
(株)fonfun
東証STD 2323
決算:3月末日
20250702
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:当社は2002年にリモートメールというフィーチャーフォン向けメール閲覧サービスで上場しました。2023年3月現在、当社は2つの主要事業セグメントを展開しています。1つ目は、自社開発のプロダクトとSaaSのストック型収益を中心としたクラウドソリューション事業です。2つ目は、DXセグメントとして、エンジニア派遣やソフトウェア開発事業を中心に展開しています。両事業ともに、複数の企業のDX推進や業務改善を目的としています。元々は単一事業の会社でしたが、M&Aによりソフトウェア開発やエンジニア派遣を含むコンサルティング事業、および中小企業から中堅企業以上が利用できる業務プロセス改善プロジェクトなど、複数の事業ラインナップを持つようになりました。これにより、単独事業ではなく、複数の事業を通じて多様な企業のDX課題を解決できる点が当社の強みとなっています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントはM&Aとエンジニア採用にあります。M&Aに関しては、経営体制変更後の2年間で3社3事業、合計6件のM&Aを実施しました。M&Aの方針としては、インターネット関連ビジネスで将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系SNS事業を中心に、赤字ではない黒字の企業でストック性の高い事業を買収することを基本としています。また、東京証券取引所が定める不適当合併等における軽微基準の範囲内のM&Aを基本としています。直近のM&Aは、連結売上高20億円の目標達成に大きく貢献しており、連結売上高20億円達成が視野に入っています。
エンジニア採用については、現状は国内エンジニアの採用に留まっていますが、今後は海外展開も含めて採用枠を広げていく方針です。また、将来的には未経験者の採用と育成にも事業を広げ、エンジニアの採用拡大を目指します。
時価総額100億円の目標達成に向けては、メディア露出の増加や個人投資家向けの取り組みを積極的に行い、企業の知名度を高めることに注力します。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:2025年3月期の業績は、売上高12億6,800万円(前期比8.3%増)、営業利益1億4,900万円(同6.5%増)、経常利益1億6,300万円(同77.9%増)、当期純利益1億6,900万円(同148.5%増)となり、大幅な増収増益を達成しました。これは主にM&Aによる各セグメントの業績拡大が要因です。買収した事業は基本的に赤字ではなく、のれんの償却が発生しても営業利益や最終利益を押し上げる効果があります。
2026年3月期の業績予想についても増収増益を見込んでいます。これは、2025年3月期にM&Aを実施した事業法人が、2026年3月期には通期で業績に貢献するためです。季節要因としては、ショートメッセージ配信サービスの一部に特定の業種での利用頻度が高いことによるものがありますが、事業規模全体に与える影響は大きくありません。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:現在、当社は連結売上高20億円、営業利益4億円、時価総額100億円、エンジニア100名という中期経営計画の目標を掲げています。
進捗状況としては、連結売上高については、今期の業績予想が約16億円であり、先日M&Aを実施した事業の前年実績が3億円強であるため、目標の20億円に手が届くところまで来ています。エンジニア数についても、フリーランスを含めれば目標の100名達成は適切な採用活動が行えれば達成可能と考えています。
一方で、時価総額100億円の目標については、市場へのPRを含めてまだ不足していると認識しており、情報発信に注力し達成を目指していきます。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針として、当社はこれまで配当を行ってきませんでしたが、今般初めて記念配当を実施しました。これは、過去の業績不振により配当原資となる分配可能額が満たせていなかったためです。今後は、配当ではなく事業投資に資金を回し、企業価値を高めることで株価を向上させ、それを通じて投資家への還元を図る方針です。目標としては、時価総額100億円の達成を目指しています。
取材者:まず初めに、貴社の事業につきまして、沿革なども含め事業内容をお話しいただけますか。
回答者:承知いたしました。株式会社fonfunと申しまして、事業内容としましては、現在二つの大きなセグメントで事業展開しております。一つがクラウドソリューションで、自社のプロダクトやSaaSのストック型の収益を中心としたビジネスを行っております。もう一つの事業セグメントがDXセグメントと称しており、こちらのエンジニア派遣やソフトウェア開発事業を中心に行っております。両事業とも基本的にはインターネットの技術を活用し、複数企業のDXや業務改善を行うことを目的としたビジネスを展開しております。
取材者:DXの企業や他のビジネスソリューション、クラウドソリューションとして、他の企業と比べて貴社にとっての強みや特徴はどのような部分がございますか。
