top of page

(株)豆蔵

東証GRT 202A

決算:3月末日

nmamezo02-1ロゴ横豆白のコピー_edited.jpg

20250821

決算概要

2026年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比6.3%増の2,888百万円、営業利益が同0.8%増の538百万円、経常利益が同5.6%増の540百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.8%増の364百万円となり、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。内部予算管理上の当初目標を大きく上回り、順調な立ち上がりです。


業績の主な要因としては、AIロボティクス分野への戦略的投資が本格化する一方で、モビリティ・オートメーションを中心とした他サービス領域が収益を牽引し、全体の成長を支えています。


売上総利益は990百万円(前年同期比6.8%増)となり、売上総利益率は34.3%と前年同期の34.1%から微増しました。営業利益率は18.6%で、前年同期の19.6%からは若干低下しています。これは、10月1日のグループ統合に関する広告宣伝関連費約30百万円、およびモビリティ・オートメーション領域における稼働可能日数差異による約12百万円の一時的なマイナス影響、さらにAIロボティクス領域への戦略的投資26百万円が影響しています。これらの特殊要因を除くと、連結営業利益は前年同期比で8.8%増、AIロボティクスへの戦略的投資も考慮すると13.7%増に相当するとされています。


セグメント別または事業別の増減要因

各サービス領域は売上高で伸長しました。特にAIコンサルティングは前年同期比15.7%増と顕著に成長し、売上総利益も同48.0%増と最も高い伸び率を示しました。これは、AIアルゴリズム開発、デジタル人材育成、データ利活用・生成AI実装支援を中核とし、堅調な市場と製造業におけるDX領域の拡大(品質管理やアフターセールス等)、主要顧客とのビジネス拡大が背景にあります。


AIロボティクス・エンジニアリングは売上高が前年同期比9.2%増と伸長しましたが、売上総利益は同13.7%減の100百万円となりました。これは戦略的投資26百万円の影響によるもので、これを除くと売上総利益は前期比8.6%増となります。この領域では、生成AIを含む先進技術の活用と戦略的投資を両立させつつ、投資コスト控除後の利益は前期比で8.6%増、売上も15.4%増と力強い成長を実現しました。経済産業省のロボティクス分野プロジェクトへの正式参画も決定し、大手OEMメーカーとの取引拡大も寄与しています。


クラウドコンサルティングは売上高が前年同期比4.5%増、売上総利益が同8.7%増と堅調でした。Microsoft D365F&Oや基幹系刷新案件の活況、および顧客企業向け大型新人教育やD365F&O導入前の内製強化を目的とした教育ビジネスが寄与しました。


モビリティ・オートメーションは売上高が前年同期比5.4%増、売上総利益が同5.7%増となりました。製造業を中心に省人化・自動化ニーズが堅調であり、CASE対応を背景とした車載システム開発支援ニーズが拡大しています。当期は稼働可能日数差異により約12百万円のマイナス影響がありましたが、これを考慮すると実質的に事業利益ベースで9.1%程度の成長を遂げています。新たなOEMメーカーとの取引拡大や航空宇宙関連分野への展開も進んでいます。


主要KPIの進捗と変化

エンジニア採用が順調に進捗しており、エンジニア数は安定的に増加傾向にあります。今年度予定採用数88名に対し、6月末時点で49名採用(入社予定者含む)、進捗率は55.7%です。2026年3月期は前期比42名増の808名体制が見込まれていましたが、既に787名まで増加しています。前期末のエンジニア約760名のうち、約20名は博士課程を修了、修士課程修了者を含めると100名以上が大学院卒と、優秀な人材が在籍しています。


離職率は前年度5%台で、情報通信業界平均12.8%より低い水準を維持しており、今期も同等程度の水準で推移する見込みです。2025年10月1日の豆蔵統合により、ブランド力向上が見込まれ、グループにおける中途コンサルタント採用の質の向上も期待されています。


季節性・一過性要因の有無と影響

当四半期で業績に影響した一過性要因として、以下の2点があります。

  • 10月1日グループ統合に関する広告宣伝関連費:約30百万円のマイナス影響。

  • モビリティ・オートメーション領域における稼働可能日数差異:約12百万円のマイナス影響。

これらを合計すると約42百万円の一時的なマイナス影響が発生しました。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の通期業績は、売上高が前期比10.0%増の11,607百万円、経常利益が同4.3%増の2,140百万円と増収増益の見通しです。第1四半期は、通期予想に対して売上高で24.9%、経常利益で25.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益で25.2%と順調に進捗しています。


当初、AIロボティクス事業への戦略的投資や関税問題に起因する市場の不透明感から、通期見通しは保守的な目標を掲げていました。しかし、AIロボティクスの戦略的投資が国家プロジェクトに採択されて加速すること、および関税問題の当社ビジネスへの影響が限定的であり今後緩和される見込みであることから、会社側では通期見通しについて強い期待感を有しています。


各事業領域においても、予算達成への蓋然性は高いと見られています。クラウドコンサルティングは、基幹系刷新の優先度が高く地政学リスクの影響も限定的であるため、採用が順調に進めば予算達成は十分に見込めます。AIコンサルティングは、生成AIやLLMを中核とした成長ドライバーであり、着実な案件獲得が進んでおり確実に予算達成が可能と見込んでいます。AIロボティクス・エンジニアリングは、ロングテール市場や次世代自動車分野での需要拡大が続いており、売上トップラインは計画を上回る推移が期待され、戦略的投資プロジェクトの適切なマネジメントにより確実に予算達成が可能と見込んでいます。モビリティ・オートメーションも、新たなOEMメーカーとのビジネスや航空宇宙関連ビジネスの寄与により、予算達成は可能と見込んでいます。


