフランチャイズで運営しています。これらの店舗は全てフランチャイズであるため、当社独自のノウハウはありません。当社には独自の店舗業態を開発するノウハウがないため、フランチャイズ展開に注力しています。これらは、カラオケ事業の不振を補うため、カラオケ店舗に飲食店を併設する「プラスK」戦略として進めています。例えば、カラオケ店舗に「赤から」や「福包酒場」を併設するなど、新たな試みを行っています。さらに、M&A戦略の一環として、昨年9月に渋谷の焼き鳥店「鳥竹」を買収しました。今後も出店機会があれば、焼き鳥店の展開も視野に入れています。
取材者:飲食事業の多角的な展開について、よく理解できました。M&Aに関して、何か方針はございますか?
回答者:特に業種は限定しておらず、シナジー効果があれば良いと考えています。コロナ禍で大きな打撃を受けたため、リスク分散のため様々な業態に参入していく方針です。買収対象としては、当社がノウハウを持たない業態でも、自走できる企業を検討しています。また、資本力が限られているため、のれん償却が発生しても当期利益がマイナスにならない規模の企業を対象としています。個人オーナー企業のような、事業承継を検討している企業も対象となります。買収により、キャッシュアウトを抑えつつ連結子会社として利益に貢献できる企業を探しています。そのため、業種は問わず、経営を継続できる企業であればM&Aを検討していく方針です。
取材者:美容事業についてはいかがでしょうか?
回答者:美容事業は、前経営者が買収した中京地区で11店舗展開している美容サロンを継承したことが始まりです。その後、ビアンカグループを買収し、美容事業を拡大しました。買収当時は35店舗でしたが、現在は50店舗まで拡大しています。美容業界はネット上ではネガティブな情報も見られますが、実際にはコロナ禍でも大きな影響を受けていません。私は一度鉄人化を退社した後、約5年間、美容サロンを経営する会社に勤めていました。その会社は90店舗を展開しており、2020年4月に札幌市で緊急事態宣言が発令された際も、1ヶ月間のみ業績が落ち込んだだけで、その後はV字回復しました。現在のビアンカグループでも同様の傾向が見られ、コロナ禍でも堅調に業績を伸ばしています。美容事業、特にマツエクとネイルは出店コストが低いというメリットがあります。一般的な美容サロンは40坪から60坪程度の広さが必要で、設備投資にも1,000万円から1,500万円程度かかります。一方で、マツエクとネイルはマンションの一室でも開業できるほど小規模で済みます。ビアンカグループの平均坪数は15坪で、小スペースで開業できるため、ショッピングセンターなどにも出店しやすいというメリットがあります。そのため、積極的に出店を進めています。ただし、美容業界ではスタイリストの定着率が低いという課題があります。これは業界全体の課題であり、当社も例外ではありません。しかし、鉄人化ホールディングス傘下に入ったことで、美容学校などからの信用度が向上し、新卒採用を強化できています。昨年は約60名、今年は100名以上の新卒採用を予定しています。定着率は低いものの、採用を強化することで事業拡大を図っています。美容事業は現在首都圏と中京地区に限定して展開していますが、まだまだ成長の余地があると考えています。
取材者:貴社の創業の経緯についてお伺いしてもよろしいですか?