回答者:他のビジネスの話とは少しずれますが、当社は元々2002年にリモートメールというフィーチャーフォンでメールが読めるサービスで上場している銘柄です。2002年にもう既に上場から20数年経過しておりますが、2年前に経営母体がTOBをしたことにより変わっておりまして、私が実際2年前にTOBをして経営体制となっております。そこから元々あったショートメッセージの配信サービスと、そのリモートメールのサービスからM&Aで拡大してきております。元々はその単体事業の会社でしたが、ソフトウェア開発やエンジニア派遣のコンサルティングを含めた事業と、様々なスモールビジネスや中堅企業以上の企業が使える業務プロセスの改善プロジェクトなど、複数ラインナップを保有しております。そのため、単独事業ということではなく、複数の事業でソリューションとして様々な企業のDXの課題を解決できるという点が、少しずつ当社の強みになってきているかと存じます。
取材者:そうしますと、お客様と申しますか、そういった部分は中小企業の企業が多いのでしょうか。
回答者:元々はどちらかというと中堅、中小企業のお客様を中心とした営業接点が多かったです。現状は中堅企業様以上も利用いただけるようなサービスがありまして、中小、中堅企業様から大企業様と幅広いお客様とお取引させていただいている状況です。
取材者:M&Aの話も出たかと存じますが、貴社のM&Aの方針について何かございましたら教えていただけますか。
回答者:M&Aにつきましても、この2年間、経営体制変更後の2年間で6件、3社3事業のM&Aを行っております。M&Aの方針も開示資料等で公表しておりますが、基本的にはインターネット関連のビジネスをM&Aをする方針です。なおかつ、将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系のSNS事業など、予実のずれがないように事業が流れていく企業を買収しております。基本的には赤字の企業は買収しておらず、黒字の企業で、なおかつストック性の高い事業を買収するというのを方針としております。また、東京証券取引所が定める不適当合併等の軽微基準というものがございまして、この基準内での買収を行っていくという方針です。
取材者:何か進行期のM&Aの目標、数値はございますか。
回答者:現状は、M&Aの数値目標は公表しておりませんが、中期経営計画を発表しており、連結売上20億円、EBITDA4億円、時価総額100億円、エンジニア数100名を目標にしております。今期の業績予想も含めまして、まだ数字が少し到達できていない2026年3月までの中期計画の目標ですが、未達部分については、今期中のM&Aでその数字と足りない部分を補い、しっかり目標を達成したいと考えております。
取材者:今お話しいただいた中期経営計画の目標値に対し、さらに先日発表されましたM&Aも含め、かなり順調に伸長しているかと拝見しておりますが、肌感はいかがでしょうか。
回答者:中期経営計画に対する進捗ですが、連結売上高の今期業績予想が16億円くらいで公表しております。つい先月M&Aをした事業が前年事業実績で3億円強の事業になりますので、連結の売上20億円という目標はもう手の届くところに来ているかと存じます。エンジニア数についても、フリーランスを含めた形ではございますが、100名の目標も今後の採用も含めて、適切な採用活動が行えれば達成できるかと存じます。時価総額目標100億円というところだけが、今まだ市場へのPRを含めて足りていないところですので、ここをきちんと注力し、情報発信をして達成をしたいと考えております。
取材者:時価総額100億円の達成に向けて、今考えられている施策などはございますか。
回答者:こちらも開示資料で、IRの情報発信や取り組みについては色々と検討しているところです。やはりメディア露出が重要です。当社自体の時価総額が低いこととイコールで、知名度も当然低い銘柄なので、知名度を高めていくための取り組みを積極的にしていきたいと考えております。特に個人投資家様向けを推進いたします。ちょうど本日も、従業員の子供たちに株式を配るという取り組みを昨年実施したのですが、その取り組みがテレビ朝日の朝の報道番組で取り上げられたりしておりますので、少しずつ当社の認知度を高めることで、より多くの方に株式を保有してもらえるようにしたいと考えております。
取材者:今後のエンジニアの採用も含めまして、他の企業様もエンジニア採用にはかなり力を入れているかと存じますが、その戦略や方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:現時点においてエンジニアの獲得に関して申し上げますと、現時点ではまだ国内エンジニアの採用に留まっております。海外も含めて、まず採用の枠やビジネスの枠を広げていきたいというのが一つございます。加えて、経験者の採用、それから未経験者の採用で拡大されている会社もありますが、現時点においては未経験者を採用して育成するところまではまだ事業としては展開できておりません。しかし、将来的にはそちらにも広げることで、エンジニア採用は、当然ハードルが高いというのは認識しておりますが、拡大に向けてそういった経験者採用と育成によっての戦力化というところも加速できるかと存じます。
取材者:これまで新卒採用は行われているのですか。
回答者:現在、新卒採用は行っておりません。
取材者:そういった部分も含めて、今後さらに検討されていくイメージですね。あと、事業ポートフォリオについてですが、現在、DXソリューション事業の方が約3割から4割弱で、ストック型ビジネスが6割強だと存じますが、こちらは今後、DXソリューション事業の方が割合多くなってくるようなイメージなのでしょうか。
回答者:そうですね。ストック型のサービスでプロダクトが複数ライン走っており、当然これも成長していきますが、基本的には毎年20%から30%成長しているプロダクトを買収しているわけではないので、基本的には手堅い収益を前提としております。売上のトップラインを伸ばしやすいのは、エンジニア派遣の事業の特徴なので、今後DXの事業の規模が、売上比率としては高くなっていくかと存じます。