トピックス

以下の点が主なトピックスです。

  • AIロボティクス分野における国家プロジェクトへの参画:NEDOが公募していた「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築」に正式に採択されました。これにより、エンドユーザーが利用しやすい「次世代ティーチングツール」の開発を推進し、ロボットの専門知識がなくても自然言語でロボットに動作指示を出せるようにすることを目指します。従来のティーチングにかかる時間を80%以上短縮することを目指し、ロングテール市場(多品種少量生産)におけるロボット導入のハードルを下げ、生産性向上と持続可能性を飛躍的に向上させます。

  • AIソフトウェアによるロングテール市場の導入障壁解消:板金加工業界向けに、手作業によるティーチングの自動化を実現する「ティーチング位置補正機能ソフト」を開発・発表しました。AI、画像処理、ユーザビリティを融合させ、対象物の歪みや位置ずれを補正し、ロボットの自律的な位置調整を可能にすることで、現場の負荷を最小限に抑え、生産性向上とロボット普及を両立させます。

  • 人型ロボット×シミュレーション×生成AIの共同研究開発:板金加工業界の顧客企業と共同で、人型ロボットが自律して作業できるような研究開発を進めています。生成AIとシミュレーション技術を融合させることで、人型ロボットの状況認識・判断・対話などの高度な知的処理と自律性を飛躍的に高めることを目指します。

  • 顧客企業との共創によるロボット事業化:ロボティクス未経験の顧客企業と共に、ロングテール市場に最適化された実用開発を推進し、社会実装を見据えた共創を実現しています。既に食品業界向けロボットや製薬企業向け実験ラボオートメーション、厨房DXプロジェクト、ソーラーパネル清掃ロボットなどの事例があり、今後はロングテール市場に特化したロボットの量産と事業化を推進し、具体的な導入事例の創出を進めていきます。

  • 豆蔵との統合によるシナジー創出:2025年10月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社豆蔵、株式会社コーワメックス、および株式会社エヌティ・ソリューションズの3社の吸収合併を予定しています。この統合は、グループのブランド力向上に繋がり、中途コンサルタント採用の質向上も期待されています。また、AI、クラウド等の技術を強化するために他サービス領域からのリソースを柔軟に再配置することで、さらなる競争優位性を図り事業成長を加速させることを目指しています。

これらのトピックスは、当社の今後の成長戦略において重要な要素となります。

makuake_logo1.png

​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年3月期決算は、売上高105億5,100万円(前年同期比10.1%増加)、営業利益20億7,000万円(同15.1%増加)、経常利益20億5,100万円(同12.7%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益14億3,300万円(同23.6%増加)と、大幅な増収増益を達成した。この業績は、中期経営計画で設定した4つのセグメントにおける市場環境の活況が主な要因である。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上比率が大きいクラウドセグメントとモビリティセグメントが全体の約8割を占めており、これらのセグメントの活況が業績全体を牽引した。中期経営計画において、連結売上高10%、営業利益15%の年平均成長率目標が達成できたことが業績好調の背景にある。

     

    主要KPIの進捗と変化

    中期経営計画において設定された主要KPIは、売上高および営業利益の成長をコミットラインとして設定し、その達成度を管理している。2025年3月期においては、設定されたコミットラインもグループ全体で達成された。また、人的ビジネスであるため、採用も重要なKPIと位置付けており、離職率を抑え、年間80名から90名の採用を行うことで、純増30名から40名の達成を目指している。現状では、グループ全体の離職率が目標の5%をクリアしており、社員数も増加していることから、量的な成長は実現できている。加えて、高い営業利益率を維持しつつ、15%以上の成長目標も達成している。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の連結業績予想は、売上高116億700万円(前期比10%増加)、営業利益21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益を見込んでいる。増益率を抑制している背景には、AIロボティクスにおけるロングテール市場での課題解決に向けた戦略的な研究開発投資がある。この投資はボット導入におけるティーチングコストの削減や、生成AI・シミュレーション技術による自律化の推進を目的としている。

     

    トピックス

    当社は、AIロボティクス事業の長期的な成長を重視し、2026年3月期において一時的にロボティクスの成長を抑制し、研究開発への投資を強化する方針を決定した。これは、ロングテール市場におけるロボット導入の大きな課題、すなわち中小規模市場での人的リテラシーの低さや、多種多様な柔軟物を扱う際のティーチングコストの高さに対応するためである。生成AIを活用したロボットの自律化、およびシミュレーション技術の開発に注力することで、ロボット導入のハードルを下げ、2028年3月期からの第2期中期経営計画ではロボティクス分野の加速的な成長を加味して、約30%の成長を目標に据えている。なお、M&Aや業務提携に関する検討は進めているものの、現時点では投資家への開示段階ではない。株主還元方針については、中長期的な配当性向の目標値を50%~70%と設定しており、大きな変更はない。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は、AIロボティクス分野における成長戦略として、足元の成長を一時的に抑制し、研究開発への戦略的投資を強化する方針を決定いたしました。これは、ロボット導入のハードルとなっているティーチングコストの削減が不可欠であるとの認識に基づいています。具体的には、生成AI技術を活用してロボットの自律的な動作を促進すること、およびシミュレーション技術の導入を重視しており、これにより実機テストに伴うコストや時間のリスクを低減いたします。これらの技術をロングテール市場に徹底的に導入することで、ロボット導入の障壁を下げ、市場拡大を図ることが可能となり、長期的な成長を目指します。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2025年3月期は、中期経営計画において設定した4つのセグメントの市場環境が非常に活況であり、目標に設定した年平均成長率で売上高10%、営業利益15%の成長目標が、グループ全体で達成できたことは、非常に良い結果であったと評価しております。

