
(株)ハッチ・ワーク
東証GRT 148A
決算:12月末日
20260304
【2025年12月期(通期)】
Q:成長戦略のポイント(今後の取り組みやトピックス、計画にない新たな戦略的施策等を含む)はなんでしょうか?
A:当社の成長戦略といたしましては、主に「月極イノベーション事業」と「ビルディングイノベーション事業」の双方における市場開拓と業務効率化を推進しております。月極駐車場事業においては、全国の不動産管理会社の約8割が加盟する「ハトマーク支援機構」との提携を最大の市場開拓施策と位置づけており、地域の有力な不動産会社との関係構築を深め、インサイドセールスとフィールドセールスを連携させた営業展開を行ってまいります。また、「災害ステーション」の取り組みとして神戸市や松山市と提携し、災害時に無償で駐車場を提供する社会貢献活動を通じ、周辺の管理会社や地元企業を巻き込んだ強固な関係性構築と新規獲得を目指しております。さらに、クラウドシステムの導入拡大に伴い、空き駐車場を短期貸しする「APウィークリー」の展開や、蓄積される駐車場の価格情報および利用者の属性情報等をビジネスに活用する展開も見据えております。一方、ビルディングイノベーション事業におきましては、築古のオフィスビルが増加する中での高収益化ソリューションとして新橋、青山一丁目などで貸会議室の新規出店を再開いたします。新規店舗では、受付の無人化や遠隔での鍵の開閉など省人化を図りつつ、立地に応じたイベントスペース的な機能も取り入れた開発を進めております。これらの事業拡大を支える基盤として、審査業務や請求・滞納管理などの事務的アナログ業務をAIにより効率化し、労働集約型モデルからの脱却を図るための戦略的投資を実施いたします。
Q:成長戦略のポイントについて、前提条件等での変化とその影響等をご説明ください。
A:事業環境の前提条件として、まず月極駐車場市場においては、将来的な人口および自動車の減少に伴い駐車場の空きスペースが増加していくことが予想されます。この変化に対し、当社のシステムによりリアルタイムで空き状況を把握できる仕組みを普及させることで、短期貸しなどの多様な業者間連携を促進し、新たな需要の創出に繋げることが可能となります。また、一般的なSaaSモデルに対する市場の評価に変化が見られるものの、当社のサービスはシステム導入先である管理会社からのシステム利用料ではなく、駐車場利用者からの保証料を主な収益源とする独自のマネタイズモデルを構築しております。さらに、管理会社のアナログ業務を当社が全面的に巻き取るBPO(Business Process Outsourcing)の性質を持っているため、将来的にAI技術が進歩したとしても、管理会社が当社との契約を解除して内製化を図る動機付けは発生しにくく、安定した事業基盤を維持できると考えております。一方、オフィスビル市場におきましては、建築費の高騰により建て替えを断念せざるを得ない中小の築古ビルが増加しているという課題があります。当社はこうしたビルにおいて引き続き高収益を生み出すための解決策として貸会議室というソリューションを提供し、新規出店を進めることで需要を取り込んでまいります。
Q:通期予想の戦略と施策についてご説明ください。
A:2026年12月期の通期予想におきましては、売上高は引き続き順調な成長を見込む一方で、利益面については減益を計画しております。これは、グロース市場において2030年に向けて時価総額100億円を目指すという目標を見据え、将来の成長に向けた戦略的投資を早期に実行するためです。具体的には、今後の人員拡大と既存社員の環境整備を目的とした本社拡張移転費用として47百万円を見込んでおります。また、月極イノベーション事業における審査や請求・滞納管理などの事務的アナログ業務を効率化し、労働集約型モデルから脱却するためのAI関連投資やマーケティング・営業力強化施策、システム関連投資等に112百万円を投じます。さらに、ビルディングイノベーション事業におきましては、4月に予定している新橋や青山一丁目などへの新規出店に伴うコストとして75百万円を計上しております。これらストック型売上を早期に積み上げるための採用やマーケティング、システムへの戦略的投資を意図的に実施した結果として、差し引きで200百万円の経常利益予想となっております。
Q:受注・競合状況は如何でしょうか?
