top of page

(株)YE DIGITAL

東証STD 2354

決算:2月末日

20251023

CP&X


【2026年2月期第2四半期】

決算概要

2026年2月期第2四半期(上期)の業績は、売上高9,665百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益643百万円(同19.3%減)となり、前年同期比では減収減益で着地した。この結果は、昨年度下期に発生した品質問題の影響で、今期上期のボリューム減少を織り込み、売上高9,000百万円で減収減益としていた当初計画を、売上高で665百万円、経常利益で57百万円上回る進捗となった。


セグメント別または事業別の増減要因

特にビジネスソリューション事業が計画を上振れて着地したことが、全体の好調要因である。安川電機グループ向けの大規模プロジェクト「YDX」が開発終盤のテスト段階に入りボリューム減少を見込んでいたが、周辺開発の需要が想定より多く発生した結果、上期計画を上振れて着地し、純増となった。IoTソリューション事業の売上は、ほぼ計画通りに進行している。IoTソリューション事業の物流分野では、市場の好調と多数の引き合いから受注増を見込んでいたものの、お客様の決定時期の遅延等により第1四半期の受注が一部後ろ倒しとなったことで、売上に対しても収益認識基準に基づくとなるので一部売上計上タイミングが遅延している。


主要KPIの進捗と変化

同社が重視する指標として挙げているROEについて、上期は営業利益ベースで当初計画を達成して着地したため、ROEも計画通りに進捗しているとの認識である。


季節性・一過性要因の有無と影響

ネガティブな一過性要因として、セカンドGIGA需要として、当初下期に大きく伸びると見込んでいた文教分野のネットワーク機器関連の需要が、先に各教育委員会の予算がタブレットやパソコンなどの端末整備へ割かれた影響で、下期後半から来期にかけてずれ込む見込みとなった。一方、ポジティブな環境変化として、物流分野ではトランプ政権の関税関連の影響による様子見の状況から、新倉庫建設のプレスリリース増加など、凍結していた動きが再開する兆しが見られる。さらに、新内閣発足に伴い、物流関係やサプライチェーンマネジメントに詳しい人物が大臣に就任したことが、物流自動化の推進を加速させる追い風となると認識されている。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しとして、売上高20,000百万円(前年度比0.3%増)、営業利益1,600百万円(同13.6%増)、経常利益1,700百万円(同11.1%増)、純利益1,150百万円(同10.7%増)という、昨年度の目標に再チャレンジするべく掲げた増収増益の数字を据え置いている。第2四半期終了時点で売上高9,665百万円、営業利益643百万円と計画を上回って推移しており、下期に売上10,335百万円、利益1,000百万円を計上することで通期計画の達成が可能であり、計画通りに進捗できる見通しである。


トピックス

2025年6月に、新サービス「AQUA DataFusion」をリリースした。このサービスはAIを活用し、インシデントの整理、ナレッジ作成、対応方法の探索を可能とする。さらに2025年12月には、物流分野で同社が提供する倉庫自動化システム「MMLogiStation」の運用保守サービスに「AQUA DataFusion」を適用した「AQUA運用監視サービス」をリリース予定であり、これによりインシデント起票の自動化に加え、ナレッジ化・ナレッジ検索に生成AIを活用することで、問題の早期解決などスピード感のある対応が可能となる。昨年度の品質問題を受け、今年度は社長直下に品質保証本部を設置し、開発・プロジェクトの途中段階からより深く品質保証に関わる体制を強化している。

・資料

makuake_logo1.png

​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

    決算概要

    2026年2月期第1四半期決算は、売上高が49億2,000万円で前年同期比2.8%減、営業利益が3億1,500万円で同3.2%減となった。一方で、経常利益は3億5,300万円で同9.9%増、四半期純利益は2億1,800万円で同14.1%増となり、全体的には前年同期の水準を維持している状況である。この業績変動の主な要因は、ビジネスソリューションの増加とIoTソリューションの減少である。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    前年同期比で、ビジネスソリューションは7期連続で増加したが、IoTソリューションは減少となった。IoTソリューションの減少は、前年度に発生した物流DXにおける品質問題に起因する下期の受注減少と、それに伴う期初の受注残の減少が要因である。

     

    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIは、2026年2月期より開始された新中期経営計画において、従来の売上と営業利益に加え、ROEを定めて結果管理とならないようにすることが方針である。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    2025年2月期の上期においては、第1四半期に渋谷オフィス開設費用が一時費用として発生した。また、2025年2月期第3四半期には物流DXにおいて品質問題が発生し、物流DXの成長が鈍化し業績に影響を与えた。この品質問題の影響は、2026年2月期上半期においても受注残の減少という形で影響している。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年2月期第1四半期の進捗は、ほぼ計画通りに推移している。固定費の約7割を占める労務関係費(人件費)については、昨年および今期の賃上げを実施しており、人的投資分を収益で賄うため、価格転嫁を含む付加価値向上を進める方針である。

     

    トピックス

    2026年2月期より新中期経営計画に移行しており、今期が初年度である。この中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%を目標としている。特にIoTソリューションでは物流DXを大きな柱とし、豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業との連携によりボリューム確保を目指す。また、当期は自社株買いを実施したほか、北九州市立大学との連携を通じて人材確保を重点施策としている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略のポイントは、2026年2月期より開始した新中期経営計画における目標達成に向けた施策に集約されます。特に注力するのは、IoTソリューション事業における物流DXの拡大です。現在も好調な物流DX市場において、豊田自動織機様やロジザード様といったパートナー企業との連携を強化することで、現状のIoTソリューション事業の売上高50億円から倍増の100億円を目指していくための、事業の大きな柱としていく方針です。また、ビジネスソリューション事業においては、主要顧客である安川電機様向けの大規模プロジェクトが一巡する中で、大規模プロジェクトを遂行して培ってきたノウハウを他社向けに拡販することで、現状の売上高150億円を維持してまいります。人材面では、IT業界における採用競争が激化する中、インターンシップを含め、事前に学生への会社理解を促進する取り組みを強化しております。さらに、北九州市立大学との連携を通じて、産学共同での実践的教育によるビジネス課題解決能力の育成とデジタル人材の創出を目指しており、これを重要な人材確保戦略の一つと位置付けております。

     

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:当社では、上流工程の増加を見据え、人員構成の変化に対応するため、採用人数を計画的に絞る方針となりました。従来の単独30名、グループ全体で40名弱の採用から、今年度は関係会社を含めて25名程度に抑制しております。これはマイナス要因ではなく、現状の当社の事業戦略、人員構成等を勘案し、20名程度の採用人数で十分であるという判断に基づいています。また、IT業界における採用競争の激化を背景に、インターンシップなどを通じて学生に当社への理解を深めてもらうことに注力しております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。

    A:2026年2月期の第1四半期決算においては、売上高は前年同期比2.8%減の49億2,000万円、営業利益は同3.2%減の3億1,500万円でしたが、経常利益は同9.9%増の3億5,300万円、四半期純利益は同14.1%増の2億1,800万円となりました。ビジネスソリューションは増加した一方で、昨年度の物流DXにおける品質問題の影響により、IoTソリューションは減少しておりますが、これは計画通りの進捗であり、通期目標に向けて概ね順調に推移していると認識しております。固定費の約7割を占める労務関係費(人件費)については、昨年および今期の賃上げを実施しており、これらの人的投資を収益で賄うため、価格転嫁を含む付加価値向上を進めてまいります。