    2026年3月期の見通しといたしましては、連結決算で売上高116億700万円(前期比10%増加)、営業利益21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益を見込んでおります。この増益率を抑制している背景には、AIロボティクス分野におけるロングテール市場特有の課題への対応がございます。具体的には、中小規模市場における人的リテラシーの低さや、多種多様な柔軟物を扱う際のティーチングコストの高さが挙げられます。これらの課題を解決し、ロボット導入のハードルを下げるために、当社はロボティクス事業の成長を一時的に抑制し、生成AIを活用したロボットの自律化、およびシミュレーション技術の研究開発に投資を行う判断をいたしました。この戦略的な投資により、長期的な成長基盤を構築し、次期中期経営計画では約30%の成長を目指してまいります。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:当社では、様々な業務提携やM&Aに関して検討を進めております。しかしながら、現時点においては、投資家の皆様にお話しできる具体的な段階にはございません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:当社の中期経営計画に関して、2025年3月期は計画に設定した4つのセグメントの市場環境が極めて好調であり、連結売上高10%、営業利益15%の年平均成長率目標は、グループ全体で達成することができました。次の第2期中期経営計画は2028年3月期から開始される予定であり、その計画においては、AIロボティクス事業の成長を加味して、約30%成長を目標として計画を策定していく方針です。なお、アップデートされた中期経営計画における具体的な売上高や営業利益の数値については、現時点では未公表です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:当社の株主還元方針に大きな変更はございません。引き続き、中長期的な配当性向の目標値を50%から70%と設定しております。

  • 取材者:まず、2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高は105億5,100万円で前年同期比10.1%増加、営業利益は20億7,000万円で前年同期比15.1%増加、経常利益は20億5,100万円で前年同期比12.7%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は14億3,300万円で前年同期比23.6%増加と、大幅な増収増益を達成されたかと存じますが、こちらの増減要因についてご説明いただけますか。

     

    回答者:業績の全体感についてご説明いたします。当社の2025年3月期は、中期経営計画において設定した4つのセグメントの市場環境が非常に活況であり、年平均成長率で売上高10%、営業利益15%に設定した成長目標が達成できたことは、非常に良い結果であったと考えております。

     

    取材者:セグメント別の業績推移についてお聞かせいただけますか。

     

    回答者:まず、売上比率が大きいのはクラウドセグメントとモビリティセグメントで、この2つで全体の約8割を占めております。クラウドコンサルに関しては、第3四半期に予定よりも減収となりました。これは、昨年を通じてグループで見たときに最も大きな問題であったと認識しております。迅速なリカバリーができたのは、営業の積み上げ効果があったためと考えております。

     

    取材者:第3四半期に業績が落ち込んだ要因はどのようなものでしょうか。

     

    回答者:要因は明確です。大手保険会社の基幹系システム刷新プロジェクトが、経営判断により一時凍結されました。これにより約15名の稼働が急遽空いてしまいましたが、重要顧客からは再開するというお話をいただいておりましたので、その再開を待っておりました。しかし、再開の見通しが立たず、2〜3ヶ月間、人員がアサインされない状況が続きました。その15名については総合商社系の案件で全てリカバリーできており、クラウドセグメントの稼働率は現在90%を超えている状況です。

     

    取材者:前期と比べて、人材採用の状況はいかがですか。

     

    回答者:採用に関しては、グループ全体で80名から90名程度の採用を計画しており、3つの会社と7つの事業部でそれぞれ約10名から20名ずつ採用を進めております。採用は概ね計画通りに進捗しております。

     

    取材者:貴社の計画と比べて、いずれかのセグメントで遅れがあった、あるいは予想を上回る進捗があったということはございますか。

     

    回答者:業績の進捗に関しては、クラウドコンサルについて先ほど説明いたしました。AIコンサルは全体売上に占める割合が5%から10%と非常に少ないため、大きなインパクトはありませんでしたが、既存の取引プロジェクトでお客様都合により約2ヶ月間停止し、その再開までの間、重要顧客のリソースを維持していたため、第3四半期に少し落ち込みがありました。AIロボティクスとモビリティオートメーションは非常に好調であり、期初の予測を大きく上回り、業績及びサービスの評価という面において非常に好調でした。

    取材者:この2つのセグメントは、いずれも前年同期比で売上高はAIロボティクスが29%、モビリティオートメーションが10%、それぞれ伸びていますね。

     

    回答者:はい。AIロボティクス・エンジニアリングは、自動車OEM向けのSDV系プロジェクトがそれぞれ好調でした。特に第3四半期頃からAIロボティクスの引き合いがかなり増えました。

     