取材者:目標値的には大体どれくらいの割合で想定されていらっしゃいますか。
回答者:そうですね。50%対50%、20億円の目標の中で同じくらいの比率、少しクラウドの方の比率が高いかなというくらいのイメージです。
取材者:他に、中期経営計画で公表されている数値以外に、主要なKPIや、特に遵守されている点はございますか。
回答者:今後もM&Aで事業を拡大していく中で、その管理体制の強化や上場会社としてのガバナンスやコンプライアンスを意識したグループ会社拡大における経営体制の強化を図っていきたいと思っております。M&Aをされる会社様は世の中的にも非常に数が増えてきていると存じますが、そのM&Aを実施した上で、その対象会社の企業価値や事業価値をちゃんと成長させられるところですね。そこの体制の強化が非常に重要だと考えており、その体制構築はしていきたいと考えております。
取材者:そういったM&Aに対するアンテナは、やはり社長がかなり張られているのでしょうか。
回答者:そうですね。今回、TOBを実施した際、私が元々学生時代に創業しているサイブリッジグループですが、その際にでも過去にかなりの数のM&Aを実施してきておりますので、そういった知見や情報収集のネットワークを持っており、それを最大限に活用してfonfunの企業価値を上げていきたいと考えております。
取材者:先ほども少し触れていただきましたが、2002年からメールの企業で上場されたというところで、何かまたその創業の経緯や企業の沿革の部分について、もう少し詳しくご説明お願いできますか。
回答者:承知いたしました。当社は、1997年創業の会社です。元々はネットビレッジという社名で創業しており、その後fonfunに社名変更しております。2002年に大阪証券取引所ナスダック・ジャパンに上場しており、その時点ではリモートメールというメールのサービスから、フィーチャーフォン関連の様々なサービスを展開しておりました。その後、2010年頃から、ショートメッセージの配信サービスに力を入れるようになり、私がTOBを実施するまでは、基本的にはそのリモートメールとSMSショートメッセージの配信サービスと、いくつかのプロダクトラインで事業を行っている会社でした。
取材者:何か今のビジネスにもそのメールサービスの経験というのは活かされているところがございますか。
回答者:元々メールのサービスは30万人くらいの会員がいる月額300円の課金サービスです。データセンターでそれなりの規模感と安定性を持ったサービスを展開してきておりますので、かつそれが20年以上にわたってサービスを提供し続けてきているというところです。大規模運用のノウハウや知見というのは、今後のサービス拡大の中でも活かせるのではないかと考えております。
取材者:そうしましたら続きまして、2025年3月期の業績についても少しお伺いしたいのですが、売上高が12億6,800万円、前期比81.3%の増加、営業利益1億4,900万円、前期比100.5%の増加、経常利益1億6,300万円、前期比77.9%の増加、当期純利益1億6,900万円、前期比148.5%の増加でしたので、大幅な増収増益を達成されているかと存じますが、こちらについての増減要因について簡単にご説明お願いできますか。
回答者:基本的には開示している通り、M&Aによってそれぞれのセグメントの業績が大幅に伸びているというところです。売上もそうですが、基本的にはのれんの償却が発生しても、赤字の事業は買収していないため、のれん負けするようなM&Aというのは基本的には行っておりません。その点で営業利益、最終利益も伸長しております。
取材者:そうしますと、2026年3月期の予想に関して、やはりしっかりとしたM&Aや成長分も含めて、増収増益、過去最高の収益を達成されるようなイメージなのでしょうか。
回答者:そうですね。前期は過去最高ではなく、2000年代後半くらいで売上高がもう少し大きかった時期があるので、そういう意味では最高というわけではありません。2026年3月期も、昨年のM&Aに関しても通期での取り組みではなく、半期等々での取り組みだったりしておりますので、昨年M&Aをした事業法人が今期はフルで1年間分取り組みますので、その分を含めて今期は増収増益となる見込みです。
取材者:例えば、業績に影響を与えるような季節性の要因や、前期までに一時的な外的要因によって業績に影響を及ぼした事象などがございましたら、お教えいただけますでしょうか。
回答者:そのショートメッセージの配信サービスに関しては、一部マーケティング利用が特定の業種での利用頻度が高かったりするため、一部季節要因はございます。しかし、それが今の事業規模の中で大きく影響を与えるものではないので、第2四半期、第3四半期は少し数字が小さくなることはありますが、そこまで大きな季節要因ではないと認識しております。
取材者:2026年3月期について、何か考えられる外的要因はございますか。
回答者:昨年も一過性の収益のようなものは特になかったので、スポット収益よりはどちらかというとストック性の収益が大きいので、今期も考えられるとすればM&Aで大幅に収益が上がることくらいでしょうか。影響はないかと存じます。
取材者:そうしましたら、株主還元の方針について教えていただけますか。
