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(株)ハッチ・ワーク

東証GRT 148A

決算:12月末日

20251121

CP&X

 

【2025年12月期3Q】

決算概要

営業概況としては、APクラウドサービスにおける積極的な営業活動により契約社数・システム登録台数(以下、APクラウド登録台数)は大幅に増加し、それに伴い駐車場利用者から収受する決済手数料・初回保証料・月額保証料等が増加しました。この結果、当第3四半期会計期間の売上高は2,023,024千円(前年同期比15.4%増)、営業利益は223,677千円(前年同期比69.1%増)、経常利益は237,902千円(前年同期比110.9%増)、四半期純利益は155,611千円(前年同期比110.9%増)となりました。

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セグメント別または事業別の増減要因

月極イノベーション事業セグメントにおいては、不動産業界最大団体ハトマークグループのハトマーク支援機構との業務提携を背景にした営業活動強化に加え、駐車場業界大手のエコロシティにAPクラウドサービスを提供する等の拡充を実施しました。この結果、当第3四半期累計期間における本セグメントの売上高は1,279,515千円(前年同期比23.1%増)、セグメント利益は385,482千円(前年同期比40.1%増)となりました。

主要KPIの進捗と変化

APクラウド登録台数は44.5万台(前年同期比23%増)となりました。これが、今後の売上成長に繋がる数値となります。収益に直接繋がる滞納保証台数は、8.4万台(前年同期比38%増)、決済代行台数は17.0万台(前年同期比19%増)となりました。

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季節性・一過性要因の有無と影響

当四半期における経常利益に関しては2Qと比べると減少しておりますが、前年同期比は16.7%増と順調に推移しております。当四半期においては先行投資として広告宣伝費やシステム関連費を計上しています。また、ビルディングイノベーション事業においては、品川・五反田店をオープンしており、それに伴い先行して発生した広告宣伝費等が増加した影響も受けています。

季節性の影響としては駐車場の新規契約に繋がるイベントである就業、転勤等が4月に偏って発生することから、月極イノベーション事業の売上は2Qに伸長する傾向があり、ビルディングイノベーション事業においても、同様であり新卒入社後の研修など貸会議室の需要が膨らむ4、5月が含まれる2Qは売上が伸長する傾向があります。

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通期見通しと進捗率・達成可能性

2025年12月期通期の業績予想につきましては、売上高は堅調に推移しており、主要事業であるAPクラウドサービスの進捗率も継続して高い状況です。利益面では業務プロセスの見直しやシステム化の推進等により生産性が向上し、当初計画していた増員を一部行わなかったことから利益率が向上し、営業利益が当初計画から22.3%増と大幅な増益となる見込みとなりました。また、それに伴って経常利益及び当期純利益につきましても、期初計画から増益となる見通しとなりました。

今後の取り組みとして、APクラウドサービスの導入促進と、さらなる収益性の向上を目指して社内活動の効率化を図ることで、引き続き業績の向上に努めてまいります。

トピックス

駐車場事業の売上高が6割を超えてきており、APクラウドサービスを主事業として拡大に注力していく方針ですが、ビルディングイノベーション事業についても将来事業拡大に繋がる案件があれば積極的に投資する意向です。

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・資料

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年12月期第2四半期決算は、売上高13億3,800万円(前年同期比15.0%増)、営業利益1億7,100万円(同96.5%増)、経常利益1億8,700万円(同169.7%増)、中間純利益1億2,200万円(同169.7%増)と好調な増収増益決算であった。利益が大幅に上振れた主な要因は、上半期に予定していた採用やマーケティングへの投資が下半期にずれ込んだことによる。

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    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIは全体的に問題のない水準で推移しており、比較的順調な状況である。営業成果を示すAPクラウド登録台数は増加傾向。一方、決済代行台数は、引継ぎ作業が管理会社およびご利用者の手続きの進捗に依存する部分があり、四半期単位の進捗にはばらつきが見られる。滞納保証台数は、駐車場の契約平均期間が4年から5年程度であるため、それに合わせて自然増が見込まれる。

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    季節性・一過性要因の有無と影響

    例年同様、事業に季節性が見られる。月極駐車場の事業は就業・転勤による引っ越しや車の買い替えが多い時期であること、貸会議室の事業は採用面接や研修が集中する時期であることから、第2四半期は売上・利益ともに高くなる傾向がある。第3四半期は夏休みがあるため、やや落ち込みが見られる。

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    通期見通しと進捗率・達成可能性

    通期業績予想に対し、半期時点の売上進捗率は48.8%であり、過去のトレンドから見て問題のない水準。利益に関しては、通期予想にほぼ近いところまで進捗しており、達成は確実な見通し。しかし、さらなる利益の上振れを目指すのではなく、中長期的な成長を見据えた積極的な投資を行う方針のため、利益の上振れ幅は多少抑えめになる可能性がある。

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    トピックス

    上半期の売上は計画に対し順調で、利益は通期予想に近い水準に達している。下半期は上半期からずれ込んだ投資と、利益が上振れした分も積極的に投資していく方針である。この数年間ほぼ横ばいであった貸会議室に新しい案件が出てきており、ビルディングイノベーション事業も売上高はプラスに転じる見込みも、投資先行型事業のため同事業における初年度の損益に対してはマイナスインパクト、翌期以降の回収となる。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:今後の成長に向け、下半期は上半期からずれ込んだ投資と、上半期で上振れした利益を活用し、積極的な投資を計画しています。主に、採用やマーケティング分野での投資を強化します。採用活動においては、インサイドセールスやオンボーディングなど「アットバーキングクラウド」サービスに関わる部署で、第二新卒のような人材でも短期の育成で活躍できる体制を構築しております。エンジニアに関しては、よりハイスペックな人材の採用が必要と考えています。また、この数年間横ばいだったビルディングイノベーション事業においては新たな案件が出てきており、売上高はプラスに転じると見込んでいます。貸会議室サービスは設備・備品などの初期投資が大きく、新拠点単体では初年度の損益はマイナスとなりますが、翌期以降には黒字化する見込みです。

     

    Q:通期業績の見通しについてご説明ください。

    A:2025年12月期の通期業績予想に対し、半期時点の売上進捗率は48.8%で、過去の傾向から見ても問題ない水準です。利益に関しては、通期予想に対してほぼ達成に近い状況であり、達成は確実と見ています。ただし、短期的な利益増加を目指すのではなく、中長期的な成長を見据えて積極的な投資を行う方針のため、当期における利益の上振れ幅は抑えめになる見込みです。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:案件次第ではありますが、M&Aや業務提携を全く行わない方針ではありません。現時点でお伝えできる具体的な案件はありませんが、今後、決定次第、適時開示を予定しています。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元については、慎重に検討を進めています。企業価値向上のため、現時点では、将来の成長への投資を優先する考えです。

  • 取締役CFO 竹内聡様

    管理部財務グループ長 深澤郁様

  • ​-

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​企業名

上場市場 証券コード

​決算日

取材アーカイブ

  • ビジネスモデルと事業内容

    ハッチ・ワーク社は2000年6月に設立され、月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」の運営と月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド(以下、APクラウド)」を提供する月極イノベーション事業(駐車場事業)を主軸として、貸会議室、レンタルオフィスなどを提供するビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)も展開している。月極イノベーション事業では、月極駐車場管理業務のDXを推進し、オンラインでの契約・解約手続きやポータルサイトでの検索・契約を可能にしている。主なサービスとして「APクラウド」を提供し、管理会社の業務効率改善と集客力向上を支援している。

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    収益構造は、管理会社からの手数料および駐車場利用者からの決済手数料と賃料の滞納保証料を基盤としている。