A:当社の営業進捗を示す指標につきましては、「APクラウド登録台数」が前年度比26%増と四半期および年度単位の双方で順調に成長しております。また、オンボーディングの進捗を示す「決済代行台数」や、収益に直結する「滞納保証台数」も自然増を含め着実に積み上がっており、現在86,000台に達しております。競合状況に関しましては、上場企業であるA社が月極駐車場の分野でコンペティターとして意識されておりますが、同社が一旦駐車場を借り上げて転貸するサブリース方式を採用しているのに対し、当社は管理業務のクラウド化と自動化によるソリューションを提供している点でビジネスモデルが異なります。また、その他の未上場企業において当社と同様のサービスを後発で展開する動きも見られますが、当社は独自の優位性を確立しております。具体的には、当社が駐車場の管理台帳システム自体を提供しているため、自社サイト上で空き状況をリアルタイムで正確に開示でき、予約が入った瞬間に満車となる仕組みを実現しております。これにより、他社のように空き状況の確認に問い合わせを要しダブルブッキングのリスクを伴うリクエスト予約方式とは異なり、即時かつ確実な短期貸しなどの予約手配が可能となっております。
Q:M&A、業務提携、事業売却などの実施または検討状況と、それに伴う影響についてご説明ください。
A:業務提携に関しましては、最大の市場開拓施策として、不動産管理会社の約8割が加盟する「ハトマーク支援機構」との単独提携を実現いたしました。これにより、ウェブ広告などではアプローチが困難であった地場の有力な不動産管理会社に対して、地域の会合への参加等を通じた効果的な営業活動が可能となっており、順調な進捗を見せております。また、自治体との連携として、神戸市や松山市と「災害ステーション」に関する提携を行いました。これは災害時に当社のシステムを導入している駐車場の空きスペースを救援車両等へ無償提供する取り組みであり、自治体や地元企業と連携することで地域ごとに強固な関係性を構築し、周辺の管理会社の新規獲得に繋げる営業的要素を含んでおります。一方、M&Aにつきましては、全く検討していないわけではございませんが、現状では具体的な内容は非開示とさせて頂いております。同業の上場企業が存在せず、未上場企業もごく少数であるため、単純な横展開は難しいと考えており、当社が目指す将来像において不足している機能を補完する目的での選定を行っていく方針です。
Q:中期事業計画の内容や進捗状況等をご説明ください。
A:中期経営計画などにつきましては、現状ではまだ公表しておりません。しかしながら、第4四半期の決算説明資料の中で初めて、グロース市場において時価総額100億円を目指すという目標について言及させていただきました。2030年が近づくにつれて打ちづらくなるであろう施策を早期に行うべきという判断から、将来的な成長のための投資を本業績予想に反映させております。
Q:株主還元の方針をご説明ください。
A:現状の株主構成につきましては、創業メンバーが合計で過半数の株式を保有していることに加え、未上場時からご出資いただいているベンチャーキャピタルの方々が引き続き株式を保有されているため、市場における浮動株が少ない状況となっております。これは意図的に流動性を低く抑える戦略を採っているわけではございません。今後の対応といたしましては、市場の状況を注視しつつ、一定の株価水準に達した段階で株式分割などの実施を検討していきたいと考えております。
【2025年12月期(通期)】
取材者:貴社のサービスは非常に便利な仕組みだと拝見しております。今回、12月決算の発表前に上方修正を行われました。まずは決算の状況と要因についてご説明をお願いいたします。通期の業績が好調であることについてご説明いただきたいのと、おそらく人員増加やAI関連投資などの影響で通期予想では利益が落ちる部分についてもご説明いただけますか。
回答者:2025年12月期におきましては売上、利益ともに、特段問題のない水準であると考えております。
取材者:5期連続の増収ですね。