     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:昨年度に物流DXにおいて品質問題が発生したことで、昨年の下期の受注が減少し、期初受注残の減少につながりました。しかしながら、物流DX市場は現在も好調を維持しており、各社が自動化商品を展開している状況です。当社は、豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業との連携を通じて、この市場でのボリューム確保を目指しております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現状、具体的なM&Aや業務提携のお話はできませんが、当社にとってプラスになるものであれば、M&A、業務提携、資本提携を問わず積極的に検討を進めていく方針です。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2026年2月期から新中期経営計画が開始されており、今期が初年度となります。この中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%の達成を目標としております。売上高250億円の内訳としては、ビジネスソリューションが150億円、IoTソリューションが100億円を目標としております。特にIoTソリューションは最終年度に100億円を目指す中で、物流DXがその主要な柱となります。KPIとしては、従来の売上と営業利益に加え、ROEを新たに定めて、結果管理にならないように進めていく方針です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元の方針に大きな変更はございません。従来通り、安定配当を基本とし、利益が出た場合には、その3割を目途に還元を実施しております。新中期経営計画ではROE25%という目標を掲げており、キャッシュの状態や投資状況を考慮しながら、配当のみならず、自社株買いなども含めて株主還元を積極的に進めていく方針です。

  • 取材者:まず初めに、2026年2月期の第1四半期決算が先週発表されましたので、その状況についてお伺いしたいのですが、売上高は49億2,000万円で前年同期比2.8%減、営業利益は3億1,500万円で前年同期比3.2%減、経常利益は3億5,300万円で前年同期比9.9%増、四半期純利益は2億1,800万円で前年同期比14.1%の増加となりました。全体的に見て、前期の水準を維持しているように見受けられましたが、増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:前年同期と比較しますと、当社のビジネスソリューションは前年同期比で増加し、IoTソリューションは減少となりました。これは、昨年度に物流DXにおいて品質問題が発生したことで、昨年の下期の受注が減少し、期初の受注残が減っていたため、IoTソリューションの減少は計画とおりの状況です。

    取材者:そうしますと、通期の目標に向けた進捗率という面では、想定通りの進捗をしているという見方でよろしいですか。

    回答者:はい、ほぼ計画通りの遂行で進んでおります。

    取材者:そうしましたら、前期と比べて人の採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:採用につきましては、昨年までは単独で30名、グループ全体で40名弱の採用を行っておりましたが、今年度は人数を絞り、現在、関係会社を含めて25名程度となっています。

    取材者:何か採用を絞られた要因はございますか。

    回答者:当社の現状の事業戦略の遂行、人員構成等から、20名程度の採用人数で良いのではないかという判断に至りました。

    取材者:そうすると、採用人数が減ったというマイナス要因ではなく、計画的に採用を進めているという見方でよろしいですか。

    回答者:はい、その通りです。

    取材者:採用に関して、何か方針や戦略的な施策がございましたら教えていただけますか。

    回答者:従来であれば、当社が北九州市に本社を置く企業という点で選んでいただけたこともありましたが、最近のIT業界の状況を鑑みますと、関東を含め他社さんが採用に非常に力を入れています。当社としては、インターンシップも含め、事前に学生さんに会社のことをよく理解してもらうことにしっかりと対応していきたいと考えております。

    取材者:その他、主要なKPIがございましたら教えていただけますか。

    回答者:2026年2月期から当社は新中期経営計画に入っており、今期が初年度となります。KPIとしては従来通り売上と営業利益ですが、今中計では、ROEをしっかりと定めて結果管理にならないようにしていきたいと考えております。

    取材者:中期経営計画に関して、何か主要な施策や項目がございましたら教えていただけますか。

    回答者:中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%という目標を掲げております。売上高250億円の内訳としましては、ビジネスソリューションが150億円、IoTソリューションが100億円です。ビジネスソリューションの150億円は、ほぼ今期のスライド、つまり現状維持という形になります。これは、当社の主要顧客である安川電機様向けの大規模プロジェクトが一巡し、テスト工程から次の工程に進むことで減少するため、その部分を大規模プロジェクトを遂行して培ってきたノウハウを活かして他社向けに拡販することで維持していく方針です。先ずは、安川電機様向けのビジネスDXをしっかりと仕上げるということが、今期しっかりと取り組むべきことだと考えております。

    IoTソリューションは最終年度に100億円を目指しており、その大きな柱は物流DXとなります。物流DXについては現在も市場が好調であり、各社が自動化商品を展開しているため、そこをしっかりと捉え、当社が昨年から業務提携を進めてきた豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業と連携し、しっかりとボリュームを確保していきたいと考えております。

    取材者:そうすると、かなりIoTソリューションの売上比率が高くなっていくイメージですか。

    回答者:はい、その通りです。

    取材者:先ほど少しお話にも出たかと思うのですが、M&Aや業務提携に関して、何か実施のご予定や検討状況がございましたら、お答えできる範囲でお話いただけますか。

    回答者:現状では、具体的なお話はできませんが、通常通り探索をしっかりと行い、M&A、業務提携、資本提携において、当社にとってプラスになるものがあれば、積極的に進めていきたいと考えております。

    取材者:2025年2月期の決算に関してですが、売上高は199億4,400万円で前期比2.3%増加、営業利益は14億800万円で前期比5.4%の減、経常利益は15億2,900万円で前期比1.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益は10億3,800万円で前期比4.9%減という結果でした。前期は、季節性や一過性の要因が業績に影響したものなどはございますか。

    回答者:2025年2月期の上期については、渋谷オフィスを開設したため、その一時費用が第1四半期に発生しました。上期にかけて業績は好調に推移しましたが、第3四半期においては、物流DXにおいて品質問題が発生したことで、物流DXの成長が鈍化し、この期にも影響が出ております。

    取材者:なるほど。そういった物流の影響というのは、2026年2月期上半期に続いていくようなイメージなのでしょうか。

    回答者:受注残の減少というところの影響はあります。その他トピックとしましては、当社の固定費のうち、製造管理費や販売費を含めた約7割が労務関係費、つまり人件費となっております。昨年も賃上げをしっかり実施させていただきましたし、今期の春も賃上げを行いました。その部分が当社で言うところの人的投資となりますが、その分をしっかりと収益で賄えるように、価格転嫁も含めて付加価値向上を進めていきたいと考えております。

    取材者:そうしましたら、何か株主還元の方針に変更などございましたら教えていただけますか。

    回答者:大きく変更はございません。従来から株主還元については基本的に安定配当という形で実施し、利益が出た場合には、その3割を目途に還元しておりました。今中計では、ROE25%という目標がありますので、当社のキャッシュの状態や現在の投資状況を見ながら、配当だけにこだわらず、今回も自社株買いを実施しておりますが、そういった形でしっかりと株主還元を進めていきたいと考えております。

    取材者:そしたら最後に、足元の状況につきまして、ニュースリリースやトピックスがございましたら教えていただけますか。

    回答者:特に今回の決算説明資料の方に記載したトピックとしましては、自社株買いと、もう一つが北九州市立大学との連携というところで記載されております。この連携は、産学共同の実践的教育でビジネス課題解決能力の育成とデジタル人財の創出を目的としております。そういったところで、先ほどの人材確保をしっかりと一つ目に掲げて今取り組んでいるところです。

  • 取締役管理本部長 本松隆之様

makuake_logo1.png

​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    ビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開。ビジネスソリューションでは、ERPを中心としたソリューションを提供。IoTソリューションでは、物流市場、畜産農業、公共分野向けに製品を展開。サービスビジネスでは、製品ソリューションに加え、運用保守を含めたサービスを提供。