回答者:創業の経緯についてお話します。創業者はたまたま実家の近くでカラオケ店を経営しており、そこに鉄人システムを導入したところ、大きな成功を収めたそうです。当時はカラオケ事業が非常に儲かっており、創業者は鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立したそうです。創業者は元銀行員ということもあり、堅実な経営を重視していました。現在の根来社長は元ゴールドマン・サックス出身で、投資銀行業務に精通しています。創業以来、堅実な経営を続けてきたことが、現在の多角化された事業形態にもつながっていると考えています。
当社は創業以来、数値分析に基づいた経営を続けてきました。例えば、投資利回りを綿密に計算した上で、事業展開を決定してきました。創業者はカラオケ事業が好きだからという理由ではなく、投資家の視点で事業を評価し、将来性を見据えて起業したと聞いています。
回答者:続いて、決算状況についてご説明いたします。前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成しましたが、これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものです。店舗を閉店する場合、事前に通知する必要があり、その間も賃料などのコストが発生します。前期は不採算店舗の整理が完了し、後半からは新たな事業展開に注力することができました。例えば、昨年9月には焼き鳥店を買収し、カラオケ事業ではコラボミックスの出店を開始しました。今期はコロナ禍の影響が薄れ、新たなスタートを切ることができました。今後もコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指します。また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の店をオープンしました。今期は既存事業の強化に加え、新規事業の展開にも積極的に取り組んでいきます。
取材者:コラボミックスも含め、今期の業績が楽しみですね。
回答者:コラボミックスは小規模店舗のため、出店コストを抑えることができます。ある程度の集客が見込めるのであれば、地方都市への出店も積極的に検討していきたいと考えています。また、全国展開を進めることで、より多くのIPを活用できるようになり、相乗効果が期待できます。出店地域を拡大することによって、今まで使えなかったようなキャラクターコンテンツを活用できるようになるので、プラスの効果が出るのではないかと考えています。
続いて、株主還元策についてご説明いたします。特に具体的な方針は定まっておりませんが、できる限り早く復配したいと考えています。しかしながら、資本金が毀損していること、そして筆頭株主が7割以上の株式を保有していることから、配当よりも投資を優先すべきという意見もあります。そのため、現在は株主優待による還元を主に行っています。私が2020年に役員に就任した当時は株主数は約7,000人でしたが、前期末には約12,000人にまで増加しました。これは、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評であるためだと考えています。そのため、当面は株主優待を継続し、将来的には資本の状況をみながら復配を検討していきたいと考えています。
取材者:株主数がかなり増えているのですね。
回答者:はい。ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券は利用範囲が広く、好評を博しています。特に「直久ラーメンギフトセット」は人気が高いようです。当該ギフトセットの発送にはコストがかかりますが、株主還元策の一環として今後も継続していきたいと考えています。
CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
鉄人化ホールディングスは、カラオケ事業を主力としながら、飲食事業、美容サロン事業を展開することでリスク分散を図っている。 かつては独自のカラオケシステム「鉄人システム」で差別化を図っていたが、現在は一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営している。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、実家の近くでカラオケ店を経営していたことがきっかけで、鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立した。 2020年には、カラオケ事業の将来的な変革を目的として、外部から新たな代表取締役を招聘している。
直近の決算状況
前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成した。 これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものである。
特徴と強み
アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗「カラオケの鉄人コラボミックス」を全国展開している。 コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れている。
成長戦略
カラオケ事業ではコラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、飲食事業ではショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討している。 また、M&A戦略も積極的に展開し、
事業の多角化を推進している。
株主還元策
株主還元策としては、現在は株主優待による還元を主に行っている。 株主優待は、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評である。
今期の取り組みやトピックス