回答者:利益についてですが、2021年度、2022年度は新型コロナウイルスの影響があり大きくマイナスとなりましたが、2023年度に黒字化し、2024年度には黒字幅が拡大して上場に至ったという形になっております。ハイライトといたしましては、売上高、利益面、そしてKPIも順調に伸びております。また、将来の成長に向けた投資を2025年12月期においてすでに開始しております。自治体連携につきましては、災害ステーションの取り組みとして、神戸市に続き松山市とも提携いたしました。
取材者:ARRが前年度比で39.3%増えたというのは素晴らしいですね。
回答者:順調に伸びていると考えております。業績につきましては全社および「月極イノベーション事業(駐車場)」、「ビルディングイノベーション事業(会議室)」のセグメント別に開示しております。全社では売上高が16.5%増、営業利益が32.1%増という伸びになっております。
「月極イノベーション事業」につきましては、トップラインが25.2%伸び、セグメント利益も39.7%伸びておりますので、極めて順調かと存じます。「ビルディングイノベーション事業」のトップラインは3.4%増と若干プラスですが、ほぼ横ばいの範囲内と見ております。セグメント利益がマイナスとなっているのは、2025年10月に五反田へ出店したことと、一部で家賃の値上げがあったこと、また昨今の人件費等の高騰の影響により、損益的には対前年比でマイナスになりました。当社の2つの事業はともに季節性があるため、四半期単位で比較していただきたいのですが、売上高としては第4四半期同士で比較しますと19.9%伸びております。損益は逆に減少しておりますが、これは意図的な戦略的投資の結果ですので、計画通りのマイナスとなっております。
取材者:売上で見ると、やはり下半期の方が若干高いのですか。
回答者:特に全社では駐車場事業の売上比率が高いため積み上げ型の売上構成となるのですが、第2四半期は3月、4月の引っ越しシーズンに売上が大きく伸びるため、その反動で第3四半期は売上が少し下がる傾向があります。ただし、積み上げ自体は続いておりますので、第4四半期には第2四半期の売上高を超えてくる傾向にあります。上方修正をした数値ですが、この数値を少し上回る形で、売上高、営業利益、経常利益ともに達成することができました。当期純利益だけは、繰延税金資産の見込みに差異があり、ややショートしました。各セグメントについてご説明いたします。「駐車場」から先に申し上げますと、まず「APクラウド登録台数」は、営業が順調に進んでいるかを確認いただくための指標であり、前年度比26%アップと、四半期単位でも年度単位でも成長しております。「決済代行台数」は、管理会社と契約を締結した後に、利用者様の駐車場代の支払い先を当社へ切り替える作業が完了した台数を意味しており、オンボーディングの進捗状況を表しております。「滞納保証台数」は、主に自然増の部分ですが、新しく駐車場に入られた方や既存の利用者が入れ替わり、当社の保証が適用された方の累計です。現在86,000台となっており、時間はかかりますが、徐々にAPクラウド登録台数に近づいていく構図となっております。
取材者:「APクラウド登録台数」が増えただけでは売上に直結するわけではないけれど、それが「決済代行台数」や「滞納保証台数」に繋がっていくという見方でよいですか。
回答者:その通りです。営業が順調かどうかを見ていただくには、「APクラウド登録台数」の指標をご確認いただければと存じます。
取材者:すごく順調ですね。26%ですからね。
回答者:続いて、貸会議室を中心とした「ビルディングイノベーション事業」につきまして原価の方に大きな費用が入っております。貸会議室を借り上げ、そこに造作を施して貸し出すというモデルになっておりますため、借り上げる賃料の値上げや昨今の人件費高騰もあり、原価が過年度と比較して上昇しております。ここ数年は新規出店をずっと控えておりました。オフィス賃料が平均的に高く推移していることと、空室が非常に少ないことから、新型コロナウイルス感染拡大以降は無理な新規出店をせず、内部の収益性を高めることに集中しておりました。ところが昨年、久々に五反田に出店し、本年4月には新橋と青山一丁目にも出店する予定です。なぜ再び出店に舵を切ったかと申しますと、現在オフィスビルの中で建て替えが困難な状況にある築古のビルがかなり増えてきているという課題があります。例えば、中野サンプラザや五反田のTOCのように、古くなったため建て替えを判断しテナントを退去させたものの、実際の建築費等が高騰しており建て替えができないという事例が中小ビルで多く発生しております。そうした中小の築古ビルにおいて、引き続き高収益を生み出さなければならない状況下で、解決方法として例えば貸会議室というソリューションを提供できるようになってきております。ピンポイントではありますが、新規出店が少しずつ始まっている状況です。