    取材者:その市場環境は今後も継続する見込みですか、それとも一時的な需要だったのでしょうか。

     

    回答者:AIロボティクス市場が活況である大きな背景には、日本の少子高齢化と、いわゆるロングテール市場(マーケットの小さい医療、医薬、介護、食品加工などの人的リソースが枯渇している業界)における自動化ニーズの高まりがあります。この傾向は今後数年間、中期的に大きな課題として続くものと認識しております。

     

    取材者:主要なKPIについてお聞かせいただけますか。

     

    回答者:KPIとしましては、先ほど説明いたしました売上高と営業利益の成長をコミットラインとして設定し、コントロールしてまいりました。また、当社は人月ビジネスですので、採用も重要なKPIです。離職率を抑え、年間80名から90名採用することで、純増で30名から40名を伸ばしていくという計画を立てております。現在、離職率もグループ全体で5%と目標をクリアしており、社員数も増えておりますので、量的な成長は実現できております。また、高い営業利益率を維持しながら、15%以上の成長を達成するという目標もクリアできております。順調に成長していると考えております。

     

    取材者:それでは、2026年3月期の見通しについても少しお伺いいたします。連結決算で継続した場合の予想として、売上高が116億700万円(前期比10%増加)、営業利益が21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益が21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益が14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益の見込みとされておりますが、こちらの見通しについてご説明いただけますか。

     

    回答者:増収増益ではありますが、増益率を抑えている点についてご説明いたします。今回大きく飛躍したAIロボティクスですが、ロングテール市場におけるロボット導入において大きな課題が生じています。これは当社の課題ではなく、マーケット上の課題です。課題は2つあります。1つは、自動車産業のような量産型と比べて、中小規模の市場では人的リテラシーが低いという問題です。もう1つは、量産であれば繰り返し生産型で、一度ロボットにティーチングプログラムを組めばうまく稼働しますが、ロングテール市場で扱うものは多種多様です。食品で言えばパスタや唐揚げ、製造業で言えばケーブルやワイヤーハーネスのような柔軟物など、非常に柔らかいものが多く、扱うものが多様化しているため、ロボットをいちいちティーチングしていてはコストがかかりすぎて導入できません。そのため、ティーチングコストを下げる仕組みが必要です。つまり、生成AIを使ってロボットが極力自律的に動けるようにすることと、シミュレーション技術が必要です。柔軟なものを実機でテストするとコストや時間のリスクがあるため、シミュレーションが必要となります。これら2つの技術をロングテール市場に徹底的に導入しなければ、ロボット導入のハードルは下がりません。そのような状況を考慮し、当社としてはロボティクスの成長を一時的に抑制し、研究開発に投資していく判断をいたしました。

     

    取材者:成果の目途はどれくらいに考えられていますか。

     

    回答者:成果という意味では、次の第2期中期経営計画が2028年3月期にスタートしますが、その計画ではAIロボティクスの成長性アップを加味しまして、約30%成長を目標に計画を立てていきたいと考えております。

     

    取材者:アップデートした中期経営計画において、売上高や営業利益の数値などは公表されていらっしゃいますか。

     

    回答者:いえ、まだ公表しておりません。

     

    取材者:今後、M&Aや業務提携に関して、実施予定や検討状況などございましたら、お答えいただける範囲で結構ですのでお聞かせいただけますか。

     

    回答者:様々な業務提携やM&Aに関して検討を進めておりますが、現時点で投資家の皆様にお話しできる段階にはございません。

     

    取材者:株主還元の方針に変更などございましたらお聞かせいただけますか。

     

    回答者:大きくは変更ございません。中長期的な配当性向の目標値を50%~70%と設定しております。これは、業績に応じた柔軟な利益配分を行いつつ、株主の皆様への還元を強化することを目的としております。2026年3月期(予想)では、1株当たり配当を61円と2025年3月期の60円から増配を予定しております。

     

    取材者:その他に、足元に関してトピックスやニュースリリースなどございましたらお聞かせいただけますか。

     

    回答者:決算発表でも説明いたしましたが、AIロボティクスへの投資です。当社としては、今、AIロボティクス銘柄として踏み込んでも良いと考えております。また、当社は4つのセグメントをベースに、今年の10月1日に全社を統合いたしますので、いよいよ「豆蔵」というブランド一つに集約し、事業を開始いたします。組織と会社の壁を全て取り除くことで、AIロボティクスに注力するのであれば、そこに柔軟にリソースを配分することも可能になります。

     

    取材者:それは資金も人も含めて、ということですね。

     

    回答者:はい、そうです。また、当社は元々、内部改革よりも顧客起点の改革により売上・利益を上げてまいりましたので、一つの会社にすることでその強みをより強固なものにできると考えております。その効果を今期下期で発揮し、次の中期経営計画で30%成長に貢献させていきたいと考えております。

     

    取材者:お時間いただきありがとうございました。引き続き何卒よろしくお願いいたします。

     

    回答者:よろしくお願いいたします。

  • 代表取締役社長 中原 徹也様

    取締役 泉 健憲様

nmamezo02-1ロゴ横豆白のコピー_edited.jpg

(株)豆蔵

東証GRT 202A

決算:3月末日

決算概要

2026年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比6.3%増の2,888百万円、営業利益が同0.8%増の538百万円、経常利益が同5.6%増の540百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同8.8%増の364百万円となり、売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。内部予算管理上の当初目標を大きく上回り、順調な立ち上がりです。