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    創業の経緯と転機となった出来事

    同社は2000年6月に設立され、当初は不動産関連事業を行っていたが、2010年に月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」を立ち上げた。当時の市場には月極駐車場を探すためのポータルサイトがほとんど存在しなかったため、月極駐車場の看板を写真撮影し、その情報を基に管理会社へ連絡を取り掲載の承諾を得て、ポータルサイトに掲載する形で事業を開始した。その後、2013年にサブリース事業、2016年に駐車場賃料保証サービスを開始し、現在の「APクラウド」の原型に至る。この事業開始の背景には、代表者自身が駐車場を借りる際の不便さを感じた経験がある。
     

    直近の決算状況

    2024年12月期において、月極イノベーション事業はおおむね予算通りに推移したが、ビルディングイノベーション事業は上半期の採用関連の貸会議室利用が計画値に対しショートしたことが影響し、予算に対して若干の未達となった。全体の売上高、営業損益については、おおむね予算通りに着地した。経常損益は補助金の確定遅れ、税引前当期純利益、当期純利益はそれぞれ貸会議室の減損損失の計上、繰延税金資産の変動が影響要因となり、それぞれ業績予想に対してマイナスとなった。売上高は23億6,700万円、利益は1億5,500万円を計上。

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    2025年の業績予想としては、売上高27億4,000万円、経常利益1億9,700万円、当期純利益2億300万円を見込んでいる。

    特徴と強み

    同社の特徴は、ポータルサイトとクラウドシステムが連携している点にあり、月極駐車場の空き埋まり情報をリアルタイムで管理できることが強みである。リアルタイム情報表示機能により、利用希望者の利便性を高めている。ポータルサイト「アットパーキング」は集客力が高く、リスティング広告などに依存しない集客が可能となっている。

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    成長戦略

    同社の成長戦略は、ビルディングイノベーション事業で安定的な収益を確保しつつ、月極イノベーション事業の成長を加速させることである。「APクラウド」の登録台数を拡大し、蓄積されたデータを活用したデータビジネスを展開する。具体的なサービスとして、EV充電設備付の月極駐車場「アットパーキングEV」、月極駐車場のシェアリングサービス「アットパーキングウィークリー」、駐車場利用者向けサービス「アットパーキングカーサポート」などの展開を始めている。

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    「ファーストワンマイルステーション構想」では、生活に隣接するエリア「ファーストワンマイル」にある月極駐車場を再定義することで、月極駐車場の空きスペースを有効活用し、マイクロモビリティのステーションやキッチンカーの出店場所など、多角的な用途のステーションとしての活用を視野に入れている。各分野の事業者との連携を通じて、プラットフォームとしての役割を担うことを目指している。

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    株主還元策

    同社では、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しているが、現時点では利益還元は実施していない。同社の月極イノベーション事業が成長過程にあるため、当面は、成長エンジンである「APクラウド」への成長投資が優先される。成長投資により経営基盤を強化し、企業価値を増大することで将来の利益還元に備える方針である。

     

    今期の取り組みとトピックス

    今期の取り組みとしては、市場の開拓を目指し、全国各地の不動産管理会社、特に中小規模の企業へのサービス導入を積極的に進める。ハトマーク支援機構との提携を通じて、これらの企業へのアプローチを積極展開する。

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    社会課題への対応として、ITを活用し、自治体の課題解決に貢献する。神戸市との協定締結により、災害発生時には同社の「APクラウド」に登録された駐車場を災害対応車両の拠点として活用する取り組みを行う。

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    新領域の創造として、「APクラウド」で取得したデータを活用するビジネスである「アットパーキングウィークリー」を提供し、月極駐車場の空き区画の短期利用ニーズに対応する。

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  • Q:貴社の創業の経緯や、月極イノベーション事業を始められたきっかけなどについてお聞かせいただけますでしょうか。

    A:弊社は、2000年6月に設立されました。創業当初は、売上高もほとんどない状況でしたが、現在の役員である大竹と増田が中心となり、2005年頃から事業化を進めてまいりました。当初は、貸会議室事業など、不動産関連の事業を展開しており、2010年に月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」を立ち上げました。

    当時は、月極駐車場を探すためのポータルサイトがほとんど存在せず、利用希望者は実際に現地を訪れて探すしかありませんでした。そこで、弊社は、月極駐車場の看板を写真に撮り、その情報をもとに管理会社様に連絡を取り、掲載の承諾を得てポータルサイトに掲載させていただくという形で事業をスタートしました。

    その後、管理システムを開発し、管理会社様への営業活動も行いましたが、駐車場管理業務は収益性が低いという課題がありました。そのため、管理会社様から規模に応じてSaas的にシステム利用料をいただくというビジネスモデルは難しいと考え、別の収益モデルを検討することになりました。

    その後、2013年にサブリース事業を開始しました。これは、貸主の立場を自身で経験することで、駐車場管理における課題をより深く理解するためでした。そして、2016年に駐車場賃料の滞納保証サービスを開始しました。これが、現在の「APクラウド」の原型となるものです。2018年には、サービス名を「APクラウド」に変更し、本格的にサービスインいたしました。

    もともとは、代表の増田が、自身で駐車場を借りようとした際に不便を感じたことがきっかけです。

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    Q:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みについてお聞かせください。

    A:弊社の概要についてご説明いたします。弊社は2000年6月に設立され、現在に至るまで、主に二つの事業を展開してまいりました。2020年には、ビルディングイノベーション事業、すなわち貸会議室事業が、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に売上を落としました。その後コロナ禍からの回復をしたものの、空室率の低下による家賃相場の高騰のため新規出店を抑制しており、2022年以降、ビルディングイノベーション事業はほぼ横ばいで推移しております。一方、月極イノベーション事業(駐車場事業)が成長を続け、2023年には売上高20億5,600万円を達成し、2024年に東京証券取引所グロース市場に上場いたしました。現在の主な事業は、月極イノベーション事業(駐車場事業)とビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)です。

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    成長の牽引役は、月極イノベーション事業です。これは、月極駐車場管理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するものです。従来、月極駐車場は、オフラインでの紙による契約や押印が必要であり、空き状況に関する情報も集約されておらず、利用希望者が実際に現地を訪れて探す必要がありました。しかし、弊社のサービスを導入いただくことで、契約や解約の手続きをオンラインで完結でき、ポータルサイトを通じて検索から契約まで行うことが可能になります。

    市場規模についてですが、国内の自動車保有台数は約6,197万台と言われておりますが、月極駐車場の正確な数を示す公的なデータは存在しないため、弊社では約3,000万台規模の市場と推算しております。

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    参考までに、コインパーキングの市場規模を示すデータとして、協会が公表している数値では164万車室となっており、月極駐車場の市場規模はその18倍に相当する、非常に大きな市場であることがわかります。

    弊社のサービスは、駐車場オーナーや管理会社と、駐車場利用者との間を取り持つ役割を果たします。現在、最も成長しているサービスが「APクラウド」です。これは、管理会社様が行っている月極駐車場の管理業務をシステムによってオンライン化し、業務効率の改善や集客力の向上を実現するものです。

    管理会社様は、地主様や資産家様から住宅や土地などを預かり、管理業務を行っていますが、駐車場も管理物件に含まれるケースが多くあります。しかし、駐車場管理の手数料は、住宅などに比べて低額であるにもかかわらず、契約や解約の手続き、滞納時の督促など、業務にかかる手間は住宅と同程度であるため、収益性が低いという課題がありました。

    弊社のサービスを導入いただくことで、従来の管理業務のうち、大部分をシステムで対応できるようになり、管理会社様の業務効率を大幅に改善することが可能になります。

    Q:具体的に、どの程度の業務削減効果があるのかお聞かせください。

    A:概ね95%の業務を削減できます。残りの5%は、管理会社様から地主様への送金処理や、現地での対応が必要な業務、例えば雑草の除去などです。これらの業務は、従来通り管理会社様に行っていただいております。

    従来の管理業務では、対面での手続きや郵送、電話対応、手書きの募集看板の掲示など、多くの手間がかかっていました。弊社のクラウドサービスを導入いただくことで、これらの業務をオンラインで一括して行うことが可能になります。