今期はコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指す。 また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の飲食店をオープンした。
常務取締役 管理本部長 浦野敏男様
・資料
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(株)鉄人化ホールディングス
東証STD 2404
決算:8月末日
Q:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
A:従来はカラオケ事業を主力としていましたが、近年の業界状況と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年に代表取締役の交代に至りました。現在は、カラオケ事業以外にも飲食事業や美容サロン事業を展開し、リスク分散を図っています。
Q:事業ポートフォリオの変遷について、ご説明いただけますでしょうか。
A:カラオケ事業は、当社上場以降、業界が大きく変化し、カラオケ機器メーカーの合併や淘汰が進み、現在は第一興商とエクシングの2社のみとなりました。かつては、カラオケ機器メーカーが多かった頃には、当社独自のカラオケシステムである「鉄人システム」を提供することで他社との差別化を図っていました。しかし、本年1月に鉄人システムの提供を終了し、現在では一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営を行っています。鉄人システム終了の理由としては、カラオケ機器メーカーが2社に集約されたことで、機器の選択肢が減り、システムとしての優位性が低下したことが挙げられます。また、運営店舗数が減ったことで、鉄人システムの開発・保守費用が大きな負担となっていたことも理由の一つです。さらに、コロナ禍の影響もあり、最終的に鉄人システムの開発・保守を断念しました。
Q:カラオケ業界の変遷について、ご説明いただけますでしょうか。
A:当社が上場した当時は、1台のカラオケ機器で提供できる楽曲数は多くても5万曲程度でしたが、鉄人システムでは約20万曲を提供することができ、差別化を図ることができていました。しかし、現在では1台の機器で提供できる楽曲数が増加し、20万曲に近い楽曲数を提供できるようになっています。そのため、楽曲数の優位性が失われてしまいました。
Q:鉄人システム廃止に伴うコスト削減の効果は、大きいと認識してよ
ろしいでしょうか。
A:コスト削減の効果は大きいです。店舗数でいうと、最盛期は約63店舗でしたが、現在は37店舗まで減らしました。また、カラオケ業界の競争環境も変化し、まねきねこやバンバンといった低価格帯のカラオケチェーンが台頭し、首都圏では価格競争が激化しています。さらに、原材料費や人件費、賃料の上昇により、収益を確保することが難しくなっています。鉄人システムの廃止も重なり、カラオケ事業は厳しい状況ですが、明るい兆しもあります。10年以上前から展開している、アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗が好評です。これまでは秋葉原や池袋など限られた地域で展開していましたが、「カラオケの鉄人コラボミックス」という名称で全国展開を進めています。コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れた店舗です。昨年は福岡と大阪に、そして今年は名古屋と松山に出店しました。
Q:新規のビジネスモデルついてご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスは、小規模な店舗のため収益力は低いですが、IPホルダーとの連携により、魅力的なコンテンツを提供することで集客力向上を目指しています。まだまだ実験段階ではありますが、松山店の成功を皮切りに、他の地域にも展開していきたいと考えています。まとめますと、カラオケ事業は従来型の店舗展開は行わず、鉄人システム廃止の影響もあり、厳しい状況です。一方で、コラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、今後の成長に期待しています。
Q:コラボミックスでは、「歌うだけじゃないカラオケ」を展開されているとのことですが、ご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスでは、コンテンツ販売にも力を入れています。年間約100タイトルものアニメ作品とコラボレーションしており、コンテンツの充実を図っています。また、コラボミックスは女性客の比率が高く、約8割を占めています。今後も女性客に響くようなコンテンツを開発し、店舗展開を進めていきたいと考えています。例えば「進撃の巨人」など話題の作品とコラボレーションした店舗は大きな集客力があります。近年はSNSの普及により、アニメの視聴者層が拡大しています。今後もアニメコンテンツとの連携を強化することで、新たな顧客層を獲得していきたいと考えています。コラボレーション作品のリクエストなどはホームページでリクエストを受け付けており、お客様の声を参考にコンテンツを選定しています。また、地域性も考慮し、それぞれの地域に合ったコンテンツを提供できるよう努めています。
Q:飲食事業について、ご説明いただけますでしょうか。
A:飲食事業は、現在の根来社長が就任する前に買収したラーメン事業を基盤に展開しています。ラーメン店「直久」は老舗のラーメン店で、コロナ禍の影響でフランチャイズ展開が遅れていましたが、今後は積極的に展開していく予定です。コロナ禍が明け、飲食業界は回復基調にあります。今後も新規出店を検討し、事業拡大を目指します。
Q:出店戦略についてご説明ください。
A:単独店舗での展開は難しいと考えており、ショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討しています。賃料は高くなりますが、集客力は抜群なので、出店機会があれば積極的に展開していきたいと考えています。
Q:飲食事業は「直久」以外にも展開されているのですか?