売上高で言いますと、前期第4四半期が208百万円で、今期第4四半期が217百万円です。大体四半期でこのような推移となっております。会議室の利用ですので、3月や4月は研修や面接などでの利用が増えるため、この第2四半期が概ね高くなるという形です。
取材者:会議室が利用されていない時も、貴社が借り上げているから支払いは発生するわけですね。回転率を上げて貸していかないといけないのですね。
回答者:固定費として発生いたします。そのため、この固定費がある分、新型コロナウイルスの時期は大変でした。大きな赤字となったのはその時期でした。
続いて、2026年12月期の業績予想ですが、トップラインは順調に成長する計画をしております。一方、損益は減益を予想しており、その理由として「月極イノベーション事業」「ビルディングイノベーション事業」「全社」の各項目で開示しております。当社でも例に漏れずAI導入への戦略的投資があります。また、採用やマーケティングの面もあり、ストック型の売上ですので早めに積み上げておきたいという意図から、若干踏み込んで進めていく部分があります。「ビルディングイノベーション事業」につきましては、新規出店がメインとなっており、4月にも出店が決まっていますので、そのコストを見込んでおります。「全社」に関しましては、本年2月に本社を移転しており、今後さらに人材を獲得していかなければならないという採用強化の側面と、既存人員の環境を整備したいという目的があり、本社を拡張移転してさらに拡大を図っていく方針です。イメージとしましては、2025年の営業利益242百万円から、2026年度の営業利益予想204百万円へ、どのように増減するかを分けて開示しております。2026年の利益増加額として通常であれば174百万円程度増える見込みに対し、本社拡張移転で47百万円、駐車場部門のAI関連投資等で112百万円、会議室の出店投資等で75百万円の費用がかかり、差し引きで204百万円という業績予想となっております。
取材者:AI関連への投資などの影響が112百万円程度ということですね。
回答者:今回、開示資料の中で初めて「100億円」という言葉に触れました。やはりグロース市場において、時価総額100億円という目標に向けて投資をしていく場合、2030年が近づけば近づくほどこうした施策は打ちづらくなるだろうと考えております。打ち手は早い方が良いと考え、2026年度はこのような業績予想とさせていただきました。
2025年に実施した施策の進捗と、2026年度の継続施策につきまして、1点目は最大の市場開拓として「ハトマーク支援機構」との提携です。これは営業面ですが、宅建業界にはハトマーク支援機構というものがあり、不動産管理会社の約8割が加盟する団体があります。ここと単独提携することができましたので、同団体にしっかりとメリットを享受頂き関係性を強化することで、順調に進捗しております。かなり効果的な活動ができていると考えており、2026年度についても継続的に営業を展開してまいります。
取材者:このハトマークとの提携は、ものすごくインパクトが大きいような気がいたします。