    創業の経緯と転機となった出来事

    1978年に安川電機の情報処理部門が分離独立し、設立。安川電機の業務システム構築や、モーター、ロボットなどの組み込み制御システム開発を行う。その後、培ってきた技術、ノウハウを活かし、安川電機以外の顧客を獲得することで業容を拡大。2003年には東証2部、現在は東証スタンダード市場に上場。

    直近の決算状況

    第3四半期は、特定プロジェクトにおいて品質面で顧客の仕様に届かず、リカバリーに多くのリソースを割いた結果、他のプロジェクトの進捗に遅れが生じ、売上計上が後ろ倒しになる。ただし、通期業績目標達成に影響は少ない見込み。ビジネスソリューションは、堅調で第3四半期は予想以上の売上。第4四半期も同様の状況が続く見込み。

     

    成長戦略

    IoTソリューション事業に注力し、現中期経営計画同様に伸ばしていく方針。

     

    株主還元策

    従来から安定配当をベースに、なるべく減配しないように継続。ここ数年は利益を確保できているため、利益還元を株主に実施。おおよそ30%を目安に利益還元を行う予定。

     

    今期の取り組みやトピックス

    豊田自動織機と2024年5月に業務提携を行い、物流事業を共同で拡大。WMS、WCSなどと連携するWESパッケージで自動化、省人化を進めることで、相互にメリットのある提携を進める。人材育成にも注力しており、過去3年間は約30人/年を採用。今年度は関係会社を含めると40人弱を採用。福利厚生を充実させ、働きがいのある会社、働きやすい会社を目指し、離職率は2%と低水準を維持。従業員エンゲージメントサーベイなどを活用し、従業員の満足度、ロイヤリティを確認しながら対応することで、従業員のやる気、働きがいを確保していく。

  • Q:貴社のビジネスモデル、事業内容、および他社と比較したときの強みを教えてください。

    A:当社は1978年設立の情報サービス企業です。安川電機の業務システム構築や組み込み制御システム開発で培った技術を活かし、現在はビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開しています。強みは、長年の実績とノウハウに基づいた、製造業向けのERPや物流DXソリューションなどの提供です。

     

    Q: 新規顧客に対する活動や取り組み、施策について教えてください。

    A:元々安川電機との取引が多いですが、現在はIoTソリューション分野で新規顧客開拓を進めています。物流DXソリューションでは、既存顧客との取引をベースに新規開拓を進めています。また、ビジネスソリューション分野でも、安川電機以外のお客様への展開を進めています。

     

    Q:IoTソリューション事業の売上高が前年比でマイナスになっている要因を教えてください。

    A:第3四半期において、特定プロジェクトでの品質対応で、リカバリーに多くのリソースを割いたため、他のプロジェクトの進捗に遅れが生じました。その結果、売上の一部が後ろ倒しになり、第3四半期の業績は減収となりました。

     

    Q:第3四半期の業績の遅れは、通期業績の目標達成に影響しますか?

    A:リソースの制約から、今期中にリカバリーが完了するかどうかは不透明です。一部のお客様には納期の延期を申し出ており、来期にずれ込む可能性もございます。また、受注についても影響が出ており、第4四半期および来期の第1四半期も影響が残ると予想されます。

     

    Q:人材の採用や社員教育に関する方針や進捗状況を教えてください。

    A:人材を重視し、採用活動と社員教育に力を入れています。過去3年間は毎年約30名を採用してきましたが、今年度は関係会社を含め40名弱を採用しました。福利厚生を充実させ、働きがいのある会社を目指した結果、離職率は2%と低水準です。

     

    Q:株主還元策について教えてください。

    A:従来から安定配当を基本としており、なるべく減配しないように努めています。ここ数年は利益も確保できるようになったため、配当性向30%を目安に株主還元を行っています。

     

    Q:来期以降の新しい中期経営計画における成長戦略について教えてください。

    A:現在、新しい中期経営計画を策定中です。2024年9月に組織体制を刷新し、IoTソリューション事業を強化するための準備期間としてきました。来期以降も同様に、IoTソリューション事業に注力し、この分野を伸ばしていく予定です。

     

    Q:IoTソリューション事業において、新たにどのような取り組みや施策を行っていますか?

    A:倉庫システム開発において、WMSやWCSと連携した倉庫自動化システムWESの提案を行っています。また、2024年5月には豊田自動織機と業務提携し、物流事業の拡大を目指しています。その他にも、パートナー企業と連携し、事業を拡大していく予定です。

  • 取材者: 早速ですが、貴社のビジネスモデル、事業内容につきまして、現在IoTソリューション、ビジネスソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開されているかと存じますが、改めて他社と比較したときの強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。

    回答者: それでは、沿革からご説明させていただきます。当社は1978年に安川電機の情報処理部門が分離独立した会社で、2025年2月で47周年を迎えます。 業種としましては情報サービス業に位置づけられております。 設立当初は安川電機の業務システムの構築や、モーター、ロボットなどの組み込み制御システムの開発を行ってまいりました。 その中で培ってきた技術やノウハウを活かし、安川電機様以外のお客様を獲得することで業容を拡大し、2003年に当時の東証2部に上場、現在はスタンダード市場に上場しております。 また、強みとしましては、長年培ってきた製造業での業務ノウハウ、FA、組み込みソフトウェアの技術力、ノウハウを活かしたシステム開発力、ソリューション提供力であり、特に製造業のお客様に強みを発揮しております。

    取材者: 貴社の事業は、先ほどおっしゃられたように、ビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つを展開されているとのことですが、ビジネスソリューションでは、具体的にどのようなサービスを提供されているのですか?

    回答者: ビジネスソリューションにつきましては、ERPを中心としたソリューションを提供しております。 その中で、お客様である安川電機様で取り組まれているERP刷新のプロジェクトでは、ERPでのビジネスDX分野の開発を行っております。 そこで培った経験を、今後は他の企業様にも展開できるような取り組みを進めているところです。

    取材者: IoTソリューションについてはいかがでしょうか?

    回答者: IoTソリューションにつきましては、物流市場、畜産農業、公共分野において展開しております。 公共分野はスマートシティと言われる分野でスマートバス停を製品リリースし、自治体の駅前整備分野へ展開しております。 また、当社は40年近く物流業界のシステム開発に携わってきたということもあり、今、物流を中心に事業を展開しているところです。 具体的には、倉庫自動化システムであるWESを開発し、販売、導入、サポートまでを一貫して提供しています。

    取材者: サービスビジネスについてはいかがでしょうか?

    回答者: サービスビジネスにつきましては、当社が製品・ソリューションを開発した後、運用保守を含めたサービスを提供するというものです。 ビジネスソリューション、IoTソリューションの両セグメントで開発した製品等の運用保守を行っていくことになります。

    取材者: なるほど。売上高の中には、IoTソリューションとビジネスソリューションの2つのセグメントの売上高が計上されているとのことですが、それぞれの中にサービスビジネスが含まれているということですね。

    回答者: その通りです。

    取材者: そうしますと、ビジネスソリューションやIoTソリューションでソリューションを提供した先に、サービスビジネスとして運用保守で関わっていくようなイメージでしょうか。

    回答者: その通りです。

    取材者: 貴社は安川電機から分離独立したというところもあり、製造業の仕事の進め方などが強みになっていると伺いましたが、ビジネスソリューションなども顧客はやはり製造業が多いのでしょうか?

    回答者: はい、その通りです。製造業のお客様が多いです。 中小企業様から大企業様まで、幅広くお付き合いさせていただいております。

    取材者: その割合はどれくらいですか?

    回答者: 開示はしておりません。

    取材者: わかりました。貴社は様々なビジネスやソリューションを用いて、お客様の効率化や問題解決を支援されているとのことですが、新規顧客に対する活動や取り組み、施策について教えていただけますか?