A:飲食事業は「直久」以外にも、フランチャイズで「赤から」を3店舗展開しています。また、「牛カツ京都勝牛」もフランチャイズで1店舗運営しています。さらに、新宿で「福包酒場」という居酒屋をフランチャイズで運営しています。これらの店舗は全てフランチャイズであるため、当社独自のノウハウはありません。当社には独自の店舗業態を開発するノウハウがないため、フランチャイズ展開に注力しています。これらは、カラオケ事業の不振を補うため、カラオケ店舗に飲食店を併設する「プラスK」戦略として進めています。例えば、カラオケ店舗に「赤から」や「福包酒場」を併設するなど、新たな試みを行っています。さらに、M&A戦略の一環として、昨年9月に渋谷の焼き鳥店「鳥竹」を買収しました。今後も出店機会があれば、焼き鳥店の展開も視野に入れています。
Q: M&Aに関して方針等ご説明ください。
A:特に業種は限定しておらず、シナジー効果があれば良いと考えています。コロナ禍で大きな打撃を受けたため、リスク分散のため様々な業態に参入していく方針です。買収対象としては、当社がノウハウを持たない業態でも、自走できる企業を検討しています。また、資本力が限られているため、のれん償却が発生しても当期利益がマイナスにならない規模の企業を対象としています。個人オーナー企業のような、事業承継を検討している企業も対象となります。買収により、キャッシュアウトを抑えつつ連結子会社として利益に貢献できる企業を探しています。そのため、業種は問わず、経営を継続できる企業であればM&Aを検討していく方針です。
Q:美容事業についてはいかがでしょうか?
A:美容事業は、前経営者が買収した中京地区で11店舗展開している美容サロンを継承したことが始まりです。その後、ビアンカグループを買収し、美容事業を拡大しました。買収当時は35店舗でしたが、現在は50店舗まで拡大しています。美容業界はネット上ではネガティブな情報も見られますが、実際にはコロナ禍でも大きな影響を受けていません。私は一度鉄人化を退社した後、約5年間、美容サロンを経営する会社に勤めていました。その会社は90店舗を展開しており、2020年4月に札幌市で緊急事態宣言が発令された際も、1ヶ月間のみ業績が落ち込んだだけで、その後はV字回復しました。現在のビアンカグループでも同様の傾向が見られ、コロナ禍でも堅調に業績を伸ばしています。美容事業、特にマツエクとネイルは出店コストが低いというメリットがあります。一般的な美容サロンは40坪から60坪程度の広さが必要で、設備投資にも1,000万円から1,500万円程度かかります。一方で、マツエクとネイルはマンションの一室でも開業できるほど小規模で済みます。ビアンカグループの平均坪数は15坪で、小スペースで開業できるため、ショッピングセンターなどにも出店しやすいというメリットがあります。そのため、積極的に出店を進めています。ただし、美容業界ではスタイリストの定着率が低いという課題があります。これは業界全体の課題であり、当社も例外ではありません。しかし、鉄人化ホールディングス傘下に入ったことで、美容学校などからの信用度が向上し、新卒採用を強化できています。昨年は約60名、今年は100名以上の新卒採用を予定しています。定着率は低いものの、採用を強化することで事業拡大を図っています。美容事業は現在首都圏と中京地区に限定して展開していますが、まだまだ成長の余地があると考えています。
Q:創業の経緯についてご説明いただけますでしょうか?