    また、利用者様にとっても、引っ越しや車の買い替えなどで駐車場を探す際に、近隣の駐車場を個別に問い合わせる必要があり、空き状況の確認に時間がかかるという課題がありました。弊社のサービスを導入している駐車場であれば、ポータルサイト「アットパーキング」でリアルタイムの空き情報を確認し、オンラインで契約手続きを行うことができます。

    従来は、募集を看板のみで行っていた駐車場も、ポータルサイト「アットパーキング」に掲載することで稼働率の向上が期待できます。

    導入企業としては、全国のJRグループ各社様や私鉄各社様、コインパーキング運営会社様など、多くの企業にご利用いただいております。

    その他、不動産系のフランチャイズ会社様、JA様にも導入いただいております。JA様は、組合員様の駐車場管理に弊社のシステムをご活用いただいております。

    マネタイズの方法についてご説明します。

    「APクラウド」のサービス自体は、管理会社様を対象としており、月額1万5,000円または無料で提供しております。これにより、導入のハードルを下げ、サービスの普及を促進しております。収益の大部分は、駐車場利用者様からの決済手数料と滞納保証料です。決済手数料は、決済件数に応じて毎月発生いたします。滞納保証料は、住宅の賃貸契約においては連帯保証人の代わりに保証会社と契約するというのが標準的になっておりますが、その駐車場版ともいえるもので、駐車場利用者様から保証料をいただいております。

    APソリューションサービスでは、駐車場利用者と駐車場管理会社の利用契約を仲介するマッチングサービスや、月極駐車場オーナーや管理会社から一括して駐車場を借り上げ、自社運営駐車場として弊社が主体となって駐車場利用者を集客、利用契約を締結しサブリース(転貸)するサービスなどを展開しております。

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    Q:貴社の強みについてお聞かせください。

    A:弊社の強みは、ポータルサイトとクラウドシステムが連携していることで、月極駐車場の空き埋まりの情報をリアルタイムで管理できる点です。クラウド化により、これまで実現できなかったリアルタイムでの満空情報管理が可能になりました。

    ポータルサイト「アットパーキング」では、利用希望者が指定する条件で検索を行うと、検索結果に表示される駐車場のうち、弊社のシステムが導入されている駐車場については、リアルタイムの空き埋まりの状況が表示されます。空いている駐車場であれば、そのまま詳細情報を確認し、契約手続きに進むことができます。満車の場合は、「アキマチ」予約の登録を行うことができ、空きが出た際に連絡を受け取れる仕組みも導入しております。また、仲介サービスも行っておりまして、弊社システムを未導入の駐車場であっても、ポータルサイトからお問い合わせいただき、仲介サービスを提供することも可能です。

    従来のポータルサイトでは、お問い合わせいただいても、空き状況の確認に時間がかかり、結果的に利用希望者が再度駐車場を探し直す必要が生じるなど、手間が発生することがありました。弊社のリアルタイム情報表示機能により、このような手間を省くことが可能になります。

    ポータルサイト「アットパーキング」は、集客力が非常に高く、多様なニーズに対応できるため、リスティング広告などに頼らずに集客を行うことができます。

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    Q:今後の成長戦略についてお聞かせください。

    A:今後の成長戦略としては、ビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)で安定的な収益を確保しつつ、月極イノベーション事業(駐車場事業)をさらに成長させていくことを目指しております。具体的な目標としては、「APクラウド」の登録台数を、国内の月極駐車場推計3,000万台に対して、現在の37.4万台からさらに拡大していくこと、そして、蓄積されたデータを活用したデータビジネスを展開していくことが挙げられます。弊社では、駐車場の所在地やスペック、利用者の車種や運転免許証情報など、様々なデータを蓄積しており、これらのデータを活用することで、新たなビジネスチャンスを創出できると考えております。

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    例えば、EV充電設備付の月極駐車場「アットパーキングEV」、月極駐車場のシェアリングサービス「アットパーキングウィークリー」、駐車場利用者向けサービス「アットパーキングカーサポート」などの展開を始めております。「アットパーキングEV」は、電気自動車(EV)の充電ポール設置に関するサービスで、弊社が保有するデータのうち、EVの分布が高い地域の情報などを活用して、充電需要の高い場所に設置を検討します。「アットパーキングウィークリー」は、月極駐車場の空きスペースを短期貸しするサービスで、リアルタイムの空き情報を活用して、近隣の月極駐車場の空き期間に短期貸しを行うものです。

    「アットパーキングカーサポート」は、利用者様向けのサービスで、出張洗車や車のコーティングなど、モビリティ関連のサービス事業者との連携をしております。これらのサービスはすでにリリースしており、順調に拡大しております。

    将来的な展望としては、「ファーストワンマイルステーション構想」というものがあります。月極駐車場には平均して2割程度の空きスペースがあるという現状を踏まえ、生活に隣接するエリア「ファーストワンマイル」にある月極駐車場を再定義することで、これらの空きスペースを有効活用していくことを考えております。例えば、マイクロモビリティのステーションやキッチンカーの出店場所、カーシェアリングの拠点など、多様な用途での活用を想定しております。

    弊社がこれらの事業をすべて行うのではなく、各分野の事業者様と連携し、弊社がプラットフォームとして場所を提供する役割を担うことを目指しております。

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    Q:ビルディングイノベーション事業が安定的な収益基盤となり、月極イノベーション事業が成長事業として展開しているという理解でよろしいでしょうか。

    A:はい。ビルディングイノベーション事業は、貸会議室の新規出店によって成長を目指すモデルですが、現在はオフィス賃料が高止まりしており、空室率も低い状況が続いているため、無理に出店を増やすと収益性の低い出店となってしまう可能性があります。そのため、現在は新規出店を積極的に行わない方針です。

     

    Q:直近の決算についてお聞かせください。

    A:2024年12月期につきましては、月極イノベーション事業は「APクラウド」を中心に、ほぼ予算通りの着地となりました。一方、ビルディングイノベーション事業は、上半期の売上予算未達が影響し、通期でも若干未達となりました。

    全体の売上高、営業損益については、ほぼ予算通りに着地いたしました。経常損益については、補助金の確定が遅れた影響で1,800万円のずれが生じました。税引前当期純利益については、貸会議室で減損損失が発生したこと、当期純利益については、繰延税金資産の変動が影響し、それぞれ計画との間にずれが生じました。

    しかしながら、売上高23億円に対し、経常利益1億5,500万円を計上しており、全体としては良好な結果であったと認識しております。

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    各種KPIについても順調に伸長しております。対前年比、予算対比については、決算説明資料に記載の通りです。営業利益は予算比94.2%、経常利益は予算比81.3%、当期純利益は繰延税金資産の影響により予算比49.7%となりました。

    四半期ごとの業績推移ですが、月極イノベーション事業、ビルディングイノベーション事業ともに、四半期ごとに季節性による変動がございます。直近の第4四半期の前年同期比を見ていただきますと、売上高は12.6%増加、経常利益は29.4%増加と、順調に推移していることがお分かりいただけるかと存じます。

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    3ヶ年の売上高と経常損益の推移です。2022年は大幅な赤字を計上しておりましたが、2023年に黒字化を達成し、2024年にはさらに利益を拡大いたしました。2024年3月にはIPOも果たし、財務的にも安定水準に達し、成長への基盤が整ったと認識しております。

    売上高の内訳としましては、月極イノベーション事業が14億円、ビルディングイノベーション事業が9.5億円となっており、月極イノベーション事業は対前年比で26%成長しておりますが、ビルディングイノベーション事業はほぼ横ばいで推移しております。月極イノベーション事業については、今後も同様のペースで成長していくと予想しております。

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    弊社の月極イノベーション事業におけるKPIは、APクラウド登録台数、決済代行台数、滞納保証台数の3つです。こちらの説明は少々複雑になりますが、まず、管理会社様に対して営業活動を行い、管理されている駐車場の情報をお預かりしており、これがAPクラウド登録台数であり、ポータルサイトに掲載されます。この段階では、まだ弊社に売上は計上されません。