回答者:今回、総会が先週行われましたが、株主還元という意味で言うと、配当を創業来初めて実施しております。過去の業績不振もあって、いわゆる分配可能額、配当可能限度額が元々プラスではなかったため、配当することができませんでしたが、分配可能額が確保でき、その結果配当できるようになったので、今回、記念配当として配当を行っております。金額は小さいですが、今後は配当方針を見直し、従来、配当するという方針を開示等で記載しておりましたが、実際には配当したことがありませんでした。今回初めて配当することができましたが、今後は配当ではなく、事業投資に回すという方針に転換しております。そのため、基本的には株式、配当での還元ではなく、企業価値を高め、株価を高めることで投資家様に還元をしていくという方針で企業成長させたいと考えております。
取材者:そういったところの目標として、まずは時価総額100億円といったところもですね。
回答者:はい。そのとおりです。
取材者:承知いたしました。そうしましたら、何かその他、足元の業績につきまして、何かトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか。
回答者:直近で言うと、定時株主総会を夜に行うという珍しい取り組みをいたしました。あまり参加人数が増えたわけではないので、実施しただけになってしまいましたが、事業面に関して言うと、基本的には順調に足元推移しております。一方で先ほどお話がございましたエンジニアの採用などは、やはり市場の状況も踏まえて、足元も順調というわけではないのですが、フリーランスの獲得も含めて、大きくそれで業績が下振れするということではないので、比較的順調に進捗しているかと存じます。
取材者:最後に、今後海外展開なども考えられており、そちらの方針や展望についてお聞かせいただけますか。
回答者:承知いたしました。海外展開と申しますか、やはり日本のマーケットだけでは、なかなかマーケットの成長性も含めて評価されないということは理解しており、アジアを含めて海外展開をしていきたいと中期経営計画の時点で発表させてもらっております。基本的には成長している国で、成長市場においてIT分野で参入したいと思っておりますが、現時点ではその管理体制を含めて、連結子会社で例えば海外事業を展開するのはなかなかハードルが高かったりもします。ただ、海外展開されても減損されている会社さんもたくさん見られますので、タイミングと相手先とやり方は色々と検討しながら今後決定していきたいという形になります。
取材者:そういった具体的な話が出てくるのは、次の中期経営計画や、またその先になってくるというお話でしょうか。
回答者:その可能性もあるかと存じます。一方で、私自身が保有する別のサイブリッジ社では元々ベトナムでオフショア開発をやっておりまして、海外で言うとこれはfonfunとは関係なくなるのですが、シンガポール、それから中国とバングラデシュなどでもオフショア開発を行ったことがございますので、私自身は海外展開の経験も知見も持っております。あとは適切なタイミングと、当社の事業価値に資する展開ができるタイミングで実施はしたいと考えております。
ビジネスモデルと事業内容
株式会社fonfunは、クラウドソリューションとDXソリューションの2つの事業セグメントを展開。クラウドソリューションは自社プロダクトやSaaSのストック型収益が中心であり、DXセグメントはエンジニア派遣やソフトウェア開発が中心である。両事業ともにインターネット関連で、複数企業のDXや業務改善を目的としている。
創業の経緯と転機となった出来事
当社は1997年にネットビレッジとして創業し、後にfonfunに社名変更。2002年に上場し、当初はフィーチャーフォン向けメールサービス「リモートメール」を中心に展開していた。2010年頃からはショートメッセージ配信サービスに注力。2023年にTOBにより経営体制が変更されたことが大きな転機となり、現社長が就任した。
直近の決算状況
2025年3月期の業績は、売上高12億6,800万円、営業利益1億4,900万円、経常利益1億6,300万円、当期純利益1億6,900万円と大幅な増収増益を達成。これは主にM&Aによる各セグメントの業績拡大が要因である。原則、黒字事業、あるいは黒字企業を買収のターゲットとしているため、のれん償却が発生しても利益を押し上げている。
成長戦略
成長戦略の柱はM&Aとエンジニア採用である。M&Aは経営体制変更後の2年間で6件を実施し、インターネット関連で将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系SNS事業を中心に、黒字でストック性の高い事業を買収する方針である。エンジニア採用については、現状は国内に留まっているが、今後は海外展開も含めて採用枠を広げ、将来的には未経験者の採用・育成も視野に入れている。
株主還元策
株主還元の方針として、今回初めて記念配当を実施。今後は配当ではなく事業投資に資金を回し、企業価値を高め、株価を向上させることで投資家へ還元していくことを目指している。
中期経営計画
中期経営計画のROAD-01(2026年3月期)では、連結売上高20億円、EBITDA4億円、時価総額100億円、エンジニア数100名という目標を掲げている。連結売上高は、直近のM&Aにより20億円の目標達成が視野に入っており、エンジニア数も今後の採用活動によって達成可能と考えている。時価総額100億円については、市場へのPR強化を通じて達成を目指す。
今期の取り組みやトピックス
2026年3月期は、前年のM&Aにより取得した事業の通期寄与により増収増益を見込んでいる。特筆すべきトピックスとしては、上場来初の配当を実施したこと、連結売上高20億円の目標達成が視野に入ったこと、そして時価総額100億円達成に向けてメディア露出を含むPR強化を推進している点が挙げられる。また、定時株主総会を夜間に開催する珍しい取り組みも行った。エンジニア採用は引き続き課題ではあるものの、事業は概ね順調に推移している。将来的な海外展開も視野に入れている状況である。