A:創業の経緯についてお話します。創業者はたまたま実家の近くでカラオケ店を経営しており、そこに鉄人システムを導入したところ、大きな成功を収めたそうです。当時はカラオケ事業が非常に儲かっており、創業者は鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立したそうです。創業者は元銀行員ということもあり、堅実な経営を重視していました。現在の根来社長は元ゴールドマン・サックス出身で、投資銀行業務に精通しています。創業以来、堅実な経営を続けてきたことが、現在の多角化された事業形態にもつながっていると考えています。
また当社は創業以来、数値分析に基づいた経営を続けてきました。例えば、投資利回りを綿密に計算した上で、事業展開を決定してきました。創業者はカラオケ事業が好きだからという理由ではなく、投資家の視点で事業を評価し、将来性を見据えて起業したと聞いています。
Q:決算状況について、ご説明いただけますでしょうか。
A:前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成しましたが、これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものです。店舗を閉店する場合、事前に通知する必要があり、その間も賃料などのコストが発生します。前期は不採算店舗の整理が完了し、後半からは新たな事業展開に注力することができました。例えば、昨年9月には焼き鳥店を買収し、カラオケ事業ではコラボミックスの出店を開始しました。今期はコロナ禍の影響が薄れ、新たなスタートを切ることができました。今後もコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指します。また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の店をオープンしました。今期は既存事業の強化に加え、新規事業の展開にも積極的に取り組んでいきます。
Q:コラボミックスも含め、今期の業績の見通しについて、ご説明いただけますでしょうか。
A:コラボミックスは小規模店舗のため、出店コストを抑えることができます。ある程度の集客が見込めるのであれば、地方都市への出店も積極的に検討していきたいと考えています。また、全国展開を進めることで、より多くのIPを活用できるようになり、相乗効果が期待できます。出店地域を拡大することによって、今まで使えなかったようなキャラクターコンテンツを活用できるようになるので、プラスの効果が出るのではないかと考えています。
Q:株主還元の方針等ご説明ください。
A:株主還元策については特に具体的な方針は定まっておりませんが、できる限り早く復配したいと考えています。しかしながら、資本金が毀損していること、そして筆頭株主が7割近くの株式を保有していることから、配当よりも投資を優先すべきという意見もあります。そのため、現在は株主優待による還元を主に行っています。私が2020年に役員に就任した当時は株主数は約7,000人でしたが、前期末には約12,000人にまで増加しました。これは、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評であるためだと考えています。そのため、当面は株主優待を継続し、将来的には資本の状況をみながら復配を検討していきたいと考えています。ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券は利用範囲が広く、好評を博しています。特に「直久ラーメンギフトセット」は人気が高いようです。当該ギフトセットの発送にはコストがかかりますが、株主還元策の一環として今後も継続していきたいと考えています。
取材者:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者:弊社は、従来カラオケ事業を主力として展開してまいりましたが、近年の業界状況と新型コロナウイルス感染症の影響を受け、2020年に代表取締役の交代に至りました。経緯を簡潔にご説明いたしますと、創業時からの代表取締役は、現在も筆頭株主として約7割近くの株式を保有しており、長年会社を経営してまいりましたが、カラオケ事業の将来的な変革を目的として、外部から新たな代表取締役を招聘いたしました。しかしながら、新たなカラオケ事業モデルの構築は難航し、コロナ禍に突入する中で数名の代表取締役が交代いたしました。そして2020年12月、現在の根来社長が就任し、同時に私も役員に復帰いたしました。上場時にも役員を務めておりましたが、新事業モデル構築の際に退任し、その後、コロナ禍における業績悪化に伴い、根来社長とともに経営再建に参画いたしました。リスク分散のため、カラオケ事業以外にも事業を展開し、現在ではカラオケ事業が約5割、美容サロン事業が約25%、飲食事業が約25%となっております。また、コロナ禍で不採算店舗を閉鎖・譲渡した結果、事業ドメインが広がりました。
次に、カラオケ事業についてご説明いたします。当社上場以降、カラオケ業界は大きく変化し、カラオケ機器メーカーは合併や淘汰が進み、現在は第一興商とエクシングの2社のみとなりました。かつては、カラオケ機器メーカーが多かった頃には、当社独自のカラオケシステムである「鉄人システム」を提供することで他社との差別化を図っておりました。しかし、本年1月に鉄人システムの提供を終了し、現在では一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営を行っております。鉄人システム終了の理由としましては、カラオケ機器メーカーが2社に集約されたことで、機器の選択肢が減り、システムとしての優位性が低下したことが挙げられます。また、運営店舗数が減ったことで、鉄人システムの開発・保守費用が大きな負担となっていたことも理由の一つです。さらに、コロナ禍の影響もあり、最終的に鉄人システムの開発・保守を断念いたしました。
当社が上場した当時は、1台のカラオケ機器で提供できる楽曲数は多くても5万曲程度でしたが、鉄人システムでは約20万曲を提供することができ、差別化を図ることができていました。しかし、現在では1台の機器で提供できる楽曲数が増加し、20万曲に近い楽曲数を提供できるようになっています。そのため、楽曲数の優位性が失われてしまいました。
取材者:鉄人システム廃止の背景について、理解しました。コスト削減の効果は大きいのでしょうか?