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    次に、決済代行台数ですが、弊社のサービスを導入いただいた管理会社様において、既存の利用者様の駐車場料金の支払い先を弊社に変更していただきます。この手続きには時間を要するため、APクラウド登録台数と決済代行台数の間に差が生じます。この変更手続きが完了すると、決済代行手数料が弊社の売上として計上されることになります。

    さらに、滞納保証台数ですが、管理会社様との契約時に既存の利用者様から滞納保証料のを収受を開始すると値上げとなってしまうため、APクラウド登録時点では既存の利用者様からは滞納保証料をいただいておりません。滞納保証台数として計上されるのは、新規で駐車場を契約される方と、既存の利用者様が解約された区画に新たに契約された方のみとなります。この滞納保証台数が、弊社の収益に繋がる指標となります。

    従って、APクラウド登録台数に対して、決済代行台数、滞納保証台数は徐々に近づいていくことになりますが、並行して新規の営業活動も実施していることからこの差分は今後も継続し、営業獲得から売上計上まで、一定の時間を要するものの確実に積みあがっていくモデルとなっております。

    その他、「ファーストワンマイルステーション構想」の空き区画の活用に関する取り組みも、成長戦略でお話ししましたとおり順調に進んでおります。

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    次に、ビルディングイノベーション事業についてですが、こちらはほぼ横ばいで推移しております。貸会議室事業は、例年、第2四半期に繁忙期を迎えます。これは、4月から6月にかけて研修などの利用が増加するためです。

    2025年の業績予想ですが、売上高27億4,000万円、経常利益1億9,700万円、当期純利益2億300万円を見込んでおります。全体としては、ビルディングイノベーション事業が横ばいで推移するため、成長の大部分は月極イノベーション事業が牽引する見込みです。

    利益の伸びがやや抑制されているように見えるかもしれませんが、これは、今後の事業展開に向けた取り組みを強化するための投資を行うためです。

     

    Q:今後注力していく取り組みについてお聞かせください。

    A:今後の取り組みとしては、主に3つの柱があります。1つ目は、最大市場の開拓です。これまで、弊社のサービスは、全国のJRグループ各社様や私鉄各社様、コインパーキング事業者様など、比較的規模の大きな企業様にご利用いただいておりましたが、今後は、全国各地の不動産管理会社様、特に中小規模の企業様へも導入を積極的に進めてまいります。これらの企業様は、地域の住宅管理などを行っており、月極駐車場の管理も手がけているケースが多くあります。

    これらの企業様は、地域の情報に精通している一方で、ITツールの導入には抵抗があるという傾向が見られます。そこで、全国の宅建事業者様の約8割、10万会員が加盟する「ハトマーク支援機構」様と提携し、同機構様からの一社単独推奨という形で、弊社のサービスをご紹介いただくことで、これらの企業様へのアプローチを円滑に進めていきたいと考えております。

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    2つ目は、社会課題への対応です。ITを活用し、自治体様が抱える課題の解決に貢献してまいります。例えば神戸市様では、災害発生時に弊社のサービスを導入している駐車場を、災害対応車両の拠点として活用する協定を締結いたしました。

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    この協定により、災害発生時には、弊社のシステムを通じて、近隣の駐車場の空き情報をリアルタイムで確認し、災害対応に必要な車両を迅速に配置することが可能になります。今後は、神戸市様を皮切りに、政令指定都市を中心に、同様の取り組みを拡大していくことを目指しております。

     

    Q:災害用の資材などを保管しておくわけではなく、災害発生時に活用するイメージでしょうか。

    A:はい。災害発生時に、参画いただいている管理会社様の駐車場スペースを、災害対応のためにご提供いただくイメージです。弊社のシステムでリアルタイムの空き情報を把握しているからこそ実現できる取り組みです。

     

    Q:3つ目の取り組みについてお聞かせください。

    A:3つ目は、新領域の創造です。これまでご説明してきたデータビジネスの展開として、「アットパーキングウィークリー」というサービスを提供しております。これは、月極駐車場の空き区画を、短期間だけ利用したいというニーズに応えるサービスです。

    例えば、観光地では、コインパーキングが満車でも、月極駐車場に空きがあるというケースが見られます。また、住宅街では、工事事業者様などが、一時的に工事車両を駐車する場所を確保したいというニーズがあります。

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    工事車両の駐車場所の確保は、特にニーズが高いと伺っております。「アットパーキングウィークリー」は、これらのニーズに対応するため、月極駐車場の空き区画を予約して利用できるサービスです。ニッチな市場ではありますが、ニーズは高いと考えております。「APクラウド」を導入いただいている管理会社様は、これらのサービスも利用可能になります。これらの取り組みにより、APクラウド登録台数は順調に増加しており、今後も成長を継続していく見込みです。まずは、現在の登録台数約37万台を、国内の月極駐車場市場推定3,000万台に対して、いかにスピード感を持って拡大していくかが重要となります。先ほどお話しした「ハトマーク支援機構」様との提携や、自治体様との連携などを通じて、事業拡大を加速させていきたいと考えております。

     

    Q:営業利益についてお伺いしますが、これまでの業績推移を見ると、利益が大きく変動しているように見受けられます。これは、投資フェーズが終了し、今後は本格的な収益化フェーズに入っていくという認識でよろしいでしょうか。

    A:機関投資家の皆様からは、2025年の業績予想について、やや保守的な印象を受けるというご意見もいただいております。弊社としましては、市場の大きさや成長性を考慮し、内部留保の範囲で事業拡大に向けた投資を積極的に行っていく方針です。

    Q:2024年に上場を果たされましたが、上場を決断された理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

    A:「APクラウド」では、利用者の皆様から毎月の駐車場料金を一時的に弊社がお預かりし、その後弊社から各管理会社様に振り分け、管理会社様が地主様にお支払いするという仕組みをとっています。そのため、多数の利用者様から多額の資金をお預かりすることになります。

    管理会社様、例えばJRグループのような企業様から、賃料の回収業務をすべて委託いただくということは、非常に大きな信頼が必要となります。弊社では、以前から信託保全の仕組みを導入し、お預かりした駐車場料金を分別管理するなど、資金管理には万全を期しておりましたが、上場企業であるという信用力は、さらに大きな意味を持つと考えました。

    上場企業としての信用力を高めることが、事業拡大において重要であると考え、できるだけ早期に上場する必要があると判断いたしました。

     

    Q:上場後、機関投資家の皆様とのミーティングは、どのくらいの頻度で開催されているのでしょうか。

    A:四半期ごとに開催しております。

     

    Q:今後の戦略として、現在のポータルサイトに加えて、アプリの開発などは検討されているのでしょうか。

    A:現時点では、いますぐにアプリの開発を具体的に検討している段階ではございません。月極駐車場を契約するタイミングは、車の購入時や引っ越し時など、限られた機会であるため、一度契約すると、次に利用する機会が訪れるまで時間が空くことが想定されます。そのため、アプリを定期的に利用していただく動機付けが難しいと考えており、周辺サービスの開発に注力するとともに、現在はウェブサイトでのサービス提供としております。

     

    Q:先ほどご説明いただいた、ウィークリーでの利用や1日単位での利用など、短期利用のニーズが高まった場合には、アプリの必要性も出てくるかもしれませんね。

    A:はい、おっしゃる通りです。その場合は、アプリの開発も視野に入れて検討する必要があると考えております。

     

    Q:今後の株主還元策について、何かお考えの戦略はございますか。

    A:はい。株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、現時点では利益還元は実施しておりません。月極イノベーション事業が成長過程にあるため、当面は、成長エンジンである「APクラウド」への成長投資を優先してまいります。成長投資により経営基盤を強化し、企業価値を増大することで将来の利益還元に備える方針です。

  • 取締役CFO 竹内聡様

    管理部財務グループ長 深澤郁様

(株)ハッチ・ワーク

東証GRT 148A

決算:12月末日

CP&X

 