回答者:不動産会社はハトマークかウサギマークのどちらかに必ず加盟しているのですが、そのうちの8割が加盟する団体との提携は非常に有意義です。今まで当社は大手企業様から導入が進んできたのですが、月極駐車場管理を行っている企業の多くは、地場の不動産管理会社様でして、そこをいかに開拓するかが重要な営業戦略となります。ウェブ広告などがなかなか届きにくい相手ですので、例えばハトマーク支援機構の各地域の会合等に参加させていただく権利を得られたことで、地域の有力な会社様と関係性を構築し、地域ごとに深く入り込んでいくことが徐々にできてきたところです。非常に効果的に進んでいると考えております。「災害ステーション」についてですが、一見CSR的な社会貢献活動という側面が強く見えるものの、営業的な要素も大いに含まれております。例えば神戸市や松山市においては、周辺企業の加盟を促進するために、このプロジェクトに地元の鉄道会社などを巻き込んで取り組みを進めることで、地域ごとに強固な関係性を構築していく取り組みの一環となっております。
取材者:災害ステーションとは何ですか。
回答者:神戸市や松山市の例で申し上げますと、災害が発生した際に、当社のサービスを導入している駐車場の空きスペースを、管理会社や自治体の負担ではなく、当社の負担で災害救援車両等に無償で提供しましょうという取り組みです。南海トラフ地震などが予測される中で、太平洋側の地域は非常に関心が高く、当社のサービスが入っていれば駐車場の空き状況をリアルタイムで管理できるため、災害発生後すぐに空いている駐車場を提供できるという点にメリットを感じていただいております。
取材者:これが直接提携したからといって、収益に繋がるというわけではないのですね。
回答者:例えば自治体から費用をいただくことはなく、むしろ当社側が駐車場を無償で提供する立場になります。そこでの収益はありませんが、周辺の管理会社様が一緒に参加してくれることで関係性が強化され、さらに周辺の会社様を新規で獲得していこうという取り組みになります。
「APウィークリー」についてですが、これは月極駐車場管理のシステムを導入していただいた会社様向けに始まっている短期貸しの仕組みです。通常は月極駐車場ですが、空いている時に1日単位や1週間、1ヶ月単位で貸し出そうというものです。このサービスに興味を持っていただき、導入するためにクラウドの仕組みを入れる必要があることから、結果としてクラウドの拡大にも繋がっております。
これは先ほどの説明の通り、ARRも順調に成長しているということです。年によって伸び率は変わりますが、2025年度に関しても非常に順調でした。
会議室も2025年12月期の業績では家賃の値上げや人件費の上昇で損益的には前年比で少しマイナスになりましたが、新しく出店する新橋、青山一丁目に関しては、省人化等の商品化を進めた会議室を開発していく予定です。例えば受付の無人化や、鍵の開け閉めを遠隔で対応するなど、人手をかけずに運営できる仕組みを準備しております。特に青山一丁目は、ただ四角い部屋に机と椅子を並べるだけでなく、場所柄も考慮してイベントスペース的な作りも取り入れながら開発を進めており、4月にオープンする予定です。
会議室事業が少しずつ伸びていくのに対し、駐車場事業にはドライブをかけていきます。どちらも伸ばしていきますが、市場には国内車両保有台数、約6,205万台の車があり、月極駐車場市場想定約3,000万台となっております。当社の2025年12月末時点の登録台数は473,000台ですので、まだまだ開拓の余地は大きいです。面を取れればデータが入ってきますので、駐車場の価格情報や利用者の車両・属性情報などをビジネスに生かしていく方針です。将来的には人口も車も減少し、月極の空きスペースが増えてくる中で、当社の仕組みが入っていればリアルタイムで空き状況がわかるため、様々な業者様にも使っていただく連携を進めていきたいと考えております。その一つ目が自社サービスで始めている短期貸しです。
取材者:貴社のKPIは、やはり登録台数になるのですか。
回答者:おっしゃる通りです。
取材者:順調に伸びているわけですが、増やすための努力としてどのような取り組みをされているのですか。
回答者:当社が能動的に増やせるところとしては、「APクラウド登録台数」と「決済代行台数」です。「APクラウド登録台数」は新規の営業活動になりますので、一番大きな取り組みがハトマーク支援機構との提携です。この提携をうまく生かしながら、インサイドセールスから始まり、アポイントが取れたところで大きな案件はフィールドセールスにバトンタッチをするという手法で、営業活動の推進をしております。「決済代行台数」は、管理会社との契約後に、駐車場の利用者様からの支払い先を当社へ切り替える作業になります。元々アナログで管理されていたものをデジタルに切り替えながら収納代行も切り替えていくため、意外と時間がかかるものです。ただ、これを切り替えることによってリプレースされにくくなるという利点があります。収益に直結するまでには時間を要しますが、地道に積み上げていく形をとっております。