業績の主な要因としては、AIロボティクス分野への戦略的投資が本格化する一方で、モビリティ・オートメーションを中心とした他サービス領域が収益を牽引し、全体の成長を支えています。


売上総利益は990百万円(前年同期比6.8%増)となり、売上総利益率は34.3%と前年同期の34.1%から微増しました。営業利益率は18.6%で、前年同期の19.6%からは若干低下しています。これは、10月1日のグループ統合に関する広告宣伝関連費約30百万円、およびモビリティ・オートメーション領域における稼働可能日数差異による約12百万円の一時的なマイナス影響、さらにAIロボティクス領域への戦略的投資26百万円が影響しています。これらの特殊要因を除くと、連結営業利益は前年同期比で8.8%増、AIロボティクスへの戦略的投資も考慮すると13.7%増に相当するとされています。


セグメント別または事業別の増減要因

各サービス領域は売上高で伸長しました。特にAIコンサルティングは前年同期比15.7%増と顕著に成長し、売上総利益も同48.0%増と最も高い伸び率を示しました。これは、AIアルゴリズム開発、デジタル人材育成、データ利活用・生成AI実装支援を中核とし、堅調な市場と製造業におけるDX領域の拡大(品質管理やアフターセールス等)、主要顧客とのビジネス拡大が背景にあります。


AIロボティクス・エンジニアリングは売上高が前年同期比9.2%増と伸長しましたが、売上総利益は同13.7%減の100百万円となりました。これは戦略的投資26百万円の影響によるもので、これを除くと売上総利益は前期比8.6%増となります。この領域では、生成AIを含む先進技術の活用と戦略的投資を両立させつつ、投資コスト控除後の利益は前期比で8.6%増、売上も15.4%増と力強い成長を実現しました。経済産業省のロボティクス分野プロジェクトへの正式参画も決定し、大手OEMメーカーとの取引拡大も寄与しています。


クラウドコンサルティングは売上高が前年同期比4.5%増、売上総利益が同8.7%増と堅調でした。Microsoft D365F&Oや基幹系刷新案件の活況、および顧客企業向け大型新人教育やD365F&O導入前の内製強化を目的とした教育ビジネスが寄与しました。


モビリティ・オートメーションは売上高が前年同期比5.4%増、売上総利益が同5.7%増となりました。製造業を中心に省人化・自動化ニーズが堅調であり、CASE対応を背景とした車載システム開発支援ニーズが拡大しています。当期は稼働可能日数差異により約12百万円のマイナス影響がありましたが、これを考慮すると実質的に事業利益ベースで9.1%程度の成長を遂げています。新たなOEMメーカーとの取引拡大や航空宇宙関連分野への展開も進んでいます。


主要KPIの進捗と変化

エンジニア採用が順調に進捗しており、エンジニア数は安定的に増加傾向にあります。今年度予定採用数88名に対し、6月末時点で49名採用(入社予定者含む)、進捗率は55.7%です。2026年3月期は前期比42名増の808名体制が見込まれていましたが、既に787名まで増加しています。前期末のエンジニア約760名のうち、約20名は博士課程を修了、修士課程修了者を含めると100名以上が大学院卒と、優秀な人材が在籍しています。


離職率は前年度5%台で、情報通信業界平均12.8%より低い水準を維持しており、今期も同等程度の水準で推移する見込みです。2025年10月1日の豆蔵統合により、ブランド力向上が見込まれ、グループにおける中途コンサルタント採用の質の向上も期待されています。


季節性・一過性要因の有無と影響

当四半期で業績に影響した一過性要因として、以下の2点があります。

  • 10月1日グループ統合に関する広告宣伝関連費:約30百万円のマイナス影響。

  • モビリティ・オートメーション領域における稼働可能日数差異:約12百万円のマイナス影響。

これらを合計すると約42百万円の一時的なマイナス影響が発生しました。


通期見通しと進捗率・達成可能性

2026年3月期の通期業績は、売上高が前期比10.0%増の11,607百万円、経常利益が同4.3%増の2,140百万円と増収増益の見通しです。第1四半期は、通期予想に対して売上高で24.9%、経常利益で25.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益で25.2%と順調に進捗しています。


当初、AIロボティクス事業への戦略的投資や関税問題に起因する市場の不透明感から、通期見通しは保守的な目標を掲げていました。しかし、AIロボティクスの戦略的投資が国家プロジェクトに採択されて加速すること、および関税問題の当社ビジネスへの影響が限定的であり今後緩和される見込みであることから、会社側では通期見通しについて強い期待感を有しています。


各事業領域においても、予算達成への蓋然性は高いと見られています。クラウドコンサルティングは、基幹系刷新の優先度が高く地政学リスクの影響も限定的であるため、採用が順調に進めば予算達成は十分に見込めます。AIコンサルティングは、生成AIやLLMを中核とした成長ドライバーであり、着実な案件獲得が進んでおり確実に予算達成が可能と見込んでいます。AIロボティクス・エンジニアリングは、ロングテール市場や次世代自動車分野での需要拡大が続いており、売上トップラインは計画を上回る推移が期待され、戦略的投資プロジェクトの適切なマネジメントにより確実に予算達成が可能と見込んでいます。モビリティ・オートメーションも、新たなOEMメーカーとのビジネスや航空宇宙関連ビジネスの寄与により、予算達成は可能と見込んでいます。