【2025年12月期3Q】

決算概要

営業概況としては、APクラウドサービスにおける積極的な営業活動により契約社数・システム登録台数(以下、APクラウド登録台数)は大幅に増加し、それに伴い駐車場利用者から収受する決済手数料・初回保証料・月額保証料等が増加しました。この結果、当第3四半期会計期間の売上高は2,023,024千円(前年同期比15.4%増)、営業利益は223,677千円(前年同期比69.1%増)、経常利益は237,902千円(前年同期比110.9%増)、四半期純利益は155,611千円(前年同期比110.9%増)となりました。

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セグメント別または事業別の増減要因

月極イノベーション事業セグメントにおいては、不動産業界最大団体ハトマークグループのハトマーク支援機構との業務提携を背景にした営業活動強化に加え、駐車場業界大手のエコロシティにAPクラウドサービスを提供する等の拡充を実施しました。この結果、当第3四半期累計期間における本セグメントの売上高は1,279,515千円(前年同期比23.1%増)、セグメント利益は385,482千円(前年同期比40.1%増)となりました。

 

主要KPIの進捗と変化

APクラウド登録台数は44.5万台(前年同期比23%増)となりました。これが、今後の売上成長に繋がる数値となります。収益に直接繋がる滞納保証台数は、8.4万台(前年同期比38%増)、決済代行台数は17.0万台(前年同期比19%増)となりました。

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季節性・一過性要因の有無と影響

当四半期における経常利益に関しては2Qと比べると減少しておりますが、前年同期比は16.7%増と順調に推移しております。当四半期においては先行投資として広告宣伝費やシステム関連費を計上しています。また、ビルディングイノベーション事業においては、品川・五反田店をオープンしており、それに伴い先行して発生した広告宣伝費等が増加した影響も受けています。

季節性の影響としては駐車場の新規契約に繋がるイベントである就業、転勤等が4月に偏って発生することから、月極イノベーション事業の売上は2Qに伸長する傾向があり、ビルディングイノベーション事業においても、同様であり新卒入社後の研修など貸会議室の需要が膨らむ4、5月が含まれる2Qは売上が伸長する傾向があります。

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通期見通しと進捗率・達成可能性

2025年12月期通期の業績予想につきましては、売上高は堅調に推移しており、主要事業であるAPクラウドサービスの進捗率も継続して高い状況です。利益面では業務プロセスの見直しやシステム化の推進等により生産性が向上し、当初計画していた増員を一部行わなかったことから利益率が向上し、営業利益が当初計画から22.3%増と大幅な増益となる見込みとなりました。また、それに伴って経常利益及び当期純利益につきましても、期初計画から増益となる見通しとなりました。

今後の取り組みとして、APクラウドサービスの導入促進と、さらなる収益性の向上を目指して社内活動の効率化を図ることで、引き続き業績の向上に努めてまいります。

 

トピックス

駐車場事業の売上高が6割を超えてきており、APクラウドサービスを主事業として拡大に注力していく方針ですが、ビルディングイノベーション事業についても将来事業拡大に繋がる案件があれば積極的に投資する意向です。

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・資料

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取材アーカイブ

  • 決算概要

    2025年12月期第2四半期決算は、売上高13億3,800万円(前年同期比15.0%増)、営業利益1億7,100万円(同96.5%増)、経常利益1億8,700万円(同169.7%増)、中間純利益1億2,200万円(同169.7%増)と好調な増収増益決算であった。利益が大幅に上振れた主な要因は、上半期に予定していた採用やマーケティングへの投資が下半期にずれ込んだことによる。

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    主要KPIの進捗と変化

    主要KPIは全体的に問題のない水準で推移しており、比較的順調な状況である。営業成果を示すAPクラウド登録台数は増加傾向。一方、決済代行台数は、引継ぎ作業が管理会社およびご利用者の手続きの進捗に依存する部分があり、四半期単位の進捗にはばらつきが見られる。滞納保証台数は、駐車場の契約平均期間が4年から5年程度であるため、それに合わせて自然増が見込まれる。

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    季節性・一過性要因の有無と影響

    例年同様、事業に季節性が見られる。月極駐車場の事業は就業・転勤による引っ越しや車の買い替えが多い時期であること、貸会議室の事業は採用面接や研修が集中する時期であることから、第2四半期は売上・利益ともに高くなる傾向がある。第3四半期は夏休みがあるため、やや落ち込みが見られる。

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    通期見通しと進捗率・達成可能性

    通期業績予想に対し、半期時点の売上進捗率は48.8%であり、過去のトレンドから見て問題のない水準。利益に関しては、通期予想にほぼ近いところまで進捗しており、達成は確実な見通し。しかし、さらなる利益の上振れを目指すのではなく、中長期的な成長を見据えた積極的な投資を行う方針のため、利益の上振れ幅は多少抑えめになる可能性がある。

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    トピックス

    上半期の売上は計画に対し順調で、利益は通期予想に近い水準に達している。下半期は上半期からずれ込んだ投資と、利益が上振れした分も積極的に投資していく方針である。この数年間ほぼ横ばいであった貸会議室に新しい案件が出てきており、ビルディングイノベーション事業も売上高はプラスに転じる見込みも、投資先行型事業のため同事業における初年度の損益に対してはマイナスインパクト、翌期以降の回収となる。

  • Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?

    A:今後の成長に向け、下半期は上半期からずれ込んだ投資と、上半期で上振れした利益を活用し、積極的な投資を計画しています。主に、採用やマーケティング分野での投資を強化します。採用活動においては、インサイドセールスやオンボーディングなど「アットバーキングクラウド」サービスに関わる部署で、第二新卒のような人材でも短期の育成で活躍できる体制を構築しております。エンジニアに関しては、よりハイスペックな人材の採用が必要と考えています。また、この数年間横ばいだったビルディングイノベーション事業においては新たな案件が出てきており、売上高はプラスに転じると見込んでいます。貸会議室サービスは設備・備品などの初期投資が大きく、新拠点単体では初年度の損益はマイナスとなりますが、翌期以降には黒字化する見込みです。

     

    Q:通期業績の見通しについてご説明ください。

    A:2025年12月期の通期業績予想に対し、半期時点の売上進捗率は48.8%で、過去の傾向から見ても問題ない水準です。利益に関しては、通期予想に対してほぼ達成に近い状況であり、達成は確実と見ています。ただし、短期的な利益増加を目指すのではなく、中長期的な成長を見据えて積極的な投資を行う方針のため、当期における利益の上振れ幅は抑えめになる見込みです。

     

    Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。

    A:案件次第ではありますが、M&Aや業務提携を全く行わない方針ではありません。現時点でお伝えできる具体的な案件はありませんが、今後、決定次第、適時開示を予定しています。

     

    Q:株主還元の方針をご説明ください。

    A:株主還元については、慎重に検討を進めています。企業価値向上のため、現時点では、将来の成長への投資を優先する考えです。

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  • 取締役CFO 竹内聡様

    管理部財務グループ長 深澤郁様

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取材アーカイブ

  • ビジネスモデルと事業内容

    ハッチ・ワーク社は2000年6月に設立され、月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」の運営と月極駐車場オンライン管理支援サービス「アットパーキングクラウド(以下、APクラウド)」を提供する月極イノベーション事業(駐車場事業)を主軸として、貸会議室、レンタルオフィスなどを提供するビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)も展開している。月極イノベーション事業では、月極駐車場管理業務のDXを推進し、オンラインでの契約・解約手続きやポータルサイトでの検索・契約を可能にしている。主なサービスとして「APクラウド」を提供し、管理会社の業務効率改善と集客力向上を支援している。

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    収益構造は、管理会社からの手数料および駐車場利用者からの決済手数料と賃料の滞納保証料を基盤としている。