    回答者:新規顧客獲得についてご説明させていただきます。 ビジネスソリューションについては、やはり一番大きなお客様である、当社の元の親会社であります安川電機様の割合が多く、ビジネスソリューション、IoTソリューションをトータルした全体の中でも4割以上が安川電機、安川電機グループとの取引になります。 それ以外の新規の開拓となると、どちらかというと今はIoTソリューションで新規の顧客開拓を進めております。 その中のIoTの大きな位置づけになります物流DXでは、マテハンメーカー様などに開拓を進めております。従来からのお取引のあるところをベースに、新しくソリューションを広げていこうと取り組んでおります。 またその他のIoT事業につきましても、なかなか大きな新規顧客の開拓は今のところできてはおりませんが、現在開拓を進めているところであります。 また、ビジネスソリューションにつきましても、安川電機様との取引以外のお客様に、培ってきたノウハウなどを活かして、ビジネスDXやプラットフォームなどを展開していく方針で、新規顧客の開拓を進めているところです。

    取材者: 安川電機様からの紹介などはありますか?

    回答者: 基本的に安川電機様はメーカー、いわゆる製造業でいらっしゃいますので、直接というのはないのですが、当社と安川電機様の間には、合弁でアイキューブデジタルという会社がございます。 こちらの方での取り組みはございます。

    取材者: 基本的に新規顧客の開拓の部分というのは、この中でIoTソリューションの部分が大きくなるという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: そうですね。ビジネスソリューションでも広げていこうと注力しているところですが、今はまだIoTソリューションが大きいかもしれません。

    取材者: その中で、IoTソリューションは今期ここまでで売上高が前年比でマイナスになっており、その要因として品質・性能への対応の中の遅延という部分を説明資料であげられていますが、これは一体どのようなことですか?

    回答者: 今おっしゃられた物流のところの減少についてお話いたします。 第2四半期、上期までは非常に好調に推移し、プラスで進んでおりました。 第3四半期に入ったところで、特定のプロジェクトで品質においてお客様の了解がなかなか得られないということがあり、要件定義のところでもう少ししっかりやっておくべきだったという反省もありつつ、そこをやり直しているところでございます。 大変大きなトラブルでありましたので、今回はそのリカバリーに多くのリソースを割いてしまったことで、他のプロジェクトの進捗も遅れてしまったということがございます。 また、受注に関しましても、品質対応に追われてしまい、通常であれば受注するはずだった案件が、納期対応が難しいという理由で、受注を控えていた状況でございます。

    取材者: 売上高が後ろに回ってしまったようなイメージでしょうか。

    回答者: そうですね。

    取材者: そういったプロジェクトの進捗の遅れなどがあって、第3四半期の業績を単体で見ると進捗状況としては遅れているけれども、通期業績の全体で見ると問題はない、目標達成できるといったような認識で考えてもよろしいでしょうか?

    回答者: それが難しいところでございます。すでに受注しているプロジェクトの遅れは、挽回を図っていますが、リソースは限られておりますので、今期中にリカバリーできるかどうか、他プロジェクトについて実際にお客様に少し延期を申し出ているものもございます。 ただ、この下期ではなく、来年の上期になるものもあろうかと思います。 IoTソリューションの物流DXは、今年度第4四半期、および来年度第1四半期は、少し影響があるかなとは思っております。 ただ、全体として言うと、ビジネスソリューションは堅調に動いており、第3四半期も予想より多く売上高が上がりましたので、第4四半期も同じような状況が続くかなと期待しております。 結果、物流DXは第3四半期で大きくマイナスしているのですが、第4四半期にそれを挽回するとともに、ビジネスソリューションの方の伸びを期待したところで、どのようにして当初の目標に到達するかを検討しているところです。

    取材者: ビジネスソリューションでしっかりと遅れを回収できているようなイメージでしょうか。

    回答者: そう思っております。

    取材者: 貴社の中期経営計画の中でも、人材の育成という部分が非常に重要な施策として挙げられていたかと思いますが、採用や社員教育に関する方針や進捗状況などございましたら教えていただけますか?

    回答者: 今おっしゃられた通り、人材の育成は非常に重要視しており、人が財産ですので、そこをしっかり取り組んでおります。 採用では、過去3年間は毎年30人程度で推移しておりましたが、今年度の入社は関係会社も含めると40人弱ほど採用しております。 また、福利厚生も充実させ、働きがいのある会社、働きやすい会社を目指し、離職率は2%程度です。 人材をしっかりと確保して、これからのボリューム増加というところに対応していきたいと思っております。 教育という観点では、階層別研修やeラーニングなどを導入し、社員一人ひとりのスキルアップを支援しています。

    取材者: 2%とはかなり低い水準ですね。

    回答者: そう思います。 エンゲージメントサーベイなども活用し、従業員の満足度やロイヤリティを確認しながら、都度対応していくことで、従業員のやる気、働きがいを確保していこうと思っています。

    取材者: 株主還元策につきましては、方針や戦略がありましたら教えていただけますか?

    回答者: 株主還元につきましては、従来から安定配当をベースに実施しております。 なるべく減配しないように進めてまいりましたが、ここ数年は利益を確保できるようになりましたので、利益還元について株主の皆様への還元として、おおよそ30%を目安として利益還元を行ってまいります。 しかしながら、現在の株価を含めて、まだ検討の余地がございます。 配当だけでなく、自己株式の取得なども検討し、株主の皆様への還元を強化していきたいと考えております。

    取材者: 貴社の今年度は中期経営計画の最終年度であり、売上高、利益ともに達成される見込みかと思いますが、来期以降、また新しい中期経営計画が出るに際しまして、今後何か成長戦略についてお答えできる範囲で教えていただけますか?

    回答者: 今、ちょうど策定をしている最中ですが、2024年9月の人事異動で組織体制を新しくしスタートをしております。 来期から始まる新中期経営計画においても、現中期経営計画同様にIoTソリューション事業に注力して伸ばしていこうと思っております。

    取材者: IoTソリューション事業について、今期新たに何か取り組まれたことや施策などはございますか?

    回答者: 当社が開発している倉庫自動化システムWESとその上位にあるWMSや自動化設備を制御するWCSを連携した倉庫自動化の提案があります。 2024年5月に豊田自動織機様と業務提携を行い、物流事業を一緒に広げていこうと進めているところです。 その他にも業務提携を進めているところはあります。 当社だけではなく、パートナー様と協力して開発を進めていきたいと思っております。

    取材者: パートナー様にとって、貴社と提携することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

    回答者: 例えば、WMSメーカー様であれば、従来であれば自社で作っていたようなところを、当社のWESパッケージを使うことで、開発が効率化されます。 また、当社のWESでデータ取得ができるため、より自動化、省人化を進めることが可能になります。 そういった面でお互いがメリットのある提携になろうかと思います。

    取材者: 物流業界では人材不足が叫ばれる中、こういった需要は今後も高まっていくと見てよろしいでしょうか?