トピックス

以下の点が主なトピックスです。

  • AIロボティクス分野における国家プロジェクトへの参画:NEDOが公募していた「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ロボティクス分野におけるソフトウェア開発基盤構築」に正式に採択されました。これにより、エンドユーザーが利用しやすい「次世代ティーチングツール」の開発を推進し、ロボットの専門知識がなくても自然言語でロボットに動作指示を出せるようにすることを目指します。従来のティーチングにかかる時間を80%以上短縮することを目指し、ロングテール市場(多品種少量生産)におけるロボット導入のハードルを下げ、生産性向上と持続可能性を飛躍的に向上させます。

  • AIソフトウェアによるロングテール市場の導入障壁解消:板金加工業界向けに、手作業によるティーチングの自動化を実現する「ティーチング位置補正機能ソフト」を開発・発表しました。AI、画像処理、ユーザビリティを融合させ、対象物の歪みや位置ずれを補正し、ロボットの自律的な位置調整を可能にすることで、現場の負荷を最小限に抑え、生産性向上とロボット普及を両立させます。

  • 人型ロボット×シミュレーション×生成AIの共同研究開発:板金加工業界の顧客企業と共同で、人型ロボットが自律して作業できるような研究開発を進めています。生成AIとシミュレーション技術を融合させることで、人型ロボットの状況認識・判断・対話などの高度な知的処理と自律性を飛躍的に高めることを目指します。

  • 顧客企業との共創によるロボット事業化:ロボティクス未経験の顧客企業と共に、ロングテール市場に最適化された実用開発を推進し、社会実装を見据えた共創を実現しています。既に食品業界向けロボットや製薬企業向け実験ラボオートメーション、厨房DXプロジェクト、ソーラーパネル清掃ロボットなどの事例があり、今後はロングテール市場に特化したロボットの量産と事業化を推進し、具体的な導入事例の創出を進めていきます。

  • 豆蔵との統合によるシナジー創出:2025年10月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社豆蔵、株式会社コーワメックス、および株式会社エヌティ・ソリューションズの3社の吸収合併を予定しています。この統合は、グループのブランド力向上に繋がり、中途コンサルタント採用の質向上も期待されています。また、AI、クラウド等の技術を強化するために他サービス領域からのリソースを柔軟に再配置することで、さらなる競争優位性を図り事業成長を加速させることを目指しています。

これらのトピックスは、当社の今後の成長戦略において重要な要素となります。

取材アーカイブ

  • CP&X

     

    決算概要

    2025年3月期決算は、売上高105億5,100万円(前年同期比10.1%増加)、営業利益20億7,000万円(同15.1%増加)、経常利益20億5,100万円(同12.7%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益14億3,300万円(同23.6%増加)と、大幅な増収増益を達成した。この業績は、中期経営計画で設定した4つのセグメントにおける市場環境の活況が主な要因である。

     

    セグメント別または事業別の増減要因

    売上比率が大きいクラウドセグメントとモビリティセグメントが全体の約8割を占めており、これらのセグメントの活況が業績全体を牽引した。中期経営計画において、連結売上高10%、営業利益15%の年平均成長率目標が達成できたことが業績好調の背景にある。

     

    主要KPIの進捗と変化

    中期経営計画において設定された主要KPIは、売上高および営業利益の成長をコミットラインとして設定し、その達成度を管理している。2025年3月期においては、設定されたコミットラインもグループ全体で達成された。また、人的ビジネスであるため、採用も重要なKPIと位置付けており、離職率を抑え、年間80名から90名の採用を行うことで、純増30名から40名の達成を目指している。現状では、グループ全体の離職率が目標の5%をクリアしており、社員数も増加していることから、量的な成長は実現できている。加えて、高い営業利益率を維持しつつ、15%以上の成長目標も達成している。

     

    通期見通しと進捗率・達成可能性

    2026年3月期の連結業績予想は、売上高116億700万円(前期比10%増加)、営業利益21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益を見込んでいる。増益率を抑制している背景には、AIロボティクスにおけるロングテール市場での課題解決に向けた戦略的な研究開発投資がある。この投資はボット導入におけるティーチングコストの削減や、生成AI・シミュレーション技術による自律化の推進を目的としている。

     

    トピックス

    当社は、AIロボティクス事業の長期的な成長を重視し、2026年3月期において一時的にロボティクスの成長を抑制し、研究開発への投資を強化する方針を決定した。これは、ロングテール市場におけるロボット導入の大きな課題、すなわち中小規模市場での人的リテラシーの低さや、多種多様な柔軟物を扱う際のティーチングコストの高さに対応するためである。生成AIを活用したロボットの自律化、およびシミュレーション技術の開発に注力することで、ロボット導入のハードルを下げ、2028年3月期からの第2期中期経営計画ではロボティクス分野の加速的な成長を加味して、約30%の成長を目標に据えている。なお、M&Aや業務提携に関する検討は進めているものの、現時点では投資家への開示段階ではない。株主還元方針については、中長期的な配当性向の目標値を50%~70%と設定しており、大きな変更はない。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:当社は、AIロボティクス分野における成長戦略として、足元の成長を一時的に抑制し、研究開発への戦略的投資を強化する方針を決定いたしました。これは、ロボット導入のハードルとなっているティーチングコストの削減が不可欠であるとの認識に基づいています。具体的には、生成AI技術を活用してロボットの自律的な動作を促進すること、およびシミュレーション技術の導入を重視しており、これにより実機テストに伴うコストや時間のリスクを低減いたします。これらの技術をロングテール市場に徹底的に導入することで、ロボット導入の障壁を下げ、市場拡大を図ることが可能となり、長期的な成長を目指します。