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    創業の経緯と転機となった出来事

    同社は2000年6月に設立され、当初は不動産関連事業を行っていたが、2010年に月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」を立ち上げた。当時の市場には月極駐車場を探すためのポータルサイトがほとんど存在しなかったため、月極駐車場の看板を写真撮影し、その情報を基に管理会社へ連絡を取り掲載の承諾を得て、ポータルサイトに掲載する形で事業を開始した。その後、2013年にサブリース事業、2016年に駐車場賃料保証サービスを開始し、現在の「APクラウド」の原型に至る。この事業開始の背景には、代表者自身が駐車場を借りる際の不便さを感じた経験がある。
     

    直近の決算状況

    2024年12月期において、月極イノベーション事業はおおむね予算通りに推移したが、ビルディングイノベーション事業は上半期の採用関連の貸会議室利用が計画値に対しショートしたことが影響し、予算に対して若干の未達となった。全体の売上高、営業損益については、おおむね予算通りに着地した。経常損益は補助金の確定遅れ、税引前当期純利益、当期純利益はそれぞれ貸会議室の減損損失の計上、繰延税金資産の変動が影響要因となり、それぞれ業績予想に対してマイナスとなった。売上高は23億6,700万円、利益は1億5,500万円を計上。

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    2025年の業績予想としては、売上高27億4,000万円、経常利益1億9,700万円、当期純利益2億300万円を見込んでいる。

    特徴と強み

    同社の特徴は、ポータルサイトとクラウドシステムが連携している点にあり、月極駐車場の空き埋まり情報をリアルタイムで管理できることが強みである。リアルタイム情報表示機能により、利用希望者の利便性を高めている。ポータルサイト「アットパーキング」は集客力が高く、リスティング広告などに依存しない集客が可能となっている。

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    成長戦略

    同社の成長戦略は、ビルディングイノベーション事業で安定的な収益を確保しつつ、月極イノベーション事業の成長を加速させることである。「APクラウド」の登録台数を拡大し、蓄積されたデータを活用したデータビジネスを展開する。具体的なサービスとして、EV充電設備付の月極駐車場「アットパーキングEV」、月極駐車場のシェアリングサービス「アットパーキングウィークリー」、駐車場利用者向けサービス「アットパーキングカーサポート」などの展開を始めている。

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    「ファーストワンマイルステーション構想」では、生活に隣接するエリア「ファーストワンマイル」にある月極駐車場を再定義することで、月極駐車場の空きスペースを有効活用し、マイクロモビリティのステーションやキッチンカーの出店場所など、多角的な用途のステーションとしての活用を視野に入れている。各分野の事業者との連携を通じて、プラットフォームとしての役割を担うことを目指している。

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    株主還元策

    同社では、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しているが、現時点では利益還元は実施していない。同社の月極イノベーション事業が成長過程にあるため、当面は、成長エンジンである「APクラウド」への成長投資が優先される。成長投資により経営基盤を強化し、企業価値を増大することで将来の利益還元に備える方針である。

     

    今期の取り組みとトピックス

    今期の取り組みとしては、市場の開拓を目指し、全国各地の不動産管理会社、特に中小規模の企業へのサービス導入を積極的に進める。ハトマーク支援機構との提携を通じて、これらの企業へのアプローチを積極展開する。

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    社会課題への対応として、ITを活用し、自治体の課題解決に貢献する。神戸市との協定締結により、災害発生時には同社の「APクラウド」に登録された駐車場を災害対応車両の拠点として活用する取り組みを行う。

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    新領域の創造として、「APクラウド」で取得したデータを活用するビジネスである「アットパーキングウィークリー」を提供し、月極駐車場の空き区画の短期利用ニーズに対応する。

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  • Q:貴社の創業の経緯や、月極イノベーション事業を始められたきっかけなどについてお聞かせいただけますでしょうか。

    A:弊社は、2000年6月に設立されました。創業当初は、売上高もほとんどない状況でしたが、現在の役員である大竹と増田が中心となり、2005年頃から事業化を進めてまいりました。当初は、貸会議室事業など、不動産関連の事業を展開しており、2010年に月極駐車場検索ポータルサイト「アットパーキング」を立ち上げました。

    当時は、月極駐車場を探すためのポータルサイトがほとんど存在せず、利用希望者は実際に現地を訪れて探すしかありませんでした。そこで、弊社は、月極駐車場の看板を写真に撮り、その情報をもとに管理会社様に連絡を取り、掲載の承諾を得てポータルサイトに掲載させていただくという形で事業をスタートしました。

    その後、管理システムを開発し、管理会社様への営業活動も行いましたが、駐車場管理業務は収益性が低いという課題がありました。そのため、管理会社様から規模に応じてSaas的にシステム利用料をいただくというビジネスモデルは難しいと考え、別の収益モデルを検討することになりました。

    その後、2013年にサブリース事業を開始しました。これは、貸主の立場を自身で経験することで、駐車場管理における課題をより深く理解するためでした。そして、2016年に駐車場賃料の滞納保証サービスを開始しました。これが、現在の「APクラウド」の原型となるものです。2018年には、サービス名を「APクラウド」に変更し、本格的にサービスインいたしました。

    もともとは、代表の増田が、自身で駐車場を借りようとした際に不便を感じたことがきっかけです。

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    Q:事業内容やビジネスモデル、特徴や強みについてお聞かせください。

    A:弊社の概要についてご説明いたします。弊社は2000年6月に設立され、現在に至るまで、主に二つの事業を展開してまいりました。2020年には、ビルディングイノベーション事業、すなわち貸会議室事業が、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に売上を落としました。その後コロナ禍からの回復をしたものの、空室率の低下による家賃相場の高騰のため新規出店を抑制しており、2022年以降、ビルディングイノベーション事業はほぼ横ばいで推移しております。一方、月極イノベーション事業(駐車場事業)が成長を続け、2023年には売上高20億5,600万円を達成し、2024年に東京証券取引所グロース市場に上場いたしました。現在の主な事業は、月極イノベーション事業(駐車場事業)とビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)です。

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    成長の牽引役は、月極イノベーション事業です。これは、月極駐車場管理業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するものです。従来、月極駐車場は、オフラインでの紙による契約や押印が必要であり、空き状況に関する情報も集約されておらず、利用希望者が実際に現地を訪れて探す必要がありました。しかし、弊社のサービスを導入いただくことで、契約や解約の手続きをオンラインで完結でき、ポータルサイトを通じて検索から契約まで行うことが可能になります。

    市場規模についてですが、国内の自動車保有台数は約6,197万台と言われておりますが、月極駐車場の正確な数を示す公的なデータは存在しないため、弊社では約3,000万台規模の市場と推算しております。

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    参考までに、コインパーキングの市場規模を示すデータとして、協会が公表している数値では164万車室となっており、月極駐車場の市場規模はその18倍に相当する、非常に大きな市場であることがわかります。

    弊社のサービスは、駐車場オーナーや管理会社と、駐車場利用者との間を取り持つ役割を果たします。現在、最も成長しているサービスが「APクラウド」です。これは、管理会社様が行っている月極駐車場の管理業務をシステムによってオンライン化し、業務効率の改善や集客力の向上を実現するものです。

    管理会社様は、地主様や資産家様から住宅や土地などを預かり、管理業務を行っていますが、駐車場も管理物件に含まれるケースが多くあります。しかし、駐車場管理の手数料は、住宅などに比べて低額であるにもかかわらず、契約や解約の手続き、滞納時の督促など、業務にかかる手間は住宅と同程度であるため、収益性が低いという課題がありました。

    弊社のサービスを導入いただくことで、従来の管理業務のうち、大部分をシステムで対応できるようになり、管理会社様の業務効率を大幅に改善することが可能になります。

    Q:具体的に、どの程度の業務削減効果があるのかお聞かせください。

    A:概ね95%の業務を削減できます。残りの5%は、管理会社様から地主様への送金処理や、現地での対応が必要な業務、例えば雑草の除去などです。これらの業務は、従来通り管理会社様に行っていただいております。

    従来の管理業務では、対面での手続きや郵送、電話対応、手書きの募集看板の掲示など、多くの手間がかかっていました。弊社のクラウドサービスを導入いただくことで、これらの業務をオンラインで一括して行うことが可能になります。