    回答者: そうですね。マーケティングや営業担当者から聞く情報によりますと、まだまだ物流の自動化というのは進んでいくということですので、マーケットは大きく広がっていると考えています。

  • 取締役 執行役員 本松隆之様 

(株)YE DIGITAL

東証STD 2354

決算:2月末日

CP&X


【2026年2月期第2四半期】

決算概要

2026年2月期第2四半期(上期)の業績は、売上高9,665百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益643百万円(同19.3%減)となり、前年同期比では減収減益で着地した。この結果は、昨年度下期に発生した品質問題の影響で、今期上期のボリューム減少を織り込み、売上高9,000百万円で減収減益としていた当初計画を、売上高で665百万円、経常利益で57百万円上回る進捗となった。


セグメント別または事業別の増減要因

特にビジネスソリューション事業が計画を上振れて着地したことが、全体の好調要因である。安川電機グループ向けの大規模プロジェクト「YDX」が開発終盤のテスト段階に入りボリューム減少を見込んでいたが、周辺開発の需要が想定より多く発生した結果、上期計画を上振れて着地し、純増となった。IoTソリューション事業の売上は、ほぼ計画通りに進行している。IoTソリューション事業の物流分野では、市場の好調と多数の引き合いから受注増を見込んでいたものの、お客様の決定時期の遅延等により第1四半期の受注が一部後ろ倒しとなったことで、売上に対しても収益認識基準に基づくとなるので一部売上計上タイミングが遅延している。


主要KPIの進捗と変化

同社が重視する指標として挙げているROEについて、上期は営業利益ベースで当初計画を達成して着地したため、ROEも計画通りに進捗しているとの認識である。


季節性・一過性要因の有無と影響

ネガティブな一過性要因として、セカンドGIGA需要として、当初下期に大きく伸びると見込んでいた文教分野のネットワーク機器関連の需要が、先に各教育委員会の予算がタブレットやパソコンなどの端末整備へ割かれた影響で、下期後半から来期にかけてずれ込む見込みとなった。一方、ポジティブな環境変化として、物流分野ではトランプ政権の関税関連の影響による様子見の状況から、新倉庫建設のプレスリリース増加など、凍結していた動きが再開する兆しが見られる。さらに、新内閣発足に伴い、物流関係やサプライチェーンマネジメントに詳しい人物が大臣に就任したことが、物流自動化の推進を加速させる追い風となると認識されている。


通期見通しと進捗率・達成可能性

通期業績見通しとして、売上高20,000百万円(前年度比0.3%増)、営業利益1,600百万円(同13.6%増)、経常利益1,700百万円(同11.1%増)、純利益1,150百万円(同10.7%増)という、昨年度の目標に再チャレンジするべく掲げた増収増益の数字を据え置いている。第2四半期終了時点で売上高9,665百万円、営業利益643百万円と計画を上回って推移しており、下期に売上10,335百万円、利益1,000百万円を計上することで通期計画の達成が可能であり、計画通りに進捗できる見通しである。


トピックス

2025年6月に、新サービス「AQUA DataFusion」をリリースした。このサービスはAIを活用し、インシデントの整理、ナレッジ作成、対応方法の探索を可能とする。さらに2025年12月には、物流分野で同社が提供する倉庫自動化システム「MMLogiStation」の運用保守サービスに「AQUA DataFusion」を適用した「AQUA運用監視サービス」をリリース予定であり、これによりインシデント起票の自動化に加え、ナレッジ化・ナレッジ検索に生成AIを活用することで、問題の早期解決などスピード感のある対応が可能となる。昨年度の品質問題を受け、今年度は社長直下に品質保証本部を設置し、開発・プロジェクトの途中段階からより深く品質保証に関わる体制を強化している。

・資料

Add a Title

取材アーカイブ

  • CP&X

    決算概要

    2026年2月期第1四半期決算は、売上高が49億2,000万円で前年同期比2.8%減、営業利益が3億1,500万円で同3.2%減となった。一方で、経常利益は3億5,300万円で同9.9%増、四半期純利益は2億1,800万円で同14.1%増となり、全体的には前年同期の水準を維持している状況である。この業績変動の主な要因は、ビジネスソリューションの増加とIoTソリューションの減少である。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    前年同期比で、ビジネスソリューションは7期連続で増加したが、IoTソリューションは減少となった。IoTソリューションの減少は、前年度に発生した物流DXにおける品質問題に起因する下期の受注減少と、それに伴う期初の受注残の減少が要因である。

     

    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIは、2026年2月期より開始された新中期経営計画において、従来の売上と営業利益に加え、ROEを定めて結果管理とならないようにすることが方針である。

     

    季節性・一過性要因の有無と影響

    2025年2月期の上期においては、第1四半期に渋谷オフィス開設費用が一時費用として発生した。また、2025年2月期第3四半期には物流DXにおいて品質問題が発生し、物流DXの成長が鈍化し業績に影響を与えた。この品質問題の影響は、2026年2月期上半期においても受注残の減少という形で影響している。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年2月期第1四半期の進捗は、ほぼ計画通りに推移している。固定費の約7割を占める労務関係費(人件費)については、昨年および今期の賃上げを実施しており、人的投資分を収益で賄うため、価格転嫁を含む付加価値向上を進める方針である。

     

    トピックス

    2026年2月期より新中期経営計画に移行しており、今期が初年度である。この中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%を目標としている。特にIoTソリューションでは物流DXを大きな柱とし、豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業との連携によりボリューム確保を目指す。また、当期は自社株買いを実施したほか、北九州市立大学との連携を通じて人材確保を重点施策としている。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社の成長戦略のポイントは、2026年2月期より開始した新中期経営計画における目標達成に向けた施策に集約されます。特に注力するのは、IoTソリューション事業における物流DXの拡大です。現在も好調な物流DX市場において、豊田自動織機様やロジザード様といったパートナー企業との連携を強化することで、現状のIoTソリューション事業の売上高50億円から倍増の100億円を目指していくための、事業の大きな柱としていく方針です。また、ビジネスソリューション事業においては、主要顧客である安川電機様向けの大規模プロジェクトが一巡する中で、大規模プロジェクトを遂行して培ってきたノウハウを他社向けに拡販することで、現状の売上高150億円を維持してまいります。人材面では、IT業界における採用競争が激化する中、インターンシップを含め、事前に学生への会社理解を促進する取り組みを強化しております。さらに、北九州市立大学との連携を通じて、産学共同での実践的教育によるビジネス課題解決能力の育成とデジタル人材の創出を目指しており、これを重要な人材確保戦略の一つと位置付けております。

     

    Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。

    A:当社では、上流工程の増加を見据え、人員構成の変化に対応するため、採用人数を計画的に絞る方針となりました。従来の単独30名、グループ全体で40名弱の採用から、今年度は関係会社を含めて25名程度に抑制しております。これはマイナス要因ではなく、現状の当社の事業戦略、人員構成等を勘案し、20名程度の採用人数で十分であるという判断に基づいています。また、IT業界における採用競争の激化を背景に、インターンシップなどを通じて学生に当社への理解を深めてもらうことに注力しております。

     

    Q:通期業績の見通についてご説明ください。

    A:2026年2月期の第1四半期決算においては、売上高は前年同期比2.8%減の49億2,000万円、営業利益は同3.2%減の3億1,500万円でしたが、経常利益は同9.9%増の3億5,300万円、四半期純利益は同14.1%増の2億1,800万円となりました。ビジネスソリューションは増加した一方で、昨年度の物流DXにおける品質問題の影響により、IoTソリューションは減少しておりますが、これは計画通りの進捗であり、通期目標に向けて概ね順調に推移していると認識しております。固定費の約7割を占める労務関係費(人件費)については、昨年および今期の賃上げを実施しており、これらの人的投資を収益で賄うため、価格転嫁を含む付加価値向上を進めてまいります。

     

    Q:受注・競合状況は如何でしょうか?