回答者:はい、大きいです。店舗数でいうと、最盛期は約63店舗でしたが、現在は37店舗まで減らしました。また、カラオケ業界の競争環境も変化し、まねきねこやバンバンといった低価格帯のカラオケチェーンが台頭し、首都圏では価格競争が激化しています。さらに、原材料費や人件費、賃料の上昇により、収益を確保することが難しくなっています。鉄人システムの廃止も重なり、カラオケ事業は厳しい状況ですが、明るい兆しもあります。10年以上前から展開している、アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗が好評です。これまでは秋葉原や池袋など限られた地域で展開していましたが、「カラオケの鉄人コラボミックス」という名称で全国展開を進めています。コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れた店舗です。昨年は福岡と大阪に、そして今年は名古屋と松山に出店いたしました。
取材者:新しいビジネスモデルですね。
回答者:はい。小規模な店舗のため収益力は低いですが、IPホルダーとの連携により、魅力的なコンテンツを提供することで集客力向上を目指しています。まだまだ実験段階ではありますが、松山店の成功を皮切りに、他の地域にも展開していきたいと考えています。まとめますと、カラオケ事業は従来型の店舗展開は行わず、鉄人システム廃止の影響もあり、厳しい状況です。一方で、コラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、今後の成長に期待しています。
取材者:「歌うだけじゃないカラオケ」ということですね。
回答者:はい。コンテンツ販売にも力を入れています。年間約100タイトルものアニメ作品とコラボレーションしており、コンテンツの充実を図っています。また、コラボミックスは女性客の比率が高く、約8割を占めています。今後も女性客に響くようなコンテンツを開発し、店舗展開を進めていきたいと考えています。例えば「進撃の巨人」など話題の作品とコラボレーションした店舗は大きな集客力があります。近年はSNSの普及により、アニメの視聴者層が拡大しています。今後もアニメコンテンツとの連携を強化することで、新たな顧客層を獲得していきたいと考えています。
取材者:コラボレーション作品のリクエストなども受け付けているのでしょうか?
回答者:はい。ホームページでリクエストを受け付けており、お客様の声を参考にコンテンツを選定しています。また、地域性も考慮し、それぞれの地域に合ったコンテンツを提供できるよう努めています。
取材者:次に、飲食事業についてお伺いします。
回答者:飲食事業は、現在の根来社長が就任する前に買収したラーメン事業を基盤に展開しています。まず、ラーメン店「直久」は老舗のラーメン店で、コロナ禍の影響でフランチャイズ展開が遅れていましたが、今後は積極的に展開していく予定です。コロナ禍が明け、飲食業界は回復基調にあります。今後も新規出店を検討し、事業拡大を目指します。
取材者:出店戦略について、何か具体的なものはありますか?