代表取締役社長 水口 翼様

(株)fonfun
東証STD 2323
決算:3月末日
Q:特徴や優位性をご説明ください。
A:当社は2002年にリモートメールというフィーチャーフォン向けメール閲覧サービスで上場しました。2023年3月現在、当社は2つの主要事業セグメントを展開しています。1つ目は、自社開発のプロダクトとSaaSのストック型収益を中心としたクラウドソリューション事業です。2つ目は、DXセグメントとして、エンジニア派遣やソフトウェア開発事業を中心に展開しています。両事業ともに、複数の企業のDX推進や業務改善を目的としています。元々は単一事業の会社でしたが、M&Aによりソフトウェア開発やエンジニア派遣を含むコンサルティング事業、および中小企業から中堅企業以上が利用できる業務プロセス改善プロジェクトなど、複数の事業ラインナップを持つようになりました。これにより、単独事業ではなく、複数の事業を通じて多様な企業のDX課題を解決できる点が当社の強みとなっています。
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックスなどを含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略のポイントはM&Aとエンジニア採用にあります。M&Aに関しては、経営体制変更後の2年間で3社3事業、合計6件のM&Aを実施しました。M&Aの方針としては、インターネット関連ビジネスで将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系SNS事業を中心に、赤字ではない黒字の企業でストック性の高い事業を買収することを基本としています。また、東京証券取引所が定める不適当合併等における軽微基準の範囲内のM&Aを基本としています。直近のM&Aは、連結売上高20億円の目標達成に大きく貢献しており、連結売上高20億円達成が視野に入っています。
エンジニア採用については、現状は国内エンジニアの採用に留まっていますが、今後は海外展開も含めて採用枠を広げていく方針です。また、将来的には未経験者の採用と育成にも事業を広げ、エンジニアの採用拡大を目指します。
時価総額100億円の目標達成に向けては、メディア露出の増加や個人投資家向けの取り組みを積極的に行い、企業の知名度を高めることに注力します。
Q:業績の増減要因をご説明ください。
A:2025年3月期の業績は、売上高12億6,800万円(前期比8.3%増)、営業利益1億4,900万円(同6.5%増)、経常利益1億6,300万円(同77.9%増)、当期純利益1億6,900万円(同148.5%増)となり、大幅な増収増益を達成しました。これは主にM&Aによる各セグメントの業績拡大が要因です。買収した事業は基本的に赤字ではなく、のれんの償却が発生しても営業利益や最終利益を押し上げる効果があります。
2026年3月期の業績予想についても増収増益を見込んでいます。これは、2025年3月期にM&Aを実施した事業法人が、2026年3月期には通期で業績に貢献するためです。季節要因としては、ショートメッセージ配信サービスの一部に特定の業種での利用頻度が高いことによるものがありますが、事業規模全体に与える影響は大きくありません。
Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:現在、当社は連結売上高20億円、営業利益4億円、時価総額100億円、エンジニア100名という中期経営計画の目標を掲げています。
進捗状況としては、連結売上高については、今期の業績予想が約16億円であり、先日M&Aを実施した事業の前年実績が3億円強であるため、目標の20億円に手が届くところまで来ています。エンジニア数についても、フリーランスを含めれば目標の100名達成は適切な採用活動が行えれば達成可能と考えています。
一方で、時価総額100億円の目標については、市場へのPRを含めてまだ不足していると認識しており、情報発信に注力し達成を目指していきます。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:株主還元の方針として、当社はこれまで配当を行ってきませんでしたが、今般初めて記念配当を実施しました。これは、過去の業績不振により配当原資となる分配可能額が満たせていなかったためです。今後は、配当ではなく事業投資に資金を回し、企業価値を高めることで株価を向上させ、それを通じて投資家への還元を図る方針です。目標としては、時価総額100億円の達成を目指しています。
取材者:まず初めに、貴社の事業につきまして、沿革なども含め事業内容をお話しいただけますか。
回答者:承知いたしました。株式会社fonfunと申しまして、事業内容としましては、現在二つの大きなセグメントで事業展開しております。一つがクラウドソリューションで、自社のプロダクトやSaaSのストック型の収益を中心としたビジネスを行っております。もう一つの事業セグメントがDXセグメントと称しており、こちらのエンジニア派遣やソフトウェア開発事業を中心に行っております。両事業とも基本的にはインターネットの技術を活用し、複数企業のDXや業務改善を行うことを目的としたビジネスを展開しております。
取材者:DXの企業や他のビジネスソリューション、クラウドソリューションとして、他の企業と比べて貴社にとっての強みや特徴はどのような部分がございますか。