    A:昨年度に物流DXにおいて品質問題が発生したことで、昨年の下期の受注が減少し、期初受注残の減少につながりました。しかしながら、物流DX市場は現在も好調を維持しており、各社が自動化商品を展開している状況です。当社は、豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業との連携を通じて、この市場でのボリューム確保を目指しております。

     

    Q:M&A、業務提携などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:現状、具体的なM&Aや業務提携のお話はできませんが、当社にとってプラスになるものであれば、M&A、業務提携、資本提携を問わず積極的に検討を進めていく方針です。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:2026年2月期から新中期経営計画が開始されており、今期が初年度となります。この中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%の達成を目標としております。売上高250億円の内訳としては、ビジネスソリューションが150億円、IoTソリューションが100億円を目標としております。特にIoTソリューションは最終年度に100億円を目指す中で、物流DXがその主要な柱となります。KPIとしては、従来の売上と営業利益に加え、ROEを新たに定めて、結果管理にならないように進めていく方針です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元の方針に大きな変更はございません。従来通り、安定配当を基本とし、利益が出た場合には、その3割を目途に還元を実施しております。新中期経営計画ではROE25%という目標を掲げており、キャッシュの状態や投資状況を考慮しながら、配当のみならず、自社株買いなども含めて株主還元を積極的に進めていく方針です。

  • 取材者:まず初めに、2026年2月期の第1四半期決算が先週発表されましたので、その状況についてお伺いしたいのですが、売上高は49億2,000万円で前年同期比2.8%減、営業利益は3億1,500万円で前年同期比3.2%減、経常利益は3億5,300万円で前年同期比9.9%増、四半期純利益は2億1,800万円で前年同期比14.1%の増加となりました。全体的に見て、前期の水準を維持しているように見受けられましたが、増減要因についてご説明いただけますか。

    回答者:前年同期と比較しますと、当社のビジネスソリューションは前年同期比で増加し、IoTソリューションは減少となりました。これは、昨年度に物流DXにおいて品質問題が発生したことで、昨年の下期の受注が減少し、期初の受注残が減っていたため、IoTソリューションの減少は計画とおりの状況です。

    取材者:そうしますと、通期の目標に向けた進捗率という面では、想定通りの進捗をしているという見方でよろしいですか。

    回答者:はい、ほぼ計画通りの遂行で進んでおります。

    取材者:そうしましたら、前期と比べて人の採用数の推移はいかがでしょうか。

    回答者:採用につきましては、昨年までは単独で30名、グループ全体で40名弱の採用を行っておりましたが、今年度は人数を絞り、現在、関係会社を含めて25名程度となっています。

    取材者:何か採用を絞られた要因はございますか。

    回答者:当社の現状の事業戦略の遂行、人員構成等から、20名程度の採用人数で良いのではないかという判断に至りました。

    取材者:そうすると、採用人数が減ったというマイナス要因ではなく、計画的に採用を進めているという見方でよろしいですか。

    回答者:はい、その通りです。

    取材者:採用に関して、何か方針や戦略的な施策がございましたら教えていただけますか。

    回答者:従来であれば、当社が北九州市に本社を置く企業という点で選んでいただけたこともありましたが、最近のIT業界の状況を鑑みますと、関東を含め他社さんが採用に非常に力を入れています。当社としては、インターンシップも含め、事前に学生さんに会社のことをよく理解してもらうことにしっかりと対応していきたいと考えております。

    取材者:その他、主要なKPIがございましたら教えていただけますか。

    回答者:2026年2月期から当社は新中期経営計画に入っており、今期が初年度となります。KPIとしては従来通り売上と営業利益ですが、今中計では、ROEをしっかりと定めて結果管理にならないようにしていきたいと考えております。

    取材者:中期経営計画に関して、何か主要な施策や項目がございましたら教えていただけますか。

    回答者:中期経営計画では、2027年度に売上高250億円、営業利益30億円、ROE25%という目標を掲げております。売上高250億円の内訳としましては、ビジネスソリューションが150億円、IoTソリューションが100億円です。ビジネスソリューションの150億円は、ほぼ今期のスライド、つまり現状維持という形になります。これは、当社の主要顧客である安川電機様向けの大規模プロジェクトが一巡し、テスト工程から次の工程に進むことで減少するため、その部分を大規模プロジェクトを遂行して培ってきたノウハウを活かして他社向けに拡販することで維持していく方針です。先ずは、安川電機様向けのビジネスDXをしっかりと仕上げるということが、今期しっかりと取り組むべきことだと考えております。

    IoTソリューションは最終年度に100億円を目指しており、その大きな柱は物流DXとなります。物流DXについては現在も市場が好調であり、各社が自動化商品を展開しているため、そこをしっかりと捉え、当社が昨年から業務提携を進めてきた豊田自動織機様やロジザード様のようなパートナー企業と連携し、しっかりとボリュームを確保していきたいと考えております。

    取材者:そうすると、かなりIoTソリューションの売上比率が高くなっていくイメージですか。

    回答者:はい、その通りです。

    取材者:先ほど少しお話にも出たかと思うのですが、M&Aや業務提携に関して、何か実施のご予定や検討状況がございましたら、お答えできる範囲でお話いただけますか。

    回答者:現状では、具体的なお話はできませんが、通常通り探索をしっかりと行い、M&A、業務提携、資本提携において、当社にとってプラスになるものがあれば、積極的に進めていきたいと考えております。

    取材者:2025年2月期の決算に関してですが、売上高は199億4,400万円で前期比2.3%増加、営業利益は14億800万円で前期比5.4%の減、経常利益は15億2,900万円で前期比1.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益は10億3,800万円で前期比4.9%減という結果でした。前期は、季節性や一過性の要因が業績に影響したものなどはございますか。

    回答者:2025年2月期の上期については、渋谷オフィスを開設したため、その一時費用が第1四半期に発生しました。上期にかけて業績は好調に推移しましたが、第3四半期においては、物流DXにおいて品質問題が発生したことで、物流DXの成長が鈍化し、この期にも影響が出ております。

    取材者:なるほど。そういった物流の影響というのは、2026年2月期上半期に続いていくようなイメージなのでしょうか。

    回答者:受注残の減少というところの影響はあります。その他トピックとしましては、当社の固定費のうち、製造管理費や販売費を含めた約7割が労務関係費、つまり人件費となっております。昨年も賃上げをしっかり実施させていただきましたし、今期の春も賃上げを行いました。その部分が当社で言うところの人的投資となりますが、その分をしっかりと収益で賄えるように、価格転嫁も含めて付加価値向上を進めていきたいと考えております。

    取材者:そうしましたら、何か株主還元の方針に変更などございましたら教えていただけますか。

    回答者:大きく変更はございません。従来から株主還元については基本的に安定配当という形で実施し、利益が出た場合には、その3割を目途に還元しておりました。今中計では、ROE25%という目標がありますので、当社のキャッシュの状態や現在の投資状況を見ながら、配当だけにこだわらず、今回も自社株買いを実施しておりますが、そういった形でしっかりと株主還元を進めていきたいと考えております。

    取材者:そしたら最後に、足元の状況につきまして、ニュースリリースやトピックスがございましたら教えていただけますか。

    回答者:特に今回の決算説明資料の方に記載したトピックとしましては、自社株買いと、もう一つが北九州市立大学との連携というところで記載されております。この連携は、産学共同の実践的教育でビジネス課題解決能力の育成とデジタル人財の創出を目的としております。そういったところで、先ほどの人材確保をしっかりと一つ目に掲げて今取り組んでいるところです。

  • 取締役管理本部長 本松隆之様

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    ビジネスモデルや事業内容

    ビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開。ビジネスソリューションでは、ERPを中心としたソリューションを提供。IoTソリューションでは、物流市場、畜産農業、公共分野向けに製品を展開。サービスビジネスでは、製品ソリューションに加え、運用保守を含めたサービスを提供。