回答者:はい。単独店舗での展開は難しいと考えており、ショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討しています。賃料は高くなりますが、集客力は抜群なので、出店機会があれば積極的に展開していきたいと考えています。
飲食事業は「直久」以外にも、フランチャイズで「赤から」を3店舗展開しています。また、「牛カツ京都勝牛」もフランチャイズで1店舗運営しています。さらに、新宿で「福包酒場」という居酒屋をフランチャイズで運営しています。これらの店舗は全てフランチャイズであるため、当社独自のノウハウはありません。当社には独自の店舗業態を開発するノウハウがないため、フランチャイズ展開に注力しています。これらは、カラオケ事業の不振を補うため、カラオケ店舗に飲食店を併設する「プラスK」戦略として進めています。例えば、カラオケ店舗に「赤から」や「福包酒場」を併設するなど、新たな試みを行っています。さらに、M&A戦略の一環として、昨年9月に渋谷の焼き鳥店「鳥竹」を買収しました。今後も出店機会があれば、焼き鳥店の展開も視野に入れています。
取材者:飲食事業の多角的な展開について、よく理解できました。M&Aに関して、何か方針はございますか?
回答者:特に業種は限定しておらず、シナジー効果があれば良いと考えています。コロナ禍で大きな打撃を受けたため、リスク分散のため様々な業態に参入していく方針です。買収対象としては、当社がノウハウを持たない業態でも、自走できる企業を検討しています。また、資本力が限られているため、のれん償却が発生しても当期利益がマイナスにならない規模の企業を対象としています。個人オーナー企業のような、事業承継を検討している企業も対象となります。買収により、キャッシュアウトを抑えつつ連結子会社として利益に貢献できる企業を探しています。そのため、業種は問わず、経営を継続できる企業であればM&Aを検討していく方針です。
取材者:美容事業についてはいかがでしょうか?
回答者:美容事業は、前経営者が買収した中京地区で11店舗展開している美容サロンを継承したことが始まりです。その後、ビアンカグループを買収し、美容事業を拡大しました。買収当時は35店舗でしたが、現在は50店舗まで拡大しています。美容業界はネット上ではネガティブな情報も見られますが、実際にはコロナ禍でも大きな影響を受けていません。私は一度鉄人化を退社した後、約5年間、美容サロンを経営する会社に勤めていました。その会社は90店舗を展開しており、2020年4月に札幌市で緊急事態宣言が発令された際も、1ヶ月間のみ業績が落ち込んだだけで、その後はV字回復しました。現在のビアンカグループでも同様の傾向が見られ、コロナ禍でも堅調に業績を伸ばしています。美容事業、特にマツエクとネイルは出店コストが低いというメリットがあります。一般的な美容サロンは40坪から60坪程度の広さが必要で、設備投資にも1,000万円から1,500万円程度かかります。一方で、マツエクとネイルはマンションの一室でも開業できるほど小規模で済みます。ビアンカグループの平均坪数は15坪で、小スペースで開業できるため、ショッピングセンターなどにも出店しやすいというメリットがあります。そのため、積極的に出店を進めています。ただし、美容業界ではスタイリストの定着率が低いという課題があります。これは業界全体の課題であり、当社も例外ではありません。しかし、鉄人化ホールディングス傘下に入ったことで、美容学校などからの信用度が向上し、新卒採用を強化できています。昨年は約60名、今年は100名以上の新卒採用を予定しています。定着率は低いものの、採用を強化することで事業拡大を図っています。美容事業は現在首都圏と中京地区に限定して展開していますが、まだまだ成長の余地があると考えています。
取材者:貴社の創業の経緯についてお伺いしてもよろしいですか?
