取材者: 事業内容やビジネスモデル、特徴や強みなどをご説明ください。
回答者: 事業としましては、ゴルフ場の集客支援という非常にニッチなサービスを展開しております。インターネット上でゴルフ場の予約を行うサービスは、当社を含め3社しかございません。ニッチな産業でありながら参入障壁が非常に高く、3社でほぼ寡占状態となっております。
具体的には、楽天株式会社様と株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様ですね。この3社しか行っておりませんので、小さいながらも特徴的な事業といえます。
子会社の方では、ゴルフ用品の物販会社と旅行会社がございます。これらは基本的に当社のゴルファー会員との結びつきが非常に強く、会員の皆様にゴルフクラブをご購入いただいたり、ゴルフ旅行を企画・提供したりしております。
ゴルファー会員は現在100万人を超えておりますが、ゴルフ以外のサービスも提供していきたいと考えております。
取材者: ゴルフ以外のサービスも提供するとなると、M&Aなども視野に入れているのですか?
回答者: はい。成長していく上ではM&Aは必要不可欠だと考えております。相手のある話なので予定通りにいかないこともありますが、事業領域や規模の拡大に向けて、M&Aは今後も積極的に行っていく予定です。
取材者: M&Aの方針についてお聞かせください。
回答者: いわゆるシナジー効果があるかどうかが重要です。しかしながら、同じ業界の同じような事業を買収しても意味がないので、少しずつ幅を広げ、異なる領域の事業も取り入れていく予定です。
取材者: トラベル事業とのシナジー効果は想像しやすいですが、グループ事業とのシナジーについては、どのようにお考えでしょうか?
回答者: 当社の事業はゴルフ場の集客支援を基本としており、競合他社とは異なる点がございます。例えば、楽天株式会社様は楽天会員をゴルフ場に送客するサービスですが、当社はゴルフ場側に立って集客を行うという違いがございます。ゴルフ場も当社にとって大事なお客様であり、ゴルフ場がその集客に使えるサービスを開発して提供することも大きな柱となります。
一例として、以前はゴルフ場のクラブハウスの評価額によって税金が変わってくるということがあり、税理士と組んで全国のゴルフ場の評価を行い、コスト削減を支援したこともございます。このように、ゴルフ場にとっての「御用聞き」のような存在でありたいと考えています。
また、ゴルフ場では人手不足が深刻化しているという現状がございます。SNSを使ったマーケティングなどは重要ですが、ゴルフ場は地方にあり、人材が不足しているところが少なくありません。そこで、当社がそのような業務を代行するサービスも検討しております。
取材者: 貴社はゴルフ場目線で事業を展開されているからこそ、ゴルフ場のDX化などの施策も行われているということですね。
回答者: その通りです。
取材者: ゴルフ場のDX化は、現在ゴルフ業界において課題となっているのでしょうか?
回答者: はい。ゴルフ場は非常に遅れている業界です。未だに電話やFAXが主な連絡手段となっているところが多くございます。請求書をメールで送ることを拒否されるゴルフ場も少なくありません。
取材者: 貴社の創業の経緯や創業時の思いについてお聞かせください。
回答者: 当社の創業者は、元々株式会社リクルートの住宅情報誌に携わっており、そこから独立して会社を立ち上げました。当時はまだインターネットが普及しておらず、ゴルフ場の予約方法がわかりにくい時代でした。そこで、ゴルフ場を回って情報を収集し、フリーペーパーとして発行したのが「月刊バリューゴルフ」の始まりです。
その後、インターネットの普及に伴い、Web予約システムを開発いたしました。しかし、当時の当社の体力では楽天株式会社様や株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様の規模に追いつくことができませんでした。そこで、4人1組の予約ではなく、1人でも予約できるシステムを開発いたしました。これが成功し、「月刊バリューゴルフ」と「1人予約ランド」の2本柱で現在に至ります。
取材者: バリューゴルフ」と「1人予約ランド」では収益の割合としてはどちらが高いのでしょうか?
回答者: 売上高、利益率ともに「1人予約ランド」の方が高いです。
取材者: 先日発表された第3四半期の決算状況についてお伺いします。売上高、セグメント利益ともに増収増益とのことですが、増益の要因は為替の影響や販売戦略の見直しによるものですか?
回答者: はい。その通りです。
取材者: 売上高増加の要因は他にございますか?
回答者: 物販事業の回復と、「1人予約ランド」の堅調な伸びが要因です。「1人予約ランド」は毎年堅調に10%ずつくらい伸びております。
取材者: 「1人予約ランド」の登録者数を増やすための施策は何か取り組まれていることはございますか?
回答者: ネット経由の広報活動は継続的に行っております。おかげさまでゴルファーの間では一定の認知度を得ております。現状では会員数とゴルフ場のバランスを考慮し、ゴルフ場側の開拓に力を入れております。
取材者: 会員数が増えても予約できないという状況を防ぐために、ゴルフ場への働きかけを強化しているのですね。
回答者: はい。ゴルフ場のすべての枠を予約できるわけではなく、システムごとに予約枠が割り当てられております。ゴルフ場側は、常連客のために枠を確保したり、楽天株式会社様、バリューゴルフなどへの枠の配分を調整したりしております。
そのため、当社はゴルフ場と交渉し、土日や人気の時間帯の枠を中心に、より多くの枠を開放していただけるように働きかけております。
取材者: 第4四半期に向けて、業績予想の達成が期待されていますが、何か新しく取り組まれていることはございますか?
回答者: 特に目新しい機能などはございませんが、常に新しい機能の追加やサービスの改善を行っております。
取材者: 今年は雪が多いので、それが少し懸念材料ですね。
回答者: はい。状況を見守る必要がございます。
取材者: 貴社の株主還元策についてお聞かせください。
回答者: 基本的には配当を最優先としております。一方で、株主優待につきましても、株主数を確保し、流動性を高めるという観点から、導入しております。基本的には安定的に配当を出していく方針です。
取材者: 方針などはありますか?
回答者: まずは、会員数を増やし、予約枠を増やすことで、より多くのお客様にゴルフを楽しんでいただきたいと考えています。また、ゴルフ場のDX化を支援することで、ゴルフ業界全体の活性化に貢献していきたいと考えています。