    創業の経緯と転機となった出来事

    1978年に安川電機の情報処理部門が分離独立し、設立。安川電機の業務システム構築や、モーター、ロボットなどの組み込み制御システム開発を行う。その後、培ってきた技術、ノウハウを活かし、安川電機以外の顧客を獲得することで業容を拡大。2003年には東証2部、現在は東証スタンダード市場に上場。

    直近の決算状況

    第3四半期は、特定プロジェクトにおいて品質面で顧客の仕様に届かず、リカバリーに多くのリソースを割いた結果、他のプロジェクトの進捗に遅れが生じ、売上計上が後ろ倒しになる。ただし、通期業績目標達成に影響は少ない見込み。ビジネスソリューションは、堅調で第3四半期は予想以上の売上。第4四半期も同様の状況が続く見込み。

     

    成長戦略

    IoTソリューション事業に注力し、現中期経営計画同様に伸ばしていく方針。

     

    株主還元策

    従来から安定配当をベースに、なるべく減配しないように継続。ここ数年は利益を確保できているため、利益還元を株主に実施。おおよそ30%を目安に利益還元を行う予定。

     

    今期の取り組みやトピックス

    豊田自動織機と2024年5月に業務提携を行い、物流事業を共同で拡大。WMS、WCSなどと連携するWESパッケージで自動化、省人化を進めることで、相互にメリットのある提携を進める。人材育成にも注力しており、過去3年間は約30人/年を採用。今年度は関係会社を含めると40人弱を採用。福利厚生を充実させ、働きがいのある会社、働きやすい会社を目指し、離職率は2%と低水準を維持。従業員エンゲージメントサーベイなどを活用し、従業員の満足度、ロイヤリティを確認しながら対応することで、従業員のやる気、働きがいを確保していく。

  • Q:貴社のビジネスモデル、事業内容、および他社と比較したときの強みを教えてください。

    A:当社は1978年設立の情報サービス企業です。安川電機の業務システム構築や組み込み制御システム開発で培った技術を活かし、現在はビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開しています。強みは、長年の実績とノウハウに基づいた、製造業向けのERPや物流DXソリューションなどの提供です。

     

    Q: 新規顧客に対する活動や取り組み、施策について教えてください。

    A:元々安川電機との取引が多いですが、現在はIoTソリューション分野で新規顧客開拓を進めています。物流DXソリューションでは、既存顧客との取引をベースに新規開拓を進めています。また、ビジネスソリューション分野でも、安川電機以外のお客様への展開を進めています。

     

    Q:IoTソリューション事業の売上高が前年比でマイナスになっている要因を教えてください。

    A:第3四半期において、特定プロジェクトでの品質対応で、リカバリーに多くのリソースを割いたため、他のプロジェクトの進捗に遅れが生じました。その結果、売上の一部が後ろ倒しになり、第3四半期の業績は減収となりました。

     

    Q:第3四半期の業績の遅れは、通期業績の目標達成に影響しますか?

    A:リソースの制約から、今期中にリカバリーが完了するかどうかは不透明です。一部のお客様には納期の延期を申し出ており、来期にずれ込む可能性もございます。また、受注についても影響が出ており、第4四半期および来期の第1四半期も影響が残ると予想されます。

     

    Q:人材の採用や社員教育に関する方針や進捗状況を教えてください。

    A:人材を重視し、採用活動と社員教育に力を入れています。過去3年間は毎年約30名を採用してきましたが、今年度は関係会社を含め40名弱を採用しました。福利厚生を充実させ、働きがいのある会社を目指した結果、離職率は2%と低水準です。

     

    Q:株主還元策について教えてください。

    A:従来から安定配当を基本としており、なるべく減配しないように努めています。ここ数年は利益も確保できるようになったため、配当性向30%を目安に株主還元を行っています。

     

    Q:来期以降の新しい中期経営計画における成長戦略について教えてください。

    A:現在、新しい中期経営計画を策定中です。2024年9月に組織体制を刷新し、IoTソリューション事業を強化するための準備期間としてきました。来期以降も同様に、IoTソリューション事業に注力し、この分野を伸ばしていく予定です。

     

    Q:IoTソリューション事業において、新たにどのような取り組みや施策を行っていますか?

    A:倉庫システム開発において、WMSやWCSと連携した倉庫自動化システムWESの提案を行っています。また、2024年5月には豊田自動織機と業務提携し、物流事業の拡大を目指しています。その他にも、パートナー企業と連携し、事業を拡大していく予定です。

  • 取材者: 早速ですが、貴社のビジネスモデル、事業内容につきまして、現在IoTソリューション、ビジネスソリューション、サービスビジネスの3つの事業を展開されているかと存じますが、改めて他社と比較したときの強みなどを踏まえながらご説明いただけますか。

    回答者: それでは、沿革からご説明させていただきます。当社は1978年に安川電機の情報処理部門が分離独立した会社で、2025年2月で47周年を迎えます。 業種としましては情報サービス業に位置づけられております。 設立当初は安川電機の業務システムの構築や、モーター、ロボットなどの組み込み制御システムの開発を行ってまいりました。 その中で培ってきた技術やノウハウを活かし、安川電機様以外のお客様を獲得することで業容を拡大し、2003年に当時の東証2部に上場、現在はスタンダード市場に上場しております。 また、強みとしましては、長年培ってきた製造業での業務ノウハウ、FA、組み込みソフトウェアの技術力、ノウハウを活かしたシステム開発力、ソリューション提供力であり、特に製造業のお客様に強みを発揮しております。

    取材者: 貴社の事業は、先ほどおっしゃられたように、ビジネスソリューション、IoTソリューション、サービスビジネスの3つを展開されているとのことですが、ビジネスソリューションでは、具体的にどのようなサービスを提供されているのですか?

    回答者: ビジネスソリューションにつきましては、ERPを中心としたソリューションを提供しております。 その中で、お客様である安川電機様で取り組まれているERP刷新のプロジェクトでは、ERPでのビジネスDX分野の開発を行っております。 そこで培った経験を、今後は他の企業様にも展開できるような取り組みを進めているところです。

    取材者: IoTソリューションについてはいかがでしょうか?

    回答者: IoTソリューションにつきましては、物流市場、畜産農業、公共分野において展開しております。 公共分野はスマートシティと言われる分野でスマートバス停を製品リリースし、自治体の駅前整備分野へ展開しております。 また、当社は40年近く物流業界のシステム開発に携わってきたということもあり、今、物流を中心に事業を展開しているところです。 具体的には、倉庫自動化システムであるWESを開発し、販売、導入、サポートまでを一貫して提供しています。

    取材者: サービスビジネスについてはいかがでしょうか?

    回答者: サービスビジネスにつきましては、当社が製品・ソリューションを開発した後、運用保守を含めたサービスを提供するというものです。 ビジネスソリューション、IoTソリューションの両セグメントで開発した製品等の運用保守を行っていくことになります。

    取材者: なるほど。売上高の中には、IoTソリューションとビジネスソリューションの2つのセグメントの売上高が計上されているとのことですが、それぞれの中にサービスビジネスが含まれているということですね。

    回答者: その通りです。

    取材者: そうしますと、ビジネスソリューションやIoTソリューションでソリューションを提供した先に、サービスビジネスとして運用保守で関わっていくようなイメージでしょうか。

    回答者: その通りです。

    取材者: 貴社は安川電機から分離独立したというところもあり、製造業の仕事の進め方などが強みになっていると伺いましたが、ビジネスソリューションなども顧客はやはり製造業が多いのでしょうか?

    回答者: はい、その通りです。製造業のお客様が多いです。 中小企業様から大企業様まで、幅広くお付き合いさせていただいております。

    取材者: その割合はどれくらいですか?