取材者:「SaaSモデル」について、世間では様々な見方が出てきており、そういった企業の評価が落ちてきている現状があります。貴社の場合「SaaSモデルではない」のか、あるいは「SaaSモデルではあるがこういった部分は他社には真似できない」のか、貴社の立場として将来性への不安を打ち消すようなご説明をお願いできますか。
回答者:一般的にSaaSモデルの企業ですと、システムを導入する営業先からのID課金によるマネタイズが中心になっているかと思います。しかし当社の場合はマネタイズのポイントが異なっており、導入を決定する管理会社からいただく収益は月額15,000円または無料という、かなり低い水準となっております。この収益は当社にとって非常にインパクトが小さいものです。一方で、ほとんどの収益は利用者様側からいただく形になっており、一番大きいのは保証料です。この点が通常のSaaS企業との最大のマネタイズの違いとして挙げられます。さらに、当社のサービスは管理会社に導入いただいた後、従来アナログで行っていた紙やハンコの業務、電話でのやり取りなどをすべて当社が巻き取り、オンライン化してしまいます。BPO(Business Process Outsourcing)という形で既存業務を請け負っております。もしAIが導入されて効率化が進むとしても、それは当社が巻き取った作業の中での効率化となります。管理会社の立場で言えば、費用の負担もない上に、自分たちでAIを導入してシステムを置き換えるメリットがほとんどありません。したがって、SaaS企業が懸念されているような影響は、当社のサービスに関しては及ばないと考えております。
取材者:貴社の仕事は、先方との折衝事などアナログ的な対応も結構多いような気がいたします。
回答者:すべてがアウトソースされているため、管理会社がやることはほとんどなくなります。費用もほとんどかからないため、AIが進歩したからといって、管理会社側が当社をキャンセルして内製化しようということには今のところなりません。
取材者:上場企業のA社などは、貴社のお客様になるのですか。
回答者:A社とは、営業先である管理会社や地主という点では共通しております。ただ、ソリューションの方法として、当社が「管理業務をクラウド化して自動化しましょう」とアプローチするのに対し、A社は一旦借り上げてそれを転貸する「サブリース」の仕組みを提供しておりますので、提供するソリューションが異なります。ただ非常に似たイメージを持たれるため、当社も上場時からコンペティターとして意識はしておりますし、どちらもストック型の事業となります。A社は上場後も大変高い成長を続けている素晴らしい会社ですので、当社も後に続けるよう事業を推進してまいります。
取材者:他の未上場企業との違いはどのように考えればよろしいですか。
回答者:A社よりは先ほどお話した数社存在する未上場の会社の方が事業としては類似となります。サービス的にはほぼ同じような内容ですが、違いを挙げるとすれば、当社は駐車場の空き・満車のリアルタイム管理をサイト上で開示している点です。当社のサービスが入っている駐車場は、空いていれば「空き」、埋まっていれば「満車」と表示されます。ホテルの予約サイトのように、当社は管理台帳側まで握っているため、契約が締結されればその瞬間に埋まるという仕組みになっています。一方で仲介を行うのみの駐車場では、サイトには載っていても実際に空いているかどうかはその時点ではわからず、一旦問い合わせをして空き埋まりの確認をして初めて結果がわかるという違いがあります。
取材者:他社の場合は、ダブルブッキングになってしまう可能性があるということですか。
回答者:ダブルブッキングになるということではなく、その時点では契約締結にはならず、「問い合わせ」をして空き埋まりの確認をした後に契約手続へ進むという仕組みにされています。