回答者:他のビジネスの話とは少しずれますが、当社は元々2002年にリモートメールというフィーチャーフォンでメールが読めるサービスで上場している銘柄です。2002年にもう既に上場から20数年経過しておりますが、2年前に経営母体がTOBをしたことにより変わっておりまして、私が実際2年前にTOBをして経営体制となっております。そこから元々あったショートメッセージの配信サービスと、そのリモートメールのサービスからM&Aで拡大してきております。元々はその単体事業の会社でしたが、ソフトウェア開発やエンジニア派遣のコンサルティングを含めた事業と、様々なスモールビジネスや中堅企業以上の企業が使える業務プロセスの改善プロジェクトなど、複数ラインナップを保有しております。そのため、単独事業ということではなく、複数の事業でソリューションとして様々な企業のDXの課題を解決できるという点が、少しずつ当社の強みになってきているかと存じます。
取材者:そうしますと、お客様と申しますか、そういった部分は中小企業の企業が多いのでしょうか。
回答者:元々はどちらかというと中堅、中小企業のお客様を中心とした営業接点が多かったです。現状は中堅企業様以上も利用いただけるようなサービスがありまして、中小、中堅企業様から大企業様と幅広いお客様とお取引させていただいている状況です。
取材者:M&Aの話も出たかと存じますが、貴社のM&Aの方針について何かございましたら教えていただけますか。
回答者:M&Aにつきましても、この2年間、経営体制変更後の2年間で6件、3社3事業のM&Aを行っております。M&Aの方針も開示資料等で公表しておりますが、基本的にはインターネット関連のビジネスをM&Aをする方針です。なおかつ、将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系のSNS事業など、予実のずれがないように事業が流れていく企業を買収しております。基本的には赤字の企業は買収しておらず、黒字の企業で、なおかつストック性の高い事業を買収するというのを方針としております。また、東京証券取引所が定める不適当合併等の軽微基準というものがございまして、この基準内での買収を行っていくという方針です。
取材者:何か進行期のM&Aの目標、数値はございますか。
回答者:現状は、M&Aの数値目標は公表しておりませんが、中期経営計画を発表しており、連結売上20億円、EBITDA4億円、時価総額100億円、エンジニア数100名を目標にしております。今期の業績予想も含めまして、まだ数字が少し到達できていない2026年3月までの中期計画の目標ですが、未達部分については、今期中のM&Aでその数字と足りない部分を補い、しっかり目標を達成したいと考えております。
取材者:今お話しいただいた中期経営計画の目標値に対し、さらに先日発表されましたM&Aも含め、かなり順調に伸長しているかと拝見しておりますが、肌感はいかがでしょうか。
回答者:中期経営計画に対する進捗ですが、連結売上高の今期業績予想が16億円くらいで公表しております。つい先月M&Aをした事業が前年事業実績で3億円強の事業になりますので、連結の売上20億円という目標はもう手の届くところに来ているかと存じます。エンジニア数についても、フリーランスを含めた形ではございますが、100名の目標も今後の採用も含めて、適切な採用活動が行えれば達成できるかと存じます。時価総額目標100億円というところだけが、今まだ市場へのPRを含めて足りていないところですので、ここをきちんと注力し、情報発信をして達成をしたいと考えております。
取材者:時価総額100億円の達成に向けて、今考えられている施策などはございますか。
回答者:こちらも開示資料で、IRの情報発信や取り組みについては色々と検討しているところです。やはりメディア露出が重要です。当社自体の時価総額が低いこととイコールで、知名度も当然低い銘柄なので、知名度を高めていくための取り組みを積極的にしていきたいと考えております。特に個人投資家様向けを推進いたします。ちょうど本日も、従業員の子供たちに株式を配るという取り組みを昨年実施したのですが、その取り組みがテレビ朝日の朝の報道番組で取り上げられたりしておりますので、少しずつ当社の認知度を高めることで、より多くの方に株式を保有してもらえるようにしたいと考えております。
取材者:今後のエンジニアの採用も含めまして、他の企業様もエンジニア採用にはかなり力を入れているかと存じますが、その戦略や方針などございましたら教えていただけますか。
回答者:現時点においてエンジニアの獲得に関して申し上げますと、現時点ではまだ国内エンジニアの採用に留まっております。海外も含めて、まず採用の枠やビジネスの枠を広げていきたいというのが一つございます。加えて、経験者の採用、それから未経験者の採用で拡大されている会社もありますが、現時点においては未経験者を採用して育成するところまではまだ事業としては展開できておりません。しかし、将来的にはそちらにも広げることで、エンジニア採用は、当然ハードルが高いというのは認識しておりますが、拡大に向けてそういった経験者採用と育成によっての戦力化というところも加速できるかと存じます。
取材者:これまで新卒採用は行われているのですか。
回答者:現在、新卒採用は行っておりません。
取材者:そういった部分も含めて、今後さらに検討されていくイメージですね。あと、事業ポートフォリオについてですが、現在、DXソリューション事業の方が約3割から4割弱で、ストック型ビジネスが6割強だと存じますが、こちらは今後、DXソリューション事業の方が割合多くなってくるようなイメージなのでしょうか。
回答者:そうですね。ストック型のサービスでプロダクトが複数ライン走っており、当然これも成長していきますが、基本的には毎年20%から30%成長しているプロダクトを買収しているわけではないので、基本的には手堅い収益を前提としております。売上のトップラインを伸ばしやすいのは、エンジニア派遣の事業の特徴なので、今後DXの事業の規模が、売上比率としては高くなっていくかと存じます。