    回答者: 開示はしておりません。

    取材者: わかりました。貴社は様々なビジネスやソリューションを用いて、お客様の効率化や問題解決を支援されているとのことですが、新規顧客に対する活動や取り組み、施策について教えていただけますか?

    回答者:新規顧客獲得についてご説明させていただきます。 ビジネスソリューションについては、やはり一番大きなお客様である、当社の元の親会社であります安川電機様の割合が多く、ビジネスソリューション、IoTソリューションをトータルした全体の中でも4割以上が安川電機、安川電機グループとの取引になります。 それ以外の新規の開拓となると、どちらかというと今はIoTソリューションで新規の顧客開拓を進めております。 その中のIoTの大きな位置づけになります物流DXでは、マテハンメーカー様などに開拓を進めております。従来からのお取引のあるところをベースに、新しくソリューションを広げていこうと取り組んでおります。 またその他のIoT事業につきましても、なかなか大きな新規顧客の開拓は今のところできてはおりませんが、現在開拓を進めているところであります。 また、ビジネスソリューションにつきましても、安川電機様との取引以外のお客様に、培ってきたノウハウなどを活かして、ビジネスDXやプラットフォームなどを展開していく方針で、新規顧客の開拓を進めているところです。

    取材者: 安川電機様からの紹介などはありますか?

    回答者: 基本的に安川電機様はメーカー、いわゆる製造業でいらっしゃいますので、直接というのはないのですが、当社と安川電機様の間には、合弁でアイキューブデジタルという会社がございます。 こちらの方での取り組みはございます。

    取材者: 基本的に新規顧客の開拓の部分というのは、この中でIoTソリューションの部分が大きくなるという認識でよろしいでしょうか?

    回答者: そうですね。ビジネスソリューションでも広げていこうと注力しているところですが、今はまだIoTソリューションが大きいかもしれません。

    取材者: その中で、IoTソリューションは今期ここまでで売上高が前年比でマイナスになっており、その要因として品質・性能への対応の中の遅延という部分を説明資料であげられていますが、これは一体どのようなことですか?

    回答者: 今おっしゃられた物流のところの減少についてお話いたします。 第2四半期、上期までは非常に好調に推移し、プラスで進んでおりました。 第3四半期に入ったところで、特定のプロジェクトで品質においてお客様の了解がなかなか得られないということがあり、要件定義のところでもう少ししっかりやっておくべきだったという反省もありつつ、そこをやり直しているところでございます。 大変大きなトラブルでありましたので、今回はそのリカバリーに多くのリソースを割いてしまったことで、他のプロジェクトの進捗も遅れてしまったということがございます。 また、受注に関しましても、品質対応に追われてしまい、通常であれば受注するはずだった案件が、納期対応が難しいという理由で、受注を控えていた状況でございます。

    取材者: 売上高が後ろに回ってしまったようなイメージでしょうか。

    回答者: そうですね。

    取材者: そういったプロジェクトの進捗の遅れなどがあって、第3四半期の業績を単体で見ると進捗状況としては遅れているけれども、通期業績の全体で見ると問題はない、目標達成できるといったような認識で考えてもよろしいでしょうか?

    回答者: それが難しいところでございます。すでに受注しているプロジェクトの遅れは、挽回を図っていますが、リソースは限られておりますので、今期中にリカバリーできるかどうか、他プロジェクトについて実際にお客様に少し延期を申し出ているものもございます。 ただ、この下期ではなく、来年の上期になるものもあろうかと思います。 IoTソリューションの物流DXは、今年度第4四半期、および来年度第1四半期は、少し影響があるかなとは思っております。 ただ、全体として言うと、ビジネスソリューションは堅調に動いており、第3四半期も予想より多く売上高が上がりましたので、第4四半期も同じような状況が続くかなと期待しております。 結果、物流DXは第3四半期で大きくマイナスしているのですが、第4四半期にそれを挽回するとともに、ビジネスソリューションの方の伸びを期待したところで、どのようにして当初の目標に到達するかを検討しているところです。

    取材者: ビジネスソリューションでしっかりと遅れを回収できているようなイメージでしょうか。

    回答者: そう思っております。

    取材者: 貴社の中期経営計画の中でも、人材の育成という部分が非常に重要な施策として挙げられていたかと思いますが、採用や社員教育に関する方針や進捗状況などございましたら教えていただけますか?

    回答者: 今おっしゃられた通り、人材の育成は非常に重要視しており、人が財産ですので、そこをしっかり取り組んでおります。 採用では、過去3年間は毎年30人程度で推移しておりましたが、今年度の入社は関係会社も含めると40人弱ほど採用しております。 また、福利厚生も充実させ、働きがいのある会社、働きやすい会社を目指し、離職率は2%程度です。 人材をしっかりと確保して、これからのボリューム増加というところに対応していきたいと思っております。 教育という観点では、階層別研修やeラーニングなどを導入し、社員一人ひとりのスキルアップを支援しています。

    取材者: 2%とはかなり低い水準ですね。

    回答者: そう思います。 エンゲージメントサーベイなども活用し、従業員の満足度やロイヤリティを確認しながら、都度対応していくことで、従業員のやる気、働きがいを確保していこうと思っています。

    取材者: 株主還元策につきましては、方針や戦略がありましたら教えていただけますか?

    回答者: 株主還元につきましては、従来から安定配当をベースに実施しております。 なるべく減配しないように進めてまいりましたが、ここ数年は利益を確保できるようになりましたので、利益還元について株主の皆様への還元として、おおよそ30%を目安として利益還元を行ってまいります。 しかしながら、現在の株価を含めて、まだ検討の余地がございます。 配当だけでなく、自己株式の取得なども検討し、株主の皆様への還元を強化していきたいと考えております。

    取材者: 貴社の今年度は中期経営計画の最終年度であり、売上高、利益ともに達成される見込みかと思いますが、来期以降、また新しい中期経営計画が出るに際しまして、今後何か成長戦略についてお答えできる範囲で教えていただけますか?

    回答者: 今、ちょうど策定をしている最中ですが、2024年9月の人事異動で組織体制を新しくしスタートをしております。 来期から始まる新中期経営計画においても、現中期経営計画同様にIoTソリューション事業に注力して伸ばしていこうと思っております。

    取材者: IoTソリューション事業について、今期新たに何か取り組まれたことや施策などはございますか?

    回答者: 当社が開発している倉庫自動化システムWESとその上位にあるWMSや自動化設備を制御するWCSを連携した倉庫自動化の提案があります。 2024年5月に豊田自動織機様と業務提携を行い、物流事業を一緒に広げていこうと進めているところです。 その他にも業務提携を進めているところはあります。 当社だけではなく、パートナー様と協力して開発を進めていきたいと思っております。

    取材者: パートナー様にとって、貴社と提携することでどのようなメリットがあるのでしょうか?

    回答者: 例えば、WMSメーカー様であれば、従来であれば自社で作っていたようなところを、当社のWESパッケージを使うことで、開発が効率化されます。 また、当社のWESでデータ取得ができるため、より自動化、省人化を進めることが可能になります。 そういった面でお互いがメリットのある提携になろうかと思います。

    取材者: 物流業界では人材不足が叫ばれる中、こういった需要は今後も高まっていくと見てよろしいでしょうか?

    回答者: そうですね。マーケティングや営業担当者から聞く情報によりますと、まだまだ物流の自動化というのは進んでいくということですので、マーケットは大きく広がっていると考えています。

  • 取締役 執行役員 本松隆之様 

  • ​―

bottom of page