    また、利用者様にとっても、引っ越しや車の買い替えなどで駐車場を探す際に、近隣の駐車場を個別に問い合わせる必要があり、空き状況の確認に時間がかかるという課題がありました。弊社のサービスを導入している駐車場であれば、ポータルサイト「アットパーキング」でリアルタイムの空き情報を確認し、オンラインで契約手続きを行うことができます。

    従来は、募集を看板のみで行っていた駐車場も、ポータルサイト「アットパーキング」に掲載することで稼働率の向上が期待できます。

    導入企業としては、全国のJRグループ各社様や私鉄各社様、コインパーキング運営会社様など、多くの企業にご利用いただいております。

    その他、不動産系のフランチャイズ会社様、JA様にも導入いただいております。JA様は、組合員様の駐車場管理に弊社のシステムをご活用いただいております。

    マネタイズの方法についてご説明します。

    「APクラウド」のサービス自体は、管理会社様を対象としており、月額1万5,000円または無料で提供しております。これにより、導入のハードルを下げ、サービスの普及を促進しております。収益の大部分は、駐車場利用者様からの決済手数料と滞納保証料です。決済手数料は、決済件数に応じて毎月発生いたします。滞納保証料は、住宅の賃貸契約においては連帯保証人の代わりに保証会社と契約するというのが標準的になっておりますが、その駐車場版ともいえるもので、駐車場利用者様から保証料をいただいております。

    APソリューションサービスでは、駐車場利用者と駐車場管理会社の利用契約を仲介するマッチングサービスや、月極駐車場オーナーや管理会社から一括して駐車場を借り上げ、自社運営駐車場として弊社が主体となって駐車場利用者を集客、利用契約を締結しサブリース(転貸)するサービスなどを展開しております。

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    Q:貴社の強みについてお聞かせください。

    A:弊社の強みは、ポータルサイトとクラウドシステムが連携していることで、月極駐車場の空き埋まりの情報をリアルタイムで管理できる点です。クラウド化により、これまで実現できなかったリアルタイムでの満空情報管理が可能になりました。

    ポータルサイト「アットパーキング」では、利用希望者が指定する条件で検索を行うと、検索結果に表示される駐車場のうち、弊社のシステムが導入されている駐車場については、リアルタイムの空き埋まりの状況が表示されます。空いている駐車場であれば、そのまま詳細情報を確認し、契約手続きに進むことができます。満車の場合は、「アキマチ」予約の登録を行うことができ、空きが出た際に連絡を受け取れる仕組みも導入しております。また、仲介サービスも行っておりまして、弊社システムを未導入の駐車場であっても、ポータルサイトからお問い合わせいただき、仲介サービスを提供することも可能です。

    従来のポータルサイトでは、お問い合わせいただいても、空き状況の確認に時間がかかり、結果的に利用希望者が再度駐車場を探し直す必要が生じるなど、手間が発生することがありました。弊社のリアルタイム情報表示機能により、このような手間を省くことが可能になります。

    ポータルサイト「アットパーキング」は、集客力が非常に高く、多様なニーズに対応できるため、リスティング広告などに頼らずに集客を行うことができます。

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    Q:今後の成長戦略についてお聞かせください。

    A:今後の成長戦略としては、ビルディングイノベーション事業(貸会議室事業)で安定的な収益を確保しつつ、月極イノベーション事業(駐車場事業)をさらに成長させていくことを目指しております。具体的な目標としては、「APクラウド」の登録台数を、国内の月極駐車場推計3,000万台に対して、現在の37.4万台からさらに拡大していくこと、そして、蓄積されたデータを活用したデータビジネスを展開していくことが挙げられます。弊社では、駐車場の所在地やスペック、利用者の車種や運転免許証情報など、様々なデータを蓄積しており、これらのデータを活用することで、新たなビジネスチャンスを創出できると考えております。

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    例えば、EV充電設備付の月極駐車場「アットパーキングEV」、月極駐車場のシェアリングサービス「アットパーキングウィークリー」、駐車場利用者向けサービス「アットパーキングカーサポート」などの展開を始めております。「アットパーキングEV」は、電気自動車(EV)の充電ポール設置に関するサービスで、弊社が保有するデータのうち、EVの分布が高い地域の情報などを活用して、充電需要の高い場所に設置を検討します。「アットパーキングウィークリー」は、月極駐車場の空きスペースを短期貸しするサービスで、リアルタイムの空き情報を活用して、近隣の月極駐車場の空き期間に短期貸しを行うものです。

    「アットパーキングカーサポート」は、利用者様向けのサービスで、出張洗車や車のコーティングなど、モビリティ関連のサービス事業者との連携をしております。これらのサービスはすでにリリースしており、順調に拡大しております。

    将来的な展望としては、「ファーストワンマイルステーション構想」というものがあります。月極駐車場には平均して2割程度の空きスペースがあるという現状を踏まえ、生活に隣接するエリア「ファーストワンマイル」にある月極駐車場を再定義することで、これらの空きスペースを有効活用していくことを考えております。例えば、マイクロモビリティのステーションやキッチンカーの出店場所、カーシェアリングの拠点など、多様な用途での活用を想定しております。

    弊社がこれらの事業をすべて行うのではなく、各分野の事業者様と連携し、弊社がプラットフォームとして場所を提供する役割を担うことを目指しております。

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    Q:ビルディングイノベーション事業が安定的な収益基盤となり、月極イノベーション事業が成長事業として展開しているという理解でよろしいでしょうか。

    A:はい。ビルディングイノベーション事業は、貸会議室の新規出店によって成長を目指すモデルですが、現在はオフィス賃料が高止まりしており、空室率も低い状況が続いているため、無理に出店を増やすと収益性の低い出店となってしまう可能性があります。そのため、現在は新規出店を積極的に行わない方針です。

     

    Q:直近の決算についてお聞かせください。

    A:2024年12月期につきましては、月極イノベーション事業は「APクラウド」を中心に、ほぼ予算通りの着地となりました。一方、ビルディングイノベーション事業は、上半期の売上予算未達が影響し、通期でも若干未達となりました。

    全体の売上高、営業損益については、ほぼ予算通りに着地いたしました。経常損益については、補助金の確定が遅れた影響で1,800万円のずれが生じました。税引前当期純利益については、貸会議室で減損損失が発生したこと、当期純利益については、繰延税金資産の変動が影響し、それぞれ計画との間にずれが生じました。

    しかしながら、売上高23億円に対し、経常利益1億5,500万円を計上しており、全体としては良好な結果であったと認識しております。

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    各種KPIについても順調に伸長しております。対前年比、予算対比については、決算説明資料に記載の通りです。営業利益は予算比94.2%、経常利益は予算比81.3%、当期純利益は繰延税金資産の影響により予算比49.7%となりました。

    四半期ごとの業績推移ですが、月極イノベーション事業、ビルディングイノベーション事業ともに、四半期ごとに季節性による変動がございます。直近の第4四半期の前年同期比を見ていただきますと、売上高は12.6%増加、経常利益は29.4%増加と、順調に推移していることがお分かりいただけるかと存じます。

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    3ヶ年の売上高と経常損益の推移です。2022年は大幅な赤字を計上しておりましたが、2023年に黒字化を達成し、2024年にはさらに利益を拡大いたしました。2024年3月にはIPOも果たし、財務的にも安定水準に達し、成長への基盤が整ったと認識しております。

    売上高の内訳としましては、月極イノベーション事業が14億円、ビルディングイノベーション事業が9.5億円となっており、月極イノベーション事業は対前年比で26%成長しておりますが、ビルディングイノベーション事業はほぼ横ばいで推移しております。月極イノベーション事業については、今後も同様のペースで成長していくと予想しております。

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    弊社の月極イノベーション事業におけるKPIは、APクラウド登録台数、決済代行台数、滞納保証台数の3つです。こちらの説明は少々複雑になりますが、まず、管理会社様に対して営業活動を行い、管理されている駐車場の情報をお預かりしており、これがAPクラウド登録台数であり、ポータルサイトに掲載されます。この段階では、まだ弊社に売上は計上されません。