     

    Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。

    A:2025年3月期は、中期経営計画において設定した4つのセグメントの市場環境が非常に活況であり、目標に設定した年平均成長率で売上高10%、営業利益15%の成長目標が、グループ全体で達成できたことは、非常に良い結果であったと評価しております。

    2026年3月期の見通しといたしましては、連結決算で売上高116億700万円(前期比10%増加)、営業利益21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益を見込んでおります。この増益率を抑制している背景には、AIロボティクス分野におけるロングテール市場特有の課題への対応がございます。具体的には、中小規模市場における人的リテラシーの低さや、多種多様な柔軟物を扱う際のティーチングコストの高さが挙げられます。これらの課題を解決し、ロボット導入のハードルを下げるために、当社はロボティクス事業の成長を一時的に抑制し、生成AIを活用したロボットの自律化、およびシミュレーション技術の研究開発に投資を行う判断をいたしました。この戦略的な投資により、長期的な成長基盤を構築し、次期中期経営計画では約30%の成長を目指してまいります。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:当社では、様々な業務提携やM&Aに関して検討を進めております。しかしながら、現時点においては、投資家の皆様にお話しできる具体的な段階にはございません。

     

    Q:中期経営計画の内容や進捗状況等をご説明ください。

    A:当社の中期経営計画に関して、2025年3月期は計画に設定した4つのセグメントの市場環境が極めて好調であり、連結売上高10%、営業利益15%の年平均成長率目標は、グループ全体で達成することができました。次の第2期中期経営計画は2028年3月期から開始される予定であり、その計画においては、AIロボティクス事業の成長を加味して、約30%成長を目標として計画を策定していく方針です。なお、アップデートされた中期経営計画における具体的な売上高や営業利益の数値については、現時点では未公表です。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:当社の株主還元方針に大きな変更はございません。引き続き、中長期的な配当性向の目標値を50%から70%と設定しております。

  • 取材者:まず、2025年3月期の決算についてお伺いいたします。売上高は105億5,100万円で前年同期比10.1%増加、営業利益は20億7,000万円で前年同期比15.1%増加、経常利益は20億5,100万円で前年同期比12.7%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は14億3,300万円で前年同期比23.6%増加と、大幅な増収増益を達成されたかと存じますが、こちらの増減要因についてご説明いただけますか。

     

    回答者:業績の全体感についてご説明いたします。当社の2025年3月期は、中期経営計画において設定した4つのセグメントの市場環境が非常に活況であり、年平均成長率で売上高10%、営業利益15%に設定した成長目標が達成できたことは、非常に良い結果であったと考えております。

     

    取材者:セグメント別の業績推移についてお聞かせいただけますか。

     

    回答者:まず、売上比率が大きいのはクラウドセグメントとモビリティセグメントで、この2つで全体の約8割を占めております。クラウドコンサルに関しては、第3四半期に予定よりも減収となりました。これは、昨年を通じてグループで見たときに最も大きな問題であったと認識しております。迅速なリカバリーができたのは、営業の積み上げ効果があったためと考えております。

     

    取材者:第3四半期に業績が落ち込んだ要因はどのようなものでしょうか。

     

    回答者:要因は明確です。大手保険会社の基幹系システム刷新プロジェクトが、経営判断により一時凍結されました。これにより約15名の稼働が急遽空いてしまいましたが、重要顧客からは再開するというお話をいただいておりましたので、その再開を待っておりました。しかし、再開の見通しが立たず、2〜3ヶ月間、人員がアサインされない状況が続きました。その15名については総合商社系の案件で全てリカバリーできており、クラウドセグメントの稼働率は現在90%を超えている状況です。

     

    取材者:前期と比べて、人材採用の状況はいかがですか。

     

    回答者:採用に関しては、グループ全体で80名から90名程度の採用を計画しており、3つの会社と7つの事業部でそれぞれ約10名から20名ずつ採用を進めております。採用は概ね計画通りに進捗しております。

     

    取材者:貴社の計画と比べて、いずれかのセグメントで遅れがあった、あるいは予想を上回る進捗があったということはございますか。

     

    回答者:業績の進捗に関しては、クラウドコンサルについて先ほど説明いたしました。AIコンサルは全体売上に占める割合が5%から10%と非常に少ないため、大きなインパクトはありませんでしたが、既存の取引プロジェクトでお客様都合により約2ヶ月間停止し、その再開までの間、重要顧客のリソースを維持していたため、第3四半期に少し落ち込みがありました。AIロボティクスとモビリティオートメーションは非常に好調であり、期初の予測を大きく上回り、業績及びサービスの評価という面において非常に好調でした。

    取材者:この2つのセグメントは、いずれも前年同期比で売上高はAIロボティクスが29%、モビリティオートメーションが10%、それぞれ伸びていますね。

     