取材者:貴社の場合は、ホテルで言うところのダブルブッキングは絶対にあり得ないわけですね。
回答者:あり得ないですね。台帳を掴んでおりますので。だからこそ、短期貸しもできるのです。
取材者:貴社のオペレーションコストの劇的な削減や、AI投資開発による将来像が少し見えにくいと感じております。今後どのようにAI化が進んでいくのか、もう少し教えていただけますか。
回答者:この点については、まさにこれから取り組みを進める段階です。これまでは事業をどんどん拡大してきまして、それを人員で何とかこなしてきた状況でした。ただ、それを継続していっても売上は伸びるが利益は伸びないという話になってしまいますので、どこかで踏み込んだ形で、当社が請け負っているアナログ業務の特定の分野をAIで効率化する取り組みを進めなければならないと考えていました。具体的に想定しているのは、借りたい方の審査業務や、請求・滞納の管理業務など、事務的な作業が多数ありますので、そういったところをいかに効率化できるかにかかっていると考えております。
取材者:効率化していくと、売上も上がり利益も上がるということですか。
回答者:はい、その方向に向けた取り組みを推進してまいります。
取材者:今回の戦略的投資についてですが、時価総額100億円をグロース市場で目指すとなると、現状の3倍程度になりますが、このシナリオやロードマップのようなものはございますか。
回答者:現状ではまだ何も出しておりません。中期経営計画なども出しておらず、100億円という言葉に触れたのも今回が初めてです。
取材者:単なるSaaSの企業というだけでなく、貴社がリアルの資産であるプラットフォームになるという見せ方が必要になってくるのではないかと思っております。オーガニックな成長でどこまで行けるかはわかりませんが、まずはその部分をしっかり示すことで、現在のPERももう少し高くなって良いのだろうと考えております。売上利益が成長していく中で、M&Aなども検討されているのですか。資金調達のお話にもなるかと思いますが。
回答者:検討していないわけでは全くありませんが、現状では具体的な内容は非開示とさせて頂いております。同業で上場している会社がなく、未上場でも数社しかありませんので、横展開を広げることは少し難しいと考えており、当社が目指す先の中でどのパーツが足りないのかを選定していくことになるかと思います。
取材者:やはり未開拓の巨大市場である3千万台の部分をどう取っていくかということなのですね。
回答者:それをいかに早くするか、ということになります。
取材者:そのスピード感が2030年に向けて求められていると思いますので、頑張っていただきたいですね。現在の473,000台から100万台、200万台、500万台と見えてくると、すごいことだと思います。そのためにはAIも必要でしょうし、ハトマークやウサギマークとの開拓も重要になりますね。
回答者:両方と組むことは難しいと考えています。当社自身も宅建業の免許を持っているため、どちらかにしか加盟できず、加盟数の多い団体と組んだという経緯があります。
取材者:リスクについてお伺いしたいのですが、貴社にとってのリスクとは何ですか。
回答者:今期掲げているAIの推進がきちんと実行できないと、労働集約型モデルから脱却できず、売上の伸びがあっても、利益面も同程度の伸びに抑えられてしまうことだと考えております。
取材者:ハトマークをどんどん開拓していくとおっしゃっていましたが、人手だけではできない部分も出てくるかと思います。いかに契約台数を増やすかという部分に尽きる気がしますので、今回の投資によって、先ほどおっしゃった審査や請求、管理業務などが効率化され、売上と利益がどれくらい増えるのかという予想指標が見えてくると良いですね。
まだ上場して2年ですが、株主数の少なさについて、これは戦略的に行われているのですか。
回答者:そのようなことはありません。元々創業メンバーが合計で株式の過半数を持っていることと、未上場の時に投資いただいたベンチャーキャピタルの方々がまだ残っていらっしゃるため、手放す時期が来ないと浮動株は少ない状況です。
取材者:株主は直近で何名くらいいらっしゃいますか。去年の12月は530名程度だったところ。