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    次に、決済代行台数ですが、弊社のサービスを導入いただいた管理会社様において、既存の利用者様の駐車場料金の支払い先を弊社に変更していただきます。この手続きには時間を要するため、APクラウド登録台数と決済代行台数の間に差が生じます。この変更手続きが完了すると、決済代行手数料が弊社の売上として計上されることになります。

    さらに、滞納保証台数ですが、管理会社様との契約時に既存の利用者様から滞納保証料のを収受を開始すると値上げとなってしまうため、APクラウド登録時点では既存の利用者様からは滞納保証料をいただいておりません。滞納保証台数として計上されるのは、新規で駐車場を契約される方と、既存の利用者様が解約された区画に新たに契約された方のみとなります。この滞納保証台数が、弊社の収益に繋がる指標となります。

    従って、APクラウド登録台数に対して、決済代行台数、滞納保証台数は徐々に近づいていくことになりますが、並行して新規の営業活動も実施していることからこの差分は今後も継続し、営業獲得から売上計上まで、一定の時間を要するものの確実に積みあがっていくモデルとなっております。

    その他、「ファーストワンマイルステーション構想」の空き区画の活用に関する取り組みも、成長戦略でお話ししましたとおり順調に進んでおります。

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    次に、ビルディングイノベーション事業についてですが、こちらはほぼ横ばいで推移しております。貸会議室事業は、例年、第2四半期に繁忙期を迎えます。これは、4月から6月にかけて研修などの利用が増加するためです。

    2025年の業績予想ですが、売上高27億4,000万円、経常利益1億9,700万円、当期純利益2億300万円を見込んでおります。全体としては、ビルディングイノベーション事業が横ばいで推移するため、成長の大部分は月極イノベーション事業が牽引する見込みです。

    利益の伸びがやや抑制されているように見えるかもしれませんが、これは、今後の事業展開に向けた取り組みを強化するための投資を行うためです。

     

    Q:今後注力していく取り組みについてお聞かせください。

    A:今後の取り組みとしては、主に3つの柱があります。1つ目は、最大市場の開拓です。これまで、弊社のサービスは、全国のJRグループ各社様や私鉄各社様、コインパーキング事業者様など、比較的規模の大きな企業様にご利用いただいておりましたが、今後は、全国各地の不動産管理会社様、特に中小規模の企業様へも導入を積極的に進めてまいります。これらの企業様は、地域の住宅管理などを行っており、月極駐車場の管理も手がけているケースが多くあります。

    これらの企業様は、地域の情報に精通している一方で、ITツールの導入には抵抗があるという傾向が見られます。そこで、全国の宅建事業者様の約8割、10万会員が加盟する「ハトマーク支援機構」様と提携し、同機構様からの一社単独推奨という形で、弊社のサービスをご紹介いただくことで、これらの企業様へのアプローチを円滑に進めていきたいと考えております。

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    2つ目は、社会課題への対応です。ITを活用し、自治体様が抱える課題の解決に貢献してまいります。例えば神戸市様では、災害発生時に弊社のサービスを導入している駐車場を、災害対応車両の拠点として活用する協定を締結いたしました。

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    この協定により、災害発生時には、弊社のシステムを通じて、近隣の駐車場の空き情報をリアルタイムで確認し、災害対応に必要な車両を迅速に配置することが可能になります。今後は、神戸市様を皮切りに、政令指定都市を中心に、同様の取り組みを拡大していくことを目指しております。

     

    Q:災害用の資材などを保管しておくわけではなく、災害発生時に活用するイメージでしょうか。

    A:はい。災害発生時に、参画いただいている管理会社様の駐車場スペースを、災害対応のためにご提供いただくイメージです。弊社のシステムでリアルタイムの空き情報を把握しているからこそ実現できる取り組みです。

     

    Q:3つ目の取り組みについてお聞かせください。

    A:3つ目は、新領域の創造です。これまでご説明してきたデータビジネスの展開として、「アットパーキングウィークリー」というサービスを提供しております。これは、月極駐車場の空き区画を、短期間だけ利用したいというニーズに応えるサービスです。

    例えば、観光地では、コインパーキングが満車でも、月極駐車場に空きがあるというケースが見られます。また、住宅街では、工事事業者様などが、一時的に工事車両を駐車する場所を確保したいというニーズがあります。

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    工事車両の駐車場所の確保は、特にニーズが高いと伺っております。「アットパーキングウィークリー」は、これらのニーズに対応するため、月極駐車場の空き区画を予約して利用できるサービスです。ニッチな市場ではありますが、ニーズは高いと考えております。「APクラウド」を導入いただいている管理会社様は、これらのサービスも利用可能になります。これらの取り組みにより、APクラウド登録台数は順調に増加しており、今後も成長を継続していく見込みです。まずは、現在の登録台数約37万台を、国内の月極駐車場市場推定3,000万台に対して、いかにスピード感を持って拡大していくかが重要となります。先ほどお話しした「ハトマーク支援機構」様との提携や、自治体様との連携などを通じて、事業拡大を加速させていきたいと考えております。

     

    Q:営業利益についてお伺いしますが、これまでの業績推移を見ると、利益が大きく変動しているように見受けられます。これは、投資フェーズが終了し、今後は本格的な収益化フェーズに入っていくという認識でよろしいでしょうか。

    A:機関投資家の皆様からは、2025年の業績予想について、やや保守的な印象を受けるというご意見もいただいております。弊社としましては、市場の大きさや成長性を考慮し、内部留保の範囲で事業拡大に向けた投資を積極的に行っていく方針です。

    Q:2024年に上場を果たされましたが、上場を決断された理由についてお聞かせいただけますでしょうか。

    A:「APクラウド」では、利用者の皆様から毎月の駐車場料金を一時的に弊社がお預かりし、その後弊社から各管理会社様に振り分け、管理会社様が地主様にお支払いするという仕組みをとっています。そのため、多数の利用者様から多額の資金をお預かりすることになります。

    管理会社様、例えばJRグループのような企業様から、賃料の回収業務をすべて委託いただくということは、非常に大きな信頼が必要となります。弊社では、以前から信託保全の仕組みを導入し、お預かりした駐車場料金を分別管理するなど、資金管理には万全を期しておりましたが、上場企業であるという信用力は、さらに大きな意味を持つと考えました。

    上場企業としての信用力を高めることが、事業拡大において重要であると考え、できるだけ早期に上場する必要があると判断いたしました。

     

    Q:上場後、機関投資家の皆様とのミーティングは、どのくらいの頻度で開催されているのでしょうか。

    A:四半期ごとに開催しております。

     

    Q:今後の戦略として、現在のポータルサイトに加えて、アプリの開発などは検討されているのでしょうか。

    A:現時点では、いますぐにアプリの開発を具体的に検討している段階ではございません。月極駐車場を契約するタイミングは、車の購入時や引っ越し時など、限られた機会であるため、一度契約すると、次に利用する機会が訪れるまで時間が空くことが想定されます。そのため、アプリを定期的に利用していただく動機付けが難しいと考えており、周辺サービスの開発に注力するとともに、現在はウェブサイトでのサービス提供としております。

     

    Q:先ほどご説明いただいた、ウィークリーでの利用や1日単位での利用など、短期利用のニーズが高まった場合には、アプリの必要性も出てくるかもしれませんね。

    A:はい、おっしゃる通りです。その場合は、アプリの開発も視野に入れて検討する必要があると考えております。

     

    Q:今後の株主還元策について、何かお考えの戦略はございますか。

    A:はい。株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、現時点では利益還元は実施しておりません。月極イノベーション事業が成長過程にあるため、当面は、成長エンジンである「APクラウド」への成長投資を優先してまいります。成長投資により経営基盤を強化し、企業価値を増大することで将来の利益還元に備える方針です。

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  • 取締役CFO 竹内聡様

    管理部財務グループ長 深澤郁様

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