回答者:創業の経緯についてお話します。創業者はたまたま実家の近くでカラオケ店を経営しており、そこに鉄人システムを導入したところ、大きな成功を収めたそうです。当時はカラオケ事業が非常に儲かっており、創業者は鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立したそうです。創業者は元銀行員ということもあり、堅実な経営を重視していました。現在の根来社長は元ゴールドマン・サックス出身で、投資銀行業務に精通しています。創業以来、堅実な経営を続けてきたことが、現在の多角化された事業形態にもつながっていると考えています。
当社は創業以来、数値分析に基づいた経営を続けてきました。例えば、投資利回りを綿密に計算した上で、事業展開を決定してきました。創業者はカラオケ事業が好きだからという理由ではなく、投資家の視点で事業を評価し、将来性を見据えて起業したと聞いています。
回答者:続いて、決算状況についてご説明いたします。前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成しましたが、これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものです。店舗を閉店する場合、事前に通知する必要があり、その間も賃料などのコストが発生します。前期は不採算店舗の整理が完了し、後半からは新たな事業展開に注力することができました。例えば、昨年9月には焼き鳥店を買収し、カラオケ事業ではコラボミックスの出店を開始しました。今期はコロナ禍の影響が薄れ、新たなスタートを切ることができました。今後もコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指します。また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の店をオープンしました。今期は既存事業の強化に加え、新規事業の展開にも積極的に取り組んでいきます。
取材者:コラボミックスも含め、今期の業績が楽しみですね。
回答者:コラボミックスは小規模店舗のため、出店コストを抑えることができます。ある程度の集客が見込めるのであれば、地方都市への出店も積極的に検討していきたいと考えています。また、全国展開を進めることで、より多くのIPを活用できるようになり、相乗効果が期待できます。出店地域を拡大することによって、今まで使えなかったようなキャラクターコンテンツを活用できるようになるので、プラスの効果が出るのではないかと考えています。
続いて、株主還元策についてご説明いたします。特に具体的な方針は定まっておりませんが、できる限り早く復配したいと考えています。しかしながら、資本金が毀損していること、そして筆頭株主が7割以上の株式を保有していることから、配当よりも投資を優先すべきという意見もあります。そのため、現在は株主優待による還元を主に行っています。私が2020年に役員に就任した当時は株主数は約7,000人でしたが、前期末には約12,000人にまで増加しました。これは、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評であるためだと考えています。そのため、当面は株主優待を継続し、将来的には資本の状況をみながら復配を検討していきたいと考えています。
取材者:株主数がかなり増えているのですね。
回答者:はい。ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券は利用範囲が広く、好評を博しています。特に「直久ラーメンギフトセット」は人気が高いようです。当該ギフトセットの発送にはコストがかかりますが、株主還元策の一環として今後も継続していきたいと考えています。
CP&X
ビジネスモデルおよび事業内容
鉄人化ホールディングスは、カラオケ事業を主力としながら、飲食事業、美容サロン事業を展開することでリスク分散を図っている。 かつては独自のカラオケシステム「鉄人システム」で差別化を図っていたが、現在は一般的なカラオケ機器と同様のものを設置し、運営している。
創業の経緯と転機となった出来事
創業者は、実家の近くでカラオケ店を経営していたことがきっかけで、鉄人システムの可能性を感じ、会社を設立した。 2020年には、カラオケ事業の将来的な変革を目的として、外部から新たな代表取締役を招聘している。
直近の決算状況
前期は営業利益、経常利益ともに黒字化を達成した。 これはコロナ禍の影響で閉店した店舗の損失が減少したことによるものである。
特徴と強み
アニメやゲームとコラボレーションしたカラオケ店舗「カラオケの鉄人コラボミックス」を全国展開している。 コラボミックスは従来のカラオケ店舗よりも小規模で、コンテンツ販売に力を入れている。
成長戦略
カラオケ事業ではコラボミックスのようなIPを活用した新たな店舗展開を模索しており、飲食事業ではショッピングセンターやフードコートへの出店を積極的に検討している。 また、M&A戦略も積極的に展開し、
事業の多角化を推進している。
株主還元策
株主還元策としては、現在は株主優待による還元を主に行っている。 株主優待は、ラーメンやカラオケ、美容サロンで使える金券などの株主優待が好評である。
今期の取り組みやトピックス
今期はコラボミックスの出店や美容事業への投資を強化することで、更なる成長を目指す。 また、昨年12月には新宿で「かにざんまい」という蟹食べ放題の飲食店をオープンした。
常務取締役 管理本部長 浦野敏男様
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