取材者:目標値的には大体どれくらいの割合で想定されていらっしゃいますか。
回答者:そうですね。50%対50%、20億円の目標の中で同じくらいの比率、少しクラウドの方の比率が高いかなというくらいのイメージです。
取材者:他に、中期経営計画で公表されている数値以外に、主要なKPIや、特に遵守されている点はございますか。
回答者:今後もM&Aで事業を拡大していく中で、その管理体制の強化や上場会社としてのガバナンスやコンプライアンスを意識したグループ会社拡大における経営体制の強化を図っていきたいと思っております。M&Aをされる会社様は世の中的にも非常に数が増えてきていると存じますが、そのM&Aを実施した上で、その対象会社の企業価値や事業価値をちゃんと成長させられるところですね。そこの体制の強化が非常に重要だと考えており、その体制構築はしていきたいと考えております。
取材者:そういったM&Aに対するアンテナは、やはり社長がかなり張られているのでしょうか。
回答者:そうですね。今回、TOBを実施した際、私が元々学生時代に創業しているサイブリッジグループですが、その際にでも過去にかなりの数のM&Aを実施してきておりますので、そういった知見や情報収集のネットワークを持っており、それを最大限に活用してfonfunの企業価値を上げていきたいと考えております。
取材者:先ほども少し触れていただきましたが、2002年からメールの企業で上場されたというところで、何かまたその創業の経緯や企業の沿革の部分について、もう少し詳しくご説明お願いできますか。
回答者:承知いたしました。当社は、1997年創業の会社です。元々はネットビレッジという社名で創業しており、その後fonfunに社名変更しております。2002年に大阪証券取引所ナスダック・ジャパンに上場しており、その時点ではリモートメールというメールのサービスから、フィーチャーフォン関連の様々なサービスを展開しておりました。その後、2010年頃から、ショートメッセージの配信サービスに力を入れるようになり、私がTOBを実施するまでは、基本的にはそのリモートメールとSMSショートメッセージの配信サービスと、いくつかのプロダクトラインで事業を行っている会社でした。
取材者:何か今のビジネスにもそのメールサービスの経験というのは活かされているところがございますか。
回答者:元々メールのサービスは30万人くらいの会員がいる月額300円の課金サービスです。データセンターでそれなりの規模感と安定性を持ったサービスを展開してきておりますので、かつそれが20年以上にわたってサービスを提供し続けてきているというところです。大規模運用のノウハウや知見というのは、今後のサービス拡大の中でも活かせるのではないかと考えております。
取材者:そうしましたら続きまして、2025年3月期の業績についても少しお伺いしたいのですが、売上高が12億6,800万円、前期比81.3%の増加、営業利益1億4,900万円、前期比100.5%の増加、経常利益1億6,300万円、前期比77.9%の増加、当期純利益1億6,900万円、前期比148.5%の増加でしたので、大幅な増収増益を達成されているかと存じますが、こちらについての増減要因について簡単にご説明お願いできますか。
回答者:基本的には開示している通り、M&Aによってそれぞれのセグメントの業績が大幅に伸びているというところです。売上もそうですが、基本的にはのれんの償却が発生しても、赤字の事業は買収していないため、のれん負けするようなM&Aというのは基本的には行っておりません。その点で営業利益、最終利益も伸長しております。
取材者:そうしますと、2026年3月期の予想に関して、やはりしっかりとしたM&Aや成長分も含めて、増収増益、過去最高の収益を達成されるようなイメージなのでしょうか。
回答者:そうですね。前期は過去最高ではなく、2000年代後半くらいで売上高がもう少し大きかった時期があるので、そういう意味では最高というわけではありません。2026年3月期も、昨年のM&Aに関しても通期での取り組みではなく、半期等々での取り組みだったりしておりますので、昨年M&Aをした事業法人が今期はフルで1年間分取り組みますので、その分を含めて今期は増収増益となる見込みです。
取材者:例えば、業績に影響を与えるような季節性の要因や、前期までに一時的な外的要因によって業績に影響を及ぼした事象などがございましたら、お教えいただけますでしょうか。
回答者:そのショートメッセージの配信サービスに関しては、一部マーケティング利用が特定の業種での利用頻度が高かったりするため、一部季節要因はございます。しかし、それが今の事業規模の中で大きく影響を与えるものではないので、第2四半期、第3四半期は少し数字が小さくなることはありますが、そこまで大きな季節要因ではないと認識しております。
取材者:2026年3月期について、何か考えられる外的要因はございますか。
回答者:昨年も一過性の収益のようなものは特になかったので、スポット収益よりはどちらかというとストック性の収益が大きいので、今期も考えられるとすればM&Aで大幅に収益が上がることくらいでしょうか。影響はないかと存じます。
取材者:そうしましたら、株主還元の方針について教えていただけますか。