回答者:800名を超えたあたりかと思います。
取材者:発行済株式数も大体1,000,000株ちょっとですか。
回答者:1,900,000株くらいです。
取材者:1,900,000株くらいだと少し少ないのかなという印象です。適正な株価がつくためには、本当は5,000,000株くらい欲しいところです。株主数が増えていけば適正な株価がついてくるかと思います。現状では流動性が低く、何かあると大きく上がったり下がったりしかねないため、数年かけて調整していく必要があるのだろうと思います。
回答者:株式数に関しては、一定の株価水準になった時には株式分割なども検討したいと考えております。
取材者:新年度は増収減益という戦略的投資を行われますが、これまでの業績、特に前期の業績は本当に素晴らしいと思います。上方修正も出されましたが、今回は良い形での上方修正でしたので、悪い見方はされていないと思います。この1年しっかりと数値を出しつつ、コンサバティブに出していて上方修正するのかなと期待しながら見ておりますが、現在の規模で言うとまだまだ収益規模が足りないと思いますので、戦略的投資を行い、収益が上がる形をとっていく成長フェーズなのだと思います。
マーケットもまだ大きく、若い方も入ってくるでしょうから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
回答者:今後ともよろしくお願いいたします。
CP&X
【2025年12月期(通期)】
決算概要
2025年12月期通期決算は、売上高2,759百万円(前期比16.5%増)、営業利益242百万円(同32.1%増)、経常利益260百万円(同67.9%増)、当期純利益246百万円(同88.6%増)と、大幅な増収・増益での着地。5期連続の増収を記録し、決算発表前に行われた上方修正の数値を上回る水準での達成。当期純利益のみ、繰延税金資産の見込み差異による若干の計画未達。
セグメント別または事業別の増減要因
「月極イノベーション事業」はトップラインが前期比25.2%増、セグメント利益が同39.7%増と極めて順調な推移。「ビルディングイノベーション事業」の売上高は同3.4%増とほぼ横ばいであるものの、2025年10月1日に五反田で貸会議室を新規出店した他、借り上げ賃料の値上げ、人件費高騰の影響による対前年比でのセグメント利益マイナス。
主要KPIの進捗と変化
全社のARRは前年度比39.3%増という大幅な成長。営業進捗の指標となる「APクラウド登録台数」は、前年度比26%増となる2025年12月末時点で473,000台への到達。収益に直結する「滞納保証台数」も自然増により着実に積み上がり、現在86,000台規模への拡大。
季節性・一過性要因の有無と影響
当社の2つの事業において確認される四半期ごとの明確な季節性。月極駐車場および貸会議室の双方が、引っ越しや研修・面接が集中する3月・4月を含む第2四半期に売上が大きく伸長する傾向。駐車場事業は第3四半期に一時的に売上が低下するものの、ストック型の積み上げにより第4四半期には第2四半期を上回る収益構造。
通期見通しと進捗率・達成可能性
2026年12月期の通期予想は、引き続きトップラインの成長を見込む一方での経常利益200百万円という減益計画。2030年の時価総額100億円達成を見据え、本社拡張移転(47百万円)、AI関連投資(112百万円)、会議室新規出店(75百万円)に踏み込んだ意図的な戦略的投資の実施が減益の主因。推進予定のAI化が遅れ、労働集約型モデルから脱却できない場合の売上や利益の成長頭打ちリスク。
トピックス
不動産管理会社の約8割が加盟する「ハトマーク支援機構」との単独提携を通じた、地場の有力な不動産管理会社に対する効果的な営業活動の推進。神戸市および松山市との「災害ステーション」協定を通じ、災害時の無償駐車場提供という社会貢献をフックにした周辺管理会社の新規獲得展開。月極駐車場の空きスペースを活用した短期貸しサービス「APウィークリー」の稼働や、省人化機能を備えた貸会議室の青山一丁目や新橋への新規出店。
取締役CFO 竹内 聡 様

企業名
上場市場 証券コード
決算日