    回答者:はい。AIロボティクス・エンジニアリングは、自動車OEM向けのSDV系プロジェクトがそれぞれ好調でした。特に第3四半期頃からAIロボティクスの引き合いがかなり増えました。

     

    取材者:その市場環境は今後も継続する見込みですか、それとも一時的な需要だったのでしょうか。

     

    回答者:AIロボティクス市場が活況である大きな背景には、日本の少子高齢化と、いわゆるロングテール市場(マーケットの小さい医療、医薬、介護、食品加工などの人的リソースが枯渇している業界)における自動化ニーズの高まりがあります。この傾向は今後数年間、中期的に大きな課題として続くものと認識しております。

     

    取材者:主要なKPIについてお聞かせいただけますか。

     

    回答者:KPIとしましては、先ほど説明いたしました売上高と営業利益の成長をコミットラインとして設定し、コントロールしてまいりました。また、当社は人月ビジネスですので、採用も重要なKPIです。離職率を抑え、年間80名から90名採用することで、純増で30名から40名を伸ばしていくという計画を立てております。現在、離職率もグループ全体で5%と目標をクリアしており、社員数も増えておりますので、量的な成長は実現できております。また、高い営業利益率を維持しながら、15%以上の成長を達成するという目標もクリアできております。順調に成長していると考えております。

     

    取材者:それでは、2026年3月期の見通しについても少しお伺いいたします。連結決算で継続した場合の予想として、売上高が116億700万円(前期比10%増加)、営業利益が21億4,200万円(同3.5%増加)、経常利益が21億4,000万円(同4.3%増加)、当期純利益が14億4,700万円(同0.9%増加)と、増収増益の見込みとされておりますが、こちらの見通しについてご説明いただけますか。

     

    回答者:増収増益ではありますが、増益率を抑えている点についてご説明いたします。今回大きく飛躍したAIロボティクスですが、ロングテール市場におけるロボット導入において大きな課題が生じています。これは当社の課題ではなく、マーケット上の課題です。課題は2つあります。1つは、自動車産業のような量産型と比べて、中小規模の市場では人的リテラシーが低いという問題です。もう1つは、量産であれば繰り返し生産型で、一度ロボットにティーチングプログラムを組めばうまく稼働しますが、ロングテール市場で扱うものは多種多様です。食品で言えばパスタや唐揚げ、製造業で言えばケーブルやワイヤーハーネスのような柔軟物など、非常に柔らかいものが多く、扱うものが多様化しているため、ロボットをいちいちティーチングしていてはコストがかかりすぎて導入できません。そのため、ティーチングコストを下げる仕組みが必要です。つまり、生成AIを使ってロボットが極力自律的に動けるようにすることと、シミュレーション技術が必要です。柔軟なものを実機でテストするとコストや時間のリスクがあるため、シミュレーションが必要となります。これら2つの技術をロングテール市場に徹底的に導入しなければ、ロボット導入のハードルは下がりません。そのような状況を考慮し、当社としてはロボティクスの成長を一時的に抑制し、研究開発に投資していく判断をいたしました。

     

    取材者:成果の目途はどれくらいに考えられていますか。

     

    回答者:成果という意味では、次の第2期中期経営計画が2028年3月期にスタートしますが、その計画ではAIロボティクスの成長性アップを加味しまして、約30%成長を目標に計画を立てていきたいと考えております。

     

    取材者:アップデートした中期経営計画において、売上高や営業利益の数値などは公表されていらっしゃいますか。

     

    回答者:いえ、まだ公表しておりません。

     

    取材者:今後、M&Aや業務提携に関して、実施予定や検討状況などございましたら、お答えいただける範囲で結構ですのでお聞かせいただけますか。

     

    回答者:様々な業務提携やM&Aに関して検討を進めておりますが、現時点で投資家の皆様にお話しできる段階にはございません。

     

    取材者:株主還元の方針に変更などございましたらお聞かせいただけますか。

     

    回答者:大きくは変更ございません。中長期的な配当性向の目標値を50%~70%と設定しております。これは、業績に応じた柔軟な利益配分を行いつつ、株主の皆様への還元を強化することを目的としております。2026年3月期(予想)では、1株当たり配当を61円と2025年3月期の60円から増配を予定しております。

     

    取材者:その他に、足元に関してトピックスやニュースリリースなどございましたらお聞かせいただけますか。

     

    回答者:決算発表でも説明いたしましたが、AIロボティクスへの投資です。当社としては、今、AIロボティクス銘柄として踏み込んでも良いと考えております。また、当社は4つのセグメントをベースに、今年の10月1日に全社を統合いたしますので、いよいよ「豆蔵」というブランド一つに集約し、事業を開始いたします。組織と会社の壁を全て取り除くことで、AIロボティクスに注力するのであれば、そこに柔軟にリソースを配分することも可能になります。

     

    取材者:それは資金も人も含めて、ということですね。

     

    回答者:はい、そうです。また、当社は元々、内部改革よりも顧客起点の改革により売上・利益を上げてまいりましたので、一つの会社にすることでその強みをより強固なものにできると考えております。その効果を今期下期で発揮し、次の中期経営計画で30%成長に貢献させていきたいと考えております。

     

    取材者:お時間いただきありがとうございました。引き続き何卒よろしくお願いいたします。

     

    回答者:よろしくお願いいたします。

  • 代表取締役社長 中原 徹也様

    取締役 泉 健憲様

  • ​―

bottom of page