回答者:今回、総会が先週行われましたが、株主還元という意味で言うと、配当を創業来初めて実施しております。過去の業績不振もあって、いわゆる分配可能額、配当可能限度額が元々プラスではなかったため、配当することができませんでしたが、分配可能額が確保でき、その結果配当できるようになったので、今回、記念配当として配当を行っております。金額は小さいですが、今後は配当方針を見直し、従来、配当するという方針を開示等で記載しておりましたが、実際には配当したことがありませんでした。今回初めて配当することができましたが、今後は配当ではなく、事業投資に回すという方針に転換しております。そのため、基本的には株式、配当での還元ではなく、企業価値を高め、株価を高めることで投資家様に還元をしていくという方針で企業成長させたいと考えております。
取材者:そういったところの目標として、まずは時価総額100億円といったところもですね。
回答者:はい。そのとおりです。
取材者:承知いたしました。そうしましたら、何かその他、足元の業績につきまして、何かトピックスやニュースリリースがございましたら教えていただけますか。
回答者:直近で言うと、定時株主総会を夜に行うという珍しい取り組みをいたしました。あまり参加人数が増えたわけではないので、実施しただけになってしまいましたが、事業面に関して言うと、基本的には順調に足元推移しております。一方で先ほどお話がございましたエンジニアの採用などは、やはり市場の状況も踏まえて、足元も順調というわけではないのですが、フリーランスの獲得も含めて、大きくそれで業績が下振れするということではないので、比較的順調に進捗しているかと存じます。
取材者:最後に、今後海外展開なども考えられており、そちらの方針や展望についてお聞かせいただけますか。
回答者:承知いたしました。海外展開と申しますか、やはり日本のマーケットだけでは、なかなかマーケットの成長性も含めて評価されないということは理解しており、アジアを含めて海外展開をしていきたいと中期経営計画の時点で発表させてもらっております。基本的には成長している国で、成長市場においてIT分野で参入したいと思っておりますが、現時点ではその管理体制を含めて、連結子会社で例えば海外事業を展開するのはなかなかハードルが高かったりもします。ただ、海外展開されても減損されている会社さんもたくさん見られますので、タイミングと相手先とやり方は色々と検討しながら今後決定していきたいという形になります。
取材者:そういった具体的な話が出てくるのは、次の中期経営計画や、またその先になってくるというお話でしょうか。
回答者:その可能性もあるかと存じます。一方で、私自身が保有する別のサイブリッジ社では元々ベトナムでオフショア開発をやっておりまして、海外で言うとこれはfonfunとは関係なくなるのですが、シンガポール、それから中国とバングラデシュなどでもオフショア開発を行ったことがございますので、私自身は海外展開の経験も知見も持っております。あとは適切なタイミングと、当社の事業価値に資する展開ができるタイミングで実施はしたいと考えております。
ビジネスモデルと事業内容
株式会社fonfunは、クラウドソリューションとDXソリューションの2つの事業セグメントを展開。クラウドソリューションは自社プロダクトやSaaSのストック型収益が中心であり、DXセグメントはエンジニア派遣やソフトウェア開発が中心である。両事業ともにインターネット関連で、複数企業のDXや業務改善を目的としている。
創業の経緯と転機となった出来事
当社は1997年にネットビレッジとして創業し、後にfonfunに社名変更。2002年に上場し、当初はフィーチャーフォン向けメールサービス「リモートメール」を中心に展開していた。2010年頃からはショートメッセージ配信サービスに注力。2023年にTOBにより経営体制が変更されたことが大きな転機となり、現社長が就任した。
直近の決算状況
2025年3月期の業績は、売上高12億6,800万円、営業利益1億4,900万円、経常利益1億6,300万円、当期純利益1億6,900万円と大幅な増収増益を達成。これは主にM&Aによる各セグメントの業績拡大が要因である。原則、黒字事業、あるいは黒字企業を買収のターゲットとしているため、のれん償却が発生しても利益を押し上げている。
成長戦略
成長戦略の柱はM&Aとエンジニア採用である。M&Aは経営体制変更後の2年間で6件を実施し、インターネット関連で将来予測がしやすいSaaS事業やエンジニア系SNS事業を中心に、黒字でストック性の高い事業を買収する方針である。エンジニア採用については、現状は国内に留まっているが、今後は海外展開も含めて採用枠を広げ、将来的には未経験者の採用・育成も視野に入れている。
株主還元策
株主還元の方針として、今回初めて記念配当を実施。今後は配当ではなく事業投資に資金を回し、企業価値を高め、株価を向上させることで投資家へ還元していくことを目指している。
中期経営計画
中期経営計画のROAD-01(2026年3月期)では、連結売上高20億円、EBITDA4億円、時価総額100億円、エンジニア数100名という目標を掲げている。連結売上高は、直近のM&Aにより20億円の目標達成が視野に入っており、エンジニア数も今後の採用活動によって達成可能と考えている。時価総額100億円については、市場へのPR強化を通じて達成を目指す。
今期の取り組みやトピックス
2026年3月期は、前年のM&Aにより取得した事業の通期寄与により増収増益を見込んでいる。特筆すべきトピックスとしては、上場来初の配当を実施したこと、連結売上高20億円の目標達成が視野に入ったこと、そして時価総額100億円達成に向けてメディア露出を含むPR強化を推進している点が挙げられる。また、定時株主総会を夜間に開催する珍しい取り組みも行った。エンジニア採用は引き続き課題ではあるものの、事業は概ね順調に推移している。将来的な海外展開も視野に入れている状況である。
代表取締役社長 水口 翼様
